特許第6795251号(P6795251)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6795251
(24)【登録日】2020年11月16日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】軸受用グリース組成物
(51)【国際特許分類】
   C10M 115/08 20060101AFI20201119BHJP
   C10M 169/02 20060101ALI20201119BHJP
   C10M 107/02 20060101ALN20201119BHJP
   C10M 105/32 20060101ALN20201119BHJP
   C10N 40/02 20060101ALN20201119BHJP
   C10N 50/10 20060101ALN20201119BHJP
【FI】
   C10M115/08
   C10M169/02
   !C10M107/02
   !C10M105/32
   C10N40:02
   C10N50:10
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-247378(P2018-247378)
(22)【出願日】2018年12月28日
(62)【分割の表示】特願2015-505529(P2015-505529)の分割
【原出願日】2014年3月12日
(65)【公開番号】特開2019-49013(P2019-49013A)
(43)【公開日】2019年3月28日
【審査請求日】2019年1月25日
(31)【優先権主張番号】特願2013-51925(P2013-51925)
(32)【優先日】2013年3月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000183646
【氏名又は名称】出光興産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保
(74)【代理人】
【識別番号】100153866
【弁理士】
【氏名又は名称】滝沢 喜夫
(72)【発明者】
【氏名】高根 孝仁
(72)【発明者】
【氏名】藤浪 行敏
(72)【発明者】
【氏名】関口 浩紀
(72)【発明者】
【氏名】中西 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】末次 義幸
【審査官】 三須 大樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−017079(JP,A)
【文献】 特開2000−248290(JP,A)
【文献】 特開2009−197162(JP,A)
【文献】 特開2011−178824(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/165562(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10M 101/00−177/00
C10N 10/00− 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)増ちょう剤と(B)基油とを含む軸受用グリース組成物の製造方法であって、
基油中でイソシアネートとアミンを反応させる工程を含み、
前記工程は、前記イソシアネートを前記基油に溶解させたイソシアネート溶液に、前記アミンを前記基油に溶解させたアミン溶液を添加すること、又は、前記アミン溶液に、前記イソシアネート溶液を添加することにより行われ、
前記イソシアネート溶液と前記アミン溶液との反応後に撹拌を行い、
前記(A)増ちょう剤が、下記一般式(I)で表されるウレア増ちょう剤であり、
当該軸受用グリース組成物の平均厚み11μmの試料における透過像を観察した場合に、前記ウレア増ちょう剤の凝集部分のうち透過像面積が40μmを超える凝集部分の透過像面積比率が、観察面積全体に対して15%以下であり、
NHCONHRNHCONHR ・・・(I)
[式中、R1、Rはそれぞれ独立に、(a1)炭素数6から22までの1価の鎖式炭
化水素基、(a2)炭素数6から12までの1価の脂環式炭化水素基または(a3)炭素数6から12までの1価の芳香族炭化水素基を示し、R2は、(a4)炭素数6から15までの2価の芳香族炭化水素基を示す。]
前記一般式(I)のR1およびRの総量のうち、前記(a2)炭素数6から12まで
の1価の脂環式炭化水素基が、60モル%以上95モル%以下を占める
ことを特徴とする軸受用グリース組成物の製造方法
【請求項2】
(A)増ちょう剤と(B)基油とを含む軸受用グリース組成物の製造方法であって、
基油中でイソシアネートとアミンを反応させる工程を含み、
