(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6797068
(24)【登録日】2020年11月19日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】原子層堆積法による炭化チタン含有薄膜の製造方法
(51)【国際特許分類】
C23C 16/32 20060101AFI20201130BHJP
C23C 16/18 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
C23C16/32
C23C16/18
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-89820(P2017-89820)
(22)【出願日】2017年4月28日
(65)【公開番号】特開2018-188681(P2018-188681A)
(43)【公開日】2018年11月29日
【審査請求日】2020年1月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(72)【発明者】
【氏名】西田 章浩
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 奈奈
(72)【発明者】
【氏名】大江 佳毅
(72)【発明者】
【氏名】吉野 智晴
【審査官】
山本 一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特表2010−508661(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/011974(WO,A1)
【文献】
特表2002−525426(JP,A)
【文献】
特表2010−539709(JP,A)
【文献】
特開2005−209766(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/32
C23C 16/18
C07F 7/00−7/30
H01L 21/205−21/469
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体上に原子層堆積法により炭化チタン含有薄膜を製造する方法において、
(A)(1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリクロロチタンを含む原料ガスを処理雰囲気に導入し、前記基体上に(1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリクロロチタンを堆積させる工程、
(B)水素を含む反応性ガスを処理雰囲気に導入し、前記基体上に堆積させた(1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリクロロチタンと反応させることでチタンを炭化する工程を含む、炭化チタン含有薄膜の製造方法。
【請求項2】
前記(B)工程における前記基体の温度が150℃〜350℃の範囲である、請求項1に記載の炭化チタン含有薄膜の製造方法。
【請求項3】
前記(A)工程と前記(B)工程の間及び前記(B)工程の後の少なくとも一方に、前記処理雰囲気のガスを排気する工程を有する、請求項1又は2に記載の炭化チタン含有薄膜の製造方法。
【請求項4】
前記(A)工程と前記(B)工程とを含む成膜サイクルをこの順に繰り返す、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の炭化チタン含有薄膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子層堆積法による炭化チタン含有薄膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化チタン含有薄膜は切削工具、電子材料用の配線や電極に用いられており、例えば、半導体メモリ材料やリチウム空気電池用の電極などへの応用も検討されている。
【0003】
炭化チタン含有薄膜の製造法としては、スパッタリング法、イオンプレーティング法、塗布熱分解法やゾルゲル法等のMOD(Metal Organic Deposition)法、化学気相成長法等が挙げられるが、組成制御性、段差被覆性に優れること、量産化に適すること、ハイブリッド集積が可能である等多くの長所を有しているので、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法を含む化学気相成長(以下、単に「CVD」と記載することもある)法が最適な製造プロセスである。
【0004】
非特許文献1及び非特許文献2には、炭化チタン薄膜をMO(Metal Organic)CVD法で製造する際に用いられるチタン源として、テトラキスネオペンチルチタニウムが開示されている。しかし、テトラキスネオペンチルチタニウムを用いてMOCVD法によって炭化チタン薄膜を製造した場合には、炭化チタン中の炭素成分濃度が理論量より大幅に少ない状態となり、品質の良い炭化チタン薄膜を製造することができなかった。品質を安定させるために、高温で成膜しようとした場合、テトラキスネオペンチルチタニウムは熱安定性が悪いために、薄膜中に有機物としての残留炭素成分が混入してしまい、高品質な炭化チタン薄膜を形成することが困難であるという問題点があった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Journal of American Chemical Society. 1987, 109, 1579-1580
