特許第6803410号(P6803410)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6803410インダゾール化合物の製造方法およびインダゾール化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6803410
(24)【登録日】2020年12月2日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】インダゾール化合物の製造方法およびインダゾール化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 231/56 20060101AFI20201214BHJP
   C07D 401/06 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   C07D231/56 BCSP
   C07D401/06
【請求項の数】16
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2018-568549(P2018-568549)
(86)(22)【出願日】2018年2月14日
(86)【国際出願番号】JP2018004996
(87)【国際公開番号】WO2018151126
(87)【国際公開日】20180823
【審査請求日】2019年7月30日
(31)【優先権主張番号】特願2017-25255(P2017-25255)
(32)【優先日】2017年2月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】高橋 基将
【審査官】 進士 千尋
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/129933(WO,A1)
【文献】 国際公開第2003/101968(WO,A1)
【文献】 国際公開第2005/012258(WO,A1)
【文献】 国際公開第2005/094823(WO,A1)
【文献】 特表2003−503481(JP,A)
【文献】 特表2006−523721(JP,A)
【文献】 特表2018−531218(JP,A)
【文献】 特表2011−521939(JP,A)
【文献】 SAMPSON, Peter B. et al.,The Discovery of Polo-Like Kinase 4 Inhibitors: Design and Optimization of Spiro[cyclopropane-1,3'[3H]indol]-2'(1'H)-ones as Orally Bioavailable Antitumor Agents,Journal of Medicinal Chemistry,2015年,Vol.58, No.1,pp.130-146,ISSN:0022-2623, DOI:10.1021/jm500537u
【文献】 LAUFER, Radoslaw et al.,The Discovery of PLK4 Inhibitors: (E)-3-((1H-Indazol-6-yl)methylene)indolin-2-ones as Novel Antiproliferative Agents,Journal of Medicinal Chemistry,2013年,Vol.56, No.15,pp. 6069-6087,ISSN:0022-2623, DOI:10.1021/jm400380m
【文献】 NORRIS, Timothy et al.,Heavy-Metal-Free Reduction Methodology for Large-Scale Synthesis Applicable to Heterocyclic and Arylhydrazines,Organic Process Research & Development,2009年,Vol.13, No.2,pp.354-357,ISSN:1083-6160, DOI:10.1021/op8002163
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 231/56
C07D 401/06
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物の存在下において、
下記一般式(2)で表されるアニリン化合物から調製したジアゾニウム塩から、下記一般式(3)で表されるインダゾール化合物またはその塩を得ることを含む、インダゾール化合物の製造方法。
【化1】
式中、
は、水素原子、または、アルカリ金属であり、
は、水素原子、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基、置換基を有してもよいC1−6アルキル基、置換基を有してもよいC3−8シクロアルキル基、置換基を有してもよいC1−6アルコキシC1−6アルキル基、置換基を有してもよいC6−20アリールC1−6アルキル基、置換基を有してもよいC1−6アルコキシ基、置換基を有してもよいC6−20アリールオキシ基、置換基を有してもよいC1−6アルキルアミノ基、置換基を有してもよいC6−20アリールアミノ基、置換基を有してもよいC1−6アルキルチオ基、置換基を有してもよいC6−20アリールチオ基、置換基を有してもよいC2−6アルケニル基、置換基を有してもよいC3−8シクロアルケニル基、置換基を有してもよいC2−6アルキニル基、置換基を有してもよいC6−20アリール基または置換基を有してもよい複素環式基であり、
は、水素原子、置換基を有してもよいC1−30アルキルカルボニル基、または置換基を有してもよいC6−20アリールカルボニル基である;
【化2】
式中、
Xは、置換基を有してもよいC1−6アルキル基、置換基を有してもよいC3−8シクロアルキル基、置換基を有してもよいC1−6アルコキシC1−6アルキル基、置換基を有してもよいC6−20アリールC1−6アルキル基、置換基を有してもよいC2−6アルケニル基、置換基を有してもよいC2−6アルキニル基、置換基を有してもよいC6−20アリール基または置換基を有してもよい複素環式基であり、
Yは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基、置換基を有してもよいC1−6アルキル基、置換基を有してもよいC3−8シクロアルキル基、置換基を有してもよいC1−6アルコキシC1−6アルキル基、置換基を有してもよいC6−20アリールC1−6アルキル基、置換基を有してもよいC1−6アルコキシ基、置換基を有してもよいC6−20アリールオキシ基、置換基を有してもよいC1−6アルキルアミノ基、置換基を有してもよいC6−20アリールアミノ基、置換基を有してもよいC1−6アルキルチオ基、置換基を有してもよいC6−20アリールチオ基、置換基を有してもよいC2−6アルケニル基、置換基を有してもよいC3−8シクロアルケニル基、置換基を有してもよいC2−6アルキニル基、置換基を有してもよいC6−20アリール基または置換基を有してもよい複素環式基であり、
nは0〜4の整数であり、nが2以上の場合、複数存在するYは、それぞれ同一でも異なっていてもよい;
【化3】
式中、X、Yおよびnは、前記と同様の意味を有する。
【請求項2】
前記一般式(2)で表されるアニリン化合物が、下記一般式(4)で表される化合物であり、前記一般式(3)で表されるインダゾール化合物が、下記一般式(5)で表される化合物である、請求項1に記載のインダゾール化合物の製造方法。
【化4】
式中、
〜Zは、各々独立に、水素原子、置換基を有してもよいC1−6アルキル基、置換基を有してもよいC2−6アルケニル基、置換基を有してもよいC2−6アルキニル基、置換基を有してもよいC3−8シクロアルキル基、置換基を有してもよいC3−8シクロアルケニル基、置換基を有してもよいC6−20アリール基または置換基を有してもよい複素環式基であり、
とZが一緒になって環を形成してもよく、
Yおよびnは、前記と同様の意味を有する;
【化5】
式中、Z〜Z、Yおよびnは、前記と同様の意味を有する。
【請求項3】
前記一般式(2)で表されるアニリン化合物が、下記一般式(6)で表される化合物であり、前記一般式(3)で表されるインダゾール化合物が、下記一般式(7)で表される化合物である、請求項1または2に記載のインダゾール化合物の製造方法。
【化6】
式中、
Zは、水素原子、置換基を有してもよいC1−6アルキル基、置換基を有してもよいC2−6アルケニル基、置換基を有してもよいC2−6アルキニル基、置換基を有してもよいC3−8シクロアルキル基、置換基を有してもよいC3−8シクロアルケニル基、置換基を有してもよいC6−20アリール基または置換基を有してもよい複素環式基であり、
Yおよびnは、前記と同様の意味を有する;
【化7】
式中、Z、Yおよびnは、前記と同様の意味を有する。
【請求項4】
前記Zが、下記一般式(8)で表される基である、請求項3に記載のインダゾール化合物の製造方法。
【化8】
式中、
は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ホルミル基、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシル基、置換基を有してもよいC1―6アルキルカルボニル基、置換基を有してもよいC6−20アリールカルボニル基、置換基を有してもよいC1−6アルキルスルホニル基、置換基を有してもよいC6−20アリールスルホニル基、置換基を有してもよいC1−6アルキルスルフィニル基、置換基を有してもよいC6−20アリールスルフィニル基、置換基を有してもよいC1−6アルキルアミノ基、置換基を有してもよいC6−20アリールアミノ基、置換基を有してもよいC1−6アルコキシ基、置換基を有してもよいC6−20アリールオキシ基、置換基を有してもよいC1−6アルキル基、置換基を有してもよいC3−8シクロアルキル基、置換基を有してもよいC1−6アルコキシC1−6アルキル基、置換基を有してもよいC6−20アリールC1−6アルキル基、置換基を有してもよいC2−6アルケニル基、置換基を有してもよいC3−8シクロアルケニル基、置換基を有してもよいC2−6アルキニル基、置換基を有してもよいC6−20アリール基または置換基を有してもよい複素環式基であり、
〜Aは、各々独立に、−CR−または−N−であり、
は水素原子またはWであり、
pは0〜5の整数であり、pが2以上の場合、複数存在するWは、それぞれ同一でも異なっていてもよく、
2つ以上のWが一緒になって、ベンゼン環とともに縮環を形成してもよい。
【請求項5】
