(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
脳画像の分割された複数の脳区域と認知症の診断テストの複数のテスト項目との関連性を記憶する第1のテーブルと、認知症の治療に使用される薬品を示す薬品情報と前記薬品による有意性がある前記複数の脳区域のうちの1乃至複数の脳区域との関連性を記憶する第2のテーブルとを準備するステップと、
認知症の治療に使用される薬品を示す薬品情報の入力を受け付けるステップと、
前記受け付けた前記薬品情報と前記第2のテーブルとに基づいて前記薬品による有意性がある脳区域を特定し、特定した脳区域と前記第1のテーブルとに基づいて前記特定した脳領域に対して、前記複数のテスト項目のうちの1乃至複数のテスト項目を特定して出力するステップと、
を含む情報出力方法。
脳画像の分割された複数の脳区域と認知症の診断テストの複数のテスト項目との関連性を記憶する第1のテーブルを備えたコンピュータに適用される情報出力プログラムであって、
前記脳区域の入力を受け付ける機能と、
前記受け付けた前記脳区域と前記第1のテーブルとに基づいて、前記第1のテーブルから前記脳区域に対応する前記複数のテスト項目の関連性、又は前記複数のテスト項目のうちの閾値を超える関連性を有する1又は複数のテスト項目を読み出して出力する機能と、
を前記コンピュータに実現させる情報出力プログラム。
脳画像の分割された複数の脳区域と認知症の診断テストの複数のテスト項目との関連性を記憶する第1のテーブルを備えたコンピュータに適用される情報出力プログラムであって、
前記テスト項目の入力を受け付ける機能と、
前記受け付けた前記テスト項目と前記第1のテーブルとに基づいて、前記第1のテーブルから前記テスト項目に対応する前記複数の脳区域の関連性、又は前記複数の脳区域のうちの閾値を超える関連性を有する1又は複数の脳区域を読み出して出力する機能と、
を前記コンピュータに実現させる情報出力プログラム。
脳画像の分割された複数の脳区域と認知症の診断テストの複数のテスト項目との関連性を記憶する第1のテーブルと、認知症の治療に使用される薬品を示す薬品情報と前記薬品による有意性がある前記複数の脳区域のうちの1乃至複数の脳区域との関連性を記憶する第2のテーブルとを備えたコンピュータに適用される情報出力プログラムであって、
認知症の治療に使用される薬品を示す薬品情報の入力を受け付ける機能と、
前記受け付けた前記薬品情報と前記第2のテーブルとに基づいて前記薬品による有意性のある脳区域を特定し、特定した脳区域と前記第1のテーブルとに基づいて前記特定した脳領域に対して、前記複数のテスト項目のうちの1乃至複数のテスト項目を特定して出力する機能と、
を前記コンピュータに実現させる情報出力プログラム。
脳画像の分割された複数の脳区域と認知症の診断テストの複数のテスト項目との関連性を記憶する第1のテーブルと、認知症の治療に使用される薬品を示す薬品情報と前記薬品による有意性がある前記複数の脳区域のうちの1乃至複数の脳区域との関連性を記憶する第2のテーブルとを備えたコンピュータに適用される情報出力プログラムであって、
患者に対する前記診断テストのテスト結果の入力を受け付ける機能と、
前記受け付けた前記テスト結果と前記第1のテーブルとに基づいて前記複数の脳区域のうち1乃至複数の脳区域を特定し、特定した脳区域と前記第2のテーブルとに基づいて前記特定した脳領域に対して有意性がある1乃至複数の認知症の治療に使用される薬品を特定し、特定した薬品を示す薬品情報を出力する機能と、
を前記コンピュータに実現させる情報出力プログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載の医用画像処理装置は、脳区域毎に萎縮度(変化量)を求め、変化量に応じた色分けして脳画像を表示するため、医師は、経年による脳内の組織の変化を、脳区域毎に把握することができるが、このような脳区域毎の脳の形態の変化と神経心理学的診断との関連性を正確に把握することが難しいという問題がある。
【0010】
一方、認知症の診断テストは、診断テスト時の患者の気分、体調、教育歴等によりテスト結果にバラツキが発生するという問題がある。
【0011】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、認知症の診断や評価に有効な情報を出力することができる情報出力装置、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明の一の態様に係る情報出力装置は、脳画像の分割された複数の脳区域と認知症の診断テストの複数のテスト項目との関連性を記憶する第1のテーブルと、脳区域を入力する入力部と、入力された脳区域と第1のテーブルとに基づいて、第1のテーブルから脳区域に対応する複数のテスト項目の関連性、又は複数のテスト項目のうちの閾値を超える関連性を有する1又は複数のテスト項目を読み出して出力する出力部と、を備える。
【0013】
第1のテーブルは、多数の患者の脳画像の脳区域毎の解析値と診断テストのテスト結果とを収集し、収集した情報を処理することにより作成することができる新規なテーブルであり、より多くの情報を処理することにより、信頼性の高いテーブルとすることができる。
【0014】
この第1のテーブルを使用することにより、注目する脳区域(例えば、萎縮率が高い脳区域)が入力されると、入力された脳区域に対応する複数のテスト項目の関連性、又は関連性の高いテスト項目を取得することができる。即ち、注目する脳区域を入力することにより、その脳区域と関連性の高いテスト項目(認知機能)が分かる。
【0015】
本発明の他の態様に係る情報出力装置は、脳画像の分割された複数の脳区域と認知症の診断テストの複数のテスト項目との関連性を記憶する第1のテーブルと、テスト項目を入力する入力部と、入力されたテスト項目と第1のテーブルとに基づいて、第1のテーブルからテスト項目に対応する複数の脳区域の関連性、又は複数の脳区域のうちの閾値を超える関連性を有する1又は複数の脳区域を読み出して出力する出力部と、を備える。
【0016】
この第1のテーブルを使用することにより、認知症の診断テストの複数のテスト項目のうちの注目するテスト項目(例えば認知機能の低下したテスト項目)が入力されると、入力されたテスト項目に対応する複数の脳区域の関連性、又は関連性の高い脳区域を取得することができる。即ち、注目するテスト項目を入力することにより、そのテスト項目と関連性の高い脳区域(例えば、萎縮率が高い脳領域)が分かる。
【0017】
本発明の更に他の態様に係る情報出力装置は、脳画像の分割された複数の脳区域と認知症の診断テストの複数のテスト項目との関連性を記憶する第1のテーブルと、認知症の治療に使用される薬品を示す薬品情報と薬品による有意性がある複数の脳区域のうちの1乃至複数の脳区域との関連性を記憶する第2のテーブルと、認知症の治療に使用される薬品を示す薬品情報を入力する入力部と、入力された薬品情報と第2のテーブルとに基づいて薬品による有意性のある脳区域を特定し、特定した脳区域と第1のテーブルとに基づいて特定した脳領域に対して、複数のテスト項目のうちの1乃至複数のテスト項目を特定して出力する出力部と、を備える。
【0018】
第1のテーブルは、多数の患者の脳画像の脳区域毎の解析値と診断テストのテスト結果とを収集し、収集した情報を処理することにより作成することができる新規なテーブルであり、同様に第2のテーブルは、認知症の治療に使用される薬品を多数の患者に使用し、その薬品を使用した多数の患者の脳画像の複数の脳区域毎の画像を解析し、脳区域毎の解析値を収集して処理することにより、その薬品による有意性がある複数の脳区域のうちの1乃至複数の脳区域を特定することにより作成することができる新規なテーブルである。薬品による有意性がある脳区域とは、例えば、薬品を使用しない場合に比べて萎縮が抑止される脳区域である。
