特許第6803815号(P6803815)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京エレクトロン株式会社の特許一覧

特許6803815基板処理装置、及び、基板処理装置の運用方法
<>
  • 特許6803815-基板処理装置、及び、基板処理装置の運用方法 図000002
  • 特許6803815-基板処理装置、及び、基板処理装置の運用方法 図000003
  • 特許6803815-基板処理装置、及び、基板処理装置の運用方法 図000004
  • 特許6803815-基板処理装置、及び、基板処理装置の運用方法 図000005
  • 特許6803815-基板処理装置、及び、基板処理装置の運用方法 図000006
  • 特許6803815-基板処理装置、及び、基板処理装置の運用方法 図000007
  • 特許6803815-基板処理装置、及び、基板処理装置の運用方法 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6803815
(24)【登録日】2020年12月3日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】基板処理装置、及び、基板処理装置の運用方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20201214BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   H01L21/302 101G
   H01L21/68 N
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-143697(P2017-143697)
(22)【出願日】2017年7月25日
(65)【公開番号】特開2019-29373(P2019-29373A)
(43)【公開日】2019年2月21日
【審査請求日】2020年1月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(72)【発明者】
【氏名】戸部 康弘
【審査官】 鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−305856(JP,A)
【文献】 特開2007−271183(JP,A)
【文献】 特開2002−168551(JP,A)
【文献】 特開2008−034409(JP,A)
【文献】 特開2002−174466(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバ本体と、
前記チャンバ本体の内部空間の中に設けられたステージであり、その上に載置される基板を支持するように構成されており、その内部に冷媒流路が形成された、該ステージと、
圧縮機、凝縮器、第1の膨張弁、及び、蒸発器を含む冷却ループを有し、前記チャンバ本体の外部に設けられた冷却装置と、
前記冷却装置よりも前記チャンバ本体の近くに設けられたローカルループであり、冷媒を貯留するよう構成されたレシーバ、該レシーバと前記冷媒流路との間で接続されており、前記レシーバ内に貯留された前記冷媒の流速を調整して、該冷媒を前記冷媒流路に供給するよう構成された流速制御器、及び、該冷媒流路と前記レシーバとの間に接続された蒸発圧力調整弁を有する、該ローカルループと、
前記冷却ループ内において、前記凝縮器と前記第1の膨張弁との間で接続された第1のバルブと、
前記第1のバルブと前記凝縮器との間で前記冷却ループに接続された一端、及び、前記レシーバに接続された他端を有する供給流路と、
前記供給流路上に設けられた第2のバルブと、
前記供給流路上、且つ、前記第2のバルブと前記レシーバとの間に設けられた第2の膨張弁と、
前記蒸発圧力調整弁の出力側で前記ローカルループに接続された一端、及び、前記第1の膨張弁と前記蒸発器との間で前記冷却ループに接続された他端を有する排出流路と、
を備える基板処理装置。
【請求項2】
前記ステージは、前記冷媒流路への冷媒の入口、及び、前記冷媒流路からの冷媒の出口を有し、前記出口は前記入口よりも前記ステージの外縁の近くに設けられており、
前記冷媒流路は、前記入口から前記出口に近付くにつれて前記ステージの上面に近付くように傾斜している、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記出口は、前記冷媒流路内に設けられており、前記冷媒流路内の気体を液体に対して優先的に排出するように、前記冷媒流路を画成する下壁面よりも鉛直方向において高い位置に設けられている、
請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
該基板処理装置は、プラズマ処理装置であり、
前記ステージは、前記冷媒流路が形成された基台、及び、該基台上に設けられた静電チャックを有する、
請求項1〜3の何れか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記流速制御器は、圧縮機である、請求項1〜4の何れか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記第1のバルブ及び前記第2のバルブは、一つの三方弁によって提供されている、請求項1〜5の何れか一項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載の基板処理装置の運用方法であって、
