(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
導電性高分子化合物と発泡剤とを含む発泡用組成物中の前記発泡剤を発泡させて気泡を生成し、空隙の割合が60体積%以上の多孔構造を形成する発泡工程を有する熱電変換材料の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本明細書中において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
【0016】
〔熱電変換材料〕
本実施形態の熱電変換材料は、導電性高分子化合物を含む多孔構造を有し、前記多孔構造における空隙の割合(以下「空隙率」ともいう)が60体積%以上である。
本実施形態では、上記構成とすることより、熱電変換性能の向上に適した熱電変換材料が得られる。
導電性高分子化合物を用いた材料において、例えば導電性の向上を目的とする場合、空隙が多くなりすぎると導電率が下がりやすいため、空隙を減らすことで材料の性能を向上させようとすることが一般的である。しかし、本発明者らは、熱電変換材料に関しては、むしろ空隙率を60体積%以上にまで高い値にすることで、熱電変換性能の向上に適した熱電変換材料が得られることを見出した。
【0017】
ここで、「空隙」とは、室温(25℃)において固体又は液体である物質が存在しない領域を言う。なお、空隙には気体が存在してもよい。
つまり、空隙は、真空の領域又は気体が充填された領域であるため、導電性高分子化合物を含む固形部(つまり、空隙以外の領域)に比べて熱伝導率が低い。そして本実施形態の熱電変換材料は、空隙率の低いものと比べて熱伝導率の低い空隙を多く含むため、熱電変換材料全体としての熱伝導率も低くなる。
熱電変換材料では、ゼーベック係数が大きく、導電率が高く、かつ、熱伝導率が低いほど、熱電変換性能が高くなる。そして本実施形態の熱電変換材料は、例えばキャスト膜のように空隙を有さない熱電変換材料や、空隙率の小さい熱電変換材料に比べて熱伝導率が低い。そのため本実施形態の熱電変換材料では、熱伝導率の低い熱電変換材料に比べて、熱電変換性能の向上に適していると考えられる。
【0018】
その上、本実施形態の熱電変換材料は、空隙を多く含むため、空隙を含まない同じ質量の導電性高分子化合物の薄膜(例えばキャスト膜)に比べて、膜厚を厚くすることができる。したがって、本実施形態の熱電変換材料は、同じ質量の導電性高分子化合物を用い、かつ、空隙率の低い熱電変換材料に比べて、熱伝導率が低く、かつ、厚いことにより、両面に温度差をつけても熱が伝わりにくい(すなわち断熱性が高い)。そして、熱電変換材料の断熱性が高いと、温度差が維持されやすいため、より熱電変換材料として適していると考えられる。
【0019】
なお、空隙としては、例えば、後述する凍結乾燥体における溶媒除去痕のほか、後述する発泡体における気泡痕等が挙げられる。
空隙率の測定及び算出方法は、以下の通りである。具体的には、まず、試料をミクロトームにより切断し、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM、JEOL社製、型番:JSM−6510)によって100〜1500倍で撮影し、SEM画像を得て、SEM画像から多孔構造を有することを確認する。次に、得られたSEM画像を画像解析ソフト(pickmap32−2.4)により二値化し、空隙の面積と固形部の面積とを求め、その割合から空隙率を算出する。
なお、空隙率としては、例えば、60体積%以上99.7体積%以下が好ましい。
【0020】
空隙の数平均径としては、例えば300μm以下が好ましい。空隙率を高くすると、空隙率の低いものに比べて熱電変換材料全体としてのゼーベック係数及び導電率が下がる場合があるが、空隙の数平均径を小さくすることでゼーベック係数の低下及び導電率の低下が抑制される。その理由は定かではないが、径の大きい空隙は導電性高分子化合物の導電パスを阻害しやすいが、空隙の数平均径を小さくすることで、導電性高分子化合物の導電パスの数が増え、ゼーベック係数の低下及び導電率の低下が抑制され、より熱電変換性能の向上に適していると推測される。
【0021】
空隙の数平均径の測定及び算出方法は、以下の通りである。具体的には、まず、上記空隙率の測定と同様に、試料をミクロトームにより切断した断面のSEM画像を得る。次に、得られたSEM画像を、画像解析ソフト(Image J)により粒子解析を行い、空隙の数平均径(具体的には、500〜1000個の空隙における径の数平均)を算出する。
なお、空隙が円形ではない場合、空隙と面積が等しい円の径を算出し、その値を「径」とする。
なお、空隙の数平均径としては、ゼーベック係数の低下抑制及び導電率の低下抑制の観点から、10μm以上250μm以下が好ましく、15μm以上220μm以下がより好ましく、15μm以上200μm以下がさらに好ましく18μm以上150μm以下が特に好ましい。
【0022】
本明細書中において、「導電性高分子化合物」とは、ドーパントによるドーピング(すなわち、少量の電子受容性物質又は電子供与物質の添加)によって導電性を示す高分子化合物を言う。
