特許第6798324号(P6798324)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6798324
(24)【登録日】2020年11月24日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】鏡筒
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/04 20060101AFI20201130BHJP
   G02B 7/02 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
   G02B7/04 D
   G02B7/02 D
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-6122(P2017-6122)
(22)【出願日】2017年1月17日
(65)【公開番号】特開2018-116120(P2018-116120A)
(43)【公開日】2018年7月26日
【審査請求日】2019年11月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100078880
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 修平
(72)【発明者】
【氏名】中村 昌司
【審査官】 ▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−044306(JP,A)
【文献】 特開2006−259595(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/114769(WO,A1)
【文献】 特開平10−123391(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02−7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一のカムフォロアを有する第一筒と、
光軸周りに回転可能であり、前記第一のカムフォロアとの干渉を避ける溝部が形成され且つ第二のカムフォロアを有する第二筒と、
前記第一のカムフォロアが係合する直進溝及び前記第二のカムフォロアが係合するカム溝が形成されており、前記第二筒が回転操作されることにより前記第二筒に対して光軸方向にのみ移動する第三筒と、
を備え、
前記第三筒の内周面に形成された段差が前記溝部に落ち込むことを防止する落込防止部材が前記第二筒と前記第三筒との間の少なくとも一部に配置されている、
鏡筒。
【請求項2】
前記落込防止部材は、
前記第二筒と前記第三筒との間に介在された薄肉部材である、
請求項1に記載の鏡筒。
【請求項3】
前記薄肉部材は、
前記溝部の略全体を覆う円筒状部材である、
請求項2に記載の鏡筒。
【請求項4】
第一のカムフォロアを有する第一筒と、
光軸周りに回転可能であり、前記第一のカムフォロアとの干渉を避ける溝部が形成され且つ第二のカムフォロアを有する第二筒と、
前記第一のカムフォロアが係合する直進溝及び前記第二のカムフォロアが係合するカム溝が形成されており、前記第二筒が回転操作されることにより前記第二筒に対して光軸方向にのみ移動する第三筒と、
を備え、
前記第一のカムフォロアは、
前記直進溝と係合する先端軸部と、
前記溝部内に配置されており、前記先端軸部よりも径が太い中間軸部と、
を有し、
段差受部材である前記中間軸部は、
前記先端軸部と前記中間軸部との段差面である受面により、前記第三筒の内周面に形成された段差であって、前記溝部に落ち込む直前の段差を受けることにより、前記段差が前記溝部に落ち込むことを防止する、
鏡筒。
【請求項5】
前記第三筒は、
前記光軸を含む側断面において鋸刃形状を持つ遮光溝が前記内周面の一部領域に形成されており、
前記内周面に形成された段差は、
前記遮光溝が形成された領域と前記遮光溝が形成されていない領域との境界に位置する、
請求項1から請求項の何れか一項に記載の鏡筒。
【請求項6】
請求項1から請求項の何れか一項に記載の鏡筒
を備える、
撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鏡筒に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等の撮影装置には撮影レンズを保持する鏡筒が備えられている。この種の鏡筒の具体的構成が例えば特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の鏡筒は、固定筒及びその外側に操作環を備えている。操作環の内周面には凹溝が形成されている。固定筒にはバネ部材が凹溝に対向する位置に設けられている。凹溝とバネ部材とが接触した状態では、バネ部材から凹溝に対して操作環の半径方向外側に向かう付勢力が付与される。固定筒に対する操作環の回転位置に応じて付勢力が変化するように凹溝及びバネ部材が形成されていることにより、ユーザが操作環をほぼ一定の操作トルクで操作できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−48403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に例示される固定筒や操作環等の筒部には、一般に、筒部内での光の反射を抑制するため、遮光溝がその内周面に形成されている。この種の筒部には、遮光溝が形成された領域と遮光溝が形成されていない領域との境界に段差が形成されている。
