特許第6797043号(P6797043)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6797043
(24)【登録日】2020年11月19日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】加工装置のチャックテーブル
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20201130BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20201130BHJP
【FI】
   H01L21/78 F
   B24B41/06 L
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-21664(P2017-21664)
(22)【出願日】2017年2月8日
(65)【公開番号】特開2018-129404(P2018-129404A)
(43)【公開日】2018年8月16日
【審査請求日】2019年12月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西原 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】松澤 稔
(72)【発明者】
【氏名】中村 勝
(72)【発明者】
【氏名】万徳 公丈
(72)【発明者】
【氏名】樋田 美玲
【審査官】 宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−062345(JP,A)
【文献】 特開2015−216324(JP,A)
【文献】 特開2012−059985(JP,A)
【文献】 実開平05−059845(JP,U)
【文献】 特開2016−157903(JP,A)
【文献】 特開2013−098248(JP,A)
【文献】 特開2010−123805(JP,A)
【文献】 特開2009−206417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
B24B 41/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面のデバイス領域に対応し裏面に形成された円形凹部と該円形凹部を囲繞する環状補強部とを有するウエーハを、表面が露出した状態で保持する加工装置のチャックテーブルであって、
該円形凹部が嵌合して保持される凹部保持面を上面に備え、外周に雄ネジが形成された円柱部と、
一端が該凹部保持面に連通し他端が吸引源に接続される吸引路と、
該円柱部の該雄ネジに螺合する雌ネジを内周に有し、該円柱部の外周で該ウエーハの環状補強部を支持する環状支持部と、を備え、
該環状支持部の螺合量を調整して該ウエーハの円形凹部の深さに対応することを特徴とする加工装置のチャックテーブル。
【請求項2】
該ウエーハの裏面には、外周が環状フレームに固定された粘着テープが貼着され、
該環状支持部の外周に、該環状フレームを保持するフレーム保持部を有する請求項1に記載の加工装置のチャックテーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置のチャックテーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス(以下、「デバイス」という。)は、電子機器の軽薄短小化、高機能化に伴い、より薄く小さく形成される傾向にある。シリコン等の基板で形成する半導体ウエーハ(以下、「ウエーハ」という。)を極薄にすることで、デバイスの薄化に対応している。ところが、ウエーハを仕上がり厚さまで薄化すると、研削歪みによってウエーハが反るおそれがある。ウエーハが反ると、その後の工程で、例えばウエーハの裏面に金属膜を被覆する工程で、反ったウエーハをハンドリングしたり固定したりすることが困難になるという課題があった。そこで、ウエーハのデバイス領域のみ薄化して、ウエーハの外周に環状の補強部を残し、薄化した部分が反ることを防ぐTAIKO研削技術が開発された(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−019461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
TAIKOウエーハの外周に残した環状の補強部は、TAIKOウエーハの裏面に金属膜を被覆する際などにはTAIKOウエーハの反り抑制に貢献するが、個々のチップに分割する際は不要となる。このため、環状の補強部は、切削ブレードやレーザー光線などにより、デバイス領域から切り離す必要がある。
【0005】
