(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、一般の家庭の水道水で野菜を洗浄して得られるカットキャベツと同等のシャキシャキした食感と良好な風味を有するカットキャベツの製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、前記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた。
その結果、ホールキャベツを特定の液温に調整した殺菌液に接液させて殺菌することにより、意外にも、カット後にもシャキシャキした食感と良好な風味を有すること、また、前記殺菌工程を行うことにより、保存後の一般生菌数が極力低く抑制されており、従来の製造方法で得られるカットキャベツの保存後の一般生菌数と比較し、よりよい状態のカットキャベツが得られることを突き止めた。さらに、カット後の殺菌の有無に関わらず、上記の効果が得られることも見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1)ホールキャベツを殺菌する工程とカット工程を含むカットキャベツの製造方法において、
前記殺菌工程が、下式から求められるaが12以上100以下の殺菌温度・殺菌時間、
かつ、前記殺菌温度が70℃以下であり、
下記(A)〜(C)の水溶液のいずれか一種に接液して殺菌する殺菌工程とカット工程を含む、
カットキャベツの製造方法、
式 a=(b-45)×c b:殺菌温度(℃) c:殺菌時間(分)
(A)有効塩素濃度が70ppm以上250ppm以下である、次亜塩素酸ナトリウム水溶液
(B)pH3以上5以下である、有機酸水溶液
(C)過カルボン酸濃度が30ppm以上60ppm以下である、過カルボン酸水溶液
(2)前記殺菌工程後に、切断部分に清水を注ぎながらカットを行う前記カット工程を含む、
(1)記載のカットキャベツの製造方法、
(3)前記カット工程後に、カット後殺菌工程およびすすぎ工程を経て容器詰めを行う、
(1)又は(2)記載のカットキャベツの製造方法、
である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、カットキャベツとした後にも一般の家庭の水道水で野菜を洗浄して得られるカットキャベツと同等のシャキシャキした食感と良好な風味を有するカットキャベツを提供することができる。また、キャベツをカット後の殺菌の有無に関わらず、保存後の一般生菌数を極力低く抑制することが可能となる。よって、カットキャベツの品位向上と需要拡大に貢献できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において「%」は「質量%」を意味する。
【0010】
<本発明の特徴>
本発明は、キャベツを、一定の範囲の液温に調整した特定の殺菌液に浸漬して殺菌を行うことにより、カットキャベツとした後にもシャキシャキした食感と良好な風味を有するカットキャベツが得られることに特徴を有する。
【0011】
<ホールキャベツを殺菌する工程>
本発明は、ホールキャベツを殺菌する工程において、ホールキャベツを殺菌液に接液させて殺菌する。ホールキャベツを後述する条件で十分に殺菌することにより、カット後の殺菌を行わない場合でも保存後の一般生菌の増殖が抑制されるとともに、シャキシャキした食感と良好な風味を有するカットキャベツが得られる。
ここで、殺菌の対象となる一般生菌としては、代表的には土壌由来の雑菌であって、キャベツに付着してその鮮度を低下させる菌等を挙げることができる。
ホールキャベツを殺菌液に接液させる方法としては、ホールキャベツを浸漬すること、殺菌液をホールキャベツにスプレーすること等を挙げることができる。ここで、ホールキャベツとしては、ホール状から突出している芯等の不可食部を取り除いたものを適用することができ、殺菌工程の前に予め水洗しておいてもよい。
【0012】
<殺菌温度および殺菌時間>
本発明においては、殺菌温度および殺菌時間を特定の条件に調整して用いることが重要である。具体的には、下式から求められるaが12以上100以下、好ましくは17以上77以下、より好ましくは40以上77以下、さらに好ましくは50以上75以下がよい。
