特許第6800370号(P6800370)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 千葉 正毅の特許一覧
特許6800370誘電エラストマーセンサシステムおよび誘電エラストマーセンサ要素
<>
  • 特許6800370-誘電エラストマーセンサシステムおよび誘電エラストマーセンサ要素 図000002
  • 特許6800370-誘電エラストマーセンサシステムおよび誘電エラストマーセンサ要素 図000003
  • 特許6800370-誘電エラストマーセンサシステムおよび誘電エラストマーセンサ要素 図000004
  • 特許6800370-誘電エラストマーセンサシステムおよび誘電エラストマーセンサ要素 図000005
  • 特許6800370-誘電エラストマーセンサシステムおよび誘電エラストマーセンサ要素 図000006
  • 特許6800370-誘電エラストマーセンサシステムおよび誘電エラストマーセンサ要素 図000007
  • 特許6800370-誘電エラストマーセンサシステムおよび誘電エラストマーセンサ要素 図000008
  • 特許6800370-誘電エラストマーセンサシステムおよび誘電エラストマーセンサ要素 図000009
  • 特許6800370-誘電エラストマーセンサシステムおよび誘電エラストマーセンサ要素 図000010
  • 特許6800370-誘電エラストマーセンサシステムおよび誘電エラストマーセンサ要素 図000011
  • 特許6800370-誘電エラストマーセンサシステムおよび誘電エラストマーセンサ要素 図000012
  • 特許6800370-誘電エラストマーセンサシステムおよび誘電エラストマーセンサ要素 図000013
  • 特許6800370-誘電エラストマーセンサシステムおよび誘電エラストマーセンサ要素 図000014
  • 特許6800370-誘電エラストマーセンサシステムおよび誘電エラストマーセンサ要素 図000015
  • 特許6800370-誘電エラストマーセンサシステムおよび誘電エラストマーセンサ要素 図000016
  • 特許6800370-誘電エラストマーセンサシステムおよび誘電エラストマーセンサ要素 図000017
  • 特許6800370-誘電エラストマーセンサシステムおよび誘電エラストマーセンサ要素 図000018
  • 特許6800370-誘電エラストマーセンサシステムおよび誘電エラストマーセンサ要素 図000019
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6800370
(24)【登録日】2020年11月26日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】誘電エラストマーセンサシステムおよび誘電エラストマーセンサ要素
(51)【国際特許分類】
   G01L 1/14 20060101AFI20201207BHJP
【FI】
   G01L1/14 L
   G01L1/14 J
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-146167(P2020-146167)
(22)【出願日】2020年8月31日
(62)【分割の表示】特願2017-44830(P2017-44830)の分割
【原出願日】2017年3月9日
(65)【公開番号】特開2020-190577(P2020-190577A)
(43)【公開日】2020年11月26日
【審査請求日】2020年9月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】514285911
【氏名又は名称】千葉 正毅
(73)【特許権者】
【識別番号】510244754
【氏名又は名称】和氣 美紀夫
(73)【特許権者】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(72)【発明者】
【氏名】千葉 正毅
(72)【発明者】
【氏名】和氣 美紀夫
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 光明
(72)【発明者】
【氏名】澤田 誠
【審査官】 森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−2256(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/003293(WO,A1)
