特許第6802711号(P6802711)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6802711脂質ペプチド型化合物を含有する保湿基材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6802711
(24)【登録日】2020年12月1日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】脂質ペプチド型化合物を含有する保湿基材
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/64 20060101AFI20201207BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20201207BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20201207BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20201207BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20201207BHJP
   A61K 8/55 20060101ALI20201207BHJP
   A61K 8/362 20060101ALI20201207BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20201207BHJP
   A61K 8/67 20060101ALI20201207BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   A61K8/64
   A61K8/36
   A61K8/86
   A61K8/37
   A61K8/34
   A61K8/55
   A61K8/362
   A61K8/365
   A61K8/67
   A61Q19/00
【請求項の数】11
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2016-572107(P2016-572107)
(86)(22)【出願日】2016年1月27日
(86)【国際出願番号】JP2016052359
(87)【国際公開番号】WO2016121822
(87)【国際公開日】20160804
【審査請求日】2018年11月15日
(31)【優先権主張番号】特願2015-14778(P2015-14778)
(32)【優先日】2015年1月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504145342
【氏名又は名称】国立大学法人九州大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 雅宏
(72)【発明者】
【氏名】宮地 伸英
(72)【発明者】
【氏名】岩間 武久
(72)【発明者】
【氏名】井本 鷹行
【審査官】 駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/052613(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/003015(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
A61K 9/00−9/72
C07K1/00−19/00
A61K47/00−47/69
A61K31/33−33/44
A61P1/00−43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)乃至式(3)で表される化合物又はその薬学的に使用可能な塩のうちの少なくとも一種からなる脂質ペプチド型化合物、
エチレングリコールアルキルエーテル、リン脂質及びポリグリセリン脂肪酸エステルからなる群から選択される1種類以上の化合物を含む界面活性剤、
1,2−アルカンジオール又はグリセリン、
カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、及びステアリン酸からなる群から選択される少なくとも一種の脂肪酸、
前記脂質ペプチド型化合物、前記1,2−アルカンジオール及び前記グリセリンとは異なる保湿剤、並びに
水を含有する保湿基材。
【化1】
(式中、Rは炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、Rは水素原子、又は炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基を表し、Rは−(CH−X基を表し、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、−CONH基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環基若しくは6員環基又は5員環と6員環から構成される縮合複素環基を表す。)
【化2】
(式中、Rは炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、R乃至Rはそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基、又は−(CH−X基を表し、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、−CONH基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環基若しくは6員環基又は5員環と6員環から構成される縮合複素環基を表す。)
【化3】
(式中、Rは炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、R乃至R12はそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基、又は−(CH−X基を表し、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、−CONH基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環基若しくは6員環基又は5員環と6員環から構成される縮合複素環基を表す。)
【請求項2】
前記脂質ペプチド型化合物が、前記式(1)で表される化合物であり、式中、Rが炭素原子数15の直鎖状脂肪族基であり、Rが水素原子であり、Rが4−イミダゾールメチル基である化合物である、請求項1に記載の保湿基材。
【請求項3】
スティック状である、請求項1又は請求項2に記載の保湿基材。
【請求項4】
前記脂肪酸とは異なる、少なくとも一種の油性基材を更に含む、請求項1乃至請求項3のうち何れか一項に記載の保湿基材。
【請求項5】
前記保湿剤が、1,3−ブチレングリコール(1,3−ブタンジオール)、プロピレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ヘキシレングリコール、ジグリセリン、ポリグリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びエチレングリコール・プロピレングリコール共重合体からなる群から選択される一種以上である、請求項1乃至請求項4のうち何れか一項に記載の保湿基材。
【請求項6】
前記脂肪酸とは異なる、少なくとも一種の有機酸を更に含む、請求項1乃至請求項のうち何れか一項に記載の保湿基材。
【請求項7】
前記脂肪酸がステアリン酸である、請求項1乃至請求項のうち何れか一項に記載の保湿基材。
【請求項8】
前記有機酸がシュウ酸、クエン酸、及びアスコルビン酸からなる群から選択される少なくとも一種である、請求項又は請求項に記載の保湿基材。
【請求項9】
化粧品又は医薬用である、請求項1乃至請求項のうち何れか一項に記載の保湿基材。
【請求項10】
下記式(1)乃至式(3)で表される化合物又はその薬学的に使用可能な塩のうちの少なくとも一種からなる脂質ペプチド型化合物、
エチレングリコールアルキルエーテル、リン脂質及びポリグリセリン脂肪酸エステルからなる群から選択される1種類以上の化合物を含む界面活性剤、
1,2−アルカンジオール又はグリセリン、及び
カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、及びステアリン酸からなる群から選択される少なくとも一種の脂肪酸
を含有する、
前記脂質ペプチド型化合物、前記1,2−アルカンジオール及び前記グリセリンとは異なる保湿剤を含む保湿基材のためのプレミックス。
【化4】
(式中、Rは炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、Rは水素原子、又は炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基を表し、Rは−(CH−X基を表し、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、−CONH基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環基若しくは6員環基又は5員環と6員環から構成される縮合複素環基を表す。)
【化5】
(式中、Rは炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、R乃至Rはそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基、又は−(CH−X基を表し、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、−CONH基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環基若しくは6員環基又は5員環と6員環から構成される縮合複素環基を表す。)
【化6】
(式中、Rは炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、R乃至R12はそれぞれ独立
して水素原子、炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基、又は−(CH−X基を表し、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、−CONH基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環基若しくは6員環基又は5員環と6員環から構成される縮合複素環基を表す。)
【請求項11】
下記式(1)乃至式(3)で表される化合物又はその薬学的に使用可能な塩のうちの少なくとも一種からなる脂質ペプチド型化合物、
エチレングリコールアルキルエーテル、リン脂質及びポリグリセリン脂肪酸エステルからなる群から選択される1種類以上の化合物を含む界面活性剤、
1,2−アルカンジオール又はグリセリン、
カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、及びステアリン酸からなる群から選択される少なくとも一種の脂肪酸、
前記脂質ペプチド型化合物、前記1,2−アルカンジオール及び前記グリセリンとは異なる保湿剤、又は、前記脂肪酸とは異なる少なくとも一種の油性基材、並びに
水を含有する保湿基材。
【化7】
(式中、Rは炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、Rは水素原子、又は炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基を表し、Rは−(CH−X基を表し、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、−CONH基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環基若しくは6員環基又は5員環と6員環から構成される縮合複素環基を表す。)
【化8】
(式中、Rは炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、R乃至Rはそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基、又は−(CH−X基を表し、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、−CONH基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環基若しくは6員環基又は5員環と6員環から構成される縮合複素環基を表す。)
【化9】
(式中、Rは炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、R乃至R12はそれぞれ独立
して水素原子、炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基、又は−(CH−X基を表し、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、−CONH基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環基若しくは6員環基又は5員環と6員環から構成される縮合複素環基を表す。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は脂質ペプチド型化合物を含有する保湿基材、好ましくはスティック状の保湿基材、並びに該保湿基材向けのプレミックスに関する。
【背景技術】
【0002】
水性の固形状組成物は皮膚等への適用時に高い清涼感が得られることや、油性の固形状組成物と比べ使用後のべたつきがなく、さらっとした使用感であることなどから、化粧料等向けに様々な商品が上市、提案されている。
水性固形状組成物としては従来、水と脂肪酸石鹸と油分と粉末を含有する固形状水中油型メーキャップ化粧料(特許文献1)、アルキル及び/またはアルケニルオリゴグリコシド、油性物質、及びノニオン性乳化剤を含有するスティック状の水性化粧品(特許文献2)等が提案されている。
【0003】
また水性固形状組成物の一種として、水性ゲル状組成物が挙げられる。この水性ゲルを得るための添加剤として高分子ゲル化剤や低分子ゲル化剤など、種々の化合物が提案されている。例えば近年、生体安全性が高く医用材料等への展開が期待される脂質ペプチド型の低分子ゲル化剤が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−279319号公報
【特許文献2】特表2002−516818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の脂質ペプチド型低分子ゲル化剤を用いて得られる水性ゲルは、ある程度の強度が求められる用途向け、例えばスティック状の皮膚外用固形基材等への製品展開にあたり比較的破断強度が低いという問題がある。また皮膚外用固形基材の用途を考慮すると、皮膚に適用した際に優れた保湿性を付与できることが望まれる。
【0006】
本発明は上記の事情に基いてなされたものであり、その解決しようとする課題は、保湿性に優れるゲル状基材であり、またスティック状の基材等にも展開できる新規な保湿基材(皮膚外用固形基材)を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、低分子脂質ペプチド又はその薬学的に使用可能な塩からなる脂質ペプチド型化合物(ゲル化剤)と水とからヒドロゲルを形成するにあたり、脂質ペプチド型化合物の可溶化剤として1,2−アルカンジオール又はグリセリンと、さらに界面活性剤とを加えることにより、従来に比べ格段に高い破断強度を有するゲルが得られ、保湿性に優れる皮膚外用固形基材として、特にスティック状の基材として好適に使用できることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、第1観点として、下記式(1)乃至式(3)で表される化合物又はその薬学的に使用可能な塩のうちの少なくとも一種からなる脂質ペプチド型化合物、
界面活性剤、
1,2−アルカンジオール又はグリセリン、
少なくとも一種の脂肪酸、並びに
水を含有する保湿基材に関する。
【化1】