【0019】
これらの第1のテーブル及び第2のテーブルを使用することにより、特定の薬品を示す薬品情報が入力されると、その薬品情報が示す薬品による有意性のある脳区域を特定し、認知症の診断テストの複数のテスト項目のうちの、特定した脳領域に対して関連性の高いテスト項目を特定して出力することができる。即ち、認知症の治療に使用される薬品を示す薬品情報を入力すると、その薬品情報が示す薬品による効果が期待できる診断テストの1乃至複数のテスト項目(注目すべきテスト項目)を取得することができる。
【0020】
また、薬品の効果や副作用を確認するための治験の対象患者を、効果が期待できる診断テストのテスト結果を用いて簡易に決定することができ、明らかに治験の不要な患者への負荷を減らすことができる。これにより、治験の質を向上することができる。
【0021】
本発明の更に他の態様に係る情報出力装置は、脳画像の分割された複数の脳区域と認知症の診断テストの複数のテスト項目との関連性を記憶する第1のテーブルと、認知症の治療に使用される薬品を示す薬品情報と薬品による有意性がある複数の脳区域のうちの1乃至複数の脳区域との関連性を記憶する第2のテーブルと、患者に対する診断テストのテスト結果を入力する入力部と、入力されたテスト結果と第1のテーブルとに基づいて複数の脳区域のうち1乃至複数の脳区域を特定し、特定した脳区域と第2のテーブルとに基づいて特定した脳領域に対して有意性がある1乃至複数の認知症の治療に使用される薬品を特定し、特定した薬品を示す薬品情報を出力する出力部と、を備える。
【0022】
本発明の更に他の態様によれば、上記の情報出力装置とは逆に、注目するテスト項目を入力すると、第1のテーブル及び第2のテーブルを使用し、認知症の治療に使用される薬品を特定し、特定した薬品を示す薬品情報を出力することができる。即ち、被検体(患者)に対する認知症の診断テストのテスト結果から、その患者の治療に適した1又は複数の薬品の薬品情報を取得することができ、医師による薬品の選択を支援することができる。
【0023】
本発明の更に他の態様に係る情報出力装置において、複数の脳区域は、ブロードマンの脳地図に対応して分割した脳区域であることが好ましい。
【0024】
本発明の更に他の態様に係る情報出力方法は、脳画像の分割された複数の脳区域と認知症の診断テストの複数のテスト項目との関連性を記憶する第1のテーブルを準備するステップと、脳区域の入力を受け付けるステップと、受け付けた脳区域と第1のテーブルとに基づいて、第1のテーブルから脳区域に対応する複数のテスト項目の関連性、又は複数のテスト項目のうちの閾値を超える関連性を有する1又は複数のテスト項目を読み出して出力するステップと、を含む。
【0025】
本発明の更に他の態様に係る情報出力方法は、脳画像の分割された複数の脳区域と認知症の診断テストの複数のテスト項目との関連性を記憶する第1のテーブルを準備するステップと、テスト項目の入力を受け付けるステップと、受け付けたテスト項目と第1のテーブルとに基づいて、第1のテーブルからテスト項目に対応する複数の脳区域の関連性、又は複数の脳区域のうちの閾値を超える関連性を有する1又は複数の脳区域を読み出して出力するステップと、を含む。
【0026】
本発明の更に他の態様に係る情報出力方法は、脳画像の分割された複数の脳区域と認知症の診断テストの複数のテスト項目との関連性を記憶する第1のテーブルと、認知症の治療に使用される薬品を示す薬品情報と薬品による有意性がある複数の脳区域のうちの1乃至複数の脳区域との関連性を記憶する第2のテーブルとを準備するステップと、認知症の治療に使用される薬品を示す薬品情報の入力を受け付けるステップと、受け付けた薬品情報と第2のテーブルとに基づいて薬品による有意性がある脳区域を特定し、特定した脳区域と第1のテーブルとに基づいて特定した脳領域に対して、複数のテスト項目のうちの1乃至複数のテスト項目を特定して出力するステップと、を含む。
【0027】
本発明の更に他の態様に係る情報出力方法は、脳画像の分割された複数の脳区域と認知症の診断テストの複数のテスト項目との関連性を記憶する第1のテーブルと、認知症の治療に使用される薬品を示す薬品情報と薬品による有意性がある複数の脳区域のうちの1乃至複数の脳区域との関連性を記憶する第2のテーブルとを準備するステップと、患者に対する診断テストのテスト結果の入力を受け付けるステップと、受け付けたテスト結果と第1のテーブルとに基づいて複数の脳区域のうち1乃至複数の脳区域を特定し、特定した脳区域と第2のテーブルとに基づいて特定した脳領域に対して有意性がある1乃至複数の認知症の治療に使用される薬品を特定し、特定した薬品を示す薬品情報を出力するステップと、を含む。
【0028】
更に他の態様に係る本発明は、脳画像の分割された複数の脳区域と認知症の診断テストの複数のテスト項目との関連性を記憶する第1のテーブルを備えたコンピュータに適用される情報出力プログラムであって、脳区域の入力を受け付ける機能と、受け付けた脳区域と第1のテーブルとに基づいて、第1のテーブルから脳区域に対応する複数のテスト項目の関連性、又は複数のテスト項目のうちの閾値を超える関連性を有する1又は複数のテスト項目を読み出して出力する機能と、をコンピュータに実現させる。
【0029】
更に他の態様に係る本発明は、脳画像の分割された複数の脳区域と認知症の診断テストの複数のテスト項目との関連性を記憶する第1のテーブルを備えたコンピュータに適用される情報出力プログラムであって、テスト項目の入力を受け付ける機能と、受け付けたテスト項目と第1のテーブルとに基づいて、第1のテーブルからテスト項目に対応する複数の脳区域の関連性、又は複数の脳区域のうちの閾値を超える関連性を有する1又は複数の脳区域を読み出して出力する機能と、をコンピュータに実現させる。
【0030】
更に他の態様に係る本発明は、脳画像の分割された複数の脳区域と認知症の診断テストの複数のテスト項目との関連性を記憶する第1のテーブルと、認知症の治療に使用される薬品を示す薬品情報と薬品による有意性がある複数の脳区域のうちの1乃至複数の脳区域との関連性を記憶する第2のテーブルとを備えたコンピュータに適用される情報出力プログラムであって、認知症の治療に使用される薬品を示す薬品情報の入力を受け付ける機能と、受け付けた薬品情報と第2のテーブルとに基づいて薬品による有意性のある脳区域を特定し、特定した脳区域と第1のテーブルとに基づいて特定した脳領域に対して、複数のテスト項目のうちの1乃至複数のテスト項目を特定して出力する機能と、をコンピュータに実現させる。
【0031】
更に他の態様に係る本発明は、脳画像の分割された複数の脳区域と認知症の診断テストの複数のテスト項目との関連性を記憶する第1のテーブルと、認知症の治療に使用される薬品を示す薬品情報と薬品による有意性がある複数の脳区域のうちの1乃至複数の脳区域との関連性を記憶する第2のテーブルとを備えたコンピュータに適用される情報出力プログラムであって、患者に対する診断テストのテスト結果の入力を受け付ける機能と、受け付けたテスト結果と第1のテーブルとに基づいて複数の脳区域のうち1乃至複数の脳区域を特定し、特定した脳区域と第2のテーブルとに基づいて特定した脳領域に対して有意性がある1乃至複数の認知症の治療に使用される薬品を特定し、特定した薬品を示す薬品情報を出力する機能と、をコンピュータに実現させる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、脳画像の分割された複数の脳区域と認知症の診断テストの複数のテスト項目との関連性を記憶する新規な第1のテーブルを使用することにより、認知症の診断や評価に有効な情報を取得することができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付図面に従って本発明に係る情報出力装置、方法及びプログラムの好ましい実施の形態について説明する。