前記工程は、前記イソシアネートを前記基油に溶解させたイソシアネート溶液に、前記アミンを前記基油に溶解させたアミン溶液を1以上の滴下口から添加すること、又は、前記アミン溶液に、前記イソシアネート溶液を1以上の滴下口から添加することにより行われ
前記イソシアネート溶液と前記アミン溶液との反応後に撹拌を行い、
前記(A)増ちょう剤が、下記一般式(I)で表されるウレア増ちょう剤であり、
当該軸受用グリース組成物の平均厚み11μmの試料における透過像を観察した場合に、前記ウレア増ちょう剤の凝集部分のうち透過像面積が40μmを超える凝集部分の透過像面積比率が、観察面積全体に対して15%以下であり、
NHCONHRNHCONHR ・・・(I)
[式中、R1、Rはそれぞれ独立に、(a1)炭素数6から22までの1価の鎖式炭
化水素基、(a2)炭素数6から12までの1価の脂環式炭化水素基または(a3)炭素数6から12までの1価の芳香族炭化水素基を示し、R2は、(a4)炭素数6から15までの2価の芳香族炭化水素基を示す。
前記一般式(I)のR1およびRの総量のうち、前記(a2)炭素数6から12まで
の1価の脂環式炭化水素基が、60モル%以上95モル%以下を占める
ことを特徴とする軸受用グリース組成物の製造方法
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の軸受用グリース組成物の製造方法において、
前記(a2)炭素数6から12までの1価の脂環式炭化水素基が、シクロヘキシル基であり、
前記一般式(I)のR1およびRの総量のうち、前記シクロヘキシル基以外の残りの
基が、(a1)炭素数6から22までの1価の鎖式炭化水素基である
ことを特徴とする軸受用グリース組成物の製造方法
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の軸受用グリース組成物の製造方法において、
前記(B)基油が、(b1)ポリアルファオレフィンと(b2)エステルとの混合物である
ことを特徴とする軸受用グリース組成物の製造方法
【請求項5】
請求項4に記載の軸受用グリース組成物の製造方法において、
前記(b1)ポリアルファオレフィンの配合量は、前記(B)基油100質量%に対して、5質量%以上95質量%以下である
ことを特徴とする軸受用グリース組成物の製造方法
【請求項6】
請求項4又は5に記載の軸受用グリース組成物の製造方法において、
前記(b2)エステルが芳香族エステルである
ことを特徴とする軸受用グリース組成物の製造方法
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の軸受用グリース組成物の製造方法において、
当該軸受用グリース組成物の混和ちょう度が200以上380以下である
ことを特徴とする軸受用グリース組成物の製造方法
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の軸受用グリース組成物の製造方法において、
内燃機関の補機駆動用軸受に使用されるものである
ことを特徴とする軸受用グリース組成物の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受用グリース組成物に関し、詳しくは、自動車用内燃機関の補機類(オルタネータやウォータポンプ)の軸受、ベルトプーリー軸受またはテンションローラ軸受などに好適に用いられる軸受用グリース組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の小型軽量化や居住空間の拡大の要望から、エンジン周囲の電装補機も小型化し、高温のエンジンの近くで使用されるようになってきている。軸受用のグリースは、このような厳しい高温環境で長い軸受潤滑寿命が必要となる。そこで、高温で長い軸受潤滑寿命を持つグリースとしてはウレアグリースが用いられることが多く、例えば、脂環式アミンを主成分としたジウレア化合物を用いたグリース組成物が提案されている(特許文献1)。
また、環境への配慮や、軸受の高精度化や静粛化に伴い、グリースには低ノイズ性も求められている。ウレアグリースの中で低ノイズ性を改善するものとして、例えば、脂肪族アミンを主成分としたジウレア化合物を用いたグリース組成物が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−197162号公報
【特許文献2】特開2008−74978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のグリース組成物では、耐熱性、流動性のバランスに優れたグリースとなり、高温での軸受潤滑寿命が長くなる。しかしながら、特許文献1に記載のグリース組成物では、その分子構造から結晶性の高いウレア増ちょう剤粒子になりやすく、軸受に充填した際の騒音が大きくなりやすいという問題がある。
