(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
画像を表示する表示パネル、例えばTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)液晶ディスプレイは、通常表示パネルドライバ(駆動回路)によって駆動される。表示パネルドライバは、一般にTFTのソースを駆動するソースドライバ、およびTFTのゲートを駆動するゲートドライバによりマトリクス駆動される。ソースドライバからは、表示対象の画素の明るさに応じたアナログ信号である諧調信号が表示パネルに供給され、ゲートドライバからは、TFTを順次オンさせるための走査信号が表示パネルに供給される。
【0003】
図10に、表示パネル100および表示パネルドライバ110を含んだ従来技術に係る表示装置を示す。
図10では、表示パネルドライバ110のソースドライバに関連する部分を抜き出して示しており、チャネル数は一例として960チャネルとしている。
図10に示すように、表示パネルの画素PXはTFTトランジスタTr、画素容量Cpを含んで構成されている。
【0004】
また、表示パネルドライバ110は、各チャネルの入力信号sin_1〜sin_960に各々接続された960個の出力アンプ112、および各々の出力アンプ112の出力に接続されたスイッチ120を含んで構成されている。各出力アンプ112から出力された出力信号(ソース信号)sout_1〜sout_960は、各々対応するTFTトランジスタTrのソースに接続されている。各出力アンプ112の出力は、各出力アンプ112の出力に接続されたスイッチ120をnswob信号によりオン/オフすることにより制御される。すなわち、nswob信号によって各出力アンプ112からソース信号sout_1〜sout_960が一斉に出力される。
【0005】
上記の構成を有する従来技術に係る表示装置では、ゲートドライバから供給される信号(ゲート信号)でTFTトランジスタTrがオンすると、ソースドライバから供給されるソース信号によって画素容量Cpに電荷が蓄積される。画素容量Cpの蓄積電荷に応じて液晶に印加される電圧が変化することにより液晶の光透過率が変化し、表示パネル100において表示が行われる。このような表示装置においては、出力信号の振幅が大きいソースドライバの構成には特に注意を払う必要がある。
【0006】
従来技術に係るソースドライバとして、特許文献1に開示されたものが知られている。特許文献1に開示されたソースドライバは、シリアル形態で供給された表示データ片の系列を複数のラッチに順次取り込み、各ラッチに取り込まれた表示データ片に対応した階調電圧を各ソースラインに印加する。特許文献1に開示されたソースドライバでは、表示データ片のビット数と同一本数のデータ伝送ラインを介して、当該表示データ片の系列を複数のラッチに供給している。従って、各データ伝送ラインが複数のラッチに共通に接続されている。この際、各ラッチが順次択一的にイネーブル状態に制御されることにより、イネーブル状態にあるラッチのみが、データ伝送ライン上の表示データ片の系列中から自身に対応した表示データ片を取り込む。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照し、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
【0019】
[第1の実施の形態]
図1ないし
図7を参照して、本実施の形態に係る半導体装置、画像表示装置、画像表示方法について説明する。
図1ないし
図5は、本実施の形態に係る半導体装置としての表示パネルドライバ10の各部の回路図を示し、
図6および
図7は表示パネルドライバ10の各部の動作波形を示すタイミングチャートである。
【0020】
本実施の形態では、出力アンプの出力遅延量を測定する回路と、その遅延量を基に出力スイッチをオンさせるタイミングを調整する回路を設けることで出力遅延バラツキを抑えている。すなわち、出力アンプの遅延量を測定するモードであるモニタモードにおいて出力アンプの遅延量を測定し、表示パネルに駆動信号を送る通常モードにおいて、測定された遅延量に応じて各出力アンプから出力される出力信号の出力タイミングを制御している。ここで、本実施形態における出力アンプの出力遅延量は、表示パネルまでの配線による遅延量のみならず、複数の出力アンプの間の遅延バラツキも含んでいる。なお、本実施の形態では、表示パネルドライバの出力チャネル数を960チャネルとした形態を例示して説明する。むろん出力チャネル数は960チャネルに限られず、駆動する表示パネル等に応じて必要となるチャネル数とすることができる。また、本実施の形態に係る表示パネルドライバ10は、液晶パネル、有機EL(ElectroLuminescence)パネル等、表示パネルとして特に限定されず適用することができる。
