特許第6802883号(P6802883)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6802883
(24)【登録日】2020年12月1日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】プラズマ処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20201214BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20201214BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20201214BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20201214BHJP
   H01L 27/11582 20170101ALI20201214BHJP
【FI】
   H01L21/302 105A
   H01L21/302 101C
   H01L29/78 371
   H01L27/11582
【請求項の数】11
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-110321(P2019-110321)
(22)【出願日】2019年6月13日
(65)【公開番号】特開2020-25084(P2020-25084A)
(43)【公開日】2020年2月13日
【審査請求日】2019年6月13日
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2018/029335
(32)【優先日】2018年8月6日
(33)【優先権主張国】WO
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊東 亨
(72)【発明者】
【氏名】森 政士
(72)【発明者】
【氏名】金清 任光
【審査官】 宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】 特表2016−517179(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/154407(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/336
H01L 27/11582
H01L 29/788
H01L 29/792
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホウ素が含有されたアモルファスカーボン膜を有するマスクを用いてプラズマエッチングした後、プラズマを用いてシリコン窒化膜、シリコン酸化膜またはタングステン膜に対して前記アモルファスカーボン膜を選択的に除去するプラズマ処理方法において、
ガスとCHFガスの混合ガスにより生成されたプラズマを用いて前記アモルファスカーボン膜を除去する除去工程を有し、
前記ホウ素の含有率は、50%以上であり、
前記除去工程は、前記アモルファスカーボン膜が除去される試料が載置される試料台の温度を80〜120℃の温度にして行われることを特徴とするプラズマ処理方法。
【請求項2】
ホウ素が含有されたアモルファスカーボン膜を有するマスクを用いてプラズマエッチングした後、プラズマを用いてシリコン窒化膜、シリコン酸化膜またはタングステン膜に対して前記アモルファスカーボン膜を選択的に除去するプラズマ処理方法において、
ガスとCHFガスの混合ガスにより生成されたプラズマを用いて前記アモルファスカーボン膜を除去する除去工程を有し、
前記ホウ素の含有率は、50%以上であり、
前記除去工程は、前記アモルファスカーボン膜が除去される試料の温度を121〜182℃の温度にして行われることを特徴とするプラズマ処理方法。
【請求項3】
請求項に記載のプラズマ処理方法において、
前記除去工程前、前記OガスとCHFガスの混合ガスを前記除去工程が行われる処理室に供給しながら前記試料台の温度を前記除去工程と同じ温度にして行われる安定化工程をさらに有することを特徴とするプラズマ処理方法。
【請求項4】
請求項に記載のプラズマ処理方法において、
前記除去工程において、OHを示す波長の発光強度をCOを示す波長の発光強度により除した値の時間変化を用いて前記アモルファスカーボン膜の除去の終了が判定されることを特徴とするプラズマ処理方法。
【請求項5】
請求項に記載のプラズマ処理方法において、
前記OHを示す波長は、309nmであり、
前記COを示す波長は、451nmであることを特徴とするプラズマ処理方法。
【請求項6】
請求項に記載のプラズマ処理方法において、
前記除去工程において、処理圧力を250〜1000Paの範囲内の圧力とし、前記混合ガスの流量に対するCHFガスの流量の比を5〜12%の範囲内の流量比とし、前記混合ガスの流量を21.5L/min以上とすることを特徴とするプラズマ処理方法。
【請求項7】
請求項に記載のプラズマ処理方法において、
前記安定化工程は、プラズマを生成せずに行われることを特徴とするプラズマ処理方法。
【請求項8】
ホウ素が含有されたアモルファスカーボン膜を有するマスクを用いてプラズマエッチングした後、プラズマを用いてシリコン窒化膜、シリコン酸化膜またはタングステン膜に対して前記アモルファスカーボン膜を選択的に除去するプラズマ処理方法において、
ガスとCHFガスの混合ガスにより生成されたプラズマを用いて前記アモルファスカーボン膜を除去する除去工程を有し、
前記OガスとCHFガスの混合ガスの流量に対する前記CHFガスの流量の比は、5〜12%の範囲内の値であることを特徴とするプラズマ処理方法。
【請求項9】
