【文献】
Heinz Durr et. al.,The Journal of Organic Chemistry,1980年,45,973-980
【文献】
Y.Matsuya et.al.,Journal of the American Chemical Society,2006年,128,412-413
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、縮尺は一定ではないが、アノード103、カソード109、アノードとカソードとの間の発光層107及びアノードと発光層との間の正孔輸送層105を含む本発明の実施形態によるOLED100を示す。デバイス100は、基板101、例えばガラス基板又はプラスチック基板上に担持されている。
【0020】
発光層107は、パターニングされていなくても、パターニングされて離散的な画素を形成してもよい。各画素は、サブ画素にさらに分割されてもよい。発光層は、例えばモノクロディスプレイ又は他のモノクロデバイスのための単一の発光材料を含んでもよく、あるいは、異なる色を発する材料、特に、フルカラーディスプレイのための赤色、緑色及び青色発光材料を含んでもよい。発光層107がパターニングされている場合は、発光層と同じように正孔輸送層105がパターニングされてもよく、又はパターニングされた発光層107が、パターニングされていない正孔輸送層105上に形成されてもよい。
【0021】
正孔輸送層105は正孔輸送材料を含む。正孔輸送層は、式(I)の基を含む第1の材料を反応させることにより形成される。
【0022】
第1の材料は、それ自体と反応させてもよく、又は式(II)の基を含む第2の材料と反応させてもよい。
【0023】
好ましくは、第1の材料を第2の材料と反応させる。
【0024】
反応性不飽和基UGは、反応性の二重結合又は三重結合でもよい。好ましくは、UGの反応性の二重結合又は三重線結合は共役していない。
【0025】
正孔輸送層105を形成するために、第1の材料をアノードの上に堆積させる。次に、式(I)の基を、それ自体と、又は、存在する場合は、式(II)の基と反応させ、次に、発光層107を正孔輸送層105上に形成させる。
【0026】
好ましくは、発光層は、溶媒又は溶媒混合物中に溶解又は分散した発光層の1又は複数の材料の配合物を堆積させ、続いて1又は複数の溶媒を蒸発させることにより形成される。好ましくは、発光層を形成するために用いられる1又は複数の溶媒により正孔輸送層がわずかに溶解されるか、又は全く溶解されないように、且つ正孔輸送層の材料と発光層の1又は複数の材料との間の混合がわずかであるか、又は全くないように、正孔輸送層105を、式(I)の基の反応により不溶性にする。好ましくは、式(I)の第1の基は、それ自体と、又は第2の材料の式(II)の基と反応して、架橋された正孔輸送層を形成する。
【0027】
1又は複数の別の層がアノード103とカソード109との間に設けられてもよい。別の層は、1又は複数の別の発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、正孔ブロッキング層及び電子ブロッキング層から選択されてもよい。
【0028】
好ましいデバイス構造には以下が含まれる:
アノード/正孔輸送層/発光層/カソード
アノード/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/カソード
アノード/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/カソード。
【0029】
好ましくは、正孔注入層及び正孔輸送層の両方が存在する。
【0030】
OLED100の発光材料は、蛍光材料、リン光材料又は蛍光材料とリン光材料の混合物でもよい。発光材料は、ポリマー及び非ポリマーの発光材料から選択されてもよい。例示的な発光ポリマーは共役ポリマー、例えばポリフェニレン及びポリフルオレンであり、これらの例は、Bernius,M.T.,Inbasekaran,M.,O’Brien,J.及びWu,W.,Progress with Light−Emitting Polymers.Adv.Mater.,12:1737−1750,2000に記載されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。発光層107は、ホスト材料及び蛍光又はリン光発光ドーパントを含んでもよい。例示的なリン光ドーパントは、第2列又は第3列の遷移金属錯体、例えばルテニウム、ロジウム、パラジウム、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金又は金の錯体である。
【0031】
発光層107はデバイスの唯一の発光層でもよく、又は光が、デバイスの1又は複数の別の層から発せられてもよい。デバイスが使用中のとき正孔輸送層105が光を発するように、発光ドーパントが正孔輸送層105内に与えられてもよい。
【0032】
OLEDは白色発光OLEDでもよい。白色発光OLEDは、単一の白色発光層を含んでもよく、又は、組み合わせて白色光を生じる、異なる色を発する2又は複数の層を含んでもよい。白色光は、単一の発光層内に与えられるか、あるいは2又は複数の発光層内に分散される赤色、緑色及び青色発光材料の組み合わせから生じてもよい。好ましい配置において、デバイスは、赤色発光材料を含む発光層並びに緑色及び青色発光材料を含む発光層を有する。
【0033】
白色発光OLEDから発せられる光は、2500〜9000Kの範囲の温度で黒体により発せられる光と同等のCIE x座標、及び黒体により発せられる前記光のCIE y座標の0.05又は0.025以内のCIE y座標を有してもよく、2700〜4500Kの範囲の温度で黒体により発せられる光と同等のCIE x座標を有してもよい。
【0034】
青色発光材料は、420〜490nm、より好ましくは420〜480nmの範囲にピークを持つフォトルミネッセンススペクトルを有してもよい。
【0035】
緑色発光材料は、490nmを超え、最大580nmの範囲にピークを持つフォトルミネッセンススペクトルを有してもよく、490nmを超え、最大540nmの範囲にピークを持つフォトルミネッセンススペクトルを有してもよい。
【0036】
赤色発光材料は、580nmを超え、最大630nmのそのフォトルミネッセンススペクトル内にピークを有してもよく、585〜625nmのそのフォトルミネッセンススペクトル内にピークを有してもよい。
【0037】
別の実施形態(図示せず)では、発光層107が、それ自体と、又は式(II)の基との本明細書に記載の式(I)の基の反応により形成されてもよく、この場合、正孔輸送層105は存在しても、しなくてもよい。この実施形態の発光層107は、アノードとカソードとの間の唯一の層でもよく、又は例えば上述の1又は複数の別の層がアノードとカソードとの間に設けられてもよい。
【0038】
別の実施形態(図示せず)では、第1の材料を架橋することにより形成される電子輸送層又は電子注入層が発光層107とカソード109との間に設けられてもよい。第1の材料は、それ自体と反応させてもよく、あるいは電子輸送層又は電子注入層が、第1の材料及び第2の材料を含む組成物を反応させることにより形成されてもよい。この実施形態のデバイスは、アノードとカソードとの間に発光層107及び電子輸送層又は電子注入層のみを含んでもよく、あるいは例えば上述の1又は複数の別の層がアノードとカソードとの間に設けられてもよい。
【0039】
式(I)
例示的なアルキル基R
11は、C
4−20アルキル基から選択されてもよい。
【0040】
R
11が、式(I)のシクロブテン環の炭素原子と直接結合した三級炭素原子を含む場合、R
11は、2又は複数の三級炭素原子を含むアルキルでもよい。
【0041】
R
11が環状アルキルを含む場合、R
11は、環状アルキル基からなっていてもよく、あるいは1又は複数のC
1−5アルキル基で置換された環状アルキル基でもよい。環状アルキル基は、式(I)のシクロブテン環と直接結合されてもよく、あるいは1又は複数の−CH
2−基により、そこから離れて配置されてもよく、1つ、2つ又は3つの−CH
2−基により、そこから離れて配置されてもよい。
【0042】
R
11が、式(I)のシクロブテン環から離れて配置されている二級又は三級炭素原子を含む場合、二級又は三級炭素原子は、少なくとも1つの−CH
2−基により、式(I)のシクロブテン環から離れて配置されてもよく、1つ、2つ又は3つの−CH
2−基により離れて配置されてもよい。式(I)のシクロブテン環から離れて配置されている二級又は三級炭素原子を含むR
11は、二級及び三級炭素原子から選択される1、2又は複数の炭素原子を含んでもよい。
【0043】
2つのR
1基が結合されて環を形成する場合、環は、非置換でも、1又は複数の置換基で置換されていてもよい。例示的な置換基はC
1−20アルキルである。環は単環式又は多環式の環でもよい。2つのR
1基の結合により形成される例示的な環はC
1−10シクロアルキル基である。
【0044】
例示的な基R
11には以下が含まれる(式中、*は、環状アルキル基と、式(I)の基のシクロブテン環との結合点である。):
【化3】
【0045】
R
1基が結合されて環を形成する例示的な構造を以下に示す。ベンゾシクロブチルに縮合された環を示す(Ar
1=ベンゼン)。
【化4】
【0046】
1つ、2つ、3つ又は4つすべての基R
1が基R
11でもよい。ただ1つの基R
1が基R
11であってもよい。
【0047】
他の基R
1は以下から選択されてもよい:
−H
−直鎖状C
1−20アルキル;
−C
1−20アルコキシ;
−トリ(ヒドロカルビル)シリル;
−1又は複数のC
1−10アルキル基又はC
1−10アルコキシ基で置換されていてもよいフェニルでもよい1又は複数の置換基で置換されていても、非置換でもよいアリール又はヘテロアリール。
【0048】
好ましくは、3つのR
1基がHである。
【0049】
Sp
1は、式−(R
12)
t−(式中、tは少なくとも1であり、1、2、3、4又は5でもよく、各R
12は、以下からなる群から独立に選択される。)の基でもよい:
−アルキルの1又は複数の隣接しないC原子が、O、S、SiR
142(式中、R
14は、各出現時において独立に、置換基、あるいは非置換でも、1又は複数の置換基で置換されていてもよいアリール基又はヘテロアリール基である。)で置換されていてもよいC
1−20アルキル;及び
−非置換でも、1又は複数の置換基で置換されていてもよいアリール又はヘテロアリール。
【0050】
Sp
1は、1又は複数のアリールシクロブテン基で置換されていてもよい。Sp
1は、分岐のうちの少なくとも2つがアリールシクロブテン基で置換された少なくとも2つの分岐を有する分岐鎖基でもよい。
【0051】
R
14は、各出現時において独立に、ヒドロカルビル基でもよく、C
1−20アルキル、及び非置換でも、1又は複数のC
1−10アルキル基で置換されていてもよいフェニルから選択されるヒドロカルビル基でもよい。
