特許第6804069号(P6804069)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6804069基板処理システム、基板処理装置及び半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6804069
(24)【登録日】2020年12月4日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】基板処理システム、基板処理装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20201214BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20201214BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   H01L21/68 A
   H01L21/02 Z
   G05B19/418 Z
【請求項の数】15
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2019-127050(P2019-127050)
(22)【出願日】2019年7月8日
(65)【公開番号】特開2020-25088(P2020-25088A)
(43)【公開日】2020年2月13日
【審査請求日】2019年7月8日
(31)【優先権主張番号】特願2018-146484(P2018-146484)
(32)【優先日】2018年8月3日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000039
【氏名又は名称】特許業務法人アイ・ピー・ウィン
(72)【発明者】
【氏名】米田 秋彦
(72)【発明者】
【氏名】浅井 一秀
(72)【発明者】
【氏名】前田 哲之
(72)【発明者】
【氏名】宮下 直也
(72)【発明者】
【氏名】宮川 信之
(72)【発明者】
【氏名】岡▲ざき▼ 正
(72)【発明者】
【氏名】▲やなせ▼ 英雄
【審査官】 杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−030747(JP,A)
【文献】 特開2002−238029(JP,A)
【文献】 特開2011−014658(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
G05B 19/418
H01L 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の搬送時に発生するイベントデータ及び搬送エラーが生じたときに発生するアラームデータを取得する第1制御手段と、
基板の搬送動作を第1画像データとして記録しつつ、該基板の搬送動作を該第1画像データよりも解像度が高い第2画像データとして記録する記録手段と、
前記記録手段で記録した第1画像データを前記イベントデータに基づき第1記憶部に記憶させると共に、前記記録手段で記録した第2画像データを前記アラームデータに基づき第2記憶部に記憶させる第2制御手段と、
前記第1画像データと前記第2画像データを少なくとも表示する操作部と、を備え、
前記第2制御手段は、前記第1画像データと前記搬送エラー発生時に記録した前記第2画像データの両方を同じ画面に表示し、前記第1画像データと前記第2画像データの開始再生タイミングを調整することが可能な基板処理システム。
【請求項2】
基板を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段による前記搬送エラーを検出する検出手段と、を更に備え、
前記第1制御手段は、前記検出手段から前記搬送エラーを示す通知を取得し、前記搬送エラーが発生した装置名、前記搬送エラーに対して設定されるアラームID、前記搬送エラーの発生時刻を少なくとも含むエラー情報を前記第2制御手段と前記操作部に通知するように構成されている請求項1記載の基板処理システム。
【請求項3】
前記第2制御手段は、前記搬送エラーの発生前後の所定時間分の前記第2画像データをファイル化し、前記第2記憶部に記憶させつつ、前記エラー情報に基づき前記搬送エラーが発生した装置の操作画面と同じ画面を前記操作部に表示させると共に、該同じ画面に前記記録手段が取得した前記第1画像データを表示させる指示を受付ける手段を表示させるように構成されている請求項2記載の基板処理システム。
【請求項4】
前記第2制御手段は、前記記録手段が取得した前記第1画像データを表示させる指示を受け付けると、前記搬送エラーが発生した時点の前記第1画像データと前記エラー情報を含む画面に切替えて前記操作部に表示させるように構成されている請求項3記載の基板処理システム。
【請求項5】
前記第2制御手段は、前記アラームID及び/又は前記発生時刻の選択指示を受け付けると、前記第2記憶部内を選択された前記アラームID及び/又は前記発生時刻で検索することにより得られた前記第2画像データを前記操作部に表示させるよう構成されている請求項2記載の基板処理システム。
【請求項6】
記検出手段は、前記搬送手段による前記基板の搬送の開始及び終了を示すイベントデータを検出し、
前記第1制御手段は、前記検出手段により前記イベントデータが検出されると前記第2制御手段に前記イベントデータを通知し、
前記第2制御手段は、前記基板の搬送動作が終了したイベントデータを通知されると、前記基板の搬送動作の開始から終了までを記録した第1画像データを前記第1記憶部に記憶させるように構成されている請求項記載の基板処理システム。
【請求項7】
記第2制御手段は、前記第2記憶部内を前記アラームID及び/又は前記発生時刻で検索することにより得られた前記第2画像データと、前記第1記憶部内に予め格納されている前記基板の搬送動作の開始から終了までを記録した前記第1画像データを同じ画面に表示するように構成されている請求項2記載の基板処理システム。
【請求項8】
基板を搬送する複数の搬送機構と、
前記搬送機構に設けられ、前記搬送機構による前記搬送エラーを検出する検出手段と、を更に備え、
前記記録手段は、記録対象である前記搬送機構による前記基板の搬送動作を撮像するように構成され、
前記第2制御手段は、前記搬送機構による前記基板搬送の動画を第1画像データとして前記記録手段に記録させつつ、前記搬送機構による前記基板搬送の動画を該第1画像データよりも解像度が高い第2画像データとして前記記録手段に記録させるように構成されている請求項1記載の基板処理システム。
【請求項9】
前記第2制御手段は、記録対象である前記搬送機構が前記基板もしくは前記基板を収納されたキャリアを搬送中のとき、前記記録手段に前記第1画像データ及び前記第2画像データを記録させるよう構成されている請求項8記載の基板処理システム。
【請求項10】
前記第2制御手段は、記録対象である前記搬送機構が停止中のとき、前記記録手段に前記第1画像データ及び前記第2画像データを記録させないように構成されている請求項8記載の基板処理システム。
【請求項11】
前記第2制御手段は、前記搬送エラー発生時に取得する前記搬送エラーに対して設定されるアラームIDの番号に応じて前記搬送エラーを発生させた前記搬送機構を特定可能に構成されている請求項8記載の基板処理システム。
【請求項12】
前記第2制御手段は、特定した前記搬送機構を記録する前記記録手段の前記第2画像データだけを取得するよう構成されている請求項11記載の基板処理システム。
【請求項13】
前記搬送機構は、ロードポート、ポッド搬送装置、ボート、移載機よりなる群から選択される少なくとも一つである請求項8記載の基板処理システム。
【請求項14】
基板の搬送時に発生するイベントデータ及び搬送エラーが生じたときに発生するアラームデータを取得する第1制御手段と、
基板の搬送動作を第1画像データとして記録しつつ、該基板の搬送動作を該第1画像データよりも解像度が高い第2画像データとして記録する記録手段と、
前記記録手段で記録した第1画像データを前記イベントデータに基づき第1記憶部に記憶させると共に、前記記録手段で記録した第2画像データを前記アラームデータに基づき第2記憶部に記憶させる第2制御手段と、
前記第1画像データと前記第2画像データを少なくとも表示する操作部と、を備え、
前記第2制御手段は、前記第1画像データと前記搬送エラー発生時に記録した前記第2画像データの両方を同じ画面に表示し、前記第1画像データと前記第2画像データの開始再生タイミングを調整することが可能な基板処理装置。
