特許第6795650号(P6795650)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6795650グラフト化超高分子量ポリエチレン微多孔膜
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6795650
(24)【登録日】2020年11月16日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】グラフト化超高分子量ポリエチレン微多孔膜
(51)【国際特許分類】
   B01D 71/26 20060101AFI20201119BHJP
   B01D 71/40 20060101ALI20201119BHJP
   B01D 71/78 20060101ALI20201119BHJP
   B01D 71/28 20060101ALI20201119BHJP
   B01D 71/82 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   B01D71/26
   B01D71/40
   B01D71/78
   B01D71/28
   B01D71/82 500
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2019-81858(P2019-81858)
(22)【出願日】2019年4月23日
(62)【分割の表示】特願2017-527217(P2017-527217)の分割
【原出願日】2015年11月19日
(65)【公開番号】特開2019-162625(P2019-162625A)
(43)【公開日】2019年9月26日
【審査請求日】2019年5月20日
(31)【優先権主張番号】62/082,573
(32)【優先日】2014年11月20日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/082,576
(32)【優先日】2014年11月20日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/082,570
(32)【優先日】2014年11月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ジェイバー, ジャド アリ
(72)【発明者】
【氏名】ジョカ, アルケタ
【審査官】 河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−519561(JP,A)
【文献】 特表2007−519522(JP,A)
【文献】 特表2011−508065(JP,A)
【文献】 特表2014−514158(JP,A)
【文献】 特表平09−512857(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
B01D 61/00 − 71/82
C02F 1/44
B29C 71/04
C08J 7/00 − 7/22
C08J 7/12 − 7/18
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラフト化非対称性孔構造多孔性超高分子量ポリエチレン膜を製造する方法であって、
a)非対称性孔構造超高分子量ポリエチレン膜を、ベンゾフェノンを含むアルコール溶液と接触させることと、
b)ポリエチレン膜を、硫酸ナトリウム及び過硫酸ナトリウムのうちの1つ又は複数を含む水性交換溶液と接触させることと、
c)前記膜を、
i)アクリル酸塩;メタクリル酸塩;アクリルアミド;メタクリルアミド;及びスルホン酸、カルボン酸、ホスホン酸、又はリン酸官能基を有するビニル型モノマーのうちの1つ又は複数から選択されるアニオン性モノマー;アクリル酸塩;メタクリル酸塩;アクリルアミド;メタクリルアミド;及び四級アンモニウム、イミダゾリウム、ホスホニウム、グアニジニウム、スルホニウム、又はピリジニウム官能基を有するビニル型モノマーのうちの1つ又は複数から選択されるカチオン性モノマー;並びにジメチルアクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド及びアクリル酸2−ヒドロキシエチルのうちの1つ又は複数から選択される中性モノマーのうちの1つ又は複数、並びに
ii)硫酸ナトリウム及び過硫酸ナトリウムのうちの1つ又は複数
を含む水性グラフト化用溶液と接触させることと、
d)前記膜を、紫外線電磁放射に曝露し、これによりグラフト化非対称性孔構造多孔性超高分子量ポリエチレン膜を得ることと
を含む、方法。
【請求項2】
中性モノマーが、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミドである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
中性モノマーが、アクリル酸2−ヒドロキシエチルである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
カチオン性モノマーが、塩化(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
カチオン性モノマーが、塩化(ビニルベンジル)トリメチルアンモニウムである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
アニオン性モノマーが、アクリルアミドプロピルスルホン酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
グラフト化用溶液が、塩化(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウム、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、及び塩化(ビニルベンジル)トリメチルアンモニウムのうちの1つ又は複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
グラフト化架橋非対称性孔構造多孔性超高分子量ポリエチレン膜を製造する方法であって、
a)非対称性孔構造超高分子量ポリエチレン膜を、ベンゾフェノンを有するアルコール溶液と接触させることと、
b)ポリエチレン膜を、硫酸ナトリウム及び過硫酸ナトリウムのうちの1つ又は複数を含む水性交換溶液と接触させることと、
c)前記膜を、
i)アクリル酸塩;メタクリル酸塩;アクリルアミド;メタクリルアミド;及びスルホン酸、カルボン酸、ホスホン酸、又はリン酸官能基を有するビニル型モノマーのうちの1つ又は複数から選択されるアニオン性モノマー;アクリル酸塩;メタクリル酸塩;アクリルアミド;メタクリルアミド;及び四級アンモニウム、イミダゾリウム、ホスホニウム、グアニジニウム、スルホニウム、又はピリジニウム官能基を有するビニル型モノマーのうちの1つ又は複数から選択されるカチオン性モノマー;並びにジメチルアクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド及びアクリル酸2−ヒドロキシエチルのうちの1つ又は複数から選択される中性モノマーのうちの1つ又は複数、
ii)硫酸ナトリウム、
iii)過硫酸ナトリウム又は過硫酸カリウム、並びに
iv)架橋剤
を含む水性グラフト化用溶液と接触させることと、
d)前記膜を紫外線電磁放射に曝露し、これによりグラフト化架橋非対称性孔構造多孔性超高分子量ポリエチレン膜を得ることと
を含む、方法。
【請求項9】
中性モノマーが、ジメチルアクリルアミドであり、カチオン性モノマーが、塩化(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
中性モノマーが、ジメチルアクリルアミドであり、アニオン性モノマーが、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸である、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2014年11月20日出願の米国仮出願第62/082570号、2014年11月20日出願の同第62/082573号、及び2014年11月20日出願の同第62/082576号の利益を主張する。上記出願の全教示は、出典明示により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
溶液からのイオンの除去は、多くの産業、例えばマイクロエレクトロニクス産業で重要であり、かかる産業では、非常に低濃度のイオン性汚染物質及び粒子が、マイクロプロセッサ及び記憶装置の性能及び製作に悪い影響を及ぼす場合がある。低レベルの金属イオン汚染物質を伴うポジ型及びネガ型フォトレジストを調製する技能、又は低ppb(part per billion)若しくはppt(part per trillion)レベルの金属イオン汚染物質を伴うウェーハ洗浄のためのマランゴニ乾燥で使用されるイソプロピルアルコールを送達する技能は、非常に望ましく、半導体製造における汚染物質制御の必要性のうちのただ2つの例である。また、塩化物イオンのようなアニオン性の又は負に帯電した不純物は、半導体加工で使用される液体中に存在する場合があり、ここでもまた、それらを液体から除去する必要性がある。また、コロイド状粒子は、コロイド化学及び溶液pHによって正にも又は負にも帯電する場合があり、プロセス液体を汚染し、除去する必要がある場合がある。
【0003】
多くの微多孔膜は、超高分子量ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン等のような化学的に不活性な低表面エネルギーポリマーから製造される。これらの膜の孔サイズは縮み続けるので、これらの膜を使用前に液体で湿潤化する技能、又は使用中に脱湿潤化を防ぐ技能は、半導体ツール停止時間を低減させることにおいて重要である。事前湿潤化用液体をフィルター膜から流す必要があるので、又は気体含有化学で使用される脱湿潤化し、かつ気体ロックしたフィルター膜を再湿潤化若しくは置換する必要があるので、ツール停止時間が起こる場合がある。膜の湿潤化を促進することができ、かつ液体からの帯電した汚染物質の除去に使用することができる、改変された表面エネルギーを有する微多孔膜について継続する要求がある。
【0004】
ポリマー支持体上への分子のグラフト化は、例えば電子ビーム処理、プラズマグラフト化、及びガンマ線照射グラフト化等の、本分野で既知のいくつかの手段により達成することができる。これらの方法の1つの欠点は、イオン化照射源が使用されることであり、これはポリマー構造の変化及び最終的な膜の分解をもたらす場合がある。例えば、ポリマーをガンマ線照射に曝露した場合、フリーラジカルが生成する。超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)等の半結晶ポリマーの場合、生成するラジカルは、酸化鎖切断に寄与する場合があることが示されており、これは優勢な分解プロセスである。照射中に形成した反応種が非晶質ポリマー領域に向かって移動し、酸素と反応して、更なる損傷を引き起こす場合があるので、分解は照射後でさえも継続する場合がある。Ageing Studies and Lifetime Extension of Materials.Mallinson編、Kluwer Academic IPlenum Publishers、2001年、p155を参照のこと。これは、ポリマー基材の強度及び貯蔵寿命に深刻な影響を及ぼす場合があるので、望ましくない。