(式中、Rは炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、Rは水素原子、又は炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基を表し、Rは−(CH−X基を表し、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、−CONH基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環基若しくは6員環基又は5員環と6員環から構成される縮合複素環基を表す。)
【化2】
(式中、Rは炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、R乃至Rはそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基、又は−(CH−X基を表し、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、−CONH基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環基若しくは6員環基又は5員環と6員環から構成される縮合複素環基を表す。)
【化3】
(式中、Rは炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、R乃至R12はそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基、又は−(CH−X基を表し、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、−CONH基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環基若しくは6員環基又は5員環と6員環から構成される縮合複素環基を表す。)
第2観点として、前記脂質ペプチド型化合物が、前記式(1)で表される化合物であり、式中、Rが炭素原子数15の直鎖状脂肪族基であり、Rが水素原子であり、Rが4−イミダゾールメチル基である化合物である、第1観点に記載の保湿基材に関する。
第3観点として、スティック状である、第1観点又は第2観点に記載の保湿基材に関する。
第4観点として、少なくとも一種の油性基材を更に含む、第1観点乃至第3観点のうち何れか一項に記載の保湿基材に関する。
第5観点として、少なくとも一種の有機酸を更に含む、第1観点乃至第4観点のうち何れか一項に記載の保湿基材に関する。
第6観点として、保湿剤を更に含む、第1観点乃至第5観点のうち何れか一項に記載の保湿基材に関する。
第7観点として、前記界面活性剤としてエチレングリコールアルキルエーテル、リン脂質及びポリグリセリン脂肪酸エステルからなる群から選択される1種類以上の化合物を含む、第1観点乃至第6観点のうち何れか一項に記載の保湿基材に関する。
第8観点として、前記脂肪酸がステアリン酸である、第1観点乃至第7観点のうち何れか一項に記載の保湿基材に関する。
第9観点として、前記有機酸がシュウ酸、クエン酸、及びアスコルビン酸からなる群から選択される少なくとも一種である、第5観点乃至第8観点のうち何れか一項に記載の保湿基材に関する。
第10観点として、化粧品又は医薬用である、第1観点乃至第9観点のうち何れか一項に記載の保湿基材に関する。
第11観点として、下記式(1)乃至式(3)で表される化合物又はその薬学的に使用可能な塩のうちの少なくとも一種からなる脂質ペプチド型化合物、
界面活性剤、
1,2−アルカンジオール又はグリセリン、及び
少なくとも一種の脂肪酸
を含有する保湿基材のためのプレミックスに関する。
【化4】
(式中、Rは炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、Rは水素原子、又は炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基を表し、Rは−(CH−X基を表し、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、−CONH基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環基若しくは6員環基又は5員環と6員環から構成される縮合複素環基を表す。)
【化5】
(式中、Rは炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、R乃至Rはそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基、又は−(CH−X基を表し、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、−CONH基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環基若しくは6員環基又は5員環と6員環から構成される縮合複素環基を表す。)
【化6】
(式中、Rは炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、R乃至R12はそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基、又は−(CH−X基を表し、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、−CONH基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環基若しくは6員環基又は5員環と6員環から構成される縮合複素環基を表す。)
【発明の効果】
【0009】
本発明の保湿基材は、ゲル化剤(脂質ペプチド型化合物)、界面活性剤、特定の多価アルコール及び脂肪酸を含有する水性ゲルの構成を採用することにより、保湿性に優れる基材となり、さらには該基材を除去後においても非常に優れた保湿性を皮膚等に与えることができる基材として有用である。
【0010】
また本発明の保湿基材に含まれる脂質ペプチド化合物は、脂質とペプチドのみから構成される非常に安全性の高い人工低分子化合物である。また該化合物は、例えば従来提案されている合成高分子型のゲルの形成時に必要とされた架橋剤等を用いることなく水性ゲルを形成することができるため、得られる保湿基材において未反応の架橋剤などの未反応物質の残存といった問題が起こらない。
さらに本発明の保湿基材において添加剤として含まれる各種成分は食品や化粧品、医薬品の添加剤として汎用の添加剤である。
すなわち、本発明の保湿基材は生体安全性が高く、特に、医用材料、或いは化粧品用材料等において要求される高い安全性の観点からみて、上記用途において非常に有用である。
その上、本発明の保湿基材は、ヒトの肌等に適用した場合に清涼感がよく、また折れたり変形したりせず、伸びがよい基材となることが期待されるため、化粧品用基材や医薬用基材として、特にスティック状の保湿基材として非常に有用である。
【0011】
さらに本発明は、上記保湿基材向けに好適なプレミックス原料を提供することができる。
そして本発明は上記プレミックスを用いることにより、特に、アスコルビン酸のような有機酸を多量に配合した場合においても、スティック状基材として好適なゲル状の保湿基材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は皮膚保湿性試験に用いた装置の概念図である。
図2図2は、実施例3で調製したゲル、水又はカーボポールを用いて実施した、実施例5の皮膚保湿性試験(角質層水分量測定)の試験結果を示す図である。
図3図3は、実施例4で調製したゲル、水又はカーボポールを用いて実施した、実施例5の皮膚保湿性試験(角質層水分量測定)の試験結果を示す図である。
図4図4は、例6乃至例8、及び実施例9で調製した各ゲル、市販のゲルを用いて実施した皮膚保湿性試験(角質層水分量測定)の試験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、下記式(1)乃至式(3)で表される化合物又はその薬学的に使用可能な塩のうちの少なくとも一種からなる脂質ペプチド型化合物、界面活性剤、特定の多価アルコール、脂肪酸及び水を含み、所望に応じて油性基材、有機酸、保湿剤、その他添加剤を含む保湿基材に関する。
また本発明は、前記脂質ペプチド型化合物、界面活性剤、特定の多価アルコール及び脂肪酸を含む、保湿基材のためのプレミックスも対象とする。
本発明の保湿基材は化粧品又は医薬品向けに好適であり、特にスティック状の保湿基材(以下スティック状基材とも称する)として好適に使用できる。なお本発明においてスティック状基材とは、棒状の形状を維持し且つ皮膚等に適用可能となる強度を有する棒状の基材を言及する。
以下、各構成成分について説明する。
【0014】
[脂質ペプチド型化合物]
本発明の保湿基材及びそのためのプレミックスにおいて用いる脂質ペプチド型化合物としては、下記式(1)乃至式(3)で表される化合物(脂質ペプチド)又はその薬学的に使用可能な塩(疎水性部位である脂質部と親水性部位であるペプチド部とを有する低分子化合物)を用いることができる。
【0015】
【化7】
【0016】
上記式(1)において、Rは炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、好ましくは、Rは不飽和結合を0乃至2個有し得る炭素原子数11乃至23の直鎖状脂肪族基であることが望ましい。
は及び隣接するカルボニル基で構成される脂質部(アシル基)の具体例としては、ラウロイル基、ドデシルカルボニル基、ミリストイル基、テトラデシルカルボニル基、パルミトイル基、マルガロイル基、オレオイル基、エライドイル基、リノレオイル基、ステアロイル基、バクセノイル基、オクタデシルカルボニル基、アラキドイル基、エイコシルカルボニル基、ベヘノイル基、エルカノイル基、ドコシルカルボニル基、リグノセイル基、ネルボノイル基等を挙げることができ、特に好ましいものとして、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、マルガロイル基、ステアロイル基、オレオイル基、エライドイル基及びベヘノイル基が挙げられる。
【0017】
上記式(1)において、ペプチド部に含まれるRは、水素原子、又は炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基を表す。
上記炭素原子数1若しくは2の分岐鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基とは、主鎖の炭素原子数が1乃至4であり、かつ炭素原子数1若しくは2の分岐鎖を有し得るアルキル基を意味し、その具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基又はtert−ブチル基などが挙げられる。
上記Rは好ましくは、水素原子、又は炭素原子数1の分岐鎖を有し得る炭素原子数1乃至3のアルキル基であり、より好ましくは水素原子である。
炭素原子数1の分岐鎖を有し得る炭素原子数1乃至3のアルキル基とは、主鎖の炭素原子数が1乃至3であり、かつ炭素原子数1の分岐鎖を有し得るアルキル基を意味し、その具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、i−ブチル基又はsec−ブチル基などが挙げられ、好ましくはメチル基、i−プロピル基、i−ブチル基又はsec−ブチル基である。
【0018】
上記式(1)において、Rは−(CH)n−X基を表す。上記−(CH)n−X基において、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、−CONH基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環基若しくは6員環基、又は5員環と6員環から構成される縮合複素環基を表す。
上記Rを表す−(CH)n−X基において、Xは好ましくはアミノ基、グアニジノ基、カルバモイル基(−CONH基)、ピロール基、イミダゾール基、ピラゾール基又はインドール基であり、より好ましくはイミダゾール基である。また、上記−(CH)n−X基において、nは好ましくは1又は2であり、より好ましくは1である。
従って、上記−(CH)n−X基は、好ましくはアミノメチル基、2−アミノエチル基、3−アミノプロピル基、4−アミノブチル基、カルバモイルメチル基、2−カルバモイルエチル基、3−カルバモイルブチル基、2−グアニジノエチル基、3−グアニジノブチル基、ピロールメチル基、4−イミダゾールメチル基、ピラゾールメチル基、又は3−インドールメチル基を表し、より好ましくは4−アミノブチル基、カルバモイルメチル基、2−カルバモイルエチル基、3−グアニジノブチル基、4−イミダゾールメチル基又は3−インドールメチル基を表し、さらに好ましくは4−イミダゾールメチル基である。
【0019】
上記式(1)で表される化合物において、脂質ペプチド型化合物として特に好適な脂質ペプチドとしては、以下の脂質部とペプチド部(アミノ酸集合部)から形成される化合物である。なおアミノ酸の略称としては、アラニン(Ala)、アスパラギン(Asn)、グルタミン(Gln)、グリシン(Gly)、ヒスチジン(His)、イソロシン(Ile)、ロイシン(Leu)、リジン(Lys)、トリプトファン(Trp)、バリン(Val)を表す。:ラウロイル−Gly−His、ラウロイル−Gly−Gln、ラウロイル−Gly−Asn、ラウロイル−Gly−Trp、ラウロイル−Gly−Lys、ラウロイル−Ala−His、ラウロイル−Ala−Gln、ラウロイル−Ala−Asn、ラウロイル−Ala−Trp、ラウロイル−Ala−Lys;ミリストイル−Gly−His、ミリストイル−Gly−Gln、ミリストイル−Gly−Asn、ミリストイル−Gly−Trp、ミリストイル−Gly−Lys、ミリストイル−Ala−His、ミリストイル−Ala−Gln、ミリストイル−Ala−Asn、ミリストイル−Ala−Trp、ミリストイル−Ala−Lys;パルミトイル−Gly−His、パルミトイル−Gly−Gln、パルミトイル−Gly−Asn、パルミトイル−Gly−Trp、パルミトイル−Gly−Lys、パルミトイル−Ala−His、パルミトイル−Ala−Gln、パルミトイル−Ala−Asn、パルミトイル−Ala−Trp、パルミトイル−Ala−Lys;ステアロイル−Gly−His、ステアロイル−Gly−Gln、ステアロイル−Gly−Asn、ステアロイル−Gly−Trp、ステアロイル−Gly−Lys、ステアロイル−Ala−His、ステアロイル−Ala−Gln、ステアロイル−Ala−Asn、ステアロイル−Ala−Trp、ステアロイル−Ala−Lys。
【0020】
最も好ましいものとして、ラウロイル−Gly−His、ラウロイル−Ala−His;ミリストイル−Gly−His、ミリストイル−Ala−His;パルミトイル−Gly−His、パルミトイル−Ala−His;ステアロイル−Gly−His、ステアロイル−Ala−Hisが挙げられる。
【0021】
【化8】
【0022】
上記式(2)において、Rは炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、好ましい具体例としては、前出のRで定義したものと同じ基が挙げられる。
上記式(2)において、R乃至Rは、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基、又は−(CH)n−X基を表し、好ましくはR乃至Rのうち少なくとも一つ以上が−(CH)n−X基を表す。nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、−CONH基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環基若しくは6員環基、又は5員環と6員環から構成される縮合複素環基を表す。ここでR乃至Rの好ましい具体例としては、前出のR及びRで定義したものと同じ基が挙げられる。
【0023】