【0052】
アリール基又はヘテロアリール基Sp
1又はSp
1の形成部分は、好ましくは非置換でも、1又は複数の置換基で置換されていてもよいC
6−20アリール基、好ましくは非置換でも、1又は複数のC
1−10アルキル基でもよい1又は複数の置換基で置換されていてもよいフェニルから選択される。
【0053】
例示的なスペーサー基Sp
1には、C
1−20アルキル、C
3−20環状アルキル、C
1−20アルコキシ、フェニル、フェニル−C
1−20アルキル;フェニル−C
1−20アルコキシ;ポリエーテル単位を含む基、例えば式−(C
2H
5O)
p−又は−フェニル−(OC
2H
5)
p−(式中、pは少なくとも2であり、2〜10でもよく、フェニルは、非置換であるか、あるいは1又は複数のC
1−20アルキル基でもよい1又は複数の置換基で置換されている。)のスペーサー;−(R
10)
q−Si(R
14)
2−(R
10)
q−(式中、R
14は上述の通りであり;R
10は、各出現時においてC
1−20ヒドロカルビルであり;qは、各出現時において0又は1である。)が含まれる。R
10は、各出現時において、C
1−20アルキル、及び非置換でも、1又は複数のC
1−10アルキル基で置換されていてもよいフェニルから独立に選択されてもよい。
【0054】
Ar
1は、非置換でも、1又は複数の置換基で置換されていてもよいアリール基でもよく、C
6−20アリール基でもよい。
【0055】
好ましくは、Ar
1は、非置換でも、1又は複数のC
1−10アルキル基でもよい1又は複数の置換基で置換されていてもよいフェニルである。
【0056】
式(II)
Sp
2は、各出現時において独立に、上述の基Sp
1から選択されてもよい。
【0057】
Sp
2は、1又は複数の反応性不飽和基UGで置換されていてもよい。Sp
2は、分岐のうちの少なくとも2つがUG基で置換された少なくとも2つの分岐を有する分岐鎖基でもよい。
【0058】
UGは、非環状、環状又は多環式の基でもよい。
【0059】
非環状の基UGを有する式(II)の例示的な基は式(XIa)を有する:
【化5】
【0060】
(式中、R
2及びR
3はそれぞれ独立にH置換基である)。置換基R
2及びR
3は、C
1−20ヒドロカルビル、より好ましくはC
1−10アルキルから選択されてもよい。好ましくは、各R
3はHである。好ましくは、n2は1であり、m2は1である。
【0061】
例示的な多環式の基UGは、非置換でも、置換されていてもよいノルボルネンである。ノルボルネン基UGを有する式(II)の例示的な基は式(XIb)を有する(式中、その、又はそれぞれのノルボルネンは、非置換でも、1又は複数の置換基を持つ置換基でもよい。):
【化6】
【0062】
環状又は多環式の基UGの例示的な置換基、例えばノルボルネンは、1又は複数の隣接しないC原子が、O、S、S−O、C=O又はCOOで置換されていてもよいC
1−20アルキル;非置換でも、1又は複数の置換基で置換されていてもよい、フェニルでもよい芳香族基;非置換でも、1又は複数の置換基で置換されていてもよい複素環式芳香族基;ニトリル;及びニトロである。C
1−20アルキル基は、直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基でもよい。存在する場合、芳香族基又は複素環式芳香族基の置換基は、C
1−20アルキルから選択されてもよい。
【0063】
第1及び第2の材料
式(I)の基で置換された材料は、非ポリマー材料、又は式(I)の基で置換された繰り返し単位を含むポリマーでもよい。
【0064】
非ポリマー材料は式(IIIa)を有してもよい:
【化7】
【0065】
(式中、コア1は、非ポリマーの第1のコア基であり;Ar
1は、非置換でも、1又は複数の置換基で置換されていてもよいアリール基又はヘテロアリール基であり;Sp
1は、第1のスペーサー基であり;n1は0又は1であり;n1が0である場合は、m1は1であり;n1が1である場合は、m1は少なくとも1であり、1、2又は3でもよく;p1は少なくとも1であり、1、2、3又は4でもよい)。
【0066】
本明細書において用いられる「非ポリマーの(non−polymeric)」は、1の多分散性を有する材料を意味し、デンドリマー又はオリゴマーの1の多分散性を有する化合物を含む。オリゴマーは、限定することなしに、二量体、三量体、四量体又は五量体を含む。好ましくは、非ポリマー材料は、約5000ダルトン未満の分子量を有する。
【0067】
式(I)の基で置換されたポリマーは、式(IIIb)の繰り返し単位を含むポリマーでもよい:
【化8】
【0068】
(式中、RU1は、第1の繰り返し単位であり、p1は少なくとも1である)。
【0069】
式(IIIb)の繰り返し単位は、0.5〜50mol%のポリマーの繰り返し単位を生成してもよく、1〜20mol%の繰り返し単位を生成してもよい。
【0070】
式(IIIa)又は(IIIb)のAr
1は、それぞれ、直接又はSp
1を介して、Ar
1の任意の位置を通じて結合したコア1又はRU1でもよい。好ましくは、Ar
1は、シクロブテン環の原子に隣接しているAr1の環原子を介して結合されない。
【0071】
非ポリマーの第2の材料は、式(IVa)を有してもよい:
【化9】
【0072】
(式中、コア2は、非ポリマーの第2のコア基であり;Sp
2は、第2のスペーサー基であり;n2は0又は1であり;UGは反応性不飽和基であり;n2が0である場合は、m2は1であり;n2が1である場合は、m2は少なくとも1であり、1、2又は3でもよく;p2は少なくとも1であり、1、2、3又は4でもよい)。
【0073】
式(II)の基で置換されたポリマーは、式(IVb)の繰り返し単位を含むポリマーでもよい:
【化10】
【0074】
(式中、RU2は、第2の繰り返し単位である)。式(IVb)の繰り返し単位は、0.5〜50mol%のポリマーの繰り返し単位を生成してもよく、1〜20mol%の繰り返し単位を生成してもよい。
【0075】
式(IIIb)の繰り返し単位及び式(IVb)の繰り返し単位は、同じポリマーの繰り返し単位でもよい。
【0076】
非ポリマー化合物、例えば、式(XII)(式中、コア3は、コア1又はコア2に関して本明細書に記載されている任意のコア基から選択されてもよい非ポリマーの第3のコア基である。)の化合物は、式(I)(p1は少なくとも1である。)の少なくとも1つの基及び式(II)(p2は少なくとも1である。)の少なくとも1つの基を含んでもよい:
【化11】
【0077】
この場合、第1の材料及び第2の材料は、式(I)の1又は複数の基及び式(II)の1又は複数の基がそれらに置換される同じコア材料である。
【0078】
本発明者らは、シクロブテン環が非置換(各R
1=H)である化合物よりも、式(I)の基が容易に反応することを見出した。これにより、各R
1=Hの場合よりも、式(I)の基を低温で反応させることができ、且つ/又は、必要な反応時間を少なくすることができる。さらに、第2の材料と反応させたとき、本発明者らは、R
11基又は2つのR
1基の結合の存在が、式(I)の基が互いに反応することによって起こる三量体又はそれ以上のオリゴマー生成の抑制につながることを見出した。
【0079】
第1の材料は、それ自体と、又は存在する場合は、第2の材料の反応性不飽和基と、熱処理及び/又は照射、例えばUV照射により反応させてもよい。好ましくは、組成物は熱処理により反応させる。好ましくは、熱処理は、180℃未満、より好ましくは160℃未満の温度である。熱処理は、少なくとも130℃の温度でもよく、少なくとも140℃の温度でもよい。好ましくは、第1及び第2の材料を反応させる。
【0080】
第1の材料が、ただ1つの式(I)(m1及びp1はそれぞれ1である。)の基を有する非ポリマー材料であり、第2の材料が、ただ1つの式(II)(m2及びp2はそれぞれ1である。)の基を有する非ポリマー材料である場合は、これらの材料を反応させて、UGがノルボルネン基である場合、スキーム1に示すディールス・アルダー付加体を与えてもよい。
【化12】
【0081】
スキーム1
第1の非ポリマー材料が2つの式(I)の基で置換される場合、例えばm1=1及びp1=2の場合、且つ第2の非ポリマー材料が2つの式(II)の基で置換される場合、例えばm2=1及びp2=2の場合は、第1及び第2の材料が反応して、以下の繰り返し構造を有する直鎖状ポリマーを生成してもよい:
【化13】
【0082】
第1の非ポリマー材料が、2つを超える(ヘテロ)アリールシクロブテン基を含む場合、且つ/又は第2の非ポリマー材料が、2つを超える反応性不飽和基で置換される場合は、第1及び第2の材料が反応して、架橋ポリマーを生成してもよい。
【0083】
第1及び第2の材料のうちの少なくとも1つがポリマーの繰り返し単位である場合は、反応は架橋反応でもよい。
【0084】
スキーム2は、式(IVb)(式中、UGはノルボルネンである。)の繰り返し単位を含む2つのポリマー鎖と、式(IIIa)(式中、m1は1であり、p1は2である。)の非ポリマー化合物との間の架橋反応を示すが、m1は1よりも大きくてもよく、且つ/又はp1は2よりも大きくてもよく、例えば3又は4でもよいことを理解されたい:
【化14】
【0085】
スキーム2
別の実施形態では、式(IVa)(式中、p1は2以上であり、且つ/又はm1は2以上である。)の非ポリマー化合物を、式(IIIb)の繰り返し単位を含むポリマーと反応させる。
【0086】
スキーム3は、式(IVb)の繰り返し単位を含むポリマーと、式(IIIb)の繰り返し単位を含むポリマーとの間の架橋反応を示す:
【化15】
【0087】
スキーム3
スキーム1、2及び3の反応は、反応性不飽和基としてノルボルネンを含む第2の材料を用いて例示しているが、本明細書に記載の任意の反応性不飽和基を用いてもよいことを理解されたい。
【0088】
単一のポリマーは、式(IIIb)の繰り返し単位と式(IVb)の繰り返し単位の両方を含んでもよく、この場合、第1及び第2の材料は同じポリマーの繰り返し単位であり、架橋反応は、そのポリマー鎖間でもよい。したがって、本明細書に記載の組成物は、式(IIIb)の繰り返し単位と式(IVb)の繰り返し単位の両方を含む単一のポリマーでもよいことを理解されたい。1又は複数の別の架橋材料、例えば、式(I)及び式(II)から選択される1又は複数の基を保持する1又は複数の非ポリマー架橋材料又はポリマー架橋材料が、ポリマーに加えて存在してもよい。
【0089】
コア基
非ポリマーの第1の材料のコア1は、式(I)の1又は複数の基のみで置換されていてもよく、あるいは1又は複数の別の置換基で置換されていてもよい。
【0090】
非ポリマーの第2の材料のコア2は、式(II)から選択される1又は複数の基のみで置換されていてもよく、あるいは、1又は複数の別の置換基で置換されていてもよい。
【0091】
例示的な別の置換基には、C
1−40ヒドロカルビル基、例えばC
1−20アルキル、非置換のフェニル、及び1又は複数のC
1−20アルキル基で置換されたフェニルが含まれる。