式 a=(b-45)×c b:殺菌温度(℃) c:殺菌時間(分)
aが12未満であると、キャベツの殺菌が不十分となり、保存時の菌の増殖抑制が不十分なものとなる。もしくは、カット後に高濃度の殺菌液を用いた殺菌工程や長時間の殺菌工程が必要なため、カットキャベツのシャキシャキした食感や良好な風味が得られない。aが100超であると、キャベツの外側に熱ダメージが加わってキャベツが柔らかくなり、シャキシャキした食感または風味が弱くなる。加えて、熱ダメージを受けた外側の組織から浸出液が生じやすくなり、保存時の菌の増殖抑制が不十分なものとなる。
【0013】
<殺菌温度>
本発明においては、殺菌温度を特定の温度に調整する必要があり、具体的には、70℃以下、好ましくは65℃以下であるとよい。殺菌温度が70℃を超えると、キャベツの外側に熱ダメージが加わってキャベツが柔らかくなり、シャキシャキした食感または風味が弱くなる。加えて、熱ダメージを受けた外側の組織から浸出液が生じやすくなり、保存時の菌の増殖抑制が不十分なものとなる。
【0014】
<水溶液>
殺菌工程で用いる水溶液は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液、有機酸水溶液、過カルボン酸水溶液のいずれか一種を選択して用いる。
【0015】
<カットキャベツ>
カットキャベツは、例えば、寒玉系キャベツ、春系キャベツ、高原キャベツ、グリーンボールキャベツ、紫キャベツ、芽キャベツ等のキャベツに細断等のカットを施したものである。
【0016】
<次亜塩素酸ナトリウム水溶液の有効塩素濃度>
次亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いる場合、有効塩素濃度を70ppm以上250ppm以下であり、70ppm以上220ppmであるとよい。有効塩素濃度が前記範囲より低い場合は殺菌効果が不十分となり、前記範囲より高い場合は植物細胞へのダメージが大きくなる。
本発明において、次亜塩素酸ナトリウム水溶液は、次亜塩素酸ナトリウムを水溶液に溶解したもの、高濃度(例えば12%)の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を希釈したもの、食塩水を電解して得られる電界次亜水を用いる。
【0017】
<次亜塩素酸ナトリウム水溶液のpH>
次亜塩素酸ナトリウム水溶液のpHは7.0以上9.3以下であり、さらに8.5以上9.2以下であるとよい。pHが前記範囲より高い場合は殺菌効果が不十分となり、前記範囲より低い場合は植物細胞へのダメージが大きくなる。
次亜塩素酸ナトリウム水溶液のpHは通常9程度であるため、上記pHとするにはpH調整剤を用いればよい。pH調整剤としては、例えば、塩酸、リン酸等の無機酸、乳酸、酢酸、グルコン酸、アジピン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等の有機酸およびこれらの塩、炭酸ガス等を用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0018】
<有機酸水溶液>
有機酸水溶液としては、食用に使用できるものであればよく、例えば、乳酸、酢酸、グルコン酸、フマル酸、アジピン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等の水溶液が挙げられるが、これらに限定されない。有機酸水溶液中に存在する有機酸は単独でもよいし、2種以上でもよい。
本発明においては、十分な殺菌効果と植物細胞へのダメージ抑制を両立させる観点から、乳酸、酢酸、フマル酸およびそれらの塩を好ましく用いることができ、さらにフマル酸およびその塩を好ましく用いる。
【0019】
<有機酸水溶液のpH>
有機酸水溶液のpHは3以上5以下がよく、さらにpH3以上4以下であるとよい。pHが前記範囲より高い場合は殺菌効果が不十分となり、低い場合は植物細胞へのダメージが大きくなる。
【0020】
<過カルボン酸水溶液>
