(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載の技術では、舗装表面に十分なすべり抵抗を付与しえないおそれがある。
【0008】
上記事情に鑑み、本発明は、舗装表面に十分にすべり抵抗が付与されたコンクリート舗装を簡便に施工可能なコンクリート舗装の施工方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく本発明者らが鋭意研究したところ、特許文献1に記載されたような技術では、細骨材の一部を無機質多孔質粉粒体に置き換え、しかも、打設前に無機質多孔質粉粒体を添加して練り混ぜるため、舗装表面に局所的に無機質多孔質粉粒体を十分に分布させることが困難となり、舗装表面に十分なすべり抵抗を付与し得ないおそれがあることを見出した。
【0010】
また、このように無機質多孔質粉粒体をコンクリート全体に混ぜ込む場合には、舗装体として本来的に必要とされる曲げ強度等の強度の低下分を考慮したうえで、その添加量を決定する必要があるため、舗装表面のすべり以外にも、舗装全体の強度の低下の影響を考慮してその添加量を選定する必要が生じる。しかし、舗装全体が舗装体として必要な強度を有するためには、それ程多くの無機質多孔質粉粒体をコンクリート全体に混ぜ込むことができず、その結果、舗装表面に十分なすべり抵抗を付与するために十分に必要な量の無機質多孔質粉粒体を添加し得ないおそれがあることを見出した。
【0011】
さらに、本発明者らは、セメントが水と接触してアルカリ性を示すことに着目して鋭意研究した。その結果、打設物が硬化する前に、アルカリと接触して気泡を発生する
発泡剤を該打設物の表面部に添加することによって、該表面部に気泡を形成することができ、かかる気泡が混入した状態で打設物が硬化すると、気泡に起因する凹凸が舗装表面に形成され、このように厚み方向において舗装の表面部に局所的に凹凸が形成されることによって、舗装表面にすべり抵抗を十分に付与し得ることを見出した。
【0012】
また、このように舗装表面のみに
発泡剤に起因する気泡を形成することによって、舗装表面よりも下方の層では、かかる
発泡剤に起因する気泡が存在しないため、この気泡によってもたらされる曲げ強度の低下が生じないことを見出した。しかも、舗装表面よりも下方の層は、舗装全体の強度に大きく影響する(舗装全体の強度の主体となる) が、この下方の層は、本来のコンクリートの状態とすることができるため、舗装体として本来的に必要とされる強度を低下させることなく、すべり抵抗を向上させ得ることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明に係るコンクリート舗装の施工方法は、
水と、セメントと、骨材とを有するコンクリート組成物を打設し、
打設したコンクリート組成物の表面部にアルカリと接触して気泡を発生する
発泡剤を添加して該表面部に気泡を形成し、
前記気泡が形成された状態で前記コンクリート組成物を硬化してコンクリート舗装を施工する方法である。
【0014】
かかる構成によれば、水と、セメントと、骨材とを有するコンクリート組成物を打設し、打設したコンクリート組成物が硬化する前に、その表面部に、アルカリと接触して気泡を発生する
発泡剤を添加して該表面部に気泡を形成し、このように気泡が形成された状態でコンクリート組成物を硬化することが可能となる。
これにより、厚み方向において、打設したコンクリート組成物の表面部に局所的に気泡を形成させることができるため、厚み方向全体に気泡を形成させる場合と比較して、表面部により多くの気泡を形成し易くなる。
また、打設したコンクリート組成物の表面部に
発泡剤を添加することによって、凹凸を形成できるため、簡便である。
従って、舗装表面に十分にすべり抵抗が付与されたコンクリート舗装を簡便に施工することが可能となる。
【0015】
上記構成のコンクリート舗装の施工方法においては、
前記
発泡剤が、アルミニウムを含有することが好ましい。
【0016】
かかる構成によれば、
発泡剤がアルミニウムを含有することによって、より確実に、舗装の表面部に気泡を形成し易くなる。
従って、舗装表面に、より十分にすべり抵抗が付与されたコンクリート舗装を施工することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
