(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
液体を貯留する複数の真空弁ユニットと、前記複数の真空弁ユニットにそれぞれ接続される複数の末端部を有する真空管路と、前記液体が前記真空管路を通して収集される集液タンクと、前記集液タンクに負圧を導入する真空ポンプと、備える真空式液体収集装置に用いられる制御装置であって、
前記制御装置は、前記真空ポンプと、前記集液タンクの圧力を検出可能な集液タンク圧力センサと、に電気的に接続されるインバータを含んでおり、
前記制御装置は、前記集液タンク圧力センサの測定値と前記集液タンクの設定圧力値との差を小さくするように、前記インバータを介して前記真空ポンプの回転数を調整可能であり、
前記集液タンクの設定圧力値は、前記真空管路の複数の末端部のうち、前記真空管路の圧力損失計算書から求められる圧力損失の予測値が最も大きい末端部の圧力損失の予測値を、前記真空管路の末端部の設定圧力値から減じた値である、制御装置。
前記制御装置は、前記集液タンク圧力センサの測定値が、所定時間の間、前記集液タンクの設定圧力値以下の値である場合に、前記真空ポンプを停止するように構成されている、請求項1に記載の制御装置。
液体を貯留する複数の真空弁ユニットと、前記複数の真空弁ユニットにそれぞれ接続される複数の末端部を有する真空管路と、前記液体が前記真空管路を通して収集される集液タンクと、前記集液タンクに負圧を導入する真空ポンプと、備える真空式液体収集装置に用いられる制御装置であって、
前記制御装置は、前記真空ポンプと、前記集液タンクの圧力を検出可能な集液タンク圧力センサと、に電気的に接続されるインバータを含んでおり、
前記制御装置は、前記集液タンク圧力センサの測定値と前記集液タンクの初期設定圧力値との差を小さくするように、前記インバータを介して前記真空ポンプの回転数を調整可能であり、
前記集液タンクの初期設定圧力値は、前記真空管路の複数の末端部のうち、前記真空管路の圧力損失計算書から求められる圧力損失の予測値が最も大きい末端部の圧力損失の予測値を、前記真空管路の末端部の設定圧力値から減じた値であり、
前記制御装置は、また、前記集液タンク圧力センサの測定値と前記集液タンクの再設定圧力値との差を小さくするように、前記インバータを介して前記真空ポンプの回転数を調整可能であり、
前記集液タンクの再設定圧力値は、前記真空管路の圧力損失計算書から求められる圧力損失の予測値が最も大きい末端部に配置される末端圧力センサの測定値、前記集液タンクの初期設定圧力値、及び前記圧力損失の予測値が最も大きい末端部の圧力損失の予測値に基づいて決定される、制御装置。
前記制御装置は、前記複数の時間帯の各時間帯について前記再設定圧力値を記憶する記憶部を含んでおり、前記制御装置は、前記複数の時間帯の各時間帯が経過した時点で当該時間帯に対応する前記再設定圧力値を前記インバータに入力するように構成されている、請求項4に記載の制御装置。
前記制御装置は、前記集液タンク圧力センサの測定値が、所定時間の間、前記集液タンクの再設定圧力値以下の値である場合に、前記真空ポンプを停止するように構成されている、請求項3〜7のいずれか一項に記載の制御装置。
集液タンクを介して真空管路に負圧を導入する真空ポンプであって、前記真空管路は、液体を貯留する複数の真空弁ユニットにそれぞれ接続される複数の末端部を有する、前記真空ポンプを制御する方法であって、
前記真空管路の複数の末端部のうち、前記真空管路の圧力損失計算書から求められる圧力損失の予測値が最も大きい末端部を決定することと、
前記真空管路の末端部の設定圧力値から、前記圧力損失の予測値が最も大きい末端部の圧力損失の予測値を減じることによって、前記集液タンクの設定圧力値を求めることと、
前記集液タンクの圧力を測定することと、
前記集液タンクの圧力の測定値を監視しながら、前記圧力の測定値と前記集液タンクの設定圧力値との差を小さくするように前記真空ポンプの回転数を調整することと、を含む方法。
集液タンクを介して真空管路に負圧を導入する真空ポンプであって、前記真空管路は、液体を貯留する複数の真空弁ユニットにそれぞれ接続される複数の末端部を有する、前記真空ポンプを制御する方法であって、
前記真空管路の複数の末端部のうち、前記真空管路の圧力損失計算書から求められる圧力損失の予測値が最も大きい末端部を決定することと、
前記真空管路の末端部の設定圧力値から、前記圧力損失の予測値が最も大きい末端部の圧力損失の予測値を減じることによって、前記集液タンクの初期設定圧力値を求めることと、
前記集液タンクの圧力を測定することと、
前記集液タンクの圧力の測定値を監視しながら、前記圧力の測定値と前記集液タンクの初期設定圧力値との差を小さくするように前記真空ポンプの回転数を調整することと、
前記圧力損失の予測値が最も大きい末端部の圧力を測定することと、
前記圧力損失の予測値が最も大きい末端部の圧力の測定値、前記集液タンクの初期設定圧力値、及び前記圧力損失の予測値が最も大きい末端部の圧力損失の予測値に基づいて、前記集液タンクの再設定圧力値を決定することと、
前記集液タンクの圧力の測定値を監視しながら、前記集液タンクの圧力の測定値と前記集液タンクの再設定圧力値との差を小さくするように前記真空ポンプの回転数を調整することと、を含む方法。
前記制御装置は、前記集液タンク圧力センサの測定値が、所定時間の間、前記集液タンクの設定圧力値以下の値である場合に、前記真空ポンプを停止するように構成されている、請求項19に記載の真空式液体収集装置。
前記制御装置は、前記複数の時間帯の各時間帯について前記再設定圧力値を記憶する記憶部を含んでおり、前記制御装置は、前記複数の時間帯の各時間帯が経過した時点で当該時間帯に対応する前記再設定圧力値を前記インバータに入力するように構成されている、請求項22に記載の真空式液体収集装置。
前記制御装置は、前記集液タンク圧力センサの測定値が、所定時間の間、前記集液タンクの再設定圧力値以下の値である場合に、前記真空ポンプを停止するように構成されている、請求項21〜24のいずれか一項に記載の真空式液体収集装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を添付図面とともに説明する。添付図面において、同一または類似の要素には同一または類似の参照符号が付され、各実施形態の説明において同一または類似の要素に関する重複する説明は省略することがある。また、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。尚、以下の説明では、真空式液体収集装置の一例として、多数の施設または家庭等からの汚水を収集する真空式汚水収集装置が説明される。また、真空式汚水収集装置の真空管路は、例えば
