特許第6802083号(P6802083)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6802083
(24)【登録日】2020年11月30日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】立軸ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/58 20060101AFI20201207BHJP
   F04D 13/00 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   F04D29/58 D
   F04D13/00 A
【請求項の数】11
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-29083(P2017-29083)
(22)【出願日】2017年2月20日
(65)【公開番号】特開2018-135766(P2018-135766A)
(43)【公開日】2018年8月30日
【審査請求日】2019年10月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【弁護士】
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】230121005
【弁護士】
【氏名又は名称】多田 宏文
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】小宮 真
(72)【発明者】
【氏名】福田 清治
(72)【発明者】
【氏名】廣川 一人
(72)【発明者】
【氏名】内田 義弘
(72)【発明者】
【氏名】川井 康
【審査官】 田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−020418(JP,A)
【文献】 特開2013−083242(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/58
F04D 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方に開口した吸込口からポンプ上部の側方を向いた吐出し口に水を導く立軸ポンプであって、吸込管部と、前記吸込管部上部と接続されるベンド管部と、前記ベンド管部上部に位置するモータ部と、チャンバ部と、で構成され、
前記吸込管部は、吸込管と、前記吸込管内にほぼ鉛直方向に延びる主軸と、主軸に固定されたインペラと、前記主軸を支持する軸受部と、を有し、
前記ベンド管部は、前記吸込管に接続している接続管部と、前記接続管部の側方に向いた吐出し管と、吐出しフランジと、前記吸込口の上方に位置する第1フランジと、を有し、
前記モータ部は、前記インペラを回転させるモータと、モータハウジングと、前記モータハウジングの下部に設けられた第2フランジと、前記モータハウジング下部に設けられて前記モータの発生熱を奪う熱交換器と、前記熱交換器を通って前記主軸に連結される出力軸と、を有し、
前記第1フランジ及び/又は前記第2フランジは、水を外部に排出して前記熱交換器の下面近傍で水流を生じさせるための排水手段を有し、前記チャンバ部である前記第1フランジ及び/又は前記第2フランジの外周部が前記排水手段から出た排水に接しており、
前記チャンバ部は、前記ベンド管部の第1フランジと、前記モータ部の第2フランジと、チャンバカバーと、前記チャンバ部内に開口を有する排水管と、を有することを特徴とするポンプ。
【請求項2】
前記排水手段は、前記第1フランジ及び/又は前記第2フランジの少なくとも一方の結合面に開口する溝であることを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
【請求項3】
前記排水手段は矩形、半円形又は三角形状の溝であるか、前記第1フランジ及び/又は前記第2フランジに形成する凹凸部形状で形成する隙間であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポンプ。
【請求項4】
前記第1フランジの外径は、前記第2フランジの外径より大きく、前記チャンバカバーは、前記モータハウジングの側面から外径方向に延びる第1面と、前記第1面と前記第1フランジの上面から延びる第2面を有していることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のポンプ。
【請求項5】
前記第1フランジの外径は、前記第2フランジの外径より大きく、前記チャンバカバーは、前記モータハウジングの上方に位置する天井面と、前記天井面と前記第1フランジの上面から延びる第2面を有していることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のポンプ。
【請求項6】
前記第1フランジの外径は、前記第2フランジの外径より大きく、前記チャンバカバーは、前記モータ部の第2フランジ側面から外径方向に延びる第1面と、前記第1面と前記第1フランジの上面から延びる第2面を有していることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のポンプ。
