特許第6801510号(P6801510)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6801510水処理システム提案支援装置、水処理システム提案支援方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6801510
(24)【登録日】2020年11月30日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】水処理システム提案支援装置、水処理システム提案支援方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20201207BHJP
   G06Q 30/06 20120101ALI20201207BHJP
   C02F 1/00 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   G06Q50/06
   G06Q30/06 310
   C02F1/00 Z
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-35019(P2017-35019)
(22)【出願日】2017年2月27日
(65)【公開番号】特開2018-142104(P2018-142104A)
(43)【公開日】2018年9月13日
【審査請求日】2019年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 寿和
【審査官】 青柳 光代
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−258832(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/133048(WO,A1)
【文献】 特開2003−114989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
G16H 10/00 − 80/00
C02F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の水処理システムの各々と、企業名、工場・事業所名又は設備名(ビル・プラント名)を含む名称、管理コード、業種、製造品目、製造プロセス、製造装置、使用薬品、水源の種類、排水の種類、及び顧客メリットのうち少なくとも1つを含むカテゴリ情報とを対応付けて記憶するカテゴリ情報記憶部と、
複数の水処理システムの各々の提案実績情報を記憶する実績情報記憶部と、
前記複数の水処理システムの仕様情報を記憶する水処理システム情報記憶部と、
水処理仕様と、企業名、工場・事業所名又は設備名(ビル・プラント名)を含む名称、管理コード、業種、製造品目、製造プロセス、製造装置、使用薬品、水源の種類、排水の種類、及び顧客メリットのうち少なくとも1つを含む顧客情報とを含む水処理条件の入力を受け付ける条件入力部と、
前記条件入力部を介して入力された顧客情報と、前記カテゴリ情報記憶部に記憶されている前記カテゴリ情報とを比較し、各水処理システムについて、前記顧客情報とのカテゴリ適合度を計算する適合度計算部と、
前記カテゴリ適合度と、前記提案実績情報とを用いて、各水処理システムに対する顧客関心度を計算する関心度計算部と、
前記顧客関心度及び前記水処理仕様に基づいて、前記複数の水処理システムのうち少なくとも1つの水処理システムを選択する選択部と、
を備える水処理システム提案支援装置。
【請求項2】
前記選択部により選択された水処理システムの仕様情報及び前記水処理仕様に基づいて、選択された水処理システムの省コスト額、投資回収年、導入コスト又は運転コストを計算するコスト計算部と、
前記コスト計算部の計算結果を表示する表示部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の水処理システム提案支援装置。
【請求項3】
前記実績情報記憶部内の提案実績情報を所定のタイミングで更新することを特徴とする請求項1又は2に記載の水処理システム提案支援装置。
【請求項4】
前記提案実績情報は、受注件数及び利益率の情報を含み、
前記関心度計算部は、前記利益率に応じた重みを前記受注件数に乗じた値を用いて、前記顧客関心度を算出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の水処理システム提案支援装置。
【請求項5】
水処理仕様と、企業名、工場・事業所名又は設備名(ビル・プラント名)を含む名称、管理コード、業種、製造品目、製造プロセス、製造装置、使用薬品、水源の種類、排水の種類、及び顧客メリットのうち少なくとも1つを含む顧客情報とを含む水処理条件の入力を受け付け、