一方で、特許文献2に記載のグリース組成物では、ウレア増ちょう剤が結晶化しにくく、脂環式アミンを主成分とするものに比べて騒音が小さくなる。しかしながら、特許文献2に記載のグリース組成物では、脂環式アミンを主成分とするものと比較して、高温での漏洩をしやすく、また熱安定性の点でも劣るため、高温での軸受潤滑寿命の点で問題がある。
このように、低ノイズ性と、高温での長い軸受潤滑寿命とは、二律背反の関係にあり、これらを両立できるグリース組成物はなかった。
【0005】
本発明の目的は、低ノイズ性と、高温での長い軸受潤滑寿命とを両立できる軸受用グリース組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決すべく、本発明は、以下のような潤滑油組成物を提供するものである。
(1)(A)増ちょう剤と(B)基油とを含む軸受用グリース組成物であって、前記(A)増ちょう剤が、下記一般式(I)で表されるウレア増ちょう剤であり、当該軸受用グリース組成物の平均厚み11μmの試料における透過像を観察した場合に、前記ウレア増ちょう剤の凝集部分のうち透過像面積が40μmを超える凝集部分の透過像面積比率が、観察面積全体に対して15%以下であることを特徴とする軸受用グリース組成物。
NHCONHRNHCONHR ・・・(I)
[式中、R1、Rはそれぞれ独立に、(a1)炭素数6から22までの1価の鎖式炭化水素基、(a2)炭素数6から12までの1価の脂環式炭化水素基または(a3)炭素数6から12までの1価の芳香族炭化水素基を示し、R2は、(a4)炭素数6から15までの2価の芳香族炭化水素基を示す。]
(2)前述した軸受用グリース組成物において、前記一般式(I)のR1およびRの総量のうち、前記(a2)炭素数6から12までの1価の脂環式炭化水素基が、60モル%以上95モル%以下を占めることを特徴とする軸受用グリース組成物。
(3)前述した軸受用グリース組成物において、前記(a2)炭素数6から12までの1価の脂環式炭化水素基が、シクロヘキシル基であり、前記一般式(I)のR1およびRの総量のうち、前記シクロヘキシル基以外の残りの基が、(a1)炭素数6から22までの1価の鎖式炭化水素基であることを特徴とする軸受用グリース組成物。
(4)前述した軸受用グリース組成物において、前記(B)基油が、(b1)ポリアルファオレフィンと(b2)エステルとの混合物であることを特徴とする軸受用グリース組成物。
(5)前述した軸受用グリース組成物において、前記(b1)ポリアルファオレフィンの配合量は、前記(B)基油100質量%に対して、5質量%以上95質量%以下であることを特徴とする軸受用グリース組成物。
(6)前述した軸受用グリース組成物において、前記(b2)エステルが芳香族エステルであることを特徴とする軸受用グリース組成物。
(7)前述した軸受用グリース組成物において、当該軸受用グリース組成物の混和ちょう度が200以上380以下であることを特徴とする軸受用グリース組成物。
(8)前述した軸受用グリース組成物において、内燃機関の補機駆動用軸受に使用されるものであることを特徴とする軸受用グリース組成物。
【0007】
本発明によれば、低ノイズ性と、高温での長い軸受潤滑寿命とを両立できる軸受用グリース組成物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1で得られたグリース組成物における光学顕微鏡での透過像を示す写真である。
図2】比較例1で得られたグリース組成物における光学顕微鏡での透過像を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の軸受用グリース組成物(以下、単に「本組成物」ともいう。)は、(A)増ちょう剤と(B)基油とを含む軸受用グリース組成物であって、前記(A)増ちょう剤が、一般式(I)で表されるウレア増ちょう剤であり、当該軸受用グリース組成物の平均厚み11μmの試料における透過像を観察した場合に、前記ウレア増ちょう剤の凝集部分のうち透過像面積が40μmを超える凝集部分の透過像面積比率が、観察面積全体に対して15%以下であることを特徴とするものである。以下、詳細に説明する。
【0010】
本組成物においては、本組成物の平均厚み11μmの試料における透過像を観察した場合に、前記ウレア増ちょう剤の凝集部分のうち透過像面積が40μmを超える凝集部分の透過像面積比率が、観察面積全体に対して15%以下であることが必要である。この透過像面積比率が15%を超えると、グリース組成物における低ノイズ性が不十分となる。また、この透過像面積比率は、低ノイズ性の観点から、10%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましい。
【0011】
本組成物において、ウレア増ちょう剤の凝集部分のうち透過像面積が40μmを超える凝集部分の透過像面積比率[{(凝集部分のうち透過像面積が40μmを超える凝集部分の透過像面積)/(観察面積)}×100%]は、次のようにして求めることができる。具体的には、本組成物における透過像を、下記(i)透過像観察方法のようにして観察し、得られた透過像から下記(ii)面積値算出方法のようにして、ウレア増ちょう剤の凝集部分の透過像面積比率を算出できる。
