特許第6795919号(P6795919)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6795919ランタン化合物及びその製造方法、ランタン前駆体組成物、並びにそれを利用した薄膜形成方法、及び集積回路素子の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6795919
(24)【登録日】2020年11月17日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】ランタン化合物及びその製造方法、ランタン前駆体組成物、並びにそれを利用した薄膜形成方法、及び集積回路素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07F 17/00 20060101AFI20201119BHJP
   C23C 16/18 20060101ALI20201119BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20201119BHJP
   C07F 5/00 20060101ALN20201119BHJP
【FI】
   C07F17/00
   C23C16/18
   H01L21/316 X
   !C07F5/00 DCSP
【請求項の数】25
【全頁数】46
(21)【出願番号】特願2016-132510(P2016-132510)
(22)【出願日】2016年7月4日
(65)【公開番号】特開2017-19777(P2017-19777A)
(43)【公開日】2017年1月26日
【審査請求日】2019年6月21日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0096785
(32)【優先日】2015年7月7日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】朴 圭 熙
(72)【発明者】
【氏名】金 潤 洙
(72)【発明者】
【氏名】林 載 順
(72)【発明者】
【氏名】▲チョ▼ 侖 廷
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 晴義
(72)【発明者】
【氏名】山田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】内生蔵 広幸
【審査官】 安藤 倫世
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2016/0315168(US,A1)
【文献】 米国特許第09099301(US,B1)
【文献】 特表2011−522833(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0102205(US,A1)
【文献】 特表2011−514433(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/129670(WO,A1)
【文献】 英国特許第02391555(GB,B)
【文献】 中国特許出願公開第101792469(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
C23C
H01L
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランタントリス(ビス(トリアルキルシリル)アミド)錯体とアルキルシクロペンタジエンとを反応させ、化学式1のSi含有中間体を形成する段階と、
【化1】
(化学式1で、Rは、C−Cの直鎖状アルキル基または分枝状アルキル基であり、Rは、C−Cアルキル基)
前記化学式1のSi含有中間体と、ジアルキルアミジン系化合物とを反応させ、化学式2のランタン化合物を形成する段階と、を含むことを特徴とするランタン化合物の製造方法:
【化2】
(化学式2で、Rは、前述のところで定義した通りであり、R及びRは、それぞれC−Cの直鎖状アルキル基または分枝状アルキル基であり、Rは、水素原子またはメチル基)。
【請求項2】
前記化学式1のSi含有中間体において、Rは、メチル基であることを特徴とする請求項1に記載のランタン化合物の製造方法。
【請求項3】
前記化学式2のランタン化合物は、常温で液体であることを特徴とする請求項1に記載のランタン化合物の製造方法。
【請求項4】
前記ジアルキルアミジン系化合物は、ジイソプロピルアセトアミジンであることを特徴とする請求項1に記載のランタン化合物の製造方法。
【請求項5】
前記化学式2のランタン化合物において、Rは、エチル基であり、R及びRは、それぞれイソプロピル基であり、Rは、メチル基であることを特徴とする請求項1に記載のランタン化合物の製造方法。
【請求項6】
前記化学式2のランタン化合物において、R、R及びRは、それぞれイソプロピル基であり、Rは、メチル基であることを特徴とする請求項1に記載のランタン化合物の製造方法。
【請求項7】
前記化学式2のランタン化合物において、Rは、イソプロピル基であり、R及びRは、それぞれt−ブチル基であり、Rは、メチル基であることを特徴とする請求項1に記載のランタン化合物の製造方法。
【請求項8】
前記Si含有中間体を形成する段階前に、ランタンハロゲン化物と、ビス(トリアルキルシリル)アミドアルカリ金属塩と、を反応させ、前記ランタントリス(ビス(トリアルキルシリル)アミド)錯体を形成する段階をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のランタン化合物の製造方法。
【請求項9】
前記ランタンハロゲン化物は、LaClであることを特徴とする請求項8に記載のランタン化合物の製造方法。
【請求項10】
前記ビス(トリアルキルシリル)アミドアルカリ金属塩は、Na、LiまたはKを含むことを特徴とする請求項8に記載のランタン化合物の製造方法。
【請求項11】
請求項1に記載の化学式2を有することを特徴とするランタン化合物:
化学式2で、Rは、C−Cの直鎖状アルキル基または分枝状アルキル基であり、R及びRは、それぞれC−Cの直鎖状アルキル基または分枝状アルキル基であり、Rは、水素原子またはメチル基。
【請求項12】
前記ランタン化合物は、常温で液体であることを特徴とする請求項11に記載のランタン化合物。
【請求項13】
次の化学式を有することを特徴とする請求項11に記載のランタン化合物:
【化3】
【請求項14】
次の化学式を有することを特徴とする請求項11に記載のランタン化合物:
【化4】
【請求項15】
次の化学式を有することを特徴とする請求項11に記載のランタン化合物:
【化5】
【請求項16】
次の化学式を有するランタン化合物を含むことを特徴とするランタン前駆体組成物:
【化2】
前記化学式で、Rは、C−Cの直鎖状アルキル基または分枝状アルキル基であり、R及びRは、それぞれC−Cの直鎖状アルキル基または分枝状アルキル基であり、Rは、水素原子またはメチル基である。
【請求項17】
次の化学式3〜5のうち少なくとも1つの化合物を含むことを特徴とする請求項16に記載のランタン前駆体組成物:
【化3】
【化4】
【化5】
【請求項18】
Si含有化合物をさらに含むことを特徴とする請求項16に記載のランタン前駆体組成物。
【請求項19】
前記Si含有化合物は、Laを含むことを特徴とする請求項18に記載のランタン前駆体組成物。
【請求項20】
前記Si含有化合物は、次の化学式1を有することを特徴とする請求項18に記載のランタン前駆体組成物:
【化1】
前記化学式で、Rは、C−Cの直鎖状アルキル基または分枝状アルキル基であり、Rは、C−Cアルキル基である。
【請求項21】
は、エチル基であり、Rは、メチル基であることを特徴とする請求項20に記載のランタン前駆体組成物。
【請求項22】
前記Si含有化合物は、前記ランタン前駆体組成物の総量を基準に、10〜100ppbの量で含まれたことを特徴とする請求項18に記載のランタン前駆体組成物。
【請求項23】
常温で液体であるランタン化合物を使用して、基板上にランタン含有膜を形成する段階を含み、
前記ランタン化合物は、次の化学式2を有することを特徴とする薄膜形成方法:
【化2】
前記化学式で、Rは、C−Cの直鎖状アルキル基または分枝状アルキル基であり、R及びRは、それぞれC−Cの直鎖状アルキル基または分枝状アルキル基であり、Rは、水素原子またはメチル基である。
【請求項24】
前記ランタン化合物は、次の化学式3〜5のうち少なくとも1つの化合物を含むことを特徴とする請求項23に記載の薄膜形成方法:
【化3】
【化4】
【化5】
【請求項25】
前記ランタン含有膜を形成する段階は、150〜500℃の温度及び大気圧ないし10Paの圧力下で遂行されることを特徴とする請求項23に記載の薄膜形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランタン化合物及びその製造方法と、ランタン化合物を利用する集積回路素子の製造方法とに係り、特に、常温で液体であるランタン化合物及びその製造方法と、前記ランタン化合物を含むランタン前駆体組成物と、それを利用した薄膜形成方法及び集積回路素子の製造方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
電子技術の発達によって、最近、半導体素子のダウンスケーリング(down-scaling)が急速に進められており、それによって、電子素子を構成するパターンが微細化されている。それにより、ランタンを含む薄膜の形成時、高アスペクト比を有する狭くて深い空間内でも、優秀な埋め込み特性、及び優秀なステップカバレージ(step coverage)特性を提供することができる技術開発が必要である。また、速い動作速度及び信頼性を提供することができる集積回路素子に対する多様な研究が進められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする課題は、ランタン含有膜を形成するための原料化合物として使用するのに適する特性を有するランタン化合物を提供することである。
本発明が解決しようとする課題はまた、ランタン含有膜を形成するための原料化合物として使用するのに適する特性を有するランタン化合物を容易に製造することができるランタン化合物の製造方法を提供することである。
本発明が解決しようとする課題はまた、ランタン含有膜を形成するのに必要な前駆体として使用するのに適する特性を有するランタン化合物を使用して薄膜を形成する方法を提供することである。
本発明が解決しようとする課題はまた、良好なステップカバレージ特性を有するランタン含有膜を形成する工程を含む集積回路素子の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決するために、本発明の、ランタン化合物の製造方法は、
ランタントリス(ビス(トリアルキルシリル)アミド)錯体とアルキルシクロペンタジエンとを反応させ、化学式1のSi含有中間体を形成する段階と、
前記化学式1のSi含有中間体と、ジアルキルアミジン系化合物とを反応させ、化学式2のランタン化合物を形成する段階と、を含むことを特徴とする:
【0005】
【化1】
化学式1で、Rは、C−Cの直鎖状アルキル基または分枝状(linear or branched)アルキル基であり、Rは、C−Cアルキル基である;
【0006】
【化2】
化学式2で、Rは、前述のところで定義した通りであり、R及びRは、それぞれC−Cの直鎖状アルキル基または分枝状アルキル基であり、Rは、水素原子またはメチル基である。
前記課題を解決するために、本発明のランタン前駆体組成物は、次の化学式を有するランタン化合物を含む:
【0007】
【化2】
【0008】
前記化学式で、Rは、C−Cの直鎖状アルキル基または分枝状アルキル基であり、R及びRは、それぞれC−Cの直鎖状アルキル基または分枝状アルキル基であり、Rは、水素原子またはメチル基である。
前記課題を解決するために、本発明の薄膜形成方法は、
常温で液体であるランタン化合物を使用して、基板の上にランタン含有膜を形成する段階を含み、前記ランタン化合物は、次の化学式を有することを特徴とする:
【0009】
【化2】
前記化学式で、Rは、C−Cの直鎖状アルキル基または分枝状アルキル基であり、R及びRは、それぞれC−Cの直鎖状アルキル基または分枝状アルキル基であり、Rは、水素原子またはメチル基である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によるランタン化合物は、融点が比較的低く、液体状態で運送(delivery)が可能であり、蒸気圧が比較的高くて容易に気化され、運送が容易である。従って、ALD(atomic layer deposition)、CVD(chemical vapor deposition)のような薄膜蒸着工程を遂行するのに必要な原料化合物が、気化された状態で供給される堆積工程で、ランタン含有膜を形成するのに必要な前駆体として使用するのに適する。特に、本発明によるランタン化合物は、比較的高い蒸気圧によって、比較的大きいアスペクト比を有する構造物までの運送が容易に行われ、それによって、比較的高アスペクト比を有する構造物の上に、良好なステップカバレージ特性を有するランタン含有膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の技術的思想による実施例によるランタン化合物の製造方法について説明するためのフローチャート。
図2A】本発明の技術的思想による実施例による薄膜形成方法について説明するためのフローチャート。
