(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の処理チャンバ(140)を前記第2のチャンバ(120)又は第2の処理チャンバ(240)に連結する通路(150)を更に備え、前記通路(150)は、前記メンテナンスゾーン(130)の上又は下に設けられる、請求項1に記載の真空処理システム(100)。
前記第2の処理チャンバ(240)は、前記第2のチャンバ(120)が前記メンテナンスゾーン(130)と前記第2の処理チャンバ(240)との間に設けられるように位置付けされる、請求項2に記載の真空処理システム(100)。
前記処理ドラム(142)に隣接するように加熱デバイス(131)が設けられ、前記加熱デバイス(131)は、前記フレキシブル基板(10)を基板の搬送方向(108)に垂直の方向に拡張させるように、又は前記基板の拡張を維持するように構成され、且つ、前記加熱デバイスは、前記基板の搬送方向(108)に平行の方向に少なくとも20mmの寸法を有する、請求項4又は5に記載の真空処理システム(100)。
前記加熱デバイス(131)が前記処理ドラム(142)とスプレッダローラ(144)との間に位置づけされ、前記スプレッダローラ(144)は、前記処理ドラム(142)の上流又は下流で前記基板に接触する第1のローラである、請求項6に記載の真空処理システム(100)。
熱調整ユニットを更に備え、前記熱調整ユニット(133)は、前記加熱デバイス(131)の第1の側面の反対側に位置づけされ、前記熱調整ユニット(133)と前記加熱デバイスとは、前記フレキシブル基板(10)の経路を提供する間隙又はトンネルを形成する、請求項6又は7に記載の真空処理システム(100)。
前記マイクロ波アンテナ(700)は、前記マイクロ波アンテナ(700)の長さに沿って設けられた複数のスロット(710)を有する細長いスリーブ(720)を備え、前記複数のスロット(710)は前記第1の群のスロット(711)と前記第2の群のスロット(712)を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の真空処理システム(100)。
基板をガイドするための基板ガイド制御ユニット(300)を更に備え、前記基板ガイド制御ユニット(300)は単一のガイドローラ(104)を備え、前記単一のガイドローラ(104)は、
調整ユニット(310)と、
前記ガイドローラ(104)の第1の端、及び前記第1の端の反対である第2の端において前記基板(10)の張力を測定するための第1の基板張力測定ユニット(301)及び第2の基板張力測定ユニット(302)と、
前記ガイドローラ(104)の前記第1の端から測定された張力、及び前記ガイドローラ(104)の第2の端で測定された張力を、前記調整ユニット(310)を制御するためのコントローラ(501)に供給するためのデータ接続部(311)と
を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の真空処理システム(100)。
前記処理ドラム(142)の外面とガス分離ユニット(370)との間で前記基板(10)が通過することができるスリット(20)を形成するように適合された前記少なくとも1つの第2の真空処理領域から前記第1の真空処理領域を分離させるためのガス分離ユニット(370)を更に備え、前記ガス分離ユニット(370)は、前記第1の真空処理領域と前記第2の真空処理領域との間の流体連結を制御するように適合され、前記流体連結は、前記ガス分離ユニット(370)の位置を調整することによって制御される、請求項4から9、12及び13のいずれか一項に記載の真空処理システム(100)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0014]本開示の様々な実施形態をこれより詳細に参照していく。これらの実施形態の一又は複数の例が図中に示されている。図面に関する以下の説明の中で、同じ参照番号は同じ構成要素を指している。下記において、個々の実施形態に関する違いのみが説明される。各実施例は、本開示の説明のために提供されているが、本開示を限定することが意図されているわけではない。更に、1つの実施形態の一部として図示又は説明されている特徴は、更なる実施形態を創出するために、他の実施形態で使用されることも、他の実施形態と併用されることも可能である。説明には、このような修正例及び変形例が含まれるように意図されている。
【0016】
[0015]
図1Aに、本書に記載の実施形態に係る、基板を処理するための真空処理システム100の概略斜視図を示す。詳細には、真空処理システム100は、フレキシブル基板をガイドし処理するように適合されうる。例えば、真空処理システム100は、プラズマ相から、移動している基板、特にフレキシブル基板上に薄膜を堆積させるように構成されうる。
【0017】
[0016]
図1A及び
図1Bに例示するように、本書に記載の他の実施形態と組合せうる実施形態によれば、真空処理システム100は、第1のチャンバ110と、第2のチャンバ120と、メンテナンスゾーン130と、少なくとも1つの処理チャンバ、例えば
図1A及び
図1Bの処理チャンバ140と、通路150とを含みうる。例えば、第1のチャンバ110は、基板、特にフレキシブル基板10を提供するための供給ロール111を収容するための巻き出しチャンバであってよい。第2のチャンバ120は、処理後にフレキシブル基板10を収めるための巻き取りロール121を収容するための巻き付けチャンバであってよい。
【0018】
[0017]本開示において、「供給ロール」は、処理される基板、例えばフレキシブル基板が収められるロールと理解するべきである。したがって、本開示において、本書に記載の「巻き取りロール」は、処理された基板を受け入れるように適合されたロールと理解すべきである。更に、「供給ロール」は「再巻き付け器」とも称され得、「巻き取りロール」は「巻き出し器」とも称されうることに留意すべきである。
【0019】
[0018]本開示において、「フレキシブル基板」は、曲げることができる基板として特徴づけられうる。例えば、フレキシブル基板は箔であってよい。詳細には、本書に記載の処理システムの実施形態をいずれかの種類のフレキシブル基板を処理するために、例えばフレキシブル基板にコーティング又は電子デバイスを製造するために用いることができることを理解すべきである。例えば、本書に記載の基板は、PET、HC−PET、PE、PI、PU、TaCのような材料、一又は複数の金属、紙、それらの組み合わせ、及びハードコートPET(例えば、HC−PET、HC−TAC)など既にコーティングされている基板を含み得る。
【0020】
[0019]本書に記載の他の実施形態と組み合わせうる、ある実施形態によれば、真空処理システムは、500m以上、例えば900m以上、例えば1000mの基板長さに対応するように構成されうる。基板の幅は、300mm以上、例えば400mm以上、特に1400mm以上であってよい。通常、基板の厚さは、50μmから200μmとすることができる。
【0021】
[0020]本書に記載の実施形態は、第1のチャンバを巻き出しチャンバとして言及し、第2のチャンバを巻き付けチャンバとして言及するが、本書で言及する第1のチャンバは、巻き取りロールを有する巻き付けチャンバとして使用されてもよく、第2のチャンバは、供給ロールを有する巻き出しチャンバとして使用されてもよいことを理解するべきである。
【0022】
[0021]実施形態によれば、真空処理システム100の幾つかのチャンバ、又はすべてのチャンバは、真空処理のために適合され得る。例えば、第1のチャンバ、例えば巻き出しチャンバ、少なくとも1つの処理チャンバ、及び第2のチャンバ、例えば巻き付けチャンバ等の処理システムの少なくとも一部において、真空を生成又は維持することを可能にする構成要素又は機器を含みうる。幾つかの実施形態によれば、堆積システムは、堆積システムの少なくとも一部において真空を生成又は維持するため、真空ポンプ、排気ダクト、真空シールなどを含み得る。ある実施形態では、少なくとも1つの処理チャンバ、巻き付けチャンバ、及び巻き出しチャンバは、それぞれ、他のチャンバから独立した個々のチャンバ内で真空を生成且つ維持するための真空生成デバイス及び真空維持デバイスを含み得る。例えば、各チャンバは、それぞれのエリアを排気するための対応する個々の真空ポンプ又はポンピングステーションを有しうる。
【0023】
[0022]ある実施形態によれば、真空条件下で作動するように適合されている処理システムのチャンバは、真空気密筐体(vacuum tight enclosure)を形成する、この真空気密筐体は、すなわち、約0.2から10mbarの圧力を有する真空、又は更に1*10
−4から1*10
−2mbarの圧力を有する真空にまで排気され得る。特に、異なる圧力形態で行われるPVDプロセスに対しては10
−3mbarの範囲、CVDに対してはmbarの範囲の異なる圧力範囲が考えられる。更に、一又は複数のチャンバは、1*10
−6mbar以下の圧力で背景真空(background vacuum)まで排気され得る。背景圧力とは、いずれかのガスのいずれの吸気口も使わずにチャンバを排気させることによって到達する圧力を意味する。これとは逆に、本書に記載の実施形態によれば、第1のチャンバ110と第2のチャンバ120との間に設けられたメンテナンスゾーンは、操作員がメンテナンスアクセスを使用することができるように大気(すなわち周囲空気)条件下にある。
【0024】
[0023]
図1A及び1Bに例示するように、メンテナンスゾーン130と第1の処理チャンバ140Aとの間に第1のチャンバ110が設けられうる。第1のチャンバ110、例えば巻き出しチャンバと、第2のチャンバ120、例えば巻き付けチャンバとの間にメンテナンスゾーン130が配置されうる。したがって、第1のチャンバ110と第2のチャンバ120との間にメンテナンスゾーンが配置されていることにより、真空処理システムの作動の、例えば、前、後、又は途中に、第1のチャンバ及び/又は第2のチャンバのメンテナンスアクセス、或いは第1のチャンバ及び/又は第2のチャンバへのメンテナンスアクセスが可能になる。
【0025】
[0024]本開示において、本書で言及する「メンテナンスゾーン」は、処理システムの一又は複数のチャンバのメンテナンスを可能にするゾーンとして理解するべきである。したがって、「メンテナンスゾーン」は、サービスゾーンでありうることが理解される。例えば、メンテナンスゾーンは、処理システムのチャンバのうちの一又は複数の中に存在する構成要素を監視、制御、維持、洗浄、又は交換することを可能にし得る。更に、「メンテナンスゾーン」という用語は、操作員によって実施されるメンテナンスを可能にするゾーンとして理解してもよい。したがって、本書に記載のメンテナンスゾーンは、チャンバの、又はチャンバへのメンテナンスアクセスを可能にしうる。例えば、メンテナンスゾーンは、本書に記載のように、巻き出しチャンバ又は巻き付けチャンバにアクセスすることを可能にし得る。メンテナンスアクセスは、視覚的メンテナンス、信号制御又は信号受信のための電子ユニットへのアクセス、又は物理的な立ち入りを含み得る。ある実施形態によれば、メンテナンスゾーンでは、大気条件が提供される。ある実施形態では、メンテナンスゾーンは、メンテナンスゾーンによってアクセスが可能である処理システムのチャンバのうちの一又は複数の中に存在する構成要素を制御、洗浄、又は交換することを可能にし得る。幾つかの実施形態では、メンテナンスゾーンは、処理システムのチャンバ内の処理に影響を与えるためのスイッチ、ボタン、制御ダイヤル、モニター、アクチュエータ、モジュレータなどの制御要素へのアクセスを提供し得る。一実施例では、メンテナンスゾーンは、巻き付け又は巻き出し処理を終了させるスイッチを有してもよい。他の実施形態又は更なる実施形態では、メンテナンスゾーンは、温度、圧力、湿度などの環境条件を第1及び/又は第2のチャンバにおいて制御するための制御要素を有してもよい。実施形態によれば、メンテナンスゾーンは、大気条件を提供する。
【0026】
[0025]
図1Bを例示として参照する、本書に記載の他の実施形態と組み合わせうる実施形態によれば、少なくとも1つの処理チャンバ(例:
図1Bの処理チャンバ140)、特に第1の処理チャンバ140Aは、第1のチャンバ110、例えば巻き出しチャンバに隣接するように配置されうる。少なくとも1つの処理チャンバには、処理チャンバ内で処理が実施されている間に基板をガイドするための処理ドラム142が設けられうる。処理ドラム142は、一または複数の堆積源などの、処理チャンバ内に存在する一又は複数の処理構成要素を通り越して、フレキシブル基板10をガイドするように適合され得る。ある実施形態によれば、処理ドラム142は、摂氏約−20度〜400度の温度に加熱及び/又は冷却されるように構成されうる。したがって、処理ドラムは加熱及び/又は冷却チャネルを含みうる。
【0027】
[0026]本開示において、本書に記載の「処理チャンバ」は、処理が行われるチャンバと理解するべきである。例えば、処理チャンバの中では、基板上に材料を堆積させるために堆積処理が行われ得る。しかしながら、処理チャンバは、以下に詳細に説明するように、代替的又は追加的な処理に対しても適合されうる。
【0028】
[0027]ある実施形態によれば、少なくとも1つの処理チャンバは、処理構成要素を収容し得る。本開示において、「処理構成要素」は、基板上に材料を堆積させるための構成要素、及び/又は基板を加熱するための構成要素、及び/又は基板を冷却させるための構成要素、及び/又は基板に前処理を施すための構成要素、及び/又は基板、あるいは基板上に配置された層をエッチングするための構成要素、及び/又は基板を洗浄するための構成要素等であることを理解すべきである。したがって、ある実施形態では、処理チャンバは、基板上に材料を堆積させるための堆積源、加熱デバイス(加熱ランプ(例えば赤外線ランプ)など)、処理ドラム内の冷却チャネル、洗浄装置、例えば、プラズマ前処理によって、後段階で実施される処理のために基板を準備する装置のような前処理装置、エッチング装置などを含みうる。幾つかの実施形態によれば、基板をプラズマで処理するため、前処理プラズマ源(例えば、RFプラズマ源)を提供し得る。例えば、プラズマでの前処理は、基板表面に堆積された膜の膜接着性を向上させるために基板表面の表面改質をもたらすことがあり、或いは、その処理を改善するために別の方法で基板形態を改善することがある。したがって、当然ながら、本書に記載の処理チャンバは、CVDチャンバ、PVDチャンバ、PECVDチャンバ、エッチングチャンバ、又は他のいずれかの好ましい処理チャンバであってよい。
【0029】
[0028]
図1Bを例示として参照すると、本書に記載の処理システムの実施形態によれば、第1のチャンバ110、例えば巻き出しチャンバの供給ロール111から第1の処理チャンバ140Aの処理ドラム142まで、さらに通路150を通って第2のチャンバ120、例えば巻き付けチャンバの巻き取りロール121まで基板搬送方向108に沿って基板、例えばフレキシブル基板10をガイドすることができる。
図1Bに例示するように、フレキシブル基板の前面を接触させずに、巻き出しチャンバの供給ロール111から巻き付けチャンバの巻き取りロール121まで処理チャンバ140内の少なくとも1つの処理領域を通ってフレキシブル基板をガイドするためのガイドローラ104の装置が設けられうる。操作中、フレキシブル基板は、少なくとも1つの処理領域の中に基板搬送方向に移動され得、処理領域には例えば、プラズマ堆積源が、例えばプラズマ相から移動している基板上に薄膜が堆積されうるように、堆積ガスをプラズマ相内に移動させるように配置されうる。本書に記載の他の実施形態とも組み合わされうる実施形態によれば、搬送装置の一又は複数のガイドローラは加熱されうる。具体的には、処理ドラムによって一または複数の処理領域を通して基板がガイドされる位置の前に設置されるガイドローラは、加熱されるように構成されうる。したがって、基板からの湿気の軽減は、処理ゾーンの前に設置された加熱されたガイドローラを使用することを通して達成されうる。更に、本書に記載の他の実施形態と組み合わせうる実施形態によれば、処理システムには、例えば加熱されたガイドローラを使用することによって基板からガス放出された蒸気を集めるためのトラップ(図示せず)、例えば低温トラップが設けられうる。具体的には、基板からのガス抜きされた蒸気を集めるためのトラップは、本書に記載の加熱されたローラによって基板が加熱されたことに起因して湿気が蒸発しうる基板の表面に対向する位置に配置されうる。
【0030】
[0029]本開示において、「ロール」、又は「ローラ」は、処理システム内に基板が存在する間、基板(又は基板の一部)が接触し得る表面を提供する装置と理解してもよい。本書で言及されている「ロール」又は「ローラ」の少なくとも一部は、処理される基板又は既に処理された基板に接触するための円形のような形状を含み得る。幾つかの実施形態では、「ロール」又は「ローラ」は、実質的に円筒形状を有し得る。実質的な円筒形状は、真っすぐな長手方向軸の周りに形成されてもよく、又は湾曲した長手方向軸の周りに形成されてもよい。幾つかの実施形態によれば、本書に記載の「ロール」又は「ローラ」は、フレキシブル基板と接触するように適合され得る。例えば、本書で言及される「ロール」又は「ローラ」は、基板が処理される間(堆積処理の間など)又は基板が処理システム内に存在する間に基板をガイドするように適合されたガイドローラ、コーティングされる基板に規定された張力を付与するように適合されたスプレッダローラ(拡張ローラ)、規定された移動経路に従って基板を偏向するための偏向ローラ、処理ドラム(例えばコーティングローラ又はコーティングドラム等)の処理の間に基板を支持するための処理ローラ、調整ローラ、供給ロール、巻き取りロール等であってよい。本書に記載の「ロール」又は「ローラ」は、金属を含み得る。一実施形態では、基板と接触するべきローラ装置の表面は、コーティングされるべきそれぞれの基板に適合され得る。更に、幾つかの実行形態によれば、本書に記載のローラは、特に両軸受ローラ構造を有する低摩擦ローラ軸受に装着されうると理解されたい。したがって、本書に記載の搬送装置のローラの平行度が達成され得、基板の搬送中に横方向に「動いてしまう」基板がなくなりうる。
【0031】
[0030]幾つかの実施形態では、本書に記載の処理システム100のチャンバ間でフレキシブル基板10をガイドするガイドローラ104は、張力測定のために更に構成されうる。本書に記載の実施形態の典型的な実行形態によれば、処理システムに少なくとも1つの張力測定ローラが設けられうる。処理ドラム142の両側に2つの張力測定ローラが設けられうることが有益であり、これにより処理ドラムの巻き付け側と巻き出し側での張力測定が可能になる。特に、張力測定ローラは、フレキシブル基板の張力を測定するように構成されうる。これによって、基板搬送をより好ましく制御することができ、処理ドラム上の基板の圧力を制御することができ、及び/又は基板に対する損傷を低減又は回避することができる。
【0032】
[0031]本書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、供給ロール及び巻き取りロール、基板をガイドするためのガイドローラ、処理ドラム及びフレキシブル基板と接触している処理システム内の他のローラ又は要素は、フレキシブル基板の裏面、すなわち、処理システム内で処理されない(又は処理されるべきではない)側だけが接触するように、処理チャンバ内に位置付け且つ/又は配置される。このため、基板を巻き出しする、処理する、再巻き付けする、引っ張る又はガイドするときは、ローラによる基板前面との接触は起こらない。これにより、処理された基板の表面上、更に処理されるべき基板の表面上の汚染が低減する。したがって、特に処理された表面上の基板損傷のリスクが低減する。
【0033】
[0032]本書に記載の他の実施形態とも組み合わされうる実施形態によれば、フレキシブル基板をガイドするためのガイドローラ104の最低巻き付け角度は13度、具体的には15度以上であってよい。したがって、最低巻き付け角度は、供給ロール111及び巻き取りロール121がそれぞれ空の時、又は完全に基板で一杯の時の2つの作動条件によって、又は2つの作動条件間で巻きつき方が変わるという事実に関連する。