図6に示すように、汚水を排出する施設または家庭等に向けて複数の系統に枝分かれしており、従って、複数の末端部を有している。しかし、真空式液体収集装置の例は、真空式汚水収集装置に限られない。また、以下の説明において、真空管路の圧力とは、真空管路の真空度を意味し、集水タンクの圧力とは、集水タンクの真空度を意味する。
【0020】
本発明の第1〜第3実施形態によれば、真空式汚水収集装置に用いられる制御装置が提供される。真空式汚水収集装置は、汚水を貯留する複数の真空弁ユニットと、複数の真空弁ユニットにそれぞれ接続される複数の末端部を有する真空管路と、汚水が真空管路を通して収集される集水タンクと、集水タンクに負圧を導入する真空ポンプと、を備える。
【0021】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る制御装置100の構成例を示す。第1実施形態では、真空式汚水収集装置200の真空管路201の末端部に配置された圧力センサ(以下、末端圧力センサと称する)101の圧力値に基づいて、真空ポンプ202の運転が制御される。尚、
図1では、真空管路201の複数の末端部のうち、末端圧力センサ101が配置された末端部のみが示されている。真空ポンプ202は、一例として、ルーツポンプである。しかし、例えば、ベーンレスポンプ等、インバータ制御が可能な真空ポンプであれば使用可能である。末端圧力センサ101は、真空管路201の末端部で真空管路201の圧力(換言すれば、真空度)を検出するように構成されている。真空管路201は、汚水の流入方向(
図1の矢印で示される)における末端圧力センサ101の上流側で、図示しない真空弁ユニットに接続されている。末端圧力センサ101が配置される真空管路201の末端部は、真空管路201の各系統の末端部のうち、真空管路201の圧力損失計算書から求められる圧力損失の予測値が最も大きい末端部である。尚、以下の説明において、真空管路の各系統の末端部のうち、真空管路の圧力損失計算書から求められる圧力損失の予測値が最も大きい末端部を、真空管路の「最大圧力損失末端部」と称し、最大圧力損失末端部の圧力損失の予測値を真空管路の「最大予測圧力損失値」と称することがある。また、「真空管路の各系統」とは、真空式汚水収集装置の集水タンクから各家庭等の真空弁ユニットに向けて負圧が導入される各ルート(換言すれば、負圧の経路)を意味する。また、真空管路は、通常、真空弁ユニットの汚水ます内に配置される配管と接続されるように構成されている。「真空管路の各系統の末端部」とは、真空管路の各系統における、真空弁ユニット内の配管との接続部近傍に位置する部分であって、汚水の流入方向に関して真空弁より下流側の部分を意味する。
【0022】
次に、真空管路の圧力損失計算書について説明する。一般に、真空式汚水収集装置では、その設計にあたって必ず真空管路の水理計算が行われ、真空管路の系統ごとに算出する静的な状態での損失と動的な状態での損失が、いずれも許容圧力損失内になるような設計が行われる。「真空式下水道収集システム 技術マニュアル(2002年度版)」(編集者:玉木勉、発行所:財団法人下水道新技術推進機構、平成14年3月31日発行)、第4章「管路設計」(P36〜37)には、「真空下水管の許容圧力損失は、中継ポンプ場の設定圧力と、末端の真空弁ユニットで必要とする圧力の差であり、各系統ごとに算出する静的な状態での損失と、動的な状態での損失が、いずれもこの許容圧力損失以内となるように設計を行う。」と記載されている。
【0023】
真空管路の許容圧力損失は、集水タンク及び真空ポンプが設置される真空ステーションの設定圧力(例えば、集水タンクの圧力)と真空管路の各末端部の真空弁ユニットで必要とされる圧力との差として算出される。「真空管路の各末端部の真空弁ユニットで必要とされる圧力」は、換言すれば、真空弁ユニットの真空弁が作動可能な圧力上限値(換言すれば、最小負圧)である。
【0024】
一般に、真空式汚水収集装置は、その設置条件に関わらず、真空ステーションの設定圧力が−60kPa〜−70kPa、真空弁ユニットで必要な圧力が−25kPa、許容圧力損失が35kPa(−25−(−60)=35)であるように設計される。
図7Aは圧力損失計算書の一例であり、
図7Bに示す真空管路1102の系統に対応している。
図7Bにおいて太い実線は真空管路1102を示し、太い破線は自然流下管路1104を示す。1106−1、1106−2は真空管路1102に設けた区間弁、1103は真空ステーション、Aは真空管路1102の末端部である。なお、真空管路1102に沿って付けられた丸付き数字1〜8は路線番号を示す。
【0025】
図7Aの圧力損失計算書において、路線番号1〜8は
図7Bの丸付き数字で示す路線番号1〜8に対応している。
図7Aに示すように、路線番号1〜8での真空管路1102の管径(mm)、管路長(m)、総水量(m
3/hr)、リフト個数、総リフト高さが設定され、摩擦損失(kPa)、摩擦損失率(kPa/100m)、動的状態での圧力損失(kPa)、静的状態での圧力損失(kPa)が計算により求められる。
【0026】
図7Aの場合、真空ステーション1103から末端部Aに至る系統での動的状態での圧力損失を足し合わせた値は、19.262kPaであり、静的状態での圧力損失を足し合わせた値は、13.274kPaである。従って、
図7Bの経路は、静的な状態での損失と動的な状態での損失とがいずれも許容圧力損失値35kPa以下であるように設計されていることが分かる。このような圧力損失計算書が、真空管路1102の各系統について作成される。こうして、真空管路の全ての系統の末端部で35kPa以下の圧力損失が維持されるように、真空式汚水収集装置が設計される。
【0027】
このように設計された真空式汚水収集装置では、集水タンクの圧力が−60kPa〜−70kPaの設定圧力を維持するように真空ポンプを運転すれば、真空管路の各系統の末端部において、真空弁が作動可能な圧力上限値である−25kPaと同じ又はこれより低い圧力を維持することができる。しかし、真空管路の圧力損失は、例えば真空弁の開閉、流入汚水量の変化等、装置の使用状態によって変動する。従って、時間帯によっては、過剰な動力または時間で真空ポンプが運転される場合がある。
