特許第6803913号(P6803913)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6803913
(24)【登録日】2020年12月3日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】セパレータ及びそれを含む電気化学素子
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/16 20060101AFI20201214BHJP
   H01G 11/52 20130101ALI20201214BHJP
【FI】
   H01M2/16 L
   H01M2/16 M
   H01M2/16 P
   H01G11/52
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-532715(P2018-532715)
(86)(22)【出願日】2017年6月8日
(65)【公表番号】特表2019-501500(P2019-501500A)
(43)【公表日】2019年1月17日
(86)【国際出願番号】KR2017005977
(87)【国際公開番号】WO2017213444
(87)【国際公開日】20171214
【審査請求日】2018年6月21日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0071214
(32)【優先日】2016年6月8日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】サン,ドン−ウク
(72)【発明者】
【氏名】グ,ミン−ジ
【審査官】 近藤 政克
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−072162(JP,A)
【文献】 特開2013−235824(JP,A)
【文献】 特開2015−046230(JP,A)
【文献】 特開2016−046058(JP,A)
【文献】 特表2008−508391(JP,A)
【文献】 特開2016−072197(JP,A)
【文献】 粉体工学会誌,1980年,17(6),p.299−307
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/16
H01G 11/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セパレータであって、
多数の気孔を有する多孔性基材;及び
前記多孔性基材の少なくとも一面に形成され、多数の無機物粒子及び前記無機物粒子の表面の一部又は全部に位置して前記無機物粒子同士の間を連結及び固定させるバインダーを含む一対の多孔性コーティング層;を備えてなり、
前記多孔性コーティング層の全体重量に対する前記バインダーの重量が5〜40重量%であり、
前記無機物粒子がベーマイト粒子と、ベーマイト粒子以外の他の無機物粒子である非ベーマイト粒子とを含んでなり、
前記非ベーマイト粒子と前記ベーマイト粒子との重量比が70:30〜95:5であり、
前記バインダーがフッ素系バインダー及びゴム系バインダーを含んでなり、
前記フッ素系バインダーが、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン、ポリフッ化ビニリデン−トリクロロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン及びポリクロロトリフルオロエチレンからなる群から選択される一種又はこれらの二種以上の混合物であり、
前記ゴム系バインダーが、ニトリル−ブタジエンゴム、水和したニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、水和したスチレン−ブタジエンゴム及びシリコーンゴムからなる群から選択される一種又はこれらの二種以上の混合物であり、
前記フッ素系バインダーと前記ゴム系バインダーとの重量比が80:20〜99.9:0.1である、セパレータ。
【請求項2】
前記非ベーマイト粒子は、誘電率が5以上の無機物粒子、リチウムイオン伝達能力を有する無機物粒子又はこれらの混合物である、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項3】
前記誘電率が5以上の無機物粒子は、BaTiO、Pb(Zr,Ti)O(PZT)、Pb(Mg1/3Nb2/3)O−PbTiO(PMN−PT)、ハフニア(HfO)、SrTiO、SnO、CeO、MgO、NiO、CaO、ZnO、ZrO、Y、Al、TiO、SiC又はこれらの混合物である、請求項に記載のセパレータ。
【請求項4】
前記リチウムイオン伝達能力を有する無機物粒子が、リチウムホスフェート、リチウムチタンホスフェート、リチウムアルミニウムチタンホスフェート、(LiAlTiP)系列ガラス(0<x<4、0<y<13)、リチウムランタンチタネート、リチウムゲルマニウムチオホスフェート、リチウムナイトライド、SiS系列ガラス、P系列ガラス又はこれらの混合物である、請求項に記載のセパレータ。
