特許第6796512号(P6796512)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6796512基板ホルダ、めっき装置、めっき方法、及び電気接点
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6796512
(24)【登録日】2020年11月18日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】基板ホルダ、めっき装置、めっき方法、及び電気接点
(51)【国際特許分類】
   C25D 17/06 20060101AFI20201130BHJP
   C25D 7/12 20060101ALI20201130BHJP
   C25D 17/08 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
   C25D17/06 C
   C25D7/12
   C25D17/08 R
【請求項の数】15
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-26909(P2017-26909)
(22)【出願日】2017年2月16日
(65)【公開番号】特開2018-131663(P2018-131663A)
(43)【公開日】2018年8月23日
【審査請求日】2019年10月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】藤方 淳平
【審査官】 菅原 愛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−234396(JP,A)
【文献】 特開2015−165040(JP,A)
【文献】 特表2008−546913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 5/00− 9/12
C25D13/00−21/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持するための基板ホルダであって、
前記基板と接触するように構成される面を有する第1保持部材と、
前記第1保持部材と共に前記基板を挟み込んで保持する第2保持部材と、を有し、
前記第2保持部材は、
前記第1保持部材と前記第2保持部材とで前記基板を挟み込んだときに前記基板の外周に沿うように配置され、且つ前記基板に接触して前記基板上の絶縁物を除去するように構成される除去部と、
前記第1保持部材と前記第2保持部材とで前記基板を挟み込んだときに、前記基板の外周に沿うように配置され且つ前記除去部が前記絶縁物を除去した前記基板上の領域に接触するように構成される電気接点部と、を有し、
前記除去部は、前記第1保持部材と前記第2保持部材とを対向して配置させたときに、前記電気接点部よりも前記面の近くに位置する、基板ホルダ。
【請求項2】
請求項1に記載された基板ホルダにおいて、
前記第2保持部材は、前記基板に接触して電流を前記基板上に流すための電気接点を有し、
前記電気接点は、前記除去部と前記電気接点部を有する、基板ホルダ。
【請求項3】
請求項2に記載された基板ホルダにおいて、
前記第1保持部材は、外部電源からの電流を前記電気接点に供給するように構成される中継接点を有し、
前記電気接点は、前記第1保持部材と前記第2保持部材とで前記基板を挟み込んで保持したときに前記中継接点と接触する脚部と、前記脚部から延びる本体部と、前記本体部から傾斜して延びる先端部と、を有し、
前記先端部は、前記除去部及び前記電気接点部を有し、
前記電気接点部は、前記先端部から突出するように構成される突状部である、基板ホル
ダ。
【請求項4】
請求項3に記載された基板ホルダにおいて、
前記除去部は、前記電気接点部よりも前記先端部の先端側に設けられる、基板ホルダ。
【請求項5】
請求項3に記載された基板ホルダにおいて、
前記電気接点部は、前記除去部よりも前記先端部の先端側に設けられる、基板ホルダ。
【請求項6】
請求項1に記載された基板ホルダにおいて、
前記第2保持部材は、前記基板に接触して電流を前記基板上に流すための電気接点と、前記基板上の絶縁物を除去するための除去部材と、を有し、
前記電気接点は、前記電気接点部を有し、
前記除去部材は、前記除去部を有する、基板ホルダ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載された基板ホルダにおいて、
前記除去部は、前記第1保持部材と前記第2保持部材とで前記基板を挟み込んで保持したとき、前記基板から離間するように構成される、基板ホルダ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載された基板ホルダにおいて、
前記除去部は、前記第1保持部材と前記第2保持部材とで前記基板を挟み込むときに、前記除去部が前記基板に接触してから前記基板ホルダが前記基板を保持するまでに、前記基板上を摺動するように構成される、基板ホルダ。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載された基板ホルダにおいて、
前記第2保持部材は、前記基板に接触して電流を前記基板上に流すための複数の電気接点を有し、
前記複数の電気接点の各々は、前記電気接点部を有し、
前記複数の電気接点は、互いに電気的に接続されている、基板ホルダ。
【請求項10】
請求項1から9の何れか一項に記載された基板ホルダを使用して基板にめっき処理を行う、めっき装置。
【請求項11】
第1保持部材と第2保持部材とを有する基板ホルダで保持した基板にめっきをするめっき方法であって、
前記基板を前記第1保持部材と前記第2保持部材とで挟み込んで、前記基板ホルダで前記基板を保持する工程と、
前記基板ホルダに保持された基板にめっきする工程と、を有し、
前記保持工程は、
前記第2保持部材に設けられた除去部が前記基板の半径方向に移動して前記基板上の絶縁物を掻き取る工程と、
前記第2保持部材に設けられた電気接点部を、前記除去部が前記絶縁物を除去した前記基板上の領域に接触させる工程と、を有する、方法。
【請求項12】
基板に電流を流すために前記基板と接触するように構成される電気接点であって、
外部電源と電気的に接続される脚部と、
前記脚部から延在する本体部と、
前記本体部から傾斜して延びる先端部と、を有し、
前記先端部は、
前記基板に接触して前記基板上の絶縁物を除去するように構成される除去部と、
前記除去部が前記絶縁物を除去した前記基板上の領域に接触するように構成される電
気接点部と、を有する、電気接点。
【請求項13】
請求項12に記載された電気接点において、
前記電気接点部は、前記先端部から突出するように構成される突状部である、電気接点。
【請求項14】
請求項12又は13に記載された電気接点において、
前記除去部は、前記電気接点部よりも前記先端部の先端側に設けられる、電気接点。
