(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6803725
(24)【登録日】2020年12月3日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/822 20060101AFI20201214BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20201214BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
H01L27/04 H
H01L27/04 P
H01L29/06 301F
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-216441(P2016-216441)
(22)【出願日】2016年11月4日
(65)【公開番号】特開2018-74114(P2018-74114A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年9月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】森 徹
【審査官】
市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−153636(JP,A)
【文献】
特開平02−126668(JP,A)
【文献】
特開2001−024191(JP,A)
【文献】
特開2010−147181(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/822
H01L 27/04
H01L 29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の表層部に形成された第1の導電型を有する第1の半導体層と、
前記半導体基板の表層部において前記第1の半導体層から離間して設けられ且つ前記第1の導電型とは反対の第2の導電型を有する第2の半導体層と、
一端が前記第1の半導体層に電気的に接続されると共に他端が前記第2の半導体層に電気的に接続された抵抗体と、
前記抵抗体のパターンに対応するパターンを有する配線と、
を含み、
前記配線は、絶縁体層を介して前記抵抗体と重なるように設けられ且つ前記抵抗体の一端と他端との間の部位に電気的に接続され、前記配線のパターンの幅は前記抵抗体のパターンの幅より小さい
半導体装置。
【請求項2】
前記抵抗体は、前記第1の半導体層と前記第2の半導体層とを結ぶ直線を複数回に亘り横切る線状のパターンを有する
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記抵抗体は、前記半導体基板の表面に設けられた絶縁体の表面に設けられている
請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2の半導体層は、前記第1の半導体層の外周を囲む環状の形状を有し、
前記抵抗体は、前記第1の半導体層と前記第2の半導体層との間の領域に設けられ且つ前記第1の半導体層を中心とする渦巻き状のパターンを有する
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1の半導体層は、前記第1の半導体層の不純物濃度よりも低い不純物濃度の前記第1の導電型を有するウェル内に設けられ、
前記半導体基板は、前記第2の半導体層の不純物濃度よりも低い不純物濃度の前記第2の導電型を有する
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記ウェル内において前記第1の半導体層から離間して設けられると共に前記第1の半導体層の外周を囲み且つ前記第2の導電型を有する第3の半導体層を更に含む
請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
半導体基板の表層部に第1の導電型を有する第1の半導体層を形成する工程と、
前記第1の導電型とは反対の第2の導電型を有する第2の半導体層を、前記半導体基板の表層部において前記第1の半導体層から離間した位置に形成する工程と、
前記半導体基板の表面に設けられた絶縁体の表面に抵抗体を形成する工程と、
前記抵抗体の一端を前記第1の半導体層に電気的に接続する第1の配線を形成する工程と、
前記抵抗体の他端を前記第2の半導体層に電気的に接続する第2の配線を形成する工程と、
前記抵抗体の一端と他端との間の部位に電気的に接続され、前記抵抗体のパターンに対応するパターンを有し、絶縁体層を介して前記抵抗体と重なる第3の配線を形成する工程と、
を含み、
前記第3の配線のパターンの幅は前記抵抗体のパターンの幅より小さい
半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1の半導体層と前記第2の半導体層とを結ぶ直線を複数回に亘り横切る線状のパターンを有するように前記抵抗体を形成する
請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記第1の半導体層の外周を囲む環状の形状を有するように前記第2の半導体層を形成し、
