(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数のウェーハを収容したカセットを載置するカセット載置ユニットと、該カセット載置ユニットに載置されたカセットからウェーハを搬出する搬出ユニットと、該搬出ユニットによって搬出されたウェーハを搬送する搬送ユニットと、該搬送ユニットに隣接して配設されウェーハにそれぞれ異なる加工を施す複数の加工ユニットと、該各ユニットを制御する制御ユニットと、を備え各ユニットの配置変更が可能な加工装置であって、
該制御ユニットは、該各ユニットの操作条件を入力する入力画面を表示する表示パネルと、少なくとも該各ユニットの該操作条件を記憶する記憶手段、とを備え、
該記憶手段は、上面視での互いの形状や寸法が異なる該各ユニットの個別の上面視イメージ画像を予め準備し記憶するイメージ画像記憶部を備え、
該表示パネルには、該各ユニットの該上面視イメージ画像を複数組み合わせて表示して加工装置全体の配置を表示する装置全体マップが表示され、
該装置全体マップの該各ユニットの該上面視イメージ画像の配置を変更可能に構成されていること、を特徴とする加工装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本実施の形態の加工装置を説明する。
図1と
図2に示す加工装置10は、複数のユニットを自由に組み合わせて連携させてウェーハ(不図示)に対する一連の処理を行うクラスターモジュールシステムである。
図1は加工装置10を構成する各ユニットを分解した状態を示し、
図2は各ユニットを組み合わせた状態の加工装置10を示している。
【0014】
図1及び
図2に示すように、加工装置10は、カセット載置ユニット12と、搬出ユニット14と、搬送ユニット16と、中心合わせユニット18と、ウェーハ検査ユニット20と、複数の加工ユニット22a、22b、22cと、洗浄ユニット24と、制御ユニット26と、を備えている。
【0015】
カセット載置ユニット12は、一列に並ぶ複数のカセット載置テーブル30a、30b、30c、30dと、各カセット載置テーブル30a、30b、30c、30dにそれぞれ載置されるカセット32a、32b、32c、32dと、を備えている。各カセット32a、32b、32c、32d内にはウェーハを複数枚収容することができる。
【0016】
搬出ユニット14は、カセット載置ユニット12で複数のカセット載置テーブル30a、30b、30c、30dが並ぶ方向と略平行に延びるガイドレール34と、ガイドレール34に沿って移動可能に支持された移動手段36と、移動手段36に支持されてウェーハを保持可能なウェーハ保持手段38と、を備えている。ガイドレール34は、長手方向に分割される複数のレールユニットを組み合わせて構成されており、各レールユニットの境界部分を
図1に破線で示している。移動手段36は、ガイドレール34の長手方向に移動可能に支持されており、内蔵したリニアモータの駆動力によって移動する。ウェーハ保持手段38は、先端にウェーハ保持用のハンドを有する多軸関節ロボットで構成されている。移動手段36とウェーハ保持手段38を作動することにより、各カセット32a、32b、32c、32dに収容されているウェーハの搬出と、各カセット32a、32b、32c、32d内へのウェーハの収容を行うことができる。
【0017】
搬送ユニット16は、搬出ユニット14のガイドレール34の長手方向に対して垂直な方向に延びるガイドレール40と、ガイドレール40に沿って移動可能に支持された移動手段42と、移動手段42に支持されウェーハを保持可能なウェーハ保持手段44と、を備えている。ガイドレール40は、長手方向に分割される複数のレールユニットを組み合わせて構成されており、各レールユニットの境界部分を
図1に破線で示している。移動手段42は、ガイドレール40の長手方向に移動可能に支持されており、内蔵したリニアモータの駆動力によって移動する。ウェーハ保持手段44は、先端にウェーハ保持用のハンドを有する多軸関節ロボットで構成されている。
【0018】