【0092】
コア1及びコア2は、これらが中に存在することになる層の機能に従って選択されてもよい。コア1及びコア2は、正孔輸送基、電子輸送基及び発光基からそれぞれ独立に選択されてもよい。
【0093】
例示的なコア1基及びコア2基には、アリーレン基、例えばベンゼン基及びフルオレン基及びアミン基が含まれる。
【0094】
第1の非ポリマー化合物又は第2の非ポリマー化合物は、式(V)を有してもよい:
【化16】
【0095】
(式中、Ar
2、Ar
3及びAr
4は、各出現時において、置換又は非置換のアリール又はヘテロアリールあるいは式(I)(式中、n1=0;gは0、1又は2、好ましくは0又は1であり;c、d及びeはそれぞれ独立に1、2又は3である。)の基から独立に選択され、式中、Ar
2、Ar
3及びAr
4のうちの少なくとも1つは、式(I)又は(II)の少なくとも1つの基で置換され、且つ/又はAr
2及びAr
4のうちの少なくとも1つは、式(I)(式中、n1=0)の基である)。
【0096】
同じN原子と直接結合したAr
2、Ar
3、Ar
5、及び、存在する場合は、Ar
4から選択される任意の2つの芳香族基又は複素環式芳香族基は、直接結合あるいは二価の結合原子又は基により結合されてもよい。好ましい二価の結合原子及び基には、O、S;置換されたN;及び置換されたCが含まれる。
【0097】
好ましくは、Ar
2、Ar
3及びAr
4のそれぞれは独立に、式(I)及び/又は(II)の基に加えて、非置換でも、1又は複数のC
1−20アルキル基又はC
1−20アルコキシ基でもよい1又は複数の置換基で置換されていてもよいアリール基である。
【0098】
好ましくは、Ar
2及びAr
4はそれぞれ独立に、フェニル又は式(I)(式中、n1=0)の基である。
【0099】
g=1の場合、Ar
3は、好ましくはC
6−20アリール、より好ましくはフェニル又は多環式芳香族基、例えばナフタレン、ペリレン、アントラセン又はフルオレンである。Ar
3が多環式芳香族基である場合は、dは好ましくは1である。
【0100】
例示的な非ポリマーの第1及び第2の化合物には、以下に示す化合物(式中、R
3は、各出現時において独立に置換基であり、C
1−20アルキルでもよく、qは0、1、2、3又は4である。)が含まれる。
【化17】
【0101】
(式中、r=1〜10)
繰り返し単位
繰り返し単位RU1及び/又はRU2を含むポリマーは、好ましくはRU1及び/又はRU2並びに1又は複数の共繰り返し単位を含むコポリマーである。共繰り返し単位は、好ましくは架橋性基を含まない。
【0102】
好ましくは、RU1及びRU2は、少なくとも1つの芳香族基又は複素環式芳香族基、より好ましくは少なくとも1つの芳香族基を含む。好ましくは、繰り返し単位RU1及び/又はRU2を含むポリマーは共役ポリマーである。
【0103】
RU1及びRU2は、正孔輸送繰り返し単位、電子輸送繰り返し単位及び発光繰り返し単位から選択されてもよい。
【0104】
RU1及びRU2は、これらが中に存在することになる層の機能に従って選択されてもよく、又は必要とされる機能性をもたらす共繰り返し単位と組み合わせて使用されてもよい。例えば、正孔輸送層内で使用するための正孔輸送ポリマーは、正孔輸送繰り返し単位RU1又はRU2を含んでもよく、あるいは正孔輸送共繰り返し単位を含んでもよい。
【0105】
共役ポリマーの例示的な繰り返し単位は、アリーレン繰り返し単位、アリーレンビニレン繰り返し単位及びアリールアミン繰り返し単位であり、これらのそれぞれは、共繰り返し単位、あるいは式(IIIb)又は(IVb)(式中、RU1又はRU2は、アリーレン、アリーレンビニレン又はアリールアミンである。)の繰り返し単位でもよい。
【0106】
アリーレン繰り返し単位の好ましい1つのクラスは、式(VI):
【化18】
【0107】
(式中、wは、各出現時において独立に0、1、2、3又は4であり、1又は2でもよく;nは1、2又は3であり;R
7は、各出現時において独立に置換基である。)のフェニレン繰り返し単位などのフェニレン繰り返し単位である。
【0108】
存在する場合、各R
7は、以下からなる群から独立に選択されてもよい:
−1又は複数の隣接しないC原子が、置換されていてもよいアリール又はヘテロアリール、O、S、置換されたN、C=Oあるいは−COO−で置換されていてもよく、1又は複数のH原子がFで置換されていてもよい、C
1−20アルキルでもよいアルキル;
−非置換でも、1又は複数の置換基で置換されていてもよいアリール基及びヘテロアリール基、好ましくは1又は複数のC
1−20アルキル基で置換されたフェニル;
−それぞれが独立に置換されていてもよいアリール基又はヘテロアリール基、例えば、式−(Ar
7)
r(式中、各Ar
7は独立にアリール基又はヘテロアリール基であり、rは少なくとも2である。)の基の直鎖又は分岐鎖、好ましくは、それぞれが非置換でも、1又は複数のC
1−20アルキル基で置換されていてもよいフェニル基の分岐鎖又は直鎖;及び
−式(I)又は(II)の基。
【0109】
R
7が、アリール基又はヘテロアリール基、あるいはアリール基又はヘテロアリール基の直鎖又は分岐鎖を含む場合、その、あるいはそれぞれのアリール基又はヘテロアリール基は、以下からなる群から選択される1又は複数の置換基R
8で置換されていてもよい:
1又は複数の隣接しないC原子が、O、S、置換されたN、C=O及び−COO−で置換されていてもよく、アルキル基の1又は複数のH原子が、Fで置換されていてもよいアルキル、例えばC
1−20アルキル;
NR
92、OR
9、SR
9、SiR
93及び
フッ素、ニトロ及びシアノ;
(式中、各R
9は、アルキル、好ましくはC
1−20アルキル;及びアリール又はヘテロアリール、好ましくは1又は複数のC
1−20アルキル基で置換されていてもよいフェニルからなる群から独立に選択される)。
【0110】
存在する場合、置換されたNは、−NR
6−(式中、R
6は置換基であり、C
1−40ヒドロカルビル基でもよく、C
1−20アルキル基でもよい。)でもよい。
【0111】
好ましくは、存在する場合、各R
7は、式(I)又は(II)の基及びC
1−40ヒドロカルビルから独立に選択される。好ましいC
1−40ヒドロカルビル基は、C
1−20アルキル;非置換のフェニル;1又は複数のC
1−20アルキル基で置換されたフェニル;及び各フェニルが、非置換でも、1又は複数の置換基で置換されていてもよいフェニル基の直鎖又は分岐鎖である。
【0112】
nが1である場合は、式(VI)の例示的な繰り返し単位には以下が含まれる:
【化19】
【0113】
特に好ましい式(VI)の繰り返し単位は式(VIa)を有する:
【化20】
【0114】
式(VIa)の置換基R
7は、繰り返し単位の結合位置に隣接し、これが、式(VIa)の繰り返し単位と隣接する繰り返し単位との間に立体障害を引き起こし、その結果、式(VIa)の繰り返し単位が、1つ又は両方の隣接する繰り返し単位に対して面外にねじれてもよい。
【0115】
nが2又は3である例示的な繰り返し単位には以下が含まれる:
【化21】
【0116】
好ましい繰り返し単位は式(VIb)を有する:
【化22】
【0117】
式(VIb)の2つのR
7基は、これらが結合したフェニル環の間に立体障害を引き起こし、その結果、2つのフェニル環が互いに対してねじれてもよい。
【0118】
アリーレン繰り返し単位の別のクラスは、式(VII)の繰り返し単位など、置換されていてもよいフルオレン繰り返し単位である:
【化23】
【0119】
(式中、R
8は、各出現時において、同じか、又は異なり、2つの基R
8が結合されて環を形成してもよい置換基であり;R
7は上述の置換基であり;dは0、1、2又は3である)。
【0120】
各R
8は、以下からなる群から独立に選択されてもよい:
−1又は複数の隣接しないC原子が、置換されていてもよいアリール又はヘテロアリール、O、S、置換されたN、C=Oあるいは−COO−で置換されていてもよく、1又は複数のH原子がFで置換されていてもよい、C
1−20アルキルでもよいアルキル;
−非置換でも、1又は複数の置換基で置換されていてもよいアリール基及びヘテロアリール基、好ましくは1又は複数のC
1−20アルキル基で置換されたフェニル;
−それぞれが独立に置換されていてもよいアリール基又はヘテロアリール基、例えば、式−(Ar
7)
r(式中、各Ar
7は独立にアリール基又はヘテロアリール基であり、rは少なくとも2であり、2又は3でもよい。)の基の直鎖又は分岐鎖、好ましくは、それぞれが非置換でも、1又は複数のC
1−20アルキル基で置換されていてもよいフェニル基の分岐鎖又は直鎖;及び
−式(I)又は(II)の基。
【0121】
好ましくは、各R
8は独立に、式(I)又は(II)の基あるいはC
1−40ヒドロカルビル基である。好ましいC
1−40ヒドロカルビル基は、C
1−20アルキル;非置換のフェニル;1又は複数のC
1−20アルキル基で置換されたフェニル;及び各フェニルが、非置換でも、1又は複数の置換基で置換されていてもよいフェニル基の直鎖又は分岐鎖である。
【0122】
存在する場合、置換されたNは、−NR
6−(式中、R
6は上述の通りである。)でもよい。
【0123】
フルオレン繰り返し単位の芳香族炭素原子は、非置換でも、式(VI)に関して記載されている1又は複数の置換基R
7で置換されていてもよい。
【0124】
例示的な置換基R
7は、1又は複数の隣接しないC原子が、O、S、C=O及び−COO−、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、アルコキシ、アルキルチオ、フッ素、シアノ及びアリールアルキルで置換されていてもよいアルキル、例えばC
1−20アルキルである。特に好ましい置換基には、C
1−20アルキル及び置換又は非置換のアリール、例えばフェニルが含まれる。アリールの任意選択の置換基には、1又は複数のC
1−20アルキル基が含まれる。
【0125】
ポリマー骨格内の隣接する繰り返し単位のアリール基又はヘテロアリール基への、式(VII)の繰り返し単位の結合度は、(a)3位及び/又は6位で繰り返し単位を結合して繰り返し単位全体の結合度を制限することにより、且つ/又は(b)隣接する1又は複数の繰り返し単位とのねじれを生じるために、結合位置に隣接する1又は複数の位置において、繰り返し単位を1又は複数の置換基R
7で置換することにより、例えば、3位及び6位のうちの1つ、又は両方にC
1−20アルキル置換基を保持する2,7−結合されたフルオレンにより制御されてもよい。
【0126】
式(VII)の繰り返し単位は、2,7−結合された式(VIIa)の繰り返し単位でもよい:
【化24】
【0127】
各d=0の場合、又は任意の置換基R
7が、式(VIIa)の結合する2位又は7位に隣接する位置に存在しない場合、式(VIIa)の繰り返し単位全体に比較的高い結合度がもたらされることがある。
【0128】
少なくとも1つのdが少なくとも1である場合、及び少なくとも1つの置換基R
