(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
下記一般式(I)で表されるオキシムエステル化合物。
【化1】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9及びR
10(以下、R
1〜R
10とも記載)は、それぞれ独立に、下記一般式(II)で表される基、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ニトリル基、シアノ基、水酸基、カルボキシル基、ホルミル基、スルホ基、R
13、OR
13、SR
13、NR
14R
15、COR
13、SOR
13、SO
2R
13又はCONR
14R
15を表し、
R
13、R
14及びR
15は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜20の炭化水素基又は炭素原子数2〜20の
複素環基を表し、
R
13、R
14及びR
15で表される炭素原子数1〜20の炭化水素基又は炭素原子数2〜20の
複素環基の水素原子は、下記一般式(II)で表される基、ニトリル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、メタクリロイル基、アクリロイル基、エポキシ基、ビニル基、ビニルエーテル基、メルカプト基、イソシアネート基又は
複素環基で置換される場合があり、R
13、R
14及びR
15で表される炭素原子数2〜20の炭化水素基又は炭素原子数2〜20の
複素環基中のメチレン基は−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NR
16−、−NR
16CO−、−S−、−SO
2−、−SCO−又は−COS−で置換される場合もあり、
R
16は、水素原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、
R
11及びR
12は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素原子数1〜20の炭化水素基又は炭素原子数2〜20の
複素環基を表し、
R
11及びR
12で表される炭素原子数1〜20の炭化水素基又は炭素原子数2〜20の
複素環基の水素原子はハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、メタクリロイル基、アクリロイル基、エポキシ基、ビニル基、ビニルエーテル基、メルカプト基、イソシアネート基又は
複素環基で置換される場合があり、R
11及びR
12で表される炭素原子数1〜20の炭化水素基又は炭素原子数2〜20の
複素環基中のメチレン基は−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NR
17−、−NR
17CO−、−S−、−SO
2−、−SCO−又は−COS−で置換される場合もあり、
R
17は、水素原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、
R
1〜R
10のうち少なくとも一つが、下記一般式(II)で表される基であり、
R
2とR
3、R
3とR
4、R
4とR
5、R
6とR
7、R
7とR
8、R
8とR
9及びR
9
とR
10が結合して環を形成する場合もあり、
mは0又は1を表す。)
【化2】
(式中、R
21及びR
22は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素原子数1〜20の炭化水素基又は炭素原子数2〜20の
複素環基を表し、
R
21及びR
22で表される炭素原子数1〜20の炭化水素基又は炭素原子数2〜20の
複素環基の水素原子はハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、メタクリロイル基、アクリロイル基、エポキシ基、ビニル基、ビニルエーテル基、メルカプト基、イソシアネート基又は
複素環基で置換される場合があり、R
21及びR
22で表される炭素原子数1〜20の炭化水素基又は炭素原子数2〜20の
複素環基中のメチレン基は−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NR
23−、−NR
23CO−、−S−、−SO
2−、−SCO−又は−COS−で置換される場合もあり、
R
23は、水素原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、
nは0又は1を表す。)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のオキシムエステル化合物及び該化合物を含有する重合開始剤について好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。
【0013】
本発明のオキシムエステル化合物は、上記一般式(I)で表わされる新規な化合物である。該オキシムエステル化合物には、オキシムの二重結合による幾何異性体が存在するが、これらを区別するものではない。
即ち、本明細書において、上記一般式(I)で表わされる化合物及びその例示化合物は、両方の混合物又はどちらか一方を表すものであり、異性体を示した構造に限定するものではない。
【0014】
上記一般式(I)及び(II)中のR
11〜R
17及びR
21〜R
23で表される炭素原子数1〜20の炭化水素基は、特に限定されるものではないが、好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数4〜20のシクロアルキルアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基及び炭素原子数7〜20のアリールアルキル基等を表す。
【0015】
上記炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、アミル、イソアミル、t−アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、t−オクチル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル及びイコシル等が挙げられる。
【0016】
上記炭素原子数3〜20のシクロアルキル基とは、3〜20の炭素原子を有する、飽和単環式又は飽和多環式アルキル基を意味する。例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、アダマンチル、デカハイドロナフチル、オクタヒドロペンタレン及びビシクロ[1.1.1]ペンタニル等が挙げられる。
【0017】
上記炭素原子数4〜20のシクロアルキルアルキル基とは、アルキル基の水素原子のうち少なくとも一つが、シクロアルキル基で置換された4〜20の炭素原子を有する基を意味する。例えば、シクロプロピルメチル、シクロブチルエチル、シクロペンチルプロピル、シクロヘキシルブチル、シクロヘプチルメチル、シクロオクチルメチル、シクロノニルエチル、シクロデシルエチル、アダマンチルプロピル及びデカハイドロナフチルプロピル等が挙げられる。
【0018】
上記炭素原子数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル、トリル、キシリル、エチルフェニル、ナフチル、アンスリル、フェナンスレニル、上記アルキル基で1つ以上置換されたフェニル、ビフェニリル、ナフチル、アンスリル等が挙げられる。
【0019】
上記炭素原子数7〜20のアリールアルキル基とは、アルキル基の水素原子が、アリール基で置換された7〜20の炭素原子を有する基を意味する。例えば、ベンジル、α−メチルベンジル、α、α−ジメチルベンジル、フェニルエチル及びナフチルプロピル等が挙げられる。
【0020】
