(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スペーサデバイスは第1のスペーサ要素及び第2のスペーサ要素を備え、前記第1及び第2のスペーサ要素はいずれも第1の磁性体及び第2の磁性体に接続されており、前記第1及び第2のスペーサ要素は前記作動の方向で互いに離隔しており、
前記第1及び第2のスペーサ要素は、前記内部磁力の方向、ならびに前記作動の方向及び前記内部磁力の方向に垂直に伸びる回転軸を中心とした回転方向における、前記第1の磁性体及び前記第2の磁性体の位置を、一緒になって定義し、
前記第1のインターフェイスは前記第1の磁性体の位置を残りの自由度で定義し、
前記第2のインターフェイスは前記第2の磁性体の位置を残りの自由度で定義する、請求項1から3のいずれかに記載のステージシステム。
前記スペーサデバイスは前記作動の方向に垂直に配置された板バネヒンジを備え、前記板バネヒンジは、前記第1の磁性体に接続された第1の縁部と、前記第1の縁部に対向する第2の縁部とを有し、前記第2の縁部は前記第2の磁性体に接続されている、請求項1から3のいずれかに記載のステージシステム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0022]
図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示す。装置は、放射ビームB(例えば、UV放射又はその他の任意の好適な放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを支持するように構築され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1の位置決めデバイスPMに接続されたマスク支持構造(例えば、マスクテーブル)MTとを含む。装置は、また、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第2の位置決めデバイスPWに接続された基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WT又は「基板サポート」を含む。装置は、パターニングデバイスMAによって基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上に放射ビームBに付与されたパターンを投影するように構成された投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSを更に備える。
【0014】
[0023] 照明システムは、放射を誘導し、整形し、又は制御するための、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、又はその他のタイプの光学コンポーネント、あるいはそれらの任意の組み合わせなどの様々なタイプの光学コンポーネントを含むことができる。
【0015】
[0024] マスク支持構造は、パターニングデバイスを支持、すなわち、その重量を支えている。マスク支持構造は、パターニングデバイスの方向、リソグラフィ装置の設計等の条件、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否かに応じた方法で、パターニングデバイスを保持する。マスク支持構造は、パターニングデバイスを保持するために、機械式、真空式、静電式等のクランプ技術を使用することができる。マスク支持構造は、例えばフレーム又はテーブルでよく、必要に応じて固定式又は可動式でよい。マスク支持構造は、パターニングデバイスが例えば投影システムなどに対して確実に所望の位置に来るようにできる。本明細書において「レチクル」又は「マスク」という用語を使用した場合、その用語は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義と見なすことができる。
【0016】
[0025] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを付与するために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。ここで、放射ビームに付与されるパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャ又はいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分における所望のパターンに正確には対応しないことがある点に留意されたい。一般的に、放射ビームに付与されるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
【0017】
[0026] パターニングデバイスは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、更には様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小型ミラーのマトリクス配列を使用し、ミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するよう個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを付与する。
【0018】
[0027] 本明細書において使用する「投影システム」という用語は、例えば使用する露光放射、又は液浸液の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、磁気光学システム、電磁気光学システム及び静電光学システム、又はその任意の組み合わせを含む任意のタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書において「投影レンズ」という用語を使用した場合、これは更に一般的な「投影システム」という用語と同義と見なすことができる。
【0019】
[0028] 本明細書で示すように、本装置は透過タイプである(例えば透過マスクを使用する)。あるいは、装置は反射タイプでもよい(例えば上記で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイを使用する、又は反射マスクを使用する)。
【0020】
[0029] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)又はそれ以上の基板テーブル又は「基板サポート」(及び/又は2つ以上のマスクテーブル又は「マスクサポート」)を有するタイプでよい。このような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブル又はサポートを並行して使用するか、1つ以上の他のテーブル又はサポートを露光に使用している間に1つ以上のテーブル又はサポートで予備工程を実行することができる。
【0021】