7が、式(VIIa)の結合する2位又は7位に隣接する位置に存在する場合、式(VIIa)の繰り返し単位全体に比較的低い結合度がもたらされることがある。各dは1でもよく、式(VIIa)の繰り返し単位の3位及び/又は6位が置換基R
7で置換されて、繰り返し単位全体に比較的低い結合度がもたらされてもよい。
【0129】
式(VII)の繰り返し単位は、3,6−結合された式(VIIb)の繰り返し単位でもよい。
【化25】
【0130】
式(VIIb)の繰り返し単位全体の結合度は、対応する式(VIIa)の繰り返し単位と比べて比較的低くてもよい。
【0131】
別の例示的なアリーレン繰り返し単位は式(VIII)を有する:
【化26】
【0132】
(式中、R
7、R
8及びdは、上述の式(VI)及び式(VII)に関して記載されている通りである)。R
7基のいずれかが、その他の任意のR
7基と結合されて環を形成してもよい。そのように形成された環は、非置換でもよく、1又は複数のC
1−20アルキル基でもよい1又は複数の置換基で置換されていてもよい。
【0133】
式(VIII)の繰り返し単位は、式(VIIIa)又は(VIIIb)を有してもよい:
【化27】
【0134】
1又は複数の共繰り返し単位は、共役遮断繰り返し単位を含んでもよく、これは、共役遮断繰り返し単位に隣接する繰り返し単位間にどのような共役経路ももたらさない繰り返し単位である。
【0135】
例示的な共役遮断共繰り返し単位には、式(IX)の共繰り返し単位が含まれる:
【化28】
【0136】
(式中:
Ar
4は、各出現時において独立に、非置換でも、1又は複数の置換基で置換されていてもよいアリール基又はヘテロアリール基を表し;
Spは、少なくとも1つの炭素原子又はケイ素原子を含むスペーサー基を表す)。
【0137】
好ましくは、スペーサー基Spは、Ar
4基を分離する少なくとも1つのsp
3混成炭素原子を含む。
【0138】
好ましくは、Ar
4はアリール基であり、Ar
4基は同じでも、異なっていてもよい。より好ましくは、各Ar
4はフェニルである。
【0139】
各Ar
4は独立に、非置換でも、1つ、2つ、3つ又は4つの置換基で置換されていてもよい。1又は複数の置換基は以下から選択されてもよい:
−アルキル基の1又は複数の隣接しないC原子が、O、S又はCOO、C=O、NR
6又はSiR
62によって置き換えられてもよく、C
1−20アルキル基の1又は複数のH原子がFによって置き換えられてもよく、式中、R
6は置換基であり、各出現時において、C
1−40ヒドロカルビル基でもよく、C
1−20アルキル基でもよいC
1−20アルキル;及び
−非置換でも、1又は複数のC
1−20アルキル基で置換されていてもよい、フェニルでもよいアリール又はヘテロアリール。
【0140】
Ar
4の好ましい置換基はC
1−20アルキル基であり、これは各出現時において同じでも、異なっていてもよい。
【0141】
例示的な基Spには、鎖の1又は複数の隣接しないC原子が、O、S、−NR
6−、−SiR
62−、−C(=O)−又は−COO−で置換されていてもよく、式中、R
6が、各出現時において置換基であり、各出現時においてC
1−40ヒドロカルビル基でもよく、C
1−20アルキル基でもよいC
1−20アルキル鎖が含まれる。好ましくは、Spは、2つの基Ar
4の間隔を空ける少なくとも1つのsp3混成炭素原子を含む。
【0142】
繰り返し単位RU1及び/又はRU2を含むポリマーは、共繰り返し単位あるいは式(IIIb)又は(IVb)の繰り返し単位として、式(X)のアリールアミン繰り返し単位を含んでもよい:
【化29】
【0143】
(式中、Ar
8、Ar
9及びAr
10は、各出現時において、置換又は非置換のアリール又はヘテロアリールから独立に選択され、gは0、1又は2、好ましくは0又は1であり、R
13は、各出現時において独立に、H又は置換基、好ましくは置換基であり、c、d及びeはそれぞれ独立に1、2又は3である)。
【0144】
式(X)の繰り返し単位は、正孔輸送層又は発光層内で使用するための正孔輸送特性及び/又は発光層内で使用するための発光特性を持つポリマーを与えてもよい
R
13は、gが1又は2であるとき、各出現時において同じでも、異なっていてもよいが、好ましくは、アルキル、例えばC
1−20アルキル、Ar
11、Ar
11基の分岐鎖又は直鎖、あるいは式(I)又は(II)(式中、Ar
11は、各出現時において独立に、置換されていてもよいアリール又はヘテロアリールである。)の基からなる群から選択される。
【0145】
同じN原子と直接結合したAr
8、Ar
9、並びに、存在する場合は、Ar
10及びAr
11から選択される任意の2つの芳香族基又は複素環式芳香族基は、直接結合あるいは二価の結合原子又は基により、別のAr
8、Ar
9、Ar
10及びAr
11と結合されてもよい。好ましい二価の結合原子及び基には、O、S;置換されたN;及び置換されたCが含まれる。
【0146】
Ar
8及びAr
10は、好ましくは非置換でも、1又は複数の置換基で置換されていてもよい、C
6−20アリール、より好ましくはフェニルである。
【0147】
g=0の場合、Ar
9は、好ましくは非置換でも、1又は複数の置換基で置換されていてもよい、C
6−20アリール、より好ましくはフェニルである。
【0148】
g=1の場合、Ar
9は、好ましくは非置換でも、1又は複数の置換基で置換されていてもよい、C
6−20アリール、より好ましくはフェニル又は多環式芳香族基、例えばナフタレン、ペリレン、アントラセン又はフルオレンである
R
13は、好ましくはAr
11あるいはAr
11基の分岐鎖又は直鎖である。Ar
11は、各出現時において、好ましくは非置換でも、1又は複数の置換基で置換されていてもよいフェニルである。
【0149】
例示的な基R
13には以下が含まれ、これらのそれぞれは、非置換でも、1又は複数の置換基で置換されていてもよく、式中、*はNとの結合点を表す:
【化30】
【0150】
c、d及びeは好ましくはそれぞれ1である。
【0151】
Ar
8、Ar
9、並びに、存在する場合はAr
10及びAr
11はそれぞれ独立に非置換であるか、あるいは1つ、2つ、3つ又は4つでもよい1又は複数の置換基で置換されている。例示的な置換基は以下から選択されてもよい:
−1又は複数の隣接しないC原子が、置換されていてもよいアリール又はヘテロアリール(好ましくはフェニル)、O、S、C=O又は−COO−で置換されていてもよく、1又は複数のH原子がFで置換されていてもよい、C
1−20アルキルでもよい置換又は非置換のアルキル;及び
−式(I)又は(II)の基。
【0152】
Ar
8、Ar
9、並びに、存在する場合はAr
10及びAr
11の好ましい置換基は、C
1−40ヒドロカルビル、好ましくはC
1−20アルキルあるいは式(I)又は(II)の基である。
【0153】
好ましい式(X)の繰り返し単位には、式1〜式3の非置換の単位又は置換された単位が含まれる:
【化31】
【0154】
好ましくは、式1の繰り返し単位のAr
8、Ar
10及びAr
11はフェニルであり、Ar
9はフェニル又は多環式芳香族基である。
【0155】
好ましくは、式2及び式3の繰り返し単位のAr
8、Ar
9及びAr
11はフェニルである。
【0156】
好ましくは、式3の繰り返し単位のAr
8及びAr
9はフェニルであり、R
13はフェニルあるいはフェニル基の分岐鎖又は直鎖である。
【0157】
式(X)の繰り返し単位を含む正孔輸送ポリマーは、式(X)の繰り返し単位及び1又は複数の共繰り返し単位を含むホモポリマー又はコポリマーでもよい。
【0158】
式(X)の繰り返し単位は、約10mol%から最大約95mol%の範囲のモル量で提供されても、約10〜75mol%又は約10〜50mol%の範囲のモル量で提供されてもよい。
【0159】
ポリマーは、1又は2又は複数の異なる式(X)の繰り返し単位を含んでもよい。
【0160】
式(IIIb)及び式(IVb)の例示的なポリマーの繰り返し単位を以下に示す。
【化32】
【0161】
本明細書に記載のポリマーは、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定される、約1×10
3〜1×10
8、好ましくは1×10
3〜5×10
6の範囲のポリスチレン相当の数平均分子量(Mn)を適切に有する。本明細書に記載されているポリマーのポリスチレン相当の重量平均分子量(Mw)は、1×10
3〜1×10
8、好ましくは1×10
4〜1×10
7でもよい。
【0162】
本明細書のどこかに記載されているポリマーは、適切に非晶性ポリマーである。
【0163】
ポリマー合成
共役ポリマーの調製のための好ましい方法は、金属錯体触媒の金属原子がアリール基又はヘテロアリール基と、モノマーの脱離基との間に挿入される「金属挿入」を含む。例示的な金属挿入法は、例えば、WO00/53656に記載されている鈴木重合、及び、例えば、T.Yamamoto,「Electrically Conducting And Thermally Stable π−Conjugated Poly(arylene)s Prepared by Organometallic Processes」,Progress in Polymer Science 1993,17,1153−1205に記載されている山本重合である。山本重合の場合、ニッケル錯体触媒が使用される;鈴木重合の場合、パラジウム錯体触媒が使用される。
【0164】
例えば、山本重合による直鎖状ポリマーの合成では、2つの反応性ハロゲン基を有するモノマーが使用される。同様に、鈴木重合の方法によれば、少なくとも1つの反応性基は、ボロン酸又はボロン酸エステルなどのホウ素誘導体基であり、他の反応性基はハロゲンである。好ましいハロゲンは塩素、臭素及びヨウ素であり、最も好ましくは臭素である。
【0165】
したがって、本出願全体にわたって例示される繰り返し単位は、適した脱離基を保持するモノマーから誘導されてもよいことを理解されたい。同じく、末端基又は側基は、適切な脱離基の反応により、ポリマーと結合されてもよい。
【0166】
鈴木重合を利用して、位置規則性ブロックコポリマー及びランダムコポリマーが調製されてもよい。特に、1つの反応性基がハロゲンであり、他の反応性基がホウ素誘導体基であるとき、ホモポリマー又はランダムコポリマーが調製されてもよい。あるいは、第1のモノマーの両方の反応性基がホウ素であり、第2のモノマーの両方の反応性基がハロゲンであるとき、ブロックコポリマー又は位置規則性コポリマー、特にABコポリマーが調製されてもよい。
【0167】
ハロゲンの代替として、金属挿入に関与することができる他の脱離基には、トシラート、メシラート及びトリフラートを含む基が含まれる。
【0168】
正孔注入層
導電性がある正孔注入層は、導電性がある有機材料又は無機材料から形成されてもよいが、半導体ポリマーの1又は複数の層へのアノードからの正孔注入を助けるために、
