特許第6796312号(P6796312)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6796312総合影響評価方法及び総合影響評価システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6796312
(24)【登録日】2020年11月18日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】総合影響評価方法及び総合影響評価システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/04 20120101AFI20201130BHJP
   G06Q 50/26 20120101ALI20201130BHJP
【FI】
   G06Q10/04
   G06Q50/26
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-231102(P2017-231102)
(22)【出願日】2017年11月30日
(65)【公開番号】特開2019-101689(P2019-101689A)
(43)【公開日】2019年6月24日
【審査請求日】2020年1月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501273886
【氏名又は名称】国立研究開発法人国立環境研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124844
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 隆治
(72)【発明者】
【氏名】篠塚 真智子
(72)【発明者】
【氏名】折口 壮志
(72)【発明者】
【氏名】増井 利彦
(72)【発明者】
【氏名】金森 有子
(72)【発明者】
【氏名】棟居 洋介
【審査官】 塩澤 如正
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−219542(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/068242(WO,A1)
【文献】 特開2016−153998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
評価対象のICTサービスを示す情報と前記ICTサービスの普及率との入力を受け付ける入力手順と、
前記評価対象のICTサービスに関して第1の記憶部に記憶されている、当該ICTサービスの利用による各種需要の変化率を計算するための情報と、前記普及率とに基づいて、前記変化率を算出する第1の算出手順と、
第2の記憶部に記憶されている情報に基づいて、前記評価対象のICTサービスの利用により年間で節約される金額を取得する取得手順と、
前記節約される金額に基づいて、各部門の需要の変化額を算出する第2の算出手順と、
前記変化率と、前記変化額とを基準年の産業連関表に反映させた状態で均衡計算を行うことで、GHG排出量及び生産影響額又は経済影響額を算出する第3の算出手順と、
前記GHG排出量及び生産影響額又は経済影響額のそれぞれについて、前記基準年の値との差分を算出する第4の算出手順と、
をコンピュータが実行することを特徴とする総合影響評価方法。
【請求項2】
前記第2の記憶部は、各ICTサービスについて当該ICTサービスの普及率に応じて当該ICTサービスの年間利用回数を記憶する第3の記憶部と、各ICTサービスについて1回の利用あたりに節約される金額を記憶する第4の記憶部とを含み、
前記取得手順は、前記第3の記憶部から、前記評価対象のICTサービスに関して前記入力手順において受け付けた普及率に対応する年間利用回数を取得し、前記第4の記憶部から前記評価対象のICTサービスに関する金額を取得し、取得した年間利用回数及び取得した金額に基づいて、前記評価対象のICTサービスに関して年間で節約される金額を算出する、
ことを特徴とする請求項1記載の総合影響評価方法。
【請求項3】
前記第2の算出手順は、ICTサービスごとに節約される金額に基づいて発生する各種活動の割合を示す情報と、前記各種活動に対応する部門を示す情報とを参照して、前記評価対象のICTサービスについて前記取得手順において取得された前記節約される金額に基づいて、前記各部門の需要の変化額を算出する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の総合影響評価方法。
【請求項4】
評価対象のICTサービスを示す情報と前記ICTサービスの普及率との入力を受け付ける入力部と、
前記評価対象のICTサービスに関して第1の記憶部に記憶されている、当該ICTサービスの利用による各種需要の変化率を計算するための情報と、前記普及率とに基づいて、前記変化率を算出する第1の算出部と、
第2の記憶部に記憶されている情報に基づいて、前記評価対象のICTサービスの利用により年間で節約される金額を取得する取得部と、
前記節約される金額に基づいて、各部門の需要の変化額を算出する第2の算出部と、
前記変化率と、前記変化額とを基準年の産業連関表に反映させた状態で均衡計算を行うことで、GHG排出量及び生産影響額又は経済影響額を算出する第3の算出部と、
前記GHG排出量及び生産影響額又は経済影響額のそれぞれについて、前記基準年の値との差分を算出する第4の算出部と、
を有することを特徴とする総合影響評価システム。
【請求項5】
