(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記窒素原子を含む非プロトン性極性溶剤が、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、及び、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンからなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項1又は2に記載の組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した従来技術に鑑みてなされたものであり、(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸ハライドを、高い純度で、工業的に有利に製造する方法、このカルボン酸ハライドが、窒素原子を含む非プロトン性極性溶剤により安定化された組成物、カルボン酸ハライドの安定化方法、及び、当該カルボン酸ハライドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸化合物にハロゲン化剤を反応させるに際し、反応系内に、窒素原子を含む非プロトン性極性溶剤を特定量存在させておくと、(メタ)アクリロイル基の二重結合へのハロゲン原子の付加反応が抑制され、目的とするカルボン酸ハライドを、高純度、かつ高収率で得られることを見出した。また、目的とするカルボン酸ハライドを含む有機溶媒溶液に、窒素原子を含む非プロトン性極性溶剤を特定量存在させておくと、前記有機溶媒溶液を長時間保存しても、溶液中で、カルボン酸ハライドのハロゲン化副生成物への転化が抑制されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
かくして本発明によれば、(1)〜(7)の重合性化合物の製造方法、(8)〜(11)の組成物、(12)の安定化方法、及び、(13)〜(15)の化合物が提供される。
(1)式(I)
【0008】
【化1】
【0009】
〔式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Y
1、Y
2はそれぞれ独立して、化学的な単結合、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR
1−C(=O)−、又は、−C(=O)−NR
1−を表す。ここで、R
1は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
G
1は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の二価の鎖状脂肪族基を表す。該鎖状脂肪族基には、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR
2−C(=O)−、−C(=O)−NR
2−、−NR
2−、又は、−C(=O)−が介在していてもよい。ただし、−O−又は−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。ここで、R
2は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
A
1、A
2はそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数3〜12の二価の芳香族炭化水素基、又は、置換基を有していてもよい炭素数3〜12の二価の脂環式炭化水素基を表す。nは0又は1を表す。〕で示される化合物を、前記式(I)で表される化合物に対して0.5当量以上の、窒素原子を含む非プロトン性極性溶剤の存在下、ハロゲン化剤と反応させることを特徴とする、式(II)
【0010】
【化2】
【0011】
(式中、R、G
1、Y
1、Y
2、A
1、A
2、及びnは前記と同じ意味を表し、Xはハロゲン原子を示す。)で表される化合物の製造方法。
(2)前記ハロゲン化剤が、塩素化剤又は臭素化剤であることを特徴とする(1)に記載の製造方法。
(3)前記式(I)で表される化合物が、前記式(I)中、Y
1、Y
2がそれぞれ独立して、化学的な単結合、−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−を表し、G
1が置換基を有していてもよい炭素数1〜20の二価の鎖状脂肪族基の化合物である、(1)又は(2)に記載の製造方法。
【0012】
(4)前記式(I)で表される化合物が、前記式(I)中、A
1、A
2がそれぞれ独立して、置換基を有していてもよいフェニレン基、又は、置換基を有していてもよいシクロヘキシレン基の化合物である、(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法。
(5)前記窒素原子を含む非プロトン性極性溶剤がアミド系溶剤である、(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法。
(6)前記窒素原子を含む非プロトン性極性溶剤が、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、及び、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンからなる群から選ばれる少なくとも一種である、(1)〜(5)のいずれかに記載の製造方法。
【0013】
(7)反応後、反応液を濃縮して未反応のハロゲン化剤及び/又はハロゲン化剤由来物を除去することを特徴とする、(1)〜(6)のいずれかに記載の製造方法。
(8)式(II)
【0014】
【化3】
【0015】
〔式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Y
1、Y
2はそれぞれ独立して、化学的な単結合、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR
1−C(=O)−、又は、−C(=O)−NR
1−を表す。ここで、R
1は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
G
1は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の二価の鎖状脂肪族基を表す。該鎖状脂肪族基には、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR
2−C(=O)−、−C(=O)−NR
2−、−NR
2−、又は、−C(=O)−が介在していてもよい。ただし、−O−又は−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。ここで、R
2は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
A
1、A
2はそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数3〜12の二価の芳香族炭化水素基、又は、置換基を有していてもよい炭素数3〜12の二価の脂環式炭化水素基を表す。
Xはハロゲン原子を示し、nは0又は1を表す。〕で示される化合物、
ハロゲン化剤及び/又はハロゲン化剤由来物、並びに、前記式(II)で表される化合物に対して0.5当量以上の、窒素原子を含む非プロトン性極性溶剤を含有する組成物。
【0016】
(9)更に、前記窒素原子を含む非プロトン性極性溶剤以外の有機溶媒を含有する(8)に記載の組成物。
(10)前記窒素原子を含む非プロトン性極性溶剤が、アミド系溶剤である(8)又は(9)に記載の組成物。