[0030] リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を充填するように、基板の少なくとも一部を水などの比較的高い屈折率を有する液体で覆えるタイプでもよい。液浸液は、例えばマスクと投影システムの間など、リソグラフィ装置の他の空間に適用することもできる。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させるために当技術分野で使用することができる。本明細書で使用する「液浸」という用語は、基板などの構造を液体に沈めなければならないという意味ではなく、露光中に投影システムと基板の間に液体が存在するというほどの意味である。
【0022】
[0031]
図1を参照すると、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。放射源とリソグラフィ装置とは、例えば放射源がエキシマレーザである場合に、別々の構成要素であってもよい。このような場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を形成すると見なされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダなどを備えるビームデリバリシステムBDの助けにより、放射源SOからイルミネータILへと渡される。他の事例では、例えば放射源が水銀ランプの場合は、放射源がリソグラフィ装置の一体部分であってもよい。放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDとともに放射システムと呼ぶことができる。
【0023】
[0032] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するように構成されたアジャスタADを備えていてもよい。通常、イルミネータの瞳面における強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ−outer及びσ−innerと呼ばれる)を調節することができる。また、イルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の種々のコンポーネントを備えていてもよい。イルミネータを用いて放射ビームを調節し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。
【0024】
[0033] 放射ビームBは、マスク支持構造(例えば、マスクテーブルMT)上に保持されたパターニングデバイス(例えば、マスクMA)に入射し、パターニングデバイスによってパターン形成される。マスクMAを横断した放射ビームBは、投影システムPSを通過し、投影システムPSは、ビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。第2の位置決めデバイスPW及び位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ又は容量センサ)の助けにより、基板テーブルWTを、例えば様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路に位置決めするように正確に移動できる。同様に、第1の位置決めデバイスPMと別の位置センサ(
図1には明示されていない)を用いて、マスクライブラリからの機械的な取り出し後又はスキャン中などに放射ビームBの経路に対してマスクMAを正確に位置決めできる。一般に、マスクテーブルMTの移動は、第1の位置決めデバイスPMの部分を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)の助けにより実現できる。同様に、基板テーブルWT又は「基板サポート」の移動は、第2のポジショナPWの部分を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを用いて実現できる。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、マスクテーブルMTをショートストロークアクチュエータのみに接続するか、又は固定してもよい。マスクMA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示のような基板アライメントマークは、専用のターゲット部分を占有するが、ターゲット部分の間の空間に位置してもよい(スクライブラインアライメントマークとして周知である)。同様に、マスクMA上に複数のダイを設ける状況では、マスクアライメントマークをダイ間に配置してもよい。
【0025】
[0034] 図示のリソグラフィ装置は、以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
1.ステップモードでは、マスクテーブルMT又は「マスクサポート」及び基板テーブルWT又は「基板サポート」は基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームに付与されたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWT又は「基板サポート」がX方向及び/又はY方向に移動される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光で結像されるターゲット部分Cのサイズが制限される。
2.スキャンモードでは、マスクテーブルMT又は「マスクサポート」及び基板テーブルWT又は「基板サポート」は同期的にスキャンされる一方、放射ビームに付与されるパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。マスクテーブルMT又は「マスクサポート」に対する基板テーブルWT又は「基板サポート」の速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光におけるターゲット部分の(非スキャン方向における)幅が制限され、スキャン動作の長さによってターゲット部分の(スキャン方向における)高さが決まる。
3.別のモードでは、マスクテーブルMT又は「マスクサポート」はプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWT又は「基板サポート」を移動又はスキャンさせながら、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス状放射源を使用して、基板テーブルWT又は「基板サポート」を移動させる毎に、又はスキャン中に連続する放射パルスの間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に利用できる。
【0026】
[0035] 上述した使用モードの組み合わせ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
