特許第6798043号(P6798043)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6798043電気的接続安全性が向上したバッテリーモジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6798043
(24)【登録日】2020年11月20日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】電気的接続安全性が向上したバッテリーモジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/30 20060101AFI20201130BHJP
   H01M 2/02 20060101ALI20201130BHJP
   H01M 2/20 20060101ALI20201130BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
   H01M2/30 B
   H01M2/02 K
   H01M2/20 A
   H01M2/10 M
   H01M2/10 Y
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-559766(P2019-559766)
(86)(22)【出願日】2018年10月31日
(65)【公表番号】特表2020-518970(P2020-518970A)
(43)【公表日】2020年6月25日
(86)【国際出願番号】KR2018013133
(87)【国際公開番号】WO2019103344
(87)【国際公開日】20190531
【審査請求日】2019年10月31日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0158519
(32)【優先日】2017年11月24日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】キョン−モ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジョン−オ・ムン
(72)【発明者】
【氏名】ホ−ジュネ・チ
(72)【発明者】
【氏名】ハン−ジュネ・チェ
【審査官】 守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−087260(JP,A)
【文献】 特開2003−272572(JP,A)
【文献】 特開2004−200144(JP,A)
【文献】 特開2005−044583(JP,A)
【文献】 特開2004−095471(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/30
H01M 2/20
H01M 2/02
H01M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互積層して配列され、電気的に直列接続または並列接続したパウチ型バッテリーセルを備えたバッテリーモジュールであって、
いずれか一つのパウチ型バッテリーセルの電極リードに向けて他のパウチ型バッテリーセルの電極リードが偏向して一端部が重なり、
前記パウチ型バッテリーセルの各々は、テラスと電極リードとの境界部分が前記電極リードの偏向方向へ曲げられるように処理されたR曲げ部を有することを特徴とするバッテリーモジュール。
【請求項2】
前記R曲げ部はラウンド形態を有し、前記テラスは先端部が前記R曲げ部で最も凹んだ部分に位置するように曲げられたことを特徴とする請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項3】
少なくとも二つ以上の正極リードの一端部が重なって一直線に延びて設けられる正極リード群と、前記正極リード群と同じ方向へ前記正極リードの個数と同じ個数で重なって一直線に延びて設けられる負極リード群と、を含み、
前記正極リード群及び前記負極リード群のうち最近接距離で相互対向する第1正極リード及び第1負極リードを基準として、残りの正極リードが前記第1正極リードに向けて偏向し、残りの負極リードが前記第1負極リードに向けて偏向するように設けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のバッテリーモジュール。
【請求項4】
前記正極リード群と前記負極リード群とを電気的に接続するバスバー組立体をさらに含み、
前記バスバー組立体は、
棒状の伝導体として設けられた固定型バスバーと、
前記固定型バスバーを中心として前記固定型バスバーの両側に離隔して配置され、前記固定型バスバーとの間に前記正極リード群及び前記負極リード群を各々挿入できる挟み空間を形成する一対の移動型バスバーと、
前記正極リード群及び前記負極リード群が前記挟み空間に位置した状態で前記一対の移動型バスバーを前記固定型バスバーに近接するように移動させて、前記正極リード群及び前記負極リード群を前記固定型バスバーに密着させる密着部材と、を含むことを特徴とする請求項3に記載のバッテリーモジュール。
