(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車体パネルのパネル開口部に挿通された電線の外周に装着されるグロメット本体と、前記グロメット本体に装着された状態で前記パネル開口部に取り付けられるインナー部材とが備えられたグロメットであって、
前記インナー部材は、
前記電線が挿通するインナー開口部を有するインナー板部と、
前記インナー板部の一方主面において前記インナー開口部を囲む状態で設けられ、前記パネル開口部に取り付けられる筒状の取付部とを有し、
前記インナー板部の他方主面には、前記インナー開口部を囲む状態で、前記グロメット本体が装着された被装着部が設けられ、
前記グロメット本体は、前記インナー板部が露出された状態で、前記インナー部材の前記被装着部に装着された筒状の装着部を有する
グロメット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、インナー部材及びグロメット本体の各々の形状の自由度を向上させることができるグロメット及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、車体パネルのパネル開口部に挿通された電線の外周に装着されるグロメット本体と、前記グロメット本体に装着された状態で前記パネル開口部に取り付けられるインナー部材とが備えられたグロメットであって、前記インナー部材は、前記電線が挿通するインナー開口部を有するインナー板部と、前記インナー板部の一方主面において前記インナー開口部を囲む状態で設けられ、前記パネル開口部に取り付けられる筒状の取付部とを有し、前記インナー板部の他方主面には、前記インナー開口部を囲む状態で、前記グロメット本体が装着された被装着部が設けられ、前記グロメット本体は、前記インナー板部が露出された状態で、前記インナー部材の前記被装着部に装着された筒状の装着部を有するグロメットであることを特徴とする。
【0007】
なお、インナー板部の露出のさせ方として、インナー板部の一方主面(パネル側の主面)、他方主面(グロメット本体側の主面)及び外周端部のうち、少なくとも外周端部を露出させればよい。
この発明により、グロメット本体の装着部は、インナー板部を露出した状態でインナー部材の被装着部に装着されるため、即ち、グロメット本体の装着部はインナー板部を被覆しないため、インナー板部及びグロメット本体の装着部に対し、形状の制約を軽減でき、形状の自由度を向上させることができる。
【0008】
なお、外周端部全てが露出されてもよい。これにより、作業時に、外周端部に樹脂部材等がないことで、他と接触する際等に引っ掛かりが抑制される。
【0009】
また、この発明の態様として、前記インナー板部の前記一方主面には、前記取付部を囲む環状の当接リブ部材が設けられてもよい。
この発明により、インナー部材がパネル開口部に取り付けられた状態で、インナー板部と車体パネルとの間に当接リブ部材が介装される。これにより、グロメットと車体パネルとの間の防水性、防塵、防音及びガタツキ防止を確保することができる。
なお、仮に当接リブ部材をゴム製部材で形成した場合、インナー板部と車体パネルとの間の防水性、防塵、防音及びガタツキ防止をより一層向上させることができる。
【0010】
また、この発明の態様として、前記インナー部材の前記被装着部は、前記インナー板部の前記他方主面上に、前記インナー開口部を囲む環状に形成されてもよい。
この発明により、インナー部材の被装着部の構造を簡素化することができる。
【0011】
また、この発明の態様として、前記インナー部材の前記被装着部は、筒状に形成されると共に前記インナー板部の他方主面に立設され、前記グロメット本体の前記装着部は、前記被装着部の外周に装着されてもよい。
この発明により、インナー部材の被装着部によって、インナー板部の他方主面に、グロメット本体を位置決めした状態で装着することができる。
【0012】
また、この発明の態様として、前記グロメット本体は、前記装着部から前記インナー板部の前記被装着部の内周面上に延設されると共に前記内周面に当接した内周当接部を有してもよい。
この発明により、グロメット本体の内周当接部によって、グロメット本体とインナー部材との間の接触面積を増やすことができる。これにより、仮にグロメット本体とインナー部材との間の接触部分を接合する場合、接合面積を増やすことができ、グロメット本体とインナー部材とを強固に接合することができる。
【0013】
また、この発明の態様として、前記当接リブ部材は、連結部を介して前記グロメット本体と一体形成されてもよい。
この発明により、連結部を介して当接リブ部材をグロメット本体に固定できるため、インナー板部上での当接リブ部材の位置ずれを防止することができる。また、グロメット本体を形成する工程で当接リブ部材及び連結部を形成することができ、生産性を向上させることができる。
【0014】
また、この発明の態様として、前記インナー板部には、前記一方主面と前記他方主面との間を貫通する貫通孔が設けられ、前記連結部は、前記貫通孔を通じて前記グロメット本体と前記当接リブ部材とを連結してもよい。
【0015】
この発明により、連結部と当接リブ部材とを連結させるために、連結部がインナー板部の外周端部上を回り込むことを防止することができ、連結部が、グロメットの周辺に存在する周辺部材に引っかかることを防止できる。
【0016】
また、この発明の態様として、前記貫通孔の断面形状は、前記インナー板部の前記一方主面から前記他方主面に向かって変化してもよい。
なお、貫通孔の断面形状は、貫通孔を貫通孔の貫通孔開口面に平行な面で切断したときの断面形状である。
【0017】
また、貫通孔の断面形状は、インナー板部の一方主面から他方主面に向かって漸次縮径してもよく、又はインナー板部の一方主面から他方主面に向かって漸次拡径してもよく、又はインナー板部の一方主面から他方主面に向かう途中までは漸次縮径し、その途中から他方主面まで漸次拡径してもよく、又はインナー板部の一方主面から他方主面に向かう途中までは漸次拡径し、その途中から他方主面まで漸次縮径してもよい。
この発明により、グロメット本体と当接リブ部材とを射出成形する際、貫通孔を通過する溶融樹脂の通過圧力及び通過流量を所望値に設定することができる。
【0018】
また、この発明の態様として、前記貫通孔の孔軸方向は、前記インナー板部の前記一方主面から前記他方主面に向かって、前記インナー開口部の径方向の外側又は内側に傾斜してもよい。