【請求項15】
基板を搬送する工程と、基板を処理する工程とを有する半導体装置の製造方法であって、
前記基板を搬送する工程は、更に、
前記基板の搬送時に発生するイベントデータ及び搬送エラーが生じたときに発生するアラームデータを取得する工程と、
前記基板の搬送動作を第1画像データとして記録しつつ、前記基板の搬送動作を前記第1画像データよりも解像度が高い第2画像データとして取得し、それぞれ取得した前記第1画像データを前記イベントデータに基づき第1記憶部に記憶させると共に、前記第2画像データを前記アラームデータに基づき第2記憶部に記憶させる記憶工程と、
前記第1画像データまたは前記第2画像データを表示する表示工程と、を有し、
前記表示工程では、
前記第1画像データと前記搬送エラー発生時に記録した前記第2画像データの両方を同じ画面に表示し、前記第1画像データと前記第2画像データの開始再生タイミングを調整する
半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理システム、基板処理装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置は、例えば搬送手段により処理室内へ基板(以下ウエハともいう)を搬送し、処理室内にて基板に対して所定の処理を行うよう構成されている。基板の搬送時には、例えば搬送手段のトラブルや処理室内外の圧力差で、基板がずれたり、落下したり、破損したりすることがある。
【0003】
従来から、この搬送手段の搬送状況を把握することが行われている(例えば、特許文献1参照)。また、基板の状態を検出する検出手段(例えば、光センサ、マッピングセンサ等のセンサ類)を設け、所定位置での基板の状態が期待値と異なった場合、それを搬送エラーとして検出し、そして、操作画面に搬送エラー状況や搬送エラー発生時の搬送系のモニタ画面を表示している(例えば、特許文献2参照)。但し、搬送エラーが発生したことはわかっても、位置ずれ、落下、破損等の基板の詳細の状態やその状態に至った原因を把握することについては直ちに知ることはできない。
【0004】
係る状況を解消するには、例えばビデオカメラ等の記録手段を基板処理装置内に設置し、搬送エラーの解析に利用することが考えられる(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、単に稼働中の画像データを保存し続けると、搬送エラーの発生時に膨大な量の画像データの中から適切な画像データを選択して表示させることになり、解析に時間を要してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−161346号公報
【特許文献2】特開2011−155244号公報
【特許文献3】特開2013−030747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の目的は、基板搬送時の画像データと搬送エラー発生時の画像データを用いて解析を行う構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、 基板の搬送時に発生するイベントデータ及び搬送エラーが生じたときに発生するアラームデータを取得する第1制御手段と、
基板の搬送動作を第1画像データとして記録しつつ、該基板の搬送動作を該第1画像データよりも解像度が高い第2画像データとして記録する記録手段と、
前記記録手段で記録した第1画像データを前記イベントデータに基づき第1記憶部に記憶させると共に、前記記録手段で記録した第2画像データを前記アラームデータに基づき第2記憶部に記憶させる第2制御手段と、
前記第1画像データと前記第2画像データを少なくとも表示する操作部と、を備え、
前記第2制御手段は、前記第1画像データと前記搬送エラー発生時に記録した前記第2画像データの両方を同じ画面に表示し、前記第1画像データと前記第2画像データの開始再生タイミングを調整することが可能な
技術が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、基板搬送時の画像データと搬送エラー発生時の画像データをそれぞれ用いて搬送エラーの異常解析を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の第一実施形態で好適に用いられる収容室の斜透視図である。
図2】本開示の第一実施形態で好適に用いられる基板処理装置の横断面図である。
図3】本開示の一実施形態で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉部分の縦断面図である。
図4】本開示の一実施形態で好適に用いられる基板処理装置のコントローラの概略構成図であり、コントローラの制御系をブロック図で示す図である。
図5】本開示の一実施形態で好適に用いられるコントローラのシステム構成を示す図である。
図6】本開示の一実施形態で好適に用いられる記録手段で記録した画像データを処理する監視コントローラで実行されるプログラム構成を説明するための図である。
図7】本開示の一実施形態で好適に用いられる記録手段で記録した画像データを説明する図である。
図8】MJPEG形式について説明するための図である。
図9】H.264形式について説明するための図である。
図10】(A)は、H.264形式について説明するための図であって、(B)は、H.265形式について説明するための図である。
図11】(A)及び(B)は、MJPEG形式のファイル保存について説明するための図である。
図12】アラーム録画のコマ送り再生を説明するための図である。
図13】本開示の一実施形態で好適に用いられる記録手段を説明するための図である。
図14】本開示の一実施形態で好適に用いられる記録手段を説明するための図である。
図15】本開示の一実施形態で好適に用いられる画像監視プログラムのフローを説明する図である。
図16】本開示の一実施形態で好適に用いられるイベント頭出し機能の図示例である。
図17】本開示の一実施形態で好適に用いられる画像監視プログラムフローの要部を説明する図である。
図18】本開示の一実施形態で好適に用いられる比較画面表示機能を説明するシーケンスである。
図19】本開示の一実施形態で好適に用いられる装置コントローラの操作画面の図示例である。
図20】本開示の一実施形態で好適に用いられるアラームID検索画面表示の図示例である。
図21】本開示の一実施形態で好適に用いられる比較画面表示の図示例である。
図22】本開示の一実施形態で好適に用いられる比較画面表示の図示例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の第1の実施形態について、図1図3を用いて説明する。
【0011】
(1)基板処理装置の構成
図1に示すように、本実施形態において、基板処理装置4は、ICの製造方法における熱処理工程を実施する縦型熱処理装置(バッチ式縦型熱処理装置)として構成されている。なお、本開示が適用される縦型熱処理装置では、基板としてのウエハWを搬送するキャリアとしてFOUP(Front Opening Unified Pod:以下、ポッドという。)20が使用されている。基板処理装置4は後述する処理炉8、収容室12、搬送室16を備える。
【0012】
(収容室)
基板処理装置4の筐体内前側には、ポッド20を装置内に搬入し、収納する収容室12が配置されている。収容室12の筐体前側には、ポッド20を収容室12に対して搬入搬出するための開口である搬入出口22Aが収容室12の筐体内外を連通するように開設されている。搬入出口22Aはフロントシャッタによって開閉されるように構成されていても良い。搬入出口22Aの筐体内側にはロードポート(ポッド載置装置)としてのAGVポート(I/Oステージ)22が設けられている。収容室12と搬送室16との間の壁面には、移載ポート42が設置されている。ポッド20はAGVポート22上に基板処理装置4外にある工程内搬送装置(工程間搬送装置)によって基板処理装置4内に搬入され、かつまた、AGVポート22上から搬出される。
【0013】
収容室12の筐体内前方のAGVポート22上方には、ポッド20を収納する収納棚(ポッド棚)30Aが上下2段に設置されている。また、収容室12の筐体内後方には、ポッド20を収納する収納棚(ポッド棚)30Bがマトリクス状に設置されている。
【0014】