【請求項5】
前記多孔性基材が、ポリオレフィン系多孔性基材である、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項6】
前記ポリオレフィン系多孔性基材が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン及びポリペンテンからなる群より選択される一種の高分子又はこれらの混合物で形成されたものである、請求項に記載のセパレータ。
【請求項7】
前記多孔性基材の厚さが5〜50μmであり、
前記多孔性基材の気孔の大きさが0.01〜50μmであり、
前記多孔性基材の気孔度が10〜95%である、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項8】
電気化学素子であって、
カソード、アノード、前記カソードと前記アノードとの間に介在されたセパレータを備えてなり、
前記セパレータが請求項1〜の何れか一項に記載のセパレータである、電気化学素子。
【請求項9】
前記電気化学素子がリチウム二次電池である、請求項8に記載の電気化学素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セパレータ及びそれを含む電気化学素子に関し、電極との接着力が改善されたセパレータ及びそれを含む電気化学素子に関する。
【0002】
本出願は、2016年6月8日出願の韓国特許出願第10−2016−0071214号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に援用される。
【背景技術】
【0003】
近年、エネルギー貯蔵技術に対する関心が益々高まっている。携帯電話、カムコーダー及びノートパソコン、さらには電気自動車のエネルギーまで適用分野が拡がるにつれて、電気化学素子の研究と開発に対する努力が次第に具体化している。電気化学素子はこのような面から最も注目されている分野であり、中でも充放電が自在な二次電池の開発に関心が寄せされている。最近は容量密度及び比エネルギーを向上させるための新たな電極と電池の設計に対する研究開発が行われている。
【0004】
現在適用されている二次電池のうち1990年代初に開発されたリチウム二次電池は、水溶液電解液を使用するNi−MH、Ni−Cd、硫酸−鉛電池などの従来の電池に比べて、作動電圧が高くエネルギー密度が格段に高いという長所から脚光を浴びている。しかし、このようなリチウムイオン電池は有機電解液の使用による発火及び爆発などの安全問題を抱えており、製造し難いという短所がある。
【0005】
近年のリチウムイオン高分子電池は、このようなリチウムイオン電池の弱点を改善して次世代電池の1つに数えられているが、未だ電池の容量がリチウムイオン電池と比べて相対的に小さく、特に低温における放電容量が不十分であるため、その改善が至急に求められている。
【0006】
上記のような電気化学素子は多くのメーカーで生産されているが、それらの安全性特性は相異なる様相を呈している。電気化学素子の安全性の評価及び安全性の確保は最も重要に考慮すべき事項である。特に、電気化学素子の誤作動によりユーザが傷害を被ることはあってはならなく、故に、安全規格は電気化学素子内の発火及び発煙などを厳格に規制している。電気化学素子の安全性特性において、電気化学素子が過熱されて熱暴走が起きるか又は分離膜が貫通される場合は爆発が起きる恐れが大きい。特に、電気化学素子の分離膜として通常使用されるポリオレフィン系多孔性基材は、材料的特性及び延伸を含む製造工程上の特性のため、100℃以上の温度で甚だしい熱収縮挙動を見せてカソードとアノードとの間の短絡を起こすという問題がある。
【0007】
このような電気化学素子の安全性問題を解決するため、多数の気孔を有する多孔性基材の少なくとも一面に、過量の無機物粒子とバインダーとの混合物をコーティングして多孔性有機−無機コーティング層を形成したセパレータが提案された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、無機物粒子とバインダーとの分散性が優れて電極との接着性が向上したセパレータを提供することである。
【0009】
また、本発明が解決しようとする他の課題は、前記セパレータを備える電気化学素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様によれば、下記具現例のセパレータが提供される。
【0011】
第1具現例は、多数の気孔を有する多孔性基材;及び前記多孔性基材の少なくとも一面に形成され、多数の無機物粒子及び前記無機物粒子の表面の一部または全部に位置して前記無機物粒子同士の間を連結及び固定させるバインダーを含む一対の多孔性コーティング層を含み、前記多孔性コーティング層の全体重量に対するバインダーの重量が5〜40重量%であり、前記無機物粒子がベーマイト粒子を含み、前記バインダーがフッ素系バインダー及びゴム(rubber)系バインダーを含み、前記フッ素系バインダーとゴム系バインダーとの重量比が80:20〜99.9:0.1であるセパレータに関する。