この発明により、仮に貫通孔の孔軸方向をインナー開口部の径方向の外側に傾斜させた場合は、当接リブ部材を貫通孔に沿って外側に傾斜した形状に形成し易くなり、逆に貫通孔の孔軸方向をインナー開口部の径方向の内側に傾斜させた場合は、当接リブ部材を貫通孔に沿って内側に傾斜した形状に形成し易くなる。
【0019】
また、この発明の態様として、前記貫通孔の前記一方主面側の貫通孔開口面は、前記当接リブ部材の内周側、外周側又は真下に配置されてもよい。
この発明により、貫通孔の前記一方主面側の貫通孔開口面が当接リブ部材の内周側に配置された場合において、仮にグロメット本体の装着部の先端部に、貫通孔の前記他方主面側の貫通孔開口面を覆う大きさの直径を有するフランジ部が設けられた場合、そのフランジ部を当接リブ部材の内周側に制限して設けることができ、これにより、フランジ部の直径を極力小さくすることができる。
【0020】
また、貫通孔の前記一方主面側の開口部が当接リブ部材の外周側に配置された場合は、インナー開口部を、連結部と干渉させることなく当接リブ部材の付近まで拡径することができる。
また、貫通孔の前記一方主面側の開口部が当接リブ部材の真下に設けられた場合は、連結部がインナー板部の一方主面(パネル側の主面)上に配索されることを防止できるため、連結部の配索を簡素化することができる。
【0021】
また、この発明の態様として、前記グロメット本体は、前記装着部の先端部から外周側に拡がると共に前記インナー板部の前記他方主面に当接するフランジ部を有してもよい。
なお、フランジ部の形状は、特に限定されないが、円環板状であってもよい。
【0022】
この発明により、グロメット本体のフランジ部によって、グロメット本体とインナー部材との間の接触面積を増やすことができる。これにより、仮にグロメット本体とインナー部材との間の接触部分を接合する場合、接合面積を増やすことができ、グロメット本体とインナー部材とを強固に接合することができる。
【0023】
また、フランジ部によってインナー板部を補強することができる。これにより、インナー部材がパネル開口部に取り付けられたとき、フランジ部によってインナー板部を車体パネルに強く押し当てることができ、グロメットと車体パネルとの間の防水性、防塵、防音及びガタツキ防止を向上させることができる。
【0024】
また、この発明の態様として、前記グロメット本体は、前記装着部の先端部から外周側に拡がると共に前記インナー板部の前記他方主面に当接するフランジ部を有し、前記フランジ部は、前記貫通孔の貫通孔開口面を被覆し、前記連結部は、前記貫通孔を通じて前記フランジ部と前記当接リブ部材とを連結してもよい。
【0025】
この発明により、グロメット本体のフランジ部によって、グロメット本体とインナー部材との間の接触面積を増やすことができる。これにより、仮にグロメット本体とインナー部材との間の接触部分を接合する場合、接合面積を増やすことができ、グロメット本体とインナー部材とを強固に接合することができる。
【0026】
また、フランジ部によってインナー板部を補強することができる。これにより、インナー部材がパネル開口部に取り付けられたとき、フランジ部によってインナー板部を車体パネルに強く押し当てることができ、グロメットと車体パネルとの間の防水性、防塵、防音及びガタツキ防止を向上させることができる。
また、連結部がインナー板部の他方主面に配索されることを防止でき、連結部の配索を簡素化することができる。
【0027】
また、この発明の態様として、前記フランジ部は、前記装着部の前記先端部から前記貫通孔の貫通孔開口面に向かって平面視凸状に形成されると共に前記貫通孔の貫通孔開口面を被覆する凸状部を有してもよい。
この発明により、フランジ部がインナー板部を被覆する範囲を必要最小限度に制限することができる。
【0028】
また、この発明の態様として、前記当接リブ部材は、前記グロメット本体及び前記インナー部材と別体に形成されてもよい。
この発明により、当接リブ部材、グロメット本体及びインナー部材の各々の形状の自由度を向上させることができる。
【0029】
また、この発明の態様として、前記インナー板部の前記一方主面には、前記当接リブ部材を位置決めする環状の位置決め溝部が設けられてもよい。
この発明により、当接リブ部材が位置決め溝部に嵌合することで、当接リブ部材の位置ずれを防止することができる。
【0030】
また、この発明の態様として、前記インナー板部の前記一方主面には、前記当接リブ部材を位置決めする位置決め凸部が、前記当接リブ部材の内周側又は外周側に隣接した状態で設けられてもよい。
この発明により、位置決め凸部によって、インナー板部の一方主面での当接リブ部材の位置ずれを防止することができる。
【0031】
また、この発明の態様として、前記インナー板部の前記一方主面には、前記当接リブ部材を位置決めする位置決め凸部が設けられ、前記当接リブ部材の底面には、前記位置決め凸部が嵌合する嵌合凹部が形成され、前記当接リブ部材は、前記嵌合凹部が前記位置決め凸部に嵌合した状態で、前記位置決め凸部の上に形成されてもよい。
【0032】
この発明により、嵌合凹部と位置決め凸部との嵌合によって、インナー板部の一方主面での当接リブ部材の位置ずれを防止することができる。
【0033】
また、この発明の態様として、前記インナー板部の前記一方主面には、前記当接リブ部材の内側又は外側に延設当接リブ部が設けられもよい。
【0034】
この発明により、当接リブ部材を延設当接リブ部の内側又は外側に嵌める際、当接リブ部材を回転させることで、容易に、延設当接リブ部の内側又は外側に嵌めることができる。また、延設当接リブ部は、インナー板部と車体パネルとの間に挟まれて、当接リブ部材と協調して、防水性、防塵、防音及びガタツキ防止に寄与することができる。
【0035】
また、この発明の態様として、前記当接リブ部材は、互いに大きさが異なる環状に形成され、前記取付部の外周側に配置されると共に互いに順に外側に配置されてもよい。
【0036】
この発明により、当接リブ部材は複数の環状リブ部を備えるため、インナー板部と車体パネルとの間の防水性、防塵、防音及びガタツキ防止をより一層向上させることができる。
【0037】