そこで、TAIKOウエーハを加工時に保持する、TAIKOウエーハの形状に合わせてハット状に形成されたチャックテーブルが知られている。このチャックテーブルは、ハット状のベース部に環状のスペーサが嵌合されている。デバイスによって、又は、メーカーによって、TAIKOウエーハの円形凹部の深さが異なるので、スペーサの厚さを変えて円形凹部の深さの違いに対応する。しかしながら、円形凹部の深さに応じて複数のスペーサを備えるのは、製造コストが増加し、管理が煩雑になるという課題がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、TAIKOウエーハの円形凹部の深さの違いに対応する加工装置のチャックテーブルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の加工装置のチャックテーブルは、表面のデバイス領域に対応し裏面に形成された円形凹部と該円形凹部を囲繞する環状補強部とを有するウエーハを、表面が露出した状態で保持する加工装置のチャックテーブルであって、該円形凹部が嵌合して保持される凹部保持面を上面に備え、外周に雄ネジが形成された円柱部と、一端が該凹部保持面に連通し他端が吸引源に接続される吸引路と、該円柱部の該雄ネジに螺合する雌ネジを内周に有し、該円柱部の外周で該ウエーハの環状補強部を支持する環状支持部と、を備え、該環状支持部の螺合量を調整して該ウエーハの円形凹部の深さに対応することを特徴とする。
【0008】
また、上記加工装置のチャックテーブルにおいて、該ウエーハの裏面には、外周が環状フレームに固定された粘着テープが貼着され、該環状支持部の外周に、該環状フレームを保持するフレーム保持部を有しても良い。
【発明の効果】
【0009】
そこで、本願発明の加工装置のチャックテーブルでは、円柱部と円柱部に螺合する環状支持部とから構成されるため、ウエーハの凹部の深さが変わっても、環状支持部の螺合量を調整することで容易に凹部保持面と環状支持部との段差を調整して対応出来るため、低コストで多種類のTAIKOウエーハを支持できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態1に係る加工装置のチャックテーブルを備える切削装置の構成例を示す斜視図である。
図2図2は、実施形態1に係る加工装置のチャックテーブルで保持されるTAIKOウエーハを示す斜視図である。
図3図3は、図2中のIII−III線に沿う断面図である。
図4図4は、実施形態1に係る加工装置のチャックテーブルがTAIKOウエーハを保持した状態を示す断面図である。
図5図5は、実施形態1に係る加工装置のチャックテーブルを示す斜視図である。
図6図6は、図5に示す加工装置のチャックテーブルを分解した分解斜視図である。
図7図7は、図5に示す加工装置のチャックテーブルを分解した分解断面図である。
図8図8は、図5に示す加工装置のチャックテーブルを示す断面図である。
図9図9は、図8中のIX部を拡大して示す断面図である。
図10図10は、実施形態2に係る加工装置のチャックテーブルを示す斜視図である。
図11図11は、図10に示す加工装置のチャックテーブルを分解した分解斜視図である。
図12図12は、図10に示す加工装置のチャックテーブルを分解した分解断面図である。
図13図13は、図10に示す加工装置のチャックテーブルを示す断面図である。
図14図14は、実施形態3に係る加工装置のチャックテーブルを分解した分解斜視図である。
図15図15は、図14に示す加工装置のチャックテーブルを分解した分解断面図である。
図16図16は、図14に示す加工装置のチャックテーブルを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施形態につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0012】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る加工装置のチャックテーブルを図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る加工装置のチャックテーブルを備える切削装置の構成例を示す斜視図である。図2は、実施形態1に係る加工装置のチャックテーブルで保持されるTAIKOウエーハを示す斜視図である。図3は、図2中のIII−III線に沿う断面図である。図4は、実施形態1に係る加工装置のチャックテーブルがTAIKOウエーハを保持した状態を示す断面図である。図5は、実施形態1に係る加工装置のチャックテーブルを示す斜視図である。図6は、図5に示す加工装置のチャックテーブルを分解した分解斜視図である。図7は、図5に示す加工装置のチャックテーブルを分解した分解断面図である。図8は、図5に示す加工装置のチャックテーブルを示す断面図である。図9は、図8中のIX部を拡大して示す断面図である。
【0013】
