(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6797951
(24)【登録日】2020年11月20日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】パワー半導体モジュール装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20201130BHJP
H01L 25/18 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
H01L25/04 C
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-12161(P2019-12161)
(22)【出願日】2019年1月28日
(65)【公開番号】特開2019-153782(P2019-153782A)
(43)【公開日】2019年9月12日
【審査請求日】2019年1月28日
(31)【優先権主張番号】18154008.9
(32)【優先日】2018年1月30日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501209070
【氏名又は名称】インフィネオン テクノロジーズ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】INFINEON TECHNOLOGIES AG
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ロート, アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ホールフェルト, オーラフ
【審査官】
川原 光司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−216558(JP,A)
【文献】
特開2002−241581(JP,A)
【文献】
特表2016−504765(JP,A)
【文献】
特開2014−187179(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0001700(US,A1)
【文献】
特開2003−068979(JP,A)
【文献】
特開2017−011221(JP,A)
【文献】
特開2010−283107(JP,A)
【文献】
特開2015−185561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/56
H01L 23/28−23/31
H01L 25/00−25/07
H01L 25/10−25/11
H01L 25/16−25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁及びカバーを含むハウジング(40)と、
前記ハウジング(40)内に配置された基板(10)であって、前記基板(10)は、誘電絶縁層(11)と、前記誘電絶縁層(11)の第1の側に配置された第1のメタライゼーション層(111)と、前記誘電絶縁層(11)の第2の側に配置された第2のメタライゼーション層(112)と、を含み、前記誘電絶縁層(11)は、前記第1のメタライゼーション層(111)と前記第2のメタライゼーション層(112)との間に配置される、前記基板(10)と、
前記第1のメタライゼーション層(111)の、前記誘電絶縁層(11)と反対側の第1の面にマウントされた少なくとも1つの半導体ボディ(20)と、
前記第1のメタライゼーション層(111)の前記第1の面に配置されて電気的に接続されている接続素子(32)と、
前記接続素子(32)に挿入されて電気的に接続されている接点素子(30)であって、前記接点素子(30)は、前記接続素子(32)から、前記ハウジング(40)の内部を通り抜け、前記ハウジング(40)の前記カバーにある開口を通り抜け、前記ハウジング(40)の外側へ、前記第1の面に垂直な方向に延びる、前記接点素子(30)と、
前記第1のメタライゼーション層(111)に隣接して配置され、前記ハウジング(40)の内部の少なくとも一部に充填される硬質カプセル封じ(60)と、
を含み、
前記接点素子(30)は、前記基板(10)と前記ハウジング(40)の前記カバーとの間で、前記第1のメタライゼーション層(111)の前記第1の面に垂直な方向に第1の長さ(x1)を有し、
前記硬質カプセル封じ(60)は、前記接点素子(30)を中心とする半径(r)以内の領域において、前記第1のメタライゼーション層(111)の前記第1の面に垂直な方向に第1の厚さ(x2)を有し、
前記硬質カプセル封じ(60)は、前記接点素子(30)を中心とする前記半径(r)の領域の外側の領域において、前記第1のメタライゼーション層(111)の前記第1の面に垂直な方向に第2の厚さ(x3)を有し、
前記第1の厚さ(x2)は前記第2の厚さ(x3)より厚い、パワー半導体モジュール装置。
【請求項2】
前記硬質カプセル封じ(60)は、硬度が少なくとも40ショアA、少なくとも60ショアA、又は少なくとも50ショアDである、請求項1に記載のパワー半導体モジュール装置。
【請求項3】
前記硬質カプセル封じ(60)は、ゴム、ポリウレタン、及びプラスチックのうちの少なくとも1つを含む、請求項1又は2に記載のパワー半導体モジュール装置。
【請求項4】
前記硬質カプセル封じ(60)の前記第1の厚さ(x2)は、前記接点素子(30)の前記第1の長さ(x1)の20%から80%、又は前記接点素子(30)の前記第1の長さ(x1)の40%から60%であり、
前記硬質カプセル封じ(60)の前記第2の厚さ(x3)は、前記接点素子(30)の前記第1の長さ(x1)の10%から60%、又は20%から40%である、
請求項1に記載のパワー半導体モジュール装置。
【請求項5】
前記硬質カプセル封じ(60)は、腐食性ガスに対する障壁を与えるように構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のパワー半導体モジュール装置。
【請求項6】