【0021】
図1に示すように、本実施の形態に係る表示パネルドライバ10は、出力アンプ16−1、16−2、16−3、16−4、16−5、16−6、および16−7(
図1では、各々「samp1」、「samp2〜320」、「samp321〜479」、「samp480」、「samp481〜640」、「samp641〜959」、および「samp960」と表記。以下、総称する場合は「出力アンプ16」)、タイミング制御部12−1、12−2、および12−3(
図1では、「swo_time_con」と表記。以下、総称する場合は「タイミング制御部12」)、タイミング切替部14、出力スイッチ60−1、60−2、60−3、60−4、60−5、60−6、および60−7(
図1では各々「xswo」と表記、以下総称する場合は「出力スイッチ60」)を含んで構成されている。
図1の回路図では、出力アンプ16−2は319個の出力アンプ16を、出力アンプ16−3は159個の出力アンプ16を、出力アンプ16−5は160個の出力アンプ16を、出力アンプ16−6は319個の出力アンプ16を、各々まとめて表記している。同様に、出力スイッチ60−2は319個の出力スイッチ60を、出力スイッチ60−3は159個の出力スイッチ60を、出力スイッチ60−5は160個の出力スイッチ60を、出力スイッチ60−6は319個の出力スイッチ60を、各々まとめて表記している。タイミング制御部12は、本発明に係る「測定部」および「生成部」であり、タイミング切替部は本発明に係る「切替部」である。
【0022】
出力アンプ16−1には入力信号sin_1が入力され、出力スイッチ60−1を介して出力信号sout_1が出力される。出力アンプ16−2に含まれる出力アンプ16には各々入力信号sin_2〜sin_320が入力され、出力スイッチ60−2に含まれる出力スイッチ60を介して出力信号sout_2〜sout_320が出力される。同様に、出力アンプ16−3には入力信号sin_321〜sin_479が入力され、出力信号sout_321〜sout_479が出力される。出力アンプ16−5には入力信号sin_481〜sin_640が入力され、出力信号sout_481〜sout_640が出力される。出力アンプ16−6には入力信号sin_641〜sin_959が入力され、出力信号sout_641〜sout_959が出力される。出力アンプ16−7には入力信号sin_960が入力され、出力信号sout_960が出力される。
【0023】
本実施の形態では960個の出力アンプ16から出力される960本の出力信号を3つの出力グループS1(samp1〜samp320)、S2(samp321〜samp640)、S3(samp641〜samp960)に分割し、出力グループS1、S2、S3の各々において代表して1つの出力信号の遅延時間を測定し、測定した遅延時間を用いて各々の出力グループに含まれる出力アンプ16の出力を一括制御する。すなわち、本実施の形態では、samp1の出力の遅延時間を測定し、測定された遅延時間を用いてsamp1〜samp320の出力を制御する。samp480の出力の遅延時間を測定し、測定された遅延時間を用いてsamp321〜samp640の出力を制御する。samp960の出力の遅延時間を測定し、測定された遅延時間を用いてsamp641〜samp960の出力を制御する。このように、本実施の形態においては、出力グループS1、S3では最長の配線長となる出力アンプ16−1、16−7の遅延時間を測定し、出力グループS2では平均的な配線長となる出力アンプ16−4の遅延時間を測定している。しかしながら、これに限られず、各出力グループS1、S2、S3において遅延時間を測定する出力アンプは、いずれの出力アンプとしてもよい。
【0024】
タイミング切替部14は、後述するように、mon_mode信号(モニタモード信号)を受信して、タイミング制御部12に向けてnswmon信号(モード切替信号)を出力する。
【0025】
