特許第6803755号(P6803755)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6803755基板処理装置、基板処理方法及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6803755
(24)【登録日】2020年12月3日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】基板処理装置、基板処理方法及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20201214BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20201214BHJP
   B05D 3/10 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   H01L21/30 562
   H01L21/304 648L
   B05D3/10 Z
【請求項の数】11
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-6845(P2017-6845)
(22)【出願日】2017年1月18日
(65)【公開番号】特開2018-117045(P2018-117045A)
(43)【公開日】2018年7月26日
【審査請求日】2019年10月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】大村 和久
(72)【発明者】
【氏名】中村 泰之
【審査官】 山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−222158(JP,A)
【文献】 特開平11−045924(JP,A)
【文献】 特開2002−359226(JP,A)
【文献】 特開2017−056378(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0023297(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2006−0004308(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
B05D 3/10
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送された前記基板に処理を行う処理部と、
前記搬送部を含む第一空間を加湿する調湿部と、
前記第一空間に気体を導入する給気口と、
前記第一空間から気体を排出する排気口と、を備え
前記調湿部は、前記給気口から前記排気口に至る気体の流路の上流側に蒸気を供給する第一加湿部を有する基板処理装置。
【請求項2】
前記搬送部は、前記基板を支持する支持部と、前記支持部を移動させる駆動部とを有し、
前記調湿部は、前記第一空間内における前記駆動部の近傍に蒸気を供給する第二加湿部を有する、請求項記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記駆動部内に開口し、前記第一空間から気体を排出する第二排気口を更に備える、請求項記載の基板処理装置。
【請求項4】
基板を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送された前記基板に処理を行う処理部と、
前記搬送部を含む第一空間を加湿する調湿部と、を備え、
前記処理部は、前記基板を受け入れる受入開口を有し、
前記調湿部は、前記第一空間内における前記受入開口の近傍に蒸気を供給する第三加湿部を有する基板処理装置。
【請求項5】
前記処理部内に開口し、前記第一空間から気体を排出する排気口を更に備える、請求項記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記搬送部の動作状態に応じて前記第一空間の加湿の強さを調節するように前記調湿部を制御するように構成された制御部を更に備える、請求項1〜のいずれか一項記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記搬送部が動作する期間の少なくとも一部にて、前記第一空間を加湿するように前記調湿部を制御し、前記搬送部が停止する期間の少なくとも一部にて、前記第一空間の加湿を弱めるように前記調湿部を制御するように構成されている、請求項6記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記駆動部により前記支持部を移動させるように前記搬送部を制御することと、移動中の前記支持部の通過に応じて、当該支持部が通過した箇所への蒸気の供給量を増やすように前記調湿部を制御することと、を実行するように構成された制御部を更に備える、請求項2記載の基板処理装置。
【請求項9】
基板を搬送するように搬送部を制御することと、
前記搬送部により搬送された前記基板に処理を行うように処理部を制御することと、
給気口を通して、前記搬送部を含む第一空間に気体を導入することと、
排気口を通して前記第一空間から気体を排出することと、
前記基板を搬送するように前記搬送部が動作する期間の少なくとも一部にて、前記給気口から前記排気口に至る気体の流路の上流側に蒸気を供給して前記第一空間を加湿することと、
前記搬送部が停止する期間の少なくとも一部にて、前記第一空間の加湿を弱めることと、を含む基板処理方法。
【請求項10】
基板を搬送するように搬送部を制御することと、
前記基板を受け入れる受入開口を有する処理部を、前記搬送部により搬送された前記基板に処理を行うように制御することと、
前記基板を搬送するように前記搬送部が動作する期間の少なくとも一部にて、前記搬送部を含む第一空間内における前記受入開口の近傍に蒸気を供給して前記第一空間を加湿することと、
前記搬送部が停止する期間の少なくとも一部にて、前記第一空間の加湿を弱めることと、を含む基板処理方法。
【請求項11】
請求項9又は10記載の基板処理方法を装置に実行させるためのプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、基板処理方法及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の塗布ユニットと、複数の熱処理ユニットと、これらのユニットに基板を搬送する搬送アームとを備える基板処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−220421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
塗布ユニット及び熱処理ユニット等の処理部の間で搬送アーム(搬送部)が基板を搬送する際に、微小なパーティクルが舞い上がる場合がある。舞い上がった微小パーティクルは、搬送部を含む空間内を長期間漂い、基板に付着する可能性がある。