筐体前方の上段の収納棚30Aと水平方向の同一直線状には、ロードポートとしてのOHTポート32が左右に並んで設置されている。ポッド20は、基板処理装置4外にある工程内搬送装置(工程間搬送装置)によって基板処理装置4の上方からOHTポート32上に搬入され、かつまた、OHTポート32上から搬出される。AGVポート22、収納棚30AおよびOHTポート32は、水平駆動機構26によってポッド20を載置位置と受渡し位置とに水平移動可能なように構成されている。以後、AGVポート22を第1ロードポート、OHTポート32を第2ロードポートという場合がある。
【0015】
図2に示すように、収容室12の筐体内の前側の収納棚30Aと後側の収納棚30Bとの間の空間はポッド搬送領域14を形成しており、このポッド搬送領域14でポッド20の受渡しおよび搬送が行われる。ポッド搬送領域14の天井部(収容室12の天井部)にはポッド搬送装置としてのポッド搬送機構40の走行路としてのレール機構40Aが形成されている。ここで、受渡し位置はポッド搬送領域14内に位置し、例えば、ポッド搬送機構40の真下の位置のことである。
【0016】
ポッド20を搬送するポッド搬送機構40は走行路を走行する走行部40Bと、ポッド24を保持する保持部40Cと、保持部40Cを垂直方向に昇降させる昇降部40Dを備える。走行部40Bを駆動させるモータのエンコーダを検出することにより、走行路40B中の位置を検知することができ、任意の位置に走行部40Bを移動させることができる。
【0017】
(搬送室)
収容室12の後方に隣接して搬送室16が構成されている。収容室12の搬送室16側には、ウエハWを搬送室16に対して搬入出するためのウエハ搬入出口が水平方向に複数並べられて開設されており、各ウエハ搬入出口に対して移載ポート42がそれぞれ設置されている。移載ポート42では、ポッド20を載置する載置台42Bを水平移動させてウエハ搬入出口に押し当て、図示しない蓋開閉機構(蓋開閉装置)としてのFIMS(Front−Opening Interface Standard)オープナによりポッド20の蓋が展開される。ポッド20の蓋が展開されると、基板移載装置としての基板移載機86によって、ポッド20内外へのウエハWの搬送が行われる。
【0018】
(処理炉)
搬送室16の上方には処理炉8が設けられている。図3に示すように、処理炉8は加熱手段(加熱機構)としてのヒータ46を有する。ヒータ46は円筒形状であり、保持板としてのヒータベース(図示せず)に支持されることにより垂直に据え付けられている。ヒータ46は、後述するようにガスを熱で活性化(励起)させる活性化機構(励起部)としても機能する。
【0019】
ヒータ46の内側には、ヒータ46と同心円状に反応容器(処理容器)を構成する反応管50が配設されている。反応管50は、例えば石英(SiO2)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料で構成され、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。反応管50の筒中空部には、処理室54が形成されている。処理室54は、基板としてのウエハWを後述するボート58によって水平姿勢で垂直方向に多段に整列した状態で収容可能に構成されている。
【0020】
処理室54には、ノズル60が、反応管50の下部を貫通するように設けられている。ノズル60は、例えば石英またはSiC等の耐熱性材料からなる。ノズル60には、ガス供給管62a及びガス供給管62cが接続されている。ガス供給管62a,62cには、それぞれ上流方向から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)64a,64cおよび開閉弁であるバルブ66a,66cが設けられている。ガス供給管62a,62cのバルブ66a,66cよりも下流側には、それぞれ不活性ガスを供給するガス供給管62b,62dが接続されている。ガス供給管62b,62dには、それぞれ上流方向から順に、MFC64b,64dおよびバルブ66b,66dが設けられている。主に、ガス供給管62a、MFC64a、バルブ66aにより、処理ガス供給系である処理ガス供給部が構成される。また、ガス供給管62c、MFC64c、バルブ66cにより、反応ガス供給系である反応ガス供給部が構成される。また、ガス供給管62b,62d、MFC64b,64d、バルブ66b,66dにより、不活性ガス供給系である不活性ガス供給部が構成される。
【0021】
ノズル60は、反応管50の内壁とウエハWとの間における円環状の空間に、反応管50の内壁の下部より上部に沿って、ウエハWの配列方向上方に向かって立ち上がるように設けられている。すなわち、ノズル60は、ウエハWが配列されるウエハ配列領域の側方の、ウエハ配列領域を水平に取り囲む領域に、ウエハ配列領域に沿うように設けられている。ノズル60は、L字型のロングノズルとして構成されており、その水平部は反応管50の下部側壁を貫通するように設けられており、その垂直部は少なくともウエハ配列領域の一端側から他端側に向かって立ち上がるように設けられている。ノズル60の側面には、ガスを供給するガス供給孔60Aが設けられている。ガス供給孔60Aは、反応管50の中心を向くようにそれぞれ開口しており、ウエハWに向けてガスを供給することが可能となっている。ガス供給孔60Aは、反応管50の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれが同一の開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。
【0022】
反応管50には、処理室54の雰囲気を排気する排気管68が設けられている。排気管68には、処理室54の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ70および圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ72を介して、真空排気装置としての真空ポンプ74が接続されている。APCバルブ72は、真空ポンプ74を作動させた状態で弁を開閉することで、処理室54の真空排気および真空排気停止を行うことができ、更に、真空ポンプ74を作動させた状態で、圧力センサ70により検出された圧力情報に基づいて弁開度を調節することで、処理室54の圧力を調整することができるように構成されているバルブである。主に、排気管68、APCバルブ72、圧力センサ70により、排気系が構成される。真空ポンプ74を排気系に含めて考えてもよい。
【0023】
反応管50には、温度検出器としての温度検出部76が設置されている。温度検出部76により検出された温度情報に基づきヒータ46への通電具合を調整することで、処理室54の温度が所望の温度分布となるように構成されている。温度検出部76は、ノズル60と同様にL字型に構成されており、反応管50の内壁に沿って設けられている。
【0024】
反応管50の下方には、反応管50の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ78が設けられている。シールキャップ78は、例えばSUSやステンレス等の金属で構成され、円盤状の部材である。シールキャップ78の上面には、反応管50の下端と当接するシール部材としてのOリング78Aが設けられている。また、シールキャップ78の上面のうち、Oリング78Aより内側領域にはシールキャップ78を保護するシールキャッププレート78Bが設置されている。シールキャッププレート78Bは、例えば、石英またはSiC等の耐熱性材料で構成され、円盤状の部材である。シールキャップ78は、反応管50の下端に垂直方向下側から当接されるように構成されている。
【0025】
基板支持具(基板支持装置)としてのボート58は、複数枚、例えば25〜200枚のウエハWを、水平姿勢で、かつ、互いに中心を揃えた状態で垂直方向に整列させて多段に支持するように、すなわち、間隔を空けて配列させるように構成されている。ボート58は、例えば石英やSiC等の耐熱性材料からなる。
【0026】
シールキャップ78の処理室54と反対側には、ボート58を回転させるボート回転装置としての回転機構80が設置されている。回転機構80の回転軸80Aは、シールキャップ78を貫通してボート58に接続されている。回転機構80は、ボート58を回転させることでウエハWを回転させるように構成されている。
【0027】