【0027】
[0036]
図2は、本発明によるステージシステムの第1の実施形態を示す。
【0028】
[0037]
図2のステージシステム1は、オブジェクト3、例えば基板を支持するように適合された、オブジェクトテーブル2を備えている。オブジェクトテーブル2は、例えば基板テーブルであり得る。任意選択的には、オブジェクトテーブル2はミラーブロックを備える。
【0029】
[0038] ステージシステム1は、オブジェクト3を位置決めするように適合される。任意選択的には、基部4が設けられ、オブジェクト3はこの基部4に対して位置決めされる。基部4は、基部4が固定された世界(fixed world)であると見なされることができるように、任意選択的には静止しており、又は代替的には、基部4が固定された世界に対して可動である。任意選択的には、基部4はロングストロークポジショナを備える。
【0030】
[0039] ステージシステム1は更に、オブジェクトテーブル2を位置決めするように適合された位置決めシステムを備える。この位置決めシステムは、例えば、オブジェクトテーブル2を二次元平面内、
図2においてはx−y平面内で位置決めするように適合される。任意選択的には、位置決めシステムは、オブジェクトテーブル2を6自由度で位置決めするように適合される。基部4が存在する場合には、位置決めシステムは、オブジェクトテーブル2を基部4に対して位置決めするように随意に適合される。任意選択的には、投影システムを備えるリソグラフィ装置内にステージシステムが配置される場合には、位置決めシステムは、オブジェクトテーブル2を投影システムに対して位置決めするように随意に適合される。
【0031】
[0040] 位置決めシステムは、オブジェクトテーブル2を作動の方向15で位置決めするためのアクチュエータ10を備える。
図2の実施形態においては、4つのアクチュエータ10が設けられている。2つのアクチュエータはオブジェクトテーブル2をx方向で位置決めするように適合されており、2つのアクチュエータはオブジェクトテーブル2をy方向で位置決めするように適合されている。代替的な実施形態においては、異なる数のアクチュエータが利用されてもよい。
【0032】
[0041] 各アクチュエータ10は、磁石アセンブリ20とコイルアセンブリ11とを備える。磁石アセンブリ20は、第1の磁性体21と第2の磁性体22とを備える。第1の磁性体21及び第2の磁性体22は使用時に内部磁力に曝される。この実施形態においては、第1の磁性体21及び第2の磁性体22は、内部磁力によって互いに引き付けられる。代替的には、第1の磁性体21及び第2の磁性体22は、内部磁力によって互いに反発してもよい。いずれの場合も、内部磁力は、作動の方向15に対して垂直に向けられる。
図2においては、内部磁力はx−y平面内で配向される。第1及び/又は第2の磁性体21,22は、一例として磁石、例えば永久磁石及び/又は鉄もしくは強磁性体要素を備える。
【0033】
[0042] コイルアセンブリ11は、使用時に作動の方向15の力を発生するように、少なくとも部分的に第1の磁性体21と第2の磁性体22との間に延在している。任意選択的な基部4が存在する場合には、コイルアセンブリ11は基部4に随意に接続又は固定される。
【0034】
[0043] 磁石アセンブリ20は、第1の磁性体21をオブジェクトテーブル2に接続するように適合された第1のインターフェイス23と、第2の磁性体22をオブジェクトテーブル2に接続するように適合された第2のインターフェイス24とを備える。第1のインターフェイス23と第2のインターフェイス24とは互いに分離している。
【0035】
[0044] 磁石アセンブリ20は更に、第1の磁性体21と第2の磁性体22とを少なくとも内部磁力の方向で互いに対して相対距離をとって保持するように適合されたスペーサデバイスを備える。
図2に示される実施形態においては、スペーサデバイスは、第1のスペーサ要素25と第2のスペーサ要素26とを備えている。これらのスペーサ要素25,26は、第1の磁性体21と第2の磁性体22とを、コイルアセンブリ11の少なくとも一部が第1及び第2の磁性体21,22の間に且つこれらからある距離をとって配置されることができるような距離で、互いに離隔させて保持する。スペーサ要素25,26は、内部磁力の作用に反して、第1の磁性体21と第2の磁性体22とを互いに離隔させて保持する。
【0036】
[0045]
図2の実施形態は、第1及び第2の磁性体21,22をオブジェクトテーブル2に非常に強固に接続することを可能にし、その結果、オブジェクトテーブル2の有利な動的挙動がもたらされる。これは、達成可能な位置決め精度に対して好影響を有する。アクチュエータが接続された状態のオブジェクトテーブルの動的挙動は、とりわけ1つ又は複数のアクチュエータの質量によって、及びオブジェクトテーブルへのアクチュエータの接続の強固さによって、決定される。しかしながら、アクチュエータとオブジェクトとの間の接続を一方向(例えば作動の方向)で強固にすると、「寄生剛性」としても知られる、他の方向でのその接続の強固さもまた、増加する。その結果、例えば加熱又は取り付けに起因するアクチュエータの変形が、力という形でオブジェクトテーブルに伝達される。アクチュエータの各磁性体は、別個にオブジェクトテーブルに取り付けるのが有利である。あるアクチュエータの2つの磁性体が別個に且つ強固にオブジェクトテーブルに取り付けられる場合、固有周波数は、これらの磁性体がインターフェイスを共有しそのインターフェイスが両者を一緒にオブジェクトテーブルに接続する場合に生じるよりも、√2(約1.4)倍高くなる。しかし、使用の間、磁性体は内部磁力、例えば吸引力に曝され、これは、何ら他の措置がとられなければ、オブジェクトテーブルを変形させるであろう。本発明は、アクチュエータの2つの磁性体の間に存在する内部磁力に耐えるスペーサデバイスを提供することを提案する。スペーサデバイスは、各磁性体の少なくとも1自由度を定義する。各磁性体の残りの自由度は、その磁性体をオブジェクトテーブルに接続するインターフェイスによって定義される。インターフェイスは、比較的高い強固さをもって、これらの自由度で接続を提供することができる。これにより、1つ又は複数のアクチュエータを取り付けられたオブジェクトテーブルの動的挙動が改良され、その結果、例えばその1つ又は複数のアクチュエータの高いサーボ帯域幅が、オブジェクトテーブルの寄生剛性による変形を増大させることなく、もたらされる。
【0037】
[0046] 任意選択的には、
図2のステージシステムは更に、位置決め測定システムを備える。位置決め測定システムは、オブジェクトテーブル2の位置、例えば基準に対して少なくとも一方向でのオブジェクトテーブル2又はオブジェクトテーブル2の一部の位置を測定する。位置測定システムは、エンコーダベース又は干渉計ベースであってもよい。位置測定システムは、センサ部及びターゲット部を随意に備える。基準は、例えば基部(あれば)に設けられる。又は、投影システムを備えるリソグラフィ装置内にステージシステムが配置される場合には、基準は例えば投影システムに設けられる。