図2B】本発明の技術的思想による実施例による薄膜形成方法によって、ランタン酸化膜を形成するための例示的な方法について具体的に説明するためのフローチャート。
図3】本発明の技術的思想による薄膜形成工程に使用される例示的な蒸着装置の構成を概略的に示した図。
図4】本発明の技術的思想による薄膜形成工程に使用される例示的な蒸着装置の構成を概略的に示した図。
図5】本発明の技術的思想による薄膜形成工程に使用される例示的な蒸着装置の構成を概略的に示した図。
図6】本発明の技術的思想による薄膜形成工程に使用される例示的な蒸着装置の構成を概略的に示した図。
図7】本発明の技術的思想による一実施例によるランタン化合物のTGA(thermal gravimetric analysis)分析結果を示したグラフ。
図8】本発明の技術的思想による一実施例によるランタン化合物のDSC(differential scanning calorimetry)分析結果を示したグラフ。
図9】本発明の技術的思想による一実施例によるランタン化合物の粘度を分析した結果を示したグラフ。
図10】本発明の技術的思想による一実施例による薄膜形成方法による、ランタン酸化膜形成における蒸着温度による蒸着速度を評価した結果を示したグラフ。
図11】本発明の技術的思想による一実施例による薄膜形成方法によって得られたランタン酸化膜のXPS(X−ray photoelectron spectroscopy)深さプロファイル分析結果を示したグラフ。
図12A】本発明の技術的思想による一実施例による集積回路素子の平面図。
図12B図12Aの集積回路素子の斜視図。
図12C図12AのX−X’線断面及びY−Y’線断面の構成を示す断面図。
図13A】本発明の技術的思想による一実施例による集積回路素子の製造方法について説明するために、工程順序に従って図示した断面図。
図13B】本発明の技術的思想による一実施例による集積回路素子の製造方法について説明するために、工程順序に従って図示した断面図。
図13C】本発明の技術的思想による一実施例による集積回路素子の製造方法について説明するために、工程順序に従って図示した断面図。
図13D】本発明の技術的思想による一実施例による集積回路素子の製造方法について説明するために、工程順序に従って図示した断面図。
図13E】本発明の技術的思想による一実施例による集積回路素子の製造方法について説明するために、工程順序に従って図示した断面図。
図13F】本発明の技術的思想による一実施例による集積回路素子の製造方法について説明するために、工程順序に従って図示した断面図。
図13G】本発明の技術的思想による一実施例による集積回路素子の製造方法について説明するために、工程順序に従って図示した断面図。
図14】本発明の技術的思想による他の実施例による集積回路素子の等価回路図。
図15】本発明の技術的思想による一実施例による薄膜形成方法によって形成されたランタン含有膜を含む不揮発性メモリ素子の一部構成の斜視図。
図16】本発明の技術的思想による実施例による集積回路素子のセルアレイ領域の概略的な平面レイアウト。
図17A】本発明の技術的思想による一実施例によるランタン化合物から得られたランタン含有膜を含む集積回路素子の一例について説明するための図であり、図16のA−A’線断面に対応する一部構成の断面図。
図17B】本発明の技術的思想による一実施例によるランタン化合物から得られたランタン含有膜を含む集積回路素子の一例について説明するための図であり、図16のB−B’線断面に対応する一部構成の断面図。
図17C】本発明の技術的思想による一実施例によるランタン化合物から得られたランタン含有膜を含む集積回路素子の一例について説明するための図であり、図16のC−C’線断面に対応する一部構成の断面図。
図18A】本発明の技術的思想による実施例による集積回路素子の斜視図。
図18B図18AのB−B’線断面図。
図19】本発明の技術的思想による実施例による集積回路素子の斜視図。
図20】本発明の技術的思想による実施例によるディスプレイ駆動集積回路(DDI)、及びこのディスプレイ駆動集積回路を具備するディスプレイ装置の概略的なブロックダイヤグラム。
図21】本発明の技術的思想による実施例による電子システムを図示したブロックダイヤグラム。
図22】本発明の技術的思想による実施例による電子システムのブロックダイヤグラム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照し、本発明の実施例について詳細に説明する。図面上の同一構成要素については、同一参照符号を使用し、それらに係わる重複説明は省略する。
本明細書に使用された用語「Me」は、メチル基を指し、「Et」は、エチル基を指し、「iPr」は、イソプロピル基を指し、「tBu」は、第3ブチル基(tertiary butyl group)を指す。
【0013】
図1は、本発明の技術的思想による実施例によるランタン化合物の製造方法について説明するためのフローチャートである。
図1を参照すれば、工程P12において、ランタンハロゲン化物(lanthanum halide)と、ビス(トリアルキルシリル)アミドアルカリ金属塩とを反応させ、ランタントリス(ビス(トリアルキルシリル)アミド)錯体を形成する。
一実施例において、ランタンハロゲン化物は、LaClである。
反応式1は、工程P12によって、ランタントリス(ビス(トリアルキルシリル)アミド)錯体(A−1)を形成する過程の一例を示す。
【0014】
【化C1】
【0015】
反応式1で、Mは、アルカリ金属であり、Rは、C−Cアルキル基である。
一実施例において、Mは、Na、LiまたはKでもある。
反応式1に例示されているように、ランタンハロゲン化物としての脱水塩化ランタン(LaCl)をビス(トリアルキルシリル)アミドアルカリ金属塩と反応させて再結晶させ、反応中間体であるランタントリス(ビス(トリアルキルシリル)アミド)錯体(A−1)を形成することができる。
【0016】
図1の工程P14において、工程P12で得られたランタントリス(ビス(トリアルキルシリル)アミド)錯体(A−1)と、アルキルシクロペンタジエンとを反応させ、化学式1のSi含有中間体を形成する。
【0017】
【化1】
化学式1で、Rは、C−Cの直鎖状アルキル基または分枝状(linear or branched)アルキル基であり、Rは、前述のところで定義した通りである。
反応式2は、工程P14によって、化学式1のSi含有中間体(A−2)を形成する過程の一例を示す。
【0018】
【化C2】
【0019】
反応式2で、R及びRは、前述のところで定義した通りである。
一実施例において、反応式2において、Rは、エチル基であり、Rは、メチル基であるが、それらに限定されるものではない。
反応式2に例示されているように、反応式1で得られた反応中間体であるランタントリス(ビス(トリアルキルシリル)アミド)錯体(A−1)を、所望する構造のシクロペンタジエニル誘導体と反応させることにより、化学式1のSi含有中間体(A−2)を得ることができる。化学式1のSi含有中間体(A−2)は、昇華法によって精製することができる。
【0020】
図1の工程P16で、工程P14で得られた化学式1のSi含有中間体と、ジアルキルアミジン系化合物とを反応させ、化学式2のランタン化合物を形成する。
【0021】
【化2】
化学式2で、Rは、前述のところで定義した通りであり、R及びRは、それぞれC−Cの直鎖状アルキル基または分枝状アルキル基であり、Rは、水素原子またはメチル基である。
【0022】
反応式3は、工程P16によって、化学式2のランタン化合物(PRODUCT)を形成する過程の一例を示す。
【0023】
【化C3】
【0024】
反応式3で、R、R、R及びRは、前述のところで定義した通りである。
一実施例において、反応式3で、Rは、エチル基であり、Rは、メチル基である。
反応式3で、R及びRは、それぞれイソプロピル基である。すなわち、図1の工程P16で使用されるジアルキルアミジン系化合物は、ジイソプロピルアセトアミジンである。
反応式3に例示されているように、化学式1のSi含有中間体(A−2)と、ビスアルキルアミジンとを反応させて蒸溜することにより、本発明の技術的思想によるランタン化合物(PRODUCT)を得ることができる。
【0025】
一実施例において、化学式2のランタン化合物(PRODUCT)でRは、エチル基であり、R及びRは、それぞれイソプロピル基であり、Rは、メチル基である。その場合、化学式2のランタン化合物(PRODUCT)は、化学式3で表示されてもよい。
【0026】
【化3】
【0027】
他の一実施例において、化学式2のランタン化合物(PRODUCT)で、R、R及びRは、それぞれイソプロピル基であり、Rは、メチル基でもある。その場合、化学式2のランタン化合物(PRODUCT)は、化学式4で表示されてもよい。
【0028】
【化4】
【0029】
さらに他の一実施例において、化学式2のランタン化合物(PRODUCT)でRは、イソプロピル基であり、R及びRは、それぞれt−ブチル基であり、Rは、メチル基である。その場合、化学式2のランタン化合物(PRODUCT)は、化学式5で表示されてもよい。
【0030】
【化5】
【0031】
本発明の技術的思想による実施例によるランタン化合物は、図1を参照して説明したランタン化合物の製造方法によって得られた化学式2のランタン化合物(PRODUCT)からなる。本発明の技術的思想による実施例によるランタン化合物は、常温で液体である。本発明の技術的思想による実施例によるランタン化合物は、気化工程を含む蒸着工程、例えば、ALD(atomic layer deposition)工程、CVD(chemical vapor deposition)工程などによって薄膜を形成するとき、ランタン前駆体として使用するのに適する。また、本発明の技術的思想による実施例によるランタン化合物は、反応性ガス、例えば、Oとの反応性が高く、特に、ALD工程時に使用されるランタン前駆体として使用するのに適する。
【0032】
化学式2のランタン化合物(PRODUCT)は、集積回路素子の製造に必要な薄膜形成工程で有用に使用される。
化学式2のランタン化合物(PRODUCT)は、集積回路素子を構成したり製造したりする工程に必要なランタン含有膜、例えば、ランタン酸化膜を形成するためのランタン前駆体組成物の原料として使用される。
【0033】
一実施例において、本発明の技術的思想によるランタン前駆体組成物は、図1を参照して説明したような方法によって得られたランタン化合物(PRODUCT)のみからなる。その場合、前記ランタン前駆体組成物は、化学式3、化学式4及び化学式5に例示したランタン化合物のうち少なくとも1つのランタン化合物を含んでもよいが、それらに限定されるものではない。
【0034】
他の一実施例において、本発明の技術的思想によるランタン前駆体組成物は、図1を参照して説明したような方法によって得られたランタン化合物(PRODUCT)と、Si含有化合物とを含んでもよい。本発明の技術的思想によるランタン前駆体組成物に含まれるSi含有化合物は、反応式3による反応物である化学式1のSi含有中間体(A−2)からなる。例えば、本発明の技術的思想によるランタン前駆体組成物に含まれたSi含有化合物は、化学式1のSi含有中間体(A−2)でRは、エチル基であり、Rは、メチル基の構造を有することができる。一実施例において、本発明の技術的思想によるランタン前駆体組成物に含まれるSi含有化合物は、前記ランタン化合物(PRODUCT)の製造過程で反応物として使用されたものでもあり、前記ランタン化合物(PRODUCT)を形成した後、前記Si含有化合物からなる反応物が、最終生成物に微量で残ることにより、本発明の技術的思想によるランタン前駆体組成物が、前記Si含有化合物を含むことになる。
【0035】
本発明の技術的思想によるランタン前駆体組成物において、前記Si含有化合物は、前記ランタン前駆体組成物の総量を基準に、約10〜100ppb(parts per billion)の量で含まれてもよい。
図2Aは、本発明の技術的思想による実施例による薄膜形成方法について説明するためのフローチャートである。
図2Aを参照すれば、工程P20において、基板を準備する。
この基板は、図12Aないし図12Cを参照し、基板302について説明するような構成を有することができる。
【0036】
図2Aの工程P30において、常温で液体であるランタン化合物を使用して、基板上にランタン酸化膜を形成する。
常温で液体であるランタン化合物は、化学式2の構造を有するランタン化合物からなる。例えば、常温で液体であるランタン化合物は、化学式3、化学式4及び化学式5で表示されるランタン化合物のうち少なくとも1つのランタン化合物を含んでもよい。
一実施例において、工程P30によって、基板上にランタン酸化膜を形成するために、図1を参照して説明したような方法によって得られたランタン化合物(PRODUCT)のみからなるランタン前駆体組成物を使用することができる。
【0037】
他の一実施例において、工程P30によって、基板上にランタン酸化膜を形成するために、図1を参照して説明したような方法によって得られたランタン化合物(PRODUCT)と、Si含有化合物とを含むランタン前駆体組成物を使用することができる。このSi含有化合物は、反応式3による反応物である化学式1のSi含有中間体(A−2)からなる。Si含有化合物は、ランタン前駆体組成物の総量を基準に、約10〜100ppbの量で含まれてもよい。
【0038】
図2Bは、図2Aの工程P30によって、ランタン酸化膜を形成するための例示的な方法について具体的に説明するためのフローチャートである。
図2Bを参照すれば、工程P32において、ランタン化合物を含むソースガスを気化させる。ランタン化合物は、化学式2の構造を有するランタン化合物からなる。
