(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記熱伝導性シリコーン組成物が、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン、硬化剤、付加反応触媒、熱伝導性充填剤、及び表面処理剤を含有する付加反応硬化型シリコーン組成物、又は、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン、有機過酸化物、熱伝導性充填剤、及び表面処理剤を含有する過酸化物硬化型シリコーン組成物である、請求項1〜3のいずれか1項記載の熱伝導性シリコーンゴム複合シート。
上記シリコーン粘着層とステンレス鋼板(SUS板)との接着物を、JIS C 2107:2011に準拠して測定される、引っぱり速度300mm/分にて剥離する力(剥離力)が、0.05〜1.0(N/25mm)である、請求項1〜5のいずれか1項記載の熱伝導性シリコーンゴム複合シート。
請求項1〜6のいずれか1項記載の熱伝導性シリコーンゴム複合シートにおけるシリコーン粘着層の外側が保護シートで被覆されており、該複合シート及び該保護シートがロール状に巻かれている、前記熱伝導性シリコーンゴム複合シート。
請求項1〜7のいずれか1項記載の熱伝導性シリコーンゴム複合シートの製造方法であって、前記熱伝導性シリコーンゴム層の一つの面に前記シリコーン組成物を塗布し、加熱硬化して前記熱伝導性シリコーンゴム複合シートを得る工程を含む、前記製造方法。
【背景技術】
【0002】
各種電子機器に使用されているパワートランジスタ、サイリスタ等の発熱性電子部品、及びIC,LSI,CPU,MPU等の集積回路素子は、熱の発生により特性が低下すること、また素子の寿命低下を招くことから、放熱を円滑に行うために、電子機器内での配置が考慮されている。その他に、特定の部品又は機器全体を冷却フィンで強制空冷したり、集積回路素子に対しては放熱用シート(以下、放熱シートという)を介して冷却部材や基板、筐体に熱を逃がしたりする等の考慮もなされている。
【0003】
しかし近年、パーソナルコンピュータに代表される電子機器の高集積化が進み、機器内の上記発熱性部品や集積回路素子の発熱量が増加するにつれて、従来の強制空冷方式や放熱シートではこれら部品や素子の冷却又は放熱が不十分な場合がある。特に、携帯可能なラップトップ型又はノートブック型のパーソナルコンピュータの場合は、強制空冷方式以外の冷却方法が必要になっている。また放熱シートについては、素子が形成されるプリント基板の材料には熱伝導性の劣るガラス補強エポキシ樹脂やポリイミド樹脂が使用されているので、従来の放熱シートでは素子で発生した熱を十分に基板に逃がすことができない。そこで素子の近傍に、自然冷却タイプ或いは強制冷却タイプの放熱フィン又はヒートパイプ等の放熱器を設置し、素子の発生熱を、放熱媒体を介して放熱器に伝え、放熱させる方式が採られている。
【0004】
この方式の放熱媒体として、素子と放熱器との間の熱伝導を良好にするために、放熱用熱伝導性グリースや厚さ0.2〜10.0mm程度の放熱シートが使用されている。放熱用熱伝導性グリースとしては、例えばシリコーンオイルにシリカファイバー、酸化亜鉛、窒化アルミニウム等の熱伝導性充填材を配合した熱伝導性シリコーングリースが知られている(特許文献1)が、オイルブリードの危険性があること、電子部品の組立作業性を低下させること、熱履歴により空隙が発生して熱伝導性が低下すること等、多くの不具合が発生していた。一方、放熱シートとしては、高充填、高硬度のシリコーンゴム層をガラスクロス等の布状補強材で補強したものが良く知られている(特許文献2)。この種の放熱シートはゴム層の硬度が高く、熱伝導を担うとともに、絶縁性を確保する役割も兼ね備えることができ、非常に重宝される。しかしながら、放熱シートは表面タックを殆ど有していないために、発熱体への実装固定が非常に困難であった。
【0005】
実装固定の作業性を向上させるために、高硬度の熱伝導性シリコーンゴムシートの片面又は両面に粘着剤層を設け、更に粘着剤層面を離型紙等の離型性保護シートで保護した放熱シートも市販されているが、この複合型の放熱シートの場合は、粘着剤層の粘着力が所望の粘着力より強力になるケースがあり、実装の際、位置ずれが発生すると、リワークが困難であったり、リワークの際に粘着剤層が破壊されたりすることがあった。さらに、シリコーン系粘着層をシリコーンゴムシートの片面または両面に使用した場合には、経時でシリコーン系の粘着剤成分がシリコーン放熱ゴムシートの内部に移行してしまい、表面の粘着力が低下してしまうという課題があった。また、この現象を回避するために、シリコーン粘着層の厚みを増やすことも考えられるが、前述したリワーク性が非常に困難となる上に、熱抵抗の増大が懸念された。
【0006】
またシリコーンよりも熱伝導性の良いアクリル粘着層を熱伝導性シリコーンゴムシートの片面または両面に積層した放熱シートが報告されている(特許文献3)。しかし製法としては、セパレータ上でアクリル系粘着層を硬化させ、その上からシリコーン放熱ゴムシートの材料を塗布し硬化させて成るため、工程が頻雑になるとともに、放熱ゴムシート内部に強度向上を目的としてガラスクロス等の補強材を設けることが困難であった。さらにアクリル系粘着層と熱伝導性シリコーンゴムシートとの密着を得る上で、アクリル系粘着層にプライマーを添加する、もしくはシリコーン放熱ゴムシートの材料に接着成分を添加する必要があったが、これらの成分が経時でブリードして、実機を汚染する可能性もあった。またアクリル系粘着層は耐熱性に優れるものではないため、高耐熱を要求される用途では適応が難しいという欠点もあった。
【0007】
そして、前述のような補強材で補強された高硬度熱伝導性シリコーンゴムシートに低硬度の熱伝導性シリコーンゴム層を積層した放熱シートも開示されている(特許文献5)。しかしこの複合型の放熱シートの場合は、製造上の問題から全体の厚さが0.45mm未満のものが得られないため、低硬度シリコーンゴム層自体はたとえ良好な高熱伝導率を持っていても複合品全体として薄いものが得られず、熱抵抗が大きくなるという欠点があった。また、従来の複合型放熱シートの場合は、一般的に低硬度シートの作業性改善のために、高硬度シートを積層することを主としており、厚い低硬度層と薄い高硬度層で構成されていた。しかしながらこの構成の場合、低硬度層が圧力により圧縮変形するため、スペースの保証による絶縁保証が困難になる場合があった。
【0008】