上記一般式(I)及び(II)中の、R
11〜R
15、R
21及びR
22で表される炭素原子数2〜20の複素環含有基としては、例えば、ピロリル、ピリジル、ピリジルエチル、ピリミジル、ピリダジル、ピペラジル、ピペリジル、ピラニル、ピラニルエチル、ピラゾリル、トリアジル、トリアジルメチル、ピロリジル、キノリル、イソキノリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、トリアゾリル、フリル、フラニル、ベンゾフラニル、チエニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、チアジアゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、ユロリジル、モルフォリニル、チオモルフォリニル、2−ピロリジノン−1−イル、2−ピペリドン−1−イル、2,4−ジオキシイミダゾリジン−3−イル及び2,4−ジオキシオキサゾリジン−3−イル等が挙げられる。
【0021】
上記一般式(I)及び(II)中のハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0022】
R
2とR
3、R
3とR
4、R
4とR
5、R
6とR
7、R
7とR
8、R
8とR
9及びR
9とR
10が結合して形成する環としては、例えば、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロペンテン環、ベンゼン環、ピロリジン環、ピロール環、ピペラジン環、ピペリジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、テトラヒドロピリジン環、ラクトン環、ラクタム環等の5〜7員環及びナフタレン環、アントラセン環等の縮合環等が挙げられる。
【0023】
一般式(I)中のR
2〜R
5のうち少なくとも一つが、一般式(II)で表される基であるオキシムエステル化合物は、重合開始剤として用いた際に吸収波長が良好で高感度になることから好ましい。更にR
3及びR
8のうち少なくとも一つが、一般式(II)で表される基である場合、合成が容易でオキシムエステル化合物の安定性が良好なことから、より好ましい。更にR
8が、一般式(II)で表される基である場合が、重合性組成物の重合開始剤として用いた際に該重合組成物より得られる硬化物の透明性が高く、着色が少ないことから、最も好ましい。
【0024】
一般式(I)中のR
6、R
7、R
8、R
9及びR
10のうち少なくとも一つが、電子吸引性基であるオキシムエステル化合物は、重合開始剤として用いた場合に高感度になることから好ましい。
【0025】
上記電子吸引性基としては例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ベンゾイル基、カルボキシル基、トリフルオロメチル基、ホルミル基及びスルホ基等が挙げられる。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ベンゾイル基、カルボキシル基及びトリフルオロメチル基からなる群より選択される少なくとも1種である場合がより高感度になることから好ましい。
【0026】
一般式(I)中のm=1であるオキシムエステル化合物を重合組成物の重合開始剤として用いた場合、得られる硬化物が透明性に優れることから好ましい。
【0027】
一般式(I)中のR
11が、炭素原子数4〜20のアルキル基であるオキシムエステル化合物は、PGMEA(プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート)に代表されるエーテルエステル系溶剤への溶解性が高いことから好ましい。上記炭素原子数4〜20のアルキル基の水素原子はアリール基で置換されてもよい。炭素原子数4〜20のアルキル基としては、上述の炭素原子数1〜20の炭化水素基として例示したアルキル基中の炭素原子数4〜20のものが挙げられる。
【0028】
一般式(I)中のR
12が、メチル基であるオキシムエステル化合物は、重合開始剤として用いた場合、高感度になることから好ましい。
【0029】
上記一般式(I)で表される本発明のオキシムエステル化合物の好ましい具体例としては、以下の化合物No.1〜No.128が挙げられる。但し、本発明は以下の化合物により何ら制限を受けるものではない。
【0044】
上記オキシムエステル化合物のうち、一般式(I)中のR
3又はR
8が一般式(II)で表される基であり、R
12がメチル基であり、R
11が炭素原子数4〜20のアルキル基であるオキシムエステル化合物は、合成が容易であること、オキシムエステル化合物が安定であること、各種溶剤への溶解性が高いこと並びに重合開始剤として用いた場合、吸収波長が良好で高感度、硬化物の透明性が高く着色が少ないことからより好ましい。
具体的には、本発明のオキシムエステル化合物としては、上記化合物No.1〜No.90等が好ましい。
【0045】
上記一般式(I)で表される本発明のオキシムエステル化合物は、特に限定されないが、m=0の場合、例えば、下記〔化17〕の反応式に従って、以下の方法により製造することができる。
即ち、公知であり、市販されているインドール化合物1とハロゲン化アリールを反応させることによりインドール化合物2を得、インドール化合物2と酸クロリドと反応させることによりケトン化合物1を得、ケトン化合物1と塩酸ヒドロキシルアミンを反応させることにより、オキシム化合物1を得る。続いて、オキシム化合物1に、酸無水物又は酸クロリドを反応させることにより、上記一般式(I)で表される本発明のオキシムエステル化合物1を得る。
オキシム化合物及びオキシムエステル化合物は、特許4223071号報に記載の方法でも製造できる。
【0047】
上記一般式(I)で表される本発明のオキシムエステル化合物は、m=1の場合、下記〔化18〕の反応式に従って、以下の方法により製造することができる。
即ち、公知であり、市販されているインドール化合物1とハロゲン化アリールを反応させることによりインドール化合物2を得、インドール化合物2と酸クロリドと反応させることによりケトン化合物2を得、ケトン化合物2と亜硝酸イソブチルを反応させることにより、オキシム化合物2を得る。続いて、オキシム化合物2に、酸無水物又は酸クロリドを反応させることにより、上記一般式(I)で表される本発明のオキシムエステル化合物2を得る。
【0049】
以上説明した本発明の新規なオキシムエステル化合物は、ラジカル重合開始剤、特に光重合開始剤又は熱重合開始剤として有用である。また、本発明の新規なオキシムエステル化合物は、塩基発生剤及び増感剤としても好適に用いることができる。
【0050】
本発明の重合開始剤は、必須成分として、前記一般式(I)で表される本発明のオキシムエステル化合物を含有する。また、本発明の重合開始剤は、本発明のオキシムエステル化合物と共に他の重合開始剤を併用することができる。