(11)前記窒素原子を含む非プロトン性極性溶剤が、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、及び、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンからなる群から選ばれる少なくとも一種である(8)又は(9)に記載の組成物。
(12)式(II)
【0017】
【化4】
【0018】
〔式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Y
1、Y
2はそれぞれ独立して、化学的な単結合、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR
1−C(=O)−、又は、−C(=O)−NR
1−を表す。ここで、R
1は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
G
1は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の二価の鎖状脂肪族基を表す。該鎖状脂肪族基には、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR
2−C(=O)−、−C(=O)−NR
2−、−NR
2−、又は、−C(=O)−が介在していてもよい。ただし、−O−又は−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。ここで、R
2は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
A
1、A
2はそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数3〜12の二価の芳香族炭化水素基、又は、置換基を有していてもよい炭素数3〜12の二価の脂環式炭化水素基を表す。
Xはハロゲン原子を示し、nは0又は1を表す。〕で示される化合物、並びに、
ハロゲン化剤及び/又はハロゲン化剤由来物
を含む有機溶媒溶液に、前記式(II)で表される化合物に対して0.5当量以上の、窒素原子を含む非プロトン性極性溶剤を含有させることを特徴とする、前記式(II)で示される化合物の安定化方法。
(13)式(II)
【0019】
【化5】
【0020】
〔式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Y
1、Y
2はそれぞれ独立して、化学的な単結合、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR
1−C(=O)−、又は、−C(=O)−NR
1−を表す。ここで、R
1は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
G
1は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の二価の鎖状脂肪族基を表す。該鎖状脂肪族基には、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR
2−C(=O)−、−C(=O)−NR
2−、−NR
2−、又は、−C(=O)−が介在していてもよい。ただし、−O−又は−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。ここで、R
2は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
A
1、A
2はそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数3〜12の二価の芳香族炭化水素基、又は、置換基を有していてもよい炭素数3〜12の二価の脂環式炭化水素基を表す。Xはハロゲン原子を示し、nは0又は1を表す。〕で示される化合物。
【0021】
(14)前記式(II)中、nが1である、(13)に記載の化合物。
(15)前記式(II)中、Xがフッ素原子、塩素原子又は臭素原子である(13)又は(14)に記載の化合物。
【発明の効果】
【0022】
本発明の製造方法によれば、式(I)で示される化合物〔(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸〕をハロゲン化剤と反応させて、対応するカルボン酸ハライドを製造するに際し、(メタ)アクリロイル基の二重結合へのハロゲン原子の付加反応が起きることがなく、目的とするカルボン酸ハライド〔式(II)で示される化合物〕を、高純度、高収率で得ることができる。
得られる式(II)で示される化合物は、純度が高いものであるため、液晶材料や電子輸送材料等の製造中間体として好適に使用することができる。
本発明の組成物は、式(II)で示される化合物、ハロゲン化剤及び/又はハロゲン化剤由来物、並びに、特定量の、窒素原子を含む非プロトン性極性溶剤を含有するものである。本発明の組成物中においては、式(II)で示される化合物が、窒素原子を含む非プロトン性極性溶剤によって安定化されているため、本発明の組成物を長時間保存した場合であっても、式(II)で示される化合物が、(メタ)アクリロイル基の二重結合にもハロゲン原子が付加したハロゲン化副生成物(後述する、式(III)で示される化合物)に転化して、結果として、組成物中の、式(II)で示される化合物の含有量が減少することがない。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を、1)化合物(II)の製造方法、2)組成物、3)化合物(II)の安定化方法、及び、4)化合物(II)、に項分けして詳細に説明する。
1)化合物(II)の製造方法
本発明は、式(I)
【0026】
で示される化合物(以下、「化合物(I)」ということがある。)を、化合物(I)に対して0.5当量以上の、窒素原子を含む非プロトン性極性溶剤の存在下、ハロゲン化剤と反応させることを特徴とする、式(II)
【0028】
で表される化合物(以下、「化合物(II)」ということがある。)の製造方法である。
本発明の製造方法によれば、式(III)
【0030】
で表されるハロゲン化副生成物(以下、「化合物(III)」ということがある。)の生成を抑え、化合物(II)を高純度、高収率で得ることができる。
【0031】
前記式(I)中、Rは水素原子又はメチル基を表す。
Y
1、Y
2はそれぞれ独立して、化学的な単結合、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR
1−C(=O)−、又は、−C(=O)−NR
1−を表す。
【0032】
ここで、R
1は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
R
1の炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−へキシル基等が挙げられる。
R
1としては、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
【0033】
これらの中でも、Y
1、Y
2は、それぞれ独立して、化学的な単結合、−O−、−O−C(=O)−、又は、−C(=O)−O−であるのが好ましい。
【0034】
G
1は、置換基を有していてもよい、炭素数1〜20の二価の鎖状脂肪族基を表す。
ここで、「置換基を有していてもよい」とは、「無置換又は置換基を有する」の意味である(以下にて同じ。)。
【0035】
炭素数1〜20の二価の鎖状脂肪族基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基〔−(CH
2)