【文献】 米国特許第8598893(US,B1)
【文献】 特許第5326042(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L1/14
本件特許出願の原出願を優先基礎とする国際特許出願PCT/JP2018/006631の調査結果が利用された。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電エラストマー層および当該誘電エラストマー層を挟む一対の電極層からなるセンサ本体を有する誘電エラストマーセンサ要素を含む発振回路と、
前記発振回路からの出力信号に基づき、前記誘電エラストマーセンサ要素の静電容量の変化を判定する判定回路と、
を備え、
前記誘電エラストマーセンサ要素は、前記誘電エラストマーセンサ要素は、その全体が平面状の検出対象物に固定されることにより一体化され、前記検出対象物の平面方向の伸び変形、前記検出対象物のへこみ変形、および、前記検出対象物の撓み変形のうちの、前記検出対象物のへこみ変形、および、前記検出対象物の撓み変形の少なくともいずれかを含む少なくとも2つの変形で静電容量が変化することを特徴とする、誘電エラストマーセンサシステム。
【請求項2】
前記発振回路の出力信号の所定周波数を減衰させるフィルター回路を含み、当該フィルター回路で処理された前記発振回路の出力信号を前記判定回路に出力する中間回路をさらに備える、請求項1に記載の誘電エラストマーセンサシステム。
【請求項3】
誘電エラストマー層および当該誘電エラストマー層を挟む一対の電極層からなるセンサ本体を有する誘電エラストマーセンサ要素であって、
その全体が平面状の検出対象物に固定されることにより一体化され、前記検出対象物の平面方向の伸び変形、前記検出対象物のへこみ変形、および、前記検出対象物の撓み変形のうち、前記検出対象物のへこみ変形、および、前記検出対象物の撓み変形の少なくともいずれかを含む少なくとも2つの変形で静電容量が変化することを特徴とする、誘電エラストマーセンサ要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘電エラストマーセンサシステムおよび誘電エラストマーセンサ要素に関する。
【背景技術】
【0002】
誘電エラストマー層と当該誘電エラストマー層を挟む一対の電極層とを有する誘電エラストマー要素は、駆動用途、発電用途およびセンサ用途のそれぞれの分野において開発が進められている。特許文献1には、誘電エラストマー要素がセンサ用途に用いられた誘電エラストマーセンサシステムが開示されている。この誘電エラストマーセンサシステムにおいては、図1bに示されたように、誘電エラストマー要素は、外力によって伸長または収縮する。この変形により、一対の電極層がなすコンデンサの静電容量が変化する。この静電容量の変化を判定回路等によって判定することにより、誘電エラストマーに作用した外力等を検出する。
【0003】
このような外力等の検出用途には、様々なケースが想定される。たとえば、ある位置に複数の方向から外力が作用する場合、検出が望まれる方向の数と同数程度の数の上述した誘電エラストマー要素を、密集して設けることが強いられる等の問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2012−518384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、より多機能な誘電エラストマーセンサシステムおよび誘電エラストマー要素を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面によって提供される誘電エラストマーセンサシステムは、誘電エラストマー層および当該誘電エラストマー層を挟む一対の電極層からなるセンサ本体を有する誘電エラストマーセンサ要素を含む発振回路と、前記発振回路からの出力信号に基づき、前記誘電エラストマーセンサ要素の静電容量の変化を判定する判定回路と、を備え、前記誘電エラストマーセンサ要素は、互いに異なる少なくとも2方向の外力に起因する変形により静電容量が変化することを特徴としている。