【0012】
第2具現例は、第1具現例において、前記フッ素系バインダーが、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン、ポリフッ化ビニリデン−トリクロロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン及びポリクロロトリフルオロエチレンからなる群より選択されたいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物であるセパレータに関する。
【0013】
第3具現例は、第1具現例または第2具現例において、前記ゴム系バインダーが、ニトリル−ブタジエンゴム、水和したニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、水和したスチレン−ブタジエンゴム及びシリコーンゴムからなる群より選択されたいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物であるセパレータに関する。
【0014】
第4具現例は、第1具現例〜第3具現例のうちいずれか一具現例において、前記無機物粒子がベーマイト粒子以外の他の無機物粒子である非ベーマイト粒子をさらに含むセパレータに関する。
【0015】
第5具現例は、第4具現例において、前記非ベーマイト粒子と前記ベーマイト粒子との重量比が1:99〜99:1であるセパレータに関する。
【0016】
第6具現例は、第4具現例または第5具現例において、前記非ベーマイト粒子は誘電率定数(誘電率、比誘電率、誘電定数;以下同じ)が5以上の無機物粒子、リチウムイオン伝達能力を有する無機物粒子またはこれらの混合物であるセパレータに関する。
【0017】
第7具現例は、第6具現例において、前記誘電率定数が5以上の無機物粒子は、BaTiO3、Pb(Zr,Ti)O3(PZT)、Pb1-xLaxZr1-yTiy3(PLZT)、PB(Mg1/3Nb2/3)O3−PbTiO3(PMN−PT)、ハフニア(HfO2)、SrTiO3、SnO2、CeO2、MgO、NiO、CaO、ZnO、ZrO2、Y23、Al23、TiO2、SiCまたはこれらの混合物であるセパレータに関する。
【0018】
第8具現例は、第6具現例において、前記リチウムイオン伝達能力を有する無機物粒子が、リチウムホスフェート(Li3PO4)、リチウムチタンホスフェート(LixTiy(PO43、0<x<2、0<y<3)、リチウムアルミニウムチタンホスフェート(LixAlyTiz(PO43、0<x<2、0<y<1、0<z<3)、(LiAlTiP)xy系列ガラス(0<x<4、0<y<13)、リチウムランタンチタネート(LixLayTiO3、0<x<2、0<y<3)、リチウムゲルマニウムチオホスフェート(LixGeyzw、0<x<4、0<y<1、0<z<1、0<w<5)、リチウムナイトライド(Lixy、0<x<4、0<y<2)、SiS2系列ガラス(LixSiyz、0<x<3、0<y<2、0<z<4)、P25系列ガラス(Lixyz、0<x<3、0<y<3、0<z<7)またはこれらの混合物であるセパレータに関する。
【0019】
第9具現例は、第1具現例〜第8具現例のうちいずれか一具現例において、前記多孔性基材がポリオレフィン系多孔性基材であるセパレータに関する。
【0020】
第10具現例は、第9具現例において、前記ポリオレフィン系多孔性基材がポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン及びポリペンテンからなる群より選択されたいずれか1つの高分子またはこれらの混合物で形成されたセパレータに関する。
【0021】
第11具現例は、第1具現例〜第10具現例のうちいずれか一具現例において、前記多孔性基材の厚さが5〜50μmであり、気孔の大きさ(サイズ、平均径;以下同じ)及び気孔度がそれぞれ0.01〜50μm及び10〜95%であるセパレータに関する。
【0022】
本発明の他の態様によれば、下記具現例の電気化学素子が提供される。
【0023】
第12具現例は、カソード、アノード、前記カソードとアノードとの間に介在されたセパレータを含む電気化学素子において、前記セパレータが第1具現例〜第11具現例のうちいずれか一具現例のセパレータである電気化学素子に関する。
【0024】
第13具現例は、第12具現例において、前記電気化学素子がリチウム二次電池である電気化学素子に関する。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一実施例によれば、フッ素系バインダーとゴム系バインダーとを一緒に使用することで、多孔性コーティング層形成用スラリーの分散安定性が大幅に向上し、多孔性コーティング層内の無機物粒子とバインダーとの間の分散及び配置が均一になり、その結果、無機物粒子とバインダーとの間の結着力及び電極とセパレータとの間の接着力も大幅に増加して電池の寿命特性を改善することができる。