併用できる他の重合開始剤としては、従来既知の化合物を用いることが可能であり、例えば、ベンゾフェノン、フェニルビフェニルケトン、1−ヒドロキシ−1−ベンゾイルシクロヘキサン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、1−ベンジル−1−ジメチルアミノ−1−(4'−モルホリノベンゾイル)プロパン、2−モルホリル−2−(4'−メチルメルカプト)ベンゾイルプロパン、チオキサントン、1−クロル−4−プロポキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、エチルアントラキノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルスルフィド、ベンゾインブチルエーテル、2−ヒドロキシ−2−ベンゾイルプロパン、2−ヒドロキシ−2−(4'−イソプロピル)ベンゾイルプロパン、4−ブチルベンゾイルトリクロロメタン、4−フェノキシベンゾイルジクロロメタン、ベンゾイル蟻酸メチル、1,7−ビス(9'−アクリジニル)ヘプタン、9−n−ブチル−3,6−ビス(2'−モルホリノイソブチロイル)カルバゾール、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ナフチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,2−ビス(2−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1−2’−ビイミダゾール、4、4−アゾビスイソブチロニトリル、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、N−1414、N−1717、N−1919、NCI−831、NCI−930(ADEKA製)、IRGACURE369、IRGACURE907、IRGACURE OXE 01、IRGACURE OXE 02(BASF製)及び過酸化ベンゾイル等が挙げられ、これらの他の重合開始剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0051】
本発明の重合開始剤中における本発明のオキシムエステル化合物の含有量は、好ましくは30〜100質量%、より好ましくは50〜100質量%である。
【0052】
本発明の重合性組成物は、必須成分として、上記重合開始剤及びエチレン性不飽和化合物を含有するものである。
【0053】
上記エチレン性不飽和化合物としては、特に限定されず、従来、重合性組成物に用いられているものを用いることができるが、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン等の不飽和脂肪族炭化水素;(メタ)アクリル酸、α―クロルアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸、フマル酸、ハイミック酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ビニル酢酸、アリル酢酸、桂皮酸、ソルビン酸、メサコン酸、コハク酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、フタル酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等の両末端にカルボキシ基と水酸基とを有するポリマーのモノ(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート・マレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート・マレート、ジシクロペンタジエン・マレート或いは1個のカルボキシル基と2個以上の(メタ)アクリロイル基とを有する多官能(メタ)アクリレート等の不飽和多塩基酸;(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、下記化合物No.A1〜No.A4、(メタ)アクリル酸メチル、 (メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−t−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノメチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸ポリ(エトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフリル、(メタ)アクリル酸ビニル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、トリ[(メタ)アクリロイルエチル]イソシアヌレート、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー等の不飽和一塩基酸及び多価アルコール又は多価フェノールのエステル;(メタ)アクリル酸亜鉛、(メタ)アクリル酸マグネシウム等の不飽和多塩基酸の金属塩;マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸−無水マレイン酸付加物、ドデセニル無水コハク酸、無水メチルハイミック酸等の不飽和多塩基酸の酸無水物;(メタ)アクリルアミド、メチレンビス−(メタ)アクリルアミド、ジエチレントリアミントリス(メタ)アクリルアミド、キシリレンビス(メタ)アクリルアミド、α−クロロアクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和一塩基酸及び多価アミンのアミド;アクロレイン等の不飽和アルデヒド;(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデン、シアン化アリル等の不飽和ニトリル;スチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−ヒドロキシスチレン、4−クロロスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、ビニル安息香酸、ビニルフェノール、ビニルスルホン酸、4−ビニルベンゼンスルホン酸、ビニルベンジルメチルエーテル、ビニルベンジルグリシジルエーテル等の不飽和芳香族化合物;メチルビニルケトン等の不飽和ケトン;ビニルアミン、アリルアミン、N−ビニルピロリドン、ビニルピペリジン等の不飽和アミン化合物;アリルアルコール、クロチルアルコール等のビニルアルコール;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のビニルエーテル;マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等の不飽和イミド類;インデン、1−メチルインデン等のインデン類;1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の脂肪族共役ジエン類;ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリシロキサン等の重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー類;ビニルクロリド、ビニリデンクロリド、ジビニルスクシナート、ジアリルフタラート、トリアリルホスファート、トリアリルイソシアヌラート、ビニルチオエーテル、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾリン、ビニルカルバゾール、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、水酸基含有ビニルモノマー及びポリイソシアネート化合物のビニルウレタン化合物、水酸基含有ビニルモノマー及びポリエポキシ化合物のビニルエポキシ化合物が挙げられる。
これらの中でも、両末端にカルボキシ基と水酸基とを有するポリマーのモノ(メタ)アクリレート、1個のカルボキシ基と2個以上の(メタ)アクリロイル基とを有する多官能(メタ)アクリレート、不飽和一塩基酸及び多価アルコール又は多価フェノールのエステルに、本発明のオキシムエステル化合物を含有する重合開始剤は好適である。
これらのエチレン性不飽和化合物は、単独で又は2種以上を混合して使用することができ、また2種以上を混合して使用する場合には、それらを予め共重合して共重合体として使用してもよい。
【0058】
