(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ヒドロキシ基を含む構造単位は、ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコールから誘導される誘導体に由来する構造単位である、請求項1に記載の二次電池用分離膜。
前記アセテート基を含む構造単位は、ポリビニルアセテートまたはポリビニルアセテートから誘導される誘導体に由来する構造単位である、請求項1に記載の二次電池用分離膜。
前記アルカリ金属を含む構造単位は、(メタ)アクリル酸塩または(メタ)アクリル酸塩から誘導される誘導体にアルカリ金属が結合されたものに由来する構造単位である、請求項1に記載の二次電池用分離膜。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、これは例示として提示するものであり、本発明はこれによって制限されず、本発明は後述する特許請求の範囲の範疇によってのみ定義される。
【0010】
以下では特に定義しない限り「置換」とは、化合物中の水素がC1〜C30アルキル基、C2〜C30アルケニル基、C2〜C30アルキニル基、C6〜C30アリール基、C7〜C30アルキルアリール基、C1〜C30アルコキシ基、C1〜C30ヘテロアルキル基、C3〜C30ヘテロアルキルアリール基、C3〜C30シクロアルキル基、C3〜C15シクロアルケニル基、C6〜C30シクロアルキニル基、C2〜C30ヘテロシクロアルキル基、ハロゲン(F、Cl、BrまたはI)、ヒドロキシ基(−OH)、ニトロ基(−NO
2)、シアノ基(−CN)、アミノ基(−NRR’)(ここで、RとR’は互いに独立して水素またはC1〜C6アルキル基である)、スルホベタイン基(−RR’N
+(CH
2)
nSO
3−)、カルボキシベタイン基(−RR’N
+(CH
2)
nCOO
−)(ここで、RとR’は互いに独立してC1〜C20アルキル基である)、アジド基(−N
3)、アミジノ基(−C(=NH)NH
2)、ヒドラジノ基(−NHNH
2)、ヒドラゾノ基(=N(NH
2)、カルバモイル基(carbamoyl group,−C(O)NH
2)、チオール基(−SH)、アシル基(−C(=O)R、ここでRは水素、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルコキシ基、またはC6〜C12アリール基である)、カルボキシル基(−COOH)またはその塩(−C(=O)OM、ここでMは有機または無機陽イオンである)、スルホン酸基(−SO
3H)またはその塩(−SO
3M、ここでMは有機または無機陽イオンである)、りん酸基(−PO
3H
2)またはその塩(−PO
3MHまたは−PO
3M
2、ここでMは有機または無機陽イオンである)およびこれらの組み合わせより選ばれた置換基に置換されることを意味する。
【0011】
以下で、C1〜C3アルキル基は、メチル基、エチル基、またはプロピル基を意味する。C1〜C10アルキレン基は、例えばC1〜C6アルキレン基、C1〜C5アルキレン基、C1〜C3アルキレン基であり得、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基であり得る。C3〜C20シクロアルキレン基は、例えばC3〜C10シクロアルキレン基、またはC5〜C10アルキレン基であり得、例えばシクロヘキシレン基であり得る。C6〜C20アリーレン基は、例えばC6〜C10アリーレン基であり得、例えばフェニレン基であり得る。C3〜C20ヘテロ環基は、例えばC3〜C10ヘテロ環基であり得、例えばピリジン基であり得る。
【0012】
以下で「ヘテロ」とは、N、O、S、SiおよびPより選ばれるヘテロ原子を1個以上含むものを意味する。
【0013】
以下で「これらの組み合わせ」とは、構成物の混合物、共重合体、ブレンド、合金、複合体、反応生成物などを意味する。
【0014】
また、化学式において、*表示は、同一または相異する原子、グループ、または構造単位と連結される部分を意味する。
【0015】
以下で「アルカリ金属」は、周期表1族に属する元素であり、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、またはフランシウムなどを意味し、陽イオン状態または中性状態で存在し得る。
【0016】
以下、一実施形態による二次電池用分離膜を説明する。
図1は一実施形態による二次電池用分離膜を示す図である。
図1を参照すると、一実施形態による二次電池用分離膜10は、多孔性基材20、そして多孔性基材20の一面または両面に位置する耐熱層30を含む。
【0017】
多孔性基材20は、多数の気孔を有し、通常電気化学素子に使われる基材であり得る。多孔性基材20は、非制限的にポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンオキサイド、環状オレフィンコポリマー、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンナフタレート、ガラス繊維、テフロン(登録商標)、およびポリテトラフルオロエチレンからなる群より選ばれたいずれか一つの高分子、またはこれらのうち2種以上の共重合体または混合物で形成された高分子膜であり得る。
【0018】
多孔性基材20は、一例としてポリオレフィンを含むポリオレフィン系基材であり得、前記ポリオレフィン系基材はシャットダウン機能に優れるため電池の安全性向上に寄与することができる。前記ポリオレフィン系基材は、例えばポリエチレン単一膜、ポリプロピレン単一膜、ポリエチレン/ポリプロピレン二重膜、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン三重膜およびポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレン三重膜より選ばれ得る。また、前記ポリオレフィン系樹脂は、オレフィン樹脂の他に非オレフィン樹脂を含むか、オレフィンと非オレフィンモノマーの共重合体を含み得る。
【0019】
多孔性基材20は、約1μm〜40μmの厚さを有し得、例えば1μm〜30μm、1μm〜20μm、5μm〜15μm、または10μm〜15μmの厚さを有し得る。
【0020】
前記耐熱層30は、アクリル系耐熱バインダー、結着バインダー、およびフィラーを含む。
【0021】
前記アクリル系耐熱バインダーは、(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリル酸から誘導される構造単位、シアノ基含有構造単位、およびスルホネート基含有構造単位を含む。前記アクリル系耐熱バインダーは、前記フィラーを多孔性基材20の上に固定する役割をすると同時に、耐熱層30が多孔性基材20および電極によく付着するように接着力を提供することができ、分離膜10の耐熱性、通気度、および耐酸化性の向上に寄与することができる。
【0022】