【0035】
<装置構成>
図1は、本発明に係る情報出力装置を含むシステムの概要を示すハードウェア構成図である。
【0036】
図1に示すシステムは、情報出力装置1、PACS(画像保存通信システム:Picture Archiving and Communication Systems)2、電子カルテ3、及びMRI(magnetic resonance imaging)装置4から構成されている。
【0037】
MRI装置4は、連続的に被検体中の水素又は燐等からの核磁気共鳴信号を測定し、核の密度分布や緩和時間分布等を映像化するものであり、被検体である患者の診断対象となる部位を表す3次元画像を取得する装置である。尚、被検体の3次元画像を取得する装置としては、MRI装置4の他に、積み上げ断層像(CT(Computed Tomography)画像)
の取得が可能なCT装置などがある。
【0038】
尚、本発明においては、被検体である患者の診断対象部位は脳であり、MRI装置4は、被検体の脳を含む頭部のMRI画像を3次元の脳画像として出力する。
【0039】
3次元の脳画像は、所定のスライス間隔やスライス厚による軸位断画像(スライス画像)の集合体(例えば、数100枚の画像群)として構成される。各スライス画像におけるボクセルは、スライス厚をもった2次元画像の画素に相当し、各ボクセルは3次元情報を有する。
【0040】
PACS2は、複数の検査装置(モダリティ)から得られたデジタルの医療画像情報を電子データとして一元的に管理する部分である。モダリティの1つであるMRI装置4により撮影された3次元の脳画像は、PACS2によって保存管理され、電子カルテ3又は情報出力装置1により検索、閲覧等に使用される。
【0041】
また、PACS2では、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)の画像フォーマット及び通信プロトコルにて画像の保管、及び通信が行われる。DICOM規格の画像フォーマットでは、ファイルのヘッダ部に撮影時のパラメータや診断情報等を保存することができる。尚、本実施形態においては、同一の被検体について、撮影日時が異なる複数の3次元の脳画像が、PACS2にて保存管理されているものとする。
【0042】
情報出力装置1は、1台のコンピュータ10に、本発明に係る情報出力プログラムがインストールされたものであり、コンピュータは、診断を行う医師が直接操作するワークステーションまたはパーソナルコンピュータでもよいし、それらとネットワークを介して接続されたサーバコンピュータでもよい。
【0043】
情報出力プログラムは、DVD(Digital Versatile Disc)あるいはCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の光学ディスク(記録媒体)に記録されて配布され、その光学ディスクから光学ディスクドライブ18を介してコンピュータ10にインストールされる。
【0044】
また、コンピュータ10には、入力部として機能するマウス、キーボード等の操作部22及びモニタ24が接続されている。
【0045】
コンピュータ10は、主として各構成要素の動作を統括制御する中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)12と、装置の制御プログラムが格納されたり、プログラム実行時の作業領域となる主メモリ14と、ハードディスク装置等のストレージ16と、光学ディスクに記録された各種のデータ、プログラムの読み書きを行う光学ディスクドライブ18と、PACS2、電子カルテ3等との間で必要な情報のやり取りを行う通信インターフェース(通信I/F:interface)20とから構成されている。
【0046】
ストレージ16には、本発明に係る情報出力プログラムを含む各種のアプリケーションソフト、基準脳画像、本発明に使用される後述の各種のテーブルの他、通信I/F20を経由してPACS2から取得した被検体の脳画像、及び電子カルテ3から取得した診断情報等を含む各種の情報が記憶されている。診断情報としては、ADAS(alzheimers' disease assessment scale:アルツハイマー病評価スケール)、あるいはADAS−Jcog(アルツハイマー病評価スケール日本語版)でのテスト結果を示すデータを含む。
【0047】
図2は、
図1に示した情報出力装置1のCPU12の機能を示す機能ブロック図である。
【0048】
CPU12は、ストレージ16に格納された情報出力プログラムを実行することより各種の処理部として機能し、この実施形態では、画像取得部12A、データ取得部12B、脳区域分割部12C、画像解析部12D、情報処理部12E及び表示制御部12Fとしての機能を有する。
【0049】
画像取得部12Aは、3次元の標準脳画像Bs、同一被検体についての脳を含む撮影日時が異なる3次元の第1の脳画像B1及び第2の脳画像B2を取得する。
【0050】
標準脳画像Bsとは、標準的な形状及び大きさ、並びに標準的な濃度(画素値)を有する脳、即ち標準脳を表す3次元の脳画像である。標準脳画像Bsは、複数の健常者の頭部を3次元画像撮影装置により取得した複数の脳画像から脳を抽出し、抽出した複数の脳を平均することにより生成することができる。
【0051】
また、標準脳画像Bsは、脳全体を複数の脳区域に分割する分割情報を含む。分割の手法としては、例えば、ブロードマンの脳地図に基づいて、大脳皮質の3次元領域内において、大脳皮質を運動、言語、知覚、記憶、視覚及び聴覚等の各機能を司る脳区域に分割する手法を用いることができる。また、大脳、間脳、中脳、後脳、小脳および延髄の6種類の脳区域に分割する手法、あるいは大脳を前頭葉、頭頂葉、側頭葉および後頭葉に分類する手法等、公知の任意の手法を用いることができる。
【0052】
図3は、分割情報を含む標準脳画像Bsの例を示す図であり、脳全体が複数の脳区域に分割されている。尚、本例では、標準脳画像Bsは、複数の脳区域に分割されており、例えばブロードマンの脳地図にしたがって複数の脳区域に分割されている。また、脳区域には、脳室、脳室以外の空洞(髄液で満たされている空洞)も脳区域としてもよい。
【0053】
画像取得部12Aは、標準脳画像Bsをストレージ16、又はPACS2から取得することができる。また、画像取得部12Aは、同一被検体の撮影日時が異なる第1の脳画像B1(
図4)及び第2の脳画像B2(図示せず)を、PACS2又は電子カルテ3から取得することできる。尚、本例では、第1の脳画像B1は、第2の脳画像B2よりも撮影日時が古いものであり、例えば、半年前又は1年前の画像である。
【0054】
データ取得部12Bは、
図6に示すテーブルT3、
図9に示す診断情報(本例では、ADASでのテスト結果を示す診断データ)D1等を取得する。これらのテーブルT3及び診断データD1は、情報出力装置1がビューワとして機能する際に医用画像及び医用情報の表示制御に使用される。
【0055】
図6に示すテーブルT3には、脳区域を示す番号(ブロードマン領野:1〜52)と、各脳区域の名称・機能の説明とが関連付けられて格納されている。このテーブルT3のデータは、既知のデータを使用することができる。また、テーブルT3は、予めストレージ16に記憶させておき、適宜読み出して使用することができる。