以上の通り、本発明によれば、舗装表面に十分にすべり抵抗が付与されたコンクリート舗装を簡便に施工可能なコンクリート舗装の施工方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るコンクリート舗装の施工方法の実施形態について説明する。
【0020】
本実施形態に係るコンクリート舗装の施工方法は、
水と、セメントと、骨材とを有するコンクリート組成物を打設し、
打設したコンクリート組成物の表面部にアルカリと接触して気泡を発生する
発泡剤を添加して該表面部に気泡を形成し、
前記気泡が形成された状態で前記コンクリート組成物を硬化してコンクリート舗装を施工する方法である。
【0021】
前記セメントと、骨材とを有するコンクリート組成物を打設する工程(打設工程)では、セメントと、骨材と、水とを混練し、得られた混練物としてのコンクリート組成物を、舗装形成用の型枠に打設する。
【0022】
前記セメントとしては、従来公知のセメントが挙げられる。かかるセメントとしては、例えば、JIS R 5210(2009)に記載のポルトランドセメントが挙げられる。
かかるセメントの配合量は、例えば、コンクリート組成物全体100質量部に対して10〜25質量部とすることが好ましい。
【0023】
前記骨材としては、従来公知のコンクリート材料として使用される粗骨材、細骨材が挙げられる。
【0024】
前記骨材としては、前記粗骨材及び前記細骨材のいずれかを使用しても、これらを併用してもよく、特に限定されないが、前記粗骨材と前記細骨材とを併用することが好ましい。
【0025】
前記粗骨材としては、従来公知のコンクリート材料として使用される粗骨材が挙げられる。かかる粗骨材としては、例えば、その粒径が5mm〜40mmであることが好ましい。このような粗骨材としては、例えば、道路用砕石の3号砕石、4号砕石、5号砕石、及び、6号砕石が挙げられる。
かかる粗骨材の配合量は、例えば、混練物全体100質量部に対して30〜76質量部とすることが好ましい。
【0026】
前記細骨材としては、従来公知のコンクリート材料として使用される細骨材が挙げられる。かかる細骨材としては、例えば、JIS A 5005(2009)コンクリート用砕石及び砕砂、JIS A 5308(2009)の附属書Aレディーミクストコンクリート用骨材に記載される細骨材が挙げられ、その粗粒率は、2.0〜3.33であることが好ましい。
かかる細骨材の配合量は、例えば、混練物全体100質量部に対して25〜48質量部とすることができる。
【0027】
前記水の配合量は、例えば、混練物全体100質量部に対して10〜19質量部とすることができる。
【0028】
上記セメント、骨材、及び水を、水平2軸形強制練りミキサといった従来公知の練り混ぜ機で混練し、得られた混練物を型枠に打設する。
なお、コンクリート組成物には、上記の他、通常のコンクリート組成物に添加される添加材を適宜添加し得る。
【0029】
上記打設工程の後、打設したコンクリート組成物(以下、打設物という場合がある)が硬化する前に、その表面部に、アルカリと接触して気泡を発生する
発泡剤を添加して該表面部に気泡を形成する工程(気泡形成工程) を行う。
【0030】
アルカリと接触して気泡を発生する
発泡剤としては、例えば、アルミニウム、過炭酸ナトリウム等の過炭酸塩、炭酸水素ナトリウム等の重炭酸塩、4,4’− オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH、例えば、永和化成工業社製の商品名ネオセルボン)等のヒドラジン誘導体、アゾジカルボンアミド(ADCA 、例えば、永和化成工業社製のビニホール) 等のアゾ化合物、ニトロソ化合物等が挙げられ、これらより選択されるいずれか1つ以上を用いることが好ましい。
また、
発泡剤の添加形態としては、例えば、上記成分を含有する粉末による添加、上記成分を含有するシートによる添加、上記成分を含有する周面部を有するローラによる添加等が挙げられる。
【0031】
打設物の表面部に
発泡剤を添加する方法は、特に限定されない。
例えば、
発泡剤が粉末状である場合には、粉末状の
発泡剤をコテで打設物の表面部に混ぜ込む工程を行って、打設物の表面部に
発泡剤を添加し得る。
例えば、
発泡剤がシートの表面側に含有されている場合には、該シートを打設物の表面部に被せる工程を行うことによって、打設物の表面部に
発泡剤を添加し得る。
例えば、