【0034】
[0033]本書に記載の他の実施形態とも組み合わされうる実施形態によれば、処理ドラム142は、
図1Cに例示するように、長手軸、特に処理ドラム142の回転軸143に対して回転可能である。処理ドラムは、湾曲した外面に沿って基板をガイドするための湾曲した外面を有しうる。したがって、フレキシブル基板10は、回転している処理ドラム142の上を移動することによって搬送され、処理されうる。実施形態によれば、フレキシブル基板10の処理は、例えば、これらに限定されないが、処理ドラム142上に配置されうるフレキシブル基板10の一部でコーティング、メッキ又は積層処理を実施することによって達成されうる。幾つかの実施形態によれば、処理ドラム142の周りでの基板の巻き付け角度は、180度未満、具体的には170度未満、及びより具体的には150度未満であってもよい。
【0035】
[0034]本書に記載の他の実施形態と組み合わせうる実施形態によれば、処理システム内に存在するすべてのロールの巻き付け角度の合計は、180度と540度の間、例えば、180度と360度の間であってよい。幾つかの実施形態では、例えば、
図2に例示するように第2の処理ドラムが提供される場合、堆積システム内に存在しているすべてのロール(供給ロール及び巻き取りロールを除いて)の巻き付け角度の合計は、540度以下であり得る。幾つかの実施形態では、堆積システム内に存在しているすべてのロール(供給ロール及び巻き取りロールを除いて)の巻き付け角度の合計は、360度未満であり得る。典型的に、特に少ない巻き付け角度の合計(360度未満の巻き付け角度など)が望まれる場合、ガイドローラの数は、2以上10以下である。
【0036】
[0035]当然ながら、例えばガイドロール、供給ロール、巻き取りロール、処理ドラム等の単一の構成要素、及び例えば堆積源又はエッチング装置等の処理構成要素を、例えばウェブ又は箔、あるいはガラス基板等のフレキシブル基板用に適合させることができる。例えば、ガイドロール及び/又は供給ロール及び/又は巻き取りロール及び/又は処理ドラムはそれぞれ、フレキシブル基板をガイドする、巻き出す、又は巻き付けるための面と形状寸法を有しうる。
【0037】
[0036]
図1A及び1Bを例示として参照すると、本書に記載の他の実施形態と組み合わせうる実施形態によれば、通路150は、第1の処理チャンバ140Aと、処理された基板が巻き取りロール121上に巻かれうる例えば巻き付けチャンバ等の第2のチャンバ120とを接続させるように構成されうる。例えば、通路150は、第1のチャンバ110及び/又は第2のチャンバ120の上に配置されうる。他の実施形態では、通路は、第1のチャンバ110及び/又は第2のチャンバ120の下方に位置付けされたトンネルとして形成されてもよい。通路150(又はトンネル)を使用して、第1の処理チャンバ140Aから第2のチャンバ120、例えば巻き付けチャンバまで基板をガイドすることができる。幾つかの実施形態によれば、通路又はトンネルは、例えば、それぞれのシール、ポンプ、スルースなどを設けることによって、真空条件下で基板をガイドするように適合され得る。幾つかの実施形態では、通路は、堆積システムの作動中は、大気条件下にありうる。大気条件下で通路を作動させることにより、コストと労力を節約することができる。幾つかの実施形態によれば、基板が処理チャンバから通路に入る位置に1つの間隙スルース180、そして基板が巻き付けチャンバに向けて通路を出るところに1つの間隙スルース180を設けるなど、通路にスルースを設けてもよい。
【0038】
[0037]更に追加的に又は代替的に、トンネル又は通路は、その中に真空を生成且つ/又は維持するように適合され得る。しかしながら、幾つかの実施形態によれば、通路又はトンネルは、処理チャンバの一部であると理解してもよい。例えば、トンネルは、スルースによって処理チャンバから分離されない場合がある。したがって、トンネルには、例えば、片方又は両方の処理チャンバ内に存在する真空と同じ真空が供給され得る。一実施例では、トンネルは、片方又は両方の処理チャンバと同じ真空生成手段によって生成且つ維持される真空条件を提供し得る。
【0039】
[0038]幾つかの実施形態では、トンネル又は通路は、真空条件及び/又は任意選択的に制御された不活性雰囲気下で作動するように適合され得る。代替的に、トンネル又は通路は、大気条件、又は周囲条件下で作動可能である。
【0040】
[0039]幾つかの実施形態では、堆積システムの1つのチャンバから別のチャンバまで基板をガイドするために設けられた通路又はトンネルには、例えば基板、視覚的制御装置、基板制御装置等のための温度センサ、圧力センサ、張力センサ等の測定装置を提供するための適応装置が設けられうる。
【0041】
[0040]幾つかの実施形態では、通路(又はトンネル)、第1のチャンバ、及び第2のチャンバは、メンテナンスゾーンを取り囲む。一実施例では、通路は、メンテナンスゾーンの上方で延在する上側蓋内に、上側蓋内によって、又は上側蓋として、設けられ得る。別の実施例では、上述のように、通路は、メンテナンスゾーンの下方で延在する底部側トンネル内に、底部側トンネルによって、又は底部側トンネルとして、設けられ得る。
【0042】
[0041]幾つかの実施形態によれば、少なくとも1つの処理チャンバは、ボトムアップ(bottom−up)方向又は水平方向で基板上に材料の堆積を可能にするように適合され得る。例えば、本書に記載の処理システムは、基板上の粒子発生が回避されるように、ボトムアップ式堆積源(bottom−up deposition sources)が設けられ得る堆積システムとして使用可能である。本開示において、「ボトムアップ式堆積源」とは、
図1Cに例示するように、堆積源が処理ドラム142の回転軸143の高さ以下に配置された構成として理解することができる。
【0043】
[0042]
図1B及び1Cを例示的に参照すると、本書に記載の他の実施形態とも組み合わされうる実施形態によれば、処理チャンバ140は、傾斜フランジ145を含みうる。幾つかの実施形態では、処理チャンバ140は、傾斜フランジ145によって接続される少なくとも2つの部分に分割され、この少なくとも2つの部分は、組み立てられたときに処理チャンバ140を形成しうる。
図1Bに例示するように、処理チャンバ140の第1の部分146は、傾斜フランジ145によって、特に垂直方向に対して処理チャンバ140の第2の部分147に接続されていてよい。処理チャンバ140の第1の部分146は、処理ドラム142の周りに配置されている複数の処理構成要素を(少なくとも部分的に)収容しうる。例えば、
図1Cに、堆積源等の一または複数の処理構成要素141のうちの1つの処理構成要素を、点線によって示される2つの別の堆積源とともに示す。幾つかの実施形態によれば、処理チャンバ内の処理構成要素の位置を制御し調整するために、処理チャンバの大気側のドライバに、例えば堆積源等の処理構成要素を装着することが可能である。例えば、ドライバは、最大30mmの工程を提供するように構成された線形アクチュエータであってよい。
【0044】
[0043]しかし、本書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、2つ以上の処理構成要素、例えば、堆積源を設け得ることを理解されたい。例えば、4つ、5つ、6つ、或いは、8つ、10個、又は12個など更に多くの処理構成要素、例えば、堆積源を設けることも可能である。処理構成要素は、それぞれの処理領域内に設けられてもよく、処理ドラム142によって支持されている基板は、それぞれの処理領域内で処理されうる。
【0045】
[0044]本書に記載の他の実施形態と組み合わせうる実施形態によれば、処理チャンバ140の第1の部分146は、処理構成要素(堆積源又はツールなど)を第1の部分146に外部的に取り付けられるように適合され得る。処理チャンバ140の第2の部分147は、例えば、通路150と連通することにより、又は(例えば
図1Cに示すように)通路の一部になることにより、通路150に接続可能に構成されうる。
【0046】
[0045]本書に記載の幾つかの実施形態によれば、処理チャンバ140の傾斜フランジ145は、処理チャンバ内で処理領域を分離させるための処理チャンバ内の分離壁を提供し得る。例えば、図面に示す傾斜フランジ145は、処理チャンバ140内の真空気密分離壁を示し得る。一実施例では、第1の処理チャンバ140A内の真空気密分離壁は、基板を通過させるためのスルースなどを提供し得る。処理チャンバ140内に分離壁を設けることにより、特に、堆積が行われる処理チャンバ内の領域を、基板のガイドのみが行われる処理チャンバ内の領域又は前処理あるいは後処理が行われる処理チャンバ内の領域から分離させたとき、汚染リスクが低減し得る。
【0047】
[0046]処理チャンバ140の傾斜フランジ145は、処理される基板の下方に例えば堆積源などの処理構成要素141を配置すること可能にし得る。したがって、堆積処理が処理チャンバ内で実施される場合、堆積は、基板の上方ではなく、基板の下方から行なわれ得る。幾つかの実施形態では、
図1Cに例示するように、堆積は、基板に対して水平方向から実施され得る。幾つかの実施形態によれば、堆積源は、処理ドラム142の下半分に設けられうる。本書に記載の実施形態に係る堆積システムにおいては、下に向かっての堆積、すなわち、源の配向が処理ドラム142の水平中心線又は処理ドラム142の回転軸143の上である堆積は使用されないところが有益である。特に、本書に記載の実施形態によれば、堆積源の配置は、処理ドラム142の回転軸143の高さ以下に設けられうる。したがって、基板及び処理を汚染しうる発生粒子は、重力のせいで堆積源に残るため、基板上及び/又は堆積された層内での好ましくない粒子の発生を回避することができる。
【0048】
[0047]したがって、
図1B及び1Cに例示するように、本書に記載の他の実施形態と組み合わせうる実施形態によれば、処理チャンバ140の外形は、処理構成要素、例えば堆積源のボトムアップ配置に対して適合されうる。例えば、処理チャンバ140の外形は、処理チャンバ140内に配置された各処理構成要素の位置を考慮して、セグメント化された形状を有してもよい。幾つかの実施形態では、チャンバの外形は、
図1B及び1Cに例示するように、曲折した形又は多角形状を有してもよい。
【0049】
[0048]幾つかの実施形態によれば、処理チャンバは、処理チャンバ内で処理構成要素を支持又は保持するための一又は複数の支持装置を含んでもよい。幾つかの実施形態では、支持装置は、所定の時間間隔において所定の公差内で、処理構成要素を固定位置に保持するのに適し得る。一実施例では、処理チャンバは、基板上に材料を堆積させるための堆積源、加熱デバイス(加熱ランプ、例えば、赤外線ランプなど)、洗浄装置、及び後段階で実施される処理のために基板を準備する装置のような前処理装置などの上述の処理構成要素を支持又は保持するための支持装置を含んでもよい。幾つかの実施形態では、支持装置は、締め付け装置、把持装置、テーブル、取り付け具、キャリア、留め具、取付装置、アダプタ装置などを含んでもよい。
【0050】
[0049]本書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる更に別の実施形態によれば、
図6を参照しながら後に更に詳細に例示として説明するように、堆積システムの処理チャンバは、区画部又は開口部を有してもよく、堆積源又は堆積源を有する堆積ステーションなどの処理構成要素は、異なる種類の堆積源が処理チャンバ内で分離されるように、それぞれの開口部又はそれぞれの区画部の中に位置付けされ得る。
【0051】
[0050]
図1Cに、
図1Bに概略的に示す処理システム100の更なる詳細図を示す。
図1Cに例示するように、幾つかの実施形態では、フレキシブル基板10は、処理システムのチャンバを分離している壁のスリット又は開口部を通って、例えば第1のチャンバ110と処理チャンバ140との間の分離壁122のスリット又は開口部を通ってガイドされうる。例えば、スリットは、ある真空チャンバから別の真空チャンバへと基板をガイドするように適合されてもよい。他の実施形態では、スリット又は開口部は、スリットによって連結された2つのチャンバの圧力条件を少なくとも実質的に分離するための密封要素を含み得る。例えば、スリット又は開口部によって連結されている複数のチャンバが異なる圧力条件を提供する場合、壁のスリット又は開口部は、それぞれのチャンバ内の圧力を維持するように設計される。
【0052】
[0051]本書に記載の実施形態によれば、
図1Cに例示するように、第1のチャンバ110又は巻き出しチャンバを処理チャンバ140から分離するために、少なくとも1つの、例えば間隙スルース180等の間隙スルース(gap sluice)又はロードロックバルブが分離壁122に設けられる。少なくとも1つの間隙スルースは、フレキシブル基板が通過しうるように、また開閉して真空密封を提供し得るように構成されうる。本書に記載の他の実施形態と組み合わせうる実施形態によれば、間隙スルース180は、基板をガイドするため、例えば基板の動きを角度10度以上方向づけし直すためのローラを含みうる。更に、間隙スルースのローラに対して押圧されうる膨張式シールが設けられうる。したがって、間隙スルースは、シールを膨張させることによって閉じることができ、第1のチャンバ110と処理チャンバ140とは真空気密された状態で互いから分離される。このため、例えば第1のチャンバ110を排気することができ、その一方で処理チャンバ140を実用的真空下に維持することができる。
【0053】
[0052]更なる代替的な実行形態によれば、間隙スルース又はロードロックバルブには、ローラを設けなくてもよい。膨張式シールは、基板を平坦なシール面に対して押圧しうる。また、基板が挿入されている間に開閉を行うことができる、すなわち開かれた基板経路及び真空シールを有する、間隙スルースを選択的に開閉するための他の手段も用いることができる。基板が挿入されている間に真空シールを閉じるための間隙スルースにより、新たなロールからの基板を前のロールからの基板に付着させることができるため、特に基板を簡単に交換することができるようになる。
【0054】
[0053]間隙、開口部、又は間隙スルースは、フレキシブル基板を第1のチャンバから処理チャンバへとガイドすることに関して説明されるが、本書に記載の間隙、開口部、又は間隙スルースは、処理チャンバ140と通路150との間、通路150と第2のチャンバ120との間、及び/又は例えば
図2に示す第2の処理チャンバ240等の別の処理チャンバと第2のチャンバ120との間など、処理システムの他の部分の間でも使用され得る。
【0055】
[0054]幾つかの実施形態によれば、
図1Cの第1のチャンバ110と第2のチャンバ120の点線によって例示するように、真空処理システム100は、例えば処理されるフレキシブル基板10が間紙11とともに供給ロール111上に提供される場合に、間紙モジュールを含みうる。したがって、間紙は、供給ロール111上でフレキシブル基板の1つの層がフレキシブル基板の隣接する層と直接接触することが回避されうるように、フレキシブル基板の隣接する層の間に設けることができる。例えば、巻き出しチャンバは、供給ロール111上の基板の保護のために設けられた間紙を巻き取るための第1の間紙モジュールを備え得る。間紙モジュールは、供給ロール111から間紙とともにフレキシブル基板を巻き出す際に、間紙を間紙巻き取りロール117にガイドするための幾つかの間紙ガイドロール107を含みうる。したがって、巻き付けチャンバは、間紙供給ロール127から供給された間紙11を巻き取りロール121へガイドするための間紙ガイドロール107を含む間紙モジュールも含みうる。したがって、第2の間紙モジュールは、巻き取りロール121上の処理された基板を保護するために、処理された基板と共に巻き取りロール121上に巻き付けられる間紙を供給し得る。当然ながら、第1のチャンバ110と第2のチャンバ120には、それぞれ間紙巻き取りロール117と間紙供給ロール127を装着するための保持部及び/又は受容部、及びそれぞれの間紙ガイドロールを装着するための保持部及び/又は受容部が設けられうる。
【0056】
[0055]
図1Dに、
図1Cに示す堆積システム100の概略上面図を示す。
図1C及び1Dの実施例では、操作員170が、メンテナンスゾーン130を通して第2のチャンバ120の巻き取りロール121を交換中である。巻き取りロール121が、種々の位置で破線で示されていることに留意すべきである。幾つかの実施形態によれば、制御信号が、操作員170に対して、第2のチャンバ120内の巻き取りロール121を取り換える必要性について知らせることができる。
図1C及び1Dで見られるように、メンテナンスゾーン130は、巻き取りロール121の交換のために、優れたアクセス性を提供する。
【0057】
[0056]幾つかの実施形態によれば、本書に記載の処理システムは、
図1Dからわかるように、容易且つ簡単な方法で、処理システム内の構成要素を交換することを可能にし得る。
図1Dの右側には、処理ドラム142(点線)を有する処理チャンバ140が例示されている。
図1Dにおいて参照番号175で示される操作員は、例えば堆積源等の処理構成要素141へのアクセスを有しうる。幾つかの実施形態によれば、一又は複数の処理構成要素141は、共にグループ化されてもよい。それにより、一又は複数の処理構成要素は、1つのユニット又は1つのグループ(例えば、上記で傾斜フランジに関連して説明したように、処理チャンバの第1の部分と共に形成されているグループ)としてアクセスされ得る。他の実施形態によれば、個々の処理構成要素は、ひとつずつアクセスされうる。例えば、処理構成要素が摩耗しているか、消費されている場合、或いは、処理を変更しなければならない場合、処理構成要素141を交換することができる。例えば、本書に記載の実施形態に係る処理システムは、基板の幅を変更させるオプションを提供し得る。処理構成要素の容易なアクセス及び容易な交換は、種々の処理の種類又は種々の基板のために処理システムを効率良く使用するために役立ち得る。
【0058】
[0057]幾つかの実施形態によれば、供給ロール又は巻き取りロールを取り外す、交換する、又は供給する形でのメンテナンス、すなわち、巻き付けチャンバのうちの1つ又は複数が排気され且つ/又は開かれるメンテナンス作業は、基板が一又は複数の処理チャンバ内に留まっている間に実施されてもよい。幾つかの実施形態によれば、処理システムの処理動作が停止し、基板搬送ローラが停止される。処理チャンバと巻き付け/巻き出しチャンバの間の膨張式シールによって基板を締め付けることなどによって、基板は、次いで、処理チャンバと巻き付け/巻き出しチャンバの間の真空気密バルブ又は間隙スルースによって締め付けられてもよい。幾つかの実施形態では、基板は、処理チャンバと巻き付け/巻き出しチャンバとの間で締め付けられた後、巻き付け/巻き出しチャンバ内で切断される。供給ロール及び/又は巻き取りロールは取り外される、及び/又は交換される。供給ロールによって提供される新たに追加された基板は、巻き出しチャンバ内の基板の切断端に固定(付着又は接着など)され得る。この場合、一又は複数の処理チャンバが真空下に保たれている間に、巻き付けチャンバのうちの1つ又は複数が排気され且つ/又は開かれ、処理システムの他の部分で真空が保たれている間に、巻き付け/巻き出しチャンバでメンテナンスが実施される。
【0059】
[0058]幾つかの実施形態によれば、メンテナンスゾーン130は、第1のチャンバ、第2のチャンバ、並びに/或いは更に第1及び/又は第2のチャンバの上方のトンネルの典型的なメンテナンスステップのために適合され得る。例えば、メンテナンスゾーン130のサイズは、
図1Cに例示するように、操作員170のサイズに適合され得る。更に、メンテナンスゾーン130のサイズは、操作員が第1及び第2のチャンバから供給ロール及び/又は巻き取りロールを取り外すことができるように、選択され得る。幾つかの実施形態によれば、メンテナンスゾーンは、1mを上回る長さ171(
図1Dに示すように)を有しうる。幾つかの実施形態によれば、メンテナンスゾーンは、典型的に、約1mと約3mの間、より典型的には、約1.5mと約2.5mの間、更により典型的には、約1.5mと約2mの間の長さ171を有しうる。さらに、メンテナンスゾーンは、1.7mを上回る長さ172(