【請求項7】
前記モータ部の前記熱交換器で熱交換された後に前記排水手段を介して前記チャンバ部内に排出された水が、前記モータ部の少なくとも一部を冷却することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のポンプ。
【請求項8】
前記チャンバ部内と外部を接続する排水管は、前記排水管のチャンバ側開口部が、前記熱交換器上面あるいは排水手段の上部より高い位置に設置されることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のポンプ。
【請求項9】
前記チャンバ部には、前記チャンバ部の内部及び/又は前記排水管の開口部を視認可能な点検窓が設けられることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のポンプ。
【請求項10】
前記主軸又は前記出力軸に取付けられた第2インペラを有していることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のポンプ。
【請求項11】
前記第2インペラは、一部に異物破砕機能を有する刃を有していることを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立軸ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
ポンプはインペラをモータなどの駆動機で回転させて揚水する。そのため、ポンプ運転中に駆動機は継続的に発熱するので、冷却することが必要になる。陸上に設置されるポンプに用いられる駆動機の冷却方法には、大きく分けて、駆動回転軸の回転を利用したファンによる空冷や冷却器を使用した水冷の2つのタイプがある。また、通常駆動機は、十分な防水性を有しておらず、もし水没した時には駆動できなくなる。
【0003】
一方、近年多く発生してきている津波、高潮、局地豪雨等によるポンプ建屋等の設備機器の浸水への対策要求があり、ポンプを設置するフロアの天井を高くし駆動機架台を高い位置に設置する、若しくはポンプを設置するフロアより上方に駆動機設置のためのフロアを新設するなど設備機器の高所設置を行うことがあるが、建屋の建設コストが非常に大きくなってしまっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−304163号公報
【特許文献2】特許第5552402号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記背景技術記載の課題を解決するため、特許文献1では、ポンプ設備廻りでモータへの防水対策を図った技術が開示されている。しかし、モータへの防水対策を行い、さらに水没したモータ廻りの水でモータを冷却できるような構造になっていても、一旦モータ周辺域へ流入した水は通常循環や排水できる建屋構造は検討されておらず、流動せずにその場に淀んでしまう。そのため、発生した熱のモータ周辺域に流入した水への蓄積や気泡の残留・蓄積によってモータが十分に冷却できなくなる恐れがあった。
【0006】
一方、特許文献2は、耐水モータのモータケーシング内部を冷却液が循環し、その流路の一部であるモータ下部にポンプの揚水で前記冷却液を冷却する熱交換器を設置したポンプ技術が開示されている。しかし、本開示技術では耐水モータはポンプに水密状態で取り付けられていると共に、熱交換器の下面である揚水との接水面はポンプの主流路の上方の主流路から離れた位置にあり、熱交換器付近の揚水は淀みやすいため、特許文献1と同様に冷却効率が悪いといった問題があった。また、取扱い流体が河川水や汚水などの場合には、水より比重の軽い浮遊物や弱い流れ部にとどまりやすい布ごみなどを含むことがあり、それら異物が熱交換器に付着すると、これも冷却効率が低下する要因の一つとなっていた。
【0007】
熱交換の効率向上のため、熱交換器の下面の伝熱面積を増やすよう熱交換器形状をコルゲート状にする技術があるが、前記と同様にコルゲートの溝に空気や異物等が溜まったり詰まったりしやすく、一旦詰まってしまうと吐出し口側へ排出されにくく、さらに冷却効率が悪化する恐れがあった。
【0008】
ポンプ運転手順では、立軸ポンプ起動前には吸込管やエルボ管内には流体でなく空気で満たされている。ポンプを起動すると、吸込管内にあった空気の多くは吐出し口近くに設置している空気抜き弁から外部へ抜けるが、一部はエルボ管上部、すなわち熱交換器下面に溜まってしまう。さらに、インペラによって汲み上げた水には微細な気泡が含まれることがあり、微細な気泡の多くは揚水とともに吐出し口から吐き出されるが、これの一部が熱交換器付近に流入し、熱交換器下面に蓄積され、冷却効率が悪化する恐れがあった。
【0009】
また、このタイプの立軸ポンプでは、効率改善のためにエルボ管上部の主流路と副流路の間に吐出しカバーを設けることが多いが、ポンプ運転時に副流路の水流が低下してしまい、空気の排出が困難になってしまうため、吐出しカバーを取り付けることが出来ず、効率が低下してしまう問題があった。
【0010】