前記冷却装置から前記供給流路を介して前記レシーバに冷媒を供給する工程と、
前記ステージ上に載置された基板が処理されている基板処理期間中に、前記ローカルループ内で冷媒を循環させる工程と、
前記基板処理期間中に、前記冷却ループ内で冷媒を循環させる工程と、
を含み、
前記基板処理期間中の前記冷却装置の前記圧縮機の回転数が、冷媒を供給する前記工程の実行中の前記冷却装置の前記圧縮機の回転数よりも低い回転数に設定される、
基板処理装置の運用方法。
【請求項8】
前記チャンバ本体の前記内部空間と該チャンバ本体の外部との間で基板が搬送されている期間中に、冷媒を供給する前記工程が実行される、請求項7に記載の基板処理装置の運用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、基板処理装置、及び、基板処理装置の運用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスといった電子デバイスの製造においては、基板を処理するために、基板処理装置が用いられる。基板処理装置は、一般的に、チャンバ本体及びステージを備える。ステージは、チャンバ本体の内部空間の中において、基板を支持するように構成されている。
【0003】
基板処理装置は、低温下で基板を処理する場合に、冷却装置を備える。冷却装置を備えた基板処理装置の一種として、特許文献1及び特許文献2には、直膨式の冷却装置を備えたプラズマ処理装置が記載されている。一般的に、直膨式の冷却装置は、圧縮機、凝縮器、圧力調整弁、及び、蒸発器を含む冷却ループを有する。基板処理装置では、ステージ内に冷媒流路が形成されており、当該ステージが蒸発器を構成する。直膨式の冷却装置を備えたプラズマ処理装置では、圧縮機の回転数が調整されることにより、基板の温度が調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−119515号公報
【特許文献2】特開2012−28811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
直膨式の冷却装置は大型の装置であるので、蒸発器を構成するステージ以外の機器、即ち、圧縮機、凝縮器、及び、圧力調整弁を、チャンバ本体の近くに配置することができない。例えば、蒸発器以外の冷却装置の機器は、チャンバ本体が配置される部屋の階とは別の階の部屋に配置される。したがって、蒸発器以外の冷却装置の機器とステージの冷媒流路とは長い流路を介して接続されなければならない。故に、冷却装置を備えた基板処理装置では、基板の温度を高速に制御することができない。即ち、基板の温度制御の応答性が低い。また、圧縮機の動作のために大きな電力を要する。かかる背景から、基板の温度制御の応答性に優れ、且つ、冷却装置の消費電力を低減させることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様においては、基板処理装置が提供される。基板処理装置は、チャンバ本体、ステージ、冷却装置、及び、ローカルループを備える。ステージは、チャンバ本体の内部空間の中に設けられている。ステージは、その上に載置される基板を支持するように構成されている。ステージの内部には冷媒流路が形成されている。冷却装置は、チャンバ本体の外部に設けられている。冷却装置は、圧縮機、凝縮器、第1の膨張弁、及び、蒸発器を含む冷却ループを有している。ローカルループは、冷却装置よりもチャンバ本体の近くに設けられている。ローカルループは、レシーバ、流速制御器、及び、蒸発圧力調整弁を有する。レシーバは、冷媒を貯留するよう構成されている。流速制御器は、レシーバと冷媒流路との間で接続されており、レシーバ内に貯留された冷媒の流速を調整して、当該冷媒を冷媒流路に供給するよう構成されている。蒸発圧力調整弁は、冷媒流路とレシーバとの間に接続されている。基板処理装置は、第1のバルブ、供給流路、第2のバルブ、第2の膨張弁、及び、排出流路を更に備える。第1のバルブは、冷却ループ内において、凝縮器と第1の膨張弁との間で接続されている。供給流路は、第1のバルブと凝縮器との間で冷却ループに接続された一端、及び、レシーバに接続された他端を有する。第2のバルブは、供給流路上に設けられている。第2の膨張弁は、供給流路上、且つ、第2のバルブとレシーバとの間に設けられている。排出流路は、蒸発圧力調整弁の出力側でローカルループに接続された一端、及び、第1の膨張弁と蒸発器との間で冷却ループに接続された他端を有する。
【0007】
一態様に係る基板処理装置では、冷却装置から供給流路を介してレシーバに冷媒を供給し、当該冷媒をレシーバ内に貯留することができる。この基板処理装置は、レシーバ内に貯留された冷媒を、チャンバ本体の近くに設けられたローカルループ内で循環させることができる。したがって、この基板処理装置は、基板の温度制御の高い応答性を有する。また、ローカルループ内で冷媒を循環させている期間中には、冷却装置の圧縮機の回転速度を低い回転速度に設定することができる。したがって、この基板処理装置は、冷却装置の消費電力を低減させることが可能である。