【非特許文献2】Journal of American Ceramic Society. 2013, 96, 4, 1060-1062
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
原子層堆積法のような化学気相成長法を用いる炭化チタン含有薄膜の製造方法に求められていることは、用いられる薄膜形成用原料に自然発火性が無く、安全に薄膜を形成することができ、また、該薄膜形成用原料の熱分解性及び/又は反応性ガスとの反応性が良く、生産性に優れることである。また、得られる炭化チタン含有薄膜中に有機物としての残留炭素成分の混入が少なく、高品質であることも求められている。従来は、これらの点で充分に満足し得る炭化チタン含有薄膜形成用原料及び製造方法はなかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、検討を重ねた結果、特定の工程を有する原子層堆積法による、炭化チタン含有薄膜の製造方法が上記課題を解決し得ることを知見し、本発明に到達した。
【0008】
すなわち、本発明は、基体上に原子層堆積法により炭化チタン含有薄膜を製造する方法において、(A)(1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリクロロチタンを含む原料ガスを処理雰囲気に導入し、前記基体上に(1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリクロロチタンを堆積させる工程(以下、「(A)工程」と略す場合がある);(B)水素を含む反応性ガスを処理雰囲気に導入し、前記基体上に堆積させた(1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリクロロチタンと反応させることでチタンを炭化する工程(以下、「(B)工程」と略す場合がある)を含む、炭化チタン含有薄膜の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、低い反応温度で残留炭素成分が少なく品質の良い炭化チタン含有薄膜を生産性良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る炭化チタン含有薄膜の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図2】本発明に係る炭化チタン含有薄膜の製造方法に用いることができるALD法用装置の一例を示す概要図である。
【
図3】本発明に係る炭化チタン含有薄膜の製造方法に用いることができるALD法用装置の別の例を示す概要図である。
【
図4】本発明に係る炭化チタン含有薄膜の製造方法に用いることができるALD法用装置の別の例を示す概要図である。
【
図5】本発明に係る炭化チタン含有薄膜の製造方法に用いることができるALD法用装置の別の例を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の原子層堆積法による炭化チタン含有薄膜の製造方法は、周知一般の原子層堆積法と同様の手順を用いることができるが、後述する(A)工程と(B)工程と、を組み合わせることを必須とすることが本発明の特徴である。
【0012】
本発明の製造方法における(A)工程は、(1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリクロロチタンを含む原料ガスを処理雰囲気に導入し、基体上に(1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリクロロチタンを堆積させる工程である。ここで、本明細書に記載する「堆積」とは、基体上に(1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリクロロチタンが吸着していることを含む概念を示す。(A)工程において、(1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリクロロチタンを含む原料ガスを用い、これを(B)工程と組み合わせることで、低い反応温度で良質な炭化チタン含有薄膜を製造することができるという効果がある。この工程における(1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリクロロチタンを含む原料ガスは、(1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリクロロチタンを90体積%以上含むことが好ましく、99体積%以上含むことがさらに好ましい。
【0013】
(A)工程における(1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリクロロチタンを気化させる方法としては、特に限定されるものではなく、周知一般の原子層堆積法に用いられる有機金属化合物の気化方法で行うことができる。例えば、
図2に示すALD法用装置の原料容器中で加熱や減圧することによって気化させることができる。加熱する際の温度は20℃〜200℃の範囲が好ましく、50〜150℃の範囲がより好ましい。また、(A)工程において、気化させた(1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリクロロチタンを基体上に堆積させる際の基体の温度は20〜350℃の範囲が好ましく、200〜300℃がより好ましい。