【0007】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記発振回路の出力信号の所定周波数を減衰させるフィルター回路を含み、当該フィルター回路で処理された前記発振回路の出力信号を前記判定回路に出力する中間回路をさらに備える。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記誘電エラストマー層は、円環形状の断面を有する。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記誘電エラストマーセンサ要素は、前記一対の電極層が内周側と外周側になる円筒形状をなし、軸方向の伸長、軸方向の圧縮変形、捩じり変形、曲げ変形、および、外周面のへこみ変形のうちの少なくとも2つの変形で静電容量が変化する。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記誘電エラストマーセンサ要素は、平面視が円環状に形成されており、前記誘電エラストマーセンサ要素の中央開口部に設けられ、その外縁が前記中央開口部の内縁と一体化された外力作用部材をさらに備え、前記外力作用部材の上昇若しくは下降に起因する前記センサ本体の変形、前記外力作用部材の傾斜に起因する前記センサ本体の変形、および、前記外力作用部材の回転に起因する前記センサ本体の変形うちの少なくとも2つの変形で静電容量が変化する。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記誘電エラストマーセンサ要素は、平面状の検出対象物に一体化され、前記検出対象物の平面方向の伸び変形、前記検出対象物のへこみ変形、および、前記検出対象物の撓み変形のうちの少なくとも2つの変形で静電容量が変化する。
【0012】
本発明の第2の側面によって提供される誘電エラストマーセンサ要素は、誘電エラストマー層および当該誘電エラストマー層を挟む一対の電極層からなるセンサ本体を有する誘電エラストマーセンサ要素であって、互いに異なる少なくとも2方向の外力に起因する変形により静電容量が変化することを特徴としている。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記センサ本体は、前記一対の電極層が内周側と外周側になる円筒形状をなし、軸方向の伸長、軸方向の圧縮変形、捩じり変形、曲げ変形、および、外周面のへこみ変形のうちの少なくとも2つの変形で静電容量が変化する。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記センサ本体は、平面視が円環状に形成されており、前記センサ本体の中央開口部に設けられ、その外縁が前記中央開口部の内縁と一体化された外力作用部材をさらに備え、前記外力作用部材の上昇若しくは下降に起因する前記センサ本体の変形、前記外力作用部材の傾斜に起因する前記センサ本体の変形、および、前記外力作用部材の回転に起因する前記センサ本体の変形うちの少なくとも2つの変形で静電容量が変化する。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、平面状の検出対象物に一体化され、前記検出対象物の平面方向の伸び変形、前記検出対象物のへこみ変形、および、前記検出対象物の撓み変形のうちの少なくとも2つの変形で静電容量が変化する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、互いに異なる少なくとも2方向の外力が付与された場合、いずれの外力が付与された場合であっても、前記判定回路によって前記誘電エラストマーセンサ要素の静電容量の変化を判定可能であり、外力の付与を認識することができる。これにより、ある箇所に1つの前記誘電エラストマーセンサ要素を配置することにより、当該箇所に互いに異なる少なくとも2方向の外力が付与されたことを1つの前記誘電エラストマーセンサ要素を用いて検出することが可能である。したがって、前記誘電エラストマーセンサシステムの高機能化を図ることができる。
【0017】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態に基づく誘電エラストマーセンサシステムを概略的に示すシステム構成図である。
図2図1の誘電エラストマーセンサシステムの誘電エラストマーセンサ要素の一状態を示す概略断面図である。
図3図1の誘電エラストマーセンサシステムの誘電エラストマーセンサ要素の他の状態を示す概略断面図である。
図4図1の誘電エラストマーセンサシステムの発振回路の一例を示す斜視図である。
図5図1の誘電エラストマーセンサシステムの誘電エラストマーセンサ要素の一例が外力を受けた状態を示す斜視図である。