は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、カルボキシル基、スルホ基、置換基を有してもよいC1―6アルキルカルボニル基、置換基を有してもよいC6−20アリールカルボニル基、置換基を有してもよいC1−6アルキルスルホニル基、置換基を有してもよいC6−20アリールスルホニル基、置換基を有してもよいC1−6アルキルスルフィニル基、置換基を有してもよいC6−20アリールスルフィニル基であり、pは1である、請求項4に記載のインダゾール化合物の製造方法。
【請求項6】
前記アニリン化合物から調製したジアゾニウム塩が、前記アニリン化合物に酸性条件下、亜硝酸塩を作用させて得られるジアゾニウム塩である、請求項1から5の何れか一項に記載のインダゾール化合物の製造方法。
【請求項7】
前記ジアゾニウム塩を得る工程に用いる溶媒は、酢酸および水を含む混合溶媒である、請求項1から6の何れか一項に記載のインダゾール化合物の製造方法。
【請求項8】
前記Yは、ハロゲン原子、メルカプト基、置換基を有してもよいC1−6アルキルチオ基、置換基を有してもよいC1−6アルキル基、置換基を有してもよいC1−6アルコキシ基、カルボキシル基、置換基を有してもよいC3−8シクロアルケニル基、置換基を有してもよいC6−20アリール基または置換基を有してもよい複素環式基である、請求項1から7の何れか一項に記載のインダゾール化合物の製造方法。
【請求項9】
前記Yは、ハロゲン原子、置換基を有してもよいC3−8シクロアルケニル基、置換基を有してもよいC6−20アリール基または置換基を有してもよい複素環式基である、請求項1から8の何れか一項に記載のインダゾール化合物の製造方法。
【請求項10】
前記Rは、ヒドロキシル基である、請求項1から9の何れか一項に記載のインダゾール化合物の製造方法。
【請求項11】
前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(10)で表される化合物である、請求項1から10の何れか一項に記載のインダゾール化合物の製造方法。
【化9】
式中、Rは、前記と同様の意味を有する。
【請求項12】
前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(11)で表される化合物である、請求項1から11の何れか一項に記載のインダゾール化合物の製造方法。
【化10】
【請求項13】
下記一般式(12)で表されるインダゾール化合物またはその塩。
【化11】
式中、
は、シアノ基であり、
Yは、ハロゲン原子であり、
nは0〜4の整数であり、nが2以上の場合、複数存在するYは、それぞれ同一でも異なっていてもよく、
ただし、Wがホルミル基のとき、nは1〜4の整数である。
【請求項14】
前記一般式(12)で表されるインダゾール化合物が、下記一般式(13)で表される化合物である、請求項13に記載のインダゾール化合物またはその塩。
【化12】
式中、Wは、シアノ基であり、Yは、ハロゲン原子である。
【請求項15】
下記一般式(14)で表されるインダゾール化合物またはその塩。
【化13】
式中、
は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、カルボキシル基、スルホ基、置換基を有してもよいC1―6アルキルカルボニル基、置換基を有してもよいC6−20アリールカルボニル基、置換基を有してもよいC1−6アルキルスルホニル基、置換基を有してもよいC6−20アリールスルホニル基、置換基を有してもよいC1−6アルキルスルフィニル基、置換基を有してもよいC6−20アリールスルフィニル基であり、
は、臭素原子であり、
pは0〜4の整数であり、pが2以上の場合、複数存在するWは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【請求項16】
前記一般式(14)で表されるインダゾール化合物が、下記一般式(15)で表される化合物である、請求項15に記載のインダゾール化合物またはその塩。
【化14】
式中、Yは、臭素原子である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬、農薬または機能性材料の合成中間体として有用なインダゾール化合物の製造方法、およびインダゾール化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
インダゾール化合物は、医薬、農薬または機能性材料の合成中間体として使用される場合がある。例えば、腎細胞がんの治療薬として用いられるアキシチニブは、インダゾール化合物を合成中間体として用いて製造されている(非特許文献1)。
【0003】
インダゾール化合物の合成方法としては幾つかの方法が知られている。例えば、特許文献1には、2’−アミノアセトフェノン誘導体からインダゾール化合物を合成する方法が記載されている。特許文献2には、ニトロベンズアルデヒドとマロン酸とを縮合した後、ヒドラジンとラネーニッケルを用いて還元的環化を行うことによりインダゾール化合物を合成することが記載されている。また、特許文献3および非特許文献2には、アニリン誘導体から調製したジアゾニウム塩をアスコルビン酸で還元して、シュウ酸ヒドラジドを得る方法が記載されている。シュウ酸ヒドラジドは酸加水分解によって、フリーのヒドラジンに誘導される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開WO2009/144554号パンフレット
【特許文献2】特表2016−530210号公報
【特許文献3】特表2004−514706号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Org.Process Res.& Dev.2014,266−274
【非特許文献2】Org.Process Res.& Dev.2009,354−357
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されているインダゾール化合物の合成方法においては、二塩化スズが反応試薬として使用される。二塩化スズは強い環境毒性を示し、また反応後にスズ試薬由来の残渣が目的物に残留するという問題がある。特許文献2に記載されているインダゾール化合物の合成方法は、適用できる化合物の範囲が著しく限定されている。
【0007】
本発明の課題は、強い毒性を示す反応試薬を使用することなくインダゾール化合物を製造できる、インダゾール化合物の新規な製造方法を提供することである。本発明の別の課題は、新規なインダゾール化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題に対し鋭意検討を重ねた結果、本明細書に記載する一般式(1)で表される化合物の存在下において、所定のアニリン化合物から調製したジアゾニウム塩からインダゾール化合物を得ることによって、インダゾール化合物を高い収率で製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば以下の発明が提供される。
【0009】
<1> 下記一般式(1)で表される化合物の存在下において、下記一般式(2)で表されるアニリン化合物から調製したジアゾニウム塩から、下記一般式(3)で表されるインダゾール化合物またはその塩を得ることを含む、インダゾール化合物の製造方法。
【化1】
式中、
1は、水素原子、または、アルカリ金属であり、
2は、水素原子、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基、置換基を有してもよいC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC6-20アリールC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシ基、置換基を有してもよいC6-20アリールオキシ基、置換基を有してもよいC1-6アルキルアミノ基、置換基を有してもよいC6-20アリールアミノ基、置換基を有してもよいC1-6アルキルチオ基、置換基を有してもよいC6-20アリールチオ基、置換基を有してもよいC2-6アルケニル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルケニル基、置換基を有してもよいC2-6アルキニル基、置換基を有してもよいC6-20アリール基または置換基を有してもよい複素環式基であり、
3は、水素原子、置換基を有してもよいC1-30アルキルカルボニル基、または置換基を有してもよいC6-20アリールカルボニル基である;
【化2】
式中、
Xは、置換基を有してもよいC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC6-20アリールC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC2-6アルケニル基、置換基を有してもよいC2-6アルキニル基、置換基を有してもよいC6-20アリール基または置換基を有してもよい複素環式基であり、
Yは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基、置換基を有してもよいC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC6-20アリールC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシ基、置換基を有してもよいC6-20アリールオキシ基、置換基を有してもよいC1-6アルキルアミノ基、置換基を有してもよいC6-20アリールアミノ基、置換基を有してもよいC1-6アルキルチオ基、置換基を有してもよいC6-20アリールチオ基、置換基を有してもよいC2-6アルケニル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルケニル基、置換基を有してもよいC2-6アルキニル基、置換基を有してもよいC6-20アリール基または置換基を有してもよい複素環式基であり、
nは0〜4の整数であり、nが2以上の場合、複数存在するYは、それぞれ同一でも異なっていてもよい;
【化3】
式中、X、Yおよびnは、上記と同様の意味を有する。
【0010】
<2> 上記一般式(2)で表されるアニリン化合物が、下記一般式(4)で表される化合物であり、上記一般式(3)で表されるインダゾール化合物が、下記一般式(5)で表される化合物である、<1>に記載のインダゾール化合物の製造方法。
【化4】
式中、
1〜Z3は、各々独立に、水素原子、置換基を有してもよいC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC2-6アルケニル基、置換基を有してもよいC2-6アルキニル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルケニル基、置換基を有してもよいC6-20アリール基または置換基を有してもよい複素環式基であり、