一実施例において、ソースガスは、化学式2の構造を有するランタン化合物のみからなる。
【0039】
他の一実施例において、ソースガスは、化学式2の構造を有するランタン化合物と、Si含有化合物とを含んでもよい。Si含有化合物は、反応式3による反応物である化学式1のSi含有中間体(A−2)からなる。例えば、本発明の技術的思想によるランタン前駆体組成物に含まれたSi含有化合物は、化学式1のSi含有中間体(A−2)でRは、エチル基であり、Rは、メチル基である構造を有することができる。
【0040】
工程P33において、工程P32によって気化されたソースガスを基板上に供給し、基板上にLaソース吸着層を形成する。
基板上に気化されたソースガスを供給することにより、基板上に、気化されたソースガスの化学吸着層(chemisorbed layer)及び物理吸着層(physisorbed layer)を含む吸着層が形成される。
工程P34において、基板上にパージガスを供給し、基板上の不要な副産物を除去する。
パージガスとして、例えば、Ar、He、Neなどの不活性ガス、またはNガスなどを使用することができる。
【0041】
一実施例において、Laソース吸着層が形成された基板を加熱したり、基板が収容された反応チャンバを熱処理したりする工程をさらに遂行することができる。熱処理は、室温ないし約400℃、例えば、約150〜400℃の温度で行われる。
工程P35において、基板上に形成されたLaソース吸着層上に、反応性ガスを供給する。
反応性ガスは、O、O、プラズマO、HO、NO、NO、CO、H、またはそれらの組み合わせからなる。
工程P36において、前記基板上にパージガスを供給し、基板上の不要な副産物を除去する。
パージガスとして、例えば、Ar、He、Neなどの不活性ガス、またはNガスなどを使用することができる。
【0042】
図2Bを参照して説明したランタン酸化膜形成方法は、単なる例示に過ぎず、本発明の技術的思想の範囲内で、多様な変形及び変更が可能である。
例えば、基板上にランタン酸化膜を形成するために、化学式2の構造を有するランタン化合物を、他の前駆体、反応性ガス、キャリアガス、パージガスのうち少なくとも一つと共に、または順次に基板上に供給することができる。化学式2の構造を有するランタン化合物と共に基板上に供給される他の前駆体、反応性ガス、キャリアガス及びパージガスに係わるさらに詳細な構成については、後述するところを参照する。
【0043】
本発明の技術的思想によるランタン化合物は、集積回路素子製造に必要な薄膜形成工程に使用され、例えば、ALD工程またはCVD工程に必要なLa前駆体として使用される。
図3ないし図6は、それぞれ本発明の技術的思想による薄膜形成工程に使用される例示的な蒸着装置200A,200B,200C,200Dの構成を概略的に示した図である。
図3ないし図6に例示した蒸着装置200A,200B,200C,200Dは、それぞれ流体伝達部210と、流体伝達部210にある原料容器212から供給される工程ガスを使用して、基板W上に薄膜を形成するための堆積工程が遂行される薄膜形成部250と、薄膜形成部250において、反応に使用されて残ったガスまたは反応副産物を排出させるための排気システム270と、を含む。
【0044】
薄膜形成部250は、基板Wを支持するサセプタ252が具備された反応チャンバ254を含む。反応チャンバ254内部の上端部には、流体伝達部210から供給されるガスを、基板W上に供給するためのシャワーヘッド256が設けられている。
流体伝達部210には、外部からキャリアガスを原料容器212に供給するための流入ライン222と、原料容器212内に収容された原料化合物を、薄膜形成部250に供給するための流出ライン224と、を含む。流入ライン222及び流出ライン224には、それぞれ弁V1,V2及びMFC(mass flow controller)M1,M2が設けられる。流入ライン222及び流出ライン224は、バイパスライン226を介して相互連結される。バイパスライン226には、弁V3が設けられている。弁V3は、電気モータ、または他の遠隔で制御可能な手段によって空気圧で作動される。
【0045】
原料容器212から供給される原料化合物は、流体伝達部210の流出ライン224に連結された薄膜形成部250の流入ライン266を介して、反応チャンバ254内に供給される。必要によっては、原料容器212から供給される原料化合物は、流入ライン268を介して供給されるキャリアガスと共に、反応チャンバ254内に供給される。キャリアガスが流入される流入ライン268には、弁V4及びMFC M3が設けられる。
薄膜形成部250は、反応チャンバ254内部にパージガスを供給するための流入ライン262と、反応性ガスを供給するための流入ライン264と、を含む。流入ライン262,264には、それぞれ弁V5,V6及びMFC M4,M5が設けられる。
【0046】
反応チャンバ254で使用された工程ガス及び廃棄用反応副産物は、排気システム270を介して外部に排出される。排気システム270は、反応チャンバ254に連結された排気ライン272と、排気ライン272に設けられた真空ポンプ274を含んでもよい。真空ポンプ274は、反応チャンバ254から排出される工程ガス及び廃棄用反応副産物を除去する役割を行う。
排気ライン272において、真空ポンプ274より上流側には、トラップ276が設けられる。トラップ276は、例えば、反応チャンバ254内で完全に反応することができなかった工程ガスによって発生する反応副産物を捕捉し、下流側の真空ポンプ274に流入させないようにする。
【0047】
本発明の技術的思想による薄膜形成方法では、化学式2の構造を有する本発明の技術的思想によるランタン化合物を原料化合物として使用する。特に、本発明の技術的思想によるランタン化合物は、常温において液体状態で存在し、他の処理ガス、例えば、還元性ガスのような反応性ガスと反応しやすいという特性を有する。従って、排気ライン272に設けられたトラップ276では、工程ガス間の反応によって発生する反応副生成のような付着物を捕捉し、トラップ276の下流側に流れさせない役割を行う。トラップ276は、冷却器または水冷によって冷却することができる構成を有することができる。
また、排気ライン272において、トラップ276より上流側には、バイパスライン278及び自動圧力コントローラ(automatic pressure controller)280が設けられる。バイパスライン278、及び排気ライン272のうち、バイパスライン278と並列に延長される部分には、それぞれ弁V7,V8が設けられる。
【0048】
図3及び図5に例示した蒸着装置200A,200Cでのように、原料容器212には、ヒータ214が設けられる。ヒータ214によって、原料容器212内に収容された原料化合物の温度を比較的高温に維持することができる。
図4及び図6に例示した蒸着装置200B,200Dでのように、薄膜形成部250の流入ライン266には、気化器(vaporizer)258が設けられる。気化器258は、流体伝達部210から液体状態で供給される流体を気化させ、気化された原料化合物を反応チャンバ254内に供給するようにする。気化器258で気化された原料化合物は、流入ライン268を介して供給されるキャリアガスと共に、反応チャンバ254内に供給される。気化器258を介して、反応チャンバ254に供給される原料化合物の流入は、弁V9によって制御される。
【0049】
また、図5及び図6に例示した蒸着装置200C,200Dでのように、薄膜形成部250において、反応チャンバ254内にプラズマを発生させるために、反応チャンバ254に連結された高周波電源292及びRF(radio frequency)マッチングシステム294を含んでもよい。
図3ないし図6に例示した蒸着装置200A,200B,200C,200Dでは、反応チャンバ254に、1個の原料容器212が連結された構成を例示したが、それに限定されるものではない。必要によっては、流体伝達部210に、複数の原料容器212を具備し、前記複数の原料容器212がそれぞれ反応チャンバ254に連結される。反応チャンバ254に連結される原料容器212の数は、特別に制限されるものではない。
【0050】
図2Bの工程P32において、ランタン化合物を含むソースガスを気化するために、図4及び図6に例示した蒸着装置200B,200Dのうちいずれか1つの蒸着装置において気化器258を利用することができるが、本発明の技術的思想は、それに限定されるものではない。
また、本発明の技術的思想による薄膜形成方法によって、基板W上にランタン含有膜を形成するために、図3ないし図6に例示した蒸着装置200A,200B,200C,200Dのうちいずれか1つの蒸着装置を利用することができるが、本発明の技術的思想は、それに限定されるものではない。
【0051】
図1図2A及び図2Bの工程によって、基板上にランタン含有膜を形成するために、化学式2の構造を有する本発明の技術的思想によるランタン化合物が多様な方法を介して運送され、薄膜形成装置の反応チャンバ、例えば、図3ないし図6に例示した蒸着装置200A,200B,200C,200Dの反応チャンバ254内部に供給される。
【0052】
一実施例において、化学式2の構造を有する本発明の技術的思想によるランタン化合物を使用して、CVD工程によって薄膜を形成するために、ランタン化合物を原料容器212内で、加熱及び/または減圧して気化させ、かように気化されたランタン化合物を、必要によって、Ar、N、Heのようなキャリアガスと共に、反応チャンバ254内に供給する気体運送法を利用することができる。気体運送法を利用する場合、本発明の技術的思想によるランタン化合物自体が、CVD工程での薄膜形成用原料化合物として使用される。
【0053】
他の一実施例において、本発明の技術的思想によるランタン化合物を使用して、CVD工程によって薄膜を形成するために、ランタン化合物を、液体または溶液状態で気化器258まで運送し、ランタン化合物を、気化器258で加熱及び/または減圧して気化させた後、反応チャンバ254内に供給する液体運送法を利用することができる。液体運送法を利用する場合、本発明の技術的思想によるランタン化合物自体、またはランタン化合物を有機溶剤に溶解させた溶液が、CVD工程での薄膜形成用原料化合物として使用される。
【0054】
一実施例において、本発明の技術的思想による薄膜形成方法において、ランタン含有膜を形成するために、多成分系CVD工程を利用することができる。多成分系CVD工程において、CVD工程に使用される原料化合物を、各成分別に独立して気化させて供給する方法(以下、「シングルソース法(single source method)」と記載することができる)、または多成分原料を、前もって所望する組成に混合した混合原料を気化させて供給する方法(以下、「カクテルソース法(cocktail source method)」と記載することができる)を利用することができる。カクテルソース法を利用する場合、本発明の技術的思想によるランタン化合物を含む第1混合物、この第1混合物を有機溶剤に溶解させた第1混合溶液、本発明の技術的思想によるランタン化合物と異なる前駆体を含む第2混合物、またはこの第2混合物を有機溶剤に溶解させた第2混合溶液が、CVD工程での薄膜形成用原料化合物として使用される。
【0055】
第1混合溶液または第2混合溶液を得るために使用可能な有機溶剤の種類は、特に制限されるものではなく、当該技術分野で知られている有機溶剤を使用することができる。例えば、有機溶剤として、酢酸エチル、n−ブチルアセテート、メトキシエチルアセテートのようなアセテートエステル類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサンのようなエーテル類;メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンのようなケトン類;ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレンのような炭化水素類;1−シクロプロパン、1−シクロブタン、1−シクロヘキサン、シアノシクロヘキサン、シアノベンゼン、1,3−ジシアノプロパン、1,4−ジシアノブタン、1,6−ジシアノヘキサン、1,4−ジシアノシクロヘキサン、1,4−ジシアノベンゼンのような、シアノ基を有した炭化水素類;ピリジン;リチジンなどを使用することができる。前述の例示された有機溶剤は、溶質の溶解性、使用温度及び沸点、引火点の関係などによって、単独で、または少なくとも2種類の混合溶媒として使用することができる。それら有機溶剤を使用する場合、当該有機溶剤内で、本発明の技術的思想によるランタン化合物、及び他の前駆体の総量が、約0.01〜2.0mol/L、例えば、約0.05〜1.0mol/Lの量になるようにする。
【0056】
本発明の技術的思想による薄膜形成方法において、ランタン含有膜を形成するために、多成分系CVD工程を利用する場合、本発明の技術的思想によるランタン化合物と共に使用される他の前駆体の種類は、特に制限されるものではなく、CVD工程において原料化合物として使用可能な前駆体を使用することができる。
【0057】
一実施例において、本発明の技術的思想による薄膜形成方法で使用される他の前駆体は、アルコール化合物、グリコール化合物、β−ジケトン化合物、シクロペンタジエン化合物及び有機アミン化合物のうちから選択される少なくとも1つの有機配位化合物(organic coordination compound)と、シリコン及び金属のうちから選択されるいずれか一つとの化合物と、を含んでもよい。この有機配位化合物を構成する金属として、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、マンガン(Mn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、イットリウム(Y)、ニッケル(Ni)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)などが使用されるが、本発明の技術的思想は、前述の例示された金属に限定されるものではない。