10−〕等の、炭素数1〜20のアルキレン基;ビニレン基、1−メチルビニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基等の、炭素数2〜20のアルケニレン基;等が挙げられる。
【0036】
G
1の二価の鎖状脂肪族基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−へキシルオキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;等が挙げられる。なかでも、フッ素原子、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。
【0037】
また、前記鎖状脂肪族基には、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR
2−C(=O)−、−C(=O)−NR
2−、−NR
2−、又は、−C(=O)−が介在していてもよい。ただし、−O−又は−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。ここで、R
2は、前記R
1と同様の、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
前記鎖状脂肪族基に介在する基としては、−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−C(=O)−が好ましい。
【0038】
これらの基が介在する鎖状脂肪族基の具体例としては、−CH
2−CH
2−O−CH
2−CH
2−、−CH
2−CH
2−S−CH
2−CH
2−、−CH
2−CH
2−O−C(=O)−CH
2−CH
2−、−CH
2−CH
2−C(=O)−O−CH
2−CH
2−、−CH
2−CH
2−C(=O)−O−CH
2−、−CH
2−O−C(=O)−O−CH
2−CH
2−、−CH
2−CH
2−NR
2−C(=O)−CH
2−CH
2−、−CH
2−CH
2−C(=O)−NR
2−CH
2−、−CH
2−NR
2−CH
2−CH
2−、−CH
2−C(=O)−CH
2−等が挙げられる。
【0039】
これらの中でも、G
1としては、置換基を有していてもよい炭素数1〜12の二価の鎖状脂肪族基〔該脂肪族基には、−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、又は−C(=O)−が介在していてもよい。ただし、−O−が2個以上隣接して介在する場合を除く。〕が好ましく、炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数2〜20のアルケニレン基等の二価の鎖状脂肪族基がより好ましく、炭素数1〜12のアルキレン基がさらに好ましく、テトラメチレン基〔−(CH
2)
4−〕、ヘキサメチレン基〔−(CH
2)
6−〕、オクタメチレン基〔−(CH
2)
8−〕、及び、デカメチレン基〔−(CH
2)
10−〕が特に好ましい。
【0040】
A
1、A
2はそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数3〜12の二価の脂環式炭化水素基、又は、置換基を有していてもよい炭素数3〜12の二価の芳香族炭化水素基を表す。
炭素数3〜12の二価の脂環式炭化水素基としては、炭素数3〜12のシクロアルカンジイル基、炭素数7〜12の二価の脂環式縮合環基等が挙げられる。
【0041】
炭素数3〜12のシクロアルカンジイル基としては、シクロプロパンジイル基;シクロブタン−1,2−ジイル基、シクロブタン−1,3−ジイル基等のシクロブタンジイル基;シクロペンタン−1,2−ジイル基、シクロペンタン−1,3−ジイル基等のシクロペンタンジイル基;シクロヘキサン−1,2−ジイル基、シクロヘキサン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基等のシクロへキサンジイル基;シクロヘプタン−1,2−ジイル基、シクロヘプタン−1,3−ジイル基、シクロヘプタン−1,4−ジイル基等のシクロへプタンジイル基;シクロオクタン−1,2−ジイル基、シクロオクタン−1,3−ジイル基、シクロオクタン−1,4−ジイル基、シクロオクタン−1,5−ジイル基等のシクロオクタンジイル基;シクロデカン−1,2−ジイル基、シクロデカン−1,3−ジイル基、シクロデカン−1,4−ジイル基、シクロデカン−1,5−ジイル基等のシクロデカンジイル基;シクロドデカン−1,2−ジイル基、シクロドデカン−1,3−ジイル基、シクロドデカン−1,4−ジイル基、シクロドデカン−1,5−ジイル基等のシクロドデカンジイル基;等が挙げられる。
【0042】
炭素数7〜12の二価の脂環式縮合環基としては、デカリン−2,5−ジイル基、デカリン−2,7-ジイル基等のデカリンジイル基;アダマンタン−1,2−ジイル基、アダマンタン−1,3−ジイル基等のアダマンタンジイル基;ビシクロ[2.2.1]へプタン−2,3−ジイル基、ビシクロ[2.2.1]へプタン−2,5-ジイル基、ビシクロ[2.2.1]へプタン−2,6−ジイル基等のビシクロ[2.2.1]へプタンジイル基;等が挙げられる。
【0043】
これらの二価の脂環式炭化水素基は、任意の位置に置換基を有していてもよい。
置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の炭素数1〜6のハロアルキル基;ジメチルアミノ基等の置換アミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20のアリール基;−C(=O)−R
6;−C(=O)−OR
6;−SO
2R
6;等が挙げられる。ここでR
6は、メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;又は、フェニル基等の炭素数6〜14のアリール基;を表す。
【0044】
これらの中でも、置換基を有していてもよい炭素数3〜12の二価の脂環式炭化水素基としては、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルカンジイル基が好ましく、置換基を有していてもよいシクロヘキサンジイル基がより好ましい。
前記炭素数3〜12のシクロアルカンジイル基としては、下記式(A31)〜(A34)で表される基が好ましい。
【0046】
前記炭素数3〜12の二価の脂環式炭化水素基は、隣接する両炭素原子の立体配置の相違に基づく、シス型、トランス型の立体異性体が存在し得る。例えば、シクロヘキサン−1,4−ジイル基の場合には、下記に示すように、シス型の異性体(A32a)とトランス型の異性体(A32b)が存在し得る。
【0048】
本発明においては、シス型であってもトランス型であっても、あるいはシス型とトランス型の異性体混合物であってもよいが、配向性が良好であることから、トランス型あるいはシス型であるのが好ましく、トランス型がより好ましい。
【0049】
A
1、A
2の炭素数3〜12の二価の芳香族炭化水素基としては、単環のものであっても、多環のものであってもよい。
好ましい具体例としては、下記のものが挙げられる。
【0051】
A
1、A
2の炭素数3〜12の二価の芳香族炭化水素基は、任意の位置に置換基を有していてもよい。
当該置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ニトロ基、−C(=O)−OR
7基等が挙げられる。ここでR
