(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6796782
(24)【登録日】2020年11月19日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】プローバ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20201130BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
H01L21/66 B
H01L21/68 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-59441(P2017-59441)
(22)【出願日】2017年3月24日
(65)【公開番号】特開2018-163945(P2018-163945A)
(43)【公開日】2018年10月18日
【審査請求日】2020年3月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(72)【発明者】
【氏名】石本 隆
(72)【発明者】
【氏名】森山 哲
(72)【発明者】
【氏名】土田 裕士
【審査官】
堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−179109(JP,A)
【文献】
特開2011−243759(JP,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2007−0049693(KR,A)
【文献】
特開2015−144155(JP,A)
【文献】
特開2007−208053(JP,A)
【文献】
特開平9−153530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウェーハの搬送機構を有するローダ室と、
前記ローダ室との間の隔壁に形成されたウェーハ搬送開口部を介して前記ローダ室と連通したプローバ室と、
前記ローダ室の天井に配設され、前記ローダ室の内部の上方から下方に向かって除塵したガスを供給する第1のガス供給部と、
前記プローバ室の前記隔壁の前記ウェーハ搬送開口部に対して下方に配設され、前記ローダ室の内部に供給されたガスを吸引して除塵し、前記プローバ室の内部に供給する第2のガス供給部と、
を備えるプローバ。
【請求項2】
前記プローバ室の前記第2のガス供給部と対向する壁面に、前記第2のガス供給部から供給されたガスを排気するための排気口が形成された、請求項1記載のプローバ。
【請求項3】
前記プローバ室の内部に配置され、前記半導体ウェーハが載置されて保持されるウェーハチャックと、
前記プローバ室の内部に、前記ウェーハチャックと対向して配置されたプローブカードと、
前記プローバ室内に配置された、前記ウェーハチャック及び前記プローブカード以外の構造物とを更に備え、
前記ウェーハチャックと前記プローブカードとの間の空間であるプロービングエリアが前記第2のガス供給部と前記排気口との間に配置されており、
前記構造物が、前記第2のガス供給部と前記排気口と結ぶ方向から見て、前記プロービングエリアと重ならない位置に配置された、請求項2記載のプローバ。
【請求項4】
前記第1のガス供給部により前記ローダ室に供給される前記ガスの供給量が前記第2のガス供給部により前記プローバ室に供給される前記ガスの供給量よりも大きい、請求項1から3のいずれか1項記載のプローバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプローバに係り、特にプローバの内部のクリーン度を向上させるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
プローバの構成においては、プローバ本体(プローバ室)の上部に半導体デバイスを検査するためのテストヘッドが配置されるのが一般的である。このため、プローバ室の上部には、ファンフィルタユニット(FFU)を上部に配置することができないので、プローバ室の側壁にFFUを取り付けて、プローバ室内部に清浄度の高い空気を流すことで、プローバ室内のクリーン度を確保するようになっている。
【0003】
特許文献1に記載のプローバでは、ローダ室の天井にFFUが配設されており、プローバ室の壁面上部にノズルが配設された内部配管が配設されている(段落[0021]、[0027]、
図1)。ローダ室の天井に配設されたFFUは、クリーンルーム内の空気を吸引し、吸引した空気をフィルタを介してローダ室内に供給する。プローバ室の側壁の上部に配設された内部配管は、乾燥空気源に接続されており、内部配管に配設されたノズルを介して乾燥空気がプローバ室の内部に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−179109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図4及び