図4に示すように、制御部(制御手段)である装置コントローラ(第1制御手段)210は、CPU(Central Processing Unit)212、RAM(Random Access Memory)214、記憶装置216、I/Oポート218を備えたコンピュータとして構成されている。RAM214、記憶装置216、I/Oポート218は、内部バス220を介して、CPU212とデータ交換可能なように構成されている。装置コントローラ210には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置222が接続されている。また、装置コントローラ210には、ハブ309を介して第2制御手段としての監視コントローラ310と、記録手段としての撮像装置(以後、カメラという)91,92,93,94,95(以後、91〜95と略す。)が接続されている。なお、カメラ91〜95に関しての詳細は後述する。
【0028】
記憶装置216は、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置216内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順を装置コントローラ210に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。RAM214は、CPU212によって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0029】
I/Oポート218は、上述のMFC64a,64b,64c,64d、バルブ66a,66b,66c,66d、圧力センサ70、APCバルブ72、ヒータ46、温度検出部76、真空ポンプ74、回転機構80、ボート昇降装置としてのボートエレベータ82、ポッド搬送機構40、センサ(検出器)25B,28A、水平駆動機構26等に接続されている。
【0030】
CPU212は、記憶装置216から制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置222からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置216からプロセスレシピを読み出すように構成されている。CPU212は、読み出したプロセスレシピの内容に沿うように、MFC64a,64b,64c,64dによる各種ガスの流量調整動作、バルブ66a,66b,66c,66dの開閉動作、APCバルブ72の開閉動作および圧力センサ70に基づくAPCバルブ72による圧力調整動作、真空ポンプ74の起動および停止、温度検出部76に基づくヒータ46の温度調整動作、回転機構80によるボート58の回転および回転速度調節動作、ボートエレベータ82によるボート58の昇降動作、ポッド搬送機構40によるポッド搬送動作、センサ25B、28Aに基づく水平駆動機構26の駆動動作、ボート58に対する基板移載機86による基板搬送動作等を制御するように構成されている。
【0031】
装置コントローラ210は、外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)224に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。記憶装置216や外部記憶装置224は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置216単体のみを含む場合、外部記憶装置224単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置224を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0032】
次に、上述の基板処理装置4を用いたポッド20の搬送について説明する。
【0033】
(キャリアロード工程:S10)
ポッド20がAGVポート22またはOHTポート32に供給されると、AGVポート22またはOHTポート32の上のポッド20は基板処理装置4内部へ搬入される。搬入されたポッド20は収納棚30の指定されたステージ25へポッド搬送機構40によって自動的に搬送されて受け渡され、一時的に保管された後、収納棚30から一方の移載ポート42に搬送されて受け渡されるか、もしくは直接移載ポート42に搬送される。
【0034】
走行部40Bを制御し、ポッド搬送機構40を搬送対象であるポッド20が載置されているAGVポート22のステージ25の受渡し位置上方に移動させる。ここで、受渡し位置上方とは、ポッド搬送機構40が昇降部40Dにより保持部40Cを下降してポッド20を保持できる位置、すなわち、ポッド20の真上に保持部40Cがある位置である。
【0035】
ポッド搬送機構40が受渡し位置上方に待機していることを確認し、搬出対象であるポッド20が載置されているAGVポート22のステージ25を受渡し位置まで水平移動(スライド)させる。ここで、AGVポート22のスライド動作とポッド搬送機構40との駆動は同時に行っても良い。
【0036】
センサ28Aにより、ステージ25が受渡し位置までスライドされたことを確認した後、昇降部40Dを制御し、ポッド20を保持できる位置まで保持部40Cを降下させ、保持部40Cを制御しポッド20を保持する。保持部40Cがポッド20を保持したことを確認し、昇降部40Dを制御し保持部40Cを上昇させる。
【0037】
ステージ25のセンサ25Bにより、ポッド20がステージ25上に載置されていないことを確認した後、ステージ25を載置位置までスライドさせる。センサ28Aにより、ステージ25が載置位置に戻ったことを確認した後、ポッド搬送機構40を受渡し対象の移載ポート42または収納棚30の受渡し位置上方に移動させる。
【0038】
移載ポート42に搬送する場合、移載ポート42の載置部上方にポッド搬送機構40が移動した後、昇降部40Dを制御し、保持部40Cを降下させ、移載ポート42の載置部にポッド20を載置する。移載ポート42の載置部はポッド搬送機構40の真下に位置しており、受渡しのために水平移動させる必要はない。
【0039】
収納棚30に搬送する場合、搬送先の収納棚30のステージ25を受渡し位置まで水平移動(スライド)させ、センサ28Aにより、ステージ25が受渡し位置までスライドされたことを確認した後、昇降部40Dを制御し、保持部40Cを降下させ、ステージ25にポッド20を載置する。ここで、収納棚30のステージ25のスライド動作とポッド搬送機構40との駆動は同時に行っても良い。
【0040】
(蓋展開工程:S11)
ポッド20が、移載ポート42の載置部に載置されると蓋開閉機構としてのFIMSオープナによりポッド20の蓋が開けられる。
【0041】
(ウエハチャージ工程:S12)
ポッド20の蓋が開けられると、ポッド20内の複数枚のウエハWが基板移載機86によって、ボート58に装填(ウエハチャージ)される。
【0042】
(ボートロード工程:S13)
複数枚のウエハWがボート58に装填されると、ボート58は、ボートエレベータ82によって処理室54に搬入(ボートロード)される。このとき、シールキャップ78は、Oリング78Aを介して反応管50の下端を気密に閉塞(シール)した状態となる。
【0043】
次に、上述の基板処理装置4を用い、半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、基板上に膜を形成する処理(以下、成膜処理ともいう)のシーケンス例について説明する。ここでは、基板としてのウエハWに対して、第1の処理ガス(原料ガス)と第2の処理ガス(反応ガス)とを交互に供給することで、ウエハW上に膜を形成する例について説明する。
【0044】
以下、原料ガスとしてヘキサクロロジシラン(Si2Cl6、略称:HCDS)ガスを用い、反応ガスとしてアンモニア(NH3)ガスを用い、ウエハW上にシリコン窒化膜(Si34膜、以下、SiN膜ともいう)を形成する例について説明する。なお、以下の説明において、基板処理装置4を構成する各部の動作は装置コントローラ210により制御される。
【0045】
本実施形態における成膜処理では、処理室54のウエハWに対してHCDSガスを供給する工程と、処理室54からHCDSガス(残留ガス)を除去する工程と、処理室54のウエハWに対してNH3ガスを供給する工程と、処理室54からNH3ガス(残留ガス)を除去する工程と、を非同時に行うサイクルを所定回数(1回以上)行うことで、ウエハW上にSiN膜を形成する。
【0046】
また、本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同義である。
【0047】
(成膜工程:S14)
