(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6800517
(24)【登録日】2020年11月27日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】チーズ含有食品
(51)【国際特許分類】
A23C 19/00 20060101AFI20201207BHJP
【FI】
A23C19/00
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-77806(P2016-77806)
(22)【出願日】2016年4月8日
(65)【公開番号】特開2017-184687(P2017-184687A)
(43)【公開日】2017年10月12日
【審査請求日】2019年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】711002926
【氏名又は名称】雪印メグミルク株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小浜 愛
(72)【発明者】
【氏名】足立 典子
(72)【発明者】
【氏名】宮本 彩加
(72)【発明者】
【氏名】水野 奈穂
(72)【発明者】
【氏名】三浦 理沙
(72)【発明者】
【氏名】金野 美紀
(72)【発明者】
【氏名】矢ヶ部 篤史
(72)【発明者】
【氏名】水谷 真也
(72)【発明者】
【氏名】今井 宏
【審査官】
宮岡 真衣
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−175922(JP,A)
【文献】
特開2010−022257(JP,A)
【文献】
特開2010−022259(JP,A)
【文献】
特開2010−239944(JP,A)
【文献】
米国特許第05486375(US,A)
【文献】
科学技術庁資源調査会,五訂 日本食品標準成分表,独立行政法人 国立印刷局,2004年,p.258
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23C 19/00−20/02
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
FSTA/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
5重量%以上21重量%以下の乳タンパク質と、30重量%以上45重量%以下の脂質と、1重量%以上15重量%以下のデンプン類と、0.5重量%以上2重量%以下の寒天類及び/又はゼラチン類と、0.1重量%以上0.75重量%以下の前記デンプン類及び前記寒天類以外の多糖類と、を含み、前記多糖類が、クィンスシードガム、カラギーナン、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、タラガム、カラヤガム、グァーガム、ローカストビーンガム、及びトラガントガムからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とするチーズ類。
【請求項2】
水分が50重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のチーズ類。
【請求項3】
硬度が0.12J以上0.17J以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載のチーズ類。
【請求項4】
割れ性が20mm未満であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のチーズ類。
【請求項5】
耐熱保形性が70%以上であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のチーズ類。
【請求項6】