【0008】
一実施形態において、ステージは、冷媒流路への冷媒の入口、及び、冷媒流路からの冷媒の出口を有し、出口は入口よりもステージの外縁の近くに設けられている。冷媒流路は、入口から出口に近付くにつれてステージの上面に近付くように傾斜している。この実施形態によれば、冷媒流路内において発生した気体が、出口の近くに効率良く集められる。したがって、冷媒流路から効率よく気体を排出することができる。
【0009】
一実施形態では、出口は、冷媒流路内に設けられており、冷媒流路内の気体を液体に対して優先的に排出するように、冷媒流路を画成する下壁面よりも鉛直方向において高い位置に設けられている。この実施形態によれば、冷媒流路内の気体を、冷媒流路内の液体よりも優先的に排出することができる。
【0010】
一実施形態において、基板処理装置は、プラズマ処理装置である。ステージは、冷媒流路が形成された基台、及び、基台上に設けられた静電チャックを有する。一実施形態において、流速制御器は、圧縮機である。一実施形態において、第1のバルブ及び第2のバルブは、一つの三方弁によって提供されている。
【0011】
別の態様においては、上述した一態様又は実施形態のうち何れかの基板処理装置の運用方法が提供される。この運用方法は、(i)冷却装置から供給流路を介してレシーバに冷媒を供給する工程と、(ii)ステージ上に載置された基板が処理されている基板処理期間中に、ローカルループ内で冷媒を循環させる工程と、(iii)基板処理期間中に、冷却ループ内で冷媒を循環させる工程と、を含む。基板処理期間中の冷却装置の圧縮機の回転数は、冷媒を供給する工程の実行中の冷却装置の圧縮機の回転数よりも低い回転数に設定される。
【0012】
上記運用方法では、基板の処理中には、ローカルループ内での冷媒の循環により基板の温度が調整される。したがって、高い応答性で基板の温度制御が行われ得る。また、基板の処理中には、冷却装置の圧縮機の回転数が低い回転数に設定される。したがって、冷却装置の消費電力が低くなる。
【0013】
一実施形態では、チャンバ本体の内部空間とチャンバ本体の外部との間で基板が搬送されている期間中に、冷媒を供給する工程が実行される。即ち、基板が処理されていない期間中に、レシーバに冷媒が供給される。この実施形態によれば、基板処理が中断されることなく、レシーバに冷媒が補充される。したがって、基板処理のスループットが改善される。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、基板処理装置の基板の温度制御の応答性が高められ、且つ、冷却装置の消費電力が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態に係る基板処理装置を概略的に示す図である。
図2】一実施形態の基板処理装置のチャンバ本体、電源系、及び、ガス供給系を概略的に示す図である。
図3】ステージの冷媒流路の別の実施形態を示す図である。
図4】ステージの冷媒流路の別の実施形態を示す図である。
図5】一実施形態に係る基板処理装置の運用方法に関連するタイミングチャートである。
図6図6の(a)は、実験に用いた基板処理装置のステージの基台を示す平面図であり、図6の(b)は、図6の(a)に示すA−A線に沿ってとったステージの断面図である。
図7】実験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して種々の実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0017】
図1は、一実施形態に係る基板処理装置を概略的に示す図である。図1に示す基板処理装置10は、チャンバ本体12、ステージ14、冷却装置16、及び、ローカルループ17を備えている。基板処理装置10は、一実施形態では、プラズマ処理装置として構成されている。図2は、一実施形態の基板処理装置のチャンバ本体、電源系、及び、ガス供給系を概略的に示す図である。図2に示す一実施形態では、基板処理装置10は、容量結合型のプラズマ処理装置として構成されている。
【0018】
チャンバ本体12は、略円筒形状を有している。チャンバ本体12は、例えばアルミニウムから構成されている。チャンバ本体12は、接地電位に接続されている。チャンバ本体12の内壁面、即ち、内部空間12sを画成する壁面には、耐プラズマ性を有する膜が形成されている。この膜は、陽極酸化処理によって形成された膜、又は、酸化イットリウムから形成された膜といったセラミック製の膜であり得る。また、チャンバ本体12の側壁には通路12pが形成されている。基板Wが内部空間12sに搬入されるとき、また、基板Wが内部空間12sから搬出されるときに、基板Wは通路12pを通過する。この通路12pの開閉のために、ゲートバルブ12gがチャンバ本体12の側壁に沿って設けられている。
【0019】
内部空間12sの中では、支持部13が、チャンバ本体12の底部から上方に延在している。支持部13は、略円筒形状を有しており、石英といった絶縁材料から形成されている。ステージ14は、支持部13上に搭載されており、支持部13によって支持されている。ステージ14は、内部空間12sの中で基板Wを支持するように構成されている。ステージ14内には、冷媒流路14fが形成されている。一実施形態において、冷媒流路14fは、ステージ14の中心から外側に向けて渦巻状に延在する。