図6図1の誘電エラストマーセンサシステムの誘電エラストマーセンサ要素の一例が他の外力を受けた状態を示す斜視図である。
図7図1の誘電エラストマーセンサシステムの誘電エラストマーセンサ要素の一例がさらに他の外力を受けた状態を示す斜視図である。
図8図1の誘電エラストマーセンサシステムの誘電エラストマーセンサ要素の一例がさらに他の外力を受けた状態を示す斜視図である。
図9】本発明の第2実施形態に基づく誘電エラストマーセンサシステムを概略的に示すシステム構成図である。
図10】本発明の第3実施形態に基づく誘電エラストマーセンサシステムを概略的に示すシステム構成図である。
図11】本発明の第4実施形態に基づく誘電エラストマーセンサシステムの誘電エラストマーセンサ要素を示す斜視図である。
図12】本発明の第4実施形態に基づく誘電エラストマーセンサシステムの誘電エラストマーセンサ要素が外力を受けた状態を示す斜視図である。
図13】本発明の第4実施形態に基づく誘電エラストマーセンサシステムの誘電エラストマーセンサ要素が他の外力を受けた状態を示す斜視図である。
図14】本発明の第4実施形態に基づく誘電エラストマーセンサシステムの誘電エラストマーセンサ要素がさらに他の外力を受けた状態を示す斜視図である。
図15】本発明の第5実施形態に基づく誘電エラストマーセンサシステムの誘電エラストマーセンサ要素を示す斜視図である。
図16】本発明の第5実施形態に基づく誘電エラストマーセンサシステムの誘電エラストマーセンサ要素が外力を受けた状態を示す斜視図である。
図17】本発明の第5実施形態に基づく誘電エラストマーセンサシステムの誘電エラストマーセンサ要素が他の外力を受けた状態を示す斜視図である。
図18】本発明の第5実施形態に基づく誘電エラストマーセンサシステムの誘電エラストマーセンサ要素がさらに他の外力を受けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0020】
図1は、本発明の第1実施形態に基づく誘電エラストマーセンサシステムを示している。本実施形態の誘電エラストマーセンサシステムA1は、発振回路1、判定回路2および中間回路3を備えている。誘電エラストマーセンサシステムA1は、発振回路1に含まれる誘電エラストマーセンサ要素11の変形状態(外力の作用状態)を検出するシステムであり、互いに異なる少なくとも2方向以上の力が作用したことを検出することが意図されている。
【0021】
発振回路1は、誘電エラストマーセンサ要素11および発振駆動部12を含み、交流電気信号を出力する。誘電エラストマーセンサ要素11は、可変コンデンサと見做して使用される。発振駆動部12は、たとえば交流電気信号を発生させるための電源や可変コンデンサとしての誘電エラストマーセンサ要素11とともに、従来公知のCR発振回路、LC発振回路、タイマICを用いた発振回路等を構成するものである。誘電エラストマーセンサ要素11の静電容量の変化に伴い、出力される交流電気信号の周波数が変化する。
【0022】
図2および図3は、誘電エラストマーセンサ要素11を模式的に表している。誘電エラストマーセンサ要素11は、誘電エラストマー層111および一対の電極層112を有する。なお、誘電エラストマー層111および一対の電極層112は、本発明におけるセンサ本体を構成する。
【0023】
誘電エラストマー層111は、弾性変形が可能であるとともに、絶縁強度が高いことが求められる。このような誘電エラストマー層111の材質は特に限定されないが、好ましい例として、たとえばシリコーンエラストマーやアクリルエラストマーが挙げられる。
【0024】
一対の電極層112は、誘電エラストマー層111を挟んでおり、コンデンサの電極として機能する部位である。電極層112は、導電性を有するとともに、誘電エラストマー層111の弾性変形に追従しうる弾性変形が可能な材質によって形成される。このような材質としては、弾性変形可能な主材に導電性を付与するフィラーが混入された材質が挙げられる。前記フィラーの好ましい例として、たとえばカーボンナノチューブが挙げられる。
【0025】