7は、炭素数1〜6のアルキル基である。なかでも、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシ基が好ましい。また、ハロゲン原子としてはフッ素原子が、炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基が、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基がより好ましい。
【0052】
これらの中でも、置換基を有していてもよい炭素数3〜12の二価の芳香族炭化水素基としては、置換基を有していてもよいフェニレン基が好ましく、置換基を有していてもよい、前記式(A41)で表される基がより好ましい。
nは0又は1を表す。
【0053】
本発明に用いる化合物(I)は、従来公知の方法で製造することができる。
典型的には、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、エステル結合(−C(=O)−O−、−O−C(=O)−)、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)、アミド結合(−C(=O)−NH−、−NH−C(=O)−)等の形成反応を任意に組み合わせて、所望の構造を有する複数の公知化合物を適宜結合・修飾することにより製造することができる。
【0054】
例えば、エーテル結合の形成は、以下のようにして行うことができる。
(i)式:D1−hal(halはハロゲン原子を表し、D1は任意の有機基を表す。以下にて同じ。)で表される化合物と、式:D2−OMet(Metはアルカリ金属(主にナトリウム)を表し、D2は任意の有機基を表す。以下にて同じ。)で表される化合物とを混合して縮合させる(ウイリアムソン合成)。
(ii)式:D1−halで表される化合物、又は、式:D1−J(Jはエポキシ基を表す。)で表される化合物と、式:D2−OHで表される化合物とを水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基存在下、混合して縮合させる。
(iii)式:D1−OFN(OFNは不飽和結合を有する基を表す。)で表される化合物と、式:D2−OMetで表される化合物を、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基存在下、混合して付加反応させる。
(iv)式:D1−halで表される化合物と、式:D2−OMetで表される化合物とを、銅あるいは塩化第一銅存在下、混合して縮合させる(ウルマン縮合)。
【0055】
エステル結合及びアミド結合の形成は、以下のようにして行うことができる。
(v)式:D1−COOHで表される化合物と、式:D2−OH又はD2−NH
2で表される化合物とを、脱水縮合剤(N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド等)の存在下に脱水縮合させる。
(vi)式:D1−COOHで表される化合物にハロゲン化剤を作用させることにより、式:D1−CO−halで表される化合物を得、このものと式:D2−OH又はD2−NH
2で表される化合物とを、塩基の存在下に反応させる。
(vii)式:D1−COOHで表される化合物に酸無水物を作用させることにより、混合酸無水物を得た後、このものに、式:D2−OH又はD2−NH
2で表される化合物を反応させる。
(viii)式:D1−COOHで表される化合物と、式:D2−OH又はD2−NH
2で表される化合物とを、酸触媒あるいは塩基触媒の存在下に脱水縮合させる。
【0056】
より具体的には、例えば、前記式(I)において、nが1で、Y
2が−O−C(=O)−である下記式(I−1)で表される化合物は、以下のようにして得ることができる。
【0058】
(式中、R、G
1、Y
1、A
1、A
2は前記と同じ意味を表す。R
aは、メチル基、エチル基等のアルキル基;フェニル基、p−メチルフェニル基等の置換基を有していてもよいアリール基;を表す。)
すなわち、先ず、式(1)で表される化合物(化合物(1))に、式(2)で表されるスルホニルクロライドを、トリエチルアミン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン等の塩基存在下で反応させる。
次いで、得られた反応混合物に、式(3)で表される化合物(化合物(3))と、トリエチルアミン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン等の塩基を加えて反応を行う。
スルホニルクロライドの使用量は、化合物(1)1当量に対して、通常0.5〜0.7当量である。
化合物(3)の使用量は、化合物(1)1当量に対して、通常0.5〜0.6当量である。
塩基の使用量は、化合物(1)1当量に対して、通常0.5〜0.7当量である。
反応温度は、20〜30℃であり、反応時間は反応規模等にもよるが、数分から数時間である。
【0059】
上記反応に用いる溶媒としては、後述する有機溶媒と同様のものが挙げられる。なかでも、エーテル系溶媒が好ましい。
溶媒の使用量は、特に限定されず、用いる化合物の種類や反応規模等を考慮して適宜定めることができるが、化合物(1)1gに対し、通常1〜50gである。
【0060】
本発明においては、化合物(I)を、窒素原子を含む非プロトン性極性溶剤の存在下、ハロゲン化剤と反応させる。
【0061】
窒素原子を含む非プロトン性極性溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等のアミド系溶剤;ピリジン等の含窒素ヘテロ環化合物系溶剤;アセトニトリル等のニトリル系溶剤;等が挙げられる。これらの中でも、アミド系溶剤が好ましく、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、及び、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンからなる群から選ばれる少なくとも一種であるのが好ましい。
窒素原子を含む非プロトン性極性溶剤は、1種単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0062】
窒素原子を含む非プロトン性極性溶剤の使用量は、前記化合物(I)に対して、0.5当量以上、好ましくは、1.0当量以上である。使用量が少なすぎると、本発明の効果が得られない。上限は特に限定されないが、多くても得られる効果は同じであるため、通常、100当量以下、好ましくは10当量以下である。
【0063】
本発明に用いるハロゲン化剤は、特に制約はなく、カルボン酸を対応するカルボン酸ハライドに変換できるものであれば特に限定されない。その具体例としては、例えば、塩化チオニル、塩化オキサリル、塩化ホスホリル、塩化スルフリル、三塩化リン、五塩化リン、ホスゲン等の塩素化剤;三臭化リン等の臭素化剤;一塩化ヨウ素等のヨウ素化剤等が挙げられる。これらの中でも、塩素化剤又は臭素化剤が好ましく、取扱い容易性の観点から、塩化チオニル、塩化オキサリル、塩化スルフリルがより好ましく、塩化チオニルが特に好ましい。
これらのハロゲン化剤は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0064】
ハロゲン化剤の使用量は、化合物(I)に対して1.1〜3当量、好ましくは1.2〜1.5当量である。
【0065】
反応は、有機溶媒中で行うのが好ましい。
有機溶媒としては、反応に不活性なものであれば特に限定されない。例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の環状炭化水素系溶媒;クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン等の塩素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル等のエステル系溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶媒;及びこれらの2種以上からなる混合溶媒;等が挙げられる。