図1Cに示すように)を有しうる。幾つかの実施形態によれば、メンテナンスゾーンは、典型的には、約1.7mと約3mの間、より典型的には、約2mと約3mの間、更により典型的には、約2mと2.5mの間の高さ172を有しうる。更に、メンテナンスゾーン130は、基板の幅によって変わる深さ173(
図1Dに示すように)を有しうる。幾つかの実施形態によれば、メンテナンスゾーン130の深さ173は0.7mを上回ってもよい。メンテナンスゾーンの深さ173は、典型的には、約1.0mと約4.0mの間、より典型的には、約2mと約3.5mの間、更により典型的には、約2mと約3mの間であり得る。
【0060】
[0059]
図1Dの破線の位置121−1の巻き取りロールによって示すように、メンテナンスゾーンは、操作員170が第2のチャンバ120から取り外された巻き取りロールを取り扱うことを可能にする。幾つかの実施形態によれば、メンテナンスゾーン130のサイズは、メンテナンスを目的としたチャンバへの容易なアクセスと、堆積システムのために利用可能なスペースとの間の妥協の産物であり得る。幾つかの実施形態では、本書に記載の堆積システム内のガイドローラシステム、並びに特にガイドローラの数は、メンテナンスゾーンのサイズに適合される。
【0061】
[0060]幾つかの実施形態では、メンテナンスゾーン130は、作動中、例えば、処理チャンバ140が10mbar以下の圧力まで排気される間、第1のチャンバ110及び第2のチャンバ120のうちの少なくとも1つへのメンテナンスアクセス又はその少なくとも1つのメンテナンスアクセスを可能にする。例えば、メンテナンスアクセスは、作動中、制御要素を取り扱う又は駆動させる形態又は視覚的制御の形態などで提供され得る。しかしながら、供給ロール111又は巻き取りロール121の取り外し、交換、又は提供の形態の供給ロール111及び巻き取りロール121のメンテナンス、すなわち一または複数の巻き付け/巻き出しチャンバが排気される及び/又は開かれるメンテナンス作業は、処理システムの作動中、すなわち処理動作中は実施することができないことを理解すべきである。しかしながら、供給ロール又は巻き取りロールの取り外し、交換、又は提供の形態の供給ロール111及び巻き取りロール121のメンテナンス、及び/又はメンテナンスゾーン130に隣接する一または複数の真空チャンバの内部の洗浄のためのメンテナンスアクセスを可能にするメンテナンスゾーンは、メンテナンスアクセスのために換気されうる及び/又は開かれうる一または複数の処理チャンバが例えば10mbar以下の圧力に排気されるときにも大気圧に維持される。
【0062】
[0061]幾つかの実施形態では、第1のチャンバ110及び/又は第2のチャンバ120が、それぞれ、第1のチャンバ110の径方向から及び第2のチャンバ120の径方向からアクセスされ得るように、メンテナンスゾーン130は、設けられ且つ構成される。メンテナンスゾーン130により、供給ロール111及び巻き取りロール121のそれぞれの径方向から第1のチャンバ110及び/又は第2のチャンバ120にアクセスすることが可能になる。一実施形態では、チャンバの径方向は、供給ロール又は巻き取りロールのうちの1つの径方向に対応し得る。幾つかの実施形態によれば、メンテナンスゾーンにより、それぞれ、供給ロール及び巻き取りロールの巻き付けシャフトの径方向から第1のチャンバ及び/又は第2のチャンバへアクセスすることが可能になる。特に、メンテナンスゾーンにより、それぞれの第1の径方向側及びそれぞれの第2の径方向側から、例えば供給ロールを有する真空チャンバ等の第1のチャンバ(例:
図1Bの110参照)にアクセスすること、及び例えば巻き取りロールを有する真空チャンバ等の第2のチャンバ(例:
図1Bの120参照)にアクセスすることが可能になり、第1の半径方向側及び第2の半径方向側は互いに向き合っている。例えば、供給ロールは、巻き取りスプールに向かって径方向に取り外すことができ、その逆もまた可能である。
【0063】
[0062]本書に記載の実施形態によれば、メンテナンスゾーンは、メンテナンスアクセスを可能にする。メンテナンスアクセスは、視覚的メンテナンス(視覚制御など)、信号制御又は信号受信のための電子ユニットへのアクセス、又は物理的な立ち入りを含み得る。一実施例では、メンテナンスアクセスは、例えばリッドなどによって閉じられ得るドア、窓、又は開口部によって提供されてもよい。幾つかの実施形態によれば、メンテナンスアクセスは、巻き付け又は巻き出しチャンバの壁の中の窓のように、チャンバ壁によって提供されてもよい。
【0064】
[0063]幾つかの実施形態では、メンテナンスゾーンは、
図1に2つの水平線で表される点検窓134として示すチャンバ壁内の窓を通して、メンテナンスアクセスを提供し得る。第2のチャンバ120の壁で例示的に示される点検窓は、例えば、基板が巻き取りスプール上に巻き付けられたとき又は供給スプールから巻き出されたとき、基板を確認することができるような高さに配置され得る。幾つかの実施形態によれば、点検窓は、典型的には、通常約1mと約3mの間、より典型的には、約1.2mと約2.5mの間、更により典型的には、約1.4mと約2.4mの間の幅等のフレキシブル基板の幅など、フレキシブル基板の完全な幅を確認するためのサイズを有し得る。更に別の実施形態によれば、点検窓は、例えば、供給ロール全体及び/又は巻き取りロール全体の確認を可能にすることによって、巻き付け及び/又は巻き出し処理全体を確認するサイズを有し得る。幾つかの実施形態では、メンテナンスゾーンの点検窓は全体として、操作員がチャンバ内の処理に対して何らかの印象をもつことを可能にする幾つかの点検ポートから構成され得る。
【0065】
[0064]幾つかの実施形態によれば、メンテナンスゾーンは、チャンバ壁内のドアという形態で、第1及び/又は第2のチャンバへのアクセスを提供し得る。一又は複数のドアは、第1及び/又は第2のチャンバ内の構成要素に届くように、例えば、供給ロール又は巻き取りロールに届くように適合され得る。幾つかの実施形態では、ドアは、チャンバの点検窓を含み得る。本書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、ドアは、操作員が第1及び/又は第2のチャンバに入ることを可能にし得る。
【0066】
[0065]幾つかの実施形態では、照明装置が第1のチャンバ及び/又は第2のチャンバ内に設けられ得る。具体的には、照明装置は、処理される基板又は処理された基板が、片側、例えば処理された側又は処理されなかった側のいずれか(又は処理される側又は処理されない側)から照射されるように、第1及び/又は第2のチャンバ内に配置され得る。例えば、照明装置は、基板の点検及び視覚的制御を促進することができ、これは、上述のように、メンテナンスゾーンを通して、具体的には、点検窓134のようなチャンバ壁内の窓によって実施され得る。幾つかの実施形態では、照明装置はランプである。
【0067】
[0066]
図1Dに、供給ロール111及び巻き取りロール121用のローディング及びアンローディングシステム160の概略図を示す。幾つかの実施形態によれば、統合されたローディング及びアンローディングシステムは、本書に記載の処理システム用に設けられてもよい。幾つかの実施形態では、ローディング及びアンローディングシステムは、巻き取りロール121及び/又は供給ロール111のためのテーブル190及び搬入出装置を含み得る。
図1Dの実施例に、巻き取りロール121の搬出を示す。例えば、搬入出装置は、交換又は取り外し対象の巻き取りロール121を把持するために操作員170によって第1のチャンバ110内に挿入されてもよい。巻き取りスプールを把持している搬出装置は、第1のチャンバ110から引き出され得る。該搬出装置は、第2のチャンバ120から巻き取りロール121を取り除き得る。一実施例では、搬出装置は、巻き取りロールをその両端で把持し、ロール支持体から取り外すための把持装置を含んでもよい。ロール支持体は、例えば、回転軸であってもよい。幾つかの実施形態によれば、搬入出装置は、巻き取りロールに巻き付けられた基板に接触することなく、巻き取りロールを第2のチャンバから取り除くことができるように適合され得る。
【0068】
[0067]
図1Dからも分かるように、巻き取りロール121が第2のチャンバ120から取り除かれるとき、巻き取りロール121は、メンテナンスゾーン130内の位置121−1における基板ハンドリングシステムのテーブル190上にローディングされる。テーブル190は、リフティング(昇降式)テーブルであってもよく、具体的には、センターリフティングテーブルであってもよい。操作員170は、巻き取りロールが備え付けられたテーブル190を、例えば位置121−1に移動させるように、メンテナンスゾーン130の中で移動し得る。テーブル190は、次いで、メンテナンスゾーン130から取り除かれ、巻き取りロールがメンテナンスゾーン130から取り出されて位置121−2に置かれ得る。したがって、操作員170は、容易で複雑でない方法で巻き取りロールを移動させることができる。
【0069】
[0068]幾つかの実施形態によれば、基板ハンドリングシステムは、テーブルに代わるものを含みうる。例えば、巻き取りロールをメンテナンスゾーン外に移動させるために、把持ツールが使用されうる。更なる実施形態では、巻き取りロールは、操作員が巻き取りロールを取り扱うことを可能にするようなシャフトや支持体などによって運ばれてもよい。幾つかの実施形態によれば、メンテナンスゾーン130の上方で延在する通路150の代わりにメンテナンスゾーン130の下方で延在するトンネルが使用される場合、リフティングテーブルに代わるものが使用されてもよい。
【0070】
[0069]概して、巻き取りスプールの交換処理のみが説明されているが、メンテナンスゾーンは、コーティング処理間の基板の送入出のためにも優れたアクセス可能性を提供する。したがって、供給ロール111も、
図1Dで示されている方法で交換することができる。
【0071】
[0070]幾つかの実施形態では、リフティングテーブルは、基板を、堆積システムにローディング及び堆積システムからアンローディングするためのセンターリフティングテーブルを形成し得る。テーブルは、基板と共に巻き取りロール又は供給ロールを保持するための基板支持体を含み得る。幾つかの実施形態によれば、リフティングテーブルは、少なくとも上方位置と下方位置との間で移動可能であってもよい。支持体内又は支持体の上に配置された巻き取りロール上の基板は、リフティングテーブルの下方位置でメンテナンスゾーンから搬出され得る。基板及びリフティングテーブルがメンテナンスゾーンから搬出されるとき(巻き取りロールの位置121−2で示されているように)、巻き取りロールと基板は、屋内クレーン又は天井クレーンなどのクレーンによって更に移送されてもよく、或いは、例えば、処理システムの一部であるガントリークレーンなどのクレーンによって持ち上げられ、運搬車両に置かれてもよい。
【0072】
[0071]本書に記載のローディング及びアンローディングシステムを使用することによって、移動可能な巻出し器及び再巻き付け器(処理中に第1及び第2のチャンバ内に存在している巻出し器及び再巻き付け器など)は、本書に記載の実施形態に係る堆積システム内では使用されない。ロールを移動及び把持するためのツールは、メンテナンスゾーンから第1及び第2のチャンバ内に導入され得る。更なる実施形態によれば、基板ハンドリングシステムは、例えば、処理システムが、処理システム内で基板を移送するためにトンネルを使用する場合、チャンバから取り除かれるロールを持ち上げるための統合された門型クレーンを含み得る。
【0073】
[0072]しかしながら、本書に記載の実施形態に係る、メンテナンスゾーンの上方に通路がある設計の処理システムを用いることにより、堆積システムから基板を取り除くために天井クレーンは使用されず、これにより、堆積システムの使用者にとってコストとスペースの節約となる。したがって、本書に記載の実施形態に係る処理システムはまた、当該技術分野の周知のシステムよりも小さい(又は低い)工場の建物で使用することもできる。また、堆積システムは、天井クレーンを使用しないので、環境に対する要求が高くない。
【0074】
[0073]チャンバに新しい供給ロール又は巻き取りロールを供給するとき、上述のチャンバからロールを取り除く処理を逆の順序で行なってもよいことを理解するべきである。
【0075】
[0074]幾つかの実施形態によれば、処理システムは、真空処理システム内のパラメータを制御するための制御ユニットを含み得る。例えば、制御ユニットは、処理システムのチャンバの外に設けられるコントローラ又は制御インターフェースであってもよい。幾つかの実施形態では、制御ユニットは、処理システムの個々のチャンバ内のセンサ、及び/又は堆積源、供給ロール、巻き取りロールなどに接続されうる。したがって、制御ユニットは、処理システム内の所望の測定値を計算することが可能でありうる。例えば、制御ユニットは、例えばメンテナンスゾーンを介して、供給ロール又は巻き取りロールの交換を実施すべき時を示しうる。制御ユニットは、更に、堆積システム内で構成要素が故障した場合、警報を発することも可能でありうる。
【0076】
[0075]幾つかの実施形態によれば、本書に記載の処理システムは、モジュール設計を有し得る。例えば、
図1A〜
図1Dに例示する処理システムは、第2の処理チャンバが、例えば第1のチャンバに隣接して接続され得るように適合され得る。したがって、処理システムには、別のチャンバを処理システムに接続することによって処理システムの拡大を可能にするフランジ又は接続ベースが設けられ得る。例えば、
図2に例示するように、第2のチャンバ120又は巻き付けチャンバは、第2のチャンバ又は巻き付けチャンバに隣接するように第2の処理チャンバ240を装着するための接続部などを含み得る。したがって、処理システムの作動範囲拡張のために別のチャンバを設けてもよいことを理解すべきである。したがって、本書に記載の処理システムのモジュラー設計は、ユーザの必要及び要件、例えば工場の空間要件と合致する概形のサイズへの適合を可能にする。
【0077】
[0076]処理システムの幾つかの実施形態によれば、第1の処理チャンバ140Aは第1のチャンバ110又は巻き出しチャンバに隣接して配置されていてよく、第2の処理チャンバ240は、第2のチャンバ120又は巻き付けチャンバに隣接して配置されうる。具体的には、第2の処理チャンバ240は、
図2に例示するように、第2のチャンバ120がメンテナンスゾーン130と第2の処理チャンバ240との間に設けられるように、位置付けされ得る。
【0078】
[0077]
図2に示す実施形態では、処理されるフレキシブル基板10は、巻き出しチャンバ又は第1のチャンバ110で巻き出される。フレキシブル基板10は、ガイドローラ(例:ガイドローラ104)を介して処理システムの第1の処理チャンバ140Aにガイドされる。フレキシブル基板10を第1の処理チャンバ140A内で処理するため、基板は、処理ドラム142によってガイドされ得る。処理ドラム142は、回転可能であり得る。第1の処理チャンバ140Aは、処理構成要素141を含み得る。基板は、処理ドラム142によってガイドされている間、この処理構成要素を通り過ぎるようにガイドされる。例えば、処理構成要素141は、少なくとも1つの堆積源を含みうる。
図2に示す実施形態では、第1の処理チャンバ140A内の堆積源は1つしか示されていないが、第1の処理チャンバの他の堆積源は破線で示されている。
【0079】
[0078]
図2に示す実施形態では、第1のチャンバ110は巻き出しチャンバであるように説明され、第2のチャンバ120は巻き付けチャンバであるように説明されるが、本書に記載の実施形態に係る堆積システムは、この構成に限定されるものではない。代替的な実施形態では、第1のチャンバ110は巻き付けチャンバであってもよく、第2のチャンバは巻き出しチャンバであってもよい。
【0080】
[0079]幾つかの実施形態によれば、第2の処理チャンバ240は、本書に記載の第1の処理チャンバ140と同様に構成されうる。したがって、第2の処理チャンバ240は、
図2に例示するように、第2の回転軸243と、一または複数の第2の処理構成要素241を有する第2の処理ドラム242とを含みうる。第2の処理チャンバは、本書に記載の第1の処理チャンバに関連して説明した幾つかの、あるいはすべての構成要素を含みうると理解すべきである。したがって、第2の処理チャンバ240は、第1の処理チャンバ140Aに関連して説明したすべてのこれらの特徴及び利点を有する、傾斜フランジ、第1の部分及び第2の部分を含みうる。
【0081】
[0080]
図2で見ることができるように、本書に記載の実施形態に係る処理システムは、モジュラーの態様で処理システムを組み立てる可能性を提供する。例えば、処理システムは、
図1A〜1Dに関連して上述したように、例えば追加の第2の処理チャンバ、例えば第2の処理チャンバ240を処理システム100に装着することによって、実施される処理の特殊要件に適合させることができる。したがって、第2の処理チャンバを追加することによって、或いは、処理システムの一又は複数の処理チャンバ内の処理構成要素を変えることによって、より多くの異なる処理を処理システム内で組み合わせることができる。これにより、本書に記載の処理システムによって実施可能な処理に関して高い可鍛性と可変性が得られる。
【0082】
[0081]基板が処理された後、フレキシブル基板10は、通路150を通してガイドされる。通路150は、巻き付けチャンバ、例えば第2のチャンバ120、メンテナンスゾーン130、及び巻き出しチャンバ、例えば第1のチャンバ110の上方に配置され得る。幾つかの実施形態では、通路150は、上蓋の一部であってもよく、或いは、メンテナンスゾーンと第1及び第2のチャンバの下方のトンネルとして設けられてもよい。幾つかの実施形態によれば、トンネルは、真空処理システム100の第2の処理チャンバ240から第1の処理チャンバ140Aの圧力条件を分離させることができうる一または複数のスルースを含みうる。幾つかの実施形態では、例えば巻き出しチャンバと第1の処理チャンバとの間の通路、第1の処理チャンバと通路との間、通路と第2の処理チャンバとの間、及び第2の処理チャンバと巻き付けチャンバとの間等の、真空処理システム100内の1つのチャンバから別のチャンバへの各通路に間隙スルース180が設けられている。具体的には、一または複数の間隙スルース180は、
図1Cに関して詳しく例示的に説明したように構成されうる。通路150を通過した後、フレキシブル基板10は、(例えば、一又は複数のガイドローラ104によって)第2の処理チャンバ240へとガイドされる。幾つかの実施形態によれば、第2の処理チャンバ240は、第1の処理チャンバ140A又は
図1A〜1Dに関連して上記で説明した処理チャンバのように設計されてもよい。例えば、第2の処理チャンバは、処理ドラム142、及び堆積源などの一又は複数の処理構成要素141を含み得る。一実施例では、第2の処理チャンバ240の堆積源は、処理ドラム142の中心線又は回転軸143の高さ以下に配置され得る。基板は、処理ドラム142によって、処理構成要素141を過ぎるようにガイドされ得る。第2の処理チャンバ240内の処理構成要素141が堆積源である場合、堆積された材料の一又は複数の追加の層が基板上にコーティングされ得る。幾つかの実施形態によれば、第2の処理チャンバは、第1の処理チャンバ内で基板上に堆積された層のための追加的又は補足的な構成要素を提供する。
【0083】
[0082]第2の処理チャンバ240内でフレキシブル基板10が処理された後、基板は、第2のチャンバ120又は巻き付けチャンバにガイドされうる。そこで、処理された基板を収めるために、処理された基板が巻き取りロール121に巻き付けられる。
図2に示す例示の実施形態では、第1のチャンバ110及び/又は第2のチャンバ120は、
図1C及び1Dに関連して上記に詳細に記載したように、第1及び/又は第2のチャンバのメンテナンスのためのメンテナンスゾーン130を通してアクセス可能であることを理解すべきである。
【0084】
[0083]幾つかの実施形態によれば、2つの処理チャンバを有する堆積システムの巻き付け角度は、540度未満であり得る。上記で説明したように、本書に記載の実施形態に係る2つの処理チャンバを有する堆積システム内のロール(ガイドローラを含むが、供給ロール及び巻き取りロールを含まない)は、ローラが、処理された基板表面に接触しないように配置され得る。