【0038】
[0047] 位置測定システムがエンコーダベースである場合には、位置測定システムは、例えば投影システムに配置された格子、例えば一次元又は二次元格子、ならびに、ビーム源と格子からビームを受けるように適合された少なくとも1つのセンサとを備えるエンコーダヘッドを随意に備え、このエンコーダヘッドは例えばオブジェクトテーブルに配置される。代替的には、格子はオブジェクトテーブルに配置されてもよく、エンコーダヘッドは投影システムに配置されてもよい。
【0039】
[0048] 位置測定システムが干渉計ベースである場合には、位置測定システムは、例えばオブジェクトテーブル2に配置されたミラーと、光ビーム源と、ミラーからビームを受けるように適合されたセンサとを備える。光ビーム源は、光ビームがオブジェクトテーブル2上のミラーに当たるように配置される。代替的には、ミラーは、例えば投影システムに配置されてもよい。
【0040】
[0049]
図2の実施形態の可能な別形においては、スペーサデバイスは、第1の磁性体21の位置を少なくとも1自由度で定義するように適合される。第1のインターフェイス23は、第1の磁性体21の位置を残りの自由度で定義するように適合される。
【0041】
[0050] 任意選択的には、スペーサデバイスは、少なくとも内部磁力の方向における第1の磁性体21の位置を定義するように適合される。
【0042】
[0051] ある物体(body)は空間内でのその位置を定義するために6自由度を有する。すなわち、3並進自由度及び3回転自由度である。並進自由度は、一般的に、デカルト座標系において方向x、y及びzと称される。方向xと方向yと方向zとは、互いに垂直である。回転自由度は、一般的に、方向rx、ry及びrzと称され、ここでrxは回転軸がx方向である回転、ryは回転軸がy方向である回転、rzは回転軸がz方向である回転である。
【0043】
[0052] 位置決めシステムがオブジェクトテーブル2をx−y平面内で位置決めするように適応されており、アクチュエータ10の作動の方向15がx方向である場合、そのアクチュエータ10における内部磁力はy方向に向けられる。
図2の実施形態のこの別形においては、スペーサデバイスは、少なくともy方向における第1の磁性体21の位置を定義するように適合される。任意選択的には、第1のインターフェイス23は、スペーサデバイスによって定義されていない自由度でのみ第1の磁性体21の位置を定義するように適合される。
【0044】
[0053] 位置決めシステムがオブジェクトテーブル2をx−y平面内で位置決めするように適応されており、アクチュエータ10の作動の方向15がy方向である場合、そのアクチュエータ10における内部磁力はx方向に向けられる。
図2の実施形態のこの別形においては、スペーサデバイスは、少なくともx方向における第1の磁性体21の位置を定義するように適合される。任意選択的には、第1のインターフェイス23は、スペーサデバイスによって定義されていない自由度でのみ第1の磁性体21の位置を定義するように適合される。
【0045】
[0054] 任意選択的には、第1のインターフェイス23は、少なくとも作動の方向15における第1の磁性体21の位置を定義する。
【0046】
[0055] 代替的又は追加的には、スペーサデバイスは、少なくとも1自由度で第2の磁性体22の位置を定義するように適合される。第2のインターフェイス24は、残りの自由度で第2の磁性体22の位置を定義するように適合される。
【0047】
[0056] 任意選択的には、スペーサデバイスは、少なくとも内部磁力の方向における第2の磁性体22の位置を定義するように適合される。
【0048】
[0057] ある物体は空間内でのその位置を定義するために6自由度を有する。すなわち、3並進自由度及び3回転自由度である。並進自由度は、一般的に、デカルト座標系において方向x、y及びzと称される。方向xと方向yと方向zとは、互いに垂直である。回転自由度は、一般的に、方向rx、ry及びrzと称され、ここでrxは回転軸がx方向である回転、ryは回転軸がy方向である回転、rzは回転軸がz方向である回転である。
【0049】
[0058] 位置決めシステムがオブジェクトテーブル2をx−y平面内で位置決めするように適応されており、アクチュエータ10の作動の方向15がx方向である場合、そのアクチュエータ10における内部磁力はy方向に向けられる。
図2の実施形態のこの別形においては、スペーサデバイスは、少なくともy方向における第2の磁性体22の位置を定義するように適合される。任意選択的には、第2のインターフェイス24は、スペーサデバイスによって定義されていない自由度でのみ第2の磁性体22の位置を定義するように適合される。
【0050】
[0059] 位置決めシステムがオブジェクトテーブル2をx−y平面内で位置決めするように適応されており、アクチュエータ10の作動の方向15がy方向である場合、そのアクチュエータ10における内部磁力はx方向に向けられる。
図2の実施形態のこの別形においては、スペーサデバイスは、少なくともx方向における第2の磁性体22の位置を定義するように適合される。任意選択的には、第2のインターフェイス24は、スペーサデバイスによって定義されていない自由度でのみ第2の磁性体22の位置を定義するように適合される。
【0051】
[0060] 任意選択的には、第2のインターフェイス24は、少なくとも作動の方向15における第2の磁性体22の位置を定義する。
【0052】
[0061] スペーサデバイスと第1のインターフェイス23とが一緒になって一回だけ第1の磁性体21の全自由度を定義する場合には、第1の磁性体21の運動学的取り付け(「静定取り付け」としても知られる)が達成される。これは、第1の磁性体21が取り付けられる場所におけるオブジェクトテーブル2の局所的な機械的変形を低減する。
【0053】
[0062] スペーサデバイスと第2のインターフェイス24とが一緒になって一回だけ第2の磁性体22の全自由度を定義する場合には、第2の磁性体22の運動学的取り付けが達成される。これは、第2の磁性体22が取り付けられる場所におけるオブジェクトテーブル2の局所的な機械的変形を低減する。
【0054】
[0063] スペーサデバイスと第1のインターフェイス23とが一緒になって一回だけ第1の磁性体21の全自由度を一緒に定義し、スペーサデバイスと第2のインターフェイス24とが一緒になって一回だけ第2の磁性体22の全自由度を定義する場合には、両磁性体21,22の運動学的取り付けが達成される。これは、アクチュエータが取り付けられる場所におけるオブジェクトテーブル2の局所的な機械的変形を低減する。
【0055】
[0064]
図3は磁石アセンブリ20の一例を示す。
【0056】
[0065] 磁石アセンブリ11は、第1の磁性体21と第2の磁性体22とを備える。第1の磁性体21及び第2の磁性体22は、使用時に内部磁力に曝される。