ホウ素が含有されたアモルファスカーボン膜を有するマスクを用いてプラズマエッチングした後、プラズマを用いてシリコン窒化膜、またはシリコン酸化膜に対して前記アモルファスカーボン膜を選択的に除去するプラズマ処理方法において、
ガスとCHガスの混合ガスにより生成されたプラズマを用いて前記アモルファスカーボン膜を除去する除去工程を有し、
前記ホウ素の含有率は、50%以上であり、
前記除去工程は、前記アモルファスカーボン膜が除去される試料が載置される試料台の温度を20〜100℃の温度にして行われることを特徴とするプラズマ処理方法。
【請求項10】
ホウ素が含有されたアモルファスカーボン膜を有するマスクを用いてプラズマエッチングした後、プラズマを用いてシリコン窒化膜、またはシリコン酸化膜に対して前記アモルファスカーボン膜を選択的に除去するプラズマ処理方法において、
ガスとCHガスの混合ガスにより生成されたプラズマを用いて前記アモルファスカーボン膜を除去する除去工程を有し、
前記除去工程において、処理圧力を250〜550Paの範囲内の圧力とし、前記混合ガスの流量に対するCHガスの流量の比を5〜7.5%の範囲内の流量比とし、前記混合ガスの流量を21.5L/min以上とすることを特徴とするプラズマ処理方法。
【請求項11】
請求項に記載のプラズマ処理方法において、
前記除去工程において、処理圧力を250〜550Paの範囲内の圧力とし、前記混合ガスの流量に対するCHガスの流量の比を5〜7.5%の範囲内の流量比とし、前記混合ガスの流量を21.5L/min以上とすることを特徴とするプラズマ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体メーカーのNAND型フラッシュメモリ技術においては、微細化に伴うメモリセル同士の干渉(クロストーク)防止し、製造コストを低く抑えながら、より高い集積度を実現するため、メモリセルを縦方向に積む3次元構造のNAND型フラッシュメモリ(3D−NAND)が採用されている。
【0003】
その製造工程の一例として、アモルファスカーボン膜(ACL)のパターンをマスクにして、シリコン酸化膜(SiO)とシリコン窒化膜(SiN)が交互に積層された48層以上の積層膜を有するシリコン基板に、プラズマエッチングの異方性エッチングによりトレンチ(エッチング溝)を形成するというプラズマエッチング工程と、このプラズマエッチング後にプラズマを用いてアモルファスカーボン膜を除去するアッシング工程と、が実行される。
【0004】
3次元構造のNAND型フラッシュメモリにおける次世代以降のプラズマエッチング技術では、シリコン酸化膜(SiO)とシリコン窒化膜(SiN)の積層数は、96層や128層と増加するため、アモルファスカーボン膜をマスク材料に用いたシリコン基板のエッチングの際に、当該マスクの膜厚が不足することが懸念されている。このため、新しいマスク材料として、ホウ素(ボロン)が含有されたホウ素含有アモルファスカーボン膜を用いたマスク材料が開発され、更に、このマスク材料を用いたシリコン基板のエッチングと、そのマスク材料を、プラズマを用いて除去するアッシング処理も開発されている。
【0005】
このアッシング処理において、従来のアモルファスカーボン膜は、酸素(O)ガスで容易に除去できるが、ホウ素含有アモルファスカーボン膜の酸素による除去は困難である。このため、積層数が15〜25層であるSiOとSiNの積層膜上に配置されホウ素または窒素が含有されたアモルファスカーボン膜を、OガスとHガスとCF4ガスの混合ガスを用いてプラズマアッシングする方法が、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2016−517179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年の3次元構造のNAND型フラッシュメモリの高集積化に伴い、シリコン酸化膜(SiO)とシリコン窒化膜(SiN)が交互に積層された積層膜の積層数が96層、126層と増加したため、ホウ素含有アモルファスカーボン膜の膜厚も増加し、エッチング後のアッシングの処理時間が長くなってきた。
【0008】
また、特許文献1に開示されたアッシング方法を用いて、積層数が96層以上の積層膜の上方に配置されたホウ素含有アモルファスカーボン膜をアッシングした場合、アッシング処理の時間の増加と選択比不足による、トレンチ側壁のSiOまたはSiNへのサイドエッチング発生の問題が健在化してきた。
【0009】
このため、本発明は、ホウ素含有アモルファスカーボン膜をプラズマにより除去するプラズマアッシング処理において、ホウ素含有アモルファスカーボン膜の除去速度の向上とトレンチ側壁層へのサイドエッチング抑制を両立することができるプラズマ処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、代表的な本発明に係るプラズマ処理方法の一つは、本発明は、ホウ素が含有されたアモルファスカーボン膜を有するマスクを用いてプラズマエッチングした後、プラズマを用いてシリコン窒化膜、シリコン酸化膜またはタングステン膜に対して前記アモルファスカーボン膜を選択的に除去するプラズマ処理方法において、OガスとCHFガスの混合ガスにより生成されたプラズマを用いて前記アモルファスカーボン膜を除去する除去工程を有し、前記ホウ素の含有率は、50%以上であり、前記除去工程は、前記アモルファスカーボン膜が除去される試料が載置される試料台の温度を80〜120℃の温度にして行われることにより達成される。
また、代表的な本発明に係るプラズマ処理方法の一つは、ホウ素が含有されたアモルファスカーボン膜を有するマスクを用いてプラズマエッチングした後、プラズマを用いてシリコン窒化膜、シリコン酸化膜またはタングステン膜に対して前記アモルファスカーボン膜を選択的に除去するプラズマ処理方法において、OガスとCHFガスの混合ガスにより生成されたプラズマを用いて前記アモルファスカーボン膜を除去する除去工程を有し、
