(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の有底孔の前記一方の面側に開口する部分の面積は、前記第2の有底孔の前記他方の面側に開口する部分の面積よりも小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載のヒートパイプ。
前記第1の有底孔が高密度に配置された領域と、前記第1の有底孔が低密度に配置された領域と、を有していることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載のヒートパイプ。
前記凹型の形状の第2金属層は、平板部と、前記平板部の外周部から前記第1金属層側に突起する側壁部が一体的に形成されて構成されていることを特徴とする請求項2に記載のヒートパイプ。
作動流体が気化した蒸気を移動させる蒸気層を構成する第2金属層を形成する工程と、前記蒸気が液化した前記作動流体を移動させる液層を構成する第1金属層を形成する工程と、前記第1金属層の一方の面の上に前記第2金属層を接合する工程と、を備えたヒートパイプの製造方法であって、
前記第1金属層を形成する工程は、
第1の金属シートを一方の面側からハーフエッチングして、第1の有底孔を複数形成し、前記第1の金属シートを他方の面側からハーフエッチングし、第2の有底孔を複数形成すると共に、前記第1の有底孔と部分的に連通する第1の細孔と、隣接する前記第2の有底孔の側面が部分的に連通して形成された第2の細孔を形成する工程を有し、
前記第2金属層を形成する工程は、
第2の金属シートを厚さ方向に貫通する貫通孔を形成する工程を有することを特徴とするヒートパイプの製造方法。
作動流体が気化した蒸気を移動させる蒸気層を構成する側壁部が設けられた第2金属層を形成する工程と、前記蒸気が液化した前記作動流体を移動させる液層を構成する第1金属層を形成する工程と、前記第1金属層の一方の面の上に前記第2金属層を接合する工程と、を備えたヒートパイプの製造方法であって、
前記第1金属層を形成する工程は、
第1の金属シートを一方の面側からハーフエッチングして、第1の有底孔を複数形成し、前記第1の金属シートを他方の面側からハーフエッチングし、第2の有底孔を複数形成すると共に、前記第1の有底孔と部分的に連通する第1の細孔と、隣接する前記第2の有底孔の側面が部分的に連通して形成された第2の細孔を形成する工程を有し、
前記第2金属層を形成する工程は、
第2の金属シートを一方の面又は他方の面側からハーフエッチングして、中央側に有底の開口部を形成すると共に、外周側に前記開口部を囲む側壁部を形成する工程を有することを特徴とするヒートパイプの製造方法。
前記第1の有底孔の前記一方の面側に開口する部分の面積は、前記第2の有底孔の前記他方の面側に開口する部分の面積よりも小さいことを特徴とする請求項9又は10に記載のヒートパイプの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0011】
〈第1の実施の形態〉
[第1の実施の形態に係るヒートパイプの構造]
まず、第1の実施の形態に係るヒートパイプの構造について説明する。
図1は、第1の実施の形態に係るヒートパイプを例示する図であり、
図1(b)は平面図、
図1(a)は
図1(b)のA−A線に沿う断面図である。
【0012】
図1を参照するに、ヒートパイプ1は、金属層11〜14の4層が積層された構造を有する全方位型のヒートパイプである。金属層11〜14は、例えば、熱伝導性に優れた銅からなり、固相接合等により互いに直接接合されている。金属層11〜14の各々の厚さは、例えば、50μm〜200μm程度とすることができる。なお、金属層11〜14の材料は銅に限定されず、ステンレスやアルミニウム、マグネシウム合金等の熱伝導性が高い材料から形成してもよい。ヒートパイプ1の平面形状(金属層14の上面14aの法線方向から視た形状)は、ここでは一例として矩形状とする。
【0013】
なお、