【0005】
そこで本開示は、搬送部を含む空間内を長期間漂う微小パーティクルを削減できる基板処理装置、基板処理方法及び記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る基板処理装置は、基板を搬送する搬送部と、搬送部により搬送された基板に処理を行う処理部と、搬送部を含む第一空間を加湿する調湿部と、を備える。
【0007】
この基板処理装置によれば、第一空間を加湿することで、パーティクルに水分子を付着させることができる。水分子の付着により質量が増加すると、パーティクルは落下し易くなるのに加え、装置内を通る気流に乗って排出され易くなる。従って、搬送部の動作によって舞い上がった微小パーティクルを削減できる。
【0008】
第一空間に気体を導入する給気口と、第一空間から気体を排出する排気口と、を更に備えてもよく、調湿部は、給気口から排気口に至る気体の流路の上流側に蒸気を供給する第一加湿部を有してもよい。この場合、第一加湿部が供給した蒸気が、給気口から排気口への気流に乗って第一空間内に広がる。このため、第一空間内の広範囲に亘って微小パーティクルを削減できる。
【0009】
搬送部は、基板を支持する支持部と、支持部を移動させる駆動部とを有し、調湿部は、第一空間内における駆動部の近傍に蒸気を供給する第二加湿部を有してもよい。この場合、微小パーティクルの発生源となりやすい駆動部の近傍に集中して蒸気を供給することにより、駆動部からの微小パーティクルの拡散を効率よく抑制できる。
【0010】
駆動部内に開口し、第一空間から気体を排出する排気口を更に備えてもよい。この場合、第一空間の気体が駆動部内を通って排気されることとなる。従って、第二加湿部からの蒸気の供給により質量が増加した微小パーティクルの多くを駆動部内に導き、第一空間内への微小パーティクルの拡散をより効果的に抑制できる。
【0011】
処理部は、基板を受け入れる受入開口を有し、調湿部は、第一空間内における受入開口の近傍に蒸気を供給する第三加湿部を有してもよい。この場合、処理部外から処理部内に微小パーティクルが拡散すること、及び処理部内から処理部外に微小パーティクルが拡散することを抑制できる。
【0012】
処理部内に開口し、第一空間から気体を排出する排気口を更に備えてもよい。この場合、第一空間の気体が処理部内を通って排気されることとなる。従って、第三加湿部からの蒸気の供給により質量が増加した微小パーティクルの多くを処理部内に導き、処理部外への微小パーティクルの拡散をより効果的に抑制できる。
【0013】
搬送部の動作状態に応じて第一空間の加湿の強さを調節するように調湿部を制御するように構成された制御部を更に備えてもよい。第一空間の加湿を常時強めると、微小パーティクルの拡散をより効果的に抑制できる一方で、第一空間内に結露が生じ易くなる。微小パーティクルの拡散し易さは、搬送部の動作状態に応じて変化するので、搬送部の動作状態に応じて第一空間の加湿の強さを調節することで、微小パーティクルの拡散抑制と、第一空間内の結露抑制との両立を図ることができる。
【0014】
制御部は、搬送部が動作する期間の少なくとも一部にて、第一空間を加湿するように調湿部を制御し、搬送部が停止する期間の少なくとも一部にて、第一空間の加湿を弱めるように調湿部を制御するように構成されていてもよい。この構成によれば、搬送部の動作開始時又は動作中に微小パーティクルが拡散し易い場合に、微小パーティクルの拡散抑制と、第一空間内の結露抑制との両立を図ることができる。
【0015】
駆動部により支持部を移動させるように搬送部を制御することと、移動中の支持部の通過に応じて、当該支持部が通過した箇所への蒸気の供給量を増やすように調湿部を制御することと、を実行するように構成された制御部を更に備えてもよい。この場合、支持部に支持された基板への結露を抑制しつつ、支持部の通過に伴い発生した微小パーティクルに直ちに水分子を付着させ、微小パーティクルの拡散を効率よく抑制できる。
【0016】
本開示の他の側面に係る基板処理方法は、基板を搬送するように搬送部を制御することと、搬送部により搬送された基板に処理を行うように処理部を制御することと、基板を搬送するように搬送部が動作する期間の少なくとも一部にて、当該搬送部を含む第一空間を加湿することと、搬送部が停止する期間の少なくとも一部にて、第一空間の加湿を弱めることと、を含む。
【0017】
本開示の他の側面に係る記憶媒体は、蒸気基板処理方法を装置に実行させるためのプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、搬送部を含む空間内を長期間漂う微小パーティクルを削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】基板処理システムの概略構成を示す斜視図である。
図2図1中のII−II線に沿う断面図である。
図3図2中のIII−III線に沿う断面図である。
図4】第一加湿部及び第一除湿部の概略構成を示す模式図である。
図5】第二加湿部及び第二除湿部の概略構成を示す模式図である。
図6】加湿ノズルの概略構成を示す模式図である。
図7】第三加湿部及び第三除湿部の概略構成を示す模式図である。
図8】第三加湿部及び第三除湿部の概略構成を示す模式図である。
図9】加湿ノズルの概略構成を示す模式図である。
図10】制御部のハードウェア構成を例示するブロック図である。
図11】第一加湿部及び第一除湿部の制御手順を示すフローチャートである。
図12】第二加湿部及び第二除湿部の制御手順を示すフローチャートである。
図13】第三加湿部及び第三除湿部の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0021】
〔基板処理システム〕
基板処理システム1は、基板に対し、感光性被膜の形成、当該感光性被膜の露光、及び当該感光性被膜の現像を施すシステムである。処理対象の基板は、例えば半導体のウェハWである。感光性被膜は、例えばレジスト膜である。基板処理システム1は、塗布・現像装置2と露光装置3とを備える。露光装置3は、ウェハW(基板)上に形成されたレジスト膜(感光性被膜)の露光処理を行う。具体的には、液浸露光等の方法によりレジスト膜の露光対象部分にエネルギー線を照射する。塗布・現像装置2は、露光装置3による露光処理の前に、ウェハW(基板)の表面にレジスト膜を形成する処理を行い、露光処理後にレジスト膜の現像処理を行う。
【0022】
〔基板処理装置〕
以下、基板処理装置の一例として、塗布・現像装置2の構成を説明する。図1図3に示すように、塗布・現像装置2は、キャリアブロック4と、処理ブロック5と、インタフェースブロック6と、搬送部Aと、制御部100とを備える。
【0023】
キャリアブロック4は、塗布・現像装置2内へのウェハWの導入及び塗布・現像装置2内からのウェハWの導出を行う。例えばキャリアブロック4は、ウェハW用の複数のキャリア11を支持可能である。キャリア11は、例えば円形の複数枚のウェハWを収容する。キャリアブロック4は、キャリア11からウェハWを取り出して処理ブロック5に渡し、処理ブロック5からウェハWを受け取ってキャリア11内に戻す。