前記第1の半導体層と前記第2の半導体層との間の領域において前記第1の半導体層を中心とする渦巻き状のパターンを有するように前記抵抗体を形成する
請求項7または請求項8に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高耐圧抵抗素子に関する技術として以下の技術が知られている。例えば、特許文献1には、P型の半導体基板の表面層に選択的に形成されたN型の空欠領域と、空乏領域と接して半導体基板の表面層に形成されたPウェル領域と、空乏領域の上に形成されたLOCOS酸化膜と、Pウェル領域とLOCOS酸化膜を被う層間絶縁膜と、LOCOS酸化膜上の領域において層間絶縁膜内に埋め込まれた渦巻き状の高耐圧高抵抗素子と、空乏領域および高耐圧高抵抗素子の一端に接続された第1電極と、高耐圧高抵抗素子の他端に接続された第1の抵抗接続配線と、Pウェル領域に電気的に接続された第2電極と、を備えた半導体装置が記載されている。また、特許文献1には、上記の高耐圧高抵抗素子が分圧回路に含まれる2つの抵抗素子を構成していることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−153636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1に記載の高耐圧高抵抗素子によって構成される分圧回路において、分圧回路から出力される電圧の大きさを変更するためには、高耐圧高抵抗素子自体のシート抵抗値を変更すること、または高耐圧高抵抗素子の長さを変更することを要する。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の高耐圧高抵抗素子は、それ自体が電界緩和効果を生じさせるフィールドプレートとしての機能を有しており、高耐圧高抵抗素子のシート抵抗値または長さを変更した場合には、フィールドプレートとしての電界緩和効果に変化が生じ、高耐圧高抵抗素子の耐圧が低下するおそれがある。
【0006】
また、特許文献1に記載の分圧回路において、分圧回路の出力電圧を出力する出力配線を、渦巻き状に形成された高耐圧高抵抗素子の中間点に接続し、渦巻き状パターンの内側から外側に向けて引き出した場合には、出力配線が高耐圧高抵抗素子の渦巻き状パターンと交差することとなる。しかしながら、分圧回路の出力電圧を出力する出力配線が、フィールドプレートとして機能する高耐圧高抵抗素子と交差するように配置された場合には、出力配線に生じる高電圧による強電界により、フィールドプレートとしての電界緩和効果に変化が生じ、高耐圧高抵抗素子の耐圧が低下するおそれがある。従って、特許文献1に記載の高耐圧高抵抗素子の構成では、分圧回路の分圧比を変更して出力電圧の大きさを変更することが困難であるといえる。
【0007】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、耐圧低下を抑制しつつ抵抗分圧回路における分圧比の変更を容易に行うことができる抵抗体を備えた半導体装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る半導体装置は、半導体基板の表層部に形成された第1の導電型を有する第1の半導体層と、前記半導体基板の表層部において前記第1の半導体層から離間して設けられ且つ前記第1の導電型とは反対の第2の導電型を有する第2の半導体層と、一端が前記第1の半導体層に電気的に接続されると共に他端が前記第2の半導体層に電気的に接続された抵抗体と、前記抵抗体のパターンに対応するパターンを有し、絶縁体層を介して前記抵抗体と重なるように設けられ且つ前記抵抗体の一端と他端との間の部位に電気的に接続された配線と、を含む。
【0009】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板の表層部に第1の導電型を有する第1の半導体層を形成する工程と、前記第1の導電型とは反対の第2の導電型を有する第2の半導体層を、前記半導体基板の表層部において前記第1の半導体層から離間した位置に形成する工程と、前記半導体基板の表面に設けられた絶縁体の表面に抵抗体を形成する工程と、前記抵抗体の一端を前記第1の半導体層に電気的に接続する第1の配線を形成する工程と、前記抵抗体の他端を前記第2の半導体層に電気的に接続する第2の配線を形成する工程と、前記抵抗体の一端と他端との間の部位に電気的に接続され、前記抵抗体のパターンに対応するパターンを有し、絶縁体層を介して前記抵抗体と重なる第3の配線を形成する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、耐圧低下を抑制しつつ抵抗分圧回路における分圧比の変更を容易に行うことができる抵抗体を備えた半導体装置およびその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係る半導体装置の構成を示す平面透視図である。
【
図2A】
図1における2A−2A線に沿った断面図である。
【
図2B】