そこで、特許文献6には、薄膜、低硬度で微粘着性の熱伝導性シリコーンゴム層が積層されることにより、作業性および絶縁保証性が犠牲にされることなく、良好な接触により熱伝導性が向上し、微粘着による作業性、リワーク性が付与された放熱シートもが記載されている。しかし、低硬度のシリコーンゴム層はリワーク性には富むが、凝集力に乏しいために得られる粘着力は非常に乏しく、実装状況によっては、発熱体への仮固定が困難であった。また特許文献6には、粘着力の重要な指標となる、JIS C 2107:2011に準拠される引っぱり速度300mm/分で引きはがすために必要とされる力(剥離力)は記載されていない。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[熱伝導性シリコーンゴム層]
本発明の熱伝導性シリコーンゴム層は(Z)熱伝導性充填材を含む熱伝導性シリコーン組成物を硬化させてなる。該シリコーンゴム層は高硬度を有し、デュロメータA硬度60〜96を有する。より詳細には、該熱伝導性シリコーン組成物は(X)オルガノポリシロキサンと、(Y)硬化剤及び(Y’)付加反応触媒、又は(Y’’)有機過酸化物、並びに、(Z)熱伝導性充填材及び(S)表面処理剤を含む。これら各成分を後述する量で含むことにより、高硬度(即ち、デュロメータA硬度60〜96)を有する硬化物(熱伝導性シリコーンゴム層)を与えることができる。尚、デュロメータA硬度60〜96を有する本発明のシリコーンゴム層は、粘着性を有さない。以下、熱伝導性シリコーン組成物を構成する各成分について詳細に説明する。
【0018】
[(X)オルガノポリシロキサン]
(X)オルガノポリシロキサンは、平均組成式:R
1aSiO
(4−a)/2で表わされる。前記式中、R
1は互いに独立に、置換または非置換の、炭素原子数1〜10、好ましくは1〜8の1価炭化水素基であり、aは1.90〜2.05の正数である。
【0019】
上記R
1としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、オクタデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基等のアラルキル基;3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−クロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基等が挙げられる。なかでも、R
1がアルキル基やシクロアルキル基であることにより、後述するシリコーン粘着剤組成物との相溶性を下げることができるため特に好ましい。
【0020】
該オルガノポリシロキサンとしては、一般的には、主鎖がジメチルシロキサン単位からなるもの、または、前記主鎖のメチル基の一部がビニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等で置き換えられたものが好ましい。また、その分子鎖末端が、トリオルガノシリル基または水酸基で封鎖されたものが好ましく、前記トリオルガノシリル基としては、トリメチルシリル基、ジメチルビニルシリル基、トリビニルシリル基等が例示される。
【0021】
また、オルガノポリシロキサン重合度20〜12,000を有するのが好ましく、特に50〜10,000の範囲が好ましい。該オルガノポリシロキサンはオイル状であってもガム状であってもよい。シリコーンゴム層の成形方法等にしたがって選択すればよい。
【0022】
熱伝導性シリコーン組成物は付加反応硬化型であっても、過酸化物硬化型であってもよい。シリコーン組成物が付加反応硬化型である場合、(X)成分は、ケイ素原子結合アルケニル基を1分子中に2個以上、好ましくは5〜100個を有するオルガノポリシロキサンである。ケイ素原子結合アルケニル基の含有量が上記範囲の下限未満であると、得られる組成物が十分に硬化しなくなる。また、ケイ素原子に結合する上記アルケニル基としてはビニル基が好ましい。アルケニル基は、分子鎖末端および側鎖のいずれか一方または両方にあればよく、少なくとも1個のアルケニル基が分子鎖末端のケイ素原子に結合していることが好ましい。
【0023】
付加反応硬化型のオルガノポリシロキサンとしては、例えば、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン等を挙げることができる。これらは1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。
【0024】
熱伝導性シリコーン組成物が有機過酸化物硬化型である場合、(X)成分は、特に限定されないが、1分子中に少なくとも2個の上記アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンが好ましい。
【0025】
過酸化物硬化型のオルガノポリシロキサンとしては、例えば、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端メチルフェニルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)ポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。
【0026】
[(Y)硬化剤]
熱伝導性シリコーン組成物が付加反応硬化型である態様においては、該組成物は(Y)ヒドロシリル化反応硬化剤を含有する。ヒドロシリル化反応硬化剤は、1分子中にケイ素原子結合水素原子を平均2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンと付加反応する架橋剤として機能する。
【0027】
オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、例えば、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン等が挙げられる。該オルガノハイドロジェンポリシロキサンは1種単独でも2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0028】
熱伝導性シリコーン組成物中、オルガノハイドロジェンポリシロキサンの含有量は、通常、(X)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1モルに対する、本成分中のケイ素原子結合水素原子のモル比が、0.1〜4.0、好ましくは0.3〜2.0となる量である。オルガノハイドロジェンポリシロキサンの含有量が上記下限値未満では得られる熱伝導性シリコーン組成物が十分に硬化しなくなるおそれがある。またオルガノハイドロジェンポリシロキサンの量が多すぎると得られるシリコーンゴムが非常に硬質となり、表面に多数のクラックを生じるなどの問題が発生するおそれがある。
【0029】
[(Y’)付加反応触媒]
