特許第6801663号(P6801663)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6801663
(24)【登録日】2020年11月30日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】中空重合体粒子の水性分散液の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/26 20060101AFI20201207BHJP
   C08F 265/06 20060101ALI20201207BHJP
   D21H 19/42 20060101ALI20201207BHJP
   D21H 21/54 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   C08F2/26 A
   C08F265/06
   D21H19/42
   D21H21/54
【請求項の数】4
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-539091(P2017-539091)
(86)(22)【出願日】2016年8月18日
(86)【国際出願番号】JP2016074083
(87)【国際公開番号】WO2017043281
(87)【国際公開日】20170316
【審査請求日】2019年6月7日
(31)【優先権主張番号】特願2015-175631(P2015-175631)
(32)【優先日】2015年9月7日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112427
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 芳洋
(72)【発明者】
【氏名】北川 昌
【審査官】 北田 祐介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−196747(JP,A)
【文献】 特開2002−200846(JP,A)
【文献】 特開平10−182761(JP,A)
【文献】 特開2014−070078(JP,A)
【文献】 特開2008−088624(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0034147(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00−2/60
C08F 251/00−297/08
D21H 19/42
D21H 21/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単量体混合物(a)を共重合し、コア重合体粒子(A)を形成するコア形成工程と、
単量体混合物(b)を、前記コア重合体粒子(A)の存在下で共重合し、前記コア重合体粒子(A)を実質的に包囲する第1シェル層(B)を形成する第1シェル層形成工程と、
塩基を、前記第1シェル層(B)が形成されたコア重合体粒子(A)を含有する水性分散液に添加し、前記水性分散液のpHを7以上とすることにより前記コア重合体粒子(A)を膨潤させるコア膨潤工程と、
前記コア膨潤工程の後に重合を停止させる重合停止工程と、
前記重合停止工程の後に前記第1シェル層(B)が形成され、前記コア重合体粒子(A)が膨潤したコア重合体粒子(A)を含有する水性分散液に単量体混合物(c)を添加し、前記第1シェル層(B)を膨潤させるシェル膨潤工程と
を含む中空重合体粒子の水性分散液の製造方法。
【請求項2】
前記シェル膨潤工程の後、前記単量体混合物(c)を、前記第1シェル層(B)が形成され、前記コア重合体粒子(A)及び前記第1シェル層(B)が膨潤したコア重合体粒子(A)を含有する水性分散液の存在下で共重合し、第2シェル層(C)を形成する第2シェル層形成工程を含む請求項1記載の中空重合体粒子の水性分散液の製造方法。
【請求項3】
前記第1シェル層形成工程は、単量体混合物(b1)を、前記コア重合体粒子(A)の存在下で共重合し、前記コア重合体粒子(A)を実質的に包囲する内側シェル層(B1)を形成する内側シェル層形成工程と、
単量体混合物(b2)を、前記内側シェル層(B1)が形成されたコア重合体粒子(A)の存在下で共重合し、前記内側シェル層(B1)を実質的に包囲する中間シェル層(B2)を形成する中間シェル層形成工程と、
単量体混合物(b3)を、前記内側シェル層(B1)および中間シェル層(B2)が形成されたコア重合体粒子(A)の存在下で共重合し、前記中間シェル層(B2)を実質的に包囲する外側シェル層(B3)を形成する外側シェル層形成工程と
を含む請求項1または2記載の中空重合体粒子の水性分散液の製造方法。
【請求項4】
前記シェル膨潤工程では、前記第1シェル層(B)を、5〜120分間膨潤させる、請求項1〜3の何れか一項に記載の中空重合体粒子の水性分散液の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空重合体粒子の水性分散液の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
中空重合体粒子は、粒子中に密実均一に重合体が充填された重合体粒子と比べて、光を良く散乱させ、光の透過性を低くすること、また、粒子の変形容易性から、隠蔽剤や不透明度、白色度、光沢度などの光学的性質に優れた有機顔料として水系塗料、紙塗工用組成物などの用途で汎用されている。
【0003】
このような用途においては、塗料や塗工紙などの軽量化および中空重合体粒子による断熱化、不透明化、高光沢化などの効果を向上させるために、配合する中空重合体粒子の空隙率を高めることや、種々の特性を向上させることが望まれている。
【0004】
従来、中空重合体粒子を含有する塗被組成物が、塗被紙の製造において使用されている。例えば、特許文献1では、凝集物の少ない中空重合体粒子の水性分散液を得るために、コア重合体粒子、内側シェル層、中間シェル層および外側シェル層の4層構造を有する重合体粒子を含有する水性分散液に、塩基を添加してpHを7以上とすることにより、コア重合体粒子に含有される酸性基の一部を中和し、コア重合体粒子内部に空隙を形成することで、中空重合体粒子の水性分散液を得る方法が開示されている。
【0005】
また、空隙率を高め、軽量で低密度の中空重合体粒子を得るために、特許文献2および3には、コア重合体粒子にシェル層を形成後、シェル層を導く未反応モノマーの存在下で、塩基を添加し、コア重合体粒子を膨潤させ、さらに未反応モノマーを重合させることによりシェル層を最終的に形成することで中空重合体粒子の水性分散液を得る方法が開示されている。しかし、中空重合体粒子を紙塗工用有機顔料として用いる場合には、空隙率を増大させるだけでなく、白紙光沢を向上させることが求められるが、当該水性分散液が塗布された塗被紙の白紙光沢は十分に高いものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2014/142237号
【特許文献2】特許第4413295号公報