【0058】
他の前駆体の有機配位化合物として使用可能なアルコール化合物の例として、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、第2ブチルアルコール、イソブチルアルコール、第3ブチルアルコール、ペンチルアルコール、イソペンチルアルコール、第3ペンチルアルコールのようなアルキルアルコール類;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−メトキシ−1−メチルエタノール、2−メトキシ−1,1−ジメチルエタノール、2−エトキシ−1,1−ジメチルエタノール、2−プロポキシ−1,1−ジエチルエタノール、2−ブトキシ−1,1−ジエチルエタノール、2−(2−メトキシエトキシ)−1,1−ジメチルエタノール、2−プロポキシ−1,1−ジエチルエタノール、2−s−ブトキシ−1,1−ジエチルエタノール、3−メトキシ−1,1−ジメチルプロパノールのようなエーテルアルコール類;及びジアルキルアミノアルコールを有することができるが、それらに限定されるものではない。
【0059】
他の前駆体の有機配位化合物として使用可能なグリコール化合物の例として、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2,4−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,4−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−ブタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ヘキサンジオール及び2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオールを有することができるが、それらに限定されるものではない。
【0060】
他の前駆体の有機配位化合物として使用可能なβ−ジケトン化合物の例として、アセチルアセトン、ヘキサン−2,4−ジオン、5−メチルヘキサン−2,4−ジオン、ヘプタン−2,4−ジオン、2−メチルヘプタン−3,5−ジオン、5−メチルヘプタン−2,4−ジオン、6−メチルヘプタン−2,4−ジオン、2,2−ジメチルヘプタン−3,5−ジオン、2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオン、2,2,6−トリメチルヘプタン−3,5−ジオン、2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオン、オクタン−2,4−ジオン、2,2,6−トリメチルオクタン−3,5−ジオン、2,6−ジメチルオキタン−3,5−ジオン、2,9−ジメチルノナン−4,6−ジオン、2−メチル−6−エチルデカン−3,5−ジオン、2,2−ジメチル−6−エチルデカン−3,5−ジオンのようなアルキル置換β−ジケトン類;1,1,1−トリフルオロペンタン−2,4−ジオン、1,1,1−トリフルオロ−5,5−ジメチルヘキサン−2,4−ジオン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロペンタン−2,4−ジオン、1,3−ジパーフルオロヘキシルプロパン−1,1−ジオンのようなフッ素置換アルキルβ−ジケトン類;及び1,1,5,5−テトラメチル−1−メトキシヘキサン−2,4−ジオン、2,2,6,6−テトラメチル−1−メトキシヘプタン−3,5−ジオン、2,2,6,6−テトラメチル−1−(2−メトキシエトキシ)ヘプタン−3,5−ジオンのようなエーテル置換β−ジケトン類を有することができるが、それらに限定されるものではない。
【0061】
他の前駆体の有機配位化合物として使用可能なシクロペンタジエン化合物の例として、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、エチルシクロペンタジエン、プロピルシクロペンタジエン、イソプロピルシクロペンタジエン、ブチルシクロペンタジエン、第2ブチルシクロペンタジエン、イソブチルシクロペンタジエン、第3ブチルシクロペンタジエン、ジメチルシクロペンタジエン、テトラメチルシクロペンタジエンなどを挙げることができるが、それらに限定されるものではない。
【0062】
他の前駆体の有機配位化合物として使用可能な有機アミン化合物の例として、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エチルメチルアミン、プロピルメチルアミン、イソプロピルメチルアミンなどを挙げることができるが、それらに限定されるものではない。
【0063】
本発明の技術的思想による薄膜形成方法において、本発明の技術的思想によって提供されるランタン化合物、またはランタン化合物と異なる前駆体との混合物を気化させた蒸気を、必要によって使用される反応性ガスと共に基板上に供給し、CVD工程によって、連続して前駆体を基板上で、分解及び/または反応させることにより、基板上にランタン含有膜を成長及び堆積させることができる。
本発明の技術的思想による薄膜形成方法において、原料化合物の運送供給方法、堆積方法、製造条件、製造設備などについては、特に制限を受けるものではなく、すでに知られている一般的な条件、方法を使用することが可能である。
【0064】
本発明の技術的思想による薄膜形成方法において使用可能な反応性ガスは、酸化性ガス、還元性ガスまたは窒素含有ガスを含んでもよい。
酸化性ガスの例として、酸素、オゾン、二酸化窒素、一酸化窒素、水蒸気、過酸化水素、ギ酸、酢酸、無水酢酸などを挙げることができる。
還元性ガスの例として、水素、アンモニア、有機金属化合物などを挙げることができる。
窒素含有ガスの例として、モノアルキルアミン・ジアルキルアミン・トリアルキルアミン・アルキレンジアミンのような有機アミン化合物、ヒドラジン、アンモニアなどを挙げることができる。
【0065】
本発明の技術的思想による薄膜形成方法において、原料化合物を反応チャンバまで供給するために、前述のような気体運送法、液体運送法、シングルソース法またはカクテルソース法を利用することができる。
本発明の技術的思想による薄膜形成方法において、ランタン含有膜を形成するために、気化された原料化合物、または気化された原料化合物、及び反応性ガスを、熱によって反応させて薄膜を形成する熱CVD工程、熱及びプラズマを使用して薄膜を形成するプラズマCVD工程、熱及び光を使用する光CVD工程、熱、光及びプラズマを使用する光プラズマCVD工程、または分子レベルで段階的に堆積を行うALD工程を利用することができるが、本発明の技術的思想は、前述の例示された工程にのみ限定されるものではない。
【0066】
本発明の技術的思想による薄膜形成方法において、ランタン含有膜を形成する薄膜形成条件として、反応温度(基板温度)、反応圧力、堆積速度などを挙げることができる。
該反応温度は、本発明の技術的思想によるランタン化合物、例えば、化学式2の構造を有するランタン化合物が十分に反応することができる温度、すなわち、一例において、約100℃、またはそれ以上の温度、他の例として、約150〜500℃の範囲内で選択されるが、前述の例示された温度に限定されるものではない。
該反応圧力は、熱CVD工程または光CVD工程の場合、大気圧ないし約10Paの範囲内で選択されるが、それに限定されるものではない。
【0067】
また、該堆積速度は、原料化合物の供給条件(例えば、気化温度及び気化圧力)、反応温度、反応圧力を調節して制御することができる。本発明の技術的思想による薄膜形成方法において、ランタン含有膜の堆積速度は、約0.01〜5,000nm/min、例えば、約0.1〜1,000nm/minの範囲内で選択されるが、前述の例示されたところに限定されるものではない。
ALD工程を利用してランタン含有膜を形成する場合、所望する厚みのランタン含有膜を制御するために、ALDサイクル回数を調節することができる。
【0068】
ALD工程を利用してランタン酸化膜を形成するとき、プラズマ、光、電圧などのエネルギを印加することができる。かようにエネルギを印加する時点は、多様に選択される。例えば、ランタン化合物を含むソースガスを反応チャンバ内部に導入するとき、ソースガスを基板上に吸着させるとき、パージガスによる排気工程時、反応性ガスを反応チャンバ内部に導入するとき、またはそれらそれぞれの時点間で、プラズマ、光、電圧などのエネルギを印加することができる。
【0069】
本発明の技術的思想による薄膜形成方法において、化学式2の構造を有するランタン化合物を使用して、ランタン含有膜を形成した後、不活性雰囲気下、酸化性雰囲気下または還元性雰囲気下でアニーリングする工程をさらに含んでもよい。または、ランタン含有膜の表面に形成された段差を埋め込むために、必要によって、ランタン含有膜に対して、リフロー工程を遂行することもできる。アニーリング工程及びリフロー工程は、それぞれ約250〜1,000℃、例えば、約300〜500℃の範囲内で選択される温度条件下で遂行されるが、前述の例示された温度に限定されるものではない。
【0070】
本発明の技術的思想による薄膜形成方法によれば、本発明の技術的思想による原料化合物、原料化合物と共に使用される他の前駆体、反応性ガス及び薄膜形成工程条件を適切に選択することにより、多種のランタン含有膜を形成することができる。一実施例において、本発明の技術的思想による薄膜形成方法によって形成されたランタン含有膜は、ランタン酸化物、ランタン窒化物またはランタンシリサイドからなるが、前述の例示したところに限定されるものではない。
【0071】
本発明の技術的思想による、ランタン化合物を含む薄膜形成用原料を使用して製造された薄膜は、成分が異なる前駆体、反応性ガス及び薄膜形成条件を適切に選択し、金属、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、ガラスのような所望する種類の薄膜を提供することができる。例えば、La膜に代表されるランタン酸化膜、La薄膜、LaとAlとの複合酸化物薄膜、La・Zr・Hfの複合酸化物薄膜、La・Si・Zr・Hfの複合酸化物薄膜、La・Ta・Nbの複合酸化物薄膜、La・Si・Ta・Nbの複合酸化物薄膜、Laドーピングされた強誘電体複合酸化物薄膜、Laドーピングされたガラス薄膜などを提供することができる。
【0072】
本発明の技術的思想による薄膜形成方法によって製造されたランタン含有膜は、多様な用途に使用される。例えば、ランタン含有膜は、トランジスタのゲート誘電膜、配線に使用される導電性バリア膜、抵抗膜、磁性膜、液晶用バリア金属膜、薄膜太陽電池用部材、半導体設備用部材、ナノ構造体、水素保存合金及びMEMS(micro electro mechanical systems)アクチュエータなどに使用されるが、前記ランタン含有膜の用途は、前述の例示された素子に限定されるものではない。
以下、本発明の技術的思想によるランタン化合物の合成例及び評価例について説明する。しかし、本発明の技術的思想は、以下の合成例及び評価例に記載されたところによって制限されるものではない。
【0073】
[合成例1]
化学式のランタン化合物の製造
アルゴン雰囲気において、反応フラスコに、ランタントリス(2−トリメチルシリルアミド)錯体40gと、脱水トルエン120gとを入れ、そこに、2mol分量のエチルシクロペンタジエン12.1gを室温で徐々に滴下させ、その後、40℃で5時間、続いて60℃で3時間加熱反応させた。得られた結果物を脱溶媒し、減圧下で40Paで150℃に加熱して昇華精製し、そこに、脱水トルエン20gを入れ、追加してジイソプロピルアセトアミジン5.5gを室温で徐々に滴下させた。50℃で3時間加熱した後、脱溶媒した。得られた結果物を、減圧下で30Pa、145〜160℃で蒸溜精製し、目的物13.0gを得た。
【0074】
(1)元素分析(金属分析:ICP−AES(inductively coupled plasma-atomic emission spectroscopy))
La:29.8%(理論値29.78%)、C:56.7%(理論値56.65%)、H:7.3%(理論値7.56%)、N:6.2%(理論値6.01%)
(2)H−NMR(nuclear magnetic resonance)(溶媒:hexadeuterobenzene)(chemical shift:多重度(multiplicity):H数(number of hydrogens))
(0.985:d:12H)、(1.235:t:6H)、(1.496:s:3H)、(2.588:q:4H)、(3.297:m:2H)、(6.161:d:8H)
(3)TGA(thermal gravimetric analysis)分析
TGA(Ar 100ml/min、10℃/min昇温、サンプル量9.771mg)
50質量%減少温度267.5℃
【0075】
図7は、合成例1で得られた化学式のランタン化合物のTGA分析結果を示したグラフである。
図8は、合成例1で得られた化学式のランタン化合物のDSC(differential scanning calorimetry)分析結果を示したグラフである。
図7及び図8の結果から、化学式のランタン化合物は、分解温度が比較的高く、熱的安定性にすぐれるということが分かる。