【請求項15】
請求項12又は13に記載された電気接点において、
前記電気接点部は、前記除去部よりも前記先端部の先端側に設けられる、電気接点。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板ホルダ、めっき装置、めっき方法、及び電気接点に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウェハ等の表面に設けられた微細な配線用溝、ホール、又はレジスト開口部に配線を形成したり、半導体ウェハ等の表面にパッケージの電極等と電気的に接続するバンプ(突起状電極)を形成したりすることが行われている。この配線及びバンプを形成する方法として、例えば、電解めっき法、蒸着法、印刷法、ボールバンプ法等が知られている。半導体チップのI/O数の増加、細ピッチ化に伴い、微細化が可能で性能が比較的安定している電解めっき法が多く用いられるようになってきている。
【0003】
電解めっき法に用いるめっき装置は、半導体ウェハ等の基板の端面及び裏面をシールし、表面(被めっき面)を露出させて保持する基板ホルダを備える。このめっき装置において基板表面にめっき処理を行うときは、基板を保持した基板ホルダをめっき液中に浸漬させる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ここで、基板ホルダで保持した基板にめっき処理を行うときは、基板表面に負電圧を印加するために、基板が電源の負電圧側に電気的に接続される必要がある。このため、基板ホルダには、電源から延びる配線と基板とを電気的に接続するための電気接点が設けられている。電気接点は、基板の表面に形成されたシード層(導電層)と接触するように構成され、これにより基板に負電圧が印加される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−62570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
基板の被めっき面に形成されるめっき膜厚の均一性を向上させるためには、基板の周縁に沿って複数の電気接点をシード層に接触させて、基板の被めっき面に均一に電圧を印加することが好ましい。しかしながら、基板の被めっき面に均一に電圧を印加したとしても、複数の電気接点と基板のシード層とのそれぞれの接触抵抗にバラつきが存在すると、めっき膜厚の面内均一性は低下する。具体的には、複数の電気接点とシード層との接触抵抗のバラつきが大きい場合、接触抵抗の高い部分には電流が流れにくく、その近傍の膜厚が薄くなり、接触抵抗の低い部分には電流が流れやすく、その近傍の膜厚が厚くなる。
【0007】
このような接触抵抗のバラつきは、めっきの前工程において絶縁性の薄膜が基板上に形成されていたり、有機物の残渣が基板上に残っていたりする場合に、特に生じやすい。例えば、基板上に絶縁性の薄膜が形成されている場合においては、一部の電気接点はこの薄膜を貫通してシード層と直接導通し、他の電気接点は薄膜を貫通せずに薄膜と接触しているときに、電気接点間で接触抵抗のバラつきが大きくなる。また、基板上に有機物の残渣が残っている場合においては、一部の電気接点が有機物の残渣の無い基板上の領域に接触してシード層と直接導通し、他の電気接点は有機物の残渣が残っている基板上の領域と接触しているときに、電気接点間での接触抵抗のバラつきが大きくなる。このように、基板のシード層表面に薄膜や残渣等の絶縁物が存在する場合、めっき膜厚の均一性が低下するという問題がある。
【0008】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものである。その目的は、基板のシード層表面に薄膜や残渣等の絶縁物が存在する場合であっても、電気接点とシード層との間の接触抵抗のバラつきを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一形態によれば、基板を保持するための基板ホルダが提供される。この基板ホルダは、前記基板と接触するように構成される面を有する第1保持部材と、前記第1保持部材と共に前記基板を挟み込んで保持する第2保持部材と、を有する。前記第2保持部材は、前記第1保持部材と前記第2保持部材とで前記基板を挟み込んだときに前記基板の外周に沿うように配置され、且つ前記基板に接触して前記基板上の絶縁物を除去するように構成される除去部と、前記第1保持部材と前記第2保持部材とで前記基板を挟み込んだときに、前記基板の外周に沿うように配置され且つ前記除去部が前記絶縁物を除去した前記基板上の領域に接触するように構成される電気接点部と、を有する。前記除去部は、前記第1保持部材と前記第2保持部材とを対向して配置させたときに、前記電気接点部よりも前記面の近くに位置する。
【0010】
本発明の他の一形態によれば、第1保持部材と第2保持部材とを有する基板ホルダで保持した基板にめっきをするめっき方法が提供される。このめっき方法は、前記基板を前記第1保持部材と前記第2保持部材とで挟み込んで、前記基板ホルダで前記基板を保持工程と、前記基板ホルダに保持された基板にめっきする工程と、を有する。前記保持工程は、前記第2保持部材に設けられた除去部で前記基板上の絶縁物を掻き取る工程と、前記第2保持部材に設けられた電気接点部を、前記除去部が前記絶縁物を除去した前記基板上の領域に接触させる工程と、を有する。
【0011】
本発明の他の一形態によれば、基板に電流を流すために前記基板と接触するように構成される電気接点が提供される。この電気接点は、外部電源と電気的に接続される脚部と、前記脚部から延在する本体部と、前記本体部から傾斜して延びる先端部と、を有する。前記先端部は、前記基板に接触して前記基板上の絶縁物を除去するように構成される除去部と、前記除去部が前記絶縁物を除去した前記基板上の領域に接触するように構成される電気接点部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係るめっき装置の全体配置図を示す。
図2図1に示しためっき装置で使用される基板ホルダの斜視図である。
図3A】基板保持前の基板ホルダの部分断面図である。
図3B】基板保持後の基板ホルダの部分断面図を示す。
図4】電気接点の斜視図である。
図5A】本実施形態に係る基板ホルダの部分拡大断面図を示す。
図5B】本実施形態に係る基板ホルダの部分拡大断面図を示す。
図5C】本実施形態に係る基板ホルダの部分拡大断面図を示す。
図6A】他の実施形態に係る基板ホルダの部分拡大断面図を示す。
図6B】他の実施形態に係る基板ホルダの部分拡大断面図を示す。
図6C】他の実施形態に係る基板ホルダの部分拡大断面図を示す。
図7A】他の実施形態に係る基板ホルダの部分拡大断面図を示す。
図7B】他の実施形態に係る基板ホルダの部分拡大断面図を示す。
図7C】他の実施形態に係る基板ホルダの部分拡大断面図を示す。
図8A】他の実施形態に係る基板ホルダの部分拡大断面図を示す。