前記(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリル酸から誘導される構造単位において、前記(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル酸の共役塩基、(メタ)アクリル酸塩、またはこれらの誘導体であり得る。前記(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリル酸から誘導される構造単位は、例えば下記化学式1、化学式2、化学式3またはこれらの組み合わせで表され得る。
【0024】
前記化学式1〜前記化学式3において、
R
1、R
2およびR
3は、それぞれ独立して水素またはメチル基であり、
前記化学式2において、
Mは、アルカリ金属である。
前記アルカリ金属は、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムまたはセシウムであり得る。
【0025】
前記(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリル酸から誘導される構造単位は、前記アクリル系耐熱バインダーの総量に対して10モル%〜70モル%、例えば20モル%〜60モル%、例えば30モル%〜60モル%、例えば40モル%〜55モル%で含まれ得る。前記(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリル酸から誘導される構造単位が前記範囲で含まれる場合、前記アクリル系耐熱バインダーとそれを含む分離膜10は、優れた接着力と耐熱性、通気度および耐酸化性を示すことができる。
【0026】
一例として前記(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリル酸から誘導される構造単位は、前記化学式2で表される構造単位および前記化学式3で表される構造単位を含み得、この場合、前記化学式2で表される構造単位および前記化学式3で表される構造単位は、10:1〜1:2、または10:1〜1:1、または5:1〜1:1のモル比で含まれ得る。
【0027】
前記シアノ基(cyano group)含有構造単位は、例えば下記化学式4で表され得る。
【0029】
前記化学式4において、
R
4は、水素またはC1〜C3アルキル基であり、
L
1は、−C(=O)−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−O−または−C(=O)NH−であり、
xは、0〜2の整数であり、
L
2は、置換または非置換されたC1〜C10アルキレン基、置換または非置換されたC3〜C20シクロアルキレン基、置換または非置換されたC6〜C20アリーレン基または置換または非置換されたC3〜C20ヘテロ環基であり、
yは、0〜2の整数である。
【0030】
前記シアノ基含有構造単位は、例えば、(メタ)アクリロニトリル、アルケンニトリル、シアノアルキル(メタ)アクリレートまたは2−(ビニルオキシ)アルカンニトリルから誘導された構造単位であり得る。ここでアルケンは、C1〜C20アルケン、C1〜C10アルケンまたはC1〜C6アルケンであり得、前記アルキルは、C1〜C20アルキル、C1〜C10アルキルまたはC1〜C6アルキルであり得、また、前記アルカンは、C1〜C20アルカン、C1〜C10アルカンまたはC1〜C6アルカンであり得る。
【0031】
前記アルケンニトリルは、例えばアリルシアニド、4−ペンテンニトリル、3−ペンテンニトリル、2−ペンテンニトリルまたは5−ヘキセンニトリルなどであり得る。前記シアノアルキル(メタ)アクリレートは、例えばシアノメチル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、シアノプロピル(メタ)アクリレートまたはシアノオクチル(メタ)アクリレートなどであり得る。前記2−(ビニルオキシ)アルカンニトリルは、例えば2−(ビニルオキシ)エタンニトリルまたは2−(ビニルオキシ)プロパンニトリルなどであり得る。
【0032】
前記シアノ基含有構造単位は、前記アクリル系耐熱バインダーの総量に対して30モル%〜85モル%、例えば30モル%〜70モル%、例えば30モル%〜60モル%、例えば35モル%〜55モル%で含まれ得る。前記シアノ基含有構造単位が前記範囲で含まれる場合、前記アクリル系耐熱バインダーおよびそれを含む分離膜10は、優れた耐酸化性を確保することができ、接着力と耐熱性および通気度を示すことができる。
【0033】
前記スルホネート基(sulfonate group)含有構造単位は、スルホン酸の共役塩基、スルホン酸塩、スルホン酸またはこれらの誘導体を含有する構造単位であり得る。例えば前記スルホネート基含有構造単位は、下記化学式5、化学式6、化学式7またはこれらの組み合わせで表され得る。
【0035】
前記化学式5〜化学式7において、
R
5、R
6およびR
7は、それぞれ独立して水素またはC1〜C3アルキル基であり、
L
3、L
5およびL
7は、それぞれ独立して−C(=O)−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−O−または−C(=O)NH−であり、
L
4、L
6およびL
8は、それぞれ独立して置換または非置換されたC1〜C10アルキレン基、置換または非置換されたC3〜C20シクロアルキレン基、置換または非置換されたC6〜C20アリーレン基または置換または非置換されたC3〜C20ヘテロ環基であり、
a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して0〜2の整数であり、
前記化学式6において、
M’は、アルカリ金属である。
【0036】
一例として、前記化学式5〜化学式7において、
L
3、L
5およびL
7は、それぞれ独立して−C(=O)NH−であり、
L
4、L
6およびL
8は、それぞれ独立してC1〜C10アルキレン基であり、
a、b、c、d、eおよびfは、1の整数であり得る。
【0037】
前記スルホネート基含有構造単位は、前記化学式5で表される構造単位、前記化学式6で表される構造単位、および前記化学式7で表される構造単位の中からいずれか一つのみを含み得、二種類以上を含むこともできる。一例として前記スルホネート基含有構造単位は、前記化学式6で表される構造単位を含み得、他の例として前記スルホネート基含有構造単位は、前記化学式6で表される構造単位および前記化学式7で表される構造単位を含み得る。
【0038】
前記スルホネート基含有構造単位は、例えば、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アネトールスルホン酸、アクリルアミドアルカンスルホン酸、スルホアルキル(メタ)アクリレートまたはこれらの塩から誘導された構造単位であり得る。
【0039】
ここでアルカンは、C1〜C20アルカン、C1〜C10アルカンまたはC1〜C6アルカンであり得、前記アルキルは、C1〜C20アルキル、C1〜C10アルキルまたはC1〜C6アルキルであり得る。前記塩は、前述したスルホン酸と適切なイオンによって構成される塩を意味する。前記イオンは、例えばアルカリ金属イオンであり得、この場合前記塩は、スルホン酸アルカリ金属塩であり得る。