【0028】
本発明の第1実施形態では、真空管路201の圧力損失計算書から予測される到達圧力が最も高い(換言すれば、予測される到達真空度が最も低い又は圧力損失の予測値が最も大きい)末端部に末端圧力センサ101を配置し、末端圧力センサ101の測定値に基づいて、真空ポンプ202の運転が制御される。具体的には、制御装置100が、末端圧力センサ101の測定値を常時監視しながら、末端圧力センサ101の測定値と真空管路201の末端部の設定圧力との差を小さくするように、真空ポンプ202のモータ202Aの回転数をインバータ制御する。一例として、真空管路201の末端部の設定圧力は、真空弁ユニットの真空弁が作動可能な圧力上限値(換言すれば、最小負圧)である。
【0029】
図1に示すように、第1実施形態の制御装置100は、真空管路201の末端部に設けられる末端圧力センサ101と、集水タンク203に負圧を導入する真空ポンプ202のモータ202Aと、に電気的に接続されるインバータ102を含む。上記したように、末端圧力センサ101は、真空管路201の最大圧力損失末端部、すなわち、真空管路201の全ての末端部のうち、真空管路201の圧力損失計算書から求められる圧力損失の予
測値が最も大きい末端部に配置された圧力センサである。
【0030】
インバータ102は、演算部102Aとインバータ部102Bとを備えており、演算部102Aが、末端圧力センサ101に接続され、インバータ部102Bが真空ポンプ202のモータ202Aに接続されている。図示の例では、制御装置100は、さらに、設定部103を含む。設定部103に真空管路201の末端部の設定圧力値を設定し、設定圧力値を設定部103からインバータ102の演算部102Aに入力することができる。設定圧力値は、設定部103またはインバータ102に記憶することができる。
【0031】
演算部102Aは、PID機能を備えることができる。これにより、制御装置100は、真空ポンプ202のモータ202Aの回転数のPID制御を行うことができる。このときの目標値は、設定部103から入力された又はインバータ102に記憶された、真空管路201の末端部の設定圧力値であり、これは、真空弁が作動可能な圧力上限値(換言すれば、最小負圧)であってよい。PID制御の入力値は、末端圧力センサ101の測定値である。末端圧力センサ101の測定値は、常時、演算部102Aに入力される。こうして、演算部102Aは、末端圧力センサ101の測定値を監視しながら、真空管路201の末端部の設定圧力値と末端圧力センサ101の測定値との偏差に基づいて、モータ202Aの回転数の増減量を算出する。モータ202Aの回転数の増減量が、演算部102Aからインバータ部102Bへ入力される。インバータ部102Bは、入力された増減量に対応する周波数変化量を真空ポンプ202のモータ202Aに出力する。
【0032】
こうして、第1実施形態では、真空管路201の末端部の圧力の実測値と設定圧力値との差を小さくするように、真空ポンプ202の運転がインバータ制御される。真空ポンプ202のインバータ制御は、従来のオン・オフ制御と異なり、ポンプの消費電力を大幅に低減することができる。また、実測値として、真空管路201の全ての末端部のうち圧力損失の予測値が最も大きい末端部の圧力値が使用されるので、真空管路201の全ての末端部において、設定圧力値以下の圧力を維持することができる。例えば、設定圧力値を真空弁の作動可能な圧力上限値に設定することにより、従来技術のように真空ポンプ202が過剰運転される可能性を防止することができる。従って、真空ポンプ202の消費電力を大幅に低減することができる。また、インバータ制御により汚水の流入量の変化に追従した真空ポンプ202の制御が可能となるので、運転される真空ポンプの台数を制御する台数制御と組み合わせた場合にも、従来のオン・オフ制御と比較して真空ポンプの最適な運転と更なる省エネを実現することができる。
【0033】
尚、集水タンク203と、末端圧力センサ101が設けられる真空管路201の末端部との間の距離が長い場合には、末端部の圧力が検出される時点と、真空ポンプ202の運転による負圧の変化が末端部に到達する時点との間に遅れが生じる。従って、この場合は、真空管路201の末端部の設定圧力値を、最小負圧(例えば−25kPa)よりも大きい負圧(例えば−30kPa)に補正してもよい。
【0034】
また、第1実施形態の制御装置100は、予め末端圧力センサ101を含んでいなくてもよい。すなわち、真空式汚水収集装置に設けられた既存の末端圧力センサをインバータ102に接続することによって、第1実施形態の制御装置100を構成することができる。
【0035】
また、他の実施形態によれば、第1実施形態の制御装置100を含む真空式汚水収集装置200を提供することができる。制御装置100は、集水タンク203及び真空ポンプ202が配置される真空ステーションの動力制御盤(
図4参照)の内部に組み込まれていてもよいし、動力制御盤と別個に設けられてもよい。
【0036】
[第2実施形態]
図2は、第2実施形態に係る制御装置300の構成例を示す。第2実施形態では、制御装置300は、真空式汚水収集装置400の集水タンク403の圧力センサ(以下、集水タンク圧力センサと称する)404の測定値を監視する。そして、制御装置300は、集水タンク圧力センサ404の測定値と集水タンク403の設定圧力値との間の差が小さくなるように真空ポンプ402の運転をインバータ制御する。第2実施形態では、集水タンク403の設定圧力値が真空式汚水収集装置400ごとに決定される点に特徴がある。
【0037】
現状では、真空式汚水収集装置の集水タンクの圧力は、真空式汚水収集装置の設置条件に関わらず、一律に設定されることが一般的である。例えば、従来の真空ポンプがオン・オフ制御される真空式汚水収集装置では、集水タンクの圧力は−60kPa〜−70kPaの範囲に設定されるのが通常である。しかし、真空式汚水収集装置の真空管路の長さ、配列構成等は、装置の設置場所の地形条件に合わせて設計される。従って、真空式汚水収集装置ごとに真空管路の長さ、配列構成等は異なるのが通常である。例えば、短い真空管路では、長い真空管路と比べて、真空管路の末端部の圧力損失が小さい。この場合、一般的な集水タンクの設定圧力に基づいて真空ポンプが運転されると、真空ポンプが過剰運転される可能性がある。
【0038】