【請求項5】
前記密着部材は、
両端部が前記一対の移動型バスバーに結合して弾性復元力で前記一対の移動型バスバーを相互対向する方向へ移動させる板ばねであることを特徴とする請求項4に記載のバッテリーモジュール。
【請求項6】
前記一対の移動型バスバーは各々、
前記固定型バスバーに平行して設けられる密着部と、前記密着部の両端から折り曲されて延びて形成され、前記密着部材に連結される間隔調節部と、を備え、
前記固定型バスバーを中心として相互対称に配置され、前記固定型バスバーの周りを囲むことを特徴とする請求項4または請求項5に記載のバッテリーモジュール。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のバッテリーモジュールを含む、バッテリーパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーモジュールに関し、より詳しくは、バッテリーモジュール内に並列接続したパウチ型バッテリーセルのうちパウチ外装材と電極リードとの電気的接触を防止することができ、さらに、並列接続構造において多重に重ねられた複数の電極リードとバスバーとの接合安定性を向上させることができるバッテリーモジュールに関する。
【0002】
本出願は、2017年11月24日出願の韓国特許出願第10−2017−0158519号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
通常、リチウム二次電池は、外装材の形状によって、電極組立体が金属缶に収納されている缶型の二次電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチに収納されているパウチ型の二次電池に分けられる。
【0004】
最近は、携帯電子機器のような小型装置のみならず、内燃機関及び/または電気モーターを用いて駆動力を確保する電気自動車にも二次電池が拡く用いられている。前記電気自動車には、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車及び内燃機関なく電気モーター及びバッテリーのみで駆動する純粋電気自動車などが含まれる。
【0005】
このような電気自動車に用いられる場合、容量及び出力を高めるために複数の二次電池が電気的に接続する。特に、中・大型装置には、積層が容易であるという長所からパウチ型二次電池がよく用いられる。例えば、通常、中・大型装置のバッテリーモジュールは、パウチ型二次電池を積層し、電極リードの直列及び/または並列接続によって具現されている。
【0006】
一方、図1に示したように、パウチ型バッテリーセル1、2、3を並列接続するとき、同一極性の電極リード1a、2a、3aを重ねた後、その端部を曲げてバスバー4の上端面の上に接触させた状態でこれを溶接して接合する。
【0007】
ところが、このようにパウチ型バッテリーセルを並列接続するとき、図2のように、いずれか一つのパウチ型バッテリーセル1の正極リード1aと、隣接した他の一つのパウチ型バッテリーセル2のパウチ外装材のテラス先端部2bとが干渉ないし接触する場合が頻繁に起こる。パウチ外装材は、外部絶縁層7、アルミニウム層6及び内部接着層5の順で層状構造を有しており、通常、電極リードがパウチ外装材の外部絶縁層7に接触しても構わないが、アルミニウム層6が露出し得るテラス先端部2bに接触する場合、短絡の恐れがある。即ち、もしパウチ外装材の絶縁が崩壊された状態で正極リード1aがパウチ外装材のアルミニウム層6に接触すれば、短絡されて発火の可能性が非常に高くなる。
【0008】
因みに、パウチ型二次電池は、その形態的特性に基づき、外部から加えられる物理的衝撃に多少弱くて、封止工程で精度よく熱溶着工程が行われなければ、小さい物理的衝撃にも内部接着層5にクラックや損傷が発生してしまい、アルミニウム層6が電極化し得る。即ち、内部接着層5が損傷すれば、アルミニウム層6が電極組立体と直接接触するため、極性を帯び得る。通常、電極組立体の最外郭には負極板が配置されるという点でアルミニウム層6は負極化する。このようにアルミニウム層6が負極化した状態で正極リード1aが図2のようにパウチ外装材のテラス先端部2bに接触すれば、短絡が起こってパウチ型二次電池が発火し得る。
【0009】
そこで、特に、複数のパウチ型二次電池を並列接続するとき、電極リードがパウチ外装材のテラス先端部に接触しないようにする絶縁手段が必要な実情である。一例で、既存のバッテリーモジュール工程で、隣接したパウチ型バッテリーセル同士間に追加的な絶縁シートないし絶縁テープを適用するか、または射出部品をさらに設けるなどの解決方案が提供されているが、それによって部品費用がかかり、組立工程が複雑になる問題が新たに発生するという短所がある。
【0010】