図8B】他の実施形態に係る基板ホルダの部分拡大断面図を示す。
図8C】他の実施形態に係る基板ホルダの部分拡大断面図を示す。
図9A】他の実施形態に係る基板ホルダの部分拡大断面図を示す。
図9B】他の実施形態に係る基板ホルダの部分拡大断面図を示す。
図9C】他の実施形態に係る基板ホルダの部分拡大断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係るめっき装置について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一の又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0014】
図1は、本実施形態に係るめっき装置の全体配置図を示す。図1に示すように、めっき装置1はその全体がフレーム100で囲まれており、フレーム100で囲まれた空間がめっき装置1として画定される。めっき装置1は、2台のカセットテーブル12と、アライナ14と、基板着脱部20と、洗浄装置(スピンリンスドライヤ)16と、を有する。カセットテーブル12は、半導体ウェハ等の基板を収納したカセット10を搭載している。アライナ14は、基板のオリフラ(オリエンテーションフラット)やノッチなどの位置を所定の方向に合わせるように構成される。基板着脱部20は、載置された基板ホルダ18に対して基板の着脱を行う。洗浄装置16は、めっき処理後の基板を回転させつつ基板表面を洗浄するための洗浄液(純水)を供給して基板を洗浄し、その後に基板を高速回転させて基板表面を乾燥させる。これらのユニットの略中央には、これらのユニット間で基板を搬送する、例えば搬送用ロボットである基板搬送装置22が配置されている。
【0015】
基板着脱部20は、レール50に沿って水平方向にスライド可能な平板状の載置プレート52を備えている。基板搬送装置22は、2個の基板ホルダ18が水平状態で並列に載置プレート52に載置された状態で、一方の基板ホルダ18と基板の受渡しを行う。その後、基板搬送装置22は、載置プレート52を水平方向にスライドさせて、他方の基板ホルダ18と基板の受渡しを行う。
【0016】
また、めっき装置1は、ストッカ24と、プリウェット槽26と、プリソーク槽28と、第1洗浄槽30aと、ブロー槽32と、第2洗浄槽30bと、めっき槽34と、を有する。ストッカ24では、基板ホルダ18の保管及び一時仮置きが行われる。プリウェット槽26では、基板が純水に浸漬されて基板表面が親水化される。プリソーク槽28では、基板の表面に形成されたシード層等の導電層の表面の酸化膜がエッチング除去される。第1洗浄槽30aでは、プリソーク後の基板が基板ホルダ18と共に洗浄液(純水等)で洗浄される。ブロー槽32では、洗浄後の基板の液切りが行われる。第2洗浄槽30bでは、めっき後の基板が基板ホルダ18と共に洗浄液で洗浄される。ストッカ24、プリウェット槽26、プリソーク槽28、第1洗浄槽30a、ブロー槽32、第2洗浄槽30b、及びめっき槽34は、この順に配置されている。
【0017】
めっき槽34は、オーバーフロー槽36と、オーバーフロー槽36の内部に収納された複数のめっきユニット38を備えている。各めっきユニット38は、基板を保持した基板ホルダ18を内部に収納して、めっき液に基板を浸漬させる。めっきユニット38において基板とアノードとの間に電圧を印加することにより、基板表面に銅めっき等のめっきが行われる。なお、銅以外に、ニッケルやはんだ、銀、金等のめっきにおいても同様のめっき装置1を用いることができる。
【0018】
さらに、めっき装置1には、基板ホルダ18を搬送する基板ホルダ搬送装置40が備えられている。基板ホルダ搬送装置40は、例えばリニアモータ方式であり、基板着脱部20及び上記各槽の側方に位置する。基板ホルダ搬送装置40は、第1のトランスポータ42と第2のトランスポータ44とを有している。第1のトランスポータ42は、基板着脱部20とストッカ24との間で基板を搬送する。第2のトランスポータ44は、ストッカ24、プリウェット槽26、プリソーク槽28、第1洗浄槽30a、第2洗浄槽30b、
ブロー槽32及びめっき槽34との間で基板を搬送する。なお、基板ホルダ搬送装置40は、第1のトランスポータ42と第2のトランスポータ44のいずれか一方のみを備えてもよい。
【0019】

めっき装置1は、上述しためっき装置1の各部の動作を制御するように構成された制御部45を有する。制御部45は、例えば、めっきプロセスをめっき装置1に実行させる所定のプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体と、記録媒体のプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等を有する。制御部45は、例えば、基板着脱部20の着脱動作制御、基板搬送装置22の搬送制御、基板ホルダ搬送装置40の搬送制御、並びにめっき槽34におけるめっき電流及びめっき時間の制御等を行うことができる。なお、制御部45が有する記録媒体としては、フレキシブルディスク、ハードディスク、メモリストレージ等の磁気的媒体、CD、DVD等の光学的媒体、MO、MD等の磁気光学的媒体等、任意の記録手段を採用することができる。
【0020】
図2図1に示しためっき装置で使用される基板ホルダ18の斜視図である。基板ホルダ18は、図2に示すように、例えば塩化ビニル製で矩形平板状の第1保持部材65と、この第1保持部材65にヒンジ63を介して開閉自在に取付けられた第2保持部材66とを有している。基板ホルダ18の第1保持部材65の略中央部には、基板を保持するための保持面68が設けられている。また、第1保持部材65の保持面68の外周には、保持面68の周囲に沿って、内方に突出する突出部を有する逆L字状のクランパ67が等間隔に設けられている。
【0021】
基板ホルダ18の第1保持部材65の端部には、基板ホルダ18を搬送したり吊下げ支持したりする際の支持部となる一対の略T字状のハンド69が連結されている。図1に示したストッカ24内において、ストッカ24の周壁上面にハンド69を引っ掛けることで、基板ホルダ18が垂直に吊下げ支持される。また、この吊下げ支持された基板ホルダ18のハンド69を第1のトランスポータ42又は第2のトランスポータ44で把持して基板ホルダ18が搬送される。なお、プリウェット槽26、プリソーク槽28、第1洗浄槽30a、第2洗浄槽30b、ブロー槽32、及びめっき槽34内においても、基板ホルダ18は、ハンド69を介してそれらの周壁に吊下げ支持される。
【0022】
また、ハンド69には、外部の電源に接続するための図示しない外部接点が設けられている。この外部接点は、複数の配線を介して保持面68の外周に設けられた複数の中継接点88(図3A及び図3B参照)と電気的に接続されている。
【0023】