第2実施形態では、真空式汚水収集装置400ごとに集水タンク403の設定圧力を決定する。集水タンク403の設定圧力は、各真空式汚水収集装置400の真空管路401の圧力損失計算書に基づいて決定される。具体的には、真空管路401の最大圧力損失末端部、すなわち、真空管路401の複数の末端部のうち、圧力損失計算書から求められる圧力損失の予測値が最も大きい末端部が決定される。そして、最大圧力損失末端部の圧力損失の予測値、すなわち、真空管路401の最大予測圧力損失値に基づいて、集水タンク403の設定圧力が決定される。
【0039】
例えば、
図7Bに示す真空管路1102の末端部Aが、真空管路1102の最大圧力損失末端部である場合を想定する。末端部Aの圧力損失の予測値、すなわち、真空管路1102の最大予測圧力損失値は、
図7Aの19.262kPaである。この値は、許容圧力損失値である35kPaよりもかなり小さい。この場合、第2実施形態によれば、真空管路1102の最大予測圧力損失値を、真空管路1102の末端部の設定圧力値から引いた値を、集水タンクの設定圧力値として設定することができる。すなわち、下記の計算式
(真空管路の末端部の設定圧力値)−(最大予測圧力損失値)=(集水タンクの設定圧力値)
により、集水タンクの設定圧力値が決定される。真空管路1102の末端部の設定圧力値は、真空弁が作動可能な圧力上限値(例えば−25kPa)であってよい。
【0040】
尚、最大予測圧力損失値は、適宜補正してよい。一例として、真空管路1102の最大予測圧力損失値を、
図7Aの19.262kPaから20kPaに補正して上記の計算式に当てはめることができる。この場合、集水タンクの設定圧力値を、(−25)−(20)=−45kPaに設定することができる。この値は、従来の集水タンクの設定圧力値である−60kPa〜−70kPaよりもかなり小さい負圧である。従って、第2実施形態によれば、集水タンクに必要以上に大きい負圧を維持するために真空ポンプが過剰運転される可能性を防止することができる。
【0041】
図2に示す第2実施形態の制御装置300は、インバータ302の演算部302Aに集水タンク圧力センサ404の測定値が入力され、設定部303から演算部302Aに集水タンク403の設定圧力が入力される点で第1実施形態と異なっている。集水タンク403の設定圧力は、設定部303またはインバータ302に記憶されてよい。また、集水タンク403の設定圧力は、手動で設定部303に入力されてよい。しかし、設定部303
は、集水タンク403の設定圧力を計算する演算部を含んでいてもよい。この場合、真空管路401の末端部の設定圧力値及び最大予測圧力損失値が設定部303に手動で入力され、演算部302Aが、上記の計算式に従って集水タンク403の設定圧力を計算することができる。
【0042】
第1実施形態と同様に、演算部302Aは、PID機能を備えることができる。制御装置300は、演算部302AのPID機能を用いて、真空ポンプ402のモータ402Aの回転数のPID制御を行うことができる。このときの目標値は、設定部303から入力された又はインバータ302に記憶された、集水タンク403の設定圧力である。PID制御の入力値は、集水タンク圧力センサ404の測定値である。集水タンク圧力センサ404の測定値は、常時、演算部302Aに入力される。こうして、演算部302Aは、集水タンク圧力センサ404の測定値を監視しながら、集水タンク403の設定圧力値と集水タンク圧力センサ404の測定値との偏差に基づいて、モータ402Aの回転数の増減量を算出する。モータ402Aの回転数の増減量が、演算部302Aからインバータ部302Bへ入力される。インバータ部302Bは、入力された増減量に対応する周波数変化量を真空ポンプ402のモータ402Aに出力する。
【0043】
こうして、第2実施形態では、集水タンク403の圧力の実測値と設定圧力値との差が小さくなるように真空ポンプ402の運転がインバータ制御される。真空ポンプ402のインバータ制御は、従来のオン・オフ制御と異なり、ポンプの消費電力を大幅に低減することができる。また、集水タンク403の設定圧力は、圧力損失計算書から決定される真空管路401の最大予測圧力損失値に基づいて求められる。従って、集水タンク403の設定圧力を各真空式汚水収集装置400に応じた適切な値に設定することができる。これにより、従来技術と異なり、集水タンク403に必要以上に大きい負圧を維持するために真空ポンプ402が過剰運転される可能性を防止することができる。従って、真空ポンプ402の消費電力を大幅に低減することができる。また、インバータ制御により汚水の流入量の変化に追従した真空ポンプ402の制御が可能となるので、運転される真空ポンプの台数を制御する台数制御と組み合わせた場合にも、従来のオン・オフ制御と比較して真空ポンプの最適な運転と更なる省エネを実現することができる。
【0044】
また、第2実施形態の制御装置は、予め集水タンク圧力センサ404を含んでいなくてよい。すなわち、真空式汚水収集装置に設けられた既存の集水タンク圧力センサをインバータ302に接続することによって、第2実施形態の制御装置300を構成することができる。
【0045】
また、他の実施形態によれば、第2実施形態の制御装置300を含む真空式汚水収集装置400を提供することができる。制御装置300は、集水タンク403及び真空ポンプ402が配置された真空ステーションの動力制御盤(
図4参照)の内部に組み込まれていてもよいし、動力制御盤と別個に設けられてもよい。
【0046】
[第3実施形態]
図2Aに第3実施形態の制御装置500の構成例を示す。制御装置500は、真空式汚水収集装置600に用いられるように構成されており、真空式汚水収集装置600は、汚水が真空管路601を通して収集される集水タンク603と、集水タンク603に負圧を導入する真空ポンプ602と、を備えている。真空管路601は複数の末端部を有しており、各末端部は、汚水を貯留する真空弁ユニットに接続されている。
図2Aでは、真空管路601の最大圧力損失末端部に繋がる真空管路601のみが示されている。図示されない真空弁ユニットが、汚水の流入方向(
図2Aの矢印で示されている)における上流側で真空管路601に接続されている。
【0047】