導電性高分子化合物としては、例えば共役系高分子化合物が挙げられ、具体的には、例えば、ポリアセチレン等の脂肪族共役系高分子化合物、ポリ(p−フェニレン)等の芳香族共役系高分子化合物、ポリ(p−フェニレンビニレン)等の混合型共役系高分子化合物、ポリピロール及びポリチオフェン等の複素環共役系高分子化合物、ポリアニリン等の含ヘテロ原子共役系高分子化合物、並びにこれらの誘導体等が挙げられる。これらの導電性高分子化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
これらの中でも、導電性高分子化合物としては、熱電変換性能の観点から、複素環共役系高分子化合物及び含ヘテロ原子共役系高分子化合物等のヘテロ原子を有する高分子化合物が好ましい。
また、ヘテロ原子を有する高分子化合物としては、ポリチオフェン系高分子化合物、ポリアニリン系高分子化合物、ポリピロール系高分子化合物が好ましい。
ポリチオフェン系高分子化合物の具体例としては、ポリチオフェン、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリ(3−チオフェン−β−エタンスルホン酸)、ポリアルキレンジオキシチオフェン等が挙げられる。また、ポリアルキレンジオキシチオフェンとしては、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン(以下「PEDOT」ともいう)、ポリプロピレンジオキシチオフェン、ポリ(エチレン/プロピレン)ジオキシチオフェン等が挙げられる。
ポリアニリン系高分子化合物の具体例としては、ポリアニリン、ポリメチルアニリン、ポリメトキシアニリン等が挙げられる。
ポリピロール系高分子化合物の具体例としては、ポリピロール、ポリ3−メチルピロール、ポリ3−オクチルピロール等が挙げられる。
【0024】
これらの中でも、導電性高分子化合物としては、硫黄原子を有する高分子化合物が好ましく、ポリチオフェン系高分子化合物がより好ましく、ポリアルキレンジオキシチオフェンがさらに好ましく、PEDOTが特に好ましい。
【0025】
導電性高分子化合物の重量平均分子量は、導電性高分子化合物の種類によっても異なり、特に限定されないが、例えば1000以上200000以下が挙げられる。また、PEDOTの重量平均分子量としては、例えば1000以上2500以下が挙げられる。
なお、上記重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定された値である。
【0026】
熱電変換材料は、導電性高分子化合物に導電性を付与するドーパントを含んでもよい。
ドーパントとしては、例えばポリアニオン等が挙げられる。ポリアニオンの具体例としては、例えば、ポリビニルスルホン酸イオン、ポリスチレンスルホン酸イオン(以下「PSS」ともいう)、ポリアリルスルホン酸イオン、ポリアクリル酸エチルスルホン酸イオン、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸イオン、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸イオン、ポリイソプレンスルホン酸イオン等のスルホ基を有する重合体のポリアニオンのほか、ポリビニルカルボン酸イオン、ポリスチレンカルボン酸イオン、ポリアリルカルボン酸イオン、ポリアクリルカルボン酸イオン、ポリメタクリルカルボン酸イオン、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸イオン、ポリイソプレンカルボン酸イオン、ポリアクリル酸イオン等が挙げられる。
なお、ポリアニオンは、単独重合体のイオンであってもよく、共重合体のイオンであってもよく、ポリアニオンの重量平均分子量としては、例えば5000以上150000以下が挙げられる。
【0027】
また、ドーパントとして、その他にも、4−フッ化ホウ酸イオン(BF
4ー)、p−トルエンスルホン酸イオン(以下「TOS」ともいう)、アントラキノン−2−スルホン酸イオン、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸イオン、ポリビニルスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン(例えばドデシルベンゼンスルホン酸イオン等)、アルキルスルホン酸イオン、カンファースルホン酸イオン等のスルホン酸イオンのほか、n−プロピルリン酸イオン、過塩素酸イオン(ClO
4ー)、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF
6ー)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン(以下「BTFMSI」ともいう)、塩化鉄イオン(FeCl
4ー)、塩化金イオン(AuCl
4ー)、塩化物イオン(Cl
ー)、硫化物イオン(SO
42ー)、ヨウ素イオン、リン酸イオン等が挙げられる。
【0028】
導電性高分子化合物100質量部に対するドーパントの添加量は、導電性高分子化合物及びドーパントの種類によっても異なるが、例えば100質量部以上1000質量部以下が挙げられる。特に、導電性高分子化合物がPEDOTであり、かつ、ドーパントがPSSである場合、導電性高分子化合物100質量部に対するドーパントの添加量は、熱電変換材料の導電率向上の観点から、250質量部以上600質量部以下が好ましい。
【0029】
導電性高分子化合物とドーパントとの組み合わせとしては、例えば、ポリチオフェン−ClO
4、ポリチオフェン−BF
4、ポリチオフェン−PF
6、ポリチオフェン−FeCl