中心合わせユニット18は、上面にウェーハを載置することが可能な載置テーブル46と、載置テーブル46を中心として径方向に移動可能な4つの当接部48を備えている。各当接部48は円柱形状のピンからなり、4つの当接部48を径方向の中心に向けて移動させることにより、載置テーブル46の上面に載置されたウェーハの中心合わせを行う。
【0019】
ウェーハ検査ユニット20は、上面にウェーハを保持することが可能な保持テーブル50と、保持テーブル50上に保持されたウェーハを検査する検出手段52を備えている。検出手段52は、ウェーハに関する所定の特性(ウェーハの外径、ウェーハの厚み、インデックスサイズ、アライメント用のキーパターン画像等)を測定する。検出手段52による測定値は制御ユニット26に送られる。
【0020】
本実施の形態では、複数の加工ユニット22a、22b、22cは、粗研削ユニット22aと、仕上げ研削ユニット22bと、レーザー加工ユニット22cとからなっている。粗研削ユニット22aは、ユニットハウジング54上に回動可能に支持されたターンテーブル56と、ターンテーブル56上に支持された2つのチャックテーブル58と、ターンテーブル56の上方に位置する粗研削手段60と、粗研削手段60を支持する支持手段62とを備えている。ターンテーブル56の回転によって、2つのチャックテーブル58を、粗研削手段60の下方の加工領域と、搬送ユニット16のガイドレール40に近いウェーハ着脱領域とに交互に位置させることができる。2つのチャックテーブル58はそれぞれ上面にウェーハを吸引保持することが可能である。粗研削手段60は、支持手段62によって上下動可能に支持され、チャックテーブル58上のウェーハに対して研削砥石によって粗研削加工を施す。仕上げ研削ユニット22bは、粗研削手段60に代えて仕上げ研削手段64を備えている以外は粗研削ユニット22aと共通する構成であり、粗研削ユニット22aと共通の要素については同じ符号を付して説明を省略する。仕上げ研削ユニット22bは、チャックテーブル58上に保持したウェーハに対して、仕上げ研削手段64に設けた研削砥石によって仕上げ研削加工を施す。
【0021】
レーザー加工ユニット22cは、ユニットハウジング66上に支持されたチャックテーブル68と、チャックテーブル68の上方に位置するレーザー光線照射手段70と、レーザー光線照射手段70を支持する支持手段72とを備えている。レーザー光線照射手段70は、支持手段72によって可動に支持されている。チャックテーブル68は、レーザー光線照射手段70に対して加工送り方向に移動可能であり、上面にウェーハを吸引保持することが可能である。レーザー加工ユニット22cは、チャックテーブル68上に保持したウェーハに対して、レーザー光線照射手段70によってレーザー光線を照射して所定のレーザー加工を施す。
【0022】
洗浄ユニット24は、周知のスピンナ式洗浄手段を備えており、洗浄領域74に搬入されたウェーハをスピンナ洗浄する。
【0023】
図2に示すように、加工装置10を構成する各ユニットを組み合わせた状態では、中心合わせユニット18、ウェーハ検査ユニット20、複数の加工ユニット22a、22b、22c、洗浄ユニット24はいずれも、搬送ユニット16のガイドレール40に隣接して配設されている。また、中心合わせユニット18は、搬出ユニット14のガイドレール34にも隣接している。そして、搬出ユニット14と搬送ユニット16を介して各ユニットにウェーハを搬送することができる。
【0024】
以上に述べたカセット載置ユニット12、搬出ユニット14、搬送ユニット16、中心合わせユニット18、ウェーハ検査ユニット20、粗研削ユニット22a、仕上げ研削ユニット22b、レーザー加工ユニット22c、洗浄ユニット24はそれぞれ、自己の動作や作業を制御する制御手段を備えている。制御ユニット26は、これらの各ユニットの制御手段との間で制御信号を送受して加工装置10の全体的な制御を行う。
【0025】
制御ユニット26は表示パネル76を備えている。表示パネル76には、加工装置10に関する各種情報が表示される。加工装置10でウェーハに対する処理を行う際には、加工装置10を上面視した状態で模式的に示した装置全体マップM1(
