特許第6795514号(P6795514)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6795514
(24)【登録日】2020年11月16日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】導電性組成物、プロセスおよび用途
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20201119BHJP
   C08K 7/00 20060101ALI20201119BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20201119BHJP
   C08K 3/08 20060101ALI20201119BHJP
   C08K 9/02 20060101ALI20201119BHJP
   C08K 5/06 20060101ALI20201119BHJP
   C08K 5/101 20060101ALI20201119BHJP
   H01B 1/22 20060101ALI20201119BHJP
   H01B 1/24 20060101ALI20201119BHJP
   H01B 1/00 20060101ALI20201119BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20201119BHJP
   H01B 5/14 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   C08L101/00
   C08K7/00
   C08K3/04
   C08K3/08
   C08K9/02
   C08K5/06
   C08K5/101
   H01B1/22 A
   H01B1/24 A
   H01B1/00 C
   H01B1/00 H
   H01B1/00 L
   H01B13/00 503D
   H01B13/00 503B
   H01B5/14 A
   H01B5/14 B
【請求項の数】23
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-548515(P2017-548515)
(86)(22)【出願日】2015年12月2日
(65)【公表番号】特表2017-538854(P2017-538854A)
(43)【公表日】2017年12月28日
(86)【国際出願番号】CN2015096201
(87)【国際公開番号】WO2016091104
(87)【国際公開日】20160616
【審査請求日】2018年7月13日
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2014/093259
(32)【優先日】2014年12月8日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
(73)【特許権者】
【識別番号】514056229
【氏名又は名称】ヘンケル アイピー アンド ホールディング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】ユィ・ユエンユエン
(72)【発明者】
【氏名】ボー・シア
(72)【発明者】
【氏名】ウ・ジュンジュン
(72)【発明者】
【氏名】アジズ・シャイク
【審査官】 藤井 勲
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−315903(JP,A)
【文献】 特開2005−251542(JP,A)
【文献】 特開2010−087131(JP,A)
【文献】 特開2013−199648(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0248776(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第103408993(CN,A)
【文献】 特開2014−203652(JP,A)
【文献】 特開2014−216089(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0327844(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 101/00 − 101/14
H01B 1/00 − 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)1以上、かつ、2.0未満のアスペクト比を有する第1の粒子であって、球状粒子、ファセット粒子、角錐形粒子およびこれらの混合物から選択される第1の粒子、または前記第1の粒子と、第2の粒子であって、2.0より大きいアスペクト比を有する非球状粒子である第2の粒子との混合物から選択される導電性粒子、
b)ハロゲン化熱可塑性樹脂;および
c)少なくとも1種の有機溶媒
を含む導電性組成物であって、ここで、前記球状粒子またはファセット粒子または角錐形粒子は、5nm〜1μmの平均粒径を有し、かつ、前記組成物は、該組成物の総重量の60重量%〜85重量%の第1の粒子を含み、前記ハロゲン化熱可塑性樹脂は、ポリ二塩化ビニルおよびポリ二塩化ビニルコポリマーおよびこれらの混合物からなる群から選択される、導電性組成物。
【請求項2】
前記導電性粒子は、金属、金属合金、金属含有複合材料、非金属粒子およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記導電性粒子は、銀、金、白金、銅、ニッケル、アルミニウム、亜鉛、鉄、銅−ニッケル、銀−銅、銀−ニッケル、銅−アルミニウム、銀メッキ銅、銀メッキガラス、銀メッキ黒鉛、銀メッキ繊維、黒鉛、カーボンブラック、カーボンナノチューブおよびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記導電性粒子は銀である、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
前記球状またはファセットまたは角錐形粒子は、5nm〜500nmの平均粒径を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記球状またはファセットまたは角錐形粒子は5nm〜200nmの平均粒径を有する、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記第2の粒子である非球状粒子は、10.0より大きいアスペクト比を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
前記第2の粒子である非球状粒子は、10nm〜2μmの平均粒径を有する、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
前記第2の粒子である非球状粒子は、10nm〜1μmの平均粒径を有する、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物は、
−該組成物の総重量の60重量%〜75重量%の量の第1の粒子、または