カテゴリ情報記憶部に記憶されている、複数の水処理システムの各々に対応付けられた、企業名、工場・事業所名又は設備名(ビル・プラント名)を含む名称、管理コード、業種、製造品目、製造プロセス、製造装置、使用薬品、水源の種類、排水の種類、及び顧客メリットのうち少なくとも1つを含むカテゴリ情報と、入力された前記顧客情報とを比較し、各水処理システムについて、前記顧客情報とのカテゴリ適合度を計算し、
実績情報記憶部に記憶されている複数の水処理システムの各々の提案実績情報と、前記カテゴリ適合度とを用いて、各水処理システムに対する顧客関心度を計算し、
前記顧客関心度及び前記水処理仕様に基づいて、水処理システム情報記憶部に仕様情報が記憶されている複数の水処理システムのうち少なくとも1つの水処理システムを選択し、
選択した水処理システムの仕様情報及び前記水処理仕様に基づいて、選択した水処理システムの省コスト額、投資回収年、導入コスト又は運転コストを計算し、計算結果を表示部に表示する
水処理システム提案支援方法。
【請求項6】
水処理仕様と、企業名、工場・事業所名又は設備名(ビル・プラント名)を含む名称、管理コード、業種、製造品目、製造プロセス、製造装置、使用薬品、水源の種類、排水の種類、及び顧客メリットのうち少なくとも1つを含む顧客情報とを含む水処理条件の入力を受け付けるステップと、
カテゴリ情報記憶部に記憶されている、複数の水処理システムの各々に対応付けられた、企業名、工場・事業所名又は設備名(ビル・プラント名)を含む名称、管理コード、業種、製造品目、製造プロセス、製造装置、使用薬品、水源の種類、排水の種類、及び顧客メリットのうち少なくとも1つを含むカテゴリ情報と、入力された前記顧客情報とを比較し、各水処理システムについて、前記顧客情報とのカテゴリ適合度を計算するステップと、
実績情報記憶部に記憶されている複数の水処理システムの各々の提案実績情報と、前記カテゴリ適合度とを用いて、各水処理システムに対する顧客関心度を計算するステップと、
前記顧客関心度及び前記水処理仕様に基づいて、水処理システム情報記憶部に仕様情報が記憶されている複数の水処理システムのうち少なくとも1つの水処理システムを選択するステップと、
選択した水処理システムの仕様情報及び前記水処理仕様に基づいて、選択した水処理システムの省コスト額、投資回収年、導入コスト又は運転コストを計算し、計算結果を表示部に表示するステップと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客関心度の高い水処理システムの提案を支援する水処理システム提案支援装置、水処理システム提案支援方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
水処理設備の設置にあたり、顧客からは、イニシャルコストやランニングコストを見積もることが要求される。特許文献1には、複数種の構成部品を所定の設備仕様に従って組み立てた複数種のユニットの各設備仕様とその設備価格とを記憶したユニット・データベースを備え、入力された水処理仕様に応じてユニット・データベースを検索し、水処理仕様に見合う水処理設備を構築するに必要な1つまたは複数のユニットを選定し、選定したユニットにより構築される水処理設備の設備価格を見積る見積システムが開示されている。
【0003】
このような従来の見積システムは、水処理コストの見積もりを効率化することができるが、顧客にとって価値の高い水処理システムの提案を支援することはできなかった。そのため、顧客へ提案可能なアイデアの選択肢や提案内容の質は、営業担当者の能力に左右され、営業活動を効率良く行うことが出来なかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−114989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、顧客関心度の高い水処理システムを推定し、水処理システムの提案を支援する水処理システム提案支援装置、水処理システム提案支援方法、及びプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の水処理システム提案支援装置は、複数の水処理システムの各々と、名称(企業名、工場・事業所名、設備名(ビル・プラント名)等)、管理コード、業種、製造品目、製造プロセス、製造装置、使用薬品、水源の種類、排水の種類、及び顧客メリットのうち少なくとも1つを含むカテゴリ情報とを対応付けて記憶するカテゴリ情報記憶部と、複数の水処理システムの各々の提案実績情報を記憶する実績情報記憶部と、前記複数の水処理システムの仕様情報を記憶する水処理システム情報記憶部と、水処理仕様と、名称(企業名、工場・事業所名、設備名(ビル・プラント名)等)、管理コード、業種、製造品目、製造プロセス、製造装置、使用薬品、水源の種類、排水の種類、及び顧客メリットのうち少なくとも1つを含む顧客情報とを含む水処理条件の入力を受け付ける条件入力部と、前記条件入力部を介して入力された顧客情報と、前記カテゴリ情報記憶部に記憶されている前記カテゴリ情報とを比較し、各水処理システムについて、前記顧客情報とのカテゴリ適合度を計算する適合度計算部と、前記カテゴリ適合度と、前記提案実績情報とを用いて、各水処理システムに対する顧客関心度を計算する関心度計算部と、前記顧客関心度及び前記水処理仕様に基づいて、前記複数の水処理システムのうち少なくとも1つの水処理システムを選択する選択部と、を備えるものである。
【0007】
本発明の一態様では、前記選択部により選択された水処理システムの仕様情報及び前記水処理仕様に基づいて、選択された水処理システムの省コスト額、投資回収年、導入コスト又は運転コストを計算するコスト計算部と、前記コスト計算部の計算結果を表示する表示部と、をさらに備える。
【0008】
本発明の一態様では、前記実績情報記憶部内の提案実績情報を所定のタイミングで更新する。
【0009】
本発明の一態様では、前記提案実績情報は、受注件数及び利益率の情報を含み、前記関心度計算部は、前記利益率に応じた重みを前記受注件数に乗じた値を用いて、前記顧客関心度を算出する。
【0010】
本発明の水処理システム提案支援方法は、水処理仕様と、名称(企業名、工場・事業所名、設備名(ビル・プラント名)等)、管理コード、業種、製造品目、製造プロセス、製造装置、使用薬品、水源の種類、排水の種類、及び顧客メリットのうち少なくとも1つを含む顧客情報とを含む水処理条件の入力を受け付け、カテゴリ情報記憶部に記憶されている、複数の水処理システムの各々に対応付けられた、名称(企業名、工場・事業所名、設備名(ビル・プラント名)等)、管理コード、業種、製造品目、製造プロセス、製造装置、使用薬品、水源の種類、排水の種類、及び顧客メリットのうち少なくとも1つを含むカテゴリ情報と、入力された前記顧客情報とを比較し、各水処理システムについて、前記顧客情報とのカテゴリ適合度を計算し、実績情報記憶部に記憶されている複数の水処理システムの各々の提案実績情報と、前記カテゴリ適合度とを用いて、各水処理システムに対する顧客関心度を計算し、前記顧客関心度及び前記水処理仕様に基づいて、水処理システム情報記憶部に仕様情報が記憶されている複数の水処理システムのうち少なくとも1つの水処理システムを選択し、選択した水処理システムの仕様情報及び前記水処理仕様に基づいて、選択した水処理システムの省コスト額、投資回収年、導入コスト又は運転コストを計算し、計算結果を表示部に表示するものである。
【0011】
本発明のプログラムは、水処理仕様と、名称(企業名、工場・事業所名、設備名(ビル・プラント名)等)、管理コード、業種、製造品目、製造プロセス、製造装置、使用薬品、水源の種類、排水の種類、及び顧客メリットのうち少なくとも1つを含む顧客情報とを含む水処理条件の入力を受け付けるステップと、カテゴリ情報記憶部に記憶されている、複数の水処理システムの各々に対応付けられた、名称(企業名、工場・事業所名、設備名(ビル・プラント名)等)、管理コード、業種、製造品目、製造プロセス、製造装置、使用薬品、水源の種類、排水の種類、及び顧客メリットのうち少なくとも1つを含むカテゴリ情報と、入力された前記顧客情報とを比較し、各水処理システムについて、前記顧客情報とのカテゴリ適合度を計算するステップと、実績情報記憶部に記憶されている複数の水処理システムの各々の提案実績情報と、前記カテゴリ適合度とを用いて、各水処理システムに対する顧客関心度を計算するステップと、前記顧客関心度及び前記水処理仕様に基づいて、水処理システム情報記憶部に仕様情報が記憶されている複数の水処理システムのうち少なくとも1つの水処理システムを選択するステップと、選択した水処理システムの仕様情報及び前記水処理仕様に基づいて、選択した水処理システムの省コスト額、投資回収年、導入コスト又は運転コストを計算し、計算結果を表示部に表示するステップと、をコンピュータに実行させるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の水処理システムの各々について顧客関心度を計算し、顧客にとって価値の高い水処理システムを推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る水処理システム提案支援装置のハードウェア構成図である。
図2】同実施形態に係る提案支援プログラムを実行することで実現される機能ブロック図である。
図3】同実施形態に係る水処理システム提案支援方法を説明するフローチャートである。
