(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記軸受部材は、導入溝を有する中間部材を有し、前記中間部材は、軸線回りに回動可能、且つ軸線方向に移動可能に前記軸部材を保持している請求項1に記載の端部部材。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下本発明を図面に示す形態に基づき説明する。ただし本発明はこれら形態に限定されるものではない。
【0030】
図1は第一の形態を説明する図で、プロセスカートリッジ3、及び該プロセスカートリッジ3を装着して使用する画像形成装置本体2(以下、「装置本体2」と記載することがある。)を有する画像形成装置1を模式的に示した分解斜視図である。プロセスカートリッジ3は、
図1に矢印C
1で示したように移動させることにより装置本体2に装着し、及び離脱させることができる。
【0031】
図2には
図1に示した装置本体2のうち、駆動軸70及びガイド2aの部分に注目した図を表した。
図1、
図2からわかるように、装置本体2には、プロセスカートリッジ3の着脱をガイドする溝であるガイド2aが設けられており、その奥側端部には駆動軸70が突出している。駆動軸70の形態については後で詳しく説明するが、駆動軸はガイド2aの底面からガイド2aの深さ方向に突出する(ガイド2aの長手方向に対して直交するように突出している。
【0032】
一方、
図3にはプロセスカートリッジ3の外観を示した。
図3(a)はプロセスカートリッジ3を平面視した図(装置本体2に装着する際に上となる面が表れた図)、
図3(b)はプロセスカートリッジ3を底面側(平面視とは反対側)から見た斜視図である。特に
図3(b)からわかるように、プロセスカートリッジ3の側面からは、端部部材30のうち軸部材50が突出するように配置されている。これにより後述するように装置本体2側の駆動軸70と軸部材50とが係合して回転力が伝達される。より詳しくは後で説明する。
また、プロセスカートリッジ3の筐体3aには操作部3bが設けられており、特にプロセスカートリッジ3を装置本体2から離脱させる際に使用者はここを掴んだり、複数の指を引っ掛けたりして操作するように構成されている。そのため操作部3bは、凸状に形成してもよく、逆に凹状に形成してもよい。
【0033】
図4には、プロセスカートリッジ3の1つの例の内部構造を模式的に表した。
図4からわかるようにプロセスカートリッジ3は、筐体3aの内側に感光体ドラムユニット10(
図5参照)、帯電ローラユニット4、現像ローラユニット5、規制部材6、及びクリーニングブレード7を内包している。プロセスカートリッジ3を装置本体2に装着した姿勢で、紙等の記録媒体が
図4にC
4で示した線に沿って移動することにより、当該記録媒体に画像が転写される。
【0034】
プロセスカートリッジ3の装置本体2への着脱は概ね次のように行われる。プロセスカートリッジ3に備えられる感光体ドラムユニット10は、装置本体2から回転駆動力を受けて回転することから、少なくとも作動時には装置本体2の駆動軸70と感光体ドラムユニット10の端部部材30のうち軸部材50とが係合して回転力を伝達できる状態にある(例えば
図19参照)。
一方、プロセスカートリッジ3の装置本体2に対する着脱時には、駆動軸70と端部部材30とが、その姿勢によらずお互いに他方側の移動を阻害しないように速やかに係合及び離脱が行われる必要がある。
このように、装置本体2の駆動軸70には感光体ドラムユニット10の端部部材30が適切に係合して回転駆動力が伝達される。
以下、各構成について説明する。
【0035】
プロセスカートリッジ3には、帯電ローラユニット4、現像ローラユニット5、規制部材6、クリーニングブレード7、及び感光体ドラムユニット10が備えられ、これらが筐体3aの内側に内包されている。それぞれは次のようなものである。
【0036】
帯電ローラユニット4は、装置本体2からの電圧印加により感光体ドラムユニット10の感光体ドラム11を帯電させる。これは、当該帯電ローラユニット4が感光体ドラム11に追随して回転し、感光体ドラム11の外周面に接触することにより行われる。
現像ローラユニット5は、感光体ドラム11に現像剤を供給する現像ローラを具備する。そして、当該現像ローラユニット5により、感光体ドラム11に形成された静電潜像が現像される。なお現像ローラユニット5には、固定磁石が内蔵されている。
規制部材6は、上記した現像ローラユニット5の現像ローラ外周面に付着する現像剤の量を調整するとともに、現像剤自体に摩擦帯電電荷を付与する部材である。
クリーニングブレード7は、感光体ドラム11の外周面に接触してその先端により転写後に残存した現像剤を除去するブレードである。
【0037】
感光体ドラムユニット10は、感光体ドラム11を備え、ここに記録媒体に転写すべき文字や図形等が形成される。
図5に感光体ドラムユニット10の外観斜視図を示した。
図5からわかるように感光体ドラムユニット10は、感光体ドラム11、フタ材20、及び端部部材30を備えている。
【0038】
感光体ドラム11は、円柱状回転体である基体の外周面に感光層を被覆した部材である。当該感光層に、紙等の記録媒体に転写すべき文字や図形等が形成される。
基体はアルミニウム、又はアルミニウム合金による導電性材料が円筒形状に形成されたものである。基体に用いられるアルミニウム合金の種類は特に限定されないが、感光体ドラムの基体として用いられることが多いJIS規格(JIS H 4140)で定められる6000系、5000系、3000系のアルミニウム合金であることが好ましい。
また、基体の外周面に形成される感光層は特に限定されることはなく、その目的に応じて公知のものを適用することができる。
基体は、切削加工、押し出し加工、引き抜き加工等により円筒形状を形成することにより製造することができる。そして基体の外周面に感光層を塗布する等して積層して感光体ドラム11を作製することが可能である。
【0039】
感光体ドラム11の一端には後述するように該感光体ドラム11をその軸線中心に回転させるために少なくとも2つの端部部材が取り付けられる。一方の端部部材がフタ材20であり、他方の端部部材が端部部材30である。
【0040】
フタ材20は感光体ドラム11の軸線方向端部のうち、装置本体2の駆動軸70が係合しない側の端部に配置される端部部材である。フタ材20は樹脂により形成されており、感光体ドラム11の円筒内側に嵌合される嵌合部と、感光体ドラム11の一方の端面を覆うように配置される軸受部とが同軸に形成されている。軸受部は、感光体ドラム11の端面を覆う円板状であるとともに、筐体3aに設けられた軸を受ける部位を具備する。また、フタ材20には、導電性材料からなるアース板が配置され、これにより感光体ドラム11と装置本体2とを電気的に接続させている。
なお、本形態ではフタ材の一例を表したがこれに限定されず、通常取り得る他の形態のフタ材を適用することも可能である。例えばフタ材に回転力伝達のための歯車が配置されてもよい。
また上記導電性材料は端部部材30側に設けられてもよい。
【0041】
端部部材30は、感光体ドラム11の端部のうち上記フタ材20とは反対側の端部に取り付けられる部材であり、軸受部材40及び軸部材50を備えている。
図6に端部部材30の斜視図、
図5に端部部材30の分解斜視図を示した。
【0042】
軸受部材40は、端部部材30のうち感光体ドラム11の端部に接合される部材である。
図8(a)には軸受部材40の斜視図、
図8(b)には軸受部材40のうち、軸部材50を挿入する側から見た平面図を表した。さらに
図9(a)は
図8(b)にC
9a−C
9aで示した線に沿った断面図、
図9(b)は
図8(b)にC
9b−C
9bで示した線に沿った断面図である。なお、以下に示す各図では、断面図における端面(切断面)はハッチングをして表すことがある。
【0043】
軸受部材40は、
図6〜
図9よりわかるように、筒状体41、接触壁42、嵌合部43、歯車部44、及び軸部材保持部45を有して構成されている。
【0044】
筒状体41は、全体として円筒状の部材であり、その外側に接触壁42及び歯車部44が配置され、その内側に軸部材保持部45が形成されている。
【0045】
筒状体41の外周面の一部からは感光体ドラム11の端面に接触して係止する接触壁42が立設している。これにより端部部材30を感光体ドラム11に装着した姿勢で端部部材30の感光体ドラム11への挿入深さが規制される。
また、筒状体41のうち接触壁42を挟んで一方側が感光体ドラム11の内側に挿入される嵌合部43となっている。嵌合部43が感光体ドラム11の内側に挿入され、接着剤により感光体ドラム11の内面に固定される。これにより端部部材30が感光体ドラム11の端部に固定される。従って、嵌合部43の外径は、感光体ドラム11の円筒形状の内側に挿入可能な範囲で、感光体ドラム11の内径と概ね同じである。嵌合部43には外周面に溝が形成されてもよい。これにより当該溝に接着剤が充填され、アンカー効果等により筒状体41(端部部材30)と感光体ドラム11との接着性が向上する。
【0046】
接触壁42を挟んで嵌合部43とは反対側の筒状体41の外周面には歯車部44が形成されている。歯車部44は、現像ローラユニット等の他の部材に回転力を伝達する歯車で、本形態でははす歯歯車が配置してある。ただし歯車の種類は特に限定されることはなく、平歯車が配置されていたり、両者が筒状体の軸線方向に沿って並べて配置されていたりしてもよい。また歯車は必ずしも設けられている必要もない。
【0047】
軸部材保持部45は、筒状体41の内側に形成され、軸部材50を軸受部材40に保持する機能を有する部位である。軸部材保持部45は、
図8(a)〜
図9(b)よりわかるように、回動軸保持部材46、支持部材47、及びガイド壁48を有している。
【0048】
回動軸保持部材46は、筒状体41の内側を塞ぐように形成された板状の部材であるが、筒状体41の軸線と同軸に孔46aが形成されている。この孔46aは後述するように回動軸51(
図10参照)が貫通するので、該回動軸51が貫通することができる大きさ及び形状とされている。ただし、回動軸51が抜けてしまうことを防止するため、回動軸51の本体52のみは貫通できるが、突起53が配置された部位は貫通することができないように形成されている。回動軸51の安定した移動の観点から、孔46aは回動軸51の軸線方向の移動を大きく阻害しない範囲で回動軸51の本体52の外周と概ね同じ形状及び大きさであることが好ましい。
また、回動軸保持部材46には、孔46aから2つのスリット46bが延びている。この2つのスリット46bは孔46aの軸線を挟んで対称位置に設けられている。またスリット46bの大きさ及び形状は、該スリット46bを回動軸51(
図10参照)の突起53が貫通することができるように形成されている。
【0049】
支持部材47は、回動軸保持部材46よりも嵌合部43側に設けられ、筒状体41の内側の少なくとも一部を塞ぐように形成された板状の部材である。支持部材47は、少なくとも後述する回動軸用弾性部材63を支持できる大きさに形成されている。
【0050】
ガイド壁48は、回動軸保持部材46の孔46aの縁から筒状体41の軸線方向に平行に延び、その端部が支持部材47に接続している筒状の部材である。本形態でガイド壁48の内側の断面形状は孔46aと同じとされている。ただし後述するように、このガイド壁48の内側には回動軸51の本体52が挿入され該回動軸51が軸線方向に移動するので、当該移動が可能な形状及び大きさに形成されている。
また、ガイド壁48にはスリット48aが形成されている。
図9(a)、
図9(b)には分かり易さのためスリット48aが延びる方向を点線で表している。スリット48aはその長手方向一端側が回動軸保持部材46のスリット46bに通じ、筒状体41の軸線に平行に延び、支持部材47に達した後、Uターンするように軸線方向に平行に延び、その端部(他端側)が回動軸保持部材46に達している。従って当該他端側は回動軸保持部材46により塞がれている。スリット48aのスリット幅はスリット48a内を回動軸51(
図8参照)の突起53が移動できるように形成されている。
【0051】
