(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記像倍率の変化量と、前記撮像画像における前記測距領域の位置と、前記ピークの検出を行う前記フォーカスレンズの移動範囲とに基づいて、前記被写体の画像の位置の変化量を導出する、
請求項1に記載の合焦制御装置。
前記制御部は、前記指示部の指示に応じて前記移動処理を実行する場合、変化後の前記被写体の画像の位置の導出に要すると予想される処理予想時間における、前記被写体の画像の位置の変化量を導出する、
請求項6に記載の合焦制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本開示の技術を実施するための形態例を詳細に説明する。
【0018】
[第1実施形態]
まず、本実施形態の撮像装置10の構成の一例について説明する。一例として
図1に示すように、本実施形態の撮像装置10は、レンズ交換式のデジタルカメラであり、撮像装置本体12及び撮像レンズ14を含む。
【0019】
撮像レンズ14は、撮像装置本体12に対して交換可能に装着される。撮像レンズ14の鏡筒には、マニュアルフォーカスモード時に使用されるフォーカスリング16が設けられている。撮像レンズ14は、レンズユニット18を含む。
【0020】
レンズユニット18は、フォーカスレンズ84を含む複数のレンズが組み合わされた組み合わせレンズである。フォーカスレンズ84は、フォーカスリング16の手動による回転操作に伴って光軸L1方向に沿って移動する。フォーカスレンズ84は、被写体距離に応じた合焦位置で停止される。被写体を示す反射光である被写体光は、フォーカスレンズ84を含むレンズユニット18を透過し、後述の撮像素子22の受光面22A(
図3参照)に結像される。なお、「被写体距離」とは、受光面22Aから被写体までの距離である。
【0021】
撮像装置本体12の上面には、ダイヤル24及びレリーズボタン26が設けられている。ダイヤル24は、撮像モードと再生モードとの切り替え等の各種設定の際に操作される。従って、撮像装置10では、ダイヤル24がユーザによって操作されることにより、動作モードとして撮像モードと再生モードとが選択的に設定される。
【0022】
撮像装置10は、撮像系の動作モードとして、静止画撮像モードと動画撮像モードとを有する。静止画撮像モードは、撮像装置10により被写体が撮像されて得られた静止画像を記録する動作モードであり、動画撮像モードは、撮像装置10により被写体が撮像されて得られた動画像を記録する動作モードである。なお、本実施形態では、静止画像及び動画像を区別せず総称する場合は、単に「撮像画像」という。
【0023】
レリーズボタン26は、撮像準備指示状態と撮像指示状態との2段階の押圧操作が検出可能に構成されている。撮像準備指示状態とは、例えば待機位置から中間位置(半押し位置)まで押下される状態を指し、撮像指示状態とは、中間位置を超えた最終押下位置(全押し位置)まで押下される状態を指す。なお、以下では、「待機位置から半押し位置まで押下される状態」を「半押し状態」といい、「待機位置から全押し位置まで押下される状態」を「全押し状態」という。
【0024】
オートフォーカスモードでは、レリーズボタン26を半押し状態にすることにより撮像条件の調整が行われ、その後、引き続き全押し状態にすると本露光が行われる。つまり、レリーズボタン26を半押し状態にすることによりAE(Auto Exposure)機能が働いて露光量状態が設定された後、AF(Auto Focus)機能が働いて合焦制御され、レリーズボタン26を全押し状態にすると撮像が行われる。
【0025】
一例として
図2に示すように、撮像装置本体12の背面には、ディスプレイ28、十字キー30、MENU/OKキー32、BACK/DISPボタン34、ファインダ36、及びタッチパネル38が設けられている。
【0026】
ディスプレイ28は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)であり、撮像装置10により被写体が撮像されることで得られた画像及び文字等を表示する。なお、本実施形態のディスプレイ28は、タッチパネル38と共に、タッチパネルディスプレイ29として構成されている。ディスプレイ28は、撮像モードにおけるライブビュー画像の表示に用いられる。ライブビュー画像は、スルー画像とも称され、撮像装置10の撮像素子22により被写体が連続フレームで撮像されて得られた連続フレーム画像である。なお、「撮像画像」という場合は、ライブビュー画像も含む。
【0027】
ディスプレイ28は、静止画撮像の指示が与えられた場合に単一フレームで撮像されて得られた静止画像の表示にも用いられる。更に、ディスプレイ28は、再生モードにおける再生画像の表示及びメニュー画面等の表示にも用いられる。
【0028】
ディスプレイ28の表示領域の表面には、透過型のタッチパネル38が重ねられている。タッチパネル38は、例えば、指またはスタイラスペン等の指示体による接触を検知する。タッチパネル38は、タッチパネル38に対する指示体による接触の有無等の検知結果を示す検知結果情報を、予め定められた周期(例えば100ミリ秒)で既定の出力先(例えば、後述のCPU(Central Processing Unit)74、
図3参照)に出力する。検知結果情報は、タッチパネル38が指示体による接触を検知した場合、タッチパネル38上の指示体による接触位置を特定可能な二次元座標(以下、「座標」という)を含み、タッチパネル38が指示体による接触を検知していない場合、座標を含まない。
【0029】
十字キー30は、1つまたは複数のメニューの選択、ズーム、またはコマ送り等の各種の指示に応じた指示内容信号を出力するマルチファンクションのキーとして機能する。MENU/OKキー32は、メニュー(MENU)ボタンとしての機能と、許可(OK)ボタンとしての機能とを兼備した操作キーである。メニュー(MENU)ボタンとしての機能は、ディスプレイ28の画面上に1つまたは複数のメニューを表示させる指示を行うための機能である。許可(OK)ボタンとしての機能は、選択内容の確定及び実行等を指示する機能である。BACK/DISPボタン34は、選択項目等、所望の対象の消去、指定内容の取消し、あるいは1つ前の操作状態に戻す場合等に使用される。
【0030】
図3は、本実施形態の撮像装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。また、
図4は、本実施形態の撮像装置10に含まれる撮像レンズ14のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0031】
図3に示すように、本実施形態の撮像装置本体12は、マウント13を備えており(
図1も参照)、撮像レンズ14は、マウント15を備えている。撮像レンズ14は、マウント13にマウント15が結合されることにより、撮像装置本体12に交換可能に装着される。
【0032】
撮像レンズ14は、上述したレンズユニット18に加えて、絞り19、及び制御装置40を含む。制御装置40は、マウント13にマウント15が接続されることで、撮像装置本体12の外部I/F(Interface)72を介してCPU74と電気的に接続され、CPU74の指示に従って、撮像レンズ14の全体を制御する。
【0033】
図4に示すように、本実施形態のレンズユニット18は、入射レンズ80、ズームレンズ82、及び上述したフォーカスレンズ84を含む。入射レンズ80、ズームレンズ82、及びフォーカスレンズ84は、光軸L1に沿って設けられており、絞り19側から光軸L1に沿ってフォーカスレンズ84、ズームレンズ82、及び入射レンズ80の順に配置されている。
【0034】
被写体光は、入射レンズ80に入射される。入射レンズ80は、被写体光を透過させ、ズームレンズ82に導く。本実施形態のズームレンズ82は、光軸L1に沿って移動可能な複数のレンズを含む。撮像レンズ14の焦点距離(以下、単に「焦点距離」という)は、ズームレンズ82の位置によって調節される。具体的には、ズームレンズ82は、十字キー30等を介したズーム操作により各レンズが光軸L1に沿って近づいたり、遠ざかったりすることによってレンズ間の光軸L1に沿った位置関係が調節され、焦点距離が調節される。ズームレンズ82は、入射レンズ80から入射された被写体光を透過させ、フォーカスレンズ84に導く。