−該組成物の総重量の10重量%以上の第2の粒
含む、請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物は、該組成物の総重量の30重量%以上の第2の粒子を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、熱可塑性ポリウレタン、ポリアクリレート、シリコーンおよびこれらの混合物からなる群から選択される樹脂をさらに含む、請求項1〜11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
フェノキシ樹脂、ポリアクリレートおよびこれらの混合物からなる群から選択される樹脂をさらに含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記ハロゲン化熱可塑性樹脂は、PVDCポリマーおよびPVDCコポリマーならびにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物の総重量の、1重量%〜10重量%の量の樹脂を含む、請求項1〜14のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
粒子と樹脂の体積比は、1.5〜3.5である、請求項1〜15のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
粒子と樹脂の体積比は、2.0〜3.0である、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
少なくとも1種の有機溶媒は、ジプロピレングリコールメチルエーテル(DPM)、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール(MMB)、ブチルグリコールアセテート(BGA)、ジエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、DBE、DBE-9、DBE-3、DBE-4、DBE-5、DBE-6、プロピレングリコールメチルアセテート(PMA)、ブチルカルビトール(BC)、ブチルカルビトールアセテート(BCA)およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜17のいずれかに記載の組成物。
【請求項19】
前記少なくとも1種の有機溶媒は、DBE-9、ジプロピレングリコールメチルエーテル(DPM)、プロピレングリコールメチルアセテート(PMA)、ブチルカルビトール(BC)、ブチルグリコールアセテート(BGA)およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
導電性メッシュを調製する方法であって、
−0μmより大きく、かつ、5μmより小さい幅を有する溝からなるメッシュパターンを基材表面上に形成するステップと、
−該溝に請求項1〜19のいずれかに記載の組成物を充填するステップと、
−残余組成物を該基材表面から洗浄するステップと、
−該組成物を硬化または焼結するステップと
を含む、方法。
【請求項21】
前記硬化または焼結は、150℃未満の温度で実施される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
請求項20または21に記載の方法により調製された導電性メッシュ。
【請求項23】
基材上の導電性メッシュを含み、前記メッシュは請求項1〜19のいずれかに記載の硬化または焼結組成物を含む、タッチパネルディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性粒子に基づく導電性組成物および導電性メッシュにおけるそれらの使用に関する。本発明による導電性組成物はタッチスクリーンに使用できる。
【背景技術】
【0002】
タッチスクリーンセンサは、タッチスクリーンディスプレイの表面に接触した物体(例えば、指またはスタイラス)の位置、またはタッチスクリーンディスプレイの表面近傍に配置された物体の位置を検出する。これらのセンサは、ディスプレイの表面に沿った、例えば、平坦な矩形フラットディスプレイの平面内にある物体の位置を検出する。タッチスクリーンセンサの例としては、静電容量センサ、抵抗センサ、および投影型静電容量センサが挙げられる。このようなセンサとしては、ディスプレイに重ねる導電性素子が挙げられる。これらの素子は、素子を探査するための電気信号を使用して、ディスプレイの近傍の、またはそれと接触する物体の位置を決定する電子部品と組み合わされる。
【0003】
タッチスクリーンセンサの分野では、ディスプレイの光学的品質を損なうことなく、タッチスクリーンセンサの電気特性に対する制御を向上させるニーズがある。一般に、光学的品質は、可視光透過性、ヘイズ、およびセンサの視認性により表すことができる。該品質は、タッチスクリーンとして組み立てられているときに、人間の目によりセンサを観察することにより決定される。通常、メタルメッシュタッチセンサでは、透明のマイクロパターン化導電性部位がメタルメッシュ構造体を含み、これがタッチスクリーンセンサとして使用される。マイクロパターン化メッシュ構造体は、限定されないが、マイクロパターンに使われるメッシュトレース(「ライン」と呼ばれることもある)の幅と高さ、ラインの密度、およびラインの密度の均一性などのパラメータにより規定できる。マイクロパターンは通常、5μm未満の線幅(このような細線は、人間の目には見えない)、5μm未満のトレース高さ、および95%〜99.99%の開口率を有する。メッシュライン間の空隙(透過領域)は通常、数百ミクロンから数ミリメートルである。このように、タッチスクリーンセンサの極めて高い透過性を実現できる。マイクロパターン化メッシュ構造は、例えば、ダイヤモンド形状、六角形形状またはランダム形状とすることができる。タッチスクリーンセンサの電気伝導度は、ラインの密度およびラインの形状に関係する。
【0004】
あるメタルメッシュ技術では、まず最初に、適切な幅と高さを有する溝からなるメッシュパターンが基材表面上に形成される。この溝には、その後、導電性組成物が充填される。充填プロセスで生じた全ての残余組成物が洗浄ステップ中に基質表面から除去され、続いて、メッシュ溝中の導電性組成物が高温で硬化または焼結され、固体導電性メタルメッシュ構造体が形成される。表面上の残余組成物の洗浄の容易さおよび量は、過剰な残余物により引き起こされる表面の目に見える欠陥に起因する製品の収率低下を決定する極めて重要な因子である。
【0005】
メタルメッシュ構造体は、ミクロンまたはサブミクロン粒径の金属粒子からなる高導電性金属または金属合金から作製できる。銀粒子を使用して導電性メッシュラインを形成して、メッシュ構造体の高導電率を確実にする場合が多い。しかし、硬化銀ラインの表面は通常、高い反射率を有し、人間の目でその存在を感知することができる。この視認性は、タッチスクリーンセンサ、およびその結果として、前記タッチスクリーンセンサを含むディスプレイの光学的品質を損ない、これがこの技術の重大な欠点の1つとなっている。
【0006】
