(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の第1実施形態に係る素子構造体の製造装置を、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る素子構造体の製造方法における製造装置を示す概略模式図である。
図2は、本実施形態に係る樹脂成膜部を示す概略模式図である。
図3は、本実施形態に係る素子構造体の製造装置の局在化処理部を示す概略模式図であり、
図1において、符号1000は、素子構造体の製造装置である。
【0013】
本実施形態に係る素子構造体の製造装置1000は、後述するように、有機EL素子などの素子構造体の製造を行う。製造装置1000は、
図1に示すように、第一層形成部201と、樹脂成膜部100と、局在化処理部202と、第二層形成部203と、有機EL層となる機能層を形成する機能層形成部204と、コア室200と、外部に接続されたロードロック室210と、を有する。コア室200は、第一層形成部201、樹脂成膜部100、局在化処理部202、第二層形成部203、機能層形成部204、及びロードロック室210に連結されている。
【0014】
ロードロック室210の内部には、他の装置等から素子構造体の製造装置1000に搬送された基板が挿入される。コア室200には、例えば、図示しない基板搬送ロボットが配置される。これにより、コア室200と、それぞれの第一層形成部201、樹脂成膜部100、局在化処理部202、第二層形成部203、機能層形成部204、ロードロック室210との間で基板の搬送が可能になる。このロードロック室210を介して素子構造体の製造装置1000の外側へ基板を搬送することが可能である。コア室200、各成膜室100,201,202,203,204、ロードロック室210は、それぞれ、図示しない真空排気システムが接続された真空チャンバを構成する。
【0015】
上記構成を有する素子構造体の製造装置1000を用いて素子構造体10の製造を行うことにより、各製造工程をオートメーション化できるとともに、同時に複数の成膜室を用いて効率的に製造を行うことができ、生産性を高めることが可能となる。
【0016】
第一層形成部201は、後述する素子構造体10において、基板2の一面側2aに配された機能層3を被覆するとともに、局所的な凸部を有する、シリコン窒化物(SiN
x)等の無機材料からなる第一層41を形成する。第一層形成部201は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法やスパッタリング法、ALD(Atomic Layer Deposition)法等により第一層41を成膜する成膜室である。
【0017】
機能層形成部204は、後述する素子構造体10において、機能層3を形成する。なお、機能層形成部204は、ロードロック室210の外側に設けることもできる。
【0018】
第二層形成部203は、後述する素子構造体10において、第一層41および樹脂材51を被覆するように、第一層41と同様に無機材料からなる第二層42を形成する成膜室である。なお、第二層42と第一層41とが同一材料からなる場合には、第二層形成部203と第一層形成部201とを同一の構成とする、もしくは、一つの成膜室(共通の成膜室)を使用して第二層42と第一層41を形成することもできる。
さらに、第二層形成部203と第一層形成部201のいずれか、または、共通の成膜室が、プラズマCVD装置で構成される場合、この形成部201、203や成膜室は、上述した機能だけでなく、後述する局在化処理部202の機能を兼ね備えることができる。例えば、プラズマCVD装置に樹脂膜が形成された基板を搬入し、酸化性ガスを導入してプラズマを発生させることにより、樹脂膜をエッチングし樹脂膜を局在化して樹脂材を形成することができる。その後、そのままプラズマCVD装置内で第二層42を形成することもできる。
【0019】
樹脂成膜部100は、気化した樹脂材料を樹脂成膜部100の内部に供給して、第一層41上に、樹脂材料からなる樹脂材料膜5aを形成し、樹脂材料膜5aを硬化して樹脂膜5を形成する成膜室である。
【0020】
樹脂成膜部100は、
図2に示すように、内部空間が減圧可能なチャンバ110と、気化した樹脂材料をチャンバ110に供給する気化器300と、を有する。
【0021】
チャンバ110の内部空間は、後述するように、上部空間107、下部空間108から構成されている。
【0022】
チャンバ110には、不図示の真空排気装置(真空排気手段、真空ポンプ等)が接続され、真空排気装置は、チャンバ110の内部空間が真空雰囲気となるように、内部空間のガスを排気できるように構成されている。
【0023】
チャンバ110の内部空間には、シャワープレート105が配されており、チャンバ110内においてシャワープレート105より上側が上部空間107を構成する。チャンバ110の最上部には、紫外光を透過可能な部材からなる天板120が設けられ、天板120の上側には紫外光の照射装置122(照射手段、UVランプ等)が配されている。