【0024】
処理ブロック5は、複数の処理モジュール14,15,16,17を有する。図2及び図3に示すように、処理モジュール14,15,16,17は、ウェハWに処理を行う処理部の一例として、複数の液処理ユニットU1と、複数の熱処理ユニットU2とを内蔵している。液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2は、後述の搬送部Aにより搬送されたウェハWに処理を行う。液処理ユニットU1は、処理液をウェハWの表面に供給する。熱処理ユニットU2は、例えば熱板及び冷却板を内蔵しており、熱板によりウェハWを加熱し、加熱後のウェハWを冷却板により冷却して熱処理を行う。
【0025】
処理モジュール14は、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2によりウェハWの表面上に下層膜を形成する。処理モジュール14の液処理ユニットU1は、下層膜形成用の処理液をウェハW上に塗布する。処理モジュール14の熱処理ユニットU2は、下層膜の形成に伴う各種熱処理を行う。
【0026】
処理モジュール15は、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2により下層膜上にレジスト膜を形成する。処理モジュール15の液処理ユニットU1は、レジスト膜形成用の処理液を下層膜の上に塗布する。処理モジュール15の熱処理ユニットU2は、レジスト膜の形成に伴う各種熱処理を行う。
【0027】
処理モジュール16は、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2によりレジスト膜上に上層膜を形成する。処理モジュール16の液処理ユニットU1は、上層膜形成用の液体をレジスト膜の上に塗布する。処理モジュール16の熱処理ユニットU2は、上層膜の形成に伴う各種熱処理を行う。
【0028】
処理モジュール17は、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2により、露光後のレジスト膜の現像処理を行う。処理モジュール17の液処理ユニットU1は、露光済みのウェハWの表面上に現像液を塗布した後、これをリンス液により洗い流すことで、レジスト膜の現像処理を行う。処理モジュール17の熱処理ユニットU2は、現像処理に伴う各種熱処理を行う。熱処理の具体例としては、現像処理前の加熱処理(PEB:Post Exposure Bake)、現像処理後の加熱処理(PB:Post Bake)等が挙げられる。
【0029】
処理ブロック5内におけるキャリアブロック4側には棚ユニットU10が設けられている。棚ユニットU10は、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。処理ブロック5内におけるインタフェースブロック6側には棚ユニットU11が設けられている。棚ユニットU11は、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。
【0030】
インタフェースブロック6は、露光装置3との間でウェハWの受け渡しを行う。例えばインタフェースブロック6は、棚ユニットU11に配置されたウェハWを露光装置3に渡し、露光装置3からウェハWを受け取って棚ユニットU11に戻す。
【0031】
搬送部Aは、塗布・現像装置2内においてウェハWを搬送する。例えば搬送部Aは、受け渡しアームA1と、搬送アームA3と、直接搬送アームA6と、昇降アームA7と、受け渡しアームA8とを有する。受け渡しアームA1は、キャリアブロック4に内蔵されており、キャリア11は、例えば円形の複数枚のウェハWを収容する。受け渡しアームA1は、キャリア11からウェハWを取り出して処理ブロック5に渡し、処理ブロック5からウェハWを受け取ってキャリア11内に戻す。
【0032】
搬送アームA3は、処理モジュール14,15,16,17のそれぞれに内蔵されており、液処理ユニットU1と熱処理ユニットU2とにウェハWを搬送する。直接搬送アームA6は、処理モジュール17に内蔵されており、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2を経ずに棚ユニットU10から棚ユニットU11にウェハWを搬送する。
【0033】
昇降アームA7は、棚ユニットU10の近傍に設けられており、棚ユニットU10のセル同士の間でウェハWを昇降させる。受け渡しアームA8は、インタフェースブロック6に内蔵されており、棚ユニットU11に配置されたウェハWを露光装置3に渡し、露光装置3からウェハWを受け取って棚ユニットU11に戻す。
【0034】
制御部100は、ウェハWを搬送するように搬送部Aを制御することと、搬送部Aにより搬送されたウェハWに処理を行うように液処理ユニットU1又は熱処理ユニットU2を制御することと、を実行する。例えば制御部100は、以下の手順で塗布・現像処理を実行するように塗布・現像装置2を制御する。まず制御部100は、キャリア11内のウェハWを棚ユニットU10に搬送するように受け渡しアームA1を制御し、このウェハWを処理モジュール14用のセルに配置するように昇降アームA7を制御する。
【0035】
次に制御部100は、棚ユニットU10のウェハWを処理モジュール14内の液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2に搬送するように搬送アームA3を制御し、このウェハWの表面上に下層膜を形成するように液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2を制御する。その後制御部100は、下層膜が形成されたウェハWを棚ユニットU10に戻すように搬送アームA3を制御し、このウェハWを処理モジュール15用のセルに配置するように昇降アームA7を制御する。
【0036】
次に制御部100は、棚ユニットU10のウェハWを処理モジュール15内の液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2に搬送するように搬送アームA3を制御し、このウェハWの下層膜上にレジスト膜を形成するように液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2を制御する。その後制御部100は、ウェハWを棚ユニットU10に戻すように搬送アームA3を制御し、このウェハWを処理モジュール16用のセルに配置するように昇降アームA7を制御する。
【0037】
次に制御部100は、棚ユニットU10のウェハWを処理モジュール16内の各ユニットに搬送するように搬送アームA3を制御し、このウェハWのレジスト膜上に上層膜を形成するように液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2を制御する。その後制御部100は、ウェハWを棚ユニットU10に戻すように搬送アームA3を制御し、このウェハWを処理モジュール17用のセルに配置するように昇降アームA7を制御する。