メタルメッシュ構造体の表面の反射を減らすために、導電性メタルメッシュラインの上に黒色インクコーティングによるダークオーバーレイを塗布することが知られている。そうすることにより、追加のプロセスステップが生じ、全体プロセスが引き伸ばされ、それにより、処理時間とコストを増やすことになる。この追加のステップがさらなる収率低下に繋がることもある。
【0007】
先行技術で知られている別の解決策は、導電性組成物に黒色染色材料(例えば、カーボンブラックまたは有機黒色染料)を加えて、硬化メタルメッシュ表面の表面反射を減らすことである。しかし、これは、染料が均一に分布されない場合には、不均一な色の見えを生じ得る。さらに、有機黒色染色材料の絶縁性およびカーボンブラックの銀より低い導電率に起因して、硬化メタルメッシュの導電率が低下するであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、比較的低い温度で硬化または焼結され得る能力、および硬化または焼結後に基材に対する十分な接着力、高い電気伝導度および低反射率を有する導電性組成物を提供するニーズが残されている。さらに、硬化前に、残余組成物が溝以外の基材表面から簡単に除去できることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、導電性組成物に関し、該組成物は、a)1以上、かつ、2.0未満のアスペクト比を有する第1の粒子であって、球状粒子、ファセット粒子、角錐形粒子およびこれらの混合物から選択される第1の粒子;または前記第1の粒子と、第2の粒子であって、2.0より大きいアスペクト比を有する非球状粒子である第2の粒子との混合物から選択される導電性粒子;b)樹脂;およびc)少なくとも1種の有機溶媒を含む。
【0010】
本発明は、本発明による導電性組成物を含む透明導電性メッシュの調製方法、および得られた導電性メッシュ構造体にさらに関する。
【0011】
さらに、本発明は、タッチセンサ技術における導電性のメッシュ構造体の使用を包含する。
【0012】
最後に、本発明は、基材上に導電性のメッシュを含むタッチパネルディスプレイを包含し、前記メッシュは、本発明による硬化または焼結組成物を含む。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の節では、本発明がより詳細に記載される。そのように記載されたそれぞれの態様は、別義が明確に指示されない限り、任意のその他の態様(単一または複数)と組み合わせてもよい。特に、好ましいまたは有利であるとして示されている任意の特徴を、好ましいまたは有利であるとして示されているその他の任意の特徴(単一または複数)と組み合わせてもよい。
【0014】
本発明においては、使われる用語は、文脈から別義が示されない限り、次の定義に従うと解釈されるべきである。
【0015】
本明細書中で使用される場合、単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈から明確に別義が示されない限り、単一および複数両方の参照対象を含む。
【0016】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」、「含む(comprise)」および「含まれる(comprised of)」という用語は、「含む(including)」、「含む(include)」または「含む(containing)」、「含む(contain)」と同義であり、包括的またはオープンエンドであって、追加の、記載されていないメンバー、要素または方法のステップを排除するものではない。
【0017】
数値による終点の記載は、それぞれの範囲内に含まれる全ての数値および分数値、ならびに記載終点を含む。
【0018】
別段の指示がない限り、本明細書で言及する全ての百分率、部、比率などは、重量基準である。
【0019】
量、濃度またはその他の値またはパラメータが、範囲、好ましい範囲、または好ましい上限値および好ましい下限値の形で表される場合には、得られた範囲が文脈において明確に言及されているか否かにかかわらず、任意の上限値または好ましい値と、任意の下限値または好ましい値とを組み合わせることにより得られる任意の範囲が具体的に開示されているものと理解されるべきである。
【0020】
本明細書に引用されている全ての参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0021】
別段に定義されていない限り、本明細書の開示で使用される技術的および科学的用語を含む全ての用語は、本発明が属する分野の当業者に通常理解されている意味を有する。さらなる説明では、本発明の教示のよりよき理解のために、用語の定義が含まれる。
【0022】
本発明は、導電性組成物を提供し、該組成物は、a)1以上、かつ、2.0未満のアスペクト比を有する第1の粒子であって、球状粒子、ファセット粒子およびこれらの混合物から選択される第1の粒子;または前記第1の粒子と、第2の粒子であって、2.0より大きいアスペクト比を有する非球状粒子である第2の粒子との混合物から選択される導電性粒子;b)樹脂;およびc)少なくとも1種の有機溶媒を含む。
【0023】
本発明による導電性組成物は、比較的低い温度で硬化または焼結され得る能力を提供する。本発明による硬化または焼結組成物は、基材に対する十分な接着力、高電気伝導度および低反射率を有する。さらに、硬化前に、残余組成物が溝以外の基材表面から簡単に除去できる。
【0024】
本発明による導電性組成物のそれぞれの必須成分は、以降で詳細に記述される。
【0025】
導電性粒子
本発明による導電性組成物は、1以上、かつ、2.0未満のアスペクト比を有する第1の粒子であって、球状粒子、ファセット粒子、角錐形粒子およびこれらの混合物から選択される第1の粒子;または前記第1の粒子と、第2の粒子であって、2.0より大きいアスペクト比を有する非球状粒子である第2の粒子との混合物から選択される導電性粒子を含む。
【0026】
本発明による粒子は、粒子形状および粒径を特徴とする。粒径は、粒径分析器により測定され、粒子形状は走査電子顕微鏡により解析される。手短に言えば、粒子からの散乱レーザー光が一連の検出器により検出される。測定された散乱光強度の分布に当てはめるように理論計算が行われる。当てはめプロセス中に、粒径分布が推定され、D10、D50、D90などの値がそれに従って計算される。本発明による粒子は、10nm〜500nmのD50および1μm未満のD90を有する。
【0027】
本明細書では、用語の「アスペクト比」は、粒子幅とその高さとの間の比例関係を表す画像投影属性を意味する。粒子形状は、SEMにより観察されて、寸法が測定され、そのアスペクト比に対する平均値が得られる。
【0028】
本明細書で用いるアスペクト比は、以降で言及する測定方法に従って測定された、それぞれのフィラーの50個、好ましくは100個の粒子の平均アスペクト比を意味する
【0029】
本明細書で使用される場合、アスペクト比は、3次元対象物の異なる次元の寸法間の比、より具体的には、最短側に対する最長側の比、例えば、幅に対する長さの比に関する。ボール形状または球状粒子は、したがって、約1のアスペクト比を有し、一方、繊維、ニードルまたはフレークは、10より大きいアスペクト比を有する傾向がある。理由は、それらが、それらの長さまたは長さと幅に対応する、同等の小さい直径または厚さを有するためである。アスペクト比は、走査電子顕微鏡(SEM)測定により測定できる。ソフトウェアとして、Olympus Soft Imaging Solutions GmbH製の「Analysis pro」を使用できる。倍率は、x250〜x1000であり、アスペクト比は、画像上の少なくとも50個、好ましくは100個の粒子の幅と長さを測定することにより得られる。比較的大きくて、フレーク状のフィラーの場合には、SEM測定値は、45°の試料傾斜角を用いて取得できる。