また、この発明は、上記のグロメットを製造する製造方法であって、前記インナー部材と前記グロメット本体とを一体形成するための金型内に、前記インナー部材及び前記グロメット本体のうちの一方を配置した状態で溶融樹脂を注入して、前記インナー部材及び前記グロメット本体のうちの他方を射出成形することで、前記グロメット本体の前記装着部と前記インナー部材の前記被装着部とを接合させるグロメットの製造方法であることを特徴とする。
【0038】
なお、この製造方法では、金型内に、インナー部材を配置した状態で溶融樹脂を注入してグロメット本体を射出成形してもよく、又は、金型内に、グロメット本体を配置した状態で溶融樹脂を注入してインナー部材を射出成形してもよい。
この構成により、グロメット本体の装着部とインナー部材の被装着部とを、接着剤等を用いずに接合することができる。
【発明の効果】
【0039】
この発明によれば、インナー部材及びグロメット本体の各々の形状の自由度を向上させることができるグロメット及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0041】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
(第1実施形態)
図1〜
図7を参照して、第1実施形態に係るグロメット1を説明する。
図1は、第1実施形態に係るグロメット1と車体パネル3とを示す斜視図であり、
図2は、グロメット1を示す斜視図であり、
図3は、グロメット1を示す分解斜視図であり、
図4は、
図2のA−A断面図であり、
図5は、
図4の部分拡大図であり、
図6は、
図4のB−B断面図であり、
図7は、グロメット1が車体パネル3に取り付けられた状態を示す部分断面図である。
【0042】
図1に示すように、第1実施形態に係るグロメット1は、自動車などの車両に搭載された車体パネル3に設けられたパネル開口部3aに取り付けられ、パネル開口部3aに挿通された電線Wを保護するものである。パネル開口部3aは、車体パネル3において、その両側の主面を貫通した部分である。電線Wは、例えば、ワイヤーハーネスを構成している。
【0043】
図2〜
図5に示すように、グロメット1は、車体パネル3のパネル開口部3aに挿通された複数の電線Wの外周に装着されるグロメット本体4と、グロメット本体4に装着された状態でパネル開口部3aに取り付けられるインナー部材5と、インナー部材5に配置された当接リブ部材6とを備えている。
【0044】
インナー部材5は、合成樹脂(例えばポリプロピレン樹脂)で形成されている。インナー部材5は、インナー板部51と、インナー板部51の一方主面(即ち車体パネル側主面)51bに設けられ、パネル開口部3aに取り付けられる取付部53と、インナー板部51の他方主面(即ちグロメット本体側主面)51aに設けられ、グロメット本体4に装着される被装着部52とを備えている。
【0045】
インナー板部51は、環板状(例えば円環板状)に形成され、その中央には、複数の電線Wが挿通する例えば円形のインナー開口部51sが設けられている。インナー開口部51sは、インナー板部51において、一方主面51bと他方主面51aとの間を貫通した部分である。インナー板部51の一方主面51bには、当接リブ部材6を位置決めする位置決め凸部51cが突状に設けられている。
【0046】
位置決め凸部51cは、インナー板部51の一方主面51bの外周縁に沿って環状に形成されると共に、一方主面51bに配置された当接リブ部材6の外周に隣接するように設けられている。位置決め凸部51cは、当接リブ部材6よりも低く形成されている。
【0047】
被装着部52は、インナー開口部51sの直径と同じ大きさの内径を有する筒状(例えば円筒状)に形成されており、インナー開口部51sを囲む状態で、インナー板部51の他方主面51aの内周縁に沿って立設されている。
【0048】
また、被装着部52の外周面には、グロメット本体4が係合する複数の凹溝部52aが設けられている(
図6参照)。各凹溝部52aは、被装着部52の筒軸方向に沿って被装着部52の先端から基端まで設けられると共に、互いに被装着部52の周方向に間隔を空けて設けられている。
【0049】
取付部53は、インナー開口部51sの直径と同じ大きさの内径を有すると共にパネル開口部3aと同じ又は若干小さい大きさの外径を有する筒状(例えば円筒状)に形成されており、インナー開口部51sを囲む状態で、インナー板部51の一方主面51bの内周縁に沿って立設されている。
また、取付部53の周壁部の内部には、軽量化のために、取付部53の先端面で開放した空洞部53bが、取付部53の周方向に沿って複数設けられている(
図2参照)。なお、空洞部53bは無くてもよい。
【0050】
取付部53の外周面には、複数の凹溝部54aが設けられ、各凹溝部54aの内側には、パネル開口部3aの裏側周縁に係止する係止爪55が配置されている。
より詳細には、各凹溝部54aは、取付部53の筒軸方向に沿って取付部53の先端から基端まで設けられると共に、互いに取付部53の周方向に間隔を空けて設けられている。各係止爪55は、取付部53の凹溝部54aの内側に配置された状態で、インナー板部51の一方主面51bに立設されている。各係止爪55の先端には、爪部55bが設けられている。爪部55bは、係止爪55の先端側から基端側に向かって取付部53の外周側に漸次突出すると共に取付部53の外周面よりも外側に突出している。
【0051】
グロメット本体4は、ゴム弾性樹脂(例えばエラストマー、又はエラストマーにグラファイトを含有した樹脂)により形成されている。グロメット本体4は、円錐台状筒部41と、円錐台状筒部41の一端開口部に設けられた大径筒部42と、円錐台状筒部41の他端開口部に設けられた小径筒部43とを備えている。
円錐台状筒部41は、大径開口部41aと、大径開口部41aよりも直径が小さい小径開口部41bとを有し、大径開口部41aから小径開口部41bに向かって漸次縮径した筒状に形成されている。
【0052】
大径筒部42は、インナー部材5の被装着部52の外周に装着される装着部である。以下、装着部42とも記載する。大径筒部42は、大径開口部41aの内径と同じ大きさの内径を有する筒状(例えば円筒状)に形成され、大径開口部41aに連通状態で連結されている。
小径筒部43は、小径開口部41bの内径と同じ大きさの内径を有する筒状(例えば円筒状)に形成され、小径開口部41bに連通状態で連結されている。小径筒部43の先端部の外周には、外周側に広がったフランジ部が設けられている。
【0053】