【0038】
次に制御部100は、棚ユニットU10のウェハWを棚ユニットU11に搬送するように直接搬送アームA6を制御し、このウェハWを露光装置3に送り出すように受け渡しアームA8を制御する。その後制御部100は、露光処理が施されたウェハWを露光装置3から受け入れて棚ユニットU11に戻すように受け渡しアームA8を制御する。
【0039】
次に制御部100は、棚ユニットU11のウェハWを処理モジュール17内の各ユニットに搬送するように搬送アームA3を制御し、このウェハWのレジスト膜に現像処理を施すように液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2を制御する。その後制御部100は、ウェハWを棚ユニットU10に戻すように搬送アームA3を制御し、このウェハWをキャリア11内に戻すように昇降アームA7及び受け渡しアームA1を制御する。以上で塗布・現像処理が完了する。
【0040】
なお、基板処理装置の具体的な構成は、以上に例示した塗布・現像装置2の構成に限られない。基板処理装置は、現像処理用の液処理ユニットU1(処理モジュール17の液処理ユニットU1)と、これを制御可能な制御部100とを備えていればどのようなものであってもよい。
【0041】
〔調湿部〕
塗布・現像装置2は、搬送部Aを含む第一空間2aを加湿する調湿部HCを更に備える。以下、調湿部HCの構成を具体的に例示する。
【0042】
(第一加湿部)
図2に示すように、塗布・現像装置2は、第一空間2aに気体を導入する給気口IPと、第一空間2aから気体を排出する排気口EPとを備える。調湿部HCは、給気口IPから排気口EPに至る気体の流路の上流側に蒸気を供給する加湿部20(第一加湿部)と、加湿部20からの蒸気の供給により上昇した湿度を低減させる除湿部30(第一除湿部)と、を有する。
【0043】
給気口IPは、塗布・現像装置2の上部(例えばキャリアステーション12の上部)に設けられた給気口2bを含み、排気口EPは、塗布・現像装置2の下部(例えばキャリアステーション12の下部)に設けられた排気口2cを含み、加湿部20及び除湿部30は、給気口2bの近傍(例えば給気口2bの外側)に設けられている。
【0044】
図4に示すように、除湿部30は送風機31を含む。送風機31は、給気口2bを通し、第一空間2a外から第一空間2a内に気体を吹き込む。これにより、給気口2bから排気口2cへ向かう気流(ダウンフロー)が第一空間2a内に発生する。
【0045】
加湿部20は、送風機31により第一空間2a外から第一空間2a内に送られる気体に蒸気を供給する。これにより、給気口2bから排気口2cに至る気体の流路の上流側に蒸気が供給される。
【0046】
加湿部20は、加湿ノズル21と、給水タンク22と、加湿用送風機23とを有する。加湿ノズル21は、蒸気を発生させて吐出する。加湿ノズル21は、送風機31内に開口している。給水タンク22は、蒸気を発生させるための液体(例えば水)を加湿ノズル21に供給し、加湿用送風機23は、蒸気を発生させるための気体を加湿ノズル21に供給する。
【0047】
加湿ノズル21は、ヒータ24と加湿フィルタ25とを有する。加湿フィルタ25は、吸水性及び通気性を有する素材により構成されており、加湿用送風機23から供給された気体の流路を遮るように設けられている。加湿フィルタ25は、給水タンク22から供給された水によって濡れた状態に保たれる。ヒータ24は、加湿用送風機23から加湿フィルタ25に向かう気体を加熱する。ヒータ24により加熱された気体が加湿フィルタ25を通過することにより蒸気が発生し、当該蒸気が送風機31内に吐出される。
【0048】
加湿用送風機23が停止すると、加湿部20における蒸気の発生が実質的に停止する。この状態で、送風機31の運転を継続すると、加湿部20からの蒸気を含まない気体が第一空間2a内に供給されるので、第一空間2aが除湿される。
【0049】
なお、塗布・現像装置2は、図2に示すように、湿度計26を更に備えてもよい。湿度計26は、給気口IPから排気口EPに至る気体の流路の下流側(すなわち排気口EPの近傍)に設けられていてもよい。湿度は排気口EPの近傍において高くなり易い傾向があるので、湿度計26を排気口EPの近傍に設けることで、結露の生じ易い環境を早期に検知できる。
【0050】
(第二加湿部)
搬送部Aは、ウェハWを支持する支持部と、支持部を移動させる駆動部とを有してもよい。例えば図5に示すように、搬送アームA3は、ウェハWを支持する支持部81と、支持部81を移動させる駆動部82とを有する。例えば駆動部82は、支持部81を案内するガイドレール83と、動力源84と、動力源84の動力によりガイドレール83に沿って支持部81を移動させる動力伝達機構85とを含む。
【0051】
調湿部HCは、第一空間2a内における駆動部82の近傍に蒸気を供給する加湿部40(第二加湿部)と、加湿部40からの蒸気の供給により上昇した湿度を低減させる除湿部50(第二除湿部)と、を更に有してもよい。
【0052】
加湿部40は、複数の加湿ノズル41と、給水タンク42と、バルブ43と、送風機44とを有する。加湿ノズル41は、蒸気を発生させて吐出する。加湿ノズル41は、第一空間2a内において駆動部82の近傍に設けられ、駆動部82側に開口している。複数の加湿ノズル41は、例えばガイドレール83に沿って並んでいる。給水タンク42は、蒸気を発生させるための液体(例えば水)を加湿ノズル41に供給し、送風機44は、蒸気を発生させるための気体を加湿ノズル41に供給する。バルブ43は、送風機44から加湿ノズル41への気体の流路を開閉する。
【0053】
図6に示すように、加湿ノズル41は、ヒータ45と加湿フィルタ46とを有する。加湿フィルタ46は、吸水性及び通気性を有する素材により構成されており、送風機44から供給された気体の流路を遮るように設けられている。加湿フィルタ46は、給水タンク42から供給された水によって濡れた状態に保たれる。ヒータ45は、送風機44から加湿フィルタ46に向かう気体を加熱する。ヒータ45により加熱された気体が加湿フィルタ46を通過することにより蒸気が発生し、当該蒸気が駆動部82側に吐出される。
【0054】
図5に戻り、除湿部50は、複数の除湿ノズル51と、バルブ52とを有する。除湿ノズル51は、除湿用の気体を吐出する。例えば除湿ノズル51は、加湿部40の送風機44に接続されており、送風機44から供給された気体を加湿せずに吐出する。除湿ノズル51は、第一空間2a内において駆動部82の近傍に設けられ、駆動部82側に開口している。複数の除湿ノズル51は、例えば複数の加湿ノズル41と交互に並んでいる。バルブ52は、送風機44から除湿ノズル51への気体の流路を開閉する。
【0055】
塗布・現像装置2は、駆動部82内に開口し、第一空間2aの気体を排出する排気口86を更に備えてもよい。排気口86は、ダクトD1を介して第一空間2a外に接続されている。
