特許第6798892号(P6798892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6798892プラズマチャンバのための変圧器結合容量性同調回路およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6798892
(24)【登録日】2020年11月24日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】プラズマチャンバのための変圧器結合容量性同調回路およびシステム
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20201130BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
   H05H1/46 L
   H01L21/302 101C
   H05H1/46 R
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-1256(P2017-1256)
(22)【出願日】2017年1月6日
(65)【公開番号】特開2017-143059(P2017-143059A)
(43)【公開日】2017年8月17日
【審査請求日】2019年12月27日
(31)【優先権主張番号】14/992,558
(32)【優先日】2016年1月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マオリン・ロング
(72)【発明者】
【氏名】アレックス・パターソン
【審査官】 右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014-89957(JP,A)
【文献】 特表2014-505983(JP,A)
【文献】 特開2015-179581(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/046753(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/46
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導結合プラズマチャンバ(以下、ICPチャンバというのための変圧器結合容量性同調回路(以下、TCCT回路という)であって、
第1スイッチドキャパシタ回路、第2スイッチドキャパシタ回路および第1インダクタを備えた整合回路であって、
前記第1スイッチドキャパシタ回路は、
RF入力に接続された第1端子と、
第2端子と、
前記第1端子および前記第2端子の少なくとも一方に接続された第1キャパシタと、
前記第1端子および前記第2端子の少なくとも一方に接続された第2キャパシタと、
前記第1端子と前記第2端子との間の容量値を変更するために、前記第1キャパシタおよび前記第2キャパシタの少なくとも一方と電気的に接続される第1スイッチとを備える整合回路と、を備え、
前記第2スイッチドキャパシタ回路は、
前記第1スイッチドキャパシタ回路の前記第2端子に接続された第3端子と、
前記第1インダクタに接続された第4端子と、
前記第3端子および前記第4端子の少なくとも一方に接続された第3キャパシタと、
前記第3端子および前記第4端子の少なくとも一方に接続された第4キャパシタと、
前記第3端子と前記第4端子との間の容量値を変更するために、前記第3キャパシタおよび前記第4キャパシタの少なくとも一方と電気的に接続される第2スイッチとを備え、
当該TCCT回路は、さらに、
第5キャパシタであって、前記第5キャパシタの第1端子は、前記第1スイッチドキャパシタ回路の前記第2端子と、前記第2スイッチドキャパシタ回路の第3端子とに接続され、前記第5キャパシタの第2端子は、接地される第5キャパシタと、
前記整合回路および前記ICPチャンバの誘導コイルと電気的に接続される電力分割器と
を備えるTCCT回路。
【請求項2】
請求項1に記載のTCCT回路であって、前記第1キャパシタおよび前記第2キャパシタは、モータ制御された真空キャパシタを含むTCCT回路。
【請求項3】
請求項1に記載のTCCT回路であって、前記第3キャパシタおよび前記第4キャパシタは、モータ制御された真空キャパシタを含むTCCT回路。
【請求項4】
誘導結合プラズマチャンバ(以下、ICPチャンバという)のための変圧器結合容量性同調回路(以下、TCCT回路という)であって、
第1スイッチドキャパシタ回路および第1インダクタを備えた整合回路と、で
前記整合回路および前記ICPチャンバの誘導コイルと電気的に接続される電力分割器と、を備え、
前記第1スイッチドキャパシタ回路は、
第1端子と、
第2端子と、
前記第1端子および前記第2端子の少なくとも一方に接続された第1キャパシタと、
前記第1端子および前記第2端子の少なくとも一方に接続された第2キャパシタと、
前記第1端子と前記第2端子との間の容量値を変更するために、前記第1キャパシタおよび前記第2キャパシタの少なくとも一方と電気的に接続される第1スイッチと
を備え、
前記電力分割器は、
前記整合回路の出力に接続された第1端子を有する第3キャパシタと、
前記第3キャパシタの第2端子に接続された第1端子と、第1コイルと電気的に接続される第2端子とを有する第4キャパシタと、
前記整合回路の前記出力に接続された第1端子を有する第5キャパシタと、
前記第5キャパシタの第2端子に接続された第1端子を有する第2インダクタと、
前記第2インダクタの第2端子に接続された第1端子と、第2コイルに接続された第2端子とを有する第6キャパシタと、
前記第1コイルに接続された第7キャパシタと
を備えるTCCT回路。
【請求項5】
請求項4に記載のTCCT回路であって、前記第4キャパシタおよび前記第6キャパシタは、スイッチドキャパシタ回路を含むTCCT回路。
【請求項6】
請求項1に記載のTCCT回路であって、
前記第1キャパシタは、前記第1スイッチドキャパシタ回路の前記第1端子に接続され、