また、従来技術の場合、電極リードのバスバーへの溶接時、手作業が頻繁に要求され、金属材質の電極リードの弾性復元力によって電極リードとバスバーとがよく密着しないという問題点がある。特に、3個〜4個以上の電極リード同士の並列接続時、複数の電極リードをバスバーの上に重ねなくてはならないため、溶接を行いにくく、この場合、溶接品質も低下するという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、並列接続したパウチ型バッテリーセルのうち隣接したパウチ型バッテリーセルにおいて、電極リードとパウチ外装材のテラス先端部との電気的接触を防止でき、さらに、並列接続構造において多重に重ねられた複数の電極リードとバスバーとの接合安定性を向上させることができるバッテリーモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、相互積層して配列され、電気的に直列接続または並列接続したパウチ型バッテリーセルを備えたバッテリーモジュールであって、いずれか一つのパウチ型バッテリーセルの電極リードに向けて他のパウチ型バッテリーセルの電極リードが偏向して一端部が重なり、前記パウチ型バッテリーセルの各々は、テラスと電極リードとの境界部分が前記電極リードの偏向方向へ曲げられるように処理されたR曲げ部を有するバッテリーモジュールが提供できる。
【0013】
前記R曲げ部はラウンド形態を有し、前記テラスは先端部が前記R曲げ部で最も凹んだ部分に位置するように曲げられ得る。
【0014】
少なくとも二つ以上の正極リードの一端部が重なって一直線に延びて設けられる正極リード群と、前記正極リード群と同じ方向へ前記正極リードの個数と同じ個数で重なって一直線に延びて設けられる負極リード群と、を含み、前記正極リード群及び前記負極リード群のうち最近接距離で相互対向する第1正極リード及び第1負極リードを基準として、残りの正極リードが前記第1正極リードに向けて偏向し、残りの負極リードが前記第1負極リードに向けて偏向するように設けられ得る。
【0015】
前記正極リード群と前記負極リード群とを電気的に接続するバスバー組立体をさらに含み、前記バスバー組立体は、棒状の伝導体として設けられた固定型バスバーと、前記固定型バスバーを中心として前記固定型バスバーの両側に離隔して配置され、前記固定型バスバーとの間に前記正極リード群及び前記負極リード群を各々挿入できる挟み空間を形成する一対の移動型バスバーと、前記正極リード群及び前記負極リード群が前記挟み空間に位置した状態で前記一対の移動型バスバーを前記固定型バスバーに近接するように移動させて、前記正極リード群及び前記負極リード群を前記固定型バスバーに密着させる密着部材と、を含み得る。
【0016】
前記密着部材は、両端部が前記一対の移動型バスバーに結合して弾性復元力で前記一対の移動型バスバーを相互対向する方向へ移動させる板ばねであり得る。
【0017】
前記一対の移動型バスバーは各々、前記固定型バスバーに平行して設けられる密着部と、前記密着部の両端から折り曲されて延びて形成され、前記板ばねに連結される間隔調節部と、を備え、前記固定型バスバーを中心として相互対称に配置され、前記固定型バスバーの周りを囲むように設けられ得る。
【0018】
本発明の他の様態によれば、前述のバッテリーモジュールを含むバッテリーパックを提供することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一面によれば、並列接続したパウチ型バッテリーセルのうち、隣接したパウチ型バッテリーセルにおいて電極リードとパウチ外装材のテラス先端部との電気的接触を防止することができるため、安全性を高めることができる。
【0020】
特に、本発明の一面によれば、電極リードとパウチ外装材との電気的短絡の恐れを解消するために、別の部品や絶縁テーピングを用いる場合に比べて費用及び組立工程の増加のような問題点を生じないため、効率性が高い。
【0021】
また、本発明の他面によれば、一体の電極リードが機械的に圧迫された状態で溶接できるため、並列接続構造において電極リードの個数と関係なく電気的接続性及び機械的接合強度の信頼性を向上させることができる。
【0022】
また、電極リードの末端部の曲げのための手作業工程が除去され、バッテリーモジュール生産ラインの自動化比率が向上する。
【0023】
本発明の効果は上述の効果に限定されず、言及していない効果は、本明細書及び添付の図面から本発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者に明確に理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】従来技術による複数のパウチ型バッテリーセルを並列接続した構成を概略的に示した図である。
図2図1におけるA領域の拡大図である。
図3】本発明の一実施例によるパウチ型バッテリーセルの構成を概略的に示した図である。
図4】本発明の一実施例による複数のパウチ型バッテリーセルを並列接続した構成を概略的に示した斜視図である。
図5】本発明の一実施例による複数のパウチ型バッテリーセルを並列接続した構成を概略的に示した断面図である。
図6図5におけるB領域の拡大図である。