上記式(2)で表される化合物において、好適な脂質ペプチドとしては、以下の脂質部とペプチド部(アミノ酸集合部)から形成される化合物である。ラウロイル−Gly−Gly−His、ミリストイル−Gly−Gly−His、ミリストイル−Gly−Gly−Gln、ミリストイル−Gly−Gly−Asn、ミリストイル−Gly−Gly−Trp、ミリストイル−Gly−Gly−Lys、ミリストイル−Gly−Ala−His、ミリストイル−Gly−Ala−Gln、ミリストイル−Gly−Ala−Asn、ミリストイル−Gly−Ala−Trp、ミリストイル−Gly−Ala−Lys、ミリストイル−Ala−Gly−His、ミリストイル−Ala−Gly−Gln、ミリストイル−Ala−Gly−Asn、ミリストイル−Ala−Gly−Trp、ミリストイル−Ala−Gly−Lys、ミリストイル−Gly−His−Gly、ミリストイル−His−Gly−Gly、パルミトイル−Gly−Gly−His、パルミトイル−Gly−Gly−Gln、パルミトイル−Gly−Gly−Asn、パルミトイル−Gly−Gly−Trp、パルミトイル−Gly−Gly−Lys、パルミトイル−Gly−Ala−His、パルミトイル−Gly−Ala−Gln、パルミトイル−Gly−Ala−Asn、パルミトイル−Gly−Ala−Trp、パルミトイル−Gly−Ala−Lys、パルミトイル−Ala−Gly−His、パルミトイル−Ala−Gly−Gln、パルミトイル−Ala−Gly−Asn、パルミトイル−Ala−Gly−Trp、パルミトイル−Ala−Gly−Lys、パルミトイル−Gly−His−Gly、パルミトイル−His−Gly−Gly、ステアロイル−Gly−Gly−His。
【0024】
これらのうち、最も好ましいものとして、ラウロイル−Gly−Gly−His、ミリストイル−Gly−Gly−His、パルミトイル−Gly−Gly−His、パルミトイル−Gly−His−Gly、パルミトイル−His−Gly−Gly、ステアロイル−Gly−Gly−Hisが挙げられる。
【0025】
【化9】
【0026】
上記式(3)において、Rは炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、好ましい具体例としては、前出のRで定義したものと同じ基が挙げられる。
上記式(3)において、R乃至R12は、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基、又は−(CH)n−X基を表し、好ましくはR乃至R12のうち少なくとも一つ以上が−(CH)n−X基を表す。nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、−CONH基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環基若しくは6員環基、又は5員環と6員環から構成される縮合複素環基を表す。ここでR乃至R12の好ましい具体例としては、前出のR及びRで定義したものと同じ基が挙げられる。
【0027】
したがって上記式(3)で表される化合物において、好適な脂質ペプチド型化合物として、特に好適な脂質ペプチドとしては、ラウロイル−Gly−Gly−Gly−His、ミリストイル−Gly−Gly−Gly−His、パルミトイル−Gly−Gly−Gly−His、パルミトイル−Gly−Gly−His−Gly、パルミトイル−Gly−His−Gly−Gly、パルミトイル−His−Gly−Gly−Gly、ステアロイル−Gly−Gly−Gly−His等が挙げられる。
【0028】
これら脂質ペプチド型化合物の中でも、特に上記式(1)で表される化合物であって、その式中、Rが炭素原子数15の直鎖状脂肪族基であり、Rが水素原子であり、Rが4−イミダゾールメチル基である化合物、すなわちパルミトイル−GLy−His化合物が好ましい。
【0029】
本発明において、脂質ペプチド型化合物の配合量は、得られる保湿基材の総質量に対して、例えば0.01乃至30質量%、好ましくは、0.05乃至10質量%、より好ましくは0.1乃至10質量%である。
本発明において、脂質ペプチド型化合物の配合量は、得られるプレミックスの総質量に対して、例えば5乃至20質量%、好ましくは、10乃至20質量%である。
なお本発明において用いられる脂質ペプチド型化合物は、上記式(1)乃至式(3)で表される化合物(脂質ペプチド)又はその薬学的な使用可能な塩のうちの少なくとも一種からなり、ヒドロゲル化剤としてこれら化合物を単独で、或いは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0030】
[界面活性剤]
本発明の保湿基材又はそのためのプレミックスにおいて使用する界面活性剤として、分子内に親水部と疎水部を有し、かつ該親水部がベタイン構造を有する化合物(以下、ベタイン系化合物とも称する)、エチレングリコールアルキルエーテル、或いは、ポリグリセリン脂肪酸エステルを好適に用いることができる。
【0031】
上述のようなベタイン系化合物としては、例えばラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(ラウリルベタイン)等のN−アルキル−N,N−ジメチルアミノ酸ベタイン;コカミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン等の脂肪酸アミドアルキル−N,N−ジメチルアミノ酸ベタイン;ココアンホ酢酸ナトリウム、ラウロアンホ酢酸ナトリウム等のイミダゾリン型ベタイン;ラウリルヒドロキシスルホベタイン、アルキルジメチルタウリン等のアルキルスルホベタイン;アルキルジメチルアミノエタノール硫酸エステル等の硫酸型ベタイン;アルキルジメチルアミノエタノールリン酸エステル等のリン酸型ベタイン等、両性界面活性剤として既知のベタイン系化合物を使用出来る。
また、上記ベタイン系化合物として、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ジホスファチジルグリセロール(カルジオリピン)、ホスファチジン酸などのグリセロリン脂質;リゾホスファチジルコリン(リゾレシチン)、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルセリン、リゾホスファチジルイノシトール、リゾホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジン酸などのリゾグリセロリン脂質;スフィンゴミエリンなどのスフィンゴリン脂質;およびこれらの水素添加物などが挙げられる。これらのリン脂質は、大豆、卵黄などの動植物由来のものでもよく、化学的もしくは酵素的方法により合成されたものでもよい。
上記ベタイン系化合物の中でも、好ましくは、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ステアリルベタイン、リゾホスファチジルコリン(リゾレシチン)、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルセリン、リゾホスファチジルイノシトール、リゾホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジン酸などが挙げられ、さらに好ましくは、リゾホスファチジルコリン(リゾレシチン)が挙げられる。
【0032】
上記エチレングリコールアルキルエーテルとしては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンパルミトイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等が挙げられる。好ましくは、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテルである。
【0033】
上記ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、ステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、パルミチン酸グリセリル、ミリスチン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル、ヤシ油脂肪酸グリセリル、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、α,α’−オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等のグリセリン脂肪酸部分エステル類;ステアリン酸ポリグリセリル−2、同3、同4、同5、同6、同8、同10、ジステアリン酸ポリグリセリル−6、同10、トリステアリン酸ポリグリセリル−2、デカステアリン酸ポリグリセリル−10、イソステアリン酸ポリグリセリル−2、同3、同4、同5、同6、同8、同10、ジイソステアリン酸ポリグリセリル−2(ジイソステアリン酸ジグリセリル)、同3、同10、トリイソステアリン酸ポリグリセリル−2、テトライソステアリン酸ポリグリセリル−2、デカイソステアリン酸ポリグリセリル−10、オレイン酸ポリグリセリル−2、同3、同4、同5、同6、同8、同10、ジオレイン酸ポリグリセリル−6、トリオレイン酸ポリグリセリル−2、デカオレイン酸ポリグリセリル−10等が挙げられる。
【0034】
また本発明において、界面活性剤をHLB(Hydrophile−Lipophile Balance)値で分類した場合、好ましくは1.0〜20.0、より好ましくは2.0〜17.0、さらに好ましくは8.0〜17.0の範囲にあるものを配合し得る。界面活性剤のHLBが上記範囲内にあることによって、保湿基材の作製時に、親水性成分と親油性成分によって構成され得るエマルションの分散性を良好にすることができる。
このようなHLB範囲にある界面活性剤の具体例としては、ソルビタンモノラウレート〔和光純薬工業(株)製「Span20」(登録商標)HLB=8.6〕などのソルビタンモノ脂肪酸エステル;ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート〔和光純薬工業(株)製「Tween20」(登録商標)、HLB=16.7〕、ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノステアレート(HLB=9.6)、ポリオキシエチレン(5)ソルビタンモノオレエート(HLB=10.0)、ポリオキシエチレン(4)ソルビタントリステアレート(HLB=10.5)、ポリオキシエチレン(4)ソルビタントリオレエート(HLB=11.0)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(HLB=14.9)などのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0035】
なお、前述した化合物と一部重複するが、HLB(Hydrophile−Lipophile Balance)値が10乃至12である界面活性剤として、例えばイソステアリン酸ソルビタン、ステアレス−8、ベヘネス−10、ラウレス−5、セテス−7、オレス−8、イソステアリン酸PEG−8グリセリル、コレス−10、イソステアリン酸PEG−10BG、トリイソステアリン酸PEG−30グリセリル、トリオレイン酸PEG−30グリセリル、トリイソステアリン酸PEG−30トリメチロールプロパン、ラウリン酸PEG−30水添ヒマシ油、PCAイソステアリン酸PEG−30水添ヒマシ油、オクチルドデセス−10、ジラウリン酸PEG−12、テトラオレイン酸ソルベス−40、ジイソステアリン酸ポリグリセリル−10、ジイソステアリン酸PEG−20グリセリル、イソステアリン酸PEG−8、イソステアリン酸PEG−10グリセリル、トリイソステアリン酸PEG−60水添ヒマシ油、PPG−2−デセス−7、オレス−10、水添ダイマージリノレス−20、ヤシ脂肪酸ソルビタン、イソステアレス−10、ステアレス−11、トリミリスチン酸PEG−30トリメチロールプロパン、イソステアリン酸PEG−40水添ヒマシ油、PCAイソステアリン酸PEG−40水添ヒマシ油、ラウレス−7、イソセテス−10、セテス−10、イソステアリン酸PEG−10、ステアリン酸PEG−10、オレイン酸PEG−10、ステアリン酸PEG−10グリセリル、オレス−12、デシルテトラデセス−15、コレス−15、ジラウリン酸PEG−16、PEG−30水添ヒマシ油、トリイソステアリン酸PEG−40グリセリル、トリオレイン酸PEG−40グリセリル、トリイソステアリン酸PEG−40トリメチロールプロパン、ラウリン酸PEG−40水添ヒマシ油等も好適に使用可能である。
【0036】
本発明において、上記の界面活性剤の配合量は、得られる保湿基材の総質量に対して、例えば0.1乃至20質量%、好ましくは、0.1乃至10質量%、より好ましくは0.1乃至5質量%である。
本発明において、上記界面活性剤の配合量は、得られるプレミックスの総質量に対して、例えば1乃至20質量%、好ましくは、2乃至10質量%である。
なお本発明において用いられる界面活性剤は、上述の界面活性剤群の少なくとも一種であり、これら界面活性剤を単独で、或いは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0037】
[1,2−アルカンジオールまたはグリセリン]
本発明の保湿基材又はそのためのプレミックスは、1,2−アルカンジオール又はグリセリンを含む。
1,2−アルカンジオールは前記脂質ペプチド型化合物の溶解性を促進させる働きをもち、その具体例としては、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール及び1,2−デカンジオールなどが挙げられる。好ましくは、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオールが挙げられる。さらに好ましくは、1,2−ペンタンジオール又は1,2−ヘキサンジオールである。本発明で使用する1,2−アルカンジオールは上述の1,2−アルカンジオール群の少なくとも一種であり、これら1,2−アルカンジオールを単独で、或いは二種以上を組み合わせて用いることができる。
また本発明の保湿基材又はそのためのプレミックスでは、上記1,2−アルカンジオールに加えて、グリセリンも、前記脂質ペプチド型化合物の溶解性を促進させる働きを有するものとして好適に使用され得る。なお前述の界面活性剤には、市販品においてグリセリンを溶剤として含む製品もあり、この市販品を使用した場合に成分として含まれるグリセリンも同様に脂質ペプチド型化合物の溶解性を促進させるように作用する。
本発明において、1,2−アルカンジオール又はグリセリンの配合量は、得られる保湿基材の総質量に対して、例えば0.1乃至20質量%、好ましくは、0.1乃至10質量%、より好ましくは0.1乃至5質量%である。
本発明において、1,2−アルカンジオール又はグリセリンの配合量は、得られるプレミックスの総質量に対して、例えば2乃至20質量%、好ましくは、2乃至10質量%である。
【0038】
[脂肪酸]
本発明の保湿基材又はそのためのプレミックスに含まれる脂肪酸は、好ましくは炭素原子数10乃至20の飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸並びにそれら脂肪酸の塩からなる群から選択される少なくとも1種であり、例えば脂肪酸としてはカプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸が挙げられる。さらに好ましくは、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸が挙げられ、なかでもステアリン酸が好ましい。
本発明において、使用される脂肪酸の配合量は、得られる保湿基材の総質量に対して、例えば0.01乃至2.0質量%、好ましくは0.02乃至1.0質量%である。
本発明において、脂肪酸の配合量は、得られるプレミックスの総質量に対して、例えば0.5乃至5質量%、好ましくは、0.5乃至3質量%である。
なお本発明において用いられる脂肪酸は、上記脂肪酸群から選択される少なくとも1種であり、これら脂肪酸を単独で、或いは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0039】
[油性基剤]
本発明の保湿基材はさらに油性基材を含んでいてもよい。また本発明のプレミックスにおいても油性基材を含み得る。