【0005】
イオン化照射エネルギー源の別の欠点は、ポリマー基材表面上に分子をグラフト化するために長時間が必要とされ得ることである。例えば、米国特許第6379551号(Lee等)は、ガンマ線照射を6,000R/時間の適切な線量で60時間用いる、多孔性ポリエチレン支持材料上へのグラフト化のためのプロセスを説明している。
【発明の概要】
【0006】
本発明の変形には、エトキシ−ノナフルオロブタンバブルポイント試験を行ったときに約78psiから160psiのバブルポイントを有する、グラフト化非対称多孔性超高分子量ポリエチレン膜を含む。膜は、膜の1つ又は複数の表面にグラフト化された1つ又は複数の中性又はイオン交換基を有することができる。膜は、エトキシ−ノナフルオロブタンで試験したときに約78psiから約160psiのバブルポイントを有する非グラフト化非対称多孔性超高分子量ポリエチレン膜の水流量の少なくとも50%、又はいくつかの場合には約50%の水流量を有することができる。膜は、エトキシ−ノナフルオロブタンで試験したときに約78psiから約160psiのバブルポイントを有する非グラフト化非対称多孔性超高分子量ポリエチレン膜の水流量の少なくとも75%、又はいくつかの場合には約75%の水流量を有することができる。いくつかの場合、膜は、エトキシ−ノナフルオロブタンで湿潤化したときに約78psiから約160psiのバブルポイントを有する非グラフト化非対称多孔性超高分子量ポリエチレン膜の水流量の約50%の水流量を有することができる。膜は、水中で10秒間以内に湿潤化することができる。いくつかの場合、グラフト化膜は、エトキシ−ノナフルオロブタンで試験したときに、約100psiから160psi、又は約100psiから約140psi、又は約120psiから約160psi、又は約120psiから140psiのバブルポイントを有することができる。
【0007】
グラフト化ポリマー微多孔膜のいくつかの変形では、グラフト化ポリマー微多孔膜は、1つ又は複数の表面にグラフト化した中性基又はイオン交換基を有することができる。いくつかの場合、中性基又はイオン交換基は、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、塩化(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウム、及び塩化(ビニルベンジル)トリメチルアンモニウムのうちの1つ又は複数に由来する。
【0008】
いくつかの変形では、カチオン性モノマーは、アクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル塩酸塩、塩化[2−(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウム、メタクリル酸2−アミノエチル塩酸塩、メタクリル酸N−(3−アミノプロピル)塩酸塩、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル塩酸塩、塩化[3−(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウム溶液、塩化[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウム、塩化アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム、2−アミノエチルメタクリルアミド塩酸塩、N−(2−アミノエチル)メタクリルアミド塩酸塩、N−(3−アミノプロピル)−メタクリルアミド塩酸塩、塩化ジアリルジメチルアンモニウム、アリルアミン塩酸塩、ビニルイミダゾリウム塩酸塩、ビニルピリジニウム塩酸塩、及び塩化ビニルベンジルトリメチルアンモニウムのうちの1つ又は複数である。
【0009】
いくつかの変形では、アニオン性モノマーは、2−エチルアクリル酸、アクリル酸、アクリル酸2−カルボキシエチル、アクリル酸3−スルホプロピルカリウム塩、2−プロピルアクリル酸、2−(トリフルオロメチル)アクリル酸、メタクリル酸、2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸ナトリウム塩、マレイン酸モノ−2−(メタクリロイルオキシ)エチル、メタクリル酸3−スルホプロピルカリウム塩、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、3−メタクリルアミドフェニルボロン酸、ビニルスルホン酸、及びビニルホスホン酸のうちの1つ又は複数である。
【0010】
いくつかの変形では、グラフト化非対称多孔性超高分子量ポリエチレン膜は、水中で5秒間以内に湿潤化することができる。
【0011】
典型的に、本発明の変形で使用される膜ラジカル生成試薬は、I型及びII型光開始剤を含むことができる。様々な過硫酸塩、例えば過硫酸ナトリウム及び過硫酸カリウムは、使用され得るI型光開始剤の非限定的な一例である。理論に束縛されるものではないが、I型光開始剤は、照射に際して単分子結合切断を受けて、フリーラジカルを生成する。ベンゾフェノンは、使用され得るII型光開始剤の非限定的な一例である。理論に束縛されるものではないが、II型光開始剤は、励起状態の光開始剤が第2の分子(例えばUHMWPE鎖)と相互作用して、フリーラジカルを生成するような、二分子反応を受ける。
【0012】
いくつかの変形では、グラフト化非対称多孔性超高分子量ポリエチレン膜は、47ダイン/cmから69ダイン/cmの表面張力を有する。他の変形では、グラフト化非対称多孔性超高分子量ポリエチレン膜は、47ダイン/cmから59ダイン/cmの表面張力を有する。また他の変形では、グラフト化非対称多孔性超高分子量ポリエチレン膜は、70ダイン/cmから72ダイン/cmの表面張力を有する。いくつかの変形では、グラフト化非対称多孔性超高分子量ポリエチレン膜は、エトキシ−ノナフルオロブタンバブルポイント試験により決定したときに約78psiから約160psiのバブルポイントを有する非グラフト化非対称多孔性超高分子量ポリエチレン膜の表面張力より約60%から75%高い表面張力を有する。
【0013】
いくつかの変形では、グラフト化非対称多孔性超高分子量ポリエチレン膜は、約3μg/cmから40μg/cm、又は約7μg/cmから15μg/cmの染料結合能を有する。
【0014】
エトキシ−ノナフルオロブタンバブルポイント試験で決定したときに約78psiから160psiのバブルポイントを有するグラフト化非対称多孔性超高分子量ポリエチレン膜が、本明細書で説明される。グラフト化膜は、膜の1つ又は複数の表面にグラフト化された1つ又は複数の中性基又はイオン交換基を有することができる。膜は、エトキシ−ノナフルオロブタンバブルポイント試験で決定したときに約78psiから約160psiのバブルポイントを有する非グラフト化非対称多孔性超高分子量ポリエチレン膜の水流量の少なくとも50%の水流量を有することができる。グラフト化膜は、水中で10秒間以内に湿潤化し、約47ダイン/cmから約69ダイン/cmの表面張力を有することができる。いくつかの場合、グラフト化膜は、47ダイン/cmから59ダイン/cmの表面張力を有することができる。グラフト化膜は、約3μg/cmから40μg/cm、又は約7μg/cmから15μg/cmの染料結合能を有することができる。
【0015】
エトキシ−ノナフルオロブタンバブルポイント試験で決定したときに約78psiから160psiのバブルポイントを有するグラフト化架橋非対称多孔性超高分子量ポリエチレン膜が、本明細書で説明される。膜は、膜の1つ又は複数の表面にグラフト化された1つ又は複数の中性基又はイオン交換基を有することができ、上記1つ又は複数の中性基又はイオン交換基は、N,N’−メチレンビスアクリルアミド等の架橋剤で架橋される。グラフト化膜は、エトキシ−ノナフルオロブタンバブルポイント試験で決定したときに約78psiから約160psiのバブルポイントを有する非グラフト化非対称多孔性超高分子量ポリエチレン膜の水流量の少なくとも50%の水流量を有することができる。膜は、水中で10秒間以内に湿潤化することができる。膜は、70ダイン/cmから72ダイン/cmの表面張力を有することができる。
【0016】
グラフト化非対称多孔性超高分子量ポリエチレン膜を製造する方法が、本明細書で説明される。非対称超高分子量ポリエチレン膜を、II型光開始剤を含むアルコール溶液と接触させる。その後、膜を硫酸ナトリウム及び過硫酸ナトリウムのうちの1つ又は複数を含む水性交換溶液と接触させる。その後、膜をアニオン性モノマー、カチオン性モノマー、及び中性モノマーのうちの1つ又は複数と、硫酸ナトリウム及びI型光開始剤、例えば過硫酸ナトリウムのうちの1つ又は複数とを含む水性グラフト化用溶液と接触させる。次に、膜を、紫外線電磁放射に曝露し、これによりグラフト化非対称多孔性超高分子量ポリエチレン膜を得る。
【0017】
いくつかの場合、中性モノマーは、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミドである。いくつかの変形では、中性モノマーは、アクリル酸2−ヒドロキシエチルである。いくつかの変形では、カチオン性モノマーは、塩化(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムである。いくつかの変形では、カチオン性モノマーは、塩化(ビニルベンジル)トリメチルアンモニウムである。いくつかの変形では、アニオン性モノマーは、アクリルアミドプロピルスルホン酸である。
【0018】
いくつかの変形では、カチオン性モノマーは、アクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル塩酸塩、塩化[2−(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウム、メタクリル酸2−アミノエチル塩酸塩、メタクリル酸N−(3−アミノプロピル)塩酸塩、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル塩酸塩、塩化[3−(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウム溶液、塩化[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウム、塩化アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム、2−アミノエチルメタクリルアミド塩酸塩、N−(2−アミノエチル)メタクリルアミド塩酸塩、N−(3−アミノプロピル)−メタクリルアミド塩酸塩、塩化ジアリルジメチルアンモニウム、アリルアミン塩酸塩、ビニルイミダゾリウム塩酸塩、ビニルピリジニウム塩酸塩、及び塩化ビニルベンジルトリメチルアンモニウムからなる群から選択される。
【0019】
いくつかの変形では、アニオン性モノマーは、2−エチルアクリル酸、アクリル酸、アクリル酸2−カルボキシエチル、アクリル酸3−スルホプロピルカリウム塩、2−プロピルアクリル酸、2−(トリフルオロメチル)アクリル酸、メタクリル酸、2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸ナトリウム塩、マレイン酸モノ−2−(メタクリロイルオキシ)エチル、メタクリル酸3−スルホプロピルカリウム塩、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、3−メタクリルアミドフェニルボロン酸、ビニルスルホン酸、及びビニルホスホン酸からなる群から選択される。