ここで、シャワープレート105も紫外光を透過可能な部材で形成されていることにより、照射装置122から上部空間107へ導入された紫外光は、さらにシャワープレート105を通過し、シャワープレート105の下側に位置する下部空間108へ進行可能である。これにより、後述する基板S上に形成されたアクリル材料膜5a(樹脂材料膜)に対して、成膜後に紫外光を照射し、アクリル材料膜を硬化させアクリル樹脂膜5(樹脂膜)を形成することが可能である。
【0024】
チャンバ110内においてシャワープレート105より下側に位置する下部空間108には、アクリル膜が形成される基板Sを載置するステージ102(基板保持部)が配されている。
【0025】
チャンバ110には、不図示の加温装置が配されている。上部空間107及び下部空間108を構成するチャンバ110の内壁面の温度は、樹脂材料の気化温度以上、好ましくは40〜250℃程度となるように、加温装置によって制御される。樹脂材料膜が形成される基板Sの温度は、基板Sを載置するステージ102(基板保持部)に内蔵された冷却装置102aにより制御され、樹脂材料の気化温度以下、好ましくは零度(0℃)以下、例えば、―30〜0℃程度に制御される。
【0026】
チャンバ110の上部空間107は、配管112及びバルブ112Vを介して、気化器300と連通している。これにより、気化器300は、チャンバ110の上部空間107に対して、気化された樹脂材料を供給可能である。気化器300は、気化槽130と、吐出部132と、樹脂材料の原料容器150と、を有する。樹脂材料の原料は、配管140及びバルブ140Vを介して気化槽130へ供給される。気化器300は、気化槽130の内部空間に向けて、吐出部132から樹脂材料を噴霧し加熱することにより、気化された樹脂材料を生成する。
【0027】
上述した構成を有する樹脂成膜部100において、気化槽130で気化された樹脂材料は、気化槽130からチャンバ110の上部空間107へ導入される。さらにシャワープレート105に設けられた多数の微細孔(不図示)を通じて、気化された樹脂材料は、上部空間107から下部空間108へ進行し、基板Sの成膜面(
図12において上面)に達する。
【0028】
基板Sの成膜面上に、マスク(不図示)を配置することにより、マスクに設けられた開口部(不図示)に通じて、気化された樹脂材料が基板Sに付着する。その際、本発明の実施形態に係る製造装置においては、基板Sの温度が、基板Sを載置するステージ102に内蔵された冷却装置102aにより、樹脂材料の気化温度以下に制御されているので、良好な膜質の樹脂材料膜5aが基板S上に形成可能である。
ゆえに、本実施形態に係る樹脂成膜部100においては、基板Sを載置する支持台であるステージ102が、基板Sを零度以下の温度帯域に保持する、温度制御装置である冷却装置102aを内蔵している。
【0029】
樹脂成膜部100は、例えば、気化温度40〜250℃程度の紫外線硬化型アクリル樹脂の原料の樹脂材料の成膜と、成膜された樹脂材料膜5aの硬化のための紫外線照射とを同一のチャンバ110内で可能とするように構成されている。これにより、いずれの処理工程も同一の装置構成で行うことが可能となり、生産性を向上させることができる。
【0030】
なお、
図2に示した樹脂成膜部100は、本発明の実施形態の一例である。基板Sを載置する支持台であるステージ102が、基板Sを樹脂材料の凝縮温度以下、例えば、零度以下の温度帯域に保持する、温度制御装置である冷却装置102aを内蔵していれば、他の構成が採用されてもよい。
例えば、気化された樹脂材料が基板Sに向けて面内均一に進行可能(流動可能)であれば、チャンバ110の内部空間にシャワープレート105を配置する必要はない。
樹脂材料を成膜後、樹脂材料膜に紫外光を照射し、樹脂材料膜5aを光重合して硬化し、樹脂膜を形成した後、マスクMを除去して基板Sを局在化処理部220へ移動する。
【0031】
局在化処理部202の構成としては、ドライエッチング処理装置、特に、プラズマエッチング処理装置の構成を採用することができる。
局在化処理部202は、
図3に示すように、平行平板型のプラズマ処理装置である。具体的に、局在化処理部202は、チャンバ222内と、チャンバ222内に設けられ基板Sを載置する電極226と、チャンバ222内にエッチングガスを導入するガス導入管223と、エッチングガスにエネルギー源として高周波を供給する高周波電源224および、この高周波電源224に接続されたアンテナ225と、チャンバ222内の電極226にバイアス電圧を印加する高周波電源227と、チャンバ222内の圧力を一定に維持するための圧力制御バルブ228と、バイアス電圧センサ229と、を有する。
【0032】
プラズマ処理装置202で局在化処理をするために、まず、チャンバ222内にガス導入管223からエッチングガスを導入する。このエッチングガスにエネルギー源として高周波電源224によって発生した高周波を、アンテナ225を介して、チャンバ222内に入射する。上記エッチングガスにこの高周波が照射されプラズマが生成される。チャンバ222内の電極226に高周波電源227からバイアス電圧を印加し、その電極226に載置された基板Sに上記プラズマ中に存在するイオンが引き込まれると、その基板Sの表面に形成された樹脂膜5がエッチングされる。