図1において、金属層11〜14の積層方向(厚さ方向)をZ方向、金属層14の上面14aの一辺に平行な方向をX方向、金属層14の上面14a内においてX方向と直交する方向をY方向としている(以降の図も同様)。又、本実施の形態では、便宜上、ヒートパイプ1の金属層14側を上側又は一方の側、金属層11側を下側又は他方の側とする。また、各部位の金属層14側の面を上面又は一方の面、金属層11側の面を下面又は他方の面とする。
【0014】
ヒートパイプ1において、1層目(他方の最外層)の金属層11及び4層目(一方の最外層)の金属層14は、孔や溝は形成されていないベタ状の金属層である。
【0015】
金属層12は、金属層11の上面の上に積層されている。2層目の金属層12には、金属層13側(金属層12の上面側)からZ方向の略中央部に向かって窪む有底孔121と金属層11側(金属層12の下面側)からZ方向の略中央部に向かって窪む有底孔122とがそれぞれ複数個配置されている。又、有底孔121と有底孔122が部分的に連通した細孔123が配置されている。
【0016】
金属層12は、有底孔121及び有底孔122、細孔123により構成される、Z方向に貫通した貫通孔12xを有している。
【0017】
複数個の有底孔121は、行列状に配置されている。複数個の有底孔121は、例えば、X方向に所定間隔で配置された行と、Y方向に所定間隔で配置された列とを備えている。但し、行は必ずしもX方向に沿っている必要はなく、列は必ずしもY方向に沿っている必要はない。
【0018】
又、行と列は必ずしも直交している必要はなく、例えば、行に対して列が斜めに設けられ、複数個の有底孔121が配置された領域の平面形状が全体として平行四辺形状であってもよい。又、各行及び各列に含まれる有底孔121の個数は同一でなくてもよく、例えば、複数個の有底孔121が配置された領域の平面形状が全体として台形状であってもよい。又、複数個の有底孔121は、千鳥状に配置されてもよい。
【0019】
有底孔122は、各々の有底孔121に対応して1つずつ設けられている。対応する有底孔121と有底孔122とは平面視において重複するように配置され、底面同士が部分的に連通して、細孔123が形成されている。すなわち、複数個の有底孔122は、複数個の有底孔121に対応して行列状に配置されており、平面視において重複する有底孔121と有底孔122とは底面同士が接してZ方向に連通している。但し、有底孔121と有底孔122とは、底面同士が細孔123を介して連通できるように配置されていれば、必ずしも平面視において完全に重複するように配置されていなくても構わない。
【0020】
各々の有底孔121は、互いに離間して配置されている。つまり、X方向及びY方向に隣接する有底孔121同士は、連通していない。一方、X方向及びY方向に隣接する有底孔122は、側面同士が細孔125を介してX方向及びY方向に部分的に連通している。つまり、行列状に配置された全ての有底孔122が細孔125を介して連通している。
【0021】
有底孔121の金属層12の上面側に開口する部分の面積は、有底孔122の金属層12の下面側に開口する部分の面積よりも小さい。有底孔121は、例えば、略半球状に形成されており、平面形状が円形である。この場合、有底孔121の金属層13側に開口する部分の直径φ
1は、例えば、25μm程度とすることができる。
【0022】
有底孔122は、例えば、略半球状に形成されており、平面形状が円形である。この場合、有底孔122の金属層12の下面側に開口する部分の直径φ
2は、有底孔121の金属層12の上面側に開口する部分の直径φ
1よりも大きく、例えば、50μm程度とすることができる。
【0023】
有底孔121と有底孔122とが連通する位置(細孔123の位置)は、金属層12の厚さ方向の中央よりも金属層12の上面側であり、例えば、D
1:D
2を3:7程度とすることができる。細孔123の直径φ
3は、有底孔121の直径φ
1及び有底孔122の直径φ
2よりも小さく、例えば、15μm程度とすることができる。
【0024】
但し、有底孔121及び122の平面形状は円形には限定されず、楕円形や多角形等の任意の形状として構わない。又、有底孔121は略半球状には限定されず、細孔123側から金属層12の上面側に向かって内壁が拡幅する任意のテーパ形状として構わない。同様に、有底孔122は略半球状には限定されず、細孔123側から金属層12の下面側に向かって内壁が拡幅する任意のテーパ形状として構わない。