(i)透過像観察方法
スライドガラス上にグリース組成物を載せ、平均厚み11μmのスペーサーを入れ、カバーガラスにて挟んだ試料を、倍率300倍の光学顕微鏡(KEYENCE社製の「デジタルマイクロスコープVHX−200/100F」)にて、2×10μmの観察領域の透過像を観察した。
(ii)面積値算出方法
得られた透過像(2×10μmの観察領域内)にあるウレア増ちょう剤の凝集部分の透過像を観察し、観察面積全体に占める凝集部分のうち透過像面積が40μmを超える凝集部分の透過像面積の値から、ウレア増ちょう剤の凝集部分のうち透過像面積が40μmを超える凝集部分の透過像面積比率を算出した。なお、前記凝集部分は、透過像において比較的に暗くなる部分であり、この部分の透過像面積は、画像解析ソフト(日本ローパー社製の「Image−Pro PLUS」)を用いて、二値化することで算出できる。また、観察領域端部にある凝集部分、および、透過像面積が40μm以下の十分に小さい凝集部分については除外して算出した。
【0012】
なお、本組成物において、ウレア増ちょう剤の凝集部分の透過像面積比率を上述した範囲にする手段としては、例えば、後述する本組成物の製造方法(液滴法)にて製造し、この製造方法において、反応温度、滴下口の口径、滴下口の数、溶液の添加速度、撹拌強度などを適宜調整することが挙げられる。
【0013】
本組成物の混和ちょう度は、150以上380以下であることが好ましく、200以上380以下であることがより好ましく、200以上340以下であることが特に好ましい。混和ちょう度が前記下限以上であると、グリースが硬くないため低温始動性が良好である。一方、混和ちょう度が前記上限以下であると、グリースが軟らかすぎることなく潤滑性が良好である。この混和ちょう度は、JIS K2220の記載に準拠した方法で測定できる。この混和ちょう度は、増ちょう剤の配合量などにより適宜調整できる。
【0014】
[A成分]
本組成物に用いられる(A)増ちょう剤は、下記一般式(I)で表されるウレア増ちょう剤である。なお、本発明の効果を阻害しない範囲で、下記一般式(I)で表されるウレア増ちょう剤以外のジウレア化合物、モノウレア化合物、ジウレア化合物、トリウレア化合物、テトラウレア化合物などを用いてもよい。
NHCONHRNHCONHR ・・・(I)
前記一般式(1)中、R1およびRはそれぞれ独立に、(a1)炭素数6から22まで、好ましくは炭素数10から22まで、より好ましくは炭素数15から22までの1価の鎖式炭化水素基、(a2)炭素数6から12まで、好ましくは炭素数6から8までの1価の脂環式炭化水素基、または(a3)炭素数6から12までの1価の芳香族炭化水素基を示す。Rは(a4)炭素数6から15までの2価の芳香族炭化水素基を示す。
【0015】
前記(a1)1価の鎖式炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和のアルキル基が含まれ、例えば、各種へキシル基、各種へプシル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ウンデシル基、各種ドデシル基、各種トリデシル基、各種テトラデシル基、各種ペンタデシル基、各種へキサデシル基、各種へプタデシル基、各種オクタデシル基、各種オクタデセニル基、各種ノナデシル基、および各種イコデシル基などの直鎖状アルキル基または分岐状アルキル基が挙げられる。
【0016】
前記(a2)1価の脂環式炭化水素基としては、シクロヘキシル基または炭素数7から12までのアルキル基置換シクロヘキシル基が含まれ、例えば、シクロヘキシル基の他に、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基、ジエチルシクロヘキシル基、プロピルシクロヘキシル基、イソプロピルシクロヘキシル基、1−メチループロピルシクロヘキシル基、ブチルシクロヘキシル基、アミルシクロヘキシル基、アミルーメチルシクロヘキシル基、およびヘキシルシクロヘキシル基などが挙げられる。これらの中でも、製造上の理由で、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基などが好ましく、シクロヘキシル基がより好ましい。
【0017】
前記(a3)1価の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、トルイル基などが挙げられる。
前記(a4)2価の芳香族炭化水素基としては、フェニレン基、ジフェニルメタン基、およびトリレン基などが挙げられる。
【0018】
前記(A)増ちょう剤は、通常ジイソシアネー卜とモノアミンを反応させることによって得ることができる。