前記硬質カプセル封じ(60)は、酸素透過係数が10−10未満、又は10−12未満である、請求項5に記載のパワー半導体モジュール装置。
【請求項7】
前記硬質カプセル封じ(60)は、前記硬質カプセル封じ(60)の中に均一に分布する充填材を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のパワー半導体モジュール装置。
【請求項8】
前記充填材は、Al2O3、SiO2、及び不活性多孔質プラスチックボディのうちの少なくとも1つを含む、請求項7に記載のパワー半導体モジュール装置。
【請求項9】
前記接続素子(32)は、前記接点素子(30)の第1の端部をぴったり覆って包み込むように構成された管状部分を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のパワー半導体モジュール装置。
【請求項10】
前記接点素子(30)は、その第1の端部に圧入ピンを含み、
前記接続素子(32)は、前記接点素子(30)の前記圧入ピンに対応する相手側部品を含み、
前記接点素子(30)の前記第1の端部と前記接続素子(32)は、前記接点素子(30)が前記接続素子(32)に挿入された場合に圧入接続を形成する、
請求項9に記載のパワー半導体モジュール装置。
【請求項11】
パワー半導体モジュール装置の製造方法であって、前記パワー半導体モジュール装置は、基板(10)と、少なくとも1つの半導体ボディ(20)と、接続素子(32)と、接点素子(30)とを含み、前記基板(10)は、誘電絶縁層(11)と、前記誘電絶縁層(11)の第1の側に配置された第1のメタライゼーション層(111)と、前記誘電絶縁層(11)の第2の側に配置された第2のメタライゼーション層(112)と、を含み、前記誘電絶縁層(11)は、前記第1のメタライゼーション層(111)と前記第2のメタライゼーション層(112)との間に配置され、前記少なくとも1つの半導体ボディ(20)は、前記第1のメタライゼーション層(111)の、前記誘電絶縁層(11)と反対側の第1の面にマウントされ、前記接続素子(32)は、前記第1のメタライゼーション層(111)の前記第1の面に配置されて電気的に接続され、前記接点素子(30)は、前記接続素子(32)に挿入されて電気的に接続されているものであり、
壁(42)を含むハウジング(40)の中に前記基板(10)を配置するステップと、
前記ハウジング(40)の前記壁(42)と前記基板(10)とで形成される容量空間の少なくとも一部にカプセル封じ材料(62)を充填するステップと、
前記カプセル封じ材料(62)を硬化させて硬質カプセル封じ(60)を形成するステップと、
前記ハウジング(40)を閉じるステップであって、前記接点素子(30)は、前記接続素子(32)から、前記ハウジング(40)の内部を通り抜け、前記ハウジング(40)のカバーにある開口を通り抜け、前記ハウジング(40)の外側へ、前記第1の面に垂直な方向に延びる、前記閉じるステップと、
を含み、
前記接点素子(30)は、前記基板(10)と前記ハウジング(40)の前記カバーとの間で、前記第1のメタライゼーション層(111)の前記第1の面に垂直な方向に第1の長さ(x1)を有し、
前記硬質カプセル封じ(60)は、前記接点素子(30)を中心とする半径(r)以内の領域において、前記第1のメタライゼーション層(111)の前記第1の面に垂直な方向に第1の厚さ(x2)を有し、
前記硬質カプセル封じ(60)は、前記接点素子(30)を中心とする前記半径(r)の領域の外側の領域において、前記第1のメタライゼーション層(111)の前記第1の面に垂直な方向に第2の厚さ(x3)を有し、
前記第1の厚さ(x2)は前記第2の厚さ(x3)より厚い、方法。
【請求項12】
前記カプセル封じ材料(62)は、液体を含み、稠度が液状稠度、粘性稠度、又はゲル状稠度であり、前記カプセル封じ材料(62)を硬化させるステップは、前記液体の一部又は全てを前記カプセル封じ材料(62)から除去することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ハウジング(40)を閉じるステップは、
前記ハウジングをカバー(44)で閉じること、又は、
前記ハウジング(40)のカバーにある開口を閉じること
を含む、
請求項11又は12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パワー半導体モジュール装置、及びパワー半導体モジュール装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パワー半導体モジュール装置は、多くの場合、ハウジング内に基板を含む。基板は、通常、基板層(例えば、セラミック層)と、基板層の第1の側に堆積された第1のメタライゼーション層と、基板層の第2の側に堆積された第2のメタライゼーション層と、を含む。基板上には、1つ以上の制御可能な半導体素子(例えば、ハーフブリッジ構成の2つのIGBT)を含む半導体装置が配置されてよい。通常は、そのような半導体装置にハウジングの外から接触することを可能にする1つ以上の接点素子が設けられる。既知のパワー半導体モジュールでは、接点素子が基板上に配置されていて、基本的には基板の主表面に垂直な方向に、ハウジングのカバーを貫通して突き出ている。ハウジングから突き出ている接点素子のセクションは、機械的且つ電気的にプリント回路基板と結合されてよい。通常、プリント回路基板は複数の開口を含み、各接点素子は各開口に挿入されて貫通する。多くの場合、接点素子を含む半導体装置を有するパワー半導体モジュールはプレハブ方式で製造され、カスタマは、自身がカスタマイズしたプリント回路基板をプレハブのパワー半導体モジュールにマウントしてよい。接点素子を基板にマウントする際に発生する公差、並びにプリント回路基板及び各開口の製造時に発生する公差が原因で、接点素子及び開口が正確に位置合わせされない可能性がある。その為、プリント回路基板をパワー半導体モジュールにマウントする際に、接点素子に大きな力がかかる可能性がある。このことは、時間が経つにつれて、パワー半導体モジュールの損傷につながる可能性がある。
【0003】