図5は、それぞれプローバにFFUを配設した例を示す正面透視図及び上面透視図であり、
図6は、
図4及び
図5のプローバ室の側面透視図である。
【0006】
図4から
図6に示すプローバ100では、ローダ室150の天井150A及びプローバ室102の後方側(−X側)の側壁102AにそれぞれFFU(以下、それぞれローダ側FFU152及び本体側FFU101という。)が取り付けられている。ローダ側FFU152及び本体側FFU101は、それぞれフィルタを備えており、プローバ100が設置されたクリーンルーム内の空気を吸引してこのフィルタを通すことで除塵を行う。そして、ローダ側FFU152及び本体側FFU101は、除塵した空気をそれぞれローダ室150及びプローバ室102の内部に供給する。
【0007】
図4に示すように、ローダ室150のプローバ室102とは反対側の壁面150Bの下部には、排気口154が設けられている。ローダ側FFU152によりローダ室150の内部に供給された空気は、ローダ室150の下方に向かって(−Z方向に)流れ、この排気口154から排出される。
【0008】
図6に示すように、プローバ室102の前方(+X側)の側壁102Bには、排気口114が設けられている。本体側FFU101によりプローバ室102の内部に供給された空気は、プローバ室102の前方側に向かって(+X方向に)流れ、この排気口114から排出される。
【0009】
図5及び
図6に示すように、プローバ室102の内部には、ウェーハチャック108に吸着されたウェーハWとテストヘッド104のプローブ針106がコンタクトするプロービングエリアA100が設けられる。このプロービングエリアA100の後方側(−X側)には、アラインメントカメラ112等の構造物が配置される。また、プロービングエリアA100の前方側(+X側)には、プローブカードチェンジャー110が配置される。
【0010】
図5に示すように、プローバ室102の後方側(−X側)の側壁に取り付けられた本体側FFU101から前方側(+X側)に空気を流すと、プロービングエリアA100の後方側の構造物が障害となって、プロービングエリアA100に清浄な空気が流れにくくなるという問題がある。さらに、プロービングエリアA100の前方側(+X側)のプローブカードチェンジャー110が気流の障害となって、プローバ室102の外部に空気を十分に排気することができないという問題があった。また、プローブカードチェンジャー110が空気の流れに対する障壁となって、
図5の矢印で示すように、空気がプロービングエリアA100に逆流してしまい、プローバ室102の内部のクリーン度が低下するという問題があった。
【0011】
また、
図4に示すように、ローダ室150においては、ローダ側FFU152から供給された空気が排気口154から十分に排気されず、排気されなかった気流が滞留してしまうという問題がある。このため、
図4の矢印で示すように、ウェーハ搬送時に発塵源であるロボットアーム156付近で空気が巻き上げられてしまう。このため、ウェーハWが
図4の下方のカセット(不図示)から取り出されて搬送されるときに、この空気の流れによって巻き上げられたパーティクル(塵)によってウェーハWが汚れてしまうという問題があった。
【0012】
特許文献1に記載のプローブ装置は、プローバ室と連通するローダ室内において、被検査体の搬送機構を遮蔽するシールドカバーと、このシールドカバー内及びプローバ室内に乾燥空気を供給する手段とを備えている。そして、シールドカバー内をローダ室内よりも加圧気味に設定することで、ローダ室内の空気をシールドカバー内に侵入させず、低露点を維持するようになっている(段落[0023])。
【0013】
特許文献1では、ローダ室内の空気がシールドカバー内に侵入しないようにすることができる。しかしながら、特許文献1では、シールドカバーの外では、ウェーハの汚染を防止することができない。さらに、シールドカバー及びシールドカバー内に乾燥空気を供給するための構成を設ける必要があるため、装置の構造が複雑化し、かつ、コストが上がるという問題があった。
【0014】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、より簡易な構成でプローバのクリーン度を向上させることができ、ウェーハの搬送時における汚染を防止することが可能なプローバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係るプローバは、半導体ウェーハの搬送機構を有するローダ室と、前記ローダ室との間の隔壁に形成されたウェーハ搬送開口部を介して前記ローダ室と連通したプローバ室と、前記ローダ室の天井に配設され、前記ローダ室の内部の上方から下方に向かって除塵したガスを供給する第1のガス供給部と、前記プローバ室の前記隔壁の前記ウェーハ搬送開口部に対して下方に配設され、前記ローダ室の内部に供給されたガスを吸引して除塵し、前記プローバ室の内部に供給する第2のガス供給部とを備える。