第2保持部材66は、ヒンジ63に固定された基部61と、基部61に固定されたリング状のシールホルダ62とを備えている。第2保持部材66のシールホルダ62には、シールホルダ62を第1保持部材65に押し付けて固定するための押えリング64が回転自在に装着されている。押えリング64は、その外周部において外方に突出する複数の突条部64aを有している。突条部64aの上面とクランパ67の内方突出部の下面は、回転方向に沿って互いに逆方向に傾斜するテーパ面を有する。
【0024】
基板を保持するときは、まず、第2保持部材66を開いた状態で第1保持部材65の保持面68に基板を載置し、第2保持部材66を閉じて第1保持部材65と第2保持部材66とで基板を挟み込む。続いて、押えリング64を時計回りに回転させて、押えリング64の突条部64aをクランパ67の内方突出部の内部(下側)に滑り込ませる。これにより、押えリング64とクランパ67にそれぞれ設けられたテーパ面を介して、第1保持部材65と第2保持部材66とが互いに締付けられてロックされ、基板が保持される。保持された基板の被めっき面は、外部に露出される。基板の保持を解除するときは、第1保持
部材65と第2保持部材66とがロックされた状態において、押えリング64を反時計回りに回転させる。これにより、押えリング64の突条部64aが逆L字状のクランパ67から外されて、基板の保持が解除される。
【0025】
図3Aは基板保持前の基板ホルダ18の部分断面図を示し、図3Bは基板保持後の基板ホルダ18の部分断面図を示す。図3A及び図3Bに示す例では、第1保持部材65の保持面68には基板Wが載置されている。保持面68と第1保持部材65との間には、図2に示したハンド69に設けられた外部接点から延びる複数の配線に接続された複数の(図示では1つの)中継接点88が配置されている。中継接点88は、外部の電源からの電流を後述する電気接点92に供給するように構成される。第1保持部材65の保持面68上に基板Wを載置したとき、この中継接点88の端部が基板Wの側方で第1保持部材65の表面にばね特性を有した状態で露出するように、中継接点88は基板Wの円周外側に複数配置されている。
【0026】
シールホルダ62の、第1保持部材65と対向する面(図中下面)には、基板ホルダ18で基板Wを保持したときに基板Wの表面外周部及び第1保持部材65に圧接されるシール部材60が取付けられている。シール部材60は、基板Wの表面をシールするリップ部60aと、第1保持部材65の表面をシールするリップ部60bとを有する。即ち、シール部材60は、基板の周縁部と第1保持部材65の面との間を封止するように構成される。
【0027】
シール部材60の一対のリップ部60a,60bで挟まれた内部には、支持体90が取付けられる。支持体90には中継接点88から給電されるように構成された電気接点92が、例えばねじ等で固定され、基板Wの外周に沿うように複数配置されている。電気接点92は、保持面68の内側へ向かって延びる先端部92aと、中継接点88と接触可能に構成された脚部92bとを有する。複数の電気接点92は、互いに電気的に接続されていることが好ましい。この場合、電気接点92の各々がそれぞれ異なる配線で外部電源に接続されていたとしても、電気接点92の各々が同電位になるので、電気接点92が基板Wに供給する電流を均一化することができる。なお、この基板ホルダ18においては、複数の電気接点92を互いに電気的に接続するために、電気接点92同士が直接接触するように支持体90に電気接点92の各々を取り付けてもよいし、電気接点92同士を接続するための、例えばリング状の導電性の接続部材を設けてもよい。
【0028】
図2に示した第1保持部材65と第2保持部材66とがロックされると、図3Bに示すように、シール部材60の内周面側の短いリップ部60aが基板Wの表面に、外周面側の長いリップ部60bが第1保持部材65の表面にそれぞれ押圧される。これにより、リップ部60a及びリップ部60b間が確実にシールされるとともに、基板Wが保持される。
【0029】
シール部材60でシールされた領域、即ちシール部材60の一対のリップ部60a,60bで挟まれた領域において、中継接点88が電気接点92の脚部92bに電気的に接続され、且つ先端部92aが基板Wの導電層、例えばシード層の周縁部に接触する。これにより、基板Wをシール部材60でシールしつつ基板ホルダ18で保持した状態で、電気接点92を介して基板Wに給電することができる。
【0030】
次に、図3A及び図3Bに示した電気接点92の構造について詳細に説明する。図4は、電気接点92の斜視図である。図4に示すように、電気接点92は、中継接点88(図3A及び図3B参照)を介して外部電源と電気的に接続される脚部92bと、脚部92bから略鉛直方向に延在する本体部92cと、本体部92cから傾斜して延在する複数の先端部92aと、を有する。電気接点92は、板状の導電性部材を折り曲げて形成されており、板バネのように弾性を有する。電気接点92の表面には、接触抵抗を下げるために金
めっきがなされていてもよい。
【0031】
複数の先端部92aは、互いに所定の間隔を有するように配置され、本体部92cと一体に形成されている。先端部92aは、基板上の薄膜又は有機物の残渣等の絶縁物を除去するように構成される除去部93aと、絶縁物が除去された基板上の領域に接触するように構成される電気接点部93bと、を有する。図4に示す電気接点92では、除去部93aは、先端部92aの端部であり、電気接点部93bは先端部92aに形成された突状部である。
【0032】
本実施形態に係る基板ホルダ18は、基板を保持するとき、電気接点92の除去部93aが基板上の絶縁物を除去し、電気接点部93bが、絶縁物が除去された基板上の領域に接触するように構成される。したがって、本実施形態に係る基板ホルダ18は、基板上に薄膜や有機物の残渣等の絶縁物が存在していたとしても、電気接点92を基板のシード層に直接接触させることができ、電気接点92と基板との間の接触抵抗のバラつきを抑制することができる。以下、図2から図3Bに示した基板ホルダ18で基板を保持するときの電気接点92の機能について詳細に説明する。図5A図5Cは、本実施形態に係る基板ホルダ18の部分拡大断面図を示す。図5A図5Cにおいては、図3A及び図3Bに示した第2保持部材66のリップ部60a、基板W、及び電気接点92の先端部92aを拡大して示している。
【0033】
図5Aに示すように、基板Wは、被めっき面側の平坦面であるフロント平面部101を有する。フロント平面部101には、シード層104が形成されており、シード層104上にはレジスト105が形成されている。基板Wの外周側においては、電気接点92が接触するために、シード層104が露出されている。このシード層104の露出された部分には、絶縁性の薄膜又は有機物の残渣等の絶縁物106が付着している。
【0034】