軸受部材40を構成する材料は特に限定されることはないが、ポリアセタール、ポリカーボネート、PPS等の樹脂や金属を用いることができる。ここで、樹脂を用いる場合には部材の剛性を向上させるために、負荷トルクに応じて樹脂中にガラス繊維、カーボン繊維等を配合してもよい。また、軸部材の取り付けや移動を円滑にするために、樹脂にフッ素、ポリエチレン、及びシリコンゴムの少なくとも1種類を含有して摺動性を向上させてもよい。また、樹脂をフッ素コーティングしたり、潤滑剤を塗布してもよい。
金属で作製する場合は、切削による削り出し、アルミダイキャスト、亜鉛ダイキャスト、金属粉末射出成形法(いわゆるMIM法)、金属粉末焼結積層法(いわゆる3Dプリンタ)などを用いることができる。また、金属の材質は問わず、鉄、ステンレス、アルミニウム、真鍮、銅、亜鉛やこれらの合金等を用いてもよい。また、各種メッキを施して表面に機能性(潤滑性や耐腐食性など)を向上させることができる。
【0052】
図6、
図7に戻り、端部部材30のうち軸部材50について説明する。軸部材50は、
図7からわかるように、回動軸51、回転力受け部材55、及び規制部材59を備えている。さらに軸部材50は回動軸用弾性部材63、規制部材用弾性部材64、及びピン65を具備している。本形態の回動軸用弾性部材63、及び規制部材用弾性部材64はいずれも弦巻バネである。
以下にそれぞれについて説明する。
【0053】
回動軸51は、回転力受け部材55が受けた回転力を軸受部材40に伝達する回転力伝達部として機能する軸状部材である。
図10(a)に回動軸51の斜視図、
図10(b)に
図10(a)にC
10b−C
10bで示した線を含む軸線方向断面図をそれぞれ示した。
【0054】
図10(a)、
図10(b)からわかるように、回動軸51は円筒状の本体52を有し、円筒の内部には該内部を閉鎖するように仕切り部52aが設けられている。従って、本体52の内側には仕切り部52aを挟んで一方と他方に凹部52b、52cが形成されている。
本体52の一方の端部のうちその外側には2つの突起53が配置されている。2つの突起53は、軸線を挟んで反対側になるように、本体52の円筒の1つの直径方向の同一線上に設けられている。この2つの突起53は後述するように回動軸51を軸受部材40に保持するとともに該本体52の移動を規制する機能を有する。
また、回動軸51には、円筒の軸線に直交し円筒の1つの直径方向に配置された内外を貫通する2つの孔52dが形成されている。この孔52dには後で説明するようにピン65(
図7参照)が通され、規制部材59を保持するとともに該規制部材59の移動を規制する。
さらに本体52の端面のうち、凹部52b側の端面(突起53側とは反対側に形成される端面)には、凹部52bの開口部を縁取るように円筒を延長する方向(軸線に平行な方向)に突出する環状のレール突起54が設けられている。このレール突起54は後述するように回転力受け部材55の回動をガイドするレールとして機能する。
【0055】
ここでは1つの例の回動軸51について説明したが、回動軸は後述するように作動して機能を発揮することができればその形状は回動軸51に限定されない。例えば回動軸用弾性部材63と規制部材用弾性部材64とを2段バネで形成することにより回動軸51の仕切り部52aは必要なくなる。また、回転力受け部材55は基本的に後述するように規制部材59により軸線周りの回転は確保されるので、必ずしもレール突起54は設ける必要はない。
【0056】
回転力受け部材55は、端部部材30が所定の姿勢となったときに、装置本体2(
図1、
図2参照)からの回転駆動力を受けて回動軸51に当該駆動力を伝達する部材である。
図11(a)には回転力受け部材55の斜視図、
図11(b)には
図11(a)に矢印C
11bで示した方向から見た回転力受け部材55の平面図、及び
図11(c)には、
図11(b)にC
11c−C
11cで示した線による断面図をそれぞれ表した。
【0057】
図6、
図7及び
図11(a)〜
図11(c)よりわかるように、回転力受け部材55は、円筒状の基部56及び基部56の一方の端部から立設された2つの係合部材58を有して構成されている。
基部56は円筒状であり、その一端側の開口部には、該開口部が狭められるように環状の片56aが設けられている。この片56aのうち基部56とは反対側となる面には環状の窪みであるガイド56bが形成されている。当該ガイド56bは上記した回動軸51のレール突起54(
図10(b)参照)に載置されて基部56の回動をガイドする。
また、該片56aのうち基部56の内側の面には対向するように2つの突起57が設けられている。ここでは2つの突起57が設けられた例を示したが、突起は少なくとも2つ設けられていればよく3つ以上であってもよい。なお、これら突起は軸線を中心に等間隔で設けられていることが好ましい。
なおレール突起54で説明した通りガイド56bは、必ずしも設けられる必要はない。
【0058】
2つの係合部材58は、基部56のうち片56aが設けられた側とは反対側の端部に配置され、基部56の軸線から同じ距離離隔し、両者は当該軸線を挟んで対称位置に配置されている。2つの係合部材58の間隔は、後で説明する駆動軸70(
図18(a)参照)の軸部71の直径と概ね同じ、又はこれより若干大きく形成されている。2つの係合部材58の間隔は、
図19を参照するとわかるように2つの係合部材58の間に駆動軸70の軸部71が配置された姿勢で、回転力伝達突起(ピン)72の先端部が係合部材58に引っ掛かるように構成されている。
どのように駆動軸70から回転力を受けることができるかについては後で説明する。
【0059】
規制部材59は、回転力受け部材55の係合部材58が駆動軸70からの駆動力を軸受部材40に伝達できる状態と伝達できず自由に回転する状態とを切り替える部材である。すなわち、係合部材58が駆動軸70に係合して回転力を伝達することができる姿勢と、係合が規制されて(係合しないで)回転力を伝達することができない姿勢と、を切り替える。
図12(a)に規制部材59の斜視図、
図12(b)に規制部材59の正面図、
図12(c)に規制部材59の側面図をそれぞれ表した。
【0060】
図12(a)〜
図12(c)よりわかるように、規制部材59は円柱状の規制軸60を有し、ここには規制軸60の軸線に直交する方向に貫通し、軸線方向に長い孔である長孔60aが設けられている。
【0061】
また、規制軸60の一端側には規制軸60よりも太く形成された接触部61が設けられている。この接触部61は
図12(b)、
図12(c)からよくわかるように、規制軸60側で最も太く、規制軸60から離隔するにしたがって細くなるように傾斜面61aを有している。
さらに規制軸60の端部のうち、接触部61が配置された側の外周部には2つの突起62が配置されている。この2つの突起62は、規制軸60の円柱における軸線を挟んで反対側に配置され、1つの直径方向の同一線上に設けられている。2つの突起62は後述するように回転力受け部材55を規制する。なお、本形態では2つの突起62を例示したが、突起は少なくとも2つ配置されていればよく、3つ以上であってもよい。
【0062】
図7に戻り、軸部材50に備えられる他の構成について説明する。回動軸用弾性部材63、及び規制部材用弾性部材64はいわゆる弾性部材であり、本形態では弦巻ばねによりなる。また、ピン65は棒状の部材である。これらの各部材の配置及び作用については後で説明する。
【0063】
軸部材50の各部材を構成する材料は特に限定されないが、ポリアセタール、ポリカーボネート、PPS等の樹脂を用いることができる。ただし、部材の剛性を向上させるために、負荷トルクに応じて樹脂中にガラス繊維、カーボン繊維等を配合しても良い。また、樹脂中に金属をインサートしてさらに剛性を上げても良いし、全体を金属で製作しても良い。金属で作製する場合は、切削による削り出し、アルミダイキャスト、亜鉛ダイキャスト、金属粉末射出成形法(いわゆるMIM法)、金属粉末焼結積層法(いわゆる3Dプリンタ)などを用いることができる。また、金属の材質は問わず、鉄、ステンレス、アルミニウム、真鍮、銅、亜鉛やこれらの合金等を用いてもよい。また、各種メッキを施して表面の機能性(潤滑性や耐腐食性など)を向上させることができる。
また、軸部材50、軸部材50に含まれるいずれかの部材については弾性を持たせる観点から、金属板を折り曲げて作製したり、金属、ガラス、炭素繊維等を樹脂に含浸させて作製したりしてもよい。
【0064】
上記のような軸受部材40と軸部材50とは次のように組み合わせられることにより、端部部材30とされている。なお、当該組み合わせの説明から、各部材及び部位の大きさ、構造、並びに部材及び部位同士の大きさの関係がさらに理解される。
【0065】
初めに軸受部材40と回動軸51との組み合わせについて説明する。
図13(a)は軸受部材40に回動軸51が組み合わされた斜視図、
図13(b)はその平面図、
図13(c)は
図13(b)にC
13c−C
13cで示した矢視断面図である。
【0066】
図13(a)〜
図13(c)からわかるように回動軸51は軸受部材40の回動軸保持部材46の孔46aを通され、突起53が配置された側の端部が軸部材保持部45の内側、その反対側の端部が軸受部材40から突出するように配置される。このとき、突起53はガイド壁48に設けられたスリット48aの端部のうち回動軸保持部材46により塞がれている側の端部に配置され、該回動軸保持部材46に引っ掛かることにより軸受部材40から回動軸51が抜けないように構成されている。
また、
図13(c)からわかるように回動軸51と支持部材47との間に回動軸用弾性部材63が配置され、回動軸51は突起53が回動軸保持部材46に押し付けられる方向に付勢されている。
【0067】
軸受部材40への回動軸51への取り付けは、回動軸51の突起53をスリット46bからスリット48a内に挿入し、
図9(a)、
図9(b)に示した点線に沿ってスリット48a内を移動させることにより行うことができる。
【0068】
次に、軸部材50における回動軸51に対する他の部材の組み合わせについて説明する。
図14に説明のための図を示した。
図14(a)は分解斜視図、
図14(b)は軸線に沿った方向の軸部材50の断面図である。
【0069】
図14(b)からわかるように、回動軸51の本体52の凹部52bの内側に規制部材用弾性部材64が配置される。従って規制部材用弾性部材64の一方の端部が本体52の仕切り部52aに支持される。
一方、規制部材59はその規制軸60のうち接触部61が配置されていない側の端部が、回転力受け部材55の基部56を通され、さらに回動軸51の本体52の凹部52b内に差し込まれる。これにより回転力受け部材55が回動軸51の本体52のうち突起53とは反対側の端面に配置される。このとき、回転力受け部材55の係合部材58が回動軸51とは反対側に突出するように配置され、回転力受け部材55のガイド56bが回動軸51の本体52の端面に配置されたレール突起54に重ねられて配置される。
また、規制部材59はその一端が回動軸51の本体52に形成された凹部52bに挿入され、その端面が規制部材用弾性部材64の他方の端部に接触する。これにより規制部材59は本体52から突出する方向に付勢される。そして規制部材59の他端(すなわち接触部61が配置された側の端部)及び接触部61は回転力受け部材55の基部56の内側、及び2つの係合部材58の間に配置される。
【0070】
さらに、ピン65が規制部材59の規制軸60に設けられた長孔59aを通され、ピン65の両端が回動軸51の2つの孔52dを渡されるように配置される。これにより、規制部材59は、規制部材用弾性部材64の付勢力に抗して回動軸51の本体52から抜け出ることが規制されている。
【0071】
以上のように組み合わされることにより軸受部材40及び軸部材50の各部の軸線が一致して配置される。
【0072】
次に上記のように組み合わされた端部部材30がどのように変形、移動、回動することができるかについて説明する。
図15には端部部材30の1つの姿勢における軸線に沿った方向の断面図を表した。
図15に示した姿勢では、回動軸用弾性部材63により軸部材50の全体が、可能な範囲で最も軸受部材40から突出した姿勢とされているとともに、規制部材用弾性部材64により規制部材59が本体52から最も突出した姿勢とされている。軸部材50に何ら外力が加わらないときには端部部材30はこの姿勢にある。
【0073】
この姿勢では
図15からわかるように、回転力受け部材55の突起57と、規制部材59の突起62と、が
図15の断面方向でみて(正面視)で軸線方向で離隔した異なる位置に存在する。従ってこの姿勢では、回転力受け部材55の係合部材58は
図15にC