1とZ2が一緒になって環を形成してもよく、
Yおよびnは、上記と同様の意味を有する;
【化5】
式中、Z1〜Z3、Yおよびnは、上記と同様の意味を有する。
【0011】
<3> 上記一般式(2)で表されるアニリン化合物が、下記一般式(6)で表される化合物であり、上記一般式(3)で表されるインダゾール化合物が、下記一般式(7)で表される化合物である、<1>または<2>に記載のインダゾール化合物の製造方法。
【化6】
式中、
Zは、水素原子、置換基を有してもよいC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC2-6アルケニル基、置換基を有してもよいC2-6アルキニル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルケニル基、置換基を有してもよいC6-20アリール基または置換基を有してもよい複素環式基であり、
Yおよびnは、上記と同様の意味を有する;
【化7】
式中、Z、Yおよびnは、上記と同様の意味を有する。
【0012】
<4> 上記Zが、下記一般式(8)で表される基である、<3>に記載のインダゾール化合物の製造方法。
【化8】
式中、
1は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ホルミル基、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシル基、置換基を有してもよいC16アルキルカルボニル基、置換基を有してもよいC6-20アリールカルボニル基、置換基を有してもよいC1-6アルキルスルホニル基、置換基を有してもよいC6-20アリールスルホニル基、置換基を有してもよいC1-6アルキルスルフィニル基、置換基を有してもよいC6-20アリールスルフィニル基、置換基を有してもよいC1-6アルキルアミノ基、置換基を有してもよいC6-20アリールアミノ基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシ基、置換基を有してもよいC6-20アリールオキシ基、置換基を有してもよいC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC6-20アリールC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC2-6アルケニル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルケニル基、置換基を有してもよいC2-6アルキニル基、置換基を有してもよいC6-20アリール基または置換基を有してもよい複素環式基であり、
1〜A3は、各々独立に、−CR4−または−N−であり、
4は水素原子またはW1であり、
pは0〜5の整数であり、pが2以上の場合、複数存在するW1は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、
2つ以上のW1が一緒になって、ベンゼン環とともに縮環を形成してもよい。
【0013】
<5> W1は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、カルボキシル基、スルホ基、置換基を有してもよいC16アルキルカルボニル基、置換基を有してもよいC6-20アリールカルボニル基、置換基を有してもよいC1-6アルキルスルホニル基、置換基を有してもよいC6-20アリールスルホニル基、置換基を有してもよいC1-6アルキルスルフィニル基、置換基を有してもよいC6-20アリールスルフィニル基であり、pは1である、<4>に記載のインダゾール化合物の製造方法。
<6> 上記アニリン化合物から調製したジアゾニウム塩が、上記アニリン化合物に酸性条件下、亜硝酸塩を作用させて得られるジアゾニウム塩である、<1>から<5>の何れか一に記載のインダゾール化合物の製造方法。
<7> 上記ジアゾニウム塩を得る工程に用いる溶媒は、酢酸および水を含む混合溶媒である、<1>から<6>の何れか一に記載のインダゾール化合物の製造方法。
<8> 上記Yは、ハロゲン原子、メルカプト基、置換基を有してもよいC1-6アルキルチオ基、置換基を有してもよいC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシ基、カルボキシル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルケニル基、置換基を有してもよいC6-20アリール基または置換基を有してもよい複素環式基である、<1>から<7>の何れか一に記載のインダゾール化合物の製造方法。
<9> 上記Yは、ハロゲン原子、置換基を有してもよいC3-8シクロアルケニル基、置換基を有してもよいC6-20アリール基または置換基を有してもよい複素環式基である、<1>から<8>の何れか一に記載のインダゾール化合物の製造方法。
<10> 上記R2は、ヒドロキシル基である、<1>から<9>の何れか一に記載のインダゾール化合物の製造方法。
【0014】
<11> 上記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(10)で表される化合物である、<1>から<10>の何れか一に記載のインダゾール化合物の製造方法。
【化9】
式中、R1は、上記と同様の意味を有する。
<12> 上記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(11)で表される化合物である、<1>から<11>の何れか一に記載のインダゾール化合物の製造方法。
【化10】
【0015】
<13> 下記一般式(12)で表されるインダゾール化合物またはその塩。
【化11】
式中、
2は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、カルボキシル基、スルホ基、置換基を有してもよいC16アルキルカルボニル基、置換基を有してもよいC6-20アリールカルボニル基、置換基を有してもよいC1-6アルキルスルホニル基、置換基を有してもよいC6-20アリールスルホニル基、置換基を有してもよいC1-6アルキルスルフィニル基、置換基を有してもよいC6-20アリールスルフィニル基であり、
Yは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基、置換基を有してもよいC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC6-20アリールC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシ基、置換基を有してもよいC6-20アリールオキシ基、置換基を有してもよいC1-6アルキルアミノ基、置換基を有してもよいC6-20アリールアミノ基、置換基を有してもよいC1-6アルキルチオ基、置換基を有してもよいC6-20アリールチオ基、置換基を有してもよいC2-6アルケニル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルケニル基、置換基を有してもよいC2-6アルキニル基、置換基を有してもよいC6-20アリール基または置換基を有してもよい複素環式基であり、
nは0〜4の整数であり、nが2以上の場合、複数存在するYは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
ただし、W2がホルミル基のとき、nは1〜4の整数である。
<14> 上記一般式(12)で表されるインダゾール化合物が、下記一般式(13)で表される化合物である、<13>に記載のインダゾール化合物またはその塩。
【化12】
式中、W2は、シアノ基であり、Yは、ハロゲン原子である。
【0016】
<15> 下記一般式(14)で表されるインダゾール化合物またはその塩。
【化13】
式中、
3は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ホルミル基、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシル基、置換基を有してもよいC16アルキルカルボニル基、置換基を有してもよいC6-20アリールカルボニル基、置換基を有してもよいC1-6アルキルスルホニル基、置換基を有してもよいC6-20アリールスルホニル基、置換基を有してもよいC1-6アルキルスルフィニル基、置換基を有してもよいC6-20アリールスルフィニル基、置換基を有してもよいC1-6アルキルアミノ基、置換基を有してもよいC6-20アリールアミノ基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシ基、置換基を有してもよいC6-20アリールオキシ基、置換基を有してもよいC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC6-20アリールC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC2-6アルケニル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルケニル基、置換基を有してもよいC2-6アルキニル基、置換基を有してもよいC6-20アリール基または置換基を有してもよい複素環式基であり、
1は、ハロゲン原子、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基、置換基を有してもよいC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC6-20アリールC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシ基、置換基を有してもよいC6-20アリールオキシ基、置換基を有してもよいC1-6アルキルアミノ基、置換基を有してもよいC6-20アリールアミノ基、置換基を有してもよいC1-6アルキルチオ基、置換基を有してもよいC6-20アリールチオ基、置換基を有してもよいC2-6アルケニル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルケニル基、置換基を有してもよいC2-6アルキニル基、置換基を有してもよいC6-20アリール基または置換基を有してもよい複素環式基であり、
pは0〜4の整数であり、pが2以上の場合、複数存在するW3は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
<16> 上記一般式(14)で表されるインダゾール化合物が、下記一般式(15)で表される化合物である、<15>に記載のインダゾール化合物またはその塩。