記第2キャパシタは、前記第1スイッチドキャパシタ回路の前記第1端子に接続され、
記第1スイッチは、前記第1キャパシタと前記第1スイッチドキャパシタ回路の前記第2端子との間に接続され、
前記第1スイッチドキャパシタ回路は、さらに、前記第2キャパシタと前記第1スイッチドキャパシタ回路の前記第2端子との間に接続された第スイッチと
備えるTCCT回路。
【請求項7】
請求項1に記載のTCCT回路であって、
記第1キャパシタは、前記第1スイッチドキャパシタ回路の前記第1端子に接続され、
前記第2キャパシタは、前記第1スイッチドキャパシタ回路の前記第1端子および前記第2端子に接続され、
前記第1スイッチは、前記第1キャパシタと前記第1スイッチドキャパシタ回路の前記第2端子との間に接続されているTCCT回路。
【請求項8】
請求項1に記載のTCCT回路であって、さらに、前記容量値を変更するために、前記第1スイッチを第1および第2状態の間で切り替えるよう適合されたコントローラを備えるTCCT回路。
【請求項9】
請求項8に記載のTCCT回路であって、前記コントローラは、10Hz〜1kHzの間の速度で前記第1スイッチを切り替えるTCCT回路。
【請求項10】
基板を処理するシステムであって、
誘導結合プラズマチャンバ(以下、ICPチャンバという)のための変圧器結合容量性同調回路(以下、TCCT回路という)であって、
第1スイッチドキャパシタ回路および第1インダクタを備えた整合回路と、
前記整合回路および前記ICPチャンバの誘導コイルと電気的に接続される電力分割器と、を備え、
当該前記第1スイッチドキャパシタ回路は、
第1端子と、
第2端子と、
前記第1端子および前記第2端子の少なくとも一方に接続された第1キャパシタと、
前記第1端子および前記第2端子の少なくとも一方に接続された第2キャパシタと、
前記第1端子と前記第2端子との間の容量値を変更するために、前記第1キャパシタおよび前記第2キャパシタの少なくとも一方と電気的に接続される第1スイッチとを含み、
前記基板を処理するシステムは、さらに、
前記TCCT回路へのRF入力信号を生成するためのRF発生器と、
前記ICPチャンバ内の基板支持体をバイアスさせるためのRFバイアスを発生するRFバイアス発生器と、
コントローラと
を備え、
前記コントローラは、
第1半サイクル中に、前記第1スイッチドキャパシタ回路から第1容量値を供給すると共に、第1振幅の前記RF入力信号および第2振幅の前記RFバイアスを供給し、
第2半サイクル中に、前記第1スイッチドキャパシタ回路から第2容量値を供給すると共に、第3振幅の前記RF入力信号および第4振幅の前記RFバイアスを供給するよう構成されており、
前記第1容量値は、前記第2容量値と異なり、前記第1振幅は、前記第3振幅と異なり、前記第2振幅は、前記第4振幅と異なるシステム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムであって、前記コントローラは、10Hz〜1kHzの間の速度で、前記RF入力信号、前記RFバイアス、および、前記容量値を切り替えるシステム。
【請求項12】
請求項1に記載のTCCT回路であって、
前記第3キャパシタは、前記第2スイッチドキャパシタ回路の前記第4端子に接続され、
前記第4キャパシタは、前記第2スイッチドキャパシタ回路の前記第4端子に接続され、
前記第2スイッチは、前記第3キャパシタと前記第2スイッチドキャパシタ回路の前記第3端子との間に接続され、
前記第2スイッチドキャパシタ回路は、さらに、前記第4キャパシタと前記第2スイッチドキャパシタ回路の前記第3端子との間に接続された第3スイッチを備えるTCCT回路。
【請求項13】
請求項1に記載のTCCT回路であって、
前記第3キャパシタは、前記第2スイッチドキャパシタ回路の前記第4端子に接続され、
前記第4キャパシタは、前記第4端子および前記第2スイッチドキャパシタ回路の前記第3端子に接続され、
前記第2スイッチは、前記第3キャパシタと前記第2スイッチドキャパシタ回路の前記第3端子との間に接続されるTCCT回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、基板処理システムに関し、特に、プラズマエッチングチャンバのための高速インピーダンス切り替えを備えた変圧器結合容量性同調(TCCT)回路に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書で提供されている背景技術の記載は、本開示の背景を一般的に提示するためのものである。ここに名を挙げられている発明者の業績は、この背景技術に記載された範囲において、出願時に従来技術として通常見なされえない記載の態様と共に、明示的にも黙示的にも本開示に対する従来技術として認められない。
【0003】
半導体ウエハなどの基板上の薄膜をエッチングするために、通例は、基板処理システムが用いられる。エッチングは、通常、ウェット化学エッチングまたはドライエッチングのいずれかを含む。ドライエッチングは、誘導結合プラズマ(ICP)によって生成されたプラズマを用いて実行されうる。誘導結合プラズマは、処理チャンバの外側に誘電体窓と隣接して配置されたコイルによって生成されうる。プラズマを生成するために、処理チャンバの内部に流れる処理ガスに点火される。
【発明の概要】
【0004】
誘導結合プラズマ(ICP)チャンバのための変圧器結合容量性同調(TCCT)回路が、第1スイッチドキャパシタ回路および第1インダクタを備えた整合回路を備える。第1スイッチドキャパシタ回路は、第1端子と、第2端子と、第1端子および第2端子の少なくとも一方に接続された第1キャパシタと、第1端子および第2端子の少なくとも一方に接続された第2キャパシタと、第1端子と第2端子との間の容量値を変更するために、第1キャパシタおよび第2キャパシタの少なくとも一方と電気的に接続される第1スイッチとを備える。電力分割器が、整合回路およびICPチャンバの誘導コイルと電気的に接続される。
【0005】