図1に示すようにOLEDのアノード103と正孔輸送層105との間に設けられてもよい。ドープされた有機性の正孔注入材料の例には、置換されていてもよい、ドープされたポリ(エチレンジオキシチオフェン)(PEDT)、特に、EP0901176及びEP0947123に開示されているポリスチレンスルホン酸(PSS)などの電荷平衡ポリ酸をドープしたPEDT、ポリアクリル酸又はフッ素化スルホン酸、例えばNafion(登録商標);US5723873及びUS5798170に開示されているポリアニリン;及び置換されていてもよいポリチオフェン又はポリ(チエノチオフェン)が含まれる。導電性無機材料の例には、Journal of Physics D:Applied Physics(1996),29(11),2750−2753に開示されているVOx、MoOx及びRuOxなどの遷移金属酸化物が含まれる。
【0169】
カソード
カソード109は、OLEDの発光層への電子の注入を可能にする仕事関数を有する材料から選択される。カソードと発光材料の間の不利な相互作用の可能性など、他の要素がカソードの選択に影響する。カソードは、アルミニウムの層など、単一の材料からなっていてもよい。あるいは、カソードは、金属などの複数の導電材料、例えばWO98/10621に開示されている、例えば、カルシウム及びアルミニウムなどの低仕事関数材料及び高仕事関数材料の二重層を含んでもよい。カソードは、例えばWO98/57381、Appl.Phys.Lett.2002,81(4),634及びWO02/84759に開示されている元素のバリウムを含んでもよい。カソードは、電子注入を助けるために、デバイスの有機層と1又は複数の導電性カソード層との間に金属化合物、特にアルカリ又はアルカリ土類金属の酸化物又はフッ化物、例えばWO00/48258に開示されているフッ化リチウム;Appl.Phys.Lett.2001,79(5),2001に開示されているフッ化バリウム;及び酸化バリウムの薄い(例えば、1〜5nm)層を含んでもよい。デバイスへの効率的な電子の注入を可能にするため、カソードは、好ましくは3.5eV未満、より好ましくは3.2eV未満、最も好ましくは3eV未満の仕事関数を有する。金属の仕事関数は、例えば、Michaelson,J.Appl.Phys.48(11),4729,1977に記載されている。
【0170】
カソードは不透明でも透明でもよい。透明なカソードは、アクティブマトリックスデバイスに特に有利であるが、その理由は、このようなデバイス内の透明なアノードを通る発光が、発光画素の下に位置する駆動回路により、少なくとも部分的に遮られるためである。透明なカソードは、透明であるために十分に薄い電子注入材料の層を含む。通常、この層の横方向の導電率は、その薄さの結果、低くなる。この場合、電子注入材料の層は、インジウムスズ酸化物など、透明な導電材料のさらに厚い層と組み合わせて使用される。
【0171】
透明なカソードデバイスは、(もちろん完全に透明なデバイスが望まれていない限り)透明なアノードを有する必要はなく、したがって、底部発光デバイスのために使用される透明なアノードは、アルミニウムの層など、反射性材料の層で置き換えられても、補われてもよいことを理解されたい。透明なカソードデバイスの例は、例えば、GB2348316に開示されている。
【0172】
封止
有機光電子デバイスは、水分及び酸素に対して敏感である傾向がある。したがって、基板は、好ましくは、デバイスへの水分及び酸素の侵入を防ぐための良好なバリア性を有する。基板は一般にガラスであるが、特にデバイスの柔軟性が望まれる場合、代替の基板が使用されてもよい。例えば、基板は、1又は複数のプラスチック層、例えば、プラスチック層と誘電体バリア層の交互の基板、又は薄いガラスとプラスチックのラミネートを含んでもよい。
【0173】
デバイスは、水分及び酸素の侵入を防ぐために、封止材(図示せず)で封止されてもよい。適した封止材には、ガラス板、二酸化ケイ素、一酸化ケイ素、窒化ケイ素、又はポリマーと誘電体の交互積層など、適したバリア性を有する膜、あるいは気密容器が含まれる。透明なカソードデバイスの場合、一酸化ケイ素又は二酸化ケイ素などの透明な封止層は、ミクロンレベルの厚さまで堆積させてもよいが、1つの好ましい実施形態では、このような層の厚さは20〜300nmの範囲にある。基板又は封止材を透過し得る、大気中のあらゆる水分及び/又は酸素を吸収するためのゲッター材料が、基板と封止材との間に配置されてもよい。
【0174】
配合処理
有機電子デバイスの層、好ましくはOLEDの層、より好ましくはOLEDの正孔輸送層の形成に適した配合物は、式(I)の置換基を有する材料及び1又は複数の適した溶媒を含んでもよい。配合物は、実質的に第1の材料及び1又は複数の溶媒からなっていてもよく、あるいは、1又は複数の別の成分、例えば、式(II)の置換基を有する1又は複数の材料を含んでもよい。
【0175】
OLED正孔輸送層の場合、発光層は、本明細書に記載の溶液堆積法により、正孔輸送層上に形成されてもよい。
【0176】
配合物は、1又は複数の溶媒中の式(I)の置換基を有する材料の溶液でもよく、あるいは1又は複数の成分が溶解されていない1又は複数の溶媒中の分散物でもよい。好ましくは、配合物は溶液である。
【0177】
式(I)の置換基を有する材料、特にアルキル置換基を含むポリマーを含む組成物の溶解に適した溶媒には、C
1−10アルキル、C
1−10アルコキシ及び塩素から選択される1又は複数の置換基で置換されたベンゼン、例えばトルエン、キシレン及びメチルアニソールが含まれる。
【0178】
特に好ましい溶液堆積法には、スピンコーティング及びインクジェット印刷などの印刷法及びコーティング法が含まれる。インクジェット印刷が好ましい。
【0179】
スピンコーティングは、発光層のパターニングが不必要なデバイス−例えば、照明用途又は単純なモノクロセグメントディスプレイに特に適している。
【0180】
インクジェット印刷は、高情報量のディスプレイ、特にフルカラーディスプレイに特に適している。デバイスは、第1の電極の上にパターニングされた層を設け、1色(モノクロデバイスの場合。)又は多色(マルチカラー、特にフルカラーデバイスの場合。)の印刷用のウェルを定めることによってインクジェット印刷されてもよい。パターニングされた層は、好ましくは、例えばEP0880303に記載されているように、パターニングされてウェルを定めたフォトレジストの層である。正孔輸送層は、パターニングされた層のウェル内に、式(I)の置換基を有する材料をインクジェット印刷し、材料を反応させることにより、好ましくは架橋させることにより形成されてもよい。次に、1又は複数の発光材料が、正孔輸送層上のウェル内にインクジェット印刷されてもよい。
【0181】
ウェルの代替として、パターニングされた層内に定められたチャネル内にインクが印刷されてもよい。特に、フォトレジストがパターニングされて、ウェルとは異なり、複数の画素の上に延び、チャネル端で開閉されてもよいチャネルが形成されてもよい。
【0182】
他の溶液堆積法には、浸漬コーティング、フレキソ印刷及びスクリーン印刷が含まれる。
【0183】
用途
本明細書に記載の第1の材料及びその組成物は、1又は複数の層の有機電子デバイスを形成するために用いられてもよい。好ましくは、第1の材料は、その上に別の層が溶液堆積法により形成される架橋された層を形成するために用いられる。
【0184】
本明細書に記載の第1の材料及び層形成法は、OLEDの電荷輸送層又は発光層;有機光応答性デバイス、例えば光検出器又は光起電デバイスの半導電層;及び有機薄膜トランジスタの半導電層又は誘電体層を形成するために用いられてもよい。
【0185】
有機光応答性デバイスは、アノード、カソード、及びアノードとカソードとの間に本明細書に記載の組成物から形成される半導電層を含んでもよい。有機半導電層は、電子受容層、電子供与層、又はアノードとカソードとの間の別の層でもよい。別々の受容層及び供与層の代わりに、電子受容材料及び電子供与材料のブレンドを含む単層が設けられてもよく、この層は、この層の1又は複数の成分を式(I)の少なくとも1つの置換基(式(II)の少なくとも1つの置換基でもよい。)で置換することにより架橋されてもよい。
【0186】
有機薄膜トランジスタは、ソース電極及びドレイン電極;ソース電極とドレイン電極との間に延び、これらの電極と電気的に接触している有機半導体層;ゲート電極;及び有機半導電層とゲート電極との間の誘電体層を含んでもよい。
【0187】
[実施例]
化合物実施例1
非ポリマー化合物実施例1を以下の反応スキームに従って調製した:
【化33】
【0188】
BPアミド
窒素下、−20℃のTHF(1250ml)中のBPメチルエステル(250g、0.68mol)及びN,O−ジメチルヒドロキシルアミン・塩酸塩(102.1g、1.05mol)の溶液に、内部温度を−5℃未満に保つようにイソプロピルマグネシウムクロリドの溶液(THF中で2M)(1047ml、2.09mol)を滴加し、反応混合物を室温まで昇温させ、さらに16時間攪拌した。反応混合物を0℃まで冷却して希塩酸(1.5M)を用いて反応を停止し、酢酸エチル(3L)で希釈して酢酸エチル層を分離し、乾燥(Na
2SO
4)して溶媒を減圧下で除去した。生じる白色固体をメタノールと共に粉砕し、濾過して高温のメタノール及び高温のACNで洗い、BPアミド(196g、収率73%、HPLC純度98.4%)を得た。
【0189】
1H−NMR(400MHz,CDCl
3):δ[ppm]3.12(s,3H),3.33(s,3H),7.25−7.35(m,3H),7.52−7.54(m,2H),7.60−7.62(m,2H).
13C−NMR(100MHz,CDCl
3):δ[ppm]32.45,61.29,121.30,122.19,129.81,129.93,130.82,131.63,132.54,136.43,137.31,138.34,169.79.
化合物1実施例1段階1
窒素下、室温の乾燥ジエチルエーテル(650ml)中のマグネシウム削片(25g、1.04mol)、ヨウ素及び1,2−ジブロモエタンの懸濁液にブロモベンゼン(14.5ml、0.14mol)を加え、開始したら、残りのブロモベンゼン(29ml、0.28mol)を滴加し、反応混合物を40℃で16時間攪拌し、次に、室温まで徐冷した。生じるグリニャール試薬を、−20℃の乾燥THF(750ml)中のBPアミド(75g、0.19mol)の溶液に滴加し、この温度でさらに30分間攪拌を続けた。次に、これを0℃まで冷却し、希塩酸(1L、1.5M)を用いて反応を停止して室温まで昇温し、酢酸エチルで希釈して有機層を分離、乾燥(Na
2SO
4)し、溶媒を減圧下で除去した。生じる白色固体をメタノールと共に2回粉砕し、濾過して高温のメタノールで洗い、化合物実施例1段階1(68g、収率87%、HPLC純度97.7%)を得た。
【0190】
1H−NMR(400MHz,CDCl
3):δ
H[ppm]7.07−7.10(m,2H),7.25−7.35(m,5H),7.45−7.49(m,1H),7.61−7.68(m,3H),7.69−7.70(m,1H).