制御装置500は、真空ポンプ602と、集水タンク603の圧力を検出可能な集水タンク圧力センサ604とに電気的に接続されるインバータ502を含んでいる。具体的には、インバータ502は、演算部502Aとインバータ部502Bとを備えており、演算部502Aが、集水タンク圧力センサ604に接続され、インバータ部502Bが真空ポンプ602のモータ602Aに接続されている。図示の例では、制御装置500は、さらに、設定部503を含む。設定部503に集水タンク603の設定圧力値を設定し、設定圧力値を設定部503からインバータ502の演算部502Aに入力することができる。設定圧力値は、設定部503またはインバータ502に記憶することができる。演算部502は、PID機能を備えることができる。
【0048】
第3実施形態は、第2実施形態の変形例である。上記したように、真空式汚水収集装置の真空管路の圧力損失は、流入する汚水量の変化に応じて変動する。第3実施形態では、一日の汚水量の時間変動パターンが考慮され、集水タンク603の設定圧力値が、時間帯ごとに再設定される。換言すれば、第2実施形態の制御方法に従って決定された集水タンク603の設定圧力値を、各時間帯の汚水量に応じて補正することができる。以下の説明では、第2実施形態の制御方法に従って決定される集水タンク603の設定圧力値を集水タンク603の初期設定圧力値と称し、補正後の集水タンク603の設定圧力値を集水タンク603の再設定圧力値と称する。
【0049】
一般的に、真空式汚水収集装置では、一日の各時間帯によって汚水の流入量が変化する。真空式汚水収集装置における、一日の集水タンクの水位の変動パターンの例が
図3に示されている。真空式汚水収集装置では、各真空弁ユニットの汚水ますの汚水量が所定の水位を越えると真空弁が開き、汚水が真空管路を通って集水タンクに流入する。集水タンクの汚水量が始動水位を越えると圧送ポンプが始動され、集水タンク内の汚水を排水処理設備に移送する。集水タンクの汚水量が停止水位を越えると圧送ポンプが停止される。こうして、集水タンクの水位は、例えば
図3の例に示すようなパターンで繰り返し増減する。
【0050】
汚水の流入量が多いと集水タンクの負圧が真空管路の末端部に到達しにくく、汚水の流入量が少ないと集水タンクの負圧が末端部に到達し易い。換言すれば、汚水の流入量が多いと真空管路の圧力損失が大きく、汚水の流入量が少ないと真空管路の圧力損失が小さい。
【0051】
第3実施形態では、一日を複数の時間帯に分割する。
図3の例では、一日を5つの時間帯、具体的には、「夜」、「深夜」、「朝のピーク」、「午前」、「午後」に分けている。汚水の流入量は「朝のピーク」に最も多く、「深夜」に最も少ない。
【0052】
第3実施形態では、集水タンク603の初期設定圧力値、すなわち、第2実施形態の計算式 (集水タンクの設定圧力)=(真空管路の末端部の設定圧力値)−(最大予測圧力損失値) により決定された集水タンク603の設定圧力(本例では(−25)−(20)=−45kPa))に従って真空ポンプ602を運転し、各時間帯における真空管路601の最大圧力損失末端部(すなわち、圧力損失計算書から求められる圧力損失の予測値が最も大きい末端部)の圧力を測定する。具体的には、集水タンク圧力センサ604の測定値と集水タンク603の初期設定圧力値との差が小さくなるように真空ポンプ602がインバータ制御される間、真空管路601の最大圧力損失末端部の圧力が測定される。本例では、最大圧力損失末端部の圧力測定値は、「深夜」の時間帯では−40kPa付近にあり、「朝のピーク」の時間帯では−25kPa付近にある。このことが、第2実施形態の末端圧力測定値として
図3に示されている。尚、
図3の太い実線は、第2実施形態における集水タンク603の目標圧力値(すなわち、集水タンクの初期設定圧力値)を示している。
【0053】
第3実施形態では、複数の時間帯の各時間帯について、最大圧力損失末端部の実際の圧力損失値を求める。ここでは、一例として、
図3の「深夜」と「朝のピーク」のそれぞれについて、最大圧力損失末端部の実際の圧力損失値を求める。
【0054】
(最大圧力損失末端部の圧力測定値)−(集水タンクの初期設定圧力値)=(最大圧力損失末端部の実際の圧力損失値)
であるので、最大圧力損失末端部の実際の圧力損失値は、「深夜」では、5kPa(−40−(−45)=5)である。従って、最大圧力損失末端部の実際の圧力損失値は、汚水の流入量が少ない「深夜」の時間帯では、真空管路601の最大予測圧力損失値20kPaと比較してかなり小さいことが分かる。具体的には、15kPa(20−5=15)だけ小さい。従って、「深夜」の時間帯では、集水タンク603の初期設定圧力値−45kPaは、15kPaだけ過剰である。従って、「深夜」の時間帯では、15kPaを圧力補正値として、集水タンク603の初期設定圧力値に加算することにより、集水タンク603の設定圧力値を−30kPa(−45+15=−30)に補正することができる。
【0055】
一方、「朝のピーク」における最大圧力損失末端部の実際の圧力損失値は、20kPa(−25−(−45)=20)であり、真空管路603の最大予測圧力損失値と同じである。従って、「朝のピーク」の集水タンク603の初期設定圧力値−45kPaに対する圧力補正値は0である。
【0056】
こうして、第3実施形態では、集水タンク603の初期設定圧力値に従って真空ポンプ603をインバータ制御し、真空管路601の最大圧力損失末端部の実際の圧力を測定する。この目的のため、第3実施形態の制御装置500は、真空管路601の最大圧力損失末端部に配置される末端圧力センサ501を備えることができる。そして、測定された圧力値と集水タンク603の初期設定圧力値から、複数の時間帯の各時間帯について最大圧力損失末端部の実際の圧力損失値を求める。このときの計算式は、
(最大圧力損失末端部の実際の圧力損失値)=(最大圧力損失末端部の圧力の実測値)−(集水タンクの初期設定圧力値)
である。
【0057】
次に、実際の圧力損失値と最大予測圧力損失値との差(換言すれば、圧力補正値)を求め、この差の分だけ、集水タンク603の初期設定圧力値を補正する。これにより、集水タンク603の再設定圧力値が決定される。このときの計算式は、
(集水タンク603の再設定圧力値)=(集水タンク603の初期設定圧力値)+((最大予測圧力損失値)−(最大圧力損失末端部の実際の圧力損失値))
である。
【0058】
集水タンク603の再設定圧力値は、制御装置500の設定部503に入力される。尚、「朝のピーク」時のように初期設定圧力値を補正する必要がない場合は、圧力補正値は0であり、初期設定圧力値と同じ値(本例では−45kPa)が、再設定圧力値として設定部503に入力される。
【0059】