過カルボン酸水溶液は、カルボン酸無水物と過酸化水素とを反応させて得られ、分子内にペルオキシカルボキシ基(−COOOH)を有し、過酸化水素よりも強力な酸化力を示す。過カルボン酸としては、例えば、過酢酸水溶液、過プロピオン酸水溶液、過コハク酸水溶液、過グルタル酸水溶液、過アジピン酸水溶液、過酒石酸水溶液、過クエン酸水溶液、過安息香酸水溶液等が挙げられる。
本発明においては、食用に使用でき、十分な殺菌効果と植物細胞へのダメージ抑制を両立する観点から、過酢酸水溶液を用いるのがよい。
【0021】
<過カルボン酸水溶液中の過カルボン酸濃度>
過カルボン酸水溶液中の過カルボン酸濃度は30ppm以上60ppm以下であり、40ppm以上60ppm以下であるとよりよい。過カルボン酸濃度が前記範囲より低い場合は殺菌効果が不十分となり、前記範囲より高い場合は植物細胞へのダメージが大きくなる。
【0022】
<水溶液の使用量>
殺菌液の使用量は、キャベツに前記殺菌液を十分に接液させる観点から、キャベツ1kg当たり1L以上50L以下であるとよく、さらに10L以上30L以下であるとよい。
【0023】
<添加剤>
殺菌液には、pH調整や溶解度向上等の目的で、本発明の効果を損なわない範囲で添加剤を加えることができる。具体的には、例えば、乳酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、フマル酸ナトリウム、アジピン酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、クエン酸2ナトリウム、クエン酸3ナトリウム、乳酸カリウム、酢酸カリウム、グルコン酸カリウム、フマル酸カリウム、アジピン酸カリウム、リンゴ酸カリウム、酒石酸カリウム、クエン酸カリウム等、有機酸塩等の有機酸塩、塩酸、リン酸等の無機酸およびこれらの塩、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の界面活性剤、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアガム、カラギーナン、デンプン、加工デンプン等の増粘剤、プロピレングリコール等の安定剤、防腐剤等が挙げられる。これらは1種のみで用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0024】
<カット工程>
前記殺菌工程で殺菌されたキャベツを、例えば、市販のフードスライサー等の切断手段を用いてカット処理する。この際、キャベツの切断部分に清水を注ぎながら行うと、キャベツの断面とカットキャベツの切断面とが常に洗浄されるため、キャベツからの滲出液がカット後のキャベツに付着することが軽減され、保存後の菌の増殖がより抑制されやすくなり好ましい。また、切断面や切断手段へのカットキャベツの付着も軽減され、生産効率の向上も期待できる。さらに、必要に応じてすすぎ処理を施してもよいが、必ずしもこのような処理を施す必要はなく、必要に応じて行えばよい。
【0025】
<カット後殺菌工程>
前記カット工程で得られたカットキャベツは、後述の容器詰め工程に投入する前に、必要に応じて殺菌処理してもよい。しかし、本発明に利用するキャベツに、必ずしもこのような工程を施す必要はなく、必要に応じて行えばよい。
カットキャベツに殺菌処理を施す場合、カットキャベツの植物細胞へのダメージを抑制し、シャキシャキした食感と良好な風味を維持する観点から、キャベツの殺菌条件よりも弱い殺菌を施すことが望ましい。
例えば、殺菌液として次亜塩素酸ナトリウム水溶液を用い、殺菌時間は約1分間、有効塩素濃度は80ppm程度、殺菌液の温度は30℃程度で殺菌処理を施す。
【0026】
<すすぎ工程>
前記カット後殺菌工程で得られたキャベツは、後述の容器詰め工程に投入する前に、必要に応じて水洗いですすぎをし、更に水切りしてもよい。しかし、本発明に利用するキャベツに、必ずしもこのような洗浄工程を施す必要はなく、必要に応じて行えばよい。
【0027】
<容器詰め>
前記カット工程で得られたカットキャベツは、前記カット後の殺菌工程を行わずに包装容器に充填し密封してもよい。用いる包装容器は、青果物保存用のプラスチック袋、プラスチック製の勘合容器、トップシール容器等、市販されているものを用いることができる。
【0028】
以下、本発明について、実施例、比較例および試験例に基づき具体的に説明する。なお、本発明は、これらに限定するものではない。