図7】本発明の一実施例によるパウチ型バッテリーセルの電極リードをバスバー組立体に連結するための段階別工程図である。
図8】本発明の一実施例によるパウチ型バッテリーセルの電極リードをバスバー組立体に連結するための段階別工程図である。
図9】本発明の一実施例によるパウチ型バッテリーセルの電極リードをバスバー組立体に連結するための段階別工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0026】
したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0027】
本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものであり、図面における構成要素の形状及び大きさなどは、より明確な説明のために誇張または省略されるか、概略的に示されることがある。したがって、各構成要素の大きさや比率は、実際の大きさや比率を完全に反映することではない。
【0028】
本発明によるバッテリーモジュールは、一方向へ相互積層配列され、電気的に直列接続または並列接続したパウチ型バッテリーセル10で構成されたセル積層体と、前記セル積層体の電気的接続及び電圧センシングのための電圧センシングアセンブリー、前記セル積層体を収納して外部から保護し、前記セル積層体に機械的支持力を提供するモジュールハウジング、前記パウチ型バッテリーセル10の充放電を制御するための各種装置、例えば、BMS(Battery Management System)、電流センサー、ヒューズなどを含んで構成され得る。以下、本発明の要旨をぼやかし得る構成についての説明は省略し、本発明の特徴的構成について詳しく説明する。
【0029】
図3は、本発明の一実施例によるパウチ型バッテリーセル10の構成を概略的に示した図である。
【0030】
先ず、図3を参照して本発明によるバッテリーモジュールに適用されるパウチ型バッテリーセル10を見れば、電極組立体13と、パウチ外装材と、一端が電極組立体13に接続し、他端がパウチ外装材の外部へ延びる電極リードと、を含む。参考までに、電極リードはパウチ外装材と一部が共に熱溶着されるが、パウチ外装材の熱接着層は樹脂層からなり、電極リードは金属であるため、電極リードとパウチ外装材との溶着が充分でないことがある。これを補完するための方案として、接着テープ16を用いることができる。電極リードは、前記接着テープ16によって周りがテーピングされた状態でパウチ外装材と熱溶着され得る。
【0031】
電極組立体13は、便宜上詳しく図示してはいないが、正極板、分離膜及び負極板から構成され得、正極活物質及び負極活物質が各々塗布された正極板及び負極板が分離膜を挟んで反復的に積層された構造を有する。通常、負極板が正極板よりも少し大きいサイズを有するため、電極組立体13の最上端及び最下端に配置される。このような電極組立体13は、電解液と共にパウチ外装材によって封止されるように収納され得る。
【0032】
パウチ外装材は、封止材の役割を果す熱接着層であるポリオレフィン系樹脂層と、機械的強度を維持する基材及び水分と酸素を遮断する役割を果す金属層であるアルミニウム層と、基材及び保護層として作用するナイロン層とが積層された多層膜構造で構成されている。熱接着層であるポリオレフィン系樹脂層としては、無延伸ポリプロピレン(Casted Polypropylene;CPP)が通常使用される。
【0033】
このようなパウチ外装材は、電極組立体13を収納し、電解液を注入した後、周縁部を封止できるように設けられる。例えば、パウチ外装材は、第1パウチシート11a及び第2パウチシート11bを含み、前記第1パウチシート11aは、電極組立体13を中央領域に収納できるように成形され、前記第2パウチシート11bは、前記第1パウチシート11aと対面して周縁部が熱溶着されるように設けられ得る。以下では、熱溶着された前記パウチ外装材の周縁部をテラス12とする。
【0034】
特に、図3及び図4図6を共に参照すれば、本発明によるバッテリーモジュールを構成するパウチ型バッテリーセル10の各々は、R曲げ部17をさらに備え得る。前記R曲げ部17は、パウチ外装材のテラス12と電極リードとの境界部分に曲げられて処理された部分であって、複数のパウチ型バッテリーセル10を並列接続するとき、電極リードとパウチ外装材のテラス先端部12aとの干渉ないし接触を回避するための構成である。
【0035】
より具体的にR曲げ部17を見れば、R曲げ部17においてパウチ外装材のテラス先端部12aは、他の部分よりも急激に折り曲げられて、従来のパウチ外装材のテラス12から電極リードが延びていく直線上から外れる箇所に位置する。
【0036】
本実施例の場合、R曲げ部17は、パウチ外装材のテラス12と電極リードとの境界地点の前後領域でラウンドされた形態またはアーク(arc)形態で設けられ得る。この際、パウチ外装材のテラス先端部12aは、R曲げ部17で最も凹んだ部分に位置することが望ましい。
【0037】