【0085】
[0084]
図2に例示するように、幾つかの実施形態によれば、本書に記載の真空処理システムの一又は複数の処理チャンバは、処理チャンバから巻き付けチャンバ又は別の処理チャンバなどの隣接するチャンバまで基板用通路を設けるように形成され得る。例えば、第1の処理チャンバ140A及び/又は第2の処理チャンバ240は、真空処理システムにおける基板用の通路を提供する、第1の腕状延長部140E及び/又は第2の腕状延長部240Eを提供しうる。本書に記載の幾つかの実施形態によれば、通路は、したがって、一又は複数の処理チャンバ及びその一又は複数の延長部によって設けられる。他の実施形態では、1つの処理チャンバのみが通路用の延長部を備え得る。本書に記載の幾つかの実施形態によれば、通路は、このように第1の(真空)チャンバ及び第2の(真空)チャンバの上方に設けられる。
【0086】
[0085]本書に記載の処理システムは、基板が処理システムを通過する間、組み合わせることが可能である、蒸発又はスパッタリングなどの多様な処理及びPVD処理、或いはPECVD処理などのCVD処理、又はタングステン(ウォルフラム)化学気相堆積処理(WCVD)のための共通プラットフォームを形成することを理解すべきである。例えば、本書に記載の処理システムは、シラン堆積処理を行うために用いることが可能である。種々のPECVD処理を組み合わせて、例えばTFT、あるいは可鍛性TFT製造、薄膜バリア、より具体的には薄膜極超バリアの堆積のために用いることができることに留意すべきである。
【0087】
[0086]したがって、本書に記載の堆積システムは、高い可鍛性をもつために、「シングルドラム(SD)」(
図1Aから1Dに記載された実施形態)及び「ダブルドラム(DD)」(
図2に記載された実施形態)のオプションを有するモジュラーメインフレーム設計で提供され得る。モジュラー設計によって、幾つかの源において可鍛性ももたらされる。例えば、複数のボトムアップ堆積源が設けられる場合があり、汚染のリスクが減少する。堆積源並びに処理チャンバは、用途の種類及び層スタックなどの処理パラメータに応じて使用又は提供され得る。
【0088】
[0087]幾つかの実施形態では、堆積システムの設計は、それぞれの用途に応じて、第2の処理チャンバをオンとオフに切り替えるように適合され得る。例えば、第1の処理チャンバを通過した基板は、所望の処理に応じて、第2の処理チャンバ又は任意選択的に巻き付けチャンバにガイドされうる。一実施例では、制御ユニットは、基板を所望のチャンバに方向付けるために、それぞれのガイドローラを始動させ得る。幾つかの実施形態によれば、第1の処理の直後に基板が再巻き付けチャンバにガイドされる際の、第2の処理チャンバへの通路などの代替的な基板通路は、閉じられてもよい。
【0089】
[0088]したがって、種々の堆積源のための柔軟性及び空間を有する本書に記載のシステムは、単一の堆積装置、例えば、R2Rコータにおける幾つかのCVD、PECVD、及び/又はPVD処理のモジュールの組み合わせを可能にする。モジュールのコンセプトでは、非常に優れたガス分離を必要とする堆積源を含むあらゆる種類の堆積源を本書に記載の実施形態に係る堆積システムで使用することができるが、このコンセプトは、種々の堆積技術又は複雑な組み合わせの処理パラメータを適用して堆積させなければならない複合層スタックの堆積のコスト削減に役立つ。
【0090】
[0089]
図3に、本書に記載の真空処理システムの一部の概略断面図を示す。具体的には、
図3に、本書に記載の実施形態に係る真空処理システムの第1のチャンバ110と通路150に接続されうる、少なくとも1つの処理チャンバ、例えば
図3の処理チャンバ140の構成の一例を示す。
【0091】
[0090]本書に記載の他の実施形態と組み合わせうる実施形態によれば、処理チャンバ140は、
図3に例示するように、垂直配向又は水平配向に対して傾斜した分離壁122を含みうる。例えば、分離壁122の傾斜角は、垂直線に対して20度から70度とすることができる。したがって、壁の傾斜により、付加的な処理構成要素の軸(
図3に示す線331参照)、堆積源の対称軸が処理ドラム142の回転軸143以下の高さになるように、付加的な処理構成要素、例えば堆積源を配設することが可能になる。
図3において、設けられた4つの堆積源を示し、1つの堆積源は処理ドラム142の回転軸143の高さに配置され、別の3つの堆積源は処理ドラム142の回転軸143の高さより下に設けられている。前述のように、発生した粒子の基板上への剥離(flaking)及び落下が、この構成によって低減又は回避されうる。
図3に示す5つ目の処理ステーションは例えば、処理ドラム142の回転軸143の上に設けられうるエッチングステーション640であってよい。しかしながら、処理チャンバ140の第1の部分146の凸状壁部分の他の部分のいずれかに、一または複数のエッチングステーションを配設することもできることを理解すべきである。例えば、一または複数のエッチングステーションは、プラズマエッチング用に構成されうる。したがって、本書に記載の実施形態は、例えば一または複数のエッチング処理を実施することによって、R2Rパターニング用に構成することも可能である。
【0092】
[0091]
図3を例示として参照すると、幾つかの実施形態によれば、基板は、例えば
図3の最下部の処理構成要素の第1の真空処理領域、及び少なくとも1つの第2の真空処理領域、例えば
図3に示す最下部の処理構成要素の右側にある別の処理構成要素を通してガイドされうる。本書ではたびたび、堆積源を処理構成要素として指し示しているが、処理ドラムの曲面に沿って他の処理構成要素、例えばエッチングステーション、加熱ステーション等も設けられうる。従って、様々な堆積源用の区画を有する本書に記載のシステムは、例えば、R2Rコータ構成の幾つかのCVD、PECVD及び/又はPVDプロセスのモジュールの組み合わせを可能にする。モジュールのコンセプトでは、非常に優れたガス分離を必要とする堆積源を含むあらゆる種類の堆積源を本書に記載の実施形態に係る処理システムで使用することができることが有益であるが、このコンセプトは、種々の堆積技術又は複雑な組み合わせの処理パラメータを適用して堆積させなければならない複合層スタックの堆積のコスト削減に役立つ。
【0093】
[0092]したがって、本書に記載の実施形態によれば、堆積源、例えばプラズマ堆積源は、薄膜をフレキシブル基板、例えば、ウェブ又は箔、ガラス基板又はシリコン基板などの上に堆積させるように適合することができることを理解すべきである。特に、堆積源は、例えば、フレキシブルTFT、タッチスクリーンデバイスの構成要素、又は他の電子又は光学装置を形成するために、薄膜をフレキシブル基板上に堆積させるように適合及び使用することができる。
【0094】
[0093]幾つかの実施形態によれば、処理ドラム142の湾曲した外面とフランジ又はチャンバの凸形状の距離は10mmから500mmであってよい。具体的には、距離は処理ドラムの面から内壁又はフランジ部分までの寸法を指し、処理チャンバ140の真空エリアの境界を定めるものである。上述した凸形状および寸法を付与することにより、処理チャンバ140の第1の部分146のチャンバ容積を縮小することが可能になる。処理チャンバの第1の部分146のチャンバ容積を縮小することによって、ガス分離が容易になり、処理領域の排気が簡単になりうる。例えば、処理チャンバ140の第2の部分147は、ある容積の排気可能な領域を有していてよく、処理チャンバ140の第1の部分146は、別の容積の別の排気可能な領域を有していてよく、容積と別の容積との比率は少なくとも2:1、例えば3:1から6:1である。
【0095】
[0094]また別の実行形態によれば、固体材料で満たされていない第1の部分146のエリアは、排気すべきエリアを縮小するために、材料のブロック(block)で満たすことができる。例えば、第2の部分147は、ある容積の排気可能な領域を有し、第1のチャンバ部分146は、別の容積の別の排気可能な領域を有し、容積と別の容積との比率は、容積縮小ブロック(volume reduction blocks)によって、少なくとも7:1まで増加する。
【0096】
[0095]
図3を例示として参照すると、本書に記載の他の実施形態と組み合わせうる幾つかの実施形態によれば、基板処理の結果を評価するための、光学的測定ユニット494等の検査システム、特に層測定システム(LMS)が提供されうる。したがって、本書に記載の実施形態は、例えば、光の反射システム及び/又は例えば透明な基板に使用するための透過システムの使用を通して、層の厚さを評価するための計測能力を提供することを理解すべきである。
【0097】
[0096]更に、
図3に例示するように、幾つかの実施形態によれば、基板上の電荷に適応するための、少なくとも1つの放電アセンブリ、例えば
図3の放電アセンブリ492が設けられうる。例えば、基板が処理チャンバ140にガイドされる前の第1のチャンバ110内に1つの放電アセンブリ492を配置することができ、オプションとして、基板が処理チャンバを通過した後の位置、例えば通路150に別の放電アセンブリ492を配置することができる。例えば、巻き出しチャンバにおいて、基板上に正電荷及び/又は負電荷が蓄積しうるため、放電アセンブリを配設することは、処理結果の質を上げるのに有益でありうる。具体的には、電荷は、供給ロールからフレキシブル基板が巻き出しされる間に発生しうる。その後、静電荷はウェブが処理チャンバ内に移動するときも基板上に残る可能性があり、このため、基板の表面に浮遊粒子が引き付けられうる。したがって、本書に記載の放電アセンブリを配設することによって、基板の表面に移動して電荷を中性化する、反対の極性のイオンが供給されうる。したがって、フレキシブル基板のクリーンな放電された表面を処理領域に提供することができ、基板の処理、例えばコーティングの品質が改善されうる。
【0098】
[0097]本開示における「放電アセンブリ」という語は、電場を通してガスをイオン化することができるいずれかのデバイスを表すように意図される。放電アセンブリは、パッシブユニットあるいはアクティブユニット、又はこの両方でありうる。更に、放電アセンブリは、電源及び制御ユニットに接続されうる一または複数の中性化デバイスを含みうる。一または複数の中性化デバイスは、一または複数のスパイク(spike)を有する中性化ランス(lance)又はイオン化ランスとして設けられうる。更に、一または複数のスパイクに高電圧を供給して処理ガスの電気破壊を起こして、フレキシブル基板上の電荷を中性化するためにフレキシブル基板の表面に向かって電場内を移動しうるイオンを生成することができるように、電源、特に高電圧電源を中性化デバイスに接続させることができる。制御ユニットは、基板の表面に流れることにより、基板の表面上の電荷とは反対の極性のイオンが基板の表面に移動して基板の表面の電荷を中性化しうる、負に帯電した、あるいは正に帯電したイオンの流れが中性化デバイスによって生成されるように、コマンドを起動しうる又は予めプログラミングされた放電プロファイルを実行しうる。
【0099】
[0098]したがって、本書に記載の実施形態によれば、帯電軽減デバイス、例えば本書に記載の放電アセンブリを使用して、巻き出しの最中に、基板の搬送のために採用されたロールによって生じる基板の帯電に起因して巻き出しチャンバからの粒子状物質が基板の表面に引き付けられないようにすることによって、歩留まりに対する粒子の影響を減らすことができることを理解すべきである。これは、基板表面における外因性の汚染レベルを範囲内に収める助けとなる。
【0100】
[0099]本書に記載の他の実施形態と組み合わせうる幾つかの実施形態によれば、真空処理システム100は、
図3に例示するように、処理する前にフレキシブル基板10を加熱する予熱ユニット194を含みうる。例えば、予熱ユニット194は、電熱デバイス、放射ヒータ、電子ビームヒータ、又は基板を処理する前に基板を加熱する他のいずれかの要素であってよい。具体的には、予熱ユニット194は、フレキシブル基板に対して非接触の加熱デバイスとなるように構成されうる、すなわち予熱ユニットは、基板に接触せずに、基板を規定温度に加熱することが可能でありうる。本書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、
図3に例示するように、第1のチャンバ110に、フレキシブル基板を加熱する予熱ユニット194を配設することができる。
【0101】
[00100]更に、加えて又は代替的に、基板を処理する前にプラズマで基板を処理するために、例えばRFプラズマ源又はイオン源などの前処理プラズマ源192を配設することができる。例えば、前処理プラズマ源192は、処理チャンバ140の第1の部分146に入る前に基板に前処理が施されるように、処理チャンバ140内、特に処理チャンバ140の第2の部分147内に配置されうる。例えば、プラズマでの前処理は、基板表面に堆積された膜の膜接着性を向上させるために基板表面の表面改質をもたらすことができ、或いは、その処理を改善するために別の方法で基板形態を改善することができる。
【0102】
[00101]
図3を例示的に参照すると、本書に記載の他の実施形態と組み合わされうる実施形態によれば、基板を拡張させうる加熱デバイス131が提供されうる。例えば、加熱デバイス131は、フレキシブル基板10を基板の搬送方向108に垂直の方向に拡張させるように、あるいは基板の拡張を基板の搬送方向108に垂直の方向に維持するように構成されうる。幾つかの実行形態によれば、加熱デバイス131は、フレキシブル基板10の前面の反対側に位置づけされうる。具体的には、加熱デバイスは、前面と接触せずに、またフレキシブル基板に熱を付与することによって、基板の横方向の伸びをもたらすように構成されうる。
図3に示すように、いくつかの実施形態によれば、オプションとして、加熱デバイス131の前面の反対側に位置づけされた熱調整ユニット133が設けられうる。具体的には、熱調整ユニット133と加熱デバイス131は、間隙又はトンネルを形成するように配置され、間隙又はトンネルは、フレキシブル基板10の進路を形成しうる。例えば、熱調整ユニット133は、別の加熱デバイス、加熱リフレクタプレート、又はこれらの組合せであってよい。加熱デバイス131と熱調整ユニット133の配置によって形成された間隙又はトンネルは、少なくとも20mm、例えば30mm以上の、基板の搬送方向に平行な方向の寸法を有しうる。
図3に例示するように、熱調整ユニット133及び/又は加熱デバイス131は、処理ドラム142に隣接するように配置されうる。例えば、基板の反対の平坦な加熱デバイスの表面については、
図3に例示するように、加熱デバイスの表面が、加熱デバイスの表面の反対の基板部分に基本的に平行であってよい。しかしながら、加熱デバイスの表面は必ずしも平坦あるいは平行であるわけではないことを理解すべきである。
【0103】
[00102]本書に記載の他の実施形態と組み合わせうる幾つかの実施形態によれば、加熱デバイス131は、少なくとも5cm、通常20cm〜80cm等の少なくとも10cmの基板の搬送方向に沿った長さを有しうる。加熱デバイスの幅、すなわちその回転軸143の方向の寸法は、基板の幅の少なくとも50%、又は処理ドラム142の幅の少なくとも50%であってよい。一実施例によれば、例えば幅は、フレキシブル基板及び/又は処理ドラムの幅をそれぞれ上回りうる、例えばフレキシブル基板の幅の約110%であってよい。
【0104】
[00103]加熱デバイス131の例示的な実行形態によれば、加熱デバイス131には、個々に制御されうる2つ以上のセグメントが設けられていてよい。したがって、個々のセグメントを異なる温度に加熱することができる、及び/又は各セグメントによって放出される熱放射が異なるものとなる可能性がある。特に、中心セグメントと、一または複数の外側セグメントを有する加熱デバイスを有する実施形態においては、中心セグメントの熱放射又は加熱は、一または複数の外側セグメントとは独立して制御されうる。例えば、基板の中心部分の温度を上げることによって、基板の拡張を生じさせるために、基板の中心を更に加熱しうる。
【0105】
[00104]更に、例えば200μm以下、又は100μm以下、又は50μm以下、例えば約25μmの厚さを有する基板等の特に薄い基板については、しわができない基板処理及び/又は基板の巻き付けが好ましく、また問題である。したがって、スプレッダローラを使って基板の拡張を生じさせることができ、拡張は、前面との接触なしに、熱的に支持されうる。したがって、幾つかの実施形態によれば、
図3に例示するように、スプレッダローラ144によって、しわができない基板の巻き付け及び/又は搬送(あるいはしわの発生が少ない基板の巻き付け及び/又は搬送)が提供されうる。
【0106】
[00105]幾つかの構成において、基板の前面が接触していないスプレッダローラ144の位置により、スプレッダローラ144と処理ドラム142との間がフリースパン長となり得、これは有効性のあるスプレッダ効果のためには長すぎる場合がある。したがって、加熱デバイス131が、スプレッダローラ144のスプレッダ効果を処理ドラム142へ「伝達」しうることは有益である。具体的には、加熱デバイスは、基板が処理ドラムへの経路上で基板の初期の長さに縮まないように基板を加熱しうる。更に、あるいは代替的に、加熱デバイス131は、前に生じた基板の拡張よりも更に拡張を生じさせうる。したがって、加熱デバイスは、スプレッダローラなしで、あるいはスプレッダローラに加えて、拡張を提供しうることを理解すべきである。オプションとして、処理ドラム142は加熱されるように更に構成されうる、例えば処理ドラムは加熱要素を含むことができる。
【0107】
[00106]例えば、基板の搬送中に基板のしわを減らす、あるいは失くすために、加熱デバイス131がスプレッダローラ144と処理ドラム142との間に設けられうる。したがって、加熱デバイス131は、スプレッダローラ144によってもたらされた拡張がなくならないように、フレキシブル基板10に熱を供給する、すなわち拡張された基板は、基板がスプレッダローラ144から処理ドラム142までの経路上で基板の初期の幅に縮まないように、加熱デバイス131によって加熱される。したがって、加熱デバイス131は、スプレッダローラ144の後のフレキシブル基板の縮小を低減しうる、あるいはフレキシブル基板の拡張を増加さえもさせうる。幾つかの実行形態によれば、加熱デバイス131と処理ドラム142との距離は、20cm以下、具体的には10cm以下であってよい。本書に記載の他の実施形態と組み合わせうる別の実施形態によれば、スプレッダローラ144から処理ドラム142までのフレキシブル基板の搬送路に沿った距離は、110cm以下、具体的には50cm以下であってよい。
【0108】
[00107]本書の実施形態によれば、スプレッダローラ144は、フレキシブル基板10を伸ばすように適合されうる。詳細には、スプレッダローラは、ローラの長さ方向に沿って曲面を有しうる。したがって、スプレッダローラの曲面は、基板の幅方向にテンショニング効果を有することができ、これによりフレキシブル基板10が基板の幅に沿って伸ばされうる。例えば、フレキシブル基板10は、処理ドラム142の回転軸143に平行な方向に伸ばされうる。曲がったローラ、金属を拡張可能なローラ、湾曲した棒状ローラ、溝付きローラ等の様々な種類のスプレッダローラが設けられうることを理解すべきであり、このうちの幾つかを、
図4A及び4Bに関連してより詳細に説明する。幾つかの実行形態によれば、スプレッダローラは、スプレッダローラによってフレキシブル基板に導入される機械的な伸長を支持する又は増進するための電気加熱を含みうる。
【0109】
[00108]
図4A及び4Bに、スプレッダローラ144の例示的な実施形態を示す。
図4Aに例示するように、スプレッダローラ144は、曲がったあるいは湾曲した中心シャフト(
図4Aの中心シャフト211を参照)を含みうる。中心シャフトの両端は、支持体を装着することによって支持されうる。更に、湾曲したロール213が中心シャフト211に設けられうる。例えば、湾曲したロール213は、例えばゴムなどでできていてよいフレキシブル表面シースによって提供されうる。したがって、凸状側213Aがフレキシブル基板の反対を向くように湾曲したロール213が配置されたときに、湾曲したロールはフレキシブル基板の横方向の膨張に影響を及ぼしうる。