【0020】
モノマーの各々は、好適な塩形態で提供することができる。一例として、モノマービニルスルホン酸は、ビニルスルホン酸ナトリウム塩として提供することができる。
【0021】
いくつかの変形では、水性グラフト化用溶液は、架橋剤、例えばN,N’−メチレンビスアクリルアミドを更に含む。
【0022】
いくつかの変形では、グラフト化用溶液は、塩化(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウム、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、及び塩化(ビニルベンジル)トリメチルアンモニウムのうちの1つ又は複数を含むことができる。いくつかの変形では、グラフト化用溶液は、ベンゾフェノンを含む。いくつかの変形では、水溶液は、硫酸ナトリウム及び過硫酸ナトリウムのうちの1つ又は複数を含む。
【0023】
いくつかの変形では、グラフト化非対称多孔性超高分子量ポリエチレン膜は、約78psiから約160psiのバブルポイントを有する。
【0024】
グラフト化架橋非対称多孔性超高分子量ポリエチレン膜を製造する方法が、本明細書で説明される。上記方法は、非対称超高分子量ポリエチレン膜を、ベンゾフェノンを含むアルコール溶液と接触させることと、ポリエチレン膜を水性交換溶液と接触させることと、膜を水性グラフト化用溶液と接触させることと、膜を紫外線電磁放射に曝露することとを含み、これによりグラフト化架橋非対称多孔性超高分子量ポリエチレン膜を得る。水性グラフト化用溶液は、アニオン性モノマー、カチオン性モノマー、及び中性モノマーのうちの1つ又は複数;硫酸ナトリウム、過硫酸ナトリウム、又は過硫酸カリウム;並びに架橋剤を含む。グラフト化架橋膜は、約70ダイン/cmから約72ダイン/cm、又は約47ダイン/cmから約69ダイン/cm、又は約47ダイン/cmから約59ダイン/cmの表面張力を有することができる。架橋剤は、N,N’−メチレンビスアクリルアミドであってもよい。中性モノマーは、ジメチルアクリルアミドであってもよく、カチオン性モノマーは、塩化(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムであってもよい。中性モノマーは、ジメチルアクリルアミドであってもよく、アニオン性モノマーは、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸であってもよい。
【0025】
また、液体から不純物を除去する方法が、本明細書で説明される。上記方法は、液体を、本明細書で説明するようにグラフト化した膜と接触させることを含む。不純物は、正に帯電した粒子、例えば正に帯電した金、又は正に帯電したイオン、例えばメチレンブルーであってもよい。不純物は、負に帯電した粒子、例えば負に帯電した金、又は負に帯電したイオン、例えばポンソ−sであってもよい。
【0026】
本発明は、部分的には、紫外線照射エネルギー源を用いて、非対称多孔性超高分子量ポリエチレン膜の表面上に分子をグラフト化することができるという発見に基づいている。特に、超高分子量ポリエチレン膜は、緊密な孔サイズ、及びしたがって、HFE7200(エトキシ−ノナフルオロブタン)バブルポイント試験で決定したときに高いバブルポイントを有する。典型的に、膜は、グラフト化されていても、グラフト化されていなくても、HFE7200(エトキシ−ノナフルオロブタン)バブルポイント試験で決定したときに約78psiから約160psiのバブルポイントを有する。他の方法、例えば電子ビーム処理、プラズマグラフト化、及びガンマ線照射グラフト化は、グラフト化膜が非グラフト化膜の強度を保持しないほど膜構造を分解させることがあるので、かかるバブルポイントを有する膜は、それらの方法により改変することが困難である。対照的に、本明細書で説明するグラフト化膜は、グラフト化手順の完了に際して実質的な強度を保持する。加えて、グラフト化は、膜のバブルポイントに最小限の影響しか有しない。
【0027】
膜上にグラフト化されたモノマーが帯電している場合、グラフト化膜の表面は、膜の1つ又は複数の表面にグラフト化したイオン交換基を有する。これらのイオン交換基は、帯電した粒子の濾過性能を改善する。イオン交換基は膜表面に化学結合しているので、電荷は表面に安定的にかけられ、これは化学改変なしで膜の静電荷を変える方法に対する改善である。加えて、電荷は、過酸化水素及び他の化学溶液中で安定である。
【0028】
本明細書で説明する方法によりグラフト化した膜は典型的に、非対称であり、このことは膜孔を塞ぐことなく膜の改変を可能にする。匹敵する孔サイズを有する対称性孔構造を有する膜を改変すると、より膜孔が塞がりやすく、結果として流量の低減をもたらしやすい。
【0029】
グラフト化される分子は、イオン交換基を含む有機部分と中性基を含む有機部分との組合せであってもよい。帯電部分及び中性部分は、膜表面上に吸着したII型光開始剤とグラフト化用溶液中のI型光開始剤との組合せを利用して多孔性膜にグラフト化させることができる。膜表面上に吸着したII型光開始剤及びグラフト化用溶液中に存在するI型光開始剤の使用は、優れた水流量を有する小孔サイズの多孔性ポリマー親水性膜をもたらすことが発見された。また、グラフト化膜は、液体からイオン及び帯電した粒子を除去するために使用することができる。
【0030】
また、本明細書で説明する方法は、他の方法より迅速に、グラフト化膜を創出することができる。いくつかの場合、グラフト化は、15フィート/分以下、より好ましくは9フィート/分以下のライン速度で達成することができる。いくつかの場合、グラフト化は、最大9フィート/分、又はいくつかの場合、最大15フィート/分のライン速度で達成することができる。対照的に、米国特許第6379551号(Lee等)は、ガンマ線照射を6,000R/時間の適切な線量で60時間用いて多孔性ポリエチレン支持材料上でグラフト化するためのプロセスを説明している。対照的に、本出願で説明する方法は、同様の量の膜を約1時間でグラフト化するために使用することができる。
【0031】
いくつかの場合、中性モノマーN−(ヒドロキシメチル)アクリルアミドを、水性グラフト化用溶液中の架橋剤、例えばN,N−メチレンビスアクリルアミドで置き換えて、親水性グラフト化膜を得ることができる。親水性を改善することは、いくつかの用途に望ましいが、他の用途には、より疎水性の膜が好適である。
【0032】
上記は、添付の図面で例示される、以下の本発明の例の実施態様のより具体的な説明から明らかであり、図面では、同様の参照符号は、様々な図面全てを通して同じ部分を指す。図面は、必ずしも同縮尺ではなく、代わりに本発明の実施態様を例示することに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】グラフト化量(バー)、水流量(菱形)、及びDI水中で湿潤化するまでの時間(四角)を示すグラフである。湿潤化時間は、膜がDI水中に浸漬後に透明になるのにかかる時間である。より速い湿潤化時間は、より親水性の膜を示す。
図2】グラフト化量(バー)、水流量(菱形)、及びDI水中で湿潤化するまでの時間(四角)を示すグラフである。湿潤化時間は、膜がDI水中に浸漬後に透明になるのにかかる時間である。より速い湿潤化時間は、より親水性の膜を示す。
図3】グラフト化量(バー)、水流量(菱形)、及びDI水中で湿潤化するまでの時間(四角)を示すグラフである。湿潤化時間は、膜がDI水中に浸漬後に透明になるのにかかる時間である。より速い湿潤化時間は、より親水性の膜を示す。
図4】グラフト化量(バー)、水流量(菱形)、及びDI水中で湿潤化するまでの時間(四角)を示すグラフである。膜上、及びグラフト化用溶液中両方のフリーラジカル発生剤の存在は、優れた水流量を有する親水性膜をもたらした。
図5】既知の濃度の4つの染料溶液の吸光度を、512nmの波長で作動するCary分光光度計を用いて決定し、較正曲線を得るために使用したことを示すグラフである。中性及びカチオン性モノマーを共グラフト化することにより改変した膜を浸漬する前後の染料溶液の吸光度を変換するために、上記曲線の傾きを使用した。
図6】グラフト化量(バー)、水流量(菱形)、及びDI水中で湿潤化するまでの時間(四角)を示すグラフである。より多くのモノマーが表面上にグラフト化すると、孔の内側の水流に対する抵抗性も増大する。
図7A】グラフト化量(バー)、水流量(菱形)、及びDI水中で湿潤化するまでの時間(四角)を示すグラフである。
図7B】グラフト化量(バー)、水流量(菱形)、及びDI水中で湿潤化するまでの時間(四角)を示すグラフである。
図8】グラフト化量(バー)、水流量(菱形)、及びDI水中で湿潤化するまでの時間(四角)を示すグラフである。
図9】606nmの波長で作動するCary分光光度計を用いて決定し、グラフト化膜の染料結合能を決定するために使用した、既知の濃度の3つのメチレンブルー染料溶液の吸光度を示す較正曲線である。
図10A-C】非グラフト化非対称UHMWPE膜のSEM画像である。図10Aは、10,000倍率の緊密側(例えばより小さい孔を有する)である。図10Bは、10,000倍率の開放側(例えばより大きい孔を有する)である。図10Cは、4,000倍率の断面図であり、上部が開放側、及び下部が緊密側である。
図11】メタノール−水湿潤化可能性に基づく表面エネルギー(ダイン/cm)を決定するための較正曲線である。
図12】非グラフト化膜と比較したグラフト化膜の引張歪み及び破壊データにおける減少百分率を示す。
図13】非グラフト化膜及びグラフト化膜のATR−FTIRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の例の実施態様の説明を続ける。
【0035】
膜へのモノマーグラフト化
グラフト化は、モノマー又は他の分子等の部分を、多孔性膜の、内部孔表面を含むポリマー多孔性膜表面に化学的に結合することを指す。本明細書で説明する方法は、非対称多孔性超高分子量ポリエチレン膜の1つ又は複数の表面にモノマーをグラフト化することに関する。
【0036】
モノマーをUHMWPE膜にグラフト化するために、膜を典型的に、アルコール、例えばイソプロピルアルコール(IPA)で湿潤化し、このアルコールは、II型光開始剤、例えばベンゾフェノンを含んでもよい。任意選択的に、膜を、水性交換溶液中に入れ、この水性交換溶液は、カオトロピック塩又は硫酸塩及びI型光開始剤、例えば過硫酸塩(例えば過硫酸ナトリウム)を含んでもよい。典型的に、硫酸塩の濃度は0.5M以下であってもよく、過硫酸塩の濃度は0.5M以下であってもよい。水性交換溶液ですすいで、膜からIPAを除去する。次に、膜をグラフト化用溶液(以下の実施例で重量%で詳述される)中に浸漬する。典型的に、グラフト化用溶液は、グラフト化可能モノマー、硫酸塩、及び過硫酸塩を含有する。過剰のグラフト化用溶液は、ローラー(又は同様の処理)を用いて膜を圧搾することにより、多孔性膜から除去することができる。その後、含浸した膜を典型的にスペクトルの紫外部内で、電磁放射、又は他の好適なエネルギー源に曝露して、内部孔表面を含む多孔性ポリマー膜表面上に上記部分をグラフト化する。
【0037】