別の特徴において、第1キャパシタおよび第2キャパシタは、モータ制御された真空キャパシタを含む。整合回路は、さらに、第2スイッチドキャパシタ回路を備える。第2スイッチドキャパシタ回路は、第3端子と、第4端子と、第3端子および第4端子の少なくとも一方に接続された第3キャパシタと、第3端子および第4端子の少なくとも一方に接続された第4キャパシタと、第3端子と第4端子との間の容量値を変更するために、第3キャパシタおよび第4キャパシタの少なくとも一方と電気的に接続される第2スイッチとを備える。
【0006】
別の特徴において、第3キャパシタおよび第4キャパシタは、モータ制御された真空キャパシタを含む。第1端子は、RF入力信号を受信し、第2端子は、第5キャパシタの第1端子および第2スイッチドキャパシタ回路の第3端子に接続され、第2スイッチドキャパシタ回路の第4端子は、第1インダクタの第1端子に接続されている。
【0007】
別の特徴において、電力分割器は、整合回路の出力に接続された第1端子を有する第3キャパシタを備える。第4キャパシタが、第3キャパシタの第2端子に接続された第1端子と、第1コイルと電気的に接続される第2端子とを有する。第5キャパシタが、整合回路の出力に接続された第1端子を有する。第2インダクタが、第5キャパシタの第2端子に接続された第1端子を有する。第6キャパシタが、第2インダクタの第2端子に接続された第1端子と、第2コイルに接続された第2端子とを有する。第7キャパシタが、第1コイルに接続されている。
【0008】
別の特徴において、第4キャパシタおよび第6キャパシタは、スイッチドキャパシタ回路を含む。第1スイッチドキャパシタ回路は、第1端子および第2端子を備える。第1キャパシタは、第1スイッチドキャパシタ回路の第1端子に接続されている。第2キャパシタは、第1スイッチドキャパシタ回路の第1端子に接続されている。第1スイッチは、第1キャパシタと第1スイッチドキャパシタ回路の第2端子との間に接続されている。第2スイッチが、第2キャパシタと第1スイッチドキャパシタ回路の第2端子との間に接続されている。
【0009】
別の特徴において、第1スイッチドキャパシタ回路は、第1端子および第2端子を備える。第1キャパシタは、第1スイッチドキャパシタ回路の第1端子に接続されている。第2キャパシタは、第1スイッチドキャパシタ回路の第1端子および第2端子に接続されている。第1スイッチは、第1キャパシタと第1スイッチドキャパシタ回路の第2端子との間に接続されている。
【0010】
別の特徴において、コントローラが、容量値を変更するために、第1スイッチを第1および第2状態の間で切り替えるよう適合されている。コントローラは、10Hz〜1kHzの間の速度で第1スイッチを切り替える。
【0011】
基板処理システムが、TCCT回路と、TCCT回路へのRF入力信号を生成するためのRF発生器とを備える。RFバイアス発生器が、ICPチャンバ内の基板支持体をバイアスさせる。コントローラが、第1半サイクル中に、第1スイッチドキャパシタ回路から第1容量値を供給すると共に、第1振幅のRF入力信号および第2振幅のRFバイアスを供給するよう構成されている。第2半サイクル中に、コントローラは、第1スイッチドキャパシタ回路から第2容量値を供給すると共に、第3振幅のRF入力信号および第4振幅のRFバイアスを供給するよう構成されている。第1容量値は、第2容量値と異なる。第1振幅は、第3振幅と異なる。第2振幅は、第4振幅と異なる。コントローラは、10Hz〜1kHzの間の速度で、RF入力信号、RFバイアス、および、容量値を切り替える。
【0012】
詳細な説明、特許請求の範囲、および、図面から、本開示を適用可能なさらなる領域が明らかになる。詳細な説明および具体的な例は、単に例示を目的としており、本開示の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本開示は、詳細な説明および以下に説明する添付図面から、より十分に理解できる。
【0014】
図1】本開示に従って、誘導結合プラズマ(ICP)基板処理システムの一例を示す機能ブロック図。
【0015】
図2】本開示に従って、内側コイルおよび外側コイルの一例を示す平面図。
【0016】
図3】本開示に従って、変圧器結合容量性同調(TCCT)回路の一例を示す電気接続図。
【0017】
図4A】本開示に従って、或る動作モード中のRF入力信号およびRFバイアス信号の例を示すグラフ。
図4B】本開示に従って、或る動作モード中のRF入力信号およびRFバイアス信号の例を示すグラフ。
図4C】本開示に従って、或る動作モード中のRF入力信号およびRFバイアス信号の例を示すグラフ。
図4D】本開示に従って、或る動作モード中のRF入力信号およびRFバイアス信号の例を示すグラフ。
【0018】
図5】本開示に従って、混合モードパルシング(MMP)を可能にするためのTCCT切り替えパターンを示す図。
【0019】
図6】本開示に従って、図3に示したTCCT回路の同調性能を示すグラフ。
【0020】
図7A】本開示に従って、スイッチドキャパシタ回路を備えたTCCT回路の例を示す電気接続図。
図7B】本開示に従って、スイッチドキャパシタ回路を備えたTCCT回路の例を示す電気接続図。
【0021】
図8】本開示に従って、スイッチドキャパシタ回路のさらなる例を示す機能ブロック図。
【0022】
図面において、同様および/または同一の要素を特定するために、同じ符号を用いる場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示に従った基板処理システムおよび方法は、インピーダンス整合および/または電力分割のためのスイッチドキャパシタを備えた変圧器結合容量性同調(TCCT)回路を含む。TCCT回路は、通例、モータ制御された真空キャパシタを備える。従来の設計では、モータ制御された真空キャパシタの容量値は、変更可能であるが、1秒未満のTCCT比(すなわち、内部/外部電流比)の切り替えでの高切り替え速度で変更できない。結果として、TCCT回路は、混合モードパルシング(MMP)動作を十分にはサポートしない。