4、ポリチオフェン−AuCl
4、ポリチオフェン−ヨウ素、ポリ(3−アルキルチオフェン)−ClO
4、ポリ(3−アルキルチオフェン)−BF
4、ポリ(3−アルキルチオフェン)−PF
6、ポリ(3−アルキルチオフェン)−FeCl
4、ポリ(3−アルキルチオフェン)−AuCl
4、ポリ(3−アルキルチオフェン)−ヨウ素、PEDOT−PSS、PEDOT−TOS、PEDOT−BTFMSI、PEDOT−ClO
4、PEDOT−BF
4、PEDOT−PF
6、PEDOT−Cl、PEDOT−SO
4、ポリアニリン−アルキルベンゼンスルホン酸、ポリアニリン−カンファースルホン酸、ポリアニリン−Cl、ポリアニリン−SO
4、ポリアニリン−リン酸、ポリピロール−ClO
4、ポリピロール−BF
4、ポリピロール−PF
6、ポリピロール−FeCl
4、ポリピロール−AuCl
4、ポリピロール−アルキルベンゼンスルホン酸、ポリピロール−ヨウ素等が挙げられる。
【0030】
上記の組み合わせの中でも、導電性高分子化合物とドーパントとの好ましい組み合わせとしては、熱電変換性能の観点から、共役系高分子化合物がポリチオフェン系高分子化合物であり、かつ、ドーパントがスルホ基を有する重合体のポリアニオン及びスルホン酸イオンの少なくとも一種である組み合わせが挙げられる。また、これらの中でも、導電性高分子化合物とドーパントとのより好ましい組み合わせとしては、PEDOT−PSS、PEDOT−TOS、PEDOT−BTFMSI、PEDOT−ClO
4、PEDOT−BF
4、PEDOT−PF
6が挙げられ、さらに好ましくはPEDOT−PSS、PEDOT−TOSであり、特に好ましくはPEDOT−PSSである。
【0031】
熱電変換材料は、導電性高分子化合物及びドーパント以外に、添加剤としてその他の成分を含んでもよい。
その他の成分としては、例えば、導電性高分子化合物の二次ドーパント、フィラー(無機粒子、金属単体粒子、有機系粒子等)等が挙げられる。
【0032】
導電性高分子化合物の二次ドーパントとしては、例えば、エチレングリコール、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
熱電変換材料が上記二次ドーパントを含む場合、導電性高分子化合物100質量部に対する二次ドーパントの添加量は、導電性高分子化合物及び二次ドーパントの種類や組み合わせによっても異なるが、例えば10000質量部以上20000質量部以下の範囲が挙げられる。
【0033】
熱電変換材料の形状は、使用目的に応じて適宜選択され、特に限定されるものではないが、例えば膜状のもの等が挙げられる。熱電変換材料が膜状である場合、厚みとしては、例えば、1μm以上3000μm以下が挙げられ、断熱性の観点から、200μm以上3000μm以下が好ましく、1000μm以上3000μm以下がより好ましい。
【0034】
本実施形態の熱電変換材料としては、例えば、前記導電性高分子化合物を含む組成物の凍結乾燥体(以下単に「凍結乾燥体」ともいう)又は前記導電性高分子化合物を含む組成物の発泡体(以下単に「発泡体」ともいう)が挙げられる。
凍結乾燥体又は発泡体であり、かつ、空隙率を前記範囲とすることで、ゼーベック係数及び導電率を維持しつつ、断熱性が高くなるため、熱電変換性能の向上に適している。
【0035】
例えば、導電性高分子化合物と中空粒子とを混合して得られた多孔質の薄膜では、中空粒子の中空部のみを「空隙」として利用しており、高い空隙率の実現は難しい。特に、中空粒子として導電性高分子化合物以外の材料で形成されたものを用いた場合、空隙率を高くするほど、固形部における導電性高分子化合物及びドーパントの合計含有量が下がるため、ゼーベック係数及び導電率も下がりやすい。それに比べて凍結乾燥体及び発泡体では、高い空隙率を実現しやすく、かつ、固形部における導電性高分子化合物及びドーパントの合計含有量の低下も抑制されるため、ゼーベック係数及び導電率を維持しつつ、断熱性を高められる。
【0036】
なお、多孔構造の固形部における導電性高分子化合物の含有量としては、例えば20質量%以上が挙げられ、ゼーベック係数の低下抑制及び導電率の低下抑制の観点から、25質量%以上が好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。
また、多孔構造の固形部における、導電性高分子化合物及びドーパントの合計含有量としては、例えば70質量%以上が挙げられ、ゼーベック係数の低下抑制及び導電率の低下抑制の観点から、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がさらに好ましい。
以下、本実施形態における熱電変換材料の一例として、凍結乾燥体及び発泡体についてそれぞれ説明する。
【0037】
<凍結乾燥体>
凍結乾燥体は、導電性高分子化合物を含む組成物(熱電変換材料がドーパントを含む場合は、導電性高分子化合物及びドーパントを含む組成物)が凍結乾燥されたものである。凍結乾燥体の一例を
図1及び
図2に示す。
図1は、液体窒素を用いた凍結によって得られた凍結乾燥体の断面SEM画像であり、
図2は、−20℃での凍結によって得られた凍結乾燥体の断面SEM画像である。
図1及び
図2に示されるように、凍結乾燥体の形態としては、例えば、繊維状の導電性高分子化合物が集まった綿状構造体が挙げられる。
【0038】