タイミング制御部12は、タイミング切替部14からnswmon信号を受け取るとモニタモードに移行し、出力アンプ16の出力遅延時間を測定するとともに、nswmon信号によってモニタモードが解除されると通常モードに移行し、測定された出力遅延時間を用いて各出力アンプ16の出力を制御する。より詳細には、タイミング制御部12−1はモニタモードにおいてclkxXに同期させて出力アンプ16−1の出力遅延時間を測定し、通常モードにおいて出力スイッチ60−1、60−2を制御し、出力アンプ16−1、16−2からの出力信号の出力タイミングを制御する。タイミング制御部12−2はモニタモードにおいて出力アンプ16−4の出力遅延時間を測定し、通常モードにおいて出力スイッチ60−3、60−4、60−5を制御し、出力アンプ16−3、16−4、16−5からの出力信号の出力タイミングを制御する。タイミング制御部12−3はモニタモードにおいて出力アンプ16−7の出力遅延時間を測定し、通常モードにおいて出力スイッチ60−6、60−7を制御し、出力アンプ16−6、16−7からの出力信号の出力タイミングを制御する。
【0026】
以下、各部の回路図を参照して、本実施の形態に係る表示パネルドライバ10の構成について説明する。
【0027】
図2は、タイミング制御部12−1の一例の詳細を示す回路図である。タイミング制御部12−2、12−3の構成はタイミング制御部12−1と同様なので、詳細な説明は省略する。
図2に示すように、タイミング制御部12−1は、タイミング発生部18(
図2では、「swo_time_gen」と表記)、比較器20(
図2では、「comparator」と表記)、およびスイッチ74(
図2では、「xswmon」と表記)を含んで構成されている。タイミング発生部18が本発明に係る「計数部」、「遅延制御部」、および「保持部」である。
【0028】
スイッチ74は、タイミング切替部14からHのnswmon信号を受け取るとオンとなり(閉となり)、出力信号sout_1を比較器20に接続する。
【0029】
比較器20は、出力信号sout_1が第1のレベルから第2のレベルまでの遷移時間(例えば、LからHへの立ち上がり時間)、すなわち、出力信号sout_1の遅延時間量を測定する。比較器20の反転入力にはvref(基準電圧)が接続され、非反転入力には出力信号sout_1が接続されている。vrefは、例えば表示パネルドライバ10の内部に設けられた、各部の基準電圧を発生する回路から供給される。比較器20は、スイッチ74が閉じ出力信号sout_1が入力されると、出力信号sout_1とvrefとを比較し、出力信号sout_1がvrefに達すると、タイミング発生部18にcomp信号(カウント終了パルス)を出力する。
【0030】
タイミング発生部18には、nswob信号、nswmon信号、clkxX信号(クロック信号)、comp信号が入力され、タイミング発生部18からは、nswob_d1(スイッチング信号、開閉信号)が出力される。より詳細には、タイミング発生部18は、モニタモードにおいて出力アンプ16−1の出力遅延時間を測定するとともに、通常モードにおいて出力スイッチ60−1、60−2を制御するnswob_d1を出力する。すなわち、nswob_d1信号によって出力スイッチ60−1、60−2をオンさせ、出力アンプ16−1、16−2から一斉に出力信号sout_1〜sout320を出力させる。そして、測定された出力遅延時間に応じた期間出力させた後、出力スイッチ60−1、60−2をオフさせる。出力グループS2、S3でも同様に、各々nswob_d1信号、nswob_d2信号によって出力スイッチ60をオンさせ、出力アンプ16から一斉に出力信号soutを出力させる。そして、測定された出力遅延時間に応じた期間出力させた後、出力スイッチ60をオフさせる。
【0031】
図3は、タイミング発生部18の一例の詳細を示す回路図である。タイミング発生部18は、カウンタ22(
図3では、「counter」と表記)、遅延制御部24(
図3では、「swo_dly_con」と表記)、DFF26、30、36、40、セレクタ34、38、AND(論理積回路)28、32を含んで構成されている。比較器20、およびカウンタ22が本発明に係る「計数部」である。
【0032】
DFF26およびAND28は、nswob信号とclkxX信号によってcnt_startパルス(カウント開始パルス)を生成する。すなわち、DFF26にnswob信号が入力されると、clkxX信号の1周期のパルス幅を有するcnt_startパルスが生成される。DFF30およびAND32は、comp信号とclkxX信号によってcnt_stopパルス(カウント停止パルス)を生成する。すなわち、DFF30にcomp信号が入力されると、clkxX信号の1周期のパルス幅を有するcnt_stopパルスが生成される。
【0033】