これらの中でも、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の環状炭化水素系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン等の塩素系溶媒が好ましい。
【0066】
有機溶媒の使用量は、特に限定されず、反応規模等を考慮して適宜定めることができるが、化合物(I)1gに対し、通常1〜100gである。
【0067】
反応温度は、−10℃から用いる有機溶媒の沸点までの温度範囲である。
反応時間は、反応規模にもよるが、通常、30分から10時間である。
【0068】
反応終了後は、有機合成化学における通常の後処理操作を行い、所望により、公知の分離・精製手段を施すことにより、目的とする化合物(II)を単離することができる。
目的とする化合物の構造は、NMRスペクトル、IRスペクトル、マススペクトル等の測定、元素分析等により、同定することができる。
【0069】
本発明の製造方法によれば、前記化合物(III)の副生が抑えられ、目的とする化合物(II)を、通常98%以上、好ましくは99.5%以上の高純度で、ほぼ100%の高収率で得ることができる。
また、後述するように、反応終了後の反応混合物を、常温(20〜30℃)で24時間程度保存等した場合であっても、目的とする化合物(II)が化合物(III)に転化して、化合物(II)の含量が低下していくということがない。
【0070】
2)組成物
本発明の組成物は、下記式(II)で示される化合物、ハロゲン化剤及び/又はハロゲン化剤由来物、並びに、前記式(II)で表される化合物に対して0.5当量以上の、窒素原子を含む非プロトン性極性溶剤を含有するものである。
【0072】
(式中、R、X、G
1、Y
1、Y
2、A
1、A
2、及びnは前記と同じ意味を表す。)。
化合物(II)、ハロゲン化剤としては、1)製造方法の項で示したのと同様のものが挙げられる。
ハロゲン化剤由来物は、カルボン酸とハロゲン化剤との反応の副生成物を意味し、例えば、塩化水素、臭化水素等のハロゲン化水素等が挙げられる。
【0073】
前記窒素原子を含む非プロトン性極性溶剤は、前記と同様のものが挙げられる。なかでも、アミド系溶剤であるのが好ましく、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、及び、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンからなる群から選ばれる少なくとも一種であるのがより好ましい。
窒素原子を含む非プロトン性極性溶剤の含有量は、化合物(II)に対して、通常0.5当量以上、好ましくは、1.0当量以上である。含有量が少なすぎると安定化の効果が得られない。上限は特に限定されないが、多くても得られる効果は同じであるため、通常、100当量以下、好ましくは10当量以下である。
【0074】
本発明の組成物は、更に有機溶媒を含有するのが好ましい。
有機溶媒としては、前記1)の製造方法で反応に使用する有機溶媒として例示したのと同様のものが挙げられる。
有機溶媒の使用量は、特に限定されないが、化合物(II)1gに対し、1〜100gであるのが好ましい。
【0075】
化合物(II)は、ハロゲン化剤及び/又はハロゲン化剤由来物が併存する場合、経時的に前記化合物(III)に転化する。これを防止するためには、ハロゲン化剤及び/又はハロゲン化剤由来物を完全に除去する方法が考えられる。本発明においては、組成物中にハロゲン化剤等が存する場合であっても、化合物(II)が、窒素原子を含む非プロトン性極性溶剤によって安定化されているため、該組成物を長時間保存した場合であっても、化合物(II)が、化合物(III)に転化して、結果として、組成物中の、化合物(II)の含有量が減少することがない。
【0076】
本発明の組成物としては、化合物(I)を、化合物(I)に対して0.5当量以上の、窒素原子を含む非プロトン性極性溶剤の存在下、所望により有機溶媒中で、ハロゲン化剤と反応させて得られる反応混合物や、該反応混合物から低沸点物質が除去されたもの等が挙げられる。
この反応混合物は、目的物の化合物(II)をほぼ100%の収率で得た後、そのまま常温で24時間程度保存等した場合であっても、化合物(II)が化合物(III)へと転化することがない。よって、反応後早急に後処理や次工程に供する必要がなく、また、長時間保存後であっても、そのまま次工程に供することができる。
【0077】
3)安定化方法
本発明の安定化方法は、前記化合物(II)、並びに、ハロゲン化剤及び/又はハロゲン化剤由来物を含む有機溶媒溶液に、前記化合物(II)に対して0.5当量以上の、窒素原子を含む非プロトン性極性溶剤を含有させることを特徴とする、前記化合物(II)の安定化方法である。
化合物(II)、ハロゲン化剤及び/又はハロゲン化剤由来物、窒素原子を含む非プロトン性極性溶剤及び有機溶媒、並びにこれらの使用量としては、1)、2)の項で示したのと同様のものが挙げられる。
有機溶媒の使用量は、特に限定されないが、化合物(II)1gに対し、1〜100gであるのが好ましい。
【0078】
本発明の安定化方法によれば、化合物(II)、並びに、ハロゲン化剤及び/又はハロゲン化剤由来物を含む有機溶媒溶液を長時間、例えば、24時間程度保存した場合であっても、化合物(II)のハロゲン化副生成物(化合物(III))への転化が抑制され、結果として、有機溶媒溶液中の、化合物(II)の含有量の減少が抑えられる。
【0079】
4)化合物(II)
本発明の化合物は、前記1)、2)の項で説明した通りの、式(II)
【0081】
〔式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Y
1、Y
2はそれぞれ独立して、化学的な単結合、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR
1−C(=O)−、又は、−C(=O)−NR
1−を表す。ここで、R
1は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
G
1は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の二価の鎖状脂肪族基を表す。該鎖状脂肪族基には、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR
2−C(=O)−、−C(=O)−NR
2−、−NR
2−、又は、−C(=O)−が介在していてもよい。ただし、−O−又は−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。ここで、R
2は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
A
1、A
2はそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数3〜12の二価の芳香族炭化水素基、又は、置換基を有していてもよい炭素数3〜12の二価の脂環式炭化水素基を表す。Xはハロゲン原子を示し、nは0又は1を表す。〕で示される化合物(化合物(II))である。
【0082】
前記R、Y
1、Y
2、G
1、A
1、A
2、X、及びnの具体例としては、本発明の製造方法の項で列記したものと同様のものが挙げられる。
【0083】
本発明の化合物においては、R
1としては、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