【0110】
[00109]
図4Bに、スプレッダローラ144の別の例を示す。この実施例では、スプレッダローラ144は、それぞれの軸214の周りを回転する2つの回転要素215を含みうる。
図4Bに例示するように、2つの軸は互いに傾斜していてよい。回転要素215は円錐台の形態を有していてよく、内径D1は外径D2よりも小さい。フレキシブル基板10が接触する
図4Bの回転要素の上面は、2つの回転要素が基本的に直線に沿って位置合わせされるように配置される。しかしながら、
図4Bに示す断面図に対して垂直の方向の断面図において、フレキシブル基板10はフレキシブル基板10の外側部分においてのみ回転要素215と接触する。フレキシブル基板10をスプレッダローラ144の上でガイドすることによって、例えば2つの回転要素を回転させることによって、フレキシブル基板の拡張を達成することができる。拡張は、スプレッダローラ144の周りのフレキシブル基板10の巻き付き角度を広げることによって増加させることができる。
【0111】
[00110]本書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、真空処理システムには、
図5Aに例示するように、基板ガイド制御ユニット300が設けられ得る。基板ガイド制御ユニット300は、単一のガイドローラ、例えば
図5Aのガイドローラ104を含みうる。例えば、ガイドローラ104の直径は、65mmと300mmとの間の範囲から選択されうる。ガイドローラ104は、例えば、シャフト115に装着されうる。本書で使用される「シャフト」という用語は、回転可能である(すなわち、厳密な意味でのシャフト)か、周囲でガイドローラが回転する静止軸を構成するかのいずれかでありうる、ガイドローラ104の任意の支持体を含むこととする。特に、基板ガイド制御ユニットと組合せて説明した単一のガイドローラは、基板ガイド制御ユニットが、他のガイドローラにおいて、例えば基板処理システムの他のガイドローラにおいて測定された更なるデータからの入力なしで、基板をガイドするための調整を提供するという意味で、「単一」である。つまり、本書に記載の調整は、単一のガイドローラにおいて測定された張力のデータだけに基づく。本書に記載の基板ガイド制御ユニットは、測定データを提供するため、又は基板を調整するために使用される第2のガイドローラがなしでも作動しうる。
【0112】
[00111]幾つかの実施形態によれば、ガイドローラ104には、
図5A及び5Bに例示するように、例えば第1の基板張力測定ユニット301及び第2の基板張力測定ユニット302等の2つの基板張力測定ユニットが備えられうる。例えば、基板張力測定ユニットは、例えばピエゾ抵抗又は圧電張力センサ等の張力センサを含みうる。代替的には、張力測定ユニットは、張力を決定するために、ホール素子又はコンデンサを備えうる。いくつかの実施形態によれば、基板張力制御ユニットには、3つ以上に達する基板張力測定ユニットが、ゆえに、任意には3つ以上のセンサも、設けられる。幾つかの実行形態によれば、本書に記載の基板張力測定ユニットは、0N/mと1000N/mとの間の張力を測定するように適合されうる。
【0113】
[00112]幾つかの実行形態によれば、第1の基板張力測定ユニット301はガイドローラ104の第1の端にあり、第2の基板張力測定ユニット302はガイドローラ104の反対側の第2の端に設けられていてよい。これについて、ローラの「端」という用語は、軸方向において、すなわち、ガイドローラ又はガイドローラのシャフトの端の位置、又は端に近接する位置として、理解されるべきである。明確にするために、第1の端104Aと第2の端104Bは、
図5A及び5Bの参照番号によって明示的に表される。したがって、基板張力測定ユニットは、ガイドローラ104のシャフト115上に、共軸に位置付けられうる。代わりに、一又は複数の基板張力測定ユニットは、ガイドローラ104内に埋設されうる。
【0114】
[00113]本書に記載の基板張力測定ユニットは、ガイドされる基板によって生じたガイドローラ上に作用する張力を測定するように構成されることを理解すべきである。ガイドローラの両側、ひいては基板の両側で張力を測定することによって、張力の相違が測定されうる。測定されたデータに基づいて、適切な調整が行われうる。
【0115】
[00114]幾つかの実行形態によれば、基板張力測定ユニットは、トランスデューサ及び/又はストレインゲージを含む。具体的には、トランスデューサは、張力の変動に応答して伸び縮みする棹部を含みうる。ストレインゲージは、対応する電気抵抗の変化を測定する。ストレインゲージによって実施された測定は、更なる処理のために増幅され且つ電圧又は電流に変換される。
【0116】
[00115]図示の目的で、
図5A及び5Bには、ガイドローラ104は、フレーム320に装着されているものとして示されている。フレーム320は、基板ガイド制御ユニット300を支持することが可能な任意のユニットでありうる。詳細には、基板ガイド制御ユニットには、一又は複数の軸受が設けられていてよい。例えば、軸受は、フレームからシャフト115の回転運動を分離するために、基板ガイド制御ユニット300とフレーム320との間に位置付けられる。特に、ガイドローラの両側のフレーム320が一体型のフレームに属することは可能であるが、それが必要である訳ではない。
【0117】
[00116]
図5A及び5Bを例示として参照すると、基板ガイド制御ユニット300は、ガイドローラのアライメントを調整するための調整ユニット310を含みうる。調整ユニットは、ガイドローラ104の第1の端104A、又は第2の端104Bに配置されうる。例えば、
図5Aに例示するように、調整ユニット310は、第2の基板張力測定ユニット302に隣接して配置されうる。2つの調整ユニット(図示せず)、例えばガイドローラ104の各端に1つの調整ユニット310を設けることも可能である。
【0118】
[00117]詳細には、基板に作用する横断的張力を回避するために、ガイドローラ104のアラインメントに調整ユニット310が適用されうる。例えば、ガイドローラ104において、そして結果的には、ガイドローラ104に後続する全ての機器において、種々のコイリング強度を補償するために、本主題の基板ガイド制御ユニット300が特に有用である。例えば、種々のコイリング強度により、基板の幅に沿って基板の厚さが変化する。この結果、材料供給に傾きが生じ、続いて、ガイドローラとガイドされる基板との間の接触が変化して、熱的問題につながりうる。
【0119】
[00118]したがって、本書に記載の張力測定ユニットによって測定された張力データは、ガイドローラの一方の端を移動させることでガイドローラのアラインメントを調整するために使用されうることを理解すべきである。それにより、ガイドローラのアラインメントは、水平方向と鉛直方向のうちの一又は複数と比較して調整されうる。本書に記載の他の実施形態と組み合わせうる実施形態によれば、ガイドローラは、典型的には、基板の張力によって引き起こされた力がガイドローラのシャフトに作用する次元に対応する次元に移動しうる。図示の目的で、ガイドローラ104の例示的な移動を、
図5Bの両矢印350によって示す。
【0120】
[00119]
図5Aに例示するように、幾つかの実施形態によれば、基板ガイド制御ユニット300を制御するために、コントローラ501が設けられうる。例えば、第1の基板張力測定ユニット301によって測定されたガイドローラ104の一方の端での張力データ、及び、第2の基板張力測定ユニット302によって測定されたガイドローラ104の反対側の端での張力データは、直接データライン(「ピアツーピア」)、又はデータバスといったデータ接続部を経由して、コントローラ501に供給されうる。代替的に、データは無線技術を介しての供給も可能である。詳細には、コントローラは、測定された張力データを受信することと、測定された張力データを評価することと、ガイドローラをどのように位置合わせすべきかの計算を行うことと、データをメモリに保存し、メモリから読み取ることと、ガイドローラの一方の端を移動させるためにモータを制御すること等によって調整ユニットを制御することとのうちの一または複数を行うために提供されうる。
【0121】
[00120]本書に記載の他の実施形態と組み合わせることが可能な実施形態によれば、コントローラ501は、例えば、特にパーソナルコンピュータ内の、CPU及び場合によってはデータメモリを含む、(
図5Aに示すような)分離したデバイスでありうる。代替的には、コントローラは、張力測定ユニットの一方あるいは両方の中に組み込まれうるか、又は、調整ユニット内に組み込まれうる。あるいは、コントローラは、例えば主制御内で実行されるそれぞれのプログラム又はソフトウェアによって、真空処理システムの主制御内で実装されうる。
【0122】
[00121]したがって、データ接続部311は、張力測定ユニット及び/又は調整ユニットからコントローラ及び/又は外部のインターフェースへと情報を伝送するために使用されうることを理解すべきである。例えば、このインターフェースは、測定ユニット及び/又は一又は複数の調整ユニットからのデータを処理するパーソナルコンピュータを含みうる。また、インターフェースは、調整ユニット310を整調するための種々の要素を含む、すなわち、種々のポテンショメータ、ダイヤル、スイッチ、及びディスプレイを使用する、アナログフロントパネルを含みうる。更に、インターフェースはまた、テンキーパッド、グラフィカルディスプレイ、テキストコマンド、又はグラフィカルユーザインターフェースを含むデジタルデバイスを含むことも可能である。通常、これらのインターフェースは全て、コントローラ機能、システムの校正、周囲条件の補償、又は、張力測定ユニット又は調整ユニットからの波形の取得及び記録といった、種々の特徴を含む。
【0123】
[00122]データ接続部311は通常、測定ユニットから、例えばコントローラ501を経由して、調整ユニット310へと情報を伝送するために使用される。調整ユニット310は、ガイドローラ104がどのように調整されるべきかに関する情報を受信する。最も単純な実行形態では、情報は、そもそも調整が行われるべきか否か、そして行われるとすれば、どの方向に行われるべきかに関する信号に限定されうる。調整ユニットは、ガイドローラのそれぞれの端を、信号が「移動禁止」信号に変化するか、又は、信号が調整ユニットに、ガイドローラを再び反対方向に移動させるように示すまで、この方向に移動させうる。しかしながら、調整ユニットは更に高機能であってよく、例えば調整ユニットはガイドローラの2つの側部の間の張力差についての情報を受信することが可能であり、かつ、張力が均等化されるまでのガイドローラのそれぞれの移動を開始することができる。
【0124】
[00123]幾つかの実行形態によれば、データ接続部311を接続するために、色々な種類のポートが使用される。例えば、シリアル通信が使用される場合、ポートは、RS232、RS422、RS485、又はユニバーサルシリアルバス(USB)ポートである。具体的には、データ接続部311とコンピュータとの間の通信が所望される場合は、並列通信デバイスが使用されうる。最もよく使用される並列通信デバイスは、DB−25、セントロニクス36、SPP、EPP又はECP並列ポートである。データ接続部311は、調整ユニット310を、トランジスタ−トランジスタロジック(TTL)、又はプログラム可能な論理制御装置(PLC)と互換可能にするために使用されうる。加えて、データ接続部311は、張力測定ユニット及び/又は調整ユニットのうちの一又は複数をネットワークに接続するために使用されうる。
【0125】
[00124]
図5Bに、本主題の基板ガイド制御ユニット300の別の実施形態の概略断面図を示す。本書の開示全体を通じて、同一の対象物には同一の参照番号が使用されている。調整ユニット310は、ガイドローラの一方の端を移動させるための、モータ等の調整アクチュエータ313を含むものとして示されている。特に、これは
図5Bの実施形態に限定されないが、本書に記載の全ての実施形態の一又は複数の調整ユニットには、モータ等のアクチュエータが設けられうる。例えば、モータは線形モータでありうる。両矢印350で示すように、モータは、このページに示された見方では、ガイドローラの端を上下に移動させることが可能である。
【0126】
[00125]幾つかの実施形態によれば、調整ユニットの移動方向は、張力測定ユニットの測定方向に対応する。つまり、
図5Bに示すように、第1の基板張力測定ユニット301及び第2の基板張力測定ユニット302は、調整ユニット310がガイドローラ104を移動させるよう構成されるのと同じ方向に、ガイドローラ104における張力を測定するよう構成されうる。例えば、
図5Bの実施形態では、両矢印350で示された方向は、調整ユニットの移動方向と、張力測定ユニットの測定方向の両方に対応しうる。
【0127】
[00126]本書に記載の調整ユニットにおいて、様々な種類のアクチュエータを使用しうることを理解すべきである。例えば、調整のためのアクチュエータは電動モータ又は油圧モータであってよい。更に、明示していないが、フレーム320に軌道(図示せず)などを配設し、調整ユニットがそれに沿ってガイドローラ104のそれぞれの端(104A、104B)を移動させることができる。
【0128】
[00127]
図6に、本書に記載の真空処理システムの一部の概略断面図を示す。
図6を例示として参照すると、本書に記載の他の実施形態と組み合わせうる実施形態によれば、少なくとも1つの処理チャンバ、例えば第1の処理チャンバ140A及び/又は第2の処理チャンバ240は、ガス分離ユニット370を含みうる。
図6に示すように、フレキシブル基板10は、ガイドローラ(例:ガイドローラ104)及び処理ドラム142を介して2つ以上の処理領域、例えば第1の処理領域381及び第2の処理領域382を通ってガイドされる。
図6の例示的な実施形態では、5つのガス分離ユニット370が示されている。
図6からも分かるように、幾つかの実施形態によれば、2つの隣接するガス分離ユニットは、それらの間に処理領域を形成しうる。言い換えれば、個々の処理領域はガス分離ユニットによって分離されうる。したがって、
図6では、4つの処理領域が識別可能である。処理領域の数は、選択された実施されるべき処理に適応しうることを理解すべきである。本書に記載の他の実施形態と組み合わせうる実施形態によれば、各処理領域は、所望の処理条件にしたがって相互に独立して排気されうる。例えば、
図6に示すように、各処理領域は真空フランジ402を含みうる。したがって、処理システムは、一または複数の真空ポンプ又は真空ポンプ装置が、それぞれの真空フランジのうちの各フランジに接続されうるように構成されうる。
【0129】
[00128]本書に記載の他の実施形態と組み合わせうる実施形態によれば、処理区画内、例えば第1の処理領域381内及び第2の処理領域382内のガス流を制御するために、内部ポンプシールド部が用いられうる。詳細には、内部ポンプシールド部は、流体速度の流線を制御するために用いられるシールド形状寸法を含みうる。より具体的には、内部ポンプシールド部は、処理区画内の微粒子の核形成及び成長のリスクを減らすために再循環/デッドゾーンが抑制されうるよう、層状ガス流を促進するように構成されうる。更に、本書に記載の他の実施形態と組み合わせうる実施形態によれば、処理区画は、処理ゾーン内の圧力分布が均一になるように構成されうる。詳細には、処理区画は、ガス注入ノズルのすぐ近くで、例えば堆積又はコーティングゾーン内の圧力差が0.1%未満等、最小の圧力差が得られうるように構成されうる。
【0130】
[00129]幾つかの実施形態によれば、ガス分離ユニット370は、1つの処理領域のガスが、近接する処理領域などの近接エリアに侵入するのを防止するガス分離壁372を含みうる。更に、ガス分離ユニット370は、矢印371によって示すように、ガス分離ユニット370と処理ドラム142との間のスリット20の幅を調整するように構成されうる。幾つかの実施形態によれば、ガス分離ユニット370は、矢印371によって示すように、アクチュエータ374に結合された要素373を移動させるように構成されたアクチュエータ374を含みうる。ガス分離ユニット370の要素373は、ガス分離ユニット370と、処理ドラム142の表面に沿ってガイドされるフレキシブル基板10との間にスリットを提供しうる。したがって、要素373はスリットの長さを画定していてよく、要素373の位置はガス分離ユニット370とフレキシブル基板10との間のスリットの幅を画定していてよい。したがって、ガス分離ユニット370は、近接する真空処理領域を分離してスリットを形成するように適合され、スリットを通して基板が処理ドラムの外面とガス分離ユニットとの間を通過することができる。更に、ガス分離ユニットは、近接する処理領域の間、例えば第1の処理領域381と第2の処理領域382との間の流体連結を制御するように適合されうる。第1の処理領域381は第1の真空処理領域であってよく、第2の処理領域382は第2の真空処理領域であってよいことを理解すべきである。詳細には、近接する処理領域間の流体連結は、矢印371によって示すように、ガス分離ユニットの位置を調整することによって制御されうる。
【0131】
[00130]本書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、
図7A及び7Bに関連してより詳細に説明するように、ガス分離ユニット370のアクチュエータ374は、電気モータ、空気圧シリンダなどの空気圧アクチュエータ、線形ドライバ、油圧シリンダなどの油圧アクチュエータ、及び所定の加熱又は冷却に曝されると所定の熱膨張係数を有する支持体から成る群から選択することができる。
【0132】
[00131]本書に記載の他の実施形態と組み合わせうる実施形態によれば、
図6に例示するように、例えばカメラなどの光学測定装置等のスリット幅モニタリングデバイス342を配設することができる。スリット幅モニタリングデバイス342を使用して、ガス分離ユニット370とフレキシブル基板10との間のスリット20の幅を測定することができる。スリット幅モニタリングデバイス342は、例えば信号線343によってモニタリングコントローラ450に接続されうる。モニタリングコントローラ450は、信号線でぞれぞれのガス分離ユニットのアクチュエータ374に接続されうる。これにより、モニタリングコントローラ450は、矢印371によって示すように、ガス分離ユニット370の位置、特に要素373の位置を調整するために、アクチュエータ374を制御するための信号を発信しうる。
【0133】
[00132]
図6を例示として参照すると、本書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、一または複数の堆積源630には、接続部631を設けることができる。接続部631は、処理ガスの入力および出力用の電気的接続部及び/又は接続部であってよい。更に、堆積源630用に、一または複数のモニタリングデバイス633を設けることができる。例えば、モニタリングデバイス633は、例えば整合回路の後などの堆積源において電極電圧、及び/又は電極電流及び/又はプラズマインピーダンスを測定するデバイスとすることができる。更に又は代替的に、堆積源の処理領域へのガス流、及び堆積源の処理領域からのガス流もまた、モニタリングすることができる。例えば、それぞれの導管での圧力及び/又は混合ガスでさえも、分析することが可能である。スリット20の幅が増加すると、ガス分離係数が減少し、隣接する処理領域の処理ガスが侵入しうることを理解すべきである。したがって、本書に記載の実施形態は、処理領域内のプラズマ条件が変化しうるように、ガス圧力と混合ガスとを変化させるように構成されうる。したがって、モニタリングデバイス633は、プラズマ条件を決定するために用いることができる。プラズマ条件が変化するという事実を踏まえて、処理ドラムの直径が例えば熱膨張に起因して増加すると、源と処理ドラムとの間のスリット幅を決定するためにモニタリングデバイス633を用いることができる。例えば信号線343によって、スリット幅及び/又はプラズマ条件に関する一または複数の信号がモニタリングコントローラ450に送られうる。上記に概略を説明したように、モニタリングコントローラ450はアクチュエータ374に接続されうるため、ガス分離ユニットのスリット幅を必要に応じて調整することができる。したがって、スリット幅の調整を制御するためにモニタリングコントローラ450を用いることができることを理解すべきである。具体的には、スリット幅の調整を自動化することができる。したがって、本書に記載の真空処理システムの作動全体で、改善されたあるいは最適化されたガス分離係数を得ることができる。これはまた、処理ドラムの温度が上昇する際に、処理ドラムが傷つく危険を防止することができる。