【0006】
ここで、例えば、ある筒部(便宜上「第一筒部」と記す。)が別の筒部(便宜上「第二筒部」と記す。)に対して光軸方向に進退する構成の鏡筒を考える。この構成において、第一筒部が第二筒部に対して光軸方向に進退し、第一筒部の内周面に形成された段差が第二筒部に形成された溝部(例えばカムフォロアを逃げる逃げ溝等)に差し掛かると、当該段差が第一筒部の自重によって溝部に落ち込む。当該段差が溝部に落ち込むことにより、ユーザが鏡筒の操作に違和感を覚えることがあり、また、第一筒部の内周面と第二筒部の外周面とが擦れて摩耗してしまう。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、筒部の内周面に形成された段差が別の筒部の溝部に落ち込むことによる操作の違和感及び筒部の摩耗を抑えるのに好適な鏡筒を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係る鏡筒は、第一のカムフォロアを有する第一筒と、光軸周りに回転可能であり、第一のカムフォロアとの干渉を避ける溝部が形成され且つ第二のカムフォロアを有する第二筒と、第一のカムフォロアが係合する直進溝及び第二のカムフォロアが係合するカム溝が形成されており、第二筒が回転操作されることにより該第二筒に対して光軸方向にのみ移動する第三筒とを備えており、第三筒の内周面に形成された段差が溝部に落ち込むことを防止する落込防止部材が第二筒と第三筒との間の少なくとも一部に配置されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一実施形態によれば、筒部の内周面に形成された段差が別の筒部の溝部に落ち込むことによる操作の違和感及び筒部の摩耗を抑えるのに好適な鏡筒が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る鏡筒の構成を示す図である。
図2】本発明の別の一実施形態に係る鏡筒の構成を示す図である。
図3図2に示される鏡筒の変形例を示す図である。
図4】本発明の別の一実施形態に係る鏡筒の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る鏡筒1の構成を示す図である。本実施形態に係る鏡筒1は、撮影装置の一形態であるデジタル一眼レフカメラ用の鏡筒である。鏡筒1は、デジタル一眼レフカメラ用鏡筒に限らず、ミラーレス一眼カメラ、コンパクトデジタルカメラ、ビデオカメラ、カムコーダ、デスクトップPC、ノートPC、タブレット端末、PHS(Personal Handy phone System)、スマートフォン、フィーチャフォン、ゲーム機等の、他の撮影装置の鏡筒であってもよい。
【0013】
図1(a)は、本実施形態に係る鏡筒1の構成を一部断面にして示す図である。図1(a)に示されるように、鏡筒1は、レンズL1及びL2を含む撮影レンズLを保持するズーム鏡筒である。
【0014】
鏡筒1は、撮影レンズLの光軸中心に配置された3つの円環状部材を備えている。3つの円環状部材は、具体的には、円環状の固定環(第一筒)10、操作環(第二筒)20及び直進環(第三筒)30である。
【0015】
固定環10は、レンズL1を保持している。固定環10には、複数のネジ孔部11が周方向に所定のピッチで形成されている。各ネジ孔部11には、直進用カムフォロア(第一のカムフォロア)12がねじ締めされて固定されている。
【0016】
操作環20は、ユーザによって回転方向に操作されると、固定環10の外周面を摺動して光軸周り方向に回転する。操作環20には、複数のネジ孔部21が周方向に所定のピッチで形成されている。各ネジ孔部21には、回転用カムフォロア(第二のカムフォロア)22がねじ締めされて固定されている。
【0017】
直進用カムフォロア12及び回転用カムフォロア22は、樹脂による一体成型品であってもよく、また、金属部材で構成されてもよい。また、直進用カムフォロア12及び回転用カムフォロア22は、2部品(軸(ネジ)とローラ)で構成されたものであってもよい。
【0018】
直進環30は、レンズL2を保持している。直進環30には、直進溝31及びカム溝32が形成されている。直進溝31は、光軸方向に延びており、直進用カムフォロア12が係合する。カム溝32は、光軸方向に対して湾曲した形状を持ち、回転用カムフォロア22が係合する。
【0019】
ユーザにより固定環10に対して操作環20が回転操作されると、カム溝32内において、操作環20に取り付けられている回転用カムフォロア22が光軸周り方向に移動する。回転用カムフォロア22が直進環30に形成されたカム溝32内を移動することにより、操作環20の回転運動が直進環30に伝達される。但し、直進環30は、固定環10に取り付けられている直進用カムフォロア12と直進溝31との係合により、光軸周り方向の移動が規制されている。そのため、直進環30は、操作環20の回転量及び回転方向に応じ、固定環10及び操作環20に対して光軸方向にのみ移動する。