カウンタ22には、cnt_start信号、cnt_stop信号、およびclkxX信号が入力され、カウンタ22からは、カウントの結果であるcnt[1]、cnt[0]信号(カウンタ値信号)が出力される。カウンタ22のen(イネーブル)端子にはnswmon信号(モード切替信号)が入力され、カウンタ22はこのnswmon信号によって動作、非動作が制御される。なお、本実施の形態では、カウンタ22は2ビットのカウンタとされている。
【0034】
セレクタ34およびDFF36は、カウンタ22が停止したときのcnt[1]信号を保持する。すなわち、セレクタ34にはcnt[1]信号とcnt_stop信号が入力されており、カウンタ22が動作している間はセレクタ34のB入力が選択されるので、セレクタ34にはcnt[1]信号が入力される。一方、カウンタ22のカウント動作が停止するとセレクタ34のA入力が選択され、そのときのcnt[1]の値がcnt_ff[1]信号として保持される。cnt_ff[1]信号は、カウンタ22による2ビットのカウント値の上位ビットである。
【0035】
セレクタ38およびDFF40は、カウンタ22が停止したときのcnt[0]信号を保持する。すなわち、セレクタ38にはcnt[0]信号とcnt_stop信号が入力されており、カウンタ22が動作している間はセレクタ38のB入力が選択されるので、セレクタ38にはcnt[0]信号が入力される。一方、カウンタ22のカウント動作が停止するとセレクタ38のA入力が選択され、そのときのcnt[0]の値がcnt_ff[0]信号として保持される。cnt_ff[0]信号は、カウンタ22による2ビットのカウント値の下位ビットである。セレクタ34、38、DFF36、40が本発明に係る「保持部」である。
【0036】
遅延制御部24は、nswob信号、cnt_ff[1]信号、cntff[0]信号を入力とし、スイッチング信号であるnswob_d1信号を生成する。nswob_d1信号は、cnt_ff[1]信号およびcntff[0]信号で示されたカウントに応じて生成された、出力スイッチ60−1、60−2をオンさせるタイミングを示す信号である。
【0037】
図4は、遅延制御部24の一例の詳細を示す回路図である。
図4に示すように、遅延制御部24は、インバータ42、遅延回路44、46、48(
図4では、「DLY」と表記)、AND(論理積回路)50、54、56、58、およびOR(論理和回路)52を含んで構成されている。インバータ42は、入力されたnswob信号の論理を反転させる。
【0038】
遅延回路44、46、48の各々は、入力されたnswob信号に遅延を与える単位遅延素子である。本実施の形態では、遅延回路44、46、48として遅延時間が同じ遅延素子を用いている。しかしながら、これに限られず、遅延素子以外の遅延回路を用いてもよいし、遅延回路44、46、48の遅延時間を遅延回路ごとに異なるものとしてもよい。
【0039】
AND54、56、58、50は、カウンタ22から出力されたカウント値を示すcnt_ff[1]信号およびcnt_ff[0]信号を用いて、接続される遅延回路44、46、48を選択し、nswob信号の遅延時間を決定する。すなわち、cnt_ff[1]信号およびcntff[0]信号によるカウント値をcnt_ff[1:0]([1:0]は[上位ビット:下位ビット]の組み合わせを示す)で表記すると、各々のカウント値に対して接続される遅延回路の組み合わせは以下のようになる。すなわち、cnt_ff[1:0]=[0:0]ではAND50がオンになるので遅延回路44、46、48が選択される(つまり、遅延回路が3段)。cnt_ff[1:0]=[0:1]ではAND58がオンになるので遅延回路44、46が選択される(つまり、遅延回路が2段)。cnt_ff[1:0]=[1:0]ではAND56がオンになるので遅延回路44が選択される(つまり、遅延回路が1段)。cnt_ff[1:0]=[1:1]ではAND54がオンになるので遅延回路44、46、48のいずれもが選択されない(つまり、遅延回路が0段)。
【0040】
OR52はAND54、56、58、50の論理和をnswob_d1信号として出力し、出力スイッチ60−1、60−2の開閉を制御する。
【0041】
図5は、タイミング切替部14の一例の詳細を示す回路図である。
図5に示すように、タイミング切替部14は、DFF62、64、AND66、インバータ68を含んで構成されている。タイミング切替部14にはmon_mode信号(モニタモード信号)およびnswob信号が入力され、nswmon信号(モード切替信号)が出力される。すなわち、タイミング切替部14は、モニタモードと通常モードとを切り替える機能を有している。インバータ68は、入力されたnswob信号の論理を反転させる。DFF62、64、AND66は、2回目のnswob信号のタイミングを生成し、nswmon信号としてタイミング制御部12−1に供給する。nswmon信号の詳細については後述する。