【0020】
一実施形態において、ステージ14は、基台20及び静電チャック22を含んでいる。一実施形態では、冷媒流路14fは、基台20内に形成されている。基台20は、アルミニウムといった導電性材料から形成されており、略円盤形状を有している。基台20は、下部電極を構成している。
【0021】
静電チャック22は、基台20の上面20tの上に設けられている。基台20の上面20tは、鉛直方向に直交する方向に延在する略平坦な面であり得る。静電チャック22は、絶縁体から形成された本体、及び、当該本体内に設けられた膜状の電極を有している。静電チャック22の電極には、直流電源が電気的に接続されている。直流電源から静電チャック22の電極に電圧が印加されると、静電チャック22上に載置された基板Wと静電チャック22との間で静電引力が発生する。発生した静電引力により、基板Wは、静電チャック22に引き付けられ、当該静電チャック22によって保持される。なお、基板処理装置10には、ガス供給機構からの伝熱ガス(例えばHeガス)を静電チャック22と基板Wの裏面(下面)との間に供給するガス供給ラインが設けられていてもよい。また、静電チャック22のエッジ及び基板Wのエッジを囲むように、フォーカスリングが配置されていてもよい。フォーカスリングは、例えばシリコンを含有する材料から形成される。
【0022】
一実施形態において、基板処理装置10は、上部電極30を更に備えている。上部電極30は、ステージ14の上方に設けられている。上部電極30は、部材32と共にチャンバ本体12の上部開口を閉じている。部材32は、絶縁性を有している。上部電極30は、この部材32を介してチャンバ本体12の上部に支持されている。後述するように第1の高周波電源51が基台20に電気的に接続されている場合には、上部電極30は、接地電位に接続される。
【0023】
上部電極30は、天板34及び支持体36を含んでいる。天板34の下面は、内部空間12sを画成している。天板34には、複数のガス吐出孔34aが設けられている。複数のガス吐出孔34aの各々は、天板34を板厚方向(鉛直方向)に貫通している。この天板34は、限定されるものではないが、例えばシリコンから形成されている。或いは、天板34は、アルミニウム製の母材の表面に耐プラズマ性の膜を設けた構造を有し得る。この膜は、陽極酸化処理によって形成された膜、又は、酸化イットリウムから形成された膜といったセラミック製の膜であり得る。
【0024】
支持体36は、天板34を着脱自在に支持する部品である。支持体36は、例えばアルミニウムといった導電性材料から形成され得る。支持体36の内部には、ガス拡散室36aが設けられている。ガス拡散室36aからは、複数のガス孔36bが下方に延びている。複数のガス孔36bは、複数のガス吐出孔34aにそれぞれ連通している。支持体36には、ガス拡散室36aにガスを導くガス導入口36cが形成されており、このガス導入口36cには、ガス供給管38が接続されている。
【0025】
ガス供給管38には、バルブ群42及び流量制御器群44を介して、ガスソース群40が接続されている。ガスソース群40は、複数のガスソースを含んでいる。バルブ群42は複数のバルブを含んでおり、流量制御器群44は複数の流量制御器を含んでいる。流量制御器群44の複数の流量制御器の各々は、マスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器である。ガスソース群40の複数のガスソースはそれぞれ、バルブ群42の対応のバルブ及び流量制御器群44の対応の流量制御器を介して、ガス供給管38に接続されている。
【0026】
支持部13とチャンバ本体12の側壁との間には、バッフルプレート46が設けられている。バッフルプレート46は、例えば、アルミニウム製の母材に酸化イットリウム等のセラミックを被覆することにより構成され得る。このバッフルプレート46には、多数の貫通孔が形成されている。バッフルプレート46の下方においては、排気管47がチャンバ本体12の底部に接続されている。この排気管47には、排気装置48が接続されている。排気装置48は、自動圧力制御弁といった圧力制御器、及び、ターボ分子ポンプなどの真空ポンプを有しており、内部空間12sを減圧することができる。
【0027】
一実施形態において、基板処理装置10は、第1の高周波電源51を更に備えている。第1の高周波電源51は、プラズマ生成用の第1の高周波を発生する電源である。第1の高周波は、27〜100MHzの範囲内の周波数、例えば60MHzの周波数を有する。第1の高周波電源51は、整合器53を介して、基台20に電気的に接続されている。整合器53は、第1の高周波電源51の出力インピーダンスと負荷側(下部電極側)のインピーダンスを整合させるための回路を有している。なお、第1の高周波電源51は、整合器53を介して、上部電極30に接続されていてもよい。
【0028】