設定部503は、再設定圧力値を求めるための一連の計算を自動で行うように構成されていてもよい。この場合、例えば、真空管路601の末端部の設定圧力値(例えば、真空弁が作動可能な圧力上限値)及び最大予測圧力損失値を設定部503に予め入力しておくことで集水タンク603の初期設定圧力値を自動的に決定することができる。また、末端圧力センサ501を設定部503に接続しておくことで、最大圧力損失末端部の実測値を自動的に設定部503に入力することができる。また、制御装置500は、複数の時間帯の各時間帯についての再設定圧力値を記憶するように構成されることができ、制御装置500は、再設定圧力値を時間帯ごとに切り替えるように構成されることができる。制御装
置500は、このためのタイマ部504を含むことができる。各時間帯が経過した時点でタイマ部504は信号を出力する。図示の例では、再設定圧力値は設定部503に記憶され、タイマ部504の信号が設定部503に入力される。しかし、インバータ502が再設定圧力値を記憶してもよい。この場合、タイマ部504からの信号をインバータ502に入力することができる。
【0060】
こうして、複数の時間帯の各時間帯の汚水の流入量に応じて、集水タンクの適切な設定圧力値を決定することができる。
図3の太い破線は、第3実施形態における集水タンク603の目標圧力値(すなわち、集水タンクの再設定圧力値)を示している。
【0061】
演算部502Aは、各時間帯に対応する再設定圧力値と集水タンク圧力センサ604の測定値との偏差に基づいて、モータ602Aの回転数の増減量を算出する。モータ602Aの回転数の増減量が、演算部502Aからインバータ部502Bへ入力される。インバータ部502Bは、入力された増減量に対応する周波数変化量をモータ602Aに出力する。
【0062】
このように、第3実施形態では、時間帯ごとに設定された集水タンク603の設定圧力値に従って真空ポンプ602をインバータ制御することができる。従って、真空ポンプ602を過剰運転させることなく、真空管路601の最大圧力損失末端部の圧力を常に設定圧力値(例えば、真空弁が作動可能な圧力上限値 −25kPa)付近に維持することができる。このことが、第3実施形態の末端圧力測定値として
図3に示されている。従って、真空ポンプ602を過剰運転させることなく、真空管路601の全ての末端部において、常に圧力を設定圧力値付近またはこれより低い圧力に維持することができる。
【0063】
第3実施形態では、集水タンク603の圧力の実測値と、時間帯ごとに切り替えられる再設定圧力値との差が小さくなるように、真空ポンプ602の運転がインバータ制御される。真空ポンプ602のインバータ制御は、従来のオン・オフ制御と異なり、ポンプの消費電力を大幅に低減することができる。また、集水タンク603の再設定圧力値は、圧力損失計算書の最大予測圧力損失値に基づいて求められた集水タンク603の初期設定圧力値に、各時間帯の汚水流入量を考慮した補正を加えることにより決定される。従って、各真空式汚水収集装置600の管路長、配列構成等だけでなく、各時間帯の使用状況に応じた適切な値を設定することができる。従って、従来技術と異なり、集水タンク603に必要以上に大きい負圧を維持するために真空ポンプ602が過剰運転される可能性を防止することができる。また、インバータ制御により汚水の流入量の変化に追従した真空ポンプ602の制御が可能となるので、運転される真空ポンプの台数を制御する台数制御と組み合わせた場合にも、従来のオン・オフ制御と比較して真空ポンプの最適な運転と更なる省エネを実現することができる。
【0064】
尚、各実施形態において、小風量時には、真空ポンプは、設定圧力を保持するための低速運転を行うように構成される。しかし、真空ポンプ運転中に汚水及び空気の流入がなくなった場合には、低速運転しても、真空管路の末端部または集水タンクの圧力は、設定圧力よりも大きな負圧になってしまう。このような事態を避けるため、各実施形態では、設定圧力が一定時間検知された場合に真空ポンプを停止する制御が行われてもよい。具体的には、第1実施形態の制御装置100は、真空管路201の末端部の圧力の実測値が、一定時間、設定圧力値以下である場合に、真空ポンプ202の運転を停止してもよい。この場合、制御装置100は、真空管路201の末端部の圧力の実測値が、一定時間、設定圧力値以下であるか否かを判定する判定部と、タイマ部とを備えることができる。判定は、例えば、インバータ102の演算部102Aの演算結果と、タイマ部によって計測される時間に基づいて行うことができる。例えば、判定部は、真空管路201の末端部の圧力の実測値が設定圧力値以下になったとき、タイマ部に時間計測を開始させることができる。
タイマ部は、実測値が設定圧力値より大きくなったときにリセットされてよい。タイマ部の計測時間が所定の時間に達すると、判定部は、真空ポンプ202を停止させることができる。真空ポンプ202の停止は、インバータ部102Bを介して行われてもよいし、判定部から真空ポンプ202に直接信号を送ることにより行われてもよい。これと同様に、第2実施形態の制御装置300は、集水タンク403の圧力の実測値が、一定時間、設定圧力値以下である場合に、真空ポンプ402の運転を停止してもよい。また、第3実施形態の制御装置500は、集水タンク603の圧力の実測値が、一定時間、再設定圧力値以下である場合に、真空ポンプ602の運転を停止してもよい。これにより、真空ポンプの運転時間を最小限にとどめることができ、消費電力を一層低減することができる。尚、この一定時間は、真空管路または集水タンクへの汚水及び空気の流入状況に応じて変更されてよい。小風量時に真空ポンプを停止させる制御のための構成及び方法は、上記したものに限られず、当業者に既知の方法を適宜用いて実現することができる。
【0065】
本発明は、以下の態様を含む。
1.液体を貯留する複数の真空弁ユニットと、複数の真空弁ユニットにそれぞれ接続される複数の末端部を有する真空管路と、液体が真空管路を通して収集される集液タンクと、集液タンクに負圧を導入する真空ポンプと、備える真空式液体収集装置に用いられる制御装置であって、
制御装置は、真空ポンプと、真空管路の末端部の圧力を検出可能な末端圧力センサと、に電気的に接続されるインバータを含んでおり、
末端圧力センサは、真空管路の複数の末端部のうち、真空管路の圧力損失計算書から求められる圧力損失の予測値が最も大きい末端部に配置されており、
制御装置は、末端圧力センサの測定値と真空管路の末端部の設定圧力値との差を小さくするように、インバータを介して真空ポンプの回転数を調整可能である、制御装置。