本発明において使用される油性基剤としては、セタノール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、ホホバアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール、ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ダイマージオール等の高級(多価)アルコール類;ベンジルアルコール等のアラルキルアルコール及びその誘導体;イソステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、イソヘキサデカン酸、アンテイソヘンイコサン酸、長鎖分岐脂肪酸、ダイマー酸、水素添加ダイマー酸等;流動パラフィン(ミネラルオイル)、重質流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、α−オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ポリブテン、スクワラン、オリーブ由来スクワラン、スクワレン、ワセリン、固形パラフィン等の炭化水素類;キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、みつろう、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、エチレン・プロピレンコポリマー等のワックス類;ヤシ油、パーム油、パーム核油、サフラワー油、オリーブ油、ヒマシ油、アボカド油、ゴマ油、茶油、月見草油、小麦胚芽油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、ククイナッツ油、ローズヒップ油、メドウフォーム油、パーシック油、ティートリー油、ハッカ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、小麦胚芽油、アマニ油、綿実油、大豆油、落花生油、コメヌカ油、カカオ脂、シア脂、水素添加ヤシ油、水素添加ヒマシ油、ホホバ油、水素添加ホホバ油等の植物油脂類;牛脂、乳脂、馬脂、卵黄油、ミンク油、タートル油等の動物性油脂類;鯨ロウ、ラノリン、オレンジラッフィー油等の動物性ロウ類;液状ラノリン、還元ラノリン、吸着精製ラノリン、酢酸ラノリン、酢酸液状ラノリン、ヒドロキシラノリン、ポリオキシエチレンラノリン、ラノリン脂肪酸、硬質ラノリン脂肪酸、ラノリンアルコール、酢酸ラノリンアルコール、酢酸(セチル・ラノリル)エステル等のラノリン類;コレステロール、ジヒドロコレステロール、ラノステロール、ジヒドロラノステロール、フィトステロール、コール酸等のステロール類;サポゲニン類;サポニン類;酢酸コレステリル、ノナン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、N−ラウロイルサルコシンイソプロピル等のアシルサルコシンアルキルエステル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリル、軟質ラノリン脂肪酸コレステリル、硬質ラノリン脂肪酸コレステリル、長鎖分岐脂肪酸コレステリル、長鎖α−ヒドロキシ脂肪酸コレステリル等のステロールエステル類;リン脂質・コレステロール複合体、リン脂質・フィトステロール複合体等の脂質複合体;ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸テトラデシル、イソステアリン酸オクチルドデシル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸オクチルドデシル、オクタン酸セチル、オクタン酸ヘキシルデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸オクチル、イソノナン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオデカン酸オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、リシノレイン酸オクチルドデシル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、エルカ酸オクチルドデシル、イソステアリン酸硬化ヒマシ油、オレイン酸エチル、アボカド油脂肪酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、セバチン酸ジエチル、セバチン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジブチルオクチル、アジピン酸ジイソブチル、コハク酸ジオクチル、クエン酸トリエチル等のモノアルコールカルボン酸エステル類;乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、モノイソステアリン酸水添ヒマシ油等のオキシ酸エステル類;トリオクタン酸グリセリル(トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル)、トリオレイン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、水添ロジントリグリセリド(水素添加エステルガム)、ロジントリグリセリド(エステルガム)、ベヘン酸エイコサン二酸グリセリル、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ジオレイン酸プロピレングリコール、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、水素添加ロジンペンタエリスリチル、トリエチルヘキサン酸ジトリメチロールプロパン、(イソステアリン酸/セバシン酸)ジトリメチロールプロパン、トリエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、テトライソステアリン酸ポリグリセリル、ノナイソステアリン酸ポリグリセリル−10、デカ(エルカ酸/イソステアリン酸/リシノレイン酸)ポリグリセリル−8、(ヘキシルデカン酸/セバシン酸)ジグリセリルオリゴエステル、ジステアリン酸グリコール(ジステアリン酸エチレングリコール)、ジネオペンタン酸3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジネオペンタン酸2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール等の多価アルコール脂肪酸エステル類;ダイマージリノール酸ジイソプロピル、ダイマージリノール酸ジイソステアリル、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ジイソステアリン酸ダイマージリノレイル、ダイマージリノレイル水添ロジン縮合物、ダイマージリノール酸硬化ヒマシ油、ヒドロキシアルキルダイマージリノレイルエーテル等のダイマー酸若しくはダイマージオールの誘導体;ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(コカミドMEA)、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(コカミドDEA)、ラウリン酸モノエタノールアミド(ラウラミドMEA)、ラウリン酸ジエタノールアミド(ラウラミドDEA)、ラウリン酸モノイソプロパノールアミド(ラウラミドMIPA)、パルミチン酸モノエタノールアミド(パルタミドMEA)、パルミチン酸ジエタノールアミド(パルタミドDEA)、ヤシ油脂肪酸メチルエタノールアミド(コカミドメチルMEA)等の脂肪酸アルカノールアミド類;ジメチコン(ジメチルポリシロキサン)、高重合ジメチコン(高重合ジメチルポリシロキサン)、シクロメチコン(環状ジメチルシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン(単にシクロペンタシロキサンとも))、フェニルトリメチコン、ジフェニルジメチコン、フェニルジメチコン、ステアロキシプロピルジメチルアミン、(アミノエチルアミノプロピルメチコン/ジメチコン)コポリマー、ジメチコノール、ジメチコノールクロスポリマー、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、アミノプロピルジメチコン及びアモジメチコン等のアミノ変性シリコーン、カチオン変性シリコーン、ジメチコンコポリオール等のポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、糖変性シリコーン、カルボン酸変性シリコーン、リン酸変性シリコーン、硫酸変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、脂肪酸変性シリコーン、アルキルエーテル変性シリコーン、アミノ酸変性シリコーン、ペプチド変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、カチオン変性及びポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性及びポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性及びポリエーテル変性シリコーン、ポリシロキサン・オキシアルキレン共重合体等のシリコーン類;パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類が、好ましいものとして挙げられる。
【0040】
本発明において、油性基材の配合量は、得られる保湿基材の総質量に対して、例えば1乃至50質量%、好ましくは、5乃至50質量%、より好ましくは10乃至50質量%である。
本発明において、プレミックスが油性基材を含む場合、その配合量は、例えばプレミックスの総質量に対して50乃至1質量%、好ましくは、30乃至1質量%である。
なお本発明において用いられる上記油性基剤は上述の油性基剤群の少なくとも一種であり、これら油性基剤を単独で、或いは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0041】
[有機酸]
本発明の保湿基材はさらに有機酸を含んでいてもよい。また本発明のプレミックスにおいても有機酸を含み得る。
上記有機酸としては、シュウ酸、アスコルビン酸、クエン酸、乳酸、グリコール酸、コハク酸、酢酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸等が挙げられる。中でも好ましくはシュウ酸、アスコルビン酸、クエン酸、乳酸が挙げられ、特にシュウ酸、アスコルビン酸、クエン酸が挙げられる。
本発明において、有機酸の配合量は、得られる保湿基材の総質量に対して、例えば0.5乃至50質量%、好ましくは、0.5乃至30質量%である。
また本発明において、プレミックスが有機酸を含む場合、その配合量は、例えばプレミックスの総質量に対して1乃至20質量%、好ましくは、1乃至10質量%である。
【0042】
本発明の保湿基材はさらに保湿剤を含んでいてもよい。また本発明のプレミックスにおいても保湿剤を含み得る。
上記保湿剤(感触向上剤)としては、グリセリン、1,3−ブチレングリコール(1,3−ブタンジオール)、プロピレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ヘキシレングリコール、ジグリセリン、ポリグリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール・プロピレングリコール共重合体等のポリオール類及びその重合体;ジエチレングリコールモノエチルエーテル(エトキシジグリコール)、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のグリコールアルキルエーテル類;(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル−10、テトラデカン二酸ポリグリセリル−10等の水溶性エステル類;ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マンニトール、マルチトール等の糖アルコール類;グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、トレオース、キシロース、アラビノース、フコース、リボース、デオキシリボース、マルトース、トレハロース、ラクトース、ラフィノース、グルコン酸、グルクロン酸、シクロデキストリン類(α−、β−、γ−シクロデキストリン、及び、マルトシル化、ヒドロキシアルキル化等の修飾シクロデキストリン)、β−グルカン、キチン、キトサン、ヘパリン及び誘導体、ペクチン、アラビノガラクタン、デキストリン、デキストラン、グリコーゲン、エチルグルコシド、メタクリル酸グルコシルエチル重合物若しくは共重合物等の糖類及びその誘導体類;ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム;コンドロイチン硫酸ナトリウム;ムコイチン硫酸、カロニン硫酸、ケラト硫酸、デルマタン硫酸;シロキクラゲ抽出物、シロキクラゲ多糖体;フコイダン;チューベロース多糖体又は天然由来多糖体;クエン酸、酒石酸、乳酸等の有機酸及びその塩;尿素及びその誘導体;2−ピロリドン−5−カルボン酸及びそのナトリウム等の塩;ベタイン(トリメチルグリシン)、プロリン、ヒドロキシプロリン、アルギニン、リジン、セリン、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、チロシン、β−アラニン、スレオニン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、トリプトファン、ヒスチジン、タウリン等のアミノ酸類及びその塩;コラーゲン、魚由来コラーゲン、アテロコラーゲン、ゼラチン、エラスチン、コラーゲン分解ペプチド、加水分解コラーゲン、塩化ヒドロキシプロピルアンモニウム加水分解コラーゲン、エラスチン分解ペプチド、ケラチン分解ペプチド、加水分解ケラチン、コンキオリン分解ペプチド、加水分解コンキオリン、シルク蛋白分解ペプチド、加水分解シルク、ラウロイル加水分解シルクナトリウム、大豆蛋白分解ペプチド、小麦蛋白分解ペプチド、加水分解小麦蛋白、カゼイン分解ペプチド、アシル化ペプチド等の蛋白ペプチド類及びその誘導体;パルミトイルオリゴペプチド、パルミトイルペンタペプチド、パルミトイルテトラペプチド等のアシル化ペプチド類;シリル化ペプチド類;乳酸菌培養液、酵母抽出液、卵殻膜タンパク、牛顎下腺ムチン、ヒポタウリン、ゴマリグナン配糖体、グルタチオン、アルブミン、乳清;塩化コリン、ホスホリルコリン;胎盤抽出液、エアラスチン、コラーゲン、アロエ抽出物、ハマメリス水、ヘチマ水、カモミラエキス、カンゾウエキス、コンフリーエキス、シルクエキス、イザヨイバラエキス、セイヨウノコギリソウエキス、ユーカリエキス、メリロートエキス等の動物・植物抽出成分、天然型セラミド(タイプ1、2、3、4、5、6)、ヒドロキシセラミド、疑似セラミド、スフィンゴ糖脂質、セラミド及び糖セラミド含有エキス等のセラミド類が好ましいものとして挙げられる。
本発明において、保湿剤の配合量は、得られる保湿基材の総質量に対して、例えば0.5乃至50質量%、好ましくは、0.5乃至30質量%である。
また本発明において、プレミックスが保湿剤を含む場合、その配合量は、例えばプレミックスの総質量に対して1乃至20質量%、好ましくは、1乃至10質量%である。
【0043】
[その他添加剤]
本発明の保湿基材には、必要に応じて一般的に化粧品用添加剤及び医薬部外品用添加剤として使用可能な添加剤を配合することができる。化粧品又は医薬部外品等の保湿基材(皮膚外用固形基材)に配合される生理活性物質及び機能性物質等の添加成分としては、例えば界面活性剤、経皮吸収促進剤、高分子、増粘・ゲル化剤、溶剤・噴射剤、酸化防止剤、還元剤、酸化剤、防腐剤、抗菌剤、殺菌剤、キレート剤、pH調整剤、酸、アルカリ、粉体、無機塩、紫外線吸収剤、美白剤、ビタミン類及びその誘導体類、育毛用薬剤、血行促進剤、刺激剤、ホルモン類、抗しわ剤、抗老化剤、ひきしめ剤、冷感剤、温感剤、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、植物・動物・微生物エキス、鎮痒剤、角質剥離・溶解剤、制汗剤、清涼剤、収れん剤、酵素、核酸、香料、色素、着色剤、染料、顔料、消炎剤、抗炎症剤、抗喘息、抗慢性閉塞性肺疾患、抗アレルギー、免疫調整剤、抗感染症剤及び抗真菌剤等が挙げられる。
【0044】