中性モノマーとは、膜にグラフト化することができるイオン化可能基又はイオン交換基を有しないモノマーを指す。例として、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド及びアクリル酸2−ヒドロキシエチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
帯電部分とは、膜にグラフト化することができるイオン交換基を有するモノマー及び他の分子を指す。イオン交換基の例として、カルボン酸、スルホン酸、及びハロゲン化アンモニウム基が挙げられる。例として、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、塩化ビニルベンジルトリメチルアンモニウム、ビニルスルホン酸(塩を含む)、アクリル酸、及びスチレンスルホン酸が挙げられる。一般的に、帯電モノマーは、カチオン性又はアニオン性であってよい。
【0039】
好適なカチオン性モノマーは、アクリル酸塩;メタクリル酸塩;アクリルアミド;メタクリルアミド;及び四級アンモニウム、イミダゾリウム、ホスホニウム、グアニジニウム、スルホニウム、又はピリジニウム官能基を有するビニル型を含む。好適なアクリル酸塩モノマーの例として、アクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル塩酸塩及び塩化[2−(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムが挙げられる。好適なメタクリル酸塩モノマーの例として、メタクリル酸2−アミノエチル塩酸塩、メタクリル酸N−(3−アミノプロピル)塩酸塩、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル塩酸塩、塩化[3−(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウム溶液、及び塩化[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムが挙げられる。好適なアクリルアミドモノマーの例として、塩化アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムが挙げられる。好適なメタクリルアミドモノマーの例として、2−アミノエチルメタクリルアミド塩酸塩、N−(2−アミノエチル)メタクリルアミド塩酸塩、及びN−(3−アミノプロピル)−メタクリルアミド塩酸塩が挙げられる。他の好適なモノマーは、塩化ジアリルジメチルアンモニウム、アリルアミン塩酸塩、ビニルイミダゾリウム塩酸塩、ビニルピリジニウム塩酸塩、及び塩化ビニルベンジルトリメチルアンモニウムを含む。
【0040】
好適なアニオン性モノマーとして、アクリル酸塩;メタクリル酸塩;アクリルアミド;メタクリルアミド;及びスルホン酸、カルボン酸、ホスホン酸、又はリン酸官能基を有するビニル型が挙げられる。好適なアクリル酸塩モノマーの例として、2−エチルアクリル酸、アクリル酸、アクリル酸2−カルボキシエチル、アクリル酸3−スルホプロピルカリウム塩、2−プロピルアクリル酸、及び2−(トリフルオロメチル)アクリル酸が挙げられる。好適なメタクリル酸塩モノマーの例として、メタクリル酸、2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸ナトリウム塩、マレイン酸モノ−2−(メタクリロイルオキシ)エチル、及びメタクリル酸3−スルホプロピルカリウム塩が挙げられる。好適なアクリルアミドモノマーの例は、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸である。好適なメタクリルアミドモノマーの例は、3−メタクリルアミドフェニルボロン酸である。他の好適なモノマーは、ビニルスルホン酸(又はビニルスルホン酸ナトリウム塩)及びビニルホスホン酸(及びその塩)を含む。
【0041】
他の好適なモノマーは、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド(HMAD)、塩化(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウム(APTAC)、及び塩化(ビニルベンジル)トリメチルアンモニウム(VBTAC)であり、これらの構造を以下に例示する。
【0042】
グラフト化膜の特性は概して、グラフト化帯電基対グラフト化中性基の比に依存する。
【0043】
グラフト化される膜は典型的に、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)膜である。一般的に、UHMWPE膜は、約2,000,000ダルトンから約8,000,000ダルトンの分子量を有する樹脂から形成される。
【0044】
典型的に、グラフト化される膜は、非対称である。非対称膜の一例では、膜の1つの面及び領域上の孔サイズは、対向する面及び領域上の孔サイズより大きい。別の例では、膜の対向する面(及び領域)上の孔サイズがより大きい一方で、膜の中心領域が面の何れかより小さい孔サイズを有する(例えば砂時計)非対称構造が存在する場合がある。他の変形では、微多孔膜は、その厚さにわたり本質的に対称的な孔構造(膜の厚さにわたり実質的に同じ孔サイズ)を有することができる。
【0045】
本発明の変形のグラフト化UHMWPE膜は、平面シート膜、不織基材、中空繊維膜、又は膜に形成されるか、若しくは多孔性支持若しくは多孔性膜の上部上に形成されるナノ繊維を含むことができる。流体入口及び出口のための好適なエンドキャップを有する筐体又はカートリッジであって、支持のために必要に応じてコア及びケージを伴い、フィルターカートリッジ又はデバイスに形成される、筐体又はカートリッジに、膜を入れてもよい。また、織物、網等のような膜支持材料を使用してもよく、膜と共にひだを付けてもよい。膜は、ひだを付けるか、又は円盤若しくは中空繊維として使用することができる。グラフト化はベース膜の表面エネルギーを変え、改変されたグラフト化膜は、例えばIPAを用いることにより、事前に湿潤化することなく、水酸化テトラメチルアンモニウムのような水性流体中で使用することができる点で、グラフト化膜は有利である。これらのグラフト化膜は、過酸化水素を含有する液体のような気体含有液体中での脱湿潤化に抵抗する。本発明の変形の膜は、貯留物をふるいにかけることにより、粒子を除去することに加えて、膜を通過する液体から正に帯電した又は負に帯電した不純物を除去するために使用することができる。本発明のいくつかの変形では、グラフト化膜は、粒子及びイオンを含む帯電した不純物を、有機液体又は有機液体を含有する溶液から除去するために使用することができる。
【0046】
本発明の変形のUHMWPE膜は、帯電部分又は中性部分でグラフト化される、孔を含む表面を有する膜を含む。帯電部分又は中性部分は、スチレン、ビニル、アクリル酸塩、メタクリル酸塩、アクリルアミド、及びメタクリルアミド官能基を有することができる。前駆体部分は、アンモニウム基等の塩基性イオン交換基、ヒドロキシル又はエーテル結合のような中性官能基、スルホン酸又はカルボン酸基のような酸性イオン交換基を独立して含有することができる。グラフト化基は、基礎多孔性膜上の電荷及び表面エネルギーを増大させ、これにより基礎多孔性ポリマー膜の親水性及び未ふるい貯留特性を変える。
【0047】
グラフト化法は典型的に、I型及びII型光開始剤の組合せを利用する。湿潤化用溶液は典型的に、II型光開始剤、例えばベンゾフェノンを含有する。光開始剤は、短時間の浸漬(例えば10−50秒間)中に、イソプロピルアルコール(IPA)等の有機溶液から、孔表面を含む膜表面上に堆積することができる。続いて多孔性膜を水性交換溶液ですすいで、有機溶媒(例えばIPA)を除去し、一方で、多孔性膜表面上に吸着した光開始剤の少なくともいくらか、及びいくつかの場合には実質的に全てを残すことができる。有機溶媒は、塩、例えば塩化ナトリウム、硝酸塩、硫酸塩、及び過硫酸塩を含有する水性交換溶液で、多孔性膜表面から除去することができる。すすいだ膜を続いて、モノマー(中性であってもよく、又はアニオン性若しくはカチオン性イオン交換基を含んでもよい)等のグラフト化可能部分、硫酸塩、及び過硫酸塩を含有する水性グラフト化用溶液中に浸漬してもよい(1−5分間)。過硫酸塩は、ベンゾフェノン光開始剤とは異なるラジカル開始剤であり、主にグラフト化用溶液中に存在する。グラフト化用溶液中に浸漬後、ローラー(又は同様の処理)を用いて圧搾することにより、過剰のグラフト化用溶液を膜から除去し、この部分含浸膜を紫外光又は他の好適なエネルギー源に曝露して、UHMWPE膜上に部分の組合せをグラフト化する。このようにして準備したグラフト化UHMWPE膜は、非グラフト化UHMWPE膜と比較して親水性であり、吸着した光開始剤と交換及びグラフト化用溶液中の異なるラジカル開始剤との組合せを有しないグラフト化多孔性膜より大きな流量を有する。UV処理後のグラフト化膜は、メタノール及び水で抽出して、膜を洗浄してもよい。
【0048】
塩基性及び酸性イオン交換基並びに中性基を含有する、様々なビニル、アクリル酸塩、及びアクリルアミド部分を、非常に小さい孔サイズを有する多孔性膜上にグラフト化して、親水性膜を生成することができることが発見された。
【0049】
多孔度測定バブルポイント
多孔度測定バブルポイント試験法は、空気を押して膜の湿潤孔を通過させるのに必要な圧力を測定する。バブルポイント試験は、膜の孔サイズを決定するための周知の方法である。
【0050】
膜表面張力
表面張力は、単位長さ当たりの力を表し、典型的に1cmの長さのフィルムを壊すのに必要な力(ダインで)として記載される(例えばダイン/cm)。膜について、より高い表面張力は、膜がより親水性である(又はより疎水性でない)ことを意味し、より低い表面張力は、膜がより親水性でない(又はより疎水性である)ことを意味する。本明細書で説明する非グラフト化膜は典型的に、約31ダイン/cmの表面張力を有する。本明細書で報告する全ての表面張力値は、別に示されない限り、室温で決定する。グラフト化膜は典型的に、非グラフト化膜より高い表面張力を有する。いくつかの場合、表面張力は、約47ダインから69ダイン/cmである。他の場合、表面張力は、約47ダイン/cmから59ダイン/cmである。他の場合、特にモノマーが架橋されている場合、表面張力は、70ダイン/cmから72ダイン/cmであることができる。一般的に、グラフト化膜の表面張力は、グラフト化用溶液中のモノマー濃度を増大させることにより増大することができる。
【実施例】
【0051】
一般実験
使用するII型光開始剤は、ベンゾフェノン(BP)である。イソプロピルアルコール中0.4重量%から3重量%のベンゾフェノン(BP)溶液を使用して、短時間の浸漬中にイソプロピルアルコール(IPA)溶液から膜表面上に(BP)を堆積させた。続いて、IPA/BP処理膜を、0.5M以下の濃度の硫酸塩及び0.5M以下の濃度の過硫酸塩を含有する水溶液ですすいだ。この溶液でのすすぎは、膜からIPAを除去するために使用した。続いて、このすすいだ膜を、水性グラフト化用溶液(以下の実施例中で重量%で詳述される)中に浸漬した。グラフト化用溶液は、イオン交換基を有するグラフト化可能部分及び中性基を有するグラフト化可能部分、並びに硫酸塩及び過硫酸塩を含有した。過剰のグラフト化用溶液を、ローラー(又は同様の処理)を用いて膜を圧搾することにより、多孔性膜から除去し、この含浸した膜を、紫外光又は他の好適なエネルギー源に曝露して、内部孔表面を含む多孔性ポリマー膜表面上に上記部分をグラフト化した。