熱伝導性シリコーン組成物が付加反応硬化型である場合、該組成物は付加反応触媒を含有する。付加反応触媒は従来公知のものであってよく、本シリコーン組成物の効果を促進するものであれば、特に制限されるものでない。例えば、塩化白金酸、塩化白金酸のアルン錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体、白金のカルボニル錯体等白金系金属触媒が挙げられる。より詳細には、後述する(c)成分として記載される例示が挙げられる。本組成物において、付加反応触媒の含有量は、特に限定されず、触媒量でよい。触媒量とは、上記付加反応を進行させるための有効量である。例えば、(X)成分に対する白金族金属元素量の質量として0.01〜1,000ppmとなる量であり、好ましくは、0.1〜500ppmとなる量である。触媒量が少なすぎると得られるシリコーンゴム組成物が十分に硬化しなくなることがあり、一方、多量に使用しても得られるシリコーンゴム組成物の硬化速度は向上せず、経済的に不利となる恐れがある。
【0030】
[(Y’’)有機過酸化物]
熱伝導性シリコーン組成物が過酸化物硬化型である場合、該組成物は有機過酸化物を含有する。有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上組み合わせて使用してもよい。有機過酸化物の添加量は、上記(X)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して、通常、0.1〜5質量部、特に0.5〜3質量部の範囲内となる量であることが好ましい。
【0031】
[(Z)熱伝導性充填剤]
該熱伝導性シリコーン組成物に含まれる熱伝導性充填剤としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等の無機粉末が好適である。該熱伝導性充填剤は、1種単独でも2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0032】
熱伝導性充填剤は平均粒径0.1μm以上50μm以下を有するのが好ましく、より好ましくは1μm以上30μm以下である。なお、本発明において、平均粒径は、マイクロトラック粒度分布測定装置MT3300EX(日機装株式会社)による体積基準の測定値である。平均粒径が大きすぎるとシート表面の状態が荒れて、熱抵抗が上昇してしまう場合がある。
【0033】
熱伝導性シリコーン組成物における熱伝導性充填剤の配合量は、(X)成分100質量部に対して、通常、200〜3,000質量部、特に400〜2,000質量部の範囲が好ましい。前記配合量が少なすぎると熱伝導性が不十分になり易く、一方、多すぎると組成物中へ充填剤を均一に配合することが困難になるとともに成形加工性が悪くなるおそれがある。
【0034】
[(S)表面処理剤]
本発明の熱伝導性シリコーン組成物は、さらに(S)表面処理剤を含有する。表面処理剤は熱伝導性充填剤の濡れ性を向上させてシリコーン組成物中に良好に充填させるために機能する。該表面処理剤としては(s−1)下記一般式(1)で表されるアルコキシシラン化合物、及び(s−2)下記一般式(2)で表される、分子鎖片末端がトリアルコキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサンが挙げられる。表面処理剤は、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0035】
(s−1)
【化1】
式(1)中、R
2は互いに独立に、炭素原子数6〜15のアルキル基であり、R
3は互いに独立に、非置換または置換の炭素原子数1〜10の1価炭化水素基であり(ただし、炭素原子数6以上のアルキル基を除く)、R
4は互いに独立に、炭素原子数1〜6のアルキル基であり、aは1〜3の整数であり、bは0〜2の整数であり、但しa+bは1〜3の整数である。
【0036】
(s−2)
【化2】
式(2)中、R
5は独立に炭素原子数1〜6のアルキル基であり、cは5〜100の整数である。
【0037】
上記一般式(1)において、R
2で表されるアルキル基としては、例えばヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基等が挙げられる。炭素原子数6〜15のアルキル基を有することにより(Z)熱伝導性充填剤の濡れ性が十分向上し、組成物の取り扱い性が向上し、また組成物の低温特性が良好なものとなる。
【0038】
R
3で表される非置換の又は置換された1価炭化水素基としては、例えば炭素原子数が1〜10、好ましくは炭素原子数1〜6の炭化水素基である。但し、炭素数6以上のアルキル基を除く。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基などの炭素数1〜5のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、メチルベンジル基等のアラルキル基、ならびにこれらの基に炭素原子が結合している水素原子の一部又は全部が、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、シアノ基などで置換された基、例えば、クロロメチル基、2−ブロモエチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基、シアノエチル基、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル基等が挙げられる。好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、クロロメチル基、ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、及びシアノエチル基等の炭素原子数1〜3の非置換又は置換のアルキル基、及びフェニル基、クロロフェニル基、及びフルオロフェニル基等の非置換又は置換のフェニル基がよい。
【0039】
R
4は互いに独立に、炭素原子数1〜6のアルキル基である。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、及びヘキシル基である。好ましくは、炭素数1〜3のアルキル基がよい。
【0040】
上記一般式(1)で表されるアルコキシシラン化合物としては、例えば、下記の化合物を挙げることができる。
【化3】
【0041】
上記式(2)において、R
5は互いに独立に、炭素原子数1〜6のアルキル基である。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、及びヘキシル基である。好ましくは、炭素数1〜3のアルキル基がよい。
【0042】
上記式(2)で表されるトリアルコキシ基末端ジメチルポリシロキサンとしては、例えば、下記を挙げることができる。