凍結乾燥体における空隙率は、断熱性の観点から、80体積%以上99.7体積%以下が好ましく、90体積%以上99.7体積%以下がより好ましく、95体積%以上99.5体積%以下がさらに好ましい。
凍結乾燥体における空隙率の制御は、例えば、後述する凍結乾燥用組成物全体に対する導電性高分子化合物の含有量、凍結温度、凍結工程における降温速度等の調整によって行われる。また、空隙率は、既述の方法により求められる。
【0039】
凍結乾燥体における空隙の数平均径は、特に限定されないが、例えば300μm以下が挙げられ、ゼーベック係数の低下抑制及び導電率の低下抑制の観点から、80μm以上250μm以下が好ましく、100μm以上220μm以下がより好ましく、100μm以上200μm以下がさらに好ましく、110μm以上150μm以下が特に好ましい。
凍結乾燥体における空隙の数平均径の制御は、例えば、後述する凍結乾燥用組成物全体に対する導電性高分子化合物の含有量、凍結温度、凍結工程における降温速度等の調整によって行われる。また、数平均径は、既述の方法により求められる。
【0040】
凍結乾燥体に含まれる導電性高分子化合物としては、例えば、前述の導電性高分子化合物が挙げられ、好ましい導電性高分子化合物の種類も前述の通りである。
凍結乾燥体の多孔構造の固形部における、導電性高分子化合物及びドーパントの合計含有量は、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましい。
特に凍結乾燥体は、凍結及び乾燥の工程を経ることで、添加剤を添加しなくても得られることから、固形部における導電性高分子化合物及びドーパント以外の成分(添加剤)の含有量を少なくしやすい。そして、固形部における導電性高分子化合物の含有量を高くすることで、空隙率を上げて断熱性を高めても、ゼーベック係数の低下及び導電率の低下が抑制されると考えられる。
また凍結乾燥体は、導電性高分子化合物を含む組成物が凍結乾燥される過程において、導電性高分子化合物が配向しやすいと考えられ、導電性高分子化合物が配向することで、空隙率を上げて断熱性を高めても、導電率の低下が抑制されると推測される。
【0041】
−凍結乾燥体の製造方法−
凍結乾燥体である熱電変換材料は、例えば、導電性高分子化合物と溶媒とを含む凍結乾燥用組成物を凍結する凍結工程と、凍結された凍結乾燥用組成物を乾燥する乾燥工程と、を経ることで得られる。
【0042】
(凍結乾燥用組成物)
凍結乾燥用組成物は、少なくとも導電性高分子化合物と溶媒とを含み、必要に応じてドーパントのほか、その他の添加物等を含んでもよい。ただし、得られた凍結乾燥体の固形部における導電性高分子化合物及びドーパントの合計含有量を多くする観点からは、その他の添加物が少ないほど好ましく、その他の添加物を添加しないことがより好ましい。
【0043】
凍結乾燥用組成物に用いる導電性高分子化合物及びドーパントとしては、前述の導電性高分子化合物及びドーパントが挙げられる。
凍結乾燥用組成物に用いる溶媒としては、水、ジメチルスルホキシド等が挙げられ、その中でも水が好ましい。
必要に応じて凍結乾燥用組成物に用いられる添加剤としては、例えば、導電性高分子化合物の二次ドーパント(例えば、エチレングリコール、ジメチルスルホキシド等)、フィラー(無機粒子、金属単体粒子、有機系粒子等)等が挙げられる。
【0044】
溶媒を含む凍結乾燥用組成物全体に対する導電性高分子化合物及びドーパントの合計含有量としては、例えば0.2質量%以上1.3質量%以下が挙げられ、空隙の数平均径を小さくする観点から、0.2質量%以上0.7質量%以下が好ましく、0.2質量%以上0.5質量%以下がより好ましい。
また、添加剤として上記二次ドーパントを用いる場合、導電性高分子化合物及びドーパントの合計100質量部に対する二次ドーパントの添加量としては、例えば100質量部以上500質量部以下の範囲が挙げられる。
【0045】
(凍結工程)
凍結工程では、上記凍結乾燥用組成物を凍結することで、固体の凍結乾燥用組成物を得る。具体的には、例えば、凍結乾燥用組成物を容器(例えばスクリュー管、シャーレ等)に入れた状態で凍結させる。凍結工程において用いられる容器の大きさ及び形状は、目的とする凍結乾燥体の形状に応じて適宜選択される。
【0046】
凍結温度は、凍結乾燥用組成物の凝固点よりも低い温度であれば限定されないが、例えば−10℃以下が挙げられ、−20℃以下が好ましく、−40℃以下がより好ましく、−100℃以下がさらに好ましく、−150℃以下が特に好ましい。凍結温度の下限値は特に限定されないが、例えば−270℃以上が挙げられ、−200℃以上が好ましい。
なお、上記凍結温度は、凍結工程における凍結乾燥用組成物の環境温度であり、凍結乾燥用組成物自体の温度が上記凍結温度に到達している必要はない。
【0047】
凍結方法としては、例えば、凍結乾燥用組成物を上記凍結温度に設定した冷凍庫で凍結させる方法、凍結乾燥用組成物を液体窒素に浸漬させる方法等が挙げられる。その中でも、凍結乾燥用組成物を液体窒素に浸漬させる方法により凍結を行うことが好ましく、それにより導電率の高い凍結乾燥体が得られやすくなる。その理由は定かではないが、凍結温度が低いことにより、凍結乾燥用組成物の降温速度が速くなり、繊維状の固形部が細く密なネットワークを形成することにより、導電性高分子化合物の導電パスが多く形成されるためと推測される。
凍結工程における凍結乾燥用組成物の降温速度としては、例えば、0.025℃/s以上25℃/s以下が挙げられ、20℃/s以上25℃/s以下が好ましい。