また、図5Aに示すように、除去部93aは、電気接点部93bよりも電気接点92の先端部92aの先端側に設けられる。また、先端部92aは、図示省略されている電気接点92の本体部92cから下方に向かって傾斜している。このため、図2に示した第1保持部材65と第2保持部材66とを対向して配置させたとき、先端部92aの除去部93aは、電気接点部93bよりも基板W(即ち、図2に示した保持面68)の近くに位置する。したがって、図2に示した第2保持部材66を第1保持部材65に近づけたとき、図5Aに示すように、電気接点部93bよりも先に除去部93aが基板Wのシード層104に接触する。また、先端部92aは、基板Wのフロント平面部101に対して、垂直又は水平ではなく、傾斜するように本体部92cから延在している。
【0035】
図5Aに示す状態から、さらに第1保持部材65と第2保持部材66とを近づけると、図5Bに示すように、先端部92aが基板Wに押し付けられることにより湾曲して、除去部93aが基板Wの中心に向かって基板W上を摺動する。これにより、シード層104上の絶縁物106は、除去部93aによって掻き取られて除去される。
【0036】
図5Bに示す状態から、さらに第1保持部材65と第2保持部材66とを近づけて、リップ部60aを基板Wのレジスト105に接触させると、図5Cに示すように、先端部92aがさらに湾曲して、電気接点部93bは、除去部93aが絶縁物106を除去した基板W上の領域に接触する。なお、図5Cに示すように、電気接点部93bがシード層104に接触したとき、除去部93aが基板Wの表面から離間することが好ましい。これにより、電気接点部93bのみで電気接点92とシード層104との導通を行うことができ、その結果、複数の電気接点92間の接触抵抗のバラつきをさらに抑制することができる。上記のように、除去部93aはシード層104と導通しないことが好ましい。このため、除去部93aが基板Wの表面から離間しない場合には、除去部93aとシード層104と
の導通を防止するために、除去部93aの表面を例えばテフロン(登録商標)等の絶縁体で被覆することも考えられる。しかしながら、本実施形態及び以下で説明する他の実施形態に係る基板ホルダ18の除去部93aの表面には、除去部93aが基板Wの表面と摺動することを考慮して、絶縁体による被覆は行わない。このような絶縁体は金属に比べて柔らかいので、仮に除去部93aの表面に絶縁体による被覆をしても基板ホルダ18を繰り返し使用するにつれて除去部93aが基板Wの表面と摺動することで剥離してしまい、最終的には除去部93aがシード層104と導通する虞があるからである。
【0037】
次に、他の実施形態に係る基板ホルダ18について説明する。図6Aから図6Cは、他の実施形態に係る基板ホルダ18の部分拡大断面図を示す。この基板ホルダ18は、図4に示した電気接点92とは異なる形状の電気接点92を有することを除いて、図2に示した基板ホルダ18と同様の構成を有する。図6Aに示すように、この電気接点92は、先端部92aの下面に突状部95を有する。この突状部95は、図6Aに示す断面において、略半円形の断面を有する。また、先端部92aは、基板Wのフロント平面部101に対して、垂直又は水平ではなく、傾斜するように本体部92cから延在している。
【0038】
図2に示した第2保持部材66を第1保持部材65に近づけたとき、図6Aに示すように、先端部92aの先端側に位置する突状部95の表面が基板Wのシード層104に最初に接触する。図6Aに示す状態から、さらに第1保持部材65と第2保持部材66とを近づけると、図6Bに示すように、先端部92aが基板Wに押し付けられることにより湾曲して、突状部95が、シード層104との接触箇所上で、シード層104と接触しながら回転し、摺動する。これにより、シード層104上の絶縁物106は、突状部95によって掻き取られて除去される。なお、このとき、突状部95は、基板Wの中心に向かって基板W上を摺動してもよい。
【0039】
図6Bに示す状態から、さらに第1保持部材65と第2保持部材66とを近づけて、リップ部60aを基板Wのレジスト105に接触させると、図6Cに示すように、先端部92aが基板Wに押し付けられることによりさらに湾曲して、突状部95は、シード層104との接触箇所上でさらに摺動する。これにより、突状部95の絶縁物106が付着していない表面が、絶縁物106が除去された基板W上の領域に接触する。
【0040】
図6A及び図6Bに関連して説明したように、シード層104に最初に接触する突状部95の表面は、基板W上の絶縁物106を除去する除去部93aとして機能する。除去部93aとして機能する突状部95の表面は、第1保持部材65と第2保持部材66とを対向して配置させたときに、保持面68(図2参照)の最も近くに位置する突状部95の表面ということもできる。また、図6Cに関連して説明したように、除去部93aよりも根元側(先端側の反対側)に位置する突状部95の表面は、除去部93aが絶縁物106を除去した基板W上の領域に接触する電気接点部93bとして機能する。なお、図6Cに示すように、電気接点部93bがシード層104に接触したとき、除去部93aは基板Wの表面から離間することになる。
【0041】
以上で説明したように、図5Aから図6Cに示した除去部93aは、第1保持部材65と第2保持部材66とを対向して配置させたときに電気接点部93bよりも保持面68の近くに位置する。これにより、第1保持部材65と第2保持部材66とで基板Wを挟み込んだときに、必ず除去部93aが電気接点部93bよりも先に基板W表面に接触する。このため、除去部93aが基板W上の絶縁物106を除去して、電気接点部93bが、絶縁物106が除去されたシード層104上の領域に直接接触することができる。したがって、図5Aから図6Cに示すように、基板Wのシード層104表面に絶縁物106が存在しても、複数の電気接点92とシード層104との間の接触抵抗のバラつきを抑制することができる。
【0042】
図5Aから図5Cに示した電気接点92は、突状の電気接点部93bを有するので、電気接点部93bがシード層104に接触したときに、除去部93aが基板Wの表面から離間する。また、図6Aから図6Cに示した電気接点92においても、電気接点部93bがシード層104に接触したときに、除去部93aが基板Wの表面から離間する。除去した絶縁物106が付着した除去部93aが基板Wのシード層104に接触した場合、除去部93aが電気接点92とシード層104との接触抵抗に影響を与えて、複数の電気接点92間の接触抵抗にバラつきが生じる虞がある。したがって、図5Aから図6Cに示した実施形態のように、電気接点部93bがシード層104に接触するときに除去部93aがシード層104から離間することで、電気接点部93bのみで電気接点92とシード層104との導通を行うことができる。その結果、複数の電気接点92間の接触抵抗のバラつきをさらに抑制することができる。
【0043】
また、電気接点92は、除去部93aと電気接点部93bの両方を備えるので、除去部93aと電気接点部93bとを別部品で構成する場合に比べて部品点数を低減することができる。
【0044】