【0035】
フォーカスレンズ84は、光軸L1に沿って移動可能なレンズであり、光軸L1に沿って移動することで撮像素子22の受光面22Aに形成される被写体像の合焦状態を変化させる。フォーカスレンズ84は、ズームレンズ82から入射された被写体光を透過させ、絞り19に導く。絞り19は、レンズユニット18を透過した被写体光の光量を調節し、被写体光を撮像装置本体12内に導く。
【0036】
撮像レンズ14の制御装置40は、レンズ側主制御部86、焦点距離センサ88、フォーカスレンズ駆動部90、レンズ位置センサ92、絞り駆動部94、及び外部I/F96を含む。
【0037】
レンズ側主制御部86は、CPU98、一次記憶部100、及び二次記憶部102を備えている。CPU98は、撮像レンズ14の全体を制御する。一次記憶部100は、各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられる揮発性のメモリである。一次記憶部100の一例としては、RAM(Random Access Memory)が挙げられる。二次記憶部102は、各種プログラム及び各種パラメータ等を予め記憶した不揮発性のメモリである。二次記憶部102の一例としては、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)またはフラッシュメモリ等が挙げられる。
【0038】
CPU98、一次記憶部100、及び二次記憶部102は、バスライン104に接続されている。また、焦点距離センサ88、フォーカスレンズ駆動部90、レンズ位置センサ92、絞り駆動部94、及び外部I/F96も、バスライン104に接続されている。
【0039】
外部I/F96は、マウント15にマウント13が接続されることで、撮像装置本体12の外部I/F72と接続される。外部I/F96は、外部I/F72と協働して、CPU98と撮像装置本体12のCPU74との間の各種情報の送受信を司る。
【0040】
焦点距離センサ88は、十字キー30等を介したズーム操作の量から、ズームレンズ82の状態を検出し、検出したズームレンズ82の状態を焦点距離に換算する。そして、焦点距離センサ88は、換算して得られた焦点距離を示す焦点距離情報をCPU98に出力する。
【0041】
フォーカスレンズ駆動部90は、フォーカスレンズ駆動用モータ(図示省略)を含む。本実施形態のフォーカスレンズ駆動部90は、本開示の移動部の一例である。フォーカスレンズ駆動部90は、受付デバイス62(
図3参照)によって受け付けられた指示に応じて、CPU98の制御下で、駆動パルスに応じてフォーカスレンズ駆動用モータを作動させることで、フォーカスレンズ84を光軸L1に沿って移動させる。すなわち、フォーカスレンズ駆動部90は、CPU98からの指示に従って、フォーカスレンズ駆動用モータを作動させ、フォーカスレンズ駆動用モータの動力をフォーカスレンズ84に伝達することより、フォーカスレンズ84を光軸L1に沿って移動させる。レンズ位置センサ92は、フォーカスレンズ84の光軸L1に沿った位置(以下、単に「フォーカスレンズ84の位置」という)を検出し、検出した位置を示すレンズ位置情報をCPU98に出力する。
【0042】
絞り駆動部94は、絞り駆動用モータ(図示省略)を含む。絞り駆動部94は、受付デバイス62によって受け付けられた指示に応じて、CPU98の制御下で、絞り駆動用モータを作動させることで、絞り19の開口の大きさを調節する。
【0043】
また、本実施形態の撮像装置10は、所謂コントラストAF方式で合焦状態を制御するオートフォーカスを行う。具体的には、本実施形態の撮像装置10は、一例として
図5に示すように、無限遠(INF:infinity)側と至近(MOD:minimum object distance)側との間の範囲内においてフォーカスレンズ84の位置を光軸L1に沿って移動させながら、複数の異なる位置で撮像画像のコントラスト値を導出する。そして、撮像装置10のフォーカスレンズ駆動部90は、導出したコントラスト値がピーク値となる位置にフォーカスレンズ84を移動させることによって、合焦状態の制御(以下、「合焦制御」という)を行う。本実施形態では、コントラスト値として、撮像画像における測距領域(詳細後述)内の画像のコントラスト値を適用している。本実施形態の撮像装置10では、合焦制御を行う場合に、撮像画像内に複数の測距領域を設定する(詳細後述)。
【0044】
本実施形態では、フォーカスレンズ84の像倍率を表す像倍率データ110が、一例として
図6に示すように、レンズ側主制御部86の二次記憶部102に、予め記憶されている。フォーカスレンズ84の像倍率は、フォーカスレンズの種類等によっても異なり、また、フォーカスレンズ84の位置に応じて異なる場合がある。このようにフォーカスレンズ84の位置に応じて像倍率が異なる場合は、像倍率データ110は、フォーカスレンズ84の位置と像倍率との対応関係を表す情報となる。なお、実際には、撮像レンズ14、より具体的にはレンズユニット18全体で像倍率が決定するが、フォーカスレンズ84の移動によって像倍率が変化するため、以下では、「フォーカスレンズ84の像倍率」という場合がある。また、フォーカスレンズ84の種類によっては、フォーカスレンズ84の位置によらず、像倍率が一定で変化しないものがある。この場合、像倍率データ110は、フォーカスレンズ84の像倍率(一定値)を表す情報となる。
【0045】
一方、
図3に示すように本実施形態の撮像装置本体12は、撮像素子22、本体側主制御部46、撮像素子ドライバ50、画像信号処理回路52、画像メモリ54、画像処理部56、及び表示制御部58を含む。また、撮像装置本体12は、受付I/F60、受付デバイス62、メディアI/F64、及び外部I/F72を含む。
【0046】
本体側主制御部46は、本開示の技術のコンピュータの一例であり、CPU74、一次記憶部76、及び二次記憶部78を備えている。CPU74は、撮像装置10の全体を制御する。一次記憶部76は、各種プログラムの実行におけるワークエリア等として用いられる揮発性のメモリである。一次記憶部76の一例としては、RAM等が挙げられる。本実施形態の二次記憶部78は、
図7に示すように、合焦制御プログラム79を含む各種プログラム、及び各種パラメータ等を予め記憶した不揮発性のメモリである。二次記憶部78の一例としては、EEPROMまたはフラッシュメモリ等が挙げられる。
【0047】
CPU74は、二次記憶部78から合焦制御プログラム79を読み出して一次記憶部76に展開し、展開した合焦制御プログラム79に従って、詳細を後述する合焦制御処理を実行する。換言すると、CPU74は、合焦制御プログラム79を実行することで、本開示の入力部、処理部、及び制御部として動作する。本実施形態の合焦制御プログラム79が、本開示のプログラムの一例である。
【0048】
CPU74、一次記憶部76、及び二次記憶部78は、バスライン81に接続されている。また、撮像素子ドライバ50、及び画像信号処理回路52も、バスライン81に接続されている。また、画像メモリ54、画像処理部56、表示制御部58、受付I/F60、メディアI/F64、及び外部I/F72も、バスライン81に接続されている。
【0049】
撮像素子ドライバ50は、撮像素子22に接続されている。撮像素子ドライバ50は、撮像素子22の動作を制御する。本実施形態では、撮像素子22として、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサを用いている。ただし、本開示の技術はこれに限定されるものではなく、撮像素子22として、例えば、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサ等の他のイメージセンサを用いてもよい。
【0050】
画像信号処理回路52は、水平同期信号に応じて撮像素子22から1フレーム分の画像信号を画素毎に読み出す。画像信号処理回路52は、読み出した画像信号に対して、相関二重サンプリング処理、自動利得調整、及びA/D(Analog/Digital)変換等の各種処理を行う。画像信号処理回路52は、画像信号に対して各種処理を行うことでデジタル化した画像信号を、CPU74から供給されるクロック信号で規定される特定のフレームレート(例えば、数十フレーム/秒)で1フレーム毎に画像メモリ54に出力する。画像メモリ54は、画像信号処理回路52から入力された画像信号を一時的に保持する。