【0025】
細孔125のX方向の幅W
1、Y方向の幅W
2、及びZ方向の高さH
1は、各々有底孔122の直径φ
2よりも小さい。細孔125のX方向の幅W
1は、例えば、20μm程度とすることができる。細孔125のY方向の幅W
2は、例えば、20μm程度とすることができる。細孔125のZ方向の高さH
1は、例えば、10μm程度とすることができる。
【0026】
金属層13は、金属層12の上面上に積層されている。3層目の金属層13は、行列状に配置された貫通孔12xを露出する貫通孔13xを有し、枠状に形成されている。金属層14は、金属層13により形成された枠部に蓋をするように、金属層13上に積層されている。
【0027】
図2は、第1の実施の形態に係るヒートパイプの各部の機能を説明する図(その1)であり、
図1(a)に対応する断面を示している。
【0028】
図2に示すように、ヒートパイプ1において、金属層11及び金属層14は、外壁となる層になる。又、ヒートパイプ1において、枠状に形成された金属層13は、蒸気層になる。具体的には、金属層13(蒸気層)は、金属層13の貫通孔13x内において、金属層12の上面及び金属層14の下面で囲まれた気相部21を有している。気相部21は、作動流体Cが気化した蒸気Cvを高温側から低温側に移動させる領域である。
【0029】
又、ヒートパイプ1において、金属層12は、液層になる。具体的には、金属層12(液層)は、液体流路部22と通気部23を有している。液体流路部22は、金属層12において、X方向及びY方向に連通する有底孔122から構成されている。液体流路部22(有底孔122)は、低温側で液化した作動流体Cを高温側に移動させる領域である。
【0030】
又、通気部23は、金属層12において、有底孔122と連通する各々の有底孔121及び細孔123から構成されている。通気部23は、気相部21と液体流路部22を仕切ると共に、気相部21で発生した作動流体Cを液体流路部22へ移動させる領域である。
【0031】
液体流路部22は、初期状態において(ヒートパイプ1が発熱部品と接していない状態)作動流体Cで満たされている。作動流体Cの種類は特に限定されないが、蒸発潜熱によって発熱部品を効率的に冷却するために、蒸気圧が高く、かつ蒸発潜熱が大きい流体を使用することが好ましい。そのような流体としては、例えば、アンモニア、水、フロン、アルコール、及びアセトンを挙げることができる。
【0032】
図3は、第1の実施の形態に係るヒートパイプの各部の機能を説明する図(その2)であり、
図3(b)は平面図、
図3(a)は
図3(b)のB−B線に沿う断面図である。
【0033】
図3に示すように、ヒートパイプ1では、金属層14の上面14aの法線方向から視て貫通孔12x(有底孔121及び122、細孔123)が均等に配置されている。そのため、金属層11の外面の任意の位置に半導体装置等の発熱部品を配置することができ、発熱部品を配置した位置が発熱部となる。
図3では、一例として、金属層11の左下を発熱部H(蒸発部)としている。
【0034】
図3において、発熱部H近傍の金属層11及び12の温度が上昇すると、発熱部H近傍の液体流路部22内の作動流体Cが気化(蒸発)して蒸気Cvが生成される。生成された蒸気Cvは、通気部23を介して気相部21に移動して気相部21の全体に広がる。発熱部Hから離れた個所が凝縮部Gとなり、蒸気Cvは凝縮部Gにおいて液化する。
【0035】
これにより、発熱部Hで発生した熱が凝縮部Gに移動して放熱される。凝縮部Gで液化した作動流体Cは、細孔123の毛細管力により通気部23を通って液体流路部22に吸い込まれる。液体流路部22に吸い込まれた作動流体Cは、細孔125の毛細管力により液体流路部22を通って作動流体Cの不足している個所、すなわち発熱部Hに移動する。以降、同様に蒸発と凝縮のサイクルを繰り返すことにより、発熱部Hの温度上昇が抑制される。
【0036】
[第1の実施の形態に係るヒートパイプの製造方法]
次に、第1の実施の形態に係るヒートパイプの製造方法について説明する。
図4は、第1の実施の形態に係るヒートパイプの製造工程を例示する図であり、