図3においては、内部磁力の方向は矢印16で示されている。この例では、第1の磁性体21及び第2の磁性体22は、内部磁力によって互いに引き付けられる。内部磁力は、作動の方向15に垂直に向けられている。第1及び/又は第2の磁性体21,22は、一例として磁石、例えば永久磁石及び/又は鉄体要素(iron body element)を備える。
【0057】
[0066] 第1の磁性体21と第2の磁性体22との間には空間27が設けられる。この空間27には、使用時に作動の方向15の力を発生するように、コイルアセンブリの少なくとも一部が配置されることができる。
【0058】
[0067] 磁石アセンブリ20は、第1の磁性体21をオブジェクトテーブル2に接続するように適合された第1のインターフェイス23と、第2の磁性体22をオブジェクトテーブル2に接続するように適合された第2のインターフェイス24とを備える。第1のインターフェイス23と第2のインターフェイス24とは互いに分離している。
【0059】
[0068] 磁石アセンブリ20は更に、第1の磁性体21と第2の磁性体22とを少なくとも内部磁力の方向で互いに対して相対距離をとって保持するように適合されたスペーサデバイスを備えており、それによって空間27が創出される。
図3に示される実施形態においては、スペーサデバイスは、第1のスペーサ要素25と第2のスペーサ要素26とを備えている。これらのスペーサ要素25,26は、第1の磁性体21と第2の磁性体22とを、コイルアセンブリ11の少なくとも一部が第1及び第2の磁性体21,22の間に且つこれらからある距離をとって配置されることができるような距離で、互いに離隔させて保持する。スペーサ要素25,26は、内部磁力の作用に反して、第1の磁性体21と第2の磁性体22とを互いに離隔させて保持する。
【0060】
[0069]
図4は、磁石アセンブリ20の別の一実施形態を概略的に示す。
【0061】
[0070]
図4の実施形態においては、作動の方向はx方向であり、内部磁力はy方向で作用する。
【0062】
[0071] この実施形態においては、スペーサデバイスは、第1のスペーサ要素25と第2のスペーサ要素26とを備えている。第1及び第2のスペーサ要素25,26は、いずれも第1の磁性体21及び第2の磁性体22に接続されている。第1及び第2のスペーサ要素25,26は、
図4ではx方向である作動の方向で、互いに離隔している。
【0063】
[0072] この実施形態においては、第1及び第2のスペーサ要素25,26は、
図4ではy方向である内部磁力の方向における第1の磁性体21及び第2の磁性体22の互いに対する位置を一緒になって定義する。第1及び第2のスペーサ要素25,26は更に、作動の方向及び内部磁力の方向に垂直に伸びる回転軸を中心とした回転方向における第1の磁性体21及び第2の磁性体22の位置を一緒になって定義する。このように、
図4の実施形態においては、第1及び第2のスペーサ要素25,26は更に、回転方向rzにおける第1の磁性体21及び第2の磁性体22の位置を一緒になって定義する。
【0064】
[0073]
図4の実施形態においては、第1のインターフェイス23は、残りの自由度で第1の磁性体21の位置を定義するように適合されている。
図4にはこれがインターフェイス要素31,32,33,34,35によって概略的に示されている。第1のインターフェイス23の第1のインターフェイス要素31及び第2のインターフェイス要素32は、z方向及び回転ry方向における第1の磁性体21の位置を定義する。第1のインターフェイス23の第3のインターフェイス要素33及び第4のインターフェイス要素34は、オブジェクトテーブル2に対するy方向及び回転rx方向における第1の磁性体21の位置を定義する。第1のインターフェイス23の第5のインターフェイス要素35は、オブジェクトテーブル2に対するx方向における第1の磁性体21の位置を定義する。
【0065】
[0074] こうして、オブジェクトテーブル2に対する第1の磁性体21の運動学的取り付け(「静定取り付け」としても知られる)が得られる。なぜなら、このような手法では、オブジェクトテーブル2に対する第1の磁性体21の位置に関する全自由度が定義されるのは一回だけであるからである。
【0066】
[0075] インターフェイス要素31,32,33,34,35は、支柱及び/又は枢軸など別個の構造要素の形で第1のインターフェイス23内に存在していなくてもよい。インターフェイス要素31,32,33,34,35の機能性は、2つ以上のインターフェイス要素の機能性を組み合わせる構造要素によっても得ることができる。そのような構造要素の例は、板バネ又は板バネヒンジである。板バネは3自由度を定義する。すなわち、板バネの平面内の2つの並進自由度(translations)及び板バネの平面に垂直な軸を中心とする回転自由度(rotation)である。板バネヒンジは、板バネの平面内の2並進自由度である2自由度のみを定義する改造された板バネである。例えば、板バネの対向する辺にあり板バネの縁部へと伸びる2つの切り欠きがこの結果を得る。
図6は、板バネ及び板バネヒンジが用いられる例示的な一実施形態を示す。
【0067】
[0076]
図4の実施形態においては、第2のインターフェイス24は、残りの自由度で第2の磁性体22の位置を定義するように適合されている。
図4にはこれがインターフェイス要素41,42,44,44,45によって概略的に示されている。第2のインターフェイス24の第2のインターフェイス要素41及び第2のインターフェイス要素42は、z方向及び回転ry方向における第2の磁性体22の位置を定義する。第2のインターフェイス24の第3のインターフェイス要素43及び第4のインターフェイス要素44は、オブジェクトテーブル2に対するx方向及び回転ry方向における第2の磁性体22の位置を定義する。第2のインターフェイス24の第5のインターフェイス要素45は、オブジェクトテーブル2に対するx方向における第2の磁性体22の位置を定義する。
【0068】
[0077] こうして、オブジェクトテーブル2に対する第2の磁性体22の運動学的取り付けが得られる。なぜなら、このような手法では、オブジェクトテーブル2に対する第2の磁性体22の位置に関する全自由度が定義されるのは一回だけであるからである。
【0069】
[0078] インターフェイス要素41,42,44,44,45は、支柱及び/又は枢軸など別個の構造要素の形で第2のインターフェイス24内に存在していなくてもよい。インターフェイス要素41,42,44,44,45の機能性は、2つ以上のインターフェイス要素の機能性を組み合わせる構造要素によっても得ることができる。そのような構造要素の例は、板バネ又は板バネヒンジである。
【0070】
[0079]
図5は、磁石アセンブリ20の別の一実施形態を概略的に示す。
【0071】
[0080]
図5の実施形態においては、作動の方向はx方向であり、内部磁力はy方向で作用する。
【0072】
[0081]