ここで、酸素等のエッチングガスから生じさせたプラズマ中のイオンによって樹脂膜5を異方性エッチングする。
【0033】
なお、上述の第一層形成部201や第二層形成部203がスパッタ装置またはプラズマCVD装置を有する場合、この形成部201、203は、成膜機能を有するだけでなく、局在化処理部202の機能を兼ね備えることができる。この場合、例えば、第一層形成部201、第二層形成部203、及び局在化処理部202として、同一の処理装置を使用することが可能である。
【0034】
局在化処理部202においては、例えば、エッチングガスとして酸素を用いるプラズマエッチングにより、基板Sに形成された樹脂膜5の大部分が除去される。このプラズマ処理は、樹脂膜5の膜厚とエッチングレートから基板S上の樹脂膜5の不必要部分が除去される処理時間を算出して、この時間にしたがって所定の処理時間行うことができる。
【0035】
さらに、本実施形態における局在化処理部202において、バイアス電圧センサ229は、高周波電源227から電極226に印加するバイアス電圧Vppを測定し、測定値の変化によって、基板S上の樹脂膜5の不必要部分が除去されたと判断し、その判断結果(検出結果)をエッチング処理の終点として用いる検出装置である。
【0036】
本実施形態における局在化処理部202において、局在化処理中にバイアス電圧センサ229によって測定したバイアス電圧Vppは、
図15に示すように、処理開始直後は、処理時間の経過とともに上昇する。また、エッチングレートから算出した基板S上の有機薄膜5の不必要部分が除去されるバイアス電圧Vppを100%とした際に、
図15に示すように、97%程度で、バイアス電圧Vppが一時的に一定値となる。さらに、エッチングを行うと、バイアス電圧Vppは上昇し、その後一定となる。
【0037】
これは、プラズマ処理によって、基板S上の有機薄膜5の不必要部分が除去されたことにともない、バイアス電圧Vppが大きく変動したと考えられる。つまり、バイアス電圧Vppが大きく変動した時点の前後で、樹脂膜5の有無状態が変化している。すなわち、樹脂膜5の平坦部分などの広い面積の部分で樹脂膜5が除去されている時間と、広い面積の平坦部分の除去が終了し、樹脂材が局在し、ほとんどエッチングさない時間とで、バイアス電圧Vppが変化する。これは、多くエッチングされている間はプラズマ中にエッチングで発生したガス等が多く含まれるためプラズマ密度が高くなりバイアス電圧が上がりにくいためと考えられる。
【0038】
本発明者らは、上述した現象を検証するために、プラズマエッチングにおけるバイアス電圧Vppが大きく変動した時点の前後での樹脂膜5(アクリル膜)の有無をSEM画像により確認した。この結果、バイアス電圧Vppが大きく変動した時点の前では、樹脂膜5(アクリル膜)が基板Sの平坦な表面部分に存在していることが確認できた。また、バイアス電圧Vppが大きく変動した時点の後では、樹脂膜5(アクリル膜)が、局在化させて残す部分を除き、基板Sの表面のほとんどの部分で存在していなかった。この結果から、バイアス電圧Vpp値の短時間における増加変動によって、基板S上の樹脂膜5の不必要部分が除去されエッチング処理の終点として判断することができる。すなわち、一時的に一定となった後、バイアス電圧Vppが上昇した地点もしくは、その後一定時間内をエッチング処理の終点とすることができる。
【0039】
以下、本実施形態に係る素子構造体の製造装置1000で製造される素子構造体10について説明する。
図4は、本実施形態に係る素子構造体を示す概略断面図である。
図5は、
図4の素子構造体を示す平面図である。
図6は、素子構造体の要部を示す拡大図である。各図においてX軸、Y軸及びZ軸方向は相互に直交する3軸方向を示しており、本実施形態ではX軸及びY軸方向は相互に直交する水平方向、Z軸方向は鉛直方向を示している。
【0040】
本実施形態に係る素子構造体10は、デバイス層3(機能層)を含む基板2と、基板2の表面2aに形成され機能層3を被覆するとともに、局所的な凸部を有する、シリコン窒化物(SiN
x)等の無機材料からなる第1の無機材料層41(第一層)と、第1の無機材料層41を被覆するように、第一層41と同様に第2の無機材料層42(第二層)とを備える。本実施形態において素子構造体10は、有機EL発光層を有する発光素子で構成される。
【0041】
基板2は、表面2a(第1の面)と裏面2c(第2の面)とを有し、例えば、ガラス基板、プラスチック基板等で構成される。基板2の形状は、特に限定されず、本実施形態では矩形状に形成される。基板2の大きさ、厚み等は、特に限定されず、素子サイズの大きさに応じて、適宜の大きさ、厚みを有する基板が用いられる。本実施形態では、一枚の大型基板S上に作製された同一素子の集合体から複数の素子構造体10が作製される。