5重量%以上21重量%以下の乳タンパク質と、30重量%以上45重量%以下の脂質と、1重量%以上15重量%以下のデンプン類と、0.5重量%以上2重量%以下の寒天類及び/又はゼラチン類と、0.1重量%以上0.75重量%以下の前記デンプン類及び前記寒天類以外の多糖類であって、クィンスシードガム、カラギーナン、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、タラガム、カラヤガム、グァーガム、ローカストビーンガム、及びトラガントガムからなる群から選択される少なくとも1種である多糖類と、を含む原材料を65℃以上で加熱乳化する工程を含むことを特徴とするチーズ類の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チーズ分を低減したチーズ類に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の乳製品の需要の高まりを受け、チーズ含量を低減させつつも、チーズに類似した概観や加工特性、食感、風味を有したチーズ類が求められている(以下、プロセスチーズ、チーズフード、及び乳等を主原料とする食品類をチーズ類とする)。
このような背景から、プロセスチーズやナチュラルチーズ等のチーズに類似した保形性や食感を有するチーズ類を製造するための方法が提案されている。
【0003】
特許文献1は、タンパク質含量を低減もしくはゼロとした場合においても、チーズ特有の保型性、加工特性及び食感を有し、更には加熱時に良好な溶融性を示すチーズ様食品に関し、タンパク質含量が10質量%以下のチーズ様食品であって、(a)馬鈴薯由来であり、DE2〜5のデキストリン、(b)カラギナン、寒天、脱アシル型ジェランガム及びLMペクチンからなる群から選ばれる1種以上、(c)乳化剤を含有することを特徴とする低タンパク質チーズ様食品を開示している。
【0004】
特許文献2は、クリームチーズの柔らかい食感や滑らかな口溶け、ナチュラルチーズの爽やかな酸味を損なうことなく、製菓製パン材料として使用する際に、作業性が良く、低カロリーのクリームチーズ様食品を提供することを課題とし、乳酸発酵物、架橋デンプン、水溶性食物繊維、油脂を含有し、水溶性食物繊維が3〜20重量%、油脂が3〜15重量%であり、100g当たりのカロリーが200kcal以下であることを特徴とするクリームチーズ様食品を開示している。
【0005】
特許文献3は、良好な貯蔵寿命を有し、良好な口あたりおよび味わいを有する酸性化されたイミテーションチーズ組成物に関し、少なくとも60重量%の水分、組成物のpHを4.6以下にする量の酸味料、親水コロイド(寒天、アルギン酸塩、カラギナン、ゼラチン、グアーガム、ローカストビーンガム、ペクチンおよびキサンタンガム)、約15重量%未満の量のチーズ由来成分、および天然物または人工物であるチーズ調味料を含有するイミテーションチーズ組成物であって、薄切り、切断、細切れまたはすりおろしの少なくとも1つが可能であるように十分に堅いイミテーションチーズ組成物を開示している。
【0006】
しかしながら、上記した文献にはチーズ分が低減され、脂質を30重量%以上含み、硬さ、割れ性、耐熱保形性を兼ね備えたチーズ類は開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−142181
【特許文献2】特開2011−200202
【特許文献3】特表2005−503136
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、チーズ分が低減され、脂質を30重量%以上含み、硬さ、割れ性、耐熱保形性を兼ね備えたチーズ類を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明には以下の構成が含まれる。
(1)5重量%以上21重量%以下の乳タンパク質と、20重量%以上45重量%以下の脂質と、1重量%以上15重量%以下のデンプン類と、0.5重量%以上2重量%以下の寒天類及び/又はゼラチン類と、0.1重量%以上1.5重量%以下の多糖類と、を含むことを特徴とするチーズ類。
(2)水分が50重量%以下であることを特徴とする(1)に記載のチーズ類。
(3)硬度が0.12J以上0.17J以下であることを特徴とする(1)又は(2)のいずれか1つに記載のチーズ類。
(4)割れ性が20mm未満であることを特徴とする(1)から(3)のいずれか1つに記載のチーズ類。
(5)耐熱保形性が70%以上であることを特徴とする(1)から(4)のいずれか1つに記載のチーズ類。