【0056】
(第三加湿部)
図7及び図8に示すように、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2は、個別筐体91を有する。個別筐体91は、処理液の供給部又は熱板等を収容する。個別筐体91は、ウェハWを受け入れる受入開口92を有する。受入開口92は、例えば側方に開口している。
【0057】
調湿部HCは、第一空間2a内における受入開口92の近傍に蒸気を供給する加湿部60(第三加湿部)と、加湿部60からの蒸気の供給により上昇した湿度を低減させる除湿部70(第三除湿部)と、を更に有してもよい。
【0058】
加湿部60は、複数の加湿ノズル61と、給水タンク62と、バルブ63と、送風機64とを有する。加湿ノズル61は、蒸気を発生させて吐出する。加湿ノズル61は、第一空間2a内において受入開口92の周囲に設けられ、受入開口92を横切る方向に開口している。複数の加湿ノズル61は、例えば受入開口92の周縁に沿って並んでいる。なお、図示においては、複数の加湿ノズル61が受入開口92の上部に設けられているが、複数の加湿ノズル61は受入開口92の側部に設けられていてもよい。給水タンク62は、蒸気を発生させるための液体(例えば水)を加湿ノズル61に供給し、送風機64は、蒸気を発生させるための気体を加湿ノズル61に供給する。バルブ63は、送風機64から加湿ノズル61への気体の流路を開閉する。
【0059】
図9に示すように、加湿ノズル61は、ヒータ65と加湿フィルタ66とを有する。加湿フィルタ66は、吸水性及び通気性を有する素材により構成されており、送風機64から供給された気体の流路を遮るように設けられている。加湿フィルタ66は、給水タンク62から供給された水によって濡れた状態に保たれる。ヒータ65は、送風機64から加湿フィルタ66に向かう気体を加熱する。ヒータ65により加熱された気体が加湿フィルタ66を通過することにより蒸気が発生し、当該蒸気が受入開口92を横切るように吐出される。
【0060】
図8に戻り、除湿部70は、複数の除湿ノズル71と、バルブ72とを有する。除湿ノズル71は、除湿用の気体を吐出する。例えば除湿ノズル71は、加湿部60の送風機64に接続されており、送風機64から供給された気体を加湿せずに吐出する。除湿ノズル71は、第一空間2a内において受入開口92の周囲に設けられ、受入開口92を横切る方向に開口している。複数の除湿ノズル71は、例えば複数の加湿ノズル61と交互に並んでいる。バルブ72は、送風機64から除湿ノズル71への気体の流路を開閉する。
【0061】
塗布・現像装置2は、個別筐体91内に開口し、第一空間2aの気体を排出する排気口93を更に備えてもよい。複数の排気口93は、ダクトD2を介して第一空間2a外に接続されている。
【0062】
〔制御部〕
以上のように構成された調湿部HCは、制御部100により制御される。制御部100は、搬送部Aの動作状態に応じて第一空間2aの加湿の強さを調節するように調湿部HCを制御するように構成されている。一例として、制御部100は、搬送部Aが動作する期間の少なくとも一部にて、第一空間2aを加湿するように調湿部HCを制御し、搬送部Aが停止する期間の少なくとも一部にて、第一空間2aの加湿を弱めるように調湿部HCを制御するように構成されている。制御部100は、湿度計26による湿度の検出値が所定の上限値よりも高くなるのに応じて第一空間2aの加湿を弱めるように調湿部HCを制御するように構成されていてもよい。なお、加湿を弱めることは、加湿を停止することを含む。
【0063】
制御部100は、一つ又は複数の制御用コンピュータにより構成される。例えば制御部100は、図10に示す回路120を有する。回路120は、一つ又は複数のプロセッサ121と、メモリ122と、ストレージ123と、入出力ポート124と、タイマー125と、ユーザインタフェース126とを有する。
【0064】
入出力ポート124は、加湿部20,40,60、除湿部30,50,70及び湿度計26との間で電気信号の入出力を行う。タイマー125は、例えば一定周期の基準パルスをカウントすることで経過時間を計測する。ユーザインタフェース126は、例えばモニタ等の表示部と、キーパッド等の入力部とを含み、オペレータ用の情報を表示部に表示し、オペレータによる指示入力を入力部から取得する。
【0065】
ストレージ123は、例えばハードディスク等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有する。記憶媒体は、後述の制御手順を処理ブロック5に実行させるためのプログラムを記録している。記憶媒体は、不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク及び光ディスク等の取り出し可能な媒体であってもよい。メモリ122は、ストレージ123の記憶媒体からロードしたプログラム及びプロセッサ121による演算結果を一時的に記録する。プロセッサ121は、メモリ122と協働して上記プログラムを実行する。
【0066】
なお、制御部100のハードウェア構成は、必ずしもプログラムに基づいて後述の制御手順を実行するものに限られない。例えば制御部100は、後述の制御手順の少なくとも一部に特化した論理回路又はこれを集積したASIC(Application Specific Integrated Circuit)を有していてもよい。
【0067】
以下、基板処理方法の一例として、制御部100による調湿部HCの制御手順を説明する。制御部100による調湿部HCの制御手順は、加湿部20及び除湿部30の制御手順と、加湿部40及び除湿部50の制御手順と、加湿部60及び除湿部70の制御手順とを含む。
【0068】
(加湿部20及び除湿部30の制御手順)
図11に示すように、制御部100は、まずステップS01を実行する。ステップS01は、第一空間2a外から第一空間2a内への気体の吹き込みを開始するように送風機31を制御することを含む。
【0069】
次に、制御部100はステップS02を実行する。ステップS02は、受け渡しアームA1の動作が開始したか否かを確認することを含む。
【0070】
ステップS02において、受け渡しアームA1の動作が開始していないと判定した場合、制御部100はステップS03を実行する。ステップS03は、ユーザインタフェース126に加湿の指令が入力されたか否かを確認することを含む。加湿の指令は、例えばメンテナンスのために塗布・現像装置2内に作業者が立ち入った後などに、オペレータにより入力される。
【0071】
ステップS03において、加湿の指令は入力されていないと判定した場合、制御部100は手順をステップS02に戻す。以後、受け渡しアームA1の動作が開始するか、加湿の指令が入力されるまでは、ステップS02,S03が繰り返される。
【0072】