前記ホウ素の含有率は、50%以上であり、前記除去工程は、前記アモルファスカーボン膜が除去される試料の温度を121〜182℃の温度にして行われることにより達成される。
【0011】
また、代表的な本発明に係るプラズマ処理方法の一つは、ホウ素が含有されたアモルファスカーボン膜を有するマスクを用いてプラズマエッチングした後、プラズマを用いてシリコン窒化膜、またはシリコン酸化膜に対して前記アモルファスカーボン膜を選択的に除去するプラズマ処理方法において、OガスとCHガスの混合ガスにより生成されたプラズマを用いて前記アモルファスカーボン膜を除去する除去工程を有し、前記OガスとCHFガスの混合ガスの流量に対する前記CHFガスの流量の比は、5〜12%の範囲内の値であることにより達成される。
また、代表的な本発明に係るプラズマ処理方法の一つは、ホウ素が含有されたアモルファスカーボン膜を有するマスクを用いてプラズマエッチングした後、プラズマを用いてシリコン窒化膜、またはシリコン酸化膜に対して前記アモルファスカーボン膜を選択的に除去するプラズマ処理方法において、OガスとCHガスの混合ガスにより生成されたプラズマを用いて前記アモルファスカーボン膜を除去する除去工程を有し、前記ホウ素の含有率は、50%以上であり、
前記除去工程は、前記アモルファスカーボン膜が除去される試料が載置される試料台の温度を20〜100℃の温度にして行われることにより達成される。
【0012】
さらに、代表的な本発明に係るプラズマ処理方法の一つは、ホウ素が含有されたアモルファスカーボン膜を有するマスクを用いてプラズマエッチングした後、プラズマを用いてシリコン窒化膜、またはシリコン酸化膜に対して前記アモルファスカーボン膜を選択的に除去するプラズマ処理方法において、OガスとCHガスの混合ガスにより生成されたプラズマを用いて前記アモルファスカーボン膜を除去する除去工程を有し、前記除去工程において、処理圧力を250〜550Paの範囲内の圧力とし、前記混合ガスの流量に対するCHガスの流量の比を5〜7.5%の範囲内の流量比とし、前記混合ガスの流量を21.5L/min以上とすることにより達成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、ホウ素含有アモルファスカーボン膜をプラズマにより除去するプラズマアッシング処理において、ホウ素含有アモルファスカーボン膜の除去速度の向上とトレンチ側壁層へのサイドエッチング抑制を両立することができるプラズマ処理方法を提供できる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本実施形態に係るプラズマアッシング装置の概略図である。
図2図2(a)は、プラズマアッシングする前のウエハの断面図であり、図2(b)は、表1に示す条件によりプラズマアッシングした場合のウエハの断面図であり、図2(c)は、表2に示す条件によりプラズマアッシングした場合のウエハの断面図である。
図3図3は、本実施形態に係るプラズマ処理方法を示すフロー図である。
図4図4(a)は、CO(451nm)の発光強度に対するOH(309nm)の発光強度の比の時間変化を示す図であり、図4(b)は、OH(309nm)の発光強度の時間変化を示す図である。
図5図5は、アッシング速度と選択比の試料台温度依存性を示す図である。
図6図6は、ウエハの温度と試料台温度の関係を示す図である。
図7図7は、アッシング速度と選択比のCHFガス添加量依存性を示す図である。
図8図8は、アッシング速度と選択比の圧力依存性を示す図である。
図9図9は、アッシング速度と選択比におけるOガスとCHFガスの混合ガスの流量依存性を示す図である。
図10図10は、アッシング速度とサイドエッチング量の対SiN選択比依存性を示す図である。
図11図11は、アッシング速度と選択比の試料台温度依存性を示す図である。
図12図12は、アッシング速度と選択比の高周波電源依存性を示す図である。
図13図13は、アッシング速度と選択比におけるOガスとCHガスの混合ガスの流量依存性を示す図である。
図14図14は、アッシング速度と選択比の圧力依存性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施形態1]
図1は、本実施形態で使用する、ダウンフロータイプの誘導結合型プラズマ源を搭載したプラズマアッシング装置を示す概略図である。真空処理室は、ガス供給プレート101と石英製チャンバ102とチャンバ103で構成されている。ガス供給機構であるガス供給プレート101には、不図示のガス源から処理ガスを導入するためのガス供給口が配置され、更にガス供給口の直下には、処理ガスを石英製チャンバ102内にガスを効率良く外周へ分散するため、分散板104を設けている。
【0016】
石英製チャンバ102は、円筒形の石英のチャンバであり、その外周を誘導コイル105が等間隔に巻回されている。高周波電源109から27.12MHzの周波数の電流が誘導コイル105に供給され、誘導コイル105は誘導磁場を発生させる。高周波電源109と誘導コイル105の間には、高周波整合器110が配置されている。この高周波整合器110により、ガス系や処理材料が変更した場合でもプラズマを効率よく発生させることができる。本実施形態では、27.12MHzの高周波電流が誘導コイル105に流れているが、高周波整合器110とセットで適切なものを選択することにより、他の周波数帯、例えば13.56MHzの高周波電流を供給することも可能である。
【0017】
処理室であるチャンバ103内に供給された処理ガスは、フィードバック機能付きの圧力調整バルブ111及びドライポンプ(図示せず)により、チャンバ103内の圧力(処理圧力という)が所定の圧力となるように排気される。石英製チャンバ102にて生成されたプラズマにより、温度調整器108が接続された試料台106に載置されたウエハ107はアッシングされる。