【0134】
[00133]本書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、モニタリングデバイスは、CVD処理モニタであってよい。例えば、モニタリングデバイスは、堆積源の電圧、電流、位相、調波、インピーダンス、又は、アルゴリズムを使用することによって、プラズマ密度から成るグループのうちの少なくとも1つを測定することができる。対応するプラズマモニタリングデバイスは、例えば、システム制御されたアルゴリズム用のプラズマ密度の形態などで、洗浄プロセスの終点検出、シラン粉末形成の通知、及びリアルタイムの無侵襲処理フィードバック(real−time non−invasive process feedback)に使用することができる。しかしながら、本書に記載のいくつかの実施形態によれば、更にモニタリングデバイスを、基板及び/又は基板の後ろに設けられる対応する対電極、例えば、処理ドラムからのPECVD源の電極の距離を決定するために利用することができる。追加として、又は代替的に、ガス分離ユニットのスリット幅の変化に起因する処理ガスの変化もモニタリングデバイスで測定することができる。
【0135】
[00134]したがって、幾つかの実施形態によれば、例えばインピーダンスセンサなどのモニタリングデバイスによって、非侵襲的プラズマ解析方法が提供されうることを理解すべきである。例えば、インピーダンスセンサを事前整合センサ又は事後整合センサのどちらかとして、即ち、整合回路において又は整合回路の後に使用することができる。これによって、モニタリングデバイスの事後整合装着は、電極のRF電圧及び実際のプラズマインピーダンスについての直接的情報を提供しうる。幾つかの実施形態によれば、プラズマの電子「指紋」を提供することができ、また基板からの電極の距離又は隣接する領域からの処理ガス汚染を決定することができる。位相角及び/又は調波信号振幅の差は、例えば、処理のずれ(process drifts)の兆候など、処理条件の微妙な変化を示すことができる。従って、特に堆積源に電力供給するシステム内の調波を測定することによって、電力供給される電極表面に入射したイオンフラックス、したがってプラズマ密度に関する間接的情報が得られうる。
【0136】
[00135]本書に記載の他の実施形態と組み合わせうる幾つかの実施形態によれば、堆積源、例えばプラズマ強化堆積源は、2MHzから90MHzの周波数、例えば、40.68Mhzの周波数で作動可能であり、統合されたインピーダンスセンサ等のモニタリングデバイスは、例えば、ガス分離ユニットのスリットの幅及び/又は基板からの堆積源の電極の距離など、それぞれの処理パラメータのリアルタイムのインライン処理監視及び制御を提供することができる。
【0137】
[00136]このため、本書に記載の実施形態によれば、真空処理システムの作動中に、ガス分離ユニットのスリット幅を調整することが可能であると理解すべきである。したがって、例えば処理ドラムなどの基板支持体の熱膨張に起因するスリット幅の変化を補償することができ、ガス分離ユニットのスリット幅は、個々の作動条件に対して調整可能である。これは、高いガス分離(度)が必要とされる用途、例えば、PECVD処理において、特に有益であり得る。したがって、様々な堆積源用の区画を有する、本書に記載の真空処理システムにより、いくつかのCVD、PECVD及び/又はPVDのモジュール式組合せが可能になる。上記のようなモジュールのコンセプトでは、非常に優れたガス分離を必要とする堆積源を含むあらゆる種類の堆積源を使用することができるが、このコンセプトは、種々の堆積技術又は複雑な組み合わせの処理パラメータを適用して堆積させなければならない複合層スタックの堆積のコスト削減に役立つ。
【0138】
[00137]更に、本書に記載の実施形態は、多くの処理の実行が、およそ0℃の低い処理ドラム温度を必要とする態様に対して有益であり得る。低温では、高い処理ドラム温度用に調整された固定スリット幅は、薄いプラスチック膜(例えば、50ミクロン)が使用される場合、ほぼ1.5〜2.0mm程度であることに留意すべきである。この場合、ガス分離係数は、特定のガス分離係数(1:100)未満であることが多い。これは、層材料が異なる反応性ガス組成物で、近接する処理領域、例えば、スパッタチャンバなどで堆積される処理の実施に重要である。このような条件が適用され得るのは、例えば、Nb
2O
5及びITOの堆積中である。これは、例えばタッチパネルの製造の場合でありうる。したがって、本書に記載の真空処理システムの実施形態は、例えばタッチパネル等のディスプレイデバイスの多層の製造用途に有益である。
【0139】
[00138]上述したように、実施形態は、機械の作動中のガス分離ユニットの調整、特に自動調整、あるいは「自己」調整可能ガス分離壁を指すものである。これは、スパッタ堆積に適用されうるが、CVD及びPECVD堆積、特に処理ガスが反応性ガス構成要素を含む堆積にも適用され、反応性ガス構成要素は、堆積される層に部分的に又は完全に組み込まれる。スパッタウェブコータ(R2Rコータ)と同様に、ガス分離は反応性雰囲気で堆積される層にとって有益である。自己調整可能な、あるいは自動的に調整可能なガス分離ユニットを使用することによって、基板の種々の厚さの値にしたがってスリット幅を変更することができる。改良されたガス分離係数はまた、真空処理システムの設計に影響を与えることができることを理解すべきである。特に、2つの区画間のガス分離ユニットの長さを短縮することができる、即ち、例えば、
図6に示すスリット20及び/又は要素373の長さを短縮することができる。これは、真空処理システムのサイズ、コスト及び設置面積の削減につながりうる影響を有する。
【0140】
[00139]本書に記載の他の実施形態と組み合わせうる幾つかの実施形態によれば、ガス分離ユニット370の要素373によって画定される、ガス分離ユニット370とフレキシブル基板10との間のスリット20の幅は、
図7A及び7Bに例示するように、例えばディスク314を含む支持装置によって調整されうる。例えば、ディスク314は基本的に、処理ドラム142と同じ直径を有しうる。図示した処理ドラム142は
図7Aのディスク314よりも少し大きいが、これは主に例示のためであり、処理ドラム142とディスクは同じ直径を有しうる。ディスク314は、回転軸143に装着されうる。幾つかの実施形態によれば、処理ドラム142の回転中はディスク314は静止したままである、すなわち、ディスクは処理ドラムとともに回転しない。
【0141】
[00140]ガス分離ユニット370の実施例では、
図7A及び7Bに例示するように、接続要素312によって壁要素322がディスク314に接続されている。したがって、幾つかの実施形態によれば、接続要素312によりスリット20の幅が決定しうる。本書に記載の他の実施形態と組み合わせうる代替的な実施形態によれば、ディスク314、接続要素312及び壁要素322を1つの一体化したユニットとして配設することも可能である、あるいはディスク314と接続要素312、又は壁要素322と接続要素312を1つの一体的に形成されたユニットとして配設することができる。
【0142】
[00141]処理ドラム142の温度が変化すると、処理ドラム142の直径も変化しうることを理解すべきである。したがって、スリット20の幅は、処理ドラムの直径の変化に影響される可能性があり、本書に記載の幾つかの実施形態によれば、スリットの幅の調整が提供されうる。ディスク314と接続要素312を含むガス分離ユニット370の支持装置により、
図7Bの矢印326によって示すように、スリット20の幅の調整が得られる。いくつかの実施形態によれば、ディスク314は、処理ドラム142によって受動的に加熱又は受動的に冷却することができる。これによって、ディスク314は、例えば、処理ドラム142の温度と基本的に同一の温度で提供することができ、ディスク314の温度は、処理ドラム142の温度から±10℃ほど変わり得る。したがって、処理ドラム142の熱膨張の後にディスク314の熱膨張が起こるように、ディスク314にもまた熱膨張が起こる。
【0143】
[00142]本書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるまた別の実施形態によれば、追加として又は代替的に、ディスク314又はガス分離ユニット370用の類似の支持体に、冷却チャネル又は加熱要素を配設することができる。これによって、ディスク314の温度を独立して制御することができる。このため、ディスク314の熱膨張は、スリット20の幅が調整されうるように、処理ドラム142の温度とは無関係に制御されうる。
【0144】
[00143]処理ドラム及びディスクの温度の影響に関しては、以下の態様に留意すべきである。以下の例において、処理ドラムはステンレス鋼でできていてよく、ディスクはアルミニウムでできていてよい。したがって、ステンレス鋼の熱膨張係数αss=0.000016K−1、及びアルミニウムの熱膨張係数αAl=0.0000238K−1、αドラム/αディスク=0.6723が得られうる。このため、例えば、400°Cのドラム温度に対応して、268.91°Cのディスク温度が付与されうる、したがって、400°Cにおける処理ドラムの熱膨張が補償されうる。ディスク314が、処理ドラム142と同一の熱膨張係数を有する材料から成る、又は処理ドラム142と同一の材料から成るとき、且つディスク314の温度がプロセス、処理ドラム142の温度と基本的に同一になるように制御できる場合、熱膨張は基本的に同一である(例:矢印326を参照)。したがって、スリット20の幅は、接続要素312の熱膨張分だけ変動する。これに関しては、接続要素312の長さが処理ドラム142の半径と比較して短いことに留意すべきである。したがって、熱膨張に対するスリット幅の変動が大幅に削減される。更に、低い熱膨張係数を有する材料を接続要素312に選択することが可能であり、これにより、接続要素312の熱膨張に対する温度の影響が更に軽減されうる。
【0145】
[00144]本書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、処理ドラム142の材料とは異なるようにディスク314の材料を選択することができ、処理ドラムと比較して異なる熱膨張係数を有するように選択することができる。これによって、処理ドラム142の熱膨張に対応するディスク314の熱膨張が異なる温度でもたらされうるため、処理ドラム142と比較して同一の温度をディスク314において付与する必要がない。具体的には、ディスク314と接続要素312が一体的に形成されている場合、異なる熱膨張係数により、ディスク314の半径方向の寸法が大きい分を接続要素312と組み合わせて補償することも可能である。
【0146】
[00145]
図7A及び7Bには処理ドラム142と同様に円形のディスクを示したが、他の実施形態によれば、ガス分離ユニット370を支持するための支持装置は、ディスク、棒(rod)、又は別のいずれかの適切な形状の一部であってもよい。更に、上述した態様及び詳細には熱膨張を示したが、例えば作動中、高温での第1の処理後に、処理ドラムが低温に冷却された場合には収縮ももたらされる場合があることに留意すべきである。したがって、「膨張」という語は、要素の熱膨張係数から生じた状態を指す、すなわち熱膨張は肯定的な兆候あるいは否定的な兆候を有しうると理解される。
【0147】
[00146]上記を踏まえ、本書に記載の幾つかの実施形態によれば、ガス分離ユニット用の間隙調整デバイスが(例えば、本書に記載されたように構成された、ディスクを含む支持装置によって、あるいはアクチュエータによって)設けられうることが理解される。具体的には、間隙調整デバイスは、処理ドラムとガス分離ユニット及び/又は堆積源本体との間のスリット幅を調整するように構成されうる。したがって、間隙調整デバイスにより、一定で高レベルのガスが確保される。更に、本書に記載のガス分離ユニットの実施形態は、加熱又は冷却段階において、例えばサーモオイル回路によってガス分離ユニットを同時加熱あるいは同時冷却することによって、均一な熱膨張をもたらすように構成されうることを理解すべきである。具体的には、本書に記載のガス分離ユニットの実施形態は、非均一性が±2.5%未満の温度均一性をもたらすように構成されうる。
【0148】
[00147]
図8に、本書に記載の真空処理システム用の処理構成要素として用いられうる堆積源630の概略断面図を示す。本書に記載の他の実施形態と組み合わせうる実施形態によれば、堆積源630は、本体603と、本体によって支持されうる電極602とを含む。例えば、堆積源630は、プラズマ堆積源であってよい。電極602は、堆積源630の処理領域内にプラズマが発生しうるように、電極へ電力を供給するための整合回路680に接続されうる。したがって、堆積源630は、作動中に、電極602と、処理されるフレキシブル基板10との間にプラズマを発生させるように構成されうる。したがって、堆積源は、処理領域内のプラズマが点火され維持されうるように構成されうる。
【0149】
[00148]本書に記載の他の実施形態と組み合わせうる実施形態によれば、堆積源630はさらに、処理ガス混合物を処理領域内へ供給するための処理ガス注入口612と、処理ガス混合物を処理領域から除去するための、例えば排気口等の処理ガス排気口614とを含みうる。具体的には、複数の開口部又はスリット開口部をそれぞれ、ガス注入口及び/又はガス排気口として設けることができる。したがって、処理ガスは、処理ガス注入口612から処理ガス排気口614へ流れうる。実施形態によれば、処理ガス注入口及び処理ガス排気口は、
図8の紙面に垂直な方向に延長することができる。具体的には、処理ガス注入口及び処理ガス排気口は、少なくとも処理される基板の幅、及び/又は少なくとも処理領域の好ましい長さに沿って延びるように設けられうる。処理ガス注入口及び処理ガス排気口は、コーティングされる基板のエリア内に均一の条件を付与するために、基板の最大幅を少なくともわずかに超えて延びるように有益に構成されうる。
【0150】
[00149]本書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、堆積源630及びガス分離ユニット370は1つの設備として形成することができる。例えば、
図8に、堆積源630の本体603に装着されたガス分離ユニット370に示す。これによって、ガス分離ユニットのスリット幅の調整、及び電極602と基板との間の距離の調整を一体化した方法で提供することができる。
【0151】
[00150]
図8を例示として参照すると、本体603と壁102との距離が変化しうるように、堆積源630が壁102に接続されうる(
図8のベローズ632によって示す)。
図8に示すように、本体603、電極602、及び/又はガス分離ユニット370を、支持体がプロセス、処理ドラムの軸に機械的に接触した状態で支持することができる。したがって、ガス分離ユニットのスリット幅、及び電極602と基板との間の距離は、
図7A及び7Bに関連して例示的に上記で説明したように、調整することができることを理解すべきである。代替的に、本体、ガス分離ユニット、及び電極の位置を、基板までの距離の調整のために変更することができるように、アクチュエータを堆積源630の本体603と壁102との間に設けることができる。
【0152】
[00151]
図9に、本書に記載の実施形態に係る、処理チャンバの壁に装着された堆積源630の概略的な斜視断面図を示す。
図9に例示するように、本書に記載の他の実施形態と組み合わせうる実施形態によれば、電極602と、処理される基板との間に設けられた処理領域の周りに、一または複数のガス分離ユニット370が設けられうる。詳細には、
図9の斜視断面図に、電極602の3つの面に配置されたガス分離ユニット370を示す。更に、
図9に、処理領域内の処理ガス流を示す。具体的には、矢印811によって示すように、処理ガスは、処理ガス注入口612から処理ガス排気口614へ流れる。
【0153】
[00152]更に、
図9に示すように、幾つかの実施形態によれば、例えば
図9に示す2つの分離ガス注入口などの、一または複数の分離ガス注入口1842が設けられうる。したがって、矢印843によって示すように、分離ガス注入口1842とガス分離ユニット370との間の中間領域に、分離ガス又はパージガスが供給されうる。更に、幾つかの実施形態によれば、ガス流バリアを設けるために、別のガス分離ユニット1370が設けられうる。
図8に示していないが、矢印843によって示される分離ガス又はパージガスは、近接するプラズマ堆積源用のパージガスを供給するために、反対方向にも供給されうる。
【0154】
[00153]
図10A〜10Cに、本書に記載の実施形態による処理ガス流、パージガス流又は分離ガス流、並びに吸引領域又はポンピング領域の異なる実施形態を示す。
図10Aに、それぞれの処理領域において互いに隣接して設けられた2つの堆積源を示す(例:
図10Aの堆積源630参照)処理領域は、湾曲した基板支持面を形成する処理ドラム142に設けられる。
図10Aに例示するように、各堆積源は電極602を有しうる。電極602の一方には、処理ガス注入口612が設けられる。例えば、ガス注入口は、スリット又は処理ドラム142の軸方向に延びる複数の開口部とすることができる。処理ガス注入口612に隣接して、ガス分離ユニット370を形成する壁部分が設けられる。
図10Aに示す堆積源630は、処理領域内のプラズマを点火し維持するための電力が電極に供給されうるように、電極602に接続可能な整合回路680を含む。更に、
図10Aに示すように、本書に記載の他の実施形態と組み合わせうる実施形態によれば、堆積源又はそれぞれの処理領域の間に、水素などの分離ガス用の分離ガス注入口1842が設けられうる。更に、ポンピングチャネル又は吸引チャネルが、堆積源又はそれぞれの処理領域の間に設けられうる。更に、ポンピングポートなどの真空チャネル1142は、
図10Aに例示するように、分離ガス注入口1842の両側に位置決めされる。
【0155】
[00154]本書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、分離ガス注入口1842は更に、別のガス分離ユニット1370を提供する壁部分を含むことができる。本書に記載の他の実施形態とも組み合わされうる実施形態によれば、少なくとも1つの堆積源630は、処理ドラム142からの堆積源の距離を変更するアクチュエータを含みうる。したがって、例えば
図6に関連して説明したように、アクチュエータによって、あるいは、
図7A及び7Bに関連して説明したように、支持装置によって距離の変更がもたらされうる。これによって、処理ドラム142の軸、電極602、第1のガス分離ユニット、例えば
図6〜8のガス分離ユニット370、及び別のガス分離ユニット1370に対する半径方向の位置を変更及び調整することができる。例えば、変更及び調整は、
図6、7A及び7Bに関連して例示的に説明したように、処理ドラムの温度が変化した際に、処理ドラムの熱膨張又は収縮を補償するために使用することができる。
【0156】
[00155]
図10Aを例示として参照すると、本書に記載の他の実施形態と組み合わせうる実施形態によれば、分離ガス注入口1842が、堆積源630と真空チャネル1142、例えば分離ガス注入口1842の両側に設けられた排気ダクトとの間に設けられうる。
図10Aから、処理ドラムが、
図10Aの紙面に垂直な方向に延びると理解される。更に、電極、ガス注入口、ガス排気口及び排気ダクトが、
図10Aの紙面に垂直な方向に延びる。
【0157】
[00156]
図10Bに、例示的な実施形態を示す。この実施形態では、