【0040】
前記アクリルアミドアルカンスルホン酸は、例えば2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸であり得、前記スルホアルキル(メタ)アクリレートは、例えば2−スルホエチル(メタ)アクリレート、3−スルホプロピル(メタ)アクリレートなどであり得る。
【0041】
前記スルホネート基含有構造単位は、前記アクリル系耐熱バインダーの総量に対して0.1モル%〜20モル%、例えば0.1モル%〜10モル%、例えば1モル%〜20モル%、例えば1モル%〜10モル%で含まれ得る。前記スルホネート基含有構造単位が前記範囲で含まれる場合、前記アクリル系耐熱バインダーおよびそれを含む分離膜10は、優れた接着力と耐熱性、通気度、および耐酸化性を示すことができる。
【0042】
前述したように、前記アクリル系耐熱バインダーは、アルカリ金属を含み得る。前記アルカリ金属は、陽イオン形態で存在し得、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、またはセシウムであり得る。例えば、前記アルカリ金属は、前記アクリル系耐熱バインダーと結合されて塩の形態で存在し得る。前記アルカリ金属は、水系溶媒で前記アクリル系耐熱バインダーの合成を助けることができ、耐熱層30の接着力を向上させ、分離膜10の耐熱性、通気度、および耐酸化性などを改善することができる。
【0043】
前記アルカリ金属は、前記アルカリ金属と前記アクリル系耐熱バインダーの総重量に対して1重量%〜40重量%で含まれ得、例えば1重量%〜30重量%、または1重量%〜20重量%、または10重量%〜20重量%で含まれ得る。例えば、前記アクリル系耐熱バインダーおよび前記アルカリ金属は、99:1〜60:40の重量比、99:1〜70:30の重量比、例えば99:1〜80:20の重量比、例えば90:10〜80:20の重量比で含まれ得る。
【0044】
また、前記アルカリ金属は、前記アルカリ金属および前記アクリル系耐熱バインダーの総含有量に対して0.1mol%〜1.0mol%で含まれ得る。
【0045】
前記アルカリ金属が前記範囲で含まれる場合、耐熱層30は優れた接着力を有することができ、それを含む分離膜10は優れた耐熱性、通気度および耐酸化性を示すことができる。
【0046】
前記アクリル系耐熱バインダーは、一例として下記化学式8で表され得る。
【0048】
前記化学式8において、
R
11およびR
12は、それぞれ独立して水素またはメチル基であり、
R
13およびR
14は、それぞれ独立して水素またはC1〜C3アルキル基であり、
L
1およびL
5は、それぞれ独立して−C(=O)−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−O−または−C(=O)NH−であり、
L
2およびL
6は、それぞれ独立して置換または非置換されたC1〜C10アルキレン基、置換または非置換されたC3〜C20シクロアルキレン基、置換または非置換されたC6〜C20アリーレン基または置換または非置換されたC3〜C20ヘテロ環基であり、
x、y、cおよびdは、それぞれ独立して0〜2の整数であり、
Mは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムまたはセシウムなどのアルカリ金属であり、
k、l、mおよびnは、各構造単位のモル比を意味する。
【0049】
一例として、前記化学式8において、
k+l+m+n=1であり得る。
【0050】
また、一例として、0.1≦(k+l)≦0.5、0.4≦m≦0.85および0.001≦n≦0.2であり得、例えば0.1≦k≦0.5および0≦l≦0.25であり得る。
【0051】
一例として、前記化学式8において、
x=y=0であり、L
5は−C(=O)NH−であり、L
6はC1〜C10アルキレン基であり、c=d=1であり得る。
【0052】
前記アクリル系耐熱バインダーにおいて、アルカリ金属(M
+)が置換された程度は(k+n)に対して0.5〜1.0であり得、例えば0.6〜0.9または0.7〜0.9であり得る。前記アルカリ金属の置換された程度が前記範囲を満足する場合、前記アクリル系耐熱バインダーおよびそれを含む分離膜10は、優れた接着力および耐熱性、耐酸化性を示すことができる。
【0053】
前記アクリル系耐熱バインダーは、前述した構造単位以外の構造単位をさらに含むこともできる。例えば、前記アクリル系耐熱バインダーは、アルキル(メタ)アクリレートから誘導された構造単位、ジエン系から誘導された構造単位、スチレン系から誘導された構造単位、エステル基含有構造単位、カーボネート基含有構造単位またはこれらの組み合わせをさらに含み得る。
【0054】
前記アクリル系耐熱バインダーは、前記構造単位が交互に分布する交互重合体、任意に分布するランダム重合体または一部の構造単位がグラフトするグラフト重合体など多様な形態であり得る。
【0055】
前記アクリル系耐熱バインダーの重量平均分子量は、200,000g/mol〜700,000g/mol、例えば200,000g/mol〜600,000g/mol、例えば300,000g/mol〜600,000g/molであり得る。前記アクリル系耐熱バインダーの重量平均分子量が前記範囲を満足する場合、前記アクリル系耐熱バインダーおよびそれを含む分離膜10は、優れた接着力と耐熱性、通気度および耐酸化性を発揮することができる。前記重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィーを用いて測定したポリスチレン換算平均分子量であり得る。
【0056】
前記アクリル系耐熱バインダーのガラス転移温度は、200℃〜280℃、例えば210℃〜270℃、例えば210℃〜260℃であり得る。前記アクリル系耐熱バインダーのガラス転移温度が前記範囲を満足する場合、前記アクリル系耐熱バインダーおよびそれを含む分離膜10は、優れた接着力と耐熱性、通気度および耐酸化性を発揮することができる。前記ガラス転移温度は、示差走査熱量測定法で測定された値であり得る。
【0057】
前記アクリル系耐熱バインダーは、溶液重合方法によって製造され得、前述したようにフィルム形態で製作されて耐熱層30に含まれ得る。
【0058】
以下、前記耐熱層30に含まれる結着バインダーについて説明する。
【0059】
一実施形態による分離膜において、前記結着バインダーは、水溶性であり、ヒドロキシ基を含む構造単位、アセテート基を含む構造単位、およびアルカリ金属を含む構造単位を含む共重合体であり得る。
【0060】
前記ヒドロキシ基を含む構造単位は、ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコールから誘導される誘導体に由来する構造単位であり得、例えば結着バインダーは、変形ポリビニルアルコールとしてアクリル酸を含むバインダーであり得る。
【0061】
前記アセテート基を含む構造単位は、ポリビニルアセテートまたはポリビニルアセテートから誘導される誘導体に由来する構造単位であり得る。
【0062】
一方、前記アルカリ金属を含む構造単位は、(メタ)アクリル酸塩または(メタ)アクリル酸塩から誘導される誘導体にアルカリ金属が結合されたものに由来する構造単位であり得、これは前記化学式2のとおりである。前記アルカリ金属は、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムまたはセシウムであり得、前記化学式2または後述する下記化学式9で表すように前記アルカリ金属は、構造単位または共重合体内で陽イオン形態で存在し得る。
【0063】
一実施形態による分離膜において、前記結着バインダーは、下記化学式9で表され得る。
【0065】
R
15は、それぞれ独立して水素またはC1〜C10アルキル基であり、
M
1は、アルカリ金属である。
【0066】
この時、前記o:p:qのモル比は、94:1:5〜79:1:20であり得、例えば、89:1:10〜84:1:15であり得、o+p+q=100である。o、p、qのモル比が前記範囲である場合、適切な粘度が維持されて工程が容易であり、水に対する溶解性にも優れるだけでなく重合度を高めることができる。
【0067】
一実施形態による分離膜において、前述したアクリル系耐熱バインダーは、分離膜の高温での熱収縮率を減少させるための耐熱性確保機能をし、前記結着バインダーは、多孔性基材20と耐熱層30との間の接着力確保機能をする。耐熱性と接着力は、互いにtrade−off関係にある物性であるため、一実施形態では前記アクリル系耐熱バインダーがアクリル系三元共重合体を形成すると同時に、前記結着バインダーをさらに含むことによって、耐熱性と基材との接着力がいずれも優れた分離膜を実現することができる。
【0068】
前記結着バインダーの重量平均分子量は、50,000g/mol〜1,000,000g/mol、例えば150,000g/mol〜750,000g/mol、例えば250,000g/mol〜450,000g/molであり得る。前記結着バインダーの重量平均分子量が前記範囲を満足する場合、前記結着バインダーおよびそれを含む分離膜10は、優れた接着力と耐熱性、通気度および耐酸化性を発揮することができる。前記重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィーを用いて測定したポリスチレン換算平均分子量であり得る。
【0069】
前記アクリル系耐熱バインダーおよび前記結着バインダーは、2:8〜8:2、例えば5:5〜8:2、例えば6:4〜8:2の重量比で含まれ得る。前記アクリル系耐熱バインダーおよび結着バインダーが前記重量比で含まれる場合、分離膜10は優れた耐熱性と接着力、通気度、および耐酸化性などを示すことができる。
【0070】
耐熱層30は、前記アクリル系耐熱バインダーと結着バインダーの他にフィラーを含み得る。前記フィラーを含むことによって耐熱性がさらに改善され、温度上昇によって分離膜の急激な収縮または変形を防止することができる。前記フィラーは、例えば無機フィラー、有機フィラー、有機/無機複合フィラーまたはこれらの組み合わせであり得る。前記無機フィラーは、耐熱性を改善できるセラミック物質であり得、例えば金属酸化物、准金属酸化物、金属ふっ化物、金属水酸化物またはこれらの組み合わせを含み得る。前記無機フィラーは、例えば、Al
2O
3、SiO
2、TiO
2、SnO
2、CeO
2、MgO、NiO、CaO、GaO、ZnO、ZrO
2、Y
2O
3、SrTiO
3、BaTiO
3、Mg(OH)
2、ベーマイト(boehmite)またはこれらの組み合わせを含み得るが、これに限定されるものではない。前記有機フィラーは、アクリル化合物、イミド化合物、アミド化合物またはこれらの組み合わせを含み得るが、これに限定されるものではない。前記有機フィラーは、コアシェル構造を有し得るが、これに限定されるものではない。
【0071】
前記フィラーは、球状、板状、立方形(cubic)、または無定形であり得る。前記フィラーの平均粒径は、約1nm〜2500nmであり得、前記範囲内で100nm〜2000nm、または200nm〜1000nmであり得、例えば約300nm〜800nmであり得る。前記フィラーの平均粒径は、累積分布曲線(cumulative size−distribution curve)において体積比として50%での粒子の大きさ(D
50)であり得る。前記範囲の平均粒径を有するフィラーを使用することによって耐熱層30に適切な強度を付与し、分離膜10の耐熱性、耐久性および安定性を向上させることができる。前記フィラーは、種類が相異するか大きさが相異する2種以上を混合して使用することができる。
【0072】
前記フィラーは、耐熱層30の総量に対して50重量%〜99重量%、例えば70重量%〜99重量%、例えば75重量%〜99重量%、例えば80重量%〜99重量%、例えば85重量%〜99重量%、例えば90重量%〜99重量%、例えば95重量%〜99重量%で含まれ得る。前記フィラーが前記範囲で含まれる場合、一実施形態による二次電池用分離膜10は、優れた耐熱性、耐久性、耐酸化性および安定性を示すことができる。前記フィラーが前記含有量の範囲で含まれない場合、分離膜10の熱収縮が大きく低下し得る。
【0073】
また、耐熱層30は、前記第1アクリル系バインダーと結着バインダーの他に、非架橋バインダーをさらに含み得る。前記非架橋バインダーは、例えばビニリデンフルオリド系重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、ポリエチレン−ビニルアセテート共重合体、ポリエチレンオキシド、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニルアルコール、シアノエチルセルロース、シアノエチルスクロース、プルラン、カルボキシメチルセルロース、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体またはこれらの組み合わせであり得るが、これに限定されるものではない。
【0074】
前記ビニリデンフルオリド系重合体は、具体的にビニリデンフルオリドモノマー由来の構造単位のみを含むホモポリマー、またはビニリデンフルオリド由来の構造単位と異なるモノマー由来の構造単位とのコポリマーであり得る。前記コポリマーは、具体的にビニリデンフルオリド由来の構造単位とクロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、エチレンテトラフルオライドおよびエチレンモノマーに由来した構造単位のうち1種以上であり得るが、これに制限されるものではない。例えば、前記コポリマーは、ビニリデンフルオリドモノマー由来の構造単位とヘキサフルオロプロピレンモノマー由来の構造単位を含むポリビニリデンフルオリド−ヘキサフルオロプロピレン(PVdF−HFP)コポリマーであり得る。
【0075】