図9は、合成例1で得られた化学式のランタン化合物の粘度を分析した結果を示したグラフである。
図9の結果から、化学式のランタン化合物は、常温で粘度が非常に低いということが分かる。従って、化学式のランタン化合物を、薄膜蒸着工程でのソースガスとして使用するとき、粘度を低くするための別途の熱処理工程が必要なく、即座に気化させて薄膜蒸着のためのチャンバ内に供給される。
【0076】
[合成例2]
化学式のランタン化合物の製造
アルゴン雰囲気において、反応フラスコに、ランタントリス(2−トリメチルシリルアミド)錯体40gと脱水トルエン120gとを入れ、そこに、2mol分量のイソプロピルシクロペンタジエン13.9gを室温で徐々に滴下させ、その後、40℃で5時間、続いて60℃で3時間加熱反応させた。得られた結果物を脱溶媒し、減圧下で40Paで170℃に加熱して昇華精製し、そこに、脱水トルエン20gを入れ、追加してジイソプロピルアセトアミジン5.3gを室温で徐々に滴下させた。50℃で3時間加熱した後、脱溶媒した。得られた結果物を、減圧下で40Pa、160〜175℃で蒸溜精製し、目的物14.1gを得た。
【0077】
(1)元素分析(金属分析:ICP−AES)
La:28.0%(理論値28.09%)、C:58.2%(理論値58.29%)、H:7.9%(理論値7.95%)、N:5.9%(理論値5.66%)
(2)H−NMR(溶媒:hexadeuterobenzene)(chemical shift:多重度:H数)
(1.003:d:12H)、(1.271:t:12H)、(1.524:s:3H)、(2.933:m:2H)、(3.299:m:2H)、(6.197:m:8H)
(3)TGA分析
TGA(Ar 100ml/min、10℃/min昇温、サンプル量10.019mg)
50質量%減少温度274.0℃
【0078】
[合成例3]
化学式のランタン化合物の製造
アルゴン雰囲気において、反応フラスコに、ランタントリス(2−トリメチルシリルアミド)錯体40gと脱水トルエン120gとを入れ、そこに、2mol分量のイソプロピルシクロペンタジエン13.9gを室温で徐々に滴下させ、その後、40℃で5時間、続いて60℃で3時間加熱反応させた。得られた結果物を脱溶媒し、減圧下で40Paで170℃に加熱して昇華精製し、そこに、脱水トルエン20gを入れ、追加してジ−tert−ブチルアセトアミジン6.6gを室温で徐々に滴下させた。50℃で3時間加熱した後、脱溶媒した。得られた結果物を、減圧下で40Pa、175〜195℃で蒸溜精製し、目的物15.1gを得た。
【0079】
(1)元素分析(金属分析:ICP−AES)
La:26.3%(理論値26.58%)、C:59.8%(理論値59.76%)、H:8.4%(理論値8.29%)、N:5.5%(理論値5.36%)
(2)H−NMR(溶媒:hexadeuterobenzene)(chemical shift:多重度:H数)
(1.122:s:18H)、(1.313:d:12H)、(1.729:s:3H)、(2.991:m:2H)、(6.187:m:8H)
(3)TGA分析
TGA(Ar 100ml/min、10℃/min昇温、サンプル量9.740mg)
50質量%減少温度286.3℃
【0080】
[評価例]
ランタン酸化膜の形成
化学式のランタン化合物を原料にし、図3に例示した蒸着装置200Aを使用して、ALD工程によって、シリコン基板上にランタン酸化膜を形成した。
本評価例において、ALD工程時の反応温度(基板温度)は、175〜425℃であり、反応性ガスとして、O及びOを20:80の質量比で混合したガスを使用した。
本評価のために、次の(1)ないし(4)からなる一連の工程を1サイクルにして、100サイクル反復した。
【0081】
(1)気化された化学式のランタン化合物を反応チャンバ内に導入し、93Paの圧力下で10秒間基板上に吸着させる工程
(2)アルゴンを利用したパージ工程を10秒間遂行し、反応チャンバ内で未反応原料を除去する工程
(3)反応チャンバ内に反応性ガスを導入し、93Paの圧力下で10秒間反応させる工程
(4)アルゴンを利用したパージ工程を10秒間遂行し、反応チャンバ内で未反応原料を除去する工程

【0082】
図10は、前述の評価例において、ランタン酸化膜形成のための蒸着温度による蒸着速度を評価した結果を示したグラフである。
図10の評価結果から、約150〜375℃の温度範囲内において、安定したALD工程が行われるということが分かる。
図11は、前述の評価例において得られたランタン酸化膜のXPS(X-ray photoelectron spectroscopy)深さプロファイル分析結果を示したグラフである。
図11には、前述の評価例によって、基板上にランタン酸化膜を形成し、その上に、Alキャッピング膜を約30Å厚に形成した結果物の薄膜構造及び薄膜組成を確認した結果を示した。
図11の結果から、前述の評価例において得られた薄膜は、全部ランタン酸化膜であり、ALD工程の1サイクルごとに得られた厚みは、約0.05〜0.1nmであるということを確認した。
【0083】
図12Aは、本発明の技術的思想による一実施例による集積回路素子300の平面図であり、図12Bは、図12Aの集積回路素子300の斜視図である。
図12A及び図12Bを参照すれば、集積回路素子300は、基板302から突出したフィン型(fin-type)活性領域FAを含む。
【0084】
基板302は、SiまたはGeのような半導体、またはSiGe、SiC、GaAs、InAsまたはInPのような化合物半導体を含んでもよい。一実施例において、基板302は、III−V族物質及びIV族物質のうち少なくとも一つからなる。III−V族物質は、少なくとも1つのIII族原子と、少なくとも1つのV族原子とを含む二元系、三元系または四元系の化合物である。III−V族物質はIII族原子として、In、Ga及びAlのうち少なくとも1つの原子と、V族原子として、As、P及びSbのうち少なくとも1つの原子とを含む化合物である。例えば、III−V族物質は、InP、InGa1−zAs(0≦z≦1)及びAlGa1−zAs(0≦z≦1)から選択される。二元系化合物は、例えば、InP、GaAs、InAs、InSb及びGaSbのうちいずれか一つである。三元系化合物は、InGaP、InGaAs、AlInAs、InGaSb、GaAsSb及びGaAsPのうちいずれか一つである。IV族物質は、SiまたはGeである。
【0085】
しかし、本発明の技術的思想による集積回路素子において使用可能なIII−V族物質及びIV族物質は、前述の例示したところに限定されるものではない。III−V族物質と、GeのようなIV族物質は、低電力、高速のトランジスタを作ることができるチャンネル材料として利用される。Si基板に比べ、電子の移動度が高いIII−V族物質、例えば、GaAsからなる半導体基板と、Si基板に比べて正孔の移動度が高い半導体物質、例えば、Geからなる半導体基板とを利用して、高性能CMOS(complementary metal-oxide semiconductor)を形成することができる。一実施例において、基板302上に、NMOSトランジスタを形成する場合、基板302は、前述のところで例示したIII−V族物質のうちいずれか一つからなる。他の一実施例において、基板302上に、PMOSトランジスタを形成する場合、基板302は、Geからなる。他の例において、基板302は、SOI(silicon on insulator)構造を有することができる。基板302は、導電領域、例えば、不純物がドーピングされたウェル、または不純物がドーピングされた構造物を含んでもよい。
【0086】
フィン型活性領域FAは、一方向(図12A及び図12BにおいてY方向)に沿って延長されている。基板302上には、フィン型活性領域FAの下部側壁を覆う素子分離膜310が形成されている。フィン型活性領域FAは、素子分離膜310上にフィン状に突出している。一実施例において、素子分離膜310は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜、またはそれらの組み合わせからなるが、それらに限定されるものではない。
基板302上で、フィン型活性領域FA上には、前記フィン型活性領域FAの延長方向に交差する方向(X方向)に、ゲート構造体320が延長されている。フィン型活性領域FAにおいて、ゲート構造体320の両側には、1対のソース/ドレイン領域330が形成されている。
【0087】
1対のソース/ドレイン領域330は、フィン型活性領域FAからエピタキシャル成長された半導体層を含んでもよい。前記1対のソース/ドレイン領域330は、それぞれエピタキシャル成長された複数のSiGe層を含むエンベデッドSiGe構造、エピタキシャル成長されたSi層、またはエピタキシャル成長されたSiC層からなる。図12Bにおいて、1対のソース/ドレイン領域330が六角形断面形状を有するように例示したが、本発明の技術的思想は、それに限定されるものではなく、多様な形状を有することができる。例えば、1対のソース/ドレイン領域330は、円、楕円、多角形など多様な断面形状を有することができる。
【0088】
フィン型活性領域FAとゲート構造体320とが交差する部分において、MOSトランジスタTRが形成される。MOSトランジスタTRは、フィン型活性領域FAの上面及び両側面においてチャンネルが形成される三次元構造のMOSトランジスタからなる。MOSトランジスタTRは、NMOSトランジスタまたはPMOSトランジスタを構成することができる。
【0089】
図12Cは、図12AのX−X’線断面及びY−Y’線断面構成を示す断面図である。
図12Cを参照すれば、ゲート構造体320は、フィン型活性領域FAの表面から順に形成されたインターフェース層312、高誘電膜314、ランタン含有膜324、第1金属含有層326A、第2金属含有層326B及びギャップフィル金属層328を含んでもよい。ゲート構造体320において、第1金属含有層326A、第2金属含有層326B及びギャップフィル金属層328は、ゲート電極320Gを構成することができる。
【0090】
ゲート構造体320の両側面には、絶縁スペーサ342が形成される。絶縁スペーサ342を中心に、ゲート構造体320の反対側において絶縁スペーサ342を覆う層間絶縁膜344が形成される。
インターフェース層312は、フィン型活性領域FAの表面上に形成される。インターフェース層312は、酸化膜、窒化膜または酸窒化膜のような絶縁物質から形成される。インターフェース層312は、高誘電膜314と共に、ゲート絶縁膜を構成することができる。
【0091】
高誘電膜314は、シリコン酸化膜より誘電定数がさらに大きい物質からなる。例えば、高誘電膜314は、約10ないし25の誘電定数を有することができる。高誘電膜314は、ハフニウム酸化物、ハフニウム酸窒化物、ハフニウムシリコン酸化物、ジルコニウム酸化物、ジルコニウムシリコン酸化物、タンタル酸化物、チタン酸化物、バリウムストロンチウムチタン酸化物、バリウムチタン酸化物、ストロンチウムチタン酸化物、イットリウム酸化物、アルミニウム酸化物、鉛スカンジウムタンタル酸化物及び鉛亜鉛ニオブ酸塩、及びそれらの組み合わせのうちから選択される物質からなるが、高誘電膜314を構成する物質は、前述の例示されたものに限定されるものではない。
【0092】
高誘電膜314は、ALD、CVD、PVD(physical vapor deposition)のような多様な蒸着方法を介して形成される。一方、その後、ランタン含有膜324からのランタン原子の拡散量を調節するために、高誘電膜314を形成するとき、膜質構造及び厚みなどが調節され、また高誘電膜314に対する熱処理が行われもする。
一実施例において、ランタン含有膜324は、La薄膜からもなるが、それに限定されるものではない。
【0093】
トランジスタのスレショルド電圧を調節するための1つの方法として、インターフェース層312と高誘電膜314との界面に、La原子を注入させる方法を利用することができる。ランタン含有膜324は、インターフェース層312と高誘電膜314との界面に注入するLa原子のソースとして利用される。拡散工程を介して、ランタン含有膜324から、インターフェース層312と高誘電膜314との界面にLa原子を供給することができる。インターフェース層312と高誘電膜314との界面に存在するLa原子は、インターフェース層312の構成物質、例えば、SiOまたはSiONの物質とダイポール(dipole)を形成することにより、ゲート構造体320とフィン型活性領域FAとを含むトランジスタのスレショルド電圧Vthを変化させることができる。
【0094】
第1金属含有層326Aは、ランタン含有膜324を覆うように形成され、Tiの窒化物、Taの窒化物、Tiの酸窒化物、またはTaの酸窒化物を含んでもよい。例えば、第1金属含有層326Aは、TiN、TaN、TiAlN、TaAlN、TiSiN、またはそれらの組み合わせからなる。
第1金属含有層326Aは、ALD、CVD、PVDなど多様な蒸着方法を介して形成される。また、ランタン含有膜324からのLa原子の拡散量を調節するために、第1金属含有層326Aを形成するとき、膜質構造、金属成分の組成、厚み、工程温度及び工程時間などが調節される。また、第1金属含有層326Aの形成後、熱処理が行われもする。
第2金属含有層326Bは、第1金属含有層326A上に形成されたものであり、前記第1金属含有層326Aと共に、ゲート構造体320の仕事関数を調節する役割を行う。第1金属含有層326A及び第2金属含有層326Bの仕事関数調節によって、ゲート構造体320のスレショルド電圧が調節される。
【0095】