【0024】
本開示に従ったTCCT回路は、パルス化されたプラズマ動作の異なる段階中に異なる容量値を提供する新しいトポロジおよびスイッチドキャパシタ回路を備える。いくつかの例において、スイッチドキャパシタ回路は、2以上のキャパシタと、少なくとも1つのスイッチ(高速高電力の金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)スイッチ)とを備える。スイッチドキャパシタ回路は、コイルのインピーダンス(およびプラズマの変化)を動的に整合するために、異なる容量値を提供する。これらの特徴およびさらなる特徴および利点について、以下に詳述する。
【0025】
ここで、図1を参照すると、本開示に従った基板処理システムの一例10が示されている。基板処理システム10は、コイル駆動回路11を備える。いくつかの例において、コイル駆動回路11は、RF源12および同調回路13を備える。同調回路13は、1または複数の誘導コイル16に直接接続されてよい。あるいは、同調回路13は、コイル16の内の1または複数に任意選択的な反転回路15によって接続されてもよい。同調回路13は、RF源12の出力を所望の周波数および/または所望の位相に同調し、コイル16のインピーダンスを整合して、TCPコイル16の間で電力を分割する。反転回路15は、TCPコイル16の内の1または複数を通して電流の極性を選択的に切り替えるために用いられる。
【0026】
反転回路15の例は、2015年3月30日出願のSato et al.による同一出願人の米国特許出願第14/673,174号「Systems And Methods For Reversing RF Current Polarity At One Output Of A Multiple Output RF Matching Network」に図示および記載されており、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0027】
いくつかの例において、プレナム20が、温風および/または冷風の流れで誘電体窓の温度を制御するために、TCPコイル16と誘電体窓24のと間に配置される。誘電体窓24は、処理チャンバ28の片側に沿って配置される。処理チャンバ28は、さらに、基板支持体(すなわち、ペデスタル)32を備える。基板支持体32は、静電チャック(ESC)、機械式チャック、または、その他のタイプのチャックを含みうる。処理ガスが、処理チャンバ28に供給され、プラズマ40が、処理チャンバ28の内部で生成される。プラズマ40は、基板34の露出面をエッチングする。RF源50およびバイアス整合回路52が、動作中に基板支持体32をバイアスしてイオンエネルギを制御するために用いられてよい。
【0028】
ガス供給システム56が、処理チャンバ28に処理ガス混合物を供給するために用いられてよい。ガス供給システム56は、処理ガス/不活性ガス源57と、ガス計量システム58(バルブおよびマスフローコントローラなど)と、マニホルド59とを備えてよい。ガス供給システム60が、バルブ61を介してガス62をプレナム20へ供給するために用いられてよい。ガスは、TCPコイル16および誘電体窓24を冷却するために用いられる冷却ガス(空気)を含みうる。ヒータ/クーラ64が、所定の温度まで基板支持体32を加熱/冷却するために用いられてよい。排気システム65が、バルブ66およびポンプ67を備え、パージまたは排出によって処理チャンバ28から反応物質を除去する。
【0029】
コントローラ54が、エッチング処理を制御するために用いられてよい。コントローラ54は、システムパラメータを監視し、ガス混合物の供給、プラズマの点火、維持、および、消火、反応物質の除去、冷却ガスの供給などを制御する。さらに、後に詳述するように、コントローラ54は、様々な態様のコイル駆動回路11、RF源50、および、バイアス整合回路52などを制御してよい。
【0030】
ここで、図2を参照すると、TCPコイル16の一例が示されている。特定のコイル構成が図2に示されているが、他のコイル構成が用いられてもよい。TCPコイル16は、内側コイル80および外側コイル82を備えてよい。内側コイル80は、入力端Inおよび出力端Outを有する第1導電体80−1と、入力端Inおよび出力端Outを有する第2導電体80−2とを備える。第1導電体80−1および第2導電体80−2は、互いに隣接する略円形またはループ状の経路に巻かれている。外側コイル82は、入力端Inおよび出力端Outを有する第1導電体82−1と、入力端Inおよび出力端Outを有する第2導電体82−2とを備える。第1導電体82−2および第2導電体82−2は、互いに隣接する略円形またはループ状の経路に巻かれている。
【0031】
ここで、図3を参照すると、TCCT回路の一例90は、TCPコイル16を駆動する整合回路92および電力分割器94を備える。整合回路92は、RF源12からRF入力信号RFINを受信する。整合回路92は、複数のキャパシタC、C、および、Cと、インダクタLとを備える。RF入力信号RFINは、キャパシタCの第1端子で受信される。キャパシタCの第2端子は、キャパシタCおよびCの第1端子に接続されている。キャパシタCの第2端子は、インダクタLの第1端子に接続されている。
【0032】
いくつかの例において、キャパシタCおよびCは、コイル(およびプラズマ)のインピーダンスを整合するために調整される容量値を有する可変キャパシタである。いくつかの例において、キャパシタCおよびCは、2以上のキャパシタと少なくとも1つのスイッチとを備えたスイッチドキャパシタ回路である。いくつかの例において、キャパシタCおよびCは、モータ制御された真空キャパシタを含む。整合回路92は、RF源12のインピーダンスをTCPコイル16のインピーダンスに整合させる。可変キャパシタCおよびCの値は、後に詳述するように、動作中にTCPコイル16のインピーダンスを整合するために変更される。整合回路92の出力は、電力分割器94に接続される。
【0033】
