(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を切削する切削ブレードを備えた切削ユニットと、該切削ブレードの摩耗又は破損を検出する検出ユニットと、該切削ユニットと該検出ユニットが設置された加工室と、該加工室に設置された照明を含む報知ユニットと、少なくとも該チャックテーブル、該切削ユニット、該検出ユニット及び該報知ユニットを制御する制御ユニットと、を備えた切削装置であって、
該検出ユニットは、
凹形状のブレード侵入部と、該ブレード侵入部の一方の側に配設された発光端面と、該発光端面からの光を受光する該ブレード侵入部の他方の側に配設された受光端面と、該受光端面に接続され該受光端面の受光量に応じた電気信号を出力する光電変換部と、を含み、
該制御ユニットは、
該受光端面が受光する受光量が第1の閾値へと減少していくのに応じて徐々に該照明を暗く変化させ、該受光端面が受光する受光量が該第1の閾値に達した際に該照明を明るく変化させて該受光量が該第1の閾値に達したことを報知することを特徴とする切削装置。
被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を切削する切削ブレードを備えた切削ユニットと、該切削ブレードの摩耗を検出する検出ユニットと、該切削ユニットと該検出ユニットが設置された加工室と、該加工室に設置された照明を含む報知ユニットと、少なくとも該チャックテーブル、該切削ユニット、該検出ユニット及び該報知ユニットを制御する制御ユニットと、を備えた切削装置であって、
該検出ユニットは、
ブレード侵入部と、該ブレード侵入部の一方の側に配設された発光部と、該発光部からの光を受光する該ブレード侵入部の他方の側に配設された受光部と、該受光部に接続され該受光部が受光する受光量に応じた電気信号を出力する光電変換部と、該発光部に接続された光源と、該光源の電力を調整するアンプユニットと、を含み、
該制御ユニットは、
該アンプユニットを調整する際、該受光部が受光する受光量が閾値以上になると、該照明の明るさを急激に上昇させて報知することを特徴とする切削装置。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハやセラミックス、ガラス等の精密切削が必要となる種々の電子部品は、ダイシングソーと呼ばれる切削装置で個々のチップに分割される。これらの電子部品の加工にはミクロン単位の精密な切断が必要であり、それにはチップのサイズのみならず切り込み深さも重要となる。
【0003】
例えば、半導体ウェーハはダイシングテープに固定され、ダイシングテープに切削ブレードを10〜30μm程度切り込ませて半導体ウェーハが完全切断されるが、このダイシングテープへの切り込み量が足りなければウェーハは不完全切断となり、下側の切断片は欠けたようなギザギザ状態となってしまう。
【0004】
切削ブレードは、切削加工を継続するにつれて磨耗していく性質を持っており、切削ブレードの摩耗による切り込み深さの変動、即ち切削ブレードの刃先位置の変動を随時補正していく必要がある。
【0005】
こうした切削ブレードの刃先位置の変動は、光学センサを使用した非接触セットアップ機構により随時検出され、検出結果に基づいて切削ブレードの高さ位置の補正(原点位置補正)を行うようにしている(例えば、特開平11−214334号公報参照)。
【0006】
また、非接触セットアップ機構とは別に、切削ブレードをカバーするブレードカバーには、破損検出用の検出ユニットが取り付けられている。切削加工によって切削ブレードは随時磨耗するため、検出ユニットの位置を調整する必要がある。
【0007】
検出ユニットを位置付ける検出位置は、光が切削ブレードによって所定量遮られる位置であり、遮られ過ぎても、遮られなさ過ぎても正しい検出ができない。そこで、オペレータは、発光部と受光部とが一体となった光学センサを切削ブレードに対して進退させつつ受光量をモニタで確認しながら、適切な検出位置に検出ユニットを位置付ける。
【0008】
また、切削ブレードの端部位置を検出する非接触セットアップ機構(ブレード端部検出ユニット)では、発光部及び受光部が切削屑等で汚れると光量が変化するため正確な端部検出ができない。
【0009】
そのため、光量が所定以下になった場合、清掃作業を実施する。清掃作業では、受光部で受光する受光量を光電変換部で変換した電圧をモニタで確認しながら、所定以上の光量が得られるまで発光部と受光部の端面を清掃する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