損傷を防ぐ為に機械的ロバストネスを高めたパワー半導体モジュール装置、並びにこれを製造する方法が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
パワー半導体モジュール装置が、側壁及びカバーを含むハウジングと、ハウジング内に配置された基板とを含み、基板は、誘電絶縁層と、誘電絶縁層の第1の側に配置された第1のメタライゼーション層と、誘電絶縁層の第2の側に配置された第2のメタライゼーション層と、を含み、誘電絶縁層は、第1のメタライゼーション層と第2のメタライゼーション層との間に配置される。パワー半導体モジュール装置は更に、第1のメタライゼーション層の、誘電絶縁層と反対側の第1の面にマウントされた少なくとも1つの半導体ボディと、第1のメタライゼーション層の第1の面に配置されて電気的に接続されている接続素子と、接続素子に挿入されて電気的に接続されている接点素子であって、接点素子は、接続素子から、ハウジングの内部を通り抜け、ハウジングのカバーにある開口を通り抜け、ハウジングの外側へ、第1の面に垂直な方向に延びる、接点素子と、第1のメタライゼーション層に隣接して配置され、ハウジングの内部の少なくとも一部に充填される硬質カプセル封じと、を含む。
【0005】
パワー半導体モジュール装置が基板と、少なくとも1つの半導体ボディと、接続素子と、接点素子とを含み、基板は、誘電絶縁層と、誘電絶縁層の第1の側に配置された第1のメタライゼーション層と、誘電絶縁層の第2の側に配置された第2のメタライゼーション層と、を含み、誘電絶縁層は、第1のメタライゼーション層と第2のメタライゼーション層との間に配置され、少なくとも1つの半導体ボディは、第1のメタライゼーション層の、誘電絶縁層と反対側の第1の面にマウントされる。接続素子は、第1のメタライゼーション層の第1の面に配置されて電気的に接続され、接点素子は、接続素子に挿入されて電気的に接続される。そのようなパワー半導体モジュール装置の製造方法が、壁を含むハウジングの中に基板を配置するステップと、ハウジングの壁と基板とで形成される容量空間の少なくとも一部にカプセル封じ材料を充填するステップと、カプセル封じ材料を硬化させて硬質カプセル封じを形成するステップと、ハウジングを閉じるステップであって、接点素子は、接続素子から、ハウジングの内部を通り抜け、ハウジングのカバーにある開口を通り抜け、ハウジングの外側へ、第1の面に垂直な方向に延びる、閉じるステップと、を含む。
【0006】
本発明は、以下の図面及び説明を参照することにより、よりよく理解されるであろう。図面の構成要素は縮尺が必ずしも正確ではなく、むしろ、本発明の原理を分かりやすく示すことに重点が置かれている。更に、図面では、類似の参照符号は、異なる複数の図面にまたがって対応する要素を指し示す。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】従来のパワー半導体モジュール装置の断面図である。
【
図2】パワー半導体モジュール装置の一例の断面図である。
【
図4】様々なショア硬度スケール及びロックウェルスケールを概略的に示す。
【
図5】様々なポリマーの酸素透過係数を概略的に示す。
【
図6A】例示的パワー半導体モジュールの各セクションを概略的に示す。
【
図6B】例示的パワー半導体モジュールの各セクションを概略的に示す。
【
図7A】パワー半導体モジュールの製造方法の一例を概略的に示す。
【
図7B】パワー半導体モジュールの製造方法の一例を概略的に示す。
【
図7C】パワー半導体モジュールの製造方法の一例を概略的に示す。
【
図8A】パワー半導体モジュールの製造方法の別の例を概略的に示す。
【
図8B】パワー半導体モジュールの製造方法の別の例を概略的に示す。
【
図8C】パワー半導体モジュールの製造方法の別の例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の詳細説明では、添付図面を参照する。図面は、本発明が実施可能な具体例を示す。当然のことながら、様々な例に関して説明される特徴及び原理は、特に断らない限り、互いに組み合わされてよい。詳細説明、並びに特許請求の範囲では、特定の要素を「第1の要素」、「第2の要素」、「第3の要素」などのように呼ぶことは、列強であるように解釈されるべきではない。むしろ、そのように呼ぶことは別々の「要素」をアドレス指定することに過ぎない。即ち、例えば、「第3の要素」の存在は、「第1の要素」及び「第2の要素」の存在を必要としない。本明細書に記載の半導体ボディは、(ドープ)半導体材料で作られてよく、半導体チップであってよく、或いは、半導体チップに含まれてよい。半導体ボディは、電気的接続パッドを有し、少なくとも1つの半導体素子を電極とともに含む。
【0009】
図1を参照すると、従来のパワー半導体モジュール装置が示されている。パワー半導体モジュール装置は、基板10を含む。基板10は、誘電絶縁層11と、誘電絶縁層11の第1の側に配置された(構造化された)第1のメタライゼーション層111と、誘電絶縁層11の第2の側に配置された第2のメタライゼーション層112と、を含む。誘電絶縁層11は、第1のメタライゼーション層111と第2のメタライゼーション層112との間に配置される。
【0010】
第1及び第2のメタライゼーション層111、112のそれぞれは、以下の材料、即ち、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、他の任意の、パワー半導体モジュール装置の動作中に固体のままである金属又は合金のうちのいずれかで構成されてよく、或いはいずれかを含んでよい。基板10は、セラミック基板、即ち、誘電絶縁層11がセラミック(例えば、セラミック薄層)である基板であってよい。セラミックは、以下の材料、即ち、アルミニウム酸化物、アルミニウム窒化物、ジルコニウム酸化物、シリコン窒化物、ボロン窒化物、又は他の任意の誘電性セラミックのいずれかで構成されてよく、或いはいずれかを含んでよい。基板10は、直接銅ボンディング(DCB)基板、直接アルミニウムンディング(DAB)基板、又は活性金属ろう付け(AMB)基板であってよい。更に基板10は、絶縁金属基板(IMS)であってよい。絶縁金属基板は、一般に、例えば、エポキシ樹脂又はポリイミドのような(充填)材料を含む誘電絶縁層11を含む。誘電絶縁層11の材料には、例えば、セラミック粒子が充填されてよい。そのような粒子は、例えば、SiO