【0048】
凍結時間(すなわち、凍結乾燥用組成物を上記凍結温度の環境下におく時間)は、特に限定されず、凍結温度にもよって異なる。凍結時間としては、例えば、液体窒素を用いた凍結においては5秒以上30秒以下の範囲が挙げられ、凍結温度を−20℃に設定した冷凍庫での凍結においては1200秒以上6000秒以下の範囲が挙げられる。
【0049】
(乾燥工程)
乾燥工程では、凍結工程で得られた固体の凍結乾燥用組成物(すなわち、凍結された凍結乾燥用組成物)を乾燥することで、凍結乾燥用組成物から溶媒を除去する。具体的には、例えば、固体の凍結乾燥用組成物を減圧下におき、凍結乾燥用組成物に含まれる溶媒を昇華させることで除去する。
なお、乾燥工程では、減圧下で乾燥を行ってもよく、減圧せずに大気圧下で乾燥を行ってもよい。
乾燥工程におけるゲージ圧力(大気圧との差)としては、例えば−0.1MPa(G)以上0MPa(G)以下が挙げられる。
また、乾燥工程における温度としては、例えば20℃以上50℃以下が挙げられる。
なお、乾燥工程は、複数の段階を経て凍結乾燥用組成物を乾燥させる工程であってもよい。複数の段階を経る乾燥工程としては、例えば、凍結乾燥用組成物から気化された溶媒を凝結させて捕集する一次乾燥工程と、一次乾燥工程を経た凍結乾燥用組成物に残留した溶媒を除去する二次乾燥工程と、を経る乾燥工程等が挙げられる。
【0050】
<発泡体>
発泡体は、導電性高分子化合物を含む組成物(熱電変換材料がドーパントを含む場合は、導電性高分子化合物及びドーパントを含む組成物)が気泡を含む状態で固化したものである。発泡体の一例を
図3及び
図4に示す。
図3は、発泡剤として炭酸水素ナトリウムを用い160℃に加熱して発泡させた発泡体の断面SEM画像であり、
図4は、発泡剤としてアゾジカルボンアミドを用い160℃に加熱して発泡させた発泡体の断面SEM画像である。
発泡体の形態としては、例えば、独立気泡を含む形態のほか、連続気泡を含む形態が挙げられる。発泡体である熱電変換材料としては、断熱性と導電性とを両立させる観点から、独立気泡を含む形態であることが好ましい。
【0051】
発泡体の多孔構造における空隙率は、60体積%以上であり、断熱性、導電率、及び膜強度の観点から、60体積%以上90体積%以下が好ましく、60体積%以上70体積%以下がより好ましく、60体積%以上65体積%以下がさらに好ましい。
発泡体における空隙率の制御は、例えば、後述する発泡用組成物に添加する発泡剤の種類、発泡用組成物全体に対する発泡剤の含有量、発泡温度、発泡時間等の調整によって行われる。また、空隙率は、既述の方法により求められる。
【0052】
発泡体における空隙の数平均径は、特に限定されないが、例えば300μm以下が挙げられ、ゼーベック係数の低下抑制及び導電率の低下抑制の観点から、10μm以上150μm以下が好ましく、15μm以上100μm以下がより好ましく、15μm以上30μm以下がさらに好ましい。
発泡体における空隙の数平均径の制御は、例えば、後述する発泡用組成物に添加する発泡剤の種類、発泡用組成物全体に対する発泡剤の含有量、発泡温度、発泡時間等の調整によって行われる。また、数平均径は、既述の方法により求められる値である。
【0053】
発泡体に含まれる導電性高分子化合物としては、例えば、前述の導電性高分子化合物が挙げられ、好ましい導電性高分子化合物の種類も前述の通りである。
また、発泡体がドーパントを含む場合、ドーパントとしては、例えば前述のドーパントが挙げられ、導電性高分子化合物とドーパントとの好ましい組み合わせも前述の通りである。
発泡体の固形部における、導電性高分子化合物及びドーパントの合計含有量は、70質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましい。
なお、発泡体は、導電性高分子化合物を含む組成物中に気泡が生成する過程において、導電性高分子化合物が特定の方向に延伸されることにより、導電性高分子化合物が配向したものが得られやすいと考えられる。そのため、発泡体は、空隙率を上げて断熱性を高めても、導電率の低下が抑制されると推測される。
【0054】
−発泡体の製造方法−
発泡体である熱電変換材料は、例えば、導電性高分子化合物と発泡剤とを含む発泡用組成物中において、発泡剤を発泡させて気泡を生成する発泡工程を経ることで得られる。
なお、目的の発泡体である熱電変換材料がドーパントを含む場合は、発泡用組成物は、導電性高分子化合物とドーパントと発泡剤とを少なくとも含む。
【0055】
(発泡剤)
発泡剤は、化学発泡剤でもよく、物理発泡剤でもよい。
化学発泡剤としては、例えば、有機系の熱分解型発泡剤、有機系の反応型発泡剤、無機系の熱分解型発泡剤、無機系の反応型発泡剤等が挙げられるが、導電性高分子化合物のゼーベック係数の低下及び導電率の低下を抑制する観点から、有機系の熱分解型発泡剤及び無機系の熱分解型発泡剤が好ましい。
有機系の熱分解型発泡剤としては、例えば、アゾジカーボンアミド(以下「ADCA」ともいう)、N,N’−ジニトロペンタメチレンテトラミン、ベンゼンスルホニルホドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド、4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド等が挙げられる。
