(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6799414
(24)【登録日】2020年11月25日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】追尾式レーザ干渉計のフィードバックゲイン調整方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G01B 9/02 20060101AFI20201207BHJP
G01C 15/00 20060101ALI20201207BHJP
G01S 17/66 20060101ALI20201207BHJP
G01S 17/32 20200101ALI20201207BHJP
【FI】
G01B9/02
G01C15/00 103E
G01S17/66
G01S17/32
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-157922(P2016-157922)
(22)【出願日】2016年8月10日
(65)【公開番号】特開2018-25483(P2018-25483A)
(43)【公開日】2018年2月15日
【審査請求日】2019年7月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】110002963
【氏名又は名称】特許業務法人MTS国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100080458
【弁理士】
【氏名又は名称】高矢 諭
(74)【代理人】
【識別番号】100076129
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 圭佑
(74)【代理人】
【識別番号】100144299
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100150223
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 修三
(72)【発明者】
【氏名】原 慎一
【審査官】
國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−112919(JP,A)
【文献】
特開2009−002728(JP,A)
【文献】
特開2009−229066(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0176270(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 9/02
G01C 15/00
G01S 17/32
G01S 17/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ干渉計と、
該レーザ干渉計の光軸のずれを検出する光軸ずれ量センサと、
前記レーザ干渉計を任意の方向に向ける2軸回転機構と、
該2軸回転機構の回転角を検出する角度センサと、
入射光と平行な方向に反射光を反射する再帰反射体と、
前記光軸ずれ量センサと前記角度センサの信号を元に前記再帰反射体を追尾するように前記2軸回転機構をフィードバック制御するコントローラとを有する追尾式レーザ干渉計において、
前記再帰反射体からの戻り光が前記光軸ずれ量センサの検出範囲に戻ってきた時に追従制御を開始すると共に、
該追従制御による前記光軸ずれ量センサ上の戻り光の位置の挙動に応じて、前記フィードバック制御のゲインを変化させ、
更に、前記追従制御により戻り光の位置が前記光軸ずれ量センサの周囲から中心に到達するまでにかかった静定時間が所定時間以上である時は、前記フィードバック制御のゲインを上げることを特徴とする追尾式レーザ干渉計のフィードバックゲイン調整方法。
【請求項2】
前記静定時間に応じて、前記フィードバック制御のゲインの上げ方を変えることを特徴とする請求項1に記載の追尾式レーザ干渉計のフィードバックゲイン調整方法。
【請求項3】
レーザ干渉計と、
該レーザ干渉計の光軸のずれを検出する光軸ずれ量センサと、
前記レーザ干渉計を任意の方向に向ける2軸回転機構と、
該2軸回転機構の回転角を検出する角度センサと、