発泡剤がローラの周面部に含有されている場合には、該ローラを表面部上で転がす工程を行うことによって、打設物の表面部に
発泡剤を添加し得る。
【0032】
上記粉末状の
発泡剤を混ぜ込む工程においては、例えば、粉末状の
発泡剤をそのまま添加して混ぜ込んでも、仕上げ補助剤や養生剤等に混ぜ込んでこれらと共に添加してもよい。
かかる混ぜ込む工程においては、打設物の表面部の1m
2当たりに10〜500g/m
2の量となるように添加して、コテ等の仕上げ部材で表面から深さ3〜10mm程度の間で、混ぜ込み、表面部の表面仕上げを行い得る。これにより、表面から深さ10m 程度までの間で表面部に気泡を存在させる(分布させる)ことができるため、舗装後の比較的初期においては、施工直後から形成されていた気泡によって表面に凹凸が存在し、これによってすべり抵抗が付与される。さらに、車両の通過が繰り返された経時後においては、舗装表面が摩耗しても、内側から新たな気泡が露出するため、この気泡によってすべり抵抗が付与される。
【0033】
一方、このように、表面側の混ぜ込んだ領域に
発泡剤に起因する気泡が形成され、混ぜ込んだ領域よりも深い領域では、かかる気泡が形成されないことによって、厚み方向全体にわたって気泡が形成されている場合よりも、より十分な強度を有する舗装となる。
なお、硬化前の打設物の表面部に気泡を形成すると、形成された気泡は、セメントに由来する粘性の方が、気泡の浮力よりも大きいため、表面に浮き上がることができず、よって、ほぼ発生した位置にとどまることになる。
【0034】
上記
発泡剤を表面側に含有するシートを打設物の表面部に被せる工程においては、該シートを打設物の表面部に被せることによって、該打設物の表面部がシートの表面側の
発泡剤と接触し、これによって発泡が生じ、該表面部に気泡が形成される。
また、上記
発泡剤を周面部に含有するローラを打設物の表面部上で転がす工程においては、該ローラを打設物の表面部上で転がすことによって、該打設物の表面部がローラの周面部の
発泡剤と接触し、これによって発泡が生じ、該表面部に気泡が形成される。
これらシートを被せる工程、及び、ローラを転がす工程によれば、上記した混ぜ込む工程と同様、舗装後の比較的初期においては、施工直後から形成されていた気泡によって表面に凹凸が存在し、これによってすべり抵抗が付与される。
【0035】
また、これらシートを被せる工程、及び、ローラを転がす工程においても、上記混ぜ込む工程と同様、車両の通過が繰り返された経時後においては、舗装表面が摩耗しても、内側から新たな気泡が露出し、この気泡によってすべり抵抗が付与されることが好ましく、そのためには、深さ方向にも気泡が分布していることが好ましい。この点を考慮すれば、これら工程において、例えば、3〜10mm程度の突出長さを有する突起をさらに有し、且つ、該突起の表面側に
発泡剤を含有するように構成されたシートやローラを用い、該シートやローラの突起が打設物の表面部に突き刺さることによって、該表面部の深さ方向に気泡を分布させることが好ましい。
【0036】
また、上記被せる工程や上記ローラを転がす工程においても、上記した混ぜ込む工程と同様、車両の通過が繰り返された経時後においては、表面が摩耗しても、内側から新たな気泡が露出するため、この気泡によってすべり抵抗が付与される。さらに、上記した混ぜ込む工程と同様、厚み方向全体にわたって気泡が形成されている場合よりも、より十分な強度を有する舗装となる。
【0037】
上記被せる工程や上記ローラを転がす工程においては、シートの表面側、ローラの周面部、突起の表面側における
発泡剤の含有量は、打設物の表面部で気泡が発生する程度に応じて適宜設定し得る。また、突起の数量も、打設物の表面部で気泡が発生する程度に応じて適宜設定し得る。
【0038】
なお、上記被せる工程や上記ローラを転がす工程においても、上記した混ぜ込む工程と同様、表面部の表面仕上げ作業を行ってもよい。
また、上記被せる工程や上記ローラを転がす工程においても、上記した混ぜ込む工程と同様、硬化前の打設物の表面部に気泡を形成すると、形成された気泡は、セメントに由来する粘性の方が、気泡の浮力よりも大きいため、表面に浮き上がることができず、よって、ほぼ発生した位置にとどまることになる。
【0039】
打設物の表面部における気泡の含有量は、特に限定されるものではなく、コンクリート舗装の表面部に十分なすべり抵抗を付与することができるように適宜設定され得る。