化合物実施例1段階2
窒素下、−78℃の乾燥テトラヒドロフラン(150ml)中のモノマー実施例1段階2(18.2g、0.072mol)の溶液に、内部温度を−74℃未満に保つようにn−ブチルリチウムの溶液(ヘキサン中で2.5M、28.8ml、0.072mol)を滴加した。反応混合物を2時間攪拌し、次に、内部温度を−74℃未満に保つようにBPアミド(20g、0.048mol)の溶液を滴加し、混合物をこの温度で1時間攪拌した。混合物を室温まで一晩でゆっくりと昇温させた;次に、この混合物を5℃まで冷却し、HCl(50ml、1.5M)の希薄溶液を滴加して反応を停止して酢酸エチル(500ml)で抽出し、(乾燥(Na
2SO
4)して溶媒を減圧下で除去した。シリカカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の2%EtOAc)により精製して、表題化合物(18.2g、収率68%)を得た。
【0191】
化合物実施例1段階3
窒素下の化合物実施例1段階2(16.3g、0.028mol)、氷AcOH(245ml)及び濃HCl(4.9ml)の溶液を120℃で1時間加熱した。混合物を冷却し、氷:水(500ml)の溶液に注意深く注ぎ、生じる固体を濾過により単離して乾燥した。水性相をジクロロメタンで抽出し、合わせた有機抽出液を乾燥(Na
2SO
4)して溶媒を減圧下で除去した。シリカカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の5%EtOAc)により精製して、表題化合物(14.3g、収率48%、HPLC純度54%)を得た。
【0192】
化合物実施例1
化合物実施例1段階3(14.3g、0.025mol)、2−(2,5−ジエチルフェニル)−4,4,5,5−tetrsmethyl−1,3,2−ジオキサボロラン(19.5g、0.075mol)、第三リン酸カリウム(23g、0.1mmol)、トルエン(170ml)、エタノール(57ml)及び蒸留水(57ml)の溶液をアルゴンで30分間パージし、Pd
2(dba)
3(0.195g、0.0002mol)及びSPhos(0.195g、0.0004mol)を加え、反応混合物を100℃で16時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、Celiteプラグ(酢酸エチル500ml)に通して濾過して水(500ml)で希釈し、有機相を分離して塩水(500ml)で洗い、乾燥(Na
2SO
4)して溶媒を減圧下で除去した。シリカカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)により精製し、続いて酢酸エチル中でPd/Cと反応させ、逆相クロマトグラフィー(アセトニトリル:THF)を用いて精製し、白色固体として化合物実施例1(4g、収率24%、HPLC純度99.3%)を得た。
【0193】
1H−NMR(400MHz,CDCl
3):δ
H[ppm]0.94(s,9H),1.06(t,J=7.48Hz,6H),1.28(t,J=7.60Hz,6H),1.51−1.58(m,2H),1.72−1.76(m,1H),2.56(q,J=7.44Hz,4H),2.68(q,J=7.64Hz,4H),3.26−3.29(m,1H),3.46−3.49(m,1H),6.89−6.94(m,2H),7.09−7.15(m,3H),7.18−7.26(m,8H),7.28−7.30(m,1H),7.36(d,J=7.76Hz,2H),7.44(s,2H),7.83(d,J=7.76Hz,2H).
13C−NMR(400MHz,CDCl
3):δ
H[ppm]15.52,15.79,25.89,28.35,29.79,29.87,31.04,38.03,39.93,48.38,65.94,119.71,121.52,122.62,126.42,126.73,126.89,127.36,128.07,128.21,128.56,128.81,129.51,138.51,138.97,141.29,141.44,141.64,143.64,144.82,146.48,148.56,151.35
モノマー実施例1
モノマー実施例1を以下の反応スキームに従って調製した:
【化34】
【0194】
モノマー実施例1段階1
窒素下、室温の乾燥ジエチルエーテル(10ml)中のマグネシウム削片(15.42g、634mmol)及びヨウ素(3ペレット)の懸濁液に、穏やかな還流を保つように乾燥ジエチルエーテル(290ml)中のネオペンチルブロミド(77ml、601mmol)の溶液を2時間にわたって滴加し、次に、混合物を1時間還流させ、次に、室温まで徐冷した。生じるグリニャール試薬を、乾燥ジエチルエーテル(1000ml)中の3−ブロモビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン−7−オン(100g、510mmol)の溶液に内部温度を〜0℃に保つように滴加した。反応混合物を室温まで一晩昇温させ、次に、この混合物を0℃まで冷却し、希塩酸(340ml、2M水溶液)を用いて反応を停止し、室温まで昇温させた。有機相を分離して水(3×120ml)で洗い、MgSO
4で乾燥し、溶媒を減圧下で除去してオレンジ色のオイル(134g)を得た。オイルをシリカプラグ(ヘキサン:酢酸エチル(95:5%)を用いて溶離。)により精製し、オレンジ色のオイルとして、2異性体の混合物として表題化合物(111.1g、0.40mol、収率78%、
1H NMRによる純度91.8%)を得た。
【0195】
MS(EI)m/z270((Br
81)M
+,2%),268((Br
79)M
+,2),255((Br
81)M
+−OH,11),253((Br
79)M
+−OH,11),199((Br
81)M
+−neopentyl,100),197((Br
79)M
+−neopentyl,99)
1H−NMR(600MHz,CDCl
3):δ
H[ppm]1.10(9H,s),1.81(d,J=14.7Hz,1H),1.94(d,J=14.7Hz,1H),3.16(d,J=14.4Hz,1H),3.48(d,J=14.4Hz,1H),7.07(d,J=7.6Hz,1H),7.29(s,1H),7.37(d,J=7.6Hz,1H),
モノマー実施例1段階2
窒素下、0℃のヘキサン(325ml)中のモノマー実施例1段階1(111g、395mmol)及びトリエチルシラン(67ml、416mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(159ml、2062mmol)を1時間にわたって滴加した。反応物を室温まで昇温し、24時間攪拌した。反応混合物を氷:水(2.3L)の溶液に注ぎ、氷が溶けるまで1時間攪拌して層を分離した。水性相をヘキサン(500ml)で抽出し、合わせた有機抽出液を水(3×600ml)、酢酸ナトリウム(10%wt:vol 500ml)、水(3×600ml)で洗い、MgSO
4で乾燥し、溶媒を減圧下で除去してオレンジ色のオイル(152.7g)を得た。オイルをシリカプラグ(ヘキサンを用いて溶離。)により精製し、黄色のオイルとして表題化合物(103.64g、376mmol、
1H NMRによる純度91.8%(2異性体の混合物として。2%のアルケン不純物を含む。))を得た。
【0196】
ボラン.THF錯体(123ml、123mmol)の溶液を、乾燥テトラヒドロフラン(1L)中のモノマー実施例1段階2(103.64g、376mmol)の溶液にゆっくりと加え、混合物を50℃まで18時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却してジグリム(1.3L)を加え、混合物を0℃まで冷却し、酢酸(610ml)を滴加した(発泡が観察された)。反応混合物を室温で一晩攪拌し、次に110℃まで加熱し、テトラヒドロフランを蒸留除去し、次に混合物を110℃でさらに4時間加熱し、その後、この混合物を室温まで冷却して一晩攪拌した。水(200ml)を反応混合物に加え、この混合物をヘキサン(4×1L)で抽出し、合わせた有機抽出液を水(6×1L)で洗ってMgSO
4で乾燥し、溶媒を減圧下で除去して、無色のオイルとして表題化合物を得た。オイルをシリカプラグ(ヘキサンを用いて溶離。)により精製し、無色のオイルとして表題化合物(92.87g、345mmol、2異性体の混合物として
1H NMRによる純度93.9%)を得た。
【0197】
MS(EI)m/z254((Br
81)M
+、3%)、252((Br
79)M
+、2)、57(100)。
【0198】
1H−NMR(600MHz,CDCl
3):δ
H[ppm]0.99(s,9H),1.55(dd,J=14.0Hz,8.8Hz1H),1.75(dd,J=14.0Hz,5.2Hz,1H),2.78(dd,J=14.2Hz,2.5Hz,1H),3.36(dd,J=14.2Hz,5.2Hz,1H),3.47(dtd,J=8.8Hz,5.2Hz,2.5Hz,1H),6.93(d,J=8.0Hz,1H),7.19(s,1H),7.32(d,J=8.0Hz,1H),
モノマー実施例1段階3
窒素下、−78℃の乾燥テトラヒドロフラン(70ml)中のモノマー実施例1段階2(7.2g、26.4mmol)の溶液に、内部温度を−74℃未満に保つようにn−ブチルリチウムの溶液(ヘキサン中で2.5M、11.0ml、27.5mmol)を滴加した。反応混合物を20分間攪拌し、一定分量の反応を水で停止して、GC−MS(BCBNp/BrBCBNp 80/20)で分析した。BPメチルエステル(4.35g、11.7mmol)を、内部温度を−74℃未満に保つように固体として分割して加えた。混合物を室温まで一晩でゆっくりと昇温させた;次に、この混合物を5℃まで冷却し、HCl(2M水溶液)を滴加して反応を停止した。溶媒を減圧下で除去して残留物をヘキサンで抽出し、合わせた有機抽出液を水で洗い、MgSO
4で乾燥して減圧下で濃縮乾固した。未精製のモノマー実施例1段階3をさらに精製することなく次のステップで使用した。
【0199】
モノマー実施例1
窒素下、0℃の乾燥ジクロロメタン(40ml)中のモノマー実施例1段階3(9.19g、13.4mmol)の溶液に、内部温度を5℃未満に保つようにホウ素トリフルオリドジエチルエーテルの溶液(8.23ml、66.9mmol)を滴加した。反応混合物を室温まで昇温させ、一晩攪拌し、次に、氷:水(200ml)の溶液に注意深く注いだ。氷が溶けた後、相を分離して水性相をジクロロメタンで抽出し、合わせた有機抽出液を第三リン酸カリウム溶液の水溶液(10%wt:vol、40ml)と共に30分間攪拌した。有機相を分離して水(50ml×3)で洗い、MgSO
4で乾燥して濾過し、Isolute(登録商標)に吸着させた。乾燥したIsolute(登録商標)をシリカ/Florisil(登録商標)プラグに負荷させ、ヘキサン:ジクロロメタン(9:1及び6:4)の混合物で溶離して、分画1としてモノマー実施例1及びモノマー実施例1段階3及び分画2を得た。