【0018】
アッシング中は、試料であるウエハ107と処理ガスから放出された反応生成物の発光の強度の時間変化を分光器112によりモニターすることによって、マスク材料の除去の終点を検知することができる。本実施形態では、装置コスト低減のため、アルミ製のチャンバ103を用いたが、腐食性ガスを用いる場合は、腐食に強い材料、例えば、アルマイト表面を持つアルミ製のチャンバを用いた方が望ましい。
【0019】
アッシングにより発生した処理ガスと反応生成物は、排気口113からドライポンプ(図示せず)によって排気される。また、チャンバ103の内側に脱着式のカバー114を備えており、チャンバ103の内側への反応生成物の付着を防止している。このため、本プラズマアッシング装置のメンテンナンス時は、カバー114を交換し、取り外したカバーを洗浄に出すという運用により、本プラズマアッシング装置のダウンタイムを低減することが可能となる。
【0020】
また、ドライポンプ(図示せず)の後段には燃焼式の除害装置を備えており、大量の可燃性ガスを使用しても安全に可燃性ガスを除害することができる。さらに本プラズマアッシング装置は、可燃性ガスの爆発限界を超えないように、処理圧力が1000Paを上限とする所定圧力以下であることを検知する圧力スイッチ115を備えている。このため、何かしらの異常により圧力スイッチ115が所定圧力を超えた場合には、ガスバルブ116及び高周波電源109等を緊急遮断するようなソフト的、ハード的なインターロック(遮断機構)を備えている。このような機能を備えることにより、支燃性ガスである酸素ガスと可燃性ガスとの混合ガスを用いたプラズマアッシング処理を安全に実施することが可能となる。
【0021】
次に図2(a)に示すホウ素含有アモルファスカーボン膜204をマスクとしてエッチングされた、シリコン酸化膜203とシリコン窒化膜202が交互に積層された積層膜(96層以上)を有するウエハを、上述した本プラズマアッシング装置を用いてプラズマアッシングする方法について説明する。尚、図2(a)に示すように当該積層膜(96層以上)は、シリコン201に配置されている。また、ホウ素含有アモルファスカーボン膜204のホウ素の含有率は、エッチング工程での選択比向上のため50%以上とした。
【0022】
【表1】
【0023】
最初に、表1に示す従来条件により、図2(a)に示すウエハのホウ素含有アモルファスカーボン膜204をアッシングした場合の形状を、図2(b)に示す。表1の従来条件は、図2(a)に示すウエハを試料台106に載置し、試料台に載置されたウエハの温度を安定化させるステップ1(処理時間25秒)と、ホウ素含有アモルファスカーボン膜をアッシングするステップ2(処理時間310秒)とから構成されている。尚、表1の「B−ACL」は、「ホウ素含有アモルファスカーボン膜」を指す。
【0024】
図2(b)に示すように、従来条件に基づくアッシングでは、トレンチ側壁層のシリコン窒化膜202に対しサイドエッチング205が2nm発生した。サイドエッチング205が発生する要因として、SiN膜ウエハのアッシング速度に対する、ホウ素含有アモルファスカーボン膜のアッシング速度の比である対SiN選択比が不足しているためと考えられる。一方、シリコン酸化膜203は、シリコン窒化膜202に比べてFラジカルによってエッチングされ難いため、対SiO選択比が十分となり、サイドエッチングは発生していない。尚、対SiO選択比とは、SiO膜ウエハのアッシング速度に対する、ホウ素含有アモルファスカーボン膜のアッシング速度の比のことである。
【0025】
このようなことから、シリコン窒化膜のサイドエッチングを抑制するためには、対SiN選択比を高くする必要がある。表1に示す従来条件または特許文献1記載の対SiN選択比は約300程度であるため、シリコン酸化膜203とシリコン窒化膜202が交互に積層された96層以上の積層膜上のホウ素含有アモルファスカーボン膜204をアッシングするためには、300以上の選択比が必要といえる。しかし、アッシング速度を増加させるために酸素ガスによるプラズマに添加したF系ガスは、SiN選択比を一般的に低下させるため、表1に示す従来条件では、300以上の対SiN選択比と、500nm/min以上のホウ素含有アモルファスカーボン膜のアッシング速度を両立させることが困難だった。
【0026】
【表2】
【0027】
次に、本実施形態のプラズマ処理方法に係る表2の条件を用いて、図2(a)のホウ素含有アモルファスカーボン膜204をアッシングした場合の形状を、図2(c)に示す。図2(c)に示すように、トレンチ側壁層のSiN202及びSiO203のサイドエッチング量を0nmにできた。
【0028】
尚、表2に示す本実施形態のプラズマ処理方法は、図2(a)に示すウエハを試料台106に載置し、試料台に載置されたウエハの温度を安定化させるステップ1(処理時間25秒)と、ホウ素含有アモルファスカーボン膜をアッシングするステップ2(処理時間420秒)とを含む。また、表2の「B−ACL」は、ホウ素含有アモルファスカーボン膜を指す。
【0029】
図2(c)に示すように、表2に示すプラズマ処理条件により、トレンチ側壁層のSiN202及びSiO203のサイドエッチング量を0nmにできた理由は、表2に示す条件の対SiN選択比が629であったためと考えられる。このような結果から96層以上の積層膜のSiN202のサイドエッチングを抑制するために必要な対SiN選択比の目安としては、約600以上であることがわかる。
【0030】