【0042】
デバイス層3(機能層)は、上部電極及び下部電極を含む有機EL発光層で構成される。このような構成以外にも、デバイス層3は、液晶素子における液晶層や発電素子における発電層等のような、水分、酸素等により劣化しやすい性質の材料を含む種々の機能素子で構成されてもよい。
【0043】
デバイス層3は、基板2の表面2aの所定領域に成膜される。デバイス層3の平面形状は、特に限定されず、本実施形態では略矩形状に形成されるが、このような形状以外にも、円形状、線形状等の形状が採用されてもよい。デバイス層3は、基板2の表面2aに配置される例に限られず、基板2の表面2a及び裏面2cのうち少なくとも一方の面に配置されていればよい。
【0044】
第1の無機材料層41(第一層)は、デバイス層3が配置される基板2の面2aに設けられ、デバイス層3の表面3a及び側面3sを被覆する凸部を構成する。第1の無機材料層41は、基板2の表面2aから
図6における上方へ突出する立体構造を有する。
【0045】
第1の無機材料層41は、水分や酸素からデバイス層3を保護することが可能な無機材料で構成される。本実施形態において第1の無機材料層41は、水蒸気バリア特性に優れたシリコン窒化物(SiN
x)で構成されるが、この材料に限定されない。シリコン酸化物やシリコン酸窒化物等の他のシリコン化合物、あるいは酸化アルミニウム等の水蒸気バリア性を有する他の無機材料で、第1の無機材料層41が構成されてもよい。
【0046】
第1の無機材料層41は、例えば、適宜のマスクを用いて基板2の表面2aに成膜される。本実施形態では、デバイス層3を収容できる大きさの矩形開口部を有するマスクを用いて第1の無機材料層41が成膜される。成膜方法は、特に限定されず、CVD(Chemical Vapor Deposition)法やスパッタリング法、ALD(Atomic Layer Deposition)法等が適用可能である。第1の無機材料層41の厚みは、特に限定されず、例えば、200nm〜2μmである。
【0047】
第2の無機材料層42(第二層)は、第1の無機材料層41と同様に、水分や酸素からデバイス層3を保護することが可能な無機材料で構成され、第1の無機材料層41の表面41a及び側面41sを被覆するように基板2の表面2aに設けられる。本実施形態において第2の無機材料層42は、水蒸気バリア特性に優れたシリコン窒化物(SiN
x)で構成されるが、この材料に限定されない。シリコン酸化物やシリコン酸窒化物等の他のシリコン化合物、あるいは酸化アルミニウム等の水蒸気バリア性を有する他の無機材料で、第2の無機材料層42が構成されてもよい。
【0048】
第2の無機材料層42は、例えば、適宜のマスクを用いて基板2の表面2aに成膜される。本実施形態では、第1の無機材料層41を収容できる大きさの矩形開口部を有するマスクを用いて第2の無機材料層42が成膜される。成膜方法は、特に限定されず、CVD(Chemical Vapor Deposition)法やスパッタリング法、ALD(Atomic Layer Deposition)法等が適用可能である。第2の無機材料層42の厚みは、特に限定されず、例えば、200nm〜2μmである。
【0049】
本実施形態に係る素子構造体10は、第1の樹脂材51をさらに有する。第1の樹脂材51は、第1の無機材料層41(凸部)の周囲に偏在する。本実施形態において第1の樹脂材51は、第1の無機材料層41と第2の無機材料層42との間に介在し、第1の無機材料層41の側面41sと基板2の表面2aとの境界部2bに偏在する。第1の樹脂材51は、境界部2b付近に形成された第1の無機材料層41と基板表面2aとの間の間隙G(
図6)を充填する機能を有する。
【0050】
図6では、素子構造体10における境界部2bの周辺構造を拡大して示している。第1の無機材料層41は、無機材料のCVD膜あるいはスパッタ膜で形成されるため、デバイス層3を含む基板2の凹凸構造面に対するカバレッジ特性が比較的低い。その結果、
図6に示すようにデバイス層3の側面3sを被覆する第1の無機材料層41は、基板表面2a付近でカバレッジ特性が低下し、被覆膜厚が極度に小さいか、被覆膜が存在しない状態になるおそれがある。
【0051】
そこで本実施形態では、上述のような第1の無機材料層41の周辺の被覆不良領域に第1の樹脂材51を偏在させることで、当該被覆不良領域からデバイス層3内部への水分や酸素の侵入を抑制するようにしている。また、第2の無機材料層42の成膜時には、第1の樹脂材51が第2の無機材料層42の下地層として機能することで、第2の無機材料層42の適正な成膜を可能とし、第1の無機材料層41の側面41sを所望の膜厚で適切に被覆することが可能となる。
【0052】
第1の樹脂材51の形成方法は、噴霧気化によって気化した樹脂材料が、基板表面2aに供給され凝縮して樹脂材料膜5aを形成し、樹脂材料膜5aを硬化して樹脂膜5を形成した後、不要部分を除去する局在化工程により形成される。
【0053】
以下、本実施形態に係る素子構造体の製造装置による素子構造体の製造方法について説明する。