図3)や装置全体マップM2(
図4)が表示パネル76に表示され、各ユニットでの処理の進行状況等を視覚的に認識できるようになっている。また、表示パネル76はタッチパネル式の表示部であり、オペレータによる操作を受け付ける入力画面が表示パネル76に表示される。
【0026】
装置全体マップと共に表示パネル76に表示する情報は任意に設定することができる。例えば、先に述べた各ユニットでの処理の進行状況の他に、ウェーハ特性に対応して設定された各ユニットでの操作条件や、所定のユニットでエラーが生じた場合のエラー報知等を表示パネル76に表示できる。表示パネル76に表示する装置全体マップの作成については後述する。
【0027】
図1及び
図2に概念的に示すように、加工装置10はさらに記憶手段78と算出手段80を備えている。記憶手段78は、操作条件記憶部78aと、イメージ画像記憶部78bと、全体マップ記憶部78cとを有する。記憶手段78や算出手段80は、制御ユニット26に内蔵してもよいし、制御ユニット26とは別に設けてネットワーク上で制御ユニット26に接続させてもよい。一例として、加工装置10の外部に設けたファイルサーバーに記憶手段78を備え、制御ユニット26やその他の外部端末からファイルサーバーにアクセスして、記憶手段78に記憶された情報を読み出すことが可能である。記憶手段78と算出手段80の詳細については後述する。
【0028】
以上の構成の加工装置10によってウェーハの処理を行う際には、カセット32a、32b、32c、32dの一部または全部に加工前のウェーハを収容する。各カセット32a、32b、32c、32dに収容される加工前の各ウェーハを加工装置10で処理するために、加工装置10を構成する一連の各ユニットの操作条件が、オペレータによって表示パネル76の表示画面を介して制御ユニット26に入力されて、記憶手段78の操作条件記憶部78aにデータとして保持される。操作条件は、加工装置10におけるウェーハの搬送経路(各ユニット間の搬送順序)、ウェーハ特性(ウェーハの外径、ウェーハの厚み、インデックスサイズ、アライメント用のキーパターン画像等)、洗浄条件、その他の加工開始から終了までに必要な条件を含んでいる。
【0029】
オペレータによって所定のウェーハに対する加工開始信号が入力されると、カセット32a、32b、32c、32dから該当するウェーハが搬出ユニット14によって搬出され、中心合わせユニット18に搬送される。中心合わせユニット18でウェーハの中心合わせを行い、中心合わせを行ったウェーハが搬送ユニット16によってウェーハ検査ユニット20に搬送される。
【0030】
ウェーハ検査ユニット20は、保持テーブル50の上面に保持したウェーハのウェーハ特性を検出手段52によって測定する。制御ユニット26は、検出手段52により得られたウェーハ特性の実測値と、操作条件記憶部78aに予め記憶された操作条件に対応するウェーハ特性の設定値とを比較して、保持テーブル50上に搬送されたウェーハが該操作条件に対応するウェーハであるか否かを判断する。制御ユニット26によって当該ウェーハが操作条件に対応する適正なものであると判断された場合には、後述する加工処理に進む。制御ユニット26によって当該ウェーハが操作条件に対応しない不適合なものと判断された場合には、加工処理に進まずにエラー処理(エラーの報知、カセット32a、32b、32c、32dへのウェーハの返送、等)を行う。
【0031】
加工条件に対応する適正なウェーハであると判断されて加工処理に進む場合、制御ユニット26は、搬送ユニット16を用いて、操作条件に含まれている所定の搬送経路でウェーハを搬送する。粗研削ユニット22a、仕上げ研削ユニット22b、レーザー加工ユニット22c、洗浄ユニット24のいずれに対して、どのような順序とタイミングでウェーハが搬送されるかは、操作条件によって異なる。各ユニットでの処理が完了して作業完了信号が送られると、制御ユニット26は搬送ユニット16に対して次のユニットへの搬送指令信号を送り、各加工段階を経たウェーハが搬送される。操作条件に含まれる全ての加工が完了したウェーハは、中心合わせユニット18に搬送されて中心合わせを行った上で、搬出ユニット14によって所定のカセット32a、32b、32c、32dの所定位置に収納される。