【0014】
本発明における上記基体の材質としては、例えば、シリコン;インジウムヒ素、インジウムガリウム砒素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化タンタル、窒化タンタル、酸化チタン、窒化チタン、炭化チタン、酸化ルテニウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化ランタン、窒化ガリウム等のセラミックス;ガラス;白金、ルテニウム、アルミニウム、銅、ニッケル、コバルト、タングステン、モリブデン等の金属が挙げられる。基体の形状としては、板状、球状、繊維状、鱗片状が挙げられる。基体表面は、平面であってもよく、トレンチ構造等の三次元構造となっていてもよい。
【0015】
本発明の製造方法における(B)工程は、水素を含む反応性ガスを処理雰囲気に導入し、前記基体上に堆積させた(1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリクロロチタンと反応させることでチタンを炭化する工程である。(B)工程において、水素を含む反応性ガスを用いることで、低い温度で、品質の良い炭化チタン含有薄膜を形成することができるという効果がある。
【0016】
この工程における水素を含む反応性ガスは、水素からなるガスでもよく、アルゴン、窒素、酸素等のガスとの混合ガスであってもよい。アルゴンや窒素に代表される不活性ガスと水素との混合ガスであることが好ましい。混合ガスの場合の水素の濃度は、0.001〜50体積%の範囲内が好ましく、より好ましくは0.01〜50体積%、更に好ましくは0.01〜30体積%である。
【0017】
(B)工程における水素を含む反応性ガスを処理雰囲気に導入する方法は、特に限定されるものではなく、周知一般の原子層堆積法に用いられる反応性ガスの導入方法と同様に導入することができるが、あらかじめ気化させた水素を含む反応性ガスを処理雰囲気に導入することが好ましい。
【0018】
本発明における炭化チタン含有薄膜とは、炭化チタンを5質量%以上含有する薄膜であればよく、例えば、炭化チタンや炭化チタンとモリブデンの合金を挙げることができる。これらのなかでも、本発明の製造方法は、炭化チタン薄膜を製造するための方法として好適である。
【0019】
本発明の炭化チタン含有薄膜の製造方法の一例として、シリコン基体上に炭化チタン薄膜を製造する方法について、
図1のフローチャートを用いて説明する。ここでは、
図2に示すALD法用装置を用いることとする。
【0020】
まず、シリコン基体を成膜チャンバー内に設置する。このシリコン基体の設置の方法は特に限定されるものではなく、周知一般の方法によって基体を成膜チャンバーに設置すればよい。また、(1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリクロロチタンを原料容器内で気化させ、これを成膜チャンバーに導入し、20〜350℃、好ましくは100〜350℃、より好ましくは150〜350℃、特に好ましくは200〜350℃に加温したシリコン基体上に堆積(吸着)させる[(A)工程]。
【0021】
次に、シリコン基体上に堆積しなかった(1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリクロロチタンを成膜チャンバーから排気する(排気工程1)。シリコン基体上に堆積しなかった(1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリクロロチタンが成膜チャンバーから完全に排気されるのが理想的であるが、必ずしも完全に排気する必要はない。排気方法としては、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスにより系内をパージする方法、系内を減圧することで排気する方法、これらを組み合わせた方法などが挙げられる。減圧する場合の減圧度は、0.01〜300Paが好ましく、0.1〜100Paがより好ましい。
【0022】
次に、成膜チャンバーに、水素を含む反応性ガスとして水素を含むガスを導入し、シリコン基体上に堆積させた(1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリクロロチタンと反応させることでチタンを炭化する[(B)工程]。水素はガスの状態で導入することが好ましく、安全面を考慮してアルゴンや窒素などの不活性ガスとの混合ガスとしておくことがよい。混合ガス中の好ましい水素の濃度は上述の通りである。なお、本工程において熱を作用させる場合の温度は、20〜350℃、好ましくは100〜350℃、より好ましくは150〜350℃、特に好ましくは200〜350℃である。(A)工程の基体温度と、(B)工程において熱を作用させる場合の温度との差は、絶対値で0〜20℃の範囲内であることが好ましい。この範囲内に調整することで、炭化チタン含有薄膜の反りが発生しにくいという効果が認められるためである。
【0023】
次に、未反応の水素及び副生したガスを成膜チャンバーから排気する(排気工程2)。未反応の水素及び副生したガスが反応室から完全に排気されるのが理想的であるが、必ずしも完全に排気する必要はない。排気方法としては、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスにより系内をパージする方法、系内を減圧することで排気する方法、これらを組み合わせた方法などが挙げられる。減圧する場合の減圧度は、0.01〜300Paが好ましく、0.1〜100Paがより好ましい。