Y
1、Y
2としては、それぞれ独立して、化学的な単結合、−O−、−O−C(=O)−、又は、−C(=O)−O−であるのが好ましい。
G
1としては、置換基を有していてもよい炭素数1〜12の二価の鎖状脂肪族基〔該脂肪族基には、−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、又は−C(=O)−が介在していてもよい。ただし、−O−が2個以上隣接して介在する場合を除く。〕が好ましく、炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数2〜20のアルケニレン基等の二価の鎖状脂肪族基がより好ましく、炭素数1〜12のアルキレン基がさらに好ましく、テトラメチレン基〔−(CH
2)
4−〕、ヘキサメチレン基〔−(CH
2)
6−〕、オクタメチレン基〔−(CH
2)
8−〕、及び、デカメチレン基〔−(CH
2)
10−〕が特に好ましい。
【0084】
A
1、A
2の置換基を有していてもよい炭素数3〜12の二価の脂環式炭化水素基としては、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルカンジイル基が好ましく、置換基を有していてもよい前記式(A31)〜(A34)で表される基がより好ましく、置換基を有していてもよい前記式(A32)で表される基がさらに好ましく、(A32b)で表される基が特に好ましい。
A
1、A
2の炭素数3〜12の二価の芳香族炭化水素基としては、前記(A41)、(A42)、(A43)で示されるものが好ましく、(A41)で示されるものがより好ましい。
本発明においては、化合物(II)は、前記式(II)中、nが1であるのが好ましく、また、前記式(II)中、Xがフッ素原子、塩素原子又は臭素原子であるのが好ましく、塩素原子であるのがより好ましい。
このような化合物(II)は、広い波長域において一様の偏光変換が可能な光学フィルムを作製することができる重合性化合物の製造中間体として有用である。
【実施例】
【0085】
以下、本発明を、実施例によりさらに詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例により何ら制限されるものではない。
【0086】
(合成例1)化合物(Ia)の合成
【0087】
【化15】
【0088】
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸 90g(0.52mol)とテトラヒドロフラン(THF)800mlを加えた。そこへ、メタンスルホニルクロリド 33g(0.29mol)を加え、反応器を水浴に浸して反応液内温を20℃とした。次いで、トリエチルアミン 31.7g(0.31mol)を、反応液内温を20〜30℃に保持しながら、30分間かけて滴下した。滴下終了後、全容を25℃で2時間さらに攪拌した。
得られた反応液に、4−(ジメチルアミノ)ピリジン 3.2g(26.2mmol)、及び、4−(6−アクリロイルオキシ−ヘクス−1−イルオキシ)フェノール(DKSH社製)69g(0.26mol)を加え、再度反応器を水浴に浸して反応液内温を15℃とした。そこへ、トリエチルアミン 31.7g(0.31mmol)を、反応液内温を20〜30℃に保持しながら、30分間かけて滴下した。滴下終了後、全容を25℃でさらに2時間さらに攪拌した。反応終了後、反応液に蒸留水4000mlと飽和食塩水500mlを加え、酢酸エチル1000mlで2回抽出した。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにてろ液から溶媒を蒸発除去した後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(THF:トルエン=1:9(体積比))により精製することで、白色固体として化合物(Ia)を70.6g得た。収率65%。
目的物の構造は
1H−NMRで同定した。
【0089】
1H−NMR(500MHz,DMSO−d
6,TMS,δppm):12.12(s,1H)、6.99(d,2H,J=9.0Hz)、6.92(d,2H,J=9.0Hz)、6.32(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.17(dd,1H,J=10.0Hz,17.5Hz)、5.93(dd,1H,J=1.5Hz,10.0Hz)、4.11(t,2H,J=6.5Hz)、3.94(t,2H,J=6.5Hz)、2.48−2.56(m,1H)、2.18−2.26(m,1H)、2.04−2.10(m,2H)、1.93−2.00(m,2H)、1.59−1.75(m,4H)、1.35−1.52(m,8H)
【0090】
(実施例1)
【0091】
【化16】
【0092】
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、合成例1で得た化合物(Ia)30g(71.7mmol)及びトルエン300g、N,N−ジメチルホルムアミド5.5g(75.2mmol)を加えて、全容を10℃以下に冷却した。そこへ、塩化チオニル9.14g(76.8mmol)を、反応温度を10℃以下に保持しながら滴下した。滴下終了後、反応温度を25℃に戻し、全容を同温度でさらに4時間撹拌した。下記表1中、この方法を、反応方法Iと表記する。
【0093】
反応終了後、反応混合物中の副生成物である下記に示す化合物(IIIa)の含有量を算出するために、目的物の化合物(IIa)を下記化合物2に、化合物(IIIa)を化合物3に変換すべく、次の反応を行った。
反応終了後、反応液を1.0gサンプリングしてメタノール0.1gを加え、5分間撹拌した。反応混合物に、水1.0g、酢酸エチル0.2gを加えて分液操作を行った。その後、有機層を高速液体クロマトグラフ(HPLC)にて分析を行い、化合物2と化合物3の含量を測定した。その結果、化合物2の含有量、すなわち化合物(IIa)の含有量と、化合物(IIIa)の含有量、すなわち化合物3の含有量の割合は、98.81重量%と、1.19重量%であった。
【0094】
【化17】
【0095】
【化18】
【0096】
【化19】
【0097】
(実施例2)
実施例1において、N,N−ジメチルホルムアミド5.5g(75.2mmol)を7.9g(108.1mmol)に変更した以外は、実施例1と同様にして操作を実施した。結果を下記表1にまとめて示す。
【0098】
(実施例3)
実施例1において、N,N−ジメチルホルムアミド5.5g(75.2mmol)を10.5g(143.7mmol)に変更した以外は、実施例1と同様にして操作を実施した。結果を下記表1にまとめて示す。
【0099】
(実施例4)
実施例1において、N,N−ジメチルホルムアミド5.5g(75.2mmol)を26.2g(358.5mmol)に変更した以外は、実施例1と同様にして操作を実施した。結果を下記表1にまとめて示す。
【0100】
(実施例5)
実施例1において、N,N−ジメチルホルムアミド5.5g(75.2mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド300mg(4.1mmol)とN,N−ジメチルアセトアミド6.55g(75.2mmol)に変更した以外は、実施例1と同様にして操作を実施した。結果を下記表1にまとめて示す。
【0101】
(実施例6)
実施例1において、N,N−ジメチルホルムアミド5.5g(75.2mmol)を、N−メチルピロリドン7.45g(75.2mmol)とN,N−ジメチルホルムアミド300mg(4.1mmol)に変更した以外は、実施例1と同様にして操作を実施した。結果を下記表1にまとめて示す。