【化4】
【0043】
熱伝導性シリコーン組成物に含まれる(S)表面処理剤の量は、(X)成分100質量部に対して5〜85質量部、好ましくは10〜75質量部であり、特には15〜50質量部であるのが好ましい。表面処理剤の量が多すぎると組成物自身が経時でオイルブリードして実機を汚染する場合がある。表面処理剤の量が少なすぎると上記(Z)熱伝導性充填剤を組成物中に充填することができない恐れがある。
【0044】
[その他の成分]
熱伝導性シリコーン組成物には、上記成分に加えて、本発明の目的を損なわない範囲でその他の添加剤をさらに配合することができる。その他の添加剤としては、例えば、フュームドシリカ、沈降性シリカ等の補強性シリカ;シリコーンオイル、シリコーンウェッター等の可塑剤;白金、酸化チタン、ベンゾトリアゾール等の難燃剤;1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のアセチレン化合物系付加反応制御剤;有機顔料、無機顔料等の着色剤;酸化鉄、酸化セリウム等の耐熱性向上剤;内添離型剤;トルエン等の溶剤などを挙げることができる。その他の添加剤の量は適宜調整されればよい。
【0045】
熱伝導性シリコーン組成物は、従来公知の方法で上述した各成分を混合して、調製することができる。例えば、オルガノポリシロキサン、熱伝導性充填剤及び表面処理剤とを、ニーダー、バンバリーミキサー、プラネタリーミキサー、品川ミキサー等の混合機を用いて、必要に応じ100℃以上程度の温度に加熱しつつ、混練りする。この混練り工程で、所望により、熱伝導性能を損なわない範囲内で、フュームドシリカ、沈降性シリカ等の補強性シリカ;シリコーンオイル、シリコーンウェッター等;白金、酸化チタン、ベンゾトリアゾール等の難燃剤等を添加・混合してもよい。混練り工程で得られた均一混合物を、室温に冷却した後、ストレーナー等を通して濾過し、次いで、2本ロール、品川ミキサー等を用いて、前記混合物に所要量の硬化剤、硬化触媒、又は有機過酸化物を添加して、再度、混練りする。この再度の混練り工程で、所望により、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のアセチレン化合物系付加反応制御剤、有機顔料、無機顔料等の着色剤、酸化鉄、酸化セリウム等の耐熱性向上剤、内添離型剤等を添加・混合してもよい。
【0046】
上記混練り工程で得られた熱伝導性シリコーン組成物をコーティング材として、直接、次工程に供してもよいが、必要に応じて、更にトルエン等の溶剤を加えて、プラネタリーミキサー、ニーダー等の攪拌機に投入して混合して、コーティング材とすることもできる。
【0047】
本発明の熱伝導性シリコーンゴム層は、上記した熱伝導性シリコーン組成物を硬化して得られる。シリコーン組成物の硬化条件は特に制限されるものでなく、従来公知の方法に従えばよい。例えば付加反応硬化型組成物の場合は、80〜200℃、好ましくは100〜150℃にて、5分から20分間程加熱して硬化することができる。過酸化物硬化型組成物の場合は、100〜200℃、好ましくは110〜180℃にて、2分から15分間程加熱して硬化することができる。得られる硬化物(即ち、熱伝導性シリコーンゴム層)は厚み、50μm以上900μm以下を有するのが好ましい。より好ましくは60μm以上で700μm以下を有するのがよい。熱伝導性シリコーンゴム層の厚みが上記下限値より薄いと、組成物に含まれる熱伝導性充填材が層表面に突出し、塗工表面の滑らかさが損なわれてしまい、後述するシリコーン粘着層の積層が困難となるおそれがある。また熱伝導性シリコーンゴム複合シートの強度を向上するために、上記熱伝導性シリコーンゴム層に中間補強層としてガラスクロスやポリイミドを含むことができる。ガラスクロスを中間層として使用する場合は、後述する目止め工程を行う必要がある。中間補強層を含む場合は、補強層を含む状態でのシリコーンゴム層の厚みが上記範囲を満たすのがよい。
【0048】
熱伝導性シリコーンゴム層は高硬度を有することを特徴とする。高硬度とはデューロメータA硬度で60〜96を有することである。好ましくは80〜96を有するのがよい。シリコーンゴム層の硬度が低すぎると、取扱い時にゴム層表面に傷が付きやすくなるおそれや、連続成型の際、ロール状に巻き取ったときにゴム層表面同士が融着する恐れがある。また、スペースの保証が困難になる。またシリコーンゴム層の硬度が高すぎると柔軟性に乏しくなり、シートを折り曲げたときに割れが発生するおそれがある。なお本発明における上記デューロメータA硬度とは、特には、シリコーンゴム層の総厚み12mmとしたときの(6mm厚の硬化物を2枚重ねたものでも、1mm厚の硬化物を12枚重ねたものでもよい)、デューロメータA硬度計により測定した値である。
【0049】
熱伝導性シリコーンゴム層は熱伝導率1.0W/m・K以上、より好ましくは1.2W/m・K以上を有するのがよい。熱伝導率が上記下限値未満では、熱伝導特性が不十分となる。また、本発明における熱伝導性シリコーンゴム層は非粘着性である。本発明における熱伝導率は、熱物性測定装置を使用して、6mm厚のシート(硬化物)2枚でセンサーを挟み、試料の温度上昇をセンサーで感知して測定される。尚、熱伝導率はシートの厚みによって変動するものでない。
【0050】
ガラスクロス等の中間補強層の厚みは30μm以上50μm以下であるのがよく、重量は30g/m
2以下が好ましい。さらに好ましくは30μm以上45μm以下であり、重量25g/m
2以下が好ましい。特にガラスクロスは熱伝導率が比較的低いため、熱伝導率を良くするためには厚みは薄い方が好ましい。但し、薄すぎると補強層としての強度が得られずシリコーンゴムシートが破れやすくなる。また、成型性に乏しくなる恐れもある。
【0051】
ガラスクロスは熱伝導性シリコーン樹脂で予め目止めしておく必要がある。熱伝導性シリコーン樹脂は、上記した熱伝導性シリコーン組成物であればよい。ガラスクロスを目止めする熱伝導性シリコーン樹脂の熱伝導率は1.0W/mK以上が好ましい。1.0W/mK以下では熱伝導性シリコーン樹脂で目止めされたガラスクロスの熱伝導性が悪くなり、熱伝導性シリコーンゴム複合シート全体の熱伝導性を悪化させてしまう恐れがある。また目止め後の厚みは100μm以下が好ましい、より好ましくは90μm以下である。目止めされたガラスクロスが100μmより厚いと熱伝導性シリコーンゴム複合シート全体における熱伝導性シリコーン硬化物が占める厚みの割合が小さくなるため、シリコーンゴム複合シート全体の熱伝導性が低下する恐れがある。
【0052】
ガラスクロスの目止めは、例えば、以下の方法で行うことができる。