【0052】
表面改変済み膜を50℃のオーブン内で10分間乾燥させた後、DI水中に改変済み膜の47mm膜ディスクを浸漬し、その後、ディスクが、親水性の標示である均一に透明になるのにかかる時間を記録することにより、湿潤化を決定した。
【0053】
膜を47mmディスクに切断し、水(又はIPA)で湿潤化し、その後、ある体積の水(又はIPA)を保持するためのリザーバーを有するフィルターホルダー中に上記ディスクを入れることにより、水(又はIPA)流量を決定した。リザーバーは、圧力調節器に接続する。水(又はIPA)を流して14.2psi(ポンド毎平方インチ)の差圧下で膜を通過させた。平衡に達した後、10mlの水(又はIPA)が膜を通過する時間を記録した。改変後、より親水性である(例えば少なくとも約70ダイン/cmの表面張力を有する)膜について、水流量を決定した。改変後、より親水性でない(例えば約70ダイン/cm未満の表面張力を有する)膜について、IPA流量を決定した。
【0054】
実施例1
この実施例は、ベンゾフェノン溶液(例えば湿潤化用溶液)の調製を示す。
【0055】
0.16g、0.4g、及び1.2gのベンゾフェノン(99%、Sigma−Aldrich)を、40mlのイソプロピルアルコールに溶解させて、それぞれ、0.4重量%、1重量%、及び3重量%のベンゾフェノン溶液を得た。加えて、40mlのIPAに0.2gのベンゾフェノンを溶解させることにより、0.5重量%溶液を調製した。
【0056】
実施例2
この実施例は、水性交換溶液の調製を示す。
【0057】
1.42gの硫酸ナトリウム(Sigma)及び0.4gの過硫酸ナトリウム(Sigma)を、室温で10分間の連続混合で40mlの脱イオン(DI)水に溶解させた。
【0058】
実施例3
この実施例は、中性モノマー、カチオン性モノマー、及びラジカル開始剤を含有するグラフト化用水性溶液の調製を示す。
【0059】
代表的な実験では、1.25gのヒドロキシメチルアクリルアミド(HMAD、水中48%、Sigma)及び0.1gの塩化ビニルベンジルトリメチルアンモニウムモノマー(VBTAC、Sigma)、0.71gの硫酸ナトリウム、0.2gの過硫酸ナトリウム、並びに17.74gの水を含有する溶液を作製した。室温で10分間の連続混合後、完全に溶解した。
【0060】
実施例4
この実施例は、水で湿潤化可能であり、約72ダイン/cmの表面張力を有するグラフト化膜を製造することを説明する。
【0061】
代表的な実験では、115psiのバブルポイントの超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)膜の47mmディスクを、実施例1で説明した0.5重量%の湿潤化用溶液で25秒間湿潤化した。実施例2で説明したような40gの水中の1.42gの硫酸ナトリウム及び0.4gの過硫酸ナトリウム塩の交換溶液を使用して、膜をすすぎ、IPAを除去した。
【0062】
0.6gのアクリル酸ヒドロキシエチルモノマー(96%、Sigma);0、0.58g、又は1.17gの塩化ナトリウム;0.2gの過硫酸ナトリウム;及び18gの脱イオン水を含有するグラフト化用溶液を作製した。
【0063】
処理ステップ:反応物の完全な溶解後、溶液を皿に入れ、ベンゾフェノンで湿潤化した膜(実施例1のようにIPA/BP溶液で初期処理し、かつ続いて実施例2のように交換溶液ですすいだ後)をグラフト化用溶液に導入した。皿を覆い、膜をグラフト化用溶液中に2分間浸漬した。膜ディスクを取り出し、1ミルのポリエチレンシートの間に入れた。ポリエチレン/膜ディスク/ポリエチレンサンドイッチを卓上に平らに置き、この上でゴムローラーを転がすことにより、過剰な溶液を除去した。次いで、ポリエチレンサンドイッチを輸送ユニットにテープでくくり、この輸送ユニットは、アセンブリを運搬して、200から600nmの波長で放射するFusion SystemsブロードバンドUV曝露ラボユニットを通過させた。曝露時間は、アセンブリがどのくらい速くUVユニットを通過するかにより制御する。この実施例では、アセンブリはUVチャンバーを5フィート/分で通過した。UVユニットから出た後、膜をサンドイッチから取り出し、即座にDI水に入れ、ここで5分間旋回させることにより洗浄した。次に、処理済み膜試料をメタノール中で5分間洗浄した。この洗浄手順後、膜を、50℃で10分間作動するオーブン内でホルダー上にて乾燥させた。
【0064】
前に一般実験の節で説明したように、膜の水流量及び親水性、並びにグラフト化レベルを決定した。グラフト化前に、膜は約7.5ml/分の流量を有した。グラフト化後、膜は水で湿潤化可能であり、約5ml/分から10ml/分の水流量及び約0.42のグラフト化量を有した。湿潤化時間は、約45秒間から5秒間未満に及んだ。より速い湿潤化時間は、より親水性の膜を示す。
【0065】
図1で示されるように、膜を水で湿潤化した。いくつかの膜は、より速く湿潤化し、透明な表面を達成するのにあまり時間を要しなかった。ある場合には、膜は10秒間未満で湿潤化し、透明になった。
【0066】
実施例5
この実施例は、水湿潤化可能であり、約72ダイン/cmの表面張力を有するグラフト化膜を製造すること、及び上記グラフト化膜の通過時間を説明する。
【0067】
代表的な115psiのバブルポイントのUHMWPE膜ディスクを、実施例1で説明した0.5重量%のベンゾフェノン溶液で25秒間湿潤化した。実施例2で説明したような40gの水中の1.42gの硫酸ナトリウム及び0.4gの過硫酸ナトリウム塩の交換溶液を使用して、膜をすすぎ、IPAを除去した。
【0068】
0.6gのアクリル酸ヒドロキシエチルモノマー(96%、Sigma);0.58gの塩化ナトリウム若しくは0.85gの硝酸ナトリウム(99%試薬プラス、Sigma)又は1.42gの硫酸ナトリウム(99%粉末、Sigma)の何れかを含有するグラフト化用溶液を作製し、添加する水の量を調節して、20gの総量を維持した。グラフト化用溶液中の塩濃度は、塩の種類にかかわらず0.5Mであった。次いで、膜を実施例4の処理ステップに供した。
【0069】
前に一般実験の節で説明したように、膜の水流量及び親水性並びにグラフト化レベルを決定した。グラフト化膜の例は、3秒間から30秒間の範囲の時間で湿潤化した。5秒間未満での湿潤化は、製造環境でフィルターを使用するために有利である(ツール停止時間を減少させる)。膜の流量は、一般実験の節で説明した試験条件下で約5ml/分であった。
【0070】
実施例6
この実施例は、約72ダイン/cmの表面張力を有するグラフト化多孔性ポリマー膜の準備を説明し、またそれらの通過特性を特徴付ける。
【0071】
代表的な115psiのバブルポイントのUHMWPE膜ディスクを、実施例1で説明した0.5重量%のベンゾフェノン溶液で25秒間湿潤化した。実施例2で説明したような40gの水中の1.42gの硫酸ナトリウム及び0.4gの過硫酸ナトリウム塩の交換溶液を使用して、膜をすすぎ、IPAを除去した。
【0072】
0.6gのアクリル酸ヒドロキシエチルモノマー(96%、Sigma);0.28g、0.71g、及び1.42gの硫酸ナトリウム(99%粉末、Sigma)の何れかを含有するグラフト化用溶液を作製し、添加する水の量を調節して、20gの総量を維持した。グラフト化用溶液中の塩濃度は、0.1M、0.25M、及び0.5Mであった。その後、膜を実施例4の処理ステップに供した。
【0073】
前に一般実験の節で説明したように、膜の水流量及び親水性並びにグラフト化レベルを決定した。図3で示すように、グラフト化量は0.4から0.5であり、水流量は一般実験の節の試験方法に従って約5ml/分であり、湿潤化時間は約15秒間から5秒間未満に及んだ。より速い湿潤化はフィルター設置のための停止時間を低減させることができ、より高い流量は同じ流量を達成するためにより小さいポンプ(より高価でない)しか必要としないので、より速い湿潤化時間及び高流量は、製造環境において有利である。
【0074】
実施例7
この実施例は、水中で4秒間未満にて湿潤化し、10ml/分から4ml/分の流量を有し、かつ約0.15のグラフト化量を有する、I型及びII型光開始剤で準備した膜を説明する。使用した水性交換溶液は、実施例2で説明した。
【0075】
82psiのバブルポイントに等級付けされるUHMWPE膜の47mmディスクを、実施例1で説明したように調製した0重量%又は0.4重量%ベンゾフェノン溶液中で25秒間湿潤化した。2.1gのヒドロキシメチルアクリルアミド(HMAD、水中の48%、Sigma)モノマー、1.42gの硫酸ナトリウム、0.2gの過硫酸ナトリウム、及び16.3gの水を含有するグラフト化用溶液を作製した。反応物の完全な溶解後、グラフト化用溶液を皿に入れ、ベンゾフェノンで湿潤化した膜をグラフト化用溶液に導入した。皿を覆い、膜を2分間浸漬させた。膜ディスクを除去し、1ミルのポリエチレンシートの間に入れた。過剰のグラフト化用溶液を、ポリエチレン/膜ディスク/ポリエチレンサンドイッチを卓上に平らに置き、この上でゴムローラーを転がすことにより除去する。その後、ポリエチレンサンドイッチを輸送ユニットにテープでくくり、この輸送ユニットは、アセンブリを運搬して、200から600nmの波長で放射するFusion SystemsブロードバンドUV曝露ラボユニットを通過させた。曝露時間は、アセンブリがどのくらい速くUVユニットを通過するかにより制御する。この実施例では、アセンブリはUVチャンバーを5フィート/分で通過した。UVユニットから出た後、膜をサンドイッチから除去し、即座にDI水に入れ、ここで5分間旋回させることにより洗浄した。次に、これをメタノール中で5分間洗浄した。この洗浄手順後、膜を、50℃で10分間作動するオーブン内でホルダー上にて乾燥させた。
【0076】
加えて、47mmのグラフト化膜ディスクを、最初にそれを実施例1で説明したように調製した0.4重量%のベンゾフェノン溶液中に25秒間浸漬することにより準備した。2.1gのヒドロキシメチルアクリルアミド(HMAD、水中の48%、Sigma)モノマー、1.42gの硫酸ナトリウム、及び16.5gの水を含有するグラフト化用溶液を作製した。この場合、過硫酸ナトリウムは添加しなかった。その後、膜を前の段落で説明したのと同じ処理ステップに供した。
【0077】
図4は、様々なグラフト化組成についての湿潤化時間、水流量、及びグラフト化量を示す。
【0078】
実施例8
この実施例は、中性モノマー及び正帯電モノマーの共グラフト化を示す。
【0079】
120psiのバブルポイントに等級付けされるUHMWPE膜の47mmディスクを、実施例1で説明したように調製した0.4重量%ベンゾフェノン溶液中で25秒間湿潤化した。膜を、実施例3で説明したグラフト化用溶液で処理した。その後、膜を実施例4で強調されるのと同じプロセスステップに供した。得られた膜の水流量は4ml/分であり、グラフト化量は0.07であった。湿潤化時間は5秒間である。
【0080】
カチオン性モノマーもまた、膜表面上にグラフト化されることを確認するために、実験を行った。グラフト化47mmディスク膜を、水中で湿潤化し、0.002重量%のポンソ−S染料(Sigma)を含有するビーカーに入れた。ビーカーを覆い、膜を室温で連続混合しながら5分間浸漬した。その後、膜ディスクを取り出し、染料溶液の吸光度を、512nmで作動するCary分光光度計(Agilent Technologies)を用いて測定し、出発溶液(膜浸漬前)の吸光度と比較した。染料はアニオン性の性質であるので、正に帯電した膜に結合し、染料結合能は3.7μg/cmであった。比較として、非グラフト化膜は典型的に、0.2μg/cm未満の染料結合能を示す。図5で示される較正曲線を、吸光度データを重量%に変換するために使用した。