ジイソシアネー卜としては、ジフェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、およびトリレンジイソシアネートなどが挙げられ、有害性が小さい点でジフェニルメタンジイソシアネートが好ましい。
モノアミンとしては、前記一般式(1)におけるR1およびRで示される(a1)鎖式炭化水素基、(a2)脂環式炭化水素基、(a3)芳香族炭化水素基などに対応するアミンが挙げられ、例えば、オクチルアミン、ドデシルアミン、オクタデシルアミン、およびオクタデセニルアミンなどの鎖式炭化水素アミン、シクロヘキシルアミンなどの脂環式炭化水素アミン、アニリン,およびトルイジンなどの芳香族炭化水素アミン、並びにそれらを混合した混合アミンが挙げられる。
【0019】
本発明においては、前記(A)増ちょう剤であるジウレア化合物の末端基であるR1およびRの各炭化水素基の割合は、原料アミンの組成による。R1およびRを形成するための原料アミン(または、混合アミン)の組成は、軸受潤滑寿命の観点から、鎖式炭化水素基を有するアミン、および、脂環式炭化水素基を有するアミンの混合物であることが好ましい。あるいはこれらの混合物が耐熱長寿命観点から好ましい。
前記一般式(1)において、R1およびRで表される炭化水素基のうち、60モル%以上95モル%以下が、(a2)炭素数6から12までの1価の脂環式炭化水素基であることが好ましく、さらにはシクロヘキシル基であることが好ましい。また、残りの部分には、耐熱性、高温流動性、油分離性の観点から、(a1)炭素数6から22まで、好ましくは炭素数10から22まで、より好ましくは炭素数15から22までの1価の鎖式炭化水素基を使用することが好ましい。
【0020】
前記(A)増ちょう剤の配合量は、(B)基油とともにグリースを形成し維持できる範囲であれば制限はないが、グリース組成物の流動性や低温特性の点から、組成物全量基準で5質量%以上25質量%以下であることが好ましく、10質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。配合量が前記下限未満では、所望の混和ちょう度が得られない傾向にあり、他方、前記上限を超えると、グリース組成物の潤滑性が低下する傾向にある。
【0021】
[B成分]
本組成物に用いられる(B)基油は、(b1)ポリアルファオレフィン(PAO)、(b2)エステル(ポリオールエステルなど)、鉱物油(パラフィン系鉱油など)など、一般に潤滑油に供されるものが使用可能である。これらの中でも、耐熱長寿命の観点から、(b1)PAO、および(b1)PAOと(b2)エステルとの混合油であることが好ましい。
【0022】
前記(b1)PAOは、アルファオレフィンの重合体(オリゴマー)であるが、モノマーであるアルファオレフィンの炭素数としては、粘度指数や蒸発性の観点から、6から20までが好ましく、8から16までがより好ましく、10から14までが特に好ましい。また、このPAOとしては、低蒸発性、および省エネルギーの観点から、アルファオレフィンの2量体から5量体までが好ましい。また、このPAOは、目的とする性状に合わせて、アルファオレフィンの炭素数とその配合比、重合度を調節すればよい。
アルファオレフィンの重合触媒としては、BF触媒、AlCl触媒、チーグラー型触媒、メタロセン触媒などが使用可能である。従来、100℃動粘度が30mm/s未満の低粘度PAOにはBF触媒が使用され、30mm/s以上のPAOにはAlCl触媒が使用されてきたが、低蒸発性、および省エネルギーの観点から、特にBF触媒やメタロセン触媒を使用することが好ましい。BF触媒は、水、アルコール、エステルなどのプロモーターとともに使用されるが、これらの中でも、粘度指数、低温物性、収率の点から、アルコール特に1−ブタノールが好ましい。
【0023】
前記(b2)エステルとしては、ポリオールエステル、脂肪族ジエステル、および芳香族エステルが好ましく用いられる。
前記ポリオールエステルとしては、脂肪族多価アルコールと直鎖状または分岐状の脂肪酸とのエステルが挙げられる。このポリオールエステルを形成する脂肪族多価アルコールとしては、ネオペンチルグルコール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジトリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、およびトリペンタエリスリトールなどが挙げられる。また、脂肪酸としては、炭素数4から22までのものを使用することができ、特に好ましい脂肪酸としてはブタン酸、ヘキサン酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸およびトリデシル酸などが挙げられる。また、上記した脂肪族多価アルコールと直鎖状または分岐状の脂肪酸との部分エステルも使用できる。これらの部分エステルは、脂肪族多価アルコールと脂肪酸との反応モル数を適宜調節して反応させることにより得られる。