実施形態1に係る加工装置のチャックテーブル(以下、単にチャックテーブルと記す)10は、図1に示す加工装置である切削装置1を構成する。切削装置1は、図1に示すように、チャックテーブル10と、X軸移動ユニット120と、加工ユニットである切削ユニット130と、撮像ユニット140と、Y軸移動ユニット150と、Z軸移動ユニット160と、加工装置である洗浄・乾燥装置170とを備える。切削装置1は、TAIKOウエーハ(以下、単にウエーハと記す)201を切削加工する加工装置である。
【0014】
図2図3を用いて、ウエーハ201について説明する。ウエーハ201は、切削装置1の加工対象である。ウエーハ201は、チャックテーブル10で保持され、切削ユニット130で切削加工される。ウエーハ201は、円形の板状に形成されている。本実施形態では、ウエーハ201は、互いに交差する複数の分割予定ライン202で区画された各領域にデバイス(チップ)203が配置されている。ウエーハ201は、表面204に、デバイス203が配置されたデバイス領域205と、デバイス203が配置されていない、外周縁に位置する切削しない外周余剰領域206とを有する。ウエーハ201は、裏面207に、デバイス領域205に対応する領域に形成された円形凹部208と、ウエーハ201の円形凹部208を囲繞する凸状の環状補強部209とを有する。
【0015】
ウエーハ201は、粘着テープ210を介して環状フレーム211の開口部に支持されている。言い換えると、ウエーハ201は、裏面207に、外周が環状フレーム211に固定された粘着テープ210が貼着されている。粘着テープ210は、環状補強部209及び円形凹部208に貼着される保護部材である。粘着テープ210は、いわゆるダイシングテープである。粘着テープ210は、伸縮性を有する。粘着テープ210は、両面のうち一方の面に粘着剤が設けられており、粘着剤が設けられた粘着面にウエーハ201と環状フレーム211とが貼着されている。ウエーハ201は、厚みが一定の状態で裏面207のデバイス領域205に対応する領域に研削加工が施されて薄化されて円形凹部208が形成され、裏面207の外周余剰領域206に対応する領域に研削加工が施されることなく環状補強部209が形成される。
【0016】
次に、図1に戻って切削装置1について説明する。
【0017】
X軸移動ユニット120は、チャックテーブル10をX軸方向(加工送り方向)に加工送りする。X軸移動ユニット120は、X軸移動基台121をX軸方向に移動可能に支持している。X軸移動ユニット120は、例えば、X軸方向に対して平行に延在されるボールネジ、パルスモータ等で構成される駆動源を有する。X軸移動ユニット120は、X軸移動基台121を装置本体102に対してX軸方向に相対移動させる。X軸移動基台121は、装置本体102に支持されている。X軸移動基台121は、チャックテーブル10を支持している。このため、チャックテーブル10は、装置本体102に対して、X軸方向に相対移動可能である。
【0018】
切削ユニット130は、チャックテーブル10に保持されたウエーハ201を切削する。切削ユニット130は、切削ブレード131と、スピンドル132と、ハウジング133とを備える。切削ブレード131は、極薄の円板状かつ環状に形成された切削砥石である。スピンドル132は、切削ブレード131を着脱可能に装着する。ハウジング133は、モータ等の駆動源を有しており、Y軸方向の回転軸周りに回転自在に、スピンドル132を支持する。
【0019】
撮像ユニット140は、チャックテーブル10に保持されたウエーハ201を撮像するCCD(Charge−Coupled Device)カメラを有する。撮像ユニット140は、ウエーハ201と切削ユニット130の切削ブレード131との位置合わせを行なうアライメントを遂行するための画像を撮像する。撮像ユニット140は、撮像した画像を図示しない制御部に出力する。撮像ユニット140は、切削ユニット130のハウジング133に配置されている。
【0020】
Y軸移動ユニット150は、Y軸移動基台151をY軸方向(割り出し送り方向)に移動可能に支持している。Y軸移動ユニット150は、例えば、Y軸方向に対して平行に延在されるボールネジ、パルスモータ等で構成される駆動源を有する。Y軸移動ユニット150は、Y軸移動基台151を装置本体102に対してY軸方向に相対移動させる。Y軸移動基台151は、装置本体102の鉛直方向の上端から立設された支持基台103に支持されている。Y軸移動基台151は、Z軸移動ユニット160を支持している。
【0021】
Z軸移動ユニット160は、Z軸移動基台161をZ軸方向(切り込み送り方向)に移動可能に支持している。Z軸移動ユニット160は、例えば、Z軸方向に対して平行に延在されるボールネジ、パルスモータ等で構成される駆動源を有する。Z軸移動ユニット160は、Z軸移動基台161を装置本体102に対してZ軸方向に相対移動させる。Z軸移動基台161は、Y軸移動基台151に支持されている。Z軸移動ユニット160は、切削ユニット130を支持している。このため、切削ユニット130は、Y軸移動ユニット150とZ軸移動ユニット160とにより、装置本体102に対して、Y軸方向およびZ軸方向に相対移動可能である。