上述した製造方法により得られたコーティング材を、ガラスクロスに塗布する。逐次、乾燥炉、加熱炉および巻き取り装置を備えたコンマコーター、ナイフコーター、キスコーター等のコーティング装置を用いて、連続的にガラスクロスに塗布した後、溶剤等を乾燥・蒸散させる。付加反応硬化型組成物の場合は、80〜200℃、好ましくは100〜150℃程度に、5分から20分間程加熱して、熱伝導性シリコーンで目止めされたガラスクロスを得る。過酸化物硬化型組成物の場合は、100〜200℃、好ましくは110〜180℃程度に、2分から15分間程加熱して、熱伝導性シリコーンで目止めされたガラスクロスを得る。
【0053】
中間補強層を有する熱伝導性シリコーンゴム層の製造方法は、例えば、目止めされたガラスクロスの片面(表面)に、熱伝導性シリコーン組成物を含むコーティング材を塗布する。逐次、乾燥炉、加熱炉および巻き取り装置を備えたコンマコーター、ナイフコーター、キスコーター等のコーティング装置を用いて、連続的に目止めされたガラスクロスの片面(表面)にコーティング材を塗布した後、溶剤等を乾燥・蒸散させる。付加反応硬化型の場合は、80〜200℃、好ましくは100〜150℃程度に、5分から20分間程加熱して硬化する。また、過酸化物硬化型の場合は、100〜200℃、好ましくは110〜180℃程度に、2分から15分間程加熱して硬化する。また、目止めされたガラスクロスの他方の面(裏面)にコーティング材を塗布して、両面にシリコーン組成物の硬化物を積層させる。これにより、中間補強層を有する熱伝導性シリコーンゴム層が得られる。表面と裏面の熱伝導性シリコーン硬化物の組成は同一であっても異なっていてもよい。
【0054】
[シリコーン粘着層]
本発明におけるシリコーン粘着層は下記(a)〜(e)成分を含むシリコーン組成物を硬化させて成る。以下、各成分について詳細に説明する。
【0055】
[(a)アルケニル基及びフェニル基含有オルガノポリシロキサン]
(a)成分はケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも1つ、好ましくは2個以上有するオルガノポリシロキサンである。該オルガノポリシロキサンは、主鎖が基本的にジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなる直鎖構造を有するものであっても、一部に分枝状の構造を有するものであっても良く、また環状構造を有するものであってもよい。好ましくは、硬化物の機械的強度等、物性の点から直鎖状のジオルガノポリシロキサンがよい。該オルガノポリシロキサンは粘度22,000〜50,000(25℃)を有することが好ましい。粘度は例えば回転粘度計によって測定することができる。
【0056】
本発明のシリコーン粘着層は、該オルガノポリシロキサンがケイ素原子に結合したフェニル基をケイ素原子に結合した置換基の合計モルに対して2〜20mol%、好ましくは5〜15mol%となる量で含むことを特徴とする。これにより、上述した熱伝導性シリコーンゴム組成物に含まれるオルガノポリシロキサンとの相溶性が低くなる。これにより、経時で熱伝導性シリコーンゴム層内に該シリコーン粘着層のオルガノポリシロキサンが移行することを抑制し、経時での粘着力低下を抑制することができる。フェニル基の含有量が上記下限値未満では、上述した熱伝導性シリコーンゴム層上に該シリコーン粘着層を積層した際に、経時で粘着力が低下する。また上記上限値を超えると、粘着層の初期粘着力が著しく低下してしまう。
【0057】
アルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等の、炭素原子数2〜8のものが挙げられる。中でもビニル基、アリル基等の低級アルケニル基が好ましく、特に好ましくはビニル基である。該オルガノポリシロキサン中のアルケニル基の数は、1以上であり、好ましくは2以上である。より好ましくは2〜30個有するのがよい。
【0058】
ケイ素原子に結合するアルケニル基及びフェニル基以外の置換基は、炭素原子数が1〜10、好ましくは炭素原子数1〜6の、非置換又は置換の1価炭化水素基であり、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、及びドデシル基などのアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロヘプチル基等のシクロアルキル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、及びビフェニリル基等のフェニル基以外のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、及びメチルベンジル基等のアラルキル基、ならびにこれらの基に炭素原子が結合している水素原子の一部又は全部が、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、シアノ基などで置換された基、例えば、クロロメチル基、2−ブロモエチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基、シアノエチル基、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル基等が挙げられる。好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、クロロメチル基、ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、及びシアノエチル基等の炭素原子数1〜3の非置換又は置換のアルキル基、及びクロロフェニル基、及びフルオロフェニル基等の置換フェニル基である。オルガノポリシロキサンが有する置換基は2種以上であってもよく、組合せは制限されない。
【0059】
[(b)オルガノハイドロジェンポリシロキサン]
(b)オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、ケイ素原子に直接結合する水素原子(SiH基)を一分子中に平均で2個以上、好ましくは2〜100個有するのがよい。該オルガノハイドロジェンポリシロキサンは上記(a)成分の架橋剤として作用する。即ち、(b)成分中のSiH基と(a)成分中のアルケニル基とが後述する(c)白金族系触媒の存在下でヒドロシリル化反応して、架橋構造を有する3次元網目構造を与える。SiH基の数が1個未満の場合、シリコーン組成物が硬化しない恐れがある。
【0060】
オルガノハイドロジェンポリシロキサンは直鎖状、分岐状、及び環状のいずれであってもよいが、好ましくは直鎖状である。該オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、例えば下記一般式(3)で表される。
【化5】
(式(3)中、R