大径筒部42の内周面42aには、円錐台状筒部41側とは反対側に、インナー部材5の被装着部52が嵌合するために、段差状に拡径した拡径部42bが設けられている(
図5参照)。拡径部42bの内周面には、インナー板部51の被装着部52の凹溝部52aに嵌合する凸状部42cが設けられている(
図6参照)。凹溝部52aと凸状部42cとが嵌合することで、グロメット本体4とインナー部材5との周方向の相対的な位置ずれが防止される。
【0054】
当接リブ部材6は、弾性部材、即ちゴム弾性樹脂(例えばエラストマー、又はエラストマーにグラファイトを含有した樹脂)等によって環状(例えば円環状)に形成されており、インナー板部51の一方主面51bにおいて、位置決め凸部51cの内周側に隣接して配置されている。当接リブ部材6は、インナー部材5及びグロメット本体4と分離されて(即ち別体に)形成されている。
【0055】
このように構成されたグロメット1では、グロメット本体4の装着部42の拡径部42bがインナー部材5の被装着部52の外周に嵌合することで、インナー部材5がグロメット本体4に装着される。この装着状態では、装着部42は、その先端部がインナー板部51の他方主面51aに当接すると共に、インナー板部51の全体を露出している。また、この装着状態では、装着部42と被装着部52とは、接着又は接合などの固定方法で互いに固定されている。
【0056】
また、このように構成されたグロメット1は、車体パネル3のパネル開口部3aを挿通する複数の電線Wがインナー部材5の各部(即ち取付部53、インナー板部51及び被装着部52)の内側及びグロメット本体4の各部(即ち大径筒部42、円錐台状筒部41及び小径筒部43)の内側に挿通させられることで、複数の電線Wの外周に装着される(
図1参照)。
【0057】
そして、グロメット1は、電線Wの外周に装着された状態でインナー部材5の取付部53が車体パネル3のパネル開口部3aに嵌挿させられることで、パネル開口部3aに取り付けられる。
この取付状態では、
図7に示すように、車体パネル3がインナー板部51の一方主面51bと係止爪55の爪部55bとの間に配置し、爪部55bがパネル開口部3aの裏側周縁に係止することで、グロメット1がパネル開口部3aに固定されている。
【0058】
また、上記の取付状態では、インナー板部51の一方主面51bに配置された当接リブ部材6がインナー板部51と車体パネル3との間に挟まれる。これにより、当接リブ部材6によって、グロメット1と車体パネル3との間の防水性、防塵、防音及びガタツキ防止が確保される。
【0059】
以上、第1実施形態によれば、車体パネル3のパネル開口部3aに挿通された電線Wの外周に装着されるグロメット本体4と、グロメット本体4に装着された状態でパネル開口部3aに取り付けられるインナー部材5とが備えられ、インナー部材5は、電線Wが挿通するインナー開口部51sを有するインナー板部51と、インナー板部51の一方主面51bにおいてインナー開口部51sを囲む状態で設けられ、パネル開口部3aに取り付けられる筒状の取付部53とを有し、インナー板部51の他方主面51aには、インナー開口部51sを囲む状態で、グロメット本体4に装着された被装着部52が設けられ、グロメット本体4は、インナー板部51が露出された状態で、インナー部材5の被装着部52に装着された筒状の装着部42を有する。
【0060】
この構成により、グロメット本体4の装着部42は、インナー板部51を露出した状態でインナー部材5の被装着部52の外周に装着される。即ち、グロメット本体4の装着部42はインナー板部51を被覆しない。このため、インナー板部51及びグロメット本体4の装着部42に対し、形状に関する制約を軽減でき、形状の自由度を向上させることができる。
【0061】
また、インナー板部51の一方主面51bには、環状の当接リブ部材6が取付部53を囲む状態で設けられているため、インナー部材5がパネル開口部3aに取り付けられた状態で、インナー板部51と車体パネル3との間に当接リブ部材6が介装される。これにより、グロメット1と車体パネル3との間の防水性、防塵、防音及びガタツキ防止を確保することができる。
また、当接リブ部材6はゴム製部材で形成されているため、グロメット1と車体パネル3との間の防水性、防塵、防音及びガタツキ防止をより一層向上させることができる。
【0062】
また、インナー部材5の被装着部52は、筒状に形成されると共にインナー板部51の他方主面51aに立設され、グロメット本体4の装着部42は、被装着部52の外周に装着されるため、被装着部52によって、インナー板部51の他方主面51aに、グロメット本体4を位置決めした状態で装着することができる。
【0063】
また、当接リブ部材6は、グロメット本体4及びインナー部材5と別体に形成されるため、当接リブ部材6、グロメット本体4及びインナー部材5の各々の形状の自由度を向上させることができる。
また、当接リブ部材6の材質を、グロメット本体4の材質及びインナー部材5の材質と異ならせることができ、当接リブ部材6の材料の選択度を向上させることができる。
【0064】
また、インナー板部51の一方主面51bには、当接リブ部材6を位置決めする位置決め凸部51cが、当接リブ部材6の外周側に隣接した状態で設けられるため、位置決め凸部51cによって、一方主面51bでの当接リブ部材6の位置ずれを防止することができる。
【0065】
以下、第1実施形態の変形例を説明する。
(変形例1)
第1実施形態では、インナー板部51の全体が露出されたが、例えば、インナー板部51の一方主面(パネル側の主面)51b、他方主面(グロメット側の主面)51a及び外周端部のうち、少なくとも外周端部が露出されればよい。なお、外周端部全てが露出されてもよい。これにより、作業時に、外周端部に樹脂部材等がないことで、他と接触する際等に引っ掛かりが抑制される。
【0066】
(変形例2)
第1実施形態では、位置決め凸部51cは、環状に形成されたが、このような形状に限定されるものではなく、例えば
図8に示すように、点状の突起部として形成されてもよい。この場合、位置決め凸部51cは、当接リブ部材6の外周側に隣接した状態で、当接リブ部材6の周方向に沿って間隔を空けて複数設けられてもよい。
【0067】
また、位置決め凸部51cは、
図9に示すように、当接リブ部材6の内周側に隣接する状態で設けられてもよい。