【0056】
図7は、外側表面の脳画像に脳区域を示す番号を付した図であり、
図8は、内側表面の脳画像に脳区域を示す番号を付した図である。
【0057】
ADASとは、種々の認知機能評価の1つである。ADASは、認知症の検査のために、記憶を中心とする認知機能の評価を行うもので、
図9に示すように単語再現性、口語言語能力、言語の聴覚理解、自発話における喚語困難、口頭の命令に従う、手指及び物品呼称、構成行為、観念運動、見当識、単語再認、テスト教示の再生能力の、11のテスト項目、0〜70点のADASスコアで評価する。各テスト項目の満点から正答数を引いて得点とし、全問正解の場合には、0点となる。
図9に示す例では、35問の間違いがあり、例えば、テスト項目4の「自発話における喚語困難」は、5問中、4問間違えている。
【0058】
データ取得部12Bは、このADASのテスト結果を示す診断データD1(
図9)を、例えば、電子カルテ3、又はDICOM規格の画像ファイルのヘッダ部から取得することができる。尚、認知機能評価は、ADAS、ADAS−Jcogに限らず、MMSE(Mini Mental State Examination)、WAIS−III(Wechsler Adult Intelligence Scale−III:ウエクスラー成人用知能検査第三版)、改訂長谷川式簡易知能評価スケール、MMSE(Mini Mental State Examination)等を使用することができる。
【0059】
図2に戻って、脳区域分割部12Cは、3次元の第1の脳画像B1及び第2の脳画像B2をそれぞれ複数の脳区域に分割する部分である。
【0060】
脳区域分割部12Cは、まず、
図3に示した標準脳画像Bsと、
図4に示した第1の脳画像B1との位置合わせを行う。尚、脳の大きさ及び形状は人により異なる。例えば、標準脳と比較した場合、最大で±15%程度大きさ及び形状が異なる。
【0061】
標準脳画像Bsと第1の脳画像B1とは、大きさ及び形が異なるため、第1の脳画像B1を複数の脳区域に分割するために、脳区域分割部12Cは、標準脳画像Bsと第1の脳画像B1との間で共通するランドマークを用いて第1の位置合わせを行う。
【0062】
尚、ランドマークは、具体的には脳に含まれる多数の脳溝(上前頭溝、下前頭溝、外側溝、大脳縦裂等)及び脳室(大脳半球の左右の側脳室、第三脳室、第四脳室)等の特徴的な領域の特徴点を用いることができる。また、本例では、標準脳画像Bsを第1の脳画像B1に位置合わせするものする。第1の脳画像B1の変形を伴わないようにすることが、後述の画像解析部12Dによる解析値(脳区域の萎縮率等)の算出精度をよくするためである。
【0063】
脳区域分割部12Cは、位置合わせのために、標準脳画像Bs及び第1の脳画像B1からランドマークを抽出する。ランドマークの抽出は、例えばランドマークを表すテンプレートを用いたテンプレートマッチングにより行ってもよく、画像に含まれるランドマークを判別するように学習がなされた判別器を用いることにより行ってもよい。
【0064】
脳区域分割部12Cは、標準脳画像Bsと第1の脳画像B1との間において、対応するランドマーク(特徴点)を一致させるように第1の位置合わせを行う。本実施形態において、第1の位置合わせは相似変換による位置合わせである。具体的には、標準脳画像Bsを平行移動、回転および相似に拡大縮小することによる位置合わせである。脳区域分割部12Cは、標準脳画像Bsに含まれるランドマークと、第1の脳画像B1に含まれる対応するランドマークとの相関が最大となるように、標準脳画像Bsを相似変換して第1の位置合わせを行う。
【0065】
脳区域分割部12Cは、第1の位置合わせを行った後、それぞれ対応するランドマークを使用して、標準脳画像Bsを第1の脳画像B1に一致させる第2の位置合わせを行う。第2の位置合わせは、非線形変換による位置合わせである。非線形変換による位置合わせとしては、例えばBスプライン及びシンプレートスプライン(Thin Plate Spline)等の関数を用いて画素位置を非線形に変換することによる位置合わせが挙げられる。
【0066】
脳区域分割部12Cは、第1の位置合わせ後の標準脳画像Bsの各画素位置を、第1の脳画像B1に含まれる対応する画素位置に非線形変換することにより、第2の位置合わせを行う。
【0067】
脳区域分割部12Cは、このようにして標準脳画像Bsを第1の脳画像B1に位置合わせした後の、標準脳画像Bsにおける分割された脳区域の境界の3次元情報(位置合わせ後の分割情報)を、第1の脳画像B1に適用することにより、
図5の破線で示すように、第1の脳画像B1を複数の脳区域に分割することができる。
【0068】
また、脳区域分割部12Cは、第2の脳画像B2を脳区域に分割する。具体的には、第1の脳画像B1及び第2の脳画像B2間でのランドマークを用いた第3の位置合わせを行う。第3の位置合わせは、画像の拡大縮小を行わず、第1の脳画像B1を平行移動及び回転して、第2の脳画像B2に位置合わせを行う。尚、第2の脳画像B2を第1の脳画像B1に位置合わせを行ってもよい。
【0069】
第1の脳画像B1と第2の脳画像B2とは、同一被検体の撮影日時の異なる脳画像であるため、第3の位置合わせ後の両脳画像は、一致度が非常に高い。即ち、3次元の第1の脳画像B1のある画素(ボクセル)の三次元位置と、このボクセルに対応する第2の脳画像B2のボクセルとは、同じ三次元位置又はその近傍に存在する。
【0070】
したがって、脳区域分割部12Cは、第1の脳画像B1の各ボクセルと第2の脳画像B2の各ボクセルとの対応づけを、例えば、対応づけるボクセルを中心とする画像局所特徴による対応点マッチングにより行うことができる。
【0071】
脳区域分割部12Cは、第1の脳画像B1の各ボクセルと第2の脳画像B2の各ボクセルとの全てのボクセル間の対応づけを行うことにより、第2の脳画像B2を複数の脳区域に分割することができる。即ち、第1の脳画像B1の複数の脳区域の境界の各ボクセル(即ち、分割情報に基づくボクセル)に対応する、第2の脳画像B2の各ボクセルの3次元情報をそれぞれ取得することにより、取得した第2の脳画像B2の各ボクセルの3次元情報が、第2の脳画像B2を複数の脳区域に分割する分割情報となる。
【0072】
尚、脳区域分割部12Cによる第1の脳画像B1及び第2の脳画像B2の複数の脳区域の分割方法は、上記の実施形態に限らず、公知の種々の方法を適用することができ、例えば、特開2011-010828号公報に記載の方法を適用することができる。
【0073】
脳区域分割部12Cは、第1の脳画像B1を複数の脳領域に分割することにより、
図10に示すように3次元の第1の脳画像B1を構成する全てのボクセルについて、三次元情報(座標x,y,z)と、脳区域ラベル(脳区域を示す番号)及び/又は名称とを関連付けて、主メモリ14に一時的に記憶させ、又はストレージ16に記憶させる。同様にして、第2の脳画像B2についても、全てのボクセルについて、三次元情報と脳区域ラベル等とを関連付けて主メモリ14又はストレージ16に記憶させる。更に、第1の脳画像B1の各ボクセルと、第2の脳画像B2の各ボクセルとの対応関係も記憶させることが好ましい。対応するボクセル間の三次元情報に基づいてボクセルの移動ベクトルを算出することができるからである。
【0074】
尚、脳画像の三次元情報(座標x,y,z)の各座標軸は、各体軸(X軸:左−右,Y軸:背−腹,Z軸:頭−尾)に対応しており、原点(0,0,0)は、例えば、脳外又は脳内の特定の位置に設定することができる。
【0075】