図7〜
図11は、本実施形態に係る素子構造体の製造方法における第1の樹脂材51の形成方法を模式的に示す工程図である。
【0054】
(デバイス層の形成工程例)
まず、
図1に示す素子構造体の製造装置1000において、ロードロック室210からコア室200に搬入された基板Sは、図示しない基板搬送ロボットによりコア室200から機能層形成部204に搬送される。この機能層形成部204において基板S上の所定の領域にデバイス層3(機能層)を形成する。
本実施形態において、機能層3となる領域としては、基板S上における複数箇所の領域、例えば、X軸方向及びY軸方向にそれぞれ2箇所ずつ所定間隔で配列された4箇所の領域や、単数の機能層3となる領域が用いられる。
【0055】
デバイス層3の形成方法は、特に限られず、デバイス層3の材料、構成等によって適宜選択することが可能である。例えば、基板Sを機能層形成部204の成膜室等へ搬送し、基板S上へ所定の材料の蒸着、スパッタ等を行い、さらにパターン加工等することで、基板S上の所定の領域上に所望のデバイス層3を形成することができる。パターン加工の方法は、特に限られず、例えば、エッチング等を採用することが可能である。
【0056】
なお、素子構造体の製造装置1000の具体的な構成については、
図1において詳細な説明を省いている。機能層形成部204が多数の処理室からなり、互いに隣り合う処理室の間で基板Sの搬送が可能な搬送装置を有する構成を採用することができる。あるいは、真空装置ではない構成を採用することもできる。つまり、ロードロック室210を介する必要はなく、素子構造体の製造装置1000の外部での基板Sに対する処理を可能とすることもできる。
【0057】
(第一層の形成工程例)
次に、デバイス層3が形成された基板Sは、図示しない基板搬送ロボットにより機能層形成部204から搬出されて、コア室200を介して第一層形成部201に搬入される。
【0058】
第一層形成部201においては、デバイス層3を被覆するように、デバイス層3の領域を含む基板S上の所定の領域に第1の無機材料層41(第一層)を形成する。これにより、デバイス層3を被覆した第1の無機材料層41が、
図7に示すように、基板S上で凸部を有するように形成される。
本工程では、例えば、第1の無機材料層41の領域に対応する個数の開口を有するマスクを用いて、例えば、窒化ケイ素からなる第1の無機材料層41を保護層の一部として形成してもよい。
【0059】
ここで、第一層形成部201は、CVD処理装置、または、スパッタ処理装置を有する構成とすることができる。また、図示はしないが、第一層形成部201の成膜室には、基板Sを配置するためのステージと、基板S上に配置されるマスクと、マスクを支持し、ステージ上の基板Sに対してマスクの位置合わせ等を行うマスクアライメント装置、成膜材料供給装置等が設置される。
【0060】
デバイス層3が形成された基板Sは、コア室200に配置された基板搬送ロボット等により、第一層形成部201のステージ上に配置される。マスクアライメント装置等によって、マスクの開口を介してデバイス層3が露出するように基板S上の所定位置にマスクが配置される。
そして、例えば、CVD法により、窒化ケイ素等からなる第1の無機材料層41が、デバイス層3を被覆するように形成される。なお、第1の無機材料層41の形成方法はCVD法に限られず、例えば、スパッタ法を採用することもできる。この場合に、第一層形成部201はスパッタリング装置を有するように構成される。
【0061】
(樹脂材の形成工程例〜成膜工程)
次に、凸部を有する第1の無機材料層41が形成された基板Sは、図示しない基板搬送ロボットにより第一層形成部201から搬出されて、コア室200を介して樹脂成膜部100に搬入される。
【0062】
樹脂成膜部100は、第1の無機材料層41の形成された基板Sに、樹脂材料膜5aを形成する工程と、樹脂材料膜5aを硬化して樹脂膜5を形成する工程と、を行う。本工程では、まず、樹脂成膜部100を用いて、例えば、紫外線硬化型アクリル樹脂の材料からなる樹脂材料膜5aを形成する。
【0063】
樹脂成膜部100においては、まず、樹脂成膜部100に搬入された基板Sがステージ102上に載置される。基板Sがチャンバ110内に搬入される前においては、チャンバ110内の気体は真空排気装置により排気され、チャンバ110内が真空状態に維持されている。また、基板Sがチャンバ110内に搬入される時には、チャンバ110の真空状態が維持されている。
【0064】
このとき、チャンバ110は、加温装置により、少なくとも上部空間107(US)および下部空間108の内面側の温度が、樹脂材料の気化温度以上となるように設定される。同時に、ステージ102上に配置された基板Sは、基板冷却装置102aにより、ステージ102とともに樹脂材料の気化温度よりも低い温度に冷却される。
また、ヒータ112dにより、樹脂材料供給管112(第一配管)を樹脂材料の気化温度以上に加温した状態とする。
【0065】
次いで、ステージ102上に配置された基板S上には、図示しないマスクが、マスク載置装置等によって、基板S上の所定位置へ配置される場合がある。