7は互いに独立に、脂肪族不飽和結合を有しない非置換又は置換の1価炭化水素基あるいは水素原子であり、但し、少なくとも2個は水素原子であり、nは1以上の整数であり、好ましくはnは2〜50の整数である)
【0061】
上記式(3)中、脂肪族不飽和結合を含有しない非置換又は置換の1価炭化水素基は、例えば炭素原子数1〜10、特に好ましくは炭素原子数1〜6である。たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基などのアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロヘプチル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、及びビフェニリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、及びメチルベンジル基等のアラルキル基、ならびにこれらの基に炭素原子が結合している水素原子の一部又は全部が、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、シアノ基などで置換された基、例えば、クロロメチル基、2−ブロモエチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基、シアノエチル基、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル基等が挙げられる。、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、クロロメチル基、ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、及びシアノエチル基等の炭素原子数1〜3の非置換又は置換のアルキル基、及びフェニル基、クロロフェニル基、及びフルオロフェニル基等の非置換又は置換のフェニル基である。
【0062】
(b)成分の量は、(a)成分中のアルケニル基1モルに対する(b)成分中のSi−H基のモル比が0.1〜50となる量、好ましくは0.5〜15、さらに好ましくは1〜5となる量である。(b)成分の量が上記下限値未満であると粘着剤組成物の硬化が不十分となりリワーク性が低下する。また上記上限値を超えると硬化物の柔軟性が著しく低下し、粘着力が大きく低下してしまう。
【0063】
[(c)白金系金属触媒]
白金系金属触媒は(a)成分由来のアルケニル基と、(b)成分由来のSi−H基の付加反応を促進するための触媒であり、ヒドロシリル化反応に用いられる従来公知の触媒が使用できる。例えば、白金(白金黒を含む)、ロジウム、パラジウム等の白金族金属単体、H
2PtCl
4・nH
2O、H
2PtCl
6・nH
2O、NaHPtCl
6・nH
2O、KaHPtCl
6・nH
2O、Na
2PtCl
6・nH
2O、K
2PtCl
4・nH
2O、PtCl
4・nH
2O、PtCl
2、Na
2HPtCl
4・nH
2O(但し、式中、nは0〜6の整数であり、好ましくは0又は6である)等の塩化白金、塩化白金酸及び塩化白金酸塩、アルコール変性塩化白金酸(米国特許第3,220,972号明細書参照)、塩化白金酸とオレフィンとのコンプレックス(米国特許第3,159,601号明細書、同第3,159,662号明細書、同第3,775,452号明細書参照)、白金黒、パラジウム等の白金族金属をアルミナ、シリカ、カーボン等の担体に担持させたもの、ロジウム−オレフィンコンプレックス、クロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(ウィルキンソン触媒)、塩化白金、塩化白金酸又は塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサン、特にビニル基含有環状シロキサンとのコンプレックスなどが挙げられる。
【0064】
(c)成分の使用量は、所謂触媒量で良い。触媒量とは、上記付加反応を進行させるための有効量である。例えば、(a)成分に対する白金族金属元素量の質量として0.01〜1,000ppmとなる量であり、好ましくは、0.1〜500ppmとなる量である。触媒量が少なすぎると得られるシリコーン組成物が十分に硬化しなくなることがあり、一方、多量に使用しても得られるシリコーン組成物の硬化速度は向上せず、経済的に不利となる恐れがある。
【0065】
[(d)反応制御剤]
(d)成分は付加反応制御剤であり、付加反応硬化型シリコーン組成物に用いられる公知の付加反応制御剤から選択されればよい。例えば、1−エチニル−1−ヘキサノール、3−ブチン−1−オールなどのアセチレン化合物や各種窒素化合物、有機リン化合物、オキシム化合物、及び有機クロロ化合物等が挙げられる。付加反応制御剤の量は、所望の反応速度に調整するために必要な量であり適宜調整されてよいが、(a)成分100質量部に対して0.01〜1質量部が好ましく、さらには0.05〜0.5質量部が好ましい。
【0066】
[(e)シリコーンレジン]
(e)シリコーンレジンはシリコーン粘着剤組成物に凝集性を付与させるために添加される。(e)成分はR
3SiO
1/2単位(M単位)と、SiO
4/2単位(Q単位)とを含み、M単位とQ単位のモル比(M/Q)0.5〜2.5、好ましくは0.6〜2.0、更に好ましくは0.7〜1.5であるのがよい。M/Qが上記下限値未満の場合、あるいはM/Qが上記上限値を超える場合、シリコーン粘着剤組成物に所望の凝集力を付与できないおそれがある。該シリコーンレジンは、M単位及びQ単位を主成分とするのがよく、M単位及びQ単位の合計としてシロキサン単位の合計個数に対して60〜100%であるのがよく、好ましくは70〜100%である。R
2SiO
2/2単位(D単位)及びRSiO
3/2単位(T単位)をさらに有していてよいが、その含有量はD単位及びT単位の合計として全シロキサン単位の合計個数に対して1〜30%であるのがよく、より好ましくはM単位及びQ単位のみからなるMQレジンがよい。
【0067】
Rは互いに独立に、脂肪族不飽和結合を含有しない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、炭素原子数が1〜10、特に炭素原子数が1〜6のものがよい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、メチルベンジル基等のアラルキル基、並びにこれらの基の炭素原子に結合している水素原子の一部又は全部が、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、シアノ基などで置換された基、例えば、クロロメチル基、2−ブロモエチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基、シアノエチル基、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル基等が挙げられる。中でも好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、クロロメチル基、ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、及びシアノエチル基等の炭素原子数1〜3の非置換又は置換のアルキル基及びフェニル基、クロロフェニル基、及びフルオロフェニル基等の非置換又は置換のフェニル基である。また、Rは全てが同一であっても異なっていてもよいが、R