画像解析部12Dは、第1の脳画像B1及び第2の脳画像B2を、分割された脳区域毎に画像解析し、解析結果(解析値)を出力する部分であり、例えば、脳区域毎の萎縮率、体積変化量、形状変化量、Zスコア、血流量等の解析結果を出力する。
【0076】
図11は、脳区域分割部12Cの処理と画像解析部12Dの処理の流れを示す図である。
【0077】
図11において、標準脳画像Bsは、脳全体を複数の脳区域に分割する分割情報を含む。Bs1は、標準脳画像Bsの複数の脳区域(分割情報)を示している。標準脳画像Bsを第1の脳画像B1に位置合わせすることにより、位置合わせ後の標準脳画像Bsの複数の脳区域を示す分割情報は、第1の脳画像B1の複数の脳区域を示す分割情報(B11)とすることができる。
【0078】
複数の脳区域の分割情報を有する第1の脳画像B1を第2の脳画像B2に適用し、各ボクセル間の対応づけを行うことにより、実質的に第2の脳画像B2を複数の脳区域に分割することができる。B21は、第2の脳画像B2の複数の脳領域を示す図である。尚、B11は、アキシャル断面での第1の脳画像B1の複数の脳区域を示しており、B21は、サジタル断面での第2の脳画像B2の複数の脳区域を示している。
【0079】
画像解析部12Dは、第1の脳画像B1の複数の脳区域と、第2の脳画像B2の複数の脳区域とを、同じ脳区域毎にそれぞれ容積を算出する。容積の算出後、第2の脳画像B2の脳区域の容積から第1の脳画像B1の対応する脳区域の容積を減算し、その減算値を、第1の脳画像B1の対応する脳区域の容積で除算することにより、脳区域毎に脳の萎縮率を解析値として算出する。
【0080】
尚、萎縮率が正の値の場合は、脳区域は萎縮していることになり、負の値の場合は、膨張していることになる。また、脳区域の容積は、脳区域内のボクセル(1ボクセル当りの容積は既知)の個数をカウントすることにより求めることができる。
【0081】
本例では、画像解析部12Dは、複数の脳区域毎に萎縮率を解析値として算出するが、脳区域毎の体積変化量、形状変化量、Zスコア、血流量を解析値として算出してもよい。
【0082】
脳区域毎の体積変化量は、第2の脳画像B2の脳区域の容積から第1の脳画像B1の対応する脳区域の容積を減算することにより算出することができる。
【0083】
形状変化量は、例えば、第1の脳画像B1及び第2の脳画像B2の対応する脳区域の球形度の変化量から求めることができる。球形度は、脳区域の表面積に対する、脳区域と同じ容積を有する球の表面積の比により求めることができる。また、第1の脳画像B1の脳区域と第2の脳画像B2の対応する脳区域との変化領域の絶対値を算出することにより求めることができる。
【0084】
また、Zスコアは、次式に基づいて第1の脳画像B1及び第2の脳画像B2の脳区域毎に算出することができる。
【0085】
[数1]
Z=(x
ave−x)/σ
ただし、x:ボクセル値
x
ave:健常者のボクセル値の平均値
σ:健常者のボクセル値の標準偏差
また、画像解析部12Dは、第1の脳画像B1及び第2の脳画像B2を、造影剤を用いずに脳の血流動態を評価するASL(Arterial Spin Labeling)脳パフュージョン検査により血流量を算出することができる。
【0086】
情報処理部12Eは、脳画像の分割された複数の脳区域と認知症の診断テストの複数のテスト項目との関連性を求め、複数の脳区域(本例では1〜52の脳区域)と複数のテスト項目(本例では1〜11のテスト項目)との関連性を記憶するテーブル(第1のテーブルT1(
図16))を作成する部分であり、
図12に示すように患者の脳画像の脳区域毎の解析値(本例では脳区域毎の萎縮率)と、認知症の診断テストのテスト結果(本例ではADASスコア)とを収集し、萎縮率とテスト項目との関連性を求める。
【0087】
具体的には、情報処理部12Eは、第1のテーブルT1の作成に当り、画像解析部12D及びデータ取得部12Bから多数の患者の脳画像の脳区域毎の萎縮率と、ADASの11個のテスト項目毎の得点を取得する。
【0088】
図13から
図15は、それぞれテスト項目の得点と萎縮率との相関関係を示す相関図である。
【0089】
図13から
図15に示す相関図の横軸は、ADASの11個のテスト項目のうちの1つのテスト項目であり、相関図の縦軸は、複数の脳区域のうちの1つの脳区域の萎縮率を示している。尚、ADASでは、テスト項目の満点から正答数を引いて得点とするため、得点が高い程、不正解が多くなり、認知機能の評価は悪くなる。
【0090】
図13は、テスト項目の得点と萎縮率との相関が殆どない場合を示し、
図14は、正の弱い相関を示し、
図15は、正の強い相関を示している。
【0091】
情報処理部12Eは、脳画像の脳区域毎の萎縮率とテスト項目毎の得点との関連性を算出し、
図16に示すように、これらの関連性を示す第1のテーブルT1を作成する。
【0092】
図16において、A
i,j(1≦i≦52、1≦j≦11)は関連性を示し、-1≦A
i,j≦1の相関値とすることができる。尚、脳区域は、時間の経過とともに萎縮が進行するが、例えば、脳室、その他の空洞が脳区域として分割されている場合には、膨張するため、この場合には、負の相関値をとる。また、
図16には、ADASのテスト項目(項目1)と、番号20,22で表されている脳区域(下側頭回、上側頭回)との関連性(A
20,1=0.45、A
22,1=0.30)が示されているが、これらの関連性の数値は、実際に算出した値でない。
【0093】
情報処理部12Eにより作成された第1のテーブルT1は、例えば、ストレージ16に保存され、表示制御部12F等にて必要に応じて適宜使用される。また、第1のテーブルT1は、情報処理部12Eにより定期的に更新されることが好ましい。より多く患者の脳区域毎の解析値及び診断テストを使用して第1のテーブルT1を作成することで、信頼性の高いテーブルにすることができるからである。更に、第1のテーブルT1は、情報出力装置1の外部の装置やシステムで作成されたものを使用してもよく、この場合には、情報処理部12Eは不要になる。
【0094】
表示制御部12Fは、例えば、医用画像(第1の脳画像B1及び第2の脳画像B2の少なくとも一方の脳画像)、又は医用情報(第1の脳画像B1及び第2の脳画像B2の脳区域毎に解析した解析値、テーブルT3、診断データD1)等を、モニタ24に表示させるための表示用画像を生成し、生成した表示用画像をモニタ24に出力するものであり、出力部としての機能を含む。
【0095】
図17は、モニタ24に表示される医用画像及び医用情報の一例を示す図である。
【0096】
図17に示す例では、萎縮率が大きい脳区域A10,A11(萎縮率が閾値を超えた脳区域)が、斜線で示したように他の脳区域と識別可能に表示されている。例えば、脳区域A10,A11に赤色を付与し、脳区域A10,A11を、色分けにより他の脳区域と識別可能に表示することができる。また、脳区域A10,A11には、ラベルL10,L11を付与することができる。ラベルL10,L11として、解析値(
図17に示す例では、百分率で表された萎縮率)が付加されているが、更に脳区域A10,A11を示す番号(ブロードマン領野:1〜52)や脳区域の名称等を表示させてもよい。
【0097】
更に、表示制御部12Fは、医師による操作部22の操作にしたがって、必要な医用画像及び医用情報をモニタ24に表示させることができる。
【0098】
次に、認知症の治療に使用される薬品(を示す薬品情報)と薬品による有意性がある脳区域(1乃至複数の脳区域)との関連性を記憶するテーブル(第2のテーブルT2(
図19))について説明する。
【0099】
情報処理部12Eは、上記の第2のテーブルT2を作成する機能を有し、作成された第2のテーブルT2はストレージ16に保存され、表示制御部12F等にて必要に応じて適宜使用される。