【化14】
式中、Y1は、ハロゲン原子である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の方法によれば、医薬、農薬または機能性材料の合成中間体として有用であるインダゾール化合物を、二塩化スズなどの強い毒性を示す反応試薬を使用することなく製造することができる。本発明のインダゾール化合物は、医薬、農薬または機能性材料の合成中間体として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、特に断らない限り、%は質量%である。
本発明において、特にことわらない限り、各用語は、次の意味を有する。
アルカリ金属とは、Li、Na、K、Rb、Cs、およびFrであり、好ましくはLi、Na、またはKである。
ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を意味する。
【0019】
1-6アルキル基とは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、2−メチルブチル、2−ペンチル、3−ペンチルおよびヘキシル基などの直鎖状または分枝鎖状のC1-6アルキル基を意味する。
3-8シクロアルキル基とは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチル基などのC3-8シクロアルキル基を意味する。
1-6アルコキシC1-6アルキル基とは、メトキシメチルおよび1−エトキシエチル基などのC1-6アルキルオキシC1-6アルキル基を意味する。
6-20アリールC1-6アルキル基とは、ベンジル、ジフェニルメチル、トリチル、フェネチル、2−フェニルプロピル、3−フェニルプロピルおよびナフチルメチル基などのC6-20アリールC1-6アルキル基(アルキル部分がC1-6アルキルであるアラルキル基)を意味する。
【0020】
1-6アルコキシ基とは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、シクロプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、シクロブトキシ、ペンチルオキシおよびヘキシルオキシ基などの直鎖状、環状または分枝鎖状のC1-6アルキルオキシ基を意味する。
6-20アリールオキシ基とは、フェノキシおよびナフチルオキシ基などのC6-20アリールオキシ基を意味する。
【0021】
1-6アルキルアミノ基とは、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ブチルアミノ、sec−ブチルアミノ、tert−ブチルアミノ、ペンチルアミノおよびヘキシルアミノ基などの直鎖状または分枝鎖状のC1-6アルキルアミノ基を意味する。
6-20アリールアミノ基とは、フェニルアミノ、p−トリルアミノおよび2−ナフチルアミノ基などのC6-20アリールアミノ基を意味する。
【0022】
1-6アルキルチオ基とは、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、sec−ブチルチオ、イソブチルチオ、tert−ブチルチオ、ペンチルチオ、イソペンチルチオ、2−メチルブチルチオ、2−ペンチルチオ、3−ペンチルチオおよびヘキシルチオ基などの直鎖状または分枝鎖状C1-6アルキルチオ基を意味する。
6-20アリールチオ基とは、フェニルチオおよび2−ナフチルチオ基などのC6-20アリールチオ基を意味する。
【0023】
2-6アルケニル基とは、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、1,3−ブタジエニル、ペンテニルおよびヘキセニル基などの直鎖状または分枝鎖状のC2-6アルケニル基を意味する。
3-8シクロアルケニル基とは、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル基などのC3-8シクロアルケニル基を意味する。
2-6アルキニル基とは、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルおよびヘキシニル基などの直鎖状または分枝鎖状のC2-6アルキニル基を意味する。
【0024】
1-6アルキルカルボニル基とは、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリルおよびピバロイル基などのC1-6アルキルカルボニル基を意味する。「C1-6アルキルカルボニル基」におけるC1-6とは、アルキル部分の炭素数が1〜6であることを意味する。
1-30アルキルカルボニル基とは、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、ピバロイルおよびパルミトイル基などのC1-30アルキルカルボニル基を意味する。「C1-30アルキルカルボニル基」におけるC1-30とは、アルキル部分の炭素数が1〜30であることを意味する。
6-20アリールカルボニル基とは、ベンゾイルなどの、アリール部分の炭素数が6〜20であるアリールカルボニル基を意味する。
【0025】
1-6アルキルスルホニル基とは、メチルスルホニル、エチルスルホニルおよびプロピルスルホニル基などのC1-6アルキルスルホニル基を意味する。
6-20アリールスルホニル基とは、ベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホニルまたはナフタレンスルホニル基などのC6-20アリールスルホニル基を意味する。
1-6アルキルスルフィニル基とは、メチルスルフィニル、エチルスルフィニルおよびプロピルスルフィニル基などのC1-6アルキルスルフィニル基を意味する。
6-20アリールスルフィニル基とは、ベンゼンスルフィニル、p−トルエンスルフィニルまたはナフタレンスルフィニル基などのC6-20アリールスルフィニル基を意味する。
【0026】
6-20アリール基とは、フェニルまたはナフチル基などの炭素数6〜20のアリール基を意味する。
【0027】
単環の含窒素複素環式基とは、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピロリル、ピペリジル、テトラヒドロピリジル、ジヒドロピリジル、ピリジル、ホモピペリジニル、オクタヒドロアゾシニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピペラジニル、ジアゼパニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ホモピペラジニル、トリアゾリルおよびテトラゾリル基などの上記環を形成する異項原子を含み、単環の含窒素ヘテロアリールも含む単環の含窒素複素環式基を意味する。
単環の含酸素複素環式基とは、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、フラニル、テトラヒドロピラニル、ピラニル、1,3−ジオキサニルおよび1,4−ジオキサニル基などの上記環を形成する異項原子として酸素原子のみを含む単環の含酸素複素環式基を意味する。
【0028】
単環の含硫黄複素環式基とは、チエニル基、テトラヒドロチオピラニル、1,1−ジオキシドテトラヒドロチオピラニルなどを意味する。
単環の含窒素・酸素複素環式基とは、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、モルホリニルおよびオキサゼパニル基などの上記環を形成する異項原子として窒素原子および酸素原子のみを含む単環の含窒素・酸素複素環式基を意味する。
単環の含窒素・硫黄複素環式基とは、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、チオモルホリニル、1−オキシドチオモルホリニルおよび1,1−ジオキシドチオモルホリニル基などの上記環を形成する異項原子として窒素原子および硫黄原子のみを含む単環の含窒素・硫黄複素環式基を意味する。
単環の複素環式基とは、単環の含窒素複素環式基、単環の含酸素複素環式基、単環の含硫黄複素環式基、単環の含窒素・酸素複素環式基または単環の含窒素・硫黄複素環式基を意味する。
【0029】
二環式の含窒素複素環式基とは、インドリニル、インドリル、イソインドリニル、イソインドリル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ピラゾロピリジニル、キノリル、テトラヒドロキノリニル、キノリル、テトラヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、キノリジニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、ジヒドロキノキサリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニルおよびキヌクリジニル基などの上記環を形成する異項原子として窒素原子のみを含む二環式の含窒素複素環式基を意味する。
二環式の含酸素複素環式基とは、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、クロマニル、クロメニル、イソクロマニル、1,3−ベンゾジオキソリル、1,3−ベンゾジオキサニルおよび1,4−ベンゾジオキサニル基などの上記環を形成する異項原子として酸素原子のみを含む二環式の含酸素複素環式基を意味する。
【0030】
二環式の含硫黄複素環式基とは、2,3−ジヒドロベンゾチエニルおよびベンゾチエニル基などの上記環を形成する異項原子として硫黄原子のみを含む二環式の含硫黄複素環式基を意味する。
二環式の含窒素・酸素複素環式基とは、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾモルホリニル、ジヒドロピラノピリジル、ジオキソロピリジル、フロピリジニル、ジヒドロジオキシノピリジルおよびジヒドロピリドオキサジニル基などの上記環を形成する異項原子として窒素原子および酸素原子のみを含む二環式の含窒素・酸素複素環式基を意味する。
【0031】
二環式の含窒素・硫黄複素環式基とは、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリルおよびベンゾチアジアゾリル基などの上記環を形成する異項原子として窒素原子および硫黄原子を含む二環式の含窒素・硫黄複素環式基を意味する。
二環式の複素環式基とは、二環式の含窒素複素環式基、二環式の含酸素複素環式基、二環式の含硫黄複素環式基、二環式の含窒素・酸素複素環式基または二環式の含窒素・硫黄複素環式基を意味する。
【0032】