図9では、位置決め凸部51cは、点状の突起部として形成されると共に当接リブ部材6の周方向に間隔を空けて複数設けられているが、第1実施形態での形状のように環状に形成されてもよい。また、位置決め凸部51cは、当接リブ部材6の内周側及び外周側の両方に設けられてもよい。
【0068】
(変形例3)
変形例3では、
図10に示すように、位置決め凸部51cは、インナー板部51の一方主面51bにおける当接リブ部材6の真下に設けられており、当接リブ部材6の底面には、位置決め凸部51cが嵌合する嵌合凹部6aが形成されている。即ち、当接リブ部材6は、嵌合凹部6aが位置決め凸部51cに嵌合した状態で、インナー板部51の一方主面51bに形成されている。
【0069】
位置決め凸部51cは、当接リブ部材6の長手方向に沿って連続的に環状に形成されてもよく、又は、当接リブ部材6の長手方向に沿って互いに間隔を空けた複数の点状に形成されてもよい。嵌合凹部6aは、位置決め凸部51cの形状に合わせて、当接リブ部材6の底面の長手方向に沿って連続的に環状に形成されてもよく、又は、当接リブ部材6の底面の長手方向に沿って互いに間隔を空けた複数の点状に形成されてもよい。
【0070】
変形例3によれば、嵌合凹部6aと位置決め凸部51cとの嵌合によって、インナー板部51の一方主面51bでの当接リブ部材6の位置ずれを防止することができる。また、当接リブ部材6が位置決め凸部51cの上に形成されるため、当接リブ部材6の強度を向上させることができる。
【0071】
なお、当接リブ部材6は、その形成後に位置決め凸部51cに嵌め合わせてもよく、射出形成によりインナー板部51と一体形成されてもよい。
【0072】
(変形例4)
第1実施形態では、インナー板部51の一方主面51bに、当接リブ部材6を位置決めする位置決め凸部51cが設けられたが、変形例4では、位置決め凸部51cの代わりに、当接リブ部材6を位置決めすると共に当接リブ部材6の一部として機能する延設当接リブ部51fが設けられている。延設当接リブ部51fは、例えば
図11に示すように、インナー板部51の一方主面51bにおいて、当接リブ部材6の外周に接線渦状に設けられている。即ち、延設当接リブ部51fは、当接リブ部材6の外周における異なる接線方向の一方側に沿って直線状に複数延設され、各延設当接リブ部51fの一端部は、当接リブ部材6の外周に接するように配置されている。
【0073】
変形例4によれば、当接リブ部材6を接線渦状の位置決め凸部51cの内側に嵌める際、当接リブ部材6を、接線渦状の延設当接リブ部51fに沿って回転させることで、容易に、接線渦状の延設当接リブ部51fの内側に嵌めることができる。また、延設当接リブ部51fは、インナー板部51と車体パネル3との間に挟まれて、当接リブ部材6と協調して、防水性、防塵、防音及びガタツキ防止に寄与することができる。
【0074】
なお、変形例4では、延設当接リブ部51fは、当接リブ部材6の外側に接線渦状に形成されたが、当接リブ部材6の外側又は内側に凸部状の形状に形成されてもよい。
【0075】
(変形例5)
第1実施形態では、当接リブ部材6は、1つの環状リブによって構成されたが、このような構造に限定されるものではなく、例えば
図12に示すように、多重連結環構造であってもよい。
図12に示す多重連結環構造では、当接リブ部材6は、互いに大きさが異なる環状に形成され、取付部53の外周側に配置されると共に互いに順に外側に配置された複数(例えば2つ)の環状リブ部61と、隣合う環状リブ部61の間に跨って設けられ、隣合う環状リブ部61を連結する複数の連結リブ部62とを備えている。
【0076】
複数の連結リブ部62はそれぞれ、環状リブ部61の径方向に延びつつ周方向の一方側に湾曲する放射渦状に形成されているが、このような形状に限定されるものではなく、例えば、環状リブ部61の径方向に直線状に延びた形状に形成されてもよい。
【0077】
変形例5によれば、当接リブ部材6は複数の環状リブ部61を備えるため、グロメット1と車体パネル3との間の防水性、防塵、防音及びガタツキ防止をより一層向上させることができる。また、各環状リブ部61は連結リブ部62を介して互いに連結されているため、各環状リブ部61の相対的な配置がずれることを防止できる。
【0078】
なお、変形例5において、
図13に示すように、多重連結環構造の各環状リブ部61を互いに異なる高さに形成してもよい。
図13では、外側の環状リブ部61aの高さd1は内側の環状リブ部61bの高さd2よりも高い(即ち各環状リブ部61の高さは外側の環状リブ部61ほど高い)が、逆に、外側の環状リブ部61aの高さd1を内側の環状リブ部61bの高さd2よりも低くしてもよい(即ち各環状リブ部61の高さを内側の環状リブ部61ほど高くしてもよい)。
【0079】
また、変形例5において、連結リブ部62は無くてもよい。この場合は、当接リブ部材6は、多重連結環構造ではなく、多重環構造になる。
【0080】
(変形例6)
第1実施形態では、インナー板部51の一方主面51bに位置決め凸部51cが設けられたが、
図14に示すように、インナー板部51の一方主面51bに、位置決め凸部51cの代わりに、当接リブ部材6を位置決めする位置決め溝部51dが設けられてもよい。
【0081】
位置決め溝部51dは、環状の当接リブ部材の配置場所に沿って環状に形成されている。そして、当接リブ部材は、その基端側が位置決め溝部51dに嵌合することで、一方主面51bの所定位置に位置決めされる。この構成により、当接リブ部材6が位置決め溝部51dに嵌合することで、当接リブ部材6の位置ずれを防止することができる。
【0082】
(変形例7)
第1実施形態において、グロメット本体4の装着部42とインナー部材5の被装着部52とをインサート成形によって接合してもよい。
より詳細には、例えばインナー部材5を形成するための金型を用いて、インナー部材5を予め形成しておく。そして、
図15に示すように、互いに組み付けた状態のグロメット本体4及びインナー部材5を形成するための金型K1を準備する。そして、金型K1の空洞K1a内に、インナー部材5を配置した状態で、グロメット本体4を形成するための溶融樹脂を注入する。これにより、グロメット本体4の装着部42とインナー部材5の被装着部52とが互いに接合した状態で、グロメット本体4が射出成形される。
【0083】
変形例7によれば、グロメット本体4の装着部42とインナー部材5の被装着部52とを接着剤を用いずに接合することができる。また、グロメット本体4の製造と共に装着部42と被装着部52との接合を行うことができ、グロメット1の生産性を向上させることができる。