【特許文献3】特開2002−241448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、空隙率が高く、さらに塗被紙の製造に用いた場合に十分な白紙光沢を有する中空重合体粒子を得ることができる中空重合体粒子の水性分散液の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、塩基によりコア重合体粒子(A)を膨潤させた後に、モノマーの存在下でコア重合体粒子(A)を実質的に包囲する第1シェル層(B)を膨潤させることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
本発明によれば、
(1) 単量体混合物(a)を共重合し、コア重合体粒子(A)を形成するコア形成工程と、単量体混合物(b)を、前記コア重合体粒子(A)の存在下で共重合し、前記コア重合体粒子(A)を実質的に包囲する第1シェル層(B)を形成する第1シェル層形成工程と、塩基を、前記第1シェル層(B)が形成されたコア重合体粒子(A)を含有する水性分散液に添加し、前記水性分散液のpHを7以上とすることにより前記コア重合体粒子(A)を膨潤させるコア膨潤工程と、前記コア膨潤工程の後に重合を停止させる重合停止工程と、前記重合停止工程の後に前記第1シェル層(B)が形成され、前記コア重合体粒子(A)が膨潤したコア重合体粒子(A)を含有する水性分散液に単量体混合物(c)を添加し、前記第1シェル層(B)を膨潤させるシェル膨潤工程とを含む中空重合体粒子の水性分散液の製造方法、
(2) 前記シェル膨潤工程の後、前記単量体混合物(c)を、前記第1シェル層(B)が形成され、前記コア重合体粒子(A)及び前記第1シェル層(B)が膨潤したコア重合体粒子(A)を含有する水性分散液の存在下で共重合し、第2シェル層(C)を形成する第2シェル層形成工程を含む(1)記載の中空重合体粒子の水性分散液の製造方法、
(3) 前記第1シェル層形成工程は、単量体混合物(b1)を、前記コア重合体粒子(A)の存在下で共重合し、前記コア重合体粒子(A)を実質的に包囲する内側シェル層(B1)を形成する内側シェル層形成工程と、単量体混合物(b2)を、前記内側シェル層(B1)が形成されたコア重合体粒子(A)の存在下で共重合し、前記内側シェル層(B1)を実質的に包囲する中間シェル層(B2)を形成する中間シェル層形成工程と、単量体混合物(b3)を、前記内側シェル層(B1)および中間シェル層(B2)が形成されたコア重合体粒子(A)の存在下で共重合し、前記中間シェル層(B2)を実質的に包囲する外側シェル層(B3)を形成する外側シェル層形成工程とを含む(1)または(2)記載の中空重合体粒子の水性分散液の製造方法
が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の中空重合体粒子の水性分散液の製造方法によれば、空隙率が高く、さらに塗被紙の製造に用いた場合に十分な白紙光沢を有する中空重合体粒子を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の中空重合体粒子の水性分散液の製造方法について説明する。本発明の中空重合体粒子の水性分散液の製造方法は、単量体混合物(a)を共重合し、コア重合体粒子(A)を形成するコア形成工程と、単量体混合物(b)を、前記コア重合体粒子(A)の存在下で共重合し、前記コア重合体粒子(A)を実質的に包囲する第1シェル層(B)を形成する第1シェル層形成工程と、塩基を、前記第1シェル層(B)が形成されたコア重合体粒子(A)を含有する水性分散液に添加し、前記水性分散液のpHを7以上とすることにより前記コア重合体粒子(A)を膨潤させるコア膨潤工程と、前記コア膨潤工程の後に重合を停止させる重合停止工程と、前記重合停止工程の後に前記第1シェル層(B)が形成され、前記コア重合体粒子(A)が膨潤したコア重合体粒子(A)を含有する水性分散液に単量体混合物(c)を添加し、前記第1シェル層(B)を膨潤させるシェル膨潤工程とを含む。
【0012】
(コア形成工程)
本発明のコア形成工程においては、単量体混合物(a)を共重合し、コア重合体粒子(A)を形成する。
【0013】
コア重合体粒子(A)を形成するための単量体混合物(a)に含有させる単量体としては特に限定されないが、酸性基含有単量体20〜50重量%、および酸性基含有単量体と共重合可能な単量体50〜80重量%を含有するものが好ましい。
【0014】
酸性基含有単量体は、酸性を示す官能基を有する単量体であり、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸;イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、ブテントリカルボン酸等のエチレン性不飽和多価カルボン酸;フマル酸モノブチル、マレイン酸モノブチル等のエチレン性不飽和多価カルボン酸の部分エステル化物;スチレンスルホン酸等のスルホン酸基含有単量体;等が挙げられる。これらの中でも、本発明の効果がより一層顕著になることから、エチレン性不飽和モノカルボン酸単量体が好ましく、(メタ)アクリル酸(「アクリル酸およびメタクリル酸」を表す。以下、同様。)がより好ましく、メタクリル酸が特に好ましい。なお、これらの単量体は1種単独でも、2種以上を併用しても良い。
【0015】
単量体混合物(a)中における、酸性基含有単量体の含有割合は、好ましくは20〜50重量%、より好ましくは25〜45重量%である。酸性基含有単量体の含有割合が上記範囲であると、酸性基含有単量体の含有割合が少なすぎるために、後述するコア膨潤工程において、コア重合体粒子(A)の塩基による膨潤がし難くなり、空隙の形成が困難となる、という現象を抑えることができ、また、酸性基含有単量体の含有割合が多すぎるために、コア重合体粒子(A)が十分に第1シェル層(B)で包囲されず、コア膨潤工程において水性分散液の安定性が低下し、凝集物が発生し易くなる、という現象を抑えることができる。
【0016】
共重合可能な単量体としては、酸性基含有単量体と共重合可能な単量体であればよく、特に限定されないが、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ハロゲン化スチレンなどの芳香族ビニル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのエチレン性不飽和ニトリル単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのエチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのエチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン単量体;酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル単量体;塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル単量体;塩化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン単量体;ビニルピリジン;等が挙げられるが、エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体が好ましく、エチレン性不飽和モノカルボン酸アルキルエステル単量体がより好ましく、メチル(メタ)アクリレートおよびブチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。なお、上記エチレン性不飽和モノカルボン酸アルキルエステル単量体のアルキル基の炭素数は1〜6が好ましい。また、これらの単量体は1種単独でも、2種以上を併用してもよい。
