(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明において、「〜」で表される数値範囲は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味である。
【0014】
本発明において、特定の符号で表示された置換基、連結基等(以下、置換基等という。)が複数あるとき、又は、複数の置換基等を同時若しくは択一的に規定するときには、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよいことを意味する。このことは、置換基等の数の規定についても同様である。また、複数の置換基等が近接(特に隣接)するときにはそれらが互いに連結したり縮環したりして環を形成していてもよい意味である。
本発明において、化合物の表示については、化合物そのものの他、その塩、そのイオンを含む意味に用いる。また、目的の効果を損なわない範囲で、構造の一部を変化させたものを含む意味である。なお、化合物の塩としては、例えば、化合物と無機酸若しくは有機酸とで形成された塩等が挙げられる。また、化合物のイオンとしては、例えば、上述の化合物の塩が水又は溶媒等に溶解して生成するイオンが挙げられる。
本発明において、「(メタ)アクリル」との用語は、メタクリル及びアクリルの両方を包含する意味に用いる。
【0015】
本明細書において、置換、無置換を明記していない置換基(連結基についても同様)については、所望の効果を損なわない範囲で、その基に任意の置換基を有していてもよい意味である。これは置換、無置換を明記していない化合物又は繰り返し単位についても同義である。
本発明において、ある基の炭素数を規定する場合、この炭素数は、基全体の炭素数を意味する。つまり、この基が更に置換基を有する形態である場合、この置換基を含めた全体の炭素数を意味する。
本発明において、ある基が非環状骨格及び環状骨格を形成可能な場合、特段の断りがない限り、ある基は、非環状骨格の基と環状骨格の基を含む。例えば、アルキル基は、特段の断りがない限り、直鎖アルキル基、分岐アルキル基及び環状(シクロ)アルキル基を含む。ある基が環状骨格を形成する場合、環状骨格の基における炭素数の下限は、ある基において具体的に記載した炭素数の下限にかかわらず、3以上が好ましく、5以上が更に好ましい。
【0016】
図1〜
図4は、本発明の理解を容易にするための模式図であり、
図1及び
図2に示される偏光板、
図3に示される液晶表示装置は、いずれも、各部材のサイズ又は相対的な大小関係等は説明の便宜上大小を変えている場合があり、実際の関係をそのまま示すものではない。この点は、
図4に示される偏光板保護フィルムの作製方法についても同じである。
【0017】
[偏光板]
まず、本発明の偏光板について、その層構造を説明する。
本発明の偏光板は、偏光子と、この偏光子の表面に接着層を介して、特定厚さの偏光板保護フィルムを有している。特定厚さの偏光板保護フィルム(及び接着層)は、偏光子の少なくとも一方の表面に設けられていればよく、両表面に設けられていてもよい。偏光子の一方の表面に特定厚さの偏光板保護フィルムが設けられている場合、偏光子の、特定厚さの偏光板保護フィルムが設けられた表面とは反対の表面には、公知の偏光板保護フィルムを設けてもよい。
本発明において、偏光子の表面に接着層を介して偏光板保護フィルムを有するとは、偏光子の表面に接着層と偏光板保護フィルムとをこの順で積層された構成を有していることを意味し、偏光子と接着層との間、及び/又は、接着層と偏光板保護フィルムとの間に、他の層を有していてもいなくてもよい。本発明においては、偏光子と接着層と偏光板保護フィルムとを直接積層(重ね合わせた)した構成(他の層が介在しない構成)を有することが好ましい。
【0018】
本発明の偏光板は、上記構成を有していれば、その他の構成は、本発明の効果を損なわない限り制限されない。
例えば、偏光子、接着層及び偏光板保護フィルムは、それぞれ、単層でもよく、複層でもよい。偏光子、接着層及び偏光板保護フィルムがそれぞれ複層である場合、複層のうちどの層に染料を含有していてもよい。また、偏光板保護フィルムの表面に特定の機能に特化した各種機能層を有していてもよい。このような機能層としては後述する。
【0019】
本発明の好ましい実施形態としての偏光板20Aは、
図1に示されるように、偏光子21と、偏光子21の一方の表面に直接設けられた接着層22と、接着層22の表面に直接設けられた偏光板保護フィルム23とを有している。偏光板保護フィルム23の厚さは20μm以上に設定されている。
本発明の好ましい実施形態としての偏光板20Bは、
図2に示されるように、偏光子21と、偏光子21の両方の表面それぞれに直接設けられた接着層22と、接着層22の表面それぞれに直接設けられた偏光板保護フィルム23とを有している。2つの偏光板保護フィルム23のうち少なくとも一方は厚さが20μm以上に設定されており、両方とも厚さが20μm以上に設定されていてもよい。この偏光板20Bにおいて、2つの接着層22及び2つの偏光板保護フィルム23は、それぞれ、同一であってもよく、異なっていてもよい。例えば、いずれの偏光板保護フィルム23も厚さが20μm以上に設定され、いずれか一方が後述する染料を含有し、他方が染料を含有しない形態が挙げられる。
図1及び
図2において、偏光板保護フィルム23は、いずれも、単層構造のフィルムとして図示されているが、上述の通り、複層構造のフィルムであってもよい。例えば、偏光板保護フィルムを3層構造とすることができる。
【0020】
本発明の偏光板は、偏光子、接着層及び偏光板保護フィルムについての上記層構成を備えた上で、後述する特定の染料を、偏光子、偏光板保護フィルム及び接着層のうちの少なくとも1つに含有している。好ましくは、偏光板保護フィルム及び接着層のいずれか一方又は両方に染料を含有しており、光による染料の分解を効果的に抑制できる点で、偏光板保護フィルムに染料を含有していることがより好ましい。
【0021】
染料の含有量は、偏光子、偏光板保護フィルム及び接着層のいずれにおいても、本発明の効果を損なわない限り制限されず、適宜に設定できる。本発明において、染料の含有量は、偏光子、偏光板保護フィルム又は接着層を構成するマトリックス(通常、ポリマーであるが、これに限定されない。)に対して、0.001〜1質量%が好ましい。偏光板が上記層構成を備えた上で、その構成層中の染料の含有量が1質量%以下と少ないと、光による染料の分解を効果的に抑えることができる。染料の分解をより効果的に抑えることができる点で、染料の含有量は、0.005〜0.05質量%がより好ましい。
本発明の偏光板において、染料の含有量は上記範囲を満たしていればよいが、偏光子、偏光板保護フィルム及び接着層のうち染料を含有する各層において、この層1m
2当たりの含有量に換算した場合には、0.001〜1.0g/m
2であることが好ましく、0.01〜0.7g/m
2であることがより好ましく、0.01〜0.05g/m
2が更に好ましい。
上記含有量は、後述する、特定の波長帯域に主吸収波長帯域を有する染料を2種以上含有する場合、これらの合計含有量とする。
【0022】
本発明の偏光子又は液晶表示装置が、色再現域が広く、長時間点灯しても画質が劣化しにくい理由は定かではないが、次のように考えられる。
すなわち、偏光板を構成する層若しくはフィルムのいずれかに後述する特定の染料を含有させることにより、バックライトユニットからの入射光に含まれる不要な光(後述するRGB以外の波長帯域の波長光)を偏光板が吸収して、所望の波長光を選択的に通過させることができる。しかも、バックライトユニット又は視認側から入射する光に晒されても特に色素が低濃度で存在する場合、色素の光分解で発生する活性種(有機ラジカル、活性酸素類等)による連鎖反応(分解)の影響が小さく、染料の分解を抑制することができる。上記光フィルター機能及び染料分解抑制機能が互いに相殺することなく協働することによって、本発明の偏光板及びこれを備えた液晶表示装置は、色再現域が広く、長時間点灯しても画質が劣化しにくい(高耐光性)という優れた特性を示す。
【0023】
次いで、本発明の偏光板が含有する染料(色素)について説明する。
本発明の偏光板が含有する染料は、波長480〜510nmに主吸収波長帯域を有する染料(以下、染料Aという。)、及び、波長580〜610nmに主吸収波長帯域を有する染料(以下、染料Bという。)のいずれか一方又は双方である。
詳細は後述するが、本発明の偏光板は上記染料A及び染料B以外の染料を含有することもできる。
【0024】
染料Aは、波長480〜510nmに主吸収波長帯域を有するものであれば特に制限されず、各種染料を用いることができる。この染料Aは、蛍光を示すものが多い。
本発明において、波長XX〜YYnmに主吸収波長帯域を有するとは、可視光吸収スペクトル(波長領域380〜750nm)において、極大吸収波長を示す波長が波長領域XX〜YYnmに存在することを意味する。したがって、この波長が上記波長領域内にあれば、この波長を含む吸収帯域全体が上記波長領域内にあってもよく、上記波長領域外まで広がっていてもよい。また、極大吸収波長が複数存在する場合、最高ではない吸光度を示す極大吸収波長が波長領域XX〜YYnm外に存在していてもよい。なお、極大吸収波長を示す波長が複数ある場合、そのうちの1つが上記波長領域に存在していればよい。
【0025】
染料Aの具体例としては、例えば、ピロールメチン(pyrrole methine、PM)系等のメチン系(methine)、ローダミン(rhodamine、RH)系、ボロンジピロメテン(boron dipyrromethene、BODIPY)系、スクアリン(squarine、SQ)系、メロシアニン(Merocyanine)等の各染料が挙げられる。
例えば、FDB−007(商品名、メロシアニン系染料、山田化学工業社製)等の市販品も染料Aとして好ましく用いることができる。
【0026】
染料Bは、波長580〜610nmに主吸収波長帯域を有するものであれば特に制限されず、各種染料を用いることができる。この染料Bは、染料Aよりも蛍光が弱い、又は傾向を示さないものが多い。
染料Bの具体例としては、例えば、テトラアザポルフィリン(tetraaza porphyrin、TAP)系、スクアリン系、シアニン(cyanine、CY)系の各染料が挙げられる。また、PD−311S(商品名、テトラアザポルフィリン系染料、山本化成社製)、FDG−006(商品名、テトラアザポルフィリン系染料、山田化学工業社製)等の市販品も染料Bとして好ましく用いることができる。
【0027】
これらの中でも、染料A及び染料Bとしては、スクアリン系色素が好ましく、下記一般式(1)で表されるスクアリン系色素がより好ましい。
本発明において、下記各一般式で表される色素において、カチオンは非局在化して存在しており、複数の互変異性体構造が存在する。そのため、本発明において、ある色素の少なくとも1つの互変異性体構造が各一般式に当てはまる場合、ある色素は各一般式で表される色素とする。したがって、特定の一般式で表される色素とは、その少なくとも1つの互変異性体構造を特定の一般式で表わすことができる色素ということもできる。本発明において、一般式で表される色素は、その互変異性体構造の少なくとも1つがこの一般式に当てはまる限り、どのような互変異性体構造をとるものでもよい。
【0029】
一般式(1)中、A及びBは、各々独立して、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい複素環基、又は−CH=Gを示す。Gは置換基を有していてもよい複素環基を示す。
A又はBとして採りうるアリール基としては、特に制限されず、単環からなる基でも縮合環からなる基でもよい。アリール基の炭素数は、6〜30が好ましく、6〜20がより好ましく、6〜12が更に好ましい。アリール基としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環からなる各基が挙げられ、より好ましくはベンゼン環からなる基である。
【0030】
A又はBとして採りうる複素環基としては、特に制限はなく、脂肪族複素環若しくは芳香族複素環からなる基を含み、芳香族複素環からなる基が好ましい。芳香族複素環基であるヘテロアリール基としては、例えば、後述する置換基Xとして採りうるヘテロアリール基が挙げられる。A又はBとして採りうる芳香族複素環基は、5員環又は6員環の基が好ましく、含窒素5員環の基がより好ましい。具体的には、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、トリアゾール環、インドール環、インドレニン環、インドリン環、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ピラゾロトリアゾール環等が好適に挙げられる。中でも、ピロール環、ピラゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環又はピラゾロトリアゾール環からなる基が好ましい。ピラゾロトリアゾール環としては、ピラゾール環とトリアゾール環との縮合環からなり、これらの環が少なくとも1つずつ縮合してなる縮合環であればよく、例えば、後述する一般式(4)及び(5)中の縮合環が挙げられる。
【0031】
A又はBとして採りうる−CH=G中のGは、置換基を有していてもよい複素環基を表し、例えば、A、Bに示されている例が好適に挙げられる。中でも、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、インドリン環からなる基等が好ましい。
【0032】
A、B及びGは、それぞれ、置換基Xを有していてもよく、置換基Xを有する場合には、隣接する置換基が互いに結合して更に環構造を形成してもよい。また、置換基は複数個存在してもよい。
置換基Xとしては、例えば、後述する一般式(2)のR
1として採りうる置換基が挙げられ、具体的には、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、−OR
20AOR
11、−COOR
12、−OCOR
13、−NR
14R
15、−NHCOR
16、−CONR
17R
18、−NHCONR
19R
20、−NHCOOR
21、−SR
22、−SO
2R
23、−SO
3R
24、−NHSO
2R
25、SO
2NR
26R
27又は−OR
28が挙げられる。
【0033】
R
10〜R
28は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基又はヘテロ環基を表す。R
10〜R
28として採りうる脂肪族基及び芳香族基は、特に制限されず、後述する一般式(2)のR
1として採りうる置換基から適宜に選択できる。R
10〜R
28として採りうるヘテロ環基は、脂肪族でも芳香族でもよく、例えば、後述する一般式(2)のR
1として採りうるヘテロアリール基又はヘテロ環基から適宜に選択できる。
なお、−COOR
12のR
12が水素原子である場合(すなわち、カルボキシル基)は、水素原子が解離してもよく(すなわち、カルボネート基)、塩の状態であってもよい。また、−SO
3R
24のR
24が水素原子である場合(すなわち、スルホ基)は、水素原子が解離してもよく(すなわち、スルホネート基)、塩の状態であってもよい。
【0034】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
アルキル基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜8が更に好ましい。アルケニル基の炭素数は、2〜20が好ましく、2〜12がより好ましく、2〜8が更に好ましい。アルキニル基の炭素数は、2〜40が好ましく、2〜30がより好ましく、2〜25が特に好ましい。アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基は、それぞれ、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖又は分岐が好ましい。
アリール基は、単環又は縮合環の基を含む。アリール基の炭素数は、6〜30が好ましく、6〜20がより好ましく、6〜12が更に好ましい。
アラルキル基のアルキル部分は、上記アルキル基と同様である。アラルキル基のアリール部分は、上記アリール基と同様である。アラルキル基の炭素数は、7〜40が好ましく、7〜30がより好ましく、7〜25が更に好ましい。