そして、前記R曲げ部17が形成される方向は、図4及び図5のように、複数のパウチ型バッテリーセル10を並列接続するとき、いずれか一つのパウチ型バッテリーセル10の電極リードを基準で他のパウチ型バッテリーセル10の電極リードが偏向する方向と同じ方向に形成される。
【0038】
例えば、本実施例のように、総6個のパウチ型バッテリーセル10のうち、3個ずつのパウチ型バッテリーセル10を並列接続する場合、図5の左側から1番目、2番目のパウチ型バッテリーセル10の正極リード14が、基準となる3番目のパウチ型バッテリーセル10の正極リード14に重なるように右方向へ偏向し得る。この際、前記3個のパウチ型バッテリーセル10のR曲げ部17は各々正極リード14が偏向する方向と同じ右方向に向けるようにする。逆に、図5の左側から5番目、6番目のパウチ型バッテリーセル10の負極リード15は、基準となる4番目のパウチ型バッテリーセル10の負極リード15に重なるように左方向へ偏向し得、この際、前記3個のパウチ型バッテリーセル10のR曲げ部17は、各々左方向を向けるようにする。
【0039】
このようなパウチ型バッテリーセル10のR曲げ部17の構成によれば、パウチ型バッテリーセル10を並列接続するとき、図6のように、いずれか一つのパウチ型バッテリーセル10の電極リードが如何なる角度に偏向しても、隣接する他の一つのパウチ型バッテリーセル10のテラス先端部12aに干渉ないし接触しない。したがって、パウチ型バッテリーセル10を並列接続するとき、本発明のR曲げ部17の構成によれば、従来と異なり、別の部品や絶縁テーピングを用いなくても、電極リードとパウチ外装材の金属層との電気的接触可能性を効率的に遮断することができる。
【0040】
一方、本発明のバッテリーモジュールを構成するパウチ型バッテリーセル10は、少なくとも2個以上の正極リード14の一端部が重なって一直線に延びて設けられる正極リード群18と、前記正極リード群18と同じ方向へ前記正極リード14の個数と同じ個数が重なって一直線に延びて設けられる負極リード群19と、を有する。
【0041】
前記正極リード群18及び前記負極リード群19のうち最近接距離で相互対向する第1正極リード14及び第1負極リード15を基準として、残りの正極リード14は、前記第1正極リード14に向けて偏向し、残りの負極リード15は、前記第1負極リード15に向けて偏向し得る。参考までに、並列接続したパウチ型バッテリーセル10の一方向のみを図示して説明したが、前記パウチ型バッテリーセル10の反対側の方向は極性のみが異なるだけで同じ構造を有するので、反復する説明は省略する。
【0042】
例えば、図4及び図5に示したパウチ型バッテリーセル10の場合、前記第1正極リード14は、図面の左側から3番目のパウチ型バッテリーセル10の正極リード14であり得、前記第1負極リード15は、4番目のパウチ型バッテリーセル10の負極リード15であり得る。このような構成によれば、正極リード群18と負極リード群19との間隔が最大限に短くなるため、追ってこれらをバスバーに連結する工程がより容易となる。
【0043】
このような本発明による前記正極リード群18及び負極リード群19は、一直線に延びた形態のまま、後述するバスバー組立体20に接合され得る。
【0044】
図7図9は、本発明の一実施例によるパウチ型バッテリーセル10の電極リードをバスバー組立体20に連結するための段階別工程図である。
【0045】
これらの図面を参照すれば、本発明のバッテリーモジュールは、前記正極リード群18と前記負極リード群19とを電気的に接続するためのバスバー組立体20をさらに含み得る。
【0046】
前記バスバー組立体20は、固定型バスバー21と、一対の移動型バスバー22と、前記固定型バスバー21に対して前記一対の移動型バスバー22を相対移動可能にする密着部材25と、を含み得る。
【0047】
詳しくは後述するが、本発明によれば、前記正極リード群18及び負極リード群19は、バスバー組立体20の挟み空間Sにそのまま挿入されてクランピングされた後、溶接できる。したがって、従来のような電極リードの曲げ作業が不要となり、生産ラインの自動化比率がさらに高くなる。また、本発明によれば、機械的圧迫が加えられた状態で電極リード群が溶接されることで、2個以上の電極リードを並列的に接合する場合においても、電気的接続性と機械的接合強度に対する信頼性を維持することができる。
【0048】
以下、本発明によるバスバー組立体20について詳しく説明する。
【0049】
固定型バスバー21は棒状であって、電気伝導性を有する銅、銀、すずメッキ銅のような材質から設けられ得る。したがって、正極リード群18及び負極リード群19がこのような固定型バスバー21に接触すれば、バッテリーモジュールの電流が安定的に通電できる。
【0050】
移動型バスバー22も、固定型バスバー21と同様に、電気伝導性を有する銅、銀、すずメッキ銅のような金属材質として設けられ得る。但し、移動型バスバー22は、正極リード群18及び負極リード群19を加圧して固定型バスバー21に密着させてクランピングすることが主な機能である。したがって、移動型バスバー22は、必ずしも金属材質でなくてもよく、非金属材質であってもよい。