【0032】
以上では1枚のウェーハの加工の流れを説明したが、各ユニットでの作業が終了すると、カセット32a、32b、32c、32dから次のウェーハを順次搬出して、複数枚のウェーハを継続的に加工することができる。
【0033】
加工装置10はクラスターモジュールシステムであり、複数のユニットを自由に組み合わせて連携させることができる。そして、加工装置10を構成するユニットやその配置を変更すると、表示パネル76に表示される装置全体マップも変更する必要がある。本発明は、この装置全体マップの作成及び表示を容易にさせるものである。
【0034】
図5に示すように、加工装置10を構成する各ユニット(カセット載置ユニット12、搬出ユニット14、搬送ユニット16、中心合わせユニット18、ウェーハ検査ユニット20、各加工ユニット22a、22b、22c、洗浄ユニット24、制御ユニット26)の個別の上面視イメージ画像が予め準備されて、記憶手段78のイメージ画像記憶部78bに記憶されている。イメージ画像記憶部78bに記憶される上面視イメージ画像は、
図5のようにユニット単位に分割された画像データである。各ユニットの上面視イメージ画像に付随してイメージ画像記憶部78bに記憶される情報として、各ユニットの床面積情報(上面視した状態での各ユニットの外形形状と外形寸法)が少なくとも含まれている。
【0035】
イメージ画像記憶部78bから各ユニットの上面視イメージ画像(
図5参照)を読み出して組み合わせることで、現状の加工装置10の全体構成(
図2参照)を模式的に示す装置全体マップM1(
図3参照)が作成される。装置全体マップM1を作成するための作成手段は任意の箇所に設けることができる。例えば、画像処理回路や記憶手段78を全て制御ユニット26に内蔵して、制御ユニット26で装置全体マップM1を完成させることができる。あるいは、記憶手段78を外部のファイルサーバーに設けると共に、画像処理回路も加工装置10の外部の端末に設け、外部端末からファイルサーバーにアクセスして遠隔的に装置全体マップM1を作成することもできる。あるいは、記憶手段78を外部のファイルサーバーに設け、制御ユニット26の表示パネル76からの操作でファイルサーバーにアクセスして、装置全体マップM1を作成することもできる。いずれの場合も、作成された装置全体マップM1は全体マップ記憶部78cに記憶される。
【0036】
作成された装置全体マップM1は、加工装置10における実際の各ユニットの位置情報(各ユニットの上面視状態での形状と寸法、各ユニット間の距離)を反映したものである。例えば、
図3に示す装置全体マップM1は、
図2に示す加工装置10における各ユニットの配置に対応したものであり、搬送ユニット16のガイドレール40に沿って並ぶ各ユニットの配列や位置関係等が、加工装置10の実際の構成(
図2)と装置全体マップM1(
図3)で一致している。
【0037】
加工装置10で異なるユニット配置を選択する場合は、操作条件記憶部78aから読み出した複数の上面視イメージ画像の配置を変更して(組み替えて)、異なる装置全体マップを作成する。一例として、
図4は、搬送ユニット16のガイドレール40の長手方向における粗研削ユニット22aと洗浄ユニット24の位置を入れ替えた(
図2及び
図3に示す構成とは並び順を逆にした)形態の装置全体マップM2を示している。装置全体マップを変更した場合は、変更した新たな装置全体マップを全体マップ記憶部78cに記憶させる。
【0038】
以上のように、本実施の形態の加工装置10では、各ユニットを表す複数の上面視イメージ画像を、相対的な配置を変更可能なモジュール仕様の画像データとして予め準備しておき、個々の上面視イメージ画像を自由に組み合わせて装置全体マップを構築している。これにより、クラスターモジュールシステムにおけるユニット配置の変更への対応が容易な装置全体マップを得ることができる。