次に、基板Wのベベル部に接触させる電気接点を備えた他の実施形態に係る基板ホルダ18について説明する。図7Aから図7Cは、他の実施形態に係る基板ホルダ18の部分拡大断面図を示す。この基板ホルダ18は、図4に示した電気接点92とは異なる形状の電気接点を有することを除いて、図2に示した基板ホルダ18と同様の構成を有する。
【0045】
図7Aに示すように、基板Wは、被めっき面側の平坦面であるフロント平面部101に加えて、フロント平面部101と略垂直な端面であるアペックス部103と、フロント平面部101とアペックス部103との間のベベル部102と、を有している。フロント平面部101とベベル部102には、シード層104が形成されている。また、フロント平面部101上に位置するシード層104上にレジスト105が形成されている。フロント平面部101の外周側及びベベル部102においては、電気接点92が接触するために、シード層104が露出されている。このシード層104の露出された部分には、絶縁性の薄膜又は有機物の残渣等の絶縁物106が付着している。
【0046】
図7Aに示すように、本実施形態では、図示省略された基板ホルダ18の第1保持部材65から第2保持部材66に向かって先端部92aが延びるように電気接点92が配置されている。また、先端部92aは、その先端が基板Wの中心方向に向かって傾斜しており、その先端側に電気接点部93bを有し、先端部92aの電気接点部93bよりも根元側(先端とは逆側)の側面部が除去部93aとして機能する。言い換えれば、本実施形態に係る電気接点92は、図5Aから図6Cに示した電気接点92と同様に、第1保持部材65と第2保持部材66とを対向して配置させたときに、除去部93aが電気接点部93bよりも保持面68の近くに位置するように構成される。除去部93a及び電気接点部93bは、共に先端部92aの保持面68(図2参照)側に位置する。
【0047】
図2に示した第2保持部材66を第1保持部材65に近づけたとき、図7Aに示すように、電気接点部93bよりも先に除去部93aが基板Wのベベル部102上のシード層104に接触する。図7Aに示す状態から、さらに第1保持部材65と第2保持部材66とを近づけると、図7Bに示すように、先端部92aの除去部93aが、ベベル部102上のシード層104に押し付けられつつ、基板Wの表面を摺動する。これにより、ベベル部102に位置するシード層104上の絶縁物106は、除去部93aによって掻き取られて除去される。
【0048】
図7Bに示す状態から、さらに第1保持部材65と第2保持部材66とを近づけて、リ
ップ部60aを基板Wのレジスト105に接触させると、図7Cに示すように、先端部92aがさらに下方に移動して、電気接点部93bは、除去部93aが絶縁物106を除去した基板W上の領域に接触する。なお、図7Cに示すように、電気接点部93bがシード層104に接触したとき、除去部93aが基板Wの表面から離間することが好ましい。
【0049】
以上で説明したように、図7Aから図7Cに示す電気接点においては、電気接点部93bが、除去部93aよりも先端部92aの先端側に設けられ、先端部92aが第1保持部材65の保持面68から第2保持部材66に向かう方向に延びるように設けられる。したがって、図7Aから図7Cに示すように、基板Wのベベル部102上のシード層104に対して、除去部93a及び電気接点部93bを接触させることができる。
【0050】
次に、電気接点に加えて除去部材を備えた他の実施形態に係る基板ホルダ18について説明する。図8Aから図8Cは、他の実施形態に係る基板ホルダ18の部分拡大断面図を示す。この基板ホルダ18は、図4に示した電気接点92とは異なる形状の電気接点を有し、且つ除去部材を有することを除いて、図2に示した基板ホルダ18と同様の構成を有する。
【0051】
図8Aに示すように、この基板ホルダ18は、電気接点92と、電気接点92に類似した形状を有する除去部材94と、を有する。電気接点92は、図4に示した電気接点92と類似した形状を有するが、除去部93aを備えていない。電気接点92の先端部92aは、基板Wのシード層104と接触する電気接点部93bを構成する。
【0052】
除去部材94は、例えば、合成樹脂又は金属等の弾性を有する任意の材料で形成され得、図3A及び図3Bに示した支持体90に、電気接点92と同様の方式で固定され得る。除去部材94は、電気接点92の外側に重なるように配置され、その先端部が除去部93aを構成する。除去部材94の先端は、基板Wのフロント平面部101に対して、垂直又は水平ではなく、傾斜するように延在している。図8Aに示すように第1保持部材65と第2保持部材66とを対向して配置させたときに、除去部93aは、電気接点92の電気接点部93bよりも保持面68(図2参照)の近くに位置する。
【0053】
図8Aに示す状態では、先端部92aの電気接点部93bは、除去部材94によって第1保持部材65の径方向外側(図8A中右側)に向かって付勢されている。即ち、除去部材94と先端部92aとは、互いに押し合うようにそれぞれの部材の弾性力が働いており、除去部材94の弾性力が先端部92aの弾性力に勝っている状態にある。その結果、電気接点92の先端部92aは、第1保持部材65の径方向外側に向かって押さえ付けられた状態にある。
【0054】
図8に示した第2保持部材66を第1保持部材65に近づけたとき、図8Aに示すように、除去部材94の先端に位置する除去部93aが基板Wのシード層104に最初に接触する。図8Aに示す状態から、さらに第1保持部材65と第2保持部材66とを近づけると、図8Bに示すように、除去部材94が湾曲して、除去部93aが基板Wの中心に向かって基板W上を摺動する。これにより、シード層104上の絶縁物106は、除去部93aによって掻き取られて除去される。このとき、除去部材94の除去部93aが基板Wの中心に向かって移動することで、電気接点92の先端部92aは、自身の弾性により、基板Wの中心に向かって移動する。
【0055】
図8Bに示す状態から、さらに第1保持部材65と第2保持部材66とを近づけて、リップ部60aを基板Wのレジスト105に接触させると、図8Cに示すように、除去部材94がさらに湾曲して、基板Wの中心に向かって移動する。これに伴い、先端部92aの電気接点部93bは、自身の弾性により基板Wの中心に向かって移動し、除去部93aが
絶縁物106を除去した基板W上の領域に接触する。なお、除去部材94が導電性の金属で形成される場合は、図8Cに示すように、電気接点部93bがシード層104に接触したとき、除去部材94が電気接点92の先端部92aによって基板Wの表面から押し上げられて、除去部93aが基板Wの表面から離間することが好ましい。これにより、電気接点部93bのみで電気接点92とシード層104との導通を行うことができる。その結果、複数の電気接点92間の接触抵抗のバラつきを抑制することができる。
【0056】
次に、基板Wのベベル部に接触させる電気接点を備えた他の実施形態に係る基板ホルダ18について説明する。図9Aから図9Cは、他の実施形態に係る基板ホルダ18の部分拡大断面図を示す。この基板ホルダ18は、図4に示した電気接点92とは異なる形状の電気接点92を有し、且つ除去部材94を有することを除いて、図2に示した基板ホルダ18と同様の構成を有する。