単量体混合物(a)中における、共重合可能な単量体の含有割合は、好ましくは50〜80重量%であり、より好ましくは55〜75重量%である。
【0017】
また、本発明においては、単量体混合物(a)を構成する各単量体として、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、およびメタクリル酸を組み合わせて用いることが特に好ましく、これらの含有割合を、メチルメタクリレート35〜77重量%、ブチルアクリレート3〜15重量%およびメタクリル酸20〜50重量%とすることが好ましく、メチルメタクリレート42〜71重量%、ブチルアクリレート4〜13重量%、およびメタクリル酸25〜45重量%とすることがより好ましく、メチルメタクリレート45〜65重量%、ブチルアクリレート5〜12重量%およびメタクリル酸30〜43重量%とすることが特に好ましい。
【0018】
また、単量体混合物(a)中には、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの架橋性単量体を配合してもよい。単量体混合物(a)中の架橋性単量体の使用量は、安定な空隙形成が維持できる範囲とすることが望ましく、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。架橋性単量体の使用量が上記範囲であると、架橋性単量体の使用量が多すぎるために、コア重合体粒子(A)の塩基による膨潤がし難くなり、空隙の形成が困難となる、という現象を抑えることができる。
【0019】
単量体混合物(a)の共重合は、通常、水性媒体中で行なわれる。そのため、共重合により得られるコア重合体粒子(A)は、通常、水性分散液の状態で得られる。水性媒体としては、通常、水が用いられ、製造時の重合体粒子の分散安定性を損なわない範囲で、メタノール、エタノールなどの水溶性有機溶媒を併用してもよい。水性媒体の使用量は、単量体混合物(a)100重量部に対して、通常、100〜1000重量部、好ましくは200〜600重量部である。水性媒体の使用量が上記範囲であると、水性媒体の使用量が少なすぎるために、重合時の凝集物の発生量が増加する、という現象を抑えることができ、また、水性媒体の使用量が多すぎるために、中空重合体粒子の生産性が劣る、という現象を抑えることができる。
【0020】
単量体混合物(a)の共重合方法は、特に限定されないが、通常、乳化重合法である。重合方式は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方式でもよい。重合圧力、重合温度および重合時間は特に限定されず、公知の条件が採られる。乳化重合に際しては、乳化重合反応に一般に使用される、界面活性剤、重合開始剤、連鎖移動剤、キレート剤、電解質、脱酸素剤などの各種添加剤を、重合用副資材として使用することができる。
【0021】
乳化重合に用いる界面活性剤としては、一般に公知の界面活性剤を用いることができ、具体的には、ロジン酸カリウム、ロジン酸ナトリウム等のロジン酸塩;オレイン酸カリウム、ラウリン酸カリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等の脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪族アルコールの硫酸エステル塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリールスルホン酸;などのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウムなどのアルキルエーテル硫酸塩;ポリエチレングリコールのアルキルエステル、アルキルエーテル又はアルキルフェニルエーテルなどのノニオン性界面活性剤、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルスルホン酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等の親水性合成高分子物質;ゼラチン、水溶性でんぷん等の天然親水性高分子物質;カルボキシメチルセルロース等の親水性半合成高分子物質;などの分散安定剤などが挙げられる。これらの界面活性剤は単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。これらのなかでも、重合安定性が良好であるため、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウムなどのアルキルエーテル硫酸塩が好ましい。
【0022】
界面活性剤の使用量は、単量体混合物(a)100重量部に対して、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは0.5〜3重量部である。界面活性剤の使用量が上記範囲であると、界面活性剤の使用量が少なすぎるために、重合時に凝集物が生成し易くなる、という現象を抑えることができ、また、界面活性剤の使用量が多すぎるために、得られる中空重合体粒子の空隙率が低くなり、各種特性が低下する、という現象を抑えることができる。
【0023】
また、単量体混合物(a)の共重合は、シードの存在下で行うことが好ましく、シードを使用することにより、生成するコア重合体粒子(A)の粒子径の制御を容易なものとすることができる。
【0024】
乳化重合における単量体混合物(a)の重合転化率は、通常、90重量%以上、好ましくは97重量%以上である。また、生成する共重合体の組成は、通常、単量体混合物(a)の組成とほぼ同じものとなる。
【0025】
乳化重合を行う際における、界面活性剤の添加方法は、特に限定されず、界面活性剤は、反応系に一括で、あるいは、分割して、または連続的に添加することができるが、重合時における凝集物の発生を抑制するという点より、反応系に連続的に添加する方法が好ましい。また、単量体混合物(a)と界面活性剤とは、混合して反応系に添加してもよいし、あるいは、別々に反応系に添加してもよいが、単量体混合物(a)と界面活性剤とを水性媒体とともに混合し、乳化物の状態として、反応系に添加することが好ましい。
【0026】
また、乳化重合に際しては、反応系に無機塩を添加し、無機塩の存在下で共重合を行ってもよく、特に、界面活性剤と無機塩とを併用すると、重合時における凝集物の生成を効果的に抑制することができ、粒径分布を狭くすることが可能となる。無機塩としては、特に限定されないが、具体的には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウムなどのアルカリ金属塩;塩化カルシウム、硫酸バリウムなどのアルカリ土類金属塩;硫酸アルミニウム、塩化アルミニウムなどが挙げられる。これらのなかでも、アルカリ金属塩が好ましく、トリポリリン酸ナトリウムがより好ましい。無機塩の使用量は、単量体混合物(a)100重量部に対して、好ましくは0.01〜1重量部、より好ましくは0.05〜0.5重量部である。無機塩の使用量が上記範囲であると、無機塩の使用量が少なすぎるために、その添加効果が発現し難くなる、という現象を抑えることができ、また、無機塩の使用量が多すぎるために、重合時に凝集物が生じやすくなる、という現象を抑えることができる。また、無機塩の添加方法としては、特に限定されず、反応系に一括で、分割して、または連続的に添加することができる。
【0027】