図10Aに示す実施形態とは逆に、処理ガス注入口612が、両方の堆積源630のためにそれぞれの堆積源の間に設けられている。これにより、処理ガス流の方向が、堆積源のうちの一方の基板搬送方向と同じ方向に、また堆積源のうちのそれぞれ他方の反対方向に向けられる。
【0158】
[00157]
図10Cに、隣接する堆積源の種々のガス注入口及び排気チャネル又は吸引チャネルの概略的コンセプトを示す。具体的には、
図10Cは、ガス注入口、ガス排気口、及び排気ダクトを矢印として示す。それぞれのチャネル及びダクトは、本書に記載の実施形態のうちの任意の実施形態に従って配設することができると理解されたい。
図10Cに、それぞれの位置で堆積源の一部と見なされる2つの近接する電極を示す。本書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、電極602は、PECVD源の電極などのプラズマ支援堆積処理のための電極とすることができる。
図10Cに示すように、処理ガス注入口612及び処理ガス排気口614は、近接する各堆積源の電極602の対向する側面に設けられうる。更に、処理ガス注入口612及び処理ガス排気口614がそれぞれ、電極602とそれぞれの分離ガス注入口との間に位置づけされるように、電極602の両側に分離ガス注入口1842が設けられうる(例:分離ガス注入口1842参照)。更に、
図10Cに例示するように、真空チャネル1142、すなわち吸引チャネル又は排気ダクトが設けられうる。具体的には、排気ダクトは、分離ガス注入口1842並びに処理ガス注入口612及び処理ガス排気口614が排気ダクトと電極602との間に設けられるように、電極602のそれぞれの対向する側面に設けられうる。
【0159】
[00158]本書に記載の実施形態は、特に、隣接又は近接する処理領域に異なる処理が提供される用途に役立つ。例えば、
図10Cの左側に電極602によって示される堆積源は、第1の堆積処理を実行することができ、
図10Cの右側に電極602によって示される堆積源は、第2の異なる堆積処理を実行することができる。例えば、左の処理領域の圧力が0.3ミリバールで、右の処理領域の圧力が1.7ミリバールである場合、中央の真空チャネルの領域の圧力は例えば、2つの処理エリアの低い圧力を下回るように設定される。先ほどの例では、圧力は、0.2ミリバールとすることができる。本書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる更なる実施形態によれば、3つ以上の堆積源が設けられる場合には、排気ダクトの領域の圧力は、すべての処理領域の最小圧力を下回るように設定される。
【0160】
[00159]本書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態によれば、ガス分離ユニットの壁部分又は要素を、
図10Cに関して説明した配置に配設することができる。これによって、
図8、9及び11に関連して例示するように、ガス分離ユニットの壁部分又は要素を、処理ガス注入口と分離ガス注入口との間だけでなく、処理ガス排気口と分離ガス注入口との間にも配設することができ、分離ガス注入口と排気ダクトとの間に更に配設することができる。
【0161】
[00160]
図11に、本書に記載の実施形態に係る堆積源の概略斜視図を示す。上述したように、堆積源630は、電極602に電力が供給されるように整合回路680へ接続されうる電極602を含む。
図11に示すように、電極602には曲面が設けられていてよく、電極は処理ドラムに対応する、即ち、電極は処理ドラムの表面に対して基本的に平行な面を有する。矢印811は、電極602に沿った処理領域の処理ガスのガス流を概略的に示す。処理ガス注入口612と処理ガス排気口614のそれぞれのスリットは、
図11の太線によって強調されている。したがって、いくつかの実行形態によれば、特にPECVD処理において、処理ガス流は非対称でありうる、すなわち、基板の移動方向、あるいは基板の移動方向とは反対でありうる。
【0162】
[00161]
図11に例示するように、本書に記載の他の実施形態と組み合わせうる実施形態によれば、ガス分離ユニット370は電極602の周りに設けられうる。これによって、ガス分離ユニット370は、電極602の一方の側面に第1のガス分離ユニット部分370Aを、電極602の反対の側面に第2のガス分離ユニット部分370Bを含みうる。ガス分離ユニット370の更なる側面部分370Cが設けられうる。したがって、電極602を取り囲むガス分離ユニット370は、改善された分離係数を提供する。
【0163】
[00162]更に、本書に記載の他の実施形態と組み合わせうる幾つかの実施形態によれば、電極602の第1の側面、及び電極602の対向する側面に分離ガス注入口1842の一または複数の開口部が設けられうる。分離ガス注入口1842の一または複数の開口部は、一または複数の分離ガス注入開口部とも称されうる。
図11に例示するように、幾つかの実行形態によれば、分離ガス注入口1842は、ガス分離ユニット370が分離ガス注入口1842と電極602との間に配置されるように、電極602を囲むように構成されうる。
【0164】
[00163]本書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、別のガス分離ユニット1370を配設することが可能である。例えば、別のガス分離ユニット1370は、電極602の対向する側面に設けられた第1の別のガス分離部1370A及び第2のガス分離部1370Bを含みうる。代替的には、
図11に示す別のガス分離ユニット1370の第1及び第2の部分の代わりに、2つのガス分離ユニットを配設することができる。例えば、
図11に示す別のガス分離ユニット1370は、別のガス分離ユニット1370が電極602、第1のガス分離ユニット、例えば
図11のガス分離ユニット370を取り囲むように、別の側面部分1620Cを含む。
【0165】
[00164]上記観点から、本書に記載の実施形態は、隣接する処理領域の間にさらなる最適化された分離係数を提供しうることを理解すべきである。
【0166】
[00165]
図11に例示するように、本書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、堆積源630、例えばPECVD堆積源は、マイクロ波アンテナ700を含みうる。したがって、本書に記載の堆積源はマイクロ波源であってよく、マイクロ波プラズマを提供するように構成されうることを理解すべきである。マイクロ波アンテナ700の例示の実施形態の詳細図を
図12に示す。幾つかの実施形態によれば、マイクロ波アンテナ700は細長いスリーブ720の形態であってよく、マイクロ波アンテナ700の長さに沿って設けられた複数のスロット710を含む。詳細には、複数のスロット710は、
図12Aに例示するように、マイクロ波アンテナの長さの一部の上に均等に分布していてよい。したがって、スロット付きアンテナは、処理領域内のプラズマへの電力供給の制御のために構成されうる。更に、マイクロ波アンテナ700のスリーブ720内のスロット開口部により、例えば金属でできていてよいスリーブがマイクロ波に対して半透明となるようにすることができる。
【0167】
[00166]本書に記載の他の実施形態と組み合わせうる幾つかの実施形態によれば、マイクロ波アンテナ700には、第1の群のスロット711と第2の群のスロット712とを設けることができ、
図12Bのマイクロ波アンテナの拡大断面図に例示するように、第1の群のスロットは、第2の群のスロットに比較してアンテナの長さに沿った異なる半径方向の位置に配置される。これは、電力カップリング効率を改善するのに有益でありうる。
【0168】
[00167]上記観点から、スロットの配置により、アンテナの長さに沿った軸方向の電力吸収を制御する能力が提供されうることを理解すべきである。具体的には、スロットの間隔及び/又は形状により、電力吸収プロファイルの微調整が提供されうる。したがって、制御されたマイクロ波電力供給のためのスロット付きアンテナが提供されうる。
【0169】
[00168]本書に記載の他の実施形態と組み合わされうる実施形態によれば、堆積源は線形マイクロ波PECVD源であってよい。例えば、堆積源を、軌道が装着された処理トロリーに取り付けることができる。更に、堆積源は、間隙の距離を確保する幾何学的に浮遊しているプラズマ源、完全に一体化された種ガス分離部、オプションのオンラインプラズマ密度モニタリングのための多極共振センサ、高い層均一性の、維持に手がかからず洗浄が容易な、特殊設計された処理ガスマニホールドのうちの少なくとも1つを含みうる。例えば、処理ガスマニホールドは交換可能であってよい。更に、幾つかの実施形態によれば、堆積源、例えば線形マイクロ波PECVD源は、液体前駆体と適合可能であるように構成されうる。本書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態によれば、堆積源は、フッ素ベースのインシトゥプラズマ洗浄能力を含みうる。更に、堆積源、特に線形マイクロ波PECVD源は、処理中の埃を最小限に抑えるために優れたプラズマ閉じ込め性能を有するように構成されうることに留意すべきである。
【0170】
[00169]更に、本書に記載の堆積源の実施形態は、堅牢で最適化された設計を有することを理解すべきである。詳細には、堆積源の堅牢で最適化された設計は、交換可能なガスマニホールド、オプションの同軸線ガス冷却システム、適応可能な内部電源ポンプシールド及び例えばコーティング幅の変更に使用可能なガス分離を含む、交換可能な下部電源収納ユニットのうちの一または複数を配設することによって得ることができる。
【0171】
[00170]
図13に、処理ドラム142と一または複数の堆積源との間でシールド箔250を移動させるように構成されたシャッターデバイス200を含む、本書に記載の実施形態に係る真空処理システムの処理チャンバの一部の概略斜視図を示す。
図6に関連して例示的に説明したように、真空処理システムの一または複数の処理構成要素、例えば堆積源を、処理ドラム142と一または複数の処理構成要素との間に間隙ができるように位置づけすることができる。例えば、間隙は、約0.5mm〜50mmの幅を有しうる。本書に記載の他の実施形態と組み合わせうる幾つかの実施形態によれば、シャッターデバイス200は、
図15及び
図16に関連して更に詳細に説明するように、少なくとも1つの第1の部分、例えば
図15に示す第1の部分231と、少なくとも1つの第2の部分、例えば
図15に示す第2の部分232とを含みうる。第1の部分は、シャッターデバイス200の回転軸を提供しうる。シールド箔250は、例えば、クランピング、グリッピング、糊付け、磁力、はんだ付け及び溶接のうちの少なくとも1つによって、第2の部分に連結可能でありうる。シールド箔250は、「ジャロジー」とも称されうる。シャッターデバイス200は、「ジャロジーシャッター」とも称されうる。
【0172】
[00171]回転軸の周りで回転させることによって、第2の部分に取り付けられたシールド箔250を、処理ドラム142と一又は複数の堆積源との間で移動させることができる。わかりやすいように、
図14に、堆積源630の簡略図を示す。プラズマ洗浄方法は、シールド箔250が堆積源の下のエリアを覆ったときに実施することができる。シールド箔250は、例えば開始された洗浄シーケンスの始めに、自動作動によって移動させることができる。
【0173】
[00172]本書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、シャッターデバイス200は、処理ドラム142の下に(下方に)位置付けられうる。シールド箔250は、処理ドラム142と一又は複数の堆積源との間に位置付けられるように、処理ドラム142の下から上方向に移動させることができる。処理ドラム142の下にシャッターデバイス200を位置付けることによって、処理ドラム142の上の、任意の数の装置部品、特に移動する装置部品を最小限に抑えることができる。更に、シャッターデバイス200及び/又はシールド箔250から放出された粒子は、堆積ゾーンに到達せずに又は堆積ゾーンを横切らずに、例えば処理チャンバの底に落下する。したがって、不純物による堆積処理の汚染、特にコーティング層の汚染を防止することができる。いくつかの実行形態によれば、シールド箔は洗浄物質に対して耐性があるため再利用可能である、すなわちシールド箔は洗浄処理後に交換する必要がない。
【0174】
[00173]本書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、装置は、例えば、処理ドラム142の側面などに設けられた少なくとも1つのスペーサデバイス(例:
図13及び14のスペーサデバイス225参照)を含みうる。いくつかの実施形態では、処理ドラム142の各側面に1つのスペーサデバイス225が設けられうる。スペーサデバイス225は、円形であってもよく、又は円の一部であってもよく、その直径は、処理ドラム142の直径より大きくてもよい。スペーサデバイス225は、特にシールド箔250が処理ドラム142と一又は複数の堆積源との間を移動するときに、シールド箔250を支持するように構成されうる。スペーサデバイス225により、処理ドラム142又はその上に配置されたフレキシブル基板とシールド箔250との間に間隙ができうる。これにより、シールド箔250が処理ドラム142と一又は複数の堆積源との間を移動するときに処理ドラム142又はフレキシブル基板と接触しないため、処理ドラム142又はフレキシブル基板の損傷リスクを最小限に抑えることができる。
【0175】
[00174]いくつかの他の実行形態では、シャッターデバイス200はスペーサデバイス225を含まなくてもよく、シールド箔250は処理ドラム142と一又は複数の堆積源との間を移動するときに処理ドラム142又はその上に配置されたフレキシブル基板と接触又はコンタクトしうる。この場合、シールド箔250及びフレキシブル基板を担持する処理ドラム142は、同じ速度で移動する。要するに、処理ドラム142に対するシールド箔250の相対運動は、実質的に存在し得ない。
【0176】
[00175]
図14に、本書に記載の実施形態に係るシャッターデバイスを含む真空処理システムの処理ドラムの概略側面図を示す。本書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、シャッターデバイス200は、少なくとも1つの第1の部分、例えば第1の部分231、及び少なくとも1つの第2の部分、例えば第2の部分232を有する少なくとも1つのアーム、例えばアーム230を含むことができる。第1の部分231は、アーム230の回転軸を提供しうる。装置は、処理ドラム142の側面の1つに設けられた1つの第1の部分231を有していてもよく、又は2つの第1の部分231、即ち、処理ドラム142の各側面に1つを有していてもよい。シールド箔250は、例えば、クランピング、グリッピング、糊付け、磁力、はんだ付け及び溶接のうちの少なくとも1つによって、第2の部分232に連結可能でありうる。
【0177】
[00176]第1の部分231によって画定された回転軸の周りでアーム230を回転させることによって、第2の部分232に取り付けられるシールド箔250を処理ドラム142と堆積源630との間で移動させることができ、特に、処理ドラム142と堆積源630との間にできた上述の間隙内部で移動させることができる。例えば、エッチング処理が開始された場合、アーム230は、処理ドラム142の回転軸143の周りを移動して処理ドラム142周囲の取り付けられたシールド箔250を搬送することができる。
【0178】
[00177]本書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、アーム230の回転軸は、処理ドラム142の回転軸143に実質的に平行である。特に、アーム230の回転軸は、処理ドラム142の回転軸143に対応しうる。いくつかの実行形態では、第1の部分231は、回転軸143の周りで回転可能である処理ドラム142の回転軸143に取付可能でありうる。いくつかの実施形態では、アーム230を回転可能にするために、ブッシュ軸受又はローラ軸受などの軸受を設けることができる。例えば、アーム230、特に第1の部分231は、ブッシュ軸受又はローラ軸受などの軸受を介して、処理ドラム142の回転軸143に取り付けることができる。
【0179】
[00178]いくつかの実行形態では、第1の部分231は、回転軸143に実質的に垂直に延びていてよく、特に、処理ドラム142の回転軸143から少なくともその外周面まで延びていてよい。第1の部分の長さは、少なくとも処理ドラム142の直径以上とすることができる。
【0180】
[00179]本書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、第2の部分232は処理ドラム142の回転軸143に実質的に平行に延びていてよく、特に、処理ドラム142の外周面の少なくとも一部に沿って延びていてよい。いくつかの実行形態では、第2の部分232は、実質的に処理ドラム142の外周面の長さ全体に沿って延びていてよい。いくつかの実行形態では、第2の部分232は、第1の部分231から延びていてよい。
【0181】
[00180]本書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、第1の部分231は第1の方向に沿って延びていてよく、第2の部分232は第2の方向に沿って延びていてよく、第2の方向は第1の方向に実質的に垂直でありうる。いくつかの実行形態では、第1の方向は処理ドラム142の回転軸143に実質的に垂直であってよく、及び/又は第2の方向は処理ドラム142の回転軸143に実質的に平行であってよい。
【0182】
[00181]原理として、シールド手段をフレキシブル基板の搬送方向に垂直に移動させることにより、洗浄手順中に処理ドラムを覆い保護することが可能であるかもしれないが、この場合、処理ドラムの曲率及びシールド箔の曲率は、搬送方向に平行ではない。シールド箔を、シールド箔の幅方向に屈曲させなければならなくなるであろう。しかしながら、シールド箔がローラ受容部220のようなローラ上にロールアップされるとき、シールド箔はシールド箔の長さ方向に屈曲することになる。したがって、金属から作られたシールド箔のような硬い材料は破壊される可能性がある。
【0183】
[00182]
図15に、2つの第1の部分231と、2つの第1の部分231を連結している1つの第2の部分232とを有するアーム230を有するシャッターデバイス200を示す。第1の部分231は、処理ドラム142の対向する側面に配置されうる。要するに、1つの第1の部分231は、処理ドラム142の各側面に配設することができるということである。第1の部分231は、例えば、処理ドラム142の回転軸143などの軸又はシャフトとの連結を提供するように構成されたボア又は中心ボア233を含みうる。ブッシュ軸受又はローラ軸受などの軸受(図示せず)が、中心ボア233と関連付けられうるため、これにより第1の部分231が回転可能になる。一例として、軸受を中心ボア233内部に配置することができる、又は中心ボア233を取り囲むように配設することができる。
【0184】
[00183]本書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、シャッターデバイス200は、処理ドラム142と一又は複数の堆積源630との間でシールド箔250を移動させるように構成されたドライバを含みうる。いくつかの実行形態では、ドライバは、第1の部分231によって提供された回転軸の周りでアーム230を回転させるように構成することができる。いくつかの実施形態によれば、ドライバは、電気モータ及び/又は空気圧モータなどのモータを含みうる。
【0185】
[00184]いくつかの実行形態では、ドライバは、ギアアセンブリを介して、第1の部分231に接続させることができる。ギアアセンブリは、第1の部分231に設けられた第1のギアホイール234を含みうる。一例として、第1のギアホイール234は、第1の部分231、特に中心ボア233によって画定された回転軸を少なくとも部分的に取り囲むように配設することができる。ギアアセンブリはまた、例えば、電気モータ及び/又は空気圧モータのようなモータなどの駆動機構に直接的又は間接的に連結された第2のギアホイール235を含みうる。