【0022】
洗浄・乾燥装置170は、切削加工が施されたウエーハ201を洗浄し、乾燥させる。洗浄・乾燥装置170は、切削後のウエーハ201を洗浄(加工)する加工装置であり、チャックテーブルであるスピンナテーブル171と、加工ユニットである洗浄流体供給ノズル172とを備える。スピンナテーブル171は、図示しない真空吸引源に接続されている。スピンナテーブル171は、真空吸引源の負圧により、粘着テープ210を介してウエーハ201を吸引保持する。
【0023】
スピンナテーブル171は、図示しないモータ等の駆動源により、水平面内で回転する。スピンナテーブル171は、その回転に伴って生じる遠心力によって環状フレーム211を挟持するフレームクランプを有している。洗浄流体供給ノズル172は、洗浄時には、純水等の洗浄水をウエーハ201に向けて噴射し、ウエーハ201を洗浄する。洗浄流体供給ノズル172は、乾燥時には、清浄なエアー等をウエーハ201に向けて噴射し、ウエーハ201を乾燥させる。
【0024】
チャックテーブル10は、表面204が露出した状態でウエーハ201を保持する。チャックテーブル10は、切削装置1のX軸移動ユニット120のX軸移動基台121に支持されている。チャックテーブル10は、図示しないθ軸回転手段により鉛直方向に対して平行となる軸(θ軸)周りに回転可能、言い換えると、水平面内で回転可能である。言い換えると、チャックテーブル10は、切削装置1の装置本体102に対して、θ軸周りに相対回転可能である。
【0025】
チャックテーブル10は、図4図5図6図7及び図8に示すように、円柱部20と、吸引路25と、円柱部20と螺合する環状支持部30と、を備える。円柱部20は、外観が薄手の円柱状に形成され、例えば、ステンレス鋼により構成された環状の枠体21と枠体21の内側に嵌合し、円盤状のポーラスセラミック板22とで構成されている。円柱部20の上面20−1は、枠体21とポーラスセラミック板22とが面一に形成され、ウエーハ201の円形凹部208内に侵入して、円形凹部208が嵌合する。円柱部20の上面20−1は、ウエーハ201の円形凹部208が嵌合し、上面20−1には、ポーラスセラミック板22の表面により構成されかつウエーハ201の円形凹部208が保持される凹部保持面22−1が設けられている。即ち、円柱部20は、円形凹部208が嵌合して保持される凹部保持面22−1を上面20−1に備えている。円柱部20の軸方向の高さ301は、図9に示すように、円形凹部208の深さ(ウエーハの円形凹部の深さ)302より大きい。また、円柱部20は、外周面に雄ネジ26が形成されている。
【0026】
吸引路25は、円柱部20内に形成されている。吸引路25は、枠体21とポーラスセラミック板22とで囲む円柱部20の内部の空間に開口し、開閉弁200−1を介して吸引源である真空吸引源200に接続されている。即ち、吸引路25は、一端が凹部保持面22−1に連通し、他端が真空吸引源200に接続される。円柱部20は、凹部保持面22−1に作用する真空吸引源200からの負圧により、粘着テープ210を介してウエーハ201を吸引保持する。
【0027】
環状支持部30は、例えば、ステンレス鋼により構成され、内径が円柱部20の外径と等しい環状に形成されている。環状支持部30は、円柱部20の雄ネジ26に螺合する雌ネジ31を内周面に有している。環状支持部30は、雌ネジ31が円柱部20の雄ネジ26に螺合して、円柱部20の外周に配置されて、円柱部20の外周でウエーハ201の環状補強部209を上面30−1に支持する。環状支持部30の厚さ303は、図9に示すように、円柱部20の軸方向の高さ301より小さい。
【0028】
環状支持部30は、ウエーハ201の環状補強部209及びウエーハ201の外周で露出する粘着テープ210を上面30−1で支持する。環状支持部30の上面30−1には、吸引溝32が形成されている。吸引溝32は、上面30−1から凹に形成され、環状支持部30と同軸に設けられた複数の環状溝33と、環状溝33同士を連結する連結溝34とを備える。吸引溝32は、円柱部20内に設けられた第1分岐吸引路27と、環状支持部30内に設けられた第2分岐吸引路35とを介して吸引路25に連結される。環状支持部30は、上面30−1に作用する真空吸引源200からの負圧によりウエーハ201の環状補強部209及び粘着テープ210を吸引保持する。
【0029】
環状支持部30は、図9に示すように、上面30−1の凹部保持面22−1からのZ軸方向の距離304が、円形凹部208の深さ302と粘着テープ210の厚さとの和と等しくなるように、円柱部20に螺合される。このように、チャックテーブル10は、環状支持部30の螺合量を調整してウエーハ201の円形凹部208の深さ302に対応する。
【0030】