入射光と平行な方向に反射光を反射する再帰反射体と、
前記光軸ずれ量センサと前記角度センサの信号を元に前記再帰反射体を追尾するように前記2軸回転機構をフィードバック制御するコントローラとを有する追尾式レーザ干渉計において、
前記再帰反射体からの戻り光が前記光軸ずれ量センサの検出範囲に戻ってきた時に追従制御を開始すると共に、
前記追従制御により戻り光の位置が前記光軸ずれ量センサの検出範囲を飛び出してしまった時は、前記フィードバック制御のゲインを下げ、
更に、前記追従制御により戻り光の位置が前記光軸ずれ量センサの検出範囲を飛び出してしまうまでにかかった飛出し時間に応じて、前記フィードバック制御のゲインの下げ方を変えることを特徴とする追尾式レーザ干渉計のフィードバックゲイン調整方法。
【請求項4】
レーザ干渉計と、
該レーザ干渉計の光軸のずれを検出する光軸ずれ量センサと、
前記レーザ干渉計を任意の方向に向ける2軸回転機構と、
該2軸回転機構の回転角を検出する角度センサと、
入射光と平行な方向に反射光を反射する再帰反射体と、
前記光軸ずれ量センサと前記角度センサの信号を元に前記再帰反射体を追尾するように前記2軸回転機構をフィードバック制御するコントローラとを有する追尾式レーザ干渉計において、
前記再帰反射体からの戻り光が前記光軸ずれ量センサの検出範囲に戻ってきた時に追従制御を開始する手段と、
該追従制御による前記光軸ずれ量センサ上の戻り光の位置の挙動に応じて、前記フィードバック制御のゲインを変化させる手段と、
前記追従制御により戻り光の位置が前記光軸ずれ量センサの周囲から中心に到達するまでにかかった静定時間を測定する手段と、
該静定時間が所定時間以上である時は、前記フィードバック制御のゲインを上げる手段
と、
を備えたことを特徴とする追尾式レーザ干渉計のフィードバックゲイン調整装置。
【請求項5】
前記静定時間に応じて、前記フィードバック制御のゲインの上げ方を変える手段を備えたことを特徴とする請求項4に記載の追尾式レーザ干渉計のフィードバックゲイン調整装置。
【請求項6】
レーザ干渉計と、
該レーザ干渉計の光軸のずれを検出する光軸ずれ量センサと、
前記レーザ干渉計を任意の方向に向ける2軸回転機構と、
該2軸回転機構の回転角を検出する角度センサと、
入射光と平行な方向に反射光を反射する再帰反射体と、
前記光軸ずれ量センサと前記角度センサの信号を元に前記再帰反射体を追尾するように前記2軸回転機構をフィードバック制御するコントローラとを有する追尾式レーザ干渉計において、
前記再帰反射体からの戻り光が前記光軸ずれ量センサの検出範囲に戻ってきた時に追従制御を開始する手段と、
該追従制御による前記光軸ずれ量センサ上の戻り光の位置の挙動に応じて、前記フィードバック制御のゲインを変化させる手段と、
前記追従制御により戻り光の位置が前記光軸ずれ量センサの検出範囲を飛び出してしまった時は、前記フィードバック制御のゲインを下げる手段と、
前記追従制御により戻り光の位置が前記光軸ずれ量センサの検出範囲を飛び出してしまうまでにかかった飛出し時間を測定する手段と、
該飛出し時間に応じて、前記フィードバック制御のゲインの下げ方を変える手段と、
を備えたことを特徴とする追尾式レーザ干渉計のフィードバックゲイン調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、追尾式レーザ干渉計のフィードバックゲイン調整方法
及び装
置に係り、特に、再帰反射体とレーザ干渉計間の絶対距離を用いることなく、追従制御のフィードバックゲインを最適化して、追尾式レーザ干渉計の光軸追従制御系を安定化することが可能な、追尾式レーザ干渉計のフィードバックゲイン調整方法
及び装
置に関する。
【背景技術】
【0002】
戻り光の光軸のずれ量を検出する光軸ずれ量センサを搭載したレーザ干渉計と、該レーザ干渉計を任意の方向に向ける2軸回転機構と、測定対象に固定したレトロリフレクタ等の再帰反射体で構成される追尾式レーザ干渉計が知られている(特許文献1、2参照)。ここで、再帰反射体は、反射光が入射光(測定光とも称する)と平行に戻る機能を有する光学素子で、中心で反射した場合に入射光と出射光が同軸となる。従って、光軸ずれ量センサの出力を元に、光軸のずれ量が0になるように2軸回転機構を制御することで、任意の方向で干渉測長が可能になる。
【0003】
一般的な追尾式レーザ干渉計は、