前記第2の記憶部は、各ICTサービスについて当該ICTサービスの普及率に応じて当該ICTサービスの年間利用回数を記憶する第3の記憶部と、各ICTサービスについて1回の利用あたりに節約される金額を記憶する第4の記憶部とを含み、
前記取得部は、前記第3の記憶部から、前記評価対象のICTサービスに関して前記入力部が受け付けた普及率に対応する年間利用回数を取得し、前記第4の記憶部から前記評価対象のICTサービスに関する金額を取得し、取得した年間利用回数及び取得した金額に基づいて、前記評価対象のICTサービスに関して年間で節約される金額を算出する、
ことを特徴とする請求項4記載の総合影響評価システム。
【請求項6】
前記第2の算出部は、ICTサービスごとに節約される金額に基づいて発生する各種活動の割合を示す情報と、前記各種活動に対応する部門を示す情報とを参照して、前記評価対象のICTサービスについて前記取得部が取得した前記節約される金額に基づいて、前記各部門の需要の変化額を算出する、
ことを特徴とする請求項4又は5記載の総合影響評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、総合影響評価方法及び総合影響評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ICT(Information and Communication Technology)製品・サービスの環境影響評価手法がITU−T L.1410(非特許文献1)において国際標準化されている。ICTサービスを提供する企業の多くは、同手法を用いて、ICTサービスによる社会への環境負荷削減貢献を評価し、評価結果を公開している。
【0003】
同手法では、ICTサービス導入前後におけるCO排出量を、LCA(Life Cycle Assessment)に基づいて評価し、その差分をCO削減効果としている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】ITU-T Recommendation. L. 1410, "Methodology for environmental life cycle assessments of information and communication technology goods, networks and services", 2014
【非特許文献2】総務省,"ICTによる環境影響評価手法の概要"
【非特許文献3】L. Erdmann et al., "The future impact of ICTs on environmental sustainability", Technical Report EUR 21384 EN, 2004
【非特許文献4】A. Hankel, "Understanding higher order impacts of green ICT", 2nd international conference on ICT for sustainability, pp. 385-391, 2014
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、LCAによる評価手法では、産業間及び産業と家計との間の相互影響をはじめとした経済全体への影響を考慮することは難しいと考えられる。ICTサービスの普及により経済の均衡が崩れると、価格メカニズムによる需給調整が行われ、新たな均衡に向かって、産業連関を通じて生産活動が変化すると考えられるが、LCAではそのような価格メカニズムにもとづいた経済全体の需給バランスの変化(波及効果)を評価することが困難である。
【0006】
また、ICTサービスの利用者が節約された時間や費用を利用して新たな活動(買い物や移動など)を行うことで、CO排出量の増加などの新たな環境負荷(リバウンド効果)が発生することが指摘されている(非特許文献3、4)。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、ICTサービスの導入による波及効果及びリバウンド効果による影響を環境と経済の観点から総合的に評価可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで上記課題を解決するため、総合影響評価方法は、評価対象のICTサービスを示す情報と前記ICTサービスの普及率との入力を受け付ける入力手順と、前記評価対象のICTサービスに関して第1の記憶部に記憶されている、当該ICTサービスの利用による各種需要の変化率を計算するための情報と、前記普及率とに基づいて、前記変化率を算出する第1の算出手順と、第2の記憶部に記憶されている情報に基づいて、前記評価対象のICTサービスの利用により年間で節約される金額を取得する取得手順と、前記節約される金額に基づいて、各部門の需要の変化額を算出する第2の算出手順と、前記変化率と、前記変化額とを基準年の産業連関表に反映させた状態で均衡計算を行うことで、GHG排出量及び生産影響額又は経済影響額を算出する第3の算出手順と、前記GHG排出量及び生産影響額又は経済影響額のそれぞれについて、前記基準年の値との差分を算出する第4の算出手順とをコンピュータが実行する。
【発明の効果】
【0009】
ICTサービスの導入による波及効果及びリバウンド効果による影響を環境と経済の観点から総合的に評価可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態におけるネットワーク構成例を示す図である。