一実施例において、第2金属含有層326Bは、TiまたはTaを含んだAl化合物を含むNMOSトランジスタに必要なN型金属含有層からなる。例えば、第2金属含有層326Bは、TiAlC、TiAlN、TiAlCN、TiAl、TaAlC、TaAlN、TaAlCN、TaAl、またはそれらの組み合わせからなる。
他の一実施例において、第2金属含有層326Bは、PMOSトランジスタに必要なP型金属含有層からなる。例えば、第2金属含有層326Bは、Mo、Pd、Ru、Pt、TiN、WN、TaN、Ir、TaC、RuN及びMoNのうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0096】
第2金属含有層326Bは、単一層または多重層からなる。
第2金属含有層326BがAlを含む場合、第2金属含有層326B内のAl原子が、拡散を介して、第1金属含有層326Aに注入されることにより、第2金属含有層326Bを含むトランジスタの仕事関数が調節され、スレショルド電圧が決定される。また、第1金属含有層326Aと第2金属含有層326Bとの間から電子が移動し、仕事関数が調節されもする。
【0097】
一実施例において、第1金属含有層326Aは、ランタン含有膜324から拡散されてきたLa原子を含んでもよい。第1金属含有層326Aに注入されたLa原子は、第1金属含有層326A内の電荷量密度に影響を及ぼし、それによって、スレショルド電圧を変化させることができる。電荷量密度に対するLa原子の影響性は、第1金属含有層326A内のAl組成、またはAl原子の量によって異なる。例えば、第1金属含有層326A内のAl原子の量が多いほど、La原子の有無によるスレショルド電圧の差が大きくなる。
インターフェース層312と高誘電膜314との界面に注入されるLa原子の量は、第1金属含有層326A内のAlを含む物質の組成または含量によって変化しない。従って、半導体素子の信頼性及び性能低下の問題なしに、スレショルド電圧を変化させることができる。
【0098】
ギャップフィル金属層328は、RMG(replacement metal gate)工程によってゲート構造体320を形成するとき、第2金属含有層326B上に残るゲート空間を充填するように形成される。第2金属含有層326Bを形成した後、第2金属含有層326B上部に残っているゲート空間がない場合、第2金属含有層326B上にギャップフィル金属層328が形成されずに省略されもする、
ギャップフィル金属層328は、W・TiN・TaNなどの金属窒化物、Al、金属炭化物、金属シリサイド、金属アルミニウム炭化物、金属アルミニウム窒化物、金属シリコン窒化物などを含むグループのうちから選択された物質を含んでもよい。
【0099】
図12Aないし図12Cに例示した集積回路素子300は、インターフェース層312と高誘電膜314との界面に、La原子を含む。また、界面の上部にある第1金属含有層326Aにも、La原子を含んでもよい。それによって、精密に制御されたスレショルド電圧を有するトランジスタを具現することができる。
図12Aないし図12Cを参照し、三次元構造のチャンネルを具備するFinFET(fin field-effect transistor)を含む集積回路素子について説明したが、本発明の技術的思想は、前述のところに限定されるものではない。例えば、前述のような本発明の技術的思想の範囲内において、本発明の技術的思想の多様な変形及び変更を介して、本発明の技術的思想による特徴を有する水平型(planar)MOSFETを含む集積回路素子及びその製造方法を提供することができるということは、当業者であるならば、周知のところであろう。
【0100】
図13Aないし図13Gは、図12Aないし図12Cに例示した集積回路素子の製造方法について説明するために、工程順序によって図示した断面図である。
図13Aないし図13Gは、図12AのX−X’線断面及びY−Y’線断面に対応する断面図である。図13Aないし図13Gにおいて、図12Aないし図12Cと同一の参照符号は、同一部材を示し、ここでは、それらに係わる詳細な説明を省略する。
図13Aを参照すれば、基板302を上部から一部エッチングし、フィン型活性領域FAを形成する。
フィン型活性領域FAは、基板302上において、一方向(Y方向)に延長する構造に形成される。
【0101】
図13Bを参照すれば、フィン型活性領域FAの下部に、フィン型活性領域FAの量側壁を覆う素子分離膜310を形成する。
素子分離膜310が形成された後、フィン型活性領域FAの上部が、素子分離膜310上に突出した構造を有することができる。
図13Cを参照すれば、フィン型活性領域FAの上部を覆う、ダミーゲート絶縁膜314D及びダミーゲート電極320Dを含むダミーゲート構造体DGを形成し、ダミーゲート構造体DGの両側壁を覆う絶縁スペーサ342を形成した後、フィン型活性領域FAにおいて、ダミーゲート構造体DGの両側に、それぞれソース/ドレイン領域330(図12B)を形成し、前記ダミーゲート構造体DGの両側において、ソース/ドレイン領域330を覆う層間絶縁膜344を形成する。
【0102】
ダミーゲート構造体DGは、前記フィン型活性領域FAの延長方向に交差する方向(X方向)に延長するように形成される。
一実施例において、ダミーゲート絶縁膜314Dは、シリコン酸化膜からなり、ダミーゲート電極320Dは、ポリシリコンからなり、絶縁スペーサ342は、シリコン窒化膜からなる。層間絶縁膜344は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、またはそれらの組み合わせからなる。
図13Dを参照すれば、層間絶縁膜344を介して露出されるダミーゲート構造体DGを除去し、1対の絶縁スペーサ342間にあるゲート空間GSを介して、フィン型活性領域FAを露出させる。
【0103】
図13Eを参照すれば、ゲート空間GSを介して露出されるフィン型活性領域FAの表面に、インターフェース層312及び高誘電膜314を順に形成した後、化学式2の構造を有する、本発明の技術的思想によるランタン化合物を含むランタン前駆体組成物を使用して、前記高誘電膜314上にランタン含有膜324を形成する。
一実施例において、ランタン含有膜324を形成するために、図1を参照して説明したような方法によって得られたランタン化合物(PRODUCT)のみからなるランタン前駆体組成物を使用することができる。
【0104】
他の一実施例において、前記ランタン含有膜324を形成するために、図1を参照して説明したような方法によって得られたランタン化合物(PRODUCT)と、Si含有化合物とを含むランタン前駆体組成物を使用することができる。Si含有化合物は、反応式3による反応物である化学式1のSi含有中間体(A−2)からなる。Si含有化合物は、ランタン前駆体組成物の総量を基準に、約10〜100ppbの量で含まれてもよい。
その後、ランタン含有膜324上に、第1金属含有層326Aを形成する。
【0105】
一実施例において、ランタン含有膜324及び第1金属含有層326Aが形成される間、基板302上の他の領域(図示せず)においても、高誘電膜314上に、ランタン含有膜324及び第1金属含有層326Aが形成され、他の領域においては、ランタン含有膜324及び第1金属含有層326Aの不要な領域がありえる。その場合、前記ランタン含有膜324及び第1金属含有層326Aの不要な領域は露出させ、ランタン含有膜324及び第1金属含有層326Aの必要な領域は覆うように、マスクパターン350を形成し、マスクパターン350を利用して、ランタン含有膜324及び第1金属含有層326Aにおいて不要な部分を除去し、高誘電膜314を露出させる工程を遂行することができる。
図13Fを参照すれば、図13Eの結果物からマスクパターン350を除去した後、ゲート空間GSにおいて第1金属含有層326Aが露出された結果物を熱処理(HT)する。
【0106】
一実施例において、熱処理(HT)は、約400〜600℃の温度で約5分〜1時間遂行されるが、前述の例示したところに限定されるものではない。
熱処理(HT)によって、ランタン含有膜324から、La原子が、インターフェース層312と高誘電膜314との界面に拡散することができる。
熱処理(HT)の結果によって、インターフェース層312と高誘電膜314との界面に拡散するLa原子の量は、多様な方法によって調節される。例えば、高誘電膜314の膜質または膜厚、熱処理(HT)温度などを利用して、インターフェース層312と高誘電膜314との界面に存在するLa原子の量を調節することができる。
一実施例において、図13Fを参照して説明した熱処理(HT)工程は、省略可能である。
【0107】
図13Gを参照すれば、ゲート空間GSで露出される第1金属含有層326A上に、第2金属含有層326B及びギャップフィル金属層328を順に形成した後、層間絶縁膜344の上面が露出されるように、平坦化工程、例えば、CMP(chemical mechanical polishing)工程を遂行し、図12Aないし図12Cに例示した集積回路素子300を完成することができる。
図13Aないし図13Gを参照して説明した集積回路素子300の製造方法において、ランタン含有膜324から、La原子がインターフェース層312と高誘電膜314との界面に拡散し、その結果、インターフェース層312と高誘電膜314との界面に存在するLa原子の量によって、トランジスタのスレショルド電圧が追加して変化する。それによって、スレショルド電圧を制御するための手段が追加されることにより、さらに精密に制御されたスレショルド電圧を有し、集積回路素子の信頼性を向上させることができる。
【0108】
また、図13Eを参照して説明したランタン含有膜324の形成のために、化学式2の構造を有する本発明の技術的思想によるランタン化合物を前駆体として使用するALD工程を利用することができる。ランタン含有膜324を形成するためのALD工程において、化学式2の構造を有する本発明の技術的思想によるランタン化合物は、ALD工程の原料化合物として要求される特性、例えば、低い融点、高い蒸気圧、液体状態での輸送可能性、気化容易性及び高い熱安定性を提供する。従って、化学式2の構造を有する本発明の技術的思想によるランタン化合物を使用して、ランタン含有膜324を形成する工程が容易である。
【0109】
図14は、本発明の技術的思想による他の実施例による集積回路素子400の等価回路図である。図14には、垂直チャンネル構造を有する垂直構造のナンド(NAND)フラッシュメモリ素子の等価回路図を例示的に図示している。
メモリセルアレイ410は、三次元構造を有する。メモリセルアレイ410は、垂直方向に延長するす複数のセルストリングCS11,CS12,CS21,CS22を含んでもよい。それぞれのセルストリングCS11,CS12,CS21,CS22は、直列に連結された接地選択トランジスタGST、複数のメモリセルトランジスタMC1,MC2,・・・,MC8及びストリング選択トランジスタSST1,SST2を含んでもよい。図14には、複数のセルストリングCS11,CS12,CS21,CS22に1つの接地選択トランジスタGST、及び2つのストリング選択トランジスタSST1,SST2が連結されているところが図示されたが、セルストリングCS11,CS12,CS21,CS22に連結される接地選択トランジスタGST及びストリング選択トランジスタSST1,SST2の個数は、例示されたところに限定されるものではない。また、複数のメモリセルトランジスタMC1,MC2,・・・,MC8の個数も、例示されたところに限定されるものではない。
【0110】
複数のセルストリングCS11,CS12,CS21,CS22それぞれのストリング選択トランジスタSST1,SST2は、対応するビットラインBL1,BL2に連結される。また、複数のセルストリングCS11,CS12,CS21,CS22のストリング選択トランジスタSST1,SST2は、ストリング選択ラインSSL11,SSL12,SSL21,SSL22に連結される。複数のセルストリングCS11,CS12,CS21,CS22の接地選択トランジスタGSTは、接地選択ラインGSLによって連結される。共通ソースラインCSLは、それぞれのセルストリングCS11,CS12,CS21,CS22の接地選択トランジスタGSTに連結される。
同一高に位置する複数のメモリセルトランジスタMC1,MC2,・・・,MC8は、同一ゲートラインWL1,WL2,・・・,WL8に連結される。例えば、接地選択トランジスタGSTと連結されている第1メモリセルトランジスタMC1は、隣接した列の第1メモリセルトランジスタMC1と、ゲートラインWL1を介して連結される。
【0111】
図14に例示した集積回路素子400は、化学式2の構造を有する本発明の技術的思想によるランタン化合物を使用して得られたランタン含有膜を含んでもよい。
図15は、本発明の技術的思想によるランタン含有膜を含む集積回路素子の一例について説明するための図であり、図14に例示した集積回路素子400のメモリセルアレイ410を構成することができる例示的な不揮発性メモリ素子400Aの一部構成の斜視図である。図15には、図14に例示したビットラインBL1,BL2が省略されている。
【0112】
図15を参照すれば、不揮発性メモリ素子400Aは、基板402上に順に形成された接地選択トランジスタGST1,GST2、複数のメモリセルMC1,MC2,・・・,MCn及びストリング選択トランジスタSST1,SST2を含んでもよい。接地選択トランジスタGST1,GST2、複数のメモリセルMC1,MC2,・・・,MCn及びストリング選択トランジスタSST1,SST2それぞれの間には、絶縁層572が配置される。
【0113】
基板402についての詳細な事項は、図12Aないし図12Cを参照し、基板302について説明したところと概して同一である。