ステップS02において、受け渡しアームA1の動作が開始したと判定した場合、制御部100はステップS04を実行する。ステップS04は、送風機31により第一空間2a外から第一空間2a内に送られる気体に蒸気を供給するように加湿部20を制御することを含む。例えば制御部100は、加湿用送風機23から加湿ノズル21への気体の供給を開始するように加湿部20を制御する。これにより、給気口2bから排気口2cに至る気体の流路の上流側に蒸気が供給される。
【0073】
次に、制御部100はステップS05を実行する。ステップS05は、受け渡しアームA1の動作が停止したか否かを確認することを含む。ステップS05において、受け渡しアームA1の動作が停止していないと判定した場合、制御部100はステップS06を実行する。ステップS06は、湿度計26による湿度の検出値を取得し、当該検出値が所定の上限値を超えているか否かを確認することを含む。所定の上限値は、塗布・現像装置2内における結露を抑制する観点にて、条件出し用の運転又はシミュレーションによって予め設定されている。
【0074】
湿度計26による湿度検出値が上限値を超えていないと判定した場合、制御部100は処理をステップS05に戻す。以後、受け渡しアームA1の動作が停止するか、湿度計26による湿度検出値が上限値を超えるまで、制御部100はステップS05,S06を繰り返す。
【0075】
ステップS05において受け渡しアームA1の動作が停止していると判定した場合、又はステップS06において湿度計26による湿度検出値が上限値を超えていると判定した場合、制御部100はステップS07を実行する。ステップS07は、第一空間2aの加湿を停止するように調湿部HCを制御することを含む。例えば制御部100は、蒸気の供給を停止するように加湿部20を制御する。より具体的に、制御部100は、加湿用送風機23から加湿ノズル21への気体の供給を停止するように加湿部20を制御する。加湿部20による蒸気の供給が停止した後には、加湿部20からの蒸気を含まない気体が送風機31により第一空間2a内に供給されるので、第一空間2aが除湿される。
【0076】
ステップS03において、ユーザインタフェース126に加湿の指令が入力されたと判定した場合、制御部100はステップS08を実行する。ステップS08は、送風機31により第一空間2a外から第一空間2a内に送られる気体に蒸気を供給するように加湿部20を制御することを含む。例えば制御部100は、加湿用送風機23から加湿ノズル21への気体の供給を開始するように加湿部20を制御する。これにより、給気口2bから排気口2cに至る気体の流路の上流側に蒸気が供給される。
【0077】
次に、制御部100はステップS09を実行する。ステップS09は、ステップS08の実行後、所定時間が経過したか否かを確認することを含む。所定時間は、所望のレベルでパーティクルを除去できるように、条件出し用の運転又はシミュレーションによって予め設定されている。
【0078】
ステップS08の実行後所定時間が経過していないと判定した場合、制御部100はステップS10を実行する。ステップS10は、湿度計26による湿度の検出値を取得し、当該検出値が所定の上限値を超えているか否かを確認することを含む。所定の上限値は、塗布・現像装置2内における結露を抑制する観点にて、条件出し用の運転又はシミュレーションによって予め設定されている。
【0079】
湿度計26による湿度検出値が上限値を超えていないと判定した場合、制御部100は処理をステップS09に戻す。以後、所定時間が経過するか、湿度計26による湿度検出値が上限値を超えるまで、制御部100はステップS09,S10を繰り返す。
【0080】
ステップS09において所定時間が経過したと判定した場合、又はステップS10において湿度計26による湿度検出値が上限値を超えていると判定した場合、制御部100はステップS11を実行する。ステップS11は、第一空間2aの加湿を停止するように調湿部HCを制御することを含む。例えば制御部100は、蒸気の供給を停止するように加湿部20を制御する。より具体的に、制御部100は、加湿用送風機23から加湿ノズル21への気体の供給を停止するように加湿部20を制御する。加湿部20による蒸気の供給が停止した後には、加湿部20からの蒸気を含まない気体が送風機31により第一空間2a内に供給されるので、第一空間2aが除湿される。
【0081】
ステップS07,S11のいずれかを実行した後、制御部100はステップS12を実行する。ステップS12は、処理対象の全てのウェハWに対する処理が完了したか否かを確認することを含む。
【0082】
ステップS12において、全てのウェハWに対する処理は完了していないと判定した場合、制御部100は手順をステップS02に戻す。以後、全てのウェハWに対する処理が完了するまでは、受け渡しアームA1の動作に応じて蒸気を供給し、受け渡しアームA1の停止に応じて蒸気の供給を停止することと、加湿の指令の入力に応じて蒸気を供給し、所定時間の経過に応じて蒸気の供給を停止することとが繰り返される。
【0083】
ステップS12において、全てのウェハWに対する処理が完了したと判定した場合、制御部100はステップS13を実行する。ステップS13は、第一空間2a外から第一空間2a内への気体の吹き込みを停止するように送風機31を制御することを含む。以上で加湿部20及び除湿部30の制御手順が完了する。
【0084】
(加湿部40及び除湿部50の制御手順)
図12に示すように、制御部100は、まずステップS21を実行する。ステップS21は、搬送アームA3の動作の開始を待機することを含む。
【0085】
次に、制御部100はステップS22を実行する。ステップS22は、バルブ43を開いて加湿ノズル41からの蒸気の吐出を開始するように加湿部40を制御することを含む。
【0086】
次に、制御部100はステップS23を実行する。ステップS23は、搬送アームA3の動作の停止を待機することを含む。
【0087】
次に、制御部100はステップS24を実行する。ステップS24は、バルブ43を閉じて加湿ノズル41からの蒸気の吐出を停止するように加湿部40を制御することを含む。
【0088】
次に、制御部100はステップS25を実行する。ステップS25は、バルブ52を開いて除湿ノズル51からの気体の吐出を開始するように除湿部50を制御することを含む。
【0089】
次に、制御部100はステップS26を実行する。ステップS26は、所定時間の経過を待機することを含む。所定時間は、搬送アームA3における結露を十分に抑制できるように、条件出し用の運転又はシミュレーションによって予め設定されている。
【0090】
次に、制御部100はステップS27を実行する。ステップS27は、バルブ52を閉じて除湿ノズル51からの気体の吐出を停止するように除湿部50を制御することを含む。
【0091】
次に、制御部100はステップS28を実行する。ステップS28は、処理対象の全てのウェハWに対する処理が完了したか否かを確認することを含む。
【0092】
ステップS28において、全てのウェハWに対する処理は完了していないと判定した場合、制御部100は手順をステップS21に戻す。以後、全てのウェハWに対する処理が完了するまでは、搬送アームA3の動作に応じて蒸気を供給することと、搬入・搬出部13の停止に応じて蒸気の供給を停止し、除湿用の気体を供給することとが繰り返される。