一例として、前記非架橋バインダーは、ポリビニリデンフルオリド(PVdF)ホモポリマー、ポリビニリデンフルオリド−ヘキサフルオロプロピレン(PVdF−HFP)コポリマー、またはこれらの組み合わせを含み得る。この場合、前記多孔性基材20と耐熱層30の接着力が向上し、分離膜10の安定性と電解液含浸性が向上して電池の高率充放電の特性などが向上することができる。
【0076】
耐熱層30は、約0.01μm〜20μmの厚さを有し得、前記範囲内で約1μm〜10μm、または約1μm〜5μm、または約1μm〜3μmの厚さを有し得る。
【0077】
多孔性基材20の厚さに対する耐熱層30の厚さの比率は、0.05〜0.5であり得、例えば0.05〜0.4、または0.05〜0.3、または0.1〜0.2であり得る。多孔性基材20と耐熱層30の厚さ比率が前記範囲であるとき、これらを含む分離膜10は、優れた通気度と耐熱性、および接着力などを示すことができる。
【0078】
一実施形態による二次電池用分離膜10は、優れた耐熱性を有する。具体的に、分離膜10は高温での熱収縮率が30%以下、例えば10%以下であり得る。例えば、分離膜10を150℃で60分間放置した後測定した分離膜10の縦方向および横方向にの収縮率は、それぞれ30%以下、例えば10%以下であり得る。
【0079】
一般的に分離膜10において前記耐熱層30が厚いと高温での熱水軸率が低い傾向がある。しかし、一実施形態による分離膜10は、耐熱層30の厚さが1μm〜5μm、または1μm〜3μmであるにもかかわらず、30%以下、例えば10%以下の高温熱収縮率を実現することができる。
【0080】
また、一実施形態による二次電池用分離膜10は、200℃以上、例えば200℃〜250℃の高温でも破断または形態が変形されず安定した形態を維持することができる。
【0081】
一実施形態による二次電池用分離膜10は、優れた通気度を示すことができ、例えば200sec/100cc未満、例えば190sec/100cc以下、または180sec/100cc以下の通気度値を有することができる。すなわち、単位厚さ当たり40sec/100cc・1μm未満、例えば30sec/100cc・1μm以下、または25sec/100cc・1μm以下の通気度値を有することができる。ここで通気度は、100ccの空気が前記分離膜の単位厚さを透過するのにかかる時間(秒)を意味する。単位厚さ当たり通気度は、分離膜全体の厚さに対して通気度を測定した後、厚さで割って求めることができる。
【0082】
一実施形態による二次電池用分離膜10は、公知の多様な方法によって製造することができる。例えば、二次電池用分離膜10は多孔性基材20の一面または両面に耐熱層形成用組成物を塗布した後乾燥して形成することができる。
【0083】
前記耐熱層形成用組成物は、前述したアクリル系耐熱バインダー、結着バインダー、およびフィラーそして溶媒を含み得る。前記溶媒は、アクリル系耐熱バインダー、結着バインダーおよびフィラーを溶解または分散させ得るのであれば特に限定されない。一実施形態で前記溶媒は、水、アルコールまたはこれらの組み合わせを含む水系溶媒であり得、この場合、環境にやさしい長所がある。
【0084】
前記塗布は、例えばスピンコート、ディップコート、バーコート、ダイコート、スリットコート、ロールコート、インクジェット印刷などによって行われるが、これに限定されるものではない。
【0085】
前記乾燥は、例えば自然乾燥、温風、熱風または低湿風による乾燥、真空乾燥、遠赤外線、電子線などの照射による方法で行われるが、これに限定されない。前記乾燥工程は、例えば25℃〜120℃の温度で行われ得る。
【0086】
二次電池用分離膜10は、前述した方法の他に、ラミネーション、共押出などの方法で製造されることもできる。
【0087】
以下、上述した二次電池用分離膜10を含むリチウム二次電池について説明する。
【0088】
リチウム二次電池は、使用する分離膜と電解液の種類によってリチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池およびリチウムポリマー電池などに分類され得、形態によって円筒形、角形、コイン形、パウチ形などに分類し得、サイズによってバルクタイプと薄膜タイプに分けられる。これら電池の構造と製造方法は、この分野に広く知られているので詳細な説明は省略する。
【0089】
ここではリチウム二次電池の一例として角形リチウム二次電池を例示的に説明する。
図2は一実施形態によるリチウム二次電池の分解斜視図である。
図2を参照すると、一実施形態によるリチウム二次電池100は、正極40と負極50との間に分離膜10を介在して巻取りした電極組立体60と電極組立体60が内蔵されるケース70を含む。
【0090】
電極組立体60は、例えば分離膜10を間に置いて正極40と負極50を巻いて形成したゼリーロール(jelly roll)形態であり得る。
【0091】
正極40、負極50および分離膜10は、電解液(図示せず)に含浸されている。
【0092】
正極40は、正極集電体および前記正極集電体上に形成される正極活物質層を含み得る。前記正極活物質層は、正極活物質、バインダーおよび選択的に導電材を含み得る。
【0093】
前記正極集電体としてはアルミニウム、ニッケルなどを使用できるが、これに限定されない。
【0094】
前記正極活物質としては、リチウムの可逆的なインターカレーションおよびデインターカレーションが可能な化合物を使用することができる。具体的にはコバルト、マンガン、ニッケル、アルミニウム、鉄またはこれらの組み合わせの金属とリチウムとの複合酸化物または複合リン酸化物のうち1種以上を使用することができる。例えば、前記正極活物質は、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物、リチウム鉄リン酸化物またはこれらの組み合わせであり得る。
【0095】
前記バインダーは、正極活物質粒子を互いによく付着させるだけでなく正極活物質を正極集電体によく付着させる役割をし、具体的な例としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリビニルクロライド、カルボキシル化したポリビニルクロライド、ポリビニルフルオライド、エチレンオキシド含有ポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエンゴム、アクリレーティッドスチレン−ブタジエンゴム、エポキシ樹脂、ナイロンなどがあるが、これに限定されない。これらは単独または2種以上を混合して使用してもよい。
【0096】
前記導電材は、電極に導電性を付与するものであり、その例として天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、炭素繊維、金属粉末、金属繊維などがあるが、これに限定されない。これらは単独または2種以上混合して使用することができる。前記金属粉末と前記金属繊維は、銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属であり得る。
【0097】
負極50は、負極集電体および前記負極集電体上に形成される負極活物質層を含み得る。
【0098】