【0066】
次いで、マスクアライメント状態、チャンバ110内の雰囲気、チャンバ110内壁温度、基板Sの温度等の条件が所定の状態になった後、気化器300において気化した樹脂材料をチャンバ110に供給する。
【0067】
気化器300から供給された気化した樹脂材料は、上部空間107からシャワープレート105を介して下部空間108内に供給される。
下部空間108では、シャワープレート105によって基板Sの全面にほぼ均等に供給された気化された樹脂材料が、
図8に示すように、基板表面2aで凝縮して液状膜5aとなる。基板表面2aで凝縮した液状膜5aにおいて、基板表面2a上で劣角を有する角部、凹部、隙間部等では、表面張力により、液状膜5aの膜厚が厚くなる。
【0068】
このとき、液状膜5aは、図示していないマスクによって、凸部41に近い部分(近傍の位置)といった領域のみに形成されるようにしてもよい。なお、樹脂材料の滴状化および成膜レートを勘案して、気化器300から供給される樹脂材料の供給量を制御することが好ましい。基板Sの表面において滴状化した樹脂材料は、毛細管現象により微細な隙間に入り込み、または、樹脂材料の表面張力によってさらに凝集するため、基板S上における微細な凹凸を平滑化しながら液状膜5a(樹脂材料膜)を形成することが可能となる。これにより、基板表面2a上で劣角を有する角部、凹部、隙間部等では、液状膜5aの膜厚が厚くなる。特に、第1の無機材料層41の側面41sと基板2の表面2aとの境界部2bにおける微細な隙間を液状膜5aで埋めることができる。
【0069】
また、気化した樹脂材料の一部は、チャンバ110内壁等の表面にも付着するが、加温された内壁等において凝縮せずに再気化する。
【0070】
所定の処理時間が経過して、基板Sの表面に所定の厚みの液状の樹脂材料膜5aが形成された後、気化器300からの樹脂材料の供給が停止される。続いて、チャンバ110内の真空雰囲気を維持しながら、UV照射装置122から紫外線を基板Sの表面に照射する。照射された紫外線は、石英等の紫外線透過材料からなる天板120およびシャワープレート105を透過してチャンバ110内の基板S上に到達する。
【0071】
チャンバ110内において基板Sに向けて照射された紫外線の一部は基板Sの表面に入射して、基板Sの表面に形成された樹脂材料からなる液状膜5a(樹脂材料膜)に光重合反応が生じて、液状膜5aが硬化する。
図9に示すように、基板Sの表面に樹脂膜5が形成される。本実施形態ではアクリル樹脂の薄膜が形成される。次いで、図示しないマスクが、マスク載置装置等によって、基板S上となる成膜位置から、退避位置へ移動される。
【0072】
(樹脂材の形成工程例〜局在化工程)
次に、樹脂膜5が形成された基板Sは、図示しない基板搬送ロボットにより樹脂成膜部100から搬出されて、コア室200を介して局在化処理部202に搬入される。
【0073】
ここで、局在化処理部202は、上述したように、
図3に示す構成を有する。局在化処理部202においては、プラズマエッチング処理を行う。ここで、酸素等のエッチングガスから生じさせたプラズマ中のイオンによって樹脂膜5を異方性エッチングする。このとき、イオンは、電極上の基板Sへ向けて異方的に引き込まれる。このため、電極へ印加するバイアス電圧Vppの変動を検出することにより、検出されたバイアス電圧Vppの変化(検出結果)によって、基板S上の樹脂膜5がほとんど除去されたと判断して、エッチング処理の終点として処理を終了する。
【0074】
なお、上述の第一層形成部201や第二層形成部203がスパッタ装置またはプラズマCVD装置を有する場合、この形成部201、203は、成膜機能を有するだけでなく、局在化処理部202の機能を兼ね備えることができる。この場合、例えば、第一層形成部201、第二層形成部203、及び局在化処理部202として、同一の処理装置を使用することが可能である。
【0075】
このドライエッチング処理により基板S上に残った第1の樹脂材51は、
図11に示すように、第1の無機材料層41の側面41sと基板2の表面2aとの境界部2bに局在化する(局所的に存在する)。さらに、第1の樹脂材51は、第1の無機材料層41表面の微細な凹凸を平滑化可能な部分に偏在する。
【0076】
(第二層の形成工程例)
第1の樹脂材51が局在して形成された基板Sは、図示しない基板搬送ロボットにより局在化処理部202から搬出されて、コア室200を介して第二層形成部203に搬入される。
【0077】
第二層形成部203においては、第1の樹脂材51が形成された第1の無機材料層41を被覆するように、凸部を含む基板S上の所定の領域に第2の無機材料層42(第二層)を形成する。
【0078】
本工程では、第1の無機材料層41と同様に、第2の無機材料層42の領域に対応する個数の開口を有するマスクを用いて、第1の無機材料層41と同一材料とされる、例えば、窒化ケイ素からなる第2の無機材料層42(第二層)を形成する。これにより、第1の無機材料層41(第一層)、第1の樹脂材51、および第2の無機材料層42(第二層)によってデバイス層3(機能層)を被覆し、デバイス層3を保護する保護層として機能することができる。