【0042】
次に、
図6および
図7を参照し、各回路部における各信号の動作波形のタイミングチャートに基づいて、各回路部の動作の詳細について説明する。
図6は、モニタモードおよび通常モードにおける各信号の動作波形を示し、
図7は、モニタモードにおける各信号の動作波形を示している。
図6および
図7では、出力アンプ16−1から出力される出力信号sout_1、および16−4から出力される出力信号sout_480を例示し、対比しながら説明している。
【0043】
ここでは、出力信号sout_1の配線負荷と、出力信号sout_480の配線負荷とが異なり、出力信号sout_1の配線負荷の方が、出力信号sout_480の配線負荷よりも大きい(配線遅延が大きい)ものとする。その結果、出力信号sout_1で選択される遅延回路の段数が0段、出力信号sout_480で選択される遅延回路の段数が3段であるとする。つまり、nswob_d1を決定するcnt_ff[1:0]の値は2’b11、nswob_d2を決定するcnt_ff[1:0]の値は2’b00であるとする。ここで、2’bXXはXXがバイナリ信号であることを表している。また、出力信号sout_1およびsout_480の遅延量を測定する際の出力信号sout_1およびsout_480の振幅を示す諧調値は、16進数で”00”を最小値とし”FF”を最大値としている。
【0044】
まず、時刻t1においてアクティブLのreset信号を発出する(
図6(a))。reset信号は表示パネルドライバ10を初期化する信号であり、本実施の形態では表示パネルドライバ10の内部で生成される。あるいは、これに限られず、外部に備えられたタイミングコントローラ等から受け取るようにしてもよい。
【0045】
reset信号が発出されると、時刻t1でmon_mode信号(モニタモード信号)をHとし(
図6(b))、表示パネルドライバ10の状態(
図6では、「function」と表記)をモニタモードとする(
図6(c))。その際、nswob信号=L、nswob_d1信号=L、nswob_d2信号=Lとなる(
図6(d)〜(f))。また、この際図示しないnswmon信号もLとなっている。なお、ここでいうfunctionは状態の意味であり、この名称の信号が存在するわけではない。
【0046】
次に、表示パネルドライバ10に”00”を書き込み、時刻t2においてnswob信号をHとし、出力アンプ16−1の入力信号sin_1、出力アンプ16−4の入力信号sin_480を”00”に切り替える。次に、時刻t3においてnswob信号をLにすると、nswob_d1とnswob_d2が、遅延制御部24の遅延回路44、46、48による遅延時間(
図6では時間tdとして表記)だけ遅れた時刻t4においてHからLとなり、出力信号sout_1、sout_480の値が”00”に切り変わる(
図6(g)、(h))。
【0047】
次に、表示パネルドライバ10に”FF”を書き込み、時刻t5においてnswob信号をHとし、出力アンプ16−1の入力信号sin_1、出力アンプ16−4の入力信号sin_480を”FF”に切り替える。このとき、タイミング切替部14でnswob信号の2回目の立ち上がりを検知してnswmon信号がHとなるので、タイミング制御部12−1の比較器20に出力信号sout_1が接続される。同様に、タイミング制御部12−2の比較器20に出力信号sout_480が接続される。
【0048】
次に、時刻t6においてnswob信号をLにすると、nswob_d1信号とnswob_d2信号が、遅延制御部24の遅延回路44、46、48による遅延時間だけ遅れた時刻t7においてHからLとなり、出力信号sout_1、sout_480の値が”FF”に切り変わる(
図6(g)、(h))。同時に、タイミング発生部18のカウンタ22でカウントが開始される(cnt_start信号がHになる)。
【0049】
次に、
図7を参照し、モニタモードにおける出力遅延時間の測定についてより詳細に説明する。
図7は、
図6において時間TPで示した部分をより詳細に示した図である。
図7(a)はクロック信号(
図7(a)では、「clk」と表記)を示している。なお、
図7では、出力信号sout_1の出力遅延時間の測定のタイミングチャートを示しているが、sout_480の場合は最終的なカウント値cnt_ff[1:0]の値が2’b00となる点以外は同様なので、図示を省略する。
【0050】