図2に示す誘電エラストマーセンサ要素11は、図中上下方向に引っ張られる外力が付与された状態である。この誘電エラストマーセンサ要素11は、上下方向に伸長している。すなわち、誘電エラストマー層111は、上下方向に伸長するとともに、厚さ(図中左右方向寸法)が縮小している。一対の電極層112は、誘電エラストマー層111とともに良好に伸縮可能なものである。このため、一対の電極層112は、上下方向に伸長し、互いの距離(図中左右方向距離)が縮小する。この結果、コンデンサとしての誘電エラストマーセンサ要素11は、電極面積が拡大し、電極間距離が縮小する。したがって、外力が付与されない誘電エラストマーセンサ要素11の初期静電容量C0よりも図2における静電容量C1は、大きくなる。
【0026】
一方、図3に示す誘電エラストマーセンサ要素11は、図中上下方向に圧縮される外力が付与された状態である。この場合、一対の電極層112は、上下方向に収縮し、互いの距離(図中左右方向距離)が増大する。この結果、コンデンサとしての誘電エラストマーセンサ要素11の静電容量C2は、初期静電容量C0よりも小さくなる。
【0027】
図2および図3に示すように、誘電エラストマーセンサ要素11に付与された外力が誘電エラストマー層111を変形させ、この変形により一対の電極層112の面積や距離が変化すると、誘電エラストマーセンサ要素11の静電容量Cが変化する。この静電容量Cの変化が、上述した発振回路1の交流電気信号の周波数を変化させる。
【0028】
図1に示す判定回路2は、発振回路1の出力信号に基づき、誘電エラストマーセンサ要素11の静電容量Cの変化を判定するものである。判定回路2の構成は、特に限定されず、発振回路1の出力信号と静電容量Cとの関係を従来公知の種々の手法に基づいて判定可能なものであればよい。判定回路2の具体的構成は、後述する中間回路3のように、発振回路1からの出力信号を適宜処理する回路の有無やその構成に応じて適切に選択される。判定回路2としては、マイコン、A/D変換IC、コンパレータ、オシロスコープ等が例示される。図示された例においては、発振回路1の出力信号が一方の極性において周期的に変動する電気信号(以下、直流電気信号)に変換された場合に、この直流電気信号の周波数から誘電エラストマーセンサ要素11の静電容量Cの変化を判定する回路である。すなわち、誘電エラストマーセンサ要素11の初期静電容量C0に相当する周波数から、発振回路1の出力信号としての直流電気信号の周波数が変化した場合に、誘電エラストマーセンサ要素11の静電容量Cが変化したと判定する。当該判定には、閾値等の判定基準を適宜採用してもよい。
【0029】
中間回路3は、発振回路1の出力信号を判定回路2による判定に適したものに処理するものである。判定回路2が発振回路1の出力信号を直接判定可能な構成の場合には、中間回路3を省略してもよいが、発振回路1の出力信号である交流電気信号の周波数と静電容量Cとの関係を適切に判定するには、フィルター回路32を含む中間回路3を備えることが好ましく、現実的である。図示された例においては、中間回路3は、交流増幅回路31、フィルター回路32、検波回路33および直流増幅回路34を備えており、発振回路1の出力信号を交流電気信号から直流電気信号に変換する構成である。
【0030】
交流増幅回路31は、発振回路1からの交流電気信号を増幅させることにより、ダイナミックレンジを広げるものである。発振回路1からの交流電気信号の信号レベルが十分である場合、交流増幅回路31を省略してもよい。交流増幅回路31は特に限定されず、たとえばトランジスター、FET、オペアンプ等が例示される。
【0031】
フィルター回路32は、発振回路1の交流電気信号に含まれる所望の周波数帯の信号を通過させ、不要である周波数帯の信号を減衰あるいは遮断するものである。フィルター回路32は特に限定されず、たとえばハイパスフィルター、ローパスフィルター、バンドパスフィルター、バンドエルミネータフィルター等が例示される。図示された例においては、ハイパスフィルターが採用された場合を示している。なお、フィルター回路32具体的構成は、検波回路33から出力される直流電圧の変化幅に応じて選択される。
【0032】
検波回路33は、フィルター回路32から出力される交流電気信号としての発振回路1の出力信号を直流に変換するものである。検波回路33は特に限定されず、たとえばダイオードを用いた半坡整流回路または全波整流回路が例示される。誘電エラストマーセンサ要素11の静電容量Cの判定の高速化には、応答特性が良好である構成の検波回路33を用いることが好ましい。
【0033】
直流増幅回路34は、検波回路33から出力される直流電気信号としての発振回路1の出力信号を判定回路2での判定に適した信号レベルに増幅されるものである。なお、検波回路33からの直流電気信号のレベルが十分である場合、直流増幅回路34を省略してもよい。