また、カルボキシル基等の酸基を有するエチレン性不飽和化合物(以下、アルカリ現像性を有する化合物とも記載)を本発明の重合性組成物にアルカリ現像性を付与する目的で使用することもできる。アルカリ現像性を有する化合物としては、アルカリ水溶液に可溶であれば特に限定されないが、例えば、特開2004−264414号公報に記載の樹脂並びにアクリル酸エステルの共重合体、フェノール、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、多官能エポキシ基を有するポリフェニルメタン型エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂並びにエポキシアクリレート樹脂に、更に多塩基酸無水物を作用させて得られた樹脂等が挙げられる。
【0059】
上記エチレン性不飽和化合物としては市販品を用いることができ、例えば、カヤラッドDPHA、DPEA−12、PEG400DA、THE−330、RP−1040、NPGDA、PET30(日本化薬製)、SPC−1000、SPC−3000(昭和電工製)、アロニックスM−140、M−215、M−350、M−450(東亞合成製)、NKエステルA−DPHA−TMPT、A−DCP、A−HD−N、A−9300、TMPT、DCP、NPG及びHD−N(新中村化学工業製)等が挙げられる。
【0060】
本発明の重合性組成物において使用される上記重合開始剤の含有量は特に限定されるものではないが、上記エチレン性不飽和化合物100質量部に対して、好ましくは0.5〜70質量部、より好ましくは0.5〜50質量部、最も好ましくは0.5〜30質量部である。
【0061】
本発明の着色重合性組成物は、上記重合性組成物及び色材を含有する。
【0062】
上記色材としては、顔料、染料及び天然色素等が挙げられる。これらの色材は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0063】
上記顔料としては、例えば、ニトロソ化合物;ニトロ化合物;アゾ化合物;ジアゾ化合物;キサンテン化合物;キノリン化合物;アントラキノン化合物;クマリン化合物;フタロシアニン化合物;イソインドリノン化合物;イソインドリン化合物;キナクリドン化合物;アンタンスロン化合物;ペリノン化合物;ペリレン化合物;ジケトピロロピロール化合物;チオインジゴ化合物;ジオキサジン化合物;トリフェニルメタン化合物;キノフタロン化合物;ナフタレンテトラカルボン酸;アゾ染料、シアニン染料の金属錯体化合物;レーキ顔料;ファーネス法、チャンネル法又はサーマル法によって得られるカーボンブラック、或いはアセチレンブラック、ケッチェンブラック又はランプブラック等のカーボンブラック;上記カーボンブラックをエポキシ樹脂で調整又は被覆したもの、上記カーボンブラックを予め溶媒中で樹脂に分散処理し、20〜200mg/gの樹脂を吸着させたもの、上記カーボンブラックを酸性又はアルカリ性表面処理したもの、平均粒径が8nm以上でDBP吸油量が90ml/100g以下のもの、950℃における揮発分中のCO及びCO
2から算出した全酸素量が、カーボンブラックの表面積100m
2当たり9mg以上であるもの;黒鉛、黒鉛化カーボンブラック、活性炭、炭素繊維、カーボンナノチューブ、カーボンマイクロコイル、カーボンナノホーン、カーボンエアロゲル、フラーレン;アニリンブラック、ピグメントブラック7、チタンブラック;酸化クロム緑、ミロリブルー、コバルト緑、コバルト青、マンガン系、フェロシアン化物、リン酸塩群青、紺青、ウルトラマリン、セルリアンブルー、ピリジアン、エメラルドグリーン、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、合成鉄黒、アンバー等の有機又は無機顔料を用いることができる。これらの顔料は単独で、或いは複数を混合して用いることができる。
【0064】
上記顔料としては、市販の顔料を用いることもでき、例えば、ピグメントレッド1、2、3、9、10、14、17、22、23、31、38、41、48、49、88、90、97、112、119、122、123、144、149、166、168、169、170、171、177、179、180、184、185、192、200、202、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、254;ピグメントオレンジ13、31、34、36、38、43、46、48、49、51、52、55、59、60、61、62、64、65、71;ピグメントイエロー1、3、12、13、14、16、17、20、24、55、60、73、81、83、86、93、95、97、98、100、109、110、113、114、117、120、125、126、127、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、166、168、175、180、185;ピグメントグリ−ン7、10、36;ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:5、15:6、22、24、56、60、61、62、64;ピグメントバイオレット1、19、23、27、29、30、32、37、40、50等が挙げられる。
【0065】
上記染料としては、アゾ染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、トリアリールメタン染料、キサンテン染料、アリザリン染料、アクリジン染料スチルベン染料、チアゾール染料、ナフトール染料、キノリン染料、ニトロ染料、インダミン染料、オキサジン染料、フタロシアニン染料、シアニン染料等の染料等が挙げられ、これらは複数を混合して用いてもよい。
【0066】
本発明の着色重合性組成物において、上記色材の含有量は、上記エチレン性不飽和化合物100質量部に対して、好ましくは50〜350質量部、より好ましくは100〜250質量部である。
【0067】
上記重合性組成物及び着色重合性組成物には、必要に応じて重合開始剤、エチレン性不飽和化合物及び色材を溶解又は分散することが可能な溶剤を添加することができる。例えば、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、ジエチルケトン、アセトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン等のケトン類;エチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)等のエーテル系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸シクロヘキシル、乳酸エチル、コハク酸ジメチル、テキサノール等のエステル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のセロソルブ系溶剤;メタノール、エタノール、イソ−又はn−プロパノール、イソ−又はn−ブタノール、アミルアルコール等のアルコール系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルエーテルアセテート、エトキシエチルエーテルプロピオネート等のエーテルエステル系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン等のBTX系溶剤;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤;テレピン油、D−リモネン、ピネン等のテルペン系炭化水素油;ミネラルスピリット、スワゾール#310(コスモ松山石油社)、ソルベッソ#100(エクソン化学社)等のパラフィン系溶剤;四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエチレン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素系溶剤;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶剤;カルビトール系溶剤;アニリン;トリエチルアミン;ピリジン;酢酸;アセトニトリル;二硫化炭素;N,N−ジメチルホルムアミド;N,N−ジメチルアセトアミド;N−メチルピロリドン;ジメチルスルホキシド;水等が挙げられ、これらの溶剤は1種又は2種以上の混合溶剤として使用することができる。