(6)乳タンパク質と、脂質と、デンプン類と、寒天類及び/又はゼラチン類と、多糖類と、を65℃以上で加熱乳化する工程を含むことを特徴とするチーズ類の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、チーズ分が低減され、脂質を30重量%以上含み、硬さ、割れ性、耐熱保形性を兼ね備えたチーズ類を提供するものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のチーズ類について以下に詳細に説明する。
本発明のチーズ類の原材料について説明する。
本発明のチーズ類に用いる乳タンパク質は、ナチュラルチーズ、生乳、牛乳、脱脂粉乳、バターミルク粉、全脂粉乳等の乳原料に含まれる乳タンパク質や、乳タンパク質濃縮物、カゼインNa、ホエイタンパク質濃縮物、ホエイタンパク質分離物等の乳タンパク質素材を用いることができ、これらの1種類又は複数を用いることができる。
なお、上記したナチュラルチーズは、チェダーチーズ、ゴーダチーズ、エダムチーズ、エメンタールチーズ、パルメザンチーズ、カマンベールチーズ、ブルーチーズ、クリームチーズ、クワルクチーズ、カッテージチーズ、グリーンチーズ、スキムチーズ、モザレラチーズ、エグモントなどが例示され、熟度や種類に限定はなく、これらの1種類又は複数を用いることができる。
【0012】
本発明のチーズ類に用いる油脂は、バター、生クリームなどに由来する乳脂、大豆油、コーン油、オリーブ油、カポック油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、キャノーラ油、米ぬか油、サフラワー油、ハイオレイックサフラワー油、菜種油、菜種白絞油、ひまわり油、ひまわり種子油、ハイオレイックひまわり油、綿花油、綿実油、落花生油、しそ油、ゴマ油、エゴマ油、ベニバナ油、高オレイン酸ベニバナ油、ぶどう種子油、月見草油、シア油、サル油、カカオ脂、ピーナッツ油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、かぼちゃ種子油、亜麻仁油、クルミ油、椿油、茶実油、カラシ油、米油、米糠油、小麦麦芽油等の植物性油脂、牛脂、豚脂、魚油、鯨油等の動物性油脂などが例示され、これらの1種類又は複数を用いることができる。
【0013】
本発明のチーズ類に用いるデンプン類は架橋構造を有するもの、リン酸化されたもの、加熱処理されたもの、湿熱処理されたもの、又はこれらを酵素処理したものであればどのようなものでもよく、これらの1種類又は複数を組み合わせて使用することができる。例えば、エステル化および架橋処理したアセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化リン酸架橋デンプン、エーテル化およびエステル化および架橋処理したヒドロキシプロピルリン酸架橋デンプン、エステル化および架橋処理したリンモノエステル化リン酸架橋デンプン、リン酸架橋デンプン、エステル化処理したリン酸化デンプン、温度と水分を調整した条件下で加熱処理した超高分子デキストリンともいえる低粘性澱粉である加熱処理デンプン、相対湿度100%の条件下で約100〜125℃に加熱処理した湿熱処理デンプン及びこれらを酵素処理したものが挙げられる。
上記デンプン類の原料はコーンスターチ、小麦粉デンプン、ライススターチ、マイロスターチ、ワキシーコーンスターチ、ばれいしょデンプン、かんしょデンプン、タピオカデンプン、サゴデンプン、葛デンプン、ワラビデンプン、レンコンデンプン、緑豆デンプン等を例示できる。
【0014】
本発明のチーズ類に用いる寒天は、食品に用いられるものであればどのようなものでもよく、天草、オゴノリ、オバクサ、イタニクサ等の紅藻類から抽出されるものが例示され、これらの1種類又は複数を用いることができる。
本発明のチーズ類に用いるゼラチンは、食品に用いられるものであればどのようなものでもよく、ウシ、ブタ、魚類から抽出されるものが例示され、これらの1種類又は複数を用いることができる。
【0015】
本発明のチーズ類に用いる多糖類は、多糖類を含む1%溶液を調製し、調製後24時間の25℃における粘度が10mPa・s以上のものであればどのようなものでもよく、100mPa・s以上が好ましく、200mPa・s以上4,000mPa・s以下がさらに好ましい。