【0081】
実施例9
この実施例は、グラフト化による改変後の80及び100psiのバブルポイントのUHMWPE膜の、架橋剤を含む別の多孔性膜非グラフト化コーティング技術と比較した、結果の水流量を示す。
【0082】
グラフト化膜:80及び100psiのHFE7200バブルポイントに等級付けされるUHMWPE膜の47mmディスクを、実施例1で説明した0.4重量%のベンゾフェノン溶液及び実施例3で説明したグラフト化用溶液を用いて改変し、実施例4で強調されるプロセスステップに供した。
【0083】
基準膜:あるいは、80及び100psiのHFE7200バブルポイントに等級付けされるUHMWPE膜の47mmディスクを、架橋剤を利用する表面改変技術を用いて改変した。膜ディスクを切断し、その後IPAで事前に湿潤化し、その後20%ヘキシレングリコール中に浸漬して、IPAを交換した。アクリルアミドモノマー0.33g APTAC、0.31gのIrgacure 2959(1−プロパノン、2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル又は1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンとしても知られる)(Ciba−Geigy、Hawthorn、New York)(I型光開始剤)、31.9gの脱イオン水、0.99gのN,N−ジメチルアクリルアミド(DMAM)、及び1.6gのN,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAm)を含有するグラフト化用溶液を作製した。基準膜は、I型光開始剤のみを利用し、II型光開始剤を利用しない伝統的な表面改変技術に対応する。基準膜は、非グラフト化プロセスを用いて製造された膜(例えばモノマーが膜の表面に共有結合していない)である。
【0084】
反応物の完全な溶解後、グラフト化用溶液をビーカーに入れ、事前に湿潤化した膜を溶液に導入する。皿を覆い、膜を2−4分間浸漬する。膜を取り出し、個々に1ミルのポリエチレンシートの間に入れる。過剰な溶液を、ポリエチレン/膜ディスク/ポリエチレンサンドイッチを卓上に平らに置き、この上でゴムローラーを転がすことにより除去する。その後、ポリエチレンサンドイッチを輸送ユニットにテープでくくり、この輸送ユニットは、アセンブリを運搬して、200から600nmの波長で放射するFusion SystemsブロードバンドUV曝露ラボユニットを通過させる。曝露時間は、アセンブリがどのくらい速くUVユニットを通過するかにより制御する。この実施例では、アセンブリはUVチャンバーを5フィート/分より大きいライン速度で通過し、これを即座にDI水に入れ、ここで5分間旋回させることにより洗浄した。次に、これをメタノール中で5分間洗浄した。この洗浄手順後、膜を、50℃で10分間作動するオーブン内でホルダー上にて乾燥させた。表1は、改変後の膜の結果の流量を示し、架橋化学による伝統的な表面改変と比較した、グラフト化技術の利点を強調する。
【0085】
実施例10
この実施例は、2ml/分から4ml/分の水流量、約1秒間ほどの低い湿潤化時間(約1秒間から4秒間に及ぶ)、及び約0.06から0.12のグラフト化量を有するグラフト化膜を説明する。グラフト化膜は、約72ダイン/cmの表面張力を有する。
【0086】
代表的な実験では、115psiのバブルポイントの超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)膜の47mmディスクを、実施例1で説明した0.4重量%湿潤化用溶液で25秒間湿潤化した。実施例2で説明したような40gの水中の1.42gの硫酸ナトリウム及び0.4gの過硫酸ナトリウム塩の交換溶液を使用して、膜をすすぎ、IPAを除去した。
【0087】
1.25g、1.46g、及び1.67gのHMADモノマー(96%、Sigma);1.42gの硫酸ナトリウム;0.2gの過硫酸ナトリウム;及び17.13g、16.92g、16.7gの脱イオン水を含有するグラフト化用溶液を作製した。
【0088】
加工ステップ:反応物の完全な溶解後、溶液を皿に入れ、ベンゾフェノンで湿潤化した膜(実施例1のようにIPA/BP溶液で初期処理し、続いて実施例2のように交換溶液中ですすいだ後)を、グラフト化用溶液に導入した。皿を覆い、膜をグラフト化用溶液中に2分間浸漬した。膜ディスクを除去し、1ミルのポリエチレンシートの間に入れた。過剰な溶液を、ポリエチレン/膜ディスク/ポリエチレンサンドイッチを卓上に平らに置き、この上でゴムローラーを転がすことにより除去した。その後、ポリエチレンサンドイッチを輸送ユニットにテープでくくり、この輸送ユニットは、アセンブリを運搬して、200から600nmの波長で放射するFusion SystemsブロードバンドUV曝露ラボユニットを通過させた。曝露時間は、アセンブリがどのくらい速くUVユニットを通過するかにより制御する。この実施例では、アセンブリはUVチャンバーを5フィート/分で通過した。UVユニットから出た後、膜をサンドイッチから除去し、即座にDI水に入れ、ここで5分間旋回させることにより洗浄した。次に、処理済み膜試料をメタノール中で5分間洗浄した。この洗浄手順後、膜を、50℃で10分間作動するオーブン内でホルダー上にて乾燥させた。
【0089】
図6で示すように、膜は水で湿潤化可能であった。
【0090】
実施例11
この実施例は、グラフト化用溶液中の2つの異なるモノマー濃度での、湿潤化用溶液中のベンゾフェノン濃度の、膜特性に対する効果を示す。
【0091】
100psiのバブルポイントの超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)膜の47mmディスクを、実施例1で説明した0.4重量%、1重量%、及び3重量%のベンゾフェノン溶液、並びに実施例3で説明したグラフト化用溶液を用いて改変し、実施例4で強調するプロセスステップに供した。
【0092】
加えて、同じUHMWPE膜の47mmディスクを、実施例1で説明した0.4重量%、1重量%、及び3重量%のベンゾフェノン(BP)溶液、並びに実施例3で説明したグラフト化用溶液を用いて改変したが、ただし、2.08gのHMADを1.25gのHMADの代わりに使用し、実施例4で強調されるプロセスステップに供した。グラフト化用溶液中の水の質量を、20gの総溶液重量及びHMAD濃度5重量%を維持するように適宜調節した。
【0093】
【0094】
図7Aで示されるように、いくつかのより高いベンゾフェノン量は、水中で湿潤化しない膜をもたらした。IR測定により証明されるように、1重量%及び3重量%のBP溶液中で事前に湿潤化した後に、モノマーが、膜表面上にうまくグラフト化したにもかかわらず、グラフト化膜は、水中で湿潤化せず、水流量を測定することができなかった。この実施例の結果は、より多くのベンゾフェノンがグラフト化用溶液中で使用される(グラフト化密度を増大させる)と、得られる膜の水流量は予想外に減少したことを示す。
【0095】
図7Bは、グラフト化用溶液中のモノマー濃度を3重量%から5重量%に増大させると、1重量%のBP事前湿潤化溶液での親水性膜をもたらすことを示す。しかしながら、水流量は、3重量%のHMAD及び0.4重量%のBPの場合ほど高くない。
【0096】
実施例12
この実施例は、膜特性に対するライン速度の効果を示す。
【0097】
100psiのバブルポイントの超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)膜の47mmディスクを、実施例1で説明した0.4重量%のベンゾフェノン溶液及び実施例3で説明したグラフト化用溶液を用いて改変したが、ただし、2.08gのHMADを1.25gのHMADの代わりに使用し、実施例4で強調されるプロセスステップに5フィート/分、7フィート/分、及び9フィート/分のライン速度で供した。グラフト化用溶液中の水の質量を、20gの総溶液重量及びHMAD濃度5重量%を維持するように適宜調節した。
【0098】
この実験の結果(図8)は、より高いライン速度では、膜上に、より少ないモノマーしかグラフト化しないことを示す。結果として、水流量は改善するが、膜親水性は影響されない。
【0099】
実施例13
11psiのIPA平均バブルポイントを有する超高分子量ポリエチレン膜をグラフト化した。一般的に、溶媒と膜との間の相互作用(例えば膨潤)がないことを仮定して、HFEバブルポイント=IPAバブルポイント/1.5である。
【0100】
11psiのIPA平均バブルポイントに等級付けされるUHMWPE膜の47mmディスクを、実施例1で説明した0.4重量%のベンゾフェノン溶液で湿潤化した。40gの水中の1.42gの硫酸ナトリウム及び0.4gの過硫酸ナトリウム塩の水性交換溶液を使用して、膜をすすぎ、IPAを除去した。
【0101】
グラフト化用溶液を、17.1gの水中の1.07gのAPTAC(塩化(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウム、75重量%溶液、Sigma)、0.83gのHMAD(N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド)、0.1gのVBTAC(塩化ビニルベンジルトリメチルアンモニウム)、0.71gの硫酸ナトリウム、及び0.2gの過硫酸ナトリウムで調製した。その後、膜ディスクを実施例4で強調されるプロセスステップに供した。
【0102】
グラフト化膜の染料結合能を、実施例8で説明したように36μg/cmで決定した。
【0103】
実施例14
80psiのHFE7200バブルポイントを有する非対称超高分子量ポリエチレン膜を使用した。
【0104】
膜を湿潤化するために、IPA中の0.4重量%のベンゾフェノン溶液を使用した。水中の0.25重量%の硫酸塩及び1重量%の過硫酸塩の交換溶液を使用して、膜をすすぎ、IPAを除去した。
【0105】
モノマー処方、並びに結果の湿潤化可能性及び流量:
【0106】
対照膜(ベース膜)は、20ml/分の水流量を有した(表1を参照のこと)。
【0107】
2つの膜を、4重量%のHMAD、0.4重量%のベンゾフェノン、0.5Mの硫酸塩、及び1重量%の過硫酸塩を含有するグラフト化用溶液でグラフト化した。各グラフト化膜は水中で湿潤化した。1つのグラフト化膜は10.5ml/分の水流量を有し、他方は11ml/分の水流量を有する。
【0108】
2つの膜を、3重量%のHMAD、0.4重量%のベンゾフェノン、0.5Mの硫酸塩、及び1重量%の過硫酸塩を含有するグラフト化用溶液でグラフト化した。各グラフト化膜は水中で湿潤化する。1つのグラフト化膜は17ml/分の水流量を有し、他方は13ml/分の水流を有する。
【0109】
2つの膜を、3重量%のHMAD、0.4重量%のBP、1重量%の塩化(ビニルベンジル)テトラメチルアンモニウム(VBTMAC)、並びに0.5Mの硫酸塩及び1重量%の過硫酸塩を含有するグラフト化用溶液でグラフト化した。各グラフト化膜は水中で湿潤化する。1つのグラフト化膜は15ml/分の水流量を有し、他方は18ml/分の水流量を有する。
【0110】