2、Al
2O
3、AlN、又はBrNを含んでよく、直径が約1μmから約50μmであってよい。しかしながら、基板10は、非セラミック誘電絶縁層11を有する従来式のプリント回路基板(PCB)であってもよい。例えば、非セラミック誘電絶縁層11は、硬化樹脂で構成されてよく、或いは硬化樹脂を含んでよい。
【0011】
基板10上には、1つ以上の半導体ボディ20が配置されてよい。特に、1つ以上の半導体ボディ20は、第1のメタライゼーション層111の、誘電絶縁層11と反対側の第1の面に配置されてよい。半導体基板10上に配置される半導体ボディ20のそれぞれは、ダイオード、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)、MOSFET(酸化金属半導体電界効果トランジスタ)、JFET(ジャンクション電界効果トランジスタ)、HEMT(高電子移動度トランジスタ)、又は他の任意の適切な、制御可能な半導体素子などであってよい。
【0012】
1つ以上の半導体ボディ20は、基板10上に半導体装置を形成してよい。
図1では、例示として半導体ボディ20が1つだけ示されている。1つ以上の半導体ボディ20は、(
図1には示されていない)導電性接続層によって主基板10に電気的且つ機械的に接続されてよい。そのような導電性接続層は、例えば、はんだ層、導電性接着剤層、又は焼結金属粉層(例えば、焼結銀粉層)であってよい。
【0013】
図1の半導体基板10の第2のメタライゼーション層112は、連続層である。第1のメタライゼーション層111は、
図1に示された例では構造化層である。この文脈での「構造化層」は、第1のメタライゼーション層111が連続層ではなく、その層の様々なセクション同士の間に凹部を含むことを意味する。そのような凹部が
図1に概略的に示されている。この例での第1のメタライゼーション層111は、異なる2つのセクションを含む。第1のメタライゼーション層111の同じセクション又は別々のセクションに、様々な半導体ボディ20がマウントされてよい。第1のメタライゼーション層111には、半導体ボディ20がマウントされていないセクションがあってもよい。第1のメタライゼーション層111の様々なセクションが、電気的接続を有しなくてよく、或いは1つ以上の他のセクションと電気的に接続されてよい。
【0014】
基板10は、パワー半導体モジュールを形成する為にハウジング40内に配置されてよい。第1のメタライゼーション層111の様々なセクション、及び半導体ボディ20、及び/又は他の任意の、第1のメタライゼーション層111上に配置されている素子及びコンポーネントを互いに電気的に接続すること、並びにハウジング40の外側の外部コンポーネント(例えば、プリント回路基板)と電気的に接続することを促進する為に、パワー半導体モジュール装置は少なくとも1つの接点素子30を含む。少なくとも1つの接点素子30は、基板10上に配置される。一般に、接点素子30は、半導体ボディ20と同じ面(ここでは第1のメタライゼーション層111の第1の面)に配置される。接点素子30は、例えば、ピン又はワイヤであってよい。接点素子30は、金属又は金属合金で構成されてよく、又はこれらを含んでよい。例えば、接点素子30は、銅で構成されてよく、又は銅を含んでよい。接点素子30は、接続素子32によって基板10に接続される。接続素子32は、基板10上に配置され、特に、第1のメタライゼーション層111の第1の面に配置される。
【0015】
接続素子32は、一般に、例えば、はんだ層を含んでよい。例えば、接点素子30は基板10に直接はんだ付けされてよい。しかしながら、これは一例に過ぎない。
図1に示されるように、接続素子32はスリーブ又はリベットを含んでもよい。接続素子32は、例えば、基板10にはんだ付け、溶接、又は接着されてよい。接続素子32は、接点素子30を基板10に取り付けて電気的に接続するように構成されてよい。接続素子32は、接点素子30の第1の端部をぴったり覆って包み込むように構成された管状部分(例えば、中空ブッシングなど)を含んでよい。即ち、接点素子30の第1の端部が接続素子32に挿入されてよい。
【0016】
接続素子32と接点素子30の第1の端部は、例えば、圧入接続を形成してよい。従って、接点素子30は、例えば、圧入ピンを含んでよく、或いは圧入ピンであってよい。接続素子32は、圧入ピンに対するしかるべき相手側部品を含んでよい。圧入ピンは、相手側部品に接続されない間は、相手側部品より幅が広い。圧入ピンの幅は、半導体基板10の上面に平行な方向の幅である。半導体基板10の上面は、接続素子32がマウントされている面(例えば、第1のメタライゼーション層111の第1の面)である。圧入ピンは、圧入過程の途中では、相手側部品の中に押し込まれる。この結果、圧入ピンは塑性変形する。相手側部品に挿入されると、圧入ピンの幅は狭まる。一般には、わずかな挿入力で強い保持力が得られる。圧入ピンと相手側部品は、圧入ピンの挿入後には互いに強固に取り付けられている。圧入ピンの幅が狭まることで、圧入ピンの圧縮を相殺する力が発生する。従って、接点素子30は、接続素子32から抜けにくいことが可能である。接点素子30を基板10から引き離そうとする、第1のメタライゼーション層111の第1の面に垂直な方向の力に抗して、接点素子30を接続素子32内により強固に固定する為に、接点素子30は、単純な丸い断面ではなく、矩形、多角形、又は他の適切な断面を有してよい。更に、接点素子30は、接点素子30を接続素子32内に更に固定するように構成されたフランジ(図示せず)を接点素子30の第1の端部に含んでよい。接点素子30と接続素子32との間は、他の任意の適切な接続も可能である。
【0017】
接点素子30は、基板10から突き出ており、接続素子32からハウジング40の内部を通り抜けて突き出ており、ハウジング40のカバーの開口を通り抜けて突き出ており、それによって、接点素子30の第2の端部がハウジング40の外側に突き出ている。このようにして、接点素子30は、ハウジング40の外部から接触されることが可能である。