界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤等が好ましいものとして挙げられる。界面活性剤として好ましいものを例示すると、陰イオン性界面活性剤としては、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム等の脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル塩;ラウレス硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸トリエタノールアミン等のポリオキシエチレンアルキル硫酸塩;ココイルメチルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンカリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウム、ミリストイルメチルタウリンナトリウム、ラウロイルメチルアラニンナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、ラウロイルサルコシントリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸メチルアラニンナトリウム等のアシルN−メチルアミノ酸塩;ココイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン、ココイルアラニントリエタノールアミン等のアシルアミノ酸塩;ラウレス酢酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム等のコハク酸エステル塩;脂肪酸アルカノールアミドエーテルカルボン酸塩;アシル乳酸塩;ポリオキシエチレン脂肪アミン硫酸塩;脂肪酸アルカノールアミド硫酸塩;硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等の脂肪酸グリセリド硫酸塩;アルキルベンゼンポリオキシエチレン硫酸塩;α−オレフィンスルホン酸ナトリウム等のオレフィンスルホン酸塩;スルホコハク酸ラウリル2ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム等のアルキルスルホコハク酸塩;スルホコハク酸ラウレス2ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等のアルキルエーテルスルホコハク酸塩;テトラデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、テトラデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;アルキルナフタレンスルホン酸塩;アルカンスルホン酸塩;α−スルホ脂肪酸メチルエステル塩;アシルイセチオン酸塩;アルキルグリシジルエーテルスルホン酸塩;アルキルスルホ酢酸塩;ラウレスリン酸ナトリウム、ジラウレスリン酸ナトリウム、トリラウレスリン酸ナトリウム、モノオレスリン酸ナトリウム等のアルキルエーテルリン酸エステル塩;ラウリルリン酸カリウム等のアルキルリン酸エステル塩;カゼインナトリウム;アルキルアリールエーテルリン酸塩;脂肪酸アミドエーテルリン酸塩;ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸等のリン脂質類;カルボン酸変性シリコーン、リン酸変性シリコーン、硫酸変性シリコーン等のシリコーン系陰イオン性界面活性剤等;非イオン性界面活性剤としては、ラウレス(ポリオキシエチレンラウリルエーテル)類、セテス(ポリオキシエチレンセチルエーテル)類、ステアレス(ポリオキシエチレンステアリルエーテル)類、ベヘネス類(ポリオキシエチレンベヘニルエーテル)、イソステアレス(ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル)類、オクチルドデセス(ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル)類等の種々のポリオキシエチレン付加数のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油モノイソステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油トリイソステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油マレイン酸等のヒマシ油及び硬化ヒマシ油誘導体;ポリオキシエチレンフィトステロール;ポリオキシエチレンコレステロール;ポリオキシエチレンコレスタノール;ポリオキシエチレンラノリン;ポリオキシエチレン還元ラノリン;ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン2−デシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンモノブチルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン水添ラノリン、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレングリセリンエーテル等のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレングリコール;PPG−9ジグリセリル等の(ポリ)グリセリンポリオキシプロピレングリコール;ステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、パルミチン酸グリセリル、ミリスチン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル、ヤシ油脂肪酸グリセリル、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、α,α’−オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等のグリセリン脂肪酸部分エステル類;ステアリン酸ポリグリセリル−2、同3、同4、同5、同6、同8、同10、ジステアリン酸ポリグリセリル−6、同10、トリステアリン酸ポリグリセリル−2、デカステアリン酸ポリグリセリル−10、イソステアリン酸ポリグリセリル−2、同3、同4、同5、同6、同8、同10、ジイソステアリン酸ポリグリセリル−2(ジイソステアリン酸ジグリセリル)、同3、同10、トリイソステアリン酸ポリグリセリル−2、テトライソステアリン酸ポリグリセリル−2、デカイソステアリン酸ポリグリセリル−10、オレイン酸ポリグリセリル−2、同3、同4、同5、同6、同8、同10、ジオレイン酸ポリグリセリル−6、トリオレイン酸ポリグリセリル−2、デカオレイン酸ポリグリセリル−10等のポリグリセリン脂肪酸エステル;モノステアリン酸エチレングリコール等のエチレングリコールモノ脂肪酸エステル;モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコールモノ脂肪酸エステル;ペンタエリスリトール部分脂肪酸エステル;ソルビトール部分脂肪酸エステル;マルチトール部分脂肪酸エステル;マルチトールエーテル;ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル;ショ糖脂肪酸エステル、メチルグルコシド脂肪酸エステル、ウンデシレン酸トレハロース等の糖誘導体部分エステル;カプリリルグルコシド等のアルキルグルコシド;アルキルポリグリコシド;ラノリンアルコール;還元ラノリン;ポリオキシエチレンジステアレート、ポリチレングリコールジイソステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンジオレエート等のポリオキシエチレン脂肪酸モノ及びジエステル;ポリオキシエチレン・プロピレングリコール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレングリセリンモノステアレート、ポリオキシエチレングリセリンモノイソステアレート、ポリオキシエチレングリセリントリイソステアレート等のポリオキシエチレンモノオレエート等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタンテトラオレエート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビトールモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビトールペンタオレエート、ポリオキシエチレンソルビトールモノステアレート等のポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンメチルグルコシド脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンアルキルエーテル脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビトールミツロウ等のポリオキシエチレン動植物油脂類;イソステアリルグリセリルエーテル、キミルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等のアルキルグリセリルエーテル類;多価アルコールアルキルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルアミン;テトラポリオキシエチレン・テトラポリオキシプロピレン−エチレンジアミン縮合物類;サポニン、ソホロリピッド等の天然系界面活性剤;ポリオキシエチレン脂肪酸アミド;ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(コカミドMEA)、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(コカミドDEA)、ラウリン酸モノエタノールアミド(ラウラミドMEA)、ラウリン酸ジエタノールアミド(ラウラミドDEA)、ラウリン酸モノイソプロパノールアミド(ラウラミドMIPA)、パルミチン酸モノエタノールアミド(パルタミドMEA)、パルミチン酸ジエタノールアミド(パルタミドDEA)、ヤシ油脂肪酸メチルエタノールアミド(コカミドメチルMEA)等の脂肪酸アルカノールアミド類;ラウラミンオキシド、コカミンオキシド、ステアラミンオキシド、ベヘナミンオキシド等のアルキルジメチルアミンオキシド;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;ポリオキシエチレンアルキルメルカプタン;ジメチコンコポリオール等のポリエーテル変性シリコーン、ポリシロキサン・オキシアルキレン共重合体、ポリグリセリン変性シリコーン、糖変性シリコーン等のシリコーン系非イオン性界面活性剤等;陽イオン性界面活性剤としては、ベヘントリモニウムクロリド、ステアルトリモニウムクロリド、セトリモニウムクロリド、ラウリルトリモニウムクロリド等のアルキルトリメチルアンモニウムクロリド;ステアリルトリモニウムブロミド等のアルキルトリメチルアンモニウムブロミド;ジステアリルジモニウムクロリド、ジココジモニウムクロリド等のジアルキルジメチルアンモニウムクロリド;ステアラミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン等の脂肪酸アミドアミン及びその塩;ステアロキシプロピルジメチルアミン等のアルキルエーテルアミン及びその塩又は四級塩;エチル硫酸長鎖分岐脂肪酸(12〜31)アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム等の脂肪酸アミド型四級アンモニウム塩;ポリオキシエチレンアルキルアミン及びその塩又は四級塩;アルキルアミン塩;脂肪酸アミドグアニジウム塩;アルキルエーテルアミンモニウム塩;アルキルトリアルキレングリコールアンモニウム塩;ベンザルコニウム塩;ベンゼトニウム塩;塩化セチルピリジニウム等のピリジニウム塩;イミダゾリニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;ポリアミン脂肪酸誘導体;アミノプロピルジメチコン及びアモジメチコン等のアミノ変性シリコーン、カチオン変性シリコーン、カチオン変性及びポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性及びポリエーテル変性シリコーン等のシリコーン系陽イオン性界面活性剤等;両性界面活性剤としては、ラウリルベタイン(ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン)等のN−アルキル−N,N−ジメチルアミノ酸ベタイン;コカミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン等の脂肪酸アミドアルキル−N,N−ジメチルアミノ酸ベタイン;ココアンホ酢酸ナトリウム、ラウロアンホ酢酸ナトリウム等のイミダゾリン型ベタイン;アルキルジメチルタウリン等のアルキルスルホベタイン;アルキルジメチルアミノエタノール硫酸エステル等の硫酸型ベタイン;アルキルジメチルアミノエタノールリン酸エステル等のリン酸型ベタイン;ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、スフィンゴミエリン等のスフィンゴリン脂質、リゾレシチン、水素添加大豆リン脂質、部分水素添加大豆リン脂質、水素添加卵黄リン
脂質、部分水素添加卵黄リン脂質、水酸化レシチン等のリン脂質類;シリコーン系両性界面活性剤等;高分子界面活性剤としては、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、デンプン誘導体、トラガントガム、アクリル酸・メタアクリル酸アルキル共重合体;シリコーン系各種界面活性剤が好ましいものとして挙げられる。
【0045】
経皮吸収促進剤としては、カプリル酸、カプリン酸、カプロン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリン酸ジエタノールアミド、サリチル酸メチル、サリチル酸エチレングリコール、ケイ皮酸、ケイ皮酸メチル、クレゾール、乳酸セチル、乳酸ラウリル、酢酸エチル、酢酸プロピル、ゲラニオール、チモール、オイゲノール、テルピネオール、L−メントール、ボルネオロール、d−リモネン、イソオイゲノール、イソボルネオール、ネロール、dl−カンフル、グリセリンモノカプリレート、グリセリンモノカプレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ショ糖モノラウレート、ポリソルベート20、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノカプリレート、プロピレングリコールジカプリレート、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ホホバオイル、スクワラン、オリーブ油、シリコン油、流動パラフィン、n−メチル−2−ピロリドン、dl−カンフル、ハッカ油などが挙げられる。
【0046】
高分子・増粘剤・ゲル化剤としては、グアーガム、ローカストビーンガム、クィーンスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、タラガム、タマリンド、ファーセレラン、カラヤガム、トロロアオイ、キャラガム、トラガントガム、ペクチン、ペクチン酸及びナトリウム塩等の塩、アルギン酸及びナトリウム塩等の塩、マンナン;コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ等のデンプン;キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、カードラン、ヒアルロン酸及びその塩、ザンサンガム、プルラン、ジェランガム、キチン、キトサン、寒天、カッソウエキス、コンドロイチン硫酸塩、カゼイン、コラーゲン、ゼラチン、アルブミン;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びそのナトリウム等の塩、メチルヒドロキシプロピルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ジアルキルジメチルアンモニウム硫酸セルロース、結晶セルロース、セルロース末等のセルロース及びその誘導体;可溶性デンプン、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン、メチルデンプン等のデンプン系高分子、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムデンプン、オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンアルミニウム等のデンプン誘導体;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等アルギン酸誘導体;ポリビニルピドリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルピドリドン・ビニルアルコール共重合体、ポリビニルメチルエーテル;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体;(メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン/メタクリル酸アルキル)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸エチルアミンオキシド)コポリマー等の両性