このようなポリオールエステルは、100℃における動粘度が1mm/s以上50mm/s以下であることが好ましく、2mm/s以上40mm/s以下であることがより好ましく、3mm/s以上20mm/s以下であることが特に好ましい。前記動粘度が1mm/s以上であると蒸発損失が少なく、また、前記動粘度が50mm/s以下であると、粘性抵抗によるエネルギー損失が抑制され、低温下での始動性や回転性に優れる。
【0024】
前記脂肪族ジエステルとしては、脂肪族二塩基酸ジエステルが好ましく用いられる。前記脂肪族二塩基酸ジエステルのカルボン酸成分としては、炭素数6から10までの直鎖状または分岐状の脂肪族二塩基酸が好ましく、具体的には、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、およびこれらと同等の性状を有するものが挙げられる。また、アルコール成分としては、炭素数6から18までの脂肪族アルコールが好ましく、具体的にはヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコールおよびペンタデシルアルコール、並びにこれらの異性体が挙げられる。
このような脂肪族ジエステルは、100℃における動粘度が1mm/s以上50mm/s以下であることが好ましく、1.5mm/s以上30mm/s以下であることがより好ましく、2mm/s以上20mm/s以下であることが特に好ましい。前記動粘度が1mm/s以上であると蒸発損失が少なく、また、前記動粘度が50mm/s以下であると、粘性抵抗によるエネルギー損失が抑制され、低温下での始動性や回転性に優れる。
【0025】
前記芳香族エステルとしては、芳香族一塩基酸、芳香族二塩基酸、芳香族三塩基酸、および芳香族四塩基酸など種々のタイプのカルボン酸とアルコールとのエステルが使用できる。芳香族二塩基酸としては、フタル酸、イソフタル酸などが挙げられる。芳香族三塩基酸としては、トリメリット酸などが挙げられる。芳香族四塩基酸としては、ピロメリット酸などが挙げられる。具体的には、トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリデシル、およびピロメリット酸テトラオクチルなどの芳香族エステル油が好ましく挙げられる。
このような芳香族エステルは、100℃における動粘度が1mm/s以上50mm/s以下であることが好ましく、1.5mm/s以上30mm/s以下であることがより好ましく、2mm/s以上20mm/s以下であることが特に好ましい。前記動粘度が1mm/s以上であると蒸発損失が少なく、また、前記動粘度が50mm/s以下であると、粘性抵抗によるエネルギー損失が抑制され、低温下での始動性や回転性に優れる。
【0026】
上述したポリオールエステル、脂肪族ジエステル、および芳香族エステルについては各々単独に上述のPAOと混合してもよいし、或いはともにPAOに混合して用いてもよい。また、コンプレックスエステルとして用いてもよい。コンプレックスエステルとは、多塩基酸と多価のアルコールを原料として合成されるエステルであり、通常、原料には一塩基酸も含まれる。本発明では、脂肪族多価アルコールと、炭素数4から18までの直鎖状または分岐状の脂肪族モノカルボン酸、直鎖状または分岐状の脂肪族二塩基酸、あるいは芳香族二塩基酸、三塩基酸、四塩基酸とからなるコンプレックスエステルを好適に使用することができる。
【0027】
このコンプレックスエステルの形成に用いられる脂肪族多価アルコールとしては、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、およびジペンタエリスリトールなどが挙げられる。また、脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数4から18までの脂肪族モノカルボン酸、具体的には、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、およびリグノセリン酸などが挙げられる。脂肪族二塩基酸としては、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、カルボキシオクタデカン酸、カルボキシメチルオクタデカン酸、およびドコサン二酸などが挙げられる。
【0028】
上述した各種エステルを製造するためのエステル化反応としては、例えば、アルコール(1価あるいは多価アルコール)とカルボン酸(一塩基酸または多塩基酸)を所定の割合で反応させればよい。あるいは、部分エステル化し、次にその部分エステル化物とカルボン酸とを反応させてもよいし、また酸の反応順序を逆にしてもよく、あるいは酸を混合してエステル化反応に供してもよい。
【0029】
前記(B)基油は、前記(b1)PAOと前記(b2)エステルとの混合基油であることが好ましい。この混合基油におけるPAOとエステルとの割合は、質量比で5:95から95:5までの範囲が好ましく、より好ましくは50:50から93:7までであり、特に好ましくは70:30から90:10までである。