例えば、打設後に気泡を発生させていない下部の領域と比較して、表面部の気泡の含有量が多くなる程、十分なすべり抵抗を付与し得る傾向にある一方、気泡の含有量が多くなり過ぎると、硬化前に個々の気泡同士が接触して合一し、気泡が大きくなる結果、かえって気泡数が減少したり、表面部が膨れ上がったりして表面の仕上げ作業に支障をきたす傾向にある。
例えば、かかる観点を考慮して、表面部における気泡の含有量を設定することができ、その含有量を、気泡を発生させていない下部の領域における気泡の含有量よりも、0.5〜35体積%多いことが好ましい。
【0040】
上記気泡形成工程に次いで、前記気泡が形成された状態で前記コンクリート組成物を養生して硬化する養生工程を行う。
かかる養生工程では、従来公知の方法と同様、打設したコンクリート組成物を養生する。
【0041】
上記の通り、本実施形態のコンクリート舗装の施工方法は、
水と、セメントと、骨材とを有するコンクリート組成物を打設し、
打設したコンクリート組成物の表面部にアルカリと接触して気泡を発生する
発泡剤を添加して該表面部に気泡を形成し、
前記気泡が形成された状態で前記コンクリート組成物を硬化してコンクリート舗装を施工する方法である。
【0042】
かかる構成によれば、水と、セメントと、骨材とを有するコンクリート組成物を打設し、打設したコンクリート組成物が硬化する前に、その表面部に、アルカリと接触して気泡を発生する
発泡剤を添加して該表面部に気泡を形成し、このように気泡が形成された状態でコンクリート組成物を硬化することが可能となる。
これにより、厚み方向において、打設したコンクリート組成物の表面部に局所的に気泡を形成させることができるため、厚み方向全体に気泡を形成させる場合と比較して、表面部により多くの気泡を形成し易くなる。
また、打設したコンクリート組成物の表面部に
発泡剤を添加することによって、凹凸を形成できるため、簡便である。
従って、舗装表面に十分にすべり抵抗が付与されたコンクリート舗装を簡便に施工することが可能となる。
【0043】
本実施形態のコンクリート舗装の施工方法においては、
前記
発泡剤が、アルミニウムを含有することが好ましい。
【0044】
かかる構成によれば、
発泡剤がアルミニウムを含有することによって、より確実に、舗装の表面部に気泡を形成し易くなる。
従って、舗装表面に、より十分にすべり抵抗が付与されたコンクリート舗装を施工することが可能となる。
【0045】
以上の通り、本実施形態によれば、舗装表面に十分にすべり抵抗が付与されたコンクリート舗装を施工可能なコンクリート舗装の施工方法が提供される。
【0046】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0047】
(実験例1)
コンクリート組成物全体に
発泡剤を添加することによって、該組成物全体に気泡を存在させた状態で打設し、硬化させ、このときの硬化体の表面のすべり抵抗を調べた。
具体的には、下記表1 に示す材料を用いた。
【0048】
【表1】
【0049】
表1に示す材料を用い、砂(細骨材):セメント=2:1の質量比で、W/C(水の質量/セメントの質量)=40% の条件でセメントと水とを混合して練り混ぜ、モルタルを作製した。練り混ぜにはハンドミキサ(1100rpm)を使用し、練り上がり量が5Lとなるように3分間練り混ぜ、その後、表2に示される添加量となるように
発泡剤を添加し、30秒練り混ぜを行った。練り混ぜ完了後、10×10×25cmの供試体を作製した。供試体を作製した後、標準(水中)養生を行い、測定時に取り出して、すべり抵抗試験として、振り子式スキッドレジスタンステスタを用いた振り子式スキッドレジスタンステスタによるすべり抵抗測定方法(平成19年6月、社団法人日本道路協会)によってBPN (British Pundulum Number)試験を実施した。測定結果を
図1に示す。
【0050】
【表2】
【0051】
図1に示すように、
発泡剤を添加することによって、
発泡剤に起因した気泡をコンクリートの表面に存在させることができ、この気泡に起因した凹凸によって、すべり抵抗を付与し得ることがわかった。また、
発泡剤の量が増加する程、すべり抵抗が高くなる傾向にあることがわかった。
なお、本実験例では、