図2】本発明の実施の形態における総合影響評価システム10を構成するコンピュータのハードウェア構成例を示す図である。
図3】本発明の実施の形態における総合影響評価システム10の機能構成例を示す図である。
図4】総合影響評価システム10が実行する処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
図5】「航空券オンライン予約」サービスの利用がもたらす家計の節約コストに基づいて発生する新たな各種活動の割合を示す情報の一例を示す図である。
図6】同サービスによる年間節約額に基づく各種活動に対応する部門の需要の変化額の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態におけるネットワーク構成例を示す図である。図2において、総合影響評価システム10は、インターネット又はLAN(Local Area Network)等のネットワークを介して1以上のユーザ端末20と接続される。
【0012】
総合影響評価システム10は、ICT(Information and Communication Technology)サービスの導入による環境及び経済への影響を評価する1以上のコンピュータである。なお、本実施の形態において、ICTサービスとは、特定の事業者によって提供される具体的なサービスではなく、例えば、「航空券のオンライン予約」サービスといったように、サービスのカテゴリ又は種別によって区別される概念に相当する。
【0013】
ユーザ端末20は、総合影響評価システム10に対する評価条件の入力をユーザから受け付けたり、総合影響評価システム10による評価結果を出力(表示)したりする端末である。例えば、PC(Personal Computer)、スマートフォン、タブレット端末等がユーザ端末20として利用されてもよい。
【0014】
図2は、本発明の実施の形態における総合影響評価システム10を構成するコンピュータのハードウェア構成例を示す図である。総合影響評価システム10を構成するコンピュータは、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置100、補助記憶装置102、メモリ装置103、CPU104、及びインタフェース装置105等を有する。
【0015】
総合影響評価システム10での処理を実現するプログラムは、CD−ROM等の記録媒体101によって提供される。プログラムを記憶した記録媒体101がドライブ装置100にセットされると、プログラムが記録媒体101からドライブ装置100を介して補助記憶装置102にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体101より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置102は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
【0016】
メモリ装置103は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置102からプログラムを読み出して格納する。CPU104は、メモリ装置103に格納されたプログラムに従って総合影響評価システム10に係る機能を実行する。インタフェース装置105は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。
【0017】
図3は、本発明の実施の形態における総合影響評価システム10の機能構成例を示す図である。図3において、総合影響評価システム10は、入力部11、変化率算出部12、年間節約額算出部13、需要変化額算出部14、均衡計算部15、差分算出部16及び出力部17等を有する。これら各部は、総合影響評価システム10にインストールされた1以上のプログラムが、CPU104に実行させる処理により実現される。
【0018】
総合影響評価システム10は、また、ICT普及シナリオDB21、ICT利用回数DB22、節約コストDB23、追加活動割合DB24及び産業連関表DB25等のデータベースを利用する。各データベースは、例えば、補助記憶装置102、又は総合影響評価システム10にネットワークを介して接続可能な記憶装置等を用いて実現可能である。
【0019】
ICT普及シナリオDB21には、ICTサービスごとに、当該ICTサービスを利用することによる各種需要の変化率を、当該ICTサービスの普及率に基づいて計算するための情報が記憶されている。ICTサービスの「普及率」とは、当該ICTサービスを利用するか否かを問わず、当該ICTサービスに関連する活動を行う全人口に対する普及率をいう。例えば、「航空券のオンライン予約」サービスであれば、オンラインであるか否かを問わず航空券の予約を行う人口に対する「航空券のオンライン予約」サービスの普及率をいう。
【0020】
ICT利用回数DB22には、ICTサービスごとに、当該ICTサービスの普及率に応じた年間利用回数(の推定値)が記憶されている。
【0021】
節約コストDB23には、ICTサービスごとに、1回の利用により節約されるコストを示す情報が記憶されている。例えば、ICTサービスの利用によって移動に必要な費用及び時間が節約されるのであれば、当該費用の金額及び当該時間が節約コストDB23に記憶されていてもよいし、当該時間が公知の方法によって金額に換算されることにより、当該費用の金額と当該時間の金額との総和が節約コストDB23に記憶されていてもよい。以下、当該総和を、「節約コスト」という。
【0022】