前述した構成のチャックテーブル10は、真空吸引源200からの負圧により凹部保持面22−1上に粘着テープ210を介してウエーハ201の円形凹部208を吸引保持し、環状支持部30の上面30−1に粘着テープ210を介して環状補強部209を吸引保持するとともにウエーハ201の外周で露出する粘着テープ210を吸引保持する。また、チャックテーブル10は、環状支持部30の外周に、環状フレーム211を保持するフレーム保持部11を有している。
【0031】
また、切削装置1は、切削前後のウエーハ201を収容するカセット111が載置されかつカセット111をZ方向に移動させるカセットエレベータ110と、カセット111にウエーハ201を出し入れするとともにウエーハ201を搬送する図示しない搬送ユニットとを備える。
【0032】
切削装置1は、搬送ユニットにより切削前のウエーハ201をカセット111から取り出して、チャックテーブル10の上面20−1にウエーハ201を載置させ、チャックテーブル10にウエーハ201を吸引保持する。切削装置1は、切削ユニット130とチャックテーブル10とをX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に相対的に移動させて、切削ユニット130にウエーハ201を切削させる。切削装置1は、搬送ユニットにより切削後のウエーハ201を洗浄・乾燥装置170に搬送し、洗浄・乾燥装置170で洗浄、乾燥した後、カセット111に収容する。切削装置1は、カセット111内のウエーハ201を順に切削する。
【0033】
以上のように、実施形態1に係るチャックテーブル10によれば、ウエーハ201の円形凹部208の深さ302に応じて、環状支持部30の円柱部20への螺合量を調整することで、環状支持部30の上面30−1の円柱部20の凹部保持面22−1からの距離304を適切に調整することができる。その結果、実施形態1に係るチャックテーブル10は、TAIKOウエーハであるウエーハ201の円形凹部208の深さ302の違いに対応することができる。
【0034】
従来は、ウエーハ201の円形凹部208の深さ302に応じて、厚さの異なるスペーサを用意していた。スペーサは面精度を要するので、厚さの異なるスペーサを用意すると、製造コストが増加していた。従来は、厚さの異なるスペーサを用意していたので、切削装置の管理が煩雑であった。
【0035】
これに対して、実施形態1に係るチャックテーブル10は、一つの環状支持部30でウエーハ201の円形凹部208の深さ302の違いに対応することができるので、製造コストの増加を抑制することができる。実施形態1に係るチャックテーブル10は、スペーサを複数用意しなくてよいので、切削装置1の管理を容易にすることができる。その結果、実施形態1に係るチャックテーブル10は、コストの高騰、管理を複雑化することなく、円形凹部108の深さ302の異なる複数種類のウエーハ201を支持することができる。
【0036】
〔実施形態2〕
実施形態2に係る加工装置のチャックテーブルを図面に基づいて説明する。図10は、実施形態2に係る加工装置のチャックテーブルを示す斜視図である。図11は、図10に示す加工装置のチャックテーブルを分解した分解斜視図である。図12は、図10に示す加工装置のチャックテーブルを分解した分解断面図である。図13は、図10に示す加工装置のチャックテーブルを示す断面図である。図10から図13は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0037】
実施形態2に係る加工装置のチャックテーブル(以下、単にチャックテーブルと記す)10−2は、円柱部20に支持部28が設けられ、螺合量を調整された後の環状支持部30の回転を規制するストッパ機構50を備えること以外、実施形態1と構成が等しい。
【0038】
支持部28は、図10図11図12及び図13に示すように、円柱部20の凹部保持面22−1から離れた側の端部から外周方向に突出し、かつ円柱部20の周囲を囲う鍔状に形成されている。支持部28の上面28−1は、平坦に形成され、凹部保持面22−1と平行に形成されている。また、支持部28には、貫通孔28−2が少なくとも一つ以上設けられている。実施形態2において、貫通孔28−2は、二つ設けられ、凹部保持面22−1の中心を挟む位置に配置されている。
【0039】
ストッパ機構50は、図11図12及び図13に示すように、貫通孔28−2と同数のシリンダ51を備える。シリンダ51は、シリンダ本体51−1と、シリンダ本体51−1から伸縮自在なシリンダロッド51−2とを備える。シリンダ本体51−1は、支持部28の下面に取り付けられる。シリンダロッド51−2は、貫通孔28−2内に収容され、図11に実線で示す位置と点線で示す位置との間で伸縮する。ストッパ機構50は、環状支持部30の螺合量が調整される際には、図12に示すように、シリンダロッド51−2が縮小した状態に保たれる。ストッパ機構50は、環状支持部30の螺合量の調整後、シリンダロッド51−2が伸張し、図13に示すように、シリンダロッド51−2が環状支持部30を押圧して、環状支持部30の円柱部20に対する回転を規制する。即ち、ストッパ機構50は、環状支持部30の螺合量の調整後、環状支持部30を円柱部20に固定する。