図1に例示する如く、レーザ干渉計(単に干渉計とも称する)101、及び、測定光と反射光の光軸のずれ量を検出する光軸ずれ量センサ102を内蔵した測定ヘッド103と、該測定ヘッド103を任意の方向へ向ける2軸回転機構104と、該2軸回転機構104の回転角を検出する角度センサ105と、測定対象106に固定した再帰反射体107と、測定対象106の追尾と測定データの収集を行なうコントローラ108を含んで構成されている。
【0004】
前記コントローラ108は、干渉計101から距離信号、前記光軸ずれ量センサ102から光軸ずれ量、前記2軸回転機構104から角度信号を収集し、光軸ずれ量が0になるように、前記2軸回転機構104を駆動する。
【0005】
再帰反射体107が移動したときに、干渉計101へ戻る反射光(戻り光と称する)は測定光と平行にずれて干渉計101に入射する。このときの光軸のずれを検出する光軸ずれ量センサ102と2軸回転機構104を用いて、再帰反射体107の中心に測定光の光軸が向かうようにフィードバック制御し、追従制御を行う。
【0006】
2軸回転機構104の制御には回転角が必要なのに対して、光軸のずれを用いてフィードバック制御を行うため、再帰反射体107とレーザ干渉計101間の絶対距離によって制御系のゲインが過剰になったり、不足したりする。
【0007】
このために再帰反射体とレーザ干渉計間の絶対距離を何らかの方法で入力する必要があり、発明者は、特許文献3で絶対距離の推定方法を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭63−231286号公報
【特許文献2】特表2007−575225号公報
【特許文献3】特開2009−229066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、絶対距離を入力するまでの間は、追尾式レーザ干渉計の光軸追従制御系が不安定になるという問題点を有していた。
【0010】
本発明は、前記従来の問題点を解消するべくなされたもので、再帰反射体とレーザ干渉計間の絶対距離を用いることなく、追従制御のフィードバックゲインを最適化して、追尾式レーザ干渉計の光軸追従制御系を安定化することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、レーザ干渉計と、該レーザ干渉計の光軸のずれを検出する光軸ずれ量センサと、前記レーザ干渉計を任意の方向に向ける2軸回転機構と、該2軸回転機構の回転角を検出する角度センサと、入射光と平行な方向に反射光を反射する再帰反射体と、前記光軸ずれ量センサと前記角度センサの信号を元に前記再帰反射体を追尾するように前記2軸回転機構をフィードバック制御するコントローラとを有する追尾式レーザ干渉計において、前記再帰反射体からの戻り光が前記光軸ずれ量センサの検出範囲に戻ってきた時に追従制御を開始すると共に、該追従制御による前記光軸ずれ量センサ上の戻り光の位置の挙動に応じて、前記フィードバック制御のゲインを変化させ
、更に、前記追従制御により戻り光の位置が前記光軸ずれ量センサの周囲から中心に到達するまでにかかった静定時間が所定時間以上である時は、前記フィードバック制御のゲインを上げることにより、前記課題を解決したものである。
【0013】
ここで、前記静定時間に応じて、前記フィードバック制御のゲインの上げ方を変えることができる。
【0014】
本発明は、又、レーザ干渉計と、該レーザ干渉計の光軸のずれを検出する光軸ずれ量センサと、前記レーザ干渉計を任意の方向に向ける2軸回転機構と、該2軸回転機構の回転角を検出する角度センサと、入射光と平行な方向に反射光を反射する再帰反射体と、前記光軸ずれ量センサと前記角度センサの信号を元に前記再帰反射体を追尾するように前記2軸回転機構をフィードバック制御するコントローラとを有する追尾式レーザ干渉計において、前記再帰反射体からの戻り光が前記光軸ずれ量センサの検出範囲に戻ってきた時に追従制御を開始すると共に、前記追従制御により戻り光の位置が前記光軸ずれ量センサの検出範囲を飛び出してしまった時は、前記フィードバック制御のゲインを下げ
、更に、前記追従制御により戻り光の位置が前記光軸ずれ量センサの検出範囲を飛び出してしまうまでにかかった飛出し時間に応じて、前記フィードバック制御のゲインの下げ方を変えることにより、前記課題を解決したものである。