【0200】
窒素下、0℃の乾燥ジクロロメタン(12ml)中の分画2(3.0g、4.3mmol)の溶液に、内部温度を5℃未満に保つようにホウ素トリフルオリドジエチルエーテルの溶液(2.8ml、22.8mmol)を滴加した。反応混合物を室温まで昇温させ、一晩攪拌し、次に、氷:水(50ml)の溶液に注意深く注いだ。氷が溶けた後、相を分離して水性相をジクロロメタンで抽出した、合わせた有機抽出液を第三リン酸カリウム溶液の水溶液(10%wt:vol、10ml)と共に30分間攪拌した。有機相を分離して水(20ml×3)で洗い、MgSO
4で乾燥して濾過し、Isolute(登録商標)に吸着させた。乾燥したIsolute(登録商標)をシリカ/Florisil(登録商標)プラグに負荷させ、ヘキサン:ジクロロメタン(9:1)の混合物で溶離した。モノマー実施例1を含む分画を合わせて減圧乾固して減量し、分画1と合わせた。
【0201】
生じる固体を酢酸n−ブチル:メタノール、続いてトルエン:メタノールから順次再結晶させ、白色固体としてモノマー実施例1(1.93g、収率22%、2異性体の混合物としてHPLCによる純度100%)を得た。
【0202】
1H−NMR(600MHz,CDCl
3):δ
H[ppm]0.97(s,18H).1.56(dd,J=14.0Hz,8.7Hz,2H),1.75(dd,J=14.0Hz,5.3Hz,2H),2.71(dd,J=14.2Hz,2.3Hz,2H),3.28(dd,J=14.2Hz,5.2Hz,2H),3.48(m,2H),6.79(s,2H),6.92(d,J=7.8Hz,2H),6.98(dd,J=7.8Hz,0.96Hz,2H),7.45(dd,J=8.1Hz,1.6Hz,2H),7.49(d,J=1.3Hz,2H),7.56(d,J=8.1Hz,2H)
モノマー実施例2
モノマー実施例2を以下の反応スキームに従って調製した:
【化35】
【0203】
3−(4−クロロブチル)−7−ネオペンチルビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン(A)
窒素下、−78℃の乾燥THF(400ml)中の−78℃の3−ブロモ−7−ネオペンチルビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン(33.7g、123.8mmol、2異性体の混合物としてGC−MSによる純度93%)の溶液に、内部温度を−74℃未満に保つようにsec−ブチルリチウムの溶液(118ml、164.4mmol、シクロヘキサン中で1.4M)を滴加し、反応混合物を−78℃でさらに1時間攪拌した。次に、内部温度を−74℃未満に保つように1−ブロモ−4−クロロブタンの溶液(13.5ml、117.7mmol)を滴加し、混合物を室温まで一晩昇温させた。次に、この混合物を0℃まで冷却し、2M HCl(100ml)を滴加して反応を停止し、真空下で濃縮した。二相の残留物をヘキサン(3×120ml)で抽出し、合わせた有機抽出液を水(3×200ml)で洗い、乾燥(MgSO
4)して真空下で濃縮乾固した。生じるオイルを、シリカプラグ(ヘキサン、ヘキサン:DCM 9:1)を用いて精製し、無色のオイルとして3−(4−クロロブチル)−7−ネオペンチルビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン(28g、収率87%)を得た。
【0204】
1H−NMR(600MHz,CDCl
3):δ
H[ppm]1.0(s,9H),1.57(dd,J=8.6Hz,13.9Hz,1H),1.72−1.84(m,5H),2.61(t,J=7.6Hz,2H),2.75(dd,J=2.5Hz,13.9Hz,1H),3.34(dd,J=5.3Hz,13.9Hz,1H),3.50(m,1H),3.55(t,J=6.5Hz,2H),6.88(s,1H),6.98(m,2H).
3−(4−ヨードブチル)−7−ネオペンチルビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン(B)
アセトン(300ml)中の3−(4−クロロブチル)−7−ネオペンチルビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン(28.0g、105.7mmol)及びヨウ化ナトリウム(79.2g、528.6mmol)の混合物を25時間還流させた。混合物を室温まで冷却し、水(250ml)を加え、混合物を真空下で濃縮した。二相の残留物をヘキサン(3×110ml)で抽出し、合わせた有機抽出液を水(5×100ml)で洗い、乾燥(MgSO
4)して真空下で濃縮し、無色のオイルとして3−(4−ヨードブチル)−7−ネオペンチルビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン(36.3g、収率96%、2異性体の混合物としてHPLC純度95.8%)を得た。
【0205】
1H−NMR(600MHz,CDCl
3):δ
H[ppm]1.0(s,9H),1.57(dd,J=8.6Hz,13.9Hz,1H),1.71(quint,2H),1.77(dd,J=5.2Hz,13.9Hz,1H),1.86(quint,2H),2.60(t,J=7.6Hz,2H),2.75(dd,J=2.3Hz,13.9Hz,1H),3.20(t,J=7.0Hz,2H),3.34(dd,J=5.2Hz,13.9Hz,1H),3.50(m,1H),6.88(s,1H),6.98(m,2H).
モノマー実施例2段階1
窒素下、−78℃の乾燥THF(200ml)中の1,4−ジブロモ−3,6−(トリメチルシリル)ベンゼン(20.0g、52.6mmol)の溶液に、内部温度を−74℃未満に保つようにsec−ブチルリチウムの溶液(47.8ml、68.4mmol、シクロヘキサン中で1.4M)を滴加した。反応混合物を−78℃でさらに1時間攪拌した。次に、内部温度を−74℃未満に保ちながらTHF(20ml)中の3−(4−ヨードブチル)−7−ネオペンチルビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン(19.7g、55.2mmol)の溶液を滴加し、混合物を室温まで一晩昇温させた。次に、この混合物を0℃まで冷却し、2M HCl(50ml)を滴加して反応を停止し、真空下で濃縮し、二相の残留物をヘキサン(3×70ml)で抽出した。合わせた有機抽出液を水(3×100ml)で洗い、乾燥(MgSO
4)して真空(vaccum)下で濃縮した。生じるオイルを、シリカプラグ(ヘキサン)を用いて精製し、無色のオイルとしてモノマー実施例2段階1(18.2g、収率65%、2異性体の混合物としてHPLC純度85.8%)を得た。
【0206】
1H−NMR(600MHz,CDCl
3):δ
H[ppm]0.29(s,9H),0.38(s,9H),1.0(s,9H),1.53−16.3(m,3H),1.71(quint,2H),1.76(dd,J=5.3Hz,13.9Hz,1H),2.63(m,4H),2.74(dd,J=2.3Hz,13.9Hz,1H),3.33(dd,J=5.2Hz,13.9Hz,1H),3.50(m,1H),6.89(s,1H),6.96(d,J=7.5Hz,1H),7.00(d,J=7.5Hz,1H),7.20(s,1H),7.35(s,1H).
モノマー実施例2段階2
窒素下、−78℃の乾燥THF(200ml)中のモノマーB段階1(18.2g、34.4mmol)の溶液に、内部温度を−74℃未満に保つようにsec−ブチルリチウムの溶液(29.4ml、41.2mmol、シクロヘキサン中で1.4M)を滴加し、反応混合物を−78℃でさらに1時間攪拌した。次に、内部温度を−74℃未満に保ちながらTHF(20ml)中の3−(4−ヨードブチル)−7−ネオペンチルビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン(12.9g、36.1mmol)の溶液を滴加し、混合物を室温まで一晩昇温させた。次に、この混合物を0℃まで冷却し、2M HCl(25ml)を滴加して反応を停止し、真空下で濃縮し、トルエン(100ml)で希釈した。相を分離して水層を水(50ml)で希釈し、トルエン(2×50ml)で抽出した。合わせた有機抽出液を水(3×100ml)で洗い、乾燥(MgSO
4)して真空下で濃縮した。生じる固体をアセトニトリル(250ml)中で3時間攪拌し、濾過して真空オーブン内で40℃で68時間乾燥し、白色固体としてモノマー実施例2段階2(17.8g、収率76%、HPLC純度95.5%)を得た。
【0207】
1H−NMR(600MHz,CDCl
3):δ
H[ppm]0.28(s,18H),1.0(s,18H),1.56(dd,J=8.7Hz,13.9Hz,2H),1.63(m,4H),1.72(m,4H),1.76(dd,J=5.3Hz,13.9Hz,2H),2.63(t,J=7.5Hz,4H),2.67(m,4H),2.75(dd,J=2.0Hz,13.9Hz,2H),3.33(dd,J=5.2Hz,13.9Hz,2H),3.49(m,2H),6.89(s,2H),6.96(d,J=7.5Hz,2H),7.00(d,J=7.5Hz,2H),7.35(s,2H).
モノマー実施例2段階3
窒素下、5℃で遮光したクロロホルム(180ml)中のモノマーB段階2(17.8g、26.2mmol)の溶液に、温度を10℃未満に保つように酢酸(32ml)、続いてDMF(71ml)を滴加した。混合物を室温まで昇温させ、窒素で30分間パージした。窒素で30分間パージしたDMF(33ml)中のN−ブロモスクシンイミド(9.6g、53.7mmol)の溶液をモノマーB段階2の溶液に5℃で滴加し、生じる混合物を室温まで昇温させ、さらに3時間攪拌した。N−ブロモスクシンイミドの別の一部(0.4g、2.25mmol)を固体として5℃で加え、反応物を室温で一晩攪拌した。混合物を10℃まで冷却し、反応混合物に水(170ml)を加え、相を分離して水層をDCM(2×100ml)で抽出し、合わせた有機抽出液を水(5×100ml)で洗い、乾燥(MgSO
4)して真空下で濃縮した。生じる固体をアセトニトリル(250ml)中で3時間攪拌し、濾過して真空オーブン内で50℃で18時間乾燥し、白色固体としてモノマー実施例2段階3(16.7g、収率92%、HPLCによる純度95.6%)を得た。
【0208】
1H−NMR(600MHz,CDCl
3):δ
H[ppm]0.99(s,18H),1.57(dd,J=8.6Hz,13.9Hz,2H),1.65(m,8H),1.77(dd,J=5.3Hz,13.9Hz,2H),2.61(t,J=7.4Hz,4H),2.67(t,J=7.4Hz,4H),2.75(dd,J=2.3Hz,13.9Hz,2H),3.34(dd,J=5.2Hz,13.9Hz,2H),3.50(m,2H),6.88(s,2H),6.96(d,J=7.4Hz,2H),7.00(d,J=7.5Hz,2H),7.33(s,2H).