上記した本発明のチーズ類に用いる多糖類は、クィンスシードガム、カラギーナン、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、タラガム、カラヤガム、グァーガム、ローカストビーンガム、トラガントガム等が例示され、これらの1種類又は複数を用いることができる。
【0016】
本発明のチーズ類に用いる溶融塩は、イオン交換作用の強弱、解膠作用の強弱、抗菌作用の有無等にかかわらず一般的にプロセスチーズの製造に使用されるものであればどのようなものでもよく、クエン酸塩、リン酸塩等が例示され、これらの1種又は複数を用いることができる。
【0017】
本発明のチーズ類は、その他の原材料として、各種食品、香辛料、乳化剤、香料などを加えることについても特に制限はない。
【0018】
本発明のチーズ類の原材料の添加量について説明する。
本発明のチーズ類に用いる原料チーズは、チーズ類中の乳タンパク質量が5重量%以上21重量%以下となるように添加すればよく、乳タンパク質含量は、5重量%以上12重量%以下が好ましく、5.5重量%以上9重量%以下がさらに好ましい。
【0019】
本発明のチーズ類に用いる油脂は、チーズ類の脂肪含量が20重量以上45重量%以下となるように上記した油脂を添加すればよく、脂肪含量は30重量%以上45重量%以下がより好ましい。
【0020】
本発明のチーズ類に用いるデンプン類は、チーズ類中のデンプン類含量が1重量%以上15重量%以下となるように上記したデンプン類を添加すればよく、デンプン類含量は1.5重量%以上10重量%以下が好ましく、2重量%以上8重量%以下がさらに好ましい。
【0021】
本発明のチーズ類に用いる寒天類及び/又はゼラチン類は、チーズ類中の寒天類及び/又はゼラチン類の合計が0.5重量%以上2重量%以下となるように上記した寒天類及び/又はゼラチン類を添加すればよく、寒天類及び/又はゼラチン類の添加量は0.75重量%以上1.5重量%以下がより好ましい。
【0022】
本発明のチーズ類に用いる多糖類は、チーズ類中の多糖類が0.1重量%以上1重量%以下となるように上記した多糖類を添加すればよく、多糖類含量は0.2重量%以上0.75重量%以下がより好ましい。
【0023】
本発明のチーズ類に用いる溶融塩は、チーズ類中の溶融塩が0.01重量%以上5重量%以下となるように上記した溶融塩を添加すればよい。
【0024】
デンプン類と、寒天類及び/又はゼラチン類の添加量と、多糖類の添加量を上記した条件を満たすように調整することで、5重量%以上15重量%以下の乳タンパク質と20重量以上45重量%以下の脂質を含む場合においても、硬さ、割れ性、耐熱保形性を兼ね備えたチーズ類を得ることができる。
【0025】
本発明のチーズ類の製造方法について説明する。
本発明のチーズ類の製造は、一般的なプロセスチーズ類の製法に従えばよい。すなわち、原料チーズ、油脂、デンプン類、寒天類及び/又はゼラチン類、多糖類、溶融塩、水およびその他の原材料を秤量し、これらを加熱乳化し、所望の容器に充填すればよい。
【0026】
加熱乳化の温度は、65℃以上120℃以下であればよいが、70℃以上110℃以下が好ましく、75℃以上100℃以下がより好ましい。
加熱乳化に用いる乳化機は、ケトル型乳化釜、チーズクッカー、サーモシリンダー、高速せん断式乳化機、ジュール加熱装置等の通常プロセスチーズ類の製造に用いられるものであればどのようなものでも使用可能であり、通常のプロセスチーズ類の製造と同様の操作で製造することができる。
なお、得られるチーズ類中の水分が50重量%以下となるように、原料として添加する水、及び加熱の際に供給される蒸気量を調整する。
【0027】
加熱乳化後のプロセスチーズ類は65℃以上で充填されるホットパック方式(ポーション、個別包装スライス、カルトン等)、15℃から35℃程度まで冷却しながら成型し、その後、さらに冷却して包装するコールドパック方式により充填・包装することができる。
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0028】
(以下において、実施例1から実施例3及び実施例品1から実施例品3を、参考例1から参考例3及び参考例品1から参考例品3と読み替えるものとする。)