前記負極集電体としては、銅、金、ニッケル、銅合金などを使用し得るが、これに限定されない。
【0099】
前記負極活物質層は、負極活物質、バインダーおよび選択的に導電材を含み得る。前記負極活物質としてはリチウムイオンを可逆的にインターカレーションおよびデインターカレーションできる物質、リチウム金属、リチウム金属の合金、リチウムをドープおよび脱ドープできる物質、遷移金属酸化物またはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0100】
前記リチウムイオンを可逆的にインターカレーションおよびデインターカレーションできる物質としては炭素系物質が挙げられ、その例としては結晶質炭素、非晶質炭素またはこれらの組み合わせが挙げられる。前記結晶質炭素の例としては無定形、板状(plate−shape)、フレーク状(flake)、球状または繊維状の天然黒鉛または人造黒鉛が挙げられる。前記非晶質炭素の例としてはソフトカーボンまたはハードカーボン、メソフェースピッチ炭化物、焼成されたコークスなどが挙げられる。前記リチウム金属の合金としてはリチウムとNa、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Si、Sb、Pb、In、Zn、Ba、Ra、Ge、AlおよびSnからなる群より選ばれる金属の合金が使用され得る。前記リチウムをドープおよび脱ドープできる物質としてはSi、SiO
x(0<x<2)、Si−C複合体、Si−Y合金、Sn、SnO
2、Sn−C複合体、Sn−Yなどが挙げられ、また、これらのうち少なくとも一つとSiO
2を混合して使用することもできる。前記元素YとしてはMg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Tl、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Poおよびこれらの組み合わせからなる群より選ばれ得る。前記遷移金属酸化物としてはバナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物などが挙げられる。
【0101】
負極50に使用されるバインダーと導電材の種類は、前述した正極40で使用されるバインダーと導電材と同様であり得る。
【0102】
正極40と負極50は、それぞれの活物質およびバインダーと選択的に導電材を溶媒中に混合して各活物質組成物を製造し、前記活物質組成物をそれぞれの集電体に塗布して製造することができる。この時、前記溶媒は、N−メチルピロリドンなどを使用し得るが、これに限定されない。このような電極製造方法は、当該分野に広く知られている内容であるため、本明細書では詳細な説明は省略する。
【0103】
前記電解液は、有機溶媒とリチウム塩を含む。
【0104】
前記有機溶媒は、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動できる媒質の役割をする。前記有機溶媒としては、例えばカーボネート系、エステル系、エーテル系、ケトン系、アルコール系または非プロトン性溶媒を使用することができる。前記カーボネート系溶媒としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどが使用され得、前記エステル系溶媒としてはメチルアセテート、エチルアセテート、n−プロピルアセテート、1,1−ジメチルエチルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、γ−ブチロラクトン、デカノリド、バレロラクトン、メバロノラクトン、カプロラクトンなどが使用され得る。前記エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、テトラグライム、ジグライム、ジメトキシエタン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランなどが使用され得、前記ケトン系溶剤としてはシクロヘキサノンなどが使用され得る。また、前記アルコール系溶媒としてはエチルアルコール、イソプロピルアルコールなどが使用され得、前記非プロトン性溶媒としてはR−CN(RはC2〜C20直鎖状、分枝状または環構造の炭化水素基であり、二重結合芳香族環またはエーテル結合を含み得る)等のニトリル類ジメチルホルムアミドなどのアミド類、1,3−ジオキソランなどのジオキソラン類スルホラン(sulfolane)類などが使用され得る。
【0105】
前記有機溶媒は、単独または2種以上混合して使用し得、2種以上混合して使用する場合の混合比率は、目的とする電池性能に応じて適切に調整することができる。
【0106】
前記リチウム塩は、有機溶媒に溶解し、電池内でリチウムイオンの供給源として作用して基本的なリチウム二次電池の作動を可能にし、正極と負極との間のリチウムイオン移動を促進させる物質である。前記リチウム塩の例としては、LiPF
6、LiBF
4、LiSbF
6、LiAsF
6、LiN(SO
3C
2F
5)
2、LiN(CF
3SO
2)
2、LiC
4F
9SO
3、LiClO
4、LiAlO
2、LiAlCl
4、LiN(C
x’F
2x’+1SO
2)(C
y’F
2y’+1SO
2)(x’およびy’は自然数である)、LiCl、LiI、LiB(C
2O
4)
2またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0107】
前記リチウム塩の濃度は、0.1M〜2.0M範囲内で使用する。リチウム塩の濃度が前記範囲内である場合、電解液が適切な伝導度および粘度を有するので優れた電解液性能を示すことができ、リチウムイオンが効果的に移動することができる。
【0108】
以下、実施例により上述した本発明の側面をさらに詳細に説明する。ただし、下記の実施例は単に説明すること目的とし、本発明の範囲を制限するものではない。
【0109】
合成例1:アクリル系耐熱バインダーの合成
合成例1−1
攪拌機、温度計および冷却管を備えた3Lの4口フラスコ内に、蒸溜水(968g)とアクリル酸(45.00g、0.62mol)、過硫酸アンモニウム(0.54g、2.39mmol、単量体に対して1500ppm投入)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(5.00g、0.02mol)および5N水酸化ナトリウム水溶液(アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の総量に対して0.8当量)を加えた後、ダイアフラムポンプで内圧を10mmHgに減圧し、窒素で内圧を常圧に戻す操作を3回繰り返した後、アクリロニトリル(50.00g、0.94mol)を添加する。
反応液の温度が65℃〜70℃の間で安定するように制御しながら18時間反応させ、過硫酸アンモニウム(0.23g、1.00mmol、単量体に対して630ppm投入)を2次投入した後、温度を80℃に上昇させて再び4時間反応させる。室温に冷却した後、25%アンモニア水溶液を用いて反応液のpHを7〜8に調整する。