破損検出用の検出ユニットを正しい検出位置に位置付ける操作及び非接触セットアップ機構(ブレード端部検出ユニット)の受光量が所定値以上となる発光部に接続されたアンプユニットの調整操作は、何れもオペレータがモニタを見ながらの作業となり、検出ユニットとモニタの両方を確認する必要があり、調整作業が困難となっていた。
【0012】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、検出ユニットの受光部で受光する受光量が所望の値となるように調整する調整作業がやり易い切削装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1記載の発明によると、被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を切削する切削ブレードを備えた切削ユニットと、該切削ブレードの摩耗又は破損を検出する検出ユニットと、該切削ユニットと該検出ユニットが設置された加工室と、該加工室に設置された照明を含む報知ユニットと、少なくとも該チャックテーブル、該切削ユニット、該検出ユニット及び該報知ユニットを制御する制御ユニットと、を備えた切削装置であって、該検出ユニットは、凹形状のブレード侵入部と、該ブレード侵入部の一方の側に配設された発光端面と、該発光端面からの光を受光する該ブレード侵入部の他方の側に配設された受光端面と、該受光端面に接続され該受光端面の受光量に応じた電気信号を出力する光電変換部と、を含み、該制御ユニットは、
該受光端面が受光する受光量が第1の閾値へと減少していくのに応じて徐々に該照明を暗く変化させ、該受光端面が受光する受光量が
該第1の閾値に達した際に該照明を明るく変化させて該受光量が該第1の閾値に達したことを報知することを特徴とする切削装置が提供される。
【0014】
好ましくは、該検出ユニットは、凹形状のブレード侵入部に侵入した該切削ブレードの破損を検出し、該切削ブレードに対して進退可能に設定され、該制御ユニットは、該発光端面からの光が該切削ブレードに部分的に遮られて該受光端面が受光する受光量が該第1の閾値以下になる検出位置に該検出ユニットを位置付ける際、該受光端面が受光する受光量が減少して該第1の閾値以下になると、該照明の明るさを急激に上昇させ該検出ユニットが該検出位置に位置付けられたことを報知する。
【0015】
好ましくは、該制御ユニットは、該受光端面が受光する受光量が該第1の閾値より少ない第2の閾値以下になると、該照明を点滅させる。
【0016】
請求項4記載の発明によると、被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を切削する切削ブレードを備えた切削ユニットと、該切削ブレードの摩耗を検出する検出ユニットと、該切削ユニットと該検出ユニットが設置された加工室と、該加工室に設置された照明を含む報知ユニットと、少なくとも該チャックテーブル、該切削ユニット、該検出ユニット及び該報知ユニットを制御する制御ユニットと、を備えた切削装置であって、該検出ユニットは、ブレード侵入部と、該ブレード侵入部の一方の側に配設された発光部と、該発光部からの光を受光する該ブレード侵入部の他方の側に配設された受光部と、該受光部に接続され該受光部が受光する受光量に応じた電気信号を出力する光電変換部と、該発光部に接続された光源と、該光源の電力を調整するアンプユニットと、を含み、該制御ユニットは、該アンプユニットを調整する際、該受光部が受光する受光量が閾値以上になると、該照明の明るさを急激に上昇させて報知することを特徴とする切削装置が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明の切削装置によると、所望の受光量が得られた際に加工室の照明を明るくするため、この照明の明るさの変化により所望の受光量が得られているか否かをオペレータは容易に認識できるため、モニタを見ながらの作業がなくなり、調整作業がやり易いという効果がある。また、誤って発光部及び受光部からなる検出部を切削ブレードに接触させてしまうという恐れがない。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1を参照すると、本発明実施形態に係るブレード破損検出ユニット及びブレード摩耗検出ユニット(非接触セットアップ機構)を具備した切削装置2の斜視図が示されている。
【0020】
4は切削装置2のベースであり、ベース4にはチャックテーブル6が回転可能且つ図示しない加工送り手段によりX軸方向に往復動可能に配設されている。チャックテーブル6の周囲にはウォーターカバー8が配設されており、このウォーターカバー8とベース4に渡り、加工送り機構の軸部を保護するための蛇腹10が連結されている。