熱交換器付近の熱伝導の観点では、もし熱交換器下面に空気溜り(空気層)が介在すると、空気がない場合には水―熱交換器だけの熱伝達に対して、水―空気―熱交換器の2段階の熱伝達となり、熱抵抗要素が増える。水、空気および一般的な熱交換器に用いる銅の常温常圧における各熱伝導率は、それぞれ0.61[W/(m・K)]、0.026[W/(m・K)]、370[W/(m・K)]程度と大きく異なる。また、水と熱交換器間の熱伝達率に対し、空気と熱交換器間の熱伝達率はかなり小さいため、空気が介在する場合には熱交換器伝熱面での熱通過率が大きく低下し、熱交換効率も大幅に低下してしまう。
【0011】
熱交換器付近が水密構造である場合、水(揚水)は熱交換器付近に淀んでしまい、ポンプ吸込口から吐出し口に向かう主流速に比べ、熱交換器直下の流速は遅くなる。そのため熱交換器下面での熱伝達率は小さく、上記のように異物、布のごみや空気等が溜まった場合には熱交換器の熱通過率をさらに低下させる要因となってしまい、さらに熱交換の効率を低下させてしまう。
【0012】
本発明は、上記状況に鑑みてなされたもので、ポンプケーシングの第1フランジとモータ部の第2フランジとの間から揚水の一部を外部に流出させることにより、熱交換器下面近傍で積極的に水流を生じさせると共に、溜まっている空気や異物等を排除して熱通過率を向上させることにより熱交換器の効率を高めてモータを十分冷却することができる構造を備えた立軸ポンプを提供することを目的とする。なお、本明細書において、揚水及び水とは、H2Oに限られず、ポンプが汲み上げる対象である液体を意味する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様によれば、下方に開口した吸込口からポンプ上部の側方を向いた吐出し口に水を導く立軸ポンプであって、吸込管部と、前記吸込管部上部と接続されるベンド管部と、前記ベンド管部上部に位置するモータ部と、チャンバ部と、で構成され、
前記吸込管部は、吸込管と、前記吸込管内にほぼ鉛直方向に延びる主軸と、主軸に固定されたインペラと、前記主軸を支持する軸受部と、を有し、
前記ベンド管部は、前記吸込管に接続している接続管部と、前記接続管部の側方に向いた吐出し管と、吐出しフランジと、前記吸込口の上方に位置する第1フランジと、を有し、
前記モータ部は、モータハウジングと、前記モータハウジングの下部に設けられた第2フランジと、前記モータハウジング下部に設けられた熱交換器と、前記熱交換器を通って前記主軸に連結される出力軸と、を有し、
前記第1フランジ及び/又は前記第2フランジは、水を外部に排出するための排水手段を有し、前記第1フランジ及び/又は前記第2フランジの外周部の少なくとも一部が排水に接しており、
前記チャンバ部は、前記ベンド管部の第1フランジと、前記モータ部の第2フランジと、チャンバカバーと、前記チャンバ部内に開口を有する排水管と、を有することを特徴とするポンプが提供される。
【0014】
前記吸込管部には、吸込管下部に開口した吸込口を有するベル部を有していてもよく、ガイドベーンを有していてもよい。
【0015】
前記ベンド管部には、吐出しカバーを有していてもよい。
【0016】
前記モータ部モータは、内部に羽根車を持ち、その羽根車によって冷却液をモータ内部で循環するインタークーリングシステムを有する耐水モータを使用してもよい。
【0017】
外部に水や空気が流出可能な排水手段を設けることで、ポンプで揚水される新たな水を熱交換器と継続的に接触させて熱交換させることが出来、ポンプを効率よく冷却できる。また、チャンバを設けることで熱交換器以外のモータハウジングの外部の一部も排水と接触、熱交換できるので、冷却効率が向上する。
【0018】
前記排水手段は、前記第1フランジ及び/又は前記第2フランジの少なくとも一方の結合面に開口する溝等である。また、前記排水手段は断面形状が矩形、半円形又は三角形状の溝であるか、前記第1フランジ及び/又は前記第2フランジ面に形成する多角柱、円柱、半球体など任意の凹凸部形状で形成する隙間でもよい。
【0019】
さらに、排水手段である溝や平行状、放射状、波状の凹部溝又は凸部形状を形成してもよく、それらで形成する溝や凹凸形状の向き、方向性は任意に設定できる。
【0020】
たとえば、前記排水手段は、前記排水手段近傍の上面が回転軸付近を低くしことや前記排水手段の出口側位置を高く配置することによって、回転軸センターに集まりやすい空気や軽いゴミを排出しやすくできる。
【0021】
前記第1フランジの外径は、前記第2フランジの外径より大きく、前記チャンバカバーは、前記モータハウジングの側面から外径方向に延びる第1面と、前記第1面と前記第1フランジの上面から延びる第2面を有していてもよい。
【0022】
前記第1フランジの外径は、前記第2フランジの外径より大きく、前記チャンバカバーは、前記モータハウジングの上方に位置する天井面と、前記天井面と前記第1フランジの上面から延びる第2面を有していてもよい。
【0023】
前記第1フランジの外径は、前記第2フランジの外径より大きく、前記チャンバカバーは、前記第2フランジ側面から外径方向に延びる第1面と、前記第1面と前記第1フランジの上面から延びる第2面を有していてもよい。
【0024】
前記第2フランジの外径は、前記第1フランジの外径より大きく、前記チャンバカバーは、前記第1フランジの側面から外径方向に延びる第1面と、前記第1面と前記第2フランジの下面から延びる第2面を有していてもよい。