【0020】
固定環10の先端近傍の内周面にメネジ部13が形成されている。メネジ部13には、スラスト押え環50のオネジ部51が締め込まれる。オネジ部51が締め込まれることにより、スラスト押え環50のフランジ部52が固定環10及び操作環20の各先端面に当接する。これにより、固定環10と操作環20とのスラスト方向の位置ずれが抑えられる。
【0021】
直進用カムフォロア12が取り付けられている固定環10と、直進用カムフォロア12が係合されるカム溝32が形成されている直進環30との間には、操作環20が介在している。そのため、操作環20には、直進用カムフォロア12との干渉を避ける溝部(逃げ溝)23が、対応する直進用カムフォロア12毎に形成されている。
【0022】
図1(b)及び図1(c)は、図1(a)の矢印A方向から見たときの鏡筒1の一部を平面に展開して示した側面図である。なお、図1(b)では、説明の便宜上、後述する落込防止部材40を省いて示している。また、図1(b)及び図1(c)においては、落込防止部材40と操作環20に形成された逃げ溝23との関係を明瞭にする都合上、操作環20と落込防止部材40の2部品にだけハッチングを付けて示している。
【0023】
直進用カムフォロア12は、固定環10上で位置が固定されている。そのため、ユーザにより固定環10に対して操作環20が回転操作されると、直進用カムフォロア12は、操作環20に対して光軸周り方向に移動することになる。逃げ溝23は、光軸周り方向に相対移動する直進用カムフォロア12との干渉を避けるべく、図1(b)に示されるように、光軸周り方向に長い長孔形状を持っている。
【0024】
例えば、直進用カムフォロア12が固定環10に120°ピッチで計3つ取り付けられている場合、各逃げ溝23も同じく120°ピッチで形成される。逃げ溝23の一つ一つは、操作環20に対する直進用カムフォロア12の最大移動角度範囲を超える長さを有する必要がある。例示的には、逃げ溝23は、光軸周り方向に90°の角度範囲に亘る長さを有している。このように、逃げ溝23は、光軸周り方向に広い角度範囲に亘って形成されている。
【0025】
図1(a)に示されるように、直進環30の内周面のうち符号Rで示される部分の全周に亘る領域(以下、「領域R」と記す。)には、光軸を含む側断面において鋸刃形状を持つ遮光溝33が形成されている。補足すると、遮光溝33は、直進環30の内周面のうちの特定領域(直進環30を最も繰り出したときに他の環(固定環10と操作環20)に重ならない領域)のほぼ全てに亘って形成されている。遮光溝33が形成されていることにより、鏡筒1内の内面反射が抑制される。
【0026】
直進環30の内周面には、遮光溝33が形成されている領域Rと遮光溝33が形成されていない領域R(直進環30の内周面のうち符号Rで示される部分の全周に亘る領域)との境界に段差34が形成されている。段差34が形成されることにより、直進環30の進退時における遮光溝33と操作環20の外周面との擦れが避けられる。
【0027】
ここで、本実施形態では、上述したように、直進環30の内周側に位置する操作環20に、逃げ溝23が光軸周り方向に広い角度範囲に亘って形成されている。そのため、直進環30が後方に繰り下げられて段差34が逃げ溝23に差し掛かったとき、段差34が直進環30の自重によって逃げ溝23に落ち込むことが懸念される。
【0028】
そこで、本実施形態では、操作環20と直進環30との間に落込防止部材40が介在されている。具体的には、逃げ溝23の周囲を含む操作環20の外周面の一部に凹部24が形成されている。凹部24には、薄肉(詳細には、凹部24の深さと略同じ厚み)の円筒状部材である落込防止部材40が凹部24全体(及び逃げ溝23の略全体)を覆うように凹部24に嵌め込まれている。なお、落込防止部材40は、完全な円筒形状ではなく、直進用カムフォロア12との干渉を避けるための逃げ孔41が形成されている。逃げ孔41は、直進用カムフォロア12よりも極僅かに径の大きい丸孔である。
【0029】
逃げ溝23は、落込防止部材40により、直進用カムフォロア12と逃げ孔41との極僅かな隙間を除く全体が覆われている。直進環30が後方に繰り下げられて段差34が逃げ溝23に差し掛かる位置に達した時にも、逃げ溝23の略全体が落込防止部材40によって覆われているため、段差34が逃げ溝23に落ち込むことがない。そのため、段差34が逃げ溝23に落ち込むことによる操作の違和感が生じない。
【0030】
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施形態は、上記に説明したものに限定されず、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば明細書中に例示的に明示される実施形態等又は自明な実施形態等を適宜組み合わせた内容も本発明の実施形態に含まれる。
【0031】
図2は、本発明の別の一実施形態に係る鏡筒1’の構成を示す図である。なお、以降の図面においては、符号の図示を適宜省略している。
【0032】