【0051】
画像処理部56は、画像メモリ54から特定のフレームレートで1フレーム毎に画像信号を取得し、取得した画像信号に対して、ガンマ補正、輝度変換、色差変換、及び圧縮処理等の各種処理を行う。また、画像処理部56は、各種処理を行って得た画像信号を、特定のフレームレートで1フレーム毎に表示制御部58に出力する。更に、画像処理部56は、各種処理を行って得た画像信号を、CPU74の要求に応じて、CPU74に出力する。
【0052】
表示制御部58は、タッチパネルディスプレイ29のディスプレイ28、及びファインダ36に接続されており、CPU74の制御下で、ディスプレイ28、及びファインダ36を制御する。また、表示制御部58は、画像処理部56から入力された画像信号を、1フレーム毎に特定のフレームレートでディスプレイ28、及びファインダ36に出力する。
【0053】
ディスプレイ28は、表示制御部58から特定のフレームレートで入力された画像信号により示される画像をライブビュー画像として表示する。また、ディスプレイ28は、単一フレームで撮像されて得られた単一フレーム画像である静止画像も表示する。なお、ディスプレイ28には、ライブビュー画像の他に、再生画像及びメニュー画面等が表示される。ファインダ36は、いわゆる電子ビューファインダであり、ディスプレイ28と同様に、表示制御部58から特定のフレームレートで入力された画像信号により示される画像をライブビュー画像として表示する。
【0054】
受付デバイス62は、ダイヤル24、レリーズボタン26、十字キー30、MENU/OKキー32、及びBACK/DISPボタン34等を有しており、ユーザによる各種指示を受け付ける。
【0055】
タッチパネルディスプレイ29のタッチパネル38及び受付デバイス62は、受付I/F60に接続されており、受け付けた指示の内容を示す指示内容信号を受付I/F60に出力する。受付I/F60は、入力された指示内容信号をCPU74に出力する。CPU74は、受付I/F60から入力された指示内容信号に応じた処理を実行する。
【0056】
メディアI/F64には、メモリカード66が着脱可能に接続されている。メディアI/F64は、CPU74の制御下で、メモリカード66に対する画像ファイルの記録及び読み出しを行う。
【0057】
メディアI/F64によってメモリカード66から読み出された画像ファイルは、CPU74の制御下で、画像処理部56によって伸長処理が施されてディスプレイ28に再生画像として表示される。
【0058】
撮像装置10では、受付デバイス62で受け付けられた指示に応じて、動作モードが切り替えられる。例えば、撮像装置10では、撮像モード下において、受付デバイス62で受け付けられた指示に応じて、静止画撮像モードと動画撮像モードとが選択的に設定される。静止画撮像モード下では、静止画像ファイルがメモリカード66に記録可能になり、動画撮像モード下では、動画像ファイルがメモリカード66に記録可能になる。
【0059】
CPU74は、静止画撮像モード下でレリーズボタン26によって静止画像の撮像の指示が受け付けられた場合、撮像素子ドライバ50を制御することで、撮像素子22に1フレーム分の本露光を行わせる。画像処理部56は、CPU74の制御下で、1フレーム分の露光が行われることによって得られた画像信号を取得し、取得した画像信号に対して圧縮処理を施して特定の静止画像用フォーマットの静止画像ファイルを生成する。なお、特定の静止画像用フォーマットは、例えば、JPEG(Joint Photographic Experts Group)形式のフォーマットであってもよい。静止画像ファイルは、CPU74の制御下で、メディアI/F64によってメモリカード66に記録される。
【0060】
画像処理部56は、動画撮像モード下でレリーズボタン26によって動画像の撮像の指示が受け付けられた場合、ライブビュー画像用の画像信号に対して圧縮処理を施して特定の動画像用フォーマットの動画像ファイルを生成する。なお、特定の動画像用フォーマットとは、例えば、MPEG(Moving Picture Experts Group)形式のフォーマットであってもよい。動画像ファイルは、CPU74の制御下で、メディアI/F64によってメモリカード66に記録される。
【0061】
次に、本実施形態の撮像装置10の作用として、上述したオートフォーカスにおける合焦制御処理を実行する場合の撮像装置10の作用について説明する。
【0062】
フォーカスレンズ84を無限遠側と至近側との間の範囲で移動させる場合、フォーカスレンズ84の位置の変化に伴ってフォーカスレンズ84の像倍率が変化する場合がある。一例として、フォーカスレンズ84が無限遠側から至近側に向けて移動すると、フォーカスレンズ84の像倍率が拡大し、また、フォーカスレンズ84が至近側から無限遠側に向けて移動すると、フォーカスレンズ84の像倍率が縮小する場合がある。この場合、
図8に示すように、フォーカスレンズ84の像倍率がフォーカスレンズ84の位置に応じて変化すると、撮像画像150(150A、150B、及び150C)に含まれる被写体の画像154(154A、154B及び、154C)の位置及び大きさが変化する場合がある。なお、以下では、撮像画像150A、150B、及び150C、被写体の画像154A、154B及び、154C等について総称する場合は、個々を示す符号(A〜C)の記載を省略する場合がある。また、以下では、被写体の画像154の位置を、単に「像位置」という場合がある。
【0063】
図8に示した例では、被写体の画像154の大きさは、無限遠側に対応する撮像画像150Aの被写体の画像154Aが最も大きく、無限遠側と至近側との間の位置Xに対応する撮像画像150Bの被写体の画像154B、至近側に対応する撮像画像150Cの被写体の画像154Cの順で小さくなる。また、被写体の画像154の位置は、撮像画像150Aの被写体の画像154Aが最も撮像画像150の外縁に近く、撮像画像150Bの被写体の画像154B、撮像画像150Cの154Cの順で撮像画像150の中心151に近付く。すなわち、フォーカスレンズ84が無限遠側に近付くほど、被写体の画像154の位置は、撮像画像150の中心151から外縁に向かう方向に移動する傾向がある。また、フォーカスレンズ84が無限遠側に近付くほど、被写体の画像154の画像の大きさは、大きくなる傾向がある。逆を言えば、被写体の画像154は、フォーカスレンズ84が至近側に近付くほど、撮像画像150の外縁から中心151に向けた位置に移動し、画像が小さくなる傾向がある。
【0064】
このように、被写体の画像154の位置が変化することにより、被写体の画像154が測距領域から外れてしまうことを抑制するために、本実施形態の撮像装置10では、上述したように撮像画像150内に複数の測距領域を設定する、所謂、多点測距を行う。
図9には、複数の測距領域を設定した一例を示す。
図9では、9つの測距領域152A、152B、152C、152D、152E、152F、152G、152H、152Iを設定した場合を示している。
図9に示した一例のように、本実施形態の測距領域152A〜152Iは、同一の形状及び大きさであり、隣り合った状態に配置されている。なお、以下では、測距領域152A〜152Iを総称する場合、測距領域152という。本実施形態の撮像装置10において、多点測距を行う処理が、本開示の処理部が行う第1処理の一例である。
【0065】
多点測距では、測距領域152各々のコントラスト値を取得し、測距領域152毎にコントラスト値の変化のピークに対応するフォーカスレンズ84の位置を検出する。そして測距領域152毎に検出されたフォーカスレンズ84の位置から、フォーカスレンズ84の合焦位置を特定する。
【0066】