ヘテロアリール基は、単環又は縮合環からなる基を含み、単環、又は環数が2〜8個の縮合環からなる基が好ましく、単環又は環数が2〜4個の縮合環からなる基がより好ましい。ヘテロアリール基の環を構成するヘテロ原子の数は1〜3が好ましい。ヘテロアリール基の環を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子等が挙げられる。ヘテロアリール基は、5員環又は6員環からなる基が好ましい。ヘテロアリール基の環を構成する炭素原子の数は3〜30が好ましく、3〜18がより好ましく、3〜12がより好ましい。ヘテロアリール基としては、例えば、ピリジン環、ピペリジン環、フラン環基、フルフラン環、チオフェン環、ピロール環、キノリン環、モルホリン環、インドール環、イミダゾール環、ピラゾール環、カルバゾール環、フェノチアジン環、フェノキサジン環、インドリン環、チアゾール環、ピラジン環、チアジアジン環、ベンゾキノリン環又はチアジアゾール環からなる各基が挙げられる。
【0035】
置換基Xの例で挙げた、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基及びヘテロアリール基は、それぞれ、更に置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。更に有していてもよい置換基としては、特に制限はないが、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、芳香族ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、芳香族ヘテロ環チオ基、スルホニル基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、及びカルボキシル基から選ばれる置換基が好ましく、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、芳香族ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、芳香族ヘテロ環チオ基、スルホニル基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、及びカルボキシル基から選ばれる置換基がより好ましい。これらの基は、後述する一般式(2)のR
1として採りうる置換基から適宜に選択することができる。
【0036】
上記一般式(1)で表される色素の好ましい1実施形態として、下記一般式(2)で表される色素が挙げられる。
【0038】
一般式(2)中、A
1は、一般式(1)中のAと同様である。中でも、含窒素5員環である複素環基が好ましい。
【0039】
一般式(2)において、R
1及びR
2は、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。R
1とR
2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、また互いに結合して環を形成してもよい。
R
1及びR
2として採りうる置換基としては、特に制限はないが、例えば、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリフルオロメチル基等)、シクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(エチニル基、プロパルギル基等)、アリール基(フェニル基、ナフチル基等)、ヘテロアリール基(フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基等)、ヘテロ環基(複素環基とも呼び、例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、ヘテロアリールオキシ基(芳香族ヘテロ環オキシ基)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、ヘテロアリールチオ基(芳香族ヘテロ環チオ基)、アルコキシカルボニル基(メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、ホスホリル基(ジメトキシホスホニル、ジフェニルホスホリル)、スルファモイル基(アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、スルホニルアミド基(メチルスルホニルアミノ基、オクチルスルホニルアミノ基、2−エチルヘキシルスルホニルアミノ基、トリフルオロメチルスルホニルアミノ基等)、カルバモイル基(アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、アルキルスルホニル基(メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、ジブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、アルキルスルホニルオキシ基(メタンスルホニルオキシ)、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、ヒドロキシ基等が挙げられる。
中でも、アルキル基、アルケニル基、アリール基又はへテロアリール基が好ましく、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基がより好ましく、アルキル基が更に好ましい。
【0040】
R
1及びR
2として採りうる置換基は更に置換基を有していてもよい。更に有していてもよい置換基としては、R
1及びR
2として採りうる上記置換基が挙げられる。また、R
1とR
2とは、互いに、又は、B
2又はB
3が有する置換基と、結合して環を形成してもよい。このとき形成される環としてはヘテロ環又はヘテロアリール環が好ましく、形成される環の大きさは特に制限されないが、5員環又は6員環であることが好ましい。
【0041】
一般式(2)において、B
1、B
2、B
3及びB
4は、各々独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。B
1、B
2、B
3及びB
4を含む環は芳香環である。B
1〜B
4のうち、少なくとも2つ以上は炭素原子であることが好ましく、B
1〜B
4の全てが炭素原子であることがより好ましい。
B
1〜B
4として採りうる炭素原子は、水素原子又は置換基を有する。B
1〜B
4として採りうる炭素原子のうち、置換基を有する炭素原子の数は、特に制限されないが、0、1又は2であることが好ましく、1であることがより好ましい。特に、B
1及びB
4が炭素原子であって、少なくとも一方が置換基を有することが好ましい。
B
1〜B
4として採りうる炭素原子が有する置換基としては、特に制限されず、R
1及びR
2として採りうる上記置換基が挙げられる。中でも、好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリール基、アシル基、アミド基、スルホニルアミド基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子又はヒドロキシ基であり、より好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリール基、アシル基、アミド基、スルホニルアミド基、カルバモイル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子又はヒドロキシ基である。
【0042】
B
1及びB
4として採りうる炭素原子が有する置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミド基、スルホニルアミド基又はカルバモイル基が更に好ましく、特に好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミド基又はスルホニルアミド基が挙げられ、最も好ましくは、ヒドロキシ基、アミド基又はスルホニルアミド基である。
B
2及びB
3として採りうる炭素原子が有する置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基又はハロゲン原子が更に好ましく、いずれか一方の置換基が電子吸引性基(例えば、アルコキシカルボニル基、アシル基、シアノ基、ニトロ基又はハロゲン原子)であることが特に好ましい。
【0043】
上記一般式(2)で表される色素は、下記一般式(3)、一般式(4)及び一般式(5)のいずれかで表される色素であることが好ましい。
【0045】
一般式(3)において、R
1及びR
2は、各々独立に、水素原子又は置換基を表し、上記一般式(2)におけるR
1及びR
2と同義であり、好ましい範囲も同じである。
B
1〜B
4は、各々独立に、炭素原子又は窒素原子を表し、上記一般式(2)におけるB
1〜B
4と同義であり、好ましい範囲も同じである。
【0046】
一般式(3)において、R
3及びR
4は、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。R
3及びR
4として採りうる置換基としては、特に制限されず、上記R
1及びR
2として採りうる置換基と同じものを挙げることができる。
ただし、R
3として採りうる置換基は、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アミド基、スルホニルアミド基、シアノ基、ニトロ基、アリール基、ヘテロアリール基、ヘテロ環基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基又はハロゲン原子が好ましく、アルキル基、アリール基又はアミノ基がより好ましく、アルキル基が更に好ましい。
R
4として採りうる置換基としては、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルバモイル基、アミノ基又はシアノ基が好ましく、アルキル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、カルバモイル基又はアリール基がより好ましく、アルキル基が更に好ましい。
【0047】
R
3及びR
4として採りうるアルキル基は、直鎖状、分岐状及び環状のいずれであってもよいが、直鎖状又は分岐状が好ましい。アルキル基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜8がより好ましい。アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基が好ましく、メチル基、t−ブチル基がより好ましい。
【0049】
一般式(4)において、R
1及びR
2は、各々独立に、水素原子又は置換基を表し、上記一般式(2)におけるR
1及びR
2と同義であり、好ましい範囲も同じである。
B
1〜B
4は、各々独立に、炭素原子又は窒素原子を表し、上記一般式(2)におけるB
1〜B
4と同義であり、好ましい範囲も同じである。
【0050】
一般式(4)において、R
5及びR
6は、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。R
5及びR
6として採りうる置換基としては、特に制限されず、上記R
1及びR
2として採りうる置換基と同じものを挙げることができる。
ただし、R
5として採りうる置換基は、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、シアノ基、アリール基、ヘテロアリール基、ヘテロ環基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基(アシルアミノ基)、スルホニルアミド基、ウレイド基又はカルバモイル基が好ましく、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アミド基又はアミノ基がより好ましく、アルキル基が更に好ましい。
R
5として採りうるアルキル基は、R
3として採りうるアルキル基と同義であり、好ましい範囲も同じである。
【0051】
R
6として採りうる置換基は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロアリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、スルホニルアミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルバモイル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基又はハロゲン原子が好ましく、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はヘテロ環基がより好ましく、アルキル基又はアリール基が更に好ましい。
R
6として採りうるアルキル基は、R
4として採りうるアルキル基と同義であり、好ましい範囲も同じである。
R
6として採りうるアリール基は、炭素数6〜12のアリール基が好ましく、フェニル基がより好ましい。このアリール基は置換基を有していてもよく、このような置換としては、以下の置換基群Aから選択される基が挙げられ、特に、炭素数1〜10のアルキル基、スルホニル基、アミノ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基等が好ましい。これらの置換基は、更に置換基を有していてもよい。具体的に、置換基はアルキルスルホニルアミノ基が好ましい。
【0052】
− 置換基群A −
ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アミノオキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル若しくはアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル若しくはアリールスルフィニル基、アルキル若しくはアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等
【0054】
一般式(5)において、R
1及びR
2は、各々独立に、水素原子又は置換基を表し、上記一般式(2)におけるR
1及びR
2と同義であり、好ましい範囲も同じである。
B
1〜B
4は、各々独立に、炭素原子又は窒素原子を表し、上記一般式(2)におけるB
1〜B
4と同義であり、好ましい範囲も同じである。
【0055】
一般式(5)において、R
7及びR
8は、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。R
7及びR
8として採りうる置換基としては、特に制限されず、上記R
1及びR
2として採りうる置換基と同じものを挙げることができる。
ただし、R
7として採りうる置換基の、好ましい範囲、より好ましい範囲及び更に好ましい基は、R
5として採りうる置換基と同じである。R
5として採りうるアルキル基は、上記R
3として採りうるアルキル基と同義であり、好ましい範囲も同じである。
【0056】
R
8として採りうる置換基の、好ましい範囲、より好ましい範囲及び更に好ましい範囲は、R
6として採りうる置換基と同じである。R
8として採りうるアルキル基及びアリール基の好ましい範囲は、上記R
6として採りうるアルキル基及びアリール基と同義であり、好ましい範囲も同じである。
【0057】
本発明においては、染料Bとしてスクアリン系染料を用いる場合、スクアリン系染料としては、特に制限されることなく、一般式(1)〜(5)のいずれかで表されるスクアリン色素が好ましく挙げられる。その例として、例えば、特開2006−160618号公報、国際公開第2004/005981号、国際公開第2004/007447号、Dyes and Pigment,2001,49,p.161−179、国際公開第2008/090757号、国際公開第2005/121098号、特開2008−275726号公報に記載の化合物を挙げられる。
【0058】
以下に、一般式(1)〜一般式(5)のいずれかで表される色素の具体例を示す。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
下記具体例において、Meはメチル、Etはエチル、Phはフェニルをそれぞれ示す。
【0060】
上記具体例の他に、一般式(3)〜(5)のいずれかで表される色素の具体例を以下に挙げる。下記表中の置換基Bは下記構造を表す。下記構造及び下記表において、Meはメチル、Etはエチル、i−Prはi−プロピル、Buはn−ブチル、t−Buはt−ブチル、Phはフェニルをそれぞれ示す。下記構造において*は各一般式中の炭素四員環との結合部を示す。
【0067】
上記一般式(1)で表される色素の好ましい1実施形態として、下記一般式(6)で表される色素が挙げられる。
【0069】
一般式(6)中、R
3及びR
4は、各々独立に、水素原子又は置換基を表し、上記一般式(3)におけるR
3及びR
4と同義であり、好ましいものも同じである。
A
2は、一般式(1)中のAと同様である。中でも、含窒素5員環である複素環基が好ましい。
【0070】
上記一般式(6)で表される色素は、下記一般式(7)、一般式(8)及び一般式(9)のいずれかで表される色素であることが好ましい。
【0072】