スピロ式複素環式基とは、2,6−ジアザスピロ[3.3]ヘプチル、2,7−ジアザスピロ[3.5]ノニル、2−オキサ−6−アザスピロ[3.3]ヘプチル、1,4−ジオキサスピロ[4.5]デシル、1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デシルおよび1−チア−8−アザスピロ[4.5]デシル基などの上記環を形成する異項原子として一つ以上の窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含むスピロ式複素環式基を意味する。
架橋式複素環式基とは、3−オキサ−8−アザビシクロ[3.2.1]オクチル、8−オキサ−3−アザビシクロ[3.2.1]オクチルおよびキヌクリジニル基などの上記環を形成する異項原子として一つ以上の窒素原子を含み、更に、一つ以上の酸素原子または硫黄原子を含んでもよい架橋式複素環式基を意味する。
【0033】
複素環式基とは、単環の複素環式基、二環式の複素環式基、スピロ式複素環基および架橋式複素環基を意味する。
【0034】
置換基を有してもよいC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC6-20アリールC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシ基、置換基を有してもよいC6-20アリールオキシ基、置換基を有してもよいC1-6アルキルアミノ基、置換基を有してもよいC6-20アリールアミノ基、置換基を有してもよいC1-6アルキルチオ基、置換基を有してもよいC6-20アリールチオ基、置換基を有してもよいC2-6アルケニル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルケニル基、置換基を有してもよいC2-6アルキニル基、置換基を有してもよいC6-20アリール基、置換基を有してもよい複素環式基、置換基を有してもよいC1-30アルキルカルボニル基、置換基を有してもよいC6-20アリールカルボニル基、置換基を有してもよいC16アルキルカルボニル基、置換基を有してもよいC6-20アリールカルボニル基、置換基を有してもよいC1-6アルキルスルホニル基、置換基を有してもよいC6-20アリールスルホニル基、置換基を有してもよいC1-6アルキルスルフィニル基、置換基を有してもよいC6-20アリールスルフィニル基、における置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基、C1-6アルキル基、C3-8シクロアルキル基、C1-6アルコキシC1-6アルキル基、C6-20アリールC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C6-20アリールオキシ基、C1-6アルキルアミノ基、C6-20アリールアミノ基、C1-6アルキルチオ基、C6-20アリールチオ基、C2-6アルケニル基、C3-8シクロアルケニル基、C2-6アルキニル基、C6-20アリール基、複素環式基、C1-30アルキルカルボニル基、C6-20アリールカルボニル基、C1-6アルキルスルホニル基、C6-20アリールスルホニル基、C1-6アルキルスルフィニル基、C6-20アリールスルフィニル基などを挙げることができる。
【0035】
本発明の製造方法について説明する。
本発明によるインダゾール化合物の製造方法は、一般式(1)
【化15】
(式中、
1は、水素原子、または、アルカリ金属であり、
2は、水素原子、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基、置換基を有してもよいC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC6-20アリールC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシ基、置換基を有してもよいC6-20アリールオキシ基、置換基を有してもよいC1-6アルキルアミノ基、置換基を有してもよいC6-20アリールアミノ基、置換基を有してもよいC1-6アルキルチオ基、置換基を有してもよいC6-20アリールチオ基、置換基を有してもよいC2-6アルケニル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルケニル基、置換基を有してもよいC2-6アルキニル基、置換基を有してもよいC6-20アリール基または置換基を有してもよい複素環式基であり、 R3は、水素原子、置換基を有してもよいC1-30アルキルカルボニル基、または置換基を有してもよいC6-20アリールカルボニル基である)
で表される化合物の存在下において、
一般式(2)
【化16】
(式中、
Xは、置換基を有してもよいC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC6-20アリールC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC2-6アルケニル基、置換基を有してもよいC2-6アルキニル基、置換基を有してもよいC6-20アリール基または置換基を有してもよい複素環式基であり、
Yは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基、置換基を有してもよいC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC6-20アリールC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシ基、置換基を有してもよいC6-20アリールオキシ基、置換基を有してもよいC1-6アルキルアミノ基、置換基を有してもよいC6-20アリールアミノ基、置換基を有してもよいC1-6アルキルチオ基、置換基を有してもよいC6-20アリールチオ基、置換基を有してもよいC2-6アルケニル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルケニル基、置換基を有してもよいC2-6アルキニル基、置換基を有してもよいC6-20アリール基または置換基を有してもよい複素環式基であり、 nは0〜4の整数であり、nが2以上の場合、複数存在するYは、それぞれ同一でも異なっていてもよい)
で表されるアニリン化合物から調製したジアゾニウム塩から、一般式(3)
【化17】
(式中、X、Yおよびnは、上記と同様の意味を有する)
で表されるインダゾール化合物またはその塩を得ることを含む方法である。
【0036】
1は、好ましくは、水素原子またはナトリウム原子であり、より好ましくは、水素原子である。
2は、好ましくは、ヒドロキシル基である。
3は、好ましくは、水素原子、または置換基を有してもよいC1-30アルキルカルボニル基であり、より好ましくは、水素原子である。
Xは、好ましくは、置換基を有してもよいC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよいC2-6アルケニル基、置換基を有してもよいC2-6アルキニル基であり、より好ましくは、置換基を有してもよいC2-6アルケニル基である。
【0037】
Yは、好ましくは、ハロゲン原子、カルボキシル基、メルカプト基、置換基を有してもよいC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシ基、置換基を有してもよいC1-6アルキルチオ基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルケニル基、置換基を有してもよいC6-20アリール基または置換基を有してもよい複素環式基であり、より好ましくは、ハロゲン原子、置換基を有してもよいC3-8シクロアルケニル基、置換基を有してもよいC6-20アリール基または置換基を有してもよい複素環式基であり、さらに好ましくは、ハロゲン原子であり、臭素原子が最も好ましい。
nは、好ましくは、1である。
【0038】
好ましくは、一般式(2)で表されるアニリン化合物が、一般式(4)
【化18】
(式中、Z1〜Z3は、各々独立に、水素原子、置換基を有してもよいC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC2-6アルケニル基、置換基を有してもよいC2-6アルキニル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルケニル基、置換基を有してもよいC6-20アリール基または置換基を有してもよい複素環式基であり、
1とZ2が一緒になって環を形成してもよく、
Yおよびnは、上記と同様の意味を有する。)
で表される化合物であり、
一般式(3)で表されるインダゾール化合物が、一般式(5)
【化19】
(式中、Z1〜Z3、Yおよびnは、上記と同様の意味を有する。)
で表される化合物である。
【0039】
Yおよびnの好ましい範囲は前記と同じである。
1〜Z3は、各々独立に、好ましくは、水素原子、置換基を有してもよいC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC2-6アルケニル基、置換基を有してもよいC2-6アルキニル基、置換基を有してもよいC6-20アリール基または置換基を有してもよい複素環式基であり、より好ましくは、水素原子、置換基を有してもよいC6-20アリール基または置換基を有してもよい複素環式基であり、さらに好ましくは、水素原子、置換基を有してもよいC6-20アリール基である。
1とZ2が一緒になって形成する環は、特に限定されないが、好ましくは、5員環または6員環であり、より好ましくは、6員環であり、さらに好ましくは、シクロヘキセン環またはベンゼン環であり、ベンゼン環が最も好ましい。
【0040】
好ましくは、一般式(2)で表されるアニリン化合物が、一般式(6)
【化20】
(式中、Zは、水素原子、置換基を有してもよいC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC2-6アルケニル基、置換基を有してもよいC2-6アルキニル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルケニル基、置換基を有してもよいC6-20アリール基または置換基を有してもよい複素環式基であり、
Yおよびnは、上記と同様の意味を有する。)
で表される化合物であり、
一般式(3)で表されるインダゾール化合物が、一般式(7)
【化21】
(式中、Z、Yおよびnは、上記と同様の意味を有する。)
で表される化合物である。
Y及びnの好ましい範囲は前記と同じである。
Zの好ましい範囲はZ1〜Z3の好ましい範囲と同じである。
【0041】
好ましくは、Zは、一般式(8)
【化22】