測距領域152毎に検出されたフォーカスレンズ84の位置から、フォーカスレンズ84の合焦位置を特定する方法は特に限定されない。例えば、メインとなる被写体は手前に位置する傾向があることを鑑みて、検出されたフォーカスレンズ84の位置のうち、最も手前の位置を、合焦位置として特定する、手前優先式を適用してもよい。また例えば、検出されたフォーカスレンズ84の位置が近い測距領域152が予め定められた数以上ある場合、その測距領域152により検出されたフォーカスレンズ84の位置の平均値を、合焦位置として特定する、面積方式としてもよい。
【0067】
フォーカスレンズ84の位置が変化すると、各測距領域152に対して、
図10に示した矢印P方向に、被写体の画像154の位置が変化する。このため、各測距領域152内から被写体の画像154が出入りし、安定したコントラスト値を取得することができない場合がある。
【0068】
そこで、本実施形態の撮像装置10では、CPU74が、フォーカスレンズ84の像倍率の変化量に応じた像位置の変化量が小さく、安定したコントラスト値を取得できると判断される場合、多点測距を行う。一方、像位置の変化量が大きく、安定したコントラスト値を取得できない懸念が高い場合、多点測距に替わり、各測距領域152のコントラスト値を加算した加算値に基づいてフォーカスレンズ84の位置を検出し、合焦位置とする制御を行う。この制御は、各測距領域152のコントラスト値を加算することにより、9つの測距領域152を合わせた大きな1つの測距領域152によりコントラスト値の変化のピークを検出し、フォーカスレンズ84の位置を検出していることと等価となる。測距領域152全体では、1つ1つの測距領域152の場合よりも、被写体の画像154の出入りが少なくなるため、1つ1つの測距領域152の場合と比較して、安定したコントラスト値を取得することができる。本実施形態では、このように複数の測距領域152のコントラスト値を加算して合焦位置を特定する方法を、「加算エリア測距」という。なお、以下では、加算エリア測距において、加算対象となる複数の測距領域152により形成される測距領域全体を、説明の便宜上、「測距領域153」という。本実施形態の撮像装置10において、加算エリア測距を行う処理が、本開示の処理部が行う第2処理の一例である。
【0069】
次に、本実施形態のCPU74により実行される、合焦制御処理について説明する。
図11には、本実施形態の撮像装置10のCPU74により実行される合焦制御処理の一例のフローチャートを示す。本実施形態では、ユーザがレリーズボタン26を半押し状態にした場合に、撮像装置10のCPU74が、二次記憶部78から合焦制御プログラム79を読み出して一次記憶部76に展開して実行することにより、
図11に一例を示した、合焦制御処理を実行する。
【0070】
図11のステップS100で、CPU74は、撮像レンズ14が撮像装置本体12に、撮像レンズ14の制御装置40と通信が可能な状態に接続されているか否かを判定する。本実施形態では具体的には、CPU74は、マウント13にマウント15が接続されているか否かを判定する。撮像レンズ14が撮像装置本体12に接続されていない場合、ステップS100の判定が否定判定となり、本合焦制御処理を終了する。一方、撮像レンズ14が撮像装置本体12に接続されている場合、ステップS100の判定が肯定判定となり、ステップS102へ移行する。
【0071】
次のステップS102で、CPU74は、コントラスト値のピークを検出するピーク検出動作を行う。CPU74は、フォーカスレンズ84の移動が開始されると、フォーカスレンズ84を移動させた位置毎に、測距領域152毎に、測距領域152内の被写体の画像のコントラスト値を検出し、コントラスト値がピークとなるフォーカスレンズ84の位置を検出する。
【0072】
ステップS104で、CPU74は、像倍率データ110を取得する、上述したように、像倍率データ110は、撮像レンズ14の制御装置40が有する二次記憶部102に記憶されている。そのため、CPU74は、制御装置40のCPU98によって二次記憶部102から読み出された像倍率データ110を、外部I/F72及び外部I/F96を介して取得する。
【0073】
次のステップS106で、CPU74は、像位置の変化量を導出する。具体的には、本実施形態のCPU74は、まず、像倍率データ110に基づいて、コントラスト値のピークを検出するためにフォーカスレンズ84を移動させる範囲(以下、「ピークサーチ範囲」という)における像位置(被写体の画像154の位置)の変化量を導出する。
【0074】
ピークサーチ範囲におけるピークの検出を開始する位置(開始位置)をps、開始位置psに対応する像倍率をK[ps]とする。また、ピークの検出を終了する位置(終了位置)をpe、終了位置peに対応する像倍率をK[pe]とする。また、撮像画像150の中心151から測距領域152の中心までの距離をRとすると、ピークサーチ中の像位置の変化量Dは、開始位置psから終了位置peまでの間に、被写体の画像154が相対的にどれほど移動したかを表す、下記(1)式により導出される。
【0075】
D=|R×(K[ps]−K[pe])÷K[ps]| ・・・(1)
【0076】
次のステップS108で、CPU74は、上記ステップS106で導出した像位置の変化量Dが、所定値以下であるか否かを判定する。ステップS108を実行することにより、CPU74が、本開示の制御部として機能し、撮像レンズ14の像倍率の変化に応じた像位置の変化量Dに応じて、処理部に行わせる一方の処理を切り替える制御を行う。
【0077】
すなわち、像位置の変化量Dが所定値以下の場合、ステップS108の判定が肯定判定となり、ステップS110へ移行する。ステップS110で、CPU74は、上述した多点測距により、フォーカスレンズ84の合焦位置を特定する。なお、測距領域152各々により検出されたフォーカスレンズ84の位置から合焦位置を特定する方法は、上述の手前優先式及び面積方式のいずれを適用してもよく、いずれか一方の方式を予め定めておいてもよいし、ユーザにより選択が可能であってもよい。
【0078】
一方、像位置の変化量Dが、所定値以下ではない場合、換言すると、像位置の変化量Dが所定値を超える場合、ステップS108の判定が否定判定となり、ステップS112へ移行する。この場合、CPU74は、上述した加算エリア測距を行う。そのため、ステップS112で、CPU74は、測距領域152毎のコントラスト値を加算する。そして次のステップS114で、CPU74は、加算値に基づいた合焦位置の特定を行う。このようにしてCPU74が本開示の処理部として機能し、多点測距または加算エリア測距のいずれかが行われる。
【0079】
次のステップS116で、CPU74は、フォーカスレンズ駆動部90によって、特定した合焦位置にフォーカスレンズ84を移動させる。このステップS116の処理により、合焦位置にフォーカスレンズ84を移動させることで、所謂、ピントがあった状態となり、本合焦制御処理が終了される。
【0080】
このように本実施形態の撮像装置10では、フォーカスレンズ84の位置の変化に伴い変化する像位置の変化量が所定値を超える場合、多点測距に替わり、加算エリア測距を行う。加算エリア測距を行うため、1つ1つの測距領域152を合わせた測距領域153内の被写体の画像154のコントラスト値により、フォーカスレンズ84の合焦位置を特定するのと等価となる。従って、本実施形態の撮像装置10によれば、フォーカスレンズ84の像倍率の変化に応じて像位置が変化した場合でも、安定してコントラスト値を取得することができるため、合焦位置の特定精度を向上させることができる。
【0081】
[第2実施形態]
以下、第2実施形態について詳細に説明する。なお、本実施形態では、上記第1実施形態で説明した構成及び作用と同一の構成及び作用については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0082】
本実施形態の撮像装置10の構成は、第1実施形態の撮像装置10の構成(
図1〜
図4参照)と同様であるため、説明を省略する。なお、本実施形態のCPU74が、本開示の指示部の一例である。
【0083】
一方、本実施形態の撮像装置10の作用は、合焦制御処理の一部が異なっている。合焦制御処理において、ピーク検出の動作中に被写体が動いてしまう場合がある。被写体が動くと、撮像画像150における被写体の画像154の位置も変化する。このような場合に対応する方法として、いわゆる被写体追尾モード等と呼ばれる方法がある。被写体追尾モードでは、CPU74は、ピーク検出の動作中に取得した撮像画像150を用いて、撮像画像150に含まれる特定の被写体の画像154を追尾して、被写体の画像154の移動に合わせて、測距領域152の位置を移動させる移動処理を行う。