図2に示されるように、別の一実施形態に係る鏡筒1’では、落込防止部材40に相当する部分とスラスト押え環50に相当する部分とが一体に形成されている。以下、この一体形成品を便宜上「一体形成部材60」と記す。この場合、部品点数の削減だけでなく、スラスト押え環50に相当する部分が固定環10のメネジ部13に締結されているため、落込防止部材40に相当する部分が空転するという状況が避けられる。
【0033】
図3は、図2に示される鏡筒1’の変形例(鏡筒1M’)の構成を示す図である。鏡筒1M’では、落込防止部材40とスラスト押え環50(但し、フランジ部52に相当する部分のみ)とが一体に形成されている。以下、この一体形成品を便宜上「一体形成部材60M」と記す。
【0034】
一体形成品60Mは、オネジ部51に代えて、スラスト止めネジ53により、固定環10に取り付けられている。本変形例では、一体形成部材60Mが一体形成部材60と比べて簡素な形状であり且つスラスト止めネジ53が汎用品であることから、効果的なコスト削減が見込まれる。また、一体形成品60M自体を固定環10に対して回転させて締め込む構成でなく、スラスト止めネジ53によってねじ締めする構成であることから、固定環10に対する一体形成品60Mの組み込み位相が管理し易いというメリットがある。
【0035】
図4は、本発明の更に別の一実施形態に係る鏡筒1”の構成を示す図である。図4(a)は、鏡筒1”の構成を一部断面にして示す図である。図4(b)は、図4(a)の矢印B方向から見たときの鏡筒1”の一部を平面に展開して示した側面図である。
【0036】
図4に示されるように、鏡筒1”には落込防止部材40が備えられていない。その代替として、直進用カムフォロア12”が特殊な形状を有している。
【0037】
具体的には、直進用カムフォロア12”は、先端軸部12A、中間軸部12B及び嵌合軸部12Cを有する構成となっている。先端軸部12Aは、直進溝31の幅と同じ径を有しており、直進溝31と係合する。中間軸部12Bは、先端軸部12Aよりも径が太く、逃げ溝23内に配置されている。より詳細には、中間軸部12Bは、先端軸部12Aよりも太径の軸部の両側面を逃げ溝23の幅に合わせてカットした形状(小判形状)を持っている。中間軸部12Bは、ベースとなる径及びカット後の幅(逃げ溝23と等しい幅)が何れも直進溝31の幅よりも大きい。嵌合軸部12Cは、固定環10のネジ孔部11にねじ締めされて固定されている。これにより、直進用カムフォロア12”が固定環10に固定されている。
【0038】
直進用カムフォロア12”は、例えば、2部品(軸部(ネジ)とDカット部)で構成されている。この場合、例えば、軸部(主に、嵌合軸部12C)がネジ孔部11にねじ締めされ、次いで、軸部にDカット部(中間軸部12B)が逃げ溝23内に嵌め込まれる。軸部とDカット部とを別部品とする構成を採用することにより、中間軸部12Bを逃げ溝23内に簡単に嵌め込むことができる。
【0039】
但し、直進用カムフォロアは、一部品で構成されてもよい。図4(e)に、変形例に係る直進用カムフォロア12M”周りの断面図を示す。本変形例において、嵌合軸部12Cには、ネジ溝が形成されていない。本変形例では、Dカット部(中間軸部12B)が逃げ溝23内に嵌め込まれた上で、嵌合軸部12Cが固定環10にカシメ固定される。本変形例では、部品点数削減の効果が得られる。
【0040】
直進用カムフォロア12”は、先端軸部12Aと中間軸部12Bとの段差面である受面12Dを有している。図4(c)は、受面12D周辺を拡大して示す拡大図である。
【0041】
図4(c)に示されるように、受面12Dは、直進環30の内周面(言い換えると、操作環20の外周面)と略同じ高さに位置する平面となっている。そのため、受面12Dは、直進環30が後方に繰り下げられて段差34が逃げ溝23に差し掛かると、逃げ溝23に落ち込む直前の段差34を受ける。これにより、段差34が逃げ溝23に落ち込むことによる操作の違和感が生じない。
【0042】
図4(d)は、受面12Dの変形例を示す拡大図である。図4(d)に示されるように、変形例に係る受面12Dは、直進環30の内周面(言い換えると、操作環20の外周面)に沿った曲面となっている。そのため、変形例に係る受面12Dは、直進環30が後方に繰り下げられて段差34が逃げ溝23に差し掛かると、逃げ溝23に落ち込む直前の段差34を面全体(受面12Dの全体)で受ける。段差34を面全体で受けることにより、より一層、段差34が逃げ溝23に落ち込むことによる操作の違和感が生じない。
【0043】
図4の例によれば、中間軸部12Bのカット形状は成形加工でなく切削加工で対応できるため、小ロット生産にも適している。また、落込防止部材40が不要になることによる部品点数の削減が達成される。
【符号の説明】
【0044】
1 鏡筒
10 固定環
11 ネジ孔部
12 直進用カムフォロア
13 メネジ部
20 操作環
21 ネジ孔部
22 回転用カムフォロア
23 逃げ溝
24 凹部
30 直進環
31 直進溝
32 カム溝
33 遮光溝
34 段差
40 落込防止部材
41 逃げ孔
50 スラスト押え環
51 オネジ部
52 フランジ部
L 撮影レンズ
L1、L2 レンズ
図1
図2
図3
図4