メタクリル酸エステル共重合体;(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマー、(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP;ポリ酢酸ビニル部分けん化物、マレイン酸共重合体;ビニルピロリドン・メタクリル酸ジアルキルアミノアルキル共重合体;アクリル樹脂アルカノールアミン;ポリエステル、水分散性ポリエステル;ポリアクリルアミド;ポリアクリル酸エチル等のポリアクリル酸エステル共重合体、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸及びそのナトリウム塩等の塩、アクリル酸・メタアクリル酸エステル共重合体;アクリル酸・メタアクリル酸アルキル共重合体;ポリクオタニウム−10等のカチオン化セルロース、ポリクオタニウム−7等のジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体、ポリクオタニウム−22等のアクリル酸・ジアリルジメチルアンモニウムクロリド共重合体、ポリクオタニウム−39等のアクリル酸・ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体、アクリル酸・カチオン化メタアクリル酸エステル共重合体、アクリル酸・カチオン化メタアクリル酸アミド共重合体、ポリクオタニウム−47等のアクリル酸・アクリル酸メチル・塩化メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム共重合体、塩化メタクリル酸コリンエステル重合体;カチオン化オリゴ糖、カチオン化デキストラン、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド等のカチオン化多糖類;ポリエチレンイミン;カチオンポリマー;ポリクオタニウム−51等の2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの重合体及びメタクリル酸ブチル共重合体等との共重合体;アクリル樹脂エマルジョン、ポリアクリル酸エチルエマルジョン、ポリアクリルアルキルエステルエマルジョン、ポリ酢酸ビニル樹脂エマルジョン、天然ゴムラテックス、合成ラテックス等の高分子エマルジョン;ニトロセルロース;ポリウレタン類及び各種共重合体;各種シリコーン類;アクリル−シリコーングラフト共重合体等のシリコーン系各種共重合体;各種フッ素系高分子;12−ヒドロキシステアリン酸及びその塩;パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン等のデキストリン脂肪酸エステル;無水ケイ酸、煙霧状シリカ(超微粒子無水ケイ酸)、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸ナトリウムマグネシウム、金属石鹸、ジアルキルリン酸金属塩、ベントナイト、ヘクトライト、有機変性粘土鉱物、ショ糖脂肪酸エステル、フラクトオリゴ糖脂肪酸エステルが好ましいものとして挙げられる。前記例示の中でも、セルロース及びその誘導体、アルギン酸及びその塩、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸及びその塩、又はコラーゲンが好ましい。
【0047】
溶剤・噴射剤類としては、エタノール、2−プロパノール(イソプロピルアルコール)、ブタノール、イソブチルアルコール等の低級アルコール類;プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、イソペンチルジオール等のグリコール類;ジエチレングリコールモノエチルエーテル(エトキシジグリコール)、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルエステル類;コハク酸ジエトキシエチル、エチレングリコールジサクシネート等のグリコールエステル類;ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、炭酸プロピレン、炭酸ジアルキル、アセトン、酢酸エチル、N−メチルピロリドン;トルエン;フルオロカーボン、次世代フロン;LPG、ジメチルエーテル、炭酸ガス等の溶剤・噴射剤が好ましいものとして挙げられる。
【0048】
酸化防止剤としては、トコフェロール(ビタミンE)、酢酸トコフェロール等のトコフェロール誘導体;BHT、BHA;没食子酸プロピル等の没食子酸誘導体;ビタミンC(アスコルビン酸)及び/又はその誘導体;エリソルビン酸及びその誘導体;亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩;亜硫酸水素ナトリウム等の亜硫酸水素塩;チオ硫酸ナトリウム等のチオ硫酸塩;メタ亜硫酸水素塩;チオタウリン、ヒポタウリン;チオグリセロール、チオ尿素、チオグリコール酸、システイン塩酸塩が好ましいものとして挙げられる。
【0049】
還元剤としては、チオグリコール酸、システイン、システアミン等が好ましいものとして挙げられる。
【0050】
酸化剤としては、過酸化水素水、過硫酸アンモニウム、臭素酸ナトリウム、過炭酸等が好ましいものとして挙げられる。
【0051】
防腐剤・抗菌剤・殺菌剤としては、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等のヒドロキシ安息香酸及びその塩若しくはそのエステル;サリチル酸;安息香酸ナトリウム;フェノキシエタノール;メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン等のイソチアゾリンオン誘導体;イミダゾリニウムウレア;デヒドロ酢酸及びその塩;フェノール類;トリクロサン等のハロゲン化ビスフェノール類、酸アミド類、四級アンモニウム塩類;トリクロロカルバニド、ジンクピリチオン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ソルビン酸、クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、ハロカルバン、ヘキサクロロフェン、ヒノキチオール;フェノール、イソプロピルフェノール、クレゾール、チモール、パラクロロフェノール、フェニルフェノール、フェニルフェノールナトリウム等のその他フェノール類;フェニルエチルアルコール、感光素類、抗菌性ゼオライト、銀イオンが好ましいものとして挙げられる。
【0052】
キレート剤としては、EDTA、EDTA2Na、EDTA3Na、EDTA4Na等のエデト酸塩(エチレンジアミン四酢酸塩);HEDTA3Na等のヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸塩;ペンテト酸塩(ジエチレントリアミン五酢酸塩);フィチン酸;エチドロン酸等のホスホン酸及びそのナトリウム塩等の塩類;ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸等のポリアミノ酸類;ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸;クエン酸ナトリウム、クエン酸、アラニン、ジヒドロキシエチルグリシン、グルコン酸、アスコルビン酸、コハク酸、酒石酸が好ましいものとして挙げられる。
【0053】
pH調整剤・酸・アルカリとしては、クエン酸、クエン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、グリコール酸、コハク酸、酢酸、酢酸ナトリウム、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、リン酸、塩酸、硫酸、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、アルギニン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水、炭酸グアニジン、炭酸アンモニウムが好ましいものとして挙げられる。
【0054】
粉体としては、マイカ、タルク、カオリン、セリサイト、モンモリロナイト、カオリナイト、雲母、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、ベントナイト、スメクタイト、粘土、泥、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、炭酸カルシウム、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、群青、紺青、カーボンブラック、酸化チタン、微粒子及び超微粒子酸化チタン、酸化亜鉛、微粒子及び超微粒子酸化亜鉛、アルミナ、シリカ、煙霧状シリカ(超微粒子無水ケイ酸)、雲母チタン、魚鱗箔、窒化ホウ素、ホトクロミック顔料、合成フッ素金雲母、微粒子複合粉体、金、アルミニウム等の各種の大きさ・形状の無機粉体、及び、これらをハイドロジェンシリコーン、環状ハイドロジェンシリコーン等のシリコーン若しくはその他のシラン若しくはチタンカップリング剤等の各種表面処理剤で処理を行って疎水化若しくは親水化した粉体等の無機粉体;デンプン、セルロース、ナイロンパウダー、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル末、ポリスチレン末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ポリエステル末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層末、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末等、ウレタン粉末、シリコーン粉末、テフロン(登録商標)粉末等の各種の大きさ・形状の有機系粉体及び表面処理粉体、有機無機複合粉体が好ましいものとして挙げられる。
【0055】
無機塩類としては、食塩、並塩、岩塩、海塩、天然塩等の塩化ナトリウム含有塩類;塩化カリウム、塩化アルミニウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、にがり、塩化亜鉛、塩化アンモニウム;硫酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウム・カリウム(ミョウバン)、硫酸アルミニウム・アンモニウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸鉄、硫酸銅;リン酸1Na・2Na・3Na等のリン酸ナトリウム類、リン酸カリウム類、リン酸カルシウム類、リン酸マグネシウム類が好ましいものとして挙げられる。
【0056】
紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸モノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシパラアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジエトキシパラアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルパラアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルパラアミノ安息香酸ブチルエステル、N,N−ジメチルパラアミノ安息香酸エチルエステル等の安息香酸系紫外線吸収剤;ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等のアントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸及びそのナトリウム塩アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤;オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート(パラメトキシケイヒ酸オクチル)、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート(シノキサート)、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート(オクトクリン)、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル−ジパラメトキシシンナメート、フェルラ酸及びその誘導体等の桂皮酸系紫外線吸収剤;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(オキシベンゾン−3)、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩、4−フェニルベンゾフェノン、2−エチルヘキシル−4’−フェニル−ベンゾフェノン−2−カルボキシレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−3−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;3−(4’−メチルベンジリデン)−d,l−カンフル、3−ベンジリデン−d,l−カンフル;2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール;2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニルベンゾトリアゾール;ジベンザラジン;ジアニソイルメタン;5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン;4−t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン等のジベンゾイルメタン誘導体;オクチルトリアゾン;ウロカニン酸及びウロカニン酸エチル等のウロカニン酸誘導体;2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、1−(3,4−ジメトキシフェニル)−4,4−ジメチル−1,3−ペンタンジオン、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル等のヒダントイン誘導体、フェニルベンズイミダソゾールスルホン酸、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸、ドロメトリゾールトリシロキサン、アントラニル酸メチル、ルチン及びその誘導体、オリザノール及びその誘導体が好ましいものとして挙げられる。
【0057】
美白剤としては、アルブチン、α−アルブチン等のヒドロキノン配糖体及びそのエステル類;アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム塩及びアスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩等のアスコルビン酸リン酸エステル塩、アスコルビン酸テトライソパルミチン酸エステル等のアスコルビン酸脂肪酸エステル、アスコルビン酸エチルエーテル等のアスコルビン酸アルキルエーテル、アスコルビン酸−2−グルコシド等のアスコルビン酸グルコシド及びその脂肪酸エステル類、アスコルビン酸硫酸エステル、リン酸トコフェリルアスコルビル等のアスコルビン酸誘導体;コウジ酸、エラグ酸、トラネキサム酸及びその誘導体、フェルラ酸及びその誘導体、プラセンタエキス、グルタチオン、オリザノール、ブチルレゾルシノール、油溶性カモミラエキス、油溶性カンゾウエキス、西河柳エキス、ユキノシタエキス等植物エキスが好ましいものとして挙げられる。
【0058】
ビタミン類及びその誘導体類としては、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール等のビタミンA類;チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩、リボフラビン、酢酸リボフラビン、塩酸ピリドキシン、ピリドキシンジオクタノエート、ピリドキシンジパルミテート、フラビンアデニンジヌクレオチド、シアノコバラミン、葉酸類、ニコチン酸アミド・ニコチン酸ベンジル等のニコチン酸類、コリン類等のビタミンB群類;アスコルビン酸及びそのナトリウム等の塩等のビタミンC類;ビタミンD;α、β、γ、δ−トコフェロール等のビタミンE類;パントテン酸、ビオチン等のその他ビタミン類;アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム塩及びアスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩等のアスコルビン酸リン酸エステル塩、アスコルビン酸テトライソパルミチン酸エステル・ステアリン酸アスコルビル・パルミチン酸アスコルビル・ジパルミチン酸アスコルビル等のアスコルビン酸脂肪酸エステル、アスコルビン酸エチルエーテル等のアスコルビン酸アルキルエーテル、アスコルビン酸−2−グルコシド等のアスコルビン酸グルコシド及びその脂肪酸エステル、リン酸トコフェリルアスコルビル等のアスコルビン酸誘導体;ニコチン酸トコフェロール、酢酸トコフェロール、リノール酸トコフェロール、フェルラ酸トコフェロール、トコフェロールリン酸エステル等のトコフェロール誘導体等のビタミン誘導体、トコトリエノール、その他各種ビタミン誘導体類が好ましいものとして挙げられる。