これらの中でも、ケトン類及びエーテルエステル系溶剤等、特にシクロヘキサノン及びPGMEA等が、重合性組成物において、エチレン性不飽和化合物と重合開始剤の相溶性がよいので好ましい。
【0068】
本発明の効果を損なわない限り、本発明の重合性組成物及び着色重合性組成物には、必要に応じてエチレン性不飽和化合物を除くポリマー(以下、ポリマーとも記載)、無機化合物、分散剤、連鎖移動剤、本発明のオキシムエステル化合物を除く増感剤(以下、増感剤とも記載)、界面活性剤、シランカプリング剤、メラミン、レベリング剤、潜在性添加剤、エチレン性不飽和化合物を除くモノマー、消泡剤、増粘剤、チクソ剤、難燃剤、可塑剤、安定剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、有機フィラー、酸化防止剤、静電防止剤、流動調整剤及び接着促進剤等の各種樹脂添加物等を添加することができる。
【0069】
上記エチレン性不飽和化合物と共に上記ポリマーを用いることによって、硬化物の特性を改善することもできる。該ポリマーとしては、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−エチルアクリレート共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ウレタン樹脂、ポリカーボネートポリビニルブチラール、セルロースエステル、ポリアクリルアミド、飽和ポリエステル、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミック酸樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられ、これらの中でも、ポリスチレン、(メタ)アクリル酸−メチルメタクリレート共重合体、エポキシ樹脂が好ましい。
【0070】
本発明の重合性組成物及び着色重合性組成物において、上記ポリマーの含有量は、上記エチレン性不飽和化合物100質量部に対して、好ましくは0〜500質量部である。
【0071】
上記無機化合物としては、例えば、酸化ニッケル、酸化鉄、酸化イリジウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化カリウム、シリカ、アルミナ等の金属酸化物;層状粘土鉱物、ミロリブルー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、コバルト系、マンガン系、ガラス粉末(特にガラスフリット)、マイカ、タルク、カオリン、フェロシアン化物、各種金属硫酸塩、硫化物、セレン化物、アルミニウムシリケート、カルシウムシリケート、水酸化アルミニウム、白金、金、銀、銅等が挙げられる。
これらの中でも、ガラスフリット、酸化チタン、シリカ、層状粘土鉱物、銀等が好ましい。
【0072】
これら無機化合物は、例えば、充填剤、反射防止剤、導電剤、安定剤、難燃剤、機械的強度向上剤、特殊波長吸収剤、撥インク剤等として用いられる。
【0073】
本発明の重合性組成物及び着色重合性組成物において、上記無機化合物の含有量は、上記エチレン性不飽和化合物100質量部に対して、好ましくは0〜1000質量部、より好ましくは0〜800質量部である。尚、これらの無機化合物は1種又は2種以上を使用することができる。
【0074】
上記分散剤としては、色材又は無機化合物を分散、安定化できるものであれば制限されず、市販の分散剤、例えば、ビックケミー製のBYKシリーズ等を用いることができる。特に、塩基性官能基を有するポリエステル、ポリエーテル、又はポリウレタンからなる高分子分散剤、塩基性官能基として窒素原子を有し、窒素原子を有する官能基がアミン、及び/又はその四級塩であり、アミン価が1〜100mgKOH/gのものが好適に用いられる。
【0075】
上記連鎖移動剤又は増感剤としては、一般的に硫黄原子含有化合物が用いられる。例えばチオグリコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプト酪酸、N−(2−メルカプトプロピオニル)グリシン、2−メルカプトニコチン酸、3−[N−(2−メルカプトエチル)カルバモイル]プロピオン酸、3−[N−(2−メルカプトエチル)アミノ]プロピオン酸、N−(3−メルカプトプロピオニル)アラニン、2−メルカプトエタンスルホン酸、3−メルカプトプロパンスルホン酸、4−メルカプトブタンスルホン酸、ドデシル(4−メチルチオ)フェニルエーテル、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、1−メルカプト−2−プロパノール、3−メルカプト−2−ブタノール、メルカプトフェノール、2−メルカプトエチルアミン、2−メルカプトイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−3−ピリジノール、2−メルカプトベンゾチアゾール、メルカプト酢酸、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)等のメルカプト化合物、該メルカプト化合物を酸化して得られるジスルフィド化合物、ヨード酢酸、ヨードプロピオン酸、2−ヨードエタノール、2−ヨードエタンスルホン酸、3−ヨードプロパンスルホン酸等のヨード化アルキル化合物、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトイソブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトイソブチレート)、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、ブタンジオールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ブタンジオールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、トリスヒドロキシエチルトリスチオプロピオネート、ジエチルチオキサントン、ジイソプロピルチオキサントン、下記化合物No.C1、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等の脂肪族多官能チオール化合物、昭和電工製カレンズMT BD1、PE1、NR1等が挙げられる。
【0077】
上記界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等のフッ素界面活性剤;高級脂肪酸アルカリ塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩等のアニオン系界面活性剤;高級アミンハロゲン酸塩、第四級アンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤;ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド等の非イオン界面活性剤;両性界面活性剤;シリコーン系界面活性剤等の界面活性剤を用いることができ、これらは組み合わせて用いてもよい。
【0078】
上記シランカップリング剤としては、例えば信越化学製シランカップリング剤を用いることができ、その中でも、KBE−9007、KBM−502、KBE−403等の、イソシアネート基、メタクリロイル基又はエポキシ基を有するシランカップリング剤が好適に用いられる。
【0079】
上記メラミン化合物としては、(ポリ)メチロールメラミン、(ポリ)メチロールグリコールウリル、(ポリ)メチロールベンゾグアナミン、(ポリ)メチロールウレア等の窒素化合物中の活性メチロール基(CH