次に量産処理において、本実施形態のプラズマ処理方法の安定性を確保するためのフローを、図3に示す。最初にウエハのアッシング処理前に、チャンバ103内においてArガス雰囲気で300〜600s放電することにより、温度安定化工程(S301)を実行する。次にウエハをチャンバ103内に搬送して試料台106の上に載置することにより、ウエハ搬入工程(S302)を実行し、更に試料台106に載置されたウエハの温度の安定化させるため、処理時間25sでウエハ温度安定化工程(S303)を実行する。
【0031】
その後、ホウ素含有アモルファスカーボン膜204をアッシングしてアッシング処理の終点を判定する第1のアッシング工程(S304)と、ホウ素含有アモルファスカーボン膜204の追加アッシングする第2のアッシング工程(S305)とを実行する。さらにアッシングが終了したウエハをチャンバ103から搬出することにより、ウエハ搬出工程(S306)を実行する。また、ウエハを連続してアッシング処理を行う場合は、連続処理工程(S307)を実行すべく、フローをウエハ搬入工程(S302)に戻して新たなウエハを搬送する。
【0032】
第1のアッシング工程と第2のアッシング工程とで除去工程を構成する。また、除去工程前、OガスとCHFガスの混合ガスを、チャンバ内に供給しながら試料台の温度を除去工程と同じ温度にして行われる温度安定化工程(安定化工程)が実行される。安定化工程ではプラズマを生成しない。
【0033】
図3に示すフローを実行することによって、温度安定化工程(S301)により石英製チャンバ102を温めることができ、連続処理中のアッシング速度の経時変化を抑制することができる。さらに第2のアッシング工程における安定したマスク材料のアッシング処理の終点の検知が可能となる。
【0034】
また、第1のアッシング工程(S304)における処理の終点判定は、分光器112の検知に基づく発光強度比の時間変化を用いて行った。図4(a)に一例を示す発光強度変化は、反応生成物CO(451nm)の発光強度に対するOH(309nm)の発光強度の比の時間変化を示すものである。ここで、図4(a)中の符号401は、Cell部の終点を示し、図4(a)中の符号402は、周辺部の終点を示す。
【0035】
第1のアッシング工程(S304)における処理の終点(アモルファスカーボン膜の除去の終了)判定として、図4(a)に示すような発光強度比の時間変化を用いることにより、OHのみの発光強度の時間変化(図4(b))を用いる場合に比べて、Cell内と周辺回路部分の変化が強調されるため、第1のアッシング工程(S304)の処理の終点を判定する判定精度を向上することができる。
【0036】
また、これにより成膜条件や前工程のエッチングの処理バラツキを吸収でき、装置自体の経時変化や機差に対しても安定的したボロン含有アモルファスカーボン膜の除去性能を実現することが可能となる。尚、本実施形態による図2(c)に示す形状は、周辺部の終点402に対してオーバーアッシング率を100%としてアッシング処理した結果である。
【0037】
次にボロン含有アモルファスカーボン膜のアッシング処理条件のマージン調査の結果を以下に示す。CFガスとCHFガスの違いを調査するため、表1に示す従来条件に対し、CFガスからCHFガスに変更した条件及び結果を表3に示す。
【0038】
【表3】
【0039】
表3の条件によるアッシング処理では、対SiN選択比が124であり、表1の条件における対SiN選択比よりも数値が低いにも関わらず、シリコン窒化膜202へのサイドエッチング量が1nmと、表1の条件にてアッシング処理した場合よりシリコン窒化膜202のサイドエッチング量が小さい。この結果は、ホウ素含有アモルファスカーボン膜とCHFガスの反応生成物であるCH系デポがトレンチ側壁層に付着するため、トレンチ側壁層のシリコン窒化膜202のアッシング速度が抑制されたためと考えられる。
【0040】
以上の結果から、シリコン窒化膜へのサイドエッチングを抑制しながらホウ素含有アモルファスカーボン膜をアッシングするためには、Oガスに添加するフッ素含有ガスとして、ボロンのエッチャントであるFラジカルと共にCHxデポを発生させるCHxFyガスのうち、F比が少なく水素比が大きいガスであるCHFガスが、選択比の観点で最も適したガスであることが分かった。また、このようなガスとしてCHガスを用いても同様の効果が得られる。
【0041】
次に表2に示すガス系における、アッシング速度と選択比に対する試料台106の温度の依存性を調べた結果を、図5に示す。アッシング処理条件は、Oガスを10L/min、CHFガスを0.75L/min、処理圧力を450Pa、高周波電源の出力を4500Wとした。
【0042】
図5に示すように、ボロン含有アモルファスカーボン膜のアッシング速度(符号501で示す)は、試料台106の温度が20〜120℃の範囲で単調に増加し、試料台温度が80〜120℃の範囲で飽和して試料台温度が120℃で極大値となり、試料台106の温度が120〜150℃の範囲で低下する傾向であった。同様に対SiO選択比(符号502で示す)と、対SiN選択比(符号503で示す)も、試料台106の温度が20〜120℃の範囲で増加し、試料台温度が80〜120℃の範囲で飽和して試料台温度が120℃で極大値となり、試料台106の温度が120〜150℃の範囲で低下する傾向となった。
【0043】
このようにホウ素含有アモルファスカーボン膜のアッシング速度が試料台106の温度が20〜120℃の範囲で増加する傾向が生じるのは、ウエハ温度を上げた場合、ホウ素含有アモルファスカーボン膜表面のカーボンの酸化とボロンのフッ化が進むことによってホウ素含有アモルファスカーボン膜のアッシングが進行するためと考えられる。また、ホウ素含有アモルファスカーボン膜のアッシング速度が、試料台106の温度が120〜150℃の範囲で低下する傾向が生じる理由は、ホウ素の酸化が優勢となり、Fラジカルとの反応が抑制されたためと考えられる。
【0044】