(式中、W1は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ホルミル基、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシル基、置換基を有してもよいC16アルキルカルボニル基、置換基を有してもよいC6-20アリールカルボニル基、置換基を有してもよいC1-6アルキルスルホニル基、置換基を有してもよいC6-20アリールスルホニル基、置換基を有してもよいC1-6アルキルスルフィニル基、置換基を有してもよいC6-20アリールスルフィニル基、置換基を有してもよいC1-6アルキルアミノ基、置換基を有してもよいC6-20アリールアミノ基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシ基、置換基を有してもよいC6-20アリールオキシ基、置換基を有してもよいC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC6-20アリールC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC2-6アルケニル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルケニル基、置換基を有してもよいC2-6アルキニル基、置換基を有してもよいC6-20アリール基または置換基を有してもよい複素環式基であり、A1〜A3は、各々独立に、−CR4−または−N−であり、
4は水素原子またはW1であり、pは0〜5の整数であり、pが2以上の場合、複数存在するW1は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、
2つ以上のW1が一緒になって、ベンゼン環とともに縮環を形成してもよい。)
で表される基である。
【0042】
一般式(8)において、W1は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、カルボキシル基、スルホ基、置換基を有してもよいC16アルキルカルボニル基、置換基を有してもよいC6-20アリールカルボニル基、置換基を有してもよいC1-6アルキルスルホニル基、置換基を有してもよいC6-20アリールスルホニル基、置換基を有してもよいC1-6アルキルスルフィニル基、置換基を有してもよいC6-20アリールスルフィニル基であることが好ましく、シアノ基が最も好ましい。W1が、上記したような電子求引基であることにより、一般式(3)で表される化合物をより高い収率で製造することが可能になる。
一般式(8)において、pは1であることがより好ましい。
【0043】
Yは、ハロゲン原子、メルカプト基、置換基を有してもよいC1-6アルキルチオ基、置換基を有してもよいC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシ基、カルボキシル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルケニル基、置換基を有してもよいC6-20アリール基または置換基を有してもよい複素環式基であることが好ましい。
Yは、ハロゲン原子、置換基を有してもよいC3-8シクロアルケニル基、置換基を有してもよいC6-20アリール基または置換基を有してもよい複素環式基であることがより好ましい。
【0044】
本発明の製造方法においては、一般式(3)で表される化合物は、一般式(2A)で表される化合物を還元することにより製造できる。一般式(2A)で表される化合物は、一般式(2)で表される化合物から製造することができる。この工程を、下記の反応式により示す。
【0045】
【化23】
【0046】
上記式中、X、Y、およびnは本明細書において定義した通りである。
【0047】
一般式(3)で表される化合物は、溶媒中において、一般式(2)で表される化合物を酸およびジアゾ化剤と反応させることにより一般式(2A)で表される中間体を調製した後に、上記中間体を一般式(1)で表される有機還元剤で処理することにより製造することができる。
【0048】
溶媒としては、カルボン酸類、ニトリル類、エーテル類および水が挙げられ、これらの溶媒は混合して使用してもよい。
【0049】
カルボン酸類としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸またはトリフルオロ酢酸などが挙げられる。
ニトリル類としては、アセトニトリルまたはプロピオニトリルなどが挙げられる。
エーテル類としては、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルまたはジエチレングリコールジエチルエーテルなどが挙げられる。
【0050】
溶媒としては、カルボン酸類(例えば、酢酸)および水を含む混合物がより好ましく、酢酸および水を含む混合溶媒がさらに好ましく、酢酸および水の混合溶媒が特に好ましい。酢酸および水を含む混合溶媒(又は酢酸および水の混合溶媒)における酢酸と水の体積比率は特に限定されないが、5:1〜1:1が好ましく、4:1〜1:1がより好ましく、3:1〜1:1がさらに好ましい。
【0051】
溶媒の使用量は、特に限定されないが、一般式(2)で表される化合物に対して、1〜10倍量(v/w)であればよく、1〜5倍量(v/w)が好ましく、1〜3倍量がより好ましい。v/wは、体積/質量を示す。
【0052】
ジアゾ化剤としては、亜硝酸または亜硝酸塩(例えば、亜硝酸ナトリウム)がより好ましい。
ジアゾ化剤の使用量は、一般式(2)で表される化合物に対して、1〜2倍モルであればよく、1〜1.5倍モルが好ましく、1〜1.2倍モルがより好ましい。
【0053】
アニリン化合物から調製したジアゾニウム塩は、アニリン化合物に酸性条件下、亜硝酸塩を作用させて得られるジアゾニウム塩であることが好ましい。
【0054】
ジアゾニウム塩を製造する際に使用する酸としては、塩酸または硫酸などを使用することができる。
酸の使用量は、一般式(2)で表される化合物に対して、1〜5倍モルであればよく、2〜5倍モルが好ましく、2〜4倍モルがより好ましい。
【0055】
本発明においては、有機還元剤として一般式(1)で表される化合物を使用する。
【化24】
【0056】
一般式(1)において、R1、R2およびR3は本明細書に定義した通りである。
一般式(1)において、Z1〜Z3の好ましい範囲は前記と同じである。
一般式(1)で表される化合物としては、一般式(10)
【化25】
(式中、R1は、水素原子、または、アルカリ金属である。)
で表される化合物が好ましく、一般式(11)
【化26】
で表される化合物がさらに好ましい。
【0057】
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸エステル類などが挙げられ、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウムが好ましい。
【0058】
本発明においては、安全であり、かつ十分な反応性を有する有機還元剤として一般式(1)で表される化合物を使用できることを見出したものである。有機還元剤として一般式(1)で表される化合物を使用することにより、良好な収率を達成することができる。なお、特許文献1に記載されているインダゾール化合物の合成方法における収率は64%であり十分なものではなく、また特許文献2に記載されているインダゾール化合物の合成方法の収率も十分に高いとは言えない。
【0059】
一般式(1)で表される化合物の使用量は、一般式(2)で表される化合物に対して、1〜5倍モルであれば良く、1〜2.5倍モルが好ましく、1.1〜1.3倍モルがより好ましい。
【0060】
一般式(2A)で表される中間体を調製する工程において、反応温度は、−50℃〜20℃であればよく、−35℃〜10℃が好ましく、−15℃〜5℃がより好ましい。
【0061】
一般式(2A)で表される中間体を調製する工程において、反応時間は、10分間〜4時間であればよく、10分間〜2時間が好ましく、30分間〜1時間がより好ましい。
【0062】
なお、一般式(2A)で表される中間体を調製した後に、反応混合液に尿素を添加して過剰のジアゾ化剤(亜硝酸または亜硝酸塩など)を除去してから、上記中間体を一般式(1)で表される有機還元剤で処理してもよい。
【0063】
一般式(2A)で表される中間体を還元して一般式(3)で表される化合物を得る工程において、反応温度は0℃〜80℃であればよく、40℃〜80℃が好ましく、60℃〜80℃がより好ましい。
【0064】
一般式(2A)で表される中間体を還元して一般式(3)で表される化合物を得る工程において、反応時間は、10分間〜8時間であればよく、10分間〜4時間が好ましく、30分間〜2時間がより好ましい。
【0065】
上記の製造方法により得られる一般式(3)で表される化合物は、抽出、晶出、蒸留またはカラムクロマトグラフィーなどの通常の方法によって、単離精製することができる。また、上記の製造法によって得られる一般式(3)で表される化合物は、単離せずにそのまま次の反応に使用してもよい。
【0066】
上記の製造方法で使用される化合物において、異性体(たとえば、光学異性体、幾何異性体および互変異性体など)が存在する場合、これらの異性体も使用することができる。また、溶媒和物、水和物および種々の形状の結晶が存在する場合、これらの溶媒和物、水和物および種々の形状の結晶も使用することができる。また、上記の製造方法で使用される化合物において、保護し得る置換基(たとえば、アミノ基、ヒドロキシル基またはカルボキシル基など)を有している化合物は、予めこれらの基を通常の保護基で保護しておき、反応後、自体公知の方法でこれらの保護基を脱離することもできる。保護基に関しては、Greene's Protective Groups in Organic Synthesis 5th Editionを参照することができる。
【0067】
上記した製造法で得られる化合物またはそれらの塩は、たとえば、縮合、付加、酸化、還元、転位、置換、ハロゲン化、脱水または加水分解などの自体公知の反応に付すことによって、またはそれらの反応を適宜組み合わせることによって、他の化合物またはその塩に誘導することができる。
【0068】
さらに、本発明によれば、新規なインダゾール化合物が提供される。
第一の態様によれば、本発明のインダゾール化合物は、下記一般式(12)
【化27】
(式中、
2は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、カルボキシル基、スルホ基、置換基を有してもよいC16アルキルカルボニル基、置換基を有してもよいC6-20アリールカルボニル基、置換基を有してもよいC1-6アルキルスルホニル基、置換基を有してもよいC6-20アリールスルホニル基、置換基を有してもよいC1-6アルキルスルフィニル基、置換基を有してもよいC6-20アリールスルフィニル基であり、