【0016】
第1の態様では、第1のガス供給部をローダ室の天井に配置し、第2のガス供給部をプローバ室とローダ室との間の隔壁のウェーハ搬送開口部の下方に配置する。これにより、ローダ室の下方から巻き上げられるガスがウェーハ搬送開口部に到達する前に、第2のガス供給部によりガスを吸引することができる。これにより、より簡易な構成でウェーハの汚染を防止することができる。また、プローバ室に供給されたガスは、第1及び第2のガス供給部によって2回除塵されるため、プローバ室をよりクリーンに保つことが可能になる。
【0017】
本発明の第2の態様に係るプローバは、第1の態様において、前記プローバ室の前記第2のガス供給部と対向する壁面に、前記第2のガス供給部から供給されたガスを排気するための排気口を形成したものである。
【0018】
第2の態様によれば、第2のガス供給部に供給されたガスを排気口を通じてスムースにプローバ室の外に排気することができる。
【0019】
本発明の第3の態様に係るプローバは、第2の態様において、前記プローバ室の内部に配置され、前記半導体ウェーハが載置されて保持されるウェーハチャックと、前記プローバ室の内部に、前記ウェーハチャックと対向して配置されたプローブカードと、前記プローバ室内に配置された、前記ウェーハチャック及び前記プローブカード以外の構造物とを更に備え、前記ウェーハチャックと前記プローブカードとの間の空間であるプロービングエリアが前記第2のガス供給部と前記排気口との間に配置されており、前記構造物が、前記第2のガス供給部と前記排気口と結ぶ方向から見て、前記プロービングエリアと重ならない位置に配置されるようにしたものである。
【0020】
第3の態様によれば、第2のガス供給部に供給されたガスを構造物に遮られることなく、プローバ室の内部に流すことができ、かつ、スムースに排気することができる。
【0021】
本発明の第4の態様に係るプローバは、第1から第3のいずれかの態様において、前記第1のガス供給部により前記ローダ室に供給される前記ガスの供給量が前記第2のガス供給部により前記プローバ室に供給される前記ガスの供給量よりも大きくしたものである。
【0022】
第4の態様によれば、第1のガス供給部に供給されたガスが第2のガス供給部に吸引されるガスよりも多く、第2のガス供給部では、第1のガス供給部供給されたガスのすべてが吸引されない。このため、第1のガス供給部から供給されたガスを第2のガス供給部よりも下方に導入することができる。また、プローバ室に対してローダ室を加圧気味に保つことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ローダ室の下方から巻き上げられるガスがウェーハ搬送開口部に到達する前に、第2のガス供給部によりガスを吸引することができる。これにより、より簡易な構成でウェーハの汚染を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るプローバの正面透視図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係るプローバの上面透視図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係るプローバ室の側面透視図である。
【
図4】
図4は、プローバにFFUを配設した例を示す正面透視図である。
【
図5】
図5は、プローバにFFUを配設した例を示す上面透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面に従って本発明に係るプローバの実施の形態について説明する。
【0026】
図1及び
図2は、それぞれ、本発明の一実施形態に係るプローバの正面透視図及び上面透視図である。
図3は、本発明の一実施形態に係るプローバ室の側面透視図である。なお、以下では、ウェーハチャック18に平行な面をXY平面とするXYZ直交座標系を用いて説明する。
【0027】
本実施形態に係るプローバ10は、不図示のクリーンルーム内に設置され、プローバ室12とローダ室50とを備える。
図1及び
図2に示すように、プローバ室12とローダ室50とはY方向に並んで設置される。
【0028】
図1に示すように、ローダ室50の内部には、ロボットアーム56を備えたウェーハ搬送ロボット58が配置される。ウェーハ搬送ロボット58の下部には、複数のチップ(半導体デバイス)が形成された板状のウェーハWを立てて(ZX平面に略平行な状態で)格納するためのカセット(不図示)が配置される。
【0029】
ウェーハ搬送ロボット58は、ロボットアーム56を用いて、ローダ室50内に配置された不図示のカセットからウェーハを取り出す。そして、ウェーハ搬送ロボット58は、ウェーハWを回転させてXY平面に略平行な状態で保持し、ローダ室50とプローバ室12との間の形成されたウェーハ搬送開口部26を介してプローバ室12に搬入する。また、ウェーハ搬送ロボット58は、ロボットアーム56を用いて、プローバ室12からウェーハWを搬出し、ウェーハWを立ててカセット内に格納する。