【0025】
前記第2フランジの外径は、前記第1フランジの外径より大きく、前記チャンバカバーは、前記第1フランジ下面から外径方向に延びる第1面と、前記第1面と前記第2フランジの下面から延びる第2面を有していてもよい。
【0026】
モータ部の熱交換器で熱交換された後に前記排水手段を介して前記チャンバ内に排出された水が、前記モータ部の少なくとも一部をさらに冷却することが望ましい。
【0027】
前記チャンバ内に開口を有し、外部に向かって開放された排水管を備える。さらに、前記排水管のチャンバ側開口部はチャンバ外周側や上面側の開口部、又は下面側から伸延された開口部がチャンバ内上方に位置すると共に、排水管の開口部を前記熱交換器上面や排水手段の上部より高い位置に設置することが望ましい。すなわち、前記チャンバ部内と外部を接続する排水管は、前記排水管のチャンバ側開口部が、前記熱交換器上面あるいは排水手段の上部より高い位置に設置されるのが望ましい。高く配置することによって、運転時にチャンバ内水位は熱交換部最上位より上になり、熱交換部が水没し熱交換効率がよい。また、排水に含まれる空気や軽い小さなゴミをチャンバから排出できる。
【0028】
また、排水管のもう一方の開口部は、通常運転の際に吸込水槽内の液面より十分に上方に位置して設置していることが望ましい。排水抵抗を減らし、通水量を多くできる。
【0029】
また、排水管の途中に曲り部を設ける場合は、当該部で異物が引っ掛からないように極力大きな曲率や空間内径を有することが好ましく、具体的には、前記チャンバ部内と外部を接続する排水管は、前記排水管の曲り部が前記排水手段の最も狭い隙間長さより大きな曲率あるいは空間の最小内接球径より大きな空間を有するのが好ましい。
【0030】
また、前記チャンバ部には、前記チャンバ部の内部及び/又は前記排水管の開口部を視認可能な位置に点検窓が設けられるのが望ましい。さらに点検窓は開口できる点検扉に代えてもよく、チャンバ内部でゴミ等の除去作業が出来ることが望ましく、これらを設置することによって、メンテナンスが容易になる。
【0031】
さらに、前記チャンバ部又は前記排水管には、空気が通過可能な開口が設けられるのが望ましく、この開口は、前記チャンバ部より高い位置に設けられるのがさらに望ましい。また、開口にはバルブを有することが望ましい。チャンバから空気を抜くことが出来、冷却効率が向上する。特に排水管がチャンバより高い位置を通る配管の場合、高い位置で空気を抜く前記バルブを設けることで容易に空気を抜くことが出来る。
【0032】
また、前記バルブは水没した際にも動作できる耐水性機能を有し、遠隔操作可能な防水機能付き電磁弁を採用することが望ましい。
【0033】
前記排水管には流量計が設けられてもよい。流量計によって排水管内の流量を測定することにより、溝、排水管の詰まり及びポンプの運転状況を監視することができる。さらに、ポンプ据付床上の浸水による流量計の機能喪失を防ぐために、流量計は、様々な種類の流量計を用いることが出来るが、遠隔観察できる信号出力があるものが望ましく、浸水時でも使用可能な防水型を選択することが好ましい。また、流量計の代わりに水温計を用いることが出来る。この場合、揚水温度と排水管内水温を比較、監視することによって運転状況を確認することが出来る。流量計同様にコネクタ等防水型の水温計を選択することが好ましい。
【0034】
また、モータ部のモータには、内部に羽根車を持ち、その羽根車によって冷却液をモータ内部で循環するインタークーリングシステムを有する耐水モータを使用することができ、その冷却液流路に温度センサを設置してもよい。温度センサ出力の上限又は下限値を設定することで、警告を発するシステムを利用して冷却異常を検知可能になり、異常に重大な故障になる前にポンプシステムを制御又は停止可能になる。また、複数のポンプシステムを利用している場合には、他のポンプの出力を調整して協調運転することで全体のポンプシステムとしてパフォーマンスを低下することなく運転可能になる。
【0035】
前記排水管から分岐した流路と、前記排水管における前記流路との分岐箇所より下流側に設けられた第1バルブと、前記流路に設けられた第2バルブと、前記流路に設けられたフラッシング用ポンプと、を有してもよい。これ以降これらをフラッシングシステムと呼ぶ。ポンプ機場のポンプ設置フロアは無人である場合が多く、ポンプ操作室や遠隔から操作または制御によりバルブの開閉ができるように電動式が好ましく、またポンプ据付床上の浸水により電動バルブが機能喪失することを防止するために、浸水が想定される水位以下にバルブやフラッシング用ポンプを設置する場合は、防水型を選択することが好ましい。
また、第2バルブはポンプ運転時に常時異物等を含む揚水が通過するため、バルブ開時の弁開度断面が大きい仕切弁、ボール弁、ロート弁などが好ましい。
【0036】
異物等によって排水管が詰まった場合には、第1バルブを閉め、第2バルブを開き、フラッシング用ポンプによって流路を通じて水を排水管側に送り出し、排水管から排水手段に水を逆流させる。この水流によって異物等をチャンバに戻し、さらに排水手段、副流路管部を通って主流路吸込口に戻すことが出来る。また、チャンバ下面や排水手段下面は排水手段の副流路との開口部に向かって下がった面を有することが望ましく、フラッシング時にチャンバ内に水がたまらずにポンプ側に排水しやすい構造となる。また、本構造はポンプ始動前の水たまり(死に水)を防ぐことが出来、悪臭防止にも効果がある。