また、この混合基油においては、100℃における動粘度が1mm/s以上30mm/s以下であることが好ましく、2mm/s以上20mm/s以下であることがより好ましい。前記動粘度が1mm/s以上であると潤滑性に優れるとともに蒸発損失が少なく、また、前記動粘度が30mm/s以下であると、粘性抵抗によるエネルギー損失が抑制され、低温下での始動性や回転性に優れる。
【0030】
[他の添加成分]
本組成物に対しては、発明の効果を阻害しない範囲で、以下に示す各種の添加剤を配合してもよい。各種の添加剤としては、増粘剤、粘度指数向上剤、酸化防止剤、界面活性剤・抗乳化剤、消泡剤、防錆剤、極圧剤、耐摩耗剤、金属不活性化剤などが挙げられる。このような増粘剤や粘度指数向上剤としては、ポリブテン、ポリイソブチレン、1−デセンとエチレンのコオリゴマーなどのオレフィン系オリゴマーやオレフィンコポリマー(OCP)の他に、ポリメタクリレート、スチレン−イソプレン共重合体の水添物などが挙げられる。これらの添加剤の配合量は、組成物全量基準で10質量%以下であることが好ましい。
【0031】
[本組成物の製造方法]
本組成物は、特に限定されないが、例えば以下に示す製造方法により製造することができる。
すなわち、基油中でイソシアネートと所定量のアミンを反応させることで本組成物(ウレアグリース)を製造できる。イソシアネートを基油に溶解させたもの(イソシアネート溶液)に、アミンを基油に溶解させたもの(アミン溶液)を添加するか、或いは、その逆に、前記アミン溶液に、前記イソシアネート溶液を添加し反応を行う。前記イソシアネート溶液または前記アミン溶液を添加する際には、溶液を添加する滴下口の口径が、1mm以上30mm以下であることが好ましく、2mm以上5mm以下であることがより好ましい。滴下口の口径が1mm以下であると、効率のよい生産をするためには溶液の圧送等が必要となってくるため、通常の設備では効率的な生産が困難となる傾向にある。一方、滴下口の口径が前記上限を超えると、イソシアネートとアミンの接触時の分散状態が悪化し、増ちょう剤の結晶化が起きやすくなり、音響特性が悪化してしまう傾向にある。添加速度に特に制限はないが、圧送などはせず、通常の製造装置で可能な範囲での添加速度で問題ない。添加量と添加時間の兼ね合いで滴下口の数を増やしても問題ない。前記イソシアネート溶液または前記アミン溶液を添加する際には、もう一方の溶液を攪拌しておくことが好ましい。前記アミン溶液の温度は、50℃以上80℃以下であることが好ましい。前記イソシアネート溶液の温度は、50℃以上80℃以下であることが好ましい。また、アミンとイソシアネートとの反応温度は、60℃以上120℃以下であることが好ましい。
【実施例】
【0032】
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は、以下の実施例によってなんら限定されるものでない。なお、実施例および比較例において、PAO、混合基油および添加剤としては、以下のものを用いた。
PAO(ポリアルファオレフィン):40℃における動粘度46.7mm/s、100℃における動粘度7.8mm/s、粘度指数137
混合基油:前記PAO、芳香族エステルおよび増粘剤を室温混合して調製したもの
添加剤:防錆剤、酸化防止剤など
【0033】
[実施例1]
混合基油と、増ちょう剤の前駆体と、添加剤とを用い、下記表1に示す配合組成のグリース組成物を以下に示す方法で調製した。
まず、イソシアネート(ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート)を混合基油に加熱溶解させて、イソシアネート溶液を調製した。また、前記イソシアネート量に対し、2倍モルの混合アミン((a1)オクタデシルアミンと(a2)シクロヘキシルアミンとの混合物であり、(a1)と(a2)とのモル比は、20:80である)を混合基油に加熱溶解させて、アミン溶液Aを調製した。
そして、イソシアネート溶液にアミン溶液Aを滴下口の口径が3mmの15箇所から平均添加速度250mL/分で添加しながら反応させた。全量を反応させた後、1時間撹拌し、その後160℃まで昇温し、160℃に保持しながらさらに1時間激しく攪拌した。
次いで、冷却速度50℃/時間で80℃まで冷却した後、添加剤を添加した。さらに室温まで自然放冷した後、ミリング処理および脱泡処理を行って、グリース組成物を得た。
得られたグリース組成物について、光学顕微鏡を用いて透過像を観察した(図1参照)。そして、ウレア増ちょう剤の凝集部分のうち透過像面積が40μmを超える凝集部分の透過像面積比率を算出した。得られた結果を表1に示す。
【0034】
[実施例2]
混合基油と、増ちょう剤の前駆体と、添加剤とを用い、下記表1に示す配合組成のグリース組成物を以下に示す方法で調製した。