【0024】
上記の(A)工程、排気工程1、(B)工程および排気工程2からなる一連の操作による薄膜堆積を1サイクルとし、この成膜サイクルを必要な膜厚の炭化チタン含有薄膜が得られるまで複数回繰り返してもよい。
【0025】
また、本発明の製造方法には、プラズマ、光、電圧などのエネルギーを印加してもよい。これらのエネルギーを印加する時期は、特には限定されず、例えば、(A)工程における(1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリクロロチタン導入時、(B)工程における加温時、排気工程における系内の排気時でもよく、上記の各工程の間でもよい。なかでも、(B)工程における加温時にプラズマによってエネルギーを印可した場合には、低い温度で品質の良い炭化チタン含有薄膜を形成することができることから特に好ましい。
【0026】
また、本発明の薄膜の製造方法において、上記のようにプラズマによってエネルギーを印可する場合、水素を含む反応性ガスは製造方法における全ての工程の間で成膜チャンバー内へ流し続けてもよく、炭化チタン含有薄膜の形成工程の際にのみ、水素を含む反応性ガスに対してプラズマ処理を行ったものを成膜チャンバーへ導入してもよい。高周波(以下、RFという場合もある)出力は、低すぎると良好な金属を含有する膜となりにくく、高すぎると基板へのダメージが大きいため10〜1500Wが好ましく、50〜600Wがより好ましい。本発明の製造方法において、プラズマによってエネルギーを印可する方法を採用した場合には、非常に高品質な炭化チタン含有薄膜を得ることができることから好ましい。
【0027】
また、本発明の製造方法においては、薄膜堆積の後に、より良好な電気特性を得るために不活性雰囲気下でアニール処理を行ってもよく、段差埋め込みが必要な場合には、リフロー工程を設けてもよい。この場合の温度は、200〜1000℃であり、250〜500℃が好ましい。
【0028】
本発明により炭化チタン含有薄膜を製造するのに用いる装置は、周知のALD法用装置を用いることができる。具体的な装置の例としては
図2のような原子層堆積法用原料をバブリング供給することのできる装置や、
図3のように気化室を有する装置が挙げられる。また、
図4及び
図5のように水素を含む反応性ガスに対してプラズマ処理を行うことのできる装置が挙げられる。
図2〜
図5のような枚葉式装置に限らず、バッチ炉を用いた多数枚同時処理可能な装置を用いることもできる。
【実施例】
【0029】
以下、実施例及び比較例をもって本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下の実施例等によって何ら制限を受けるものではない。
【0030】
[実施例1]炭化チタン薄膜の製造
(1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリクロロチタンを原子層堆積法用原料とし、
図3に示す装置を用いて以下の条件のALD法により、シリコンウエハ上に炭化チタン薄膜を製造した。得られた薄膜について、X線反射率法による膜厚測定、X線回折法及びX線光電子分光法による薄膜構造及び薄膜組成の確認を行ったところ、膜厚は7.0nmであり、膜組成は炭化チタンであり、炭素含有量は46atom%(理論値50atom%)であった。有機物としての残留炭素成分は検出されなかった。なお、1サイクル当たりに得られる膜厚は、0.14nmであった。
【0031】
(条件)
反応温度(シリコンウエハ温度):300℃
反応性ガス:アルゴンガス:250sccm(1気圧、0℃)および水素:50sccm(1気圧、0℃)の混合ガス
下記(1)〜(4)からなる一連の工程を1サイクルとして、50サイクル繰り返した。
(1)原料容器温度:110℃、原料容器圧力:0.8Torr(106Pa)の条件で気化させた原子層堆積法用原料である1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリクロロチタンの蒸気を成膜チャンバー内に導入し、系圧力0.6Torr(80Pa)で10秒間、シリコンウエハ表面に堆積させる。
(2)20秒間のアルゴンパージにより、未反応原料を除去する。
(3)反応性ガスを導入し、系圧力0.6Torr(80Pa)で10秒間反応させる。このとき反応性ガスに13.56MHz、100Wの高周波出力を印可することによりプラズマ化した。
(4)15秒間のアルゴンパージにより、未反応原料を除去する。
【0032】
[比較例1]
原子層堆積法用原料としてテトラキスネオペンチルチタニウムを用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で炭化チタン薄膜の製造を行った。
得られた薄膜について、X線反射率法による膜厚測定、X線回折法及びX線光電子分光法による薄膜構造及び薄膜組成の確認を行ったところ、膜厚は6nmであり、膜組成は炭化チタンであり、炭素含有量は40atom%(理論値50atom%)であった。有機物としての残留炭素成分は10atom%以上が検出された。1サイクル当たりに得られる膜厚は、0.12nmであった。
【0033】
実施例1の結果から、本発明の製造方法を用いた場合には、有機物としての残留炭素成分は検出されず、また、理論量に近い炭素成分を含有する高品質な炭化チタン薄膜を形成できることがわかる。一方で、比較例1では、有機物としての残留炭素成分が薄膜中に大量に混入し、薄膜は理論量を大幅に下回る炭素量しか含有していない品質の悪い炭化チタン薄膜が得られたことがわかる。