【0084】
このように被写体追尾モードでは、被写体の画像154の移動に合わせて、測距領域152の位置を移動させるため、フォーカスレンズ84の位置が移動することにより像位置が変化した場合でも、移動した被写体の画像154の位置に合わせて、測距領域152の位置が移動する。そのため、第1実施形態で説明したように、加算エリア測距を行わなくても、測距領域152内に、被写体の画像154が十分に収まる。そこで、本実施形態の合焦制御処理では、被写体追尾モードを実行する場合には、多点測位を行う。
【0085】
図12には、本実施形態の合焦制御処理の流れの一例を示すフローチャートを示す。
図12に示すように、本実施形態の合焦制御処理では、第1実施形態の合焦制御処理(
図11参照)に比べ、ステップS102とステップS104との間に、ステップS103の処理を実行する点が異なっている。
【0086】
図12に示すステップS103で、CPU74は、被写体追尾モードを実行するか否かを判定する。本実施形態の撮像装置10では、一例として、ユーザによる被写体追尾モードの実行の指示を受付デバイス62が受け付けた場合に、被写体追尾モードがCPU74により実行される。そのため、受付デバイス62が被写体追尾モードの実行の指示を受け付けた場合、ステップS103の判定が肯定判定となり、ステップS110へ移行する。従って、被写体追尾モードを実行する場合、多点測距が行われる。
【0087】
一方、受付デバイス62が被写体追尾モードの実行の指示を受け付けていない場合、ステップS103の判定が否定判定となり、ステップS104へ移行する。従って、被写体追尾モードを実行しない場合、第1実施形態と同様に、像位置の変化量が所定値を超えると、加算エリア測距が行われる。
【0088】
このように、本実施形態の撮像装置10では、被写体の画像154の移動に応じて測距領域152の位置を移動させる、被写体追尾モードを実行する場合、多点測距により合焦位置を特定している。
【0089】
従って、本実施形態の撮像装置10によれば、測距領域152内に被写体の画像154以外の画像が含まれるのを抑制することができるため、被写体の画像154に対応する特定の被写体と異なる被写体に合焦してしまうのを抑制することができ、特定の被写体に合焦し易くすることができる。
【0090】
[第3実施形態]
以下、第3実施形態について詳細に説明する。なお、本実施形態では、上記第1実施形態及び第2実施形態で説明した構成及び作用と同一の構成及び作用については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0091】
本実施形態の撮像装置10の構成は、第1実施形態の撮像装置10の構成(
図1〜
図4参照)と同様であるため、説明を省略する。
【0092】
第2実施形態では、ユーザによる被写体追尾モードの実行の指示を受付デバイス62が受け付けた場合に、被写体追尾モードがCPU74により実行される形態について説明した。本実施形態では、受付デバイス62がユーザによる被写体追尾モードの実行の指示を受け付けていない場合でも、自動的に被写体追尾モードの実行が可能な形態について説明する。
【0093】
被写体追尾モードを実行する場合、CPU74は、撮像画像150に対して画像解析を行い、被写体の顔等を検出し、検出した顔を含む領域に対する追尾を行う処理を実行する。この処理では、フォーカスレンズ84の移動中に取得した複数の撮像画像150に対して、テンプレートマッチングを行うことで、被写体の顔を含む領域を検出し、被写体の画像154の移動後の位置を検出するため、演算処理の負荷が高く、演算処理に時間を要する。そのため、ピーク検出動作中におけるフレームレートが高速になると、演算処理が追いつかず、リアルタイムに測距領域152を移動させることができない場合が生じる。
【0094】
そこで、本実施形態の撮像装置10では、フレームレート及び演算処理に要すると見込まれる時間(以下、「演算見込時間」という)の少なくとも一方に応じて、被写体追尾モードの実行の可否の判定を行う。
【0095】
図13には、本実施形態の合焦制御処理の流れの一例を示すフローチャートを示す。
図13に示すように、本実施形態の合焦制御処理では、第2実施形態の合焦制御処理(
図12参照)のステップS100とS102との間に、ステップS101A、S101B、S101C、S101Dの各処理を実行する点が異なっている。
【0096】
図13に示すステップS101Aで、CPU74は、ユーザによる被写体追尾モードの実行の指示を受付デバイス62が受け付けたか否か判定する。受付デバイス62がユーザによる被写体追尾モードの実行の指示を受け付けた場合、ステップS101Aの判定が肯定判定となり、ステップS101Cへ移行する。
【0097】
一方、受付デバイス62が、ユーザによる被写体追尾モードの実行の指示を受け付けていない場合、ステップS101Aの判定が否定判定となり、ステップS101Bへ移行する。
【0098】
ステップS101Bで、CPU74は、フレームレートf[Hz]と演算見込時間t(sec)とを乗算した値が、閾値TH以下(f×t≦TH)であるか否かを判定する。本実施形態では、本ステップS101Bの処理を実行することにより、CPU74は、フレームレートが高速であるために被写体の位置の変化を検出するのに要する演算処理が追いつかない状態であるか否かを判定する。なお、本判定に用いるための閾値THは実験等により予め得ておき、二次記憶部78に記憶させておけばよい。また、演算見込時間tは、撮像画像150の大きさ及び/または解像度等により異なるため、本実施形態の撮像装置10では、撮像画像150の大きさ及び/または解像度等に応じた複数の演算見込時間tを、予め二次記憶部78に記憶させておく。本実施形態の演算見込時間tが、本開示の処理予想時間の一例である。
【0099】
フレームレートfと演算見込時間tとを乗算した値が、閾値TH以下の場合、ステップS101Bの判定が肯定判定となり、ステップS101Cへ移行する。ステップS101Cで、CPU74は、被写体追尾モードの実行を許可する。
【0100】
一方、フレームレートfと演算見込時間tとを乗算した値が、閾値TH以下ではない場合、換言すると、フレームレートfと演算見込時間tとを乗算した値が、閾値THを超える場合、ステップS101Bの判定が否定判定となり、ステップS101Dへ移行する。ステップS101Dで、CPU74は、被写体追尾モードの実行を禁止する。
【0101】
例えば、閾値THが5(TH=5)、かつ演算見込時間tが0.01[sec]の場合、フレームレートfに応じて、以下のようになる。
【0102】
フレームレートfが100[Hz]の場合、
t×f=0.01×100=1≦TH
となるため、上記ステップS101Bが肯定判定となり、ステップS101Cで被写体追尾モードの実行が許可される。
【0103】
一方、フレームレートfが1000[Hz]の場合、
t×f=0.01×1000=10>TH
となるため、上記ステップS103Bは否定判定となり、ステップS101Dで被写体追尾モードの実行が禁止される。
【0104】
このように本実施形態では、フレームレートfが高速になると、CPU74により被写体追尾モードの実行が禁止される。
【0105】
また例えば、閾値THが5(TH=5)、かつフレームレートfが100[Hz]の場合、演算見込時間tに応じて、以下のようになる。
【0106】
演算見込時間tが0.01[sec]の場合、上述したように、t×f=1≦TH、となるため、上記ステップS103Bが肯定判定となり、ステップS101Cで被写体追尾モードの実行が許可される。
【0107】
一方、演算見込時間tが0.1[sec]の場合、
t×f=0.1×100=10>TH
となるため、上記ステップS101Bは否定判定となり、ステップS101Dで被写体追尾モードの実行が禁止される。
【0108】
このように、本実施形態では、演算見込時間tが長くなると、CPU74により被写体追尾モードの実行が禁止される。
【0109】