【0037】
さらに、立軸ポンプが運転中の場合でもフラッシングシステムを利用ができるように、フラッシング用ポンプは、副流路管部までの管路損失を考慮の上、副流路管部の揚水圧力より十分高い圧力を吐出しできるポンプを選定することが好ましい。排水管の内径は、排水手段を通過してきた異物等が排水管内で詰まらないように排水手段を通過し得る粒径よりも大であることが好ましい。多くのポンプ機場の場合、吸込水槽へ水が流入してくる前に除塵設備があり、除塵機で大きな異物は除去される。よってポンプで汲み上げる水に含まれる異物等の粒径は除塵機のスクリーン目幅を一つの基準に想定できる。
【0038】
前記吸込管側から上方に向かって延びて側方の吐出しフランジに向かって主流路を形成しているベンド部は、前記吸込管開口の上方端開口に第1フランジを有していて、吸込管側から前記第1フランジ方向に貫通する主軸又は出力軸があり、その主軸又は出力軸に第2のインペラを取付けてもよい。前記第2のインペラは、第1フランジ下方から第1フランジに向かう水流を発生し、この水流によって、第1、第2フランジに形成した排水手段から水、空気、小さな異物を効率的に外部に排出することができるので冷却効率が向上する。
【0039】
また、第2のインペラには第1フランジ方向に水流を発生させるだけでなく、第2のインペラの一部に異物破砕機能を有する刃形成部分を持たせ、インペラとその対向する固定側との間で異物を裁断できる構造としてもよい。第2のインペラの代わりに回転刃を取り付けてもよく、水流発生機能は特に設けなくても破砕機能だけを有していてもよい。その場合ポンプが発生する水圧とチャンバ内圧力や排水管開口先圧力や副流路管部から排水管開放先までの管路抵抗によって決まる圧力差によって、破砕された異物は排出されることとなる。
【0040】
また、熱交換器直下の開口径を副流路管内径より小さく絞れば、熱交換器中央付近である回転軸センターに集まりやすい空気や軽いゴミを速い流速の水流によって排水手段に導き、チャンバ、排水管を通して外部に排出できる。
【0041】
また、言うまでもなく、駆動装置や吐出しバルブなどポンプ設備についても浸水時にも活用できる防水、遠隔運転制御又は観察可能な仕様にすることが望ましい。駆動電源や制御信号を外部から供給することによって遠隔運転操作可能な排水システムとして活用できる。
【発明の効果】
【0042】
ポンプにおけるベンド管部の第1フランジとモータ部の第2フランジとの間で揚水の一部が通過可能であるため、モータ部の第2フランジ付近に設けている熱交換器に新鮮な揚水の供給や溜まった空気や異物の排出が可能となり、効率よくモータ冷却ができ、過熱による誤動作、異常運転停止、効率低下、必要電力の増加を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】第1実施形態に係るポンプ概要図。
図2】第1実施形態に係るポンプ主要部。
図3a】第1実施形態に係る図2における第1フランジのA−A断面図。
図3b】第1実施形態に係る図3Aの変形例であるフランジのA−A断面図。
図3c】第1実施形態に係るインペラ9側から見た熱交換器19の近傍の図。
図3d】排水手段22の例を示す図。
図3e】排水手段22の例を示す図。
図3f】排水手段22の例を示す図。
図3g】排水手段22の例を示す図。
図4】第1実施形態に係るチャンバのB−B断面図。
図5図1および図2の変形例であるチャンバ部近傍図。
図6図2の変形例であるチャンバ部近傍図。
図6A図6の変形例であるチャンバ部近傍図。
図6B図6の変形例であるチャンバ部近傍図。
図6C図6BのA−A断面図。
図7図2の別の変形例であるチャンバ部近傍図。
図8図2の別の変形例であるチャンバ部近傍図。
図9図2の別の変形例であるチャンバ部近傍図。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0045】
図1は第1実施形態に係るポンプ概要図で、図2は第1実施形態に係るポンプ主要部である。このポンプは例えば排水機場に配置された立軸ポンプであり、下方に開口した吸込口1からポンプ上部の側方を向いた吐出し口2に水を導くポンプであって、吸込管部3と、吸込管部3上部と接続されるベンド管部4と、ベンド管部4上部に位置するモータ部5と、チャンバ部6と、で構成され、前記吸込管部3は、吸込管12下部に開口した吸込口1を有するベル部7と、前記吸込管部3内にほぼ鉛直方向に延びる主軸(回転)軸8と、前記主軸8に固定されたインペラ9と、前記主軸8を支持する軸受部10と、ガイドベーン11と、吸込管12と、を有している。
【0046】