図1(a)に対応する断面を示している。
【0037】
まず、
図4(a)に示す工程では、金属シート120を準備し、金属シート120の上面に開口部310xを備えたレジスト層310を形成し、金属シート120の下面に開口部320xを備えたレジスト層320を形成する。開口部310xは、
図1(b)に示す有底孔121に対応する位置の金属シート120の上面を露出するように形成する。又、開口部320xは、
図1(b)に示す有底孔122に対応する位置の金属シート120の下面を露出するように形成する。
【0038】
金属シート120は、最終的に金属層12となる部材であり、例えば、銅、ステンレス、アルミニウム、マグネシウム合金等から形成することができる。金属シート120の厚さは、例えば、50μm〜200μm程度とすることができる。レジスト層310及び320としては、例えば、感光性のドライフィルムレジスト等を用いることができる。開口部310x及び320xは、例えば、レジスト層310及び320を露光及び現像して形成することができる。
【0039】
次に、
図4(b)に示す工程では、開口部310x内に露出する金属シート120を金属シート120の上面側からハーフエッチングすると共に、開口部320x内に露出する金属シート120を金属シート120の下面側からハーフエッチングする。これにより、金属シート120の上面側に有底孔121が形成され、下面側に有底孔122が形成される。又、有底孔121及び有底孔122の底面同士がZ方向に部分的に連通し細孔123が形成され、有底孔121及び有底孔122、細孔123からなる貫通孔12xが形成される。又、X方向及びY方向に隣接する有底孔122は、側面同士がX方向及びY方向に部分的に連通し、細孔125が形成される。金属シート120のハーフエッチングには、例えば、塩化第二鉄溶液を用いることができる。その後、レジスト層310及び320を剥離液により剥離することで、貫通孔12xが行列状に配置された金属層12が完成する。
【0040】
次に、
図4(c)に示す工程では、貫通孔13xを有する枠状の金属層13を形成する。金属層13は、金属シートを準備し、金属シートの不要部をエッチングで除去することで形成できる。或いは、金属層13は、金属シートを準備し、金属シートの不要部をプレス加工やレーザ加工により除去することで形成してもよい。
【0041】
次に、
図4(d)に示す工程では、孔や溝が形成されていないベタ状の金属層11及び14を準備する。そして、金属層11、12、13、及び14を順次積層し、加圧及び加熱により固相接合を行う。これにより、隣接する金属層同士が直接接合され、気相部21、液体流路部22、及び通気部23を備えたヒートパイプ1が完成する。その後、真空ポンプ等を用いて液体流路部22内を排気した後、図示しない注入口から液体流路部22内に作動流体Cを注入し、その後注入口を封止する。
【0042】
ここで、固相接合とは、接合対象物同士を溶融させることなく固相(固体)状態のまま加熱して軟化させ、更に加圧して塑性変形を与えて接合する方法である。なお、固相接合によって隣接する金属層同士を良好に接合できるように、金属層11〜14の全ての材料を同一にすることが好ましい。
【0043】
このように、ヒートパイプ1では、蒸
気が通る気相部21と作動流体が通る液体流路部22とが分かれている。そのため、発熱部H(蒸発部)側からの蒸気Cvの拡散と、凝縮部G側で凝縮した作動流体Cの戻りが別の層となり、互いにぶつかることがない。その結果、蒸発と凝縮がサイクルとして作動し、放熱性を向上することができる。
【0044】
又、ヒートパイプ1では、金属層14の上面14aの法線方向から視て貫通孔12x(有底孔121及び122、細孔123)が均等に配置されている。そのため、発熱部H(蒸発部)と凝縮部Gの区分けがなく、金属層11の外面の任意の位置に半導体装置等の発熱部品を配置して発熱部Hとすることができる。そして、発熱部H付近で蒸発した蒸気Cvは全方位へ広がり、温度の低い部分が凝縮部Gとなって蒸気が凝縮する。このような構造により、全方位に均等な熱拡散性能を有し、姿勢依存性がないヒートパイプを実現できる。
【0045】