【0079】
ここで、第二層形成部203は、CVD処理装置またはスパッタ処理装置を有する構成とすることができる。
第二層形成部203は、上述の第一層形成部201と同様の装置構成を有することができる。例えば、第一層形成部201及び第二層形成部203として、同一の処理装置を使用すること、あるいは、第二層形成部203が第一層形成部201の機能を兼ね備えることが可能である。
また、第二層形成部203が、プラズマCVD処理装置である場合は、局在化処理部202の機能を兼ね備えることができる。第二層形成部203にて第1の樹脂材51の局在化を行えば、局在化の後に、そのまま第2の無機材料層42(第二層)を形成することができる。
【0080】
この後、第2の無機材料層42が形成された基板Sは、図示しない基板搬送ロボットにより第二層形成部203から搬出されて、コア室200およびロードロック室210を介して素子構造体の製造装置1000の外部に搬出される。
【0081】
本実施形態に係る素子構造体の製造装置1000は、樹脂成膜部100で樹脂膜5を形成した後、局在化処理部202でプラズマエッチング処理により局在化した第1の樹脂材51を形成する。その後、第2の無機材料層42(第二層)を形成することにより、境界部2b等、保護層としてのバリア性を要求される箇所に、第2の無機材料層42(第二層)を確実に形成することが可能となる。しかも、検出装置とされるバイアス電圧センサ229によって、高周波電源227から電極226に印加するバイアス電圧Vppを測定し、測定値の変化によって、基板S上の樹脂膜5の不必要部分が除去されたと判断する。その判断結果(検出結果)に基づき、エッチング処理を終了することにより、正確に平坦部の樹脂膜5を除去することができる。このため、成膜工程に要する時間を短縮し、膜特性を安定させて、膜特性の変動を防ぐことが可能となる。
【0082】
以下、本実施形態に係る素子構造体の製造装置1000によって製造された素子構造体の他の例について説明する。
【0083】
本実施形態に係る素子構造体の製造装置1000によって製造された本例における素子構造体10においては、樹脂材が第1の無機材料層41(凸部)の周囲である境界部2bに偏在する構造のみに限られず、例えば、境界部2b以外の基板2の表面2aや第1の無機材料層41の表面41a等に当該樹脂材料が残留していてもよい。
【0084】
この場合は、第2の無機材料層42(第二層)は、
図12に示すように第2の樹脂材52を介して第1の無機材料層41の上に積層される領域を有することになる。第2の樹脂材52は、第1の無機材料層41と第2の無機材料層42との間に介在し、第1の樹脂材51とは独立して第1の無機材料層41の表面41aに偏在する。この場合においても、第1の無機材料層41と第2の無機材料層42との密着性を維持できるため、素子構造体10のバリア特性が損なわれることはない。
【0085】
以上のように本実施形態に係る素子構造体10によれば、デバイス層3の側面が第1の無機材料層41(第一層)および第2の無機材料層42(第二層)により被覆されているため、デバイス層3への水分や酸素の侵入を防止することができる。
【0086】
また、本実施形態によれば、境界部2bに第1の樹脂材51が偏在しているため、第1の無機材料層41あるいは第2の無機材料層42のカバレッジ不良に伴うバリア特性の低下を防止でき、長期にわたって安定した素子特性を維持することができる。
【0087】
以下、本実施形態に係る素子構造体の製造装置1000によって製造された素子構造体の他の例について説明する。
【0088】
本例に係る素子構造体20は、
図13に示すように、第1の無機材料層41と第2の無機材料層42との間に介在する第2の樹脂材52をさらに有する。第2の樹脂材52は、第1の樹脂材51とは独立して第1の無機材料層41の表面に偏在する。
【0089】
本例に係る素子構造体20において、第1の無機材料層41の表面は必ずしも平坦ではなく、例えば、成膜前(基板搬送時あるいは成膜装置への投入前)あるいは成膜時等においてパーティクルPが膜中に混入することで凹凸が形成された場合を例示している。第1の無機材料層41にパーティクルが混入すると、デバイス層3に対する第1の無機材料層41のカバレッジ特性が低下し所望のバリア特性が得られなくなるおそれがある。
【0090】
そこで、本例に係る素子構造体20は、パーティクルPの混入等により生じた第1の無機材料層41の被覆不良部に第2の樹脂材52が充填された構造を有する。典型的には、この第2の樹脂材52は、第1の無機材料層41の表面とパーティクルPの周面との境界部32bに偏在する。これにより、デバイス層3の被覆性が高まるとともに、第2の樹脂材52が下地として機能することで第2の無機材料層42の適正な成膜が可能となる。
【0091】