図5の実施形態は、スペーサデバイスならびに第1及び第2のインターフェイス23,24について自由度の定義の異なる分布を有する。
【0073】
[0082] この実施形態においては、スペーサデバイスは、第1のスペーサ要素25と第2のスペーサ要素26とを備えている。第1及び第2のスペーサ要素25,26は、いずれも第1の磁性体21及び第2の磁性体22に接続されている。第1及び第2のスペーサ要素25,26は、
図5ではx方向である作動の方向で、互いに離隔している。
【0074】
[0083] この実施形態においては、第1のスペーサ要素25は、第1のスペーサ部材25a及び第2のスペーサ部材25bを備えている。第2のスペーサ要素26は、第1のスペーサ部材26a、第2のスペーサ部材26b及び第3のスペーサ部材26cを備えている。
【0075】
[0084] 第1のスペーサ要素25の第1のスペーサ部材25aは、第1及び第2の磁性体21,22の間に、第1及び第2の磁性体21,22の中心面28内で、
図5ではy方向である第1及び第2の磁性体21,22の間の内部磁力の方向に伸びている。中心面は、作動の方向(
図5ではx方向)及び内部磁力の方向(
図5ではy方向)に平行であり、したがってこの実施形態においてはx−y平面に平行である。
【0076】
[0085] 第1のスペーサ要素25の第2の部材25bは、第1及び第2の磁性体21,22の間に伸び、第1のスペーサ要素25の平面内に斜めにわたっている。この例においては、第1のスペーサ要素25の第2の部材25bは、第1のスペーサ要素25の平面内で第2の磁性体22の下隅から第1の磁性体21の上隅へと伸びている。
【0077】
[0086] 第2のスペーサ要素26の第1のスペーサ部材26a及び第2のスペーサ部材26bは、第1及び第2の磁性体21,22の間に、内部磁力の方向(
図5ではy方向)に伸びている。第1のスペーサ部材26aは、第2のスペーサ要素26の平面内で第2の磁性体22の上隅から第1の磁性体21の上隅へと伸びている。第2のスペーサ部材26bは、第2のスペーサ要素26の平面内で第2の磁性体22の下隅から第1の磁性体21の下隅へと伸びている。
【0078】
[0087] 第2のスペーサ要素26の第3の部材26cは、第1及び第2の磁性体21,22の間に伸び、第2のスペーサ要素26の平面内に斜めにわたっている。この例においては、第2のスペーサ要素26の第3の部材26cは、第2のスペーサ要素26の平面内で第2の磁性体22の下隅から第1の磁性体21の上隅へと伸びている。
【0079】
[0088] スペーサ要素25,26及びそのスペーサ部材25a,25b,26a,26b,26cのこうした配置によって、y方向、z方向及び3つすべての回転方向rx、ry及びrzにおける第1及び第2の磁性体21,22の位置が定義されることが達成される。これにより、第1及び第2のインターフェイス23,24によって定義されなければならない自由度は少なくなる。
【0080】
[0089]
図5の実施形態においては、第1のインターフェイス23は、残りの自由度で第1の磁性体21の位置を定義するように適合されている。
図5にはこれがインターフェイス要素36,37,38によって概略的に示されている。第6のインターフェイス要素36は、オブジェクトテーブル2に対するz方向における第1の磁性体21の位置を定義する。第7のインターフェイス要素37は、オブジェクトテーブル2に対するy方向における第1の磁性体21の位置を定義する。第1のインターフェイス23の第8のインターフェイス要素38は、x方向における第1の磁性体21の位置を定義する。
【0081】
[0090] こうして、オブジェクトテーブル2に対する第1の磁性体21の運動学的取り付けが得られる。なぜなら、このような手法では、オブジェクトテーブル2に対する第1の磁性体21の位置に関する全自由度が定義されるのは一回だけであるからである。第2のインターフェイス24のインターフェイス要素46,47,48によって固定されるべき3自由度が残っている。
【0082】
[0091] インターフェイス要素36,37,38は、支柱及び/又は枢軸など別個の構造要素の形で第1のインターフェイス23内に存在していなくてもよい。インターフェイス要素36,37,38の機能性は、2つ以上のインターフェイス要素の機能性を組み合わせる構造要素によっても得ることができる。そのような構造要素の例は、板バネ又は板バネヒンジである。
【0083】
[0092]
図5の実施形態においては、第2のインターフェイス24は、残りの自由度で第2の磁性体22の位置を定義するように適合されている。
図5にはこれがインターフェイス要素46,47,48,49によって概略的に示されている。第6のインターフェイス要素46は、オブジェクトテーブル2に対するz方向における第2の磁性体22の位置を定義する。第7のインターフェイス要素47及び第9のインターフェイス要素49は、オブジェクトテーブル2に対するy方向及びオブジェクトテーブル2に対する回転方向rxにおける第2の磁性体22の位置を定義する。第2のインターフェイス24の第8のインターフェイス要素48は、x方向における第2の磁性体22の位置を定義する。
【0084】
[0093] こうして、オブジェクトテーブル2に対する第2の磁性体22の運動学的取り付けが得られる。なぜなら、このような手法では、オブジェクトテーブル2に対する第2の磁性体22の位置に関する全自由度が定義されるのは一回だけであるからである。
【0085】
[0094] インターフェイス要素46,47,48,49は、支柱及び/又は枢軸など別個の構造要素の形で第2のインターフェイス24内に存在していなくてもよい。インターフェイス要素46,47,48,40の機能性は、2つ以上のインターフェイス要素の機能性を組み合わせる構造要素によっても得ることができる。そのような構造要素の例は、板バネ又は板バネヒンジである。
【0086】
[0095] 任意選択的には、インターフェイス要素37,38及び38は、磁性体21,22に曲げモーメント又はねじりモーメントが導入されないように、中心面28内で各磁性体21,22を係合する。これにはオブジェクトテーブルの動的挙動に対する有利な効果があり、その結果、高いサーボ帯域幅がもたらされるとともに、それによってオブジェクトテーブルの改善された位置決め性能がもたらされる。
【0087】
[0096]
図6は、磁石アセンブリ20の別の一実施形態を示す。
【0088】
[0097]
図6の実施形態は、実用化するには現実的な実施形態であるが、
図7の実施形態よりもいくらか複雑である。しかしながら、
図6の実施形態は、運動学的に過拘束ではいない。
【0089】
[0098]
図6の実施形態においては、作動の方向はx方向であり、内部磁力はy方向で作用する。
【0090】
[0099]
図6に示される実施形態においては、スペーサデバイスは、板バネ60及び板バネヒンジ70を備えている。板バネ60は作動の方向に垂直に、したがって