【0026】
また、密度が相対的に低いベーマイト粒子を使用することで、セパレータ及び電気化学素子の軽量化を図ることができ、ベーマイト粒子の優れた吸熱特性によって、異常作動による電気化学素子の内部温度の急速な上昇を制御することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を詳しく説明する。本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0028】
本発明の一態様によるセパレータは、多数の気孔を有する多孔性基材;及び前記多孔性基材の少なくとも一面に形成され、多数の無機物粒子及び前記無機物粒子の表面の一部または全部に位置して前記無機物粒子同士の間を連結及び固定させるバインダーを含む一対の多孔性コーティング層を含み、前記多孔性コーティング層の全体重量に対するバインダーの重量が5〜40重量%であり、前記無機物粒子がベーマイト粒子を含み、前記バインダーがフッ素系バインダー及びゴム系バインダーを含み、前記フッ素系バインダーとゴム系バインダーとの重量比が80:20〜99.9:0.1である。
【0029】
前記多孔性コーティング層の全体重量に対するバインダーの重量は5〜40重量%であり、詳しくは5〜30重量%、より詳しくは10〜30重量%であり得る。
【0030】
前記バインダーの重量が40重量%を超える場合、形成される多孔性コーティング層の気孔に過量のバインダーが存在するようになって気孔の大きさ及び気孔度が低下し得、5重量%未満の場合は、形成される多孔性コーティング層の耐剥離性が弱化して、接着力が低下する恐れがある。
【0031】
本発明のセパレータは、前記バインダーとしてフッ素系バインダー及びゴム系バインダーを同時に使用することを特徴とする。
【0032】
前記フッ素系バインダーとゴム系バインダーとの重量比は80:20〜99.9:0.1であり、詳しくは80:20〜99:1、より詳しくは80:20〜97:2.5、80:20〜95:5、80:20〜90:10、または85:15〜90:10であり得る。前記フッ素系バインダーとゴム系バインダーとの重量比がこのような範囲を満足する場合、多孔性コーティング層形成用スラリーの分散性を大きく改善させ、セパレータと電極との間の接着力を増加させることができる。
【0033】
具体的に見れば、多孔性コーティング層形成用スラリーにバインダーとしてフッ素系バインダーを単独で使用する場合、フッ素系バインダーは無機物粒子及び電極層との接着強度が高い長所があるが、多孔性コーティング層形成用スラリーにおける無機物粒子とバインダーとの分散性が低下して無機物粒子の沈降現象が頻繁に起きるようになる。しかし、ゴム系バインダーをさらに含むようになれば、フッ素系バインダーとともに無機物粒子同士の間を連結及び安定的に固定させてスラリーの相安定性を大きく改善させることができる。
【0034】
その結果、無機物粒子及び電極層との接着強度が高いフッ素系バインダーと無機物粒子とが均一に分散及び位置するようになり、バインダーが無機物粒子同士の間を結着すると同時に、電極層との接着力にも均一に寄与できるようになる。
【0035】
さらに、ゴム系バインダーは、多孔性コーティング層内に柔軟性及び圧延性を増加させて、多孔性コーティング層が備えられたセパレータと電極との結合力を一層堅固にする役割も果たすようになる。
【0036】
また、前記ゴム系バインダーは、多孔性コーティング層の柔軟性及び弾性などのような機械的物性を向上させながら、フッ素系バインダーとともに無機物粒子同士の間を連結及び安定的に固定させるバインダーの役割を充実に果たすことで、多孔性コーティング層が導入されたセパレータの機械的物性が低下することを防止するのに寄与する。
前記フッ素系バインダーは、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン、ポリフッ化ビニリデン−トリクロロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン及びポリクロロトリフルオロエチレンからなる群より選択されたいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物があり得るが、これらに制限されることはない。
【0037】
前記ゴム系バインダーは、ニトリル−ブタジエンゴム、水和したニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)、スチレン−ブタジエンゴム、水和したスチレン−ブタジエンゴム及びシリコーンゴムからなる群より選択されたいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物であり得る。
【0038】