【0018】
例えば、接点素子30の第2の端部は、プリント回路基板50に接続されてよい。プリント回路基板50は開口51を含んでよく、接点素子30は、プリント回路基板50の開口51に挿入されてよい。プリント回路基板50は導電トラック(図示せず)を含んでよく、接点素子30は、1つ以上の導電トラックによって1つ以上の他の接点素子30と電気的に結合されてよい。このようにして、第1のメタライゼーション層111の様々なセクション同士の間、様々な半導体ボディ20同士の間、及び/又は他の任意の、基板10上に配置されたコンポーネント同士の間で電気的接続が与えられてよい。接点素子30はプリント回路基板50にはんだ付けされてよく、これは、例えば、永続的且つ堅牢な接続を与える為に行われてよい。
【0019】
パワー半導体モジュール装置は、通常、プレハブ方式で製造される。一方、プリント回路基板50は、一般に、カスタマ固有であり、後の段階でパワー半導体モジュール装置に取り付けられる。プリント回路基板50は、半導体の配置と、特に接点素子30の位置とが一致する必要がある。具体的には、接点素子30が開口51に容易に挿入されることが可能なように、プリント回路基板50の開口51の位置が接点素子30の位置と一致する必要がある。しかしながら、通常は、接続素子32及び接点素子30を基板10にマウントする際に幾らかの公差が発生する。更に、プリント回路基板50に開口51を形成する際に幾らかの公差が発生する。接点素子30が突き出る開口をハウジング40のカバーに形成する際にも更なる公差が発生する。これらの公差の範囲は、例えば、最大で数百μmにも及びうる。即ち、接点素子30の第2の端部とハウジング40の開口との位置合わせが正確に行われないおそれがあり、更にはプリント回路基板の開口51とも位置合わせが正確に行われないおそれがある。そこで、接点素子30は、一般に、ある程度曲がることが可能であり、これによって、接点素子30が開口51と多少ずれている場合でも開口51に挿入されることが可能である。その為、接点素子30の第2の端部が曲がってプリント回路基板50の開口51に挿入されると、接点素子30にかなり大きな力Fがかかりうる。これは、
図1において太い矢印で例示的に示されている。
【0020】
このような力Fは、接点素子30の機械的安定性に影響を及ぼす可能性がある。例えば、接点素子30と接続素子32との間の電気的接続、或いは、接点素子30とプリント回路基板50との間の電気的接続は、大きな力に耐えなければならない場合があり、且つ、時間とともに損傷する可能性がある。このことは、パワー半導体モジュール装置の動作に影響を及ぼす可能性がある。接点素子30は、互いに一定の距離を置いて配列される。例えば、隣り合う2つの接点素子30の間の距離は、パッケージが小さい場合には5cm未満であってよい。パッケージが大きい場合には、隣り合う2つの接点素子30の間の距離は、5cm以上であってよい。一般に、そのような装置の機械的ロバストネスは、パワー半導体モジュール装置の寸法が大きくなるほど、且つ、隣り合う2つの接点素子30の間の距離が長くなるほど、悪化する。
【0021】
本発明は、そのようなパワー半導体モジュール装置の機械的ロバストネスを高めることを目的としており、横方向熱サイクルに対するパワー半導体モジュール装置のロバストネスを更に高めることが可能である。
【0022】
図2を参照すると、このパワー半導体モジュール装置は、
図1を参照して上述された装置にほぼ対応する。しかしながら、
図2に概略的に示されるように、ハウジング40は、少なくとも一部に硬質カプセル封じ60が充填されている。硬質カプセル封じ60は、基板10に隣接して配置されている。即ち、硬質カプセル封じ60は、第1のメタライゼーション層111のうちの、接続素子32、半導体ボディ20、又は他の任意の、第1のメタライゼーション層111上に配置されているコンポーネントで覆われていない部分を覆う。硬質カプセル封じ60は更に、基板10上に配置されている、その1つ以上の半導体ボディ20及び接続素子32を覆ってよい。硬質カプセル封じ60は更に、接点素子30の少なくとも一部を取り囲んでよい。
【0023】
硬質カプセル封じ60は硬質樹脂を含んでよい。例えば、硬質カプセル封じ60は、硬度が少なくとも40ショアA、少なくとも60ショアA、又は少なくとも50ショアDであってよい。しかしながら、これらは一例に過ぎない。硬質カプセル封じ60は、硬質カプセル封じ60の中に少なくとも部分的に埋め込まれている接点素子30に十分な機械的安定性を与えることが可能な任意の硬度であってよい。
【0024】
図3は、ショア00スケール、ショアAスケール、及びショアBスケールを、特定の硬度を有する材料の幾つかの例とともに例示的に示す。ショア00スケールは、低硬度の材料を規定する為に用いられてよい。ショア00スケールは、例えば、「ゴム状の」ゼリーキャンデーのような非常に軟らかい材料から始まる。ショア00の最高値100は、例えば、タイヤドレッドのような中硬度の材料に相当する。ショアAスケールは中硬度の材料に用いられ、最初の0ショアAは比較的軟らかい材料に相当する。20ショアAは、例えば、輪ゴムのような軟らかい材料に相当する。スケールの最後の値である100ショアAは、例えば、ショッピングカートの車輪のような比較的硬い材料に相当する。ショアBスケールは、中硬度から高硬度の材料に用いられる。値10ショアBは、例えば、タイヤトレッドのような中硬度の材料に相当し、値80ショアBは、例えば、ヘルメットのような高硬度の材料に相当する。
【0025】
様々なスケールの更なる例を、
図4に例示的に示す。
図4もショアAスケールを例示的に示しており、これは、例えば、輪ゴムのような軟らかい材料から、ショッピングカートの車輪やゴルフボールのような硬い材料まで及んでいる。ショアAスケールは、ほとんどのゴム及びポリウレタンをほぼカバーする。