追加活動割合DB24には、ICTサービスごとに、当該ICTサービスの利用による節約コストに基づいて発生する新たな各種活動の割合を示す情報が記憶されている。
【0023】
産業連関表DB25には、或る年(以下、「基準年」という。)の産業連関表を示す情報等が記憶されている。
【0024】
以下、総合影響評価システム10が実行する処理手順について説明する。図4は、総合影響評価システム10が実行する処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【0025】
ステップS101において、入力部11は、いずれかのユーザ端末20において入力された評価条件を当該ユーザ端末20から受信する(すなわち、当該評価条件の入力を受け付ける)。評価条件には、評価対象とするICTサービス(以下、「対象サービス」という。)を示す情報(例えば、サービス名)と、対象サービスの普及率(以下、「対象普及率」という。)とが含まれる。例えば、対象サービスを示す情報として「航空券のオンライン予約」を含み、普及率として「70%」を含む評価条件が受信される。すなわち、本実施の形態では、ユーザが、対象普及率によって示される程度に対象サービスが普及した場合の環境及び経済への影響の評価を知りたい状況が想定される。
【0026】
続いて、変化率算出部12は、対象サービスに関してICT普及シナリオDB21に記憶されている情報と、対象普及率とに基づいて、産業部門間、又は産業部門と家計との間での各種需要の変化率を算出する(S102)。
【0027】
例えば、「航空券のオンライン予約」サービスに関して、ICT普及シナリオDB21には、旅客数N=91646千人、航空販売窓口までの1トリップあたりの距離L=6.2km、移動手段に占める自動車の分担率R=54.3%、総自動車輸送量V=8300億人km等といったパラメータと、「航空券のオンライン予約」サービスの導入による自動車輸送量の削減率(すなわち、最終需要(最終消費支出)のガソリン及び軽油の需要の減少率)の計算式として以下の計算式が記憶されている。
自動車輸送量の削減率=((N×評価対象年と基準年の普及率の変化×L×R)÷V)×100
ここでは基準年の普及率が0であると仮定しているため,「評価対象年と基準年の普及率の変化」は70%となる。
すなわち、「航空券のオンライン予約」サービスに関して、ICT普及シナリオDB21には、上記の各パラメータ(N,L,R,V)と、普及率を変数とする計算式とが記憶されている。
【0028】
したがって、対象普及率=70%であれば、自動車輸送量の削減率(最終需要(最終消費支出)のガソリン及び軽油の需要の減少率)は、以下のように算出される。
((91646×10×0.7×6.2×0.543)÷8300×10)=0.027%
更に、「航空券のオンライン予約」サービスに関して、ICT普及シナリオDB21には、鉄道輸送に関するN、L、R、V等が記憶されていてもよい。この場合、例えば、鉄道輸送の削減率(すなわち、最終需要(最終消費支出)の鉄道旅客輸送の減少率)が、算出されてもよい。ここで、当該算出結果が、0.0076%であるとする。
【0029】
なお、上記では、自動車又は鉄道の輸送量の削減率(最終需要(最終消費支出)のガソリン及び軽油の需要の減少率及び最終需要(最終消費支出)の鉄道旅客輸送の減少率)が、各種需要の変化率として算出される例を示したが、変化する需要は、ICTサービスに応じて異なる。したがって、変化する需要が何であるかや需要の変化率の計算式等は、ICTサービスごとに、適切な値がICT普及シナリオDB21に記憶されるのが望ましい。なお、当該変化率は、波及効果に対応する指標の一例である。
【0030】
続いて、年間節約額算出部13は、対象サービスに関してICT利用回数DB22に記憶されている、対象普及率に対応する年間利用回数と、節約コストDB23に記憶されている節約コストとに基づいて、1年間で節約される金額(以下、「年間節約額」という。)を算出する(S103)。なお、節約コストDB23に記憶されている値が、金額と時間とである場合には、年間節約額算出部13は、当該時間を金額に換算して節約コストを求めた上で、年間節約額を算出すればよい。
【0031】
例えば、「航空券オンライン予約」サービスの普及率が70%である場合に関してICT利用回数DB22に記憶されている年間利用回数が、2964万回であり、「航空券オンライン予約」サービスに関して節約コストDB23に記憶されている節約コストが920円である場合、2964×10×920円を計算することで、年間節約額が算出される。
【0032】
なお、本実施の形態では、ICT利用回数DB22と節約コストDB23とが区別されて、年間節約額が動的に算出される例が示されているが、例えば、ICTサービスごとに、普及率に応じた年間節約額の算出結果が予めデータベースに記憶されていてもよい。この場合、ステップS103において、年間節約額算出部13は、対象サービス及び対象普及率に対応する年間節約額を当該データベースから取得すればよい。
【0033】
続いて、需要変化額算出部14は、年間節約額を、対象ICTサービスに関して追加活動割合DB24に記憶されている、節約コストに基づいて発生する新たな各種活動の割合を示す情報に基づいて、各種活動に対応する産業部門(以下、単に「部門」という。)に割り振る(分配する)ことで、各部門の需要の変化額を算出する(S104)。なお、当該需要の変化額は、リバウンド効果に対応する指標の一例である。
【0034】
例えば、図5は、「航空券オンライン予約」サービスの利用がもたらす節約コストに基づいて発生する新たな各種活動の割合を示す情報の一例を示す図である。図5では、帯グラフの形式によって、各種の活動の割合が示されているが、例えば、当該帯グラフが示す情報が、追加活動割合DB24に記憶されている。