15aで示したように回転が自在である。即ちこの姿勢では係合部材58が軸受部材40、規制部材59に対して相対的に回動が規制されておらず自在である。
なお、この回動は回動軸51のレール突起54が、回転力受け部材55のガイド56bによりガイドされつつ行われる。従ってこの姿勢で回転力受け部材55に回転力を与えても該回転力受け部材55が回転するだけで、他の部材への回転力の伝達は行われず、係合部材58が係合しない姿勢にある。
また、この姿勢では、
図15に矢印C
15bで示したように、回転力受け部材55の係合部材58を軸線方向に軸受部材40側に押圧すれば、直接軸部材50に力が伝わり、軸部材50を回動軸用弾性部材63の付勢力に抗して
図15にC
15cに示したように軸受部材40に押し込む方向に移動させることができる。
【0074】
次に、
図15で示した姿勢から、規制部材59を回動軸51の本体52側に押し込むように移動させた姿勢について説明する。
図16は当該姿勢における
図15と同じ視点による図、
図17は、
図16にC
17−C
17で示した部位の端面である。
【0075】
この姿勢では
図16にC
16bで示したように、規制部材59が、規制部材用弾性部材64の付勢力に抗して回動軸51の本体52に押し込まれるように移動する。すると規制部材59の突起62が、回転力受け部材55の突起57の回動の軌道内に入り込む姿勢となる。これにより、この姿勢では、回転力受け部材55の係合部材58が軸受部材40、規制部材59に対して相対的に回動が規制されており、自在に回転することができない。例えば
図17に示したように、回転力受け部材55が回転してこれに追随して突起57が回転すると、いずれかの部位で規制部材59の突起62に係合する。従ってこのように係合した姿勢では、規制部材59に
図16にC
16aで示したように回転駆動力が加わると、係合した規制部材59、規制部材59にピン65で係合した回動軸51、及び回動軸51の突起53で係合した軸受部材40が同じように回動する。すなわち、回転力受け部材55に与えられた回転駆動力が端部部材30全体に伝達される。
また、この姿勢からさらに
図16に矢印C
16bで示した方向に規制部材59を押圧すれば、回動軸51に力が伝わり、軸部材50を回動軸用弾性部材63の付勢力に抗して
図16にC
16cに示したように軸受部材40に軸線方向に押し込むように移動させることができる。
【0076】
以上のような端部部材30を
図5(
図19も参照)に示したように、該端部部材30の嵌合部43を感光体ドラム11の一方の端部に差し込み接着する。また、感光体ドラム11の他方の端部にフタ材20を配置して感光体ドラムユニット10とすることができる。
【0077】
次に装置本体2について説明する。本形態で装置本体2はレーザープリンタの本体である。レーザープリンタでは、上記したようにプロセスカートリッジ3が装着された姿勢で作動し、画像を形成するときには、感光体ドラム11を回転させて、帯電ローラユニットにより帯電させる。この状態で、ここに備えられる各種光学部材を用いて画像情報に対応したレーザー光を感光体ドラム11に照射し、当該画像情報に基づいた静電潜像を得る。この潜像は現像ローラユニットにより現像される。
【0078】
一方、紙等の記録媒体は、装置本体2にセットされ、該装置本体2に設けられた送り出しローラ、搬送ローラ等により転写位置に搬送される。転写位置には転写ローラ1a(
図4参照)が配置されており、記録媒体の通過に伴い転写ローラ1aに電圧が印加されて感光体ドラム11から記録媒体に像が転写される。その後、記録媒体に熱及び圧力が加えられることにより当該像が記録媒体に定着する。そして排出ローラ等により装置本体2から像が形成された記録媒体が排出される。
【0079】
このように、プロセスカートリッジ3が装着された姿勢で、装置本体2は感光体ドラムユニット10に回転駆動力を与える。そこで、プロセスカートリッジ3が装着された姿勢でどのように装置本体2から感光体ドラムユニット10に回転駆動力が与えられるかについて説明する。
【0080】
プロセスカートリッジ3への回転駆動力は装置本体2の回転力付与部としての駆動軸70により与えられる。駆動軸70は
図1、
図2からわかるようにガイド2aの奥側端部の底部から突出するように配置されている。
図18(a)に駆動軸70の先端部の形状の斜視図を示した。また
図18(b)には駆動軸70の軸線方向に沿った断面図を表した。これらの図からわかるように駆動軸70は軸部71及び回転力伝達突起72を備えて構成されている。
【0081】
軸部71は、その軸線を中心に回転する軸部材である。そして軸部71の先端部は上記した軸部材50の回転力受け部材55の2つの係合部材58(例えば
図6参照)の間に配置できる大きさとされている。
また、軸部71の先端面は、角部が除去され、いわゆる面取りがされていることが好ましい。これにより駆動軸70と軸部材50との係合がより円滑に行われる。
【0082】
軸部71の
図18(a)に示した先端側とは反対側には、軸部71を軸線中心に回転させることができるように歯車列が形成されており、これを介して駆動源であるモータに接続されている。
【0083】
回転力伝達突起72は、軸部71の先端近くに設けられ、軸部71の軸線に対して直交する方向に軸部71から突出する2つの柱状の部材である。本形態では1つのピン73が長手方向について、軸部71の直径よりも長く形成され、軸部71の軸線を横切り、軸部71の側面からその両端が突出していることにより形成されている。
【0084】
ここで、
図1にC
1で示したプロセスカートリッジ3の装置本体2への着脱のための移動方向(ガイド2aが延びる方向)に対して、駆動軸70の軸部71はガイド2aの底部から概ね垂直に突出して配置されている。これに加えて軸部71はその軸線方向に移動することなく回転するのみである。従ってプロセスカートリッジ3の着脱では、このような駆動軸70に軸部材50を装着、離脱させる必要がある。そして、上記した端部部材30によれば、軸部材50と駆動軸70との装着及び離脱が容易となる。具体的な着脱の態様については後で説明する。
【0085】
プロセスカートリッジ3が装置本体2に装着された姿勢で、駆動軸70と端部部材30の軸部材50に具備される回転力受け部材55とが係合して回転力が伝達される。
図19には駆動軸70に端部部材30の回転力受け部材55が係合した場面を示した。
図19からわかるように駆動軸70と回転力受け部材55とが係合した姿勢では、駆動軸70の軸線と軸部材50の軸線とが一致するように突き合わされて配置される。このとき、駆動軸70の軸部71の先端が回転力受け部材55の2つの係合部材58の間に入り込み、駆動軸70の回転力伝達突起72が係合部材58に側面から引っ掛かるように係合している。そしてその際には、駆動軸70の軸部71の先端が規制部材59の接触部61を押圧し、端部部材30は
図16に示した姿勢にある。これにより駆動軸70の回転に追随して回転力受け部材55が回転し、端部部材30、及び感光体ドラム11、すなわち感光体ドラムユニット10が回転する。
【0086】
次にプロセスカートリッジ3を装置本体2に装着して
図19の姿勢にさせるときの駆動軸70と、感光体ドラムユニット10の動作の例について説明する。
図20、
図21に説明のための図を示した。
図20では
図20(a)〜
図20(c)で駆動軸70が回転力受け部材55に係合する過程を順を追って斜視図で表している。
図21では
図20とは異なる例による係合の一場面を斜視図で表している。
【0087】
初めに
図20(a)に示した状態から
図20(b)に示したように駆動軸70の軸線方向に対して直交する方向から、感光体ドラムユニット10が近づく。このとき感光体ドラムユニット10は端部部材30が駆動軸70側に向けられ、その軸線が駆動軸70の軸線と平行となる向きとされており、軸線に直交する方向に移動しつつ駆動軸70に近づく。このとき軸部材50は
図15に示した姿勢にある。
【0088】
図20(b)に示した場面で駆動軸70が回転力受け部材55の係合部材58に接触する。しかしながら、このときには軸部材50は
図15に示した姿勢にあるので、回転力受け部材55は自在に回転することから、駆動軸70が回転力受け部材55を押して回転させる。これにより駆動軸70は回転力受け部材55の係合部材58に阻害されることなく、
図20(c)のように2つの係合部材58の間に進入することができる。
【0089】
図20(c)に示したように2つの係合部材58の間に駆動軸70が進入すると、駆動軸70の先端が規制部材59の接触部61を押圧する。ここで接触部61は傾斜面61aを有して構成されているので当該侵入が円滑に行われる。これにより最終的に
図19に示した姿勢(
図16に示した姿勢)となり、駆動軸70からの回転駆動力を感光体ドラム11にまで伝達することができる。
【0090】
一方、稀ではあるが駆動軸70と回転力受け部材55の係合部材58との位置関係で、回転力受け部材55が
図15に示した姿勢にあった場合でも、回転力受け部材55が適切に回転しない場合も想定される。しかしながらこのような場合には、
図21に示したように駆動軸70が、軸部材50に対して
図15に示したC
15bで示した力を付加するので、軸部材50の全体が軸受部材40側に押し込まれ、駆動軸70が係合部材58を乗り越えて2つの係合部材58の間に入り込み、
図19に示したように回転力を伝達できる姿勢となる。
【0091】
以上のように、プロセスカートリッジ3を装置本体2の駆動軸70の軸線方向とは異なる方向から押し込むように該装置本体2に装着することができる。離脱に関しても挙動は異なるが、同様に軸部材50の移動及び回動により円滑に行われる。
【0092】
また、端部部材30によれば軸部材50の揺動(傾動)を必要とすることなくその軸線方向の回動および軸線方向に直交する方向への移動により、軸部材50に対してより円滑に駆動軸70への着脱が可能となる。そして、揺動(傾動)を必要とする軸部材に対して寸法に対する公差を大きく設定することができるためかかる観点からも生産性が高いといえる。
また、規制部材59により必要に応じて係合部材58が駆動軸70に係合しない状態と駆動軸70に係合する状態とが切り替えられるので、プロセスカートリッジの着脱の最中において部材による着脱の阻害が生じ難く、より円滑な着脱となる。
【0093】
次に第二の形態について説明する。
図22(a)は当該第二の形態における端部部材230の1つの姿勢における斜視図、
図22(b)は端部部材230の他の姿勢における斜視図である。また、
図23には端部部材230の分解斜視図を示した。第二の形態では端部部材230以外については上記第一の形態と同じなのでここでは説明を省略する。また、端部部材230についても上記した端部部材30と同じ部位については同じ符号を付して説明は省略する。
【0094】
端部部材230も、感光体ドラム11の端部のうち上記フタ材20とは反対側の端部に取り付けられる部材であり、軸受部材140及び軸部材250を備えている。ここで、軸受部材140は上記した軸受部材140と同じ構成のものを適用することができるので、ここでは同じ符号を付して説明を省略する。
【0095】
軸部材250は、
図24からわかるように回動軸251、回転力受け部材262、規制部材270、ピン274、規制部材用弾性部材275、及び回動軸用弾性部材276を有して構成されている。ここでピン274は棒状の部材である。また本形態の規制部材用弾性部材275、及び回動軸用弾性部材276は弦巻バネである。
図24にはピン274以外の部材について拡大した分解斜視図を表している。
図23、
図24を参照しつつそれぞれの部材について説明する。
【0096】
回動軸251は回転力受け部材262から軸受部材140に回転力を伝達する部材であり、
図23、
図34よりわかるように、円筒状の第一回動軸252、及び第一回動軸252よりも外径が小さい円柱状の第二回動軸253を有し、この2つが同軸で並べられ一端同士が連結された構造を有している。
第一回動軸252のうち、第二回動軸253に連結された側の端部側面には、2つの突起252aが配置されている。2つの突起252aは、第一回動軸252の円筒の1つの直径方向の同一線上に設けられている。
また、第二回動軸253のうち、第一回動軸252に連結された側とは反対側の端部側面にも、2つの突起253aが配置されている。2つの突起253aは、第二回動軸253の円柱の1つの直径方向の同一線上に設けられている。