又、ヒートパイプ1では、1つの金属層に液体流路部22及び通気部23を形成している。そのため、ヒートパイプ1を薄型化することが可能となる。
【0046】
〈第1の実施の形態の変形例1〉
第1の実施の形態の変形例1では、支柱を設ける例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例1において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0047】
図5は、第1の実施の形態の変形例1に係るヒートパイプを例示する図であり、
図5(b)は平面図、
図5(a)は
図5(b)のA−A線に沿う断面図である。
【0048】
図5を参照するに、ヒートパイプ1Aは、枠状に形成された金属層13の内側に支柱15が設けられている。
図5の例では、支柱15が4本設けられているが、支柱15は1〜3本又は5本以上設けても構わない。
【0049】
このように、枠状に形成された金属層13の内側に支柱15を設けることで、ヒートパイプ1Aを製造する際に、
図4(d)の工程で金属層11、12、13、及び14を順次積層して加圧するときに金属層14が潰れることを防止できる。又、ヒートパイプ1Aが動作している際に、金属層14が変形して気相部21が潰れることを防止できる。
【0050】
〈第1の実施の形態の変形例2〉
第1の実施の形態の変形例2では、1つの有底孔122に対して金属層12の上面側に複数の有底孔を設ける例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例2において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0051】
図6は、第1の実施の形態の変形例2に係るヒートパイプを例示する図であり、
図6(b)は部分平面図、
図6(a)は
図6(b)のC−C線に沿う部分断面図である。
【0052】
図6に示すヒートパイプ1Bにおいて、2層目の金属層12には、金属層12の上面側からZ方向の略中央部に向かって窪む有底孔121a及び121bと金属層12の下面側からZ方向の略中央部に向かって窪む有底孔122が形成されている。また、有底孔121a及び121bと有底孔122が部分的に連通した細孔123a及び123bが配置されている。
【0053】
金属層12は、有底孔121a及び121bと有底孔122、細孔123a及び123bにより構成される、Z方向に貫通した貫通孔12yを有している。
【0054】
すなわち、各々の貫通孔12yにおいて、1つの有底孔122に対して有底孔121a及び121bが設けられている。対応する有底孔121a及び121bと有底孔122とは平面視において重複するように配置されている。そして、有底孔121aと有底孔122の底面同士が部分的に連通して細孔123aが形成されている。又、有底孔121bと有底孔122の底面同士が部分的に連通して細孔123bが形成されている。
【0055】
X方向において隣接する有底孔121aと有底孔121bとは、互いに離間して配置されている。又、Y方向において隣接する有底孔121a同士、及びY方向において隣接する有底孔121b同士は、互いに離間して配置されている。
【0056】
有底孔121a及び121bの金属層12の上面側に開口する部分の面積は、有底孔122の金属層12の下面側に開口する部分の面積よりも小さい。有底孔121a及び121bは、例えば、略半球状に形成されており、平面形状が円形である。有底孔121a及び121bと有底孔122とが連通する位置(細孔123a及び123bの位置)は、金属層12の厚さ方向の中央よりも金属層12の上面側である。
【0057】
但し、有底孔121a及び121bの平面形状は円形には限定されず、楕円形や多角形等の任意の形状として構わない。又、有底孔121a及び121bは略半球状には限定されず、細孔123a及び123b側から金属層12の上面側に向かって内壁が拡幅する任意のテーパ形状として構わない。
【0058】
このように、各々の貫通孔12yにおいて、1つの有底孔122に対して金属層12の上面側に2つの有底孔121a及び121bを設けても構わない。この場合、細孔123a及び123bの大きさを第1の実施の形態の細孔123の大きさよりも小さくできるため、作動流体Cを気相部21から液体流路部22に吸い込む際の毛細管力を大きくすることができる。