【0030】
本発明による第1と第2の導電性粒子は、金属、金属合金、金属含有複合材料、非金属粒子およびこれらの混合物からなる群より選択され、好ましくは、銀、金、白金、銅、ニッケル、アルミニウム、亜鉛、鉄、銅−ニッケル、銀−銅、銀−ニッケル、銅−アルミニウム、銀メッキ銅、銀メッキガラス、銀メッキ黒鉛、銀メッキ繊維、黒鉛、カーボンブラック、カーボンナノチューブおよびこれらの混合物からなる群より選択され、およびより好ましくは、導電性粒子は銀粒子である。
【0031】
銀粒子が、それらの導電率と価格との間の理想的バランスのために、好ましい。
【0032】
第1の粒子
一実施形態では、本発明による導電性組成物は、1以上、かつ、2.0未満のアスペクト比を有する第1の導電性粒子を含み、アスペクト比は上述のようにして測定される。第1の粒子は、球状、ファセットまたは角錐形状を有する。第1の粒子は、球状、ファセットまたは角錐形状からただ1種の形状を含んでよい。あるいは、第1の粒子は、いずれか2種の形状の混合物または3種全ての形状の混合物とすることもできる。
【0033】
本発明による第1の粒子は、好ましくは5nm〜1μm、より好ましくは5nm〜500nm、さらにより好ましくは5nm〜200nmの平均粒径を有する。
【0034】
メタルメッシュ用途での溝の幅は通常、大きな寸法のタッチセンサでは5μm未満、小さいセンサでは2.5μm未満である。溝にうまく適合させて導電性ラインを形成するために、粒径は、本発明による組成物中で溝より小さくなるように調節される必要がある。したがって、好ましい粒径範囲は、メタルメッシュ用途に理想的である。さらに、より小さい粒径を有する銀粒子は、より大きな粒径の銀粒子と比較して黒っぽい明度を有する。特に、5nm〜200nmの粒径は、より大きな粒子より黒っぽい明度を有し、このことは、導電性メッシュパターンの反射率を下げるのに有益であり、したがって、人間の目にあまり見えない。
【0035】
本発明による組成物は、組成物の総重量の5重量%〜85重量%、好ましくは60重量%〜75重量%の第1の粒子を含む。
【0036】
組成物が、組成物の総重量の5重量%未満の第1の粒子を含む場合は、その組成物は、低導電率にという結果をもたらす場合がある。一方、組成物が、組成物の総重量の85重量%を超える第1の粒子を含む場合は、その組成物は、十分な溶媒または樹脂結合剤が存在しないために、不十分な接着力および高すぎる粘度という結果をもたらす場合がある。理想的な範囲の、組成物の総重量の60〜75重量%が、メタルメッシュ用途として理想的な導電率ならびに好適な流動学的および機械的性質を与える。
【0037】
本発明による接着剤組成物中の球状のおよび/またはファセットおよび/または角錐形粒子は、光学特性を改善し、それらは全体として反射率を低減させるという結果になる。さらに、球状のおよび/またはファセットおよび/または角錐形粒子は、溝以外の場所の残余粘着剤の除去性を改善する。
【0038】
第2の粒子
一実施形態では、本発明による導電性組成物は、第1の導電性粒子と第2の導電性粒子との混合物を含み、前記第2の粒子は、2.0より大きいアスペクト比を有する非球状粒子である。
【0039】
導電性組成物が第2の(非球状)粒子のみを含む場合、優れた導電率が実現されるであろうが、しかし、光学特性は理想的ではないであろう。理由は、組成物の反射率が極めて高いと思われるためである。
【0040】
1以上、かつ、2以下のアスペクト比を有する粒子を、2より大きいアスペクト比を有する非球状粒子と組み合わせて使用して、導電性と光学特性との間のバランスを改善し得る。非球状および球状および/またはファセットおよび/または角錐形粒子混合物の使用により、同様に、硬化済み組成物の物理的性質、特に硬化メッシュ構造体の基材への接着力を改善し得る。
【0041】
2.0より大きいアスペクト比を有する第2の粒子は、非球状粒子として定義される。本発明による非球状粒子は、例えば、フレークまたはロッド状形状を有することができる。本発明による非球状粒子は、10.0より大きいアスペクト比を有するのが好ましい。
【0042】
より大きいアスペクト比は、より低い浸透閾値をもたらし、良好な導電率を生ずる。高いアスペクト比に起因するより低い浸透閾値(これは、銀粒子間の連続的な接触を形成し、できる限り電気的な連続導通経路を形成し始める銀粒子の充填量を意味する)は、導電率の根底をなす道理である。本出願では、溝のより緻密な充填はまた、向上した導電率に寄与する。最後に、粒子間のより低い接触抵抗は、より良好な導電率を達成するための別の因子である。
【0043】
本発明による非球状粒子は、好ましくは10nm〜2μm、より好ましくは10nm〜1μmの平均粒径を有する。
【0044】
本発明によるメタルメッシュ用途で使われる溝の幅は、大きな寸法のタッチセンサでは5μm未満、小さいタッチセンサでは2.5μm未満である。溝に導電性粒子をうまく充填するために、および導電性ラインを得るために、粒径は、最適化および調節される必要がある。したがって、本発明の選択粒径範囲は、メタルメッシュ用途に理想的である。
【0045】
本発明による導電性組成物は、第1の粒子および第2の粒子の混合物を含み、第2の粒子は、組成物の総重量の10重量%〜85重量%、好ましくは30重量%〜70重量%で存在し、第1の粒子は、組成物の総重量の5〜40重量%で存在する。
【0046】
第1と第2の粒子の選択された組み合わせは、理想的な導電率を与え、同等の明度を有する。第2の粒子の量がより多いのが好ましい。組成物中の第1の粒子の量が多いほど、組成物の導電率の低下が大きくなるであろう。しかし、明度L値は、逆の傾向になる。組成物中の第1の粒子の量が多いほど、より黒っぽい明度が認められる。したがって、L<60%と同等の明度と共に、良好な導電率(VR<5E-05オーム・cm)を得るために、組成物はより多い量の第2の粒子を含むことが好ましい。
【0047】
極めて好ましい実施形態では、第2の粒子と第1の粒子との重量比は、6:1〜1:2、より好ましくは3:1〜1:1である。
【0048】
樹脂
本発明による導電性組成物は、樹脂または樹脂の混合物を含む。本発明で使用される樹脂は、組成物に使用される溶媒に良好な溶解度を有する必要がある。さらに、樹脂は、高温での硬化または焼結中に良好な溶媒放出特性を有し、比較的低温で乾燥を確実に完結する必要がある。本発明で使用される樹脂は、選択された粒子と良好な適合性を有する必要がある。樹脂はまた、良好な機械的および流動学的特性を有し、溝充填プロセスを促進する必要がある。粒子間に介在する結合材料として、樹脂は良好な導電率を有する必要がある。最後に、樹脂は、ポリエチレンテレフタレート(PET)のように基材への良好な接着力を有する必要がある。
【0049】