なお、本実施形態では、被写体追尾モードの実行を許可及び禁止のいずれとするかの判定を、フレームレートfと演算見込時間tとを乗算した値と、閾値THとを比較することにより行う形態としているが、本形態に限定されない。フレームレートf及び演算見込時間tの少なくとも一方に応じて、被写体追尾モードの実行を許可及び禁止のいずれとするかの判定を行う形態であればよい。
【0110】
このように、本実施形態の撮像装置10では、フレームレートf及び演算見込時間tの少なくとも一方に応じて、被写体追尾モードを実行した場合にリアルタイムに測距領域152を移動させることができないと見込まれ、かつ像位置の変化量Dが所定値を超える場合、加算エリア測距により、合焦位置を特定する。
【0111】
従って、本実施形態の撮像装置10によれば、測距領域152内に被写体の画像154が含まれる確率を高くすることができる。
【0112】
[第4実施形態]
以下、第4実施形態について詳細に説明する。なお、本実施形態では、上記第1実施形態で説明した構成及び作用と同一の構成及び作用については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0113】
本実施形態の撮像装置10の構成は、第1実施形態の撮像装置10の構成(
図1〜
図4参照)と同様であるため、説明を省略する。
【0114】
一方、本実施形態の撮像装置10の作用は、合焦制御処理の一部が異なっている。合焦制御処理の方式として、ピーク検出動作においてフォーカスレンズ84を移動させている最中に、コントラスト値のピークが検出されると、フォーカスレンズ84の移動を停止させ、ピーク検出動作(合焦制御処理)を終了させる方式が知られている。撮像装置10から特定の被写体までの距離に応じて、光軸方向におけるピークの位置は異なる。そのため、この方式では、撮像装置10から特定の被写体までの距離によって、フォーカスレンズ84の移動について、ピーク検出動作を開始する開始位置psからフォーカスレンズ84の移動を停止するまでの距離、すなわちピークサーチ範囲が異なる。従って、撮像装置10から特定の被写体までの距離によって、像位置の変化量が異なる。
【0115】
本実施形態の撮像装置10では、ピーク検出動作を停止した場合に、フォーカスレンズ84が移動した範囲であるピークサーチ範囲に応じて導出した像位置の変化量に基づいて、多点測距及び加算エリア測距のいずれを行うかの判定を行う。また、撮像装置10は、加算エリア測距を行う場合は、像位置の変化量に基づいて、加算する測距領域152を決定する。
【0116】
図14に示すように、本実施形態では、ピーク検出動作を行う場合、フォーカスレンズ84を、現在位置から、ピーク検出のための移動方向とは逆方向に一旦、移動させ、移動させた位置をピーク検出動作の開始位置psとし、ピークサーチ範囲の基準位置とする。なお、
図14では、一例として、至近(MOD)側から無限遠(INF)側へフォーカスレンズ84を移動させる場合を示している。
【0117】
図15には、本実施形態の合焦制御処理の流れの一例を示すフローチャートを示す。
図15に示すように、本実施形態の合焦制御処理では、第1実施形態の合焦制御処理(
図11参照)に比べ、ステップS112の前に、ステップS111の処理を実行する点が異なっている。
【0118】
なお、本実施形態では、上述したように、ステップS102のピーク検出動作において、フォーカスレンズ84を、無限遠側の端、または至近側の端まで移動させる前に、コントラスト値の変化のピークが検出された場合、フォーカスレンズ84の移動を停止させる。なお、ここでコントラスト値のピークを検出する測距領域152は、例えば、測距領域152A〜152Iのいずれか1つであってもよいし、予め定められた測距領域152であってもよい。また例えば、予め定められた数以上の測距領域152においてピークを検出した場合としてもよい。また例えば、最も手前の位置の被写体についてピークを検出した場合としてもよい。この場合、
図14に示したように、フォーカスレンズ84の移動を停止させた位置が、ピークサーチ終了位置peとなる。
【0119】
図15に示すステップS111で、CPU74は、上記ステップS106で導出した像位置の変化量に応じて、コントラスト値を加算する測距領域152を決定する。本実施形態の撮像装置10では、像位置の変化量が大きいほど、加算する測距領域152の数を多くする。換言すると、本実施形態の撮像装置10では、像位置の変化量が大きいほど、測距領域153の大きさを大きくする。
【0120】
例えば、像位置の変化量に応じて予め閾値を定めておき、CPU74は、変化量が閾値以下の場合、2個×2個の、合計4個の測距領域152のコントラスト値を加算すると決定する。
図16A、
図16B、
図16C、
図16Dには、4個の測距領域152による測距領域153の具体例を示す。
図16Aは、測距領域152A、152B、152D、及び152Eの4個による測距領域153を示している。また、
図16Bは、測距領域152D、152E、152G、及び152Hの4個による測距領域153を示している。
図16Cは、測距領域152E、152F、152H、及び15IEの4個による測距領域153を示している。さらに、
図16Dは、測距領域152B、152C、152E、及び152Fの4個による測距領域153を示している。
【0121】
なお、測距領域153を、
図16A〜
図16Dに示した例のいずれとするかは限定されない。例えば、
図16A〜
図16Dのいずれとするかを予め定めておいてもよい。また例えば、フォーカスレンズ84を移動させる方向、すなわち、像位置の移動方向に応じて、CPU74が、
図16A〜
図16Dの測距領域153のいずれかを選択してもよい。具体的には、上述したように、フォーカスレンズ84が至近側から無限遠側に移動する場合、像位置が撮像画像150の中心151から外縁に向かう方向に移動するため、例えば、CPU74は、
図16Aまたは
図16Bに示した測距領域153を選択する。一方、上述したように、フォーカスレンズ84が無限遠側から至近遠側に移動する場合、像位置が撮像画像150の外縁から中心151に向かう方向に移動するため、例えば、CPU74は、
図16Cまたは
図16Dに示した測距領域153を選択する。
【0122】
一方、像位置の変化量が上記の閾値を超える場合、CPU74は、全ての(9個の)測距領域152のコントラスト値を加算すると決定する。
【0123】
このように、本実施形態の撮像装置10では、実際のピークサーチ範囲pに応じた像位置の変化量に応じて、加算エリア測距を行い、かつ、加算する測距領域152の数を決定する。そのため、本実施形態の撮像装置10によれば、適切な大きさの測距領域152(測距領域153)により、コントラスト値のピークの検出が行われるため、測距領域152(測距領域153)内に被写体の画像154以外の画像が含まれる確率を低くすることができる。
【0124】
従って、本実施形態の撮像装置10によれば、フォーカスレンズ84の像倍率の変化に応じて像位置が変化した場合でも、合焦位置の特定精度をより向上させることができる。
【0125】
[第5実施形態]
以下、第5実施形態について詳細に説明する。なお、本実施形態では、上記各実施形態で説明した構成及び作用と同一の構成及び作用については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0126】
本実施形態の撮像装置10の構成は、第1実施形態の撮像装置10の構成(
図1〜
図4参照)と同様であるため、説明を省略する。
【0127】
本実施形態では、被写体追尾モードを実行する場合に、処理予想時間(演算見込時間t)に応じて、加算エリア測距において加算する測距領域152を決定する形態について説明する。
【0128】
合焦制御処理においてピーク検出動作を開始すると、フォーカスレンズ84の移動によって生じる像倍率の変化に伴って、被写体の画像154の位置は、
図17に示した一例のように移動する。
図17において、横軸は、フォーカスレンズ84の移動時間を表し、縦軸は、被写体の画像154の位置を表している。
【0129】