無機系の熱分解型発泡剤としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等の炭酸水素塩;炭酸アンモニウム等の炭酸塩;亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸塩;等が挙げられる。
物理発泡剤としては、例えば、炭化水素等の液化ガス;超臨界二酸化炭素、超臨界窒素等の超臨界流体;等が挙げられる。
【0056】
発泡体の固形部における、導電性高分子化合物及びドーパントの合計含有量を多くする観点からは、発泡剤は、物理発泡剤が好ましく、その中でも超臨界流体がより好ましく、超臨界二酸化炭素がさらに好ましい。
また、発泡体における空隙率を高くする観点から、発泡剤は超臨界流体が好ましく、超臨界二酸化炭素がより好ましい。発泡剤として超臨界流体を用いた場合、高圧下で発泡剤を導電性高分子化合物に溶解させることで、大量の発泡剤が導電性高分子化合物に浸透しやすく、空隙率の高い発泡体が得られやすいと考えられる。
また、発泡体における空隙率及び空隙の数平均径を制御しやすいという観点からは、発泡剤は、炭酸水素ナトリウム、ADCA、超臨界二酸化炭素が好ましい。
以下、発泡体の製造方法の一例として、発泡剤として炭酸水素ナトリウム等の化学発泡剤を用いる場合、及び発泡剤として超臨界二酸化炭素を用いる場合について、それぞれ説明する。
【0057】
(化学発泡剤を用いた発泡体の製造方法)
発泡剤として化学発泡剤を用いた場合、発泡体の製造方法としては、導電性高分子化合物と(必要に応じてドーパントと)化学発泡剤とを含む発泡用組成物を準備し、例えば加熱等によって発泡用組成物に含まれる化学発泡剤を発泡させ、発泡体を得る方法が挙げられる。
発泡用組成物としては、例えば、導電性高分子化合物と(必要に応じてドーパントと)化学発泡剤と溶媒とを含む混合液を基材に塗布して塗布層を形成し、塗布層を乾燥させて溶媒を除去することで得られたものが挙げられる。
【0058】
なお、発泡工程に用いる発泡用組成物が溶媒を含んでいてもよい。具体的には、例えば、導電性高分子化合物と(必要に応じてドーパントと)化学発泡剤と溶媒とを含む混合液を基材に塗布して塗布層を形成し、塗布層から溶媒を除去していく過程において、塗布層を発泡用組成物として加熱することで発泡剤を発泡させてもよい。
【0059】
上記混合液に用いられる溶媒は、導電性高分子化合物及び発泡剤の種類等に応じて適宜選択されるが、例えば、水、ジメチルスルホキシド等の有機溶媒、これらの混合物等が挙げられる。
上記混合液は、必要に応じてその他の添加剤を含んでもよい。その他の添加剤としては、例えば、導電性高分子化合物の二次ドーパント(例えば、エチレングリコール、ジメチルスルホキシド等)、発泡助剤(尿素、酢酸亜鉛等)、フィラー(無機粒子、金属単体粒子、有機系粒子等)等が挙げられる。
【0060】
混合液全体に対する導電性高分子化合物及びドーパントの合計含有量としては、例えば0.5質量%以上1.7質量%以下が挙げられ、1.0質量%以上1.7質量%以下が好ましく、1.0質量%以上1.3質量%以下がより好ましい。
導電性高分子化合物及びドーパントの合計100質量部に対する発泡剤の添加量としては、発泡剤の種類によっても異なるが、例えば25質量部以上50質量部以下の範囲が挙げられる。
なお、発泡剤を発泡させる際の加熱温度、加熱時間、及び圧力は、発泡剤の種類等によって適宜選択される。
【0061】
(超臨界二酸化炭素を用いた発泡体の製造方法)
発泡剤として超臨界二酸化炭素を用いた場合、発泡体の製造方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
まず、導電性高分子化合物(及び必要に応じてドーパント)を含む組成物を準備し、前記組成物を超臨界二酸化炭素環境下に置いて超臨界二酸化炭素を前記組成物に浸透させることで、導電性高分子化合物と(必要に応じてドーパントと)超臨界二酸化炭素とを含む発泡用組成物を得る。そして、圧力低下又は加熱によって、発泡用組成物に含まれる超臨界二酸化炭素を発泡させ、発泡させる。
【0062】
上記導電性高分子化合物(及び必要に応じてドーパント)を含む組成物としては、例えば、導電性高分子化合物と(必要に応じてドーパントと)溶媒とを含む混合液を基材に塗布して塗布層を形成し、塗布層を乾燥させて溶媒を除去することで得られたものが挙げられる。
上記混合液に用いられる溶媒は、導電性高分子化合物及び発泡剤の種類等に応じて適宜選択されるが、例えば、水、ジメチルスルホキシド等の有機溶媒、これらの混合物等が挙げられる。
上記混合液は、必要に応じてその他の添加剤を含んでもよい。その他の添加剤としては、例えば、導電性高分子化合物の二次ドーパント(例えば、エチレングリコール、ジメチルスルホキシド等)、超臨界二酸化炭素の溶解度を増大させるエントレーナー(例えば、ポリエチレングリコール等)、フィラー(無機粒子、金属単体粒子、有機系粒子等)等が挙げられる。
混合液全体に対する導電性高分子化合物及びドーパントの合計含有量としては、例えば1.0質量%以上1.7質量%以下が挙げられ、1.0質量%以上1.5質量%以下が好ましく、1.0質量%以上1.3質量%以下がより好ましい。
【0063】
超臨界二酸化炭素環境下における圧力としては、例えば5MPa以上50MPa以下が挙げられる。また、超臨界二酸化炭素環境下における温度としては、例えば10℃以上200℃以下の範囲が挙げられる。前記組成物を超臨界二酸化炭素環境下に置く時間としては、例えば1分以上10時間以下が挙げられる。