モノマー実施例2
1,2−ジメトキシエタン(200ml)中のモノマー実施例2段階3(16.7g、24.1mmol)及びビス(ピナコラト)ジボロン(13.5g、53.0mmol)の溶液を窒素で1時間パージし、酢酸カリウム(14.2g、144.7mmol)を加え、混合物をさらに20分間パージした。1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウムジクロリド・ジクロロメタン付加物(0.59g、0.72mmol)を加え、混合物を100℃で一晩攪拌した。混合物を室温まで冷却し、シリカ−Florisil−celiteプラグ(DCM:ヘキサン(1:1))に通して濾過して真空下で濃縮した。生じる残留物をDCMに溶解し、ヘキサンを加え、DCMを真空下で除去してDCM:ヘキサン(1:1)の混合物を得た。溶液をシリカ−Forisilプラグ(DCM:ヘキサン(1:1))に通して濾過し、減圧下で(under educed pressure)濃縮乾固した。生じる固体を、トルエン:アセトニトリル、トルエン:ヘキサン及びトルエン:アセトニトリル:イソプロパノールから繰り返し再結晶させ、次に、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:DCM(7:3)〜(6:4))により精製して生じる固体をトルエンに溶解し、混合物にアセトニトリルを加え、生じるスラリーを濾過して、白色固体としてモノマー実施例2(9.6g、収率50%、HPLCによる純度99.8%)を得た。
【0209】
1H−NMR(600MHz,CDCl
3):δ
H[ppm]0.99(s,18H),1.31(s,24H),1.58(m,6H),1.66(quint,4H),1.76(dd,J=5.3Hz,13.9Hz,2H),2.59(t,J=7.7Hz,4H),2.74(dd,J=2.0Hz,13.9Hz,2H),2.84(t,J=7.9Hz,4H),3.32(dd,J=5.2Hz,13.9Hz,2H),3.48(m,2H),6.87(s,2H),6.94(d,J=7.5Hz,2H),6.99(d,J=7.5Hz,2H),7.53(s,2H).
モノマーC
モノマーCを以下の反応スキームに従って調製した:
【化36】
【0210】
窒素下の乾燥THF(20ml)中の2,7−ジブロモ−9H−フルオレン(2g、6.17mmol)の溶液に、カリウムtert−ブトキシド(3.4g、30.86mol)を加え、混合物を70℃で2時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、乾燥THF(5ml)中の5−(3−ブロモプロパ−1−イル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(3.9g、18.52mol)を滴加し、次に混合物を75℃で16時間攪拌した。冷却しながら水(50ml)を加え、溶液をジクロロメタン(2×50ml)で抽出した。合わせた有機抽出液を水(50ml)、塩水(50ml)で洗い、乾燥(Na
2SO
4)して減圧下で濃縮し、黄色固体を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)により精製して固体を得、これをMeOH/EtOAc(5ml:3ml)の混合物と共に50℃で30分間粉砕した。固体を濾過してメタノールで洗い、白色固体としてモノマーC(1.16g、収率32%、HPLCによる純度99.8%)を得た。
【0211】
1H−NMR(400MHz,CDCl
3):δ
H[ppm]0.26−0.30(m,2H),0.57−0.63(m,4H),0.82−0.87(m,4H),1.09−1.19(m,2H),1.27−1.29(m,2H),1.64−1.69(m,2H),1.71−1.76(m,2H),1.86−1.92(m,4H),2.50(m,2H,),2.66(m,2H),5.72(dd,J=2.8Hz,5.6Hz,2H),6.03(dd,J=2.9Hz,5.6Hz,2H),7.45−7.49(m,4H),7.54−7.56(m,2H).
ポリマー実施例
以下に示す表1に記載の量のモノマーのポリマーを、WO00/53656に記載の鈴木重合により調製した。
【表1】
【化37】
【0212】
非ポリマー化合物反応実施例1
30〜40mgの化合物実施例1を秤量してガラスディスクに入れた。ガラスディスクをグローブボックス(O
2<0.1ppm)内で加熱し、マグネチックスターラーバーを用いて混合物を1時間攪拌した。
【0213】
得られた混合物を溶解し、HPLC及びLC−MSにより分析した。出発材料に対応するこれらのピークを100%に規格化した。
【0214】
非ポリマー化合物反応比較例1
実施例1に記載されているように反応を実施した。ただし、化合物実施例1の代わりに、以下に示す比較化合物1を使用したことを除く。
【化38】
【0215】
非ポリマー化合物反応比較例2
実施例1に記載されているように反応を実施した。ただし、化合物実施例1の代わりに、以下に示す比較化合物2を使用したことを除く。
【化39】
【0216】
図2A〜
図2Cを参照すると、比較化合物1及び比較化合物2(それぞれ
図2A及び
図2B)は、反応して相当量の三量体及びそれ以上のオリゴマーを生成する一方、化合物実施例1の反応の生成物(
図2C)は、わずかな三量体又はそれ以上のオリゴマー生成を伴う二量体生成が支配的である。いかなる理論によっても制限されることは本意ではないが、化合物実施例1のかさ高いネオペンチル置換基が、三量体又はそれ以上のオリゴマーの生成を阻害し、存在する場合は、式(II)の基との反応がより好ましくなると考えられる。
【0217】
ポリマー反応実施例
Nissan Chemical Industriesから入手できる正孔注入材料をガラス基板上にスピンコーティングすることにより、35nmの正孔注入層を形成し、アニーリングした。
【0218】
正孔注入層上にスピンコーティングすることにより、上表1のポリマーの22nmの層を形成し、120℃から230℃の間の温度まで1時間加熱した。
【0219】
次に、ポリマー層をオルトキシレン溶媒中に5分間浸漬した。
【0220】
オルトキシレンへの浸漬前後の376nmにおけるUV−可視吸収スペクトルを比較することにより、浸漬時に溶解したポリマーの量を求めた。
【0221】
図3を参照すると、ネオペンチル置換BCBを含むポリマー実施例1及び4の架橋は、非置換のBCB基を含む比較ポリマー1の架橋よりも著しく溶けにくい材料を生じる。
【0222】
デバイス実施例−スピンコートした正孔輸送層
以下の構造を有する青色有機発光デバイスを調製した:
ITO/HIL(35nm)/HTL(22nm)/LE(65nm)/カソード
(ここで、ITOはインジウム・スズ酸化物アノードであり;HILは正孔注入層であり;HTLは正孔輸送層であり;LEは発光層であり;カソードは、発光層と接触したフッ化ナトリウムの層、アルミニウムの層及び銀の層を含む)。
【0223】
デバイスを形成するために、UV/オゾンを用いて、ITOを保持する基板を清浄にした。Nissan Chemical Industriesから入手できる正孔注入材料の水性配合物をスピンコーティングすることにより、正孔注入層を形成し、得られた層を加熱した。表1のポリマーをスピンコーティングし、加熱してポリマーを架橋することにより、正孔輸送層を形成した。式(VII)、式(VIII)及び式(X)の繰り返し単位を含む青色発光ポリマーの組成物をスピンコーティングすることにより、発光層を形成した。フッ化ナトリウムの第1の層を約2nmの厚さまで、アルミニウムの第2の層を約100nmの厚さまで、銀の第3の層を約100nmの厚さまで蒸発させることにより、カソードを形成した。
【0224】
正孔輸送層を160℃で1時間アニーリングした。ただし、170℃で1時間アニーリングした比較ポリマー1を除く。
【0225】
図4を参照すると、異なる正孔輸送層を用いたスペクトルは非常に似ている。
【0226】
図5を参照すると、所与の電圧における電流密度は、異なるデバイスにおいて同等である。10mA/cm
2の電流密度を得るのに必要な電圧は、すべての場合において3.7Vであった。
【0227】
図6を参照すると、デバイスの輝度対電圧のトレースは非常に似ている。1000cd/m
2の光度を得るのに必要な電圧は、すべての場合において3.7Vであった。
【0228】
図7を参照すると、ポリマー実施例1及び4を含むデバイスの外部量子効率は、比較ポリマー1を含むデバイスの外部量子効率よりも高い。
【0229】
デバイス実施例−インクジェット印刷された正孔輸送層
以下の構造を有する青色有機発光デバイスを調製した:
ITO/HIL(35nm)/HTL(22nm)/LE(65nm)/カソード
(ここで、ITOはインジウム・スズ酸化物アノードであり;HILは正孔注入層であり;HTLは正孔輸送層であり;LEは発光層であり;カソードは、発光層と接触したフッ化ナトリウムの層及びアルミニウムの層を含む)。
【0230】
デバイスを形成するために、UV/オゾンを用いて、ITOを保持する基板を清浄にした。フォトレジスト層をITO上に形成し、パターニングしてインクジェットウェルを形成する。Nissan Chemical Industriesから入手できる正孔注入材料の水性配合物をウェル内にインクジェット印刷することにより、正孔注入層を形成し、得られた層を加熱した。シクロヘキシルベンゼン:4−メチルアニソールの80:20vol%ブレンドに溶解した式(VIIa)のフルオレン繰り返し単位、式(X−1)のアミン繰り返し単位、並びに
モノマー実施例1及びモノマーBから誘導される5mol%のそれぞれの繰り返し単位を含むポリマーをウェル内にインクジェット印刷し、170℃で1時間加熱してポリマーを架橋することにより、正孔輸送層を形成した。シクロヘキシルベンゼン:4−メチルアニソールの80:20vol%ブレンドに溶解した式(VIIa)、式(VIII)及び式(X)の繰り返し単位を含む発光ポリマーを含む配合物をインクジェット印刷することにより、発光層を形成した。フッ化ナトリウムの第1の層を約2nmの厚さまで、及びアルミニウムの第2の層を約100nmの厚さまで蒸発させることにより、カソードを形成した。
【0231】
上述の通りインクジェット印刷することによりデバイスを形成した。ただし、発光層を形成する前に、正孔輸送層を溶媒ですすいだことを除く。
【0232】
図8を参照すると、輝度が初期値の95%まで低下するのにかかる時間は、正孔輸送層のすすぎあり(実線)及びすすぎなし(破線)のデバイスと同等である。
【0233】
比較する目的で、発光層を形成する前に、一方のデバイスの正孔輸送層は溶媒ですすぎ、他方はそのようにすすがずに、上述の通りインクジェット印刷することにより、2つの比較デバイスを形成した。ただし、モノマー実施例1から誘導される繰り返し単位の代わりに、比較モノマー1から誘導される繰り返し単位を使用したことを除く。アニソール:3−フェノキシトルエンの50:50vol%ブレンドに溶解したポリマーの配合物をインクジェット印刷することにより、比較デバイスの正孔輸送ポリマーを堆積させた。
【0234】
図9を参照すると、すすいだ正孔輸送層を有する比較デバイス(実線)において、輝度が初期値の95%まで低下するのにかかる時間は、正孔輸送層をすすがずに形成した比較デバイス(破線)よりもはるかに長い。いかなる理論によっても制限されることは本意ではないが、すすいでいない正孔輸送層を含むデバイスの比較的短い寿命は、少なくとも部分的に、すすいだデバイスにおいて除去された非架橋の正孔輸送ポリマーの存在によると考えられる。
【0235】
特定の例示的な実施形態に関して本発明が説明されてきたが、以下の特許請求の範囲に記載の本発明の範囲から逸脱しない、本明細書に開示されている特徴の様々な改変、変形及び/又は組み合わせが当業者には明らかになるであろうことを理解されたい。