上述したように、被写体追尾モードでは、被写体の画像154の移動後の位置を検出するための演算処理の結果に基づいて、撮像画像150における測距領域152の位置を移動させる。従って、ピーク検出動作を開始した開始時刻T0から、始めに演算処理の結果が得られるまで、被写体の追尾ができず、測距領域152の位置が確定しない。そこで、本実施形態では、被写体の追尾に要する演算処理を行っている時間、具体的には、開始時刻T0から演算処理結果が得られるまでの時間(
図17、処理予想時間参照)における像位置の変化量D0を用いて、加算エリア測距において加算する測距領域152を決定する。
【0130】
図18には、本実施形態の合焦制御処理の流れの一例を示すフローチャートを示す。
図18に示すように、本実施形態の合焦制御処理では、第3実施形態の合焦制御処理(
図13参照)のステップS101C、S101Dの処理に替わり、ステップS101Eの処理を実行する点が異なっている。
【0131】
そのため、本実施形態では、
図18に示すステップS101Bで肯定判定となった場合、ステップS102へ移行する。一方、ステップS101Bで否定判定となった場合、ステップS101Eへ移行する。
【0132】
ステップS101Eで、CPU74は、処理予想時間における像位置の変化量に応じて加算する測距領域152を決定する。そのため、まず、CPU74は、処理予想時間における、像位置の変化量D0を導出する。処理予想時間における像位置の変化量は、処理予想時間内に、移動したフォーカスレンズ84の移動量に依存する。そのため、本実施形態のCPU74は、フォーカスレンズ84の移動速度と処理予想時間とを乗算した値からフォーカスレンズ84の移動量を導出する。さらにCPU74は、導出したフォーカスレンズ84の移動量と、フォーカスレンズ84の移動量について単位移動量当たりの像位置の変化量とを乗算することで、処理予想時間における像位置の変化量D0を導出する。なお、処理予想時間は、実験等により得られた値を、予め二次記憶部78に記憶させておけばよく、また、フォーカスレンズ84の移動速度も予め二次記憶部78に記憶させておけばよい。
【0133】
CPU74は、導出した変化量D0に基づいて、加算する測距領域152を決定する。測距領域152の決定方法は、第4実施形態の合焦制御処理(
図15参照)のステップS111と同様にすればよい。
【0134】
このように、本実施形態の撮像装置10では、被写体追尾モードの実行において、その演算処理に要する処理予想時間における被写体の画像154の位置の変化量D0に応じて、加算エリア測距において加算する測距領域152を決定する。従って、本実施形態の撮像装置10によれば、被写体の追尾中である測距領域152の位置が移動しない期間に、測距領域152を決定するため、被写体追尾中であっても測距領域152(測距領域153)内に被写体を捕捉する確率を高めることができる。従って、合焦精度を向上させることができる。
【0135】
[第6実施形態]
以下、第6実施形態について詳細に説明する。上記各実施形態では、加算エリア測距を行う場合、加算する測距領域152をピーク検出動作中に替えていなかった。これに対して、本実施形態では、ピーク検出動作中に、像位置の変化量に応じて、加算する測距領域152の位置を替えながら加算エリア測距を行う。なお、本実施形態では、上記各実施形態で説明した構成及び作用と同一の構成及び作用については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0136】
本実施形態の撮像装置10の構成は、第1実施形態の撮像装置10の構成(
図1〜
図4参照)と同様であるため、説明を省略する。
【0137】
図19に示した一例のように、本実施形態では、加算エリア測距において加算が可能な測距領域152が、撮像画像150の全面に設定されている。
図19に示した一例では、ピーク検出動作中に、撮像画像150内に設けられた点線で示される複数の矩形の測距領域152のうちの、像倍率の変化に応じて選択した、隣り合った9個の測距領域152を、加算エリア測距においてコントラスト値を加算する測距領域152として選択する。すなわち、本実施形態では、加算エリア測距を行う場合、ピーク検出動作中に、コントラスト値を加算する測距領域152が順次、変化する。なお、多点測距を行う場合は、
図19に示した複数の測距領域152のうち、予め定められた位置の測距領域152であって、隣り合った9個の測距領域152(
図10参照)を適用する。
【0138】
図20には、本実施形態の合焦制御処理の流れの一例を示すフローチャートを示す。
図20に示すように、本実施形態の合焦制御処理では、第1実施形態の合焦制御処理(
図11参照)に比べ、ステップS102のピーク検出動作を実行せず、ステップS108の後に、ステップS109またはステップS111A及びステップS112Aの処理を実行する点が異なっている。
【0139】
本実施形態では
図20に示すように、ステップS100で肯定判定となった場合、ステップS104、さらにはステップS106へ移行する。すなわち、本実施形態では、ピーク検出動作を行う前に、像位置の変化量を予め導出する。
【0140】
また、ステップS108で肯定判定となった場合、ステップS109へ移行する。ステップS109で、CPU74は、ピーク検出動作として多点測距を行う。多点測距を行う場合、上述のように、予め定められた位置の測距領域152であって、隣り合った9個の測距領域152を適用してピーク検出動作を行う。すなわち、上記各実施形態におけるピーク検出動作(例えば
図11のステップS102参照)と同様にピーク検出動作を行う。
【0141】
一方、ステップS108で否定判定となった場合、ステップS111Aへ移行する。ステップS111Aで、CPU74は、ピーク検出動作として加算エリア測距を行う。
図19に示したように、フォーカスレンズ84が移動すると、像倍率の変化に応じて、被写体の画像154の位置及び大きさが変化する。そのため、
図19に示した一例のように、像位置の変化方向に応じて、測距領域153として選択する測距領域152を決定する。換言すると、像位置の変化方向に応じて、測距領域153の位置を変化させる。具体的には、例えば、
図19に示すように、フォーカスレンズ84が至近側から無限遠側に移動する場合であり、測距領域153の初期位置が測距領域153Cの位置である場合、測距領域153は、測距領域153C、測距領域153B、及び測距領域153Aの順に順次変化する。一方、フォーカスレンズ84が無限遠側から至近側に移動する場合であり、測距領域153の初期位置が測距領域153Aの位置である場合、測距領域153は、測距領域153A、測距領域153B、及び測距領域153Cの順に順次変化する。なお、本実施形態では、
図19に示した全ての測距領域152について、コントラスト値を取得しておく。
【0142】
次のステップS112Aで、CPU74は、上記ステップS111Aで選択された測距領域152のコントラスト値を加算する。具体的には、ピーク検出動作中に移動させたフォーカスレンズ84の位置毎に撮像された撮像画像150毎に、選択された測距領域152のコントラスト値を加算する。従って、撮像画像150毎に、選択される測距領域152が異なり、測距領域153が異なることになる。
【0143】
このように、本実施形態では、加算エリア測距を行う場合、ピーク検出動作中に、像位置の変化量に応じて、加算する測距領域152の位置を順次変化させている。換言すると測距領域153の位置を順次変化させている。このため、測距領域153内に適切に被写体の画像154を含めることができる。従って、本実施形態の撮像装置10によれば、フォーカスレンズ84の像倍率の変化に応じて像位置が変化した場合でも、合焦位置の特定精度をより向上させることができる。
【0144】
なお、加算エリア測距を開始した直後の測距領域153の位置(選択される測距領域152)をどのようにするかは特に限定されないが、ユーザによる設定が可能とすることが好ましい。
【0145】
以上説明したように、上記各実施形態の撮像装置10は、フォーカスレンズ84を含む撮像レンズ14と、フォーカスレンズ84の位置を光軸方向に沿って移動させるフォーカスレンズ駆動部90と、CPU74及び合焦制御プログラム79を記憶する二次記憶部78を含む本体側主制御部46と、を備える。
【0146】