【0059】
なお、1つの有底孔122に対して金属層12の上面側に3つ以上の有底孔を設けても構わない。又、1つの有底孔122に対して金属層12の上面側に設けられる複数の有底孔を各々異なる大きさ(例えば、異なる径)にしても構わない。
【0060】
〈第1の実施の形態の変形例3〉
第1の実施の形態の変形例3では、有底孔の密度を変える例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例3において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0061】
図7は、第1の実施の形態の変形例3に係るヒートパイプを例示する図であり、
図1(b)に対応する平面図である。但し、
図7では、金属層12において有底孔122に対して金属層12の上面側に設けられる有底孔121のみを図示しており、有底孔122や細孔123の図示は省略している。
【0062】
図7に示すヒートパイプ1Cでは、有底孔121が高密度に配置された高密度領域Hdと、有底孔121が低密度に配置された低密度領域LdとがX方向及びY方向に交互に配置されている。高密度領域Hdでは、例えば、1つの有底孔122に対して複数の有底孔121を設けることができる。
【0063】
ヒートパイプ1Cのように、有底孔121の密度は必ずしも均一とする必要はなく、高密度領域Hdと低密度領域Ldを有しても構わない。この場合は、発熱部からの熱拡散効率向上の効果が期待できる。又、作動流体の気化効率や、液化した作動流体を液層に戻す効率が向上する効果が期待できる。
【0064】
なお、密度の異なる領域は2種類には限定されず、3種類以上の密度の異なる領域を有しても構わない。
【0065】
〈第1の実施の形態の変形例4〉
第1の実施の形態の変形例4では、有底孔の大きさを変える例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例4において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0066】
図8は、第1の実施の形態の変形例4に係るヒートパイプを例示する図であり、
図1(b)に対応する平面図である。但し、
図8では、金属層12において有底孔122に対して金属層13側に設けられる有底孔121c及び121dのみを図示しており、有底孔122や細孔123の図示は省略している。
【0067】
図8に示すヒートパイプ1Dでは、金属層12の上面側に開口する部分の面積の大きい(例えば、大径の)有底孔121cと、金属層12の上面側に開口する部分の面積の小さい(例えば、小径の)有底孔121dとがX方向及びY方向に交互に配置されている。有底孔121c及び121dは、例えば、有底孔121と同様に、略半球状等に形成することができる。
【0068】
ヒートパイプ1Dのように、金属層12の上面側に開口する各々の有底孔の開口する部分の面積は必ずしも同一とする必要はなく、開口する部分の面積の大きい有底孔121cと開口する部分の面積の小さい有底孔121dを有しても構わない。この場合は、作動流体の気化効率や、液化した作動流体を液層に戻す効率が向上する効果が期待できる。
【0069】
なお、金属層13側に開口する各々の有底孔の開口する部分の面積は2種類には限定されず、3種類以上としても構わない。
【0070】
〈第2の実施の形態〉
第2の実施の形態では、ヒートパイプを更に薄型化する例を示す。なお、第2の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0071】
[第2の実施の形態に係るヒートパイプの構造]
まず、第2の実施の形態に係るヒートパイプの構造について説明する。
図9は、第2の実施の形態に係るヒートパイプを例示する図であり、
図9(b)は平面図、
図9(a)は
図9(b)のA−A線に沿う断面図である。
【0072】
図9を参照するに、ヒートパイプ2は、金属層13及び14が1層の金属層25に置換された点がヒートパイプ1(