【0097】
回転力受け部材262は、端部部材230が所定の姿勢となったときに、装置本体2(
図1参照)からの回転駆動力を受けて回動軸251に当該駆動力を伝達する部材である。本形態で回転力受け部材262は、回動軸251の第一回動軸252のうち第二回動軸253とは反対側の端部に配置されており、円筒状の基部263、及び板状の係合部材266を有して構成されている。
【0098】
基部263は円筒状の部材であり、回動軸251の第一回動軸252うちの一方側の端部に同軸で配置されている。基部263の外周及び内周とも、回動軸251の第一回動軸252の外周及び内周よりも大きく形成されている。また、基部263の外周部は第一回動軸252から離隔するに従って径が小さくなるような傾斜面263cを有している。
基部263には、軸線を挟んで略平行に形成された溝である係合部材収納溝264が2つ設けられている。本形態では2つの係合部材収納溝264は、軸線を挟んで該軸線から同じ距離となる位置に平行に設けられるとともに、軸線に対して捻じれの位置となるように延びている。
また、基部263には基部の直径に沿うとともに、2つの係合部材収納溝264が延びる方向に対して直交する方向に貫通するように孔263aが設けられている。本形態では4つの孔263aが形成されている。
【0099】
係合部材266は全体として板状であり、上記した係合部材収納溝264の溝内に納まる大きさで形成されている。係合部材には孔266aが設けられており、該孔266aを挟んで一方が係合部267、他方が被操作部268となる。特に限定されることはないが、係合部267は被操作部268に比べて長くなることが好ましい。また、係合部267の先端は湾曲していてもよい。これにより駆動軸70の回転力伝達突起72に安定して係合することができる。
【0100】
規制部材270は、規制軸271、接触部272、及び操作部273を有して構成されている。
規制軸271は円柱状の部材であり、その外形は第一回動軸252の円筒の内側に挿入できる大きさとされている。また、規制軸271には直径方向となるように貫通し、軸線方向に所定の大きさで延びるスリット271aが形成されている。
接触部272は規制軸271の端面のうち、第一回動軸252に挿入されない側に同軸に設けられた円錐の一部(截頭円錐)の部材であり、その底部では規制軸271より径が大きくされている。従って、接触部272はその側面が傾斜面272aとなっている。
操作部273は、軸線から離隔する方向に延びる棒状の部材であり、係合部材266と同じで2つ配置されている。この操作部273は後で説明するように、係合部材266の被操作部268を軸線方向に平行な方向に押圧することができる位置及び長さに形成されている。
【0101】
以上説明した各部材が次のように組み合わされて端部部材230とされている。なお、当該組み合わせの説明から、各部材及び部位の大きさ、構造、並びに部材及び部位同士の大きさの関係がさらに理解される。
【0102】
初めに軸部材250について説明する。
図25には、各部材が組み合わされた場面における1つの姿勢の回転力受け部材262、及び規制部材270の部位を拡大した外観斜視図である。なお、
図25、及び後で用いる
図26では見易さのため係合部材266にのみハッチングをして表している。
図22〜
図25からわかるように、回動軸251の第一回動軸252の円筒である内側に規制部材用弾性部材275が挿入され、さらに規制部材270の規制軸271のうち接触部272が配置されていない側の端部も挿入する。これにより、規制部材270は規制部材用弾性部材275の付勢力により回動軸251から抜け出る方向に付勢される。
一方、回転力受け部材262の基部263に設けられた係合部材収納溝264内に係合部材266を配置する。このとき、基部263に設けられた孔263aと係合部材266に設けられた孔266aとが一直線上に並ぶようにする。また、この一直線の中に、規制部材270の規制軸271に具備されたスリット271aも含まれるように配置する。そして、このように一直線上に揃えられた孔263a、孔266a及びスリット271aをピン274で通すように挿入する。これにより
図25に示した姿勢とすることができる。
なお、このときに規制部材270の操作部273が回転力受け部材262の係合部材266に形成されている被操作部268に重なるように配置される。
【0103】
また、軸部材250の軸受部材140への取り付けは、上記した端部部材130の例に倣って(例えば
図27も参照)行うことができる。
【0104】
このように組み合わされた端部部材230では、回動軸251及びこれに配置された回転力受け部材255は、回動軸用弾性部材276により軸受部材140から抜け出す方向に付勢され、突起252aが軸受部材140の軸部材保持部145に係合することで抜けることなく保持されている。また回動軸251及び回転力受け部材262は、回動軸用弾性部材276の付勢力に抗して、及び付勢力により軸線方向に移動することができる。
【0105】
以上のように組み合わされることにより、軸受部材140と軸部材250の各部との軸線が一致して配置される。
【0106】
上記のように組み合わされた端部部材230は、1つの姿勢として
図25のような形態をとり得る。すなわち、係合部材266が、係合部材収納溝264の内側に沿って横たわるように配置される姿勢である。
これに対して
図25にC
36で示したように、規制部材270を軸受部材140側(
図25の紙面下方)に押圧すると、操作部273も下方に移動し、係合部材266の被操作部268を下方に移動させる。すると、係合部材266はピン274を中心に回動するので、
図26に示したように係合部材266は軸線方向に平行に近づくように起立する。
【0107】
すなわち、端部部材230は、係合部材266が立設した姿勢(突出した姿勢)と傾倒した姿勢(没した姿勢)とを切り替えることが可能である。
【0108】
以上のような端部部材230を具備するプロセスカートリッジが装置本体に装着された姿勢で、駆動軸70と端部部材230の軸部材250に具備される回転力受け部材262とが係合して回転力が伝達される。
図27には駆動軸70に端部部材230の回転力受け部材262が係合した場面を示した。
図27からわかるように駆動軸70と回転力受け部材262とが係合した姿勢では、駆動軸70の軸線と軸部材250との軸線とが一致するように突き合わされて配置される。このとき、駆動軸70の軸部71の先端が回転力受け部材262の2つの係合部材266の間に入り込み、駆動軸70の回転力伝達突起72が係合部材266に側面から引っ掛かるように係合している。
すなわち、その際には、駆動軸70の軸部71の先端が規制部材270の接触部272を押圧し、端部部材230は係合部材266が立設した
図26に示した姿勢にある。これにより駆動軸70の回転に追随して回転力受け部材262が回転し、端部部材230、及び感光体ドラム11、すなわち感光体ドラムユニットが回転する。
【0109】
次にプロセスカートリッジ3を装置本体2に装着して
図27の姿勢にさせるときの駆動軸70と、感光体ドラムユニットの動作の例について説明する。
図28に説明のための図を示した。
図28では
図28(a)〜
図28(c)で駆動軸70が回転力受け部材262に係合する過程を順を追って斜視図で表している。
【0110】
初めに
図28(a)に示した状態から
図28(b)に示したように駆動軸70の軸線方向に対して直交する方向から、感光体ドラムユニットが近づく。このとき感光体ドラムユニットは端部部材230が駆動軸70側に向けられ、その軸線が駆動軸70の軸線と平行となる向きとされており、軸線に直交する方向に移動しつつ駆動軸70に近づく。このとき軸部材250は
図25に示した姿勢にある。
【0111】
図28(b)に示した場面では駆動軸70の先端が回転力受け部材262の基部263に接触する。しかしながらこの状態では軸部材250の係合部材266は
図25に示した姿勢にあり、傾倒しているので駆動軸70は回転力受け部材262の係合部材266に阻害されることなく、
図28(c)のように2つの係合部材266の間に進入することができる。このとき、駆動軸70は基部263の傾斜面263c上を滑るように移動することにより、回動軸251が軸線方向に押圧され、回動軸251及び回転力受け部材262が回動軸用弾性部材276の付勢力に抗して軸線方向に移動する。これによりさらに円滑に作動する。
【0112】
図28(c)に示したように駆動軸70が規制部材270を押圧する位置にまで進入すると、上記したように係合部材266が起立し、
図26に示した姿勢に変形する。これにより最終的に
図27に示した姿勢となり、駆動軸70からの回転駆動力を感光体ドラム11にまで伝達することができる。
【0113】
以上のような、端部部材230によっても軸部材の揺動を必要とすることなくその軸線方向の回動および軸線方向に直交する方向への移動により、軸部材に対してより円滑に駆動軸70への着脱が可能となる。また、揺動を必要とする軸部材に対して寸法に対する公差を大きく設定することができるためかかる観点からも生産性が高いといえる。
また、規制部材270により必要に応じて係合部材266が駆動軸70に係合しない状態と駆動軸70に係合する状態とが切り替えられるので、プロセスカートリッジの着脱の最中において部材による着脱の阻害が生じ難く、より円滑な着脱となる。
【0114】
次に第三の形態について説明する。
図29には本形態の端部部材のうち軸部材350の斜視図、
図30には軸部材350のうちの規制部材370が配置された先端部分の分解斜視図を示した。
図31には軸部材350の軸線に沿った断面のうち規制部材370が配置された先端部分を示した。
図31(a)は規制部材370の1つの姿勢、
図31(b)は規制部材370の他の姿勢である。本形態の端部部材は、上記した端部部材230と同じ形態の軸受部材140を備えるとともに、この軸受部材140に軸部材350が保持される。そこでここでは、軸部材350について説明する。
【0115】
軸部材350は、
図29からわかるように回動軸351、回転力受け部材362、規制部材370、及び回動軸用弾性部材376を有して構成されている。ここで本形態の回動軸用弾性部材376は弦巻バネである。
【0116】
回動軸351は回転力受け部材362から軸受部材140に回転力を伝達する部材であり、
図29よりわかるように、円筒状の第一回動軸352、及び第一回動軸352よりも外径が小さい円柱状の第二回動軸353を有し、この2つが同軸で並べられ一端同士が連結された構造を有している。
第一回動軸352のうち、第二回動軸353に連結された側の端部側面には、2つの突起352aが配置されている。2つの突起352aは、第一回動軸352の円筒の1つの直径方向の同一線上に設けられている。
また、第二回動軸353のうち、第一回動軸352に連結された側とは反対側の端部側面にも、2つの突起353aが配置されている。2つの突起353aは、第二回動軸353の円柱の1つの直径方向の同一線上に設けられている。
【0117】
回転力受け部材362は、本形態の端部部材が所定の姿勢となったときに、装置本体2(
図1参照)からの回転駆動力を受けて回動軸351に当該駆動力を伝達する部材である。本形態で回転力受け部材362は、回動軸351の第一回動軸352の一方側(第二回動軸353が連結される側とは反対側)の端部に配置されており、基部363、係合部材364、及びピン365を有して構成されている。
【0118】
基部363は係合部材364をピン365を介して回動軸351の第一回動軸352に連結する部位であり、本形態では第一回動軸352の一方側端部に形成され、第一回動軸352の一部(先端部)が基部363を兼ねている。
基部363には、第一回動軸352の一方側の端面から軸線に沿って貫通孔363aが形成されており、その底部には
図31からわかるように突起363bが設けられている。また、基部363には第一回動軸352の一方側の端面から軸線方向に沿った方向を長さ方向とし、第一回動軸352の側面と貫通孔363aとを連通する深さを具備する2つのスリット363cが形成されている。本形態で2つのスリット363cは第一回動軸352の1つの直径上となるように軸線まわり180°の位置に配置されている。
さらに基部363には、スリット363cの幅方向に延び、基部363を貫通する孔363d、363eが形成されている。孔363dと孔363eとはスリット363cの長さ方向に並んで配置され、孔363dの方が第一回動軸352の一方側端部に近い側とされている。