図4は更にショアDスケールを示しており、これは、ある程度ショアAスケールと重なっている。ショアDスケールは、ゴム及びポリウレタンの一部をカバーしており、同時に、既知のプラスチック(例えば、テフロン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)の一部をカバーしている。ほとんどのプラスチックは、概ねゴム及びポリウレタンより硬く、ロックウェルRスケールでカバーされている。ただし、
図4に示されている材料は一例に過ぎない。
【0026】
硬質カプセル封じ60に使用される材料は、接点素子30に十分な機械的安定性を与えることに適した硬度を有する任意の材料から接点されてよい。例えば、硬質カプセル封じ60は、例えば、ショアA値が40以上、又はショアA値が60以上であるゴム又はポリウレタンを含んでよい。硬質カプセル封じ60は、例えば、ショアD値が50以上であるポリウレタン又はプラスチックを含んでもよい。一般に、低硬度の軟質樹脂は、接点素子30に必要な機械的安定性を与えることができない。硬質カプセル封じ60は、十分な安定性を与えるだけの硬度を有する、適切なゴム、ポリウレタン、及びプラスチックの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0027】
硬質カプセル封じ60は、第1の材料に加えて、更に充填材(図示せず)を含んでよい。例えば、充填材は、硬質カプセル封じ60の第1の材料の中に均一に分布する粒子を含んでよい。充填材は、例えば、Al
2O
3又はSiO
2のようなセラミック材料を含んでよい。或いは、充填材は、例えば、不活性多孔質プラスチックボディを含んでよい。充填材は、硬質カプセル封じ60の、従って、パワー半導体モジュールの機械的安定性を更に高めることが可能である。
【0028】
硬質カプセル封じ60は、安定性を与えることが可能なだけでなく、例えば、腐食性ガスに対する障壁を更に与えることも可能である。上述の各コンポーネント、例えば、半導体ボディ20、接続素子32、はんだ層、第1のメタライゼーション層111、並びに他の、ハウジング40内にある半導体装置のコンポーネントは、腐食性ガスに接触すると腐食する可能性がある。腐食性ガスは、例えば、硫黄又は硫黄含有化合物を含んでよい。パワー半導体モジュール装置の周辺領域にある腐食性ガスは、ハウジング40の内部に浸透する可能性がある。パワー半導体モジュール装置に使用されるハウジングは、通常、突出するガスに対して完全には保護されていない。更に、腐食性ガスは、例えば、ハウジング40が何らかの理由で開けられたとき、又はハウジング40が閉じられる前に、ハウジング40内に入る可能性がある。ハウジング40内では、腐食性ガスは、例えば、ハウジング40内に存在する湿気と結びついて酸又は溶液を形成する可能性がある。腐食性ガスは、湿気と接触すると、イオン(例えば、アルカリイオン、アルカリ土類イオン、又はハロゲンイオン)を形成する場合がある。腐食性ガス、又はその結果としての溶液又はイオンは、ハウジング40内にある一部又は全てのコンポーネントの腐食を引き起こす可能性がある。腐食の過程では、コンポーネントの金属成分が酸化されてそれぞれの硫化物になる可能性がある。この硫化物形成は、コンポーネントの電気的特性を変質させる可能性があり、或いは、新たな導電接続の形成を引き起こして、パワー半導体モジュール装置内で短絡を引き起こす可能性がある。
【0029】
腐食性ガスの例として、硫化水素(H
2S)、硫化カルボニル(OCS)、又は気体硫黄(S
8)がある。一般に、硫黄が固体材料又は液体の成分としてハウジング40内に入る可能性もありうる。
【0030】
1つ以上の金属を含むコンポーネント、例えば、銅を含むコンポーネント(例えば、第1のメタライゼーション層111、接続素子32、接点素子30、チップパッドメタライゼーション)、銀を含むコンポーネント(例えば、第1のメタライゼーション層111、接続素子32、接点素子30、焼結層、チップパッドメタライゼーション)、或いは鉛を含むコンポーネント(例えば、有鉛はんだを含むはんだ層)が、腐食に対して特に敏感である場合がある。例えば、アルミニウムなどの他の金属が、表面領域を覆う薄い酸化物層を有する場合があり、これは、腐食性ガスに対する、少なくともある程度の保護になる可能性がある。
【0031】
図5は、様々なポリマーの酸素透過係数を例示的に示す。酸素透過係数又は酸素透過率(OTR)は、一定期間にわたって物質又は材料を通り抜ける酸素ガスの量の尺度である。これは、酸素の輸送方式が拡散である非多孔質材料の場合には、ほぼ決まっている。酸素透過係数は、通常、ハウジング40内に入りうる腐食性ガスの量の指標でもある。酸素が透過しにくい材料は、通常、他のガスも透過しにくい。
図5に示された図は、シリコーンゴム、天然ゴム、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリビニルアセテート(PVAc)、ポリエチレンテレフタレート(A−PET)、ポリビニルクロリド、ポリ塩化ビニル(PVC)、Ny6、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、及びポリビニルアルコール(PVA)の酸素透過係数を示している。
【0032】
硬質カプセル封じ60に使用される材料は、少なくともある程度の硬度を有する材料と、腐食性ガスに対する十分な障壁を与える材料の利点を組み合わせたものであってよい。例えば、硬質カプセル封じ60の材料は、酸素透過係数が10
−10より小さくてよく、或いは、10
−12より小さくてよい。
【0033】
図6Aを参照すると、硬質カプセル封じ60は、基板10上に層を形成してよい。基板10上に配置される任意の半導体ボディ20又は他のコンポーネントは、基板10と硬質カプセル封じ60との間に配置されてよい。接点素子30は、基板10とハウジング40のカバーとの間で、第1の長さx1、即ち、第1のメタライゼーション層111の第1の面に垂直な方向に長さx1を有してよい。接点素子30の一部がハウジング40から突き出る為、接点素子30の全長は第1の長さx1より長い。硬質カプセル封じ60の層は、第1のメタライゼーション層111の第1の面に垂直な方向に厚さx2を有してよい。硬質カプセル封じ60の厚さx2は、接点素子30の第1の長さx1の20%から80%であってよい。即ち、硬質カプセル封じ60は、接点素子30のうちの、ハウジング40の中に配置されている部分の20〜80%を覆うことが可能である。しかしながら、これは一例に過ぎない。別の例によれば、硬質カプセル封じ60の厚さx2は、接点素子30の第1の長さx1の40%から60%である。