好ましくは、本発明による組成物に使用される樹脂は、ハロゲン化熱可塑性樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、熱可塑性ポリウレタン、ポリアクリレート、シリコーンおよびこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、樹脂は、ポリ二塩化ビニル、ポリ二塩化ビニルコポリマー、フェノキシ樹脂PKHHおよびこれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくはポリ二塩化ビニルおよびポリ二塩化ビニルコポリマーおよびこれらの混合物からなる群より選択される。
【0050】
本明細書に用いるのに好適な熱可塑性樹脂には、ビニルコポリマー、ポリエステル、ポリウレタンなどが挙げられる。特定の実施形態では、本明細書に用いるのに好適な熱可塑性樹脂には、ハロゲン化熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0051】
特定の実施形態では、本発明による組成物は、第1のモノマーおよび第2のモノマーを含むポリ二塩化ビニルコポリマーを含み、前記第1のモノマーは、酢酸ビニル、ビニルアルコール、塩化ビニル、塩化ビニリデンおよびスチレンからなる群から選択され、第2のモノマーは、第2の酢酸ビニル、第2のビニルアルコール、第2の塩化ビニル、第2の塩化ビニリデン、第2のスチレン、アクリルレートおよび窒化物からなる群より選択される。
【0052】
特定の実施形態では、第1のモノマーは塩化ビニリデンであり、第2のモノマーは塩化ビニル、アクリロニトリルまたはアルキルアクリレートである。
【0053】
特定の実施形態では、第1のモノマーは塩化ビニリデンであり、第2のモノマーは塩化ビニル(例えば、ポリ塩化ビニリデン)である。特定の実施形態では、第1のモノマーは塩化ビニリデンであり、第2のモノマーはアルキルアクリレートである。
【0054】
特定の実施形態では、本発明の組成物は、さらに、エポキシ官能化樹脂、アクリレート、シアン酸エステル、シリコーン、オキセタン、マレイミドおよびこれらの混合物からなる群より選択される1種または複数の熱硬化性樹脂を任意に含む。
【0055】
種々のエポキシ官能化樹脂、例えば、液状ビスフェノールA系エポキシ樹脂、固形ビスフェノールA系エポキシ樹脂、液状ビスフェノールF系エポキシ樹脂、フェノールノボラック樹脂系多官能エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂およびこれらの混合物が本明細書で用いるのに好適する。
【0056】
本発明での使用に好適する代表的エポキシ官能化樹脂には、脂環式アルコールのジエポキシド、水素添加ビスフェノールA、二ヘキサヒドロフタル酸無水物の官能性脂環式グリシジルエステル、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0057】
本発明に用いられる好適なアクリレートは、当該技術分野においてよく知られている。
【0058】
本発明での使用に好適な(メタ)アクリレートの例には、下記の一般的構造I:
【化1】
(式中、RはHまたはメチルであり、Xは、(a)8〜24個の範囲の炭素原子を有するアルキル基、または(b)
【化2】
(式中、RはHまたはメチルであり、R’はHまたはメチルから独立に選択され、xは2〜6の整数である)から選択される)を有する化合物が挙げられる。
【0059】
好ましくは、(メタ)アクリレートは、メタクリル酸トリデシル、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、1,12−ドデカンジオールジアクリレート、1,12−ドデカンジオールジメタクリレートおよびこれらの混合物からなる群より選択される。
【0060】
本発明に用いられる好適なシアン酸エステルは、当該技術分野においてよく知られている。
【0061】
本発明での使用に好適なシアン酸エステルモノマーは、2つ以上の環形成シアン酸(−O−C=N)基を含み、この基は、シクロトリマー化して、加熱時に置換トリアジン環を形成する。シアン酸エステルモノマーの硬化中に脱離基または揮発性副生成物が形成されないので、硬化反応は付加重合と呼ばれる。好ましくは、本発明で使用してよいポリシアン酸エステルモノマーは、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)メタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)エタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、ビス(4−シアナトフェニル)−2,2−ブタン,1,3−ビス2−(4−シアナトフェニル)プロピルベンゼン、ビス(4−シアナトフェニル)エーテル、4,4’−ジシアナトジフェニル、ビス(4−シアナト−3,5−ジメチルフェニル)メタン、トリス(4−シアナトフェニル)エタン、シアン化ノボラク、1,3−ビス4−シアナトフェニル−1−(1−メチルエチリデン)ベンゼン、シアン化フェノール−ジクロペンタジエン付加物およびこれらの混合物からなる群より選択される。本発明で用いられるポリシアン酸エステルモノマーは、適切な二価または多価フェノールとハロゲン化シアンを酸受容体の存在下で反応させることにより容易に調製し得る。
【0062】
本発明に用いられる好適なシリコーンは、当該技術分野においてよく知られている。
【0063】
本発明で使用するための好適なシリコーン系接着剤配合物は、H末端ポリシロキサン(単一または複数)とビニル末端ポリシロキサン(単一または複数)の実質的に化学量論的な混合物を含む。本明細書で使用するための代表的H末端ポリシロキサンは、H末端ポリジメチルシロキサンである。本明細書で使用するための代表的ビニル末端ポリシロキサンは、ジビニル末端ポリジメチルシロキサンである。
【0064】
本発明で使用するための好適な樹脂はまた、モノマーおよび/またはオリゴマーを含むオキセタンである。
【0065】
本発明による導電性組成物は、組成物の総重量の、1重量%〜10重量%、好ましくは1重量%〜8重量%、より好ましくは2重量%〜6重量%の樹脂を含む。
【0066】
組成物が、組成物の総重量の1重量%未満の樹脂を含む場合は、極めて不十分な接着力となる。一方、組成物が、組成物の総重量の10重量%を超える樹脂を含む場合は、その組成物は、メタルメッシュ用途にとって理想的ではない不十分な導電率をもたらす場合がある。
【0067】
好ましくは、導電性粒子と樹脂の体積比は、1.5〜3.5、好ましくは2.0〜3.0である。
【0068】
体積比は、組成物に添加された樹脂と導電性粒子の重量を基準にして計算される。粒子と樹脂の密度が既知であるとして、体積=重量/密度である。
【0069】
この体積比の範囲は、理想的であり、導電率要件(<5E-05オーム・cm)に適合する。
【0070】
溶媒
本発明による導電性組成物は、少なくとも1種の有機溶媒を含む。種々の既知の有機溶媒を本発明で使用できる。本発明で使用される溶媒は、本発明による樹脂および導電性粒子の両方と良好な適合性を有する限りにおいて、特に制限はない。好ましい溶媒は、十分な処理時間を確保するために、室温での比較的小さい蒸発速度および硬化および乾燥中の十分な結合剤収縮を確保するために、治癒温度での比較的大きい蒸発速度を有するべきである。