前記ベンド管部4は、前記吸込管12に接続している接続管部13と、前記接続管部13の側方に向いた吐出し管14と、吐出しフランジ15と、吐出しカバー16と、前記吸込口1の上方に位置する第1フランジ17を有し、前記モータ部5は、内部に羽根車(不図示)を持ち、その羽根車によって冷却液をモータ部5内部で循環し、循環経路の一部に外部熱源と熱交換を行うインタークーリングシステムを有する耐水モータ(不図示)と、モータハウジング18と、前記モータハウジング18下部に設けられた熱交換器19と、前記モータハウジング18下部、熱交換器19、又は前記モータハウジング18下部および熱交換器19と一体に設けられた第2フランジ20と、熱交換器19を通って前記主軸8に連結される出力軸21を有し、前記第1フランジ17は、第2フランジ20との合わせ面の一部に水を外部に排出するための水路等の排水手段22を有し、その排水手段を活用する際には前記第2フランジ20の外周部がその排水に接し、前記チャンバ部6は、前記ベンド管部4の第1フランジ17と、前記モータ部5の第2フランジ20と、チャンバカバー23と、チャンバ部6内に開口を有する排水管24と、で構成される。
【0047】
排水管24には流量計24bや排水用水温計24cを設け、接続管部13には揚水用水温計24dを設けるのが望ましい。流量計24bによって排水管24内の流量を測定することにより、排水手段22や排水管24の詰まり及びポンプの運転状況を監視できる。また、排水用水温計24cおよび揚水用水温計24dによって排水管24内の水温と吸込管12内の水温とを比較、監視することによって運転状況を確認できる。
【0048】
また、一般に、吐出し口2以降の配管に吐出しバルブを設けることが多いがここでは吐出し口2までを説明する。なお、この吐出しバルブも含め、駆動又は制御可能な装置は、遠隔操作可能な電気、エア、油圧で駆動でき、且つ防水仕様であることが望ましい、浸水時にも動作・制御可能なことは言うまでもない。
【0049】
モータ部5におけるモータを回転させることによって、インペラ9を回転させることが出来る。このときモータは発熱し、熱交換器19やモータハウジング18に熱が伝達される。一方、インペラ9の回転によって、吸込口1から水が吸い上げられ、吐出し口2から排水できる。その際に、吸込口1から吸い上げられた水の一部は熱交換機19の下面に達し、熱交換器19の熱交換機能によって熱交換器19を冷却、結果としてモータの発生熱を奪う。その後、この水は溝等の排水手段22を介してチャンバ部6内に排出され、モータハウジング18などモータ部5の少なくとも一部をさらに冷却する。チャンバ内に位置するモータハウジング18にフィンを取付け冷却効果を向上することも可能である。チャンバ内に入った水は最終的に吸込側や吐出し側の水槽に排水される。
【0050】
図3aおよび図3bは、図2のA−A断面図であり、排水手段22を例示している。前記排水手段22は、第1フランジ17と第2フランジ20の結合面に開口する溝22a等であり、本例示第1フランジの形成した溝以外にも、第2フランジ側または双方に設けることも可能である。図3cは、インペラ9側から見た熱交換器19の近傍の図である。熱交換器19には排水手段22の位置に合わせて溝19aが形成されていてもよい。
【0051】
また、排水手段22は断面が矩形、半円形、三角形状、波状の溝(図3d〜図3g)などの溝22aや2つのフランジ面に形成する任意の凹凸部形状を面で合わせた際に形成される隙間を利用することも出来る。さらに、排水手段22である溝や凹凸部形状は平行状、放射状、また溝や隙間の向きや方向性など任意に設定できる。また、凹凸部形状は、六角柱のような多角柱、直方体、円柱、半球など複数種類あってもよい。図3aに示すように、第1フランジ17には、チャンバカバー固定用ボルト25(図2参照)用の穴17aや排水管24用の穴17bが形成される。
【0052】
図4は、図2のB−B断面図である。チャンバカバー23には、チャンバカバー固定用ボルト25(図2参照)用の貫通穴23aが形成される。図2に示すように、チャンバカバー固定用ボルト25がチャンバカバー23の貫通孔23aを貫通して、第1フランジ17のネジ穴、裏面からナットで締結する場合には貫通穴17aに締結される。
【0053】
前記排水手段22は、第1フランジ17と第2フランジ20の結合面に設置する放射状の溝であってもよく、例えば第1フランジ17の凹部に放射状の溝をもつ別ピースの円板を組み込み組み立てることによっても実現できる。
【0054】
前記別ピースの溝は組み込んだ後に、上面側の主軸(回転軸)付近を低く、外周等の排出側位置を高く配置するような形状にすることもよい。排水する際に、回転軸センターに集まりやすい空気や軽いゴミを浮力を利用して上に移動させることによって排出しやすくできる。
【0055】
図2に示すように、前記第1フランジ17の外径は、前記第2フランジ20の外径より大きく、前記チャンバカバー23は、前記モータハウジング18の側面付近から外径方向に延びる第1面26と、前記第1面26と、前記第1フランジ17の上面から延びる第2面27を有していてもよい。
【0056】
モータ部5の熱交換器19で熱交換された後に前記排水手段22を介して前記チャンバ部6内に排出された水が、前記モータ部5の少なくとも一部、例えばモーターハウジング18の第2のフランジ20外周をさらに冷却することできる。
【0057】
また、前記排水管24は、排水手段22の最大開口径より大きく、排水管24の入口は、ポンプ上部から見てベンド管部4の吐出し管位置を外した位置、望ましくは反対側に位置するチャンバ部6内に設置され、そのチャンバ内開口はチャンバ部6内の比較的上部に位置し、熱交換器19より高い位置に設置している。すなわち、排水管24は、そのチャンバ部6側開口部が、前記熱交換器19の上面あるいは排水手段22の上部より高い位置に設置される。さらに、前記開口には異物混入防止用の金網等フィルタが設けられてもよい。