一実施形態では、基板処理装置10は、第2の高周波電源52を更に備えていてもよい。第2の高周波電源52は、基板Wにイオンを引き込むためのバイアス用の第2の高周波を発生する電源である。第2の高周波の周波数は、第1の高周波の周波数よりも低い。第2の高周波の周波数は、400kHz〜13.56MHzの範囲内の周波数であり、例えば、400kHzである。第2の高周波電源52は、整合器54を介して基台20に電気的に接続されている。整合器54は、第2の高周波電源52の出力インピーダンスと負荷側(下部電極側)のインピーダンスを整合させるための回路を有している。
【0029】
一実施形態では、基板処理装置10は、制御部MCを更に備え得る。制御部MCは、プロセッサ、記憶装置、入力装置、表示装置等を備えるコンピュータであり、基板処理装置10の各部を制御する。具体的に、制御部MCは、記憶装置に記憶されている制御プログラムを実行し、当該記憶装置に記憶されているレシピデータに基づいて基板処理装置10の各部を制御する。これにより、基板処理装置10は、レシピデータによって指定されたプロセスを実行するようになっている。
【0030】
図1に示すように、冷却装置16は、冷却ループ16pを有する。冷却ループ16pは、圧縮機61、凝縮器62、膨張弁63(第1の膨張弁)、及び、蒸発器64から構成されている。圧縮機61は、蒸発器64からの冷媒を圧縮する機器である。圧縮機61によって圧縮された冷媒は、凝縮器62に供給される。凝縮器62は、圧縮機61から供給された冷媒を凝縮させる機器である。凝縮器62には、冷却水が供給される。凝縮器62では、冷却水と圧縮機61からの冷媒との間の熱交換により、当該冷媒が凝縮される。凝縮器62において凝縮された冷媒は、バルブ65(第1のバルブ)を介して、膨張弁63に供給される。膨張弁63では、凝縮器62からの冷媒の圧力が減圧される。膨張弁63によってその圧力が減圧された冷媒は、蒸発器64に供給される。なお、バルブ65は、開閉バルブであり得る。バルブ65は、冷却ループ16p内で冷媒を循環させる場合に、開かれる。一方、バルブ65は、冷却ループ16p内で冷媒を循環させない場合に、閉じられる。
【0031】
ローカルループ17は、冷却装置16よりもチャンバ本体12の近くに設けられている。ローカルループ17は、レシーバ71、流速制御器72、及び、蒸発圧力調整弁73を含んでいる。レシーバ71は、冷媒を貯留するように構成された容器である。流速制御器72は、レシーバ71と冷媒流路14fへの冷媒の入口との間で接続されている。流速制御器72は、レシーバ71に貯留されている冷媒を受け、当該冷媒の流速を制御して、当該冷媒を冷媒流路14fに供給するように構成されている。一例では、流速制御器72は、圧縮機であり得る。蒸発圧力調整弁73は、冷媒流路14fからの冷媒の出口とレシーバ71との間で接続されている。
【0032】
ローカルループ17は、レシーバ71に貯留されている冷媒を当該ローカルループ17内で循環させることにより、ステージ14(基台20)を冷却し、当該ステージ14上に載置された基板Wを冷却するようになっている。ステージ14の温度は、流速制御器72によって出力される冷媒の流速が増加すると高くなり、当該冷媒の流速が低くなると、低くなる。流速制御器72が圧縮機である場合には、ステージ14の温度は、流速制御器72の回転数が高くなると高くなり、流速制御器72の回転数が低くなると低くなる。
【0033】
基板処理装置10は、供給流路80、バルブ82(第2のバルブ)、膨張弁84(第2の膨張弁)、及び、排出流路86を更に備えている。供給流路80の一端は、凝縮器62とバルブ65との間で、冷却ループ16pの流路に接続されている。供給流路80の他端は、レシーバ71に接続されている。供給流路80は、例えば、一以上の配管によって提供される。バルブ82は、供給流路80上に設けられている。バルブ82は、開閉バルブであり得る。バルブ82は、冷却装置16から冷媒をレシーバ71に供給する場合に、開かれる。バルブ82は、冷却装置16からレシーバ71に冷媒を供給しない場合に、閉じられる。バルブ82と上述のバルブ65は、排他的に動作する。即ち、バルブ82が開かれているときには、バルブ65は閉じられ、バルブ82が閉じられているときには、バルブ65は開かれる。バルブ82とバルブ65は、独立した二方弁であってもよい。或いは、一つの三方弁V3によって、バルブ82とバルブ65が構成されていてもよい。
【0034】
膨張弁84は、バルブ82とレシーバ71との間に設けられている。レシーバ71には液量計75が設けられている。液量計75は、レシーバ71内の液量を表す測定値を取得するよう構成されている。液量計75の測定値から冷媒をレシーバ71に補充すべきと判断される場合には、制御部MCの制御によってバルブ82等が制御されて、冷却装置16から冷媒がレシーバ71に供給される。
【0035】
排出流路86は、一以上の配管によって提供されている。排出流路86の一端は、蒸発圧力調整弁73の出力側でローカルループ17に接続されている。即ち、排出流路86の一端は、蒸発圧力調整弁73とレシーバ71との間でローカルループ17の流路に接続されている。排出流路86の他端は、膨張弁63と蒸発器64との間で冷却ループ16pの流路に接続されている。蒸発圧力調整弁73からの気体(冷媒)は、排出流路86を介して冷却ループ16pに排出される。一方、蒸発圧力調整弁73からの液体(冷媒)は、レシーバ71に戻される。
【0036】