本発明の一実施例によれば、上述したフッ素系バインダー及びゴム系バインダーの外に、セパレータの多孔性コーティング層に使用されるバインダーをさらに含むことができ、このような追加的なバインダーの例としては、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、エチレンビニルアセテート共重合体、ポリエチレンオキサイド、ポリアリレート、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニルアルコール、シアノエチルセルロース、シアノエチルスクロース、プルラン及びカルボキシルメチルセルロースなどが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0039】
本発明においては、無機物粒子としてベーマイト粒子を含む。
【0040】
前記ベーマイトは、AlO(OH)またはAl23・H2Oの化学組成で表され、一般にアルミナ三水和物を空気中で加熱処理または水熱処理することで製造される化学的に安定的なアルミナ一水和物である。ベーマイトは脱水温度が450〜530℃と高く、製造条件を調整することで板状ベーマイト、針状ベーマイト、六角板状ベーマイトなど多様な形状に調節することができる。また、製造条件を制御することで、アスペクト比や粒径の制御が可能である。したがって、ベーマイトはその特性を用いることで多様な用途に提供され得る。
【0041】
また、本発明の一実施例によれば、前記無機物粒子は非ベーマイト粒子をさらに含むことができる。ここで、非ベーマイト粒子とは、ベーマイト粒子以外の無機物粒子を意味する。
【0042】
前記非ベーマイト粒子の非制限的な例としては、誘電率定数が5以上、詳しくは10以上の高誘電率無機物粒子、リチウムイオン伝達能力を有する無機物粒子またはこれらの混合物が挙げられる。
【0043】
前記誘電率定数が5以上の無機物粒子の非制限的な例としては、BaTiO3、Pb(Zr,Ti)O3(PZT)、Pb1-xLaxZr1-yTiy3(PLZT)、PB(Mg1/3Nb2/3)O3−PbTiO3(PMN−PT)、ハフニア(HfO2)、SrTiO3、SnO2、CeO2、MgO、NiO、CaO、ZnO、ZrO2、Y23、Al23、TiO2、SiCまたはこれらの混合物などが挙げられる。
【0044】
前記リチウムイオン伝達能力を有する無機物粒子は、リチウム元素を含むもののリチウムを貯蔵せず、リチウムイオンを移動させる機能を有する無機物粒子を称し、リチウムイオン伝達能力を有する無機物粒子の非制限的な例としては、リチウムホスフェート(Li3PO4)、リチウムチタンホスフェート(LixTiy(PO43、0<x<2、0<y<3)、リチウムアルミニウムチタンホスフェート(LixAlyTiz(PO43、0<x<2、0<y<1、0<z<3)、14Li2O−9Al23−38TiO2−39P25などのような(LiAlTiP)xy系列ガラス(0<x<4、0<y<13)、リチウムランタンチタネート(LixLayTiO3、0<x<2、0<y<3)、Li3.25Ge0.250.754などのようなリチウムゲルマニウムチオホスフェート(LixGeyzw、0<x<4、0<y<1、0<z<1、0<w<5)、Li3Nなどのようなリチウムナイトライド(Lixy、0<x<4、0<y<2)、Li3PO4−Li2S−SiS2などのようなSiS2系列ガラス(LixSiyz、0<x<3、0<y<2、0<z<4)、LiI−Li2S−P25などのようなP25系列ガラス(Lixyz、0<x<3、0<y<3、0<z<7)またはこれらの混合物などが挙げられる。
【0045】
本発明の一実施例によれば、前記非ベーマイト粒子と前記ベーマイト粒子との重量比は1:99〜99:1、詳しくは40:60〜99:1、より詳しくは50:50〜95:5、さらに詳しくは60:40〜95:5、70:30〜95:5、または85:15〜95:5であり得る。
【0046】
前記非ベーマイト粒子と前記ベーマイト粒子との重量比がこのような範囲を満足する場合、ベーマイト含量の増加によるベーマイトの脱離を防止するためにバインダーの含量を大きく増加させる必要がなく、多孔性コーティング層形成用コーティング組成物の分散安定性や工程性が大きく改善され、均一な厚さの多孔性コーティング層の形成が可能であり、多孔性コーティング層の空隙率を容易に制御することができる。
【0047】
前記ベーマイト粒子の平均粒径は、前記非ベーマイト粒子の平均粒径の0.01〜0.9倍、詳しくは0.015〜0.85倍、より詳しくは0.02〜0.08倍であり得る。
【0048】
本発明の一実施例によれば、非ベーマイト粒子の平均粒径は0.5〜3μm、詳しくは0.5〜2.7μm、より詳しくは0.5〜2.5μmであり得、ベーマイト粒子の平均粒径は0.05〜0.4μm、詳しくは0.07〜0.37μm、より詳しくは0.09〜0.35μmであり得る。
【0049】