【0039】
作成された装置全体マップM1(M2)は、全体マップ記憶部78cから読み出されて制御ユニット26の表示パネル76に表示される。加工装置10を操作するオペレータは、表示パネル76上に装置全体マップM1(M2)と共に表示される画像情報(アイコン、矢印、着色等)や文字情報を参照して、ウェーハに対する加工や搬送の進行状態や、その他の各種情報を視認できる。また、表示パネル76上に表示された装置全体マップM1(M2)を介して、オペレータが加工装置10に所定の操作や入力を行うことができる。
【0040】
なお、制御ユニット26は、ウェーハに対する直接的な処理を行うものではないため、加工作業中に表示パネル76上に表示する装置全体マップから省略することが可能である。
図3と
図4に示す装置全体マップM1、M2は、制御ユニット26を含まない表示形態になっている。これとは逆に、制御ユニット26を含む表示形態の装置全体マップを作成することも可能である。
【0041】
加工装置10ではさらに、装置全体マップの作成に伴って、算出手段80を用いて、ウェーハ1枚あたりの処理総時間(総スループット)を算出することができる。
【0042】
加工装置10でのウェーハの処理時間を決める時間要素として、第1に各ユニットでの処理時間があり、第2に各ユニットでの内部搬送時間があり、第3に搬出ユニット14でのウェーハの搬入及び搬出に要する時間があり、第4に搬送ユニット16と各ユニットの間でのウェーハの搬送(受け渡し)に要する時間がある。これらの各時間要素を合算することで総スループットを算出できる。
【0043】
より詳しくは、本実施の形態の加工装置10では、第1の時間要素として、中心合わせユニット18で中心合わせに要する時間と、ウェーハ検査ユニット20で検査に要する時間と、各加工ユニット22a、22b、22cでのそれぞれの加工に要する時間と、洗浄ユニット24で洗浄に要する時間が含まれる。第2の時間要素として、各研削ユニット22a、22bでターンテーブル56を動作させてチャックテーブル58を移動させる時間や、レーザー加工ユニット22cでチャックテーブル68をレーザー光線照射手段70の下方に進退移動させる時間が含まれる。先に述べたように、記憶手段78の操作条件記憶部78aには一連の各ユニットの操作条件が記憶される。この操作条件は、第1の時間要素と第2の時間要素に関わる情報を含んでいる。つまり、第1の時間要素と第2の時間要素については、操作条件を設定した段階で、各ウェーハに固有の値として情報を得ることができる。
【0044】
第3の時間要素は、各カセット32a、32b、32c、32dのいずれの位置に対象となるウェーハが収容されているかに応じて多少の相違が生じるが、これも操作条件に基づく固有情報として得ることができる。
【0045】
第4の時間要素は、加工装置10を構成する各ユニットの相対的な配置に応じて変化する可能性がある。例えば、
図3に示す装置全体マップM1と
図4に示す装置全体マップM2のように各ユニットの位置関係を変更すると、それに応じて搬送経路(搬送ユニット16を構成するウェーハ保持手段44の移動経路)が変化する。また、本実施の形態では搬送ユニット16が一つのウェーハ保持手段44のみを備えているが、複数のウェーハ保持手段を用いてウェーハの搬送を行う場合には、各ウェーハ保持手段から所定のユニットに対してウェーハを受け渡す位置が重なっていると、いずれかのウェーハ保持手段においてウェーハの受け渡しに待ち時間が生じる場合がある。そのため、ユニット配置の変更によって、このような待ち時間を無くしたり減少させたりすることができる。
【0046】
算出手段80は、各ユニットのウェーハ処理に関連する情報と操作条件記憶部78aに記憶される操作条件情報とに基づいて、第4の時間要素に関わる各ユニットの配置の影響を加味して、装置全体マップの現配置におけるウェーハ処理総時間を算出する。
【0047】