【0057】
図9Aに示すように、本実施形態の基板ホルダ18は、図7Aから図7Cに示した基板Wと同様の構成の基板Wを保持することができる。図9Aに示すように、本実施形態では、基板ホルダ18は、電気接点92と除去部材94とを有する。電気接点92は、図示省略された基板ホルダ18の第1保持部材65から第2保持部材66に向かって先端部92aが延びるように配置されている。また、先端部92aは、その先端が基板Wのベベル部102を向くように折れ曲がっている。本実施形態では、先端部92aの先端が電気接点部93bとして機能する。除去部材94は、電気接点92よりも、基板W側に位置し、その先端が基板Wの中心方向に向かって傾斜している。本実施形態では、除去部材94の側面部が除去部93aとして機能する。図9Aに示すように、第1保持部材65と第2保持部材66とを対向して配置させたときに、除去部93aは、電気接点92の電気接点部93bよりも保持面68(図2参照)の近くに位置する。
【0058】
図2に示した第2保持部材66を第1保持部材65に近づけたとき、図9Aに示すように、電気接点部93bよりも先に除去部93aが基板Wのベベル部102上のシード層104に接触する。図9Aに示す状態から、さらに第1保持部材65と第2保持部材66とを近づけると、図9Bに示すように、除去部材94の除去部93aが、ベベル部102上のシード層104に押し付けられつつ、基板Wの表面を摺動する。これにより、ベベル部102に位置するシード層104上の絶縁物106は、除去部93aによって掻き取られて除去される。
【0059】
図9Bに示す状態から、さらに第1保持部材65と第2保持部材66とを近づけて、リップ部60aを基板Wのレジスト105に接触させると、図9Cに示すように、先端部92aがさらに下方に移動して、電気接点部93bは、除去部93aが絶縁物106を除去した基板W上の領域に接触する。なお、図9Cに示すように、電気接点部93bがシード層104に接触したとき、除去部93aがシード層104の表面から離間することが好ましい。
【0060】
以上で説明したように、図8Aから図9Cに示した除去部93aは、第1保持部材65と第2保持部材66とを対向して配置させたときに電気接点部93bよりも保持面68の近くに位置する。これにより、第1保持部材65と第2保持部材66とで基板Wを挟み込んだときに、必ず除去部93aが電気接点部93bよりも先に基板W表面に接触する。このため、除去部93aが基板W上の絶縁物106を除去して、電気接点部93bが、絶縁物106が除去されたシード層104上の領域に直接接触することができる。したがって、図8Aから図9Cに示すように、基板Wのシード層104表面に絶縁物106が存在しても、複数の電気接点92とシード層104との間の接触抵抗のバラつきを抑制することができる。
【0061】
また、本実施形態では、電気接点部93bと除去部93aとが、それぞれ異なる部材に設けられる。これにより、いずれか一方の部材が破損した場合は、破損した部材のみを交換することができる。したがって、電気接点部93bと除去部93aとが単一の部材に設けられる場合に比べて、部品交換の際に係るコストを低減することができる。
【0062】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲及び明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、又は省略が可能である。
【0063】
以下に本明細書が開示する形態のいくつかを記載しておく。
第1形態によれば、基板を保持するための基板ホルダが提供される。この基板ホルダは、前記基板と接触するように構成される面を有する第1保持部材と、前記第1保持部材と共に前記基板を挟み込んで保持する第2保持部材と、を有する。前記第2保持部材は、前記第1保持部材と前記第2保持部材とで前記基板を挟み込んだときに前記基板の外周に沿うように配置され、且つ前記基板に接触して前記基板上の絶縁物を除去するように構成される除去部と、前記第1保持部材と前記第2保持部材とで前記基板を挟み込んだときに、前記基板の外周に沿うように配置され且つ前記除去部が前記絶縁物を除去した前記基板上の領域に接触するように構成される電気接点部と、を有する。前記除去部は、前記第1保持部材と前記第2保持部材とを対向して配置させたときに、前記電気接点部よりも前記面の近くに位置する。
【0064】
第1形態によれば、第1保持部材と第2保持部材とを対向して配置させたときに、除去部が電気接点部よりも上記面の近くに位置する。これにより、第1保持部材と第2保持部材とで基板を挟み込んだときに、必ず除去部が電気接点部よりも先に基板表面に接触する。このため、除去部が基板上の絶縁物を除去して、電気接点部が、絶縁物が除去された基板上の領域に直接接触することができる。したがって、基板の表面に絶縁物が存在しても、複数の電気接点と基板との間の接触抵抗のバラつきを抑制することができる。
【0065】
第2形態によれば、第1形態の基板ホルダにおいて、前記第2保持部材は、前記基板に接触して電流を前記基板上に流すための電気接点を有し、前記電気接点は、前記除去部と前記電気接点部を有する。第2形態によれば、電気接点が除去部と電気接点部の両方を備えるので、除去部と電気接点部とを別部品で構成する場合に比べて部品点数を低減することができる。
【0066】
第3形態によれば、第2形態の基板ホルダにおいて、前記第1保持部材は、外部電源からの電流を前記電気接点に供給するように構成される中継接点を有し、前記電気接点は、前記第1保持部材と前記第2保持部材とで前記基板を挟み込んで保持したときに前記中継接点と接触する脚部と、前記脚部から延びる本体部と、前記本体部から傾斜して延びる先端部と、を有し、前記先端部は、前記除去部及び前記電気接点部を有し、前記電気接点部は、前記先端部から突出するように構成される突状部である。
【0067】
第3形態によれば、電気接点部が、先端部から突出する突状部であるので、電気接点部のシード層表面に接触したときに、電気接点の除去部を基板から離間させることができる。除去した絶縁物が付着した除去部が基板のシード層に接触した場合、除去部が電気接点部とシード層との接触抵抗に影響を与えて、複数の電気接点間の接触抵抗にバラつきが生じる虞がある。したがって、電気接点部がシード層に接触するときに除去部がシード層から離間することで、電気接点部のみで電気接点とシード層との導通を行うことができる。
その結果、複数の電気接点間の接触抵抗のバラつきをさらに抑制することができる。
【0068】
第4形態によれば、第3形態の基板ホルダにおいて、前記除去部は、前記電気接点部よりも前記先端部の先端側に設けられる。第4形態によれば、除去部が先端部の先端側に設けられ、且つ第1保持部材と第2保持部材とを対向して配置させたときに、電気接点部よりも第1保持部材の上記面の近くに位置することになる。即ち、先端部の先端側が基板の平面部に向くように位置することになる。したがって、第4実施形態によれば、第1保持部材と第2保持部材とで基板を保持したとき、基板の平面部上のシード層に対して、除去部及び電気接点部を接触させることができる。