図1参照)と相違し、その他の点はヒートパイプ1と同様である。すなわち、ヒートパイプ2は、金属層11、12、及び25の3層が積層された構造を有する全方位型のヒートパイプである。金属層11、12、及び25は、例えば銅、ステンレス、アルミニウム、マグネシウム合金等からなり、固相接合等により互いに直接接合されている。
【0073】
金属層25は、上面25a及び下面25bを有する矩形状の平板部251と、平板部251の下面25bの外周部から金属層12側に突起する側壁部252とを備えている。金属層25は、平板部251と側壁部252とが一体に形成され、凹型の形状からなる。側壁部252は、行列状に配置された貫通孔12xを露出する開口部25xを有し、平板部251の下面25bの外周部に枠状に形成されている。金属層25の側壁部252の下面は、金属層12の上面の外周部と直接接合されている。
【0074】
金属層25の全体の厚さT
1は、例えば、50μm〜200μm程度とすることができる。金属層25の全体の厚さT
1は、例えば、金属層11及び12の厚さと同一としてもよい。金属層25の側壁部252の厚さT
2は、例えば、厚さT
1の半分程度とすることができる。
【0075】
金属層25の側壁部252は蒸気層となり、側壁部252の開口部25x内において、金属層12の上面及び金属層25の下面25bで囲まれた気相部21(
図2参照)を有している。気相部21は、作動流体Cが気化した蒸気Cvを高温側から低温側に移動させる領域である。
【0076】
[第2の実施の形態に係るヒートパイプの製造方法]
次に、第2の実施の形態に係るヒートパイプの製造方法について説明する。
図10は、第2の実施の形態に係るヒートパイプの製造工程を例示する図であり、
図9(a)に対応する断面を示している。
【0077】
まず、第1の実施の形態の
図4(a)、及び
図4(b)の工程を実行し、金属層12を作製する。
【0078】
次に、
図10(a)に示す工程では、金属シート250を準備し、金属シート250の上面の全体にベタ状のレジスト層330を形成し、金属シート250の下面に矩形状の開口部340xを備えた枠状のレジスト層340を形成する。レジスト層340は、側壁部252を形成したい領域を被覆するように形成する。
【0079】
金属シート250は、最終的に金属層25となる部材であり、例えば、銅、ステンレス、アルミニウム、マグネシウム合金等から形成することができる。金属シート250の厚さは、例えば、50μm〜200μm程度とすることができる。レジスト層330及び340としては、例えば、感光性のドライフィルムレジスト等を用いることができる。開口部340xは、例えば、レジスト層340を露光及び現像して形成することができる。
【0080】
次に、
図10(b)に示す工程では、開口部340x内に露出する金属シート250を金属シート250の下面側からハーフエッチングして、中央側に有底の開口部25xを形成すると共に、外周側に開口部25xを囲む側壁部252を形成する。金属シート250のハーフエッチングには、例えば、塩化第二鉄溶液を用いることができる。その後、レジスト層330及び340を剥離液により剥離することで、平板部251の下面25bの外周部に開口部25xを囲む枠状の側壁部252を備えた金属層25が形成される。
【0081】
なお、
図10(a)において、金属シート250の下面の全体にベタ状のレジスト層330を形成し、金属シート250の上面に矩形状の開口部340xを備えた枠状のレジスト層340を形成してもよい。この場合には、
図10(b)において、開口部340x内に露出する金属シート250を金属シート250の上面側からハーフエッチングして開口部25xを形成する。
【0082】
次に、孔や溝が形成されていないベタ状の金属層11を準備し、
図4(d)の工程と同様にして、金属層11、12、及び25を順次積層し、加圧及び加熱により固相接合を行う。これにより、隣接する金属層同士が直接接合され、気相部21、液体流路部22、及び通気部23を備えたヒートパイプ2が完成する。その後、真空ポンプ等を用いて液体流路部22内を排気した後、図示しない注入口から液体流路部22内に作動流体Cを注入し、その後注入口を封止する。なお、固相接合によって隣接する金属層同士を良好に接合できるように、金属層11、12、及び25の全ての材料を同一にすることが好ましい。