上述したように、時刻t7でnswob_d1がHからLに遷移すると(
図7(c))、nswmonがLからHに遷移し(
図7(e))、スイッチ74を介して出力信号sout_1がタイミング制御部12−1の比較器20に接続される。このとき同時にcnt_startパルスが発生し(
図7(f))、カウンタ22によるカウントが開始される。
【0051】
sout_1が時刻t9においてvrefに到達すると(
図7(d))、比較器20からcomp信号としてHが出力される(
図7(g))。一方、comp信号がHになると、cnt_stopパルスが発生し(
図7(h))、カウンタ22におけるカウント動作が停止する。
【0052】
カウンタ22におけるカウント動作の進行に伴い、上位ビットcnt[1]と下位ビットcnt[0]の組み合わせであるcnt[1:0]の値が、2b’00、2b’01、2b’10、2b’11と変化する(
図7(i))。カウンタ22におけるカウント動作が停止すると、時刻t10において、cnt_ff[1:0]にそのときのカウンタ22のカウント値が保持される。出力信号sout_1では選択される遅延回路の段数が0段であるので、cnt[1:0]は2b’11までカウントされる。従って、cnt_ff[1:0]には2b’11が保持される(
図7(j))。同様に、タイミング制御部12−2のタイミング発生部18では、cnt_ff[1:0]に2b’00が保持される(図示省略)。その後、時刻t11でmon_mode信号をLにすると(
図7(b)、
図6(b))、同時にnswmon信号がLになる(
図7(e))。
【0053】
再び
図6を参照し、カウンタ22にカウント値が保持された後、時刻t11においてmon_mode信号をHからLにし(
図6(b))、モニタモードから通常モードに切り替える。これによりnswmon信号がLとなり、出力信号sout_1と比較器20との接続、および出力信号sout_480と比較器20との接続が解除される(切り離される)。以降、通常モードで動作する場合は、モニタモードで保持したcnt_ff[1:0]の値により出力信号sout_1〜sout320、および出力信号sout_321〜sout_640の遅延時間が決定される。
【0054】
本例ではnswob_d1に対応するcnt_ff[1:0]の値は2’b11なので、遅延制御部24で選択される遅延回路の段数は0段となり、nswo_d2に対応するはcnt_ff[1:0]の値は2’b00なので、遅延制御部24で選択される遅延回路の段数が3段となる。その結果、
図6における時刻t12で出力信号sout_1およびsout_480の遅延時間(スイッチ60−1、60−4をオフさせるタイミング)が設定される。そして、出力信号sout_1〜sout_320はnswob_d1の制御によって時刻t13でオフとされる一方、出力信号sout_321〜sout_640はnswob_d2の制御によって時刻t14でオフとされる。すなわち、時間(t14−t13)だけ、出力信号sout_1〜sout320の方が出力信号sout_321〜sout_640よりも早く出力される。このことにより、sout_1〜sout320とsout_321〜sout_640の出力遅延がほぼ同等となり、出力信号sout_1〜sout320とsout_321〜sout_640とは、ほぼ同時に表示パネルに到達する。
【0055】
以上詳述したように、本実施の形態によれば、出力アンプの出力遅延量をモニタする回路と、モニタした結果を基に、出力アンプの出力スイッチをオンとするタイミングを自動調整する回路とを表示パネルドライバに搭載することで、配線負荷等に起因する遅延バラツキを抑えることが可能となり、例えば表示パネルの画質改善の効果が得られる。
【0056】
[第2の実施の形態]
図8および
図9を参照して、本実施の形態に係る表示パネルドライバ10aについて説明する。本実施の形態は、上記実施の形態に係る表示パネルドライバ10に対し、タイミング制御部12の比較器20を出力アンプ16で代用した形態である。
図8は通常モードにおける表示パネルドライバ10aの動作状態を、
図9はモニタモードにおける表示パネルドライバ10aの動作状態を、各々示している。なお、
図8および
図9では、960のチャネルのうち、チャネル1〜320を抜き出して図示している。
【0057】
図8に示すように、表示パネルドライバ10aは、タイミング制御部12a−1、タイミング切替部14、出力アンプ16−1、16−8、16−9、およびスイッチ76、78、80、82、84を含んで構成されている。