電力分割器94は、図に示すように、内側および外側コイル80、82(すなわち、TCPコイル16)に接続されている。電力分割器94は、整合回路92から受けたRF電力を、内側および外側コイル80、82に供給する。電力分割器94は、複数のキャパシタC、C、C、Cと、(ストラップの)インダクタLstrayおよびLとを備える。インダクタLの第2端子は、キャパシタCおよびCの第1端子に接続されている。キャパシタCの第2端子は、(漂遊インダクタンスLstrayを有する)ストラップを介してコイルLの第1端に接続されている。コイルLの第2端は、キャパシタCに接続されている。キャパシタCの第2端子は、キャパシタCの第1端子に接続されている。キャパシタCの第2端子は、コイルLの第1端子に接続されている。コイルLの第2端は、インダクタLに接続されている。
【0034】
いくつかの例において、キャパシタCおよびCは、可変キャパシタである。いくつかの例において、可変キャパシタCおよびCは、2以上のキャパシタと少なくとも1つのスイッチとを備えたスイッチドキャパシタ回路である。いくつかの例において、キャパシタCおよびCは、モータ制御された真空キャパシタを含む。キャパシタCおよびCの値は、可変キャパシタCおよびCの値に関連して(または独立して)変更されてよい。
【0035】
いくつかの例では、混合モードパルシング(MMP)が、TCPコイル16および基板支持体32を駆動するために用いられてよい。MMPの例は、2015年9月23日出願のLong et al.による同一出願人の米国特許出願第14/863,331号「Systems And Methods For Reverse Pulsing」に図示および記載されており、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0036】
ここで、図4A図4Dを参照すると、MMPのいくつかの例が示されている。概して、混合モードパルシングでは、RF源12および50からの信号は、クロック(Clkと示されている)に同期され、RF源12からの信号(TCPと示されている)は、RF源50からの信号(RF Biasと示されている)と時間的に交互になるまたはオフセットされるようにパルス化される。さらに、2つの信号の信号レベルは、異なってよい。
【0037】
いくつかの例において、図1に示したコントローラ54は、クロックを生成し、RF源12からの信号が、図4A図4Dに示すように、RF源50からの信号と時間的にオフセットされてパルス化されるように、2つの信号をクロックに同期させてよい。コントローラ54は、図に示すように、2つの信号の振幅も制御してよい。
【0038】
例えば、図4Aにおいて、RF源50からの信号は、クロックの最初(1番目)の半サイクル中にレベル0を有し、クロックの2番目の半サイクル中にレベルA1を有してよい。RF源12からの信号は、クロックの最初の半サイクル中にレベルA2を有し、クロックの2番目の半サイクル中にレベル0を有してよい。あるいは、図4Bにおいて、RF源50からの信号は、クロックの最初の半サイクル中にレベル0を有し、クロックの2番目の半サイクル中にレベルA1を有してよい。RF源12からの信号は、クロックの最初の半サイクル中にレベルA2を有し、クロックの2番目の半サイクル中にレベルA3を有してよい。
【0039】
別の例で、図4Cにおいて、RF源50からの信号は、クロックの最初の半サイクル中にレベルA4を有し、クロックの2番目の半サイクル中にレベルA1を有してよい。RF源12からの信号は、クロックの最初の半サイクル中にレベルA2を有し、クロックの2番目の半サイクル中にレベル0を有してよい。あるいは、図4Dにおいて、RF源50からの信号は、クロックの最初の半サイクル中にレベルA4を有し、クロックの2番目の半サイクル中にレベルA1を有してよい。RF源12からの信号は、クロックの最初の半サイクル中にレベルA2を有し、クロックの2番目の半サイクル中にレベルA3を有してよい。
【0040】
いくつかの例において、Long et al.による同一出願人の米国特許出願第14/863,331号にさらに図示および記載されているように、RF源12および50の各々は、複数のRF信号発生器を備えてもよい。RF源12および50の各々において、複数のRF信号は、異なる周波数および異なる信号レベルを有してよい。複数のRF信号は、クロック信号に同期されてよい。複数のRF信号は、混合モードパルシングを用いてTCPコイル16および基板支持体32をそれぞれ駆動する合成信号を生成するために合成されてよい。
【0041】
図5および図6を参照すると、TCCT回路90のTCCT切り替えパターンおよび同調性能が示されている。図3に示したTCCT回路90は、同調応答が遅すぎるので、モータ制御された真空キャパシタ同調のみでは高い切り替え速度での混合モードパルシング(MMP)が可能ではない。例えば、図5に示すTCCT切り替えパターンが図3のTCCT回路で用いられる場合に、適切な応答を持たないTCCT回路90の同調性能が図6に示されている。理解できるように、本明細書に記載のスイッチドキャパシタ回路は、インピーダンス整合応答時間および全体の性能を改善するために用いられてよい。
【0042】
ここで、図7Aを参照すると、TCCT回路96は、整合回路98を備える。整合回路98は、RF入力信号RFINを受信する第1端子を有するスイッチドキャパシタ回路Cを備える。スイッチドキャパシタ回路Cは、キャパシタCの第1端子およびスイッチドキャパシタ回路Cの第1端子に接続された第2端子を備える。いくつかの例において、スイッチドキャパシタ回路CおよびCは、2以上のキャパシタと少なくとも1つのスイッチとを備える。スイッチドキャパシタ回路Cの第2端子は、インダクタLの第1端子に接続されている。
【0043】