【0071】
本発明での使用に好適な有機溶媒は、好ましくは、ジプロピレングリコールメチルエーテル(DPM)、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール(MMB)、ブチルグリコールアセテート(BGA)、ジエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、DBE、ジメチルグルタレートとジメチルスクシネート(DBE-9)の混合物、ジメチルアジペートとジメチルグルタレート(DBE-3)の混合物、コハク酸ジメチルエステル(DBE-4)、グルタル酸ジメチルエステル(DBE-5)、ジメチルアジペート(DBE-6)、プロピレングリコールメチルアセテート(PMA)、ブチルカルビトール(BC)、ブチルカルビトールアセテート(BCA)およびこれらの混合物からなる群より選択され、より好ましくはDBE-9、DPM、PMA、BC、BGAおよびこれらの混合物からなる群より選択される。
【0072】
本発明による導電性組成物は、組成物の総重量の、10重量%〜50重量%、好ましくは15重量%〜40重量%、より好ましくは20重量%〜35重量%の少なくとも1種の有機溶媒を含む。溶媒の量は、本明細書では、溶媒および考えられる共溶媒の総合計を含むことを意味する。
【0073】
共溶媒という用語は、その他の試薬と共に組成物中に入る追加の溶媒、または、例えば、粒子分散を得るために使用される溶媒を意味する。
【0074】
溶媒および共溶媒の量が組成物中で多すぎると、有効な固形物含量率が組成物中で低下することになり、これは硬化後により薄い膜を生成し、より不十分な導電率をもたらす。他方では、十分な溶媒が組成物中に存在しないと、組成物は高すぎる粘度を生じ、この結果、製造プロセス中に作業性の問題を起こすことがある。
【0075】
添加剤
上記成分に加えて、本発明による導電性組成物は、組成物の総重量の、0.01重量%〜5重量%、好ましくは0.05重量%〜2重量%の添加剤をさらに含んでよい。
【0076】
添加剤は、流動性調整剤、導電率調整剤、顔料およびこれらの混合物からなる群から選択されてよい。
【0077】
導電率調整剤は極めて好ましい添加剤であり、本発明による組成物が第1の粒子のみを含む場合に特に好ましい添加剤である。本発明による組成物中の多量の第1の粒子は、場合によっては、組成物の導電率を低下させることがある。したがって、追加の導電率調整剤を使用して、組成物の導電率を向上させるのが好ましい。
【0078】
導電率調整剤は、導電性粒子とは異なる(第1と第2の粒子とは異なる)。本発明で使用するための好適な導電率調整剤の例は、有機二塩基酸、例えば、グルタル酸などの化合物を含む酸;リン酸2−ヒドロキシエチルメタクリレートエステルなどのホスフェート含有有機化合物;金属含有錯体および銀アセチルアセトネート、パラジウムメタクリレートなどの有機金属化合物である。
【0079】
本発明での使用に好適する顔料の例は、染料、例えば、Clariant RLSN、Clariant GLX;無機材料、例えば、カーボンブラック、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化銀;有機金属化合物、例えば、銀アセチルアセトネートおよびパラジウムメタクリレートなどの色素材料である。
【0080】
流動性調整剤は極めて好ましい添加剤であり、本発明による組成物が第1の粒子のみを含む場合に特に好ましい添加剤である。組成物中での第1の粒子の使用が組成物の接着性および/または接着力を高めるために、組成物の流動性プロファイルを低下させる。したがって、組成物の流動性の調節が望ましい。
【0081】
本発明で使用するのに好適な流動性調整剤の例は、例えば、BYK-Chemie社による、Disperbyk-111、Disperbyk-180、Disperbyk-145、およびBYK-W980である。
【0082】
好ましい一実施形態では、本発明による導電性組成物は、1以上、かつ、2.0未満のアスペクト比を有する第1の導電性粒子であって、球状粒子、ファセット粒子、角錐形粒子およびこれらの混合物から選択される第1の粒子、樹脂、および少なくとも1種の有機溶媒を含む。
【0083】
別の好ましい実施形態では、本発明による導電性組成物は、第1の粒子および第2の粒子の混合物である導電性粒子、ならびに粒子、樹脂、および少なくとも1種の有機溶媒を含み、前記第1の粒子は、1以上、かつ、2.0未満のアスペクト比を有し、前記第1の粒子は、球状粒子、ファセット粒子、角錐形粒子およびこれらの混合物から選択され、前記第2の粒子は、2.0より大きいアスペクト比を有する非球状粒子である。
【0084】
好ましい一実施形態では、本発明による導電性組成物は、1以上、かつ、2.0未満のアスペクト比を有する第1の導電性粒子であって、球状粒子、ファセット粒子、角錐形粒子およびこれらの混合物から選択される第1の粒子、樹脂、および少なくとも1種の有機溶媒ならびに少なくとも1種の導電率調整剤を含む。
【0085】
好ましい一実施形態では、本発明による導電性組成物は、1以上、かつ、2.0未満のアスペクト比を有する第1の導電性粒子であって、球状粒子、ファセット粒子、角錐形粒子およびこれらの混合物から選択される第1の粒子、樹脂、および少なくとも1種の有機溶媒ならびに少なくとも1種の流動性調整剤を含む。
【0086】
好ましい一実施形態では、本発明による導電性組成物は、1以上、かつ、2.0未満のアスペクト比を有する第1の導電性粒子であって、球状粒子、ファセット粒子、角錐形粒子およびこれらの混合物から選択される第1の粒子、樹脂、少なくとも1種の有機溶媒、少なくとも1種の導電率調整剤、および少なくとも1種の流動性調整剤を含む。
【0087】
別の好ましい実施形態では、本発明による導電性組成物は、第1の粒子および第2の粒子の混合物である導電性粒子、ならびに粒子、樹脂、少なくとも1種の有機溶媒および少なくとも1種の導電率調整剤を含み、前記第1の粒子は、1以上、かつ、2.0未満のアスペクト比を有し、前記第1の粒子は、球状粒子、ファセット粒子、角錐形粒子およびこれらの混合物から選択され、前記第2の粒子は、2.0より大きいアスペクト比を有する非球状粒子である。
【0088】
別の好ましい実施形態では、本発明による導電性組成物は、第1の粒子および第2の粒子の混合物である導電性粒子、ならびに粒子、樹脂、少なくとも1種の有機溶媒少なくとも1種の導電率調整剤および少なくとも1種の流動性調整剤を含み、前記第1の粒子は、1以上、かつ、2.0未満のアスペクト比を有し、前記第1の粒子は、球状粒子、ファセット粒子、角錐形粒子およびこれらの混合物から選択され、前記第2の粒子は、2.0より大きいアスペクト比を有する非球状粒子である。
【0089】
本発明による導電性組成物は、全ての成分を一緒に混合することにより、いくつかの方法で調製できる。
【0090】
一実施形態では、組成物は、高剪断ミキサを使って、全ての粒子、樹脂、有機溶媒(単一または複数)および任意の必要な添加剤を、組成物が均一になるまで混合することにより作製される。
【0091】
本発明による導電性組成物は、硬化および/または焼結できる。
【0092】