2OH基)の全部又は一部(少なくとも2つ)がアルキルエーテル化された化合物等を挙げることができる。
ここで、アルキルエーテルを構成するアルキル基としては、メチル基、エチル基又はブチル基が挙げられ、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい、また、アルキルエーテル化されていないメチロール基は、一分子内で自己縮合していてもよく、二分子間で縮合して、その結果オリゴマー成分が形成されていてもよい。
具体的には、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミン、テトラメトキシメチルグリコールウリル、テトラブトキシメチルグリコールウリル等を用いることができる。
これらの中でも、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミン等のアルキルエーテル化されたメラミンが好ましい。
【0080】
上記レベリング剤としては、市販品を用いることができる。市販品のレベリング剤としては、例えば、BYK−300、BYK−301、BYK−302、BYK−306、BYK−307、BYK−310、BYK−313、BYK−315、BYK−320、BYK−322、BYK−323、BYK−325、BYK−330、BYK−331、BYK−333、BYK−337、BYK−341、BYK−344、BYK−345、BYK−346、BYK−347、BYK−348、BYK−349、BYK−370、BYK−375、BYK−377、BYK−378、BYK−UV3500、BYK−UV3510、BYK−UV3570、BYK−340、BYK−3550、BYK−SILCLEAN3700、BYK−SILCLEAN3720、BYK−DYNWET800(ビックケミージャパン製)ポリフローNo.3、ポリフローNo.50HF、ポリフローNo.54、ポリフローNo.64HF、ポリフローNo.75、ポリフローNo.77、ポリフローNo.85HF、ポリフローNo.90、ポリフローNo.95、ポリフローNo.ATF−2、グラノール100、グラノール115、グラノール400、グラノール410、グラノール420、グラノール440、グラノール450、グラノールB−1484(共栄社化学製)、L−7001、L−7002、L−7006、56ADDITIVE、57ADDITIVE、67ADDITIVE、8032ADDITIVE、FZ−2105、FZ−2110、FZ−2122及びFZ−2123(東レ・ダウコーニング製)等が挙げられる。
【0081】
上記潜在性添加剤とは、常温、光露光工程及びプリベーク工程では不活性であり、100〜250℃で加熱するか、又は酸/塩基触媒存在下で80〜200℃で加熱することにより保護基が脱離して活性化するものである。活性化したことにより得られる効果としては、酸化防止、紫外線吸収、防汚性、リコート性及び密着性等が挙げられる。
上記潜在性添加剤としてはWO2014/021023号パンフレットに記載されているものを好ましく使うことができる。
【0082】
上記潜在性添加剤としては市販品を用いることができ、例えば、アデカアークルズGPA−5001等が挙げられる。
【0083】
本発明の重合性組成物及び着色重合性組成物において、上記エチレン性不飽和化合物、本発明のオキシムエステル化合物及び色材以外の任意成分(但し、上記のポリマー、無機化合物、色材及び溶剤は除く)の使用量は、その使用目的に応じて適宜選択され特に制限されないが、好ましくは、上記エチレン性不飽和化合物100質量部に対して合計で50質量部以下とする。
【0084】
本発明の重合性組成物及び着色重合性組成物は、光硬化性塗料又はワニス;光硬化性接着剤;印刷インク;歯科用組成物;電子工学用のフォトレジスト;電気メッキレジスト;エッチングレジスト;はんだレジスト;及びLCDの製造工程において構造を形成するためのレジスト;電気及び電子部品を封入するための組成物;ソルダーレジスト;磁気記録材料;めっき用マスク;エッチングマスク;ステレオリトグラフィによって三次元物体を製造するための材料;画像記録材料のための脱色材料;マイクロカプセルを使用する画像記録材料用の脱色材料;印刷配線板用フォトレジスト材料;UV及び可視レーザー直接画像系用のフォトレジスト材料;プリント回路基板の逐次積層における誘電体層形成に使用するフォトレジスト材料又は保護膜等の各種の用途に使用することができ、その用途に特に制限はない。
【0085】
本発明の重合性組成物及び着色重合性組成物は、液晶表示パネル用のスペーサーを形成する目的及び垂直配向型液晶表示素子用突起を形成する目的で使用することもできる。特に垂直配向型液晶表示素子用の突起とスペーサーを同時に形成するための重合性組成物及び着色重合性組成物として有用である。
【0086】
上記の液晶表示パネル用スペーサーは、(1)本発明の重合性組成物の塗膜を基板上に形成する工程、(2)該塗膜に所定のパターン形状を有するマスクを介して放射線を照射する工程、(3)露光後のベーク工程、(4)露光後の該被膜を現像する工程、(5)現像後の該被膜を加熱する工程により好ましく形成される。
【0087】
撥インク剤を添加した本発明の重合性組成物及び着色重合性組成物は、インクジェット方式用隔壁形成樹脂組成物として有用であり、該組成物はカラーフィルター用として用いられ、特にプロファイル角が50°以上であるインクジェット方式カラーフィルター用隔壁に好ましく用いられる。該撥インク剤としては、フッ素系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤からなる組成物が好適に用いられる。
【0088】
本発明の重合性組成物及び着色重合性組成物は、無機材料(無機化合物)を含有させることで、重合性ペースト組成物として用いることができる。該重合性ペースト組成物は、プラズマディスプレイパネルの隔壁パターン、誘電体パターン、電極パターン及びブラックマトリックスパターン等の焼成物パターンを形成するために用いられる。
【0089】
本発明の重合性組成物又は着色重合性組成物より得られる硬化物の製造方法を下記に記載する。
【0090】
本発明の重合性組成物又は着色重合性組成物は、スピンコーター、ロールコーター、バーコーター、ダイコーター、カーテンコーター、各種の印刷、浸漬等の公知の手段で、ソーダガラス、石英ガラス、半導体基板、金属、紙、プラスチック等の支持基体上に適用することができる。また、一旦フィルム等の支持基体上に施した後、他の支持基体上に転写することもでき、その適用方法に制限はない。
【0091】
本発明の重合性組成物又は着色重合性組成物を硬化させる際に用いられるエネルギー線の光源としては、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、水銀蒸気アーク灯、キセノンアーク灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、蛍光灯、タングステンランプ、エキシマーランプ、殺菌灯、発光ダイオード、CRT光源等から得られる2000オングストロームから7000オングストロームの波長を有する電磁波エネルギーや電子線、X線、放射線等の高エネルギー線を利用することができるが、好ましくは、波長300〜450nmの光を発光する超高圧水銀ランプ、水銀蒸気アーク灯、カーボンアーク灯、キセノンアーク灯等が挙げられる。
【0092】
更に、露光光源にレーザー光を用いることにより、マスクを用いずに、コンピューター等のデジタル情報から直接画像を形成するレーザー直接描画法が適用可能となる。レーザー直接描画法を用いると、生産性のみならず、解像性や位置精度等の向上も図れることから有用である。レーザー直接描画法に用いるレーザー光としては、340〜430nmの波長の光が好適に使用されるが、エキシマーレーザー、窒素レーザー、アルゴンイオンレーザー、ヘリウムカドミウムレーザー、ヘリウムネオンレーザー、クリプトンイオンレーザー、各種半導体レーザー及びYAGレーザー等の可視から赤外領域の光を発するものも用いられる。これらのレーザーを使用する場合には、本発明の重合性組成物及び着色重合性組成物には、可視から赤外の当該領域を吸収する増感色素が加えられる。