本発明の一実施例によれば、無機物粒子はベーマイト粒子と相異なる平均粒径を有する非ベーマイト粒子を含み得るため、多孔性コーティング層形成用組成物内の無機物粒子の分散性及びコーティング工程性が向上し、コーティング層の厚さの調節が容易であり、機械的物性及び電気的特性が低下することを改善することができる。さらに、大粒径粒子同士の間の大きい空隙内に、小粒径粒子が位置し得るため、生成される多孔性コーティング層の気孔の大きさを制御することができ、多孔性コーティング層の緻密性が改善されて多孔性基材の熱収縮現象を抑制することで、電池の充電及び放電時の内部短絡現象を防止することもできる。
【0050】
特に、本発明の一実施例では、非ベーマイト粒子及び前記非ベーマイト粒子より平均粒径が小さいベーマイト粒子を一緒に使用することで、単に大きさが相異なる同種の無機物粒子2種を使用することに比べて、より有利な効果を奏することができる。以下、詳しく説明する。
【0051】
例えば、前記非ベーマイト粒子がアルミナ粒子である場合、アルミナ粒子はAl23の化学式で表されるアルミニウムと酸素との化合物であって、相対的に高い熱伝導性を有する電気絶縁材として知られており、その密度は3.95〜4.1g/cm3である。
【0052】
一方、前記ベーマイト粒子は、通常、密度が約2.4〜3.1g/cm3の範囲である。
【0053】
また、ベーマイト粒子は吸熱特性に優れ、水酸基を有していて親水性が高く、比表面積を高く調整できるため、電気化学素子に有用な添加剤成分を保有する担体としての役割も果たせる。そして、ベーマイトはアルミナに近い熱伝導度を有するため、熱伝導用フィラーとして有用であり、特に高アスペクト比のものは異方性を有して、少量の添加でも一定方向への熱伝導性を高めることができるため、電気化学素子内に非正常的な温度上昇が起きる場合は、高い熱伝導度によって外部に熱を伝達することもできる。
【0054】
したがって、本発明の多孔性コーティング層に、大粒径無機物粒子として非ベーマイト粒子のうちアルミナ粒子を使用し、このようなアルミナ粒子より平均粒径が小さく、アルミナに比べて相対的に密度が低いベーマイト粒子を使用する場合、セパレータの全体重量を下げることができ、電気化学素子の軽量化を図ることができる。また、ベーマイト粒子は、上述したように、球状の外に板状などの多様な形状で具現できるため、球状のアルミナ粒子が互いに隣接して配列されるか又はかなり離隔して配列されている場合にも、アルミナ粒子同士の間の多様な形態の空隙内に容易に位置することができる。その結果、多孔性コーティング層の緻密性と機械的物性を大幅に向上させ、多孔性基材の熱収縮現象を抑制して電気化学素子の内部短絡を防止する役割を果たすことができる。
【0055】
また、例えば平均粒径が相異なるアルミナ粒子、すなわち大粒径のアルミナ粒子及び小粒径のアルミナ粒子を使用する場合、大粒径のアルミナ粒子に比べて小粒径のアルミナ粒子はその価格が非常に高価であって、取り扱いが容易ではないなどの問題があるが、本発明の一実施例によれば、アルミナ粒子と、アルミナ粒子より平均粒径が小さいベーマイト粒子とを一緒に使用することで、このような問題を解消することもできる。
【0056】
前記多孔性基材は、多孔性高分子基材であり得、具体的に多孔性高分子フィルム基材または多孔性高分子不織布基材であり得る。
【0057】
前記多孔性高分子フィルム基材としては、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィンからなる多孔性高分子フィルムが挙げられ、このようなポリオレフィン多孔性高分子フィルム基材は例えば80〜130℃の温度でシャットダウン機能を発現する。
【0058】
このとき、ポリオレフィン多孔性高分子フィルムは、高密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンのようなポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリペンテンなどのポリオレフィン系高分子をそれぞれ単独でまたはこれらの2種以上混合した高分子から形成することができる。
【0059】
また、前記多孔性高分子フィルム基材は、ポリオレフィンの外にポリエステルなどの多様な高分子を用いてフィルム形状に成形して製造することもできる。また、前記多孔性高分子フィルム基材は、2層以上のフィルム層を積層した構造で形成することができ、各フィルム層は上述したポリオレフィン、ポリエステルなどの高分子を単独でまたはこれらを2種以上混合した高分子から形成することもできる。
【0060】
また、前記多孔性高分子フィルム基材及び多孔性不織布基材は、上述したポリオレフィン系の外に、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルファイド、ポリエチレンナフタレートなどをそれぞれ単独でまたはこれらを混合した高分子から形成することができる。
【0061】