【0093】
ステップS28において、全てのウェハWに対する処理が完了したと判定した場合、制御部100は加湿部40及び除湿部50の制御手順を完了する。
【0094】
なお、制御部100は、移動中の支持部81の通過に応じて、当該支持部81が通過した箇所への蒸気の供給量を増やすように加湿部40を制御してもよい。
【0095】
例えば制御部100は、支持部81が加湿ノズル41を通過する度に、当該加湿ノズル41からの蒸気の吐出を開始するように加湿部40を制御してもよい。このような制御を可能とするために、加湿部40は、バルブ43を加湿ノズル41ごとに有していてもよい。
【0096】
制御部100は、一つの加湿ノズル41から継続的に蒸気を吐出している状態で、当該加湿ノズル41を支持部81の通過箇所に向けながら支持部81に追従して移動させるように加湿部40を制御してもよい。このような制御を可能とするために、加湿部40は、支持部81の移動経路に沿って加湿ノズル41を移動させる機構を更に有してもよい。
【0097】
制御部100は、移動中の支持部81の通過に応じて、当該支持部81が通過した箇所への除湿用の気体の供給量を増やすように除湿部50を制御してもよい。この場合、制御部100は、支持部81が通過した箇所への蒸気の供給量を増やすタイミングと、当該箇所への除湿用の気体の供給量を増やすタイミングとをずらすように、加湿部40及び除湿部50を制御してもよい。
【0098】
例えば制御部100は、支持部81が除湿ノズル51を通過する度に、当該除湿ノズル51からの気体の吐出を開始するように除湿部50を制御してもよい。このような制御を可能とするために、除湿部50はバルブ52を除湿ノズル51ごとに有してもよい。また、制御部100は、支持部81が通過した除湿ノズル51からの気体の吐出を開始するのに同期して、支持部81が通過した加湿ノズル41からの蒸気の供給を停止するように加湿部40を制御し、支持部81が通過した加湿ノズル41からの蒸気の吐出を開始するのに同期して、支持部81が通過した除湿ノズル51からの除湿用の気体の吐出を停止するように除湿部50を制御してもよい。なお、「同期」は、タイミングを一致させることの他、所定の時間差で先行させること、及び所定の時間差で後続させることをも含む。
【0099】
制御部100は、一つの除湿ノズル51から継続的に除湿用の気体を吐出している状態で、当該除湿ノズル51を支持部81の通過箇所に向けながら支持部81に追従して移動させるように除湿部50を制御してもよい。このような制御を可能とするために、除湿部50は、支持部81の移動経路に沿って除湿ノズル51を移動させる機構を更に有してもよい。制御部100は、一つの加湿ノズル41から継続的に蒸気を吐出し、一つの除湿ノズル51から継続的に除湿用の気体を吐出している状態で、当該加湿ノズル41を支持部81の通過箇所に向けながら支持部81に追従して移動させ、当該除湿ノズル51を当該加湿ノズル41が通過した箇所に向けながら当該加湿ノズル41に追従して移動させるように加湿部40及び除湿部50を制御してもよい。
【0100】
(加湿部60及び除湿部70の制御手順)
図13に示すように、制御部100は、まずステップS31を実行する。ステップS31は、搬送アームA3による処理部(液処理ユニットU1又は熱処理ユニットU2)へのウェハWの搬入、又は搬送アームA3による処理部(液処理ユニットU1又は熱処理ユニットU2)からのウェハWの搬出の開始を待機することを含む。
【0101】
次に、制御部100はステップS32を実行する。ステップS32は、バルブ63を開いて加湿ノズル61からの蒸気の吐出を開始するように加湿部60を制御することを含む。
【0102】
次に、制御部100はステップS33を実行する。ステップS33は、搬送アームA3よる処理部へのウェハWの搬入、又は搬送アームA3による処理部からのウェハWの搬出の完了を待機することを含む。
【0103】
次に、制御部100はステップS34を実行する。ステップS34は、バルブ63を閉じて加湿ノズル61からの蒸気の吐出を停止するように加湿部60を制御することを含む。
【0104】
次に、制御部100はステップS35を実行する。ステップS35は、バルブ72を開いて除湿ノズル71からの気体の吐出を開始するように除湿部70を制御することを含む。
【0105】
次に、制御部100はステップS36を実行する。ステップS36は、所定時間の経過を待機することを含む。所定時間は、液処理ユニットU1又は熱処理ユニットU2における結露を十分に抑制できるように、条件出し用の運転又はシミュレーションによって予め設定されている。
【0106】
次に、制御部100はステップS37を実行する。ステップS37は、バルブ72を閉じて除湿ノズル71からの気体の吐出を停止するように除湿部70を制御することを含む。
【0107】
次に、制御部100はステップS38を実行する。ステップS38は、処理対象の全てのウェハWに対する処理が完了したか否かを確認することを含む。
【0108】
ステップS38において、全てのウェハWに対する処理は完了していないと判定した場合、制御部100は手順をステップS31に戻す。以後、全てのウェハWに対する処理が完了するまでは、処理部へのウェハWの搬入又は処理部からのウェハWの搬出に応じて蒸気を供給することと、処理部へのウェハWの搬入又は処理部からのウェハWの搬出の完了に応じて蒸気の供給を停止し、除湿用の気体を供給することとが繰り返される。
【0109】
ステップS38において、全てのウェハWに対する処理が完了したと判定した場合、制御部100は加湿部40及び除湿部50の制御手順を完了する。
【0110】
〔本実施形態の効果〕
以上に説明したように、塗布・現像装置2は、ウェハWを搬送する搬送部Aと、搬送部Aにより搬送されたウェハWに処理を行う処理部(例えば液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2)と、搬送部Aを含む第一空間2aを加湿する調湿部HCと、を備える。
【0111】
塗布・現像装置2によれば、第一空間2aを加湿することで、パーティクルに水分子を付着させることができる。水分子の付着により質量が増加すると、パーティクルは落下し易くなるのに加え、装置内を通る気流に乗って排出され易くなる。従って、搬送部Aの動作によって舞い上がった微小パーティクルを削減できる。
【0112】
塗布・現像装置2は、第一空間2aに気体を導入する給気口IPと、第一空間2aから気体を排出する排気口EPと、を更に備え、調湿部HCは、給気口IPから排気口EPに至る気体の流路の上流側に蒸気を供給する加湿部20を有してもよい。この場合、加湿部20が供給した蒸気が、給気口IPから排気口EPへの気流に乗って第一空間2a内に広がる。このため、第一空間2a内の広範囲に亘って微小パーティクルを削減できる。
【0113】