図1における2B−2B線に沿った断面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る半導体装置の等価回路図である。
【
図4A】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図4B】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図4C】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図4D】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図4E】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図4F】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図4G】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図4H】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図4I】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。尚、各図面において、実質的に同一又は等価な構成要素又は部分には同一の参照符号を付している。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る半導体装置1の構成を示す平面透視図である。
図2Aは、
図1における2A−2A線に沿った断面図である。
図2Bは、
図1における2B−2B線に沿った断面図である。
【0014】
半導体装置1は、例えばP型のシリコンで構成される半導体基板10と、半導体基板10の表層部に設けられたN型のNウェル11と、Nウェル11内に設けられたN型半導体層13と、Nウェル11の外側に設けられたP型半導体層14とを有する。N型半導体層13の不純物濃度は、Nウェル11の不純物濃度よりも高く、P型半導体層14の不純物濃度は、半導体基板10の不純物濃度よりも高くなっている。なお、半導体基板10は、本発明における半導体基板の一例である。N型半導体層13は、本発明における第1の半導体層の一例である。P型半導体層14は、本発明における第2の半導体層の一例である。
【0015】
N型半導体層13とP型半導体層14とは、半導体基板10の表層部において互いに離間して設けられている。本実施形態において、N型半導体層13は円形の形状を有し、P型半導体層14はN型半導体層13の外周を囲む円環状の形状を有している。半導体基板10の表面には、N型半導体層13とP型半導体層14との間の領域にSiO
2等の絶縁体で構成される絶縁分離膜20が設けられている。絶縁分離膜20は円環状の形状を有している。
【0016】
P型半導体層14の外側にもSiO
2等の絶縁体で構成される絶縁分離膜21が設けられている。Nウェル11内において絶縁分離膜20の下方には、N型半導体層13の外周を囲むようにP型半導体層12が設けられている。P型半導体層12の不純物濃度は、P型半導体層14の不純物濃度よりも低くなっている。P型半導体層12の電位はフローティングとなっている。なお、P型半導体層12は、本発明における第3の半導体層の一例である。
【0017】
絶縁分離膜20の表面には、ポリシリコンで構成される抵抗体30が設けられている。
図1に示すように、抵抗体30はN型半導体層13を中心とする渦巻き状のパターンを有している。抵抗体30の一端は、N型半導体層13の近傍に配置され、抵抗体30の他端は、P型半導体層14の近傍に配置されている。
【0018】
半導体基板10の表面には、抵抗体30を覆うように、SiO
2等の絶縁体で構成される絶縁体層40が設けられている。絶縁体層40の表面には、例えばAl等の導電体で構成される配線51、52および53が設けられている。なお、絶縁体層40は、本発明における絶縁体層の一例である。配線51は、本発明における第1の配線の一例である。配線52は、本発明における第2の配線の一例である。配線53は、本発明における配線および第3の配線の一例である。
【0019】
配線51は、円形の形状を有し、N型半導体層13および抵抗体30の内周部の上方に配置されている。配線51は、コンタクト41を介してN型半導体層13に電気的に接続されると共にコンタクト43を介して抵抗体30の内側の端部に接続されている。すなわち、抵抗体30の内側の端部は、N型半導体層13に電気的に接続されている。
【0020】
配線52は、P型半導体層14の円環状パターンに沿うようにP型半導体層14の上方に配置された円環状をなす第1の部分52aと、第1の部分52aから分岐した第2の部分52bと、を有する。配線52は、P型半導体層14の円環状パターンに沿って配置された複数のコンタクト42を介して第1の部分52aがP型半導体層14に電気的に接続されるとともに、コンタクト44を介して第2の部分52bが抵抗体30の外側の端部に電気的に接続されている。すなわち、抵抗体30の外側の端部は、P型半導体層14に電気的に接続されている。
【0021】