【0030】
図1及び
図3に示すように、プローバ室12の天井には、テストヘッド14が配置される。プローバ室12の内部には、ウェーハチャック18が配置される。ウェーハチャック18の前方側(+X側)にはプローブカードチェンジャー20が配置され、ウェーハチャック18の後方側(−X側)であって、ウェーハチャック18より上方側(+Z側)には、アラインメントカメラ22が配置される。
【0031】
ウェーハチャック18は、プローバ室12内に設置された基台17に取り付けられる。基台17には、ウェーハチャック18をXYZ3軸方向に移動し、かつ、Z軸周りに回転する移動回転機構を含んでいる。
【0032】
ウェーハチャック18は、ウェーハ搬送ロボット58によってプローバ室12に搬入されたウェーハWを真空吸着により保持する。
【0033】
ウェーハチャック18の上方(+Z側)には、プローブカード15が配置される。プローブカード15は、プローバ室12の天井を構成するテストヘッド14の下面(ヘッドステージ)の開口部(プローブカード取付部)に着脱自在に装着される。
【0034】
プローブカード15は、検査するチップの電極配置に対応するプローブ針16を有する。プローバ10は、検査するチップの電極配置に応じてプローブ針16の配置が異なるプローブカード15が複数格納された格納装置(不図示)を備える。プローブカードチェンジャー20は、プローブカード15を搬送するための搬送機構を備える。プローブカードチェンジャー20は、検査するチップの電極配置に応じたプローブカード15をこの格納装置の中から取り出して、テストヘッド14のプローブカード取付部に装着する。また、プローブカードチェンジャー20は、テストヘッド14のプローブカード取付部に装着されたプローブカード15を取り外して上記格納装置に格納する。
【0035】
アラインメントカメラ22は、ウェーハWの画像を撮影して、ウェーハW上のチップの電極の位置を検出するために用いられる。
【0036】
本実施形態に係るプローバ10では、基台17の移動回転機構等により、ウェーハチャック18とプローブカード15とを相対的に移動させる。そして、プローバ10では、ウェーハW上の電極位置の検出結果に基づいて、ウェーハチャック18とプローブカード15とを相対的に移動させる。そして、ウェーハWの各チップの電極をプローブ針16に接触させることにより、半導体デバイスの電気的特性の検査が行われる。
【0037】
ローダ室50の天井50Aには、ローダ側FFU52(第1のガス供給部)が取り付けられる。プローバ室12のローダ室50との間の隔壁(側壁12A)であって、ウェーハ搬送開口部26の下方(−Z側)には、本体側FFU11(第2のガス供給部)が取り付けられる。
【0038】
プローバ室12の側壁12Aと対向する側壁12Bには、本体側FFU11からプローバ室12に供給された空気の排気用の排気口24が形成される。排気口24には、プローバ室12から排気された空気が逆流しないように逆流防止ダンパーが取り付けられていてもよい。
【0039】
ローダ側FFU52は、クリーンルーム内の空気を吸引してローダ室50に供給するためのファンと、このファンによって吸引された空気を除塵するためのフィルタとが筐体に組込まれたユニットである。また、本体側FFU11は、ローダ室50の内部の空気を吸引してプローバ室12に供給するためのファンと、このファンによって吸引された空気を除塵するためのフィルタとが筐体に組込まれたユニットである。
【0040】
本体側FFU11としては、パナソニック株式会社製BV−R07TU2Gを用いることができ、ローダ側FFU52としては、パナソニック株式会社製BV−R15TU2Gを用いることができる。これらは、いずれも直流電源駆動で、ULPA(Ultra Low Penetration Air Filter)フィルタを備えたものである。ここで、ULPAフィルタとは、日本工業規格JIS Z 8122によれば、『定格風量で粒径が0.15μmの粒子に対して99.9995%以上の粒子捕集率をもち、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルタ』をいう。なお、FFUの種類、FFUの電源及びフィルタの種類は、上記に限定されるものではない。
【0041】
本実施形態では、本体側FFU11は、プローバ室12とローダ室50との間であって、ウェーハWの搬送時にウェーハ搬送ロボット58のロボットアーム56が通るウェーハ搬送開口部26の直下に配置する。このような配置にすることにより、ローダ側FFU52によってローダ室50に供給された空気のダウンフロー(下向き気流)が床面又はその他のローダ室内の構造物によって巻き上げられてロボットアーム56付近に到達する前に、本体側FFU11によって吸い込んでプローバ室12側へ流すことができる。これにより、ウェーハ搬送ロボット58の動作に起因する発塵を、ロボットアーム56上のウェーハWに到達しないようにすることができる。