また、対SiO選択比(符号502で示す)と対SiN選択比(符号503で示す)が、試料台106の温度が20〜120℃の範囲で増加する傾向が生じる理由は、ウエハ温度の上昇に従ってSiOまたはSiNの表面の酸化が促進されて、Fラジカルによるシリコン酸化膜及びシリコン窒化膜のアッシングの抑制、及び試料台106の当該温度範囲(20〜120℃)でのホウ素含有アモルファスカーボン膜のアッシング速度増加が生じるためと考えられる。
【0045】
さらに試料台106の温度が20〜150℃の場合、表1に示す従来条件の混合ガスよりOガスとCHFガスの混合ガスの方がSiN表面の酸素濃度が高くなる。このため、SiNウエハ表面の酸化の促進には、OガスとCHFガスの混合ガスの方が従来の混合ガスより有効と考えられる。
【0046】
以上のようなことから、OガスとCHFガスの混合ガスによるプラズマを用いたホウ素含有アモルファスカーボン膜のアッシングにおいて、アッシング速度の向上及び選択比向上の観点で試料台106の温度を80〜120℃にするのが望ましい。
【0047】
一般的にプラズマアッシング装置には、価格低減のため、試料台106にエッチング装置のような静電吸着機構など使用していない場合が多く、試料台106の設定温度とウエハ上の温度が異なる。一例として、試料台106の設定温度に対するウエハ温度の関係を調べた結果を図6に示す。ウエハ温度は、温度センサを複数埋め込んだウエハにて測定した。
【0048】
この測定の結果、図6に示すように試料台106の設定温度が80〜120℃の範囲の時のウエハ温度は121〜182℃であった。従ってウエハ温度が121〜182℃の範囲であれば、アッシング速度の向上及び選択比向上の観点から、試料台106の設定温度が80〜120℃の範囲の時と同じ効果が得られると考える。
【0049】
また、このウエハ温度は、プラズマからの入熱と試料台106へ流れる熱流速によって変化するため、ウエハ温度を指標としたプラズマ条件、試料台106の熱接触構造に応じて試料台106の設定温度を適切に調整する必要がある。特にウエハを試料台106に静電吸着させてHe等をウエハと試料台の間に充填させる方式の試料台を用いる場合は、ウエハ温度121〜182℃を目安にすると良い。
【0050】
次に図7は、試料台106の温度を20℃、Oガスの流量を10L/min、CHFガスの流量を0.3〜1.5L/min、処理圧力を250Pa、高周波電源の出力を4500Wとした場合における、OガスとCHFガスの混合ガスの総ガス流量に対するCHFガスの添加量のボロン含有アモルファスカーボン膜のアッシング速度と選択比の関係を示す図である。
【0051】
図7に示すように、OガスとCHFガスの混合ガスの総ガス流量に対するCHFガスの添加量が5〜12%の範囲において、ボロン含有アモルファスカーボン膜のアッシング速度(符号701で示す)は増加し、CHFガスの添加量が12〜15%の範囲において、ボロン含有アモルファスカーボン膜のアッシング速度(符号701で示す)は、低下する結果となった。また、対SiO選択比(符号702で示す)及び対SiN選択比(符号703で示す)は、CHFガスの添加量が5〜12%の範囲において、増加する結果となった。
【0052】
CHFガスの添加量が5〜12%の範囲において、ボロン含有アモルファスカーボン膜のアッシング速度が増加した要因は、ボロンのエッチャントであるFラジカルの増加により反応が促進されてアッシングが進行したためと考えられる。一方、ボロン含有アモルファスカーボン膜のアッシングレートがCHFガスの添加量が12〜15%の範囲において低下した要因は、CHxが増加してアッシングが抑制されたためと考えられる。
【0053】
また、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜のアッシング速度は、CHFガスの添加量を増加するとCHxが増加してアッシング速度は低下するが、CHFガスの添加量が12〜15%の範囲では、ボロン含有アモルファスカーボン膜のアッシング速度が低下するため選択比が低下すると考えられる。このため、OガスとCHFガスの混合ガスの総ガス流量に対するCHFガスの添加量は、5〜12%が望ましく、この時のホウ素含有アモルファスカーボン膜のアッシング速度は、135〜145nm/minでシリコン窒化膜選択比は約168〜186となる。
【0054】
次に図8は、試料台106の温度を20℃、Oガスの流量を10L/min、CHFガスの流量を0.75L/min、処理圧力を250〜650Pa、高周波電源の出力を4500Wとした場合における、処理圧力に対するホウ素含有アモルファスカーボン膜のアッシング速度と選択比の関係を示す図である。
【0055】
図8に示すようにボロン含有アモルファスカーボン膜のアッシング速度(符号801で示す)は、処理圧力が250〜550Paの範囲において増加し、650Paで低下した。また、対SiO選択比(符号802で示す)と対SiN選択比(符号803で示す)は、処理圧力が250〜550Paの範囲において増加する結果となった。
【0056】
ボロン含有アモルファスカーボン膜のアッシング速度が増加した要因は、処理圧力が250〜550Paの範囲においてホウ素含有アモルファスカーボン膜とエッチャントであるFラジカルの増加により反応が促進されてアッシングが進行したためと考えられる。一方、処理圧力650Paにおいて、ボロン含有アモルファスカーボン膜のアッシング速度が低下した要因は、プラズマ解離が処理圧力に対して不足したことによるものと考えられる。また、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜のアッシング速度は、処理圧力を増加するとCHxが増加してアッシング速度は低下するが、処理圧力が650Paにおいては、ボロン含有アモルファスカーボン膜のアッシング速度が低下するため、選択比も低下したと考えられる。