【0021】
ベース4の後方には門型形状のコラム12が立設されている。コラム12にはY軸方向に伸長する一対のガイドレール14が固定されている。コラム12にはY軸移動ブロック16が、ボールねじ18と図示しないパルスモータとからなるY軸移動機構(割り出し送り機構)20によりガイドレール14に沿ってY軸方向に移動可能に搭載されている。
【0022】
Y軸移動ブロック16にはZ軸方向に伸長する一対のガイドレール22が固定されている。Y軸移動ブロック16上には、Z軸移動ブロック24がボールねじ26とパルスモータ28とからなるZ軸移動機構30によりガイドレール22に案内されてZ軸方向に移動可能に搭載されている。
【0023】
Z軸移動ブロック24には切削ユニット32が取り付けられており、切削ユニット32のスピンドルハウジング34中には
図5に示すスピンドル36が回転可能に収容され、スピンドル36の先端部には切削ブレード38が着脱可能に取り付けられている。Z軸移動ブロック24には更に、顕微鏡及びカメラを有する撮像ユニット40が取り付けられている。
【0024】
42は加工室44を画成する加工室ケーシングであり、ポリカーボネート等の透明樹脂から形成されている。
図2に最もよく示されるように、加工室ケーシング42はチャックテーブル6及び切削ブレード38を収容する。加工室ケーシング42には、明るさを調整可能な照明51が取り付けられていると共に、排気口50が形成されている。
【0025】
46は本発明実施形態に掛かる非接触セットアップ機構(ブレード摩耗検出ユニット)であり、その詳細が
図8に示されている。取っ手48を引っ張ることにより、加工室ケーシング42の扉49を開けることができ、チャックテーブル6上に被加工物を搬入したり、チャックテーブル6から被加工物を搬出したりすることができる。
【0026】
図2は加工室ケーシング42の縦断面図を示しており、チャックテーブル6に保持された被加工物の切削中には、切削水ノズル53からブレード先端に向かって切削水を供給し、冷却水ノズル56,66(
図5参照)から切削ブレード38の加工点に向かって冷却水を供給しながら被加工物の切削を遂行する。
【0027】
従って、加工室44の雰囲気中には加工屑や切削水及び冷却水のミスト55が飛散し、このような雰囲気中にブレード破損検出ユニット(非接触セットアップ機構)46がさらされていることになる。
【0028】
次に、
図3及び
図4を参照して、実施形態に係る切削ユニット32について説明する。切削ユニット32のスピンドルハウジング34中には、サーボモータにより回転駆動されるスピンドル36(
図5及び
図6参照)が回転可能に収容されており、スピンドル36の先端部にはニッケル部材中にダイヤモンド砥粒が分散されてなる切り刃38aを有する切削ブレード38が着脱可能に装着されている。
【0029】
54は切削ブレード38をカバーするブレードカバーであり、切削ブレード38の側面に沿って伸長する冷却水ノズル56が取り付けられている。冷却水は、パイプ58を介して冷却水ノズル56に供給される。ブレードカバー54はねじ穴60,62を有している。
【0030】
64は着脱カバーであり、ブレードカバー54に取り付けられた際、切削ブレード38の側面に沿って伸長する冷却水ノズル66を有している。冷却水は、パイプ68を介して冷却水ノズル66に供給される。
【0031】
ねじ72を着脱カバー64の丸穴70に挿通してブレードカバー54のねじ穴60に螺合することにより、着脱カバー64がブレードカバー54に固定される。これにより、
図4に示すように、切削ブレード38の概略上半分がブレードカバー54及び着脱カバー64により覆われる。
【0032】
52はブレード破損検出ユニットであり、ねじ76を検出ブロック80に形成された丸穴74を通してブレードカバー54のねじ穴62に螺合することにより、ブレードカバー54に取り付けられる。
【0033】
図5に示すように、ブレード破損検出ユニット52には、発光素子88及び受光素子98を含む光学センサ(ブレードセンサ)が取り付けられており、この光学センサにより切削ブレード38の切り刃38aの状態を検出する。
【0034】
次に、
図5を参照して、ブレード破損検出ユニット52の機構部の構成について説明する。ブレード破損検出ユニット52は、ブレードカバー54に固定される固定ブロック80と、固定ブロック80に対して上下に移動可能な移動ブロック82を含んでいる。
【0035】
固定ブロック80に調整ねじ78が螺合されており、調整ねじ78の先端は移動ブロック82に固定されている。調整ねじ78を回転すると、その回転方向に応じて移動ブロック82が固定ブロック80に対して上下に移動する。