一般式(7)において、R
3及びR
4は、各々独立に、水素原子又は置換基を表し、上記一般式(3)におけるR
3及びR
4と同義であり、好ましい範囲も同じである。2つのR
3及び2つR
4は、それぞれ、同一でも異なっていてもよい。
【0074】
一般式(8)において、R
3及びR
4は、各々独立に、水素原子又は置換基を表し、上記一般式(3)におけるR
3及びR
4と同義であり、好ましい範囲も同じである。
R
5及びR
6は、各々独立に、水素原子又は置換基を表し、上記一般式(4)におけるR
5及びR
6と同義であり、好ましい範囲も同じである。
【0076】
一般式(9)において、R
3及びR
4は、各々独立に、水素原子又は置換基を表し、上記一般式(3)におけるR
3及びR
4と同義であり、好ましい範囲も同じである。
R
7及びR
8は、各々独立に、水素原子又は置換基を表し、上記一般式(5)におけるR
7及びR
8と同義であり、好ましい範囲も同じである。
【0077】
本発明においては、染料Aとしてスクアリン系染料を用いる場合、スクアリン系染料としては、特に制限されることなく、一般式(6)〜(9)のいずれかで表されるスクアリン系染料が好ましく挙げられる。その例として、例えば特開2002−97383号公報及び特開2015−68945号公報に記載の化合物を上げることができる。
【0078】
以下に、一般式(6)〜一般式(9)のいずれかで表される色素の具体例を示す。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
下記具体例において、Meはメチル、Etはエチル、i−Prはi−プロピル、t−Buはt−ブチル、Phはフェニルをそれぞれ示す。下記構造において*は各一般式中の炭素四員環との結合部を示す。
【0082】
本発明に用いる染料としては、上記染料A及びB以外にも、主吸収波長帯域がRGB以外の波長帯域にあり、かつ、主発光波長帯域がRGBの波長帯域に該当する波長帯域にある蛍光染料の1種、又は2種以上の組み合わせが挙げられる。
【0083】
本発明において、RGB以外の波長帯域としては、例えば、430nm以下(例えば、380nm〜430nm)、480nm〜510nm又は580nm〜610nmの各波長帯域を含む。また、RGBの波長帯域としては、例えば、430nmを超え480nm未満、510nmを超え580nm未満、又は610nmを超える(例えば、610nmを超え650nm以下)の各波長帯域を含む。
本発明において、主吸収波長帯域がRGB以外の波長帯域にあるとは、可視光吸収スペクトル(波長領域380〜750nm)において、極大吸収波長のうち最も高い吸光度を示す波長がRGB以外の波長帯域のいずれかに存在することを意味する。また、主発光波長帯域がRGBの波長帯域に該当する波長帯域にあるとは、可視光吸収スペクトル(波長領域380〜750nm)において、極大発光波長のうち最も高い発光度を示す波長がRGBの波長帯域のいずれかに存在することを意味する。
【0084】
上記の蛍光染料としては、上記特性を有する限り特に制限されないが、例えば、アントラセン(anthracene)系、アントラキノン(anthraquinone)系、アリールメチン(arylmethine)系、アゾ(azo)系、アゾメチン(azomethine)系、ビマン(bimane)系、クマリン(coumarin)系、1,5−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタジエン(1,5−diazabicyclo[3.3.0]octadiene)系、ジケトピロール(diketo−pyrrole)系、ナフタレノールイミン(naphthalenol−imine)系、ナフタルイミド(naphthalimide)系、ペリレン(perylene)系、フェノールフタレイン(phenolphthalein)系、ピロールメチン(pyrrole methine)系、パイラン(pyran)系、パイレン(pyrene)系、ポルフィセン(porphycene)系、ポルフィリン(porphyrin)系、キナクリドン(quinacridone)系、ローダミン(rhodamine)系、ルブリン(rubrene)系、又はスチルベン(stilbene)系の各蛍光染料が挙げられる。
【0085】
好ましくは、ペリレン系、アゾ系、ピロールメチン系、パイラン系及びクマリン系の各蛍光染料からなる群より選ばれた2種以上の蛍光染料の組み合わせが挙げられ、より好ましくは、ペリレン系、ピロールメチン系、パイラン系及びクマリン系の各蛍光染料からなる群より選ばれた2種以上の蛍光染料の組み合わせが挙げられる。
【0086】
次いで、本発明の偏光板を構成する部材(構成層)について説明する。
<偏光板保護フィルム>
偏光板保護フィルムは、ポリマーを含有してなる、フィルム状の層である。偏光板保護フィルムが含有するポリマーは1種でもよく、2種以上であってもよい。
【0087】
偏光板保護フィルムに用いられるポリマーとしては、公知のポリマーを用いることができ、本発明の趣旨に反しない限りにおいて特に制限はない。上記ポリマーとしては、セルロースアシレートポリマー、アクリルポリマー、シクロオレフィン系ポリマー等を挙げることができる。中でも、セルロースアシレートポリマー又はシクロオレフィン系ポリマーが好ましい。
【0088】
本発明に用いられる各ポリマーの詳細は後述するが、本発明において、染料の分解を効果的に抑制する(液晶表示装置が優れた耐光性を示す)ためには、染料に対してポリマーを選択することが好ましい。
例えば、上記式(1)〜式(9)で表される染料に対しては、シクロオレフィン系ポリマーを組み合わせて採用することが好ましい。上記染料A及びB以外の染料に対しては、セルロースアシレートポリマーを組み合わせて採用することが好ましく、ガラス転移温度(Tg)が高いセルロースアシレートポリマーを組み合わせて採用することがより好ましい。
【0089】
以下に、まず本発明に好ましく用いられるセルロースアシレートポリマーポリマー、及びセルロースアシレートと併用しうる添加剤について、説明する。
【0090】
(セルロースアシレートポリマー)
セルロースアシレートポリマー(以下、セルロースアシレートという。)は、セルロースアシレートフィルムの製造に用いられる公知のセルロースアシレートを特に制限なく用いることができる。
アシル置換度(以下、単に「置換度」ということがある)は、2位、3位及び6位に位置するセルロースのヒドロキシ基のアシル化の度合いを示すものであり、全てのグルコース単位の2位、3位及び6位のヒドロキシ基がいずれもアシル化された場合、総アシル置換度は3である。例えば、全てのグルコース単位で、6位のみが全てアシル化された場合、総アシル置換度は1である。同様に、全グルコースの全ヒドロキシ基において、各々のグルコース単位で、6位及び2位のいずれか一方の全てがアシル化された場合も、総アシル置換度は1である。
すなわち置換度は、グルコース分子中の全ヒドロキシ基が全てアシル化された場合を3として、アシル化の度合いを示すものである。
セルロースアシレートの置換度は、手塚他、Carbohydrate.Res.,273,83−91(1995)に記載の方法、又は、ASTM−D817−96に規定の方法に準じて測定することができる。
【0091】
本発明に用いるセルロースアシレートの総アシル置換度は、透湿度の観点から、1.50以上3.00以下であることが好ましく、2.00〜2.97であることがより好ましく、2.30以上2.97未満であることが更に好ましく、2.30〜2.95であることが特に好ましい。
【0092】
本発明に用いるセルロースアシレートのアシル基に、特に制限はなく、1種のアシル基を有する形態でもよいし、2種以上のアシル基を有する形態でもよい。本発明に用いうるセルロースアシレートは、炭素数2以上のアシル基を置換基として有することが好ましい。炭素数2以上のアシル基に特に制限はなく、脂肪族のアシル基でもよいし、芳香族のアシル基でもよい。これらのアシル基で置換されたセルロースアシレートは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステル、芳香族カルボニルエステル、又は芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれ更に置換された基を有していてもよい。
炭素数2以上のアシル基の具体例として、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ヘプタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、イソブタノイル、tert−ブタノイル、シクロヘキサンカルボニル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイルなどが挙げられる。これらの中でも、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル、tert−ブタノイル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイルが好ましく、更に好ましくはアセチル、プロピオニル、ブタノイルであり、特に好ましくはアセチルである。
【0093】
セルロースアシレートは、炭素数2〜4のアシル基を置換基として有することが好ましい。2種類以上のアシル基を用いるときは、その一つがアセチル基であることが好ましい。これらのセルロースアシレートにより溶解性の好ましい溶液が作製でき、特に非塩素系有機溶媒において、良好な溶液の作製が可能となる。更に粘度が低くろ過性のよい溶液の作成が可能となる。
【0094】
セルロースアシレートのアシル基としてアセチル基のみを用いたセルロースアセテートは、本発明に好適に用いることができ、このセルロースアセテートの総アシル置換度は、透湿度及び光学特性の観点から、2.00〜3.00であることが好ましく、2.20〜3.00であることがより好ましく、2.30〜3.00であることが更に好ましく、2.30〜2.97であることが特に好ましく、2.30〜2.95であることが最も好ましい。
【0095】
2種類以上のアシル基を有する混合脂肪酸エステルも偏光板保護フィルムを形成するセルロースアシレートとして好ましく用いることができる。中でも混合脂肪酸エステルのアシル基には、アセチル基と炭素数が3〜4のアシル基が含まれることが好ましい。また、混合脂肪酸エステルがアシル基としてアセチル基を含む場合、そのアセチル置換度は2.5未満が好ましく、1.9未満が更に好ましい。一方、炭素数が3〜4のアシル基を含む場合の炭素数が3〜4のアシル基の置換度は0.1〜1.5であることが好ましく、0.2〜1.2であることがより好ましく、0.5〜1.1であることが特に好ましい。
また、特開2008−20896号公報の段落[0023]〜[0038]に記載の、脂肪酸アシル基と置換若しくは無置換の芳香族アシル基とを有する混合酸エステルも好ましく用いることができる。
【0096】
本発明においては、エステル基及び置換度の一方又は両方が異なる、2種のセルロースアシレートを併用することもできる。この場合、後述する共流延法等により、異なるセルロースアシレートからなる積層構造として形成してもよい。
【0097】
本発明に用いるセルロースアシレートは、その重合度が250〜800が好ましく、300〜600が更に好ましい。また、本発明に用いるセルロースアシレートは、その数平均分子量が40000〜230000が好ましく、60000〜230000が更に好ましく、75000〜200000が最も好ましい。
重合度は、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography;GPC)によりポリスチレン換算で測定される数平均分子量をセルロースアシレートのグルコピラノース単位の分子量で除することで求めることができる。
【0098】
本発明に用いるセルロースアシレートは常法により合成することができる。例えば、アシル化剤として酸無水物又は酸塩化物を用いて合成できる。上記アシル化剤が酸無水物である場合は、反応溶媒として有機酸(例えば、酢酸)や塩化メチレンが使用される。また、触媒として、硫酸のようなプロトン性触媒を用いることができる。アシル化剤が酸塩化物である場合は、触媒として塩基性化合物を用いることができる。セルロースアシレートの一般的な工業的生産では、セルロースを目的のアシル基に対応する有機酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸等)又はそれらの酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸等)を用いてそのヒドロキシ基がエステル化される。
例えば、綿花リンタ又は木材パルプ由来のセルロースを原料とし、これを酢酸等の有機酸で活性化処理した後、硫酸触媒の存在下で、所望の構造の有機酸を用いてエステル化することによりセルロースアシレートを得ることができる。また、アシル化剤として有機酸無水物を用いる場合には、一般にセルロース中に存在するヒドロキシ基の量に対して有機酸無水物を過剰量で使用してセルロースをアシル化することができる。
またセルロースアシレートは、例えば、特開平10−45804号公報に記載された方法により合成することもできる。
【0099】
セルロースアシレートを含有する偏光板保護フィルムは、ポリマーとしてセルロースアシレートを5〜99質量%含むことが透湿度の観点から好ましく、20〜99質量%含むことがより好ましく、50〜95質量%含むことが特に好ましい。
偏光板保護フィルムが含有するセルロースアシレートは2種以上であってもよく、組成比及び/又は分子量が異なるポリマー同士を併用してもよい。この場合、各ポリマーの合計含有量が上記範囲内となる。
【0100】
(セルロースアシレートと併用される添加剤)
セルロースアシレートを含有する偏光板保護フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で、添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、公知の、可塑剤、有機酸、ポリマー、レターデーション調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤又はマット剤などが例示される。これらについては、特開2012−155287号公報の段落番号[0062]〜[0097]の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。また、添加剤としては、剥離促進剤、有機酸、多価カルボン酸誘導体を挙げることもできる。これらについては、国際公開第2015/005398号段落[0212]〜[0219]の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。更に、添加剤として、後述する、ラジカル捕捉剤、劣化防止剤又はバルビツール酸化合物なども挙げることができる。
添加剤の含有量(偏光板保護フィルムが二種以上の添加剤を含有する場合には、それらの合計含有量)は、セルロースエステル100質量部に対して50質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがより好ましく、5〜30質量部であることが更に好ましい。
【0101】
− 可塑剤 ―
好ましい添加剤の1つとしては、可塑剤を挙げることができる。可塑剤を偏光板保護フィルムに添加することにより、偏光板保護フィルムの疎水性を高めることができる。この点は、偏光板保護フィルムの透湿度を低下させる観点から好ましい。このような可塑剤を使用することは、偏光板保護フィルム用いた場合に、湿度に起因する画像表示装置の表示ムラを発生しにくくすることができるため、好ましい。
【0102】
可塑剤としては、特に制限されないが、多価アルコールの多価エステル化合物(以下、「多価アルコールエステル可塑剤」とも記載する。)、重縮合エステル化合物(以下、「重縮合エステル可塑剤」とも記載する。)、又は、炭水化物化合物(以下、「炭水化物誘導体可塑剤」とも記載する。)を挙げることができる。多価アルコールエステル可塑剤については、国際公開第2015/005398号の段落[0081]〜[0098]、重縮合エステル可塑剤については、同公報の段落[0099]〜[0122]、炭水化物誘導体可塑剤については、同公報の段落[0123]〜[0140]を参照でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
可塑剤の分子量は、添加することによる上記効果を良好に得る観点からは、3000以下であることが好ましく、1500以下であることがより好ましく、1000以下であることが更に好ましい。また、可塑剤の分子量は、低揮散性の観点からは、例えば300以上であり、好ましくは350以上である。なお、多量体の可塑剤については、分子量とは、数平均分子量をいうものとする。
【0103】
可塑剤の含有量は、可塑剤の添加効果と可塑剤の析出抑制とを両立する観点から、セルロースアシレート100質量部に対して、1〜20質量部とすることが好ましく、2〜15質量部とすることがより好ましく、5〜15質量部とすることが更に好ましい。
可塑剤は、2種類以上を併用してもよい。2種類以上を併用する場合も、含有量の具体例及び好ましい範囲は上記と同一である。
【0104】
− 酸化防止剤 −
好ましい添加剤の1つとしては、酸化防止剤を挙げることもできる。酸化防止剤については、国際公開第2015/005398号の段落[0143]〜[0165]の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
【0105】
− ラジカル捕捉剤 −
好ましい添加剤の1つとしては、ラジカル補捉剤を挙げることもできる。ラジカル補捉剤については、国際公開第2015/005398号段落[0166]〜[0199]の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
【0106】
− 劣化防止剤 −
好ましい添加剤の1つとしては、劣化防止剤を挙げることもできる。劣化防止剤については、国際公開第2015/005398号段落[0205]〜[0206]の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
【0107】
− 紫外線吸収剤 −
本発明においては偏光板保護フィルムに、偏光板又は液晶等の劣化防止の観点から、紫外線吸収剤を加えてもよい。紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。本発明に好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、ヒドロキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等が挙げられる。
ヒンダードフェノール系化合物の例としては、2、6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N、N’−ヘキサメチレンビス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1、3、5−トリメチル−2、4、6−トリス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイトなどが挙げられる。ベンゾトリアゾール系化合物の例としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2、2−メチレンビス(4−(1、1、3、3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、(2、4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3、5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1、3、5−トリアジン、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N、N’−ヘキサメチレンビス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1、3、5−トリメチル−2、4、6−トリス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2(2’−ヒドロキシ−3’、5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、(2(2’−ヒドロキシ−3’、5’−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2、6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1、1、3、3−テトラメチルブチル)フェノールなどが挙げられる。
【0108】
偏光板保護フィルムは、紫外線吸収剤をポリマーに対して0.01質量%以上5質量%以下含有することが好ましい。紫外線吸収剤Aの含有量は、ポリマーに対して0.5質量%以上4.0質量%以下が好ましく、1.5質量%以上3.5質量%以下がより好ましい。
【0109】
次に、本発明に好ましく用いられるシクロオレフィン系ポリマー、及びシクロオレフィン系ポリマーと併用しうる添加剤について、説明する。
(シクロオレフィン系ポリマー)
シクロオレフィン系ポリマー(環状ポリオレフィンともいう。)を形成する環状オレフィン化合物としては、炭素−炭素二重結合を含む環構造を持つ化合物であれば特に制限されず、例えば、ノルボルネン化合物、ノルボルネン化合物以外の、単環の環状オレフィン化合物、環状共役ジエン化合物又はビニル脂環式炭化水素化合物等が挙げられる。
環状ポリオレフィンとしては、例えば、(1)ノルボルネン化合物に由来する構造単位を含む重合体、(2)ノルボルネン化合物以外の、単環の環状オレフィン化合物に由来する構造単位を含む重合体、(3)環状共役ジエン化合物に由来する構造単位を含む重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素化合物に由来する構造単位を含む重合体、及び、(1)〜(4)の各化合物に由来する構造単位を含む重合体の水素化物等が挙げられる。本発明において、ノルボルネン化合物に由来する構造単位を含む重合体、及び、単環の環状オレフィン化合物に由来する構造単位を含む重合体には、各化合物の開環重合体を含む。
【0110】
環状ポリオレフィンとしては、特に制限されないが、下記一般式(A−II)又は(A−III)で表される、ノルボルネン化合物に由来する構造単位を有する重合体が好ましい。下記一般式(A−II)で表される構造単位を有する重合体はノルボルネン化合物の付加重合体であり、下記一般式(A−III)で表される構造単位を有する重合体はノルボルネン化合物の開環重合体である。
【0112】
一般式中、mは0〜4の整数であり、0又は1が好ましい。
R
3〜R
6は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表す。
本発明において、炭化水素基は、炭素原子と水素原子からなる基であれば特に制限されず、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基(芳香族炭化水素基)等が挙げられる。中でも、アルキル基又はアリール基が好ましい。
X
2及びX
3、Y
2及びY
3は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜10の炭化水素基、−(CH
2)nCOOR
11、−(CH
2)nOCOR
12、−(CH
2)nNCO、−(CH
2)nNO
2、−(CH
2)nCN、−(CH
2)nCONR
13R
14、−(CH
2)nNR
13R
14、−(CH
2)nOZ、−(CH
2)nW、又は、X
2とY
2若しくはX
3とY
3が互いに結合して形成する、(−CO)
2O若しくは(−CO)
2NR
15を表す。
ここで、R
11〜R
15は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、Zは炭化水素基又はハロゲンで置換された炭化水素基を表し、WはSi(R
16)
pD
(3−p)(R
16は炭素数1〜10の炭化水素基を表し、Dはハロゲン原子、−OCOR
17又は−OR
17(R
17は炭素数1〜10の炭化水素基)を表す。pは0〜3の整数である)を表す。nは、0〜10の整数であり、0〜8が好ましく、0〜6がより好ましい。
【0113】
一般式(A−II)又は(A−III)において、R
3〜R
6は、それぞれ、水素原子又は−CH
3が好ましく、透湿度の点で、水素原子であることが更に好ましい。
X
2及びX
3は、それぞれ、水素原子、−CH
3、−C
2H
5が好ましく、透湿度の点で、水素原子が更に好ましい。
Y
2及びY
3は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子(特に塩素原子)又は−(CH
2)nCOOR
11(特に−COOCH
3)が好ましく、透湿度の点で、水素原子が更に好ましい。
その他の基は、適宜に選択される。
【0114】
一般式(A−II)又は(A−III)で表される構造単位を有する重合体は、更に下記一般式(A−I)で表される構造単位を少なくとも1種以上含んでもよい。
【0116】
一般式中、R
1及びR
2は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表し、X
1及びY
1は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜10の炭化水素基、−(CH
2)nCOOR
11、−(CH
2)nOCOR
12、−(CH
2)nNCO、−(CH
2)nNO
2、−(CH
2)nCN、−(CH
2)nCONR
13R
14、−(CH
2)nNR
13R
14、−(CH
2)nOZ、−(CH
2)nW、又は、X
1とY
1が互いに結合して形成する、(−CO)
2O若しくは(−CO)
2NR
15を表す。
ここで、R
11〜R
15は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、Zは炭化水素基又はハロゲンで置換された炭化水素基を表し、WはSi(R
16)
pD
(3−p)(R
16は炭素数1〜10の炭化水素基を表し、Dはハロゲン原子、−OCOR
17又は−OR
17(R
17は炭素数1〜10の炭化水素基)を表す。pは0〜3の整数である)を表す。nは0〜10の整数を示す。
【0117】
偏光子に対する密着性の観点から、一般式(A−II)又は(A−III)で表される構造単位を有する環状ポリオレフィンは、上述のノルボルネン化合物に由来する構造単位を、環状ポリオレフィンの全質量に対して90質量%以下含有することが好ましく、30〜85質量%含有することがより好ましく、50〜79質量%含有することが更に好ましく、60〜75質量%含有することが最も好ましい。ここで、ノルボルネン化合物に由来する構造単位の割合は環状ポリオレフィン中の平均値を表す。
【0118】
ノルボルネン化合物の付加(共)重合体は、特開平10−7732号公報、特表2002−504184号公報、米国公開特許公開第2004/229157A1、又は、国際公開第2004/070463号等に記載されている。
ノルボルネン化合物の重合体としては、ノルボルネン化合物(例えば、ノルボルネンの多環状不飽和化合物)同士を付加重合することによって得られる。
【0119】
また、ノルボルネン化合物の重合体として、必要に応じ、ノルボルネン化合物と、エチレン、プロピレン、ブテン等のオレフィン、ブタジエン、イソプレンのような共役ジエン、エチリデンノルボルネンのような非共役ジエン、アクリロニトリル、アクリル酸、メタアクリル酸、無水マレイン酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイミド、酢酸ビニル又は塩化ビニル等のエチレン性不飽和化合物とを付加共重合して得られる共重合体が挙げられる。中でも、エチレンとの共重合体が好ましい。
このようなノルボルネン化合物の付加(共)重合体としては、三井化学社よりアペルの商品名で発売されており、ガラス転移温度(Tg)が互いに異なる、例えば、APL8008T(Tg70℃)、APL6011T(Tg105℃)、APL6013T(Tg125℃)、又は、APL6015T(Tg145℃)等が挙げられる。また、ポリプラスチック社より、TOPAS8007、同6013、同6015等のペレットが市販されている。更に、Ferrania社よりAppear3000が市販されている。
【0120】
上述の、ノルボルネン化合物の重合体は、市販品を使用することができる。例えば、JSR社からアートン(Arton)G又はアートンFという商品名で市販されており、また日本ゼオン社からゼオノア(Zeonor)ZF14、ZF16、ゼオネックス(Zeonex)250又はゼオネックス280という商品名で市販されている。
【0121】
ノルボルネン化合物の重合体の水素化物は、ノルボルネン化合物等を付加重合又はメタセシス開環重合した後、水素添加することにより、合成できる。合成方法は、例えば、特開平1−240517号、特開平7−196736号、特開昭60−26024号、特開昭62−19801号、特開2003−159767号又は特開2004−309979号等の各公報に記載されている。
【0122】
本発明で使用されるシクロオレフィ系ポリマーの分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロヘキサン溶液(重合体ポリマーが溶解しない場合はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法で測定したポリイソプレン又はポリスチレン換算の重量平均分子量で、通常、5000〜500000、好ましくは8000〜200000、より好ましくは10000〜100000の範囲であることが好ましい。上記範囲の分子量を有するポリマーは、成形体の機械的強度、及び成形加工性とを高い水準でバランスよく両立できる。
【0123】
シクロオレフィ系ポリマーを含有する偏光板保護フィルムは、ポリマーとしてシクロオレフィ系ポリマーを50〜100質量%含むことが染料の吸収波形及び耐光性の観点から好ましく、70〜100質量%含むことがより好ましく、90〜100質量%含むことが特に好ましい。
偏光板保護フィルムが含有するシクロオレフィ系ポリマーは2種以上であってもよく、組成比及び/又は分子量が異なるポリマー同士を併用してもよい。この場合、各ポリマーの合計含有量が上記範囲内となる。
【0124】
(シクロオレフィ系ポリマーと併用しうる添加剤)
シクロオレフィン系ポリマーを含有する偏光板保護フィルムは、必要に応じて、プラスチックフィルムに一般的に配合することができる添加剤を含有していてもよい。このような添加剤としては、酸化防止剤、熱安定剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、及び充填剤などが挙げられ、例えば、セルロースアシレートと併用しうる添加材で説明したものを具体的に挙げることができる。
シクロオレフィ系ポリマーと併用しうる添加剤の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜に決定することができる。
【0125】
(偏光板保護フィルムの製造方法)
以下に、偏光板保護フィルムの作製方法を説明する。
偏光板保護フィルムは、特に制限されず、公知の成形法により、適宜に作製できる。以下、偏光板保護フィルムの製造方法についてセルロースアシレートを用いた態様を例に挙げて説明するが、シクロオレフィン系ポリマー、アクリク系ポリマー及びその他のポリマーを用いた場合も同様に偏光板保護フィルムを製造することができる。
【0126】
偏光板保護フィルムは、特に制限されないが、溶液流延製膜方法により製造することができる。溶液流延製膜方法では、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造する。
【0127】
有機溶媒は、炭素数が3〜12のエーテル、炭素数が3〜12のケトン、炭素数が3〜12のエステル及び炭素数が1〜6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。
上記エーテル、ケトン及びエステルは、環状構造を有していてもよい。また、上記エーテル、ケトン及びエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−及び−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、上記有機溶媒として用いることができる。上記有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素数はいずれかの官能基を有する溶媒の上述の好ましい炭素数範囲内であることが好ましい。
【0128】
セルロースアシレート溶液中におけるセルロースアシレートの含有量は、10〜40質量%に調整することが好ましい。セルロースアシレートの含有量は、10〜30質量%であることが更に好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、上述の任意の添加剤を添加しておいてもよい。
【0129】