まず、実施例1と同様にして、イソシアネート溶液およびアミン溶液Aを調製した。
そして、イソシアネート溶液にアミン溶液Aを滴下口の口径が30mmの1箇所から平均添加速度250mL/分で添加しながら反応させた。全量を反応させた後、1時間撹拌し、その後160℃まで昇温し、160℃に保持しながらさらに1時間激しく攪拌した。
次いで、冷却速度50℃/時間で80℃まで冷却した後、添加剤を添加した。さらに室温まで自然放冷した後、ミリング処理および脱泡処理を行って、グリース組成物を得た。
得られたグリース組成物について、光学顕微鏡を用いて透過像を観察した。そして、ウレア増ちょう剤の凝集部分のうち透過像面積が40μmを超える凝集部分の透過像面積比率を算出した。得られた結果を表1に示す。
【0035】
[比較例1]
混合基油と、増ちょう剤の前駆体と、添加剤とを用い、下記表1に示す配合組成のグリース組成物を以下に示す方法で調製した。
まず、実施例1と同様にして、イソシアネート溶液およびアミン溶液Aを調製した。
そして、イソシアネート溶液にアミン溶液Aを滴下口の口径が70mmの1箇所から平均添加速度200mL/分で添加しながら反応させた。全量を反応させた後、1時間撹拌し、その後160℃まで昇温し、160℃に保持しながらさらに1時間激しく攪拌した。
次いで、冷却速度50℃/時間で80℃まで冷却した後、添加剤を添加した。さらに室温まで自然放冷した後、ミリング処理および脱泡処理を行って、グリース組成物を得た。
得られたグリース組成物について、光学顕微鏡を用いて透過像を観察した(図2参照)。そして、ウレア増ちょう剤の凝集部分のうち透過像面積が40μmを超える凝集部分の透過像面積比率を算出した。得られた結果を表1に示す。
【0036】
[比較例2]
混合基油と、増ちょう剤の前駆体と、添加剤とを用い、下記表1に示す配合組成のグリース組成物を以下に示す方法で調製した。
まず、イソシアネート(ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート)を混合基油に加熱溶解させて、イソシアネート溶液を調製した。また、前記イソシアネート量に対し、2倍モルの混合アミン((a1)オクタデシルアミンと(a2)シクロヘキシルアミンとの混合物であり、(a1)と(a2)とのモル比は、60:40である)を混合基油に加熱溶解させて、アミン溶液Bを調製した。
そして、イソシアネート溶液にアミン溶液Bを滴下口の口径が70mmの1箇所から平均添加速度200mL/分で添加しながら反応させた。全量を反応させた後、1時間撹拌し、その後160℃まで昇温し、160℃に保持しながらさらに1時間激しく攪拌した。
次いで、冷却速度50℃/時間で80℃まで冷却した後、添加剤を添加した。さらに室温まで自然放冷した後、ミリング処理および脱泡処理を行って、グリース組成物を得た。
得られたグリース組成物について、光学顕微鏡を用いて透過像を観察した。そして、ウレア増ちょう剤の凝集部分のうち透過像面積が40μmを超える凝集部分の透過像面積比率を算出した。得られた結果を表1に示す。
【0037】
<グリース組成物の評価>
グリース組成物の評価(混和ちょう度、軸受音響、軸受寿命)を以下のような方法で行った。得られた結果を表1に示す。
(1)混和ちょう度
JIS K2220の記載に準拠した方法で、混和ちょう度を測定した。
(2)軸受音響
アンデロンメーターを用い、下記の条件にて、軸受音響試験を行い、アンデロン値を測定した。
軸受形式:6202
グリース充填量:0.7g
スラスト荷重:19.6N
回転数:1800rpm
試験時間:1分間
アンデロン値の結果に基づいて、各グリースの軸受音響(ノイズ性)を点数化した。点数は100点満点で、高いほど低ノイズ性に優れる。なお、実用性の観点から、60点以上が低ノイズグリースとして用いられることが多い。
(3)軸受寿命
ASTM D1741の記載に準拠した方法で、下記の条件にて、軸受寿命試験を行った。そして、軸受寿命が尽きた時間を測定し、その時間を示した。試験時間が2000時間以上で合格とし、2000時間以上の場合は、「2000<」と示した。
軸受形式:6306
回転数:3500rpm
試験温度:150℃
試験荷重:ラジアル221N,アキシャル178N
運転条件:連続
【0038】
【表1】

【0039】
表1に示す結果からも明らかなように、本発明のグリース組成物を用いた場合(実施例1、2)には、低ノイズ性と、高温での長い軸受潤滑寿命とを両立できることが確認された。
一方で、透過像面積比率が高すぎる場合(比較例1)には、低ノイズ性が不十分となることが分かった。
また、比較例2では、軸受寿命試験の結果が、合格ラインを大きく下回ることが確認できた。なお、比較例2では、軸受音響試験の結果が比較例1よりも高い点数となることもあわせて確認できた。これは、比較例2におけるウレア増ちょう剤が、結晶化し難い脂肪族アミンを主成分とすることに起因すると推察される。
図1
図2