図8において、スイッチ78、80、84は「xswmon」と表記され、スイッチ76、82は「xswmonb」と表記されている。スイッチxswmonはnswmon信号と同じ極性の信号で制御され、スイッチxswmonbはnswmonの補信号で制御されることを示している。出力アンプ16−8の非反転入力にはスイッチ80を介して出力信号sout_1が接続され、反転入力にはスイッチ78を介してvrefが接続されている。
【0058】
一方、タイミング切替部14は、表示パネルドライバ10が備えるタイミング切替部14と同じものである。また、出力アンプ16−8は、表示パネルドライバ10の319チャネルの出力アンプ16−2のうちの出力信号sout_2に対応する出力アンプを抜き出したものであり、出力アンプ16−9は、出力アンプ16−2のうちの出力信号sout_3〜sout_20に対応する出力アンプを抜き出したものである。
【0059】
表示パネルドライバ10aでは、表示パネルドライバ10のタイミング制御部12−1がタイミング制御部12a−1に変更されている。タイミング制御部12a−1は比較器20を備えておらず、出力アンプ16−8が比較器20の代用とされている。すなわち、出力アンプ16−8は通常モードにおいては本来の出力アンプとして機能し、モニタモードにおいてはタイミング制御部12a−1の比較器として機能する。そして、各々の機能の切り替えをスイッチ76、78、80、82、84によって行う。
【0060】
通常モードの場合には、nswmon信号によって、スイッチ76、78、80、82、84を
図8のように設定する。すなわち、通常モードではnswmon信号がL、nswmonb信号(nswmon信号の補信号)がHとなるため、Hのnswmonb信号によってスイッチ76、82がオンとなり、Lのnswmon信号によってスイッチ78、80、84がオフとなる。このことにより出力アンプ16−8が、入力信号sin_2を増幅し出力信号sout_2を出力する本来の増幅器としての機能を発揮する。
【0061】
一方、モニタモードの場合は、nswmon信号によって、スイッチ76、78、80、82、84を
図9のように設定する。すなわち、モニタモードではnswmon信号がH、nswmonb信号がLとなるため、Hのnswmon信号によってスイッチ78、80、84がオンとなり、Lのnswmonb信号によってスイッチ76、82がオフとなる。このことにより、出力アンプ16−8は出力信号sout_1とvrefとを比較する比較器として機能する。なお、本実施の形態では、出力グループS1において、出力信号sout_2に対応する出力アンプを比較器20として用いる形態を例示して説明したが、これに限られず、出力信号sout_3〜sout_320のいずれかを比較器20として用いる形態としてもよい。
【0062】
以上のように、本実施の形態に係る表示パネルドライバ10aでは、比較器20をモニタモードにおいて使用していない出力アンプで代用できるように、スイッチ76、78、80、82、84を付加している。同様に、出力グループS2では、出力アンプ16−3または出力アンプ16−5のうちの1つの出力アンプを比較器20として代用し、出力グループS3では、出力アンプ16−6のうちの1つの出力アンプを比較器20として代用するように各々スイッチを配置してもよい。
【0063】
本の実施の形態によれば、タイミング制御部12において比較器20を用いることなく、上記実施の形態と同等の効果が得られるため、表示パネルドライバ10aのチップのレイアウト面積の削減に繋がり、従って上記実施の形態と比較してチップコストの面でも有利となる。
【0064】
なお、上記各実施の形態では、表示パネルドライバの960チャネルの出力を出力グループS1、S2、S3の3つに分割し、出力グループS1、S2、S3の各々にタイミング制御部12、タイミング切替部14を設ける形態を例示して説明したが、これに限られない。例えば、出力グループの数を2つ、あるいは4つ以上としてもよい。出力グループの分割数を大きくすれば、それだけ各出力アンプ16間の遅延時間の制御を緻密にすることができるので、出力チャネル間の遅延時間をさらに均一にすることが可能となる。
【0065】
また、上記各実施の形態では、タイミング発生部18において2ビットのカウンタ22と、3つの遅延回路(44、46、48)による遅延制御部24を含む形態を例示して説明したがこれに限られず、タイミング発生部18を、3ビット以上のカウンタを含む形態、あるいは4つ以上の遅延回路による遅延制御部を含む形態としてもよい。カウンタのビット数、あるいは遅延制御部の遅延回路の数を増やすことによって、より緻密な出力遅延時間の調整が可能となる。