【0016】
本発明は、又、レーザ干渉計と、該レーザ干渉計の光軸のずれを検出する光軸ずれ量センサと、前記レーザ干渉計を任意の方向に向ける2軸回転機構と、該2軸回転機構の回転角を検出する角度センサと、入射光と平行な方向に反射光を反射する再帰反射体と、前記光軸ずれ量センサと前記角度センサの信号を元に前記再帰反射体を追尾するように前記2軸回転機構をフィードバック制御するコントローラとを有する追尾式レーザ干渉計において、前記再帰反射体からの戻り光が前記光軸ずれ量センサの検出範囲に戻ってきた時に追従制御を開始する手段と、該追従制御による前記光軸ずれ量センサ上の戻り光の位置の挙動に応じて、前記フィードバック制御のゲインを変化させる手段と、
前記追従制御により戻り光の位置が前記光軸ずれ量センサの周囲から中心に到達するまでにかかった静定時間を測定する手段と、該静定時間が所定時間以上である時は、前記フィードバック制御のゲインを上げる手段と、を備えたことを特徴とする追尾式レーザ干渉計のフィードバックゲイン調整装置を提供することにより、前記課題を解決したものである。
【0018】
ここで、前記静定時間に応じて、前記フィードバック制御のゲインの上げ方を変える手段を備えることができる。
【0019】
本発明は、又、レーザ干渉計と、該レーザ干渉計の光軸のずれを検出する光軸ずれ量センサと、前記レーザ干渉計を任意の方向に向ける2軸回転機構と、該2軸回転機構の回転角を検出する角度センサと、入射光と平行な方向に反射光を反射する再帰反射体と、前記光軸ずれ量センサと前記角度センサの信号を元に前記再帰反射体を追尾するように前記2軸回転機構をフィードバック制御するコントローラとを有する追尾式レーザ干渉計において、前記再帰反射体からの戻り光が前記光軸ずれ量センサの検出範囲に戻ってきた時に追従制御を開始する手段と、該追従制御による前記光軸ずれ量センサ上の戻り光の位置の挙動に応じて、前記フィードバック制御のゲインを変化させる手段と、前記追従制御により戻り光の位置が前記光軸ずれ量センサの検出範囲を飛び出してしまった時は、前記フィードバック制御のゲインを下げる手段
と、前記追従制御により戻り光の位置が前記光軸ずれ量センサの検出範囲を飛び出してしまうまでにかかった飛出し時間を測定する手段と、該飛出し時間に応じて、前記フィードバック制御のゲインの下げ方を変える手段と、を備え
たことを特徴とする追尾式レーザ干渉計のフィードバックゲイン調整装置を提供することにより、前記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、再帰反射体とレーザ干渉計間の絶対距離を用いることなく、光軸追従制御のフィードバックゲインを最適化して、追尾式レーザ干渉計の光軸追従制御系を安定化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の適用対象である追尾式レーザ干渉計の基本的な構成を示す図
【
図2】同じく動作を説明するための光軸ずれ量センサの正面図
【
図3】同じく追従制御と目標位置制御の切替方法を示す流れ図
【
図4】本発明の原理を説明するための、戻り光がセンサ中心に向かう場合を示す図
【
図5】同じく戻り光がセンサ検出範囲から飛び出す場合を示す図
【
図6】本発明の第1実施形態における処理手順を示す流れ図
【
図7】本発明の第2実施形態における処理手順を示す流れ図
【
図8】第2実施形態における、静定時間によるゲインの切替例を示す図
【
図9】同じく飛出し時間によるゲインの切替例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態及び実施例に記載した内容により限定されるものではない。又、以下に記載した実施形態及び実施例における構成要件には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。更に、以下に記載した実施形態及び実施例で開示した構成要素は適宜組み合わせてもよいし、適宜選択して用いてもよい。
【0025】
光軸ずれ量センサ102を正面から見た図を
図2に示す。
【0026】
追尾式レーザ干渉計は戻り光の光軸のずれが、光軸ずれ量センサ102の検出範囲(即ち、追従制御を行う範囲)102Dに入った瞬間から追従制御を開始してセンサの中心102Cに向かう。そのために、