図4】別の実施形態に係る水処理システム提案支援装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、実施の形態に係る水処理システム提案支援装置のハードウェア構成図である。水処理システム提案支援装置は、演算制御部1、記憶部2、入力部3、表示部4、及び通信部5を備え、例えばスマートフォンやタブレット端末、ノート型パソコン等を用いることができる。
【0016】
演算制御部1は、水処理システム提案支援装置の動作の制御や、データの演算等を行うものであり、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、メモリコントローラ、ディスプレイコントローラ等を有する。
【0017】
記憶部2は、RAM等の主記憶機器、及びハードディスクやフラッシュメモリ等の補助記憶機器を有し、提案支援プログラムを格納する。
【0018】
記憶部2は、提案可能な水処理システム毎にカテゴリ情報を対応付けたカテゴリ情報記憶部を有する。カテゴリ情報は、名称(企業名、工場・事業所名、設備名(ビル・プラント名)等)、管理コード、業種、製造品目、製造プロセス、製造装置、使用薬品、水源の種類、排水の種類、及び顧客メリットのうち少なくとも1つを含む。
【0019】
カテゴリ情報は以下の表1に示すようなデータ構造になっている。カテゴリ情報において、各カテゴリは複数の詳細カテゴリに分類され、水処理システム毎に、適合するカテゴリ(詳細カテゴリ)には○、適合しないカテゴリには×が記載されている。例えば、カテゴリCは、詳細カテゴリC11〜C1b1に分類される。
【0020】
【表1】
【0021】
カテゴリ情報の具体例を以下の表2に示す。この例では、カテゴリとして業種、製造プロセス、プロセス小区分、顧客メリットを含む。各カテゴリは複数の詳細カテゴリに分類される。例えば、カテゴリ「業種」は、飲料、食品、鉄鋼等の詳細カテゴリに分類される。
【0022】
【表2】
【0023】
例えば、提案番号#1の水処理システムは、業種として「飲料」「食品」「鉄鋼」等が適合し、製造プロセスとして「冷却水」が適合し、顧客メリットとして「節水」が適合する。
【0024】
記憶部2は、複数の水処理システムの各々の提案実績情報を記憶する実績情報記憶部を有する。提案実績情報は以下の表3に示すようなデータ構造になっている。提案実績情報は、ステータスs〜sと、そのステータスに該当する量(ステータス値)を記録したものである。
【0025】
【表3】
【0026】
提案実績情報の具体例を以下の表4に示す。この例では、ステータスs〜sを、提案書作成済み、提案書提出済み、本見積提出済み、受注済み、追加受注済みとしている。
【0027】
【表4】
【0028】
提案書作成済み件数は、提案書を作成し、顧客へ提出する前の段階にある件数である。提案書提出済み件数は、顧客へ提案書を提出し、本見積を提出する前の段階にある件数である。本見積提出済み件数は、顧客へ本見積りを提出し、まだ受注を受けていない段階にある件数である。
【0029】
また、提案実績情報は、受注額、利益率、追加受注額等の実績積算額を含んでいてもよい。
【0030】
例えば、提案番号#2の水処理システムについては、提案書作成済みが2件、提案書提出済みが18件、本見積提出済みが50件、受注が10件、追加受注が2件となっている。
【0031】
記憶部2は、複数の水処理システムの仕様情報を格納した水処理システム情報記憶部を有する。仕様情報は、例えば構成部品や使用する薬品の価格、水処理の制約条件、水処理計算式等である。水処理システム提案支援装置は、複数の水処理システムの中から、顧客に提案する水処理システムを選択する。
【0032】
入力部3は、データを入力するための機器であり、マウスやキーボード等を用いることができる。表示部4は、演算結果等を表示するディスプレイである。入力部3及び表示部4をタッチパネルで構成してもよい。
【0033】
通信部5は、有線通信又は無線通信を介してデータの送受信を行う。
【0034】
演算制御部1が、上述の提案支援プログラムを実行することで、図2に示すように、条件入力部11、適合度計算部12、関心度計算部13、水処理システム選択部14、コスト計算部15及び表示処理部16が実現される。条件入力部11、適合度計算部12、関心度計算部13、水処理システム選択部14、コスト計算部15及び表示処理部16における処理を、図3に示すフローチャートに沿って説明する。
【0035】
利用者が入力部3を用いて、顧客から要求される水処理仕様と、顧客情報とを含む水処理条件を入力すると、条件入力部11は水処理条件の入力を受け付ける(ステップS1)。水処理仕様は、例えば、水量や水温等である。顧客情報は、顧客の名称(企業名、工場・事業所名、設備名(ビル・プラント名)等)、管理コード、業種、製造品目、製造プロセス、製造装置、使用薬品、水源の種類、排水の種類、及び顧客が望むメリットのうち少なくとも1つを含む。