超臨界二酸化炭素の発泡を圧力低下によって行う場合、圧力低下速度としては、例えば、0.1MPa/分以上20MPa/分以下の範囲が挙げられる。なお、圧力低下によって超臨界二酸化炭素の発泡を行う場合、圧力を低下させる前又は後に、温度を低下させる工程を経てもよい。温度を低下させる工程としては、例えば、等圧条件で急冷させる工程が挙げられ、温度低下速度としては、例えば、1℃/分以上100℃/分以下が挙げられる。
【0064】
<熱電変換材料の用途>
本実施形態の熱電変換材料の用途としては、例えば、温度差を利用して発電する発電機や電源等に用いられる熱電変換素子等が挙げられる。
熱電変換素子としては、例えば、基板と、基板上に形成され本実施形態の熱電変換材料からなる熱電変換層と、電極と、含む熱電変換素子等が挙げられる。
【実施例】
【0065】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0066】
本実施例における、空隙率及び空隙の数平均径の測定及び算出方法は前述の通りである。
また、本実施形態における、ゼーベック係数、熱伝導率、及び導電率の測定方法、並びにこれらの算出方法は以下の通りである。
【0067】
−ゼーベック係数及び導電率−
得られた熱電変換材料に、導電性接着剤(藤倉化成社製、ドータイト)を用いて電極を2つ形成した試料(電極間距離:5mm)を用いて、熱起電力測定及び電流−電圧測定(I−V測定)を行った。
具体的には、実験チャンバーとして、PFEIFFER社製の真空装置TSH071E(ダイアフラムポンプとターボポンプを組み合わせたもの)を用い、チャンバー中の真空度を10
−5Paまで到達させた。岩谷産業社製クライオミニコンプレッサーCA112型とLakeshore社製の温度制御装置Model331を用いて、試料を乗せたステージ上の温度コントロールを行った。また、試料の高温側の温度を制御するヒーターとしてCHINO社製の温度制御装置DB1000を用いてチャンバー内を加熱しながら電気物性を測定した。なお、冷凍機の振動が試料を乗せたステージに伝わらないように除振台を用いた。
【0068】
電圧計として、KEITHLEY社製2182A(測定可能電圧域:1nV〜100V)を用い、2つの電極間の温度差がΔT=2K、4K、6K、及び8Kである場合における熱起電力の値を測定してプロットし、その線形性からゼーベック係数を算出した。
また、二端子法でのI−V測定装置として、KEITHLEY社製6430(測定可能電圧域:1μV〜110V、測定可能電流域:10aA〜100mA)を用いた。I−V測定の制御は、PC上のLabVIEW(National Instruments社)を用いてGP−IBケーブルを通じて行った。I−V測定から得られた抵抗値と電極間距離と試料の断面積とを用いて導電率を算出した。なお、試料の断面積は、マイクロメーターを用いて測定された試料の膜厚と、試料幅と、SEM画像の解析で求めた固形部の面積率と、を用いて算出した固形部のみの断面積とした。
【0069】
−熱伝導率−
熱拡散率、定圧比熱容量、及び密度をそれぞれ測定し、それらの積として熱伝導率を求めた(すなわち、熱伝導率=熱拡散率×定圧比熱容量×密度)。
具体的には、熱拡散率は、測定装置としてai−Phase(日立ハイテク製)を用い、周期加熱法により測定した。
定圧比熱容量は、示差走査熱量測定装置(thermo plus DSC 8230、リガク製)を用いて測定した。標準試料は、DSC用標準試料のアルミナ(リガク製)を用いた。
密度は、体積法により測定し、固体部分及び流体部分の密度については、それぞれPEDOT:PSSキャスト膜及び空気の密度の文献値を用いた。
【0070】
〔実施例A1〕
<凍結乾燥体A1の製造>
凍結乾燥機(EYELA社製、型番:FDU−1200)を用いて、以下のようにして凍結乾燥を行った。
具体的には、PEDOT:PSS水分散液(Clevios製、PH500、固形分濃度:1.0〜1.3質量%、質量比(PEDOT(導電性高分子化合物):PSS=1:2.5))を蒸留水で5倍に希釈した分散液を、スクリュー管に入れて液体窒素に30秒浸漬することにより凍結し(凍結工程)、乾燥させることで多孔構造を形成した(乾燥工程)。
なお、凍結工程における降温速度は20℃/sであり、乾燥工程におけるゲージ圧力は−0.1MPa(G)、乾燥工程における温度は15℃であった。
得られた凍結乾燥体は、膜状で厚みが1900μmであった。
得られた凍結乾燥体をミクロトームにより切断した断面のSEM画像を
図1に示す。
また、得られた凍結乾燥体について前述の方法で測定した多孔構造の有無及び空隙率、空隙の数平均径、ゼーベック係数、導電率、並びに熱伝導率を表1に示す。
【0071】
〔実施例A2〕
<凍結乾燥体A2の製造>
凍結工程において、分散液をスクリュー管に入れて液体窒素に浸漬する代わりに、分散液をシャーレに入れて冷凍庫内で凍結させた以外は、実施例A1と同様にして、凍結乾燥体を得た。
なお、凍結工程における凍結温度は−20℃、凍結工程における凍結時間は30分、凍結工程における降温速度は0.022℃/s、乾燥工程におけるゲージ圧力は−0.1MPa(G)、乾燥工程における温度は15℃であり、得られた凍結乾燥体は、膜状で厚みが1046μmであった。
また、得られた凍結乾燥体について前述の方法で測定した多孔構造の有無及び空隙率、空隙の数平均径、ゼーベック係数、導電率、並びに熱伝導率を表1に示す。