図6の実施形態においてはy−z平面内に、配置されている。板バネ60は、第1の磁性体21に接続された第1の縁部61と、第1の縁部61に対向する第2の縁部62とを有する。第2の縁部62は第2の磁性体22に接続されている。板バネは第2のスペーサ要素26の一部を形成する。
【0091】
[00100] スペーサデバイスは更に、作動の方向で板バネ61から距離をとって且つ作動の方向に垂直に配置された板バネヒンジ70を備えている。よって、板バネヒンジ70は、
図6の実施形態においてはy−z平面内に配置されている。板バネヒンジ70は、第1の磁性体21に接続された第1の縁部71と、第1の縁部71に対向する第2の縁部72とを有する。第2の縁部72は第2の磁性体22に接続されている。板バネ70は2つの切り欠き73を備えており、これらは板バネヒンジ70の対向する辺に配置され、板バネヒンジ70の各縁部へと伸びている。板バネヒンジ70は、回転方向rxにおける第1及び第2の縁部71,72の移動を可能にする。
【0092】
[00101] 第1のインターフェイス23は、第1のピボット80及び第1のインターフェイス要素81を備えている。第1のピボット80は、第1の磁性要素21の中心面28に配置されている。中心面28は作動の方向及び内部磁力の方向に平行であるため、
図6の実施形態においては、中心面はx−y平面内に伸びている。
【0093】
[00102]
図6の実施形態においては、第1のインターフェイス要素81は、第1の磁性体の中心面28から距離をとって配置され、内部磁力の方向における第1の磁性体21の位置を定義するように適合されている。
【0094】
[00103] 第2のインターフェイス24は第2のピボット85を備えている。第2のピボット85は、第2の磁性体22の中心面28に配置されており、これはこの実施形態においては第1の磁性体21の中心面と一致する。中心面28は作動の方向及び内部磁力の方向に平行である。第1の磁性体21の中心面と第2の磁性体の中心面とは互いに一致するのが有利である。なぜなら、そうすると曲げモーメント又はねじれモーメントが導入されないからである。
【0095】
[00104]
図7は、磁石アセンブリ20の別の一実施形態を示す。
【0096】
[00105]
図7の実施形態は、実用化するのに現実的な実施形態である。
【0097】
[00106]
図7の実施形態においては、作動の方向はx方向であり、内部磁力はy方向で作用する。
【0098】
[00107] よって、
図7に示される実施形態においては、スペーサデバイスは、第1の板バネ50及び第2の板バネ60を備えている。第1の板バネ50は作動の方向に垂直に、したがって
図7の実施形態においてはy−z平面内に、配置されている。第1の板バネ50は、第1の磁性体21に接続された第1の縁部51と、第1の縁部52に対向する第2の縁部52とを有する。第2の縁部52は第2の磁性体22に接続されている。板バネ50は第1のスペーサ要素25の一部を形成する。
【0099】
[00108] スペーサデバイスは更に、作動の方向で第1の板バネ50から距離をとって且つ作動の方向に垂直に配置された第2の板バネ60を備えている。第2の板バネ60は、第1の磁性体21に接続された第1の縁部61と、第1の縁部61に対向する第2の縁部62とを有する。第2の縁部62は第2の磁性体22に接続されている。板バネ60は第2のスペーサ要素26の一部を形成する。
【0100】
[00109]
図7の実施形態においては、第1のインターフェイス25は、第1の磁性体21の中心面28に対して対称的に配置された第1のヒンジ55を備えている。中心面28は作動の方向及び内部磁力に平行であるため、
図7の実施形態においては、中心面28はx−y平面内に伸びている。第1のヒンジ55は
図7においてはピボット56,57によって概略的に表されている。
【0101】
[00110]
図7の実施形態においては、第2のインターフェイス26は、第2の磁性体22の中心面28に対して対称的に配置された第2のヒンジ65を備える。
図7の実施形態においては、この中心面は第1の磁性体21の中心面と一致する。すると曲げモーメント又はねじれモーメントが導入されないので、これは有利である。中心面28は作動の方向及び内部磁力に平行であるため、
図7の実施形態においては、中心面28はx−y平面内に伸びている。第2のヒンジ65は
図7においてはピボット66,67によって概略的に表されている。
【0102】
[00111]
図7の実施形態においては、スペーサデバイスの第1の板バネ50及び第2の板バネ60と第1のヒンジ55及び第2のヒンジ65とは、一緒になって、全自由度で第1の磁性体21の位置及び第2の磁性体22の位置を定義する。実際には、
図7の設計では幾つかの自由度が1回よりも多く定義されるので、この設計はわずかに運動学的に過拘束である。しかしながら、
図7に記載の磁石アセンブリ20が本発明によるステージシステムに配置されるとき、オブジェクトテーブルの静的及び動的挙動は、依然として許容可能であり、従来技術に対して改良される。
【0103】
[00112]
図8は、磁石アセンブリ20の別の一実施形態を示す。
【0104】
[00113] 簡潔にするため、
図8は第1及び第2のインターフェイス23,24ならびにスペーサ要素25,26の詳細を示していない。
図8の実施形態では、本願において説明されている第1及び第2のインターフェイス23,24ならびに第1及び第2のスペーサ要素25,26の任意の組み合わせを用いることが可能である。
図8において矢印15は作用の方向を示す。
【0105】
[00114]
図8の実施形態は、本発明によらない手法でステージシステム内に取り付けられたアクチュエータにおいても、そのようなアクチュエータが互いに離隔した第1及び第2の磁性体を備える限りは、使用されることが可能である。
【0106】
[00115]
図8の実施形態においては、磁石アセンブリ20は、第1の磁性体21と第2の磁性体22との間に配置され且つこれらに接続されたダンパ90を備えている。任意選択的には、ダンパ90は、粘弾性材料、例えば天然ゴム又は合成ゴムを備える。
【0107】
[00116]
図8では、オブジェクトテーブルは参照番号2a,2b及び2cによって概略的に示されている。参照番号2a及び2bはオブジェクトテーブルの一部を指していて、各々がオブジェクトテーブルの部分質量(object table part mass)を有し、参照番号2cはオブジェクトテーブルの内部剛性を示す。参照番号2aはオブジェクトテーブルのうち第2のインターフェイス24が接続される部分を指し、参照番号2aはオブジェクトテーブルのうち第1のインターフェイス23が接続される部分を指す。よって、参照番号2a,2b及び2cは一緒になって、磁石アセンブリ20がオブジェクトテーブルに接続されるエリアにおけるオブジェクトテーブルの動的モデルを示す。現実的な実施形態においては、オブジェクトテーブルは全体として単一の固体の実体となるであろう。
【0108】