処理室54、すなわち、ウエハWが存在する空間が所定の圧力(真空度)となるように、真空ポンプ74によって真空排気(減圧排気)される。この際、処理室54の圧力は、圧力センサ70で測定され、この測定された圧力情報に基づきAPCバルブ72が、フィードバック制御される。真空ポンプ74は、少なくともウエハWに対する処理が終了するまでの間は常時作動させた状態を維持する。
【0048】
また、処理室54のウエハWが所定の温度となるように、ヒータ46によって加熱される。この際、処理室54が所定の温度分布となるように、温度検出部76が検出した温度情報に基づきヒータ46への通電具合がフィードバック制御される。ヒータ46による処理室54内の加熱は、少なくともウエハWに対する処理が終了するまでの間は継続して行われる。
【0049】
また、回転機構80によるボート58およびウエハWの回転を開始する。回転機構80により、ボート58が回転されることで、ウエハWが回転される。回転機構80によるボート58およびウエハWの回転は、少なくとも、ウエハWに対する処理が終了するまでの間は継続して行われる。
【0050】
処理室54の温度が予め設定された処理温度に安定すると、次の2つのステップ、すなわち、ステップ1〜2を順次実行する。
【0051】
[ステップ1]
バルブ66aを開き、ガス供給管62a内へHCDSガスを流す。HCDSガスは、MFC64aにより流量調整され、ノズル60を介して処理室54へ供給され、排気管68から排気される。このとき、ウエハWに対してHCDSガスが供給されることとなる。このとき、同時にバルブ66bを開き、ガス供給管62b内へN2ガスを流す。N2ガスは、MFC64bにより流量調整され、HCDSガスと一緒に処理室54へ供給され、排気管68から排気される。ウエハWに対してHCDSガスを供給することにより、ウエハWの最表面上に、第1の層として、例えば1原子層未満から数原子層の厚さのシリコン(Si)含有層が形成される。
【0052】
第1の層が形成された後、バルブ66aを閉じ、HCDSガスの供給を停止する。このとき、APCバルブ72は開いたままとして、真空ポンプ74により処理室54を真空排気し、処理室54に残留する未反応もしくは第1の層の形成に寄与した後のHCDSガスを処理室54から排出する。このとき、バルブ66bを開いたままとして、N2ガスの処理室54への供給を維持する。N2ガスはパージガスとして作用し、これにより、処理室54に残留するガスを処理室54から排出する効果を高めることができる。
【0053】
[ステップ2]
ステップ1が終了した後、処理室54のウエハW、すなわち、ウエハW上に形成された第1の層に対してNH3ガスを供給する。NH3ガスは熱で活性化されてウエハWに対して供給されることとなる。
【0054】
このステップでは、バルブ66c,66dの開閉制御を、ステップ1におけるバルブ66a,66bの開閉制御と同様の手順で行う。NH3ガスは、MFC64cにより流量調整され、ノズル60を介して処理室54へ供給され、排気管68から排気される。このとき、ウエハWに対してNH3ガスが供給されることとなる。ウエハWに対して供給されたNH3ガスは、ステップ1でウエハW上に形成された第1の層、すなわちSi含有層の少なくとも一部と反応する。これにより第1の層は、ノンプラズマで熱的に窒化され、SiおよびNを含む第2の層、すなわち、シリコン窒化層(SiN層)へと変化させられる(改質される)。なお、このとき、プラズマ励起させたNH3ガスをウエハWに対して供給し、第1の層をプラズマ窒化することで、第1の層を第2の層(SiN層)へ変化させるようにしてもよい。
【0055】
第2の層が形成された後、バルブ66cを閉じ、NH3ガスの供給を停止する。そして、ステップ1と同様の処理手順により、処理室54に残留する未反応もしくは第2の層の形成に寄与した後のNH3ガスや反応副生成物を処理室54から排出する。このとき、処理室54に残留するガス等を完全に排出しなくてもよい点は、ステップ1と同様である。
【0056】
上述した2つのステップを非同時に、すなわち、同期させることなく行うサイクルを所定回数(n回)行うことにより、ウエハW上に、所定組成および所定膜厚のSiN膜を形成することができる。なお、上述のサイクルは複数回繰り返すのが好ましい。すなわち、上述のサイクルを1回行う際に形成される第2の層(SiN層)の厚さを所定の膜厚よりも小さくし、第2の層(SiN層)を積層することで形成されるSiN膜の膜厚が所定の膜厚になるまで、上述のサイクルを複数回繰り返すのが好ましい。
【0057】
成膜処理が完了した後、バルブ66b,66dを開き、ガス供給管62b,62dからN2ガスを処理室54へ供給し、排気管68から排気する。N2ガスはパージガスとして作用する。これにより、処理室54がパージされ、処理室54に残留するガスや反応副生成物が処理室54から除去される(パージ)。その後、処理室54の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室54の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
【0058】
(ボートアンロード工程:S15)
大気圧復帰した後、ボートエレベータ82によりシールキャップ78が下降され、反応管50の下端が開口される。そして、処理済のウエハWが、ボート58に支持された状態で、反応管50の下端から反応管50の外部に搬出される(ボートアンロード)。
【0059】
(ウエハディスチャージ工程:S16)
処理済のウエハWは、基板移載機86によって、ボート58より取出される(ウエハディスチャージ)。
【0060】
(キャリアアンロード工程:S17)
次処理済のウエハWは、基板移載機86によって、ポッド20に収納され、処理済のウエハWが収納されたポッド20は、キャリアロードと反対の動作により、ロードポート(AGVポート22、OHTポート32)に戻され、外部搬送装置により回収される。
【0061】
次に、本実施形態における基板処理システムとしての装置モニタ制御システムについて図5を用いて説明する。
【0062】
本実施形態における装置モニタシステムは、カメラ91〜95と、該カメラ91〜95が記録した画像データを保存する監視コントローラ310と、装置コントローラ210と、装置コントローラ210と監視コントローラとカメラ91〜95とを接続するハブ309と、装置コントローラ210や監視コントローラ310に接続される操作部コントローラとしての操作部PC(Personal Computer)400と、を含む構成である。また、操作部として装置コントローラ210内にある操作部を用いてもよい。なお、図5では、これら装置コントローラ210、監視コントローラ310、操作部PC400はそれぞれ別体として示されているが、監視コントローラ310、操作部PC400を基板処理装置4の構成部品の一つに含めてもよいのはいうまでもない。ここで、監視コントローラ310や操作部PC400は装置コントローラ210と同じ構成であってもよい。なお、監視コントローラ310は、監視コントローラ310とカメラ91〜95のクロックがmsec精度で同期しているため、カメラ91〜95が記録する画像データを正確に保持することができる。
【0063】
また、装置コントローラ210、監視コントローラ310は、基板処理装置4が設置されるクリーンルームに設置され、操作部PC400は、クリーンルームとは別室のオフィスルーム等に設置されている。すなわち、装置コントローラ210及び監視コントローラ310は、クリーンルームから離れた操作部PC400を入出力装置222として遠隔制御される。装置コントローラ210は、ウエハWの搬送時等に発生するイベントデータと、搬送エラーが生じたときに発生するアラームデータを取得する。そして、装置コントローラ210は、イベントデータを取得すると、イベントデータに基づくイベント通知を監視コントローラ310と操作部PC400に送信する。また、装置コントローラ210は、搬送エラーが発生するとアラームデータに基づくエラー情報を含むアラーム通知を監視コントローラ310と操作部PC400に送信するよう構成されている。また、管理装置402及び顧客等のホストPC404等にエラー情報を含むアラーム通知をメールで送信するよう構成され、管理装置402やホストPC404等の表示部に、操作部PC400の表示部と同様の画面がリモート表示できるように構成されている。ここで、イベントデータとは、搬送ロボット等の各搬送機構に設けられたセンサから取得するデータであって、キャリアロード工程、蓋展開工程、ウエハチャージ工程、ボートロード工程、成膜工程、ボートアンロード工程、ウエハディスチャージ工程、キャリアアンロード工程等のそれぞれの工程(イベント)におけるウエハ搬送開始及び終了のタイミングを示す情報(イベント情報)であって、イベント発生日時等を含む。また、アラームデータとは、ウエハWの搬送時に発生する位置ずれ、落下、破損、搬送残り等の搬送手段による搬送エラーの発生等を示す情報(エラー情報)であって、搬送エラー発生日時等を含んでいる。具体的には、エラー情報として、搬送エラーが発生した装置名、搬送エラーに対して設定されているアラームID、搬送エラーの発生時刻等に関する情報が含まれる。なお、カメラ91〜95に関しての詳細は後述する。