【0059】
育毛用薬剤・血行促進剤・刺激剤としては、センブリエキス、トウガラシチンキ、ショウキョウチンキ、ショウキョウエキス、カンタリスチンキ等の植物エキス・チンキ類;カプサイシン、ノニル酸ワニリルアミド、ジンゲロン、イクタモール、タンニン酸、ボルネオール、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ−オリザノール、ビタミンE及びニコチン酸トコフェロール・酢酸トコフェロール等の誘導体、ニコチン酸及びニコチン酸アミド・ニコチン酸ベンジルエステル・イノシトールヘキサニコチネート、ニコチンアルコール等の誘導体、アラントイン、感光素301、感光素401、塩化カプロニウム、ペンタデカン酸モノグリセリド、フラバノノール誘導体、スチグマステロール又はスチグマスタノール及びその配糖体、ミノキシジルが好ましいものとして挙げられる。
【0060】
ホルモン類としては、エストラジオール、エストロン、エチニルエストラジオール、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン等が好ましいものとして挙げられる。抗しわ剤、抗老化剤、ひきしめ剤、冷感剤、温感剤、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤等のその他の薬効剤としては、レチノール類、レチノイン酸類、レチノイン酸トコフェリル;乳酸、グリコール酸、グルコン酸、フルーツ酸、サリチル酸及びその配糖体・エステル化物等の誘導体、ヒドロキシカプリン酸、長鎖α−ヒドロキシ脂肪酸、長鎖α−ヒドロキシ脂肪酸コレステリル等のα−又はβ−ヒドロキシ酸類及びその誘導体類;γ−アミノ酪酸、γ−アミノ−β−ヒドロキシ酪酸;カルニチン;カルノシン;クレアチン;セラミド類、スフィンゴシン類;カフェイン、キサンチン等及びその誘導体;コエンザイムQ10、カロチン、リコピン、アスタキサンチン、ルテイン、α−リポ酸、白金ナノコロイド、フラーレン類等の抗酸化・活性酸素消去剤;カテキン類;ケルセチン等のフラボン類;イソフラボン類;没食子酸及びエステル糖誘導体;タンニン、セサミン、プロトアントシアニジン、クロロゲン酸、リンゴポリフェノール等のポリフェノール類;ルチン及び配糖体等の誘導体;ヘスペリジン及び配糖体等の誘導体;リグナン配糖体;グラブリジン、グラブレン、リクイリチン、イソリクイリチン等のカンゾウエキス関連物質;ラクトフェリン;ショウガオール、ジンゲロール;メントール、セドロール等の香料物質及びその誘導体;カプサイシン、バニリン等及び誘導体;ジエチルトルアミド等の昆虫忌避剤;生理活性物質とシクロデキストリン類との複合体が好ましいものとして挙げられる。
【0061】
植物・動物・微生物エキス類としては、アイリスエキス、アシタバエキス、アスナロエキス、アスパラガスエキス、アボガドエキス、アマチャエキス、アーモンドエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イチョウエキス、インチンコウエキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、ウワウルシエキス、エイジツエキス、エチナシ葉エキス、エンメイソウエキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オオムギエキス、オタネニンジンエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オノニスエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、海水乾燥物、海藻エキス、カキ葉エキス、カキョクエキス、加水分解エラスチン、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カッコンエキス、カモミラエキス、油溶性カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、カラスムギエキス、カルカデエキス、カンゾウエキス、油溶性カンゾウエキス、キウイエキス、キオウエキス、キクラゲエキス、キナエキス、キューカンバーエキス、キリ葉エキス、グアノシン、グアバエキス、クジンエキス、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、クリエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、黒米エキス、黒砂糖抽出物、黒酢、クロレラエキス、クワエキス、ゲンチアナエキス、ゲンノショウコエキス、紅茶エキス、酵母エキス、コウボクエキス、コーヒーエキス、ゴボウエキス、コメエキス、コメ発酵エキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コンフリーエキス、コラーゲン、コケモモエキス、サイシンエキス、サイコエキス、サイタイ抽出液、サフランエキス、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンシャエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、ジャトバエキス、シャクヤクエキス、ショウキュウエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、白キクラゲエキス、スギナエキス、ステビアエキス、ステビア発酵物、西河柳エキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ソウハクヒエキス、ダイオウエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、タンポポエキス、地衣類エキス、茶エキス、チョウジエキス、チガヤエキス、チンピエキス、ティートリー油、甜茶エキス、トウガラシエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、ハスエキス、パセリエキス、バーチエキス、蜂蜜、ハマメリスエキス、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、ヒノキエキス、ビフィズス菌エキス、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、ブドウ種子エキス、プロポリス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マイカイカエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モズクエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ユズエキス、ユリエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、緑茶エキス、卵殻膜エキス、リンゴエキス、ルイボス茶エキス、レイシエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンギョウエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス、ワレモコウエキス等のエキスが好ましいものとして挙げられる。
【0062】
鎮痒剤としては、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、カンフル、サブスタンス−P阻害剤等が挙げられる。
【0063】
角質剥離・溶解剤としては、サリチル酸、イオウ、レゾルシン、硫化セレン、ピリドキシン等が挙げられる。
【0064】
制汗剤としては、クロルヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、酸化亜鉛、パラフェノールスルホン酸亜鉛等が挙げられる。
【0065】
清涼剤としては、メントール、サリチル酸メチル等が挙げられる。
【0066】
収れん剤としては、クエン酸、酒石酸、乳酸、硫酸アルミニウム・カリウム、タンニン酸等が挙げられる。
【0067】
酵素類としては、スーパーオキサイドディスムターゼ、カタラーゼ、塩化リゾチーム、リパーゼ、パパイン、パンクレアチン、プロテアーゼ等が挙げられる。
【0068】
核酸類としては、リボ核酸及びその塩、デオキシリボ核酸及びその塩、アデノシン三リン酸二ナトリウムが好ましいものとして挙げられる。
【0069】
香料としては、アセチルセドレン、アミルシンナムアルデヒド、アリルアミルグリコレート、β−イオノン、イソイースーパー、イソブチルキノリン、イリス油、イロン、インドール、イランイラン油、ウンデカナール、ウンデセナール、γ−ウンデカラクトン、エストラゴール、オイゲノール、オークモス、オポポナックスレジノイド、オレンジ油、オイゲノール、オーランチオール、ガラクソリッド、カルバクロール、L−カルボン、カンフル、キャノン、キャロットシード油、クローブ油、ケイヒ酸メチル、ゲラニオール、ゲラニルニトリル、酢酸イソボルニル、酢酸ゲラニル、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、酢酸スチラリル、酢酸セドリル、酢酸テレピネル、酢酸p−t−ブチルシクロヘキシル、酢酸ベチベリル、酢酸ベンジル、酢酸リナリル、サリチル酸イソペンチル、サリチル酸ベンジル、サンダルウッド油、サンタロール、シクラメンアルデヒド、シクロペンタデカノリド、ジヒドロジャスモン酸メチル、ジヒドロミルセノール、ジャスミンアブソリュート、ジャスミンラクトン、cis−ジャスモン、シトラール、シトロネノール、シトロネラール、シナモンバーク油、1,8−シネオール、シンナムアルデヒド、スチラックスレジノイド、セダーウッド油、セドレン、セドロール、セロリシード油、タイム油、ダマスコン、ダマセノン、チモール、チュベローズアブソリュート、デカナール、デカラクトン、テルピネオール、γ−テルピネン、トリプラール、ネロール、ノナナール、2,6−ノナジエノール、ノナラクトン、パチョリアルコール、バニラアブソリュート、バニリン、バジル油、パチョリ油、ヒドロキシシトロネラール、α−ピネン、ピペリトン、フェネチルアルコール、フェニルアセトアルデヒド、プチグレン油、ヘキシルシンナムアルデヒド、cis−3−ヘキセノール、ペルーバルサム、ベチバー油、ベチベロール、ペパーミント油、ペパー油、ヘリオトロピン、ベルガモット油、ベンジルベンゾエート、ボルネオール、ミルレジノイド、ムスクケトン、メチルノニルアセトアルデヒド、γ−メチルヨノン、メントール、L−メントール、L−メントン、ユーカリ油、β−ヨノン、ライム油、ラベンダー油、D−リモネン、リナロール、リラール、リリアール、レモン油、ローズアブソリュート、ローズオキシド、ローズ油、ローズマリー油、各種精油等の合成香料及び天然香料並びに各種調合香料が好ましいものとして挙げられる。
【0070】
色素・着色剤・染料・顔料としては、褐色201号、黒色401号、紫色201号、紫色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色202号、青色203号、青色204号、青色205号、青色403号、青色404号、緑色201号、緑色202号、緑色204号、緑色205号、緑色3号、緑色401号、緑色402号、赤色102号、赤色104−1号、赤色105−1号、赤色106号、赤色2号、赤色201号、赤色202号、赤色203号、赤色204号、赤色205号、赤色206号、赤色207号、赤色208号、赤色213号、赤色214号、赤色215号、赤色218号、赤色219号、赤色220号、赤色221号、赤色223号、赤色225号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230−1号、赤色230−2号、赤色231号、赤色232号、赤色3号、赤色401号、赤色404号、赤色405号、赤色501号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色505号、赤色506号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色205号、橙色206号、橙色207号、橙色401号、橙色402号、橙色403号、黄色201号、黄色202−1号、黄色202−2号、黄色203号、黄色204号、黄色205号、黄色4号、黄色401号、黄色402号、黄色403−1号、黄色404号、黄色405号、黄色406号、黄色407号、黄色5号等の法定色素;Acid Red 14等のその他酸性染料;Arianor Sienna Brown、Arianor Madder Red、Arianor Steel Blue、Arianor Straw Yellow等の塩基染料;HC Yellow 2、HC Yellow 5、HC Red 3,4−hydoxypropylamino−3−nitrophenol、N,N’−bis(2−hydroxyethyl)−2−nitro−p−phenylenediamine、HC Blue 2、Basic Blue 26等のニトロ染料;分散染料;二酸化チタン、酸化亜鉛等の無機白色顔料;酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等の無機赤色系顔料;γ−酸化鉄等の無機褐色系顔料;黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料;黒酸化鉄、低次酸化チタン等の無機黒色系顔料;マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色系顔料;酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等の無機緑色系顔料;群青、紺青等の無機青色系顔料;酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等のパール顔料;アルミニウムパウダー、カッパーパウダー、金等の金属粉末顔料;表面処理無機及び金属粉末顔料;ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料;表面処理有機顔料;アスタキサンチン、アリザリン等のアントラキノン類、アントシアニジン、β−カロチン、カテナール、カプサンチン、カルコン、カルサミン、クエルセチン、クロシン、クロロフィル、クルクミン、コチニール、シコニン等のナフトキノン類、ビキシン、フラボン類、ベタシアニジン、ヘナ、ヘモグロビン、リコピン、リボフラビン、ルチン等の天然色素・染料;p−フェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン、o−,m−,若しくはp−アミノフェノール、m−フェニレンジアミン、5−アミノ−2−メチルフェノール、レゾルシン、1−ナフトール、2,6−ジアミノピリジン等及びその塩等の酸化染料中間体及びカップラー;インドリン等の自動酸化型染料;ジヒドロキシアセトンが好ましいものとして挙げられる。
【0071】
消炎剤・抗炎症剤としては、グリチルリチン酸及びその誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、グアイアズレン、アラントイン、インドメタシン、ケトプロフェン、イブプロフェン、ジクロフェナク、ロキソプロフェン、セレコシキブ、インフリキシマブ、エタネルセプト、酸化亜鉛、酢酸ヒドロコーチゾン、プレドニゾン、塩酸ジフェドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン;桃葉エキス、蓬葉エキス等の植物エキスが好ましいものとして挙げられる。
【0072】