【0186】
[00185]本書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、シャッターデバイス200は、シールド箔250を巻き付ける及び/又は巻き出すように構成された一又は複数のロール受容部220を含みうる。一又は複数のロール受容部220は、シールド箔250を受容するように、特にシールド箔250がその上に巻かれるロールを受容又は保持するように構成される。これにより、シールド箔250を有するロールは、必要なときに簡単に取り換えることができる。いくつかの実施形態では、シールド箔250の第1の端部は、ロール受容部に連結可能である。一例として、シールド箔250の第1の端部はロール受容部220に連結可能であり、シールド箔250の第2の端はアーム230の第2の部分232に連結可能でありうる。
【0187】
[00186]本書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、一又は複数のロール受容部220を処理チャンバ内部に配設することができる。また、シールド箔250は処理チャンバ内部に(例えば、完全に)供給することができ、処理チャンバ外部に供給されることはない。この観点から、外部から処理チャンバ内に、例えば、真空ロックを通して、シールド箔をガイドする必要がない。このため、処理チャンバ内の真空を破ることなく、処理チャンバが洗浄しやすくなる。
【0188】
[00187]しかしながら、他の実行形態では、少なくとも1つのロール受容部を処理チャンバの外部に配設することができる。そのような場合、シールド箔250は、外部から処理チャンバ内に、例えばエアロックを通して供給することができる。この構成において、シールド箔250の第1の端部はなおもロール受容部220に連結可能であり、シールド箔250の第2の端はシャッターデバイス、特にアーム230の第2の部分232に連結可能でありうる。
【0189】
[00188]いくつかの実行形態では、一又は複数のロール受容部220の少なくとも1つを処理ドラム142の下に配設することができる。一又は複数のロール受容部220を処理ドラム142の下に位置付けることによって、一又は複数のロール受容部220及び/又はシールド箔250から放出された粒子が堆積ゾーンに到達せずに又は堆積ゾーンを横切らずに、例えば処理チャンバの底に落下する。これにより、堆積処理の汚染、特にコーティング層の不純物による汚染を防止することができる。
【0190】
[00189]本書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、ロール受容部220は、シールド箔250又はシールド箔250を有するロールを受容するように、特にシールド箔250がその上に巻かれたロールを受容するように構成された受容部分222を含みうる。
【0191】
[00190]通常の実行形態では、ロール受容部220は、少なくとも1つの取付け部分、例えば
図15の取付け部分221を有しうる。取付け部分221は、受容部222又はシールド箔250を有するロールと処理チャンバとの間に回転可能な連結を付与するように構成されうる。受容部222は、特に、少なくとも1つの取付け部分を介して処理チャンバ内部に装着されうる。一例として、取付け部分221は、回転可能な連結を付与するためのブッシュ軸受及び/又はローラ軸受などの軸受を含みうる、又はそのような軸受に連結可能でありうる。いくつかの実施形態では、取付け部分221は、少なくとも受容部分222が回転軸の周りで回転可能であるように構成されうる。受容部分222の回転軸は、処理ドラムの回転軸に実質的に平行であり得る。通常の実行形態では、受容部分222は2つの取付け部分221を有しうる、即ち、受容部分222の各側面に1つの取付け部分221を有しうる。
【0192】
[00191]他の実施形態では、ロール受容部は取付け部分を含んでいてもよく、ロール受容部を含んでいなくてもよい。ロール受容部は、少なくとも2つの独立した、例えば、非連結式の取付け部分を含みうる。ロール受容部は特に、2つの取付け部分を含みうる。取付け部分は、シールド箔250がその上に巻かれたロールに連結可能に構成され、特にシールド箔250がその上に巻かれたロールの側面に連結可能に構成されうる。取付け部分は、シールド箔250を含むロールと処理チャンバとの間に回転可能な連結を付与するように構成されうる。このような目的で、取付け部分は、ブッシュ軸受及び/又はローラ軸受などの軸受を含みうる、又はそのような軸受に連結可能でありうる。
【0193】
[00192]いくつかの実行形態では、シールド箔250はロール受容部220上に供給され、シールド箔250の第1の端はシャッターアーム210の第2の部分232に連結される。シャッターアーム210が回転軸143の周りを回転すると、
図16に関連してさらに詳細に説明するように、シールド箔250はロール受容部220から巻き出され又は展開され、処理ドラム142と一又は複数の堆積源630との間を移動し、特に、処理ドラム142と一又は複数の堆積源630との間の間隙内部を移動する。
【0194】
[00193]
図16に、シャッターデバイスを含む、本書に記載の真空処理システムの処理部分の詳細斜視図を示す。具体的には、
図16に、シャッターデバイスの2つの例示の異なる位置を示す。例えば、堆積処理中に、シャッターデバイス200のアーム230は、第1の位置230Aにありうる。第1の位置230Aにおいて、シールド箔250は、処理ドラム142と堆積源630との間に配置されていない。一例として、第1の位置230Aでは、シールド箔250は、巻かれた状態又はロールアップされた状態でありうる。アーム230は、処理ドラム142と堆積源630との間でシールド箔250を移動させるために、第1の位置230Aから第2の位置230B内に移動又は回転しうる(矢印260で示す)。特に、アーム230を移動させることによって、シールド箔250は、ロール受容部220から巻き出され、展開され、又は伸ばされる。
【0195】
[00194]いくつかの実行形態では、ロール受容部220は、シールド箔250及び/又はアーム230の移動と反対の力、特に第1の位置230Aから第2の位置230B内へのシールド箔250及び/又はアーム230の移動と反対の力を提供する、例えばねじベースの引込機構などの引込機構を含みうる。これにより、シールド箔250が引張られ、例えば処理ドラム142と堆積源630との間などで特にしわ及び/又は絡みが起こることなく、シールド箔を処理ドラム142と堆積源630との間でガイドすることができる。
【0196】
[00195]例えば洗浄処理の完了後などに、アーム230が第2の位置230Bから第1の位置230A内に戻ると、シールド箔250はロール受容部220に再巻き付けする又は再び巻くことができる。幾つかの実行形態では、ロール受容部220は、上述した引込機構を含みうる。したがって、シールド箔250は、特にしわ及び/又は絡みが起こらないように引張られた状態で巻かれることが可能である。
【0197】
[00196]本書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、ロール受容部220は引込機構を含まなくてもよいが、ロール受容部220にシールド箔250を再巻き付けするためのモータなどのドライバが含まれうる。
【0198】
[00197]本書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、アーム230は、少なくとも約90度、特に、130度、140度、143度、150度又は180度回転するように構成されうる。要するに、第1の位置230Aと第2の位置230Bとの間の角度又は回転角度は、少なくとも約90度であってよく、特に130度、140度、143度、150度又は180度であってよい。
【0199】
[00198]上記を踏まえると、シールド箔250で堆積源630の下のエリアを覆うことができ、フレキシブル基板及び/又は処理ドラム142に影響を与えずにプラズマ洗浄を行うことができる。したがって、処理チャンバが密閉及び排気されるときでさえ、シャッターデバイス200がシールド箔250を移動させて洗浄処理中に処理ドラム142を保護することができるので、洗浄前に真空を破る必要がない。更に、本書に記載の実施形態は、例えばプラズマ洗浄領域などからフレキシブル基板を除去せずに、NF3洗浄処理などの洗浄処理を実施することを可能にする。したがって、フレキシブル基板を除去するためのチャンバのパージ及び通気を必要としない、インシトゥチャンバ洗浄が提供されうる。
【0200】
[00199]
図17に、本書に記載の実施形態に係るフレキシブル基板を処理するための装置の処理部分の平面図を示す。本書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、シールド箔250の第1の端部はロール受容部、特に受容部分222に連結可能であり、シールド箔250の第2の端はアームの第2の部分232に連結可能でありうる。いくつかの実行形態では、シールド箔250をガイドする又は偏向させるための一又は複数のガイドローラ又は偏向ローラ223をロール受容部の位置と第2の位置232との間に配設することができる。偏向ローラ223は、処理ドラム142の外周面の接面とシールド箔250の面との間に画定された角度を付与するように構成することができる。一例として、画定された角度は平坦な角度でありうる。
図17に示すように、フレキシブル基板10は処理ドラム142上に配置することができる。シャッターデバイスは、堆積源630とフレキシブル基板10との間でシールド箔250を移動させるように構成することができ、特に、堆積源630とフレキシブル基板10との間の間隙内部でシールド箔250を移動させるように構成することができる。これにより、フレキシブル基板10がNF3及びSF6などの洗浄物質から保護されるため、プラズマ洗浄処理などの洗浄処理を開始する前に処理チャンバからフレキシブル基板10を除去する必要がない。
【0201】
[00200]上記を踏まえると、本書に記載の真空処理システムの実施形態によって様々な方法が実施されうることが理解される。具体的には、本書に記載の真空処理システムの実施形態は、真空処理システムの操作、基板の処理(例:多層構造の堆積)、処理チャンバの洗浄などに関連する様々な可能性のある方法を提供するものであることが理解される。
【0202】
[00201]例えば、
図18に、本書に記載の実施形態に係る真空処理システム100の処理チャンバ140を洗浄するための方法800を示すブロック図を示す。具体的には、実施形態によれば、処理チャンバ140を洗浄するための方法は、処理チャンバ内の真空を破ることなく処理チャンバを洗浄するのに適している。具体的には、処理チャンバを洗浄するための方法800は、シャッターデバイス200によって処理ドラムと一または複数の堆積源630との間でシールド箔をガイドすること801と、処理チャンバ140内で第1のポンプ及びパージ処理を開始すること802と、処理チャンバ140に洗浄ガス又はエッチングガスを供給すること803と、処理チャンバをプラズマ洗浄すること804と、処理チャンバ内で第2のポンプ及びパージ処理を開始すること805とを含みうる。
【0203】
[00202]更に、本書に記載の他の実施形態と組み合わせうる実施形態によれば、処理ドラム142と一または複数の堆積源630との間でシールド箔250をガイドすること801は、処理ドラム142又は処理ドラム142上に配置されたフレキシブル基板10と一または複数の堆積源630との間にできた間隙内で、特に処理ドラム142又は処理ドラム142上に配置されたフレキシブル基板10と接触させずにシールド箔をガイドすることを含みうる。
【0204】
[00203]
図19に、フレキシブル基板上に少なくとも2つの層を堆積させる方法を示すブロック図を示す。実施形態によれば、特に本書に記載の実施形態に係る真空処理システムを使用してフレキシブル基板上に少なくとも2つの層を堆積させる方法900は、処理ドラムの外面の上にフレキシブル基板をガイドすること901と、少なくとも第1の堆積源の反対側の側面の少なくとも2つの位置において分離ガスを供給すること902と、少なくとも2つの位置の間で処理ガスを供給し処理ガスを排気すること903と、第1の堆積源と少なくとも1つの第2の堆積源との間の少なくとも1つの真空排気口でポンプ操作を行うこと904とを含みうる。いくつかの実行形態によれば、分離ガスは水素、窒素、又は希ガスであってよい。追加、あるいは代わりとして、少なくとも1つの真空排気口の圧力は、第1の堆積源及び少なくとも1つの第2の堆積源、例えば第1の処理領域及び第2の処理領域の任意のエリアの圧力よりも小さくてよい。
【0205】
[00204]上記を踏まえると、同じ製造ツール内で異なる種類と厚さの基板を巻き付けることに関して莫大な需要があることが理解される。巻き付け(搬送)の最中に基板にかかる張力は、引張降伏、基板の温度及び基板の厚さによって著しく異なりうる。このため、本開示の実施形態には、本書に記載の処理システム、例えば堆積システムを通して安定した基板の搬送を確保するために、オンライン張力測定及び制御システムが備えられる。更に、搬送ローラ(例:本書に記載のガイドローラ)及び引張ローラ(例:本書に記載の張力測定ローラ及びスプレッダ)の両方と、コーティング基板(例:本書に記載の基板の前面)との間の機械的コンタクトが意図的に阻まれ、擦傷形成及び微粒子取込みの両方のリスクが軽減することに留意すべきである。本書に記載するように、本開示の実施形態は、基板の輸送から発生する欠陥形成率を削減するのに有益でありうる最小限レベルの裏面コンタクトを確保するために、最適化された巻き付け経路(基板搬送路とも称される)を提供する。
【0206】
[00205]更に、記載の実施形態を多層堆積に使用可能であることが理解される。具体的には、活性ガス分離システム、例えば本書に記載のガス分離ユニットを用いることによって、堆積源(例:CVD、PVD、又はPECVD)又はエッチングデバイスなどの処理構成要素に多層堆積能力が付与される。本書に記載の他の実施形態と組み合わせうる実施形態によれば、例えば2MHzを上回る励起周波数で高密度プラズマ源技術を実行することが可能である。したがって、本書に記載の実施形態が、低い熱収支において効率的なプラズマとの電力結合を確保するように構成されることが理解される。更に、当業者には、本書に記載の実施形態が、特に高品質の無機物層の処理用に構成されることが理解される。具体的には、本書に記載の実施形態が液体前駆体のハンドリング用に構成され、これにより、様々な異なる前駆体を用いた多層構造の堆積が可能になり、結果的に得られた層の特性が効率的に調整されることに留意すべきである。更に、本書に記載の実施形態は、例えば側壁への堆積を除去するためのインシトゥプラズマ洗浄にフッ素化ガスを使用することにより、各処理の実行の終わりに洗浄及びメンテナンスのためにツールを大気に対して開放する必要をなくすことによって、アップタイムの利点を提供する。
【0207】
[00206]本開示内容から、本書に記載の実施形態が、とりわけ動的コーティング用の多重領域高速堆積源(例:PECVD源)、(例:PECVD源の)インシトゥ洗浄用の処理及びデバイス、2つの隣接する堆積源間の距離を最小化するために堆積源(例:PECVD源)内に統合されうる調整可能なガス分離、様々なコーティング幅用のプラットフォームスケーリング、モジュラー構成要素を有するシステムアーキテクチャ、単一ドラム(SD)構成から二重ドラム(DD)構成までを形成する可能性、粒子管理のための堆積アップアーキテクチャを有する源配向、コーティングドラム間で基板を供給するための優れたアクセス可能性、及び一体化したロード/アンロードシステムを提供することが理解されるだろう。
【0208】
[00207]加えて、本開示内容から、本書に記載の実施形態が、本書で基板搬送装置としても称される改良型巻き付けシステムを提供することが理解されるだろう。具体的には、本書に記載の実施形態は、とりわけ、処理される基板の前側/層側とローラとの非接触、高いローラ平行性及び巻き付け精度を有する固定(常設)巻き付けシステム、粒子汚染のリスクを軽減するために独立したポンピング及び通気を可能にする(本書において供給ロール及び巻き取りロールとも称される)巻き出し器/再巻き付け器の分離、張力測定及びアライメントのためにローラを2つのみ使用する(本書において基板ガイド制御ユニットとも称される)ウェブガイド制御を提供する。
【0209】
[00208]更に、本書に記載の真空処理システムの実施形態、及び真空処理システムによって実施可能な方法により、特にフレキシブル基板上の薄膜を含む様々なデバイスの製造が改善されることに留意すべきである。例えば、真空処理システムは、薄膜バリア、特に超高バリアスタック又はフレキシブルTFTデバイスの堆積層あるいは層のスタックを提供する。超高バリアスタック又はフレキシブルTFTデバイスは通常、PECVD又はPVD処理あるいはそれらの組合せで堆積される一連の層からできている。様々な膜の品質に対する要求が高いため、単一の膜毎に特別に設計されるシステムで単一の膜を堆積させることが一般用法である。コストを削減し、その応用を商業化可能にするために、本書に記載の真空処理システムは、単一のコータにおいて少なくとも数組の膜あるいは膜の組み合わせの堆積を組み合わせることで改良を行う。更に、真空処理システムのモジュールのコンセプトでは、幾つかの処理モジュールを組み合わせることが可能である(例えば、第1の処理チャンバを含む第1の処理モジュール、第2の処理チャンバを含む第2の処理モジュール、巻き出しモジュール、巻き付けモジュール、及び間紙モジュール)。また、本書に記載の実施形態は、特に同じ装置で様々な異なる処理が行われたとしても、以前のシステムと比べて大幅に高い分離係数を有する改善された処理ガス分離を提供する。以上を考慮すると、本書に記載のいくつかの実施形態によれば、OLEDディスプレイ及び/又は照明、フレックスソーラー、又は隣接する環境からの保護を必要とする他の電子デバイスのためのフレキシブル超高バリアを提供することができる。例えば、これには、フレキシブルTFTにおけるエッチング停止、ゲート誘電体、チャネル、ソースゲート及びドレイン電極の堆積が含まれうる。
【0210】
[00209]更に、本書に記載の実施形態は、形状、サイズ、重量、破損しづらさ等の形状因子によって制される新たなディスプレイ用途(例:モバイル機器用ディスプレイ)のために有益に使用され、また構成されうることが理解される。更に、本書に記載の実施形態は、特に本書に記載のR2R処理システムを提供することによって、高スループット及び低コストの製造を提供する。したがって、当業者には、本書に記載の実行形態が、カバーレンズ用途(例:ハードコート、AR層スタック等)、タッチスクリーン用途(例:ITO膜TP、金属メッシュ等)、ディスプレイ用途(例:量子ドット用バリア膜、OLEDディスプレイ等)及び電子機器用途(例:特に200ppi未満のTFTバックプレーン)などの様々な用途のために構成されることが理解される。
【0211】
[00210]具体的には、本書に記載の実施形態は、「カバーガラス」交換品への傷防止コーティング用のR2RCVD用途、PTハードコート及び光学コーティング及びタッチパネル用のR2RCVD用途、ディスプレイ前面封入用のR2RCVD用途、及びTFTバックプレーン及び基板の超高バリア(UHB)用のR2RCVD用途を提供することが理解される。
【0212】
[00211]例えば、本書に記載の実施形態を、SiO
x(例:ハードコート、低屈折率光学層用等)、及び/又はSiN
x(例:高屈折率光学層用等)を含むタッチパネルの製造用に用いることができる。更に、本書に記載の実施形態を、SiO
x(例:基板バリア、デバイスバリア用等)、及び/又はSiN
x(例:基板バリア、デバイスバリア用等)を含む、超高バリアの製造用に用いることができる。また、本書に記載の実施形態を、a−Si:H(例:チャネル層a−Si用、LTPS用のELA−前駆体等)、及び/又はμ−Si:H(例:a−Si TFTのN+接触層用等)、及び/又はSiO
x(例:エッチング停止層用、IGZO用ゲート誘電体等)及び/又はSiN
x(例:ゲート誘電体用等)を含むフレキシブルTFTディスプレイバリアの製造用に用いることができる。