また、実施例、比較例および試験例中に記載のaは式 a=(b-45)×c b:殺菌温度(℃) c:殺菌時間(分)の計算で求められる。
【実施例】
【0029】
[対照区1]
量販店販売品のホールキャベツの外葉を除去し、5Lの次亜塩素酸ナトリウム水溶液に浸漬し、5分間殺菌処理を行った。次亜塩素酸ナトリウム水溶液の有効塩素濃度は200pm、pH9、殺菌液の温度は15℃、すなわち温度を調整していない常温の殺菌液である。
殺菌処理したホールキャベツは、半割にカット後、スライサーで1mm幅にカットし、清水に2分間晒した後に1分間水切りし、カットキャベツを得た。
【0030】
[対照区2]
量販店販売品のホールキャベツを、外葉を除去しリーフ状にした後、15℃の水道水、すなわち一般の家庭の蛇口から得られる水道水で汚れ等を洗い流した。リーフ状のキャベツをスライサーで1mm幅にカットし、清水に2分間晒した後に1分間水切りした。さらに、殺菌液として次亜塩素酸ナトリウム水溶液を用い、1分間、80ppmの濃度、殺菌液の温度は30℃の条件でカット後殺菌処理を施し、カットキャベツを得た。
【0031】
[実施例1]
量販店販売品のホールキャベツの外葉を除去し、5Lの次亜塩素酸ナトリウム水溶液に浸漬し、5分間殺菌処理を行った。次亜塩素酸ナトリウム水溶液の有効塩素濃度は200pm、pH9、殺菌液の温度は55℃である。
殺菌処理したホールキャベツは、半割にカット後、スライサーで1mm幅にカットし、清水に2分間晒した後に1分間水切りした。さらに、殺菌液として次亜塩素酸ナトリウム水溶液を用い、1分間、殺菌液の濃度80ppm、温度30℃の低温低濃度の条件でカット後殺菌処理を施し、本発明のカットキャベツを得た。
【0032】
[実施例2、3]
実施例2はカット後殺菌の殺菌液の濃度150ppm、温度30℃の低温高濃度の条件、実施例3はカット後殺菌の殺菌液の濃度80ppm、温度45℃の高温低濃度の条件であること以外は、表1の条件で実施例1と同様の方法により、本発明のカットキャベツを得た。
【0033】
[実施例4〜
7、参考例1〜2、実施例10〜11および比較例1〜4]
カット後殺菌処理を施さない以外は、表2、3の条件で実施例1と同様の方法により、本発明のカットキャベツを得た。
【0034】
[比較例5]
殺菌処理前に量販店販売品のホールキャベツを、外葉を除去しリーフ状にした後、約4cm四方に裁断、殺菌処理した。殺菌処理時の形状およびカット後殺菌処理を施さない以外は、表3の条件で実施例1と同様の方法により、本発明のカットキャベツを得た。
【0035】
[試験例1]製造後3日間保存したカットキャベツの一般生菌数
対照区1、実施例1〜
7、参考例1〜2、実施例10〜11および比較例1〜5のカットキャベツについて、当該カットキャベツ各130gを20cm四方の有孔フィルムに充填し10℃で72時間(製造後3日間)保管したものを用いて、次のように一般生菌数を測定した。
すなわち、対照区1、実施例1〜
7、参考例1〜2、実施例10〜11および比較例1〜5で得た、カットキャベツ各10gを、それぞれ別のストマッカー袋に入れ、各袋にリン酸緩衝生理食塩水90gを添加してストマッカー処理して、試料液を得た。次に、「食品衛生検査指針 微生物編 2015(厚生労働省)」に記載の一般生菌数の検査手順に従って、得られた試料液の一般生菌数を測定した。具体的には次の通りである。まず、試料液を段階的に希釈してシャーレに1mL滴下し、ここに標準寒天培地15mLを添加して混釈した。次に、培地を35±1℃で72±3時間培養した。
以上の操作によって形成されたコロニー数を計測することで、一般生菌数を測定した。測定結果を下記の評価基準に基づいて評価した。
<評価>
対照区1を10℃で72時間(製造後3日間)保管したものの一般生菌数(logCFU/g)を基準として、10℃で72時間(製造後3日間)保管した各カットキャベツを評価した。
<評価基準>
対照区1の一般生菌数を基準値としたとき、
◎:基準値を差し引いたlogCFU/gの値が−0.3以下
○:基準値を差し引いたlogCFU/gの値が−0.3より大きく−0.1以下
△:基準値を差し引いたlogCFU/gの値が−0.1より大きく0.8以下