【0058】
また、排水管24は曲り部のない直管で構成し、チャンバ部6側から第1フランジ17を貫通し、さらにポンプフロアを貫通して、吸込水槽内で通常運転時の水面より上部に開口を設置してもよい。排水管24に曲り部を設ける場合、異物つまりを防止する観点で、曲り部が前記排水手段22の隙間長さより大きな曲率あるいは空間内径を有するのがよい。
さらに、排水管24には防水仕様の電磁弁24aを設置している。
【0059】
また、前記チャンバカバー23には、前記チャンバ部6の内部及び/又は排水管24の開口部を視認可能な位置に点検窓28が設けられ、また、チャンバ部6内に手を入れてメンテナンス作業を行うための開口可能な点検扉を設置してもよく、その際にはポンプ水圧に耐えうる耐圧性、気密性の高いものが望ましい。
【0060】
さらに、前記チャンバカバー23の上部に空気が通過可能な開口を設けてもよい。前記開口には空気管29が接続されており、チャンバ部6より高い位置に設けられ、かつ、水没時に動作できる耐水性機能を有し、遠隔操作可能な防水機能付き電磁弁30が設けられるのが望ましい。さらに配管途中に防水仕様の水検知センサ(不図示)を設置している。ポンプ駆動後に一定時間又は水検知センサをトリガーとして利用し電磁弁30の開閉を制御して、副流路管部31や排水手段22、チャンバ部6に運転開始時に残存する空気を排出し、排出後に密閉する。
【0061】
さらに、前記チャンバカバー23の上部に水が通過可能な通水管が接続されており、さらに配管途中に水没時に動作できる耐水性機能を有し、遠隔操作可能な防水機能付き電磁弁(図省略)を設置してもよい。また、その先にはポンプと水道管又は洗浄用水槽が接続されている。
【0062】
排水手段22や熱交換器19付近に異物が詰まった場合には、モータの温度、電圧、電力、モータ内部の冷却水温度、排水管24に設置した流量計24b、温度計24c等によって、異物つまりを検出する。
【0063】
温度計には、熱電対、測温抵抗体を用いることが出来、温度伝送器を介して制御装置に入力することもできる。また、流量計には、電磁流量計など利用できる。
【0064】
検出後には、排水管24と空気管29の電磁弁30を閉じ、通水管に接続したポンプを起動、通水管の電磁弁を開けてチャンバ部6に洗浄水を導入、排水手段22、熱交換器19に水を逆流させ、異物を副流路管部31に戻し、主流路から排出できる。
【0065】
前記排水管24から分岐した流路と、前記排水管24における前記流路との分岐箇所より下流側に設けられた第1バルブと、前記流路に設けられた第2バルブと、前記流路に設けられたフラッシング用ポンプと、を有してもよい。これ以降これらをフラッシングシステムと呼ぶ。
【0066】
ポンプ機場のポンプ設置フロアは無人である場合が多く、ポンプ操作室や遠隔から操作または制御によりバルブの開閉ができるように電動式が好ましく、またポンプ据付床上の浸水により電動バルブが機能喪失することを防止するために、浸水が想定される水位以下にバルブやフラッシング用ポンプを設置する場合は、防水型を選択することが好ましい。
また第2バルブはポンプ運転時は常時異物等を含む揚水が通過するため、バルブ開時の弁開度断面が大きい仕切弁、ボール弁、ロート弁などが好ましい。
【0067】
異物等によって排水管24が詰まった場合には、第1バルブを閉め、第2バルブを開き、フラッシング用ポンプによって流路を通じて水を排水管24側に送り出し、排水管24から排水手段22に水を逆流させる。この水流によって異物等をチャンバに戻し、さらに排水手段を通って副流路管部に戻すことが出来る。
【0068】
立軸ポンプが運転中の場合でも逆流させることができるように、フラッシング用ポンプは、副流路管部31までの管路損失を考慮の上、副流路管部31の揚水圧力より十分高い圧力を吐出しできるポンプを選定することが好ましい。排水管24の内径は、排水手段22を通過してきた異物等が排水管24内で詰まらないように排水手段24を通過し得る粒径よりも大であることが好ましい。多くのポンプ機場の場合、吸込水槽へ水が流入してくる前に除塵設備があり、除塵機で大きな異物は除去される。よってポンプで汲み上げる水に含まれる異物等の粒径は除塵機のスクリーン目幅を一つの基準にできる。
【0069】
図5は、図1および図2の変形例であるチャンバ部近傍図であり、チャンバ部6近傍の断面を示している。前記吸込管12側から上方に向かって延びて側方の吐出しフランジ15に向かって主流路を形成しているベンド管部4は、前記吸込管12開口の上方端開口に第1フランジ17を有していて、吸込管12側から前記第1フランジ17方向に貫通する主軸8又は出力軸21があり、その主軸8又は出力軸21に第2インペラ32を取付けてもよい。前記第2インペラ32は、第1フランジ17下方から第1フランジ17に向かう水流を発生し、この水流によって、第1フランジ17、第2フランジ20に形成した排水手段22から水を効率的に外部に排出することができるので冷却効率が向上する。
【0070】
また、第2インペラ31には第1フランジ17方向に水流を発生させるだけでなく、第2インペラ31の一部に異物破砕機能を有する刃形成部分33(異物破砕機能の回転側)を持たせ、第2インペラ32とその対向する(異物破砕機能の)固定側34との間で異物を裁断できる構造としてもよい。