【0042】
本実施形態では、本体側FFU11として、ローダ側FFU52よりも小型のものを用いることが好ましい。あるいは、本体側FFU11によりローダ室50から吸引されてプローバ室12に供給される空気の量が、ローダ側FFU52からローダ室50の内部に供給される空気の量よりも少なくなるように、本体側FFU11及びローダ側FFU52の空気の供給量を調整することが好ましい。これにより、ローダ室50がプローバ室12に対して加圧気味に保つことが可能になる。また、ローダ室50への空気の供給量がプローバ室12への空気の供給量よりも大きいため、ローダ側FFU52から供給されたガスを、ローダ室50の本体側FFU11の下方まで到達させることが可能になる。
【0043】
さらに、本実施形態では、ローダ側FFU52からローダ室50の内部に供給された空気が、ウェーハ搬送開口部26の下方に流れた後にウェーハ搬送開口部26に到達しないように、ローダ側FFU52及び本体側FFU11によるガスの供給量が調整されることが好ましい。換言すれば、ローダ側FFU52から供給される空気が少な過ぎるために、本体側FFU11よりも下方に至る前に、本体側FFU11にすべて吸引されてしまわないように、かつ、巻き上げられる空気の量が多くなり過ぎて、本体側FFU11よりも上方に到達しないように、ローダ側FFU52及び本体側FFU11によるガスの供給量が調整されることが好ましい。このローダ側FFU52及び本体側FFU11によるガスの供給量は、ローダ室50のサイズ、ローダ室50内の構造物のサイズ及び配置等によって異なるため、実験的に決定することができる。
【0044】
また、本実施形態では、プローバ室12に供給された空気の流れの障害となる構造物(プローブカードチェンジャー20、アラインメントカメラ22等)は、ウェーハチャック18とプローブカード15との間の空間であるプロービングエリアA10に対してX方向に配置されており、Y方向には配置されていない。換言すれば、プロービングエリアA10は、本体側FFU11と排気口24との間であって、本体側FFU11から供給されるガスが流れる位置に配置される。そして、上記空気の流れの障害となる構造物は、本体側FFU11と排気口24とを結ぶ方向から見て、プロービングエリアA10と重ならないように配置される。このため、本体側FFU11によりローダ室50側から−Y方向に清浄空気を流したときに、清浄空気は、プロービングエリアA10に流れるようになる。そして、プローバ室12内部に供給された空気を、これらの構造物に阻害されることなく、プローバ室12の外部に排気することができる。
【0045】
また、プローバ室12に供給される空気は、ローダ側FFU52と本体側FFU11とによって2度クリーン化(除塵)された空気である。このため、プローバ10の周りの環境(例えば、プローバ室12が設置されるクリーンルーム)の影響を受けることなく、プロービングエリアA10のクリーン度を保つことができる。
【0046】
本実施形態では、本体側FFU11及びローダ側FFU52による空気の供給量を調整することにより、本体側FFU11の1次側は常にローダ側FFU52によって加圧された状態とすることができる。これにより、特に、本体側FFU11で作る必要のある圧力差が軽減されるので省エネルギー化を実現することができる。
【0047】
さらに、プローバ室12へ流れる空気は、必ずローダ室50の内部を通ることになるので、ウェーハ搬送ロボット58に使用されるモータなどの発熱により温められてから、プローバ室12の内部へ流入することになる。このため、基台17の移動回転機構に含まれるモータなどで一から温められるよりも早く本体内部の温度が安定する。
【0048】
また、本実施形態では、ローダ室50の内部に本体側FFU11が配置されるので、フットプリントに影響を与えることがない。
【0049】
本実施形態によれば、より簡易な構成でプローバのクリーン度を向上させることができ、特に、カセットからのウェーハの取り出し及び搬送時における汚染を防止することが可能となる。
【0050】
なお、本実施形態では、プローバ室12及びローダ室50にクリーンな空気を供給するための手段としてFFUを用いたが、本願のガス供給部はこれに限定されるものではない。例えば、空気源又は乾燥空気源(以下、タンクという。)と、このタンクとプローバ室12及びローダ室50とをつなぐ配管と、この配管に設けられたフィルタ(例えば、ULPAフィルタ)と、この配管のフィルタの下流側に設けられたガス供給口(ノズル)とを備えるガス供給部を用いてもよい。
【符号の説明】
【0051】
10…プローバ、11…本体側FFU、12…プローバ室、14…テストヘッド、15…プローブカード、16…プローブ針、17…基台、18…ウェーハチャック、20…プローブカードチェンジャー、22…アラインメントカメラ、24…排気口、26…ウェーハ搬送開口部、50…ローダ室、52…ローダ側FFU、56…ロボットアーム、58…ウェーハ搬送ロボット、A10…プロービングエリア