×:基準値を差し引いたlogCFU/gの値が0.8より大きい
【0036】
[試験例2]官能評価
10℃で72時間(製造後3日間)保存した各カットキャベツを、専門のパネルが喫食し、下記の基準で食感および香りの評価を行った。各評価は対照区2の評価(下記の基準のB)を基準としたときの相対評価である。
A:対照区2と比べシャキシャキした食感と風味が感じられる
B:対照区2と同等のシャキシャキした食感と風味が感じられる
C:対照区2よりもシャキシャキした食感または風味が弱い
【0037】
<総合評価>
前記評価基準で評価を行ったカットキャベツの一般生菌数と官能評価の結果より、下記のように総合評価を表した。
◎:一般生菌数が◎かつ官能評価がA
○:一般生菌数が◎かつ官能評価がB、一般生菌が〇かつ官能評価がAまたはB
△:一般生菌数が△かつ官能評価がAまたはB
×:一般生菌数が×、または官能評価がC
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
ホールキャベツの殺菌において表1〜3より、aが12以上100以下の場合(実施例1〜
7、参考例1〜2、実施例10〜11)には、製造から3日間後の一般生菌数が対照区1と比較して同等もしくは少なく、一般生菌の増殖が抑制されていることがわかる。また、実施例1の有効塩素濃度が150ppm以上250ppm以下であれば、実施例1とほぼ同等の結果が得られた。
一方、aが12未満、または100超の場合(比較例1〜3)は、一般生菌の増殖が対照区1に比べて抑制されていないことがわかる。
【0042】
ホールキャベツの殺菌においてaおよびpHが同条件であっても、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の有効塩素濃度が70ppm未満(比較例4)であると、一般生菌の増殖が十分に抑制されず、好ましいものではなかった。
【0043】
また、a、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の有効塩素濃度およびpHが同条件であっても、ホールキャベツをリーフ状にした後、約4cm四方に裁断して殺菌した場合(比較例5)は、一般生菌の増殖が対照区1と同等ではあったが、カットキャベツのシャキシャキした食感も風味も弱く、好ましいものではなかった。
【0044】
ホールキャベツの殺菌において、a、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の有効塩素濃度およびpHが同条件(実施例1〜4)であれば、カット後殺菌の有無に関わらず72時間(製造後3日間)保管したものの一般生菌の増殖が抑制されており、カットキャベツのシャキシャキした食感も風味も感じられる好ましいものであった。よって本発明の方法により得られたカットキャベツは、カット後殺菌工程およびすすぎ工程は必ずしも必要ではない。
【0045】
[実施例12および比較例6]
殺菌液として酢酸を用い、表4の条件で実施例4と同様の方法により、本発明のカットキャベツを得て、試験例1および2の評価を行った。
【0046】
【表4】
【0047】
ホールキャベツの殺菌において表4より、pH3以上5以下の有機酸水溶液を用いて殺菌した場合(実施例12)には、72時間(製造後3日間)保管したものの一般生菌数が対照区1と比較して少なく、一般生菌の増殖が抑制され、カットキャベツのシャキシャキとした食感も風味も感じられる好ましいものであったことがわかる。しかし、pH2の場合(比較例6)は、製造から3日間後の一般生菌数が対照区1と比較して少なく、一般生菌の増殖が抑制されているが、カットキャベツのシャキシャキとした食感も風味も好ましいものではなかった。
【0048】
[実施例13]
殺菌液として過酢酸を用い、表5の条件で実施例4と同様の方法により、本発明のカットキャベツを得て、試験例1および2の評価を行った。
【0049】
【表5】
【0050】
ホールキャベツの殺菌において表5より、72時間(製造後3日間)保管したものの一般生菌数が対照区1と比較して少なく、一般生菌の増殖が抑制され、カットキャベツのシャキシャキとした食感も風味も感じられる好ましいものであったことがわかる。