銀粒子を焼結するための通常の温度は、180℃超である。しかし、タッチスクリーンに使われているプラスチック基材であることに起因して、プラスチック基材材料の特性のために、焼結温度をあまり高くすることができない。したがって、低硬化温度が必要となる。本発明によるプロセスは、好適な導電性粒子を選択することにより、150℃での硬化を可能とする。組成物中に導電率調整剤が使用される場合には、温度をさらに下げることができる。本発明による標準的硬化または焼結プロファイルは、150℃で30分である。
【0093】
あるいはまたは追加して、硬化プロセスでUV照射を使用できる。
【0094】
別の態様は、本発明は、透明の導電性メッシュを調整する方法に関し、該方法は、
−0μmより大きく、かつ、5μmより小さい幅を有する溝からなるメッシュパターンを基材表面上に形成するステップと、
−溝に本発明による導電性組成物を充填するステップと、
−残余組成物を基材表面から洗浄するステップと、
−前記組成物を硬化または焼結するステップと、を含む。
【0095】
本発明にしたがって、種々の技術により基材表面上にメッシュパターンを形成できる。本明細書に用いる好適な技術は、例えば、インプリンティングプロセス、ソフトリソグラフィー法およびレーザーパターニング法である。インプリンティングプロセスは最も好ましい方法である。
【0096】
本発明で使用するための好適な基材は、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステルまたはガラスからなる群より選択され、好ましい基材はポリエチレンテレフタレートである。
【0097】
洗浄ステップでは、ワイパーと溶媒で拭き取ることにより、残余組成物が基材から除去される。充填および洗浄ステップ後に、できる限り少ない残余物が基材表面に残ることが重要である。球状および/またはファセットおよび/または角錐形粒子は、非球状/フレーク状粒子よりも好ましい。理由は、フレーク状粒子は、基材表面により強く接着する傾向があり、より取り除くのが困難であるためである。
【0098】
本発明にしたがって、150℃未満、あるいは130℃未満の温度で、前記硬化または焼結を実施するのが好ましい。
【0099】
本発明による組成物により、洗浄ステップの効率が改善され、同時に、溝以外の余剰粘着剤が除去される。
【0100】
さらなる態様では、本発明は上記方法により調製された導電性メッシュに関する。
【0101】
本発明による導電性組成物は、乾燥および硬化後、5E-5オーム・cm未満、好ましくは3E-5オーム・cm未満の体積抵抗率を有する。体積抵抗率は、Agilent 34401Aマルチメータにより標準的4線式抵抗測定法を使って測定される。試料の抵抗値が測定され、試料の寸法が測定されると、試料の体積抵抗率がそれらに基づいて計算できる。
【0102】
本発明による導電性組成物は、Datacolor650装置を使って、CIELAB色空間測定値で測定して、乾燥および硬化後、65%未満、好ましくは60%未満の反射明度値Lを有する。Lは、色の明度を表す。本発明では、試料表面からの反射明度は、可能な限り低いのが好ましい。
【0103】
本発明による導電性メッシュは、ASTM規格の試験方法D3359-97に準拠した碁盤目テープ法により測定して、少なくともレベル5Bの前記メッシュと基材との間の接着力を有する。
【0104】
本発明による導電性メッシュは、可撓性または剛性タッチパネルまたはOLEDディスプレイまたはスマートウインドウまたは透明のヒーターまたは薄膜光起電装置または色素増感光起電装置または有機光起電装置または電磁界干渉シールドまたは静電放電または薄膜スイッチでの使用に好適する。
【0105】
したがって、本発明のさらなる態様は、基材上に導電性のメッシュを含むタッチパネルディスプレイを提供し、前記メッシュは、本発明による硬化または焼結組成物を含む。
【実施例】
【0106】
実施例組成物は、高剪断ミキサを使って、粒子、樹脂、有機溶媒(単一または複数)および任意の必要な添加剤を、組成物が実質的に均一になるまで混合することにより作製される。
【0107】
全ての組成物で、樹脂PVDCコポリマー(DOW製のSaran F-310)および溶媒DBE-9(Sigma-Aldrich)が使用される。樹脂に対する銀の体積比は、2.43の一定に保持される(比較例の場合も同様に)。前試料は、150℃で30分間硬化される。体積抵抗率および表面L測定は、上述の方法により実施される。
【0108】
特に別段の規定がない場合、添加剤は、組成物の総重量に対する所与の重量%で添加される。
【0109】
特に別段の規定がない場合、実施例で使用される基材は、PET基材である。硬化メッシュ構造体のPET基材への接着力は、標準的クロスハッチ試験(上記試験方法)により試験される。
【0110】
基材表面上の残余組成物の量は、目視検査および/またはSEMで測定できる。
【0111】
実施例1
本発明による組成物1〜6
【0112】
【表1】
【0113】
組成物1は、球状銀粒子を、平均粒径約0.3μmのファセット形状粒子と一緒に含有する。その結果、硬化メッシュ構造体のLは、さらに約62%まで低下し、許容可能な体積抵抗率を有する。さらに、洗浄後、比較例2に比べて、基材中により少ない残余銀粒子しか存在しないことが明らかになっている。
【0114】
組成物2は、ファセット銀粒子(平均粒径約0.3μm)および球状銀粒子(平均粒径約100nm)の重量比6:1の混合物を含む。その結果、硬化フィルムメッシュ構造体のLは、さらに約65%まで低下し、組成物3よりわずかに小さい体積抵抗率を有する。さらに、洗浄後、比較例2に比べて、より少ない残余銀粒子しか存在しないことが明らかになっている。
【0115】
組成物3は、ファセット銀粒子(平均粒径約0.3μm)を含む球状銀粒子および球状銀粒子(平均粒径約100nm)の重量比3:1の混合物を含む。その結果、硬化メッシュ構造体のLは、さらに約62%まで低下し、それでも5E-5オーム・cm未満の体積抵抗率を有する。さらに、洗浄後、比較例2に比べて、より少ない残余銀粒子しか存在しないことが明らかになっている。
【0116】
組成物4は、上記組成物3と同様な基本成分に加えて、0.2重量%(全組成物の)の導電性促進剤(2−ヒドロキシエチルメタクリレートホスフェート)を含む。L値はほとんど変化しないが、体積抵抗率は1.27E-5から7.7E-6オーム・cmに低下することが明らかになっている。したがって、導電率が改善され、同時に、メッシュ構造体の低反射率が維持された。さらに、洗浄後、比較例2に比べて、より少ない残余銀粒子しか存在しないことが明らかになっている。
【0117】
組成物5は、上記組成物6の基本成分に加えて、0.2重量%(全組成物の)の黒色染料GLX(Clariant)を含む。L値が60.74%から58.82%に低下し、体積抵抗率が7.7E-6から1,27E-5オーム・cmに増加するが、この体積抵抗率はまだ用途の要件の範囲内であることがわかっている。さらに、洗浄後、比較例2に比べて、より少ない残余銀粒子しか存在しないことが明らかになっている。
【0118】
組成物6は、組成物5の基本成分に加えて、0.5重量%(全組成物の)のパラジウムメタクリレートを含む。L値が62%から56%に低下するが、体積抵抗率はまだ用途の要件の範囲内であることがわかっている。さらに、洗浄後、比較例2に比べて、より少ない残余銀粒子しか存在しないことが明らかになっている。