基板402の一部領域上に、チャンネル層420が垂直に延長されている。複数のメモリセルMC1,MC2,・・・,MCn、接地選択トランジスタGST1,GST2及びストリング選択トランジスタSST1,SST2を構成する第1制御ゲート電極432、第2制御ゲート電極434及び第3制御ゲート電極436が、チャンネル層420の側壁に沿って配列される。
【0114】
第1制御ゲート電極432、第2制御ゲート電極434及び第3制御ゲート電極436と、チャンネル層420との間に、ストレージ構造体440が介在されている。ストレージ構造体440は、第1制御ゲート電極432、第2制御ゲート電極434及び第3制御ゲート電極436の表面に沿って連続して延長される。チャンネル層420の内部には、埋め込み絶縁膜421が充填される。
【0115】
ストレージ構造体440は、化学式2の構造を有する本発明の技術的思想によるランタン化合物を使用して得られたランタン含有膜448を含む。図15には、ストレージ構造体440が、チャンネル層420表面から順に積層されたトンネリング絶縁層442、電荷保存層444、ブロッキング絶縁層446及びランタン含有膜448を含む場合を例示しているが、それらの積層順序が、例示されたところに限定されるものではない。ストレージ構造体440は、ゲート絶縁膜として機能することができる。
【0116】
一実施例において、トンネリング絶縁層442は、シリコン酸化物からなり、電荷保存層444は、シリコン窒化物からなり、ブロッキング絶縁層446は、アルミニウム酸化物からなり、ランタン含有膜448は、Laからなるが、ストレージ構造体440を構成する物質は、前述の例示したところに限定されるものではない。
複数のメモリセルMC1,MC2,・・・,MCnは、それぞれストレージ構造体440と電気的に連結可能な第1制御ゲート電極432を含んでもよい。接地選択トランジスタGST1,GST2は、ストレージ構造体440と電気的に連結可能な第2制御ゲート電極434を含んでもよい。ストリング選択トランジスタSST1,SST2は、ストレージ構造体440と電気的に連結可能な第3制御ゲート電極436を含んでもよい。
【0117】
第1制御ゲート電極432、第2制御ゲート電極434及び第3制御ゲート電極436は、ストレージ構造体440のランタン含有膜448に接する導電性バリア膜と、導電性バリア膜上に形成された導電膜と、を含んでもよい。導電膜は、導電性ポリシリコン、金属、金属シリサイド、またはそれらの組み合わせからもなる。例えば、導電膜は、チタンシリサイド、タンタルシリサイド、タングステンシリサイド、コバルトシリサイドまたはランタンシリサイドからもなる。
【0118】
基板402の上部領域に形成されたソース領域404上に、共通ソースライン462が形成されている。チャンネル層420と共通ソースライン462との間には、接地選択トランジスタGST1,GST2、複数のメモリセルMC1,MC2,・・・,MCn及びストリング選択トランジスタSST1,SST2が位置することができる。共通ソースライン462の側壁は、絶縁スペーサ464で覆われている。
【0119】
図15に例示した不揮発性メモリ素子400Aにおいて、ストレージ構造体440は、ブロッキング絶縁層446と、第1制御ゲート電極432、第2制御ゲート電極434及び第3制御ゲート電極436との間に介在されたランタン含有膜448を含む。それによって、ストレージ構造体440に、ランタン含有膜448からなる高誘電膜を含むことにより、集積回路素子の信頼性を向上させることができる。
図15に例示した不揮発性メモリ素子400Aにおいて、ストレージ構造体440に含まれたランタン含有膜448は、化学式2の構造を有する、本発明の技術的思想によるランタン化合物を使用するALD工程によって形成される。
【0120】
一実施例において、ランタン含有膜448を形成するために、図1を参照して説明したような方法によって得られたランタン化合物(PRODUCT)のみからなるランタン前駆体組成物を使用することができる。
他の一実施例において、ランタン含有膜448を形成するために、図1を参照して説明したような方法によって得られたランタン化合物(PRODUCT)と、Si含有化合物とを含むランタン前駆体組成物を使用することができる。Si含有化合物は、反応式3による反応物である化学式1のSi含有中間体(A−2)からなる。Si含有化合物は、ランタン前駆体組成物の総量を基準に、約10〜100ppbの量で含まれてもよい。
【0121】
ランタン含有膜448を形成するためのALD工程において、化学式2の構造を有する本発明の技術的思想によるランタン化合物は、原料化合物として要求される特性、例えば、低い融点、高い蒸気圧、液体状態での輸送可能性、気化容易性及び高い熱安定性を提供する。従って、化学式2の構造を有する本発明の技術的思想によるランタン化合物を使用して、ランタン含有膜448を形成する工程が容易である。また、不揮発性メモリ素子400Aのストレージ構造体440を形成するために、比較的大きいアスペクト比を有するホール内部に、化学式2の構造を有する本発明の技術的思想によるランタン化合物を供給するとき、ホール内部において、ホールの深さによって、均一なステップカバレージ特性が得られる。
【0122】
図16は、本発明の技術的思想による実施例による集積回路素子500のセルアレイ領域の概略的な平面レイアウトである。
図16を参照すれば、集積回路素子500は、複数の活性領域ACを含む。複数のワードラインWLが、複数の活性領域ACを横切って、第1方向(図16でX方向)に沿って相互平行に延長されている。複数のワードラインWLは、互いに等間隔に配置される。複数のワードラインWL上には、複数のビットラインBLが、第1方向と直交する第2方向(図16でY方向)に沿って相互平行に延長されている。
【0123】
複数のビットラインBLは、複数のダイレクトコンタクト(DC)を介して、複数の活性領域ACに連結されている。
複数のベリードコンタクト(BC:buried contact)は、複数のビットラインBLにおいて、相互隣接した2本のビットラインBL間の領域から、相互隣接した2本のビットラインBLのうちいずれか1本のビットラインBLの上部まで延長されるコンタクト構造物によって構成される。一実施例において、複数のベリードコンタクト(BC)は、第1方向及び第2方向に沿って一列に配列される。一実施例において、複数のベリードコンタクト(BC)は、第2方向に沿って等間隔に配置される。複数のベリードコンタクト(BC)は、キャパシタの下部電極STを活性領域ACに電気的に連結させる役割を行う。
【0124】
図16に例示した集積回路素子500は、化学式2の構造を有する、本発明の技術的思想によるランタン化合物から得られたランタン含有膜を含んでもよい。
図17Aないし図17Cは、化学式2の構造を有する、本発明の技術的思想によるランタン化合物から得られたランタン含有膜を含む集積回路素子の一例について説明するための図であり、図16に例示した集積回路素子500のセルアレイ領域を構成することができる例示的な半導体メモリ素子500Aの一部構成の断面図である。図17Aは、図16のA−A’線断面に対応する一部構成の断面図である。図17Bは、図16のB−B’線断面に対応する一部構成の断面図である。図17Cは、図16のC−C’線断面に対応する一部構成の断面図である。
【0125】
図17Aないし図17Cを参照すれば、半導体メモリ素子500Aの基板502には、素子分離膜504によって、複数の活性領域ACが定義されている。
基板502に係わるさらに詳細な事項は、図12Aないし図12Cを参照して基板302について説明した通りである。
基板502には、複数のワードライントレンチ518が形成されている。複数のワードライントレンチ518は、相互平行に延長され、それぞれ複数の活性領域ACを横切るライン形状を有することができる。
【0126】
図17Bに例示されているように、底面に段差が形成された前記複数のワードライントレンチ518を形成するために、素子分離膜504及び基板502を、それぞれ別途のエッチング工程でエッチングし、素子分離膜504のエッチング深さと、基板502のエッチング深さとが互いに異なるようにする。
複数のワードライントレンチ518内には、それぞれゲート誘電膜520、ワードライン522及び埋没絶縁膜524が順に形成されている。
ゲート誘電膜520は、化学式2の構造を有する、本発明の技術的思想によるランタン化合物から得られたランタン含有膜からなる。例えば、ゲート誘電膜520は、La膜からなる。
【0127】
一実施例において、ゲート誘電膜520を形成するために、図1を参照して説明したような方法によって得られたランタン化合物(PRODUCT)のみからなるランタン前駆体組成物を使用することができる。
他の一実施例において、ゲート誘電膜520を形成するために、図1を参照して説明したような方法によって得られたランタン化合物(PRODUCT)と、Si含有化合物とを含むランタン前駆体組成物を使用することができる。Si含有化合物は、反応式3による反応物である化学式1のSi含有中間体(A−2)からなる。Si含有化合物は、ランタン前駆体組成物の総量を基準に、約10〜100ppbの量で含まれてもよい。
【0128】
ワードライン522は、ゲート誘電膜520を覆う導電性バリア膜と、導電性バリア膜上で、ワードライントレンチ518の下部を充填する導電膜と、からなる。一実施例において、導電性バリア膜は、Ti、TiN、Ta、Ta、TaN、またはそれらの組み合わせからなり、導電膜は、W、WN、TiSiN及びWSiNのうちから選択される少なくとも1つの物質からなるが、導電性バリア膜及び導電膜の構成物質は、前述の例示したところに限定されるものではない。
【0129】
複数の活性領域ACの上面には、ソース/ドレイン領域が形成される。
複数のワードライン522それぞれの上面は、基板502の上面より低いレベルに位置する。複数のワードライン522の底面は、凹凸形状を有し、複数の活性領域ACには、サドルピン構造のトランジスタ(saddle FINFET)が形成される。
複数の埋没絶縁膜524は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜、またはそれらの組み合わせからなる。
【0130】
基板502上には、絶縁膜パターン530が形成されている。絶縁膜パターン530は、シリコン酸化物を含んでもよい。絶縁膜パターン530は、複数の活性領域ACにおいて、複数のソース領域ACSを露出させる複数の開口530Hを含んでもよい。複数の開口530H内には、活性領域ACのソース領域ACSに電気的に連結可能な複数のダイレクトコンタクト532が形成される。
【0131】
絶縁膜パターン530及び複数のダイレクトコンタクト532上には、複数のビットライン積層構造540が相互平行に延長されるように形成される。複数のビットライン積層構造540は、複数のビットライン542と、複数のビットライン542の上面を覆う複数の絶縁キャッピングライン544と、を含む。複数のビットライン542は、複数のダイレクトコンタクト532と電気的に連結される。
【0132】
一実施例において、複数のビットライン542は、不純物がドーピングされた半導体、金属、導電性金属窒化物または金属シリサイドのうちから選択される少なくとも1つの物質を含んでもよい。他の一実施例において、複数のビットライン542は、第1金属シリサイド膜、導電性バリア膜、第2金属シリサイド膜、及び金属または金属窒化物からなる電極層が順に積層された多重層構造からもなる。例えば、複数のビットライン542は、ドーピングされたポリシリコン、TiN及びタングステンが順次に積層された積層構造を有することができる。
【0133】
一実施例において、複数の絶縁キャッピングライン544は、シリコン窒化膜からなる。
複数のビットライン積層構造540の両側壁は、絶縁スペーサ552,554で覆われている。絶縁スペーサ552,554は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、またはそれらの組み合わせからなる。
本例においては、絶縁スペーサ552,554が二重層からなる場合を例示したが、本発明の技術的思想は、それに限定されるものではなく、単一層または三重層からもなる。
【0134】
図17Aに例示されているように、複数のビットライン積層構造540それぞれの間には、絶縁スペーサ552,554によって、X方向の幅が限定される複数のベリードコンタクトホールBCH内には、複数のベリードコンタクトプラグBCPが形成されている。複数のベリードコンタクトプラグBCPは、基板502の活性領域ACに接するランタン含有膜560Aと、ランタン含有膜560Aをコンフォーマル(conformal)に覆う導電性バリア膜560Bと、前記導電性バリア膜560B上で、複数のビットライン積層構造540それぞれ間の空間を充填するコンタクトプラグ560Cと、を含む。
ランタン含有膜560Aは、化学式2の構造を有する、本発明の技術的思想によるランタン化合物から得られる。例えば、ランタン含有膜560Aは、La膜からもなる。ランタン含有膜560Aは、前記絶縁スペーサ552,554の側壁と、活性領域ACの表面とをコンフォーマルに覆うように形成される。
【0135】
一実施例において、ランタン含有膜560Aを形成するために、図1を参照して説明したような方法によって得られたランタン化合物(PRODUCT)のみからなるランタン前駆体組成物を使用することができる。
他の一実施例において、ランタン含有膜560Aを形成するために、図1を参照して説明したような方法によって得られたランタン化合物(PRODUCT)と、Si含有化合物とを含むランタン前駆体組成物を使用することができる。Si含有化合物は、反応式3による反応物である化学式1のSi含有中間体(A−2)からなる。Si含有化合物は、ランタン前駆体組成物の総量を基準に、約10〜100ppbの量で含まれてもよい。