【0064】
図6に示すように、監視コントローラ310は、監視コントローラ310で実行される画像録画プログラムにより、後述する第1画像データとしてのイベント画像データであるH.264形式の動画(高圧縮・低画質動画)と、後述する第2画像データとしてのアラーム画像データであるMotion JPEG(Joint Photographic Experts Group)またはM−JPEG(以後、MJPEGと称する)形式の動画(低圧縮・高精細動画)を同時に取得するように構成されている。アラーム画像データは、搬送エラー等の障害が発生したときの画像データであるのに対して、イベント画像データは、搬送エラー等の障害が発生するまでの基板の搬送時の状態や、障害が発生していない正常な基板の搬送時の状態を示す画像データである。監視コントローラ310は、イベント画像データ及びアラーム画像データのリストを保存する蓄積部としてのデータベース311aと、イベント画像データ及びアラーム画像データの動画をそれぞれ一時的に格納するバッファ部としてのメモリ312a,312bと、イベント画像データ及びアラーム画像データをそれぞれ保存(記憶)するハードディスクドライブとしての記憶部313a,313bと、を有する。以下、イベント画像データを格納する記憶部を第1記憶部313a、イベント画像データを一時的に格納するメモリを第1メモリ312aと称する。そして、アラーム画像データをそれぞれ記録したカメラ91〜95毎に格納する記憶部を第2記憶部313b、アラーム画像データをそれぞれ記録したカメラ91〜95毎に一時的に格納するメモリを第2メモリ312bと称する。
【0065】
監視コントローラ310は、例えば、装置コントローラ210からウエハW(またはポッド20)の搬送の開始を示すイベント通知を受けると、カメラ91〜95がそれぞれ記録する第1画像データ(イベント画像データ)のメモリ(第1メモリ312a)への格納を開始する。イベント画像データは、カメラ91〜95が記録する画像データを一時格納する一つの第1メモリ312aに集約され、周期的に第1記憶部313aに格納される。この場合、監視コントローラ310は、装置コントローラ210からウエハW(またはポッド20)の搬送の終了を示すイベント通知を受けると、カメラ91〜95がそれぞれ記録する第1画像データの第1メモリ312aへの格納を終了し、第1メモリ312a内の第1画像データを第1記憶部313aに格納する。例えば、第1メモリ312aが一杯になるとまとめて第1記憶部313aに転送したり、また、設定値で予め第1記憶部313aへの転送時間を決めたりしてもよい。そして、イベント画像データ(第1画像データ)は、イベント画像データのイベント録画ファイルの保存先ディレクトリとイベント情報を含む後述する「イベント録画情報リスト」としてデータベースDB化される。例えば、開始を示すイベント通知のタイミングでデータベース311aへイベント情報が登録されつつ、イベント画像データのファイル化が第1記憶部313aへ開始される。終了を示すイベント通知のタイミングでデータベース311aが更新されつつ、第1記憶部313aへのファイル化の終了処理(ファイルクローズ処理)が行われる。
【0066】
監視コントローラ310は、起動してカメラ91~95と接続した後、数十秒間分の第2画像データ(アラーム画像データ)を各メモリ(第2メモリ312b)へ格納を開始する。数十秒間分をリングバッファとして、最も古い画像データを最新の画像データで上書きし、常に一定の過去数十秒間分のデータを蓄えるような構造となっている。アラーム画像データは、カメラ91〜95ごとに設けられる第2メモリ312bに一旦格納される。そして、監視コントローラ310は、装置コントローラ210からウエハWの搬送時に発生する位置ずれ、落下、破損、搬送残り等の搬送手段による搬送エラーの発生を示すアラーム通知を受けると、このカメラ91〜95ごとに設けられる第2メモリ312bに格納されたアラーム画像データの搬送エラー発生前後のあらかじめ決められている範囲であって、搬送エラー発生前後数十秒間の、例えば搬送エラー発生前後20秒間分のデータがファイル化され、カメラ91〜95ごとに設けられる第2記憶部313bに格納される。また、図示されていないが、アラーム画像データは、録画ファイルの保存先ディレクトリとエラー情報を含む後述する「アラーム録画情報リスト」としてデータベースDB化される。
【0067】
監視コントローラ310が、録画監視プログラムに組み込まれたイベント録画タスク、アラーム録画タスクを実行することにより、イベント画像データの第1記憶部313aへの保存、イベント録画ファイルの作成、アラーム画像データの第2記憶部313bへの保存、アラーム録画ファイルの作成が行われる。なお、第1記憶部313aのHDD容量が十分にある場合、または動作していない場合も録画したい箇所を映しているカメラの場合、イベント画像データは、装置コントローラ210から搬送機構の搬送の開始及び終了を示すイベント通知によらず、周期的にイベント画像データの第1記憶部313aへの保存する常時録画された画像データであってもよい。例えば、24時間N(自然数)日間録画し続けた画像データであってもよい。一方、HDD容量に制限がある場合、または、できるだけ長時間にわたって搬送動作中の画像データを保持したい場合、イベント画像データは、イベント通知に従って、搬送している間だけ第1記憶部313aに録画される。このようなイベント画像データ(第1画像データ)の録画方式に関しては、カメラ91〜95毎に設定される。
【0068】
図7にカメラ91〜95から取得する動画形式について示す。本開示では一つのカメラからH.264形式の動画(イベント画像データ)と、MJPEG形式の動画(アラーム画像データ)の二つの形式の動画(画像データ)を同時に監視コントローラ310で取得できるように構成されている。つまり、カメラ91〜95は、それぞれウエハWの搬送動作をイベント画像データとして記録しつつ、ウエハWの搬送動作をイベント画像データよりも高精細なアラーム画像データとして記録する。
【0069】
ここで、MJPEG形式の画像(第2画像データ)は、例えば図8に示すように、1枚のJPEG形式の画像(以後、フレームとも言う)の連続で動画を構成する。図8は、MJPEG形式でボート58が反応管50へ上昇する動画が左側から右側へ1フレーム毎に表示されている。MJPEGではフレーム間の依存関係がなく、MJPEGの画像は、データの伝送中にフレームが1つ欠落しても、残りのフレームに一切影響を与えないため、非常に安定している。MJPEG形式の利点は、JPEG圧縮以外の圧縮がなく、画質が劣化しない。したがって、例えば、搬送機構の動作中に障害が発生した際にMJPEG形式で録画されていれば、JPEG圧縮以外の圧縮がない画像(動画)、画質で障害発生状況を確認することが可能となる。欠点は、完全な画像の連続であるため、ビデオ圧縮技術を利用してデータを圧縮できない。なお、本実施例では、1秒間に30フレームの画像が記録され、監視コントローラ310の第2記憶部313bに格納される。つまり、アラーム発生時に、約33msec毎の高精細な画像データが記憶される。
【0070】
第2画像データとして、BMP形式やPNG形式を用いてもよい。MJPEG形式のJPEG画像は、図9のように動きのないところは録画しないH.264形式と比較すると、JPEG圧縮以外の圧縮がなく、画質劣化が少ない。しかし、JPEG圧縮技術は、主に下記の処理が実施されているため、拡大表示すると、ブロック単位のノイズが見られることがある(非可逆圧縮方式)。
1.色情報をRGBからYCbCrに変換する。
2.画素全体を8×8のブロック単位に分解する。
3.各ブロックにDCT(周波数解析)を行い、結果の値を量子化する。
4.量子化した値をジグザグスキャンし、ランレングスコーディングを行う。
5.直流成分はDPCM(差分パルス符号変調)で圧縮する。
6.これをハフマンコードで符号化し、ブロックの順に出力する。
【0071】