乳化重合により得られるコア重合体粒子(A)の体積平均粒子径は、好ましくは100〜600nm、より好ましくは250〜500nmである。体積平均粒子径が上記範囲であると、体積平均粒子径が小さすぎるために、空隙率が高くかつ粒子径が大きい中空重合体粒子の製造が困難になる、という現象を抑えることができ、また、体積平均粒子径が大きすぎるために、第1シェル層(B)によるコア重合体粒子(A)の被覆が困難になり、コア重合体粒子(A)内における、空隙の形成が困難になる、という現象を抑えることができる。
【0028】
(第1シェル層形成工程)
本発明の第1シェル層形成工程においては、単量体混合物(b)を、前記コア重合体粒子(A)の存在下で共重合し、前記コア重合体粒子(A)を実質的に包囲する第1シェル層(B)を形成する。
【0029】
ここで、第1シェル層(B)は、1層であってもよいし、2層以上から形成されていてもよい。第1シェル層(B)を形成する層の数は特に限定されないが、たとえば、第1シェル層(B)として、内側シェル層(B1)、中間シェル層(B2)および外側シェル層(B3)の3層から形成されるシェル層を採用することができる。
【0030】
このような3層から形成される第1シェル層(B)は、単量体混合物(b1)を、前記コア重合体粒子(A)の存在下で共重合し、コア重合体粒子(A)を実質的に包囲する内側シェル層(B1)を形成する内側シェル層形成工程と、単量体混合物(b2)を、前記内側シェル層(B1)が形成されたコア重合体粒子(A)の存在下で共重合し、前記内側シェル層(B1)を実質的に包囲する中間シェル層(B2)を形成する中間シェル層形成工程と、単量体混合物(b3)を、前記内側シェル層(B1)および中間シェル層(B2)が形成されたコア重合体粒子(A)の存在下で共重合し、中間シェル層(B2)を実質的に包囲する外側シェル層(B3)を形成する外側シェル層形成工程により得ることができる。
以下、第1シェル層(B)が3層から形成される場合について説明する。
【0031】
内側シェル層形成工程
内側シェル層形成工程においては、単量体混合物(b1)を、前記コア重合体粒子(A)の存在下で共重合し、前記コア重合体粒子(A)を実質的に包囲する内側シェル層(B1)を形成する。
【0032】
内側シェル層(B1)を形成するための単量体混合物(b1)に含有させる単量体としては特に限定されないが、酸性基含有単量体1〜10重量%、および酸性基含有単量体と共重合可能な単量体90〜99重量%を含有するものが好ましい。
【0033】
酸性基含有単量体としては、特に限定されず、上述したコア重合体粒子(A)と同様のものを用いることができるが、エチレン性不飽和モノカルボン酸単量体が好ましく、(メタ)アクリル酸がより好ましく、メタクリル酸が特に好ましい。単量体混合物(b1)中における、酸性基含有単量体の含有割合は、好ましくは1〜10重量%であり、より好ましくは3〜9重量%であり、さらに好ましくは5〜8重量%である。
【0034】
また、共重合可能な単量体としては、特に限定されないが、上述したコア重合体粒子(A)と同様のものを用いることができ、なかでも、エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体が好ましく、エチレン性不飽和モノカルボン酸アルキルエステル単量体がより好ましく、メチル(メタ)アクリレートおよびブチル(メタ)アクリレートがさらに好ましく、メチルメタクリレートおよびブチルアクリレートが特に好ましい。なお、上記エチレン性不飽和モノカルボン酸アルキルエステル単量体のアルキル基の炭素数は1〜6が好ましい。また、これらの単量体は1種単独でも、2種以上を併用してもよい。
【0035】
単量体混合物(b1)中における、共重合可能な単量体の含有割合は、好ましくは90〜99重量%であり、より好ましくは91〜97重量%、さらに好ましくは92〜95重量%である。
【0036】
また、本発明においては、単量体混合物(b1)を構成する各単量体として、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ならびに、メタクリル酸および/またはアクリル酸を組み合わせて用いることが特に好ましく、これらの含有割合を、メチルメタクリレート68〜89重量%、ブチルアクリレート10〜22重量%、メタクリル酸および/またはアクリル酸1〜10重量%とすることが好ましく、メチルメタクリレート71〜85重量%、ブチルアクリレート12〜20重量%、メタクリル酸および/またはアクリル酸3〜9重量%とすることがより好ましく、メチルメタクリレート74〜81重量%、ブチルアクリレート14〜18重量%、メタクリル酸および/またはアクリル酸5〜8重量%とすることが特に好ましい。
【0037】
単量体混合物(b1)を、コア重合体粒子(A)の存在下で共重合する方法としては特に限定されないが、コア重合体粒子(A)の水性分散液中にて、単量体混合物(b1)を乳化重合する方法が好ましく、これにより、内側シェル層(B1)が形成されたコア重合体粒子(A)を得ることができる。重合方式としては、回分式、半連続式、連続式のいずれの方式を用いてもよく、また、重合圧力、重合温度および重合時間は格別限定されず、公知の条件を採用することができる。
【0038】
単量体混合物(b1)の乳化重合に際しては、コア重合体粒子(A)の製造において例示された重合用副資材を使用することできる。また、単量体混合物(b1)の乳化重合に際しては、コア重合体粒子(A)の製造において例示された重合用副資材に加えて、連鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤としては、一般の乳化重合に使用されている公知の連鎖移動剤を用いることができ、たとえば、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、t−テトラデシルメルカプタンなどのメルカプタン類;ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジエチルキサントゲンジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィドなどのキサントゲンジスルフィド類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィドなどのチウラムジスルフィド類;四塩化炭素、四臭化炭素などのハロゲン化炭化水素類;ジフェニルエチレン、ペンタフェニルエタン、α−メチルスチレンダイマーなどの炭化水素類;アクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコレート、ターピノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテンなどが挙げられる。これらの連鎖移動剤は単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。これらのなかでも、メルカプタン類およびα−メチルスチレンダイマーが好ましく、メルカプタン類がより好ましく、t−ドデシルメルカプタンが特に好ましい。
【0039】
中間シェル層形成工程
中間シェル層形成工程は、単量体混合物(b2)を、内側シェル層(B1)が形成されたコア重合体粒子(A)の存在下で共重合し、内側シェル層(B1)を実質的に包囲する中間シェル層(B2)を形成する。
【0040】