溶液流延製膜方法における乾燥方法については、米国特許第2,336,310号、同2,367,603号、同2,492,078号、同2,492,977号、同2,492,978号、同2,607,704号、同2,739,069号及び同2,739,070号の各明細書、英国特許第640731号及び同736892号の各明細書、並びに特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号及び同62−115035号の各公報を参考にすることができる。バンド又はドラム上での乾燥は、空気、窒素などの不活性ガスを送風することにより行うことができる。
【0130】
調製したセルロースアシレート溶液(ドープ)を用いて2層以上の流延を行いフィルム化することもできる。この場合、溶液流延製膜方法によりセルロースアシレートフィルムを作製することが好ましい。ドープは、ドラム又はバンド上に流延され、溶媒を蒸発させてフィルムに形成されることが好ましい。流延前のドープは、固形分量が10〜40質量%の範囲となるように濃度を調整することが好ましい。ドラム又はバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。
【0131】
2層以上の複数のセルロースアシレート溶液を流延する場合、支持体の進行方向に間隔をおいて設けられた複数の流延口からセルロースアシレートを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製してもよい。これらは、例えば、特開昭61−158414号、特開平1−122419号、及び特開平11−198285号の各公報に記載の方法を用いることができる。また、2つの流延口からセルロースアシレート溶液を流延することによっても、フィルム化することもできる。これは、例えば、特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−947245号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、及び、特開平6−134933号の各公報に記載の方法を用いることができる。更に特開昭56−162617号公報に記載の高粘度セルロースアシレート溶液の流れを低粘度のセルロースアシレート溶液で包み込み、その高・低粘度のセルロースアシレート溶液を同時に押し出すセルロースアシレートフィルムの流延方法を用いることもできる。
【0132】
また、2個の流延口を用いて、第一の流延口により支持体に成形したフィルムを剥ぎ取り、支持体面に接していた側に第二の流延を行うことにより、フィルムを作製することもできる。例えば、特公昭44−20235号公報に記載の方法を挙げることができる。
【0133】
流延するセルロースアシレート溶液は同一の溶液を用いてもよいし、異なるセルロースアシレート溶液を2種以上用いてもよい。複数のセルロースアシレート層に機能をもたせるために、その機能に応じたセルロースアシレート溶液を、それぞれの流延口から押し出せばよい。更に本発明におけるセルロースアシレート溶液は、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、紫外線吸収層、偏光層など)と同時に流延することもできる。
図4は、偏光板保護フィルムの作製方法(共流延)の一例を示す部分拡大模式図である。
図4に示す作製方法については、後述の実施例で更に説明する。
【0134】
(染料の添加)
本発明の偏光板において、偏光板保護フィルムが上記染料を含有する場合、偏光板保護フィルムのポリマー原料の一例であるセルロースアシレート溶液に対し、上記染料を添加するタイミングは、製膜される時点で添加されていれば特に制限されない。例えば、セルロースアシレートの合成時又は合成中に添加してもよいし、ドープ調製時にセルロースアシレートと混合してもよい。
【0135】
(乾燥処理)
ドープの流延から後乾燥までの工程は、空気雰囲気下でもよいし窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下でもよい。本発明における偏光板保護フィルムの製造に用いる巻き取り機は、一般的に使用されているものでよく、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法などの巻き取り方法で巻き取ることができる。
【0136】
(延伸処理)
上記偏光板保護フィルムには、延伸処理を行うこともできる。延伸処理により偏光板保護フィルムに所望のレターデーションを付与することが可能である。セルロースアシレートフィルムの延伸方向は幅方向、長手方向のいずれでも好ましい。
幅方向に延伸する方法は、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号などの各公報に記載されている。
【0137】
フィルムの延伸は、加熱条件下で実施する。フィルムは、乾燥中の処理で延伸することができ、特に溶媒が残存する場合は有効である。長手方向の延伸の場合、例えば、フィルムの搬送ローラの速度を調節して、フィルムの剥ぎ取り速度よりもフィルムの巻き取り速度の方を速くするとフィルムは延伸される。幅方向の延伸の場合、フィルムの巾をテンターで保持しながら搬送して、テンターの巾を徐々に広げることによってもフィルムを延伸できる。フィルムの乾燥後に、延伸機を用いて延伸すること(好ましくはロング延伸機を用いる一軸延伸)もできる。
【0138】
(鹸化処理)
上記偏光板保護フィルムはアルカリ鹸化処理することによりポリビニルアルコールのような偏光子の材料との密着性を付与し、偏光板保護フィルムとして用いることができる。
鹸化の方法については、特開2007−86748号公報の〔0211〕と〔0212〕に記載される方法を用いることができる。
【0139】
例えば上記偏光板保護フィルムに対するアルカリ鹸化処理は、フィルム表面をアルカリ溶液に浸漬した後、酸性溶液で中和し、水洗して乾燥するサイクルで行われることが好ましい。上記アルカリ溶液としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられ、水酸化イオンの濃度は0.1〜5.0mol/Lの範囲にあることが好ましく、0.5〜4.0mol/Lの範囲にあることが更に好ましい。アルカリ溶液温度は、室温〜90℃の範囲にあることが好ましく、40〜70℃の範囲にあることが更に好ましい。
【0140】
アルカリ鹸化処理の代わりに、特開平6−94915号公報、特開平6−118232号公報に記載されているような易接着加工を施してもよい。
【0141】
また、偏光板保護フィルムがシクロオレフィン系ポリマーを含有する場合は、その表面の濡れ張力が、好ましくは40mN/m以上、より好ましくは50mN/m以上、更に好ましくは55mN/m以上である。表面の濡れ張力が上記範囲にあると、フィルムと偏光子との接着強度が向上する。表面の濡れ張力を調整するために、例えば、コロナ放電処理、オゾンの吹き付け、紫外線照射、火炎処理、化学薬品処理、その他公知の表面処理を施すことができる。
【0142】
シクロオレフィン系ポリマーを含有する偏光板保護フィルムの作製方法は、上述のようにして作製することができ、更には、例えば、加熱溶融成形法、溶液流延法のいずれも用いることができる。加熱溶融成形法は、更に詳細には、押し出し成形法、プレス成形法、インフレーション成形法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法などに分類できるが、これらの方法の中でも、機械強度、表面精度等に優れたフィルムを得るためには、押し出し成形法、インフレーション成形法、及びプレス成形法が好ましく、押し出し成形法が最も好ましい。成形条件は、使用目的や成形方法により適宜選択されるが、加熱溶融成形法による場合は、シリンダー温度が、通常150〜400℃、好ましくは200〜350℃、より好ましくは230〜330℃の範囲で適宜設定される。ポリマー温度が低いと流動性が悪化し、フィルムにヒケやひずみを生じ、ポリマー温度が過度に高いとポリマーの熱分解によるボイドやシルバーストリークが発生したり、フィルムが黄変したりするなどの成形不良が発生するおそれがある。
【0143】
本発明の偏光板を構成する偏光板保護フィルムの好ましい物性又は特性について説明する。
[偏光板保護フィルムの膜厚]
偏光板保護フィルムの膜厚は、通常、5μm以上120μm以下であり、10μm以上100μm以下が好ましく、15μm以上60μm以下がより好ましい。薄いフィルムの方が液晶表示装置に組み込んだ際に高温高湿経時後の表示ムラが発生しにくく好ましい。一方、薄過ぎるとフィルム製造及び偏光板作製時に安定に搬送させることが難しくなる。
本発明の偏光板は、膜厚が厚い偏光板保護フィルムを備える態様も好ましい。この態様において、偏光板保護フィルムの膜厚は20μm以上とすることができる。膜厚を20μm以上とすることにより、フィルム中における染料の濃度を低くすることができ、耐光性が向上するという効果が得られる。この態様における膜厚の下限値は、好ましくは25μm以上であり、より好ましくは30μm以上である。この態様における膜厚の上限値は、上記の通りである。
【0144】
[偏光板保護フィルムの吸光度]
偏光板保護フィルムは、波長480nmにおける吸光度が0.05以上3.0以下であることが好ましい。より好ましくは0.01以上2.0以下であり、更に好ましくは0.1以上1.5以下である。
また、波長580nmにおける吸光度は0.1以上3.0以下が好ましい。より好ましくは0.2以上2.5以下であり、更に好ましくは0.5以上2.0以下である
吸光度を上記範囲に調節した偏光板保護フィルムを含む偏光板を液晶表示装置に組み込むことにより、高輝度で色再現性のよい表示性能が得られる。
偏光板保護フィルムの吸光度は、染料の種類及び添加量により調整することができる。
【0145】
[偏光板保護フィルムのレターデーション]
本発明において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーション及び厚さ方向のレターデーションを表す。特に記載がないときは、波長λは、590nmとする。
本発明において、Re(λ)、Rth(λ)は、AxoScan OPMF−1(オプトサイエンス社製)において、波長λで測定した値である。AxoScanにて平均屈折率((Nx+Ny+Nz)/3)と膜厚(d(μm))を入力することにより、
遅相軸(λ)、
Re(λ)=R0(λ)、
Rth(λ)=(Nz−(Nx+Ny)/2)*d
が算出される。
ここで、Nxはフィルムの遅相軸方向の屈折率であり、Nyはフィルムの進相軸方向の屈折率であり、Nzはフィルムの厚み方向の屈折率である。
本発明の偏光板保護フィルムのRthは15nm以上300nm以下が好ましく、30nm以上250nm以下が更に好ましい。
【0146】
<偏光子>
次に、本発明の偏光板が備える偏光子について、説明する。
本発明の偏光板に用いることができる偏光子としては、ポリビニルアルコール(PVA)と二色性分子から構成することが好ましいが、特開平11−248937号公報に記載されているようにPVA、ポリ塩化ビニルを脱水、脱塩素することによりポリエン構造を生成し、これを配向させたポリビニレン系偏光子も使用することができる。
【0147】
本発明の偏光板において、偏光子が上記染料を含有している場合、偏光子に染料を含有させる方法及び時期は、特に制限されないが、ポリビニルアルコール膜を製膜する段階又はポリビニルアルコール膜に二色性分子を導入する段階、のいずれもでも可能である。
【0148】
偏光子の延伸前のフィルム膜厚は、特に制限されないが、フィルム保持の安定性、延伸の均質性の観点から、1μm〜1mmが好ましく、5〜200μmが特に好ましい。また、特開2002−236212号に記載されているように水中において4〜6倍の延伸を行った時に発生する応力が10N以下となるような薄いPVAフィルムを使用してもよい。
【0149】
偏光子の製造方法としては、特に制限はないが、例えば、上記PVAをフィルム化した後、二色性分子を導入して偏光子を構成することが好ましい。PVAフィルムの製造は、特開2007−86748号公報の〔0213〕〜〔0237〕に記載の方法、特許第3342516号明細書、特開平09−328593号公報、特開2001−302817号公報、特開2002−144401号公報等を参考にして行うことができる。
【0150】
<接着層>
本発明の偏光板において、偏光子と偏光板保護フィルムとを接着させる接着剤としては、両者を接着できる限り特に制限されないが、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。また、紫外線硬化型の接着剤等も挙げられる。特に好ましい接着剤は、完全鹸化ポリビニルアルコールの水溶液又は紫外線硬化型の接着剤である。
更に、特開2015−11094号公報等に記載の貼り合せ方法も、偏光板保護フィルムと偏光子と貼り合わせて方法として好ましく用いることができる。すなわち、偏光板保護フィルムの表面にコロナ処理を行った後に活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を塗布、偏光子と貼り合わせて、紫外線を照射し、樹脂を硬化させた後に乾燥するものである。
【0151】
本発明の偏光板において、接着層が上記染料を含有している場合、接着層に染料を含有させる方法及び時期は、特に制限されないが、接着剤を塗布する際の塗布液中に添加することができる。
【0152】
接着層の厚さは、特に制限されないが、例えば、1〜50μmが好ましく、5〜30μmがより好ましい。
【0153】
<偏光板の光学特性等>
本発明の偏光板の光学特性等について、説明する。
1.偏光度
本発明の偏光板は、偏光度99.950%以上であることが好ましく、より好ましい範囲としては99.970%以上であり、最も好ましくは99.990%以上である。
【0154】
本発明において、偏光板の偏光度は、自動偏光フィルム測定装置:VAP−7070(日本分光社製)を用いて、波長380〜780nmで測定した直交透過率及び平行透過率から以下の式により算出する。
偏光度(%)=[(平行透過率−直交透過率)/(直交透過率+平行透過率)]
1/2×100
偏光度は次のようにして測定できる。粘着剤を介してガラスの上に偏光板を貼り付けたサンプル(5cm×5cm)を2つ作成する。この際、偏光板保護フィルムがガラスと反対側(空気界面)側になるように貼り付ける。直交透過率及び平行透過率は、このサンプルのガラスの側を光源に向けてセットして、測定する。2つのサンプルについて測定し、その平均値を、それぞれ、直交透過率及び平行透過率とする。
【0155】
(主吸収波長帯域における10%値幅)
本発明では、上記染料が示す主吸収波長帯域において、吸収極大を示す吸光度に対して10%の吸光度を示す二つの波長を波数に変換し、その差(10%値幅という。)が、2200cm
−1以下となる態様と、2200cm
−1を越える態様の両態様を包含する。
本発明において、染料を2種以上含有する場合、10%値幅が2200cm
−1以下となるとは、少なくとも1つの染料についての10%値幅が2200cm
−1以下となることを意味する。
本発明において、吸収極大を示す吸光度とは、吸収ピークの吸光度であり、吸収極大を示す波長における吸光度の測定値から染料の吸収に由来しない平坦領域(通常、染料を含有しない偏光板を対照として準備して決定する。)の測定値を差し引いた値とする。また、吸収極大を示す吸光度に対して10%の吸光度を示す(与える)二つの波数とは、吸収極大における吸光度の10%の吸光度を示す波数であって、吸収極大を示す波数に対して短波長側及び長波長側に存在する二つの波数を意味する。すなわち、10%値幅は、測定対象となる偏光板について得た波数−吸光度グラフにおいて、上記ブランクを減算して最大吸光度を求め、この最大吸光度の10%に相当する吸光度に上記グラフ曲線が交わる(到達する)点を示す2つの波数とする。上記10%値幅は、このようにして決定した、10%の吸光度を示す2つの波数の差(絶対値)をいう。10%の吸光度を示す波数は、上記主吸収波数帯域内又は主吸収波数帯域外にあってもよい。
10%値幅の算出は、本発明の偏光板(染料を含有する構成層)と、染料を含有しないこと以外は本発明の偏光板と同じ偏光板について、分光光度計を用いて400〜800nmの波長範囲における吸光度を1nmごとに測定して得た吸光度チャート(データ)に基づいて、上記方法により、行うことができる。
【0156】
この10%値幅は、マトリックスとなるポリマーの種類と染料との組み合わせにより、調整又は設定できる。例えば、10%値幅を2200cm
−1以下にするには本発明の一般式(1)〜(5)で表わされる染料に対しシクロオレフィン系ポリマーをマトリックスとして用いることが好ましい。一方、10%値幅を2200cm
−1以上にするには、本発明の一般式(1)〜(9)で表わされる染料、あるいはこれ以外の染料に対してセルロースアシレートをマトリックスとして用いることが好ましい。
【0157】
(その他の特性)
本発明の偏光板の、その他の好ましい光学特性等については特開2007−086748号公報の〔0238〕〜〔0255〕に記載されており、これらの特性を満たすことが好ましい。
【0158】
(形状、構成)