1つの膜を、3重量%のHMAD及び1重量%のAPTAC(塩化(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウム)、0.25Mの硫酸塩、並びに1重量%の過硫酸塩でグラフト化した。グラフト化膜は水で湿潤化可能であり、7ml/分の水流量を有する。
【0111】
2つの膜を、3.5重量%のHMAD、5重量%のVTMAC、0.25重量%の硫酸塩、及び1重量%の過硫酸塩でグラフト化した。各膜は水で湿潤化可能であった。1つのグラフト化膜は18ml/分の水流量を有し、他方は14ml/分の水流量を有する。
【0112】
これらの結果は、グラフト化用溶液中のHMADの濃度を操作することにより、グラフト化膜を通過する流量を改善することができることを示す。結果は、優れた水通過時間を有する、水で湿潤化可能なポリオレフィン含有膜が、80psiのHFE7200バブルポイントの膜用に製造することができることを示す。また、結果は、ベース膜の70%を超える水通過時間、ある場合には90%もの高い水通過時間を有する、水で湿潤化可能なポリオレフィン含有膜が、80psiのHFE7200バブルポイントに等級付けされる膜用に製造することができることを示す。
【0113】
また、これらの結果は、グラフト化用溶液中のヒドロキシメチルアクリルアミドのような中性モノマー又は部分は、VBTMAC又はAPTACのような、イオン化することができるか、又は電荷を有するモノマーと組合せると、グラフト化膜の優れた流量及び親水性を達成するのを補助することを示す。グラフト化用溶液が、ヒドロキシメチルアクリルアミド又はアクリル酸2−ヒドロキシエチル中のヒドロキシル基のような中性基を有するアクリルアミドモノマーのみを有する場合、グラフト化処理は、アクリルアミドモノマーがイオン化することができる、又は電荷を有するモノマーと組合せられた場合と同程度に湿潤化可能であり、高水流量を有する膜をもたらさない。
【0114】
実施例15
100psiのHFE7200バブルポイントの超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)膜。
【0115】
IPA中の0.4重量%のベンゾフェノン溶液を、膜を湿潤化するために使用した。水中に0.25重量%の硫酸塩及び1重量%の過硫酸塩の交換溶液を使用して、膜をすすぎ、IPAを除去した。
【0116】
モノマー処方、並びに結果の湿潤化可能性及び流量:
【0117】
4重量%のHMAD、0.5重量%のTMAC、0.25Mの硫酸塩、0.4重量%のBP、1重量%の過硫酸塩。水中で湿潤化し、水流量は5ml/分である(対照は11.5ml/分である。上記の表を参照のこと)。
【0118】
3.5重量%のHMAD、0.5重量%のVBTMAC、0.25Mの硫酸塩、0.5重量%のBP、1重量%の過硫酸塩。水中で湿潤化し、水流は5.5ml/分及び6ml/分である。
【0119】
結果は、2つの異なるラジカル開始剤と帯電及び非帯電部分との組合せを用いることにより、ベース膜の50%を超える水通過時間を有する、水で湿潤化可能なポリオレフィン含有膜が、100psiのHFE7200バブルポイント(UHMWPE)に等級付けされる膜用に製造することができることを示す。
【0120】
実施例16
115psiのHFE7200バブルポイントの基礎非対称超高分子量ポリエチレン膜を有するUHMWPE膜。
【0121】
IPA中の0.4重量%のベンゾフェノン溶液を、膜を湿潤化するために使用した。水中の0.25重量%の硫酸塩及び1重量%の過硫酸塩の交換溶液を使用して、膜をすすぎ、IPAを除去した。
【0122】
モノマー処方、並びに結果の湿潤化可能性及び流量:
【0123】
3.5重量%のHMAD、0.25Mの硫酸塩、0.4重量%のBP(ベンゾフェノン)、1重量%の過硫酸塩。全ての領域が、水で湿潤化不可能であった。
【0124】
4.5重量%のHMAD、0.5重量%のVBTMAC、0.25Mの硫酸ナトリウム塩、0.4重量%のベンゾフェノン、1重量%の過硫酸ナトリウム。水中で直ちに湿潤化し、水中で3ml/分にて通過する(非グラフト化膜の対照流量は、水7.5ml/分である)。
【0125】
5フィート/分のライン速度でUVランプシステムを通過。
【0126】
結果は、2つの異なるラジカル開始剤と帯電及び非帯電部分との組合せで、ベース膜の40%を超える水通過時間を有する、水で湿潤化可能なグラフト化ポリオレフィン含有膜が、115psiのHFE7200バブルポイントに等級付けされる膜用に製造することができることを示す。
【0127】
実施例17
この実施例は、水中で4秒間未満にて湿潤化し、9ml/分の水流量を有し、約0.9のグラフト化量及び12μg/cmの染料結合能を有する、I型及びII型光開始剤並びに架橋剤で準備した膜を説明する。
【0128】
UHMWPE膜(80psiのHFEバブルポイント)の47mmディスクを、実施例1で説明したように調製した0.4重量%のベンゾフェノン溶液中で25秒間湿潤化した。0.35gのジメチルアクリルアミド(DMAM、水中100%、Sigma)及び0.08gの塩化アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム(APTAC、水中の75%、Sigma)モノマー、0.06gのN,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAM)架橋剤、1.42gの硫酸ナトリウム、0.2gの過硫酸ナトリウム、並びに17.9gの水を含有するグラフト化用溶液を作製した。反応物の完全な溶解後、溶液を皿に入れ、ベンゾフェノンで湿潤化した膜を溶液に導入した。皿を覆い、膜を2分間浸漬した。膜ディスクを除去し、1ミルのポリエチレンシートの間に入れた。過剰な溶液を、ポリエチレン/膜ディスク/ポリエチレンサンドイッチを卓上に平らに置き、この上でゴムローラーを転がすことにより除去する。その後、ポリエチレンサンドイッチを輸送ユニットにテープでくくり、この輸送ユニットは、アセンブリを運搬して、200から600nmの波長で放射するFusion SystemsブロードバンドUV曝露ラボユニットを通過させる。曝露時間は、アセンブリがどのくらい速くUVユニットを通過するかにより制御する。この実施例では、アセンブリはUVチャンバーを9フィート/分で通過した。UVユニットから出た後、膜をサンドイッチから除去し、即座にDI水に入れ、ここで5分間旋回させることにより洗浄した。次に、これをメタノール中で5分間洗浄した。この洗浄手順後、膜を、50℃で10分間作動するオーブン内でホルダー上にて乾燥させた。
【0129】
膜の水流量(9ml/分)及び親水性(4秒間未満)並びにグラフト化レベル(0.9)及び染料結合能(12.2μg/cm)を、前に一般実験の節及び実施例8で説明したように決定した。
【0130】
実施例18
この実施例は、負に帯電したUHMWPE膜を得るために、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)モノマーを含有するグラフト化用溶液でグラフト化したUHMWPE膜の染料結合能を示す。
【0131】
UHMWPE膜(80psiのHFEバブルポイント)の47mmディスクを、実施例1で説明したように調製した0.4重量%のベンゾフェノン溶液中で25秒間湿潤化した。0.25gのジメチルアクリルアミド(DMAM、水中100%、Sigma)及び0.06gの2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS、Sigma)モノマー、0.03gのN,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAM)架橋剤、1.42gの硫酸ナトリウム、0.2gの過硫酸ナトリウム、並びに18gの水を含有するグラフト化用溶液を作製した。反応物の完全な溶解後、溶液を皿に入れ、ベンゾフェノンで湿潤化した膜を溶液に導入した。皿を覆い、膜を2分間浸漬した。膜ディスクを除去し、1ミルのポリエチレンシートの間に入れた。過剰な溶液を、ポリエチレン/膜ディスク/ポリエチレンサンドイッチを卓上に平らに置き、この上でゴムローラーを転がすことにより除去する。その後、ポリエチレンサンドイッチを輸送ユニットにテープでくくり、この輸送ユニットは、アセンブリを運搬して、200から600nmの波長で放射するFusion SystemsブロードバンドUV曝露ラボユニットを通過させる。曝露時間は、アセンブリがどのくらい速くUVユニットを通過するかにより制御する。この実施例では、アセンブリはUVチャンバーを9フィート/分で通過した。UVユニットから出た後、膜をサンドイッチから除去し、即座にDI水に入れ、ここで5分間旋回させることにより洗浄した。次に、これをメタノール中で5分間洗浄した。この洗浄手順後、膜を、50℃で10分間作動するオーブン内でホルダー上にて乾燥させた。
【0132】
乾燥した47mmディスク膜を、0.00075重量%のメチレンブルー染料(Sigma)を含有するビーカーに入れた。ビーカーを覆い、膜を、室温で連続混合しながら、5分間浸漬した。その後、膜ディスクを取り出し、染料溶液の吸光度を、606nmで作動するCary分光光度計(Agilent Technologies)を用いて測定し、出発溶液(膜浸漬前)の吸光度と比較した。染料はカチオン性の性質であり、7μg/cmの平均染料結合能で負に帯電した膜に結合した。比較として、非グラフト化膜は典型的に、0.3μg/cm未満の染料結合能を示す。図9で示される較正曲線の傾きを、膜の浸漬前後の染料溶液吸光度データを、染料の重量%に変換するために使用し、その後、これを膜単位領域当たりの結合した染料の質量に変換する。結果を図9に示す。
【0133】
実施例19
この実施例は、pH5及び10.6のモデル溶液からのモデル不純物の除去における、実施例17に従って改変したUHMWPE膜の有効性を示す。
【0134】
金ナノ粒子の50ppbモデル溶液を以下のように調製した。1mlの金ナノ粒子ストック溶液(負に帯電した5nmの金)を、0.1重量%のTriton−x 100を含有する2LのDI水に添加した。溶液のpHを、数滴の1Mの水酸化ナトリウム又は1Mの塩酸溶液を添加することにより調節した。
【0135】
実施例17に従って準備した膜の96mmディスクを試験スタンドに入れ、52mlの50ppbモデル溶液で、25ml/分の流量を維持するように8−15psiの入口圧にて試験した。ICP−MSを、濾過物及び出発溶液中の金ナノ粒子の濃度を定量するために使用した。改変した膜の金ナノ粒子除去効率は、pH5及び10.6で100%であった。比較として、非改変UHMWPE膜(80psiのHFEバブルポイント)は、pH5及び10.6で、それぞれ、60%及び50%の除去効率を示した。
【0136】
実施例20
この実施例は、pH5のモデル溶液からのモデル不純物の除去における、実施例18に従って改変したUHMWPE膜の有効性を示す。
【0137】
金ナノ粒子の50ppbモデル溶液を以下のように調製した。1mlの金ナノ粒子ストック溶液(負に帯電した5nmの金)を、0.1重量%のTriton−x 100を含有する2LのDI水に添加した。溶液のpHを、数滴の1Mの水酸化ナトリウム又は1Mの塩酸溶液を添加することにより調節した。
【0138】