【0036】
ブレード破損検出ユニット52の発光部86は、発光ダイオード(LED)又はレーザーダイオード(LD)から構成される発光素子88と、発光素子88に接続された光ファイバー90と、移動ブロック82に取り付けられ光ファイバー90からの光を反射する直角プリズム92と、サファイア等から形成された直角プリズム92に貼着された透明保護プレート94とから構成される。保護プレート94が発光部86の出射端面を構成する。よって、本明細書では、保護プレート94は発光部86の出射端面94として定義する。
【0037】
ブレード破損検出ユニット52の受光部96は、フォトダイオード(PD)等の受光素子98と、受光素子98に接続された光ファイバー100と、移動ブロック82に取り付けられた直角プリズム102と、直角プリズム102に貼着されたサファイア等からなる透明保護プレート104とから構成される。透明保護プレート104が、受光部96の受光端面を構成する。よって、本明細書では、透明保護プレート104を受光部96の受光端面104として定義する。
【0038】
図5に示した検出位置においては、発光部86の出射端面94と受光部96の受光端面104とは、切削ブレード38の切り刃38aを挟むようにして適切な位置関係で配置され、切り刃38aの破損または磨耗を検出する。
【0039】
次に、
図5乃至
図7を参照して、ブレード破損検出ユニット52の発光端面94及び受光端面104を適切な検出位置に位置付ける際の調整作業について説明する。この調整作業は、
図7に示すように、オペレータ81が調整ねじ78を回転して、移動ブロック82を固定ブロック80に対して上下に移動することにより達成する。
【0040】
受光素子98は光電変換部106に接続されており、光電変換部106は、電圧記憶部110、電圧比較部112及び照明制御部114を有する制御ユニット108に接続されており、制御ユニット108は照明51を含む報知ユニット116に接続されている。
【0041】
図6(A)は出射端面94及び受光端面104が検出位置に侵入する前の側面図を示しており、この状態からオペレータが調整ねじ78を時計回り方向に回転して移動ブロック82を下方に移動すると、光電変換部106の出力電圧は
図8(A)に符号118に示すように直線的に減少する。
【0042】
光電変換部106の出力電圧が第1の閾値へと減少していくのに応じて、照明制御ユニット108は、
図8(B)に示すように徐々に照明の明るさを暗くしていく。そして出力電圧が第1の閾値まで減少したことを制御ユニット108の電圧比較部112が検出すると、制御ユニット108の照明制御部114が
図8(B)に示すように、照明51を急激に明るくなるように制御し、オペレータに出射端面94及び受光端面104が検出位置に入ったことを報知する。
【0043】
これにより、オペレータ81はモニタ83等の受光量を示す表示部を見ながらの調整作業をする必要がなくなり、発光端面94及び受光端面104を検出位置に位置付ける調整作業が非常に容易になる。発光端面94及び受光端面104が検出位置に位置付けられた状態が
図6(B)に示されている。
【0044】
第1の閾値は、受光素子98が受光する受光量が発光端面94からの光が切削ブレード38により全く遮られていない状態を100%とすると、受光端面104が受光する受光量が例えば10%に減少した位置である。
【0045】
図5及び
図6(B)に示す検出位置から、オペレータが調整ねじ78を更に時計回り方向に回転して、移動ブロック82を更に下方に移動すると、光電変換部106からの出力電圧は第2の閾値に減少する。
【0046】
この第2の閾値は、例えば受光端面104が受光する受光量が例えば8%に減った位置である。出力電圧が第2の閾値に達すると、制御ユニット108の照明制御部114は照明51を点滅させ、オペレータに検出位置を外れたとの注意を促す。これにより、オペレータは調整ねじ78を反時計回りに僅かばかり回転し、調整作業を終了する。
【0047】
オペレータが照明51の点滅を気付かずに、調整ねじ78を更に時計回り方向に回転すると、照明51を点滅させると共にブザーを鳴らして、オペレータに警告する。この時、出力電圧が第3の閾値に達し、受光量は例えば2%に減った位置である。これにより、オペレータはブレード破損検出ユニット52の検出部を誤って切削ブレード38に接触させてしまうことを防止できる。
【0048】
次に、
図9及び
図10を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。この実施形態は、本発明の概念をブレード摩耗検出ユニット(非接触セットアップ機構)46に応用したものである。