【0083】
このように、ヒートパイプ1における金属層13及び14を1層の金属層25に置き換えてヒートパイプ2としてもよい。ヒートパイプ2では、曲げ加工や成型加工を用いずにハーフエッチングで有底孔や開口部を形成するため、薄型化が容易である。ヒートパイプ2において、例えば、金属層11、12、及び25を何れも50μmの厚さで形成すれば、総厚が150μmの薄型のヒートパイプを実現することができる。その他の効果については、第1の実施の形態に示した通りである。
【0084】
〈第2の実施の形態の変形例1〉
第2の実施の形態の変形例1では、支柱を設ける例を示す。なお、第2の実施の形態の変形例1において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0085】
図11は、第2の実施の形態の変形例1に係るヒートパイプを例示する図であり、
図11(b)は平面図、
図11(a)は
図11(b)のA−A線に沿う断面図である。
【0086】
図11を参照するに、ヒートパイプ2Aは、金属層25が金属層25Aに置換された点がヒートパイプ2(
図9参照)と相違し、その他の点はヒートパイプ2と同様である。すなわち、ヒートパイプ2Aは、金属層11、12、及び25Aの3層が積層された構造を有する全方位型のヒートパイプである。金属層11、12、及び25Aは、例えば銅、ステンレス、アルミニウム、マグネシウム合金等からなり、固相接合等により互いに直接接合されている。
【0087】
金属層25Aは、上面25a及び下面25bを有する矩形状の平板部251と、平板部251の下面25bの外周部から金属層12側に突起する側壁部252と、側壁部252の内側に設けられた支柱253とを備えている。平板部251と側壁部252と支柱253とは一体に形成されている。側壁部252は、行列状に配置された貫通孔12xを露出する開口部25xを有し、平板部251の下面25bの外周部に枠状に形成されている。支柱253は、開口部25x内に露出する平板部251の下面25bから金属層12側に突起している。
図11の例では、支柱253が4本設けられているが、支柱253は1〜3本又は5本以上設けても構わない。金属層25Aの側壁部252の下面は、金属層12の上面の外周部と直接接合されている。又、金属層25Aの各々の支柱253の下面は、金属層12の上面の所定位置と直接接合されている。
【0088】
金属層25Aを作製するには、例えば、金属シートを準備し、金属シートの上面の全体にベタ状の第1レジスト層を形成し、金属シートの下面の外周部(側壁部252となる部分)及び支柱253の形成部に第2レジスト層を選択的に形成する。そして、金属シートの下面側の第2レジスト層から露出する部分をハーフエッチングする。これにより、中央側に有底の開口部25xが形成されると共に、外周側に開口部25xを囲む側壁部252が形成され、開口部25x内に支柱253が形成される。金属層25Aのハーフエッチングには、例えば、塩化第二鉄溶液を用いることができる。その後、第1及び第2レジスト層を剥離液により剥離することで、平板部251と側壁部252と支柱253とが一体に形成された金属層25Aが完成する。
【0089】
このように、金属層25Aの枠状に形成された側壁部252の内側に支柱253を設けることで、ヒートパイプ2Aを製造する際に、
図4(d)と同様の工程で金属層11、12、及び25Aを順次積層して加圧するときに金属層25Aが潰れることを防止できる。又、ヒートパイプ2Aが動作している際に、金属層25Aが変形して気相部21が潰れることを防止できる。その他の効果については、第1の実施の形態及び第2の実施の形態に示した通りである。
【0090】
以上、好ましい実施の形態について詳説したが、上述した実施の形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0091】
例えば、第1の実施の形態及び変形例1〜4は、適宜組み合わせて実施することができる。又、第2の実施の形態及び変形例1と、第1の実施の形態の変形例2〜4は、適宜組み合わせて実施することができる。