[00117] 本発明によれば、第1の磁性体21及び第2の磁性体22は互いに別個にオブジェクトテーブルに取り付けられる。なぜなら、両者とも専用のインターフェイス23,24を有しているからである。第1のインターフェイス23の剛性は参照番号23aによって概略的に示されている。第2のインターフェイス24の剛性は参照番号24aによって概略的に示されている。オブジェクトテーブルの幾つかの振動モードにおいては、磁石アセンブリ20の第1及び第2の磁性体21,22は、互いに対して移動することが明らかになっている。これは、第1及び第2のインターフェイスがオブジェクトテーブルに係合するエリアにおいて、オブジェクトテーブルの局所的な変形を引き起こす。この局所的な変形は、オブジェクトの位置決めにおける精度不良を引き起こし得る。
【0109】
[00118] ダンパ90が第1の磁性体21と第2の磁性体22との間に配置される場合には、第1の磁性体21と第2の磁性体22との相対移動が緩和され、これがオブジェクトテーブルの局所的な変形を低減させる。
【0110】
[00119] 既知の構成においては、ダンパはアクチュエータ全体とオブジェクトテーブルとの間に存在している。そのような構成においては、アクチュエータの全作動力が比較的高い周波数でダンパを通過する。ダンパはこうして振動を緩和するであろうが、その一方で、オブジェクトテーブルの加速時にプリテンションされもする。このプリテンションは、ステージシステムがリソグラフィ装置において用いられるときに最も重要な期間である、オブジェクトテーブルがアクチュエータによって作動されないときには、緩められる。
【0111】
[00120] 本発明に従ってダンパ90をアクチュエータの第1及び第2の磁性体21,22の間に配置することにより、第1及び第2の磁性体21,22の相対移動のみが緩和されるであろう。第1及び第2の磁性体21,22のそのような相対移動は、オブジェクトテーブルの内部モード形状によって誘発され得る。その場合、ダンパ90はこれらの内部モード形状を緩和し、その結果、オブジェクトテーブルの改良された動的挙動がもたらされる。また、ダンパ90がアクチュエータの第1及び第2の磁性体21,22の間に配置される場合、作動力はダンパ90の変形を誘発しないであろう。したがって、ダンパ90は、オブジェクトテーブルがアクチュエータによって作動されていない期間には、緩みを示さないであろう。
【0112】
[00121] 更に、粘弾性のダンパ材料が用いられるときには、ダンパを第1の磁性体21と第2の磁性体22との間に配置することによって、例えばダンパをアクチュエータとオブジェクトテーブルとの間、例えば磁石アセンブリとオブジェクトテーブルとの間に配置するのと比べて、ダンパの緩みの効果は低減され、又は幾つかの実施形態においては有意に低減されさえする。これは、
図8に記載の配置においては緩みが第1及び第2の磁性体21,22の間の力の差に起因してのみ生じ、この差は例えばアクチュエータとオブジェクトテーブルとの間の力の差よりも有意に小さいためである。
【0113】
[00122]
図9は
図8の実施形態の実用化の一例を示す。
【0114】
[00123]
図9の実装形態においては、合成ゴムで作製された4つのダンパ91,92,93,94が第1及び第2の磁性体21,22の間に配置されている。
図9ではこれらのダンパのうち3つが見えている。2つのダンパが第1及び第2の磁性体21,22の上隅に配置され、2つの更なるダンパが第1及び第2の磁性体21,22の上隅に配置される。
【0115】
[00124]
図10は、
図8及び
図9に記載のダンパの適用の効果をボーデ線図(開ループ力学)で示す。
【0116】
[00125]
図10において、灰色の線は、ダンピングなしでアクチュエータが取り付けられた状態のオブジェクトテーブルの周波数応答を示す。黒色の線は、アクチュエータが取り付けられた状態で、
図8及び
図9に記載のダンパが存在する場合の、オブジェクトテーブルの周波数応答を示す。いずれの場合も、入力はアクチュエータ力であり、出力は位置である。
図10において、周波数fはHz単位で対数スケールのx軸に描画されている。やはり対数スケールのy軸には、マグニチュードがdBで、m/N単位で描画されている。
【0117】
[00126]
図10に見られるように、幾つかの振動モードの固有振動の振幅は、
図8及び
図9に記載のダンパが適用されると有意に低減される。
【0118】
[00127] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用ガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジーツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板プロセスツールに適用することができる。更に基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
【0119】
[00128] 光リソグラフィの分野での本発明の実施形態の使用に特に言及してきたが、本発明は文脈によってはその他の分野、例えばインプリントリソグラフィでも使用することができ、光リソグラフィに限定されないことを理解されたい。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイス内のトポグラフィが基板上に作成されたパターンを画定する。パターニングデバイスのトポグラフィは基板に供給されたレジスト層内に刻印され、電磁放射、熱、圧力又はそれらの組み合わせを適用することでレジストは硬化する。パターニングデバイスはレジストから取り除かれ、レジストが硬化すると、内部にパターンが残される。
【0120】
[00129] 本明細書で使用する「放射」及び「ビーム」という用語は、イオンビーム又は電子ビームなどの粒子ビームのみならず、紫外線(UV)放射(例えば、365nm、248nm、193nm、157nmもしくは126nm、又はこれら辺りの波長を有する)及び極端紫外線(EUV)放射(例えば、5nm〜20nmの範囲の波長を有する)を含むあらゆるタイプの電磁放射を網羅する。
【0121】
[00130] 「レンズ」という用語は、状況が許せば、屈折、反射、磁気、電磁気及び静電光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントのいずれか一つ、又はその組み合わせを指すことができる。
【0122】
[00131] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることが理解される。例えば、本発明は、上記で開示したような方法を述べる機械読み取り式命令の1つ以上のシーケンスを含むコンピュータプログラム、又はこのようなコンピュータプログラムを内部に記憶したデータ記憶媒体(例えば半導体メモリ、磁気又は光ディスク)の形態をとることができる。
【0123】
[00132] 上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。