【0036】
適合度計算部12は、記憶部2に格納されているカテゴリ情報と、条件入力部11で受け付けた顧客情報とを比較し、各水処理システムについて、顧客情報との適合度合(一致度合)を示すカテゴリ適合度を計算する(ステップS2)。適合度計算部12は、カテゴリ適合度を計算する際、カテゴリ毎に重み付けをしてもよい。
【0037】
例えば、記憶部2に表2に示すカテゴリ情報が格納され、条件入力部11で受け付けた顧客情報が、業種「飲料」、製造プロセス「リンス(塩素)」、及びメリット「節水」を含むものであった場合、適合度計算部12は、各水処理システムについて、以下の表5に示すようなカテゴリ適合度を算出する。なお、カテゴリ“業種”と“顧客メリット”については重みを「1」、カテゴリ“製造プロセス”については重みを「2」とした。
【0038】
【表5】
【0039】
カテゴリ“飲料”が適合する水処理システムは、適合度1が加算される。プロセス“リンス”が適合する水処理システムは、適合度2が加算される。リンスプロセスのプロセス小区分“塩素”が適合する水処理システムは、適合度2が加算される。カテゴリ“節水”が適合する水処理システムは、適合度1が加算される。適合度計算部12は、各水処理システムについて、適合度を合計して、カテゴリ適合度を算出する。
【0040】
例えば、提案番号#1の水処理システムは、顧客情報のうち、業種「飲料」とメリット「節水」が適合し、製造プロセス「リンス(塩素)」が適合しないため、カテゴリ適合度は2となる。
【0041】
提案番号#2の水処理システムは、顧客情報の業種「飲料」、製造プロセス「リンス(塩素)」、及びメリット「節水」が全て該当するため、カテゴリ適合度は6となる。
【0042】
関心度計算部13は、実績情報から各水処理システムの実績適合度を求め、実績適合度とカテゴリ適合度とを組み合わせて計算し、各水処理システムに対し、顧客がどの程度の関心を持つかを示す顧客関心度を算出する(ステップS3)。
【0043】
例えば、関心度計算部13は、表1のカテゴリ情報と表3の提案実績情報とを参照し、以下の数式を用いて、顧客関心度を計算する。
【0044】
【数1】
【0045】
顧客関心度は、以下のように計算してもよい。まず、提案実績情報の各ステータスの件数を総件数で除し、ステータス毎に重み付けする。そして、重み付けした値を水処理システム毎に合計して、実績適合度を計算する。以下の表6は、表4に示す提案実績情報の総件数を5000件、提案書作成済みの重みを1、提案書提出済みの重みを3、本見積提出済みの重みを5、受注済みの重みを10、追加受注済みの重みを15とし、実績適合度を計算した値を示す。
【0046】
【表6】
【0047】
例えば、提案番号#1の水処理システムの本見積提出済みは、件数が20件、重みが5であるため、(20/5000)×5=0.02となる。このようにして算出した値を、水処理システム毎に合計することで、実績適合度が求まる。
【0048】
そして、関心度計算部は、カテゴリ適合度と、実績適合度とを、適宜重み付けして加算し、顧客関心度を算出する。例えば、カテゴリ適合度を表5に示す値、実績適合度を表6に示す値、カテゴリ適合度の重みを1、実績適合度の重みを3とした場合、各水処理システムの顧客関心度は、以下の表7のようになる。
【0049】
【表7】
【0050】
水処理システム選択部14は、条件入力部11で受け付けた水処理仕様と、関心度計算部13が算出した顧客関心度とに基づいて、記憶部2に仕様情報が格納されている複数の水処理システムの中から、顧客の要求する水処理仕様を実現する水処理を行うと共に、顧客関心度の高い水処理システムを選択する(ステップS4)。ここで選択された水処理システムが、顧客に提案する水処理システムとなる。
【0051】
コスト計算部15は、水処理システム選択部14が選択した水処理システムの仕様情報と、条件入力部11で受け付けた水処理仕様とに基づいて、提案する水処理システムの導入コスト、ランニングコスト等を計算したり、現状のシステムと比較した省コスト額等を計算したりする(ステップS5)。
【0052】
例えば、提案する水処理システムの仕様情報には、「適用水種」、「水処理の制約条件」、「構成部品や薬品のコスト」、「水処理計算式」が登録されている。水処理システムは、水処理装置を含むものであっても良いし、薬品だけの水処理提案であっても良い。
【0053】
冷却水薬品を添加して冷却塔の濃縮倍率を向上させることで、節水効果をもたらす水処理システムの仕様情報は以下のようになる。
【0054】
適用水種:冷却水のみ
【0055】
水処理の成約条件:
・循環水Ca濃度上限値(薬品A:200mgCaCO/L、薬品B:300mgCaCO/L…)