【0034】
図4は、誘電エラストマーセンサシステムA1における発振回路1の一例を示している。同図においては、理解の便宜上、誘電エラストマーセンサ要素11を斜視図にて示している。本例の誘電エラストマーセンサ要素11は、誘電エラストマー層111が図中上下方向を軸方向とする円筒形状とされており、円環形状の断面を有する。一対の電極層112は、誘電エラストマー層111の内周面および外周面に分かれて設けられている。
【0035】
図5図8は、誘電エラストマーセンサ要素11が外力を受けることにより静電容量Cが変化するケースを例示している。図5に示す例においては、誘電エラストマーセンサ要素11を図中上下方向(軸方向)に引っ張る外力F1が付与されている。外力F1に応じて、誘電エラストマー層111が変形し、一対の電極層112の大きさや相対的な距離が変化する。これにより、誘電エラストマーセンサ要素11の静電容量Cが変化し、発振回路1の出力信号としての交流電気信号の周波数が変化する。判定回路2は、上述した中間回路3によって処理された発振回路1の出力信号に基づいて静電容量Cが変化したことを判定する。静電容量Cが変化したと判定されると、誘電エラストマーセンサ要素11を変形させる外力が付与されたと認識できる。なお、本例においては、静電容量Cは、初期静電容量C0よりも大きくなると考えられる。
【0036】
図6に示す例においては、誘電エラストマーセンサ要素11の上端と下端とを周方向において互いに逆向きに回す外力F2(いわゆるねじりモーメント)が付与されている。外力F2に応じて、誘電エラストマー層111がねじられるように変形し、一対の電極層112の大きさや相対的な距離が変化する。これにより、誘電エラストマーセンサ要素11の静電容量Cが変化し、発振回路1の出力信号としての交流電気信号の周波数が変化する。判定回路2によって静電容量Cが変化したと判定されると、誘電エラストマーセンサ要素11を変形させる外力が付与されたと認識できる。なお、本例においては、静電容量Cの変化が初期静電容量C0に対する増加および減少のいずれであるかは特定されるとは限らないが、静電容量Cの変化を伴う変形が誘電エラストマーセンサ要素11に生じた場合、当該事象を中間回路3によって判定可能である。
【0037】
図7に示す例においては、誘電エラストマーセンサ要素11の上端を下端に対して曲げるような外力F3(いわゆる曲げモーメント)が付与されている。外力F3に応じて、誘電エラストマー層111が曲げられるように変形し、一対の電極層112の大きさや相対的な距離が変化する。これにより、誘電エラストマーセンサ要素11の静電容量Cが変化し、発振回路1の出力信号としての交流電気信号の周波数が変化する。判定回路2によって静電容量Cが変化したと判定されると、誘電エラストマーセンサ要素11を変形させる外力が付与されたと認識できる。なお、本例においても、静電容量Cの変化が増大および減少のいずれであるかは特定されるとは限らない。
【0038】
図8に示す例においては、誘電エラストマーセンサ要素11の一部を凹ませる外力F4が付与されている。このような外力F4による変形は、誘電エラストマーセンサ要素11の誘電エラストマー層111の全体の大きさと厚さの関係や、誘電エラストマー層111を部分的に拘束する部材(図示略)等の存在によって生じうる。このような変形によっても、一対の電極層112の大きさや相対的な距離が変化し、静電容量Cが変化しうる。判定回路2によって静電容量Cが変化したと判定されると、誘電エラストマーセンサ要素11を変形させる外力が付与されたと認識できる。なお、本例においても、静電容量Cの変化が増大および減少のいずれであるかは特定されるとは限らない。
【0039】
図5図8に示す例から理解されるように、誘電エラストマーセンサ要素11に付与される外力F1〜F4は、互いに異なる少なくとも2方向の外力を含むものである。本発明における外力とは、単純な引張力および圧縮力に限定されず、曲げモーメントやねじりモーメント等を含む概念であり、これらは互いに異なる方向の外力と定義される。また、外力F1〜F3のように誘電エラストマーセンサ要素11の全体に付与される外力に限定されず、外力F4のように誘電エラストマーセンサ要素11の一部に付与される外力が含まれる。
【0040】
次に、誘電エラストマーセンサシステムA1の作用について説明する。
【0041】