【0110】
このような方法でポリ(アクリル酸−co−アクリロニトリル−co−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)ナトリウム塩を製造した。アクリル酸、アクリロニトリル、および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のモル比は、39:59:2である。反応液(反応生成物)を10mL程度減らして不揮発成分を測定した結果、9.0重量%(理論値:10%)であった。
【0111】
合成例1−2
アクリル酸(40g、0.56mol)、アクリロニトリル(50g、0.94mol)および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(10g、0.05mol)を使用したことを除いては前記合成例1と同様の方法によりアクリル系共重合体を製造した。アクリル酸、アクリロニトリル、および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のモル比は、36:61:3である。反応液の不揮発成分は、9.0重量%(理論値:10%)であった。
【0112】
合成例1−3
アクリル酸(35g、0.49mol)、アクリロニトリル(50g、0.94mol)および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(15g、0.07mol)を使用したことを除いては前記合成例1と同様の方法によりアクリル系共重合体を製造した。アクリル酸、アクリロニトリル、および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のモル比は、32:63:5である。反応液の不揮発成分は、9.0重量%(理論値:10%)であった。
【0113】
合成例1−4
アクリル酸(30g、0.42mol)、アクリロニトリル(50g、0.94mol)および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(20g、0.10mol)を使用したことを除いては前記合成例1と同様の方法によりアクリル系共重合体を製造した。アクリル酸、アクリロニトリル、およびアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のモル比は、28:65:7である。反応液の不揮発成分は、9.0重量%(理論値:10%)であった。
【0114】
合成例1−5
アクリル酸(32g、0.49mol)、アクリロニトリル(60g、1.13mol)および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(5g、0.02mol)を使用したことを除いては前記合成例1と同様の方法によりアクリル系共重合体を製造した。アクリル酸、アクリロニトリル、および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のモル比は、30:69:1である。反応液の不揮発成分は、9.0重量%(理論値:10%)であった。
【0115】
合成例1−6
アクリル酸(30g、0.42mol)、アクリロニトリル(60g、1.13mol)および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(10g、0.05mol)を使用したことを除いては前記合成例1と同様の方法によりアクリル系共重合体を製造した。アクリル酸、アクリロニトリル、および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のモル比は、26:71:3である。反応液の不揮発成分は、9.0重量%(理論値:10%)であった。
【0116】
合成例1−7
アクリル酸(25g、0.35mol)、アクリロニトリル(60g、1.13mol)および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(15g、0.07mol)を使用したことを除いては前記合成例1と同様の方法によりアクリル系共重合体を製造した。アクリル酸、アクリロニトリル、および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のモル比は、22:73:5である。反応液の不揮発成分は、9.0重量%(理論値:10%)であった。
【0117】
合成例1−8
アクリル酸(20g、0.28mol)、アクリロニトリル(60g、1.13mol)および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(20g、0.10mol)を使用したことを除いては前記合成例1と同様の方法によりアクリル系共重合体を製造した。アクリル酸、アクリロニトリル、および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のモル比は、18:75:7である。反応液の不揮発成分は、9.0重量%(理論値:10%)であった。
【0118】
合成例2:結着バインダーの合成
攪拌機、温度計および冷却管を備えた3Lの4口フラスコ内に、蒸溜水(1000g)とアクリル酸(36.03g、0.50mol)、過硫酸アンモニウム(0.54g、2.49mmol、単量体に対して500ppm投入)、ビニルアセテート(172.18g、2.00mol)および陰イオン乳化剤であるDowfax2A1(2g)を加えた後、反応器の内部に窒素を満たす。
反応液の温度が65℃〜70℃の間で安定するように制御しながら12時間反応させる。反応液を室温に冷却した後、凝集剤を入れて固体を得た。
攪拌機、温度計および冷却管を備えた3Lの4口フラスコ内に、得られた固体をメタノール(2L)に溶解させた後、前記溶液に水酸化ナトリウム(100g、2.5mol)を加えた後、反応器の内部に窒素を満たす。
反応液の温度が40℃〜45℃の間で安定するように制御しながら2時間反応させる。析出された固体をフィルタし、メタノールで5回洗浄して190gの固体を収得した。
【0119】
比較合成例1
アクリル酸(50g、0.69mol)およびアクリロニトリル(50g、0.94mol)を使用し、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を使用しなかったことを除いては前記合成例1−1と同様の方法によりアクリル系共重合体を製造した。アクリル酸およびアクリロニトリルのモル比は42:58である。反応液の不揮発成分は、9.0重量%(理論値:10%)であった。
【0120】
比較合成例2
アクリル酸(50g、0.69mol)および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(50g、0.24mol)を使用し、アクリロニトリルを使用しなかったことを除いては前記合成例1−1と同様の方法によりアクリル系共重合体を製造した。アクリル酸およびアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のモル比は、74:26である。反応液の不揮発成分は、9.0重量%(理論値:10%)であった。