【0100】
認知症の治療に使用される薬品としては、本例では未承認薬品と承認薬品とを含む。日本における未承認薬品の治験は、3段階のフェーズ分かれており、フェーズが上がるごとに患者数を増やして試験を行うことにより、安全性、有効性、使い方を判断する。
【0101】
未承認薬品(以下、単に「薬品」という)の1段階目の治験では、小規模(少人数)の治験データを収集する。
図18に示すように、少人数の患者に対して薬品又は偽薬(プラシーボ)を投薬する。そして、薬品が投薬された患者の脳の脳区域毎の解析値(本例では萎縮率)と、プラシーボが投薬された患者(薬品が非投薬の患者)の脳の脳区域毎の萎縮率とを収集し、薬品と脳区域毎の萎縮率との関係を求める。
【0102】
具体的には、情報処理部12Eは、第2のテーブルT2の作成に当り、画像解析部12Dから薬品が投薬された患者の脳の脳区域毎の萎縮率と、薬品が非投薬の患者の脳の脳区域毎の萎縮率とを取得する。薬品が投薬された患者か非投薬の患者かを示す情報は、患者情報に含めることができ、例えば、電子カルテ3から取得することができる。
【0103】
情報処理部12Eは、薬品が投薬された患者の脳の脳区域毎の萎縮率の統計量(例えば、平均値)と、薬品が非投薬の患者の脳の脳区域毎の萎縮率の統計量とを脳区域毎に比較し、例えば、脳区域毎の統計量に有意差が発生しているか否かを判別する。ここで、有意差とは、薬品の投薬又は非投薬が、脳区域の萎縮率に確かな差がある場合の差をいう。
【0104】
ある脳区域において、非投薬の場合の萎縮率に比べて投薬の場合の萎縮率が明らかに低い場合には、その脳区域は、投薬によって萎縮率が抑えられている(「有意性」がある)と考えられる。
【0105】
情報処理部12Eは、上記のようにして薬品と、その薬品による有意性のある脳区域との関連性を求め、薬品を示す薬品情報と薬品による有意性がある複数の脳区域のうちの1乃至複数の脳区域との関連性を記憶する第2のテーブルT2を作成する。
【0106】
図19は、第2のテーブルT2を模式的に示した図である。
【0107】
図19において、α,β,γ,…は、薬品(薬品名等の薬品情報)を示し、1,2,3,…は、脳区域(例えば、ブロードマンの脳地図にしたがった脳区域番号)を示し、関連性のある薬品と脳区域とを直線で結んでいる。
【0108】
例えば、
図19において、薬品αは、脳区域番号1,3の脳区域に対して有意性がある(萎縮率を抑えている)薬品となる。
【0109】
尚、承認薬品の場合も、承認薬品と、その承認薬品による有意性がある1乃至複数の脳区域との関連性を求めることができることは言うまでもない。
【0110】
次に、
図16に示した第1のテーブルT1及び
図19に示した第2のテーブルT2の使用方法について説明する。
【0111】
<第1のテーブルT1の第1の使用例>
第1の使用例は、入力部として機能する操作部22により複数の脳区域のうちの特定の脳区域を入力すると、出力部として機能する情報処理部12E又は表示制御部12Fは、第1のテーブルT1を使用し、入力された脳区域(脳区域を示す脳区域番号)に対応する、複数のテスト項目の関連性(本例では、11項目の項目別の関連性)を、情報処理部12E又は表示制御部12Fの内部の後段の処理部に出力し、又は特定の脳区域に対するテスト項目の関連性の情報を必要とする他の処理部に出力する。
【0112】
例えば、
図16に示した第1のテーブルT1の場合、脳区域(脳区域番号20)が入力されると、11項目のテスト項目別の関連性(A
20,1 ,A
20,2 ,…… ,A
20,11)を出力する。
【0113】
11項目のテスト項目別の関連性を入力する処理部では、11項目のテスト項目別の関連性のうちの閾値(例えば、相関値=0.30)を超える関連性を有する1又は複数のテスト項目を特定することができる。
【0114】
また、出力部は、11項目のテスト項目別の関連性を出力する場合に限らず、11項目のテスト項目別の関連性のうちの閾値(例えば、相関値=0.30)を超える関連性を有する1又は複数のテスト項目を特定した上で、特定したテスト項目を出力するようにしてもよい。
【0115】
これによれば、例えば、画像診断で萎縮率が高い脳区域等の注目する脳区域を入力すると、入力した脳区域と関連性を有する(相関の高い)テスト項目が分かる。
【0116】
<第1のテーブルT1の第2の使用例>
第1の使用例は、脳区域を入力すると、その脳区域と関連性を有するテスト項目を出力するのに対し、第2の使用例は、テスト項目を入力すると、そのテスト項目と関連性を有する脳区域を出力する点で相違する。
【0117】
即ち、入力部として機能する操作部22により複数のテスト項目のうちの特定のテスト項目を入力すると、出力部として機能する情報処理部12E又は表示制御部12Fは、第1のテーブルT1を使用し、入力されたテスト項目(テスト項目を示す項目番号)に対応する、複数の脳区域の関連性(本例では、ブロードマン領野:1〜52の関連性)を、情報処理部12E又は表示制御部12Fの内部の後段の処理部に出力し、又は特定の脳区域に対するテスト項目の関連性の情報を必要とする他の処理部に出力する。
【0118】
例えば、
図16に示した第1のテーブルT1の場合、テスト項目(項目番号1)が入力されると、52個の脳区域別の関連性(A
1,1 ,A
2,1 ,…… ,A
52,1)を出力する。
【0119】
52個の脳区域別の関連性を入力する処理部では、52個の脳区域別の関連性のうちの閾値(例えば、相関値=0.30)を超える関連性を有する1又は複数の脳区域を特定することができる。
【0120】
また、出力部は、52個の脳区域別の関連性を出力する場合に限らず、52個の脳区域別の関連性のうちの閾値(例えば、相関値=0.30)を超える関連性を有する1又は複数の脳区域を特定した上で、特定した脳区域を出力するようにしてもよい。
【0121】
これによれば、例えば、診断テストのテスト結果から認知機能が低下したテスト項目を入力すると、入力したテスト項目と関連性を有する(相関の高い)脳区域が分かる。
【0122】
<第1のテーブルT1及び第2のテーブルT2の第3の使用例>
第3の使用例は、入力部として機能する操作部22により認知症の治療に使用される特定の薬品を示す薬品情報を入力すると、出力部として機能する情報処理部12E又は表示制御部12Fは、入力された特定の薬品の薬品情報と第2のテーブルT2(
図19)とに基づいて特定の薬品による有意性のある脳区域を特定し、特定した脳区域と第1のテーブルT1とに基づいて特定した脳領域に対して閾値(例えば、相関値=0.30)を超える関連性を有するテスト項目を特定し、特定したテスト項目を情報処理部12E又は表示制御部12Fの内部の後段の処理部に出力し、又は薬品と関連性の高いテスト項目の情報を必要とする他の処理部に出力する。
【0123】
例えば、
図19に示した第2のテーブルT2の場合、特定の薬品αが入力されると、第2のテーブルT2により薬品αに対して有意性のある脳区域(脳区域番号1,3)が特定される。
【0124】
第2のテーブルT2を使用して薬品αに対して有意性のある脳区域(脳区域番号1,3)が特定されると、特定された脳区域(脳区域番号1,3)と第1のテーブルT1とに基づいて、特定した脳領域(脳区域番号1,3)に対して関連性の高いテスト項目を特定することができる。
【0125】
これによれば、認知症の治療に使用される薬品を示す薬品情報を入力すると、その薬品情報に対応する薬品による効果が期待できるテスト項目(即ち、どのような認知機能に対して有効か)が分かる。
【0126】