1と同じ置換基であることが望ましい。耐溶剤性などの特殊な特性を要求されない限り、コスト、その入手のし易さ、化学的安定性、環境負荷などの理由により全てのRがメチル基であるのが好ましい。
【0068】
(e)成分の量は、(a)成分100質量部に対して、50〜300質量部、好ましくは60〜200質量部、更に好ましくは70〜150質量部である。(e)成分の添加量が上記下限値未満の場合は、凝集力の低下によって粘着力が低下してしまう。また上記上限値を超える場合には、粘着力の増大により実機に対するリワークが困難になる。また(e)シリコーンレジンそのものは室温で固体又は粘稠な液体であるが、溶剤に溶解した状態で使用することも可能である。その場合、組成物への添加量は、溶剤分を除いた量で決定される。該シリコーンレジンの平均分子量は特に限定されないが、該シリコーンレジンをキシレンに溶解して60質量%溶液とした時の動粘度が、50〜500mm
2/s、好ましくは100〜300mm
2/sとなるような分子量が好ましい。上記動粘度はJIS Z 8803に基づく動粘度計を用いて25℃にて測定した値である。
【0069】
前記シリコーン組成物を含む塗工液は、上記(a)〜(e)成分をミキサー等に仕込み混合することで調製できる。また、必要に応じてキシレン、トルエン等の溶剤で希釈してもよい。塗工液の粘度(25℃)は、200〜900mPa・sであることが好ましい。粘度が200mPa・sより小さいと、コータ―機において塗工液が液だれしてしまい、粘着層の厚みにバラつきが生じやすくなる。一方粘度が900mPa・s以上である際は、塗工液にボイドが含まれやすくなり、シリコーン粘着層を形成した際に、熱抵抗の上昇や外観不良が生じる。
【0070】
[熱伝導性シリコーンゴム複合シートの製造方法]
シリコーン粘着層の塗工液を、上述した熱伝導性シリコーンゴム層の片面に塗布する。逐次、乾燥炉、加熱炉および巻き取り装置を備えたコンマコーター、ナイフコーター、キスコーター等のコーティング装置を用いて、連続的に熱伝導性シリコーンゴム層上に塗布した後、溶剤等を乾燥・蒸散させる。その後、80〜180℃、好ましくは100〜150℃で2分から20分程度加熱し、シリコーン粘着剤組成物を硬化させて、片面にシリコーン粘着層を有する熱伝導性シリコーンゴム複合シートを得る。
【0071】
本発明におけるシリコーン粘着層の厚さは2〜40μmの範囲であるのが好ましい。本発明におけるシリコーン粘着層は、該厚みの範囲内において、実機に対する良好な粘着性を有し、熱抵抗の上昇を抑え、且つ、リワーク性に優れる。2μm未満では、実機に対して所望の粘着力を得る事ができない恐れがある。厚さが40μmを超えると、熱抵抗が大きく上昇してしまう恐れがある。また、粘着力が過剰になることで、リワーク性が低下する恐れがある。好ましくは3〜30μmであり、より好ましくは4〜25μmである。
【0072】
本発明の熱伝導性シリコーンゴム複合シートは、好ましくは、シリコーン粘着層とステンレス鋼板(SUS板)との接着物を、JIS C 2107:2011に準拠して測定される、引っぱり速度300mm/分にて剥離する力(剥離力)0.05〜1.0(N/25mm)を有する。本発明におけるシリコーン粘着層の粘着力は、より詳細には、以下の方法により測定される値である。JIS C 2107に準拠し、幅20mmを有する熱伝導性シリコーンゴム複合シートのシリコーン粘着層面を、厚さ10mmを有するステンレス鋼板(SUS板)に、2kgローラーで5往復して張り付け、25℃/30分間放置する。その後、定速引張り試験機にて引張り速度300mm/minで該シリコーンゴム複合シートを200mm引きはがした際の応力を測定し、粘着力とする。本発明のシリコーン粘着層は、該粘着力0.05〜1.0(N/25mm)を有することが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5(N/25mm)である。粘着力が上記下限値未満ではシリコーン粘着層の粘着力が不足し、所望の実装位置にシートを貼り付けることが困難になる。一方、シリコーン粘着層の粘着力が1.0N/25mmを超えると、実機でのリワーク性が低下してしまう。
【0073】
さらに、熱伝導性シリコーンゴム複合シートの粘着層表面(外側)は保護シートで被覆されていてもよい。保護シートとしては、例えば片面が離型処理されたPETフィルムや、離型紙が使用できる。これにより、シリコーンゴムシートをロール状に巻き取り保管することが可能になる。
【実施例】
【0074】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0075】
[熱伝導性シリコーンゴム層]
下記実施例および比較例に用いられている成分を下記に示す。
(X)成分:平均重合度8000のジメチルビニル基で両末端封止したジメチルポリシロキサン
(Y’’)成分:(2メチルベンゾイル)パーオキサイド
(Z)成分:熱伝導性充填剤
(z−1)平均粒径:1μm破砕状アルミナ
(z−2)平均粒径:10μm球状アルミナ
(z−3)平均粒径:15μm破砕状窒化ホウ素
(S)成分:下記一般式(4)で表される、片末端トリメトキシシリル基封鎖ジメチルポリシロキサン。
【化6】
(平均重合度30である)
(T)成分:下記式(5)で表される、ジメチルポリシロキサン(可塑剤として)。
【化7】
(r=300のジメチルポリシロキサン)
【0076】
上記(X)成分、(Y’’)成分、(z−1)成分、(z−2)成分、(z−3)成分、(S)成分、及び(T)成分をバンバリーミキサーに投入し、20分混練りすることで熱伝導性シリコーン組成物を得た。各成分の配合量は表1又は3に記載の通りである。この熱伝導性シリコーン組成物の22wt%に当たる量のトルエンを添加し、プラネタリーミキサーを用いて混練りし熱伝導性シリコーンコーティング材とした。
【0077】
尚、実施例及び比較例にて用いたコンマコーターは、幅1300mmを有し、有効オーブン長15mを有するものである。15mのオーブンは5mずつ3つのゾーンに区切られ、ゾーンごとで温度を調整できるようになっている。以下、コンマコーターを用いた塗工において同じ。