装置全体マップの内容を変更した場合に、算出手段80がウェーハ処理総時間を再算出する。例えば、加工装置10を構成するユニットの数及び種類と、各カセット32a、32b、32c、32dに収納されるウェーハの特性(第1、第2、第3の時間要素)を変化させずに、各ユニットの配置関係のみを変化させた場合には、第4の時間要素に関する条件が変化する。従って、装置全体マップの作成に伴う算出手段80による算出結果を参照することにより、搬送におけるタイムロスが少なく生産性に優れるユニット配置を容易に知ることができる。特に、各ユニットの相対的な距離情報を含めてウェーハ処理総時間を算出することにより、ユニットの微妙な配置変更に伴うスループットの違いを高い精度で確認できる。
【0048】
具体的には、表示パネル76を構成する画素の数や表示パネル76上に設定した座標を基準として、表示パネル76上での各ユニットの上面視イメージ画像の位置変化を数値化することで、搬送ユニット16の搬送距離の変化と、それに伴う搬送時間の変化を算出できる。また、表示パネル76上での上面視イメージ画像の位置変化の結果、搬送時に上記のような待ち時間が生じると判定された場合は、待ち時間も加算する。このようにして、第4の時間要素を確定させることができる。
【0049】
算出手段80でのウェーハ処理総時間の再算出は、装置全体マップを変更するときの個々のユニットの上面視イメージ画像の配置変更(移動)に応じてリアルタイムに行われるように設定してもよいし、変更後の装置全体マップが完成した段階でまとめて算出するようにしてもよい。いずれの場合も、装置全体マップの変更前と変更後におけるそれぞれのウェーハ処理総時間を表示パネル76等に表示させることで、スループットの比較検討を行いやすくなる。
【0050】
また、算出手段80は、装置全体マップを作成するときに、イメージ画像記憶部78bに記憶されている各ユニットの床面積情報に基づいて、現配置の装置全体マップでの加工装置10全体の総床面積を算出する。算出した総床面積情報を参照して、予定される設置エリアへの加工装置10の設置が可能であるか否かを判定することができる。
【0051】
加工装置10が設置エリアに設置不可となるのは、大きく分けて、加工装置10の総床面積の数値が設置エリアの床面積を上回っている場合と、加工装置10の総床面積の数値は設置エリアの床面積以下であるものの形状的な制約により加工装置10の一部が設置エリアからはみ出してしまう場合のいずれかである。算出手段80で算出される総床面積情報には、単純な床面積の数値だけでなく、各ユニットの上面視状態での外形形状の情報や、各ユニット間の距離情報も含まれている。そのため、後者の場合(加工装置10の総床面積が設置エリアの床面積以下であり、且つ加工装置10が部分的に設置エリアからはみ出す場合)に、装置全体マップで各ユニットの上面視イメージ画像の配置を変更すると、算出手段80での総床面積情報が更新されて、新たなユニット配置における装置全体マップが設置エリアに収まるか否かを再判定することができる。
【0052】
加工装置10の設置可否の判定の一例を
図6に示す。
図6に示す矩形の領域82は、加工装置10を設置する設置エリアを上面視したものである。
図6に示す装置全体マップM3は、設置エリア82と同縮尺にした加工装置10の全体構成を上面視したものである。なお、本実施の形態では制御ユニット26も設置エリア82への設置対象となるため、
図3及び
図4に示す装置全体マップM1、M2とは異なり、
図6の装置全体マップM3には制御ユニット26も含まれている。
【0053】
図6のように設置エリア82と装置全体マップM3を重ねることで、設置エリア82への加工装置10の設置の可否(設置エリア82からの加工装置10のはみ出しの有無)を判定できる。
図6の例では設置エリア82の内側に装置全体マップM3が収まるので、設置エリア82への加工装置10の設置が可能であると判定される。
【0054】
より詳しくは、設置エリア82は矩形であるため、装置全体マップM3の縦横の最大長さS1、S2(
図6)と、設置エリア82の縦横の長さT1、T2(
図6)を比較し、S1≦T1、S2≦T2の両方を満たす場合に、加工装置10が設置エリア82に収まると判定される。装置全体マップM3の最大長さS1、S2や設置エリア82の長さT1、T2は、表示パネル76を構成する画素の数や表示パネル76上に設定した座標を基準として数値化することができる。