実施例18に従って準備した膜(80psiのHFEバブルポイント)の96mmディスクを試験スタンドに入れ、52mlの50ppbモデル溶液で、25ml/分の流量を維持するように8−15psiの入口圧にて試験した。ICP−MSを、濾過物及び出発溶液中の金ナノ粒子の濃度を定量するために使用した。改変した膜の金ナノ粒子除去効率は、pH5で100%であった。比較として、非改変UHMWPE膜(120psiのHFEバブルポイント)は、pH5で78%の除去効率を示した。
【0139】
実施例21
この実施例は、空気を押して膜の湿潤孔を通過させるのに必要な圧力を測定するために使用される、多孔度測定バブルポイント試験法を説明する。また、この方法は、HFE7200バブルポイントとも呼ばれる。
【0140】
ホルダー内に乾燥膜試料の47mmディスクを、膜の緊密な側(例えば非対称膜中のより小さい孔を有する)を下に向けて据え付けることにより、試験を行った。ホルダーは、操作者が小体積の液体を膜の上流側に置くことができるように設計されている。膜の乾燥空気流量を、最初に膜の上流側で空気圧を150psiまで増大させることにより測定する。その後、圧力を解放して大気圧に戻し、小体積のエトキシ−ノナフルオロブタン(HFE7200として入手可能、3M Specialty Materials、St.Paul、Minnesota、USA)を膜の上流側に置き、膜を湿潤化する。その後、圧力を再び150psiまで増大させることにより、湿潤空気流量を測定する。HFE湿潤化膜の孔からHFEを排するのに必要な圧力から、膜のバブルポイントを測定する。この臨界圧力点を、湿潤空気流の最初の非直線性増大が流量計により検出される圧力として定義する。
【0141】
本明細書で説明するプロセスにより創出した膜の観察されたバブルポイントの範囲は、78psiから135psiである。
【0142】
実施例22
この実施例は、水−メタノール湿潤化可能性を表面張力に変換するための較正曲線の創出を説明する。
【0143】
メタノール及び水のいくつかの混合物を、0%から100%の範囲のメタノール対水の比で調製した。メタノール−水混合物を、水中の0%メタノール混合物で開始して、グラフト化膜試料を1秒間湿潤化するために使用した。その後、膜を湿潤化するのに必要な水中のメタノールの最も低い濃度を図11の較正曲線を用いて、表面張力(ダイン/cm)に変換した。図11の較正曲線は、Der Chemica Sinica、2011年、2巻6号:212−221で提供されるデータに基づく。
【0144】
実施例23
この実施例は、I型及びII型光開始剤並びに架橋剤で準備した、負に帯電した膜を説明する。
【0145】
UHMWPE膜の2つの別々の15×30cmのシートを使用した。第1の膜は、HFE7200(エトキシ−ノナフルオロブタン)で試験すると、89psiのバブルポイントを有した。第2の膜は、HFE7200(エトキシ−ノナフルオロブタン)で試験すると、111psiのバブルポイントを有した。各膜を、0.4%のベンゾフェノン溶液中で25秒間湿潤化した。2.5gのジメチルアクリルアミド(DMAM、水中100%、Sigma)及び0.6gの2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS、Sigma)モノマー、0.3gのN,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAM)架橋剤、7.1gの硫酸ナトリウム、2gの過硫酸ナトリウム、並びに185.5gの水を含有するグラフト化用溶液を作製した。反応物の完全な溶解後、グラフト化用溶液を皿に入れ、ベンゾフェノンで湿潤化した膜を、グラフト化用溶液に導入した。皿を覆い、膜を2分間浸漬した。膜シートを除去し、1ミルのポリエチレンシートの間に入れた。過剰な溶液を、ポリエチレン/膜ディスク/ポリエチレンサンドイッチを卓上に平らに置き、この上でゴムローラーを転がすことにより除去する。その後、ポリエチレンサンドイッチを輸送ユニットにテープでくくり、この輸送ユニットは、アセンブリを運搬して、200から600nmの波長で放射するFusion SystemsブロードバンドUV曝露ラボユニットを通過させる。曝露時間は、アセンブリがどのくらい速くUVユニットを通過するかにより制御する。この実施例では、アセンブリはUVチャンバーを9フィート/分で通過した。UVユニットから出た後、膜をサンドイッチから除去し、即座にDI水に入れ、ここで5分間旋回させることにより洗浄した。次に、これをメタノール中で5分間洗浄した。この洗浄手順後、膜を、50℃で10分間作動するオーブン内でホルダー上にて乾燥させた。得られた膜の特性を、表3で説明する。
【0146】
実施例24
この実施例は、I型及びII型光開始剤並びに架橋剤で準備した、正に帯電した膜を説明する。
【0147】
UHMWPE膜(135psiのHFEバブルポイント)の15×30cmのシートを、0.4%のベンゾフェノン溶液中で25秒間湿潤化した。2.5gのジメチルアクリルアミド(DMAM、水中100%、Sigma)及び0.8gの塩化(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウム(APTAC 75%溶液、Sigma)モノマー、0.3gのN,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAM)架橋剤、7.1gの硫酸ナトリウム、2gの過硫酸ナトリウム、並びに185.3gの水を含有するグラフト化用溶液を作製した。反応物の完全な溶解後、グラフト化用溶液を皿に入れ、ベンゾフェノンで湿潤化した膜を溶液に導入した。皿を覆い、膜を2分間浸漬した。膜シートを除去し、1ミルのポリエチレンシートの間に入れた。過剰な溶液を、ポリエチレン/膜ディスク/ポリエチレンサンドイッチを卓上に平らに置き、この上でゴムローラーを転がすことにより除去する。その後、ポリエチレンサンドイッチを輸送ユニットにテープでくくり、この輸送ユニットは、アセンブリを運搬して、200から600nmの波長で放射するFusion SystemsブロードバンドUV曝露ラボユニットを通過させる。曝露時間は、アセンブリがどのくらい速くUVユニットを通過するかにより制御する。この実施例では、アセンブリはUVチャンバーを9フィート/分で通過した。UVユニットから出た後、膜をサンドイッチから除去し、即座にDI水に入れ、ここで5分間旋回させることにより洗浄した。次に、これをメタノール中で5分間洗浄した。この洗浄手順後、膜を、50℃で10分間作動するオーブン内でホルダー上にて乾燥させた。得られた膜の特性を、表4で説明する。
【0148】
実施例25
この実施例は、開示されたグラフト化技術の、グラフト化膜の機械的特性に対する影響を説明する。
【0149】
実施例22及び23に従ってグラフト化した膜を、この実施例で使用した。グラフト化前後の膜(89、111、及び135psiのHFEバブルポイント)の破壊時の引張歪みを、Instron(商標)モデル3342圧縮/引張計器を、Instron(商標)Force Transducerモデル2519−102、コンピュータ、及びBlue Hillソフトウェアで装備して用いて評価した。
【0150】
各膜からの、機械方向の2つの試料、及び織物横断方向の2つの試料を、試料が破壊するまで連続的に引き伸ばすことにより試験した。金型切断機を使用して、試料を1インチ×4.5インチ寸法に切断した。
【0151】
図12は、実施例22及び23に従って改変した、グラフト化UHMWPE膜の破壊時引張歪みデータである。実線及び点線のバーは、各対応する機械方向及び織物横断方向からのデータを指す。y軸は、非グラフト化膜の破壊時引張歪みと比較した、グラフト化膜の破壊時引張歪みの増大百分率を示す。
【0152】
実施例26
この実施例は、膜のATR−FTIR分光学を説明する。
【0153】
膜表面上のグラフト化モノマーの量を、ピーク比の形態でATR−FTIR(「ATR」)分光学により決定した。ATR測定を、ゲルマニウム結晶を収容するATRアセンブリと嵌合したBruker Tensor27 FTIRで行った。全てのスペクトルを、32スキャンで、4cm−1解像度にて記録した。バックグラウンドは結晶そのままのものであった。1666及び/又は1544cm−1のピーク領域(アミドストレッチに対応する)を、OPUSデータ回収プログラムを用いて得、合計を2918及び2850cm−1の総ピーク領域(UHMWPEストレッチに対応する)で割って、UHMWPE(超高分子量ポリエチレン)表面上のアクリルアミドモノマーのグラフト化量を得た。UHMWPE信号を便利な内部標準として用いることにより、1つの膜ディスクから他方の膜ディスクへの改変レベルにおける変動から生じ得るアミドピークの絶対吸光強度の差を正規化する。
【0154】
図13は、グラフト化前(点線)及び後(実線)の110psiの膜を用いたIRスペクトルの例である。明確にするために、グラフト化後のスペクトルは、0.2吸光度単位ずらした。グラフト化膜は、アミド基の存在を示す1650cm−1の特徴的ピークを示す。
【0155】
実施例27
この実施例は、I型及びII型光開始剤並びに架橋剤で準備し、59ダイン/cmの表面張力をもたらす、89psiのHFEバブルポイントを有する正に帯電した膜を説明する。
【0156】
UHMWPE膜(89psiのHFEバブルポイント)の15×30cmのシートを、0.4%のベンゾフェノン溶液中で25秒間湿潤化した。4.5gのジメチルアクリルアミド(DMAM、水中100%、Sigma)及び0.53gの塩化(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウム(APTAC 75%溶液、Sigma)モノマー、0.6gのN,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAM)架橋剤、7.1gの硫酸ナトリウム、3gの過硫酸ナトリウム、並びに184.3gの水を含有するグラフト化用溶液を作製した。反応物の完全な溶解後、グラフト化用溶液を皿に入れ、ベンゾフェノンで湿潤化した膜を、溶液に導入した。皿を覆い、膜を2分間浸漬した。膜シートを除去し、1ミルのポリエチレンシートの間に入れた。過剰な溶液を、ポリエチレン/膜ディスク/ポリエチレンサンドイッチを卓上に平らに置き、この上でゴムローラーを転がすことにより除去する。その後、ポリエチレンサンドイッチを輸送ユニットにテープでくくり、この輸送ユニットは、アセンブリを運搬して、200から600nmの波長で放射するFusion SystemsブロードバンドUV曝露ラボユニットを通過させる。曝露時間は、アセンブリがどのくらい速くUVユニットを通過するかにより制御する。この実施例では、アセンブリはUVチャンバーを9フィート/分で通過した。UVユニットから出た後、膜をサンドイッチから除去し、即座にDI水に入れ、ここで5分間旋回させることにより洗浄した。次に、これをメタノール中で5分間洗浄した。この洗浄手順後、膜を、50℃で10分間作動するオーブン内でホルダー上にて乾燥させた。得られた膜の特性を、表5で説明する。
【0157】
出典明示による援用及び均等物
本明細書で引用する全ての特許、出願公開、及び参考文献の教示は、それらを全体として出典明示により援用する。
【0158】
本発明を具体的に示し、その例の実施態様を参照して説明したが、添付の特許請求の範囲により包含される本発明の範囲から逸脱することなく、形態及び詳細における様々な変化がその中でなされ得ることが当業者に理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10A-C】
図11
図12
図13