インダクタLの第2端子は、電力分割器100に接続されている。より具体的には、インダクタLの第2端子は、キャパシタCおよびCの第1端子に接続されている。キャパシタCの第2端子は、スイッチドキャパシタ回路であってよい可変キャパシタCの第1端子に接続されている。可変キャパシタCの第2端子は、外側コイルの第1端子に(漂遊インダクタンスLstrayを有する)ストラップによって接続される。外側コイルの第2端子は、接地などの基準電位にキャパシタCによって接続されている。
【0044】
キャパシタCの第2端子は、インダクタLの第1端子に接続されている。インダクタLの第2端子は、スイッチドキャパシタ回路であってよい可変キャパシタCの第1端子に接続されている。可変キャパシタCの第2端子は、スイッチドキャパシタ回路であってよい反転回路15によって内側コイルに接続されている。
【0045】
ここで、図7Bを参照すると、スイッチドキャパシタ回路の具体例が示されている。スイッチドキャパシタ回路Cは、高電力MOSFETスイッチM1aおよびM1bと、固定または可変キャパシタC1aおよびC1bとを備える。いくつかの例において、キャパシタC1aおよびC1bは、モータ制御された真空キャパシタである。キャパシタC1aおよびC1bの第1端子は、RFINに接続されている。キャパシタC1aおよびC1bの第2端子は、されぞれ、スイッチM1aおよびM1bの第1および第2端子に接続されている。スイッチM1aおよびM1bの第2および第1端子は、それぞれ、キャパシタCの第1端子およびスイッチドキャパシタ回路Cに接続されている。
【0046】
スイッチドキャパシタ回路Cは、スイッチM2aおよびM2bと、可変キャパシタC3aおよびC3bとを備える。スイッチM2aおよびMbの第2および第1端子は、それぞれ、キャパシタCおよびスイッチドキャパシタ回路Cに接続されている。スイッチM2aおよびMbの第1および第2端子は、それぞれ、可変キャパシタC3aおよびCbの第1端子に接続されている。可変キャパシタC3aおよびC3bの第2端子は、インダクタLへのコネクタである。
【0047】
後に詳述するように、高電力MOSFETは、動作中にTCPコイル16(およびプラズマ)のインピーダンスを整合するために、異なる組みあわせの可変キャパシタを電力分割器100に接続するように切り替えられる。
【0048】
整合回路98において、高速インピーダンス同調能力が、以下のように、スイッチM1a、M1b、M2a、および、M2bを作動させることによって達成される。M1a、M1b、M2a、および、M2bは、C1bおよびC3bが接続されない或るレベル中にC1aおよびC3aを電力分割器100に接続するために、対応するゲート駆動信号を制御することによってオンおよびオフにされる。次いで、C1bおよびC3bは、C1aおよびC3aが接続されない別のレベル中に電力分割器100に接続される。コントローラ54(図1)は、各パルス内でレベルの切り替えを実行してよい(異なるパルス化の例については図4A図4Dを参照)。いくつかの例において、切り替えは、10Hz〜1kHzの間の周波数で実行される。
【0049】
図8において、TCCT回路96−1は、整合回路98−1、電力分割器100、TCPコイル16、および、反転回路15を備える。整合回路98−1は、直列に接続されたキャパシタC1aおよびスイッチSW1と、キャパシタンスC1aおよびスイッチSW1に並列に接続されたキャパシタンスC1bとを備えた第1スイッチドキャパシタ回路を備える。整合回路98−1は、直列に接続されたキャパシタC3aおよびスイッチSW2と、キャパシタンスC3aおよびスイッチSW2に並列に接続されたキャパシタンスC3bとを備えた第2スイッチドキャパシタ回路を備える。
【0050】
各パルス内で、スイッチSW1およびSW2は、第1レベル中にC1bおよびC3bのみを電力分割器100に接続すると共にC1aおよびC3aを接続しないようにオフにされ、第2レベル中にC1aおよびC1bならびにC3aおよびC3bの並列の組みあわせを電力分割器100に接続するように閉じられる。
【0051】
上述の記載は、本質的に例示に過ぎず、本開示、応用例、または、利用法を限定する意図はない。本開示の広範な教示は、様々な形態で実施されうる。したがって、本開示には特定の例が含まれるが、図面、明細書、および、以下の特許請求の範囲を研究すれば他の変形例が明らかになるため、本開示の真の範囲は、それらの例には限定されない。方法に含まれる1または複数の工程が、本開示の原理を改変することなく、異なる順序で(または同時に)実行されてもよいことを理解されたい。さらに、実施形態の各々は、特定の特徴を有するものとして記載されているが、本開示の任意の実施形態に関して記載された特徴の内の任意の1または複数の特徴を、他の実施形態のいずれかに実装することができる、および/または、組み合わせが明確に記載されていないとしても、他の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせることができる。換言すると、上述の実施形態は互いに排他的ではなく、1または複数の実施形態を互いに置き換えることは本開示の範囲内にある。
【0052】
要素の間(例えば、モジュールの間、回路要素の間、半導体層の間)の空間的関係および機能的関係性が、「接続される」、「係合される」、「結合される」、「隣接する」、「近接する」、「の上部に」、「上方に」、「下方に」、および、「配置される」など、様々な用語を用いて記載されている。第1および第2要素の間の関係性を本開示で記載する時に、「直接」であると明確に記載されていない限り、その関係性は、他に介在する要素が第1および第2の要素の間に存在しない直接的な関係性でありうるが、1または複数の介在する要素が第1および第2の要素の間に(空間的または機能的に)存在する間接的な関係性でもありうる。本明細書で用いられているように、「A、B、および、Cの少なくとも1つ」という表現は、非排他的な論理和ORを用いて、論理(AまたはBまたはC)を意味すると解釈されるべきであり、「Aの少なくとも1つ、Bの少なくとも1つ、および、Cの少なくとも1つ」という意味であると解釈されるべきではない。
【0053】