本実施形態によれば、互いに異なる少なくとも2方向の外力が付与された場合、いずれの外力が付与された場合であっても、判定回路2によって静電容量Cの変化を判定可能であり、外力の付与を認識することができる。これにより、ある箇所に1つの誘電エラストマーセンサ要素11を配置することにより、当該箇所に互いに異なる少なくとも2方向の外力が付与されたことを1つの誘電エラストマーセンサ要素11を用いて検出することが可能である。したがって、誘電エラストマーセンサシステムA1の高機能化を図ることができる。
【0042】
誘電エラストマー層111を円筒形状とすることにより、外力が単純な引張力や圧縮力(外力F1)である場合の他に、外力がねじりモーメント(外力F2)や曲げモーメント(外力F3)であっても検出可能である。また、誘電エラストマーセンサ要素11を局所的に変形させるような外力F4であっても、検出対象に含めることが可能である。
【0043】
図9図18は、本発明の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0044】
図9は、本発明の第2実施形態に基づく誘電エラストマーセンサシステムを示している。本実施形態の誘電エラストマーセンサシステムA2は、中間回路3の構成が上述した実施形態と異なっている。本実施形態においては、中間回路3は、フィルター回路32のみを有している。このような構成は、判定回路2が、発振駆動部12からの出力信号を交流信号のままの判定する場合に採用可能である。
【0045】
図10は、本発明の第3実施形態に基づく誘電エラストマーセンサシステムを示している。本実施形態の誘電エラストマーセンサシステムA3においては、中間回路3が、交流増幅回路31、フィルター回路32および交流増幅回路31がこの順で接続された構成とされている。本実施形態においても、判定回路2が、発振駆動部12からの出力信号を交流信号のままの判定する場合に採用可能である。
【0046】
図11は、本発明の第4実施形態に基づく誘電エラストマーセンサシステムの誘電エラストマーセンサ要素11を示している。本実施形態においては、誘電エラストマーセンサ要素11に支持部13およびロッド14が取り付けられている。
【0047】
本実施形態の誘電エラストマーセンサ要素11は、平面視において環状とされており、図示された例においては、円環形状とされている。支持部13は、たとえば平面視円形状の板状部材であり、誘電エラストマーセンサ要素11よりも剛性が高い。支持部13の材質は特に限定されず、樹脂、絶縁処理が施された金属等が適宜用いられる。誘電エラストマーセンサ要素11の内縁は、支持部13の外縁に固定されている。また、誘電エラストマーセンサ要素11の外縁は、図示しない固定部材に固定されている。
【0048】
ロッド14は、細長い棒状部材であり、一端が支持部13に固定されている。ロッド14の他端は、いわゆる自由端とされている。ロッド14の材質は特に限定されず、樹脂や金属が適宜採用される。
【0049】
図12図14は、本実施形態の誘電エラストマーセンサ要素11が外力を受けることにより静電容量Cが変化するケースを例示している。図12に示す例においては、ロッド14を長手方向に押すような外力F1が加えられている。これにより、ロッド14および支持部13が図中下方に押し下げられ、誘電エラストマーセンサ要素11の内縁が外縁に対して下降するような変形が生じる。この変形により、誘電エラストマーセンサ要素11の静電容量Cが変化し、発振回路1の出力信号としての交流電気信号の周波数が変化する。判定回路2によって静電容量Cが変化したと判定されると、誘電エラストマーセンサ要素11を変形させる外力が付与されたと認識できる。
【0050】
図13に示す例においては、ロッド14の上端を水平方向に押すような外力F2が加えられている。これにより、ロッド14は、図中右方に倒れる挙動を示し、支持部13には、いわゆるモーメントが加えられる。この結果、誘電エラストマーセンサ要素11は、内縁の左側部分が上昇し、右側部分が下降するように変形する。この変形により、誘電エラストマーセンサ要素11の静電容量Cが変化し、発振回路1の出力信号としての交流電気信号の周波数が変化する。判定回路2によって静電容量Cが変化したと判定されると、誘電エラストマーセンサ要素11を変形させる外力が付与されたと認識できる。
【0051】