配線53は、抵抗体30の渦巻き状パターンに沿うように抵抗体30の上方を覆っている。すなわち、配線53は、抵抗体30と同様の渦巻き状のパターンを有し、絶縁体層40を介して抵抗体30と重なるように設けられている。配線53の一端は、コンタクト45を介して抵抗体30の内側の端部と外側の端部との間の中間点に電気的に接続されている。配線53は、一端がコンタクト45を介して抵抗体30に接続され、抵抗体30の渦巻き状パターンに沿った経路を辿って抵抗体30の外側の端部の近傍に至り、配線52の切れ目からP型半導体層14の外側に引き出されている。配線53の線幅は、抵抗体30の線幅よりも小さいことが好ましく、抵抗体30のパターンからはみ出さないように抵抗体30のパターンをトレースするように配置されていることが好ましい。
【0022】
図3は、半導体装置1の等価回路図である。半導体装置1は、抵抗体30によって構成される抵抗素子R1およびR2を含む抵抗分圧回路100を構成している。半導体装置1は、配線51を介して抵抗体30の一端に入力電圧VINを印加すると共に、配線52を介して抵抗体30の他端に接地電位を印加することで、分圧回路として機能する。なお、入力電圧VINは、半導体装置1と共に半導体基板10上に設けられた他の半導体装置(図示せず)から供給されてもよい。抵抗体30のコンタクト43が接続された端部から、抵抗体30のコンタクト45が接続された部分までが抵抗素子R1に相当し、抵抗体30のコンタクト45が接続された部分から抵抗体30のコンタクト44が接続された端部までが抵抗素子R2に相当する。抵抗体30に印加された入力電圧VINは、抵抗素子R1と抵抗素子R2の抵抗比に応じた分圧比で分圧され、抵抗素子R1と抵抗素子R2との接続点に相当する抵抗体30の中間点に接続された配線53から分圧によって得られた出力電圧VOUTが出力される。
【0023】
半導体装置1においては、抵抗体30の内側の端部に電気的に接続されたN型半導体層13を介してNウェル11に入力電圧VINが印加され、抵抗体30の外側の端部に電気的に接続されたP型半導体層14を介して半導体基板10に接地電位が印加される。これにより、半導体基板10とNウェル11とによって形成されるPN接合が逆バイアスされ、抵抗体30の耐圧が確保される。本実施形態において、N型半導体層13の外周にフローティングのP型半導体層12が設けられており、これにより抵抗体30の耐圧性能の向上およびESD(ElectroStatic Discharge)に対する耐性の向上が図られている。
【0024】
以下に半導体装置1の製造方法について説明する、
図4A〜
図4Iは、半導体装置1の製造方法の一例を示す断面図である。はじめに、P型のシリコンで構成される半導体基板10を用意する(
図4A)。
【0025】
次に、公知のイオン注入法を用いて半導体基板10の表面にP(リン)またはAs(ヒ素)等のN型の不純物を注入することにより半導体基板10の表層部にNウェル11を形成する(
図4B)。本実施形態において、Nウェル11は円形に形成される。
【0026】
次に、公知のLOCOS(Local Oxidation of Silicon)法を用いて、半導体基板10の所定領域に絶縁分離膜20および21を形成する(
図4C)。すなわち、絶縁分離膜20および21は、SiO
2からなるパッド酸化膜とシリコン窒化膜とによる積層膜をマスクとして半導体基板10の表面を部分的に熱酸化することにより形成される。絶縁分離膜20は、Nウェル11の中央部を露出させるようにNウェル11の外縁に沿って円環状に形成される。絶縁分離膜21は、絶縁分離膜20との間に間隙を挟んでNウェル11の外周を囲むように形成される。
【0027】
続いて、公知のイオン注入法を用いて半導体基板10の表面にB(ボロン)等のP型の不純物を注入することにより絶縁分離膜20の下方に比較的低濃度のP型半導体層12を形成する(
図4C)。P型半導体層12は、絶縁分離膜20のパターンに沿って円環状に形成される。
【0028】
次に、公知のCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて絶縁分離膜20および21の表面を覆うように半導体基板10の表面にポリシリコン膜を形成する。その後、公知のフォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いてポリシリコン膜をパターニングすることにより絶縁分離膜20の表面に抵抗体30を形成する(
図4D)。抵抗体30は、絶縁分離膜20の円環状パターンの中央部において露出するNウェル11を中心とする渦巻き状のパターンを有するように形成される。
【0029】
次に、公知のイオン注入法を用いて、円環状をなす絶縁分離膜20の中央部において露出しているNウェル11の表面に、P(リン)またはAs(ヒ素)等のN型の不純物を注入することにより当該部位に、Nウェル11の不純物濃度よりも高濃度のN型半導体層13を形成する(
図4E)。
【0030】
次に、公知のイオン注入法を用いて、絶縁分離膜20と絶縁分離膜21との間の領域において露出している半導体基板10の表面に、B(ボロン)等のP型の不純物を注入することにより当該部位に、半導体基板10およびP型半導体層12の不純物濃度よりも高濃度のP型半導体層14を形成する(