中間シェル層(B2)を形成するための単量体混合物(b2)に含有させる単量体としては特に限定されないが、酸性基含有単量体0.2〜2.5重量%、および酸性基含有単量体と共重合可能な単量体97.5〜99.8重量%を含有するものが好ましい。
【0041】
酸性基含有単量体としては、特に限定されず、上述したコア重合体粒子(A)と同様のものを用いることができるが、エチレン性不飽和モノカルボン酸単量体が好ましく、(メタ)アクリル酸がより好ましい。単量体混合物(b2)中における、酸性基含有単量体の含有割合は、好ましくは0.2〜2.5重量%であり、より好ましくは0.3〜2.2重量%であり、さらに好ましくは0.4〜1.8重量%である。
【0042】
また、共重合可能な単量体としては、特に限定されないが、上述したコア重合体粒子(A)と同様のものを用いることができ、なかでも、芳香族ビニル単量体およびエチレン性不飽和モノカルボン酸エステル単量体が好ましく、芳香族ビニル単量体がより好ましく、スチレンが特に好ましい。単量体混合物(b2)中における、共重合可能な単量体の含有割合は、好ましくは97.5〜99.8重量%であり、より好ましくは97.8〜99.7重量%、さらに好ましくは98.2〜99.6重量%である。
【0043】
また、本発明においては、単量体混合物(b2)を構成する各単量体として、メタクリル酸および/またはアクリル酸とスチレンとを組み合わせて用いることが特に好ましく、これらの含有割合を、メタクリル酸および/またはアクリル酸0.2〜2.5重量%、およびスチレン97.5〜99.8重量%とすることが好ましく、メタクリル酸および/またはアクリル酸0.3〜2.2重量%、およびスチレン97.8〜99.7重量%とすることがより好ましく、メタクリル酸および/またはアクリル酸0.4〜1.8重量%、およびスチレン98.2〜99.6重量%とすることが特に好ましい。
【0044】
単量体混合物(b2)を、内側シェル層(B1)が形成されたコア重合体粒子(A)の存在下で共重合する方法としては特に限定されないが、内側シェル層(B1)が形成されたコア重合体粒子(A)の水性分散液中にて、単量体混合物(b2)を乳化重合する方法が好ましく、これにより、内側シェル層(B1)および中間シェル層(B2)が形成されたコア重合体粒子(A)を得ることができる。重合方式としては、回分式、半連続式、連続式のいずれの方式を用いてもよく、また、重合圧力、重合温度および重合時間は格別限定されず、公知の条件を採用することができる。単量体混合物(b2)の乳化重合に際しは、コア重合体粒子(A)の製造や、内側シェル層(B1)の形成において例示された重合用副資材を使用することできる。
【0045】
外側シェル層形成工程
外側シェル層形成工程においては、単量体混合物(b3)を、内側シェル層(B1)および中間シェル層(B2)が形成されたコア重合体粒子(A)の存在下で共重合し、中間シェル層(B2)を実質的に包囲する外側シェル層(B3)を形成する。
【0046】
単量体混合物(b3)中における、酸性基含有単量体の含有割合は、好ましくは0.15重量%以下であり、より好ましくは0.1重量%以下、さらに好ましくは0.05重量%以下であり、特に、酸性基含有単量体の含有割合は実質的にゼロとすることが望ましい。すなわち、単量体混合物(b3)として、酸性基含有単量体を含有しないものを用いることが好ましい。ここで、酸性基含有単量体とは、酸性を示す官能基を有する単量体であるが、代表的なものとしては、上述したコア重合体粒子(A)で例示したものなどが挙げられる。酸性基含有単量体の含有割合が上記範囲であると、酸性基含有単量体の含有割合が高すぎるために、中空重合体粒子の水性分散液中の凝集物の量が多くなる、という現象を抑えることができる。
【0047】
また、単量体混合物(b3)に含有される、酸性基含有単量体以外の単量体としては特に限定されないが、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ハロゲン化スチレンなどの芳香族ビニル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのエチレン性不飽和ニトリル単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのエチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのエチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン単量体;酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル単量体;塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル単量体;塩化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン単量体;ビニルピリジン;等が挙げられる。これらの単量体は1種単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。
【0048】
これらのなかでも凝集物の量が少ない中空重合体粒子の水性分散液が得られ易いことから、芳香族ビニル単量体が好ましく、スチレンがより好ましい。
【0049】
さらに、単量体混合物(b3)として芳香族ビニル単量体のみを含有するものを用いることが好ましく、スチレンのみを含有するものを用いることが特に好ましい。
【0050】
単量体混合物(b3)を、内側シェル層(B1)および中間シェル層(B2)が形成されたコア重合体粒子(A)の存在下で共重合する方法としては特に限定されないが、内側シェル層(B1)および中間シェル層(B2)が形成されたコア重合体粒子(A)の水性分散液中にて、単量体混合物(b3)を乳化重合する方法が好ましく、これにより、内側シェル層(B1)、中間シェル層(B2)および外側シェル層(B3)が形成されたコア重合体粒子(A)を得ることができる。重合方式としては、回分式、半連続式、連続式のいずれの方式を用いてもよく、また、重合圧力、重合温度および重合時間は格別限定されず、公知の条件を採用することができる。単量体混合物(b3)の乳化重合に際しては、コア重合体粒子(A)の製造や、内側シェル層(B1)、中間シェル層(B2)の形成において例示された重合用副資材を使用することできる。
【0051】
本発明において、コア重合体粒子(A)、内側シェル層(B1)、中間シェル層(B2)および外側シェル層(B3)を形成するための単量体混合物の重量比率は、本発明の効果がより一層顕著に得られる観点から、「単量体混合物(a)/単量体混合物(b1)/単量体混合物(b2)/単量体混合物(b3)」の重量比で、好ましくは(1〜40)/(1〜40)/(10〜88)/(10〜88)であり、より好ましくは(2〜30)/(2〜30)/(20〜76)/(20〜76)であり、特に好ましくは(5〜20)/(5〜20)/(30〜60)/(30〜60)である。
【0052】
(コア膨潤工程)
本発明のコア膨潤工程においては、塩基を、第1シェル層(B)が形成されたコア重合体粒子(A)を含有する水性分散液に添加し、水性分散液のpHを7以上とすることによりコア重合体粒子(A)を膨潤させる。
【0053】
即ち、コア膨潤工程は、第1シェル層(B)が形成されたコア重合体粒子(A)を含有する水性分散液に、塩基を添加し、水性分散液のpHを7以上とすることにより、コア重合体粒子(A)に含まれる酸性基の少なくとも一部を中和し、空隙を形成する工程である。