搬送部Aは、ウェハWを支持する支持部81と、支持部81を移動させる駆動部82とを有し、調湿部HCは、第一空間2a内における駆動部82の近傍に蒸気を供給する加湿部40を有してもよい。この場合、微小パーティクルの発生源となりやすい駆動部82の近傍に集中して蒸気を供給することにより、駆動部82からの微小パーティクルの拡散を効率よく抑制できる。
【0114】
塗布・現像装置2は、駆動部82内に開口し、第一空間2aから気体を排出する排気口86を更に備えてもよい。この場合、第一空間2aの気体が駆動部82内を通って排気されることとなる。従って、加湿部40からの蒸気の供給により質量が増加した微小パーティクルの多くを駆動部82内に導き、第一空間2a内への微小パーティクルの拡散をより効果的に抑制できる。
【0115】
液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2は、ウェハWを受け入れる受入開口92を有し、調湿部HCは、第一空間2a内における受入開口92の近傍に蒸気を供給する加湿部60を有してもよい。この場合、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2外から液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2内に微小パーティクルが拡散すること、及び液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2内から液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2外に微小パーティクルが拡散することを抑制できる。
【0116】
塗布・現像装置2は、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2内に開口し、第一空間2aから気体を排出する排気口93を更に備えてもよい。この場合、第一空間2aの気体が液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2内を通って排気されることとなる。従って、加湿部60からの蒸気の供給により質量が増加した微小パーティクルの多くを液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2内に導き、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2外への微小パーティクルの拡散をより効果的に抑制できる。
【0117】
塗布・現像装置2は、搬送部Aの動作状態に応じて第一空間2aの加湿の強さを調節するように調湿部HCを制御するように構成された制御部100を更に備えてもよい。第一空間2aの加湿を常時強めると、微小パーティクルの拡散をより効果的に抑制できる一方で、第一空間2a内に結露が生じ易くなる。微小パーティクルの拡散し易さは、搬送部Aの動作状態に応じて変化するので、搬送部Aの動作状態に応じて第一空間2aの加湿の強さを調節することで、微小パーティクルの拡散抑制と、第一空間2a内の結露抑制との両立を図ることができる。
【0118】
例えば、搬送部Aの動作開始時又は動作中に微小パーティクルが拡散し易い場合には、搬送部Aが動作する期間の少なくとも一部にて、第一空間2aを加湿するように調湿部HCを制御し、搬送部Aが停止する期間の少なくとも一部にて、第一空間2aの加湿を停止するように調湿部HCを制御することで、微小パーティクルの拡散抑制と、第一空間2a内の結露抑制との両立を図ることができる。
【0119】
一方、搬送部Aの停止時に微小パーティクルが拡散し易い場合には、搬送部Aが停止する期間の少なくとも一部にて、第一空間2aを加湿するように調湿部HCを制御し、搬送部Aが動作する期間の少なくとも一部にて、第一空間2aの加湿を弱めるように調湿部HCを制御することで、微小パーティクルの拡散抑制と、第一空間2a内の結露抑制との両立を図ることができる。
【0120】
なお、制御部100は、第一空間2aの加湿を停止するように調湿部HCを制御するのに代えて、第一空間2aの加湿を継続しつつ、第一空間2aへの加湿を弱めるように調湿部HCを制御してもよい。加湿を弱めるとは、加湿による湿度の上昇速度を低減させることを意味する。例えば蒸気の供給量を減らすことによって加湿を弱めることが可能である。調湿部HCによる加湿を弱めつつ継続することで、微小パーティクルが拡散し難い雰囲気を維持することができる。
【0121】
制御部100は、駆動部82により支持部81を移動させるように搬送部Aを制御することと、移動中の支持部81の通過に応じて、当該支持部81が通過した箇所への蒸気の供給量を増やすように調湿部HCを制御することと、を実行するように構成されていてもよい。この場合、吐出直後の密度の高い蒸気が支持部81に過度に吹き付けられることを回避し、支持部81に支持されたウェハWへの結露を抑制しつつ、支持部81の通過に伴い発生した微小パーティクルに直ちに水分子を付着させ、微小パーティクルの拡散を効率よく抑制できる。
【0122】
制御部100は、移動中の支持部81の通過に応じて、当該支持部81が通過した箇所への除湿用の気体の供給量を増やすように調湿部HCを制御するように除湿部50を制御してもよい。この場合、除湿用の気体が支持部81に過度に吹き付けられることを回避し、支持部81に支持されたウェハWの過乾燥を抑制しつつ、蒸気の供給に伴う結露を抑制できる。
【0123】
以上、実施形態について説明したが、本発明は必ずしも上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。調湿部HCは、少なくとも第一空間2aを加湿するものであればよく、必ずしも上述の構成に限定されない。例えば調湿部HCは、加湿部20,40,60の全てを有するものに限られず、加湿部20,40,60のいずれか一つを有していてもよいし、加湿部20,40,60のいずれか二つを有していてもよい。
【0124】
加湿部20,40,60の加湿方式は、加熱した気体を濡れたフィルタに通す方式に限られない。加湿部20,40,60の加湿方式は、水を沸騰させるスチーム方式であってもよく、水に超音波を加えてミストを発生させる超音波方式であってもよく、非加熱の気体を濡れたフィルタに通す気化方式であってもよい。
【0125】
処理対象の基板は半導体ウェハに限られず、例えばガラス基板、マスク基板、FPD(Flat Panel Display)等であってもよい。
【符号の説明】
【0126】
W…ウェハ(基板)、2…塗布・現像装置(基板処理装置)、A…搬送部、100…制御部、U1…液処理ユニット(処理部)、U2…熱処理ユニット(処理部)、2a…第一空間、HC…調湿部、IP,2a…給気口、EP,2b,86,93…排気口、20…加湿部(第一加湿部)、81…支持部、82…駆動部、40…加湿部(第二加湿部)、92…受入開口、60…加湿部(第三加湿部)。
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