抗喘息、抗慢性閉塞性肺疾患、抗アレルギー、免疫調整剤としては、アミノフィリン、テオフィリン類、ステロイド類(フルチカゾン、ベクロメタゾンなど)、ロイコトリエン拮抗薬類、トロンボキサン阻害薬類、インタール、β2刺激薬類(フォルモテロール、サルメテロール、アルブテロール、ツロブテロール、クレンブテロール、エピネフリンなど)、チオトロピウム、イプラトロピウム、デキストロメトルファン、ジメモルファン、ブロムヘキシン、トラニラスト、ケトチフェン、アゼラスチン、セチリジン、クロルフェニラミン、メキタジン、タクロリムス、シクロスポリン、シロリムス、メトトレキサート、サイトカイン調整剤類、インターフェロン、オマリズマブ、タンパク/抗体製剤が好ましいものとして挙げられる。
【0073】
抗感染症剤、抗真菌剤としては、オセルタミビルとザナミビル、イトラコナゾールが好ましいものとして挙げられる。これらの他、化粧品原料基準、化粧品種別配合成分規格、日本化粧品工業連合会成分表示名称リスト、INCI辞書(The International Cosmetic Ingredient Dictionaryand Handbook)、医薬部外品原料規格、日本薬局方、医薬品添加物規格、食品添加物公定書等に記載されている成分、及び、国際特許分類IPCがA61K7及びA61K8の分類に属する日本国及び諸外国特許公報及び特許公開公報(公表公報・再公表を含む)に記載されている成分等、公知の化粧料成分、医薬品成分、食品成分などを、公知の組み合わせ及び配合比・配合量で含有させることが可能である。
【0074】
[保湿基材の製造方法(1)]
本発明の保湿基材は、前記式(1)乃至式(3)で表される化合物又はその薬学的に使用可能な塩のうちの少なくとも一種からなる脂質ペプチド化合物、界面活性剤、1,2−アルカンジオール又はグリセリン、少なくとも一種の脂肪酸及び水、さらに所望により油性基材、有機酸、保湿剤及びその他添加剤を用いて、加熱しながら混合、撹拌した後、静置放冷することによって製造され得る。またこの製造工程において、後述するように前記保湿基材のためのプレミックスが製造され得る。
【0075】
例えば本発明の保湿基材は、一例として、下記工程により製造される。
a)上記脂質ペプチド化合物と、界面活性剤と、1,2−アルカンジオール又はグリセリンと、少なくとも一種の脂肪酸と水を配合し、加熱して溶解液又は分散液を調製する工程
b)上記溶解液又は分散液を水に添加し、室温以上100℃未満の温度で加熱する工程
c)前記加熱工程における温度よりも低い温度になるまで撹拌しながら冷却し、その後静置放冷し、ゲル状の固形物(保湿基材)を形成する工程
なお、油性基材、有機酸、保湿剤及びその他添加剤は、a)工程において溶解液又は分散液の調製工程において添加してもよいし、b)工程において溶解液又は分散液を添加する水に予め添加していてもよい。
また得られた保湿基材の総質量に対して、水は50質量%以上99質量%未満であることが好ましい。
また得られた溶解液又は分散液の総質量に対して、水は50質量%以上80質量%未満であることが好ましい。
【0076】
前記a)工程及びb)工程における加熱温度は好ましくは50℃乃至90℃、より好ましくは60℃乃至90℃、例えば80℃であり、加熱しながら撹拌を行うことが好ましい。この時の夫々の工程における加熱撹拌の時間は、用いる脂質ペプチド化合物や、界面活性剤ほかその他成分の種類、そしてそれらの配合量によって異なるが、通常5分から50分程度で溶解・分散可能である。
a)、b)工程につづいて、液温がb)工程における温度よりも低い温度になるまで撹拌しながら冷却を行う(c)工程)。ここで冷却温度は例えば室温ないし80℃、室温ないし60℃、或いは室温ないし40℃程度である。
【0077】
[プレミックス及び保湿基材の製造方法(2)]
本発明のプレミックスを用いた保湿基材の製造方法を以下に述べる。
プレミックスは以下に詳述するように、前述の[保湿基材の製造方法(1)]のa)工程を経て製造される。
【0078】
<プレミックスの製造方法>
プレミックスを製造するには、まず、前記式(1)乃至式(3)で表される化合物又はその薬学的に使用可能な塩のうちの少なくとも一種からなる脂質ペプチド化合物と、界面活性剤と、1,2−アルカンジオール又はグリセリンと、少なくとも一種の脂肪酸と水を混合し、加熱して溶解液又は分散液を調製する。上記溶解液又は分散液の調製中に、所望により油性基材、有機酸、保湿剤及びその他添加剤を添加することもできる。
そして、この溶解液又は分散液を冷却することにより、プレミックスを得ることができる。
【0079】
上記加熱温度は、好ましくは50℃乃至90℃、より好ましくは60℃乃至90℃、例えば80℃である。また加熱時には撹拌を行うことが好ましい。加熱(撹拌)の時間は、用いる脂質ペプチド化合物や、界面活性剤ほかその他成分の種類、そしてそれらの配合量によって異なるが、通常5分から50分程度であり、それにより配合した成分が溶解・分散した溶解液又は分散液が得られる。
得られた溶解液又は分散液は、好ましくは前記加熱温度より低い温度、例えば室温ないし80℃、室温ないし60℃、或いは室温ないし40℃程度になるまで撹拌しながら冷却し、その後撹拌を停止して、静置することがより好ましい。
また得られたプレミックスの総質量に対して、水は50質量%以上80質量%未満であることが好ましい。
こうして得られたプレミックスは、保湿基材の調製のためのプレミックスとして有用であり、後述するように該プレミックスに水やその他有効成分等を配合することにより、保湿基材を容易に調製することが可能である。
【0080】
<プレミックスを用いる保湿基材の製造方法>
こうして得られた本発明のプレミックスを用いて、例えば下記の工程1)〜3)により、保湿基材を製造できる。
1)プレミックスを室温以上100℃未満の温度で加熱する工程、
2)室温以上100℃未満の温度で加熱した水相に、上記加熱したプレミックスを添加し、混合する工程、及び
3)得られた混合物を冷却し、ゲルを形成させる工程。
上記水相は水を含み、さらに油性基材を含み得、また有機酸、保湿剤及びその他添加剤を含んでいてもよい。
【0081】
また、保湿基材に有機酸を配合する場合、例えば下記の工程4)〜7)により、有機酸配合の保湿基材を製造できる。
4)プレミックスを室温以上100℃未満の温度で加熱する工程、
5)室温以上100℃未満の温度で加熱した水相に、上記加熱したプレミックスを添加し、混合する工程、
6)得られた混合物を冷却し、ゲルを形成させる工程、及び
7)前記冷却過程の中途において、前記混合物に水と有機酸の混合液を添加し、さらに混合する工程。
上記水相は水を含み、さらに油性基材、保湿剤を含み得、さらにその他添加剤を含んでいてもよい。
【0082】
前記1)工程並びに4)工程における、プレミックスの加熱温度は好ましくは50℃乃至90℃、より好ましくは60℃乃至90℃、例えば70℃、或いは80℃である。本工程は好ましくは撹拌しながら実施することが好ましい。この時の各工程における加熱(撹拌)の時間は、プレミックスに含まれる脂質ペプチド化合物や界面活性剤ほかその他成分の種類、そしてそれらの配合量によって異なるが、通常5分から50分程度である。本工程によりプレミックスを均一に溶解させた状態とする。
前記2)工程並びに5)工程における、水相の加熱温度は好ましくは50℃乃至90℃、より好ましくは60℃乃至90℃、例えば70℃、或いは80℃である。水相の加熱は、特に油性基材などその他成分を含む場合には撹拌しながら行うことが好ましい。また水相に油性基材、保湿剤、さらにはその他添加剤を含んでいる場合、それらが均一に溶解・分散するまで、通常5分から50分程度、加熱(撹拌)を実施することが好ましい。なお、水相の加熱温度は、上記プレミックスの加熱温度と同じ温度としてもよい。
【0083】
続いて、前記3)工程及び6)工程において、前工程で得られた混合物を冷却し、ゲルを形成させるが、このとき、撹拌しながら冷却してもよい。撹拌しながら冷却する場合、例えば冷却温度が室温ないし80℃、室温ないし60℃、例えば60℃程度となるまで撹拌を実施した後、その後撹拌を停止して静置し冷却することが好ましい。特に50℃以下では撹拌を停止し、静置して冷却することが好ましい。
【0084】
また、保湿基材にアスコルビン酸等の有機酸を含む場合には、前記6)工程(冷却過程)の中途において、混合物に水と有機酸の混合液を添加し、さらに混合する工程を含む。
本工程において、添加する水と有機酸の混合溶液は、好ましくは添加する混合物と同程度の温度とすることにより、均一な混合を達成できるため好ましい。また該混合溶液には、所望により油性基材やその他添加剤を含んでいてもよく、それらが均一に溶解・分散するまで適当な温度にて加熱(撹拌)を実施してもよい。
例えば、前記6)工程において撹拌しながら混合物の液温が60℃程度となったとき、液温を60℃程度とした水と有機酸の混合溶液を混合物に添加し、さらに混合して系を均一とし、その後、好ましくは撹拌を停止し、静置して冷却することにより、ゲル(保湿基材)を得ることができる。
【0085】
こうしてプレミックスを用いて得られた保湿基材においても、水の配合量は、保湿基材の総質量に対して、50質量%以上99質量%未満であることが好ましい。
【実施例】
【0086】
以下、本発明を実施例及び試験例を例に挙げて詳しく説明するが、本発明がこれらの例に限定されるものではない。
【0087】
[合成例1:脂質ペプチド(N−パルミトイル−Gly−His)の合成]
本実施例においてゲル化剤として用いた脂質ペプチドを以下に示す方法で合成した。
500mLの4つ口フラスコに、ヒスチジン14.2g(91.6mmol)、N−パルミトイル−Gly−メチル30.0g(91.6mmol)、トルエン300gを投入し、塩基であるナトリウムメトキサイド 28%メタノール溶液35.3g(183.2mmol)を加え、油浴で60℃に加熱し1時間撹拌を続けた。その後、油浴を外し、25℃まで放冷し、この溶液をアセトン600gで再沈殿させ、ろ取した。ここで得られた固体を、水600gとメタノール750gの混合溶液に溶解し、ここに6規定塩酸30.5ml(183.2mmol)を加えて中和し固体を析出させ、ろ過した。次に、得られた固体をテトラヒドロフラン120gと水30gの混合液に60℃で溶解させ、酢酸エチル150gを加え、60℃から30℃まで冷却した。その後、析出した固体をろ過した。さらに得られた固体を、テトラヒドロフラン120gとアセトニトリル60g溶剤中に溶解し、60℃に加熱し、1時間撹拌した後に冷却し、ろ過した。ここで得られた固体を水120gで洗浄し、ろ過後に減圧乾燥を行いN−パルミトイル−Gly−Hisフリー体(以下、単にPal−GHとも称する)の白色の結晶、26.9g(収率65%)を得た。
【0088】
[実施例1:プレミックスの調製]
サンプル管(No.7、(株)マルエム社製)に、上記合成例で得られたPal−GH、1,2−ヘキサンジオール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ステアリン酸及び水を表1に示す組成(質量%)となるように秤量して投入し、80℃で加熱撹拌を行い、Pal−GH分散液(プレミックス)を得た。なお撹拌はアズワン(株)製のLABORATORY HIGH MIXERを用いて、200rpmで行った。
【0089】
【表1】
【0090】
、実施例3乃至実施例4:プレミックスを用いた保湿基材の調製]
下記表2に従い、A相(実施例1で調製したプレミックス)をサンプル管No.5に秤量し、これを水浴(設定温度85℃)にて加熱し、均一に溶解させた。
一方、スターラーチップを入れた別のマルエムサンプル管No.5にB相の各成分を秤量し、これを水浴(設定温度85℃)で加熱した。A相をB相に添加し、加熱した状態で混合し約30秒程度撹拌した後、液温が60℃程度となるまで撹拌冷却を行った。
別のサンプル管No.5にC相の各成分を秤量し、液温が60℃程度となるように加熱した。前述のA+B相の液温が60℃になったところで、液温が60℃程度となったC相を添加し、約30秒程度撹拌した後、静置放冷し、ゲル(保湿基材)を形成させた。
【0091】
【表2】
【0092】
[実施例5:保湿基材の皮膚保湿性試験]
−80℃で保存されているYucatan Micro Pig(YMP)皮膚(日本チャールズ・リバー(株))を室温(およそ25℃)で解凍後、脂肪除去を行い(脂肪除去後の皮膚の厚さが約2mm)、約2cm平方のYMP皮膚を用意した。
縦型フランツ型拡散セル(有効面積:0.785cm)のレシーバー相に、4.0mLのリン酸緩衝整理食塩水(PBS:pH7.4℃、500rpmにて撹拌)を添加し、前記YMP皮膚(PBSの皮膚表面の温度:32.5℃)をセットし、その後、セル中の空気を抜きPBSを1.0mL加えた。
調湿・調温(表2に示す実験環境参照)したグローブボックス内に、縦型フランツ型拡散セルを入れ、角層膜厚・水分計 ASA−M3((有)アサヒバイオメッド製)を用いて、YMP皮膚の角質層水分量(単位:μS(マイクロジーメンス))を測定した[初期角質層水分量:W]。その後、縦型フランツ型拡散セルのドナー相に、実施例3で調製したゲル(250mg)、或いは比較例として水(250mg)、又はカーボポール(250mg)を添加した(図1参照)。
添加後、15分後及び60分後にそれぞれYMP皮膚の角質層水分量を測定した[15分後角質層水分量:W、60分後角質層水分量:W]。
測定後、ゲルサンプルを除去し、ゲル除去後15分後、60分後に再度YMP皮膚の角質層水分量を測定した[除去後15分後角質層水分量:W、除去後60分後角質層水分量:W]。
得られた角質層水分量:W〜Wの値より、各時点での角質層水分量(W)を以下の式より算出した。
角質層水分量 W=W(1,2,3,4)−W
同様に、実施例4で調製したゲル(並びに比較例として水、カーボポール)を用い、皮膚保湿性試験を実施し、角質層水分量を算出した(試験数:3の平均値として算出)。
得られた結果を図2及び図3に示す。
【0093】
図2及び図3に示すように、実施例3及び実施例4とも、水又はカーボポールを添加した比較例に比べて、ゲル添加15分後及び60分後、並びに、ゲル除去後15分経過後の角質層水分量は上回る結果となり、本発明の保湿基材(ゲル)は高い保湿性を有することが確認された。
【0094】
6乃至例8及び実施例9:プレミックスを用いたスティック状保湿基材の調製]
下記表3に従い、A相(実施例1で調製したプレミックス)をサンプル管No.5に秤量し、これを水浴(設定温度85℃)にて加熱し、均一に溶解させた。
一方、スターラーチップを入れた別のマルエムサンプル管No.5にB相の各成分を秤量し、これを水浴(設定温度85℃)で加熱した。A相をB相に添加し、加熱した状態で混合し約30秒程度撹拌した後、液温が60℃程度となるまで撹拌冷却を行った。60℃となった後は静置放冷し、ゲル(保湿基材)を形成させた。
なお本で調製したゲルは、先に、実施例3乃至実施例4において調製したゲルよりも固く、スティック状基材として有用な硬さを保有していた。
【0095】
【表3】
【0096】
[実施例10及び実施例11:スティック状保湿基材の皮膚保湿性試験]
−80℃で保存されているYucatan Micro Pig(YMP)皮膚(日本チャールズ・リバー(株))を室温(およそ25℃)で解凍後、脂肪除去を行い(脂肪除去後の皮膚の厚さが約2mm)、約2cm平方のYMP皮膚を用意した。
縦型フランツ型拡散セル(有効面積:0.785cm)のレシーバー相に、4.0mLのリン酸緩衝整理食塩水(PBS:pH7.4℃、500rpmにて撹拌)を添加し、前記YMP皮膚(PBSの皮膚表面の温度:32.5℃)をセットし、その後、セル中の空気を抜きPBSを1.0mL加えた。
調湿・調温(温度:25℃、湿度:77−81%)したグローブボックス内に、縦型フランツ型拡散セルを入れ、角層膜厚・水分計 ASA−M3((有)アサヒバイオメッド製)を用いて、YMP皮膚の角質層水分量(単位:μS(マイクロジーメンス))を測定した[初期角質層水分量:W]。その後、縦型フランツ型拡散セルのドナー相に、6乃至例8及び実施例9で調製した各ゲル(100mg)、或いは比較例として市販のゲル(リバテープ製薬(株)製、VIVCOリップクリームゲル)100mgを添加した(図1と同様に設置)。
添加後、15分後及び60分後にそれぞれYMP皮膚の角質層水分量を測定した[15分後角質層水分量:W、60分後角質層水分量:W]。
測定後、ゲルサンプルを除去し、ゲル除去後15分後、60分後に再度YMP皮膚の角質層水分量を測定した[除去後15分後角質層水分量:W、除去後60分後角質層水分量:W]。
得られた角質層水分量:W〜Wの値より、各時点での角質層水分量(W)を以下の式より算出した(試験数:3の平均値として算出)。
角質層水分量 W=W(1,2,3,4)−W
ゲル除去後15分後及び60分後の結果を図4に示す。
【0097】
図4に示すように、特実施例9で調製したゲルは、比較例である市販のゲルと比べてゲル除去後においても角質層水分量が多い結果となり実施例9のゲルは高い保湿性を有することが確認された。
図1
図2
図3
図4