図4F)。
【0031】
次に、公知のCVD法を用いて抵抗体30を覆うように半導体基板10の表面にSiO
2等の絶縁体で構成される絶縁体層40を形成する(
図4G)。
【0032】
次に、公知のフォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いて絶縁体層40の所定位置に複数のコンタクトホールを形成し、これらのコンタクトホールの各々にタングステン等の導電体を埋め込むことによりコンタクト41〜45を形成する(
図4H)。コンタクト41は、N型半導体層13に接続される。複数のコンタクト42は、P型半導体層14の円環状パターンに沿って配置され、P型半導体層14の複数の部位に接続される(
図1、
図2B参照)。コンタクト43は、抵抗体30の内側の端部に接続される。コンタクト44は、抵抗体30の外側の端部に接続される(
図1、
図2B参照)。コンタクト45は、抵抗体30の内側の端部と外側の端部の間の部位に接続される。
【0033】
次に、公知の蒸着法またはスパッタ法を用いて、絶縁体層40の表面にAl等の導電膜を形成する。続いて、公知のフォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いてこの導電膜をパターニングすることで、配線51〜53を形成する(
図4I)。
【0034】
配線51は、円形の形状を有し、N型半導体層13および抵抗体30の内周部の上方に配置され、コンタクト41を介してN型半導体層13に電気的に接続されると共にコンタクト43を介して抵抗体30の内側の端部に接続される。すなわち、抵抗体30の内側の端部とN型半導体層13とが配線51によって電気的に接続される。
【0035】
配線52は、P型半導体層14の円環状パターンに沿うようにP型半導体層14の上方を覆う円環状をなす第1の部分52aと、第1の部分52aから分岐した第2の部分52bと、を有するようにパターニングされる(
図1参照)。配線52は、複数のコンタクト42を介してP型半導体層14に接続されるとともに、コンタクト44を介して抵抗体30の外側の端部に接続される。すなわち、抵抗体30の外側の端部とP型半導体層14とが配線52によって電気的に接続される。
【0036】
配線53は、抵抗体30の渦巻き状パターンに沿うように抵抗体30の上方に形成される。すなわち、配線53は、抵抗体30と同様の渦巻き状のパターンを有し、抵抗体30と重なるように形成される。配線53の一端は、コンタクト45を介して抵抗体30の内側の端部と外側の端部との間の部位に電気的に接続される。配線53は、抵抗体30に接続された端部から、抵抗体30の渦巻き状パターンに沿った経路を辿って抵抗体30の外側の端部の近傍に至り、配線52の切れ目からP型半導体層14よりも外側に引き出される。配線53の線幅は、抵抗体30の線幅よりも小さいことが好ましく、抵抗体30のパターンからはみ出さないように抵抗体30のパターンをトレースするように配置されていることが好ましい。
【0037】
本実施形態に係る半導体装置1によれば、渦巻き状のパターンを有する抵抗体30の中間点に接続された配線53が、抵抗体30のパターンと同様の渦巻き状のパターンを有し、抵抗体30と重なるように配置されている。これにより、配線53に生ずる高電圧による強電界が、配線53の下方に延在する抵抗体30によってシールドされる。これにより、配線53に生ずる高電圧による強電界に起因する抵抗体30の耐圧の低下を抑制することが可能となる。
【0038】
更に、配線53は、抵抗体30の渦巻き状パターンに沿うように抵抗体30の上方に配置されているので、配線53と抵抗体30とを接続するコンタクト45の位置を変更するのみで耐圧低下を生じることなく抵抗体30を含んで構成される抵抗分圧回路100の分圧比を変更することができるので、抵抗分圧回路100の出力電圧VOUTを容易に変更することができる。
【0039】
なお、本実施形態において例示したNウェル11、P型半導体層12、N型半導体層13、P型半導体層14のレイアウト並びに抵抗体30および配線53のパターンは適宜変更することが可能である。例えば、N型半導体層13とP型半導体層14とが、一方向においてのみ対向するレイアウトとしてもよい。また、本実施形態では、抵抗体30および配線53が渦巻き状のパターンを有する場合を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、抵抗体30および配線53のパターンは、N型半導体層12とP型半導体層13との間を蛇行する蛇行パターンであってもよい。抵抗体30が、渦巻き状パターンおよび蛇行パターンのような、N型半導体層13とP型半導体層14とを結ぶ直線を複数回に亘り横切るパターンを有することで、小さいスペースでも抵抗体30において所望の抵抗値を得ることができる。
【符号の説明】
【0040】
1 半導体装置
10 半導体基板
11 Nウェル
12 P型半導体
13 N型半導体
14 P型半導体
20、21 絶縁分離膜
30 抵抗体
40 絶縁体層
41、42、43、44、45 コンタクト
51、52、53 配線
100 抵抗分圧回路