Yは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基、置換基を有してもよいC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC6-20アリールC1-6アルキル基基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシ基、置換基を有してもよいC6-20アリールオキシ基、置換基を有してもよいC1-6アルキルアミノ基、置換基を有してもよいC6-20アリールアミノ基、置換基を有してもよいC1-6アルキルチオ基、置換基を有してもよいC6-20アリールチオ基、置換基を有してもよいC2-6アルケニル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルケニル基、置換基を有してもよいC2-6アルキニル基、置換基を有してもよいC6-20アリール基または置換基を有してもよい複素環式基であり、 nは0〜4の整数であり、nが2以上の場合、複数存在するYは、それぞれ同一でも異なっていてもよく、
ただし、W2がホルミル基のとき、nは1〜4の整数である。)
で表されるインダゾール化合物またはその塩である。
Y及びnの好ましい範囲は前記と同じである。
2は、好ましくは、シアノ基である。
【0069】
2は、好ましくは、シアノ基である。
Yは、好ましくは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、カルボキシル基、メルカプト基、置換基を有してもよいC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシ基、置換基を有してもよいC1-6アルキルチオ基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルケニル基、置換基を有してもよいC6-20アリール基または置換基を有してもよい複素環式基である。 Yは、より好ましくは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換基を有してもよいC3-8シクロアルケニル基、置換基を有してもよいC6-20アリール基または置換基を有してもよい複素環式基である。
Yは、さらに好ましくは、それぞれ独立に、ハロゲン原子であり、臭素原子が最も好ましい。
nは好ましくは、1である。
【0070】
一般式(12)で表されるインダゾール化合物の一例としては、一般式(13)
【化28】
(式中、W2は、シアノ基であり、Yは、臭素原子である。)
で表される化合物を挙げることができる。
【0071】
第二の態様によれば、本発明のインダゾール化合物は、下記一般式(14)
【化29】
(式中、
3は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ホルミル基、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシル基、置換基を有してもよいC16アルキルカルボニル基、置換基を有してもよいC6-20アリールカルボニル基、置換基を有してもよいC1-6アルキルスルホニル基、置換基を有してもよいC6-20アリールスルホニル基、置換基を有してもよいC1-6アルキルスルフィニル基、置換基を有してもよいC6-20アリールスルフィニル基、置換基を有してもよいC1-6アルキルアミノ基、置換基を有してもよいC6-20アリールアミノ基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシ基、置換基を有してもよいC6-20アリールオキシ基、置換基を有してもよいC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC6-20アリールC1-6アルキル基基、置換基を有してもよいC2-6アルケニル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルケニル基、置換基を有してもよいC2-6アルキニル基、置換基を有してもよいC6-20アリール基または置換基を有してもよい複素環式基であり、
1は、ハロゲン原子、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基、置換基を有してもよいC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC6-20アリールC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシ基、置換基を有してもよいC6-20アリールオキシ基、置換基を有してもよいC1-6アルキルアミノ基、置換基を有してもよいC6-20アリールアミノ基、置換基を有してもよいC1-6アルキルチオ基、置換基を有してもよいC6-20アリールチオ基、置換基を有してもよいC2-6アルケニル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルケニル基、置換基を有してもよいC2-6アルキニル基、置換基を有してもよいC6-20アリール基または置換基を有してもよい複素環式基であり、 pは0〜4の整数であり、pが2以上の場合、複数存在するW3は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
で表されるインダゾール化合物またはその塩である。
1は、好ましくは、ハロゲン原子、カルボキシル基、メルカプト基、置換基を有してもよいC1-6アルキル基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシ基、置換基を有してもよいC1-6アルキルチオ基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルケニル基、置換基を有してもよいC6-20アリール基または置換基を有してもよい複素環式基である。
1は、より好ましくは、ハロゲン原子、置換基を有してもよいC3-8シクロアルケニル基、置換基を有してもよいC6-20アリール基または置換基を有してもよい複素環式基である。
1は、さらに好ましくは、ハロゲン原子であり、臭素原子が最も好ましい。
3は、好ましくは、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、カルボキシル基、スルホ基、置換基を有してもよいC16アルキルカルボニル基、置換基を有してもよいC6-20アリールカルボニル基、置換基を有してもよいC1-6アルキルスルホニル基、置換基を有してもよいC6-20アリールスルホニル基、置換基を有してもよいC1-6アルキルスルフィニル基、置換基を有してもよいC6-20アリールスルフィニル基であり、シアノ基、水素原子がさらに好ましく、水素原子が最も好ましい。
pは好ましくは、0である。
【0072】
一般式(14)で表されるインダゾール化合物の一例としては、一般式(15)
【化30】
(式中、Y1は、臭素原子である。)
で表される化合物を挙げることができる。
【0073】
インダゾール化合物の塩としては、通常知られているアミノ基などの塩基性基、ヒドロキシル基およびカルボキシル基などの酸性基における塩を挙げることができる。
なお、本明細書において単にインダゾール化合物という場合、インダゾール化合物の塩も包含される。
【0074】
塩基性基における塩としては、たとえば、塩酸、臭化水素酸、硝酸および硫酸などの鉱酸との塩;ギ酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、アスパラギン酸、トリクロロ酢酸およびトリフルオロ酢酸などの有機カルボン酸との塩;ならびにメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、メシチレンスルホン酸およびナフタレンスルホン酸などのスルホン酸との塩が挙げられる。
【0075】
酸性基における塩としては、たとえば、ナトリウムおよびカリウムなどのアルカリ金属との塩;カルシウムおよびマグネシウムなどのアルカリ土類金属との塩;アンモニウム塩;ならびにトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N−ベンジル−β−フェネチルアミン、1−エフェナミンおよびN,N'−ジベンジルエチレンジアミンなどの含窒素有機塩基との塩などが挙げられる。
【0076】
インダゾール化合物またはその塩において、異性体(たとえば、光学異性体および幾何異性体など)が存在する場合、本発明は、それらの異性体を包含し、また、溶媒和物、水和物および種々の形状の結晶を包含する。
【実施例】
【0077】
以下、本発明を実施例、比較例および参考例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
中圧分取カラムクロマトグラフィーは、Smart FLASH EPCLC−W−Prep 2XY(山善株式会社)を使用した。
溶離液における混合比は、容量比である。たとえば、「酢酸エチル/ヘキサン= 1:1→酢酸エチル/ヘキサン4:1」は、50質量%酢酸エチル/50質量%ヘキサンの溶離液を最終的に80質量%酢酸エチル/20質量%ヘキサンの溶離液へ変化させたことを意味する。
1H−NMRスペクトルは、内部基準としてテトラメチルシランを用い、Bruker AV400N(Bruker社)を用いて測定し、全δ値をppmで示した。
高速液体クロマトグラフ質量分析は、AQUITY UPLC H−ClassSystem(Waters社)を用いて測定した。以下、UPLC−MSと略す。
【0078】
参考例1:(E)−4(3−(2−アミノ−5−ブロモフェニル)−3−オキソプロペ−1−エン−1−イル)ベンゾニトリルの合成法
【0079】
【化31】
【0080】
1−(2−アミノ−5−ブロモフェニル)エタノ−1−オン333g、水酸化ナトリウム12.4g、エタノール1330mLおよび水300mLを混合して40℃に昇温した後、4−ホルミルベンゾニトリル204gを20分かけて5分割して添加した。30分撹拌した後、水1Lに反応液を添加して、室温に冷却した。1時間撹拌後、150mmヌッチェを用いて、結晶を吸引ろ過した。結晶を水3.7Lでかけ洗いした後、60℃の送風乾燥機にて、17時間乾燥後、(E)−4(3−(2−アミノ−5−ブロモフェニル)−3−オキソプロペ−1−エン−1−イル)ベンゾニトリルを得た。
1H-NMR(CDCl3)δ値:6.41(2H,broad-s),6.63(1H,d,J=8.8Hz),7.38(1H,dd,J=2.0Hz,8.8Hz),7.59(1H,d,J=15.6Hz),7.71(1H,d,15.6Hz),7.72(4H,s),7.90(1H,d,2.0Hz) ppm.