【0121】
下記の表1は、合成例1−1〜1−8および比較合成例1〜2で製造したアクリル系共重合体の各単量体のモル比と重量平均分子量およびガラス転移温度を示すものである。
【表1】
【0122】
前記表1において、AAはアクリル酸であり、ANはアクリロニトリルであり、AMPSは2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸である。前記ガラス転移温度は、示差走査熱量測定法で測定した値である。
【0123】
実施例1:二次電池用分離膜の製造
合成例1−1で製造したアクリル系耐熱バインダー(蒸溜水で10重量%)と合成例2で製造した結着バインダー(重量平均分子量300,000g/mol、ガラス転移温度300℃以上)が9:1の質量比で混合されたバインダーとベーマイト(Nabaltec社AOH60,平均粒径600nm)を1:30の質量比で水溶媒に投入した後、ビーズミルを用いて25℃で30分間ミーリングし、全体固形分が20重量%になるように水を添加して耐熱層形成用組成物を製造した。これを12.5μm厚さのポリエチレン多孔性基材(SK社、通気度:113sec/100cc、突刺強度:360kgf)の両面にダイコーティング方式でそれぞれ3μmの厚さでコートした後、70℃で10分間乾燥して二次電池用分離膜を製造した。
【0124】
実施例2
合成例1−1で製造したアクリル系耐熱バインダー(蒸溜水で10重量%)と合成例2で製造した結着バインダーを7:3の重量比で投入したことを除いては実施例1と同様の方法により二次電池用分離膜を製造した。
【0125】
実施例3
合成例1−1で製造したアクリル系耐熱バインダー(蒸溜水で10重量%)と合成例2で製造した結着バインダー(重量平均分子量300,000g/mol、ガラス転移温度300℃以上)を5:5の重量比で投入したことを除いては実施例1と同様の方法により二次電池用分離膜を製造した。
【0126】
実施例4
合成例1−1で製造したアクリル系耐熱バインダー(蒸溜水で10重量%)と合成例2で製造した結着バインダー(重量平均分子量300,000g/mol、ガラス転移温度300℃以上)を3:7の割合で投入したことを除いては実施例1と同様の方法により二次電池用分離膜を製造した。
【0127】
実施例5
合成例1−1で製造したアクリル系耐熱バインダー(蒸溜水で10重量%)と合成例2で製造した結着バインダー(重量平均分子量300,000g/mol、ガラス転移温度300℃以上)を1:9の重量比で投入したことを除いては実施例1と同様の方法により二次電池用分離膜を製造した。
【0128】
実施例6
合成例1−1のアクリル系高分子の代わりに合成例1−2のアクリル系高分子を使用したことを除いては実施例2と同様の方法により二次電池用分離膜を製造した。
【0129】
実施例7
合成例1−1のアクリル系高分子の代わりに合成例1−3のアクリル系高分子を使用したことを除いては実施例2と同様の方法により二次電池用分離膜を製造した。
【0130】
実施例8
合成例1−1のアクリル系高分子の代わりに合成例1−4のアクリル系高分子を使用したことを除いては実施例2と同様の方法により二次電池用分離膜を製造した。
【0131】
実施例9
合成例1−1のアクリル系高分子の代わりに合成例1−5のアクリル系高分子を使用したことを除いては実施例2と同様の方法により二次電池用分離膜を製造した。
【0132】
実施例10
合成例1−1のアクリル系高分子の代わりに合成例1−6のアクリル系高分子を使用したことを除いては実施例2と同様の方法により二次電池用分離膜を製造した。
【0133】
実施例11
合成例1−1のアクリル系高分子の代わりに合成例1−7のアクリル系高分子を使用したことを除いては実施例2と同様の方法により二次電池用分離膜を製造した。
【0134】
実施例12
合成例1−1のアクリル系高分子の代わりに合成例1−8のアクリル系高分子を使用したことを除いては実施例2と同様の方法により二次電池用分離膜を製造した。
【0135】
比較例1
合成例1−1で製造したアクリル系高分子(蒸溜水で10重量%)およびベーマイト(Nabaltec社AOH60,平均粒径600nm)を1:30の質量比で水溶媒に投入した後、ビーズミルを用いて25℃で30分間ミーリングし、全体固形分が20重量%になるように水を添加して耐熱層形成用組成物を製造した。これを12.5μm厚さのポリエチレン多孔性基材(SK社、通気度:113sec/100cc、突刺強度:360kgf)の断面にダイコーティング方式で3μmの厚さでコートした後、70℃で10分間乾燥して二次電池用分離膜を製造した。
【0136】
比較例2
合成例1−1のアクリル系高分子の代わりに比較合成例1のアクリル系高分子を使用したことを除いては実施例2と同様の方法により二次電池用分離膜を製造した。
【0137】
比較例3
合成例1−1のアクリル系高分子の代わりに比較合成例2のアクリル系高分子を使用したことを除いては実施例2と同様の方法により二次電池用分離膜を製造した。
【0138】
評価例1:通気度
実施例1〜実施例12および比較例1〜比較例3の二次電池用分離膜に対し、通気度測定装置(旭精工社、EG01−55−1MR)を用いて100ccの空気が透過するのにかかる時間(秒)を測定し、その結果を下記表1に記載した。
【0139】
評価例2:熱収縮率
実施例1〜実施例12および比較例1〜比較例3の二次電池用分離膜をそれぞれ8cm×8cmの大きさで切り出してサンプルを準備する。前記サンプルの表面に5cm×5cm大きさの四角形を描いた後紙またはアルミナ粉の間に挟んで、オーブンで150℃で1時間放置した後サンプルを取り出して描いておいた四角形の辺のサイズを測定して横方向(MD)と縦方向(TD)それぞれの収縮率を計算する。その結果を下記表1に示した。
【0140】
評価例3:耐熱破断
実施例1〜12および比較例1〜比較例3の二次電池用分離膜をそれぞれ5cm×5cmで切り出して、それぞれの分離膜の中央に4cm×4cmの穴を開けた段ボールの上にポリイミドフィルムでセパレーターを付着した後、200℃、230℃、250℃に加熱したオーブンに入れた。10分後、オーブンからセパレーターを取り出して破断の有無を確認し、破断した場合O、破断していない場合はXで評価した後、その結果を下記表2に示した。
【0142】
前記表2を参照すると、実施例1〜実施例12で製造した分離膜は、178sec/100cc以下の優れた通気度を示し、150℃で4%以下の収縮率を示すことに対し、比較例1〜比較例2の分離膜は、通気度においては実施例1〜実施例12と同様であるが、耐熱性を示す結果である熱収縮率または耐熱破断においては劣ることが見られた。
【0143】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、次の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。