前記多孔性基材の厚さは特に制限されないが、詳しくは1〜100μm、より詳しくは5〜50μmであり、多孔性基材に存在する気孔の大きさ及び気孔度も特に制限されないが、それぞれ0.01〜50μm及び10〜95%であることが望ましい。
【0062】
本発明の一態様によるセパレータは、多孔性コーティング層の成分として上述した無機物粒子及びバインダーの外に、その他の添加剤をさらに含むことができる。
【0063】
本発明の一実施例によるセパレータは、ベーマイト粒子を含む無機物粒子、そしてフッ素系バインダー及びゴム系バインダーを含むバインダーを備える多孔性コーティング層形成用組成物を用意し、このような組成物を多孔性基材の少なくとも一面上に塗布して、それを乾燥することで製造することができる。
【0064】
まず、多孔性コーティング層形成用組成物は、バインダーを溶媒に溶解させた後、無機物粒子を添加して、それを分散させて製造することができる。無機物粒子は予め所定の平均粒径を有するように破砕した状態で添加でき、または、バインダーの溶液に無機物粒子を添加した後、無機物粒子をボールミル法などで所定の平均粒径を有するように制御しながら破砕して分散させることもできる。
【0065】
前記多孔性コーティング層形成用組成物を前記多孔性基材にコーティングする方法は特に限定されないが、スロットコーティングやディップコーティング方法を使用することが望ましい。スロットコーティングはスロットダイを通じて供給された組成物が基材の全面に塗布される方式であり、定量ポンプから供給される流量によってコーティング層の厚さを調節することができる。また、ディップコーティングは、組成物が満たされているタンクに基材を浸してコーティングする方法であり、組成物の濃度及び組成物タンクから基材を引き上げる速度によってコーティング層の厚さを調節することができる。さらに、より正確なコーティング厚さの制御のため、浸漬した後、マイヤーバーなどを用いて後計量することもできる。
【0066】
このように多孔性コーティング層形成用組成物がコーティングされた多孔性基材をオーブンのような乾燥機を用いて乾燥することで、多孔性基材の両面に対称構造の多孔性コーティング層を形成する。
【0067】
前記多孔性コーティング層では、無機物粒子同士は充填されて互いに接触した状態で前記バインダー高分子によって相互結着し、それにより無機物粒子同士の間にインタースティシャル・ボリューム(interstitial volume)が形成され、前記無機物粒子同士の間のインタースティシャル・ボリュームは空き空間になって気孔を形成する。
【0068】
すなわち、バインダー高分子は無機物粒子同士が互いに結着した状態を維持できるようにこれらを互いに付着、例えば、バインダー高分子が無機物粒子同士の間を連結及び固定させている。また、前記多孔性コーティング層の気孔は無機物粒子同士の間のインタースティシャル・ボリュームが空き空間になって形成された気孔であり、これは無機物粒子による充填構造(closed packed or densely packed)で実質的に面接する無機物粒子同士によって限定される空間である。
【0069】
本発明の一態様による電気化学素子は、カソード、アノード、前記カソードとアノードとの間に介在されたセパレータを含み、前記セパレータが上述した本発明の一実施例によるセパレータである。
【0070】
このような電気化学素子は、電気化学反応を行うあらゆる素子を含み、具体的には、すべての種類の一次、二次電池、燃料電池、太陽電池またはスーパーキャパシタ素子のようなキャパシタなどが挙げられる。特に、前記二次電池のうちリチウム金属二次電池、リチウムイオン二次電池、リチウムポリマー二次電池またはリチウムイオンポリマー二次電池などを含むリチウム二次電池が望ましい。
【0071】
本発明のセパレータと共に適用されるカソードとアノードの両電極としては、特に制限されず、当業界で周知の通常の方法で電極活物質を電極電流集電体に結着した形態で製造することができる。前記電極活物質のうちカソード活物質の非制限的な例としては、従来電気化学素子のカソードに使用される通常のカソード活物質を使用でき、特にリチウムマンガン酸化物、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウム鉄酸化物またはこれらを組み合わせたリチウム複合酸化物を使用することが望ましい。アノード活物質の非制限的な例としては、従来電気化学素子のアノードに使用される通常のアノード活物質を使用でき、特にリチウム金属またはリチウム合金、炭素、石油コークス(petroleum coke)、活性化炭素、グラファイトまたはその他炭素類などのようなリチウム吸着物質などが望ましい。カソード電流集電体の非制限的な例としては、アルミニウム、ニッケルまたはこれらの組合せによって製造されるホイルなどがあり、アノード電流集電体の非制限的な例としては、銅、金、ニッケルまたは銅合金またはこれらの組合せによって製造されるホイルなどがある。
【0072】