基板処理装置10では、冷却装置16から供給流路80を介してレシーバ71に冷媒を供給し、当該冷媒をレシーバ71内に貯留することができる。基板処理装置10は、レシーバ71内に貯留された冷媒を、チャンバ本体12の近くに設けられたローカルループ17内で循環させることができる。したがって、基板処理装置は、基板Wの温度制御の高い応答性を有する。また、ローカルループ17内で冷媒を循環させている期間中には、冷却装置16の圧縮機61の回転速度を低い回転速度に設定することができる。したがって、冷却装置16の消費電力を低減させることが可能である。
【0037】
以下、ステージ14の冷媒流路14fに関する種々の実施形態について説明する。図3及び図4は、ステージの冷媒流路の別の実施形態を示す図である。図3に示すステージ14の冷媒流路14fは、基台20内に形成されており、ステージ14の中心から外縁に向けて渦巻状に延在している。ステージ14は、入口14i及び出口14eを有している。入口14iは、冷媒流路14fへの冷媒の入口である。出口14eは、冷媒流路14fからの冷媒の出口である。出口14eは、入口14iよりもステージ14の外縁の近くに設けられている。図3に示すステージ14の冷媒流路14fは、入口14iから出口14eに近付くにつれて、ステージ14の上面又は基台20の上面20tに近付くように傾斜している。なお、冷媒流路14fが入口14iから出口14eに近付くにつれて、当該冷媒流路14fを画成する壁面のうち上壁面14uがステージ14の上面又は基台20の上面20tに近付くように傾斜していればよい。
【0038】
図3に示すステージ14では、出口14eは、冷媒流路14f内に設けられており、冷媒流路14f内の気体を液体に対して優先的に排出するように、冷媒流路14fを画成する下壁面14bよりも鉛直方向において高い位置に設けられている。
【0039】
図4に示すステージ14の冷媒流路14fは、基台20内に形成されている。図4に示すステージ14の冷媒流路14fは、渦巻形状を有しておらず、鉛直方向に視た場合の当該冷媒流路14fの平面形状は、略円形になっている。冷媒流路14fへの冷媒の入口14iは、ステージ14の中心付近で、冷媒流路14fに接続している。図4に示すステージ14には、冷媒流路14fからの冷媒の複数の出口14eを有している。複数の出口14eは、入口14iよりもステージ14の外縁の近くに設けられている。図4に示すステージ14の冷媒流路14fも、入口14iから複数の出口14eに近付くにつれて、ステージ14の上面又は基台20の上面20tに近付くように傾斜している。なお、冷媒流路14fが入口14iから複数の出口14eに近付くにつれて、当該冷媒流路14fを画成する壁面のうち上壁面14uがステージ14の上面又は基台20の上面20tに近付くように傾斜していればよい。
【0040】
図4に示すステージ14では、複数の出口14eは、冷媒流路14f内に設けられており、冷媒流路14f内の気体を液体に対して優先的に排出するように、冷媒流路14fを画成する下壁面14bよりも鉛直方向において高い位置に設けられている。
【0041】
図3及び図4に示すステージ14によれば、冷媒流路14f内において発生した気体が、出口14eの近くに効率良く集められる。したがって、冷媒流路14fから効率よく気体を排出することができる。また、冷媒流路14f内の気体を、当該冷媒流路14f内の液体よりも優先的に出口14eから排出することができる。
【0042】
以下、一実施形態に係る基板処理装置10の運用方法について説明する。図5は、一実施形態に係る基板処理装置の運用方法に関連するタイミングチャートである。図5のタイミングチャートにおいて、横軸は時間を表している。図5のタイミングチャートにおいて、縦軸は、圧縮機61の回転数、バルブ65の開閉、バルブ82の開閉、レシーバの液量、流速制御器の流速(即ち、流速制御器72から出力される冷媒の流速)、静電チャックの温度、及び、プラズマの状態を示している。圧縮機61の回転数に関する「H」は、圧縮機61の回転数が高いことを示しており、圧縮機61の回転数に関する「L」は、圧縮機61の回転数が低いことを示している。レシーバ71の液量に関する「H」は、レシーバ71の液量が多いことを示しており、レシーバの液量に関する「L」は、レシーバ71の液量が少ないことを示している。流速制御器の流速に関する「H」は、流速制御器72から出力される冷媒の流速が高いことを示しており、流速制御器の流速に関する「L」は、流速制御器72から出力される冷媒の流速が低いことを示している。静電チャックの温度に関する「H」は、静電チャック22の温度が高いことを示しており、静電チャックの温度に関する「L」は、静電チャック22の温度が低いことを示している。また、プラズマの状態に関する「ON」は、チャンバ本体12の内部空間12sでプラズマが生成されていることを示しており、プラズマの状態に関する「OFF」は、チャンバ本体12の内部空間12sでプラズマが生成されていないことを示している。なお、プラズマの状態がONである期間中には、基板Wが静電チャック22上に載置されている状態でプラズマが生成されており、当該プラズマによって基板が処理されている。また、一実施形態に係る基板処理装置10の運用方法では、膨張弁63の開度、膨張弁84の開度、及び、蒸発圧力調整弁73の開度の各々は固定され得る。また、この運用方法は、制御部MCによる基板処理装置10の各部の制御により、実行され得る。