【0136】
導電性バリア膜560Bは、Ti、TiN、Ta、Ta、TaN、またはそれらの組み合わせからなり、前記コンタクトプラグ560Cは、W、WN、TiSiN及びWSiNのうちから選択される少なくとも1つの物質からもなるが、導電性バリア膜560B及びコンタクトプラグ560Cの構成物質は、前述の例示したところに限定されるものではない。
【0137】
図17Cにおいて、複数のベリードコンタクトプラグBCPは、複数のビットライン積層構造540それぞれ間の空間から、複数のビットライン積層構造540の上部まで延長される形状を有するように例示されている。しかし、本発明の技術的思想は、例示されているところに限定されるものではない。例えば、複数のベリードコンタクトプラグBCPは、複数のビットライン積層構造540それぞれ間の空間内にのみ形成されもする。
【0138】
複数のベリードコンタクトプラグBCPが、活性領域ACに直接接するランタン含有膜560Aを含むことにより、ランタン含有膜560Aを介して、複数のベリードコンタクトプラグBCPと活性領域ACとの間に、オーミックコンタクトがなされる。それによって、活性領域ACとビットライン積層構造540との間で抵抗が低くなり、漏れ電流を減少させることができる。また、高度にスケーリングされた超微細サイズを有する集積回路素子を製造するための工程において、複数のベリードコンタクトプラグBCPを形成する空間が非常に狭くて深い場合、かように狭くて深い空間の底面において、活性領域AC表面に、金属シリサイド膜を形成する必要がなく、製造工程が単純化され、狭くて深い空間内でも、所望する形状及びプロファイルを有するベリードコンタクトプラグBCPを形成することができる。
【0139】
図17Bに例示されているように、複数のビットライン積層構造540それぞれの間において、複数のベリードコンタクトプラグBCPそれぞれの間には、絶縁パターン588が形成されている。
複数のビットライン積層構造540は、絶縁パターン580によって、相互離隔されている。絶縁パターン580は、シリコン窒化膜からもなるが、それに限定されるものではない。
複数のベリードコンタクトプラグBCPにおいて、複数のビットライン積層構造540の上部にある部分は、複数のベリードコンタクトプラグBCPをキャパシタ(図示せず)に連結させるためのランディングパッド(landing pads)として利用される。
【0140】
図18Aは、本発明の技術的思想による実施例による集積回路素子800の斜視図である。図18Bは、図18AのB−B’線断面図である。
図18A及び図18Bを参照すれば、集積回路素子800は、ベース基板802上の絶縁膜804上に配置されている第1パッド領域806及び第2パッド領域808を含む。
ベース基板802は、Si、Geのような半導体元素、またはSiC、GaAs、InAs、InPのような化合物半導体物質を含んでもよい。絶縁膜804は、酸化物からなる。
【0141】
第1パッド領域806及び第2パッド領域808は、ナノワイヤ(nanowire)形状の半導体ボディ810を介して相互連結されている。半導体ボディ810は、第1パッド領域806及び第2パッド領域808の間において、ベース基板802の主面延長方向と平行な第1方向(X方向)に延長されている。
第1パッド領域806及び第2パッド領域808と、半導体ボディ810は、一体に形成される。第1パッド領域806及び第2パッド領域808と、半導体ボディ810との構成材料は、図12Aないし図12Cを参照し、基板302について説明した通りである。
【0142】
一実施例において、半導体ボディ810は、約30nm以下の直径(D)を有することができる。例えば、半導体ボディ810は、約20nm以下の直径(D)を有することができる。
集積回路素子800は、半導体ボディ810を取り囲む誘電層構造物830と、誘電層構造物830を挟んで、半導体ボディ810を覆うゲート電極840と、を含む。
誘電層構造物830は、化学式2の構造を有する、本発明の技術的思想によるランタン化合物から得られたランタン含有膜を含んでもよい。
【0143】
一実施例において、誘電層構造物830を形成するために、図1を参照して説明したような方法によって得られたランタン化合物(PRODUCT)のみからなるランタン前駆体組成物を使用することができる。
他の一実施例において、誘電層構造物830を形成するために、図1を参照して説明したような方法によって得られたランタン化合物(PRODUCT)と、Si含有化合物とを含むランタン前駆体組成物を使用することができる。Si含有化合物は、反応式3による反応物である化学式1のSi含有中間体(A−2)からなる。Si含有化合物は、ランタン前駆体組成物の総量を基準に、約10〜100ppbの量で含まれてもよい。
【0144】
ゲート電極840は、金属または導電性金属窒化物を含んでもよい。一実施例において、前記ゲート電極840は、図12Aないし図12Cを参照し、ゲート電極320Gについて説明したものと類似した積層構造を有することができる。
半導体ボディ810において、ゲート電極840を中心に、その両側には、不純物によってドーピングされた、ソース領域812及びドレイン領域814が形成される。
【0145】
図19は、本発明の技術的思想による実施例による集積回路素子900の斜視図である。図19において、図18A及び図18Bと同一参照符号は、同一部材を示し、ここでは、それらに係わる詳細な説明は省略する。
図19を参照すれば、集積回路素子900は、ベース基板802上の絶縁膜804上に配置されている半導体層910を含む。半導体層910は、ベース基板802の主面に垂直である方向に延長される半導体ボディ912を含んでもよい。集積回路素子900は、半導体ボディ912を取り囲む誘電層構造物930と、誘電層構造物930を挟んで、半導体ボディ912を覆うゲート電極940と、を含む。
【0146】
誘電層構造物930は、化学式2の構造を有する、本発明の技術的思想によるランタン化合物から得られたランタン含有膜を含んでもよい。
一実施例において、誘電層構造物930を形成するために、図1を参照して説明したような方法によって得られたランタン化合物(PRODUCT)のみからなるランタン前駆体組成物を使用することができる。
【0147】
他の一実施例において、誘電層構造物930を形成するために、図1を参照して説明したような方法によって得られたランタン化合物(PRODUCT)と、Si含有化合物とを含むランタン前駆体組成物を使用することができる。Si含有化合物は、反応式3による反応物である化学式1のSi含有中間体(A−2)からなる。Si含有化合物は、ランタン前駆体組成物の総量を基準に、約10〜100ppbの量で含まれてもよい。
ゲート電極940は、金属または導電性金属窒化物を含んでもよい。一実施例において、ゲート電極940は、図12Aないし図12Cを参照し、ゲート電極320Gについて説明したような物質からなる。
半導体ボディ912において、ゲート電極940を中心に、その両側には、不純物によってドーピングされたソース/ドレイン領域が形成される。
図20は、本発明の技術的思想による実施例によるディスプレイ駆動集積回路(DDI:display driver IC)1500、及びディスプレイ駆動集積回路1500を具備するディスプレイ装置1520の概略的なブロックダイヤグラムである。
【0148】
図20を参照すれば、ディスプレイ駆動集積回路1500は、制御部(controller)1502、パワー供給回路部(power supply circuit)1504、ドライバブロック(driver block)1506及びメモリブロック(memory block)1508を含んでもよい。制御部1502は、中央処理装置(MPU:main processing unit)1522)から印加される命令を受信してデコーディングし、この命令による動作を具現するために、ディスプレイ駆動集積回路1500の各ブロックを制御する。パワー供給回路部1504は、制御部1502の制御に応答して駆動電圧を生成する。ドライバブロック1506は、制御部1502の制御に応答し、パワー供給回路部1504で生成された駆動電圧を利用して、ディスプレイパネル1524を駆動する。ディスプレイパネル1524は、液晶ディスプレイパネル(liquid crystal display pannel)、プラズマディスプレイパネルまたはOLED(organic light emitting diodes)ディスプレイパネルでもある。メモリブロック1508は、制御部1502に入力される命令、または制御部1502から出力される制御信号を一時的に保存したり、必要なデータを保存したりするブロックであり、RAM(random access memory)、ROM(read only memory)などのメモリを含んでもよい。パワー供給回路部1504及びドライバブロック1506のうち少なくとも一つは、図12Aないし図19を参照して説明した本発明の技術的思想による実施例による素子300,400,400A,500,500A,800,900、及びそれらから、本発明の技術的思想の範囲内において、変形されたり変更されたりする素子のうち少なくとも1つの素子を含む。
【0149】
図21は、本発明の技術的思想による実施例による電子システム1900を図示したブロックダイヤグラムである。
電子システム1900は、メモリ1910及びメモリコントローラ1920を含む。メモリコントローラ1920は、ホスト1930の要請に応答し、メモリ1910からのデータ読み取り、及び/またはメモリ1910へのデータ書き込みのために、メモリ1910を制御する。メモリ1910及びメモリコントローラ1920のうち少なくとも一つは、図12Aないし図19を参照して説明した本発明の技術的思想による実施例による素子300,400,400A,500,500A,800,900、及びそれらから、本発明の技術的思想の範囲内において、変形されたり変更されたりする素子のうち少なくとも1つの素子を含む。
【0150】
図22は、本発明の技術的思想による実施例による電子システム2000のブロックダイヤグラムである。
電子システム2000は、コントローラ2010、入出力装置(I/O)2020、メモリ2030及びインターフェース2040を含み、それらは、それぞれバス2050を介して、相互連結されている。
コントローラ2010は、マイクロプロセッサ(microprocessor)、デジタル信号プロセッサ、またはそれらと類似した処理装置のうち少なくとも一つを含んでもよい。入出力装置2020は、キーパッド(keypad)、キーボード(keyboard)またはディスプレイ(display)のうち少なくとも一つを含んでもよい。メモリ2030は、コントローラ2010によって実行された命令を保存するのに使用される。例えば、メモリ2030は、ユーザーデータ(user data)を保存するのに使用される。
【0151】
電子システム2000は、無線通信装置、または無線環境下で情報を伝送及び/または受信することができる装置を構成することができる。電子システム2000において、無線コミュニケーションネットワークを介してデータを伝送/受信するために、インターフェース2040は、無線インターフェースで構成される。インターフェース2040は、アンテナ及び/または無線トランシーバ(wireless transceiver)を含んでもよい。一実施例において、電子システム2000は、第3世代通信システム、例えば、CDMA(code division multiple access)、GSM(登録商標)(global system for mobile communications)、NADC(north American digital cellular)、E−TDMA(extended-time division multipleaccess)及び/またはWCDMA(登録商標)(wide band code division multiple access)のような第3世代通信システムの通信インターフェースプロトコルに使用される。前記電子システム2000は、図12Aないし図19を参照して説明した本発明の技術的思想による実施例による素子300,400,400A,500,500A,800,900、及びそれらから、本発明の技術的思想の範囲内において、変形されたり変更されたりする素子のうち少なくとも1つの素子を含む。
【0152】
以上、本発明について望ましい実施例を挙げて詳細に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想及び範囲内において、当分野で当業者によって、さまざまな変形及び変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0153】
本発明のランタン化合物、その製造方法及びランタン前駆体組成物、それを利用した薄膜形成方法、並びに集積回路素子の製造方法は、例えば、集積回路関連の技術分野に効果的に適用可能である。
【符号の説明】
【0154】
312 インターフェース層
314 高誘電膜
320 ゲート構造体
320G ゲート電極
324 ランタン含有膜
326A 第1金属含有層
326B 第2金属含有層
328 ギャップフィル金属層
330 ソース/ドレイン領域
FA フィン型活性領域
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図13F
図13G
図14
図15
図16
図17A
図17B
図17C
図18A
図18B
図19
図20
図21
図22