該熱伝導性シリコーンコーティング材を、上記コンマコーターを用いて厚み38μm重量24g/m
2を有するガラスクロス上に塗工した。コンマコーターの乾燥ゾーンは、コンマ部に近い側から80℃、150℃、170℃とした。塗工速度は1.5m/minとした。該条件にてガラスクロスに連続的に熱伝導性シリコーンコーティング材を塗工し、巻き取ることで熱伝導性シリコーン樹脂で目止めされたガラスクロスを得た。目止めされたガラスクロスの厚みは80μmであった。
【0078】
熱伝導性シリコーン組成物は、熱伝導性シリコーン組成物の15wt%に当たる量のトルエンを添加し、プラネタリーミキサーを用いて塗工液とした。上記目止めされたガラスクロスの片面上に、該熱伝導性シリコーン組成物の塗工液を上記コンマコーターを用いて塗工した。コンマコーターの乾燥ゾーンは、コンマ部に近い側から80℃、150℃、170℃とした。塗工速度は1.5m/minとした。塗工後、巻き取り、ガラスクロスのもう一方の面にも同様に組成物を塗工し、巻き取ることで、総厚200μmを有する熱伝導性シリコーンゴム層を得た。
【0079】
[シリコーン粘着剤組成物]
下記実施例および比較例に用いられている成分を下記に示す。
以下においてフェニル基の含有量(モル%)とは、ケイ素原子に結合する置換基の合計モル数に対するフェニル基の含有割合である。
(a)アルケニル基及びフェニル基含有オルガノポリシロキサン
(a−1)アルケニル基を有し、フェニル基を5mol%含む直鎖状オルガノポリシロキサン(アルケニル基量0.006mol/100g、粘度(25℃)5000Pa・s)
(a−2)アルケニル基を有し、フェニル基を0.5mol%含む直鎖状オルガノポリシロキサン(アルケニル基量0.006mol/100g、粘度(25℃)5000Pa・s)
(a−3)アルケニル基を有し、フェニル基を30mol%含む直鎖状オルガノポリシロキサン(アルケニル基量0.006mol/100g、粘度(25℃)5000Pa・s)
(b)成分:下記式で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
【化8】
(平均重合度8)
(c)5%塩化白金酸2−エチルヘキサノール溶液
(d)付加反応制御剤:エチニルメチリデンカルビノール
(e)シリコーンレジン
(e−1)MQシリコーンレジンのキシレン溶液(不揮発分60%、M/Q(モル比)=0.85、キシレン溶液の粘度として500cP(25℃))
(e−2)MQシリコーンレジンのキシレン溶液(不揮発分60%、M/Q(モル比)=0.4、キシレン溶液の粘度として500cP(25℃))
【0080】
上記(a)、(d)、及び(e)成分を品川式万能撹拌機に仕込み、30分間混合した。次いで(c)成分を添加し、均一に混合せしめ、更に(b)を添加して均一に混合せしめることで、粘度(25℃)が500mPa・sであるシリコーン粘着剤組成物を調製した。各成分の配合量は表1又は3に記載の通りである。
【0081】
得られた各シリコーン粘着剤組成物を上記コンマコーターを用いて、上記で得た熱伝導性シリコーンゴム層の片面上に塗工した。乾燥ゾーンは、コンマ部に近い側から80℃、120℃、140℃とし、塗工速度は4m/minとした。該条件にて、熱伝導性シリコーンゴムシート上に連続的に上記シリコーン粘着剤組成物を塗工した後、粘着層面上に剥離シリコーン処理PETフィルムをラミネートした後に巻き取ることで、熱伝導性シリコーンゴム複合シートを得た。また、コンマコーターのへッド部のギャップ幅を調整することで、シリコーン粘着層の厚みを所望の厚みに調整することが可能であった。
【0082】
得られた熱伝導性シリコーンゴム複合シートについて、以下の評価を行った。結果を表2及び4に示す。
[評価方法]
(1)硬度
熱伝導性シリコーン組成物を140℃/10分の硬化条件にて6mm厚のシート状に硬化させた。該シートを2枚重ねて、デューロメータA硬度計を用いて硬度を測定した。
(2)熱伝導率
熱伝導性シリコーン組成物を140℃/10分の硬化条件にて6mm厚のシート状に硬化させて熱伝導性シリコーンゴム層を得た。該熱伝導性シリコーンゴム層の熱伝導率を熱物性測定装置TPA−501(京都電子工業株式会社製)を用いて測定した。
(3)粘着層の厚み
マイクロゲージを用いて熱伝導性シリコーンゴム複合シートの全体の厚みを計測し、そこから熱伝導性シリコーンゴムシートの厚みをさし引いた値を算出し、シリコーン粘着層の厚みとした。
(4)粘着力
JIS C 2107に準拠し、SUS板に対して、25mm幅の上記熱伝導性シリコーンゴム複合シートの粘着層側を張り付けて25℃/30min間放置した後に引っぱり速度300mm/分にて180°剥離したときの剥離力を計測し、シリコーン粘着層の粘着力とした。
また、熱伝導性シリコーンゴム複合シートの粘着層面上(外側)に保護フィルム(片面離型処理されたPETフィルム)の離型処理面を張りつけた状態で、60℃/2ヶ月エージング後に上記と同じ方法で剥離力を測定し、粘着層の経時安定性を評価した。
(5)リワーク性
上記粘着力試験において剥離した際にSUS板に直径1mm以上の粘着層の残留物がない場合にリワーク性良好(○)であるとした。直径1mm以上の粘着層の残留物がある場合にはリワーク性不良(×)とした。この場合は粘着力も測定不可であった。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
【表3】
【0086】
【表4】
【0087】
表2に示す通り、本発明のシリコーン粘着層を有する熱伝導性シリコーンゴム複合シートは、顕著な熱抵抗の上昇がなく、リワーク性にも優れ、且つ粘着力の経時変化のない信頼性に優れたシートであった。
【0088】
一方、表4に示す通り、オルガノポリシロキサンのフェニル含有量が少なすぎるシリコーン粘着層を有する比較例1のシリコーンゴムシートは、経時で粘着力の低下が生じた。オルガノポリシロキサンのフェニル基含有量が多すぎるシリコーン粘着層を有する比較例2のシリコーンゴムシートは、粘着層が硬くなりすぎて所望の粘着力を得ることができなかった。比較例3では、シリコーン粘着剤組成物中のシリコーンレジンの量が少なすぎるため、シリコーン粘着剤組成物の凝集力が不足して粘着力が低下した。比較例4では、シリコーン粘着剤組成物中のシリコーンレジンの含有量が多すぎるため、粘着力が増大し、リワーク性が低下した。比較例5のシリコーン粘着剤組成物では(a)成分のアルケニル基に対する(b)成分のSiH基のモル比が小さいために、粘着層の硬化が不十分となりリワーク性が低下した。比較例6のシリコーン粘着剤組成物ではシリコーンレジンのM/Q(モル比)が0.5以下であるために、凝集力が低下して所望の粘着力が得られなかった。