2.制御装置は、末端圧力センサを含む、上記1.に記載の制御装置。
3.制御装置は、末端圧力センサの測定値が、所定時間の間、真空管路の末端部の設定圧力値以下の値である場合に、真空ポンプを停止するように構成されている、上記1.または2.に記載の制御装置。
4.液体を貯留する複数の真空弁ユニットと、複数の真空弁ユニットにそれぞれ接続される複数の末端部を有する真空管路と、液体が真空管路を通して収集される集液タンクと、集液タンクに負圧を導入する真空ポンプと、備える真空式液体収集装置に用いられる制御装置であって、
制御装置は、真空ポンプと、集液タンクの圧力を検出可能な集液タンク圧力センサと、に電気的に接続されるインバータを含んでおり、
制御装置は、集液タンク圧力センサの測定値と集液タンクの設定圧力値との差を小さくするように、インバータを介して真空ポンプの回転数を調整可能であり、
集液タンクの設定圧力値は、真空管路の複数の末端部のうち、真空管路の圧力損失計算書から求められる圧力損失の予測値が最も大きい末端部の圧力損失の予測値を、真空管路の末端部の設定圧力値から減じた値である、制御装置。
5.制御装置は、集液タンク圧力センサの測定値が、所定時間の間、集液タンクの設定圧力値以下の値である場合に、真空ポンプを停止するように構成されている、上記4.に記載の制御装置。
6.液体を貯留する複数の真空弁ユニットと、複数の真空弁ユニットにそれぞれ接続される複数の末端部を有する真空管路と、液体が真空管路を通して収集される集液タンクと、集液タンクに負圧を導入する真空ポンプと、備える真空式液体収集装置に用いられる制御装置であって、
制御装置は、真空ポンプと、集液タンクの圧力を検出可能な集液タンク圧力センサと、に電気的に接続されるインバータを含んでおり、
制御装置は、集液タンク圧力センサの測定値と集液タンクの初期設定圧力値との差を小さくするように、インバータを介して真空ポンプの回転数を調整可能であり、
集液タンクの初期設定圧力値は、真空管路の複数の末端部のうち、真空管路の圧力損失計算書から求められる圧力損失の予測値が最も大きい末端部の圧力損失の予測値を、真空管路の末端部の設定圧力値から減じた値であり、
制御装置は、また、集液タンク圧力センサの測定値と集液タンクの再設定圧力値との差を小さくするように、インバータを介して真空ポンプの回転数を調整可能であり、
集液タンクの再設定圧力値は、真空管路の圧力損失計算書から求められる圧力損失の予測値が最も大きい末端部に配置される末端圧力センサの測定値、集液タンクの初期設定圧力値、及び圧力損失の予測値が最も大きい末端部の圧力損失の予測値に基づいて決定される、制御装置。
7.集液タンクの再設定圧力値は、複数の時間帯の各時間帯について決定され、
制御装置は、各時間帯の間、当該時間帯に対応する再設定圧力値と集液タンク圧力センサの測定値との差を小さくするように、インバータを介して真空ポンプの回転数を調整可能である、上記6.に記載の制御装置。
8.制御装置は、複数の時間帯の各時間帯について再設定圧力値を記憶する記憶部を含んでおり、制御装置は、複数の時間帯の各時間帯が経過した時点で当該時間帯に対応する再設定圧力値をインバータに入力するように構成されている、上記7.に記載の制御装置。9.制御装置は、各時間帯の経過時刻を測定するタイマ部を含む、上記7.または8.に記載の制御装置。
10.制御装置は、末端圧力センサを含む、上記6.〜9.のいずれかに記載の制御装置。
11.制御装置は、集液タンク圧力センサの測定値が、所定時間の間、集液タンクの再設定圧力値以下の値である場合に、真空ポンプを停止するように構成されている、上記6.〜10.のいずれかに記載の制御装置。
12.真空管路の末端部の設定圧力値は、複数の真空弁ユニットの真空弁が作動可能な圧力上限値である、上記1.〜11.に記載の制御装置。
13.インバータの演算部がPID機能を有している、上記1.〜12.のいずれかに記載の制御装置。
14.真空管路に負圧を導入する真空ポンプであって、真空管路は、液体を貯留する複数の真空弁ユニットにそれぞれ接続される複数の末端部を有する、真空ポンプを制御する方法であって、
真空管路の複数の末端部のうち、真空管路の圧力損失計算書から求められる圧力損失の予測値が最も大きい末端部を決定することと、
圧力損失の予測値が最も大きい末端部の圧力を測定することと、
圧力損失の予測値が最も大きい末端部の圧力の測定値を監視しながら、圧力の測定値と真空管路の末端部の設定圧力値との差を小さくするように真空ポンプの回転数を調整することと、を含む方法。
15.圧力の測定値が、所定時間の間、真空管路の末端部の設定圧力値以下の値である場合に、真空ポンプを停止することを含む、上記14.に記載の方法。
16.集液タンクを介して真空管路に負圧を導入する真空ポンプであって、真空管路は、液体を貯留する複数の真空弁ユニットにそれぞれ接続される複数の末端部を有する、真空ポンプを制御する方法であって、
真空管路の複数の末端部のうち、真空管路の圧力損失計算書から求められる圧力損失の予測値が最も大きい末端部を決定することと、
真空管路の末端部の設定圧力値から、圧力損失の予測値が最も大きい末端部の圧力損失の予測値を減じることによって、集液タンクの設定圧力値を求めることと、
集液タンクの圧力を測定することと、
集液タンクの圧力の測定値を監視しながら、圧力の測定値と集液タンクの設定圧力値との差を小さくするように真空ポンプの回転数を調整することと、を含む方法。
17.圧力の測定値が、所定時間の間、集液タンクの設定圧力値以下の値である場合に、真空ポンプを停止することを含む、上記16.に記載の方法。
18.集液タンクを介して真空管路に負圧を導入する真空ポンプであって、真空管路は、液体を貯留する複数の真空弁ユニットにそれぞれ接続される複数の末端部を有する、真空ポンプを制御する方法であって、
真空管路の複数の末端部のうち、真空管路の圧力損失計算書から求められる圧力損失の予測値が最も大きい末端部を決定することと、
真空管路の末端部の設定圧力値から、圧力損失の予測値が最も大きい末端部の圧力損失の予測値を減じることによって、集液タンクの初期設定圧力値を求めることと、
集液タンクの圧力を測定することと、
集液タンクの圧力の測定値を監視しながら、圧力の測定値と集液タンクの初期設定圧力値との差を小さくするように真空ポンプの回転数を調整することと、
圧力損失の予測値が最も大きい末端部の圧力を測定することと、
圧力損失の予測値が最も大きい末端部の圧力の測定値、集液タンクの初期設定圧力値、及び圧力損失の予測値が最も大きい末端部の圧力損失の予測値に基づいて、集液タンクの再設定圧力値を決定することと、