【0034】
硬質カプセル封じ60は、基板10及び半導体ボディ20と反対側の表面が実質的に均一であってよい。このことを、
図2及び6Aで概略的に示している。
図6Bに概略的に示されるように、硬質カプセル封じ60の表面が不均一である可能性もありうる。例えば、接点素子30を取り巻く領域では、
図6Aに関して上述されたように、硬質カプセル封じ60は第1の厚さx2を有してよい。他の領域では、硬質カプセル封じ60は、第1の厚さx2より薄い第2の厚さx3を有してよい。例えば、硬質カプセル封じ60は、各接点素子30を中心とする第1の半径rの領域が第1の厚さx2であってよい。第1の半径rは、例えば、最大1mm、最大2mm、最大5mm、又は最大1cmであってよい。接点素子30を中心とするこの半径rの領域の外側の領域では、硬質カプセル封じ60は、第1の厚さx2より薄い第2の厚さx3を有してよい。このようにして、硬質カプセル封じ60の形成に必要な材料を少なくしながら、接点素子30の機械的安定性を確保することが可能である。第2の厚さx3は、例えば、接点素子30の第1の長さx1の10%から60%、又は20%から40%であってよい。しかしながら、第2の厚さx3は、半導体ボディ20の厚さ、並びに基板10にマウントされている他の任意のコンポーネントの厚さに依存する。硬質カプセル封じ60は、最低限、基板10にマウントされる全てのコンポーネントを完全に覆わなければならない。
【0035】
図7A〜7Cを参照すると、パワー半導体モジュール装置の製造方法の一例が示されている。
図7Aを参照すると、ハウジングは壁42を含んでよい。半導体装置が配置された基板10は、ハウジングの壁42の内側に配置されてよい。この段階ではカバーが与えられておらず、ハウジング上部が開放されている為、壁42と基板10とで形成される容積空間にカプセル封じ材料62が充填されてよい。カプセル封じ材料62の稠度は、液状稠度、粘性稠度、又はゲル状稠度であってよい。カプセル封じ材料62がハウジング内に充填された後に硬化処理が行われてよい(
図7B)。この硬化処理中に、一部又は全ての液体がカプセル封じ材料62から除去されてよい。これによって、カプセル封じ材料62は硬化されて、硬質カプセル封じ60を形成する。次の工程が
図7Cに概略的に示されており、そこでは、ハウジングがカバー44で閉じられてよい。カバー44は、上述のように、接点素子30が突き出る為の開口を含んでよい。
【0036】
図8A〜8Cを参照すると、パワー半導体モジュール装置の製造方法の別の例が示されている。
図8Aを参照すると、ハウジング40は壁及びカバーを含み、カバーは、カプセル封じ材料62がそこからハウジング40内に挿入される為の更なる開口を少なくとも1つ含む。この更なる開口からは接点素子30は突き出ない。半導体装置が配置された基板10は、ハウジング40内に配置されてよい。ハウジング40と基板10とで形成される容積空間にカプセル封じ材料62が充填されてよい。カプセル封じ材料62の稠度は、液状稠度、粘性稠度、又はゲル状稠度であってよい。カプセル封じ材料62がハウジング40内に充填された後に硬化処理が行われてよい(
図8B)。この硬化処理中に、一部又は全ての液体がカプセル封じ材料62から除去されてよい。これによって、カプセル封じ材料62は硬化されて、硬質カプセル封じ60を形成する。次の工程が
図8Cに概略的に示されており、そこでは、ハウジング40の開口が閉じられてよい。ハウジング40は、上述のように、接点素子30が突き出る為の開口を含んでよい。
【0037】
図7及び8は、表面が均一な硬質カプセル封じ60を形成する為の例示的方向を示している。
図6Bに関して上述されたように、表面が不均一な硬質カプセル封じ60を形成する場合には、カプセル封じ材料62の充填前に内枠(図示せず)が基板10上に配置されてよい(ハニカム原理)。例えば、各接点素子30から第1の距離のところに内枠が配置されてよく、第1の距離は、第1の厚さx2を有する領域の半径rに等しい。このようにして、様々なセクションが形成されてよく、その様々なセクションのそれぞれに、カプセル封じ材料62が様々な高さx2、x3で充填されてよい。様々な領域に様々な高さx2、x3の硬質カプセル封じ60を形成することの別の可能性は、カプセル封じ材料62の充填前に変位ボディ(図示せず)を挿入することである。しかしながら、様々な高さx2、x3を有する硬質カプセル封じ60は、他の任意の適切な方法で形成されてよい。
また、本願は以下に記載する態様を含む。
(態様1)
側壁及びカバーを含むハウジング(40)と、
前記ハウジング(40)内に配置された基板(10)であって、前記基板(10)は、誘電絶縁層(11)と、前記誘電絶縁層(11)の第1の側に配置された第1のメタライゼーション層(111)と、前記誘電絶縁層(11)の第2の側に配置された第2のメタライゼーション層(112)と、を含み、前記誘電絶縁層(11)は、前記第1のメタライゼーション層(111)と前記第2のメタライゼーション層(112)との間に配置される、前記基板(10)と、
前記第1のメタライゼーション層(111)の、前記誘電絶縁層(11)と反対側の第1の面にマウントされた少なくとも1つの半導体ボディ(20)と、
前記第1のメタライゼーション層(111)の前記第1の面に配置されて電気的に接続されている接続素子(32)と、
前記接続素子(32)に挿入されて電気的に接続されている接点素子(30)であって、前記接点素子(30)は、前記接続素子(32)から、前記ハウジング(40)の内部を通り抜け、前記ハウジング(40)の前記カバーにある開口を通り抜け、前記ハウジング(40)の外側へ、前記第1の面に垂直な方向に延びる、前記接点素子(30)と、
前記第1のメタライゼーション層(111)に隣接して配置され、前記ハウジング(40)の内部の少なくとも一部に充填される硬質カプセル封じ(60)と、
を含むパワー半導体モジュール装置。
(態様2)