【0057】
従って、処理圧力については、4500W程度の高周波電力を用いる場合、250〜450Paが望ましい。この時のホウ素含有アモルファスカーボン膜のアッシング速度は、142〜192nm/min、シリコン窒化膜選択比は、約175〜230となる。尚、プラズマ生成用高周波電力を増加させた場合は、処理圧力の増加に伴い、アッシングレートも増加するが、本実施形態のような可燃ガスと支燃ガスの混合ガスを用いる場合は、可燃性ガスの爆発限界以下の処理圧力に制御する必要がある。
【0058】
次に図9は、試料台106の温度が100℃、Oガスの流量を20L/min、CHFガスの流量を1.5L/min、処理圧力を450Pa、高周波電源の出力を4500Wとした場合(表4)における、OガスとCHFガスの混合ガスの流量に対するアッシング速度と選択比の関係を示す図である。
【0059】
図9に示すようにボロン含有アモルファスカーボン膜のアッシング速度(符号901で示す)は、OガスとCHFガスの混合ガスの流量を増加すると521nm/min以上となり、同様に対SiO選択比(符号902で示す)及び対SiN選択比(符号903で示す)もOガスとCHFガスの混合ガスの流量の増加と共に増加する。尚、図9における「総ガス流量」は、OガスとCHFガスの混合ガスの流量のことである。
【0060】
表4に示す条件における対SiN選択比は、1303と比較的高い。したがって、トレンチ側壁層のシリコン窒化膜202のサイドエッチングが発生しないこと及び上述した図9に示す特性により、96層以上のSiOとSiNの積層膜のエッチングが求められる次世代のマスクのホウ素含有アモルファスカーボン膜のアッシングには、OガスとCHFガスの混合ガスの総ガス流量を21.5L/min以上とした方が良い。
【0061】
【表4】
【0062】
次に図10は、対SiN選択比に対するボロン含有アモルファスカーボン膜のアッシング速度とシリコン窒化膜のサイドエッチング量の関係を示す図である。図10に示すようにOガスとCHFガスの混合ガスにおいて、対SiN選択比が600以上の場合、シリコン窒化膜のサイドエッチング量(符号1002で示す)が0nmとなり、さらに対SiN選択比が980以上であれば、ボロン含有アモルファスカーボン膜のアッシング速度(符号1001で示す)が500nm/min以上となる。このため、対SiN選択比が980以上の場合、ボロン含有アモルファスカーボン膜のアッシング速度が500nm/min以上となり、かつ、サイドエッチングの抑制ができる。
【0063】
また、試料台106の温度が80〜120℃の範囲の場合、処理圧力を250〜1000Pa、OガスとCHFガスの混合ガスに対するCHFガスの流量比を5%〜12%、OガスとCHFガスの混合ガスの流量を21.5L/min以上とする条件において、対SiN選択比が980以上となるため、当該条件でもボロン含有アモルファスカーボン膜のアッシング速度が500nm/min以上となり、かつ、サイドエッチングの抑制ができる。
【0064】
図11は、Oガスの流量を20L/min、CHFガスの流量を1.5L/min、処理圧力を450Pa、高周波電源の出力を4500Wとした場合における、試料台106の温度に対するホウ素含有アモルファスカーボン膜及びタングステン膜のアッシング速度と選択比の関係を示す図である。
【0065】
図11に示すように、OガスとCHFガスの混合ガスでは、試料台106の温度が20〜150℃の範囲において、ホウ素含有アモルファスカーボン膜のアッシング速度(符号1101で示す)に対してタングステン膜のアッシング速度(符号1102で示す)は、0.1nm/min以下である。このため、タングステン膜のアッシング速度に対するホウ素含有アモルファスカーボン膜のアッシング速度の比である対タングステン膜(W)選択比(符号1103で示す)は、2180〜5280と高い。
【0066】
よって、トレンチ側壁層や下地にタングステン膜が用いられたウエハのホウ素含有アモルファスカーボン膜を、OガスとCHFガスの混合ガスによるプラズマを用いてアッシング処理することにより、タングステン膜に対して高い選択比でホウ素含有アモルファスカーボン膜をアッシングすることができる。
【0067】
本実施形態においては、トレンチ側壁層にSiN膜とSiO膜、下地にSiを有する積層構造におけるマスクのホウ素含有アモルファスカーボン膜のアッシング処理について説明したが、トレンチ側壁層や下地にどれか一つの膜でも有していれば、同様の効果を得ることができる。
【0068】
また、本実施形態では、誘導結合型プラズマ源のアッシング装置を用いた例を説明したが、マイクロ波により生成されたプラズマ等の他のプラズマ源を用いたアッシング装置で実施しても同様の効果を得ることができる。
【0069】
以上、本発明により、ホウ素含有アモルファスカーボン膜をプラズマにより除去するプラズマアッシング方法において、ホウ素含有アモルファスカーボン膜の除去速度の向上とトレンチ側壁層のサイドエッチング抑制を両立し、量産処理を安定的に行うことができる。
【0070】
また、OガスとCHFガスの混合ガスによるプラズマを用いてホウ素含有アモルファスカーボン膜をアッシングすることにより、シリコン窒化膜、シリコン酸化膜またはタングステン膜に対して高い選択比でホウ素含有アモルファスカーボン膜をアッシングすることができる。
【0071】
[実施形態2]
以下、実施形態2について説明する。本実施形態では、OガスとCHガスを図1のプラズマアッシング装置に供給しつつ、図2(a)に示す積層膜(96層以上)を有するウエハに対し、図3のフローに従ってアッシング処理を行うものとする。ホウ素含有アモルファスカーボン膜204のホウ素の含有率は、エッチング工程での選択比向上のため50%以上とした。特に示さない限り、上述した実施の形態と同様な構成及び処理を用いるものとし、重複する説明を省略する。