CPU74は、合焦制御プログラム79を実行することにより、撮像レンズ14を通過した光学像を撮像して得られた撮像画像が入力される入力部と、処理部と、制御部と、して機能する。処理部は、第1処理である多点測距と、第2処理である加算エリア測距と、いずれか一方の処理を行う。多点測距は、複数の測距領域152(152A〜152I)毎に、フォーカスレンズ駆動部90によるフォーカスレンズ84の位置の移動に応じて変化する測距領域152内の被写体の画像のコントラスト値を導出し、複数の測距領域152毎のコントラスト値に基づいてコントラスト値のピークを特定し、特定したコントラスト値のピークに対応するフォーカスレンズ84の位置を合焦位置として特定する処理である。加算エリア測距は、複数の測距領域152から導出したコントラスト値を加算した加算値に基づいてコントラスト値のピークを特定し、特定したコントラスト値のピークに対応するフォーカスレンズ84の位置を合焦位置として特定する処理である。制御部は、撮像レンズ14の像倍率の変化に応じた像位置の変化量Dに応じて、上記一方の処理を切り替える制御を行う。そして、フォーカスレンズ駆動部90は、処理部が特定した合焦位置にフォーカスレンズを移動させる。
【0147】
従って、上記各実施形態の撮像装置10によれば、像位置の変化量に応じて、多点測距と加算エリア測距といずれか一方の処理を行うため、フォーカスレンズ84の像倍率の変化に応じて像位置が変化した場合でも、合焦位置の特定精度をより向上させることができる。
【0148】
なお、上記各実施形態では、撮像装置10が本開示の合焦制御装置として機能する形態について説明したが、上記各実施形態に限定されない。例えば、撮像レンズ14が合焦制御装置として機能する形態であってもよい。この場合、上記各実施形態における本体側主制御部46に替わりレンズ側主制御部86が動作し、CPU74に替わりCPU98が入力部、処理部、及び制御部として動作すればよい。
【0149】
また、上記各実施形態では、加算エリア測距を行う場合、各測距領域152のコントラスト値を加算した加算値そのものを用いたが、上記各実施形態に限定されず、例えば、加算値を加算した測距領域152の数で除算した平均値を用いてもよい。
【0150】
上記各実施形態では、合焦制御プログラム79を二次記憶部78から読み出す場合を例示したが、必ずしも最初から二次記憶部78に記憶させておく必要はない。例えば、
図21に示すように、SSD(Solid State Drive)、USB(Universal Serial Bus)メモリ、またはCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の任意の可搬型の記憶媒体250に先ずは合焦制御プログラム79を記憶させておいてもよい。この場合、記憶媒体250の合焦制御プログラム79が撮像装置本体12にインストールされ、インストールされた合焦制御プログラム79がCPU74によって実行される。
【0151】
また、通信網(図示省略)を介して撮像装置本体12に接続される他のコンピュータまたはサーバ装置等の記憶部に合焦制御プログラム79を記憶させておき、合焦制御プログラム79が撮像装置本体12の要求に応じてダウンロードされるようにしてもよい。この場合、ダウンロードされた合焦制御プログラム79はCPU74によって実行される。
【0152】
また、上記各実施形態で説明した合焦制御処理はあくまでも一例である。従って、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
【0153】
また、上記各実施形態では、コンピュータを利用したソフトウェア構成により合焦制御処理が実現される場合を例示したが、本開示の技術はこれに限定されるものではない。例えば、コンピュータを利用したソフトウェア構成に代えて、FPGA(Field-Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア構成のみによって、合焦制御処理が実行されてもよい。また、合焦制御処理がソフトウェア構成とハードウェア構成とを組み合わせた構成によって実行されてもよい。
【0154】
より詳しくは、上記実施形態で説明した合焦制御処理を実行するハードウェア資源としては、次に示す各種のプロセッサを用いることができる。プロセッサとしては、例えば、上述したように、ソフトウェア、すなわち、プログラムを実行することで、合焦制御処理を実行するハードウェア資源として機能する汎用的なプロセッサであるCPUが挙げられる。また、プロセッサとしては、例えば、FPGA、PLD(Programmable Logic Device)、又はASICなどの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路が挙げられる。
【0155】
合焦制御処理を実行するハードウェア資源は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ、又はCPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、本開示の技術に係る各種処理を実行するハードウェア資源は1つのプロセッサであってもよい。
【0156】
1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバなどのコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが、合焦制御処理を実行するハードウェア資源として機能する形態がある。第2に、SoC(System−on−a−chip)などに代表されるように、合焦制御処理を実行する複数のハードウェア資源を含むシステム全体の機能を1つのICチップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、合焦制御処理は、ハードウェア資源として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて実現される。
【0157】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路を用いることができる。
【0158】
以上の記載から、以下の付記項1に記載の発明を把握することができる。
【0159】
[付記項1]
撮像レンズに含まれるフォーカスレンズの位置を光軸方向に沿って移動させる移動部を備える合焦制御装置において、
前記撮像レンズを通過した光学像を撮像して得られた撮像画像が入力される入力プロセッサと、
複数の測距領域毎に、前記移動部による前記フォーカスレンズの位置の移動に応じて変化する前記測距領域内の画像のコントラスト値を導出し、前記複数の測距領域毎の前記コントラスト値に基づいて前記コントラスト値のピークを特定し、特定した前記コントラスト値のピークに対応する前記フォーカスレンズの位置を合焦位置として特定する第1処理と、前記複数の測距領域から導出した前記コントラスト値を加算した加算値に基づいて前記コントラスト値のピークを特定し、特定した前記コントラスト値のピークに対応する前記フォーカスレンズの位置を合焦位置として特定する第2処理と、いずれか一方の処理を行う処理プロセッサと、
前記撮像レンズの像倍率の変化に応じた被写体の画像の位置の変化量に応じて、前記処理プロセッサに行わせる前記一方の処理を切り替える制御を行う制御プロセッサと、
を備え、
前記移動部は、前記処理プロセッサが特定した前記合焦位置に前記フォーカスレンズを移動させる、
合焦制御装置。
【0160】
本明細書において、「A及び/またはB」は、「A及びBのうちの少なくとも1つ」と同義である。つまり、「A及び/またはB」は、Aだけであってもよいし、Bだけであってもよいし、A及びBの組み合わせであってもよい、という意味である。また、本明細書において、3つ以上の事柄を「及び/または」で結び付けて表現する場合も、「A及び/またはB」と同様の考え方が適用される。
【0161】
本出願は、2018年3月30日出願の日本出願である特願2018−068990の優先権を主張するものであり、この出願の全内容は参照により本明細書に取り込まれる。また、本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。