【0102】
(実施例7)
実施例1において、N,N−ジメチルホルムアミド5.5g(75.2mmol)を、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン8.58g(75.2mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド300mg(4.1mmol)に変更した以外は、実施例1と同様にして操作を実施した。結果を下記表1にまとめて示す。
【0103】
(実施例8)
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、前記合成例1で合成した化合物A30g(71.7mmol)及びトルエン300g、N,N−ジメチルホルムアミド5.5g(75.2mmol)を加えて、全容を10℃以下に冷却した。そこへ、塩化チオニル9.14g(76.8mmol)を反応温度が10℃以下になるように保持しながら滴下した。滴下終了後、反応液を25℃に戻して、同温度でさらに1時間撹拌した。反応終了後、エバポレーターにて反応液の量が半分になるまで濃縮した。その後、抜き出した量と同じ量のトルエンを加えて、エバポレーターにて反応液の量が半分になるまで濃縮した。この操作を3回繰り返し、得られたトルエン溶液を23℃にて24時間保管した。なお、下記表1中、この方法を、反応方法IIとする。
【0104】
反応終了後、目的とする化合物(IIa)、及び、副生成物である前記化合物(IIIa)の含有量を算出するために、実施例1と同様の操作を行い、化合物(IIa)を前記化合物2に、化合物(IIIa)を化合物3に変換した。結果を下記表1にまとめて示す。
【0105】
(実施例9)
実施例8において、N,N−ジメチルホルムアミド5.5g(75.2mmol)を7.9g(108.1mmol)に変更した以外は、実施例8と同様にして操作を実施した。結果を下記表1にまとめて示す。
【0106】
(実施例10)
実施例8において、N,N−ジメチルホルムアミド5.5g(75.2mmol)を10.5g(143.7mmol)に変更した以外は、実施例8と同様にして操作を実施した。結果を下記表1にまとめて示す。
【0107】
(実施例11)
実施例8において、N,N−ジメチルホルムアミド5.5g(75.2mmol)を26.2g(358.5mmol)に変更した以外は、実施例8と同様にして操作を実施した。結果を下記表1にまとめて示す。
【0108】
(実施例12)
実施例8において、N,N−ジメチルホルムアミド5.5g(75.2mmol)を、N,N−ジメチルアセトアミド6.55g(75.2mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド300mg(4.1mmol)に変更した以外は、実施例8と同様にして操作を実施した。結果を下記表1にまとめて示す。
【0109】
(実施例13)
実施例8において、N,N−ジメチルホルムアミド5.5g(75.2mmol)を、N−メチルピロリドン7.45g(75.2mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド300mg(4.1mmol)に変更した以外は、実施例8と同様にして操作を実施した。結果を下記表1にまとめて示す。
【0110】
(実施例14)
実施例8において、N,N−ジメチルホルムアミド5.5g(75.2mmol)を、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン8.58g(75.2mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド300mg(4.1mmol)に変更した以外は、実施例8と同様にして操作を実施した。結果を下記表1にまとめて示す。
【0111】
(比較例1)
実施例1において、N,N−ジメチルホルムアミド5.5g(75.2mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド300mg(4.1mmol)に変更した以外は、実施例1と同様にして操作を実施した。結果を下記表1にまとめて示す。
【0112】
(比較例2)
実施例1において、N,N−ジメチルホルムアミド5.5g(75.2mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド1.05g(14.4mmol)に変更した以外は、実施例1と同様にして操作を実施した。結果を下記表1にまとめて示す。
【0113】
(比較例3)
実施例1において、N,N−ジメチルホルムアミド5.5g(75.2mmol)を、γ−ブチロラクトン6.47g(75.2mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド300mg(4.1mmol)に変更した以外は、実施例1と同様にして操作を実施した。結果を下記表1にまとめて示す。
【0114】
(比較例4)
実施例8において、N,N−ジメチルホルムアミド5.5g(75.2mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド300mg(4.1mmol)に変更した以外は、実施例8と同様にして操作を実施した。結果を下記表1にまとめて示す。
【0115】
(比較例5)
実施例8において、N,N−ジメチルホルムアミド5.5g(75.2mmol)を1.05g(14.4mmol)に変更した以外は、実施例8と同様にして操作を実施した。結果を下記表1にまとめて示す。
【0116】
(比較例6)
実施例8において、N,N−ジメチルホルムアミド5.5g(75.2mmol)を、γ−ブチロラクトン6.47g(75.2mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド300mg(4.1mmol)に変更した以外は、実施例8と同様にして操作を実施した。結果を下記表1にまとめて示す。
【0117】
(実施例15)
実施例1において、トルエン300gをクロロホルム(トクヤマ社製、アミレン安定剤品)300gに変更した以外は、実施例1と同様にして操作を実施した。結果を下記表2にまとめて示す。
【0118】
(実施例16)
実施例15において、N,N−ジメチルホルムアミド5.5g(75.2mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド10.5g(143.7mmol)に変更した以外は、実施例15と同様にして操作を実施した。結果を下記表2にまとめて示す。
【0119】
(実施例17)
実施例15において、N,N−ジメチルホルムアミド5.5g(75.2mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド26.2g(358.5mmol)に変更した以外は、実施例15と同様にして操作を実施した。結果を下記表2にまとめて示す。
【0120】
(実施例18)
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、前記合成例1で合成した化合物A30g(71.7mmol)及びクロロホルム(トクヤマ社製、アミレン安定剤品)300g、N,N−ジメチルホルムアミド5.5g(75.2mmol)を加えて、全容を10℃以下に冷却した。そこへ、塩化チオニル9.14g(76.8mmol)を反応温度が10℃以下になるように保持しながら滴下した。滴下終了後、反応液を25℃に戻して、同温度でさらに1時間撹拌した。反応終了後、エバポレーターにて濃縮を行い、クロロホルム225gを抜き出した後、新たにクロロホルム(トクヤマ社製、アミレン安定剤品)を75g追加して希釈した。得られたクロロホルム溶液を23℃にて24時間保管した。なお、下記表2中、この方法を、反応方法IIIとする。