【0054】
塩基としては、揮発性塩基および不揮発性塩基のいずれでもよいが、揮発性塩基の具体例としては、アンモニア、水酸化アンモニウム、モルホリン、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどが挙げられる。また、不揮発性塩基の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物;炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムなどのアルカリ金属(重)炭酸塩;炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウムなどの(重)炭酸アンモニウム塩などが挙げられる。これらのなかでも、揮発性塩基が好ましく、アンモニアおよび水酸化アンモニウムがより好ましい。
【0055】
塩基の使用量は、コア重合体粒子(A)の酸性基の少なくとも一部を中和して、水性分散液のpHを7以上とすることができる量であればよく特に限定されない。また、塩基を添加する際には、添加時の凝集物発生の抑制の観点から、水溶液の状態で添加することが好ましく、その際における水溶液中の濃度は、好ましくは0.5〜20重量%、より好ましくは1〜10重量%である。また、この際においては、塩基処理時における凝集物の発生を抑制するという観点より、塩基を添加する前に、アニオン性界面活性剤および/または非イオン性界面活性剤を添加してもよい。
【0056】
また、コア膨潤工程を行う際における処理時間は、コア重合体粒子(A)内部に、塩基が十分に拡散するのに必要となる時間とすればよく、通常、5〜120分、好ましくは10〜90分間の範囲で適宜選択すればよい。また、コア膨潤工程を行う際における温度は、塩基の拡散性の観点から、コア重合体粒子(A)が十分に軟化する温度以上とすることが好ましく、70〜95℃が好ましい。
【0057】
(重合停止工程)
本発明における重合停止工程は、コア膨潤工程を行った後に重合を停止させる工程である。重合を停止させる方法としては、特に限定されないが、重合停止剤を添加することにより重合を停止させることが好ましい。
【0058】
重合停止剤としては、例えば、ヒドロキシルアミン、ヒドロキシアミン硫酸塩、ジエチルヒドロキシアミン、ヒドロキシアミンスルホン酸およびそのアルカリ金属塩、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウムなどが挙げられる。重合停止剤の使用量は、特に限定されないが、コア重合体粒子(A)および第1シェル層(B)の重合に用いる全単量体100重量部に対して、好ましくは0.01〜2重量部である。
【0059】
(シェル膨潤工程)
本発明におけるシェル膨潤工程は、重合停止工程の後に第1シェル層(B)が形成され、コア重合体粒子(A)が膨潤したコア重合体粒子(A)を含有する水性分散液に単量体混合物(c)を添加し、第1シェル層(B)を膨潤させる工程である。また、シェル膨潤工程を行うことにより、第1シェル層(B)が可塑化するため、コア重合体粒子(A)を膨張させることができる。即ち、本発明においては、コア膨潤工程およびシェル膨潤工程の2段階の工程により空隙率を増大させることができる。
単量体混合物(c)としては、特に限定されないが、上記単量体混合物(b3)にて挙げたものと同様のものを用いることができる。
【0060】
単量体混合物(c)の使用量は、特に限定されないが、コア重合体粒子(A)および第1シェル層(B)の重合に用いる全単量体100重量部に対して、好ましくは0.1〜45重量部、より好ましくは1〜30重量部である。
【0061】
また、シェル膨潤工程を行う際における処理時間は、好ましくは5〜120分間である。また、シェル膨潤工程を行う際における温度は、シェルの可塑化の観点から、好ましくは10〜95℃であり、特に好ましくは75〜95℃である。
【0062】
(第2シェル層形成工程)
本発明においては、シェル膨潤工程の後、単量体混合物(c)を、第1シェル層(B)が形成され、コア重合体粒子(A)及び第1シェル層(B)が膨潤したコア重合体粒子(A)を含有する水性分散液の存在下で共重合し、第2シェル層(C)を形成する第2シェル層形成工程を行うことが好ましい。
【0063】
第2シェル層(C)を形成する際には、シェル膨潤工程の後に、重合開始剤を添加して単量体混合物(c)の重合を開始させることが好ましい。
【0064】
重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物; ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物; 過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物;などを挙げることができる。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。重合開始剤の使用量は、特に限定されないが、コア重合体粒子(A)および第1シェル層(B)の重合に用いる全単量体100重量部に対して、好ましくは0.01〜1.0重量部である。
【0065】
なお、本発明の製造方法においては、コア重合体粒子(A)の形成、第1シェル層の形成、コア膨潤工程、重合停止工程、シェル膨潤工程および第2シェル層(D)の形成は、同一の反応器内で段階的に行ってもよいし、あるいは、前段階の工程の後、前段階の工程で得られた生成物を別の反応器に移して次段階の工程を行うような態様としてもよい。
【0066】
次いで、本発明の製造方法においては、上記のようにして得られた中空重合体粒子の水性分散液中に含まれる残留モノマーを除去するために、該水性分散液にスチーム(飽和水蒸気)を吹き込むスチームストリッピングを行ってもよい。スチームストリッピングとしては、従来知られている方法を制限なく使用することができる。また、スチームストリッピングを行う際には、中空重合体粒子の水性分散液中に含まれる残留モノマーの含有割合が、好ましくは0.01重量%以下となるような条件で行えばよい。
また、スチームストリッピングによる残留モノマーの除去を行った後には、必要に応じて、水性分散体のpHや固形分濃度を調整してもよい。
【0067】
このようにして本発明の製造方法により得られる中空重合体粒子の水性分散液は、中空重合体粒子の数平均粒子径が、好ましくは0.5〜2.0μm、より好ましくは0.8〜1.7μm、さらに好ましくは1.0〜1.5μmである。中空重合体粒子の数平均粒子径は、たとえば、透過型電子顕微鏡により中空重合体粒子200個それぞれについて最大粒子径を測定し、これを単純平均することにより求めることができる。
【0068】
また、中空重合体粒子の空隙率は、好ましくは30〜65%、より好ましくは40〜60%、さらに好ましくは53〜58%である。中空重合体粒子の空隙率は、透過型電子顕微鏡により中空重合体粒子200個それぞれについて最大粒子径および空隙の最大径を測定し、該測定結果から得られる空隙率を単純平均することにより求めることができる。
【0069】
本発明の中空重合体粒子の水性分散液の製造方法により、空隙率が高く、さらに塗被紙の製造に用いた場合に十分な白紙光沢を有する中空重合体粒子を得ることができる。
【0070】