【0119】
係合部材364は棒状の部材であり、本形態では一か所で屈曲している。そしてその一方の端部には、係合部材364が延びる方向に直交する貫通孔364aが設けられている。
【0121】
規制部材370は、規制軸371、操作部372、規制部材用弾性部材373、及びピン374を有して構成されている。
規制軸371は円柱状の部材であり、その外形は基部363に設けられた貫通孔363aの内側に挿入できる大きさとされている。また、規制軸371には直径方向となるように規制軸371を貫通し、軸線方向に所定の大きさで延びるスリット371aが形成されている。規制軸371の端部のうち、基部363に挿入されない側の端部は円錐の一部(截頭円錐)とされており、傾斜面371bが形成されている。また規制軸371の端部のうち、傾斜面371bとは反対側には突起371cが設けらている。
操作部372は、棒状の部材であり、係合部材364と同じで2つ配置されている。操作部372はその長さ方向中央付近に長さ方向に直交する貫通孔372aを備えている。
規制部材用弾性部材373は本形態では弦巻ばねにより形成されている。またピン374は丸棒状の部材である。
【0122】
以上説明した各部材が次のように組み合わされて本形態の端部部材とされている。なお、当該組み合わせの説明から、各部材及び部位の大きさ、構造、並びに部材及び部位同士の大きさの関係がさらに理解される。
基部363に形成された貫通孔363aの内側に規制部材用弾性部材373が挿入され、さらに規制部材370の規制軸371のうち突起371cが設けられた側の端部も挿入する。規制部材用弾性部材373の一端は凹部内の突起363bに挿入されて固定され、規制部材用弾性部材373の他端は規制軸371の突起371cに挿入されて固定される。これにより、規制軸371は規制部材用弾性部材373の付勢力により回動軸351から抜け出る方向に付勢される。
図31(a)からわかるように、操作部372はその一端側がスリット363cから規制軸371のスリット371aに挿入される。そしてピン374が孔363e及び貫通孔372aを通すように配置される。これにより操作部372はピン374を軸に回動することができる。このとき、外力が加わっていない姿勢で操作部372は規制軸371の軸線に直交する方向に延びるように配置されている。
【0123】
一方、係合部材364は、その一端側がスリット371aに配置され、ピン365が孔363d及び貫通孔364aを通すように配置される。これにより係合部材364はピン365を軸に回動することができる。このとき、係合部材364は外力が加わっていない姿勢で規制軸371の軸線に直交する方向に延び、操作部372よりも規制軸371の先端側に重ねられるように位置づけられる。そして、係合部材364は操作部372のうちスリット371aに挿入されていない側の先端に接触するように配置されている。
【0124】
また、軸部材350の軸受部材140への取り付けは端部部材320と同様に行うことができる。これにより軸部材350が軸受部材140の軸線方向に移動することができる。
【0125】
上記のように組み合わされた端部部材330は、1つの姿勢として
図31(a)のような形態をとり得る。すなわち、係合部材364が、回動軸351の半径方向に延びて横たわるように配置される姿勢である。
これに対して
図31に矢印C
42aで示したように、規制部材370の規制軸371を軸受部材140側(
図29の紙面下方)に押圧すると規制軸371が軸受部材140側に移動し、操作部372のうち規制軸371のスリット371aに挿入された端部も同じ方向に押圧される。すると操作部372はピン374を中心に回動し、反対側の端部は軸受部材140とは反対側に移動する。これにより当該反対側の端部は係合部材364を押圧し、係合部材364はピン355を中心に回動するので、
図31(b)に示したように係合部材364は軸線方向に平行に近づくように起立する。
【0126】
すなわち、端部部材330も、係合部材364が立設した姿勢(突出した姿勢)と傾倒した姿勢(没した姿勢)とを切り替えることが可能である。これにより端部部材330も端部部材230の例に倣って同様に作用することができる。
【0127】
本形態では1種類の操作部が直接係合部材を押圧する例を示したが、これに限らず、複数種類の操作部を介してこれらが連動し、最終的に最も係合部材に近接する操作部が該係合部材を押圧する形態であってもよい。また、操作部と係合部材とが区別なく一体であってもよい。
【0128】
次に第四の形態について説明する。
図32に当該第四の形態に含まれる端部部材430の分解斜視図を示した。端部部材430以外については第一の形態と同様なのでここでは説明を省略する。端部部材430も軸受部材440及び軸部材450を備えて構成されている。
【0129】
軸受部材440は、端部部材430のうち感光体ドラム11の端部に接合される部材である。
図33(a)には軸受部材440の斜視図、
図33(b)には軸受部材440の正面図、
図33(c)には軸受部材440のうち、軸部材450が配置される側から見た平面図を表した。さらに
図34(a)には
図33(b)にC
45a−C
45aで示した線に沿った端面図を示した。すなわち
図34(a)は軸受部材440の軸線に対して直交する面で軸受部材440を切断したときの端面が表れている。
図34(b)は
図33(c)にC
45b−C
45bで示した線に沿った断面図である。すなわち
図34(b)は軸受部材440の軸線を含み、該軸線に沿った方向における軸受部材440の断面図である。
【0130】
軸受部材440は、筒状体441、接触壁442、嵌合部443、歯車部444、および軸部材保持部445を有して構成されている。
【0131】
筒状体441は、全体として円筒状の部材であり、その外側に接触壁442および歯車部444が配置され、その内側に軸部材保持部445が形成されている。なお、筒状体441の内側のうち少なくとも軸部材保持部445が具備される部位については、後述する軸部材450の回動軸451の第一回動軸452が円滑に軸線方向に移動するおよび軸線中心に回転できる程度に、筒状体441の内径が第一回動軸452の外径と概ね同じとされている。
【0132】
筒状体441の外周面の一部からは感光体ドラム11の端面に接触して係止する接触壁442が立設している。これにより端部部材430を感光体ドラム11に装着した姿勢で端部部材430の感光体ドラム11への挿入深さが規制される。
また、筒状体441のうち接触壁442を挟んで一方側が感光体ドラム11の内側に挿入される嵌合部443となっている。嵌合部443が感光体ドラム11の内側に挿入され、接着剤により感光体ドラム11の内面に固定される。これにより端部部材430が感光体ドラム11の端部に固定される。従って、嵌合部443の外径は、感光体ドラム11の円筒形状の内側に挿入可能な範囲で、感光体ドラム11の内径と概ね同じである。嵌合部443には外周面に溝が形成されてもよい。これにより当該溝に接着剤が充填され、アンカー効果等により筒状体441(端部部材430)と感光体ドラム11との接着性が向上する。
【0133】
接触壁442を挟んで嵌合部443とは反対側の筒状体441の外周面には歯車部444が形成されている。歯車部444は、現像ローラユニット等の他の部材に回転力を伝達する歯車で、本形態でははす歯歯車が配置してある。ただし歯車の種類は特に限定されることはなく、平歯車が配置されていたり、両者が筒状体の軸線方向に沿って並べて配置されていたりしてもよい。また歯車は必ずしも設けられている必要もない。
【0134】
軸部材保持部445は、筒状体441の内側に形成され、軸部材450の所定の動作を確保しつつ、該軸部材450を軸受部材440に保持する機能を有する部位であり、回転力受け部材462を移動および回動させる手段の1つとして機能する。軸部材保持部445は、底板446、螺状溝447、及びフタ448を有している。
【0135】
底板446は
図34(b)に表れているように、円環状の部材であり筒状体441の内側を塞いで仕切るように配置される。従ってその中央には貫通孔446aが設けられている。この貫通孔446aに回動軸451のうち第二回動軸453が挿入される。筒状体441への底板446の取り付けは接着や融着等により行うことができる。また、筒状体441と底板446とは一体に形成されてもよい。
【0136】
フタ448は
図34(b)に表れているように、底板446に対して軸線方向に所定の間隔を有して配置される円環状の部材であり筒状体441の内側を塞いで仕切るように配置される。従ってその中央には貫通孔448aが設けられている。この貫通孔448aに回動軸451のうち第一回動軸452が挿入される。底板446とフタ448との間に螺状溝447が配置される。筒状体441へのフタ448の取り付けは、爪などにより着脱可能とされてよいし、接着や融着等により固着させてもよい。また、筒状体441とフタ448とは一体に形成されてもよい。
【0137】
螺状溝447は筒状体441の内面で、底板446とフタ448との間に形成された複数の螺状の溝であり、その深さ方向は
図34(a)にC
45dで示したように、筒状体441の軸線を中心に放射状(半径方向)に形成されている。一方、螺状溝447の長手方向は
図34(b)に表れるように筒状体41の軸線に沿った方向であるとともに、その一端側と他端側とが筒状体41の内周に沿った方向にずれるようにねじれ、螺状に形成されている。また、螺状溝447の幅方向は
図34(a)にC
45wで示したように、後述する軸部材450の突起452aの端部が挿入され、該突起452aの端部が円滑に溝内を移動できる程度に突起452aの直径と概ね同じ程度に形成されている。
なお、螺状溝447の長手方向一端は底板446により、長手方向他端はフタ448により塞がれている。
また、螺状溝447のねじれの程度を表す指標として、「ねじれ率」を定義することができる。すなわち、「ねじれ率」は、螺状溝の軸線方向の距離(
図34(b)にC
45hで示した大きさ)及びこの間における螺状溝が軸線を中心に周方向にねじれた角度である総ねじれ角度から定義し、次式で表される。
ねじれ率(°/mm)=総ねじれ角度(°)/螺状溝の軸線方向の距離(mm)
【0138】
さらに、複数の螺状溝447は筒状体41の軸線を挟んで対向する少なくとも1組が設けられている。本形態では4組、合計8つの螺状溝447が形成された例であるが、1組で合計2つの螺状溝が形成されていてもよい。一方、2組、3組、又は5組以上の螺状溝が設けられてもよい。このような螺状溝を射出成形する際には、材料の射出後に金型を回しながら離型することにより行う。
【0139】
軸受部材440を構成する材料は特に限定されることはないが、ポリアセタール、ポリカーボネート、PPS等の樹脂や金属を用いることができる。ここで、樹脂を用いる場合には部材の剛性を向上させるために、負荷トルクに応じて樹脂中にガラス繊維、カーボン繊維等を配合してもよい。また、軸部材の取り付けや移動を円滑にするために、樹脂にフッ素、ポリエチレン、及びシリコンゴムの少なくとも1種類を含有して摺動性を向上させてもよい。また、樹脂をフッ素コーティングしたり、潤滑剤を塗布してもよい。
金属で作製する場合は、切削による削り出し、アルミダイキャスト、亜鉛ダイキャスト、金属粉末射出成形法(いわゆるMIM法)、金属粉末焼結積層法(いわゆる3Dプリンタ)などを用いることができる。また、金属の材質は問わず、鉄、ステンレス、アルミニウム、真鍮、銅、亜鉛やこれらの合金等を用いてもよい。また、各種メッキを施して表面に機能性(潤滑性や耐腐食性など)を向上させることができる。
【0140】
図32に戻り、軸部材450について説明する。軸部材450は、
図32からわかるように、回動軸451、回転力受け部材462、規制部材370、及び回動軸用弾性部材376を有して構成されている。ここで本形態の回動軸用弾性部材376は弦巻バネである。ここで、規制部材370、及び回動軸用弾性部材376については上記したものと同じなので同じ符号を付して説明を省略する。
【0141】
回転力受け部材462は、上記した回転力受け部材362と同様に、本形態の端部部材が所定の姿勢となったときに、装置本体2(