表1に示す配合の実施例品1から実施例品8と比較例品1から比較例品8、及び表2に示す実施例品9、実施例品10を調製した。
なお、チーズ類の調製に用いた原料チーズは、表1はチェダーチーズ(脂肪分36重量%、タンパク質23重量%)、表2はゴーダチーズ(脂肪分26重量%、タンパク質30重量%)を用いた。寒天は天草由来、ゼラチンはブタ由来、溶融塩はポリリン酸であった。
チーズ類は以下の条件で調製した。すなわち、原材料を縦型せん断式乳化機(ニチラク機械社製)に投入し、ジャケット内に蒸気を吹き込みながら1500rpmで攪拌し、85℃達温後1分間保持することで加熱乳化をおこない、加熱乳化後に塩化ビニル製の袋に500gを充填し、ヘッドスペースがないように包装した後、5℃で24時間冷却し、チーズ類を得た。
【0029】
[試験例1]
実施例品1から実施例品10と比較例品1から比較例品8を対象に以下について評価した。
(1)硬度の測定試験
硬度はテクスチャーアナライザ(英弘精機(株);TA−X2)を用いて測定した。すなわち、ピアノ線で10mm角にカットしたチーズ類を10℃に温調し、この上面から75mm平板プレートを0.5mm/sの速度で降下させ、80%(2mm)まで圧縮した際の仕事量を硬度とした。
(2)割れ性の測定試験
割れ性はテクスチャーアナライザ(英弘精機(株);TA−X2)のThreeBendRigを用いて測定した。すなわち、ピアノ線で高さ10mm ×横12 mm×奥行き40 mmに切り出したチーズ類を10℃に温度調整し、この上面から真ん中を0.5mm/sでサンプルに触れてから20mmまで圧縮し、割れるまでの治具の移動距離を測定した。20mm未満を割れ性あり、20mm圧縮しても割れないものを割れ性なしとした。
(3)耐熱保形性
10mm角に切り出したチーズ類を160℃に加熱したデッキオーブン(フジマック社製)に入れ、5分間加熱した。加熱後、室温としたプロセスチーズ類の高さを測定し、加温前のプロセスチーズ類の高さに対する比率(%)を求めた。70%以上を耐熱保形性有りとした。
(4)官能評価
実施例品1から実施例品8と比較例品1から比較例品8について、官能評価により、食感のもろさ及びかたさを評価した。評価は訓練をつんだ専門パネラー15人によって行なった。評価は(◎:非常にかたい、非常にもろい、○:かたい、もろい、×:やわらかい、もろくない)の3段階尺度の絶対評価とした。
【0030】
表1に示す比較例8は、原料チーズを75重量%含むことから、乳タンパク質含量は17.25重量%、脂肪含量は27重量%、脂肪/乳タンパク質は1.6でプロセスチーズ規格に相当するものであるが、かたさ、もろさ、硬度、割れ性、耐熱保形性はいずれも良好であった。
比較例品1から比較例品7は、原料チーズ含量が25重量%から40重量%であるため乳タンパク質含量は5.75重量%から9.2重量%と比較例よりも低く、脂肪/乳タンパク質は4.7から6.8と比較例8よりも高い値であった。すなわち、比較例品1から比較例品7は乳タンパク質が少なく、また乳タンパク質に比して脂質が多くなっている。比較例1から比較例7は、表1に示した種類と添加量のデンプン類、寒天あるいはゼラチン、多糖類を含むが、かたさ、もろさ、硬度、割れ性、耐熱保形性のうちのひとつ又は複数で良好ではなかった。
これに対して、実施例品1から実施例品8は乳タンパク質と脂肪含量は比較例1から比較例7と同様であるが、表1に例示されるデンプン類、寒天あるいはゼラチン類、多糖類について、デンプン類の添加量を1重量%以上15重量%以下、寒天及び/又はゼラチンの添加量を0.5重量%以上2重量%以下、多糖類の添加量を0.1重量%以上1.5重量%以下とすることで、5重量%以上11.5重量%以下の乳タンパク質と20重量以上45重量%以下の脂質を含む場合においても、硬さ、割れ性、耐熱保形性を兼ね備えたチーズ類を得ることができた。
【0031】
表2に示したとおり、原料チーズとしてゴーダチーズ、油脂として大豆油、デンプン類としてアセチル化リン酸架橋デンプン、リン酸架橋デンプン、多糖類としてキンサタンガム、グアーガムを用いた場合でも硬さ、割れ性、耐熱保形性を兼ね備えたチーズ類を得ることができた。
【0032】
(表1)
【0033】
(表2)