【0051】
移動型バスバー22は、固定型バスバー21を中心として相対移動可能に一対で設けられる。そして、移動型バスバー22と固定型バスバー21との間には、正極リード群18または負極リード群19が通過可能な挟み空間Sが設けられ得る。例えば、図7及び図8に示したように、左側の移動型バスバー22と固定型バスバー21との間の挟み空間Sには、負極リード群19が介在され得、右側の移動型バスバー22と固定型バスバー21との間の挟み空間Sには、正極リード群18が介在され得る。
【0052】
本実施例による一対の移動型バスバー22は、各々略「コ」字の形態で密着部23及び間隔調節部24を含み、固定型バスバー21を中心として対称的に設けられて前記固定型バスバーの周りを囲む形態であり得る。前記密着部23は、固定型バスバー21に平行に配置される部分であり得、間隔調節部24は、前記密着部23の両端から固定型バスバー21に向けて折り曲げられるように延びて形成される部分であり得る。
【0053】
左側の移動型バスバー22の間隔調節部24と、右側の移動型バスバー22の間隔調節部24とは、当接可能に構成される。このように当接している各移動型バスバー22の間隔調節部24の長さによって挟み空間Sの幅が変わるように設計変更することができる。
【0054】
密着部材25は、一対の移動型バスバー22を固定型バスバー21に近接するように移動させる役割を果す構成であり得る。本実施例の場合、密着部材25は板ばねである。板ばねは、窄められた状態でその両端部が左/右側の移動型バスバー22に結合する。したがって、外力を加えて左/右側の移動型バスバー22を引っ張ってから放せば、板ばねの弾性復元力によって左/右側の移動型バスバー22が固定型バスバー21に向けて元の状態に移動するようになる。
【0055】
以下、図7図9を参照して、バスバー組立体20と、並列接続した正極リード群18及び負極リード群19とを接合する過程を簡略に説明すれば、次のようである。
【0056】
先ず、相互隣接する第1正極リード14及び第1負極リード15を基準で、各々正極リード14及び負極リード15の一端部を重ねることで正極リード群18及び負極リード群19を形成する。
【0057】
その後、バスバー組立体20の左/右側の移動型バスバー22を引っ張って挟み空間Sを充分確保した状態で、正極リード群18及び負極リード群19を各々当該挟み空間Sに挟みこむ。
【0058】
それから、バスバー組立体20の左/右側の移動型バスバー22を放すことで正極リード群18及び負極リード群19を固定型バスバー21に密着させる。この際、正極リード群18及び負極リード群19は、バスバー組立体20によってクランピングされて一直線に延びた状態で固定型バスバー21に接合できる。それから、溶接工程を追加で行えば、正極リード群18及び負極リード群19は、より安定的にバスバー組立体20に接合される。
【0059】
このように本発明によるバスバー組立体20によれば、従来技術と異なり(図1参照)、電極リードの溶接過程で電極リードの曲げ過程が一切要求されない。したがって、電極リードの曲げのための手作業工程が除去され、バッテリーモジュール生産ラインの自動化比率が向上する。また、一体の電極リードが機械的に圧迫された状態で溶接されるので、並列接続構造において電極リードの個数と関係なく電気的接続性及び機械的接合強度の信頼性が向上する。
【0060】
一方、本発明によるバッテリーパックは、本発明によるバッテリーモジュールを一つ以上含み得る。また、本発明によるバッテリーパックは、このようなバッテリーモジュールに加え、バッテリーモジュールを収納するためのパックケース、各々のバッテリーモジュールの充放電を制御するための各種装置などをさらに含み得る。
【0061】
以上、本発明を限定された実施例と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【0062】
なお、本明細書において、上、下、左、右、前、後のような方向を示す用語が使用されたが、このような用語は相対的な位置を示し、説明の便宜のためのものであるだけで、対象となる事物の位置や観測者の位置などによって変わり得ることは、当業者にとって自明である。
【符号の説明】
【0063】
1 パウチ型バッテリーセル
1a 電極リード
2 パウチ型バッテリーセル
2a 電極リード
2b テラス先端部
3 パウチ型バッテリーセル
3a 電極リード
4 バスバー
5 内部接着層
6 アルミニウム層
7 外部絶縁層
10 パウチ型バッテリーセル
11a 第1パウチシート
11b 第2パウチシート
12 テラス
12a テラス先端部
13 電極組立体
14 正極リード
15 負極リード
16 接着テープ
17 曲げ部
18 正極リード群
19 負極リード群
20 バスバー組立体
21 固定型バスバー
22 移動型バスバー
23 密着部
24 間隔調節部
25 密着部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9