【0040】
実施形態2に係るチャックテーブル10は、実施形態1と同様に、ウエーハ201の円形凹部208の深さ302に応じて環状支持部30の円柱部20への螺合量を調整することで、環状支持部30の上面30−1の円柱部20の凹部保持面22−1からの距離304を適切に調整でき、TAIKOウエーハであるウエーハ201の円形凹部208の深さ302の違いに対応することができる。
【0041】
また、実施形態2に係るチャックテーブル10は、環状支持部30の回転を規制するストッパ機構50を備えているので、螺合量の調整後の環状支持部30の円柱部20に対する螺合量が加工中に変化してしまうことを抑制することができる。
【0042】
〔実施形態3〕
実施形態3に係る加工装置のチャックテーブルを図面に基づいて説明する。図14は、実施形態3に係る加工装置のチャックテーブルを分解した分解斜視図である。図15は、図14に示す加工装置のチャックテーブルを分解した分解断面図である。図16は、図14に示す加工装置のチャックテーブルを示す断面図である。図14から図16は、実施形態1及び実施形態2と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0043】
実施形態3に係る加工装置のチャックテーブル(以下、単にチャックテーブルと記す)10−3は、ストッパ機構50−3の構成が異なること以外、実施形態2と構成が等しい。
【0044】
実施形態3に係るチャックテーブル10−3のストッパ機構50−3は、図14図15及び図16に示すように、環状支持部30に設けられかつ内周面に雌ネジが形成された貫通孔52と、貫通孔52内に螺合する雄ネジ53とを備える。貫通孔52は、環状支持部30の吸引溝32よりも外周側に少なくとも一つ以上設けられている。実施形態3において、貫通孔52は、二つ設けられ、環状支持部30の中心を挟む位置に配置されている。
【0045】
ストッパ機構50−3は、雄ネジ53が貫通孔52内に環状支持部30の上面30−1側から螺合される。ストッパ機構50−3は、環状支持部30の螺合量が調整される際には、雄ネジ53が貫通孔52に螺合されていない又は貫通孔52に螺合された雄ネジ53が支持部28から間隔をあけている。ストッパ機構50は、環状支持部30の螺合量の調整後、雄ネジ53が貫通孔52の奥にねじ込まれ、図16に示すように、雄ネジ53が支持部28を押圧して、環状支持部30の円柱部20に対する回転を規制する。即ち、ストッパ機構50−3は、環状支持部30の螺合量の調整後、環状支持部30を円柱部20に固定する。貫通孔52に螺合され環状支持部30の回転を規制した雄ネジ53は、上端が環状支持部30の上面30−1以下となり、露出しない長さに設定されている。
【0046】
実施形態3に係るチャックテーブル10−3は、実施形態1及び実施形態2と同様に、ウエーハ201の円形凹部208の深さ302に応じて環状支持部30の円柱部20への螺合量を調整することで、環状支持部30の上面30−1の円柱部20の凹部保持面22−1からの距離304を適切に調整でき、TAIKOウエーハであるウエーハ201の円形凹部208の深さ302の違いに対応することができる。
【0047】
また、実施形態3に係るチャックテーブル10は、実施形態2と同様に、環状支持部30の回転を規制するストッパ機構50−3を備えているので、螺合量の調整後の環状支持部30の円柱部20に対する螺合量が加工中に変化してしまうことを抑制することができる。
【0048】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0049】
実施形態1から実施形態3では、チャックテーブル10は切削装置1を構成したが、本発明の加工装置のチャックテーブルは、加工装置である洗浄・乾燥装置170のスピンナテーブル171であっても良い。
【符号の説明】
【0050】
1 切削装置(加工装置)
10 チャックテーブル
11 フレーム保持部
20 円柱部
20−1 上面
22−1 凹部保持面
25 吸引路
26 雄ネジ
30 環状支持部
31 雌ネジ
170 洗浄・乾燥装置(加工装置)
171 スピンナテーブル(チャックテーブル)
200 真空吸引源(吸引源)
201 ウエーハ
204 表面
205 デバイス領域
206 外周余剰領域
207 裏面
208 円形凹部
209 環状補強部
210 粘着テープ
211 環状フレーム
302 円形凹部の深さ
図1
図2
図3
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図10
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図16