図1参照)からの回転駆動力を受けて回動軸451に当該駆動力を伝達する部材である。本形態で回転力受け部材462は、回動軸451の第一回動軸452の一方側(第二回動軸453が連結される側とは反対側)の端部に配置されており、基部463、係合部材464、及びピン465を有して構成されている。ここで基部463、及びピン465については上記した形態の基部363、及びピン365と同じであるためここでは説明を省略する。
【0142】
係合部材464は棒状の部材であり、本形態では一か所で屈曲するとともに、鉤状になるようにテーパが設けられている。そしてその一方の端部には、係合部材464が延びる方向に直交する貫通孔464aが設けられている。この貫通孔463aは上記した形態における貫通孔363aと同様である。
このように係合部材464に鉤状のテーパを設けることにより、後で
図38を参照しつつ説明するように該
図38に矢印C
49cで示した方向へ軸部材450を移動させようとする引き寄せる力(引き込み力P)を発生させることができ、回転の安定を図ることができる。
【0143】
回動軸451は回転力受け部材462から軸受部材440に回転力を伝達する部材であり、
図32よりわかるように、円筒状の第一回動軸452、及び第一回動軸452よりも外径が小さい円柱状の第二回動軸453を有し、この2つが同軸で並べられ一端同士が連結された構造を有している。
第一回動軸452のうち、第二回動軸453に連結された側の端部側面には2つの突起452aが配置されている。2つの突起452aは、第一回動軸452の円筒の1つの直径方向の同一線上に設けられている。
【0144】
上記軸受部材440と軸部材450とは次のように組み合わせられることにより端部部材430とされている。なお、当該組み合わせの説明から、各部材、部位の大きさ、構造、および部材、部位同士の大きさの関係等がさらに理解される。
図35は端部部材430の軸線方向に沿った断面図である。
図36(a)は
図35にC
47a−C
47aで示した線に沿った端部部材430の端面図、
図36(b)は
図36(a)にC
47b−C
47bで示した線による端部部材430の断面図である。ただし
図47(b)では見易さのため軸部材450については突起452aのみを表している。
【0145】
図35からわかるように、回動軸451のうち、第二回動軸453が軸受部材440の内側に形成された軸部材保持部445の底板446側に向けて挿入されて貫通孔446aを通される。また、第一回動軸452がフタ448の貫通孔448aを通される。このとき、回動軸451の側面から突出した突起452aが
図36(a)、
図36(b)に示したように軸受部材440の軸部材保持部445に形成された螺状溝447に挿入される。
また、
図35からわかるように、軸受部材440の内側で、第二回動軸453が回動軸用弾性部材376の内側を通されるとともに、回動軸用弾性部材376は底板446と第一回動軸452との間に配置される。従って回動軸用弾性部材376の一方が第一回動軸452、他方が底板446に接触する。これにより、回動軸用弾性部材376が回動軸451を付勢し軸受部材440から回動軸451を突出させる方向に回動軸451が付勢される。ただし、突起452aが軸受部材440の螺状溝447に挿入され、該螺状溝447はその両端が底板446及びフタ448で塞がれているので、回動軸451は軸受部材440から外れることなく付勢された状態で保持される。
【0146】
以上により、各部材が組み合わされた姿勢で、軸受部材440、及び回動軸451の軸線が一致する。
【0147】
次に、端部部材430がどのように変形、移動、回動することができるかについて説明する。
図37には端部部材430の1つの姿勢における斜視図を表した。
図35〜
図37に示した姿勢では回動軸用弾性部材376により軸部材450の全体が、可能な範囲で最も軸受部材440から突出した姿勢とされている。軸部材450に何ら外力が加わらないときには端部部材430はこの姿勢にある。
なお、回転力受け部材462及び規制部材370については、
図31(a)、
図31(b)を参照しつつ既に説明した通りに作動するので説明を省略する。またここでは回転力受け部材462及び規制部材370が
図31(a)の姿勢である場合を例に説明するが、回転力受け部材462及び規制部材370が
図31(b)の姿勢である場合であっても同様に作動する。
【0148】
図35、
図37に示した姿勢(回転力受け部材462及び規制部材370が
図31(a)の姿勢)で、
図35、
図37に矢印C
46aで示したように回転力受け部材462を介して回動軸451に軸線まわりの回転力を与えると突起452aもこれに追随して回動する。すると、第一に、突起452aが螺状溝447の側壁を押圧し、回転を軸受部材440に伝達し、
図35、
図37に矢印C
46bで示したように軸受部材440が回動する。これにより軸受部材440に取り付けられた感光体ドラム11も軸線まわりに回転する。
第二に、突起452aが螺状溝447に挿入されているので、回動軸451が回動すると突起452aが
図36(b)に矢印C
47cで示したように、軸線方向にも移動する。これにより、突起452aが取り付けられた回動軸451およびこれに取り付けられた回転力受け部材462及び規制部材370も
図35、
図37に矢印C
46cで示したように回動軸用弾性部材376の付勢力に抗して、又は付勢方向に移動する。
【0149】
従って、端部部材430では回転力受け部材462の回転により、端部部材430の軸線まわりの回動、及び回動軸451の軸線に沿った方向への移動もする。
【0150】
プロセスカートリッジ3が装置本体2に装着された姿勢で、駆動軸70と端部部材430の軸部材450に具備される回転力受け部材462とが係合して回転力が伝達される。
図38には駆動軸70に端部部材430の回転力受け部材462が係合した場面を斜視図で示した。
【0151】
図38からわかるように駆動軸70と回転力受け部材462とが係合した姿勢では、駆動軸70の軸線と軸部材450の軸線とが一致するように突き合わされて配置される。このとき、駆動軸70の回転力伝達突起72が回転力受け部材462の2つの係合部材464の側面から引っ掛かるように係合している。
【0152】
かかる姿勢で
図38に矢印C
49aで示したように、駆動軸70が回転力伝達方向に回転したとき、回転力伝達突起72が係合部材464に引っ掛かって
図38に矢印C
49bに示したように回動軸451に回転力が伝達される。その際には回動軸451は軸受部材440の上記螺状溝447と突起452aの作用により
図38に矢印C
49cで示した方向に移動しようとする。しかし、駆動軸70の回転力伝達突起72が回転力受け部材462の係合部材464に係合しているので両者の係合は外れることなく安定した連結が維持される。この矢印C
49cで示した方向へ移動しようとする力は駆動軸70を引き寄せる力となって、より回動を安定したものにするように作用する。
ただし、その際には螺状溝447による当該引き寄せる力は、係合部材464が駆動軸70と係合する力よりも弱いものとする。より具体的には次のように構成されることが好ましい。すなわち、係合部材による引き込み力P、回動軸用弾性部材の付勢力Q、螺状溝による軸線方向力Rにおいて次式が成立することを回転駆動の条件とすることが好ましい。
R≦P+Q
ここで、Pは先端部材の係合部材が有する形状により駆動回転時に装置本体の駆動軸に近づく方向に移動させる力、Qは回動軸用弾性部材により発生し、装置本体の駆動軸に近づく方向に移動させる力、Rは回転駆動時に本体の螺状溝により発生し、回動軸を装置本体の駆動軸から離れる方向に移動させる力である。
【0153】
次に端部部材430を含むプロセスカートリッジを装置本体2に装着して
図38の姿勢にさせるときの駆動軸70と、感光体ドラムユニットの動作の例について説明する。第一の例の説明を
図39に示した。
【0154】
第一の例について、
図39では
図39(a)〜
図39(c)で駆動軸70が回転力受け部材462に係合する過程を順を追って斜視図で表している。本例では駆動軸70が規制部材370の規制軸371を押圧する前に、当該駆動軸70が係合部材464に接触する例である。
【0155】
初めに
図39(a)に示した状態から
図39(b)に示したように駆動軸70の軸線方向に対して直交する方向から、感光体ドラムユニットが近づく。このとき感光体ドラムユニットは端部部材430が駆動軸70側に向けられ、その軸線が駆動軸70の軸線と平行となる向きとされており、軸線に直交する方向に移動しつつ駆動軸70に近づく。このとき軸部材450は
図35に示した姿勢にある。
【0156】
本例では
図39(b)に示したように駆動軸70が回転力受け部材462の係合部材464を押圧する。これにより軸部材450が軸受部材440側に移動する。この移動により螺状溝447の作用で軸線まわりの回転も生じる。そして
図39(c)からわかるように駆動軸70が1つの係合部材464を乗り越えることで、
図38の姿勢にすることができる。
【0157】
本例の場合には、上記説明を遡ることにより駆動軸70と回転力受け部材462との離脱を行うことができる。
【0158】
上記の例では、駆動軸70が規制部材370の規制軸371を押圧する前に、当該駆動軸70が係合部材464に接触する例であるため駆動軸70が係合部材464を乗り越える必要があった。これに対して第二の例として駆動軸70が係合部材464に接触することなく(係合の阻害とならない程度の軽微な接触を含む。)規制軸371を押圧する例が挙げられる。この場合には駆動軸70が規制軸371を押圧することで係合部材464が起立して駆動軸70の回転力伝達突起72に円滑に係合する。
【0159】
一方、
図38に示した駆動軸70と回転力受け部材462との係合の姿勢から両者を離脱する際に、第一の例とは異なる方向に当該離脱が行われる場合もある。その際には例えば次のように離脱が進む。
図40に説明のための図を示した。
図39では
図40(a)〜
図40(c)で駆動軸70から回転力受け部材462が離脱する過程を順を追って斜視図で表している。
【0160】
本例では、
図38に示した姿勢から感光体ドラムユニットを駆動軸を離脱したとき、
図40(a)に示したように駆動軸70の回転力伝達突起72が係合部材464に引っ掛かる。この場合には
図40(b)に示したように当該引っ掛かりにより回動軸451が軸線まわりに回動する。すると螺状溝447の作用により回動軸451が軸受部材440側に軸線方向に沿って移動する。また、駆動軸70の軸部71から規制部材370が離れることにより規制部材370の規制軸371を押圧する力も解除され、係合部材464が
図35に示した姿勢への変形する。これにより回転力伝達突起72と係合部材364との係合が解かれ、
図40(c)のように円滑に離脱することができる。
【0161】
以上のように本形態により駆動軸と感光体ドラムユニットとの係合及び離脱がさらに円滑となる。
【0162】
図41(a)は端部部材として機能する伝達装置1100の1つの形態を示している。伝達装置1100は軸部材として機能する伝達ユニット1020、中間部材1030、軸受部材として機能するギア部材(外郭)1060、回動軸として機能する軸1070、回転力受け部材として機能する係合構造1080、係合部材として機能する係合ブロック1082、を備えている。
図41(b)に伝達装置の別の形態である伝達装置1200を示した。伝達装置200は、
図41(a)の伝達装置1100と基本的には同じだが、伝達装置1100に用いられている弾性リング(弾性部材、保持部材)1089と伝達装置1200に用いられている弾性リング(弾性部材、保持部材)1089’との形状が異なる。
【0163】
伝達ユニット1020は軸1070と係合構造1080を備える。軸1070は円筒状の軸本体1074と、該円筒状の軸本体1074の半径方向に沿って延びる少なくとも1つの突起1075と、を備える。軸本体1074はドラム軸線Lに沿って延びる長い部品であり、第1方向D1に面する第1端部1071、第1方向D1と反対方向である第2方向D2に面する第2端部1072、及び軸本体1074の半径方向に沿って軸本体1074の本体部を貫通する開口1073を備える。一つの形態においては、組み立ての際ピン1040が開口1073に挿入される。ピン1040の一部である突起1075は、その際開口1073から突出する。
【0164】
係合構造1080は、軸1070の第1端部1071と一体とされ第1端部1071から延びる基部1081と、基部1081のうち切り欠かれた受け部1811とを備える。
【0165】