【0049】
図9に示すように、光学センサの取り付け部材120は、水平部120aと、水平部120aから立ち上がった垂直部120bを有しており、垂直部120bがU形状ブレード侵入部121を画成している。
【0050】
ブレード侵入部121を挟んで垂直部120bの一方の側には発光部122が配設され、発光部122に対峙してブレード侵入部121の他方の側には発光部122からの光を受光する受光部124が配設されている。
【0051】
発光部122は光ファイバー125を介して光源126に接続されており、受光部124は光ファイバー127を介して光電変換部128に接続されている。光源126には、光源126に供給するデ電力を調整するアンプユニット131が接続されている。
【0052】
非接触セットアップ機構(ブレード摩耗検出ユニット)46を使用した切削ブレード38のセットアップ時には、Z軸送り機構30のパルスモータ28を駆動して、切削ブレード38の先端部(刃先)を非接触セットアップ機構46のブレード侵入部121に上方から侵入させていく。
【0053】
この時、切削ブレード38が光学センサの発光部122と受光部124との間を全く遮っていない場合には、受光部124が受光する光量が最大であり、この光量に対応する光電変換部128からの出力は、例えば
図10に示すように5Vに設定されている。
【0054】
切削ブレード38がブレード侵入部121に進入されるのに従って、切削ブレード38が発光部122から出射される光ビームを遮る量が徐々に増加するので、受光部124が受光する光量は徐々に減少し、光電変換部128からの出力電圧は
図10に符号129で示すように徐々に減少する。
【0055】
そして、切削ブレード38が発光部122と受光部124の所定位置を結ぶ位置に達した時、光電変換部126からの出力電圧が基準電圧である例えば3Vになるように設定されている。従って、光電変換部126の出力電圧が3Vになった時、電圧比較部132は光電変換部126の出力電圧が基準電圧に達した旨の信号を端部位置検出部134に出力する。
【0056】
端部位置検出部134は、基準位置を検出した旨の信号をパルスモータ28に送信し、パルスモータ28の駆動を停止する。この時、端部位置検出部134は、切削ブレード38の切り込み方向(Z軸方向)の位置をZ軸送り機構30のパルスモータ28のパルス数をカウントすることにより検出する。切削ブレード38の最下点端部位置である基準位置は、切削装置2のメモリに記憶される。
【0057】
本実施形態の非接触セットアップ方法によると、被加工物を切削ブレード38で適宜切削した後に、最下点端部検出ステップを実行して、前回割り出されて記憶された切削ブレード38の最下点端部の位置と比較し、切削ブレード38の摩耗量(消耗量)を算出部136で算出する摩耗量算出ステップを実行する。
【0058】
そして、摩耗量算出ステップから算出された切削ブレード38の摩耗量に基づいて、位置補正部138で切削ブレード38のZ軸方向の原点位置を補正する。この原点位置の補正により、切削ブレード38の刃先をチャックテーブル6の枠体の上面に接触する原点位置とすることができる。
【0059】
上述したように、ブレード摩耗検出ユニット(非接触セットアップ機構)46は加工室44の雰囲気に常にさらされている。従って、雰囲気に含まれているミスト、切削屑等により光学センサの発光部122及び受光部124の端面が汚染される。
【0060】
このように、発光部122及び受光部124の端面が汚染されると、受光部124が受光する受光量が所定以下となり、光学センサの清掃作業を実施する。清掃作業では、切削ブレード38をブレード侵入部121から上昇させて、オペレータが所定以上の光量が得られるまで発光部122と受光部124の端面を清掃する。そして、清掃しても所定以上の光量が得られない場合は、アンプユニット131を調整して光源126の光量を上げ、所定以上の光量を受光できるように調整する。
【0061】
本実施形態では、
図5に示す制御ユニット108の照明制御部114が所定以上の光量が得られると照明51を急激に明るくなるように制御し、オペレータに報知する。これにより、オペレータは調整作業を終了することができる。
【0062】
従来は、モニタ83を見ながら光電変換部128の出力電圧が5Vになったか否かを確認していたが、本実施形態では、所定以上の光量が得られると照明51を急激に明るくなるように制御するため、オペレータは所定光量に達したことをすぐ気付くことができ、モニタ83を見ながらの作業を行う必要はない。