【0072】
図12は、試料台106の温度が100℃で、Oガスを20L/min、CHガスを1.5L/min、処理圧力を450Pa、高周波電源により2500〜4500W印加した時の高周波電源に対するB−ACLのアッシング速度と選択比の関係を示す図である。
【0073】
図12に示すように、B−ACLのアッシング速度(符号1201で示す)と対SiO選択比(符号1202で示す)は、高周波電源の出力2500〜4500Wの範囲で増加した。一方、対SiN選択比(符号1203で示す)は、高周波電源の出力2500〜3500Wの範囲で増加し、高周波電源の出力4000〜4500Wの範囲で低下した。
【0074】
B−ACLのアッシング速度が向上した要因は、高周波電源については出力2500〜4500Wの範囲では、B−ACL膜とエッチャントであるFラジカルの増加により反応が促進されたことが理由と考えられる。
【0075】
一方、シリコン窒化膜が、高周波電源の出力4000〜4500Wの範囲で低下した要因として、エッチャントであるFラジカルの増加により反応が促進されてアッシング速度が増加しているが、B−ACL膜に比べると高周波電力増加によるFラジカル増加の影響が大きいことが理由と考える。したがって、高周波電力の出力については、2500〜3500Wの範囲とすることが望ましい。この時のB−ACL膜のアッシング速度は、444〜627nm/minで、シリコン窒化膜選択比は約987〜1063である。
【0076】
図13は、試料台106の温度が20℃で、Oガスを20L/min、CHガスを1.0〜2.0L/min、処理圧力を450Pa、高周波電源により3500W印加した時のOガスとCHガスの混合ガスの総ガス流量に対するCHガスの添加量のB−ACLのアッシング速度と選択比の関係を示す図である。
【0077】
CHガスの添加量が5〜7.5%の範囲でB−ACLアッシング速度(符号1301で示す)は増加し、7.5〜10%で低下した。対SiO選択比(符号1302で示す)と対SiN選択比(符号1303で示す)も、CHガスの添加量が5〜7.5%の範囲で増加する結果となった。
【0078】
アッシング速度が増加した要因は、CHガスの添加量が5〜7.5%の範囲ではボロンのエッチャントであるFラジカルの増加により反応が促進されアッシングが進み、CHガスの添加量が7.5〜10%ではCHxが増加してアッシングが抑制されたためと考える。
【0079】
一方、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜のアッシング速度は、CHガスの添加量を増加するとCHxが増加してアッシング速度は低下するが、CHガスの添加量が7.5〜10%ではB−ACLのアッシング速度が低下するため選択比は低下すると考えられる。したがって、CHFガスの添加量は、5〜7.5%が望ましく、この時のB−ACL膜のアッシング速度は608〜627nm/minで、シリコン窒化膜選択比は約1031〜1045である。
【0080】
図14は、試料台106の温度が100℃で、Oガスを20L/min、CHガスを1.5L/min、処理圧力を250〜650Pa、高周波電源により3500W印加した時の処理圧力に対するB−ACLのアッシング速度と選択比の関係を示す図である。B−ACLアッシング速度(符号1401で示す)は、処理圧力が250〜550Paの範囲では増加し、処理圧力が650Paで低下した。
【0081】
一方、対SiO選択比(符号1402で示す)と対SiN選択比(符号1403で示す)も処理圧力が250〜550Paの範囲で増加し、処理圧力が650Paで低下する結果となった。アッシング速度が向上した要因は、処理圧力については250〜550Paの範囲ではB−ACL膜とエッチャントであるFラジカルの増加により反応が促進されアッシングが進み、処理圧力650Paでは、プラズマ解離が処理圧力に対して不足するためアッシングレートが低下したと考えられる。
【0082】
また、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜のアッシング速度は処理圧力を増加すると、CHxが増加してアッシング速度は低下するが、処理圧力が650PaではB−ACLアッシングアッシング速度が低下するため選択比も低下したものと考えられる。
【0083】
したがって、3500W程度の高周波電力を供給する場合、処理圧力は250〜550Paとすることが望ましい。この時のB−ACL膜のアッシング速度は492〜746nm/minで、シリコン窒化膜選択比は約946〜1066である。
【0084】
【表5】
【0085】
表5に示す条件は対SiN選択比が1066と高く、トレンチ側壁層のシリコン窒化膜202のサイドエッチングは発生しないため、次世代のB−ACL膜アッシングにはOガスとCHガスの混合ガスの総ガス流量は、21.5L/min以上が有効と考えられる。
【符号の説明】
【0086】
101 ガス供給プレート、
102 石英製チャンバ、
103 チャンバ、
104 分散板、
105 誘導コイル、
106 試料台、
107 ウエハ、
108 温度調整器、
109 高周波電源、
110 高周波整合器、
111 圧力調整バルブ、
112 分光器、
113 排気口、
114 カバー、
115 圧力スイッチ、
116 ガスバルブ、
201 シリコン、
202 シリコン窒化膜、
203 シリコン酸化膜、
204 ホウ素含有アモルファスカーボン膜、
205 サイドエッチング、
1201 B−ACLアッシング速度、
1202 対SiO選択比、
1203 対SiN選択比、
1301 B−ACLアッシング速度、
1302 対SiO選択比、
1303 対SiN選択比
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14