図1に示した再帰反射体107の位置を動かして再帰反射体107の中心に光軸が入るようにするか、あるいは2軸回転機構104を操作して再帰反射体107がある方向に光軸を向けるかどちらかの方法を用いる。
【0027】
どちらの方法を用いても、
図3に示す如く、光軸ずれ量センサ102に光が戻っているか判定し(ステップS10)、光軸ずれ量センサ102の検出範囲102Dに戻り光の光軸が無い場合には目標位置制御(姿勢制御とも称する)を行い(ステップS30)、例えば
図2の位置Pで戻り光の光軸を検出すると追従制御が始まり(ステップS20)、戻り光の光軸は光軸ずれ量センサ102の中心102Cに向かう。
【0028】
この時の戻り光の光軸の動きは
図4のようにインパルス応答となるため、本発明では、この応答を元に制御系を調整する。
【0029】
一方、戻り光のオーバーシュートが大きく、
図5に例示するように、追従制御を行う範囲102Dの反対側に飛び出してしまった場合には、ゲインが過大なのでゲインを小さくする。
【0030】
以下、
図6を参照して、本発明の第1実施形態の処理手順を説明する。
【0031】
ステップS10で光軸ずれ量センサ102に戻り光が戻っていると判定されたときには、ステップS11に進み、そのときの戻り光の位置Pを保存し、ステップS20で追従制御を開始する。
【0032】
ステップS21で、
図5に示したように、戻り光が光軸ずれ量センサ102の反対側に飛び出してしまった場合には、ステップS23で、例えば2分法によりゲインを1/2に下げて、ステップS30の目標位置制御に切り替え、ステップS11で保存した位置Pに戻って、ステップS20で再度追従制御を開始させる。
【0033】
一方、
図4に示したように、戻り光の光軸が光軸ずれ量センサ102の中心102Cに到達した場合には、ステップS26で到達にかかった時間(静定時間と称する)t
Sを測定し、規定した静定時間リミットt
Lまでに到達できなかった場合には、ステップS28で、例えば2分法によりゲインを2倍に上げて、ステップS30の目標位置制御に切り替え、ステップS11で保存した位置Pに戻って、ステップS20で再度追従制御を開始させる。
【0034】
一方、ステップS26で規定した静定時間リミットt
L以内に戻り光の光軸がセンサ102の中心102Cに到達したと判断された場合には、ゲイン調整を終了し、追従制御を継続する。
【0035】
この第1実施形態では、2分法によりゲインを調整していたので制御が単純である。
【0036】
次に、
図7を参照して、2分法を改良してゲイン調整を早めた本発明の第2実施形態について説明する。
【0037】
この第2実施形態では、第1実施形態と同様のステップS21において、
図5に示したように、オーバーシュートが大きく、戻り光の光軸がセンサ102の検出範囲102Dを飛び出してしまったと判定された場合には、追従制御に切り替わってから検出範囲102Dを飛び出すまでの時間(飛出し時間と称する)t
tを計測し、例えば前記静定時間リミットt
Lの半分t
L/2以下の場合には、ステップS24に進み、ゲインを1/4に下げて収束を早める。
【0038】
一方、第1実施形態と同様のステップS26において、例えば前記静定時間リミットt
L以内に中心102Cに到達しなかったと判定された場合には、ステップS27で静定時間t
Sが、例えば前記静定時間リミットt
Lの2倍以上であるか判定し、2倍以上時間がかかった場合には、ステップS29でゲインを4倍に上げて収束を早める。
【0039】
第2実施形態における静定時間t
SとゲインG
oの関係を
図8に、飛出し時間t
tとゲインG
oの関係を
図9に示す。
【0040】
このようにして、静定時間t
Sや飛出し時間t
tに応じてゲインG
oの変え方を早めることで、単純な2分法に比べて短時間でゲインG
oの調整が可能となる。
【0041】
なお、静定時間t
Sや飛出し時間t
tに応じてゲインG
oを変える方法は、これに限定されず、例えば
図4に示した静定時と
図5に示した飛出し時で静定時間リミットt
Lを変えたり、一方のみを早めることも可能である。
【符号の説明】
【0042】
101…レーザ干渉計
102…光軸ずれ量センサ
102C…センサの中心
102D…センサの検出範囲(追従制御を行う範囲)
103…測定ヘッド
104…2軸回転機構
105…角度センサ
106…測定対象
107…再帰反射体
108…コントローラ