本発明の偏光板の形状は、液晶表示装置にそのまま組み込むことが可能な大きさに切断されたフィルム片の態様の偏光板のみならず、連続生産により、長尺状に作製され、ロール状に巻き上げられた態様(例えば、ロール長2500m以上又は3900m以上の態様)の偏光板も含まれる。大画面液晶表示装置用とするためには、偏光板の幅は1470mm以上とすることが好ましい。
【0159】
本発明の偏光板は、偏光子、接着層及び偏光板保護フィルムで構成されているが、更に偏光板の表面にセパレートフィルムを貼合して構成されることも好ましい。
セパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
【0160】
(偏光板の機能化)
本発明の偏光板は、ディスプレイの視認性向上のための反射防止フィルム(層)、輝度向上フィルム、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア(防眩)層、防汚層、帯電防止層等の機能層を有する光学フィルムと複合した機能化偏光板としても好ましく使用される。機能化のための反射防止フィルム、輝度向上フィルム、他の機能性光学フィルム、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア層については、特開2007−86748号公報の〔0257〕〜〔0276〕に記載され、これらの記載を基に機能化した偏光板を作成することができる。
【0161】
<偏光板の製造方法>
本発明の偏光板は、偏光子の少なくとも一方の面に、接着層を介して上述の偏光板保護フィルムを接着(積層)して、製造される。本発明の偏光板は、偏光板保護フィルムの表面をアルカリ処理し、PVA(ポリビニルアルコール)フィルムをヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の少なくとも一方の面、好ましくは両面に、完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法により作製することが好ましい。偏光板の製造方法において、偏光板、接着層及び偏光板保護フィルムの少なくとも1つ、又は、これらを形成する原料の少なくとも1つは、上記染料を含有しているものを用いる。これにより、構成層を形成する材料組成物に染料を含有させることにより、染料を含有する層を新たに設けることなく、偏光板、更には偏光板保護フィルム及び液晶表示装置を製造できる。よって、本発明によれば、染料を含有する層を別途設けなくてもよく、また染料を含有する層を形成するに際して新たなコーディング工程を不要とすることができる。
【0162】
(偏光子と偏光板保護フィルムの積層方法)
偏光板保護フィルムの偏光子への貼り合せ方は、偏光子の透過軸と上記偏光板保護フィルムの遅相軸が実質的に平行、直交又は45°となるように貼り合せることが好ましい。
遅相軸の測定は、公知の種々の方法で測定することができ、例えば、複屈折計(KOBRADH、王子計測機器社製)を用いて行うことができる。
ここで、実質的に平行であるとは、偏光板保護フィルムの主屈折率nxの方向と偏光板の透過軸の方向とが、そのずれが±5°以内の角度で交わっていることをいい、±1°以内の角度で交わっていることが好ましく、±0.5°以内の角度で交わっていることがより好ましい。交わる角度が±1°以内であれば、偏光板クロスニコル下での偏光度性能が低下しにくく、光抜けが生じにくく好ましい。
主屈折率nxの方向と透過軸の方向とが直交又は45°となるとは、主屈折率nxの方向と透過軸の方向との交わる角度が、直交及び45°に関する厳密な角度から±5°の範囲内であることを意味し、厳密な角度との誤差は、±1°の範囲内が好ましく、±0.5°の範囲内がより好ましい。
【0163】
[液晶表示装置]
次に本発明の液晶表示装置について説明する。
本発明の液晶表示装置は、バックライトユニットから発光される光の発光方向下流に、本発明の偏光板を少なくとも1枚有している。液晶表示装置が有する本発明の偏光板は2枚以上でもよく、好ましくは1枚又は2枚である。
【0164】
図3は、本発明の液晶表示装置の例を示す概略図である。
図3において、液晶層5に対してバックライトユニットBが配置されている側を下又は背面側と称し、第1偏光板1が配置されている側を上又は視認側と称する。液晶表示装置10は、液晶層5とこの両表面側に配置された第1(液晶セル上)電極基板3及び第2(液晶セル下)電極基板6とを有する液晶セル、液晶セルの両側に配置された第1(上側)偏光板1及び第2(下側)偏光板8、第2偏光板8の背面側にバックライトユニットBを有する。
電極基板3又は下電極基板6にカラーフィルター層が積層されていてもよい。液晶セルの基板は、一般に50μm〜2mmの厚さを有する。
【0165】
第1偏光板1及び第2偏光板6は、
図3には図示しないが、通常は、それぞれ2枚の偏光板保護フィルムで偏光子を挟むように積層した構成を有している。本発明の液晶表示装置10は、少なくとも一方の偏光板が本発明の偏光板であることが好ましい。このとき、上記染料を含む層若しくはフィルム、又は偏光板は、バックライトユニットB側に配置されることが好ましい。例えば、本発明の偏光板は、第1偏光板1及び第2偏光板6のいずれに用いてもよいが、好ましくは第2偏光板6に用いることが好ましい。また、本発明の偏光板が偏光子の一方の表面に染料を含有する偏光板保護フィルムを備えている場合、染料を含有しない偏光板保護フィルムがバックライトユニットB側となるように偏光板を配置する。更に、本発明の偏光板が偏光子の両表面に偏光板保護フィルムを備えている場合、上記染料はいずれの偏光板保護フィルムに含有していてもよいが、好ましくは、液晶表示装置10に配置されたときに、バックライトユニットB側に対して遠い側に位置する偏光板保護フィルムに含有されていることが好ましい。
【0166】
本発明の液晶表示装置が備えるバックライトユニットは、液晶セル、第1偏光板1及び第2偏光板8からなる液晶パネルに光を供給することができれば、特に制限されず、通常の構成を採用できる。バックライトユニットは、通常、光源と、光源から射出された光を液晶パネルに導く導光板とを含む。導光板は通常のものを特に制限されることなく用いることができるので、説明を省略する。
バックライトユニットの光源としては発光ダイオード(LED)、レーザーダイオード、エレクトロルミネッセント素子等が使用できるが、輝度の観点から発光ダイオードが好ましい。中でも、青色LED又は近紫外LEDを発光素子とし、発光素子から発せられた光を蛍光体により異なる波長に変換する方式が、本発明の偏光板との組み合わせにおいて色再現性を向上する観点から、好ましい。特に、1)青色LEDと黄色蛍光体の組み合わせ、2)青色LEDと緑色蛍光体及び赤色蛍光体の組み合わせ、並びに、3)近紫外LEDと緑色蛍光体、赤色蛍光体、及び青色蛍光体の組み合わせ、を好ましく用いることができる。なお、蛍光体はLED光源に組み込んでもよく、また波長変換シートとして光源以外の位置に設置してもよい。
【0167】
(黄色蛍光体)
黄色蛍光体は、青色LEDの出射光の一部を吸収して、510〜600nmの波長域に発光ピークを持つ黄色光を出射する。このような黄色蛍光体としては、例えば、Y
3Al
5O
12:Ce
3+、Tb
3Al
5O
12:Ce
3+、(Y
0.8Gd
0.2)
3Al
5O
12:Ce、BaY
2SiAl
4O
12:Ce
3+、M
2SiO
4:Eu
2+(Mは、Ca、Sr、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。)、Lu
3Al
5O
12:Ce
3+(LAG)等が利用できる。また、必要に応じてCASNやSCASN等の赤色蛍光体を追加してもよい。
【0168】
(緑色蛍光体)
緑色蛍光体43は、青色LEDの出射光の一部を吸収して、500〜595nmの波長域に発光ピークを持つ緑色光を出射する。このような緑色蛍光体としては、例えばY
3Al
5O
12:Ce
3+、Tb
3Al
5O
12:Ce
3+、BaY
2SiAl
4O
12:Ce
3+、Ca
3Sc
2Si
3O
12:Ce
3+、(Ba,Sr)
2SiO
4:Eu
2+、CaSc
2O
4:Ce
3+、Ba
3Si
6O
12N
2:Eu
2+、β−SiAlON:Eu
2+、SrGa
2S
4:Eu
2+、LaSiN:Ce
3+、CaSi
2O
2N
2:Eu
2+、Lu
3Al
5O
12:Ce
3+(LAG)又はSrSi
2O
2N
2:Eu
2+等が挙げられる。
【0169】
(赤色蛍光体)
赤色蛍光体は、青色LEDの出射光の一部及び緑色蛍光体の出射光の一部の少なくとも一方を吸収して、600〜690nmの波長域に発光ピークを持つ赤色光を出射する。このような赤色蛍光体としては、例えばCa−α−SiAlON:Eu
2+、CaAlSiN
3:Eu
2+、(Sr,Ca)AlSiN
3:Eu
2+、Sr
2Si
5N
8:Eu
2+、Sr
2(Si,Al)
5(N,O)
8:Eu
2+、CaS:Eu
2+、La
2O
2S:Eu
3+、K
2SiF
6:Mn
4+等が挙げられる。
【0170】
(青色蛍光体)
青色蛍光体としては、発光のピーク波長が430〜460nmの範囲の蛍光体が用いられ、特に式(1)で表される組成を有するユーロピウム付活クロロ燐酸塩蛍光体を使用することが好ましい。
式(1):(Sr
1−x−y−zBa
xCa
yEu
z)
5(PO
4)
3・Cl
式中、x、y、及びzは0≦x<0.5、0≦y<0.1、0.005<z<0.1を満足する数である。
式(1)で表される組成を有する青色蛍光体は発光効率に優れた青色光を得ることができる。
【0171】
(量子ドット)
上記各種蛍光体(緑色、赤色及び青色)は、量子ドットであってもよい。量子ドットは、長径1〜100nm程度の粒子であり、離散的なエネルギー準位を有している。量子ドットのエネルギー状態はその大きさに依存するので、サイズを変えることにより自由に発光波長を選択することが可能となる。量子ドットは、例えば、12族元素と16族元素との化合物、13族元素と16族元素との化合物又は14族元素と16族元素との化合物であり、例えば、CdSe、CdTe、ZnS、CdS、InP、PbS、PbSe、CdHgTe等が挙げられる。量子ナノ材料として、量子ドットの他に量子ロッド等も用いることができる。
【0172】
液晶表示装置10には、画像直視型、画像投影型又は光変調型が含まれる。TFT(Thin Film Transistor)又はMIM(Metal Insulator Metal)のような3端子又は2端子半導体素子を用いたアクティブマトリックス液晶表示装置が本発明は有効である。もちろん時分割駆動と呼ばれるSTN(Super Twisted Nematic)モードに代表されるパッシブマトリックス液晶表示装置でも有効である。
【0173】
特開2010−102296号公報の段落128〜136に記載のIPS(In−PlaneSwitching)モードの液晶表示装置は本発明の液晶表示装置として好ましい。
【実施例】
【0174】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
【0175】
[
参考例101]
参考例101では、上記染料A及び/又は染料Bを含有する偏光板を作製して、その特性を評価した。
1.セルロースアセテートの合成
以下のようにして、アセチル置換度2.87、重合度370のセルロースアセテートを合成した。
セルロースに、触媒として硫酸(セルロース100質量部に対し7.8質量部)を添加し、アシル置換基の原料となる酢酸を添加して、40℃でアシル化反応を行った。アシル化後に40℃で熟成を行った。更にこのセルロースアセテートの低分子量成分をアセトンで洗浄し除去した。このようにして、上記のセルロースアセテートを合成した。
【0176】
2.エア側表層用ドープ101の調製
下記マット剤溶液2の1.3質量部と下記セルロースアシレート溶液1の98.7質量部とをインラインミキサーを用いて混合し、エア側表層用ドープ101液を調製した。
【0177】
<2−1:セルロースアシレート溶液1の調製>
各成分を下記に示す組成でミキシングタンクに投入し、攪拌して溶解し、セルロースアシレート溶液1を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液1の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.87、重合度370のセルロースアセテート
100.0質量部
スクロースベンゾエート(ベンゾイル置換度5.5)
6.0質量部
シグマ−アルドリッチ社製スクロースアセテートイソブチレート
4.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 353.9質量部
メタノール(第2溶媒) 89.6質量部
n−ブタノール(第3溶媒) 4.5質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0178】
<2−2:マット剤溶液2の調製>
各成分を下記に示す組成で分散機に投入し、攪拌して溶解し、マット剤溶液2を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液2の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、
日本アエロジル社製) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 69.3質量部
メタノール(第2溶媒) 17.5質量部
n−ブタノール(第3溶媒) 0.9質量部
上記セルロースアシレート溶液1 0.9質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0179】
3.基層用ドープ102(セルロースアシレート溶液3)の調製
各成分を下記に示す組成でミキシングタンクに投入し、攪拌して溶解し、基層用ドープ102を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
基層用ドープ102の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.87、重合度370のセルロースアセテート
100.0質量部
スクロースベンゾエート(ベンゾイル置換度5.5)
6.0質量部
シグマ−アルドリッチ社製スクロースアセテートイソブチレート
4.0質量部
下記紫外線吸収剤C 2.0質量部
染料A(FDB−007) 0.033質量部
染料B(FDG−006) 0.33質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 297.7質量部
メタノール(第2溶媒) 75.4質量部
n−ブタノール(第3溶媒) 3.8質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0180】
染料A(FDB−007)は、メロシアニン系染料であり、主吸収波長帯域は480〜510nmに存在する。
染料B(FDG−006)は、テトラアザポルフィリン系染料であり、主吸収波長帯域は580〜610nmに存在する。
染料A及びBは山田化学工業社の市販品を用いた。
【0181】
【化23】
【0182】
4.支持体側表層用ドープ103の調製
エア層側表層用ドープ101において作製した、マット剤溶液2の1.3質量部と、セルロースアシレート溶液1の99.3質量部とを、インラインミキサーを用いて混合し、支持体側表層用ドープ103を調製した。
【0183】
5.偏光板保護フィルムの作製
図4は、ドラム流延装置を用いて3層構造の偏光板保護フィルムを製造する方法を説明する図である。
図4において、89は流延ダイを示し、70はドープを流延した流延膜を示す。
図4に示すドラム流延装置を用い、
図4中の122が支持体側表層用ドープ103、120が基層用ドープ102、121がエア側表層用ドープ101となるようにして、3層同時に、ステンレス製の流延支持体85(支持体温度−9℃)に、流延ダイ89に設けられた流延口から均一に流延した。各層のドープ中の残留溶媒量が略70質量%の状態で剥ぎ取り、フィルムの幅方向の両端をピンテンターで固定し、残留溶媒量が3〜5質量%の状態で、横方向に1.28倍延伸しつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、更に乾燥し、偏光板保護フィルム101を得た。得られた偏光板保護フィルム101の厚みは60μm(エア側表層(
図4中の121a)3μm、基層(
図4中の120a)54μm、支持体側表層(
図4中の122a)3μm)、幅は1480mmであった。
【0184】
6.染料を含有しないセルロースアシレートフィルム(偏光板保護フィルム)の作製
<1−1:セルロースアシレートフィルム001の調製>
(コア層ドープ溶液001Aの調製)