いくつかの実施例において、コントローラは、システムの一部であり、システムは、上述の例の一部であってよい。かかるシステムは、1または複数の処理ツール、1または複数のチャンバ、処理のための1または複数のプラットフォーム、および/または、特定の処理構成要素(ウエハペデスタル、ガスフローシステムなど)など、半導体処理装置を備えうる。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および、処理後に、システムの動作を制御するための電子機器と一体化されてよい。電子機器は、「コントローラ」と呼ばれてもよく、システムの様々な構成要素または副部品を制御しうる。コントローラは、処理要件および/またはシステムのタイプに応じて、処理ガスの供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、高周波(RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体供給設定、位置および動作設定、ならびに、ツールおよび他の移動ツールおよび/または特定のシステムと接続または結合されたロードロックの内外へのウエハ移動など、本明細書に開示の処理のいずれを制御するようプログラムされてもよい。
【0054】
概して、コントローラは、命令を受信する、命令を発行する、動作を制御する、洗浄動作を可能にする、エンドポイント測定を可能にすることなどを行う様々な集積回路、ロジック、メモリ、および/または、ソフトウェアを有する電子機器として定義されてよい。集積回路は、プログラム命令を格納するファームウェアの形態のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されるチップ、および/または、プログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行する1または複数のマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを含みうる。プログラム命令は、様々な個々の設定(またはプログラムファイル)の形態でコントローラに伝えられて、半導体ウエハに対するまたは半導体ウエハのための特定の処理を実行するための動作パラメータ、もしくは、システムへの動作パラメータを定義する命令であってよい。動作パラメータは、いくつかの実施形態において、ウエハの1または複数の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/または、ダイの加工中に1または複数の処理工程を達成するために処理エンジニアによって定義されるレシピの一部であってよい。
【0055】
コントローラは、いくつかの実施例において、システムと一体化されるか、システムに接続されるか、その他の方法でシステムとネットワーク化されるか、もしくは、それらの組み合わせでシステムに結合されたコンピュータの一部であってもよいし、かかるコンピュータに接続されてもよい。例えば、コントローラは、「クラウド」内にあってもよいし、ウエハ処理のリモートアクセスを可能にできるファブホストコンピュータシステムの全部または一部であってもよい。コンピュータは、現在の処理のパラメータを変更する、現在の処理に従って処理工程を設定する、または、新たな処理を開始するために、システムへのリモートアクセスを可能にして製造動作の現在の進捗を監視する、過去の製造動作の履歴を調べる、複数の製造動作からの傾向または性能指標を調べうる。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)が、ネットワーク(ローカルネットワークまたはインターネットを含みうる)を介してシステムに処理レシピを提供してよい。リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定の入力またはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを備えてよく、パラメータおよび/または設定は、リモートコンピュータからシステムに通信される。いくつかの例において、コントローラは、データの形式で命令を受信し、命令は、1または複数の動作中に実行される処理工程の各々のためのパラメータを指定する。パラメータは、実行される処理のタイプならびにコントローラがインターフェース接続するまたは制御するよう構成されたツールのタイプに固有であってよいことを理解されたい。したがって、上述のように、コントローラは、ネットワーク化されて共通の目的(本明細書に記載の処理および制御など)に向けて動作する1または複数の別個のコントローラを備えることなどによって分散されてよい。かかる目的のための分散コントローラの一例は、チャンバでの処理を制御するために協働するリモートに配置された(プラットフォームレベルにある、または、リモートコンピュータの一部として配置されるなど)1または複数の集積回路と通信するチャンバ上の1または複数の集積回路である。
【0056】
限定はしないが、システムの例は、プラズマエッチングチャンバまたはモジュール、蒸着チャンバまたはモジュール、スピンリンスチャンバまたはモジュール、金属メッキチャンバまたはモジュール、洗浄チャンバまたはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはモジュール、物理蒸着(PVD)チャンバまたはモジュール、化学蒸着(CVD)チャンバまたはモジュール、原子層蒸着(ALD)チャンバまたはモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、トラックチャンバまたはモジュール、ならびに、半導体ウエハの加工および/または製造に関連するかまたは利用されうる任意のその他の半導体処理システムを含みうる。
【0057】