また、コア膨潤工程の後、重合を停止させて、シェル膨潤工程を行うことにより、第1シェル層(B)が可塑化するため、コア重合体粒子(A)を膨張させることができる。即ち、本発明においては、コア膨潤工程およびシェル膨潤工程の2段階の工程により空隙率を増大させることができる。さらにコア膨潤工程およびシェル膨潤工程の2段階の工程によりコア重合体粒子(A)の偏りを是正することができ、中空重合体粒子のモルフォロジーをお椀型ではなく、真球型とすることができる。そのため、本発明の製造方法により得られる中空重合体粒子を塗被紙用の有機顔料として使用した場合に、白色光沢、印刷光沢を向上させることができる。
【0071】
本発明の製造方法により得られる中空重合体粒子の水性分散液は、たとえば、炭酸カルシウム、クレイ、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン、サチンホワイト、水酸化アルミニウム、シリカ、雲母などの無機顔料を配合して、塗被紙用組成物として用いることができる。さらには、このような塗被紙用組成物を原紙に塗被して表面塗被層を形成させることで、塗被紙を得ることができる。そして、このようにして得られる塗被紙の白紙光沢は、好ましくは80%以上である。
【0072】
本発明の中空重合体粒子の水性分散体の製造方法により得られる中空重合体粒子を含有する塗被紙は、白色光沢および印刷光沢等に優れるものであり、このような特性を活かし、書籍、雑誌などの出版物やチラシ、パンフレット、ポスターなどの商業用印刷物用に好適に用いることができる。
【実施例】
【0073】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。なお、特に断りのない限り、「部」は重量基準である。
また、試験および評価は、下記の方法で行った。
【0074】
中空重合体粒子の重量平均粒子径
各実施例および各比較例で得られた中空重合体粒子200個について、透過型電子顕微鏡を用いて、各々の最大粒子径を測定し、それらを算術平均することで、重量平均粒子径を求めた。
【0075】
中空重合体粒子の空隙率
各実施例および各比較例で得られた中空重合体粒子200個それぞれの最大粒子径と空隙の最大径を、透過型電子顕微鏡により測定し、下記の式により計算される「空隙率」を単純に平均した値を中空重合体粒子の「空隙率」とした。
「空隙率」=[(空隙の最大径)3/(最大粒子径)3]×100(%)
【0076】
白紙光沢
各実施例および各比較例で得られた塗被紙について、グロスメーター(商品名「GM−26D」、村上色彩社製)を用いて、入射角75度、反射角75度の条件で塗被紙表面の光の反射率(単位:%)を測定した。得られた反射率の値が大きいほど、白紙光沢に優れていると判断できる。
【0077】
(実施例1)
コア重合体粒子(A)の製造
攪拌装置を備えた耐圧容器に、モノマー100部(メタクリル酸メチル50重量%、アクリル酸ブチル10重量%、メタクリル酸40重量%)、界面活性剤としてのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(アルキル基C1235、エチレンオキサイド付加数18)0.9部、トリポリリン酸ナトリウム0 .15部、およびイオン交換水80部を添加し、攪拌して、コア重合体形成用の単量体混合物(a)の乳化物を調製した。
【0078】
また、上記とは別に、攪拌装置を備えた耐圧反応器に、イオン交換水40部およびシードラテックス(体積平均粒径82nmのメタクリル酸メチル重合体粒子)0.28部を添加し、85℃に昇温した。
【0079】
そして、イオン交換水およびシードラテックスを添加した耐圧反応器に、過硫酸カリウム3%水溶液1.63部を添加し、上記にて得られた単量体混合物(a)の乳化物の全量のうち7重量%を、3時間に亘り連続的に添加した後、さらに1時間反応させた。その後、イオン交換水250部および過硫酸カリウム3%水溶液18.6部を添加し、反応温度を85℃に維持しながら、上記にて得られた単量体混合物(a)の乳化物の残部を、3時間に亘り連続的に添加した。そして、乳化物の連続添加を完了した後、さらに2時間反応を継続して、アルカリ膨潤性物質であるコア重合体粒子(A)を含む水性分散液を得た。なお、この際の重合転化率は99%であった。
【0080】
各単量体混合物の調製
攪拌装置付き反応容器に、モノマー100部(メタクリル酸メチル78重量%、アクリル酸ブチル16重量%、メタクリル酸6重量%)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム0.2部およびイオン交換水160部を仕込み、次いで攪拌することにより、内側シェル層(B1)形成用の単量体混合物(b1)の乳化物を調製した。
また、上記とは別に、攪拌装置付き反応容器に、モノマー100部(スチレン99.0重量%、メタクリル酸1.0重量%)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリム0.6部およびイオン交換水80部を仕込み、次いで攪拌することにより、中間シェル層(B2)形成用の単量体混合物(b2)の乳化物を調製した。
【0081】
さらに、上記とは別に、攪拌装置付き反応容器に、モノマー100部(スチレン100重量%)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリム0.49部およびイオン交換水73.2部を仕込み、次いで攪拌することにより、外側シェル層(B3)形成用の単量体混合物(b3)の乳化物を調製した。
【0082】
第1シェル層(B)(内側シェル層(B1)、中間シェル層(B2)および外側シェル層(B3))の形成
そして、攪拌装置付き反応容器に、イオン交換水250部、および上記にて得られたコア重合体粒子(A)を含む水性分散液を、コア重合体粒子(A)の重量が約10部となるように(すなわち、使用した単量体混合物(a)の配合量が、10部となるように)仕込み、85℃に昇温した。次いで、反応容器に、4重量%の過硫酸カリウム水溶液10部を添加し、その後、85℃に保ちながら、内側シェル層(B1)形成用の単量体混合物(b1)の乳化物(単量体混合物(b1)の量は10部)を、20分間に亘り、反応容器に連続的に添加することで、重合して内側シェル層(B1)を形成した。
【0083】
次いで、反応容器を85℃に保ちながら、反応容器に、中間シェル層(B2)形成用の単量体混合物(b2)の乳化物(単量体混合物(b2)の量は49部)を、65分間に亘り、反応容器に連続的に添加することで、重合して中間シェル層(B2)を形成した。
【0084】
さらに、反応容器を85℃に保ちながら、反応容器に、外側シェル層(B3)形成用の単量体混合物(b3)の乳化物(単量体混合物(b3)の量は41部)を、55分間に亘り、反応容器に連続的に添加することで、重合して外側シェル層(B3)を形成した。
【0085】
コア膨潤工程(塩基処理)
上述した方法で、第1シェル層(B)(内側シェル層(B1)、中間シェル層(B2)および外側シェル層(B3))をこの順で形成した直後、反応容器に、5重量%アンモニア水20部を添加し、90℃で1時間の条件で塩基処理を行うことにより、塩基によりコア重合体粒子(A)を膨潤させた。なお、反応液のpHは、塩基処理中の1時間に亘って7以上12以下であった。
【0086】
重合停止工程
上述した方法で、コア膨潤工程を行った後、反応容器に、重合停止剤として10重量%ジエチルヒドロキシアミンを0.6部添加した。この状態で10分間経過させた。
【0087】
シェル膨潤工程
重合停止剤を添加してから10分経過した後、反応容器に、単量体混合物(c)を5部(スチレン:5部)添加した。その状態で2時間経過させた。