【0043】
図5に示すように、運用方法では、期間P1中に基板処理装置10はアイドル動作状態にある。期間P1では、冷却装置16のバルブ65は開かれており、圧縮機61の回転数は低い回転数に設定される。期間P1では、バルブ82は閉じられている。期間P1のアイドル動作状態では、冷却装置16の冷却ループ16p内で冷媒が循環される。また、期間P1のアイドル動作状態では、圧縮機61の回転数が低い回転数に設定される。したがって、冷却装置16の消費電力が低減される。
【0044】
続く期間P2では、レシーバ71内に冷媒が溜められる。期間P2では、バルブ65が閉じられ、バルブ82が開かれる。また、期間P2では、圧縮機61の回転数が高い回転数に設定される。期間P2では、冷却装置16から供給流路80を介して冷媒がレシーバ71に供給される。レシーバ71に供給された冷媒は、レシーバ71内で貯留される。
【0045】
続く期間P3では、基板処理装置10はアイドル動作状態にある。但し、期間P3では、後続の期間P4において処理される基板が、チャンバ本体12の内部空間12sに搬送されて、静電チャック22上に載置される。期間P3では、冷却装置16のバルブ65は開かれており、圧縮機61の回転数は低い回転数に設定される。期間P3のアイドル動作状態では、冷却装置16の冷却ループ16p内で冷媒が循環される。また、期間P3のアイドル動作状態では、圧縮機61の回転数が低い回転数に設定される。したがって、冷却装置16の消費電力が低減される。
【0046】
続く期間P4は、基板処理期間である。期間P4では、内部空間12sの中で基板Wが基板処理装置10によって処理される。期間P4では、圧縮機61の回転数は低い回転数に設定され、バルブ65は開かれ、バルブ82は閉じられる。期間P4では、ローカルループ17内で、冷媒が循環される(工程ST1)。また、期間P4では、冷却ループ16p内でも冷媒が循環される(工程ST2)。期間P4では、流速制御器72によって冷媒流路14fに供給される冷媒の速度が制御される。冷媒の速度は、静電チャック22の温度、ひいては基板Wの温度が設定温度に一致するか又は近付くように調整される。例えば、冷媒の速度は、温度センサによって測定された静電チャック22の温度又は基板Wの温度と設定温度との間の差を減少させるように、調整される。期間P4では、チャンバ本体12の内部空間12sの中でプラズマが生成される。一実施形態の基板処理装置10では、内部空間12sに処理ガスが供給され、内部空間12sが設定圧力に減圧され、第1の高周波が供給されることにより当該処理ガスが励起される。なお、必要に応じて第2の高周波が基台20に供給されてもよい。期間P4では、内部空間12sの中で生成されたプラズマ中のイオン又はラジカルにより、基板Wが処理される。期間P4では、冷媒流路14fにおいて蒸発した冷媒(気体)が、排出流路86を介して冷却ループ16pに戻される。したがって、期間P4では、レシーバ71内の冷媒の量が徐々に減少する。
【0047】
続く期間P5では、レシーバ71に冷媒が供給される(工程ST3)。即ち、期間P5では、レシーバ71に冷媒が補充される。期間P5では、バルブ65が閉じられ、バルブ82が開かれる。また、期間P5では、圧縮機61の回転数が高い回転数に設定される。期間P5では、冷却装置16から供給流路80を介して冷媒がレシーバ71に供給される。したがって、期間P5では、レシーバ71内の冷媒の量が増加する。
【0048】
期間P6において別の基板Wを処理するために、期間P5では、期間P4において処理された基板Wがチャンバ本体12の内部空間12sから搬出される。そして、期間P5では、別の基板Wがチャンバ本体12の内部空間12sに搬入され、静電チャック22上に載置される。即ち、期間P5は、内部空間12sとチャンバ本体12の外部との間で基板が搬送される期間である。運用方法では、この期間P5中に冷媒がレシーバ71に供給される。そして、運用方法では、期間P6において、当該別の基板に対する処理が行われる。
【0049】
上述した運用方法では、基板Wが処理されている期間(例えば、期間P4)中に、ローカルループ17内での冷媒の循環により基板Wの温度が調整される。したがって、高い応答性で基板Wの温度制御が行われ得る。また、基板Wが処理されている期間(例えば、期間P4)中には、圧縮機61の回転数が、冷却装置16からレシーバ71に冷媒が供給される期間(例えば期間P5)中の圧縮機61の回転数よりも低い回転数に設定される。したがって、冷却装置16の消費電力が低くなる。
【0050】
また、上述した運用方法では、基板が搬送される期間(例えば、期間P5)中に、冷却装置16からレシーバ71に冷媒が供給される。即ち、基板が処理されていない期間中に、レシーバ71に冷媒が供給される。したがって、基板処理が中断されることなく、レシーバ71に冷媒が補充される。故に、基板処理のスループットが改善される。なお、基板処理中であっても液量計75の測定値が閾値以下となった場合には、冷却装置16からレシーバ71に冷媒が供給されてもよい。
【0051】