BMP形式は、特殊な圧縮を掛けていない、ファイルサイズは大きくなるが、構造が単純で汎用性が高い、画像情報をそのまま維持している(可逆圧縮方式)。PNG形式は、可逆圧縮方式の画像形式のため、圧縮による画像劣化がない。したがって、BNP形式やPNG形式で第2画像データを録画すると、拡大表示した際によりブロック単位のノイズがなく、鮮明に状況を確認することが期待できる。
【表1】
【0072】
ここで、第1画像データは、MPEG-4 Part 10 AVC(Advanced Video Coding)とも呼ばれるビデオエンコーディングのための最新のMPEG規格である。H.264は次世代の動画圧縮の標準規格として期待されている。図7に示すように、H.264のデータサイズはMJPEGと比較して80%以上、MPEG-4と比較して50%以上削減され、例えば、第1記憶部313aのストレージ容量を大幅に抑えられる。画像フレーム内では、不要な情報を削除することでデータ量を削減することができる。例えば図9に示すように、前後フレームで変化のないところは削除される。ここで図9は、H.264形式で図8と同様にボート58が反応管50へ上昇する動画が左側から右側へ1フレーム毎に表示されている。この1フレームは、MJPEG形式の画像(第2画像データ)と同様に0.033msecである。H.264形式では画像データを圧縮する際に、フレーム間で動いている部分と静止している部分を切り分けて、動いている部分は時間軸の変化に合わせて画像データを随時書き換えるが、静止している部分は時間が変化しても画像データとしては変化していないとみなして、元の画像データを流用する。しかし、大幅に圧縮率が高まるが、動きのある部分と静止部分の切り分けがうまくいかないと、ノイズが発生し不鮮明な映像になる場合がある。
【0073】
H.264形式は、基本的な方式はMPEG−2と同じ、動き補償(MC)フレーム間予測符号化方式に離散コサイン変換(DCT)を使用したもので、いわゆるMC+DCTと呼ばれている方式である。H.264形式は、MPEG−2やMPEG−4による映像圧縮符号化方式よりも、2倍以上の超高圧縮の実現を目指して標準化されている。
【0074】
また、画像データをより高圧縮にするために、例えば図10(B)に示すように、H.265形式を用いてもよい。H.264形式は、図10(A)に示すように、画面全体を細かくブロック化し変化した部分のみを監視コントローラに送信する。つまり、大きく変化したブロックも比較的変化の小さいブロックも、同じ細かいブロックで送信することになる。H.265形式は、細かいブロックとして固定しないで、大きく変化したブロックは細かく、比較的変化の少ないブロックは大きいブロックとすることで、圧縮率の適正化を行い全体の情報量を削減することを可能としている。このようなH.264形式やH.265形式の画像データを半導体製造装置に適用する場合、オペレータの画面操作により流量計をモニタする目的など、一般的にはそれほど画質を必要としない用途に対しては、有効な手段である。
【0075】
また、MJPEG形式のファイル保存について、図11(A)に示すように、通常は「 .avi」や「 .mov」のような1つのファイルに動画を保存する。つまり、この形式では、1つのファイルをプレイヤーで再生する際、コマ送り再生ができず、スロー再生のみとなる。
【0076】
本開示のアラーム録画では、図11(B)に示すように、1秒間に30フレームの静止画をJPEGファイルとして、障害発生前の20秒間と障害発生後の20秒間の合わせて40秒間分を出力する。つまり、30フレーム×40秒=1200ファイルのJPEGファイルを保存していることになる。この技術的な解決方法を用いることで、0.033秒間隔の映像をコマ送り再生することで、超スロー再生する方式を実現している。図12は、0.033秒間隔の映像をコマ送り再生するイメージを示す。ウエハWを搬送する搬送機構は、約9〜10分の間にポッド20を3セット(最大ウエハW75枚)分、ボート58へ搬送している。そのため、障害発生時の調査には、より間隔の短い映像を取得して再生できることが求められている。
【0077】
顧客によっては、数か月(3カ月以上)の動画保存を要求されており、要求を満たすためには、より高圧縮した画像データ(H.264形式または次世代H.265形式)で記録することになる。ただし、高圧縮した画像データは、時間軸での映像比較により、データ圧縮するため、障害発生時の重要な場面を出力した場合に、不鮮明な映像となる場合がある。また、H.264形式やH.265形式は、前後のフレームの情報を参照して映像を作り出しているため、コマ送り再生ができない。そのため、エラー発生時前後をMJPEG形式で同時に記録して、障害発生時の映像を高精細な映像で記憶することで、コマ送り再生して確認することができる。
【0078】
ここで、ウエハW等の半導体基板が搬送される様子を常時録画して保存しておき、搬送エラー等が発生した場合には、録画されている画像データを参照して搬送エラーが発生した要因を調べるようなことが行われる。
【0079】
しかし、搬送エラー等の障害が発生しない場合でも常時録画されるイベント画像データを低圧縮・高精細のMJPEG形式で録画したのでは、画像データを記憶するための記憶容量が膨大となってしまう。
【0080】
そのため、本実施形態においては、搬送エラー等の障害が発生しない場合でも常時録画されるイベント画像データについては、高圧縮・低画質のH.264形式で記憶し、搬送エラー等の障害が発生した場合にのみ録画されるアラーム画像データについては、低圧縮・高精細のMJPEG形式で記憶するようにしている。
【0081】
次に、カメラ91〜95の撮像ポイントについて図13を用いて説明する。カメラの撮影対象は、主にウエハWを搬送する搬送機構であって、例えば、移載ポート42、ポッド搬送機構40、基板移載機86、ボート58等である。それぞれ、移載ポート42でのポッド20の受渡し確認、ポッド搬送動作確認、ポッド20からのウエハ取出し、ボート58へのチャージ、ディスチャージの確認、基板移載機86で移動中のウエハ状態の確認、ボート58及びボート58に装填されたウエハWの昇降確認等を目的としている。また、画像データとして動画及び静止画が取得され、これらの画像データは、監視コントローラ310の第1記憶部313a又は第2記憶部313bに記憶される。なお、カメラ91〜95は、上述の移載ポート42、ポッド搬送機構40、基板移載機86、ボート58等の搬送機構(撮影対象)の動作や周囲の環境に応じた露出(照明)制御を自動的に行うように構成されている。
【0082】
ポッド搬送機構40によるキャリアロード/アンロード中、基板移載機86によるウエハWのチャージ/ディスチャージ中、ボート58のロード/アンロード中にカメラ91~95により取得される動画(イベント画像データ)が第1記憶部313aに保存される。つまり、第1記憶部313aには、所定時間(所定イベント)毎にイベント画像データがファイル化されて蓄積される。例えば、ウエハWのチャージ/ディスチャージのような基板の搬送工程毎に、イベント画像データがファイル化されて蓄積されるよう構成されている。また、ファイル化の周期(上記所定時間)は、イベント毎に限らず適宜設定可能に構成されている。
【0083】
また、FIMSオープン後、ウエハチャージ終了後、ボートアンロード後に、監視コントローラ310は、静止画を取得するように構成されている。これは、FIMSオープン後、搬送工程終了後のウエハW確認は、静止画を確認するだけで少なくとも異常の発生を把握できるためである。本実施形態ではアラーム画像データと同様な形式の低圧縮で高精細の静止画を取得し、搬送エラーの詳細状況を把握するようにしている。なお、FIMSオープナによるポッド20の蓋展開工程も他の搬送イベントと同様に動画を取得するようにしてもよい。
【0084】
次に、カメラ91〜95のそれぞれの撮影対象とアラームIDとの関連について図14を用いて説明する。図14は、撮影対象とアラームIDから搬送エラー発生時(障害発生時)の録画を限定する場合に利用するテーブルを示す。
【0085】
図14に示すように、設置するカメラの数を5個とした場合に、各撮影対象に起因して発生する搬送エラーに対してアラームIDは設定される。つまり、アラームIDは、撮影対象とカメラ91〜95に対してそれぞれ紐付けられ、アラームIDから撮影対象とカメラ91〜95とを特定することができるようにされている。
【0086】