【0072】
〔実施例A3〕
<凍結乾燥体A3の製造>
PEDOT:PSS水分散液(Clevios製、PH500)を蒸留水で2倍に希釈した以外は、実施例A2と同様にして、凍結乾燥体を得た。
なお、凍結工程における凍結温度は−20℃、凍結工程における凍結時間は30分、凍結工程における降温速度は0.022℃/s、乾燥工程におけるゲージ圧力は−0.1MPa(G)、乾燥工程における温度は15℃であった。
得られた凍結乾燥体は、膜状で厚みが1059μmであった。得られた凍結乾燥体をミクロトームにより切断した断面のSEM画像を
図2に示す。
また、得られた凍結乾燥体について前述の方法で測定した多孔構造の有無及び空隙率、空隙の数平均径、ゼーベック係数、導電率、並びに熱伝導率を表1に示す。
【0073】
〔実施例A4〕
<凍結乾燥体A4の製造>
PEDOT:PSS水分散液(Clevios製、PH500)を蒸留水で2倍に希釈した以外は、実施例A1と同様にして、凍結乾燥体を得た。
なお、凍結工程における降温速度は20℃/sであった。
得られた凍結乾燥体について前述の方法で多孔構造の有無及び空隙率、並びに空隙の数平均径を測定したところ、多孔構造は有り、空隙率は90.0体積%、空隙の数平均径は23.5μmであった。
【0074】
〔実施例B1〕
<発泡体B1の製造>
PEDOT:PSS水分散液(Clevios製 PH500)1mlに、炭酸水素ナトリウム(国産化学株式会社製、試薬特級)0.048gを蒸留水0.5mlに溶解したものを混合し混合液を得た。得られた混合液400μlを、ポリテトラフルオロエチレン製の基板上にキャストし、真空乾燥を行い成膜した。
得られた膜を、ゲージ圧力−0.1MPa(G)の条件下で、25℃から昇温速度5℃/分で160℃まで昇温し、160℃で5分維持することで、発泡を行った。
得られた発泡体は、膜状で厚みが100μmであり、独立気泡を含む発泡体であった。得られた発泡体をミクロトームにより切断した断面のSEM画像を
図3に示す。
また、得られた発泡体について前述の方法で測定した多孔構造の有無及び空隙率、空隙の数平均径、ゼーベック係数、導電率、並びに熱伝導率を表1に示す。
【0075】
〔実施例B2〕
<発泡体B2の製造>
PEDOT:PSS水分散液(Clevios製 PH500)1mlに、アゾジカルボンアミド(ADCA、東京化成工業株式会社製)0.01gをジメチルスルホキシド(Sigma−Aldrich製)0.25mlに溶解したものを混合し、さらに発泡助剤である尿素(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)0.005gを溶解させ、混合液を得た。得られた混合液400μlを、ポリテトラフルオロエチレン製の基板上にキャストし、真空乾燥を行い成膜した。
得られた膜を、ゲージ圧力−0.1MPa(G)の条件下で、25℃から昇温速度5℃/分で160℃まで昇温し、160℃で5分維持することで、発泡を行った。
得られた発泡体は、膜状で厚みが100μmであり、独立気泡を含む発泡体であった。得られた発泡体をミクロトームにより切断した断面のSEM画像を
図4に示す。
また、得られた発泡体について前述の方法で測定した多孔構造の有無及び空隙率、空隙の数平均径、ゼーベック係数、導電率、並びに熱伝導率を表1に示す。
【0076】
〔実施例B3〕
<発泡体B3の製造>
PEDOT:PSS水分散液(Clevios PH500)1mlに、ポリエチレングリコール10000(Sigma−Aldrich製)を1質量%となるように添加し、ポリエチレングリコール10000を溶解させ、混合液を得た。得られた混合液300μlを、ポリテトラフルオロエチレン製の基板上にキャストして乾燥させ、乾燥した膜上に混合液200μlをキャストして乾燥させる工程を2回繰り返した。得られた試料を、基板から剥がし、超臨界装置(Jasco社製、型番:SCF−Get、SCF−Bpg)のサンプル容器の中に入れた。試料の入ったサンプル容器を超臨界装置のヒーターの中に入れ、ヒーターの温度を50〜100℃に設定し、1時間温めた。二酸化炭素ガスを流入し、15〜25MPaで2時間保持した。その後、0℃、15〜25MPaに等圧条件で急冷した。その後、毎分0.5MPaの速度で圧力を開放することで、発泡を行った。
得られた発泡体は、膜状で厚みが200μmであり、独立気泡を含む発泡体であった。
また、得られた発泡体は、多孔構造を有し、空隙率が60体積%以上であった。
【0077】
〔比較例1〕
<比較薄膜C1の製造>
PEDOT:PSS水分散液(Clevios PH500)300μlを、ポリテトラフルオロエチレン製の基板上にキャストして乾燥させ、乾燥した膜上に混合液200μlをキャストして乾燥させる工程を2回繰り返し、積層された薄膜を得た。
得られた薄膜(キャスト膜)は、厚みが200μmであった。
また、得られた薄膜について前述の方法で測定した多孔構造の有無及び空隙率、空隙の数平均径、ゼーベック係数、導電率、並びに熱伝導率を表1に示す。
【0078】
【表1】
【0079】
以上の結果より、実施例では、比較例に比べ、熱伝導率が低く、熱電変換性能の向上に適した熱電変換材料が得られている。また、特に実施例A1及び実施例B2では、他の実施例に比べて、熱伝導率を下げつつ、ゼーベック係数の低下及び導電率の低下を抑制しており、より熱電変換性能の向上に適した熱電変換材料が得られていることが分かる。