発泡剤と他の成分とを全体的に練り混ぜて硬化させた結果を示すが、本実験例で形成した硬化体の状態を、コンクリート舗装の表面部に形成すれば、このコンクリート舗装においても表面部では本実験例と同様の結果が得られることは十分に予測し得る。すなわち、コンクリート組成物を打設し、その表面部に
発泡剤を添加して硬化させれば、その表面部には、本実験例と同様に、
発泡剤の量に応じた気泡を存在させることができ、この気泡に起因する凹凸によって、すべり抵抗を付与し得ることがわかった。
【0052】
(実験例2)気泡の性状の確認
コンクリート組成物全体に
発泡剤を添加することによって、該組成物全体に気泡を存在させた状態で打設し、硬化させ、このときの硬化体に存在する気泡の特性を調べた。
具体的には、上記した表1の材料を用いた。また、上記した表2 の試料番号1、2、4〜6の添加量となるように、すなわち、下記表3に示すように、
発泡剤を配合した。この配合で、W/C=40%(C =1392、W=552)に設定し、JIS R 5201(2 015)の「強さ試験」に記載された機械練り用練混ぜ機を用いて低速にて2 分間練り混ぜてセメントペーストを作製した後、さらに
発泡剤を添加して、30秒間の攪拌(練り混ぜ)を行った。
撹拌後、混練物をプラスチック製のシャーレに流し込んで硬化させて供試体を作製した。硬化後、供試体の水平方向の断面(供試体の表面から深さ方向に厚み1m×面積49cm
2の領域) を、トラバース法を用いた画像解析によって測定し、気泡の数量(個)、及び、気泡の体積が占める割合(%)を測定した。具体的には、トラバース法による画像解析においては、硬化コンクリート気泡計測装置(HF−MAC01、ファースト社製)を用い、ASTM C457のリニアトラバース法に準拠して、気泡の数量(個)、及び、気泡の体積が占める割合(%)を測定した。
結果を表4 に示す。
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】
表4に示すように、
発泡剤の添加量が増加する程、気泡の数量が増加し、気泡が占める体積も増加することがわかった。
本実験例では、
発泡剤と他の成分とを全体的に練り混ぜて硬化させた結果を示すが、本実験例で形成した硬化体の状態を、コンクリート舗装の表面部に形成すれば、このコンクリート舗装においても表面部では本実験例と同様の結果が得られることは十分に予測し得る。すなわち、コンクリート組成物を打設し、その表面部に
発泡剤を添加して硬化させれば、その表面部には、本実験例と同様に、
発泡剤の量に応じた気泡数及び空気量で気泡を存在させることができることがわかった。
【0056】
(実験例3)気泡の性状の確認
コンクリート組成物を打設し、打設したコンクリート組成物の表面部に
発泡剤を添加することによって該表面部に気泡を存在させ、この状態で硬化させ、このときの硬化体の表面のすべり抵抗を調べた。
具体的には、下記表5 に示す
発泡剤を用いた。
下記表6に示す配合で、セメント、水、粗骨材、細骨材、及び、減水剤(マスターグレニウムSP8SV 、ポゾリスソリューションズ社製)を練り混ぜ(空練り30秒後、水を投入し、本練りを2分間行った)、10×10×40cmの直方体型枠に混練物を打設した。その後、打設物が硬化する前に、打設物の表面に下記表5 に示す散布量(配合量) で、打設物の表面部に各
発泡剤を散布し、コテで表面仕上げを行うことによって、
発泡剤を混ぜ込んだ。硬化後の供試体をカットして断面を目視で観察したところ、表面より数mm〜 概ね1cm程度までは、練り混ぜた部分よりも下方の部分(層)よりも、気泡が多かった。よって、かかるコテ仕上げによって、表面から概ね1cm程度の深さまで気泡が分布したことがわかった。
翌日、硬化したコンクリートを型枠から取り外し、気泡を形成した表面部に対して、実験例1と同様に、初期のすべり抵抗を測定した。
その後、供試体を水中に浸漬し、材齢3か月迄のすべり抵抗値を上記と同様にして測定し、
発泡剤を添加していない場合(無添加の初期状態)との比較で、
発泡剤を散布した供試体のすべり抵抗を測定した。結果を表7に示す。
【0057】
【表5】
【0058】
【表6】
【0059】
【表7】
【0060】
表7に示すように、打設したコンクリート組成物の表面部に
発泡剤を添加することによって、
発泡剤を添加しない場合よりも、すべり抵抗が大きくなることが確認された。また、気泡が表面部の深さ方向に分布しているため、経時的な車両の通行によって摩耗しても、内側の気泡に起因する凹凸によって、すべり抵抗が維持され得ることがわかった。