【0055】
以上のように、加工装置10を構成する各ユニットを示す複数の上面視イメージ画像を予め準備し、各ユニットの上面視イメージ画像を複数組み合わせて装置全体マップを構成し、且つ各ユニットの上面視イメージ画像の配置を自由に変更可能とした。これにより、クラスターモジュールシステムのユニット配置に対応した装置全体マップの作成及び変更を、フレキシブルに行うことが可能になった。
【0056】
また、装置全体マップのユニット配置の変更に応じて、ウェーハ処理総時間の算出や加工装置10の総床面積の算出を行うことで、スループットやフットプリントについて最適化されたユニット配置をシミュレーションすることができる。加工装置10における実物のユニット配置の変更ではなく、画面に表示される装置全体マップを用いたシミュレーションであるため、コストがかからず効率的にユニットの配置変更による効果を確認することができる。
【0057】
本発明の加工装置を構成するユニットは、上記実施の形態に記載した各ユニットに限られるものではなく、クラスターモジュールシステムとして適用可能なものであれば、どのようなユニットを用いてもよく、その組み合わせも自由である。例えば、加工ユニットとして、粗研削ユニット22a、仕上げ研削ユニット22b、レーザー加工ユニット22c以外に、切削、研磨、ブレーキング、テープマウント、エキスパンド、エッジトリミング、プラズマエッジング等の各種加工を行うユニットを適用することができる。また、上記実施の形態の加工装置10からウェーハ検査ユニット20等を省略することもできる。
【0058】
本発明の加工装置は、様々な加工対象に適用可能である。例えば、半導体デバイスウェーハ、光デバイスウェーハ、パッケージ基板、半導体基板、無機材料基板、酸化物ウェーハ、生セラミックス基板、圧電基板等の各種ワークを加工対象として選択可能である。半導体デバイスウェーハとしては、シリコンウェーハや化合物半導体ウェーハにIC等のデバイスが形成されたものが用いられてもよい。光デバイスウェーハとしては、サファイアウェーハやシリコンカーバイドウェーハにLED等の光デバイスが形成されたものが用いられてもよい。また、パッケージ基板としてはCSP(Chip Size Package)基板、半導体基板としてはシリコンやガリウム砒素等、無機材料基板としてはサファイア、セラミックス、ガラス等が用いられてもよい。さらに、酸化物ウェーハとしてはリチウムタンタレート、リチウムナイオベートが用いられてもよい。
【0059】
上記実施の形態では、装置全体マップを構成する各ユニットの上面視イメージ画像の形状がそれぞれ矩形である。しかし、上面視イメージ画像の形状は任意に設定することができ、矩形に限定されるものではない。例えば、ユニットを上面視した形状が円形の場合は、イメージ画像を円形にしてもよい。あるいは、複雑な外形形状のユニットのイメージ画像を単純化した形状に変更する等、実際のユニットの外形形状とイメージ画像の形状を異ならせることも可能である。但し、
図6に示す装置全体マップM3のように、加工装置のフットプリント算出で用いられる装置全体マップについては、実際のユニットの外形形状をイメージ画像に反映させて、正しい床面積情報を取得できるようにすることが望ましい。
【0060】
また、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の他の実施の形態として、上記実施の形態や変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0061】
また、本発明の実施の形態は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、本発明の技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本発明の技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。