【0084】
なお、変形例7では、インナー部材5を予め形成し、金型K1の空洞K1a内にインナー部材5を配置した状態で溶融樹脂を注入してグロメット本体4を射出成形したが、逆にグロメット本体4を予め形成し、金型K1の空洞K1a内にグロメット本体4を配置した状態で溶融樹脂を注入してインナー部材5を射出成形してもよい。
【0085】
(変形例8)
第1実施形態において、
図16(a)(b)に示すように、グロメット本体4は、装着部42の先端部の外周から装着部42の外周側に延設されると共にインナー板部51の他方主面51aに当接するフランジ部44を更に備えてもよい。フランジ部44は、例えば環板状(例えば円環板状)に形成されている。
【0086】
変形例8によれば、フランジ部44によって、グロメット本体4とインナー部材5との間の接触面積を増やすことができる。これにより、仮にグロメット本体4とインナー部材5との間の接触部分を接合する場合、接合面積を増やすことができ、グロメット本体4とインナー部材5とを強固に固定することができる。
【0087】
また、フランジ部44によってインナー板部51を補強することができる。これにより、インナー部材5がパネル開口部3aに取り付けられたとき、フランジ部44によってインナー板部51を車体パネル3に強く押し当てることができ、グロメット1と車体パネル3との間の防水性、防塵、防音及びガタツキ防止を向上させることができる。
また、フランジ部44は、円環板状に形成されることで、インナー板部51の他方主面51aの大部分を被覆するため、インナー板部51をより一層補強することができる。
【0088】
(変形例9)
第1実施形態において、
図17に示すように、グロメット本体4は、装着部42の内周面からインナー板部51の被装着部52の内周面上に延設されると共に被装着部52の内周面に当接した内周当接部45を更に有してもよい。
【0089】
図17では、内周当接部45は、筒状に形成され、装着部42の内周側に同心状に配置されている。内周当接部45の基端部は、内周当接部45の径方向外側に延設され、装着部42の内周面に連結されている。これにより、内周当接部45と装着部42との間にインナー部材5の被装着部52が嵌合する断面略U字状の空間が形成されている。装着部42が被装着部52の外周に装着された状態では、被装着部52が内周当接部45と装着部42との間の空間に嵌合すると共に、内周当接部45の外周面が被装着部52の内周面に当接している。
【0090】
変形例9によれば、内周当接部45によって、グロメット本体4とインナー部材5との間の接触面積を増やすことができる。これにより、仮にグロメット本体4とインナー部材5との間の接触部分を接合する場合、接合面積を増やすことができ、グロメット本体4とインナー部材5とを強固に接合することができる。
【0091】
なお、変形例9では、内周当接部45の先端面45sは、装着部42の先端面42sよりも低いが、装着部42の先端面42sと同じ高さまで延設されてもよい。また、内周当接部45をインナー板部51のインナー開口部51sの内周面上まで延設して、内周当接部45の先端面45sを装着部42の先端面42sよりも高くなるように延設してもよい。また、内周当接部45を取付部53の内周面上まで延設して、内周当接部45の先端面45sを取付部53の先端面53sと同じ高さになるように延設してもよい。
【0092】
また、内周当接部45の厚さは、内周当接部45の基端側から先端側に進むに連れてテーパ状に漸次薄くなってもよい。また、内周当接部45の先端の高さは、インナー開口部51sの周方向の位置によって異なってもよい。また、内周当接部45の厚さは、インナー開口部51sの周方向の位置によって異なってもよい。
【0093】
(変形例10)
第1実施形態では、インナー部材5の被装着部52は、筒状に形成されると共にインナー板部51の他方主面51aに立設されたが、
図18に示すように、被装着部52は、インナー板部51の他方主面51a上に、インナー開口部51sを囲む環状に形成されてもよい。この場合、グロメット本体4の装着部42は、インナー開口部51sを囲む状態でインナー板部51の他方主面51aに直接装着される。なお、変形例10では、装着部42の拡径部42bは省略される。
変形例10によれば、インナー部材5の被装着部52の構造を簡素化することができる。
【0094】
なお、
図18では、装着部42の先端部の外周には、グロメット本体4とインナー板部51との接触面積を増やしてグロメット本体4とインナー板部51とを強固に接合するために、フランジ部44が設けられているが、このフランジ部44は無くてもよい。
【0095】
(変形例11)
第1実施形態では、インナー板部51の平面視輪郭を円形に形成したが、このような形状に限定するものではなく、
図19に示すように、インナー板部51の外周において、インナー開口部51sに向かって窪んだ凹状部51eが1つ以上(
図19では1つ)設けられた形状であってもよい。
【0096】
(変形例12)
第1実施形態では、グロメット本体4は、円錐台状筒部41と、円錐台状筒部41の大径開口部41aに設けられた大径筒部(即ち装着部)42と、円錐台状筒部41の小径開口部41bに設けられた小径筒部43とを備えるが、
図20に示すように、更に、円錐台状筒部41の大径開口部41aと大径筒部42との間に、円筒状の蛇腹部46が連通状態で設けられてもよい。
【0097】
(第2実施形態)
以下、
図21〜
図26を参照して、この発明の第2実施形態を説明する。
図21は、第2実施形態に係るグロメット1Bを示す斜視図であり、
図22は、グロメット1Bを取付部53側(即ち車体パネル3側)から見た平面図であり、
図23は、
図22(a)のE−E断面図であり、
図24は、
図23の部分拡大図であり、
図25は、
図23のF−F断面図であり、
図26は、グロメット1Bを製造するための金型K2を示す断面図である。
【0098】
図21〜
図25に示すように、第2実施形態に係るグロメット1Bは、第1実施形態のグロメット1において、連結部70を介して当接リブ部材6とグロメット本体4とを一体形成したものである。以下、第1実施形態と同じ部分については第1実施形態と同じ符号を付して説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0099】