また、未承認薬品の1段階目の小規模な治験において、未承認薬品による効果が期待できるテスト項目をある程度予測することができ、予測したテスト項目を用いて2段階目の中規模な治験、3段階目の大規模な治験の対象患者を、簡易に決定することができ、明らかに治験の不要な患者への負荷を減らすことができる。これにより、治験の質を向上することができる。
【0127】
<第1のテーブルT1及び第2のテーブルT2の第4の使用例>
第3の使用例は、薬品情報を入力すると、その薬品情報に対応する薬品による効果が期待できるテスト項目を出力するのに対し、第4の使用例は、注目するテスト項目を入力すると、そのテスト項目が示す認知機能に対して効果が期待できる薬品情報を出力する点で相違する。
【0128】
即ち、入力部として機能する操作部22により注目するテスト項目を入力すると、出力部として機能する情報処理部12E又は表示制御部12Fは、入力されたテスト項目と第1のテーブルT1とに基づいて複数の脳区域のうち閾値(例えば、相関値=0.30)を超える関連性を有する1乃至複数の脳区域を特定する。続いて、特定した脳区域と第2のテーブル(
図19)とに基づいて特定した脳領域に対して有意性がある1乃至複数の認知症の治療に使用される薬品を特定し、特定した薬品を示す薬品情報を情報処理部12E又は表示制御部12Fの内部の後段の処理部に出力し、又は薬品情報を必要とする他の処理部に出力する。
【0129】
これによれば、患者に対する認知症の診断テストのテスト結果から、その患者の治療に適した1又は複数の薬品の薬品情報を取得することができ、医師による薬品の選択を支援することができる。
【0130】
[情報出力方法]
<情報出力方法の第1の実施形態>
図20は、本発明に係る情報出力方法の第1の実施形態を示すフローチャートである。
【0131】
図20において、
図1に示した情報出力装置1は、マウス、キーボード等の操作部22及びモニタ24を使用した、注目する脳区域の入力を受け付ける(ステップS10)。
図17に示す例では、モニタ24には、萎縮率が大きい脳区域A10,A11が、斜線で示したように他の脳区域と識別可能に表示されている。医師は、モニタ24を見ながら、例えば萎縮率が高い脳区域(
図17では、脳区域A10又はA11)を注目する脳区域とし、その注目する脳区域(脳区域を示す脳区域番号)を操作部22での操作により入力することできる。
【0132】
情報出力装置1の出力部として機能する情報処理部12E又は表示制御部12Fは、予めストレージ16に準備されている第1のテーブルT1(ステップS14、
図16)を使用し、ステップS10で入力を受け付けた脳区域(脳区域を示す脳区域番号)に基づいて、受け付けた脳区域と関連性の高いテスト項目(複数のテスト項目のうちの閾値を超える関連性を有する1乃至複数のテスト項目)を特定して読み出す(ステップS12)。そして、ステップS12で特定したテスト項目を出力する(ステップS16)。
【0133】
このように表示制御部12Fは、注目する脳区域の入力を受け付けると、その脳区域と関連性の高いテスト項目をモニタ24に表示させることができ、認知症の診断に有効な情報を提供することができる。例えば、医師は、ある患者の萎縮率が高い脳区域を注目する脳区域として入力すると、その注目する脳区域と関連性の高いテスト項目から、注目する脳区域がどのようなテスト項目に影響するか(即ち、どのような認知機能が低下するか)が、その患者に対して認知症の診断テストを実施しなくても予測することができる。また、医師は、その患者に対して認知症の診断テストを実施した場合には、萎縮率が高い脳区域と関連性の高いテスト項目と実際のテスト結果とを照合することができ、認知症の診断、治療法又は診断法の評価に活用することができる。
【0134】
上記の第1の実施形態では、注目する脳区域の入力を受け付けると、その脳区域と関連性の高いテスト項目を出力するようにしたが、出力部として機能する情報処理部12Eは、入力を受け付けた脳区域と第1のテーブルT1とに基づいて、第1のテーブルT1から脳区域に対応する複数のテスト項目(本例ではADASの全11項目)の関連性を読み出して出力するようにしてもよい。
【0135】
出力された複数のテスト項目の関連性により、例えば、閾値を超えるテスト項目を抽出したり、関連性の高い順に複数のテスト項目をソートして上位の複数のテスト項目を抽出することができ、これらの情報を認知症の診断に活用することが可能である。
【0136】
<情報出力方法の第2の実施形態>
図21は、本発明に係る情報出力方法の第2の実施形態を示すフローチャートである。
【0137】
第1の実施形態の情報出力方法は、脳区域の入力を受け付けると、その脳区域と関連性を有するテスト項目を出力するのに対し、第2の実施形態の情報出力方法は、第1の実施形態とは逆に、テスト項目の入力を受け付けると、そのテスト項目と関連性を有する脳区域を出力する点で相違する。
【0138】
図21において、
図1に示した情報出力装置1は、操作部22及びモニタ24を使用した、注目するテスト項目の入力を受け付ける(ステップS20)。医師は、例えば、ある患者に対して認知症の診断テストを実施して得られたテスト結果から、前回のテスト結果と比較して得点が大きく低下したテスト項目がある場合、得点が大きく低下したテスト項目を注目するテスト項目とし、その注目するテスト項目を操作部22での操作により入力することできる。
【0139】
出力部として機能する情報処理部12E又は表示制御部12Fは、予めストレージ16に準備されている第1のテーブルT1(ステップS24)を使用し、ステップS20で入力を受け付けたテスト項目に基づいて、受け付けたテスト項目と関連性の高いテスト項目(複数の脳区域のうちの閾値を超える関係性を有する1乃至複数の脳区域)を特定して読み出す(ステップS22)。そして、ステップS22で特定した脳区域(脳区域番号又は脳区域を示す名前)を出力する(ステップS26)。
【0140】
このように表示制御部12Fは、注目するテスト項目の入力を受け付けると、そのテスト項目と関連性の高い脳区域をモニタ24に表示させることができ、認知症の診断に有効な情報を提供することができる。例えば、医師は、ある患者の認知症のテスト結果から得点が大きく低下したテスト項目を注目するテスト項目として入力すると、その注目するテスト項目と関連性の高い脳区域が分かる。これにより、医師は、注目するテスト項目と関連性の高い脳区域の萎縮率等に注目して、脳画像を画像診断することができ、認知症の診断治療法又は診断法の評価に活用することができる。
【0141】
上記の第2の実施形態では、注目するテスト項目の入力を受け付けると、そのテスト項目と関連性の高い脳区域を出力するようにしたが、出力部として機能する情報処理部12Eは、入力を受け付けたテスト項目と第1のテーブルT1とに基づいて、第1のテーブルT1からテスト項目に対応する複数の脳区域(本例では1〜52の脳区域)の関連性を読み出して出力するようにしてもよい。
【0142】
出力された複数の脳区域の関連性により、例えば、閾値を超える脳区域を抽出したり、関連性の高い順に複数の脳区域をソートして上位の複数の脳区域を抽出することができ、これらの情報を認知症の診断に活用することが可能である。
【0143】
<情報出力方法の第3の実施形態>
図22は、本発明に係る情報出力方法の第3の実施形態を示すフローチャートである。
【0144】
図22において、
図1に示した情報出力装置1は、操作部22及びモニタ24を使用した、認知症の治療に使用される薬品を示す薬品情報の入力を受け付ける(ステップS30)。薬品情報としては、承認薬品又は未承認薬品のいずれの薬品情報でもよい。
【0145】
情報出力装置1の出力部として機能する情報処理部12E又は表示制御部12Fは、予めストレージ16に準備されている第2のテーブルT2(ステップS34、