本発明の電気化学素子で使用できる電解液は、A+-のような構造の塩であり、A+はLi+、Na+、K+のようなアルカリ金属陽イオンまたはこれらの組合せからなるイオンを含み、B-はPF6-、BF4-、Cl-、Br-、I-、ClO4-、AsF6-、CH3CO2-、CF3SO3-、N(CF3SO22-、C(CF2SO23-のような陰イオンまたはこれらの組合せからなるイオンを含む塩を、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、エチルメチルカーボネート(EMC)、γ−ブチロラクトンまたはこれらの混合物からなる有機溶媒に溶解または解離したものであるが、これらに限定されることはない。
【0073】
前記電解液の注入は、最終製品の製造工程及び求められる物性に応じて、電池製造工程のうち適切な段階において行えばよい。すなわち、電池組み立ての前または電池組み立ての最終段階などにおいて注入すればよい。
【0074】
以下、本発明を具体的な実施例を挙げて説明する。しかし、本発明による実施例は多くの他の形態に変形され得、本発明の範囲が後述する実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は当業界で平均的な知識を持つ者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0075】
実施例1
バインダーとしてPVdF−HFP(ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)及びニトリル−ブタジエンゴムをアセトンに添加し、50℃で約12時間以上溶解させてバインダー高分子溶液を用意した。用意したバインダー高分子溶液に平均粒径200nmのベーマイト(γ−AlO(OH))粒子及び平均粒径500nmのアルミナ(Al23)粒子を添加し、分散させて多孔性コーティング層用スラリーを製造した。このとき、アルミナ粒子とベーマイト粒子との重量比は85:15であった。
【0076】
このように製造されたスラリーをディップコーティング法で厚さ15μmのポリエチレン多孔性膜(気孔度40%)の両面にコーティングして、両面に多孔性コーティング層をそれぞれ備えたセパレータを製造した。セパレータの厚さは下記表1のようである。
【0077】
製造されたセパレータにおいて、ポリエチレン多孔性膜の両面に形成された2つの多孔性コーティング層のバインダーの総重量は20重量%であり、PVdF−HFPとニトリル−ブタジエンゴムとの重量比は90:10であった。このとき、両面に形成された多孔性コーティング層のバインダー含量、及びPVdF−HFPとニトリル−ブタジエンゴムとの重量比は同一であった。
【0078】
実施例2
PVdF−HFPとニトリル−ブタジエンゴムとの重量比が80:20であることを除き、実施例1と同じ方法でセパレータを製造した。
【0079】
実施例3
PVdF−HFPとニトリル−ブタジエンゴムとの重量比が85:15であることを除き、実施例1と同じ方法でセパレータを製造した。
【0080】
実施例4
PVdF−HFPとニトリル−ブタジエンゴムとの重量比が95:5であることを除き、実施例1と同じ方法でセパレータを製造した。
【0081】
比較例1
PVdF−HFPとニトリル−ブタジエンゴムとの重量比が75:25であることを除き、実施例1と同じ方法でセパレータを製造した。
【0082】
比較例2
PVdF−HFPとニトリル−ブタジエンゴムとの重量比が70:30であることを除き、実施例1と同じ方法でセパレータを製造した。
【0083】
比較例3
PVdF−HFPとニトリル−ブタジエンゴムとの重量比が60:40であることを除き、実施例1と同じ方法でセパレータを製造した。
【0084】
セパレータの物性評価
実施例1〜4及び比較例1〜3で製造されたセパレータの通気時間、及び熱収縮率をそれぞれ測定して下記表1に示した。
【0085】
(1)通気時間
ガーレー空気透過度値はASTM D726−94方法で測定した。ここで使用されたガーレーは、空気の流れに対する抵抗であって、ガーレーデンソメーター(Gurley densometer)によって測定される。ここで説明されたガーレー空気透過度値は、100mlの空気が12.2水柱インチの圧力下で1平方インチの断面を通過するのにかかる時間(秒)、すなわち通気時間で示した。
【0086】
(2)熱収縮率
実施例1〜4及び比較例1〜3で製造されたセパレータを50mm×50mm大きさに裁断し、A4用紙の間に挟んで150℃の対流式オーブン(convection oven)に30分間入れた後、機械方向(MD)と横方向(TD)の熱収縮率を測定した。このとき、熱収縮率は[(最初の長さ−熱処理後の長さ)/(最初の長さ)×100]で計算した。
【0087】
【表1】
表1から、実施例1〜4で製造されたセパレータは、多孔性コーティング層にフッ素系バインダー及びゴム系バインダーを含み、前記フッ素系バインダーとゴム系バインダーとの重量比が80:20〜99.9:0.1の範囲を満足した結果、このような条件を満たさない比較例1〜3に比べて通気度及び熱収縮率ともに著しく改善されたことが分かる。