第2実施形態のインナー板部51は、第1実施形態のインナー板部51において、位置決め凸部51cが省略されると共に、連結部70が挿通する貫通孔71が設けられたものである。
貫通孔71は、インナー板部51の一方主面51bと他方主面51aとの間を貫通した状態で設けられると共に、一方主面51bにおける当接リブ部材6の配置場所に沿って複数設けられている。第2実施形態では、貫通孔71は、複数設けられるが、1つだけ設けられてもよい。
【0100】
各貫通孔71の一方主面51b側の貫通孔開口面71aは、当接リブ部材6の真下に重なる重畳部分71bと、当接リブ部材6の内周側に張り出した張出部分71cとを有している。各貫通孔71の孔軸方向Pは、インナー板部51の一方主面51b及び他方主面51aに垂直であり、各貫通孔71の断面形状Dは、インナー板部51の一方主面51bから他方主面51aに向かって一定である。なお、貫通孔71の断面形状Dは、貫通孔71を貫通孔開口面71aに平行な面で切断したときの断面形状である。
【0101】
第2実施形態では、グロメット本体4の装着部42の先端部の外周には、装着部42の外周側に広がった環板状(例えば円環板状)のフランジ部44が設けられている。フランジ部44は、グロメット本体4にインナー部材5が装着された状態で、インナー板部51の他方主面51aに当接し、貫通孔71の他方主面51a側の貫通孔開口面を被覆する。フランジ部44の直径は、インナー板部51に設けられた複数の貫通孔71の全体に外接する仮想円Cの直径と同じ又はそれよりも大きい直径に形成されている(
図25参照)。
【0102】
連結部70は、各貫通孔71の内部に配置され、配置された貫通孔71と同形同大の柱状に形成されている。連結部70の基端面は、フランジ部44の一方主面44aに連結されている。連結部70の先端面のうち、当接リブ部材6の基端面に重なる部分(即ち貫通孔71の貫通孔開口面71aの重畳部分71bに重なる部分)は、当接リブ部材6の基端面に連結され、当接リブ部材6の基端面に重ならない部分(即ち貫通孔71の貫通孔開口面71aの張出部分71cに重なる部分)は、張出部分71cから外部に露出している。
なお、連結部70は、グロメット本体4及び当接リブ部材6と同じ材質によって形成されている。
【0103】
次に
図26を参照してグロメット1Bの製造方法を説明する。
先ず、例えばインナー部材5を形成するための金型を用いて、インナー部材5を予め形成しておく。そして、グロメット本体4、インナー部材5、当接リブ部材6及び連結部70を一体形成するための金型K2を準備する。そして、金型K2の空洞K2a内に、インナー部材5を配置した状態で、グロメット本体4、当接リブ部材6及び連結部70を形成するための溶融樹脂を注入して、グロメット本体4、当接リブ部材6及び連結部70を一体的に射出成形する。
【0104】
この結果、グロメット本体4の装着部42とインナー部材5の被装着部52とが互いに接合すると共にフランジ部44の一方主面44aとインナー板部51の他方主面51aとが互いに接合した状態で、グロメット本体4が形成される。また、連結部70を介してフランジ部44と当接リブ部材6とが連結された状態で、当接リブ部材6が形成される。
【0105】
以上、第2実施形態によれば、当接リブ部材6は、連結部70を介してグロメット本体4と一体形成される。換言すれば、当接リブ部材6は、連結部70を介してグロメット本体4に固定される。このため、インナー板部51での当接リブ部材6の位置ずれを防止することができる。また、グロメット本体4を形成する工程で当接リブ部材6を形成することができ、グロメット1Bの生産性を向上させることができる。
【0106】
また、インナー板部51には、一方主面51bと他方主面51aとの間を貫通する貫通孔71が設けられ、連結部70は、貫通孔71を通じてグロメット本体4と当接リブ部材6とを連結するため、連結部70と当接リブ部材6とを連結させるために、連結部70がインナー板部51の外周端部上を回り込むことを防止することができる。これにより、連結部70が、グロメット1Bの周辺に存在する周辺部材に引っかかることを防止できる。
【0107】
また、各貫通孔71の貫通孔開口面71aは、当接リブ部材6の真下に重なる重畳部分71bと、当接リブ部材6の内周側に張り出した張出部分71cとを有している。即ち、各貫通孔71の径方向の幅は、当接リブ部材6の径方向の幅よりも大きく形成されている。このため、当接リブ部材6の径方向の幅が比較的小さい場合であっても貫通孔71の径方向の幅を比較的大きく確保できる。これにより、グロメット本体4及び当接リブ部材6を射出成形する際に、各貫通孔71を通じて、円滑に、溶融樹脂をグロメット本体4側から当接リブ部材6側に注入することができる。
【0108】
また、各貫通孔71は、当接リブ部材6の真下に重なる部分を有するため、連結部70を当接リブ部材6の基端面に連結させることができる。これにより、連結部70がインナー板部51の一方主面51b上に配索されることを防止できるため、連結部70の配索を簡素化することができる。
【0109】
また、各貫通孔71の孔軸方向Pは、インナー板部51の一方主面51b及び他方主面51aに対して垂直であるため、各貫通孔71を最短の長さにでき、これによっても連結部70の配索を簡素化することができる。
【0110】
また、グロメット本体4は、装着部42の先端部から外周側に延設されると共にインナー板部51の他方主面51aに当接するフランジ部44を有し、フランジ部44は、貫通孔71の他方主面51a側の貫通孔開口面を被覆し、連結部70は、貫通孔71を通じてフランジ部44と当接リブ部材6とを連結する。
【0111】
この構成により、フランジ部44によって、グロメット本体4とインナー部材5との間の接触面積を増やすことができる。これにより、仮にグロメット本体4とインナー部材5との間の接触部分を接合する場合、接合面積を増やすことができ、グロメット本体4とインナー部材5とを強固に接合することができる。
【0112】
また、フランジ部44によってインナー板部51を補強することができる。これにより、インナー部材5がパネル開口部3aに取り付けられたとき、フランジ部44によってインナー板部51を車体パネル3に強く押し当てることができ、グロメット1Bと車体パネル3との間の防水性、防塵、防音及びガタツキ防止を向上させることができる。
【0113】
また、連結部70がインナー板部51の他方主面51aに配索されることを防止でき、連結部70の配索を簡素化することができる。