上述のように、ツールによって実行される1または複数の処理工程に応じて、コントローラは、他のツール回路またはモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接するツール、近くのツール、工場の至る所に配置されるツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、もしくは、半導体製造工場内のツール位置および/またはロードポートに向かってまたはそこからウエハのコンテナを運ぶ材料輸送に用いられるツール、の内の1または複数と通信してもよい。また、本発明は、以下の適用例としても実施することができる。
[適用例1]誘導結合プラズマ(以下、ICPという)チャンバのための変圧器結合容量性同調(以下、TCCTという)回路であって、
第1スイッチドキャパシタ回路および第1インダクタを備えた整合回路であって、前記第1スイッチドキャパシタ回路は、
第1端子と、
第2端子と、
前記第1端子および前記第2端子の少なくとも一方に接続された第1キャパシタと、
前記第1端子および前記第2端子の少なくとも一方に接続された第2キャパシタと、
前記第1端子と前記第2端子との間の容量値を変更するために、前記第1キャパシタおよび前記第2キャパシタの少なくとも一方と電気的に接続される第1スイッチとを備える整合回路と、
前記整合回路および前記ICPチャンバの誘導コイルと電気的に接続される電力分割器と
を備えるTCCT回路。
[適用例2]適用例1に記載のTCCT回路であって、前記第1キャパシタおよび前記第2キャパシタは、モータ制御された真空キャパシタを含むTCCT回路。
[適用例3]適用例1に記載のTCCT回路であって、前記整合回路は、さらに、第2スイッチドキャパシタ回路を備えるTCCT回路。
[適用例4]適用例1に記載のTCCT回路であって、前記第2スイッチドキャパシタ回路は、
第3端子と、
第4端子と、
前記第3端子および前記第4端子の少なくとも一方に接続された第3キャパシタと、
前記第3端子および前記第4端子の少なくとも一方に接続された第4キャパシタと、
前記第3端子と前記第4端子との間の容量値を変更するために、前記第3キャパシタおよび前記第4キャパシタの少なくとも一方と電気的に接続される第2スイッチと
を備えるTCCT回路。
[適用例5]適用例4に記載のTCCT回路であって、前記第3キャパシタおよび前記第4キャパシタは、モータ制御された真空キャパシタを含むTCCT回路。
[適用例6]適用例4に記載のTCCT回路であって、
前記第1端子は、RF入力信号を受信し、
前記第2端子は、第5キャパシタの第1端子および前記第2スイッチドキャパシタ回路の前記第3端子に接続され、
前記第2スイッチドキャパシタ回路の前記第4端子は、前記第1インダクタの第1端子に接続されているTCCT回路。
[適用例7]適用例1に記載のTCCT回路であって、前記電力分割器は、
前記整合回路の出力に接続された第1端子を有する第3キャパシタと、
前記第3キャパシタの第2端子に接続された第1端子と、第1コイルと電気的に接続される第2端子とを有する第4キャパシタと、
前記整合回路の前記出力に接続された第1端子を有する第5キャパシタと、
前記第5キャパシタの第2端子に接続された第1端子を有する第2インダクタと、
前記第2インダクタの第2端子に接続された第1端子と、第2コイルに接続された第2端子とを有する第6キャパシタと、
前記第1コイルに接続された第7キャパシタと
を備えるTCCT回路。
[適用例8]適用例7に記載のTCCT回路であって、前記第4キャパシタおよび前記第6キャパシタは、スイッチドキャパシタ回路を含むTCCT回路。
[適用例9]適用例1に記載のTCCT回路であって、前記第1スイッチドキャパシタ回路は、
第1端子と、
第2端子であって、
前記第1キャパシタは、前記第1スイッチドキャパシタ回路の前記第1端子に接続され、
前記第2キャパシタは、前記第1スイッチドキャパシタ回路の前記第1端子に接続され、
前記第1スイッチは、前記第1キャパシタと前記第1スイッチドキャパシタ回路の前記第2端子との間に接続されている第2端子と、
前記第2キャパシタと前記第1スイッチドキャパシタ回路の前記第2端子との間に接続された第2スイッチと
を備えるTCCT回路。
[適用例10]適用例1に記載のTCCT回路であって、前記第1スイッチドキャパシタ回路は、
第1端子と、
第2端子と
を備え、
前記第1キャパシタは、前記第1スイッチドキャパシタ回路の前記第1端子に接続され、
前記第2キャパシタは、前記第1スイッチドキャパシタ回路の前記第1端子および前記第2端子に接続され、
前記第1スイッチは、前記第1キャパシタと前記第1スイッチドキャパシタ回路の前記第2端子との間に接続されているTCCT回路。
[適用例11]適用例1に記載のTCCT回路であって、さらに、前記容量値を変更するために、前記第1スイッチを第1および第2状態の間で切り替えるよう適合されたコントローラを備えるTCCT回路。
[適用例12]適用例11に記載のTCCT回路であって、前記コントローラは、10Hz〜1kHzの間の速度で前記第1スイッチを切り替えるTCCT回路。
[適用例13]基板を処理するシステムであって、
適用例1の前記TCCT回路と、
前記TCCT回路へのRF入力信号を生成するためのRF発生器と、
前記ICPチャンバ内の基板支持体をバイアスさせるためのRFバイアスを発生するRFバイアス発生器と、
コントローラと
を備え、
前記コントローラは、
第1半サイクル中に、前記第1スイッチドキャパシタ回路から第1容量値を供給すると共に、第1振幅の前記RF入力信号および第2振幅の前記RFバイアスを供給し、
第2半サイクル中に、前記第1スイッチドキャパシタ回路から第2容量値を供給すると共に、第3振幅の前記RF入力信号および第4振幅の前記RFバイアスを供給するよう構成されており、
前記第1容量値は、前記第2容量値と異なり、前記第1振幅は、前記第3振幅と異なり、前記第2振幅は、前記第4振幅と異なるシステム。
[適用例14]適用例13に記載のシステムであって、前記コントローラは、10Hz〜1kHzの間の速度で、前記RF入力信号、前記RFバイアス、および、前記容量値を切り替えるシステム。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7A
図7B
図8