【0093】
本発明の重合性組成物又は着色重合性組成物より得られる硬化物は、プリント基板;カラーテレビ、PCモニタ、携帯情報端末、デジタルカメラ等のカラー表示の液晶表示素子におけるカラーフィルター;CCDイメージセンサのカラーフィルター;プラズマ表示パネル用の電極材料;粉末コーティング;印刷版;磁気記録材料;微小機械部品;導波路;光スイッチ;カラー試験系;ガラス繊維ケーブルコーティング;画像記録材料;微細電子回路;脱色材料;保護膜;絶縁膜;光学素子等の各種の用途に使用することができ、その用途に特に制限はない。
【実施例】
【0094】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0095】
〔化3〕に示す化合物No.1及びその中間体の製造について下記に示す。
【0096】
<ステップ1;中間体1Aの製造>
窒素雰囲気下、マグネシウムを18.1g(743 mmol)、THFを22222.1g、I
2を1欠片仕込んだ。次に、2−ブロモチオフェン111.1g(681mmol)を滴下にて20℃以下で仕込んだ。滴下終了後、17℃で1時間反応させた。反応終了後、4−フルオロベンゾニトリル75.0g(619mmol)をTHF120.4gに溶解させ、その溶液を滴下した。滴下終了後、60℃まで昇温し、22時間反応させた。
反応終了後、30℃まで冷却し、10%塩酸を滴下し、残存するマグネシウムが溶解するまで撹拌した。撹拌終了後、酢酸エチルを加え、油水分離を行った。油水分離後、水洗を4回実施し、脱溶媒を行い、下記の中間体1Aを収量124.1g、収率97.1%で得た。
【0097】
【化24】
【0098】
<ステップ2;中間体1Bの製造>
窒素雰囲気下、中間体1A36.3g(176mmol)、DMSO120.1g、インドール17.2g、炭酸カリウム60.0gを混合し、オイルバス温度150℃で8.5時間反応させた。
反応終了後、85℃で水120.1gを滴下し、トルエン120.4gを入れて分離した。塩酸、水洗3回を行った後、濃縮し54.8gで粗生成物を得た。その後、トルエン167.1g加え、50℃で加熱溶解後、エタノール104.8g、ヘキサン51.4gを更に加え、5℃に冷却後1時間撹拌してからろ過し、下記の中間体1Bを収量28.6g、収率71.4%で得た。
【0099】
【化25】
【0100】
<ステップ3;中間体1Cの製造>
窒素雰囲気下、上記で合成した中間体1B27.4g(90mmol)をEDC194.0gに加え、室温で溶解させた後、塩化亜鉛を加えて冷却した。次に、5℃でオクタノイルクロライド22.0g(135mmol)を20分かけて滴下し、室温で25時間反応を行った。
反応終了後、酢酸エチル/水を加え、油水分離後、塩酸、炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水3回の順に処理を行い、脱溶媒した。粗生成物46.1gをカラムクロマトし、下記の中間体1Cを21.8g、収率56.2%で得た。
【0101】
【化26】
【0102】
<ステップ4;中間体1Dの製造>
中間体1C7.5g(17mmol)をピリジン24.0gに加え、撹拌溶解後、塩酸ヒ
ドロキシルアミン2.4g(34mmol)を加え、60℃に加熱し、2時間反応させた。反応終了後、水洗を3回行い、脱溶媒した。粗生成物9.7gをシリカゲル40倍でカラムクロマトし、下記の中間体1Dを3.3g、収率42.3%で得た。
【0103】
【化27】
【0104】
<ステップ4;化合物No.1の製造>
中間体1D0.7g(2mmol)をDMF4.1gに加え、撹拌溶解後、無水酢酸0.5g(4.7 mmol)、酢酸ナトリウム1欠片を加えて40℃で4時間反応させた。反
応終了後、水洗を3回行い、脱溶媒した。粗生成物0.7gをシリカゲル40倍でカラムクロマトし、化合物No.1を収量0.4g、収率50.6%で得た。
【0105】
〔化3〕に示す化合物No.2及びその中間体の製造について下記に示す。
【0106】
<ステップ1;中間体2Aの製造>
0℃でEDC365.0gに塩化アルミニウム80.0g(1200mmol)を加えた後、2℃以下でn−オクタノイルクロライド97.6g(1200mmol)を滴下して均一とした。インドール58.6gをEDC292.9gに溶解させたEDC溶液を2℃以下で滴下後、20〜23℃で4.5時間反応させた。反応終了後、氷水に流し込み、Wax状固体を析出させた。析出させたWax状固体にメタノールを加え、加熱溶解後、水を滴下し、析出物をろ過し、乾燥させた。粗生成物116.5gをシリカゲル60倍でカラムクロマトし、31.0gを得た後、60倍のメタノールで晶析し、下記の中間体2A12.6gを得た。
【0107】
【化28】
【0108】
<ステップ2;中間体2Bの製造>
中間体2A10.0g(27mmol)、4−フルオロベンゾフェノン5.5g(28mmol)、炭酸カリウム11.2g(81mmol)、DMSO44.6gの溶液を130℃で3時間攪拌し、反応させた。反応液を45℃まで放冷してからイオン交換水と塩酸を加えて濾過した。濾物を酢酸エチルに溶解し、イオン交換水を用いて洗浄後、脱溶媒した。脱溶媒クルードを酢酸エチル、イソプロピルアルコール、ヘキサンの混合溶媒で晶析し、濾過後、乾燥を行い下記の中間体2Bを12.5g得た。
【0109】
【化29】
<ステップ3;化合物No.2の製造>
中間体2B11.0g(20mmol)にDMF54.7gを加え、氷冷し、35%塩酸2.1g(20mmol)を滴下後、亜硝酸イソブチル8.3g(80mmol)を加え室温で24時間攪拌した。再度氷冷し、イオン交換水と酢酸エチルを加え油水分離した。有機層をイオン交換水で洗浄し、脱溶媒を行い、化合物No.2を13.1g得た。
【0110】
比較化合物No.1及びその中間体の製造について下記に示す。
【0111】
<ステップ1;中間体1aの製造>
3−アセチルインドール6.4gと、ヨウ化銅(I)0.8g(4mmol)と、シクロヘキサンジアミン(cis−trans混合物)0.9g(8mmol)と、リン酸三カリウム8.5g(40mmol)と、トルエン18.8gとを混合し、室温で撹拌した。そこにヨードベンゼンを8.2g(40mmol)を滴下して加えた。滴下終了後、オイルバス温度135℃で18時間加熱撹拌し、反応を行った。反応終了後、室温まで冷却した。反応液をイオン交換水150gにあけ、トルエン200gを加え分液ロートで油水分離を行った。有機層を3回水洗後、白色の不溶物が見られたため、桐山ロートでろ過した。ろ液を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、脱溶媒を行い、下記の中間体1aを6.3g、収率67%で得た。
【0112】
【化30】
【0113】
<ステップ2;中間体1bの製造>
中間体1a4.7g(20mmol)と、塩酸ヒドロキシルアミン1.7g(24mmol)と、DMF25.0gと、ピリジン1.9g(24mmol)とを混合し、オイルバス温度80℃で6時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、反応液をイオン交換水150gにあけ、酢酸エチル200gを加え分液ロートで油水分離を行った。有機層を3回水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、脱溶媒した。粗生成物にヘキサン150gを入れ分散洗浄後、乾燥を行い、下記の中間体1bを4.0g、収率81%で得た。
【0114】
【化31】
【0115】
<ステップ3;比較化合物No.1の製造>