係合構造1080は、係合部材として機能する2つの係合ブロック1082も備えている。本形態では、係合ブロック1082はL型をしている。他の種類や形の係合ブロック(例えば、直線形、U型、C型、J型等)も本発明の実施に用いることができる。係合ブロック1082は、係合凹面1823を備えるとともに、切り欠かれた受け部1811に受け取られ、2つのピン83により回動可能に基部81に固定されている。また、2つの係合ブロック82により、その間に画像形成装置の駆動部材(駆動機構)を受けるための受け空間86が形成される。
【0166】
伝達ユニット1020を備える伝達装置1100、1200はさらに中間部材1030、ギア部材(外郭)1060、及び弾性部材1050を備えている。
【0167】
中間部材1030は本体1032、ドラム軸線Lに沿って本体1032を貫通する軸孔1322、本体1032に形成され軸孔1322と連通する2つの案内溝1324を備える。図には案内溝1324のうち1つだけが示されており、もう1つの案内溝1324は図示されている案内溝1324の反対側に位置している。
【0168】
ギア部材1060は感光体ドラムと係合するよう構成されており、ギア部材1060には上部1066、ドラム軸線Lに沿って上部1066から第2方向D2へと延びるギア部1067、ドラム軸線Lに沿ってギア部1067から第2方向D2へと延びる底部1068を備える。また、ギア部材1060の上部1066は少なくとも1つの切欠き部1069を備えていてもよい。
【0169】
図42(a)〜
図42(c)は他の形態である端部部材として機能する伝達装置1400を示している。伝達装置1400は軸受部材として機能するギア部材(外郭)1460、中間部材1430、軸部材として機能する伝達ユニット1420を備える。
【0170】
図43(a)〜
図43(d)からわかるように、ギア部材1460はギア部材1460の底壁から軸方向に上方に延びる中央突出部1462と、中央突出部1462の半径方向外側に位置する1以上の周辺突出部1464とを備える。
図43(a)〜
図43(d)に示す形態では、2つの周辺突出部1464を備えている。しかし、周辺突出部1464は1つであってもいいし、3つ以上備えられてもよい。
【0171】
ギア部材1460はさらに、その内面に内壁面突起1466と、内壁面突起1466上または内壁面突起1466と隣り合う1以上の受け部材1468とを備える。内壁面突起1466はギア部材1460の内面の周で連続的に延び、1以上の受け部材1468を内壁面突起1466上に備えてよい。もしくは、内壁面突起1466はギア部材1460の内面の周に連続的に延びていない1以上の片を備え、1以上の受け部材1468は内壁面突起1466の片と隣り合って配置されていてもよい。
【0172】
図44(a)〜
図44(d)に示されているように、中間部材1430は円筒体1432を備える。円筒体1432からは、1以上の突起1434が半径方向外側に延びている。中間部材1430はまたその頂面に導入溝1436を備える。1つの形態においては、導入溝は伝達ユニット1420の軸1070の突起が導入溝1436を通ることができるような大きさとされている。そのため、分離しているピン1040の代わりに、伝達ユニットと一体化した突起、例えば軸の成形された部分などを中間部材と共に用いることができる。他の形態では、導入溝は突起より小さく、そのため突起は軸が中間部材内に配置された後に伝達ユニットの軸内に挿入される必要がある。
【0173】
図44(c)、
図44(d)は円筒体1432の一部、中間部材1430の伝達ユニット保持部材1438を露出させるため外された頂面とともに中間部材1430を示している。図示されている中間部材1430の形態は、互いに同一で中間部材1430の底から軸方向に上向きに延びる2つの保持部材(伝達ユニット保持部材)1438を備えている。あるいは、保持部材1438は中間部材1430の中央に向かって半径方向内側に延びるように、円筒体1432の内面に形成されるか取り付けられていてもよい。
【0174】
保持部材1438はそれぞれ、上部を連結片1438cにより連結された2つの軸バッフル1438a、1438bを備える。軸バッフル1438aは軸バッフル1438bよりもさらに円筒体1432の底面に向かって延びている。保持部材1438は互いに離れて配置され間隙を有する。
【0175】
中間部材1430と円筒体1432の全体を示す
図45(a)〜
図45(c)、中間部材1430と、一部が除かれた円筒体1432を示す
図46(a)〜
図46(c)を参照し、伝達ユニット1420の中間部材1430への取りつけ工程を説明する。伝達ユニット1420は、上記した2つの部材から構成される伝達ユニット1020’と似ている。しかし、他の伝達ユニットも中間部材1430とギア部材1060と共に用いることができる。例えば、本願に記載されているように係合ブロック1082の数と形を変更することができる。
【0176】
伝達ユニット1420の軸1070は、ピン1040が導入溝1436を通るように、中間部材1430の上面にある導入溝1436と一直線となり軸方向に挿入される。伝達ユニット1420にさらに中間部材1430内へ軸方向に移動されているので、各保持部材1438の軸バッフル1438a、1438bによって伝達ユニット1420が中間部材1430に対して回転するのを防ぐように、ピン1040は軸バッフル1438a、1438bよってはね上げられる。
【0177】
伝達ユニット1420は、ピン1040が短い軸バッフル1438bの底を通過するのに十分な程度、軸方向に徐々に遠方に移動する。この時点で、伝達ユニット1420は中間部材1430に対して回転することができる。伝達ユニット1420の回転は、
図45(a)〜
図45(c)、
図46(a)〜
図46(c)の形態においては、反時計回りの方向である。しかし、1つの形態では回転は軸バッフル1438a、1438bの位置が反転するのに従い、時計回りでもよい。
【0178】
ピン1040が短い軸バッフル1438bの底を通過し回転した後、ピン1040は上側で案内溝1324と呼ばれる場所に入る。
図46(d)に示されているように、伝達ユニット1420が中間部材1430に挿入される前にピンが伝達ユニット1420に取り付けられる(または一体となっている)ように部分的に開いている点で、中間部材1430の案内溝1324は上述したそれとは異なっている。案内溝1324が部分的に開いていても、後に述べるように、伝達ユニット1420はばねなどの弾性部材1050によって軸方向に付勢され、ピン1040は案内溝1324内に保持される。
【0179】
図46(d)に表れているように、各保持部材1438により形成された案内溝1324の形は傾斜した部分と、底辺と並行に延びる部分とを上辺に備え、短い軸バッフル1438bが長方形の底まで延びていないため左辺に開口を備える以外は長方形である。各保持部材1438により形成された案内溝1324は、ピンが案内溝1324に入り、伝達ユニット1420が軸方向に自由に動いて回転している間案内溝1324がピン1040を保持することができる形であれば、長方形、四角形、楕円、円、三角形等他の形をしていてもよい。
【0180】
ギア部材1460に中間部材1430を取りつける工程について説明する。中間部材1430は、中間部材1430にすでに取り付けられた伝達ユニット1420と一緒にでも、別々にでもギア部材1460に取り付けることができる。
図47(a)〜
図47(c)は伝達ユニット1420が中間部材1430に取り付けられた後にギア部材1460に取り付けられている中間部材1430の様子を示す。
図47(a)〜
図47(c)は
図42(a)〜
図42(c)と同様の取りつけ工程を示しているが、円筒体1432の一部は外されている。
【0181】
弾性部材1050はギア部材1460内に挿入され、中央突出部1462と周辺突出部1464の間で保持される。次に、中間部材1430は突起1434までギア部材1460内を軸方向に挿入される。
図42(b)からわかるように、突起1434は中間部材1430の円筒体1432から半径方向外側へ延び、ギア部材1460の内壁面突起1466と接触している。そして、
図42(c)に示されるように、中間部材1430は突起1434が受け部材1468に接触するまで回転する。受け部材1468はそれぞれ開口を備え、突起1434がスナップフィットにより開口で固定されるようにされている。このスナップフィットにより、スナップフィットを解除するのに十分な力が与えられない限り、突起1434が受け部材1468から後ろへ出ることを防ぐ。また、突起1434は摩擦により開口で保持されていてもよいし、突起は開口からの抵抗なく自由に移動可能で開口から出ていてもよい。
【0182】
突起1434が受け部材1468により受け止められると、ギア部材1460は中間部材1430に取り付けられる。上記したように、伝達ユニット1420は中間部材1430がギア部材1460に取り付けられる前に中間部材1430に取り付けられることができる。この場合、中間部材1430はギア部材1460内に軸方向に挿入されるので、弾性部材1050は中間部材1430の底にある開口を通過し伝達ユニット1420の軸1070と接触して伝達ユニット1420を中間部材1430の底から遠ざけるよう付勢する。これにより、軸1070のピン1040は案内溝1324の上側に向かって、また案内溝1324の開口から遠ざかるように付勢され、それにより案内溝1324内にピン1040を保持することができる。よって、伝達ユニット1420は中間部材1430に取り付けられたままである。
【0183】
伝達ユニット1420を中間部材1430から外すためには、バネ(弾性部材)1050による付勢の力を上回るのに充分な軸方向の力を伝達ユニット1420にかけ、それにより伝達ユニット1420を中間部材1430の底に向かって軸方向に移動させる。そして、伝達ユニット1420はピン1040が短い軸バッフル1438bの底の下を通過するように回転する。ピン1040が軸バッフル1438bの底の下を通過した後、ピン1040が保持部材1438の間の間隙を通過する間に、伝達ユニット1420は、伝達ユニット1420を軸方向に移動させ中間部材1430の底から離すことにより、自由に中間部材1430から離れ、導入溝1436の外に出ることができる。
【0184】
中間部材1430がギア部材1460に取り付けられる後まで中間部材1430が伝達ユニット1420に取り付けられない場合は、中間部材1430は上記したように伝達ユニット1420に取り付けられるが、バネ1050により付勢の力が生じ、その力は伝達ユニット1420を中間部材1430の底へ軸方向に移動させ、ピン1040が短い軸バッフル1438bの底の下を通って案内溝1324に入るように伝達ユニット1420が回転するために克服される。
【0185】
伝達装置の他の形態を
図48(a)〜
図52(b)に参照記号1500で示す。端部部材として機能する伝達装置1500は軸受部材として機能するギア部材(外郭)1560、中間部材1530、及び軸部材として機能する伝達ユニット1520を備える。これら部材の各々は伝達装置1400において上記に説明した通りであるが、以下に違いを記載する。
【0186】
図51に示されているように、ギア部材1560はその底面の中央に、中央突出部1462に代わるくぼみ1562を備える。また、1以上の受け部材1468のかわりに1以上の受け部材1568が備えられ、下記により詳しく述べるように、中間部材1430の突起1434を受けて保持する代わりに中間部材1530のクリップ1534を受けて保持する。
【0187】
図51に示されている形態のギア部材1560は、3つの内壁面突起により隔離されている3つの受け部材1568を備える。しかし、ギア部材1560は、1つ、2つ、4つ、それ以上の受け部材1568を備えていてもよい。好ましくは、受け部材1568の数は中間部材1530のクリップ1534の数と同じである。
【0188】
上記したように、中間部材1530は突起1434に代わるクリップ1534を備える。そのため、
図48(a)、
図48(b)に示されているように、クリップ1534を受け部材1568と一直線に並べ、中間部材1530を軸方向にギア部材1560へ押し込むことにより、中間部材1530はギア部材1560に取り付けられることができる。はじめにクリップ1534は受け部材1568と接触し、半径方向内側に曲がって中間部材1530がギア部材1560の中に押し込まれ続けるようにする。中間部材1530が軸方向に十分な距離だけ移動したら、クリップ1534は受け部材1568を通過して弾性的に元の姿勢に戻る。