各成分を下記に示す組成でミキシングタンクに投入し、撹拌して溶解し、コア層ドープ溶液001Aを調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――
コア層ドープ溶液001Aの組成
――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.88のセルロースアセテート 100質量部
エステルオリゴマーA 12質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 430質量部
メタノール(第2溶剤) 64質量部
――――――――――――――――――――――――――――――
【0185】
エステルオリゴマーAの組成
1、2−CHA;1,2−シクロヘキシルジカルボン酸 50モル%
エチレングリコール 50モル%
また、エステルオリゴマーAの数平均分子量は750である。
【0186】
(スキン層ドープ溶液の調製)
90質量部の上記コア層ドープ001Aに下記のマット剤溶液を10質量部加え、スキン層ドープ溶液を調製した。
【0187】
――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液の組成
――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子
(AEROSIL R972、日本アエロジル社製)
2質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 76質量部
メタノール(第2溶剤) 11質量部
コア層ドープ001A 1質量部
――――――――――――――――――――――――――――――
【0188】
(流延)
上記で調製したドープ溶液を用いて、バンド流延機により流延した。
図4中の120がコア層ドープ溶液301A、122と121がマット剤を含有するスキン層ドープ溶液となるようにして、共流延した。ここで、各ドープの流延量を調整することにより、コア層を最も厚くし、結果的に乾燥後のフィルムの膜厚としてコア層が21μm、スキン層が各2μmとなるように同時多層共流延した流延膜を形成した。
溶剤含有率略20質量%の状態で剥ぎ取り、フィルムの幅方向の両端をテンタークリップで固定し、横方向に1.1倍延伸しつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、更に乾燥し、セルロースアシレートフィルム(偏光板保護フィルム)001を作製した。
【0189】
7.偏光板保護フィルムの鹸化処理
作製した偏光板保護フィルム101を、2.3mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で3分間浸漬した。室温(25℃)の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、更に100℃の温風で乾燥した。このようにして、偏光板保護フィルム101について表面の鹸化処理を行った。
偏光板保護フィルム001についても同様にして鹸化処理を行った。
【0190】
8.偏光子の作製
厚さ80μmのポリビニルアルコール(PVA)フィルムを、ヨウ素濃度0.05質量%のヨウ素水溶液中に30℃で60秒浸漬して染色し、次いでホウ酸濃度4質量%のホウ酸水溶液中に60秒浸漬している間に元の長さの5倍に縦延伸した後、50℃で4分間乾燥させて、厚さ19μmの偏光子を得た。
【0191】
9.偏光板の製造
鹸化処理した偏光板保護フィルム101を、ポリビニルアルコール系接着剤(染料無含有)を用いて、偏光子の片側に貼り付け、更に偏光板保護フィルム101を貼り合わせたのと反対側の面に偏光板保護フィルム001を貼り合わせた。この際、偏光子101及び001の透過軸それぞれと偏光板保護フィルム001の遅相軸が平行、及び偏光子の透過軸それぞれと偏光板保護フィルムの遅相軸が垂直となるように、配置した。このようにして
参考例101の偏光板101を作製した。
【0192】
10.液晶表示装置の製造
市販の液晶表示装置U2417H(商品名、DELL社製)の液晶パネルを取り出してバックライト側の偏光板を剥がし、代わりに
参考例の偏光板101を、粘着剤を介して貼り付けた。こうして、
参考例の液晶表示装置101を製造した。
なお、U2417Hの光源は、青色LEDと緑色蛍光体及び赤色蛍光体とを組み合わせた白色LEDが使用されていた。
【0193】
[
参考例102〜104及び比較例201]
1.偏光板保護フィルム
102〜104及び201の作製
偏光板保護フィルム101の作製において、上記染料Aの種類及び添加量、又は、上記染料Bの種類及び添加量を下記表1に記載した通りに変更した以外は、偏光板保護フィルム101の作製と同様にして、
参考例102〜104及び比較例201の偏光板保護フィルム
102〜104及び201を、それぞれ、作製した。
参考例103及び104に用いた染料(A−1)は、メチン系染料であり、その化学構造を以下に示す。この染料の主吸収波長帯域は480〜510nmに存在する。
【0194】
【化24】
【0195】
2.偏光板の製造
参考例101において、偏光板保護フィルム101の代わりに表1に記載のものを用いた以外は、
参考例101と同様にして、偏光板
102〜104及び201を、それぞれ、製造した。
【0196】
3.液晶表示装置の製造
上記液晶表示装置101の製造において、偏光板101を偏光板102〜104又は201に変更したこと以外は、液晶表示装置101の製造と同様にして、液晶表示装置102〜104及び201を、それぞれ、製造した。
【0197】
[偏光板保護フィルム、偏光板及び液晶表示装置の評価]
1.染料A及びBの、偏光板保護フィルム1m
2当たりの含有量
上記のようにして作製した各偏光板保護フィルムにおいて、染料A及びBの、偏光板保護フィルム1m
2当たりの含有量(表1において「添加量(g/m
2)」と表記する。)を表1示す。
【0198】
2.吸光度の測定
上記のようにして作製した各偏光板保護フィルム101〜104について、分光光度計UV−3150(商品名、島津製作所製)により、波長200〜700nmの吸光度を測定した。波長480nmと580nmにおける吸光度を表1に示す。
【0199】
3.10%値幅の測定
上記のようにして作製した各偏光板保護フィルムにおいて、後述する偏光板保護フィルム801と同様にして、上記ポリマー中の染料A及び染料Bそれぞれの10%値幅を求めた。その結果を以下に示す。
偏光板保護フィルム101:染料A 3880cm
−1、染料B 3820cm
−1
偏光板保護フィルム102:染料B 3820cm
−1
偏光板保護フィルム103:染料A 5180cm
−1、染料B 3820cm
−1
偏光板保護フィルム104:染料A 5180cm
−1、染料B 3820cm
−1【0200】
4.色再現域の評価
作製した液晶表示装置で赤色、緑色及び青色を全画面表示し、それぞれの色度を、分光放射計:SR−UL2(商品名、トプコンテクノハウス社製)を用いて、測定した。測定された赤色、緑色及び青色の色度点を、CIE表色系xy色度図上で結んで作られる三角形が、DCI−P3規格の3原色点を結んで作られる三角形と重なる部分の面積を求め、DCI−P3規格の3原色点を結んで作られる三角形の面積で除して、DCI−P3規格に対するカバー率(%)を算出した。結果を表1に示す。
なお、CIE表色系xy色度図において、DCI−P3規格の3原色点はそれぞれ以下の通りである。
赤:x=0.680、y=0.320
緑:x=0.265、y=0.690
青:x=0.150、y=0.060
【0201】
【表1】
【0202】
表1の結果から、
参考例の偏光板101〜104は、いずれも、染料を含有しない偏光板保護フィルムを備えた比較例の偏光板201に対して、DCI−P3規格に対するカバー率が増大しており、バックライト光の色再現域を拡大する効果を奏することが分かる。
【0203】
[液晶表示装置における連続点灯時の信頼性(耐候性)の評価]
1.比較例401
本例は、特許文献1の実施例1における隠蔽コーティング層に対応する比較実験例であり、この比較実験例では液晶表示装置を長期間点灯すると画質が低下することを示す例である。
アクリルバインダーポリマーとしてSoken社のGS1000(商品名)を35質量部、溶媒としてメチルエチルケトン(MEK)を50質量部、及びビーズとしてSoken社のMX−500(商品名)を15質量部混合した後、これに染料として山田化学工業社製のFDB−007を上記混合物100質量部に対して0.71質量部、同FDG−006を同じく7.12質量部の量で添加して染料含有のコーティング組成物を製造した。拡散フィルム(商品名:ライトアップSXE100、(株)きもと社製)の一面に、上記染料含有コーティング組成物を、メイヤーバー(Mayer bar)を用いてコーティングし、乾燥及び硬化して染料が含有された隠蔽コーティング層を厚さ5μmに形成した。
【0204】
上記得られた拡散フィルムを上拡散板として、隠蔽コーティング層が水平プリズムシートを向くよう、市販の液晶表示装置(商品名:U2417H、DELL社製)に導入して比較例の液晶表示装置401を製造した(特許文献1の
図3A参照)。
【0205】
2.
参考例301
上記市販の液晶表示装置のバックライト側の偏光板を剥がし、代わりに
参考例101で作製した偏光板101を、粘着剤を介して貼り付けた。こうして
参考例の液晶表示装置301を作製した。
【0206】
上記のようにして作製した
参考例の液晶表示装置301及び
比較例の液晶表示装置401を連続して点灯し、画質の変化を確認したところ、
参考例の液晶表示装置301は比較例の液晶表示装置401に対して赤及び緑の彩度の低下が小さく好ましいことが分かった。
【0207】
[参考例501、
参考例601及び比較例701]
1.染料含有フィルム001Aの作製
以下のようにして、染料含有フィルム(色素フィルターともいう。)001Aを作製した。
<シクロオレフィン系ポリマーAの合成>
8−メトキシカルボニル−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.1
2,5.1
7,10]−3−ドデセン72.5質量部、ジシクロペンタジエン27.5質量部、分子量調節剤の1−へキセン5.6質量部及びトルエン200質量部を、窒素置換した反応容器に仕込み、80℃に加熱した。これにトリエチルアルミニウム(0.6モル/L)のトルエン溶液0.18ml、メタノール変性WCl
6のトルエン溶液(0.025モル/L)0.58mlを加え、80℃で3時間反応させることにより重合体を得た。次いで、得られた開環共重合体溶液をオートクレーブに入れ、更にトルエンを200質量部加えた。水添触媒であるRuHCl(CO)[P(C
6H
5)]
3をモノマー仕込み量に対して2500ppm添加し、水素ガス圧を9−10MPaとし、160−165℃にて3時間の反応を行った。反応終了後、多量のメタノール溶液に沈殿させることにより水素添加物(シクロオレフィン系ポリマーA)を得た。得られた開環重合体の水素添加物は、重量平均分子量(Mw)=119×10
3、分子量分布(Mw/Mn)=3.1であった。
【0208】
<微粒子分散液>
・微粒子(アエロジル R812 日本アエロジル社製) 11質量部
・エタノール89質量部
上記成分をディゾルバーで50分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散して、微粒子分散液を調製した。
【0209】
<微粒子添加液>
・メチレンクロライド 99質量部
・シクロオレフィン系ポリマーA 4質量部
・微粒子分散液 11質量部
メチレンクロライドを入れた溶解タンクにシクロオレフィン系ポリマーAを添加し、加熱して完全に溶解させた後、充分に攪拌しながら、ここに微粒子分散液をゆっくりと添加し、アトライターにて分散を行った。これを日本精線社製のファインメットNFでろ過し、微粒子添加液を調製した。
【0210】
<主ドープ液>
シクロオレフィン系ポリマーAを用い、下記組成の主ドープ液を調製した。
<主ドープ液の組成>
・メチレンクロライド 67.2質量部
・メタノール 2.8質量部
・シクロオレフィン系ポリマーA 30質量部
・染料B:山本化成社製PD−311F 0.0088質量部
ここで、染料B:PD−311Fは、テトラアザポルフィリン系染料(化学構造を下記に示す。)であり、主吸収波長帯域は580〜610nmに存在する。
<PD−311Fの化学式>
【0211】
【化25】
【0212】
まず、加圧溶解タンクにメチレンクロライドとメタノールを添加した。溶剤の入った加圧溶解タンクにシクロオレフィン系ポリマーAを攪拌しながら投入した。これを加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し、更に染料B(PD−311F)を添加して溶解させ、主ドープ液を調製した。
【0213】
主ドープ液100質量部に微粒子添加液を2質量部加えて、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機Hi−Mixer、SWJ)で十分に混合し、次いでベルト流延装置を用い、幅2mのステンレスバンド支持体に均一に流延した。
得られたウェブ(フィルム)で、残留溶剤量が110質量%になるまで溶剤を蒸発させ、ステンレスバンド支持体から剥離した。剥離後に張力をかけて縦延伸倍率が2%となるように延伸した。
次いで、フィルムの残留溶剤量が1質量%未満となるまで乾燥させた後、更にテンターを用いてフィルム搬送方向に直交する方向へ165℃で、35%延伸した。
なお、残留溶剤量は下記の式にしたがって求めた。
残留溶剤量(質量%)={(M−N)/N}×100
ここで、Mはウェブの任意時点での質量、NはMを測定したウェブを120℃で2時間乾燥させた時の質量である。
以上により、幅1.5m、かつ端部に幅1cm、高さ8μmのナーリングを有する膜厚35μm、Rthが121nmの染料含有フィルム001Aを作製した。
得られた染料含有フィルム001Aにおいて、染料B:PD−311Fの含有量は、染料含有フィルム001Aを構成するポリマーに対して0.029質量%であり、偏光板保護フィルム1m
2当たり0.011gであった。
染料含有フィルム001Aについて、偏光板保護フィルム101と同様にして、染料Bのポリマー中の10%値幅を求めた。その結果、染料Bの10%値幅は2300cm
−1であった。
【0214】
2.偏光板保護フィルム501の作製
上記染料含有フィルム001Aの作製において、染料Bを添加しなかったこと以外は染料含有フィルム001Aと同様にして偏光板保護フィルム501を作製した。
【0215】
(参考例501:粘着剤つき偏光板の作製)
1.偏光子の作製
平均重合度約2400、ケン化度99.9モル%以上のポリビニルアルコールからなる厚み75μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の純水に浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の質量比が0.02/2/100の水溶液に30℃で浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の質量比が12/5/100の水溶液に56.5℃で浸漬した。
引き続き、8℃の純水で洗浄した後、65℃で乾燥して、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素が吸着配向された偏光子を得た。延伸は、主に、ヨウ素染色及びホウ酸処理の工程で行い、トータル延伸倍率は5.3倍であった。
【0216】
2.水系接着剤組成物の調製
アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール(日本合成化学工業社製ゴーセファイマー Z−200(商品名)、4%水溶液の粘度:12.4mPa・sec、ケン化度:99.1モル%)を純水に溶解し、10%濃度の水溶液を調製した。このアセトアセチル基変性ポリビニルアルコール水溶液と、架橋剤となるグリオキシル酸ナトリウムとを、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール水溶液:架橋剤の固形分質量比が1:0.1となるように混合し、更に水100部に対してアセトアセチル基変性ポリビニルアルコールが2.5部となるように純水で希釈して、水系接着剤組成物を調製した。
【0217】
3.貼り合わせ
上記偏光板保護フィルム501の外層側に、VETAPHONE社製VE1A−Aを用いて400W・min/m
2の条件でコロナ放電照射を施し、上記で作製した水系接着剤組成物を使用して、上記の偏光子の片面に貼り合わせた。偏光子のもう一方の面には、鹸化処理されたトリアセチルセルロースフィルムを貼り合せて、偏光板501を作製した。