第2の樹脂材52は、第1の樹脂材51と同様な方法で形成される。第2の樹脂材52は、第1の樹脂材51と同一の樹脂で構成されてもよい。この場合、第1の樹脂材51と第2の樹脂材52とを同一工程において同時に形成することができる。
【0092】
ここで、局在化処理部202において、平坦部分などの樹脂材が薄く形成された部分は除去され、第1の無機材料層41が露出する。このとき、パーティクルPの周辺等に形成された樹脂材は、厚く形成されているため残存する。上方から素子構造体20を鉛直方向に眺めた際、平坦部の面積はパーティクルの周辺に形成された樹脂材の面積より圧倒的に大きいため、平坦部分の薄い樹脂材が除去された後は、エッチングされる量は大幅に減少し、エッチングによる反応が急激に減少する。このとき、圧力が変化し、バイアス電圧が変化する。本例では、平坦部のエッチングが終了すると、エッチングによるガスの発生が減少し、圧力が低下し(プラズマ密度が低下し)、バイアス電圧が上昇すると考えられる。
このとき、境界部2bにおいて樹脂膜5が除去されないで、樹脂膜5が局在化することで第1の樹脂材51が形成される。同じく、樹脂膜5が境界部32bで除去されずに、樹脂膜5が局在化することで第2の樹脂材52が形成される。
【0093】
本例においても上述の素子構造体10の製造と同様に、検出装置とされるバイアス電圧センサ229によって、高周波電源227から電極226に印加するバイアス電圧Vppを測定し、測定値の変化によって、基板S上の樹脂膜5の不必要部分が除去されたと判断する。その判断結果に基づき、エッチング処理を終了することにより、正確に樹脂膜5を除去して、平坦部分の第1の無機材料層41(第一層)を確実に露出させることができる。さらに、偏在させたい樹脂材53のオーバーエッチングを防止することができる。また、本例によれば、パーティクルPの混入による膜質の低下を第2の樹脂材52によって補うことができるため、所望のバリア特性を確保しつつ生産性の向上を図ることができる。
【0094】
以下、本実施形態に係る素子構造体の製造装置1000によって製造された素子構造体の他の例について説明する。
【0095】
本例に係る素子構造体30は、
図14に示すように、例えば、デバイス層3(機能層)を有する基板21と、デバイス層3の側面3sを被覆する凸部40と、凸部40及びデバイス層3を被覆するように基板21の表面に形成された第1の無機材料層41(第一層)及び第2の無機材料層42(第二層)を有する。
【0096】
凸部40は、基板21の表面21aに形成され、中央部にデバイス層3を収容する凹部40aを有する。本例では、凹部40aの底面が基板21の表面21aよりも高い位置に形成されているが、表面21aと同一の高さ位置に形成されてもよいし、表面21aよりも低い位置に形成されてもよい。
【0097】
本例に係る素子構造体30は、第1の無機材料層41と第2の無機材料層42との間に介在する樹脂材53をさらに有する。樹脂材53は、凸部40の外側面と基板21の表面21aとの境界部21bと、凸部40の内側面とデバイス層3との境界部22bとにそれぞれ偏在している。これにより、凸部40およびデバイス層3の表面3aに対する第1の無機材料層41および第2の無機材料層42の被覆不良を抑制でき、バリア特性の向上を図ることができる。樹脂材53は、上述の第1の樹脂材51及び第2の樹脂材52と同様な方法で形成されることができる。
【0098】
このように凹凸を有する基板Sにおいて、無機材料層41,42でカバーできない部分を、偏在した樹脂材51,52,53でより平坦化する。樹脂材の上に成膜する無機材料層41,42がより均一に、かつ、カバレッジよく成膜できるようになる。さらに、樹脂材51,52,53は、水等に対するシールが無機材料層41,42より低いが、偏在した樹脂材51,52,53は無機材料層41,42で覆われて外雰囲気に露出しないので、シール性が向上する。すなわち、樹脂材51,52,53を、膜状ではなく、外雰囲気に露出しないように偏在させることが好ましい。
【0099】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明し、上記で説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、請求の範囲によって制限されている。
【0100】
例えば、以上の実施形態では、第1の無機材料層41(第一層)を被覆する第2の無機材料層42(第二層)は単一層で構成されたが、第2の無機材料層42(第二層)は多層膜で構成されてもよい。この場合、各層を成膜する工程毎に樹脂材料を基板上に供給して基板の凹凸部に偏在する樹脂材を形成してもよく、これによりバリア性の更なる向上を図ることができる。
【0101】
さらに、以上の実施形態では、第1の無機材料層41(第一層)の形成後に、第1の樹脂材51を凸部となる第1の無機材料層41の周囲に局在化させたが、第一層形成部201による第1の無機材料層41の形成前に、樹脂成膜部100および局在化処理部202によって、デバイス層3の周囲に第1の樹脂材51を偏在させてもよい。これにより第1の無機材料層41によるデバイス層3の被覆効率を高めることができる。