中間体1b2.8g(10mmol)と、酢酸ナトリウム0.1g(1mmol)と、DMF9.6gとを混合し、氷浴上5℃で無水酢酸1.1g(11mmol)を滴下して加えた。室温まで昇温後、8時間撹拌し反応を行った。反応液をイオン交換水100gにあけ、酢酸エチル150gを加え分液ロートで油水分離を行った。有機層を3回水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、脱溶媒した。得られた粗生成物にヘキサンを加え晶析し、結晶をろ取し、乾燥させ、下記の比較化合物No.1を薄黄色結晶として2.6g、収率82%で得た。
【0116】
【化32】
【0117】
比較化合物No.2及びその中間体の製造について下記に示す。
【0118】
<ステップ1;中間体2aの製造>
5−シアノインドール7.1gと炭酸カリウム10.4g(75mmol)とをDMF23.4gに加え、氷浴上5℃で撹拌を行った。そこにヨウ化メチル7.8g(55mmol)を滴下して加えた。滴下終了後、室温で8時間撹拌し反応を行った。反応終了後、室温まで冷却し、応液をイオン交換水150gにあけ、酢酸エチル200gを加え分液ロートで油水分離を行った。有機層を3回水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、脱溶媒した。粗生成物をカラムクロマトし、下記の中間体2aを4.0g、収率51%で得た。
【0119】
【化33】
<ステップ2;中間体2bの製造>
中間体2a3.1g(20mmol)と1,2−ジクロロエタン39.6gとを混合し、氷浴上3℃で撹拌を行った。そこに塩化亜鉛3.3g(24mmol)を添加した。その後、10℃以下でアセチルクロライドを1.9g(24mmol)、滴下した。滴下終了後、室温まで昇温し9時間撹拌し、反応を行った。反応終了後、イオン交換水150gにあけた。これにクロロホルム100gを加えた後、分液ロートに移し油水分離を行った。有機層を3回水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、脱溶媒した。粗生成物をカラムクロマトし、下記の中間体2bを2.5g、収率68%で得た。
【0120】
【化34】
<ステップ3;中間体2cの製造>
中間体2b2.0g(10mmol)と塩酸ヒドロキシルアミン0.8g(12mmol)とをDMF10.7gに加え、オイルバス温度80℃で5時間加熱撹拌し、反応を行った。反応終了後、室温まで冷却した。反応液をイオン交換水100gにあけ、酢酸エチル150gを加え分液ロートで油水分離を行った。有機層を3回水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、脱溶媒した。粗生成物にヘキサン150gを入れ分散洗浄し、乾燥し、下記の中間体2cを2.0g、収率94%で得た。
【0121】
【化35】
<ステップ4;比較化合物No.2の製造>
中間体2c1.7g(8mmol)と酢酸ナトリウム0.1g(1mol)とをDMF5.6gに加え、氷浴上5℃で無水酢酸1.2g(12 mmol)を滴下して加えた。室温まで昇温後、6時間撹拌を行った。析出した白色の結晶をろ取した。得られた結晶をイオン交換水、メタノールで分散洗浄し、乾燥させ、下記の比較化合物No.2を白色結晶として0.8g、収率43%で得た。
【0122】
【化36】
【0123】
上記オキシムエステル化合物の分析結果を〔表1〕〜〔表3〕に示す。
【0124】
【表1】
【0125】
【表2】
【0126】
【表3】
【0127】
[評価例1及び2並びに比較評価例1〜3]
上記オキシムエステル化合物において下記の方法によって溶剤溶解性の評価を行った。結果を[表4]に示す。
【0128】
(溶解性)
化合物No.1、化合物No.2、比較化合物No.1、比較化合物No.2、及び下記の比較化合物No.3の室温におけるPGMEA、PGM、シクロヘキサノン(CHN)への溶解性を評価した。10wt%以上溶解したものを○とし、3wt%以上10wt%未満溶解したものを△とし、3wt%未満しか溶解しなかったものを×とした。
【0129】
【化37】
【0130】
【表4】
【0131】
〔表4〕より、本発明のオキシムエステル化合物は、溶剤への溶解性が高い。特にPGMEAに代表されるエーテルエステル系溶媒への溶解性が高いことが明らかである
【0132】
よって、本発明のオキシムエステル化合物は、重合性組成物の重合開始剤として用いた場合、幅広い溶剤、原料などを選択できるため配合の自由度が高く、 貯蔵時にオキシムエステル化合物の析出が生じにくく、重合性組成物の貯蔵安定性に優れており有用である。
【0133】
[実施例3及び4並びに比較例4〜6]重合性組成物の調製
[表5]の配合に従って下記の各成分を調製し、重合性組成物(実施例3、4及び比較例4〜6)を得た。尚、表中の数字は質量部を表す。重合開始剤として化合物No.1、化合物No.2、比較化合物No.1、比較化合物No.2及び比較化合物No.3を単独で使用した。
また、表中の各成分の符号は、下記の成分を表す。
A−1 化合物No.1 (本発明のオキシムエステル化合物)
A−2 化合物No.2 (本発明のオキシムエステル化合物)
A′-3 比較化合物 No.1(本発明に属さないオキシムエステル化合物)
A′-4 比較化合物 No.2(本発明に属さないオキシムエステル化合物)
A′-5 比較化合物 No.3(本発明に属さないオキシムエステル化合物)
B−1 SPC−1000
(酸基を有するエチレン性不飽和化合物;昭和電工製)
B−2 アロニックスM−450 (エチレン性不飽和化合物;東亞合成製)
C−1 PGMEA (溶剤)
D−1 KBE−403 (シランカップリング剤;信越化学製)
D−2 FZ−2122 (レベリング剤;東レ・ダウコーニング製)
D−3 アデカアークルズGPA−5001(潜在性添加剤;ADEKA製)
【0134】
【表5】
【0135】
[評価例3及び4並びに比較評価例4〜6]
上記重合性組成物において下記の方法によって感度及び透明性の評価を行った。結果を[表6]に示す。
【0136】
(透明性)
ガラス基板上に上記重合性組成物をスピンコート(500rpm、2秒間、900rpm、5秒間)し、ホットプレートを用いて、90℃で90秒間プリベークを行った。光源として高圧水銀ランプを用いて100mJ/cm
2露光し、オーブンを用いて、230℃で30分間ポストベークを行った。吸光光度計を用いて380nm、400nmにおける透過率を測定した。400nmの透過率が95%以上、かつ380nmの透過率が92%以上であるものを○とし、どちらか片方のみを満たすものを△とし、どちらも満たさない物を×とした。
【0137】
【表6】
【0138】
(感度)
ガラス基板上に上記重合性組成物をスピンコート(500rpm、2秒間、900rpm、5秒間)し、ホットプレートを用いて、90℃で90秒間プリベークを行った後、高圧水銀ランプを用いて10mJ/cm
2〜1000mJ/cm
2まで20mJ/cm
2間隔で露光した。その後、塩基性現像液を用いて、27〜28秒現像した。
100mJ/cm
2未満の露光において現像後に硬化膜がガラス基板に残ったものを◎とし、100mJ/cm
2以上1000mJ/cm
2未満で硬化膜がガラス基板に残ったものを○とし、1000mJ/cm
2以上でも硬化膜がガラス基板に残らなかったものを×とした。
【0139】
【表7】
【0140】
〔表5〕、〔表6〕及び〔表7〕より、本発明のオキシムエステル化合物を重合開始剤として用いた場合、高感度の重合組成物及び高透明の硬化物が得られることは明らかである。本発明のオキシムエステル化合物の中でも特に化合物No.2に代表される構造をもつ化合物がより高感度であることから好ましい。
【0141】
よって、本発明のオキシムエステル化合物は、重合性組成物の重合開始剤として用いた場合、高感度の重合性組成物及び高透明の硬化物が得られるため、有用である。特に光学用途の重合開始剤として有用である。