【0088】
第2シェル層(C)形成工程
上述した方法で、シェル膨潤工程を行った後、4重量%の過硫酸カリウム水溶液10部を添加し、さらに4時間反応を継続し、中空重合体粒子を含む水性分散液を得た。なお、この際の重合転化率は99%であった。得られた中空重合体粒子の重量平均粒子径、空隙率を表1に示した。
【0089】
塗被紙用組成物の調製
攪拌装置を備えた耐圧容器に、無機顔料としてのカオリンクレイ(商品名「アストラコート」、イメリスミネラルズ・ジャパン社製)70部、無機顔料としての炭酸カルシウム(商品名「FMT90」、ファイマテック社製)30部、分散剤としてのポリアクリル酸ソーダ(商品名「アロンT−50」、東亞合成社製)0.15部、滑剤としてのステアリン酸カルシウム(商品名「ノプコートC−104HS」、サンノプコ社製)0.5部、燐酸エステル化澱粉(商品名「MS−4600」、日本食品化工社製)3部、および、カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名「NipolLX407F」、日本ゼオン社製)9部を添加し、次いで、上記にて得られた中空重合体粒子を固形分で7部、およびイオン交換水を加えて混合・攪拌することで固形分濃度62%の塗被紙用組成物を得た。
【0090】
塗被紙作製
得られた塗被紙用組成物を坪量65g/m2の原紙上に、片面に10g/m2にて塗布し、120℃で乾燥し、スーパーカレンダー処理して塗被紙を得た。得られた塗被紙の白紙光沢の測定を行った。結果を表1に示す。
【0091】
(実施例2)
シェル膨潤工程にて加える単量体混合物(c)の量を10部(スチレン:10部)とした以外は、実施例1と同様にして、中空重合体粒子の水性分散液を得た。得られた中空重合体粒子の重量平均粒子径、空隙率を表1に示した。さらに、用いる中空重合体粒子の種類を実施例2にて得られた中空重合体粒子に変更した以外は、実施例1と同様に塗被紙用組成物の調製および塗被紙作製を行った。結果を表1に示す。
【0092】
(実施例3)
シェル膨潤工程にて加える単量体混合物(c)の量を25部(スチレン:25部)とした以外は、実施例1と同様にして、中空重合体粒子の水性分散液を得た。得られた中空重合体粒子の重量平均粒子径、空隙率を表1に示した。さらに、用いる中空重合体粒子の種類を実施例3にて得られた中空重合体粒子に変更した以外は、実施例1と同様に塗被紙用組成物の調製および塗被紙作製を行った。結果を表1に示す。
【0093】
(実施例4)
コア膨潤工程にて、10重量%アンモニア水30部を添加したこと、および、シェル膨潤工程にて加える単量体混合物(c)の種類をメタクリル酸メチルに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、中空重合体粒子の水性分散液を得た。得られた中空重合体粒子の重量平均粒子径、空隙率を表1に示した。さらに、用いる中空重合体粒子の種類を実施例4にて得られた中空重合体粒子に変更した以外は、実施例1と同様に塗被紙用組成物の調製および塗被紙作製を行った。結果を表1に示す。
【0094】
(実施例5)
コア膨潤工程にて、加える塩基を15重量%アンモニア水100部に変更した以外は、実施例1と同様にして、中空重合体粒子の水性分散液を得た。得られた中空重合体粒子の重量平均粒子径、空隙率を表1に示した。さらに、用いる中空重合体粒子の種類を実施例5にて得られた中空重合体粒子に変更した以外は、実施例1と同様に塗被紙用組成物の調製および塗被紙作製を行った。結果を表1に示す。
【0095】
(比較例1)
コア重合体粒子(A)の製造および第1シェル層(B)の形成については実施例1と同様の方法で行い、その後の工程の順序を変更した。具体的には、コア重合体粒子(A)の製造および第1シェル層(B)の形成を行った後、重合停止工程、シェル膨潤工程、コア膨潤工程および第2シェル層(C)の形成をこの順序で行った。
【0096】
即ち、コア重合体粒子(A)の製造および第1シェル層(B)の形成を実施例1と同様の方法により行った後、重合停止工程として、反応容器に、重合停止剤の10重量%ジエチルヒドロキシアミンを0.6部添加し、この状態で10分経過させた。
【0097】
次に、重合停止剤を添加してから10分経過後に、シェル膨潤工程として反応容器に、単量体混合物(c)を5部(スチレン:5部)添加し、この状態で2時間経過させた。
【0098】
シェル膨潤工程を行った後、コア膨潤工程を行った。具体的には、5重量%アンモニア水20部を添加し、90℃で1時間の条件で塩基処理を行うことにより、コア重合体粒子(A)を膨潤させた。なお、反応液のpHは、塩基処理中の1時間に亘って7以上12以下であった。
【0099】
コア膨潤工程を行った後、第2シェル層(C)の形成を行った。具体的には、4重量%の過硫酸カリウム水溶液10部を添加し、さらに4時間反応を継続し、中空重合体粒子を含む水性分散液を得た。得られた中空重合体粒子の重量平均粒子径、空隙率を表2に示した。さらに、用いる中空重合体粒子の種類を比較例1にて得られた中空重合体粒子に変更した以外は、実施例1と同様に塗被紙用組成物の調製および塗被紙作製を行った。結果を表2に示す。
【0100】
(比較例2)
重合停止工程を省略したこと(即ち、反応容器に重合停止剤を添加しなかったこと)以外は、比較例1と同様にして、中空重合体粒子の水性分散液を得た。得られた中空重合体粒子の重量平均粒子径、空隙率を表2に示した。さらに、用いる中空重合体粒子の種類を比較例2にて得られた中空重合体粒子に変更した以外は、実施例1と同様に塗被紙用組成物の調製および塗被紙作製を行った。結果を表2に示す。
【0101】
【表1】
【0102】
【表2】
【0103】
表1および表2より、単量体混合物(a)を共重合し、コア重合体粒子(A)を形成するコア形成工程と、単量体混合物(b)を、前記コア重合体粒子(A)の存在下で共重合し、前記コア重合体粒子(A)を実質的に包囲する第1シェル層(B)を形成する第1シェル層形成工程と、塩基を、前記第1シェル層(B)が形成されたコア重合体粒子(A)を含有する水性分散液に添加し、前記水性分散液のpHを7以上とすることにより前記コア重合体粒子(A)を膨潤させるコア膨潤工程と、前記コア膨潤工程の後に重合を停止させる重合停止工程と、前記重合停止工程の後に前記第1シェル層(B)が形成され、前記コア重合体粒子(A)が膨潤したコア重合体粒子(A)を含有する水性分散液に単量体混合物(c)を添加し、前記第1シェル層(B)を膨潤させるシェル膨潤工程とを含む中空重合体粒子の水性分散液の製造方法により得られる中空重合体粒子は、空隙率は高く、この中空重合体粒子を用いて得られる塗被紙物性の白紙光沢が優れる(実施例1〜5)。
【0104】
一方、コア膨潤工程とシェル膨潤工程との順序を変更し、シェル膨潤工程をコア膨潤工程よりも先に実施した比較例1では、空隙率を増大させることができる工程がコア膨潤工程による1段階のみであるため、得られる中空重合体粒子の空隙率は、実施例1と比較して低かった。
【0105】
また、コア膨潤工程とシェル膨潤工程との順序を変更し、シェル膨潤工程をコア膨潤工程よりも先に実施し、さらに重合停止工程を省略した比較例2では、単量体混合物(c)が重合により消費されるため、第1シェル層(B)の膨潤が比較例1と比較しても弱くなるため、得られる中空重合体粒子の空隙率が低かった。また、実施例1と比較しても空隙率が低かった。さらに、塗被紙の白紙光沢が劣る。