前記硬質カプセル封じ(60)は、硬度が少なくとも40ショアA、少なくとも60ショアA、又は少なくとも50ショアDである、態様1に記載のパワー半導体モジュール装置。
(態様3)
前記硬質カプセル封じ(60)は、ゴム、ポリウレタン、及びプラスチックのうちの少なくとも1つを含む、態様1又は2に記載のパワー半導体モジュール装置。
(態様4)
前記接点素子(30)は、前記基板(10)と前記ハウジング(40)の前記カバーとの間で、前記第1のメタライゼーション層(111)の前記第1の面に垂直な方向に第1の長さ(x1)を有し、
前記硬質カプセル封じ(60)は、前記第1のメタライゼーション層(111)の前記第1の面に垂直な方向に第1の厚さ(x2)を有し、
前記硬質カプセル封じ(60)の前記第1の厚さ(x2)は、前記接点素子(30)の前記第1の長さ(x1)の20%から80%、又は前記接点素子(30)の前記第1の長さ(x1)の40%から60%である、
態様1〜3のいずれか一項に記載のパワー半導体モジュール装置。
(態様5)
前記接点素子(30)は、前記基板(10)と前記ハウジング(40)の前記カバーとの間で、前記第1のメタライゼーション層(111)の前記第1の面に垂直な方向に第1の長さ(x1)を有し、
前記硬質カプセル封じ(60)は、前記接点素子(30)を中心とする半径(r)以内の領域において、前記第1のメタライゼーション層(111)の前記第1の面に垂直な方向に第1の厚さ(x2)を有し、
前記硬質カプセル封じ(60)は、前記接点素子(30)を中心とする前記半径(r)の領域の外側の領域において、前記第1のメタライゼーション層(111)の前記第1の面に垂直な方向に第2の厚さ(x3)を有し、
前記第1の厚さ(x2)は前記第2の厚さ(x3)より厚い、
態様1〜3のいずれか一項に記載のパワー半導体モジュール装置。
(態様6)
前記硬質カプセル封じ(60)の前記第1の厚さ(x2)は、前記接点素子(30)の前記第1の長さ(x1)の20%から80%、又は前記接点素子(30)の前記第1の長さ(x1)の40%から60%であり、
前記硬質カプセル封じ(60)の前記第2の厚さ(x3)は、前記接点素子(30)の前記第1の長さ(x1)の10%から60%、又は20%から40%である、
態様5に記載のパワー半導体モジュール装置。
(態様7)
前記硬質カプセル封じ(60)は、腐食性ガスに対する障壁を与えるように構成されている、態様1〜6のいずれか一項に記載のパワー半導体モジュール装置。
(態様8)
前記硬質カプセル封じ(60)は、酸素透過係数が10−10未満、又は10−12未満である、態様7に記載のパワー半導体モジュール装置。
(態様9)
前記硬質カプセル封じ(60)は、前記硬質カプセル封じ(60)の中に均一に分布する充填材を含む、態様1〜8のいずれか一項に記載のパワー半導体モジュール装置。
(態様10)
前記充填材は、Al2O3、SiO2、及び不活性多孔質プラスチックボディのうちの少なくとも1つを含む、態様9に記載のパワー半導体モジュール装置。
(態様11)
前記接続素子(32)は、前記接点素子(30)の第1の端部をぴったり覆って包み込むように構成された管状部分を含む、態様1〜10のいずれか一項に記載のパワー半導体モジュール装置。
(態様12)
前記接点素子(30)は、その第1の端部に圧入ピンを含み、
前記接続素子(32)は、前記接点素子(30)の前記圧入ピンに対応する相手側部品を含み、
前記接点素子(30)の前記第1の端部と前記接続素子(32)は、前記接点素子(30)が前記接続素子(32)に挿入された場合に圧入接続を形成する、
態様11に記載のパワー半導体モジュール装置。
(態様13)
パワー半導体モジュール装置の製造方法であって、前記パワー半導体モジュール装置は、基板(10)と、少なくとも1つの半導体ボディ(20)と、接続素子(32)と、接点素子(30)とを含み、前記基板(10)は、誘電絶縁層(11)と、前記誘電絶縁層(11)の第1の側に配置された第1のメタライゼーション層(111)と、前記誘電絶縁層(11)の第2の側に配置された第2のメタライゼーション層(112)と、を含み、前記誘電絶縁層(11)は、前記第1のメタライゼーション層(111)と前記第2のメタライゼーション層(112)との間に配置され、前記少なくとも1つの半導体ボディ(20)は、前記第1のメタライゼーション層(111)の、前記誘電絶縁層(11)と反対側の第1の面にマウントされ、前記接続素子(32)は、前記第1のメタライゼーション層(111)の前記第1の面に配置されて電気的に接続され、前記接点素子(30)は、前記接続素子(32)に挿入されて電気的に接続されているものであり、
壁(42)を含むハウジング(40)の中に前記基板(10)を配置するステップと、
前記ハウジング(40)の前記壁(42)と前記基板(10)とで形成される容量空間の少なくとも一部にカプセル封じ材料(62)を充填するステップと、
前記カプセル封じ材料(62)を硬化させて硬質カプセル封じ(60)を形成するステップと、
前記ハウジング(40)を閉じるステップであって、前記接点素子(30)は、前記接続素子(32)から、前記ハウジング(40)の内部を通り抜け、前記ハウジング(40)のカバーにある開口を通り抜け、前記ハウジング(40)の外側へ、前記第1の面に垂直な方向に延びる、前記閉じるステップと、
を含む方法。
(態様14)
前記カプセル封じ材料(62)は、液体を含み、稠度が液状稠度、粘性稠度、又はゲル状稠度であり、前記カプセル封じ材料(62)を硬化させるステップは、前記液体の一部又は全てを前記カプセル封じ材料(62)から除去することを含む、態様13に記載の方法。
(態様15)
前記ハウジング(40)を閉じるステップは、
前記ハウジングをカバー(44)で閉じること、又は、
前記ハウジング(40)のカバーにある開口を閉じること
を含む、
態様13又は14に記載の方法。
【符号の説明】
【0038】
10 基板
11 誘電絶縁層
111 第1のメタライゼーション層
112 第2のメタライゼーション層
20 半導体ボディ
30 接点素子
32 接続素子
40 ハウジング
42 壁
44 カバー
50 プリント回路基板
51 開口
60 硬質カプセル封じ
62 カプセル封じ材料