上記鹸化処理されたトリアセチルセルロースフィルムは、以下のようにして作製した。フジタックTD80UL(富士フイルム社製)を37℃に調温した4.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液(けん化液)に1分間浸漬した後、フィルムを水洗し、その後、0.05mol/Lの硫酸水溶液に30秒浸漬し、更に水洗浴を通した。そして、エアナイフによる水切りを3回繰り返し、水を落とした後に70℃の乾燥ゾーンに15秒間滞留させて乾燥し、鹸化処理したトリアセチルセルロースフィルムを作製した。
【0218】
4.粘着剤塗工液501の調製
下記に示す成分を下記に示す組成で混合して、粘着剤塗工液501を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
粘着剤塗工液501の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――
総研化学社製SKダインSF−2147 100.0質量部
イソシアネート系架橋剤(TD−75:トリレンジイソシアネートの
トリメチロールプロパン付加体:綜研化学社製) 0.04質量部
染料B:山本化成社製PD−311F 0.07質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
【0219】
5.粘着剤層の作製
上記で作製した偏光板501における偏光板保護フィルム501の表面上にダイコート法によって粘着剤塗工液501を塗布し、更に厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムをかぶせたのち、120℃で3分間乾燥し、厚み21μmの染料含有粘着剤層を作製した。
次に、上記ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がし、ポリエチレンテレフタレートフィルムが貼り合わされていた面をガラス板に貼り合わせて、耐光性試験用サンプル501を作製した。
この耐光性試験用サンプル501は、ガラス板上に染料含有粘着剤層を介して、偏光板(染料無含有の偏光板保護フィルム501/偏光子/染料無含有偏光板保護フィルム)を積層した構成を有している。
【0220】
参考例601:粘着剤つき偏光板の作製
参考例501の粘着剤つき偏光板の作製において、偏光板保護フィルム501を染料含有フィルム001Aに変更し、更に粘着剤塗工液501から染料B:PD−311Fを除去した以外は、参考例501の粘着剤つき偏光板の作製と同様にして、
参考例の粘着剤つき偏光板601、並びに耐光性試験用サンプル601を作製した。
この耐光性試験用サンプル601は、ガラス板上に染料無含有の粘着剤層を介して、偏光板(染料含有フィルム001A/偏光子/染料無含有偏光板保護フィルム)を積層した構成を有している。
【0221】
比較例701:耐光性試験用サンプル701の作製
参考例501の粘着剤つき偏光板の作製において、偏光板501を染料含有フィルム001Aに変更し、更に粘着剤塗工液501から染料B:PD−311Fを除去した以外は、参考例501の粘着剤つき偏光板の作製と同様にして、比較例の耐光性試験用サンプル701を作製した。
この耐光性試験用サンプル701は、ガラス板上に染料無含有の粘着剤層を介して染料含有フィルム001Aを積層した構成を有している。
【0222】
<耐光性の評価>
島津製作所製の分光光度計UV−3150により、耐光性試験用サンプルのガラス側から光を入射させ、各耐光性試験用サンプルの波長400〜800nmの範囲における吸光度を1nmごとに測定し、吸収極大波長を求め、吸収極大波長における吸光度と波長800nmにおける吸光度の差を染料吸光度と定義した。
次に、各耐光性試験用サンプルをスガ試験機社製のスーパーキセノンウェザーメーターSX75で、60℃、相対湿度50%の環境下において200時間光を照射した後に、上記と同様にして波長400〜800nmの範囲における吸光度を1nmごとに測定し光照射後の染料吸光度を求め、以下の式により吸光度残存率を算出した。結果を表2に示す。
吸光度残存率(%)=(200時間照射後の吸光度差)/(照射前の吸光度差)×100
【0223】
【表2】
【0224】
表2の結果から、耐光性試験サンプル501及び601は、染料含有フィルム001Aを偏光板に組み込んでない比較例の耐光性試験サンプル701に対して、吸光度残存率が高く、耐光性に優れていることが分かる。
参考例の耐光性試験サンプル601は耐光性試験サンプル501に対して更に吸光度残存率が高く特に好ましい。
【0225】
実施例801〜805及び比較例901
本例では、偏光板保護フィルムを作製して耐光性し、次いで偏光板及び液晶表示装置を製造して色再現域及び輝度を評価した。
<偏光板保護フィルムの作製>
染料含有フィルム001Aの作製において、染料の種類及び添加量を表4に記載の通りに変更した以外は、染料含有フィルム001Aの作製と同様にして、本発明の偏光板保護フィルム801〜805及び比較例の偏光板保護フィルム901を作製した。
【0226】
参考例811
<偏光板保護フィルム811の作製>
以下のようにして、偏光板保護フィルム811を作製した。
1.セルロースアシレートフィルム811Aの調製
(コア層ドープ溶液811Aの調製)
各成分を下記に示す組成でミキシングタンクに投入し、撹拌して溶解し、コア層ドープ溶液811Aを調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
コア層ドープ溶液811Aの調製
―――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアセテート(アセチル置換度2.43) 100質量部
添加剤1(下記のオリゴマー1) 4質量部
添加剤2(下記の化合物P−5) 7.5質量部
染料B:上記例示色素3−41 0.0168質量部
メチレンクロライド 394.0質量部
メタノール 59.0質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
【0227】
− オリゴマー1 −
下記モル比のテレフタル酸及びコハク酸のジカルボン酸と、下記モル比のエチレングリコール及びプロピレングリコールのジオールとを反応させた後、末端封止してオリゴマー1を得た。原料であるジカルボン酸及びジオールそれぞれの種類及びモル比(仕込み比)、並びに、得られたオリゴマー1の末端封止構造及び分子量は表3の通りである。
【0228】
【表3】
【0229】
【化26】
【0230】
2.スキン層ドープ溶液の調製
各成分を下記に示す組成でミキシングタンクに投入し、撹拌して溶解し、スキン層ドープ溶液を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
スキン層ドープ溶液の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアセテート(アセチル置換度2.81) 100質量部
染料B:上記例示色素3−41 0.016質量部
メチレンクロライド 425.0質量部
メタノール 63.0質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
【0231】
3.マット剤溶液の調整
各成分を下記に示す組成で分散機に投入し、撹拌して溶解し、マット剤分散液M1を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤分散液M1の調製
―――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子 2.0質量部
(AEROSIL(登録商標)R972、日本アエロジル社製)
メチレンクロリド 76.1質量部
メタノール 11.4質量部
上記で調製したスキン層ドープ溶液 12.6質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
【0232】
4.マット剤を含有するスキン層ドープ溶液の調製
上記にて調製したスキン層ドープ溶液に、マット剤分散液M1を以下に示した割合で混合し、マット剤を含有するスキン層ドープ溶液を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
スキン層ドープ溶液の調製
―――――――――――――――――――――――――――――――――
スキン層ドープ溶液 100.0質量部
マット剤分散液M1 7.1質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
【0233】
5.流延
上記で調製したドープ溶液を用いて、バンド流延機により流延した。
図4中の120がコア層ドープ溶液811A、122と121がマット剤を含有するスキン層ドープ溶液となるようにして、共流延した。ここで、各ドープの流延量を調整することにより、コア層を最も厚くし、結果的に延伸後のフィルムの膜厚としてコア層が40μm、スキン層が各2μmとなるように同時多層共流延した流延膜を形成した。
【0234】
次に、この流延膜をバンド85から剥ぎ取り、湿潤フィルムとした後、渡り部及びテンターで乾燥させた。なお、ドープを剥ぎ取った直後の湿潤フィルムの残留溶媒量は約25質量%であった。湿潤フィルムを乾燥室に送り、多数のローラに巻き掛けながら搬送する間に乾燥を十分に促進させ、流延して得られたフィルムとした。
【0235】
6.延伸
流延して得られたフィルムを、クリップで把持し、固定端一軸の条件で横方向に延伸した。延伸温度は185℃、延伸率は31%とした。
【0236】
7.湿熱処理
延伸処理を経た各フィルムに、結露防止処理、湿熱処理(水蒸気接触処理)及び熱処理を順次行った。
結露防止処理では、各フィルムに乾燥空気を当てて、フィルム温度Tf0を120℃に調節した。
湿熱処理(水蒸気接触処理)では、湿潤気体接触室内の湿潤気体の絶対湿度(湿熱処理絶対湿度)が250g/m
3となるようにした。また、湿潤気体の露点は、各フィルムの温度Tf0よりも10℃以上高い温度となるように調節した。このようにして、各フィルムの温度(湿熱処理温度)が100℃となる状態を、処理時間(60秒)だけ維持しながら、各フィルムを搬送した。
熱処理では、熱処理室内の気体の絶対湿度(熱処理絶対湿度)を0g/m
3とし、各フィルムの温度(熱処理温度)を湿熱処理温度と同じ温度に設定して、処理時間(2分)だけ維持した。フィルム表面温度は、テープ型熱電対表面温度センサー(安立計器社製STシリーズ)をフィルムに3点貼り付け、それぞれの平均値から求めた。
【0237】
8.巻き取り
その後、室温まで冷却した後でフィルムを巻き取った。このようにして作製したセルロースアシレートフィルム811A中の各層の厚みは、コア層が40μm、スキン層が各2μmであった。
【0238】
比較例911
<偏光板保護フィルム911の作製>
偏光板保護フィルム811の作製において、染料を添加しなかったこと以外は偏光板保護フィルム811の作製と同様にして、比較例の偏光板保護フィルム911を作製した。
【0239】
<偏光板保護フィルム801〜805、811、901及び911の評価>
以下の方法により作製した各偏光板保護フィルムの吸収極大波長、10%値幅、耐光性を測定し、その結果を表4に示した。
【0240】
1.吸収極大波長及び10%値幅
島津製作所製の分光光度計UV−3150により偏光板保護フィルム801〜805、811、901及び911の、400nmから800nmの波長範囲における吸光度1nmごとに測定した。偏光板保護フィルム801〜805については各波長における吸光度と、染料を含有しない偏光板保護フィルム901の吸光度との吸光度差を算出し、上記吸光度差が最大となる波長を吸収極大波長と定義した。更に、上記吸光度差の最大値に対して10%の吸光度差を与える二つの波数を読み取り、波数が大きい側から、ν1、ν2とした。以下の式により波数(cm
−1)単位で表わされる10%値幅を算出した。
10%値幅(cm
−1)=ν1−ν2
また、偏光板保護フィルム811についても、染料を含有しない偏光板保護フィルム911の吸光度との吸光度差を算出し、同様にして吸収極大波長及び10%値幅を求めた。
なお、染料Aと染料Bを含む実施例804及び805の偏光板保護フィルムについては、染料Aと染料Bのそれぞれに対応した吸収極大波長及び10%値幅を求めた。
【0241】
2.耐光性
作製した各偏光板保護フィルムを、スガ試験機社製スーパーキセノンウェザーメーターSX75で、60℃、相対湿度50%の環境下において20時間光を照射した後に、吸収極大波長における上記吸光度差を測定し、以下の式により吸光度残存率を算出した。
本試験において、吸光度残存率は50%以上であれば、耐光性に優れるといえる。
吸光度残存率(%)=(20時間照射後の吸光度差)/(照射前の吸光度差)×100
【0242】
【表4】
【0243】
表4に示される結果から、マトリックスポリマーとしてシクロオレフィン系ポリマーを用いた偏光板保護フィルム801〜805は、セルロースアセテートを用いたインナー偏光板保護フィルム811に対して、更に高い耐光性を示した。ここで、インナー偏光板保護フィルムとは、液晶表示装置に組み込んだ際に偏光子に対して液晶セルに近い側に配置される偏光板保護フィルムをいう。
なお、本例では、耐光性を偏光板保護フィルム単独で評価したが、この評価結果は、偏光板保護フィルムを偏光子又は液晶表示装置に組み込んで評価した結果と同じ結果を与える。
【0244】
<偏光板の作製及び液晶表示装置の製造>
1.偏光板の作製
上記偏光板501の作製において、偏光板保護フィルム501の代わりに本発明の偏光板保護フィルム802〜805、及び比較例の偏光板保護フィルム901を用いたこと以外は偏光板501の作製と同様にして本発明の粘着剤つき偏光板802〜805、及び比較例の偏光板901を作製した。
【0245】
2.液晶表示装置の作製
市販の液晶テレビ(JS7000FXZA、Samsung社製)のバックライトユニットから色素フィルターを取り出した。更に、バックライト側の偏光板を剥がし、代わりに本発明の偏光板802を、粘着剤を介して貼り付けた。こうして本発明の液晶表示装置802を製造した。
液晶テレビJS7000FXZAの光源は、青色LEDと緑色蛍光体及び赤色蛍光体とを組み合わせた白色LEDが使用されていた。
上記液晶表示装置802と同様にして、本発明の偏光板803〜805及び比較例の偏光板901を液晶テレビJS7000FXZAに組み込んで、液晶表示装置803〜805及び901を、それぞれ、製造した。
【0246】
<色再現域、輝度の評価>
作製した液晶表示装置で白色、赤色、緑色及び青色を全画面表示し、白表示の輝度、並びに、赤色、緑色及び青色それぞれの色度を、分光放射計:SR−UL2(商品名、トプコンテクノハウス社製)を用いて、測定した。測定された赤色、緑色及び青色の色度点をCIE表色系xy色度図上で結んで作られる三角形が、DCI−P3規格の3原色点を結んで作られる三角形と重なる部分の面積を求め、DCI−P3規格の3原色点を結んで作られる三角形の面積で除して、DCI−P3規格に対するカバー率(%)を算出した。結果を表5に示す。
なお、CIE表色系xy色度図において、DCI−P3規格の3原色点はそれぞれ以下の通りである。
赤:x=0.680、y=0.320
緑:x=0.265、y=0.690
青:x=0.150、y=0.060
【0247】
また、本発明の偏光板802〜805を組み込んだ液晶表示装置802〜805の白色表示における輝度を、色素を含有しない比較例901の偏光板901を使用した液晶表示装置901の白表示における輝度で除した値を、液晶表示装置802〜805の相対輝度とした。結果を表5に示す。
【0248】
【表5】
【0249】
表5の結果から、偏光板802〜805を用いた液晶表示装置802〜805は、いずれも、偏光板901を用いた液晶表示装置901に対して、高い色再現域を示すことが分かる。また、本発明の偏光板保護フィルムを用いた液晶表示装置802及び803は、製品(液晶テレビJS7000FXZA)と同じ色域の比較で、製品に対して輝度が高く好ましい。また、染料Bに加えて染料Aを添加した本発明の偏光板保護フィルム804及び805を用いた液晶表示装置804及び805は製品に対して同じ輝度で色域が広く好ましいことが分かる。
【0250】
上記実施例
、参考例及び比較例の結果により、偏光子の表面に接着層を介して厚さ20μm以上の偏光板保護フィルムを積層した積層構成とし、更にこの積層体のいずれかの構成層に特定の波長帯域の光を吸収する上記染料を含有させた偏光板、及び、この偏光板を備えた液晶表示装置は、広い色再現域と高い耐光性とを有することが示された。
【0251】
本発明をその実施態様とともに説明したが、我々は特に指定しない限り我々の発明を説明のどの細部においても限定しようとするものではなく、添付の請求の範囲に示した発明の精神と範囲に反することなく幅広く解釈されるべきであると考える。
【0252】
本願は、2016年10月5日に日本国で特許出願された特願2016−197613に基づく優先権を主張するものであり、これはここに参照してその内容を本明細書の記載の一部として取り込む。