【0071】
また、熱交換器19直下の開口径を小さく絞れば、熱交換器19中央付近である回転軸センターに集まりやすい空気や軽いゴミを水流によって排水手段22に導き、チャンバ部6および排水管24を通して外部に排出できる。
【0072】
図6は、図2の変形例であるチャンバ部近傍図である。前記第1フランジ17の外径は、前記第2フランジ20の外径より大きく、前記チャンバカバー23は、前記モータハウジング18の上方に位置する天井面35と、前記天井面35と、前記第1フランジ17の上面から延びる第2面36を有していてもよい。また、天井面35には開閉可能な点検窓35aを設けてもよい。
【0073】
図6Aは、図6の変形例であるチャンバ部近傍図である。チャンバ部6に連通する排水管24を天井面35に設けてもよい。この排水管24は空気抜き管を兼ねることができる。この場合、排水管24は少なくとも2か所の曲り部が設けられる。このような場合、当該曲り部で異物が引っ掛からないように極力大きな曲率や空間内径を有することが好ましく、具体的には、排水管24は、前記排水管24の曲り部が前記排水手段22の最も狭い隙間長さより大きな曲率あるいは空間の最小内接球径より大きな空間を有するのが好ましい。
【0074】
図6Bは、図6の変形例であるチャンバ部近傍図である。また、図6Cは、図6BのA−A断面図である。これらの図に示すように、モータハウジング18の外周部から外側に延びる冷却フィン18aを取り付け、冷却効果を向上することもできる。
【0075】
図7は、図2の別の変形例であるチャンバ部近傍図である。前記第1フランジ17の外径は、前記第2フランジ20の外径より大きく、前記チャンバカバー23は、前記モータハウジング18の第2フランジ20側面から外径方向に延びる第1面36と、前記第1面36と、前記第1フランジ17の上面から延びる第2面37を有していてもよい。
【0076】
図8は、図2の別の変形例であるチャンバ部近傍図である。前記第2フランジ20の外径は、前記第1フランジ17の外径より大きく、前記チャンバカバー23は、前記第1フランジ17の側面から外径方向に延びる第1面36’と、前記第1面36’と前記第2フランジ20の下面から延びる第2面37’を有していてもよい。
【0077】
図9は、図2の別の変形例であるチャンバ部近傍図である。前記第2フランジ20の外径は、前記第1フランジ17の外径より大きく、前記チャンバカバー23は、前記第1フランジ下面から外径方向に延びる第1面36’’と、前記第1面と前記第2フランジ20の下面から延びる第2面37’’を有していてもよい。
【0078】
また、いうまでもなく、駆動装置や吐出しバルブなどポンプ設備についても浸水時にも活用できる防水仕様にすることが望ましい。駆動電源や制御信号を外部から供給することによって遠隔運転操作可能な排水システムとして活用できる。
【0079】
インペラ9上部まで吸込水槽の水位があるとき、モータを始動し、モータの出力軸21が回転を開始する。出力軸21は継手を介して主軸8(シャフト)に固定しているので、出力軸31の回転は主軸8に固定された下方端に位置するインペラ9に伝達され、そのインペラ9の回転に伴い吸込水槽の水を揚水し、吸込管部3を通って、ベンド管部4の吐出し口2から排水される。
【0080】
この動作の際、主流路では揚水によって始動前の主流路にあった空気を排出し、主流路が揚水で満たされた後に吐出し口2から排水される。一方、副流路管部31の上部が水密構造である場合、副流路は主流路の上にあるため、始動時にあった空気は排出されにくく残留してしまう。
【0081】
これに対し、本発明では、副流路管部31の上部は水密構造としていないため、揚水が開始され吸込管部3やベンド管部4の圧力が高まると、その力で副流路管部31の上部から空気が抜けていく。さらに、空気が抜けた後は揚水で満たされ、揚水が熱交換器19に触れ、回転するモータで発生した熱を奪い去るため、効率的な熱交換ができる。
【符号の説明】
【0082】
1 吸込口
2 吐出し口
3 吸込管部
4 ベンド管部
5 モータ部
6 チャンバ部
7 ベル部
8 主軸
9 インペラ
10 軸受部
11 ガイドベーン
12 吸込管
13 接続管部
14 吐出し管
15 吐出しフランジ
16 吐出しカバー
17 第1フランジ
17a 穴
17b 穴
18 モータハウジング
18a 冷却フィン
19 熱交換器
19a 溝
20 第2フランジ
21 出力軸
22 排水手段
22a 溝
23 チャンバカバー
23a 貫通穴
24 排水管
24a 電磁弁
24b 流量計
24c 排水用温度計
24d 揚水用温度計
25 チャンバカバー固定用ボルト
26 第1面
27 第2面
28 点検窓
29 空気管
30 電磁弁
31 副流路管部
32 第2インペラ
33 刃形成部分(異物破砕機能の回転側)
34 異物破砕機能の固定側
35 天井面
36 第1面
37 第2面
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図3f
図3g
図4
図5
図6
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9