【0081】
参考例2:(E)−1−(2−アミノ−5−ブロモフェニル)−3−(ピリジン−2−イル)プロペ−2−エン−1−オンの合成法
【化32】
【0082】
1−(2−アミノ−5−ブロモフェニル)エタノ−1−オン2.0g、水酸化ナトリウム0.07g、エタノール8mLおよび水2mLを混合して40℃に昇温した後、ピリジン−2−カルボキシアルデヒド0.89mLを添加した。30分撹拌した後、水20mLを添加して、室温に冷却した。1時間撹拌後、55mmヌッチェを用いて、懸濁液を吸引ろ過した。得られた固体を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/ヘキサン=1:1→酢酸エチル/ヘキサン4:1)で精製し、(E)−1−(2−アミノ−5−ブロモフェニル)−3−(ピリジン−2−イル)プロペ−2−エン−1−オン2.0gを得た(収率71%)。
1H-NMR(CDCl3)δ値:6.43(2H,broad-s),6.61(1H,d,J=8.8Hz),7.31(1H,ddd,J=1.2Hz,4.8Hz,7.6Hz),7.36(1H,dd,2.4Hz,8.8Hz),7.48(1H,d,J=7.6Hz),7.72(1H,d,J=15.0Hz),7.75(1H,ddd,2.0Hz,7.6Hz,7.6Hz),8.07(1H,d,J=2.4Hz),8.11(1H,d,J=15.0Hz),8.71(1H,broad-d,J=4.8Hz) ppm.
【0083】
実施例1
【化33】
【0084】
参考例1で得られた(E)−4(3−(2−アミノ−5−ブロモフェニル)−3−オキソプロペ−1−エン−1−イル)ベンゾニトリル100gを、酢酸1Lおよび3mol/L塩酸水溶液400mLの混合液に懸濁させた。得られた混合物に、内温を5℃以下に保ちながら、亜硝酸ナトリウム22.1gおよび水40mLから調製した亜硝酸ナトリウム水溶液62.1gを滴下した。30分の撹拌後、生じた薄黄色懸濁液に対して、尿素0.92gを添加した。さらに15分撹拌した後、L−アスコルビン酸59.2gを添加した。L−アスコルビン酸の添加後、2時間かけて内温を70〜80℃の範囲まで昇温し、さらに1時間撹拌した。40℃に冷却後、水500mLおよび水酸化ナトリウム48.9gから調製した水酸化ナトリウム水溶液を20分かけて滴下した。生じた懸濁液を水1.5Lに添加し、20℃で30分撹拌後、直径150 mmヌッチェを用いて、結晶を吸引ろ過した。結晶を水1Lでかけ洗いした後、60℃の送風乾燥機にて、17時間乾燥後、(E)−4−(2−(5−ブロモ−1H−インダゾール−3−イル)ビニル)ベンゾニトリル89gを淡黄色結晶として得た(収率90%)。
1H-NMR(DMSO-d6)δ値:
7.51(1H,dd,J=1.2Hz,8.4Hz), 7.53(1H,d,J=8.4Hz), 7.54(1H,d,J=16.8Hz), 7.80(2H,d,J=8.4Hz),7.90(2H,d,J=8.4Hz),8.43(1H,d,J=1.2Hz),13.54(1H,s) ppm.
【0085】
実施例2(アスコルビン酸ナトリウム)
参考例1で得られた(E)−4(3−(2−アミノ−5−ブロモフェニル)−3−オキソプロペ−1−エン−1−イル)ベンゾニトリル1.0gを、酢酸10mLおよび3mol/L塩酸水溶液4mLの混合液に懸濁させた。得られた混合物に、内温を5℃以下に保ちながら、亜硝酸ナトリウム0.22gおよび水0.4mLから調製した亜硝酸ナトリウム水溶液を滴下した。30分の撹拌後、生じた薄黄色懸濁液に対して、L−アスコルビン酸ナトリウム0.76gを添加した。L−アスコルビン酸ナトリウムの添加後、1時間かけて内温を70〜80℃の範囲まで昇温し、さらに30分撹拌した。40℃に冷却後、水5mLおよび水酸化ナトリウム0.49gから調製した水酸化ナトリウム水溶液を添加した。生じた懸濁液を20℃で30分撹拌後、直径55 mmヌッチェを用いて、結晶を吸引ろ過した。結晶を水15mLでかけ洗いした後、60℃の送風乾燥機にて、17時間乾燥後、(E)−4−(2−(5−ブロモ−1H−インダゾール−3−イル)ビニル)ベンゾニトリル0.82gを淡黄色結晶として得た(収率83%)。
【0086】
実施例3(イソアスコルビン酸)
実施例2において、L−アスコルビン酸ナトリウムの代わりにイソアスコルビン酸0.67gを使用したこと以外は、実施例2と同様に反応を行った。その結果、(E)−4−(2−(5−ブロモ−1H−インダゾール−3−イル)ビニル)ベンゾニトリルが0.79g得られた(収率80%)。
【0087】
実施例4(アスコルビン酸エステル)
実施例2において、L−アスコルビン酸ナトリウムの代わりに6−O−パルミトイル−L−アスコルビン酸1.58gを使用したこと以外は、実施例2と同様に反応を行った。その結果、(E)−4−(2−(5−ブロモ−1H−インダゾール−3−イル)ビニル)ベンゾニトリルが0.82g得られた(収率83%)。
【0088】
実施例5
【化34】
【0089】
参考例2で得られた(E)−1−(2−アミノ−5−ブロモフェニル)−3−(ピリジン−2−イル)プロペ−2−エン−1−オン0.93gを酢酸10mLおよび3mol/L塩酸水溶液4mLの混合液に懸濁させた。得られた混合物に、内温を5℃以下に保ちながら、亜硝酸ナトリウム0.22gおよび水0.4mLから調製した亜硝酸ナトリウム水溶液を滴下した。30分の撹拌後、生じた暗茶色溶液に対して、L−アスコルビン酸ナトリウム0.67gを添加した。L−アスコルビン酸の添加後、1時間かけて内温を70〜80℃の範囲まで昇温し、さらに30分撹拌した。40℃に冷却後、水20mLおよび水酸化ナトリウム0.49gから調製した水酸化ナトリウム水溶液を添加した。さらに反応液を20℃で30分撹拌後、酢酸エチル20mLを加えて下層(水層)を分離後、上層(有機層)を減圧濃縮し、粗生成物を得た。この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/ヘキサン=2:1→酢酸エチル/ヘキサン4:1)で精製し、(E)−5−ブロモ−3−(2−(ピリジン−2−イル)ビニル)−1H−インダゾール 0.52gを橙色結晶として得た(収率56%)。
1H-NMR(DMSO-d6)δ値:
7.28(1H,ddd,J=1.2Hz,4.8Hz,7.6Hz), 7.53(1H,dd,J=1.6Hz,8.8Hz),7.57(1H,d,J=8.8Hz), 7.59(1H,d,J=16.4Hz),7.72(1H,d,J=7.6Hz),7.82(1H,ddd,J=2.0Hz,7.6Hz,7.6Hz),7.95(1H,d,J=16.4Hz),8.45(1H,broad-s),8.61(1H,broad-d,J=4.8Hz),13.48(1H,s)ppm.
【0090】
比較例1(tert−ブチルハイドロキノン)
実施例2において、L−アスコルビン酸ナトリウムの代わりにtert−ブチルハイドロキノン0.64gを使用したこと以外は、実施例2と同様の反応を行った。その結果、(E)−4−(2−(5−ブロモ−1H−インダゾール−3−イル)ビニル)ベンゾニトリルは得られなかった。
【0091】
比較例2(アスコルビン酸ジエステル)
実施例2において、L−アスコルビン酸ナトリウムの代わりに2,6−ジ−O−パルミトイル−L−アスコルビン酸2.50 gを使用したこと以外は、実施例2と同様に反応を行った。その結果、(E)−4−(2−(5−ブロモ−1H−インダゾール−3−イル)ビニル)ベンゾニトリルは得られなかった。
【0092】
比較例3(アスコルビン酸ジエステル)
実施例2において、L−アスコルビン酸ナトリウムの代わりに二塩化スズ・一水和物を使用したこと以外は、実施例2と同様に反応を行った。その結果、(E)−4−(2−(5−ブロモ−1H−インダゾール−3−イル)ビニル)ベンゾニトリルが得られた(収率58%)。
【0093】
比較例4(アスコルビン酸ジエステル)
実施例5において、L−アスコルビン酸の代わりに二塩化スズ・一水和物を使用したこと以外は、実施例5と同様に反応を行った。その結果、(E)−5−ブロモ−3−(2−(ピリジン−2−イル)ビニル)−1H−インダゾールが得られた(収率15%)。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明のインダゾール化合物の製造方法により製造されるインダゾール化合物は、医薬、農薬または機能性材料の合成中間体として有用である。