【0069】
第5形態によれば、第3形態の基板ホルダにおいて、前記電気接点部は、前記除去部よりも前記先端部の先端側に設けられる。第5形態によれば、電気接点部が、除去部よりも先端部の先端側に設けられ、且つ第1保持部材と第2保持部材とを対向して配置させたときに、除去部が電気接点部よりも第1保持部材の上記面の近くに位置することになる。即ち、先端部が第1保持部材の上記面から第2保持部材に向かう方向に延びるように位置することになる。この場合、先端部が基板の周辺に配置されれば、基板のベベル部上のシード層に対して、除去部及び電気接点部を接触させることができる。
【0070】
第6形態によれば、第1形態の基板ホルダにおいて、前記第2保持部材は、前記基板に接触して電流を前記基板上に流すための電気接点と、前記基板上の絶縁物を除去するための除去部材と、を有し、前記電気接点は、前記電気接点部を有し、前記除去部材は、前記除去部を有する。
【0071】
第6形態によれば、電気接点部と除去部とが、それぞれ異なる部材に設けられる。これにより、いずれか一方の部材が破損した場合は、破損した部材のみを交換することができる。したがって、電気接点部と除去部とが単一の部材に設けられる場合に比べて、部品交換の際に係るコストを低減することができる。
【0072】
第7形態によれば、第1から第6形態のいずれかの基板ホルダにおいて、前記除去部は、前記第1保持部材と前記第2保持部材とで前記基板を挟み込んで保持したとき、前記基板から離間するように構成される。
【0073】
第7形態によれば、電気接点の除去部を基板から離間させることができる。除去した絶縁物が付着した除去部が基板のシード層に接触した場合、除去部が電気接点部とシード層との接触抵抗に影響を与えて、複数の電気接点間の接触抵抗にバラつきが生じる虞がある。したがって、電気接点部がシード層に接触するときに除去部が基板から離間することで、電気接点部のみで電気接点とシード層との導通を行うことができる。その結果、複数の電気接点間の接触抵抗のバラつきをさらに抑制することができる。
【0074】
第8形態によれば、第1から第7形態のいずれかの基板ホルダにおいて、前記除去部は、前記第1保持部材と前記第2保持部材とで前記基板を挟み込むときに、前記除去部が前記基板に接触してから前記基板ホルダが前記基板を保持するまでに、前記基板上を摺動するように構成される。第8形態によれば、除去部が基板上を摺動するので、除去部は、基板上の所定範囲の領域における絶縁物を掻き取って除去することができる。
【0075】
第9形態によれば、第1から第8形態のいずれかの基板ホルダにおいて、前記第2保持部材は、前記基板に接触して電流を前記基板上に流すための複数の電気接点を有し、前記複数の電気接点の各々は、前記電気接点部を有し、前記複数の電気接点は、互いに電気的に接続されている。
【0076】
第9形態によれば、複数の電気接点が互いに電気的に接続されているので、電気接点の各々がそれぞれ異なる配線で外部電源に接続されていたとしても、電気接点の各々が同電位になるので、電気接点が基板に供給する電流を均一化することができる。
【0077】
第10形態によれば、第1から第9形態のいずれかの基板ホルダを使用して基板にめっき処理を行う、めっき装置が提供される。
【0078】
第11形態によれば、第1保持部材と第2保持部材とを有する基板ホルダで保持した基板にめっきをするめっき方法が提供される。このめっき方法は、前記基板を前記第1保持部材と前記第2保持部材とで挟み込んで、前記基板ホルダで前記基板を保持する工程と、前記基板ホルダに保持された基板にめっきする工程と、を有する。前記保持工程は、前記第2保持部材に設けられた除去部で前記基板上の絶縁物を掻き取る工程と、前記第2保持部材に設けられた電気接点部を、前記除去部が前記絶縁物を除去した前記基板上の領域に接触させる工程と、を有する。
【0079】
第11形態によれば、除去部が基板上の絶縁物を除去して、電気接点部が、絶縁物が除去された基板上の領域に直接接触することができる。したがって、基板の表面に絶縁物が存在しても、複数の電気接点と基板との間の接触抵抗のバラつきを抑制することができる。
【0080】
第12形態によれば、基板に電流を流すために前記基板と接触するように構成される電気接点が提供される。この電気接点は、外部電源と電気的に接続される脚部と、前記脚部から延在する本体部と、前記本体部から傾斜して延びる先端部と、を有する。前記先端部は、前記基板に接触して前記基板上の絶縁物を除去するように構成される除去部と、前記除去部が前記絶縁物を除去した前記基板上の領域に接触するように構成される電気接点部と、を有する。
【0081】
第12形態によれば、除去部が基板上の絶縁物を除去して、電気接点部が、絶縁物が除去された基板上の領域に直接接触する。したがって、基板の表面に絶縁物が存在しても、複数の電気接点と基板との間の接触抵抗のバラつきを抑制することができる。
【0082】
第13形態によれば、第12形態の電気接点において、前記電気接点部は、前記先端部から突出するように構成される突状部である。第13形態によれば、電気接点部が、先端部から突出する突状部であるので、電気接点部のシード層表面に接触したときに、電気接点の除去部を基板から離間させることができる。除去した絶縁物が付着した除去部が基板のシード層に接触した場合、除去部が電気接点部とシード層との接触抵抗に影響を与えて、複数の電気接点間の接触抵抗にバラつきが生じる虞がある。したがって、電気接点部がシード層に接触するときに除去部がシード層から離間することで、電気接点部のみで電気接点とシード層との導通を行うことができる。その結果、複数の電気接点間の接触抵抗のバラつきをさらに抑制することができる。
【0083】
第14形態によれば、第12形態又は第13形態の電気接点において、前記除去部は、前記電気接点部よりも前記先端部の先端側に設けられる。第14形態によれば、この電気接点は、基板の平面部に接触させる電気接点として使用することができる。
【0084】
第15形態によれば、第12形態又は第13形態の電気接点において、前記電気接点部は、前記除去部よりも前記先端部の先端側に設けられる。第15形態によれば、第14形態によれば、この電気接点は、基板のベベル部に接触させる電気接点として使用することができる。
【符号の説明】
【0085】
W…基板
1…めっき装置
18…基板ホルダ
65…第1保持部材
66…第2保持部材
68…保持面
88…中継接点
92…電気接点
94…除去部材
95…突状部
106…絶縁物
92a…先端部
92b…脚部
92c…本体部
93a…除去部
93b…電気接点部
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C