図19)を使用し、ステップS30で入力を受け付けた薬品情報と第2のテーブルT2とに基づいて、その薬品情報に対応する薬品による有意性のある脳区域(例えば、薬品投与により萎縮率が抑えられた脳区域)を特定して読み出す(ステップS32)。
【0146】
続いて、予めストレージ16に準備されている第1のテーブルT1(ステップS37)を使用し、ステップS32で特定した脳区域と第1のテーブルT1とに基づいて特定した脳領域に対して、複数のテスト項目のうちの1乃至複数のテスト項目(特定した脳区域と関連性の高いテスト項目)を特定して読み出す(ステップS36)。そして、ステップS
36で特定したテスト項目を出力する(ステップS38)。尚、特定した脳区域と関連性の高いテスト項目は、例えば、特定した脳領域に対して閾値を超える関連性を有するテスト項目、あるいは特定した脳領域に対応する複数のテスト項目の関連性を、関連性の高い順にソートし、上位の関連性を有する1乃至複数のテスト項目とすることができる。
【0147】
このように認知症の治療に使用される特定の薬品を示す薬品情報を入力すると、第1のテーブルT1及び第2のテーブルT2を使用し、その薬品情報に対応する薬品による有意性のある脳区域を特定し、認知症の診断テストの複数のテスト項目のうちの、特定した脳領域に対して関連性の高いテスト項目を特定して出力することができる。即ち、認知症の治療に使用される薬品を示す薬品情報を入力することにより、その薬品情報が示す薬品による効果が期待できる診断テストのテスト項目(どのような認知機能に対して有効か)が分かる。
【0148】
また、薬品の効果や副作用を確認するための治験の対象患者を、効果が期待できる診断テストのテスト結果を用いて簡易に決定することができ、明らかに治験の不要な患者への負荷を減らすことができる。これにより、治験の質を向上することができる。
【0149】
<情報出力方法の第4の実施形態>
図23は、本発明に係る情報出力方法の第4の実施形態を示すフローチャートである。
【0150】
第3の実施形態の情報出力方法は、薬品情報の入力を受け付けると、その薬品情報に対応する薬品による効果が期待できるテスト項目を出力するのに対し、第4の実施形態の情報出力方法は、第3の実施形態とは逆に、テスト結果の入力を受け付けると、そのテスト結果が示す認知機能に対して改善が期待できる薬品を示す薬品情報を出力する点で相違する。
【0151】
図23において、
図1に示した情報出力装置1は、操作部22及びモニタ24を使用した、テスト結果(注目するテスト項目)の入力を受け付ける(ステップS40)。医師は、例えば、ある患者に対して認知症の診断テストを実施して得られたテスト結果から、前回のテスト結果と比較して得点が大きく低下したテスト項目がある場合、得点が大きく低下したテスト項目を注目するテスト項目とし、その注目するテスト項目(テスト結果)を操作部22での操作により入力することできる。
【0152】
情報出力装置1の出力部として機能する情報処理部12E又は表示制御部12Fは、予めストレージ16に準備されている第1のテーブルT1(ステップS44)を使用し、ステップS40で入力を受け付けたテスト結果(注目するテスト項目)と第1のテーブルT1とに基づいて、複数の脳区域のうち1乃至複数の脳区域(注目するテスト項目と関連性の高い脳区域)を特定して読み出す(ステップS42)。
【0153】
続いて、予めストレージ16に準備されている第2のテーブルT2(ステップS47)を使用し、ステップS42で特定した脳区域と第2のテーブルT2とに基づいて、特定した脳領域に対して有意性がある1乃至複数の認知症の治療に使用される薬品(例えば、特定した脳領域の萎縮率を抑制する薬品)を特定して読み出す(ステップS46)。そして、ステップS46で特定した薬品を示す薬品情報を出力する(ステップS48)。
【0154】
このように注目するテスト項目を入力すると、第1のテーブルT1及び第2のテーブルT2を使用し、認知症の治療に使用される薬品を特定し、特定した薬品を示す薬品情報を出力することができる。即ち、被検体(患者)に対する認知症の診断テストのテスト結果から、その患者の治療に適した1又は複数の薬品の薬品情報を取得することができ、医師による薬品の選択を支援することができる。
【0155】
尚、第3の実施形態及び第4の実施形態に使用される第1のテーブルT1及び第2のテーブルT2は、2つのテーブルに限らず、例えば、第1のテーブルT1及び第2のテーブルT2に共通する脳区域を使用して統合し、1つのテーブルとしてもよい。
【0156】
[付記]
本実施形態の情報出力装置1は、例示に過ぎず、他の構成に対しても本発明を適用することが可能である。各機能構成は、任意のハードウェア、ソフトウェア、或いは両者の組合せによって適宜実現可能である。例えば、上述の情報出力装置1の各部における処理をコンピュータに実行させる情報出力プログラム、そのような情報出力プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体(非一時的記録媒体)に対しても、本発明を適用することが可能である。
【0157】
また、本実施形態において、例えば、画像取得部12A、データ取得部12B、脳区域分割部12C、画像解析部12D、情報処理部12E及び表示制御部12F等の各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造は、次に示すような各種のプロセッサ(processor)である。各種のプロセッサには、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路などが含まれる。
【0158】
1つの処理部は、これら各種のプロセッサのうちの1つで構成されていてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサ(例えば、複数のFPGA、あるいはCPUとFPGAの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアントやサーバなどのコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組合せで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)などに代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサを1つ以上用いて構成される。
【0159】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)である。
【0160】
また、本発明は、プロセッサを有する情報出力装置であって、プロセッサが、脳画像の分割された複数の脳区域と認知症の診断テストの複数のテスト項目との関連性を記憶する第1のテーブルを使用し、脳区域を受け付け、受け付けた脳区域と第1のテーブルとに基づいて、第1のテーブルから脳区域に対応する複数のテスト項目の関連性、又は複数のテスト項目のうちの閾値を超える関連性を有する1又は複数のテスト項目を読み出して出力する情報処理装置を含み、又はプロセッサが、上記第1のテーブルを使用し、テスト項目を受け付け、受け付けたテスト項目と第1のテーブルとに基づいて、第1のテーブルからテスト項目に対応する複数の脳区域の関連性、又は複数の脳区域のうちの閾値を超える関連性を有する1又は複数の脳区域を読み出して出力する情報出力装置を含む。
【0161】
更に、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。