集液タンクの圧力の測定値を監視しながら、集液タンクの圧力の測定値と集液タンクの再設定圧力値との差を小さくするように真空ポンプの回転数を調整することと、を含む方法。
19.集液タンクの再設定圧力値を決定することは、複数の時間帯の各時間帯について集液タンクの再設定圧力値を決定することを含み、
真空ポンプの回転数を調整することは、各時間帯の間、集液タンクの圧力の測定値を監視しながら、当該時間帯に対応する再設定圧力値と集液タンクの圧力の測定値との差を小さくするように真空ポンプの回転数を調整することを含む、上記18.に記載の方法。
20.集液タンクの再設定圧力値を決定することは、
圧力損失の予測値が最も大きい末端部の圧力の測定値から、集液タンクの初期設定圧力値を減じることにより、当該末端部の実際の圧力損失値を求めることと、
圧力損失の予測値が最も大きい末端部の圧力損失の予測値から、実際の圧力損失値を減じることにより、圧力補正値を求めることと、
圧力補正値を、集液タンクの初期設定圧力値に加算することと、を含む、上記18.または19.に記載の方法。
21.集液タンクの圧力の測定値が、所定時間の間、集液タンクの再設定圧力値以下の値である場合に、真空ポンプを停止することを含む、上記18.〜20.のいずれかに記載の方法。
22.真空管路の末端部の設定圧力値は、複数の真空弁ユニットの真空弁が作動可能な圧力上限値である、上記14.〜21.のいずれかに記載の方法。
23.真空ポンプの回転数がPID制御により調整される、上記14.〜22.のいずれかに記載の方法。
24.液体を貯留する複数の真空弁ユニットと、
複数の真空弁ユニットにそれぞれ接続される複数の末端部を有する真空管路と、
液体が真空管路を通して収集される集液タンクと、
集液タンクに負圧を導入する真空ポンプと、
真空管路の末端部の圧力を検出可能な末端圧力センサと、
真空ポンプの運転を制御する制御装置と、を備える真空式液体収集装置であって、
制御装置は、真空ポンプと末端圧力センサとに電気的に接続されるインバータを含んでおり、
末端圧力センサは、真空管路の複数の末端部のうち、真空管路の圧力損失計算書から求められる圧力損失の予測値が最も大きい末端部に配置されており、
制御装置は、末端圧力センサの測定値と真空管路の末端部の設定圧力値との差を小さくするように、インバータを介して真空ポンプの回転数を調整可能である、真空式液体収集装置。
25.制御装置は、末端圧力センサの測定値が、所定時間の間、真空管路の末端部の設定
圧力値以下の値である場合に、真空ポンプを停止するように構成されている、上記24.に記載の真空式液体収集装置。
26.液体を貯留する複数の真空弁ユニットと、
複数の真空弁ユニットにそれぞれ接続される複数の末端部を有する真空管路と、
液体が真空管路を通して収集される集液タンクと、
集液タンクに負圧を導入する真空ポンプと、
集液タンクの圧力を検出可能な集液タンク圧力センサと、
真空ポンプの運転を制御する制御装置と、を備える真空式液体収集装置であって、
制御装置は、真空ポンプと集液タンク圧力センサとに電気的に接続されるインバータを含んでおり、
制御装置は、集液タンク圧力センサの測定値と集液タンクの設定圧力値との差を小さくするように、インバータを介して真空ポンプの回転数を調整可能であり、
集液タンクの設定圧力値は、真空管路の複数の末端部のうち、真空管路の圧力損失計算書から求められる圧力損失の予測値が最も大きい末端部の圧力損失の予測値を、真空管路の末端部の設定圧力値から減じた値である、真空式液体収集装置。
27.制御装置は、集液タンク圧力センサの測定値が、所定時間の間、集液タンクの設定圧力値以下の値である場合に、真空ポンプを停止するように構成されている、上記26.に記載の真空式液体収集装置。
28.液体を貯留する複数の真空弁ユニットと、
複数の真空弁ユニットにそれぞれ接続される複数の末端部を有する真空管路と、
液体が真空管路を通して収集される集液タンクと、
集液タンクに負圧を導入する真空ポンプと、
集液タンクの圧力を検出可能な集液タンク圧力センサと、
真空ポンプの運転を制御する制御装置と、を備える真空式液体収集装置であって、
制御装置は、真空ポンプと集液タンク圧力センサとに電気的に接続されるインバータを含んでおり、
制御装置は、集液タンク圧力センサの測定値と集液タンクの初期設定圧力値との差を小さくするように、インバータを介して真空ポンプの回転数を調整可能であり、
集液タンクの初期設定圧力値は、真空管路の複数の末端部のうち、真空管路の圧力損失計算書から求められる圧力損失の予測値が最も大きい末端部の圧力損失の予測値を、真空管路の末端部の設定圧力値から減じた値であり、
制御装置は、集液タンク圧力センサの測定値と集液タンクの再設定圧力値との差を小さくするように、インバータを介して真空ポンプの回転数を調整可能であり、
集液タンクの再設定圧力値は、真空管路の圧力損失計算書から求められる圧力損失の予測値が最も大きい末端部に配置される末端圧力センサの測定値、集液タンクの初期設定圧力値、及び圧力損失の予測値が最も大きい末端部の圧力損失の予測値に基づいて決定される、真空式液体収集装置。
29.集液タンクの再設定圧力値は、複数の時間帯の各時間帯について決定され、
制御装置は、各時間帯の間、当該時間帯に対応する再設定圧力値と集液タンク圧力センサの測定値との差を小さくするように、インバータを介して真空ポンプの回転数を調整可能である、上記28.に記載の真空式液体収集装置。
30.制御装置は、複数の時間帯の各時間帯について再設定圧力値を記憶する記憶部を含んでおり、制御装置は、複数の時間帯の各時間帯が経過した時点で当該時間帯に対応する再設定圧力値をインバータに入力するように構成されている、上記29.に記載の真空式液体収集装置。
31.制御装置は、各時間帯の経過時刻を測定するタイマ部を含む、上記29または30に記載の真空式液体収集装置。
32.制御装置は、集液タンク圧力センサの測定値が、所定時間の間、集液タンクの再設定圧力値以下の値である場合に、真空ポンプを停止するように構成されている、上記28.〜31.のいずれかに記載の真空式液体収集装置。
33.真空管路の末端部の設定圧力値は、複数の真空弁ユニットの真空弁が作動可能な圧力上限値である、上記24.〜32.のいずれかに記載の真空式液体収集装置。
34.インバータの演算部がPID機能を有している、上記24.〜33.のいずれかに記載の真空式液体収集装置。