以上、種々の実施形態について説明してきたが、上述した実施形態に限定されることなく種々の変形態様を構成可能である。例えば、上述した基板処理装置10は容量結合型のプラズマ処理装置であるが、変形態様に係る基板処理装置は誘導結合型のプラズマ処理装置、マイクロ波といった表面波を用いてプラズマを生成するプラズマ処理装置といった任意のプラズマ処理装置であってもよい。また、変形態様においては、基板処理装置は、任意の基板処理を実行する基板処理装置であってもよい。
【0052】
以下、基板処理装置10の評価のために行った実験について説明する。図6の(a)は、実験に用いた基板処理装置のステージの基台を示す平面図であり、図6の(b)は、図6の(a)に示すA−A線に沿ってとったステージの断面図である。実験では、ステージ14に代えて、図6の(a)及び図6の(b)に示すステージ14Eを有する点のみにおいて基板処理装置10と異なる基板処理装置を用いた。
【0053】
ステージ14Eは、基台20E及び静電チャック22Eを有している。基台20E及び静電チャック22Eは、鉛直方向(Z方向)に視た場合に矩形の平面形状を有する。基台20Eは、Z方向に視た場合に矩形の平面形状を有する冷媒流路14fを有する。冷媒流路14f内には、複数の支柱14cがX方向及びY方向に沿って等間隔に配列されている。なお、X方向及びY方向は互いに直交する方向であり、Z方向に直交する方向である。ステージ14では、冷媒流路14fのX方向における一方側に四つの入口14iが設けられており、他方側に四つの出口14eが設けられている。出口14eは、冷媒流路14fの下壁面14bよりもZ方向において高い位置に設けられている。
【0054】
実験では下記の第1〜第6の条件の各々の下で、基台20Eの上面20t内の六つの測定点M1〜M6の温度を測定した。なお、第1〜第6の条件におけるθは、冷媒流路14fが水平方向に対してなす角度であり、冷媒流路14fの傾きを表す。正の値を有するθは、冷媒流路14fがX方向に沿って入口14iから出口14eに近付くにつれて基台20Eの上面20tに近付くように傾斜していたことを表す。また、第1〜第6の条件における入熱はプラズマからステージ14への入熱を示し、その単位はワットである。
【0055】
<第1の条件>
θ:0(°)
入熱:1050(W)
流速制御器72(圧縮機)の回転数:0(rpm)
<第2の条件>
θ:5(°)
入熱:1050(W)
流速制御器72(圧縮機)の回転数:0(rpm)
<第3の条件>
θ:0(°)
入熱:1050(W)
流速制御器72(圧縮機)の回転数:1000(rpm)
<第4の条件>
θ:0(°)
入熱:1050(W)
流速制御器72(圧縮機)の回転数:2000(rpm)
<第5の条件>
θ:0(°)
入熱:1050(W)
流速制御器72(圧縮機)の回転数:4000(rpm)
<第6の条件>
θ:0(°)
入熱:0(W)
流速制御器72(圧縮機)の回転数:0(rpm)
【0056】
図7に実験の結果を示す。図7のグラフにおいて、横軸は、測定点M1〜M6を示している。図7のグラフにおいて、縦軸は、測定点での基台20Eの温度を示している。第6の条件では、ステージ14に入熱がないので、冷媒流路14fに傾斜がなく、且つ、流速制御器72の回転数が0(rpm)であっても、図7に示すように、測定点M1〜M6の全ての温度が、低く、略同等になっていた。
【0057】
第1の条件では、ステージ14に入熱があり、冷媒流路14fに傾斜がなく、且つ、流速制御器72の回転数が0(rpm)であったので、図7に示すように、測定点M1〜M6の全ての温度が、比較的高くなっていた。第2の条件では、ステージ14に入熱があり、流速制御器72の回転数が0(rpm)であったが、冷媒流路14fが傾斜していたため、第1の条件での測定点M1〜M6の温度に比べて、測定点M1〜M6の全ての温度が低くなっていた。但し、第2の条件では、測定点M6の温度が相対的に高くなっていた。これは、測定点M6の近傍、即ち、出口14eの近傍では、冷媒流路14fに気泡が滞留していたことに原因があるものと推測される。
【0058】
第3〜第5の条件の各々では、ステージ14に入熱があり、冷媒流路14fに傾斜がないものの、流速制御器72を作動させたので、測定点M1〜M6の全ての温度が比較的低く、且つ、略同等になっていた。また、流速制御器72の回転数が高いほど測定点M1〜M6の温度が高くなっていた。
【0059】
実験の結果から、冷媒流路14fが入口14iから出口14eに近付くにつれてステージ14の上面(基台の上面)に近付くように形成されたステージ14を用い、流速制御器72を作動させることにより、出口14eの近傍の冷媒流路14f内での気泡の滞留を抑制することができ、ステージ14の全面(基台の上面の全面)の温度を、均一且つ低い温度に設定することが可能であるもとの考えられる。
【符号の説明】
【0060】
10…基板処理装置、12…チャンバ本体、12s…内部空間、14…ステージ、20…基台、20t…上面、22…静電チャック、14f…冷媒流路、14i…入口、14e…出口、14b…下壁面、14u…上壁面、16…冷却装置、16p…冷却ループ、17…ローカルループ、61…圧縮機、62…凝縮器、63…膨張弁、64…蒸発器、65…バルブ、71…レシーバ、72…流速制御器、73…蒸発圧力調整弁、80…供給流路、82…バルブ、84…膨張弁、86…排出流路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7