【0119】
実施例2
本発明による組成物7〜9
【0120】
【表2】
【0121】
実施例3
比較例−組成物10
結合剤樹脂ポリ塩化ビニリデン(PVDC)Saran F-310(Dow Chemicals)を、30%の固形分重量パーセントで、DBE-9溶媒に溶解する(30重量%PVDCおよび70重量%DBE-9)。その後、この溶液をマスター樹脂溶液として使用する。使用した銀粒子は、アスペクト比が30より大きい(平均粒径は約0.3μm)非球状粒子(N300(Tokusen))である。銀分散液は、90重量%の銀粒子および10重量%のDBE-9を含む。追加の溶媒(DBE-9)を添加して、最終の固形分重量パーセントおよび粘度をしかるべく調節する。樹脂に対する銀の体積比は、2.43の一定に保持される。
【0122】
【表3】
【0123】
【表4】
【0124】
硬化メッシュ構造体の導電率は十分高いが、反射率は高過ぎ、メッシュ構造体を灰白色にして、目に見えるようにする。また、メタルメッシュ構造体製造プロセス中に、基材上の残余銀粒子を注意深く除去し、洗浄する必要があることが明らかになっている。そうしないと、残余粒子が可視欠陥として見えることになり、最終の製品収率にとって好ましくない。
【0125】
実施例4
比較例−組成物11〜15
Clariantにより製造されたSavinyl RLSN黒色染料を、組成物の総重量の0.1重量%、0.5重量%、1重量%および2重量%の量で、比較例の組成物7に加える。測定したLおよび体積抵抗率を下表に示す。
【0126】
【表5】
【0127】
L値は、約65.5%に到達できるが、体積抵抗率はそれに対応して、5E-5オーム・cmを超える高すぎる値に上昇する。また、メタルメッシュ構造体製造プロセス中の残余銀粒子の洗浄における困難さに関しては変化がない。

本発明の好ましい態様は、以下を包含する。
〔1〕導電性組成物であって、
a)1以上、かつ、2.0未満のアスペクト比を有する第1の粒子であって、球状粒子、ファセット粒子、角錐形粒子およびこれらの混合物から選択される第1の粒子、または前記第1の粒子と、第2の粒子であって、2.0より大きいアスペクト比を有する非球状粒子である第2の粒子との混合物から選択される導電性粒子、
b)樹脂;および
c)少なくとも1種の有機溶媒
を含む導電性組成物。
〔2〕前記導電性粒子は、金属、金属合金、金属含有複合材料、非金属粒子およびこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは銀、金、白金、銅、ニッケル、アルミニウム、亜鉛、鉄、銅−ニッケル、銀−銅、銀−ニッケル、銅−アルミニウム、銀メッキ銅、銀メッキガラス、銀メッキ黒鉛、銀メッキ繊維、黒鉛、カーボンブラック、カーボンナノチューブおよびこれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは、前記導電性粒子は銀である、〔1〕に記載の組成物。
〔3〕前記球状またはファセットまたは角錐形粒子は、5nm〜1μm、好ましくは5nm〜500nm、より好ましくは5nm〜200nmの平均粒径を有する、〔1〕または〔2〕に記載の組成物。
〔4〕前記非球状粒子は、好ましくは10.0より大きいアスペクト比を有する、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の組成物。
〔5〕前記非球状粒子は、10nm〜2μm、好ましくは10nm〜1μmの平均粒径を有する、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の組成物。
〔6〕前記組成物は、
−該組成物の総重量の5重量%〜85重量%、好ましくは60重量%〜75重量%の第1の粒子、または
−該組成物の総重量の10重量%〜85重量%、好ましくは30重量%〜70重量%の第2の粒子、および該組成物の総重量の5重量%〜40重量%の第1の粒子
を含む、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の組成物。
〔7〕第2の粒子と第1の粒子との重量比は、6:1〜1:2、好ましくは3:1〜1:1である、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の組成物。
〔8〕前記樹脂は、好ましくはハロゲン化熱可塑性樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、熱可塑性ポリウレタン、ポリアクリレート、シリコーンおよびこれらの混合物からなる群から選択され;より好ましくはPVDCポリマー、PVDCコポリマー、フェノキシ樹脂、ポリアクリレートおよびこれらの混合物からなる群から選択され;最も好ましくはPVDCポリマーおよびPVDCコポリマーおよびこれらの混合物からなる群から選択される、〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の組成物。
〔9〕前記組成物の総重量の、1重量%〜10重量%、好ましくは1重量%〜8重量%、より好ましくは2重量%〜6重量%の樹脂を含む、〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の組成物。
〔10〕粒子と樹脂の体積比は、1.5〜3.5、好ましくは2.0〜3.0である、〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の組成物。
〔11〕少なくとも1種の有機溶媒は、好ましくは、ジプロピレングリコールメチルエーテル(DPM)、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール(MMB)、ブチルグリコールアセテート(BGA)、ジエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、DBE、DBE-9、DBE-3、DBE-4、DBE-5、DBE-6、プロピレングリコールメチルアセテート(PMA)、ブチルカルビトール(BC)、ブチルカルビトールアセテート(BCA)およびこれらの混合物からなる群から選択される、〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の組成物。
〔12〕導電性メッシュを調製する方法であって、
−0μmより大きく、かつ、5μmより小さい幅を有する溝からなるメッシュパターンを基材表面上に形成するステップと、
−該溝に〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載の組成物を充填するステップと、
−残余組成物を該基材表面から洗浄するステップと、
−該組成物を硬化または焼結するステップと
を含む、方法。
〔13〕前記硬化または焼結は、150℃未満の温度で実施される、〔12〕に記載の方法。
〔14〕〔12〕または〔13〕に記載の方法により調製された導電性メッシュ。
〔15〕基材上の導電性メッシュを含み、前記メッシュは〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載の硬化または焼結組成物を含む、タッチパネルディスプレイ。