図50に示されているように、取り付けの位置において、各クリップ1534は内壁面突起を備えている。使用者が中間部材1530をギア部材1560から外そうとすると、内壁面突起は受け部材1568と接触し、中間部材1530がギア部材1560から外れるのを防ぐ。このため、中間部材1530は、軸方向に挿入され回転する代わりに、クリップ1534が受け部材1568と一直線となり、クリップ1534が受け部材1568を通過するまで中間部材1530を軸方向に移動させることによって、ギア部材1560に取り付けられる。
【0189】
別の形態では、中間部材1530がギア部材1560内に完全に挿入されたとしても、クリップ1534が受け部材1568と接触するように、受け部材は軸方向に延ばされている。そのため、クリップ1534は曲げられたままで、クリップ1534間の接触により生じた摩擦により、受け部材1568はギア部材1560内で中間部材1530を保持する。
【0190】
図49(a)に示されている、中間部材1530とギア部材1560が付いている伝達ユニット1520は、伝達ユニット1420と似ているが、軸1070が径の細められた部位1570を備える点で異なっている。中間部材1530と伝達ユニット1520を組み立てるために、弾性部材1050は軸1070の径の細められた部位1570の周りに配置される。そして、伝達ユニット1520の軸1070は導入溝1436内に挿入され、軸方向に移動して回転する。こうして、
図49(a)、
図50からわかるように、弾性部材1050は中間部材1530内に配置される。この弾性部材は中間部材1530の底に接触し、伝達ユニット1520に対し付勢の力が生じる。
【0191】
伝達ユニット1520が軸方向に動くと、ギア部材1560のくぼみ1562により、軸1070が軸方向に移動するためのさらなる空間が生まれる。あるいは、くぼみ1562の代わりに、軸をギア部材1560に通すための孔を備えてもよい。
【0192】
伝達装置1400と同様に、中間部材1530は中間部材1530がギア部材1560に取り付けられる前でも後でも伝達ユニット1520に取り付けることができる。
【0193】
伝達装置1500の他の形態においては、
図53(a)〜
図53(c)に示されているように、ギア部材1560のかわりにギア部材1660を用い、中間部材1530の代わりに中間部材1630を用いてもよい。以下に述べる違いを除いて、ギア部材1660はギア部材1560と同じであり、中間部材1630は中間部材1530と同じである。
【0194】
図53(a)〜
図53(c)からわかるように、ギア部材1660は上記した受け部材1568に代わる受け部材1668を備える。各受け部材1668は受け部材1668の底面から延びる突出部1668aを備える。
【0195】
図54(a)、
図54(b)からわかるように、中間部材1630は円筒体から半径方向外側へ延びる突起1634を備える。各突起1634は突起の上面からくぼんでいる溝1634aを備える。溝1634aは突起1634の一端から延び、突起1634の上面から溝よりもくぼんでいる陥没部1634bで終わっている。また、陥没部1634bの代わりに貫通孔が用いられてもよい。
【0196】
図55(a)〜
図55(c)からわかるように、中間部材1630は、中間部材1630がギア部材1660内に軸方向に挿入され、突起1634が内壁面突起1466に接触するまで隣り合う受け部材1668の間を通るように突起1634を一直線に並べることで、ギア部材1660に取り付けることができる。突起1634が内壁面突起1466に接触した後、中間部材1630は各突起1634が対応する受け部材1668の下を通過すよう、ギア部材1660に応じて第一の方向(
図55(b)〜
図55(c)より、反時計回り)に回転する。中間部材1630が回転すると、突出部1668aは陥没部1634b内を移動する。本形態においては、突出部1668aは中間部材1630が回転すると陥没部1634bに接触する。
【0197】
中間部材1630がさらに回転すると、突出部1668aは陥没部1634bに入り、突出部1668aはその内部に、スナップフィット、摩擦、若しくは締まりばめにより保持される。弾性部材1050が中間部材1630とギア部材1660との間に位置する1つの形態においては、弾性部材は突出部1668aを陥没部1634bへと付勢し、突出部1668aが陥没部1634b内に維持されるのを助ける。
【0198】
軸部材の各部材を構成する材料は特に限定されないが、ポリアセタール、ポリカーボネート、PPS等の樹脂を用いることができる。ただし、部材の剛性を向上させるために、負荷トルクに応じて樹脂中にガラス繊維、カーボン繊維等を配合しても良い。また、樹脂中に金属をインサートしてさらに剛性を上げても良いし、全体を金属で製作しても良い。
【0199】
上記した、伝達ユニット、中間部材、ギア部材を含む構造は、それぞれ金属及び/またはプラスチックにより形成することができる。1つの形態においては、ギア部材と中間部材は2つの部分からなる1つの部材で、ギア部材と中間部材がそれぞれ亜鉛ダイカスト部であり、中間部材がギア部材からはずれないようにインサート成型により結合されている。他の形態では、ギア部材と中間部材はそれぞれ樹脂製で、インサート成形は用いず上記した方法で組み立てられてもよい。このため、中間部材はギア部材から、必要に応じいずれかの部分が交換できるように取り外すことができる。伝達ユニットもまた、必要に応じ中間部材とギア部材から取り外し、交換することができる。
【0200】
ここに述べた伝達装置のいずれかが用いられる場合、外郭はトナーカートリッジに設置される感光体ドラムに締め付けられ、伝達ユニットの係合構造がトナーカートリッジの一端から突き出る。使用者が画像形成装置の収容部にトナーカートリッジを取り付ける際、画像形成装置の駆動部材の一部が受け空間で受け取られ、係合凹部が画像装置の駆動部材の2つの柱に受け取られて係合することで、伝達ユニットの係合構造は収容部に配置されている画像形成装置の駆動部材と係合する。これにより、画像形成装置の駆動部材が感光体ドラムを回転させる。
【0201】
ここで記載されている伝達装置の形態は、構造の点で従来より単純であり、伝達装置の画像形成装置との連結方法、取り外しの方法は従来と異なっている。伝達ユニットがドラム軸線Lに沿って移動可能であり、同時にドラム軸線Lに沿って回転可能であるという特徴、また伝達ユニットの係合ブロックの特徴ある形状により、伝達装置がどのような角度で画像形成装置の収容部に取り付けられ、また取り外されても、伝達ユニットはしっかりと駆動部材に取り付けられ、またスムーズに駆動部材から取り外される。
【0202】
次に、回動軸が軸線方向に軸受部材へ押し込まれて移動する際の、軸受部材に対する回動軸の動き出しやすさ、すなわち最大静止摩擦係数の測定試験について説明する。前記測定試験では、IMADA製のデジタルフォースゲージ(ZTA−5N)を用い、
図56に示すように、本発明の端部部材と共に配置した。但し、本測定においては、回動軸用弾性部材が取り除かれた状態になっている。
【0203】
前記測定試験は、回動軸に対し鉛直下向きの力を加えながら、手動型ラックアンドピニオン式計測スタンドを用いて、デジタルフォースゲージ(IMADA社製)を回動軸の軸線方向に0.6mm/secで近づけたとき、回動軸を押し込むのにかかる最大の力を測定した。ここで、回動軸に与える鉛直下向きの力を異なる重さの錘を吊り下げることで与えた。測定試験においては、200g、300g、400g、500g、750g、1000gの錘をそれぞれ用いて行った。ここでの重量の値は、錘を吊るすために使用した治具(ワイヤー、容器等)の自重も含む。
毎秒100回のサンプリング速度で10秒間行う測定を1回として、3回測定し、それぞれの最大値の平均をその下向きの力における測定値とした。
図57は測定結果を示す。
【0204】
ここで、上記測定実験から求められる静止摩擦係数について説明する。回動軸を押し込む力をF、回動軸に対し下向きに与える力をR、静止摩擦係数をμとする。
【0205】
図58で示すように、回動軸を押し込む力Fが等速で与えられるとき、回動軸が動き出す瞬間において以下の式が成り立つ。
【0207】
また、μの最大値は最大静止摩擦係数となる。
【0208】
図57は、軸受部材と回動軸の材質の違いによる静止摩擦係数を比較したものである。
縦軸は摩擦係数、横軸は回動軸に与える鉛直下向きの力[N]を表す。中実丸は、軸受部材がポリアセタール樹脂(POM)を用い製造され且つ回動軸が亜鉛を切削して製造された場合を表し、中空丸は両方を亜鉛ダイキャストを用いて製造した場合である。
【0209】
次に、上記した端部部材を嵌合した電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジを用いて、前記プロセスカートリッジの装着時のスムーズさを測定する試験について説明する。前記スムーズさの測定試験では、Hewlett−Packard Company製のレーザープリンタ(HP LaserJet P2055)に対応するプロセスカートリッジを準備した。使用した回動軸用弾性部材はいずれの場合もコイルバネを用いている。
【0210】
試験は、60回の「通常装着」を試み、装着時に回動軸にかかる力を比較した。ここで「通常装着」とは、感光体ドラムユニットの軸線方向に直行する方向にプロセスカートリッジを押して、プロセスカートリッジを装着することである。
POM製の軸受部材及び切削亜鉛の回動軸を備えた端部部材、並びに軸受部材及び回動軸の両方を亜鉛ダイキャスト製とした端部部材について、前記プロセスカートリッジ装着試験を行った。
装着試験の結果を表1に示す。表1において、「A」はプロセスカートリッジをスムーズに装着できたことを意味し、「B」はAに比べるとスムーズではないが問題なく装着できたことを意味し、「C」は装着に失敗したことを意味する。
【0212】
表1からわかるように、通常装着では、いずれの材料も亜鉛ダイキャストである比較例1の場合60回中6回(確率10%)、プロセスカートリッジの装着が不可であった。一方、実施例1の場合、プロセスカートリッジの装着が不可となったのは0回(確率0%)であった。つまり、摩擦係数が小さい方が円滑にプロセスカートリッジの装着ができることになる。なお、上記失敗した6回は、再度装着しなおすと、問題なく装着できた。
【0213】
以上の装着試験の検討結果より、回動軸及び軸受部材の材料又は加工方法を選択し、回動軸が軸受部材に対して回転軸方向に移動する際の最大静止摩擦係数が、摩擦力方向に対して垂直方向に働く力が2.5〜10.5Nにおいて0.40以下とすることで、円滑にプロセスカートリッジの装着ができる。最大静止摩擦係数は、プロセスカートリッジの装着の円滑さの観点から、小さい値の方が好ましく、具体的には、摩擦力方向に対して垂直方向に働く力が2.5〜10.5Nにおいて0.35以下が好ましく、0.30以下がより好ましい。
【0214】
摩擦係数(最大静止摩擦係数)を、例えば0.40以下のように小さい値に下げる方法は特に限定はされない。上記の例の様に、軸受部材をポリアセタール樹脂により構成したり、回動軸を切削亜鉛により構成する等、部材自体の材料を工夫して摩擦係数を下げることができる。また、軸受部材と回動軸の摺動部にグリス等の潤滑剤を供給してもよいし、回動軸及び軸受部材のいずれか、または両方の表面に摩擦を低下させる所定のメッキを施したりするなど、摩擦係数を下げる方法には種々のものを採用することができる。
【0215】
前述の形態の記載は実例と説明のためのみに用いられたものであり、本発明を網羅すること、また本発明を開示した詳細な形態により制限することを意図したものではない。上記載を踏まえ多くの変更やバリエーションが可能である。
【0216】
前述の形態は、本発明の原理と実用的な適用を説明することで、当業者が本発明と様々な形態を、予定される使途に合う変更とともに用いることができるよう選択され記載されたものである。当業者により、本発明の精神と範囲から逸脱することなく他の形態も明らかにされる。本発明の範囲は前述の記載や形態ではなく別記のクレームにより規定される。
【0217】
本出願は、2015年6月17日出願の米国特許仮出願62/180,824に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。