【0121】
(実施例19)
実施例18において、N,N−ジメチルホルムアミド5.5g(75.2mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド10.5g(143.7mmol)に変更した以外は、実施例18と同様にして操作を実施した。結果を下記表2にまとめて示す。
【0122】
(実施例20)
実施例18において、N,N−ジメチルホルムアミド5.5g(75.2mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド26.2g(358.5mmol)に変更した以外は、実施例18と同様にして操作を実施した。結果を下記表2にまとめて示す。
【0123】
(比較例7)
実施例15において、N,N−ジメチルホルムアミド5.5g(75.2mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド1.05g(14.4mmol)に変更した以外は、実施例15と同様にして操作を実施した。結果を下記表2にまとめて示す。
【0124】
(比較例8)
実施例18において、N,N−ジメチルホルムアミド5.5g(75.2mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド1.05g(14.4mmol)に変更した以外は、実施例18と同様にして操作を実施した。結果を下記表2にまとめて示す。
【0125】
【表1】
【0126】
【表2】
【0127】
表1、2において、A〜Eは、以下のものを表す。
A:N,N−ジメチルホルムアミド
B:N,N−ジメチルアセトアミド
C:N−メチルピロリドン
D:1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン
E:γ−ブチロラクトン
【0128】
表1、2から、窒素原子を含む非プロトン性極性溶剤を0.5当量以上添加した実施例1〜20によれば、化合物3、すなわち化合物(IIIa)の生成が大幅に抑制されることがわかる。
また、実施例5,6,7,12,13,14の結果から、N,N−ジメチルホルムアミドと、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、又は、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを併用した場合にも、N,N−ジメチルホルムアミドを用いる場合と同等又は同等以上の抑制効果が確認できる。
一方、窒素原子を含む非プロトン性極性溶剤を、0.5当量未満しか使用していない比較例1〜8では、化合物3、すなわち化合物(IIIa)の含有量が実施例に比して高くなっている。また、非プロトン性極性溶剤であるγ−ブチロラクトンを0.5当量以上用いても、副反応の原因になりうるハロゲン化剤を除去しても、好ましい結果は得られない(比較例3、6)。
【0129】
(実施例21)化合物1の合成における経時変化の測定
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、前記合成例1で合成した化合物A30g(71.7mmol)及びトルエン300g、N,N−ジメチルホルムアミド5.5g(75.2mmol)(1.05当量)を加えて、10℃以下に冷却した。そこへ、塩化チオニル9.14g(76.8mmol)を反応温度が10℃以下になるように保持しながら滴下した。滴下終了後、反応液を25℃に戻して、同温度でさらに24時間撹拌した。
1時間後、2時間後、3時間後、4時間後、6時間後、12時間後、18時間後、及び、24時間後にそれぞれ反応液を1.0gサンプリングして、メタノール0.1gを加えて撹拌し、サンプルに含まれる化合物(IIa)を化合物2に変換し、化合物(IIIa)を化合物3に変換したのち、水1.0g、酢酸エチル0.2gを加えて分液操作を行った。その後、有機層を高速液体クロマトグラフ(HPLC)にて分析を行い、化合物2と化合物3の含量を測定することで純度を求めてその変化を追跡した。結果を下記表3、及び
図1のグラフにまとめて示す。
図1中、縦軸は化合物2の含有量(%)、横軸は時間(Hr)を示す。
【0130】
(実施例22)
実施例21において、N,N−ジメチルホルムアミド5.5g(75.2mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド7.9g(108.1mmol)(1.5当量)に変更した以外は、実施例21と同様にして操作を実施した。結果を下記表3、及び
図1のグラフにまとめて示す。
【0131】
(実施例23)
実施例21において、N,N−ジメチルホルムアミド5.5g(75.2mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド10.5g(143.7mmol)(2.0当量)に変更した以外は、実施例21と同様にして操作を実施した。結果を下記表3、及び
図1のグラフにまとめて示す。
【0132】
(実施例24)
実施例21において、N,N−ジメチルホルムアミド5.5g(75.2mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド26.2g(358.5mmol)(5.0当量)に変更した以外は、実施例21と同様にして操作を実施した。結果を下記表3、及び
図1のグラフにまとめて示す。
【0133】
(比較例9)
実施例21において、N,N−ジメチルホルムアミド5.5g(75.2mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド300mg(4.1mmol)(0.06当量)に変更した以外は、実施例21と同様にして操作を実施した。結果を下記表3、及び
図1のグラフにまとめて示す。
【0134】
(比較例10)
実施例21において、N,N−ジメチルホルムアミド5.5g(75.2mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド1.05g(14.4mmol)(0.2当量)に変更した以外は、実施例21と同様にして操作を実施した。結果を下記表3、及び
図1のグラフにまとめて示す。
【0135】
(比較例11)
実施例21において、N,N−ジメチルホルムアミド5.5g(75.2mmol)をγ−ブチロラクトン6.47g(75.2mmol)(1.05当量)、N,N−ジメチルホルムアミド300mg(4.1mmol)(0.06当量)に変更した以外は、実施例21と同様にして操作を実施した。結果を下記表3、及び
図1のグラフにまとめて示す。
【0136】
【表3】
【0137】
表3、及び
図1のグラフから、窒素原子を含む非プロトン性極性溶剤を、化合物(IIa)(反応収率はほぼ100%であることから、化合物(Ia)と等量である。)に対して0.5〜5当量用いた実施例21〜24においては、反応終了後、時間(1〜24時間)が経過しても化合物3(すなわち化合物(IIIa))の生成が抑制されることがわかる。例えば、3時間経過後であっても、化合物2(すなわち化合物(IIa))の純度は99%以上を、24時間経過後であっても、純度95%以上を維持している。
一方、窒素原子を含む非プロトン性極性溶剤の使用量が0.5当量未満の比較例9、10では、化合物(IIa)が化合物(IIIa)に転化し、化合物(IIa)の含有量が減少していくことがわかる。比較例11においては、「窒素原子を含まない非プロトン性極性溶媒」であるγ−ブチロラクトンを、化合物(IIa)に対して1.05当量使用しているが、その効果は得られないことが分かる。