・循環水シリカ濃度上限値(薬品A:100mgCaCO/L、薬品B:1500mgCaCO/L…)
・濃縮倍率10倍
・補給水温度40℃以下
・冷却塔からの送水温度<冷却塔への戻り水温度
・冷却塔への戻り水温度<60℃
【0056】
構成部品や薬品のコスト:
・薬品A:2500円/kg
・薬品B:2200円/kg
【0057】
水処理計算式:
・提案濃縮倍率
循環水Ca濃度上限値/補給水Ca濃度と、循環水シリカ濃度上限値/補給水シリカ濃度とのうち、小さいもの
・飛散水量
循環水量×0.001
・蒸発水量
循環水量×(冷却塔への戻り水温度−冷却塔からの送水温度)/580
・ブロー水量
蒸発水量/(濃縮倍率−1)−飛散水量
・補給水量
飛散水量+蒸発水量+ブロー水量
・節水量
補給水量(現状)−補給水量(提案)×年間稼働時間
・ランニングコスト
補給水コスト(現状)=補給水量(現状)×補給水単価×年間稼働時間
補給水コスト(提案)=補給水量(提案)×補給水単価×年間稼働時間
排水処理コスト(現状)=ブロー水量(現状)×排水処理単価×年間稼働時間
排水処理コスト(提案)=ブロー水量(提案)×排水処理単価×年間稼働時間
薬品コスト(現状)=補給水量(現状)×薬品添加量(現状)×薬品単価(現状)×年間稼働時間
薬品コスト(提案)=補給水量(提案)×薬品添加量(現状)×薬品単価(提案)×年間稼働時間
・省コスト額
補給水コスト削減額=補給水コスト(現状)−補給水コスト(提案)
排水処理コスト削減額=排水処理コスト(現状)−排水処理コスト(提案)
薬品コスト削減額=薬品コスト(現状)−薬品コスト(提案)
省コスト総額=補給水コスト削減額+排水処理コスト削減額+薬品コスト削減額
・投資回収年
省コスト総額/投資額
【0058】
表示処理部16は、コスト計算部15により計算された省コスト額、投資回収年、導入コスト、運転コスト等を表示部4に表示させる(ステップS6)。
【0059】
このように、本実施形態によれば、水処理システムの提案に際し、顧客の関心の高い水処理システムを推定し、提案することができる。営業担当者の能力に左右されずに、効率良く営業活動を行うことができる。
【0060】
上記実施形態において、表6に示す実績適合度を計算する際の受注済みに対する重み値は、実績積算額に定義されている利益率によって変えてもよい。例えば、利益率が高い程、重みを大きくする。これにより、利益率の高い水処理システムを提案し易くなる。また、追加受注済みに対する重み値は、追加受注額を受注額で除した値によって変えてもよい。
【0061】
図4に示すように、水処理システム提案支援装置に、位置情報を自動取得する位置情報取得部6を設けると共に、顧客の位置情報と顧客の名称(企業名、工場・事業所名、設備名(ビル・プラント名)等)、管理コード、業種等とを対応付けた顧客管理テーブルを記憶部2に格納してもよい。水処理システム提案支援装置は、顧客管理テーブルを参照し、位置情報取得部6が取得した位置情報に対応する顧客の名称(企業名、工場・事業所名、設備名(ビル・プラント名)等)、管理コード、業種等の顧客情報の一部を自動入力することができる。これにより、利用者による顧客情報の入力の手間を軽減できる。位置情報取得部6は、GPS(Global Positioning System)を用いたものでもよいし、複数の基地局と電磁波の送受信を行って三角測量により位置を特定するものでもよい。
【0062】
通信部5がネットワークを介してサーバ装置と通信を行い、定期的に、又は利用者からの指示に応じて、提案実績情報を最新のデータに更新してもよい。
【0063】
水処理システム提案支援装置の各機能が、ネットワークを介して通信可能に接続された複数の機器に分散されていてもよい。例えば、利用者が、端末に水処理仕様及び顧客情報を入力すると、これらの情報がサーバ装置に転送される。サーバ装置は、図3のフローチャートにおけるステップS2〜S5に相当するカテゴリ適合度の計算、顧客関心度の計算、水処理システムの選択、及びコストの計算を行う。サーバ装置は、コスト計算結果を端末へ送信する。利用者は、サーバ装置から受信したコスト計算結果を端末のディスプレイに表示して、顧客に提示することができる。
【0064】
水処理システム選択部14が複数の水処理システムを選択し、コスト計算部15が各水処理システムについてコスト等を計算し、水処理システムの導入効果を比較できるように表示部4に表示してもよい。
【0065】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 演算制御部
2 記憶部
3 入力部
4 表示部
5 通信部
11 条件入力部
12 適合度計算部
13 関心度計算部
14 水処理システム選択部
15 コスト計算部
16 表示処理部
図1
図2
図3
図4