また、フランジ部44は、円環板状に形成されることで、インナー板部51の他方主面51aの大部分を被覆するため、インナー板部51をより一層補強することができる。
【0114】
以下、第2実施形態の変形例を説明する。
(変形例1)
第2実施形態では、貫通孔71の断面形状Dは、インナー板部51の一方主面51bから他方主面51aに向かって一定であったが、インナー板部51の一方主面51bから他方主面51aに向かって変化させてもよい。
【0115】
具体的には、
図27(a)に示すように、貫通孔71の断面形状Dを、インナー板部51の一方主面51bから他方主面51aに向かって漸次縮径してもよい。又は、
図27(b)に示すように、貫通孔71の断面形状Dを、インナー板部51の一方主面51bから他方主面51aに向かって漸次拡径してもよい。
【0116】
又は、
図27(c)に示すように、貫通孔71の断面形状Dを、インナー板部51の他方主面51aから一方主面51bに向かう途中までは漸次縮径し、その途中から一方主面51bまで漸次拡径してもよい。又は、
図27(d)に示すように、貫通孔71の断面形状Dを、インナー板部51の他方主面51aから一方主面51bに向かう途中までは漸次拡径し、その途中から一方主面51bまで漸次縮径してもよい。
【0117】
以上、変形例1によれば、貫通孔71の断面形状Dをインナー板部51の一方主面51bから他方主面51aに向かって変化させることで、グロメット本体4と当接リブ部材6とを射出成形する際、貫通孔71を通過する溶融樹脂の通過圧力や通過流量を所望値に設定することができる。
【0118】
(変形例2)
第2実施形態では、各貫通孔71の孔軸方向Pは、インナー板部51の一方主面51b及び他方主面51aに対して垂直であったが、インナー板部51の一方主面51b及び他方主面51aに対して傾斜してもよい。
具体的には、
図28(a)に示すように、各貫通孔71の孔軸方向Pを、インナー板部51の他方主面51aから一方主面51bに向かって、インナー開口部51sの径方向Qの外側に傾斜させてもよい。この場合、当接リブ部材6を、第2実施形態のようにインナー板部51の一方主面51bに垂直に立設してもよいが、
図28(a)に示すように、貫通孔71に沿って径方向Qの外側に傾斜させた状態で設けてもよい。
【0119】
又は、
図28(b)に示すように、各貫通孔71の孔軸方向Pを、インナー板部51の他方主面51aから一方主面51bに向かって、インナー開口部51sの径方向Qの内側に傾斜させてもよい。この場合も、
図28(b)に示すように、当接リブ部材6を、貫通孔71に沿って径方向Qの内側に傾斜させた状態で設けてもよい。
【0120】
以上、変形例2によれば、仮に貫通孔71の孔軸方向Pをインナー開口部51sの径方向Qの外側に傾斜させた場合は、当接リブ部材6を貫通孔71に沿って外側に傾斜した形状に形成し易くなり、また、逆に貫通孔71の孔軸方向Pを径方向Qの内側に傾斜させた場合は、当接リブ部材6を貫通孔71に沿って内側に傾斜した形状に形成し易くなる。
【0121】
(変形例3)
第2実施形態では、各貫通孔71の一方主面51b側の貫通孔開口面71aは、当接リブ部材6の真下から当接リブ部材6の内周側に張り出したが、貫通孔71の貫通孔開口面71aと当接リブ部材6との相対的な配置をこのように限定するものではない。
【0122】
例えば、
図29(a)(b)に示すように、各貫通孔71の貫通孔開口面71aを当接リブ部材6の真下に(即ち当接リブ部材6の内周側及び外周側に張り出さないように)配置してもよい。この場合も、第2実施形態の場合と同様に、連結部70はインナー板部51の一方主面51b上に配索されないため、連結部70の配索を簡素化することができる。
【0123】
又は
図30(a)(b)に示すように、各貫通孔71の貫通孔開口面71aを当接リブ部材6の内周側に配置してもよい。この場合は、連結部70は、インナー板部51の一方主面51b上を貫通孔71の貫通孔開口面71aから当接リブ部材6の内周面まで配索されて、当接リブ部材6の内周面に連結される。
【0124】
このように、各貫通孔71の貫通孔開口面71aを当接リブ部材6の内周側に配置することで、フランジ部44を当接リブ部材6の内周側に制限して設けることができ、これにより、フランジ部44の直径を極力小さくすることができる。
【0125】
又は
図31(a)(b)に示すように、各貫通孔71の貫通孔開口面71aを当接リブ部材6の外周側に配置してもよい。この場合は、連結部70は、インナー板部51の一方主面51b上を貫通孔71の貫通孔開口面71aから当接水リブ部材6の外周面まで配索されて、当接リブ部材6の外周面に連結される。
【0126】
このように、各貫通孔71の貫通孔開口面71aを当接リブ部材6の外周側に配置することで、インナー開口部51sを、連結部70と干渉させることなく当接リブ部材6の付近まで拡径することができる。
【0127】
(変形例4)
第2実施形態では、フランジ部44は、円環板状に形成されたが、フランジ部44の平面形状をこのように限定するものではない。例えば
図32に示すように、フランジ部44は、複数の凸状部44bを有し、各凸状部44bは、グロメット本体4の装着部42の先端部の外周から貫通孔71の貫通孔開口面に向かって平面視凸状に形成されると共に、向かった貫通孔71の開口部を被覆するように形成されてもよい。
変形例4によれば、フランジ部44がインナー板部51を被覆する範囲を必要最小限度に制限することができる。
【0128】
(変形例5)
第2実施形態での製造方法では、インナー部材5を予め形成しておき、金型K2の空洞K2a内に、インナー部材5を配置した状態で、グロメット本体4、当接リブ部材6及び連結部70を形成するための溶融樹脂を注入して、グロメット本体4、当接リブ部材6及び連結部70を射出成形したが、逆に、一体形成したグロメット本体4、当接リブ部材6及び連結部70を予め形成しておき、金型K2の空洞K2a内に、その一体形成したグロメット本体4、当接リブ部材6及び連結部70を配置した状態で、インナー部材5を形成するための溶融樹脂を注入して、インナー部材5を射出成形してもよい。このようにしても、第2実施形態での製造方法と同様の効果を奏することができる。
【0129】
この発明は、上記の実施形態及び変形例に限定されるものではなく、上記の実施形態及び変形例の組み合わせも技術範囲に含む。