【0035】
また、図6は、同サービスによる年間節約額に基づく各種活動に対応する部門の需要の変化額の一例を示す図である。図6には、図5に示した各種活動に対応する「部門」と、当該部門における「需要の変化額」とが示されている。なお、各種活動に対応する部門を示す情報は、例えば、追加活動割合DB24に記憶されている。また、図5における「需要の変化額」は、当該部門に対応する活動の割合(図5参照)を、年間節約額に乗じることで算出される。
【0036】
続いて、均衡計算部15は、ステップS102において算出された各種需要の変化率、及びステップS104において算出された各部門の需要の変化額を、産業連関表DB25に記憶されている基準年の産業連関表に反映させた状態で応用一般均衡モデルに基づく均衡計算を行い、CO排出量及びGDPを算出する(S105)。ここで、各種需要の変化率及び各部門の需要の変化額を産業連関表に反映させた状態とは、当該産業連関表に含まれている産業間、又は家計(最終需要)と産業との間の投入係数又は需要額が当該変化率及び当該変化額によって変更された状態をいう。
【0037】
なお、産業連関表においては、産業間の需要(需給)については、投入係数によって表現され、家計(最終需要)については、金額(需要額)によって表現されている。したがって、当該変化率に基づく、産業間の需要(需給)の変更は、当該産業間の投入係数を変更することで実現される。すなわち、(1+変化率)×投入係数を計算することで、当該投入係数が変更される。一方、家計(最終需要)の需要額については、(1+変化率)×当該需要額を計算することで変更される。
【0038】
例えば、「航空券オンライン予約」サービスの例では、均衡計算により、CO排出量=1305.8(Mt−CO)、GDP=504.3632(兆円)が算出される。
【0039】
なお、GDPは、産業連関表に含まれているため、均衡計算によって直ちに(直接的に)算出される。CO排出量は、均衡計算から求まる各部門の生産額(需要額)をCOに排出量に変換することで部門ごとに算出される。部門ごとに決まっている、生産額からCO排出量への変換方法は、例えば、均衡計算部15のロジックとして組み込まれている(当該変更方法は、実際に応用一般均衡モデルの中に含まれている。)。したがって、均衡計算部15は、まず、部門ごとのCO排出量を算出し、部門ごとのCO排出量の総和を算出する。
【0040】
続いて、差分算出部16は、CO排出量及びGDPのそれぞれについて、ステップS105において算出された値と、産業連関表DB25に記憶されている、基準年の値(CO排出量(部門ごとのCO排出量の総和)又はGDP)との差分を算出する(S106)。
【0041】
例えば、基準年のCO排出量=1305.9(Mt−CO)、GDP=504.3633(兆円)であれば、当該差分は、CO排出量については、0.1(Mt−CO)減少、GDPについては、1億円減少となる。
【0042】
続いて、出力部17は、ステップS106における算出結果を、評価条件の送信元のユーザ端末20へ送信する(S107)。その結果、ユーザは、評価条件に基づく評価結果を把握することができる。
【0043】
上述したように、本実施の形態によれば、ICTサービスの導入による波及効果及びリバウンド効果による影響を環境と経済の観点から総合的に評価可能とすることができる。
【0044】
なお、上述した実施例では、CO排出量とGDPを求めたが、同様の方法で他の温室効果ガス(GHG)の排出量を求めることもできる。また、GDP以外の生産影響額又は経済影響額が算出されてもよい。また、特定の産業への温室効果ガス排出量や生産影響額又は経済影響額を求めることもできる。その場合はS105において、当該産業の温室効果ガス排出量や生産影響額又は経済影響額を求め、S106において当該産業の基準年における温室効果ガス排出量や生産影響額又は経済影響額との差分を算出すればよい。その結果、より広範囲の影響を反映した、ICTサービス導入による環境および経済への影響評価を可能とすることができる。
【0045】
また、ICTサービスの導入により節約された時間や費用の使い方の観点から、持続可能な活動の提案が可能となる。
【0046】
なお、本実施の形態において、ICT普及シナリオDB21は、第1の記憶部の一例である。ICT利用回数DB22及び節約コストDB23は、第2の記憶部の一例である。ICT利用回数DB22は、第3の記憶部の一例である。節約コストDB23は、第4の記憶部の一例である。変化率算出部12は、第1の算出部の一例である。年間節約額算出部13は、取得部の一例である。需要変化額算出部14は、第2の算出部の一例である。均衡計算部15は、第3の算出部の一例である。差分算出部16は、第4の算出部の一例である。
【0047】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0048】
10 総合影響評価システム
11 入力部
12 変化率算出部
13 年間節約額算出部
14 需要変化額算出部
15 均衡計算部
16 差分算出部
17 出力部
21 ICT普及シナリオDB
22 ICT利用回数DB
23 節約コストDB
24 追加活動割合DB
25 産業連関表DB
100 ドライブ装置
101 記録媒体
102 補助記憶装置
103 メモリ装置
104 CPU
105 インタフェース装置
B バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6