図14に示す例においては、ロッド14を周方向に捻るような力が加えられており、これが外力F3である。この場合、ロッド14および支持部13が回転され、誘電エラストマーセンサ要素11の内端が外端に対して回転するように誘電エラストマーセンサ要素11が捩じられ変形する。この変形により、誘電エラストマーセンサ要素11の静電容量Cが変化し、発振回路1の出力信号としての交流電気信号の周波数が変化する。判定回路2によって静電容量Cが変化したと判定されると、誘電エラストマーセンサ要素11を変形させる外力が付与されたと認識できる。このような実施形態によっても、互いに異なる少なくとも2方向の外力が付与されたことを1つの誘電エラストマーセンサ要素11を用いて検出することが可能である。したがって、誘電エラストマーセンサシステムの高機能化を図ることができる。
【0052】
図15は、本発明の第5実施形態に基づく誘電エラストマーセンサシステムの誘電エラストマーセンサ要素11を示している。本実施形態においては、誘電エラストマーセンサ要素11は、検出対象物8にその全体が貼り付けられている。検出対象物8は、様々な変形が生じうる物体であり、その変形が生じたことについて誘電エラストマーセンサ要素11を用いて検出する。誘電エラストマーセンサ要素11の形状は特に限定されず、本実施形態の検出形態の場合、たとえば円形状が好ましい。
【0053】
図16図18は、本実施形態の誘電エラストマーセンサ要素11が外力を受けることにより静電容量Cが変化するケースを例示している。図16に示す例においては、検出対象物8が図中手前方向および奥方向に伸びるように変形している。これにより、誘電エラストマーセンサ要素11には、手前方向および奥方向に伸ばすような外力F1が加えられる。この変形により、誘電エラストマーセンサ要素11の静電容量Cが変化し、発振回路1の出力信号としての交流電気信号の周波数が変化する。判定回路2によって静電容量Cが変化したと判定されると、誘電エラストマーセンサ要素11を変形させる外力が付与されたと認識できる。
【0054】
図17に示す例においては、検出対象物8の一部が凹むように変形している。これにより、誘電エラストマーセンサ要素11には、一部を下方に凹ませるような外力F2が加えられる。この変形により、誘電エラストマーセンサ要素11の静電容量Cが変化し、発振回路1の出力信号としての交流電気信号の周波数が変化する。判定回路2によって静電容量Cが変化したと判定されると、誘電エラストマーセンサ要素11を変形させる外力が付与されたと認識できる。
【0055】
図18に示す例においては、検出対象物8の図中左右方向中央部分が隆起するように変形している。これにより、誘電エラストマーセンサ要素11には、左右方向中央部分が上昇し両端が下降するように曲げられる外力F3が加えられる。この変形により、誘電エラストマーセンサ要素11の静電容量Cが変化し、発振回路1の出力信号としての交流電気信号の周波数が変化する。判定回路2によって静電容量Cが変化したと判定されると、誘電エラストマーセンサ要素11を変形させる外力が付与されたと認識できる。このような実施形態によっても、互いに異なる少なくとも2方向の外力が付与されたことを1つの誘電エラストマーセンサ要素11を用いて検出することが可能である。したがって、誘電エラストマーセンサシステムの高機能化を図ることができる。
【0056】
本発明に係る誘電エラストマーセンサシステムは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る誘電エラストマーセンサシステムの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0057】
また、本発明の実施形態に係る誘電エラストマーセンサシステムにおいては、いずれの実施形態も発振回路の出力信号に基づき、誘電エラストマーセンサ要素の静電容量の変化を判定しているが、図4図11図15に示す誘電エラストマーセンサ要素の静電容量の変化の判定は、発振回路の出力信号に基づくものに限られず、静電容量の変化が判定できるものであれば、どのような回路や方法を用いてもよい。
【符号の説明】
【0058】
A1〜A3:誘電エラストマーセンサシステム
1 :発振回路
2 :判定回路
3 :中間回路
11 :誘電エラストマーセンサ要素
12 :発振駆動部
13 :支持部
14 :ロッド
31 :交流増幅回路
32 :フィルター回路
33 :検波回路
34 :直流増幅回路
111 :誘電エラストマー層
112 :電極層
8 :測定対象物
C,C1,C2:静電容量
C0 :初期静電容量
F1〜F4:外力
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18