カメラ91(カメラ番号1)は、外部搬送装置とAGVポート22及びOHTポート32との間で、キャリアとしてのポッド20を受渡しする様子を撮影する。なお、ポッド20の受渡し中に搬送エラーが発生しても、アラームIDからカメラ番号及び撮影対象が特定できるようになっている。実際に搬送エラーが発生したことを検出する検出手段(例えば、センサ)は、AGVポート22及びOHTポート32もしくはこれらの近傍にそれぞれ設けられる。
【0087】
カメラ92(カメラ番号2)は、ポッド搬送機構40と移載ポート42との間で、ポッド20を受渡しする様子を撮影する。また、カメラ92は、上述したキャリアロード工程及びキャリアアンロード工程の間、つまり、AGVポート22及びOHTポート32と移載ポート42の間のポッド搬送機構40の様子を撮影する。キャリアロード工程及びキャリアアンロード工程の間に搬送エラーが発生しても、アラームIDからカメラ番号及び撮影対象が特定できるようになっている。また、実際に搬送エラーが発生したことを検出するセンサは、ポッド搬送機構40に設けられる。
【0088】
カメラ93(カメラ番号3)は、移載ポート42の載置部に載置されたポッド20がFIMSオープナにより蓋が展開される様子を撮影する。FIMSオープナオープン後にウエハ飛び出し等のエラーが発生しても、アラームIDからカメラ番号及び撮影対象が特定できるようになっている。また、実際に搬送エラーが発生したことを検出するセンサは、移載ポート42にあるFIMSオープナ(蓋開閉機構)に設けられる。
【0089】
カメラ94(カメラ番号4)及びカメラ95(カメラ番号5)は、移載ポート42の載置部のポッド20とボート58との間で、基板移載機86によりウエハWが搬送される様子を撮影すると共に、搬送室16と処理炉8との間で、ボート58が昇降される様子を撮影する。つまり、カメラ94及びカメラ95は、上述したウエハチャージ工程及びウエハディスチャージ工程の間、および、上述したボートロード工程及びボートアンロード工程の間で、ウエハWが搬送される様子やボート58が昇降される様子を撮影する。ウエハチャージ工程及びウエハディスチャージ工程の間、若しくは、ボートロード工程及びボートアンロード工程の間に搬送エラーが発生しても、アラームIDからカメラ番号及び撮影対象が特定できるようになっている。また、実際に搬送エラーが発生したことを検出するセンサは、基板移載機86に設けられる。
【0090】
監視コントローラ310は、図14に示すテーブルを持つことで、装置コントローラ210からアラームIDを含む搬送エラー発生のアラーム通知を受信すると、通知されたアラームIDから対象となるカメラ番号を特定することができる。そして、監視コントローラ310は、特定したカメラ番号に限定してアラーム画像データを取得してアラーム録画を行う(アラーム画像データを各カメラ番号の第2記憶部313bに保存する)。
【0091】
監視コントローラ310のアラーム録画機能は、高精細な動画(アラーム画像データ)を取得できるが、低圧縮のためファイル容量が大きくなり記憶部を占有してしまう。よって、搬送エラーが発生した箇所に応じてアラームIDやカメラ番号を定義した図14に示すテーブルを適用することにより、監視コントローラ310の記憶部のデータ量を削減する効果が高くなる。
【0092】
次に、本実施形態における監視コントローラ310による基板処理装置4の搬送動作監視フローについて図15を主に用いて説明する。ここでは、ステップS16のウエハディスチャージ工程で搬送エラー(障害)が発生した場合を例に説明する。なお、操作部PC400を用いた場合を例に以下説明する。
【0093】
(キャリアロード工程:S10)
操作部PC400等の外部コンピュータ等からポッド20の搬送要求を受付けると、装置コントローラ210は、監視コントローラ310にキャリアロード開始イベントを示すイベント通知を送信する。監視コントローラ310は、このイベント通知を受けると、カメラ91(カメラ番号1)による撮影を開始させる。
【0094】
尚、外部搬送装置からポッド20がAGVポート22またはOHTポート32に載置されると、装置コントローラ210が、監視コントローラ310にキャリアロード開始イベントを示すイベント通知を送信するようにしてもよい。
【0095】
カメラ91は、外部搬送装置とAGVポート22及びOHTポート32との間で、キャリアとしてのポッド20を受渡しする様子を撮影する。監視コントローラ310は、カメラ91が撮影したイベント画像データを、AGVポート22またはOHTポート32にポッド20が載置されると、第1記憶部313aに保存(イベント録画)させるように構成されている。
【0096】
また、監視コントローラ310は、AGVポート22またはOHTポート32にポッド20が載置されると、カメラ91からカメラ92(カメラ番号2)に切替え、カメラ92にAGVポート22及びOHTポート32と移載ポート42の間のポッド搬送機構40の様子を撮影させるよう構成されている。
【0097】
ポッド20が移載ポート42の載置部に載置されると、装置コントローラ210は、監視コントローラ310にキャリアロード終了イベントを示すイベント通知を送信する。監視コントローラ310は、このイベント通知を受けると、カメラ92による撮影を終了させる。そして、カメラ92が撮影したイベント画像データは、第1記憶部313aに保存(イベント録画)されるように構成される。
【0098】
(蓋展開工程:S11)
次に、FIMSオープナによるポッド20の蓋を展開する工程が実施される。装置コントローラ210は、監視コントローラ310にFIMSオープナによるポッド20の蓋開動作終了イベントを示すイベント通知を送信する。監視コントローラ310は、この終了イベント通知を受けると、カメラ93により撮影させる。なお、装置コントローラ210が、監視コントローラ310にFIMSオープンイベントを示すイベント通知を送信し、他のカメラのように動画を撮影させるようにしてもよい。
【0099】
(ウエハチャージ工程:S12)
図示しない外部コンピュータ等からウエハWの移載要求を受付けると、装置コントローラ210は、監視コントローラ310にウエハチャージ開始イベントを示すイベント通知を送信する。監視コントローラ310は、このイベント通知を受けると、カメラ94(カメラ番号4)またはカメラ95(カメラ番号5)による撮影を開始させるとともにイベント録画情報リストが作成される。
【0100】
カメラ94またはカメラ95は、移載ポート42の載置部のポッド20とボート58との間で、ウエハWが搬送される様子を撮影する。
【0101】
ウエハWがボート58に装填されると、装置コントローラ210は、監視コントローラ310にウエハチャージ終了イベントを示すイベント通知を送信する。監視コントローラ310は、このイベント通知を受けると、カメラ94またはカメラ95による撮影を終了させる。
【0102】
そして、カメラ94またはカメラ95が撮影したイベント画像データは、第1記憶部313aに保存(イベント録画)されるように構成される。
【0103】
(ボートロード工程:S13)
図示しない操作部等からプロセスレシピを実行する指示要求を受付けると、装置コントローラ210は、監視コントローラ310にボートロード開始イベントを示すイベント通知を送信する。監視コントローラ310は、このイベント通知を受けると、カメラ94またはカメラ95による撮影を開始させる。
【0104】
カメラ94またはカメラ95は、搬送室16と処理炉8との間で、ボート58が昇降される様子を撮影する。なお、ボート58が昇降される様子を撮影するカメラとポッド20とボート58との間のウエハWの移載を撮影するカメラを個別に設けるようにしてもよい。
【0105】
ボート58が処理炉8に搬入されると、装置コントローラ210は、監視コントローラ310にボートロード終了イベントを示すイベント通知を送信する。監視コントローラ310は、このイベント通知を受けると、カメラ94またはカメラ95による撮影を終了させる。そして、カメラ94またはカメラ95が撮影したイベント画像データは、第1記憶部313aに保存(イベント録画)されるように構成される。
【0106】
(成膜工程:S14)
次に、プロセスレシピが実行されてウエハWに成膜処理が行われる。この工程では、監視コントローラ310は、全てのカメラ91〜95の動作を停止させている。なお、操作部PC400で、これまでに終了した搬送イベント(キャリアロード工程、蓋展開工程、ウエハチャージ工程、ボートロード工程)で取得した画像データ(動画または静止画)を操作部PC400等の操作画面に表示させて動作確認を行うことができる。
【0107】
具体的には、図16に示すように、操作部PC400の操作画面にはイベント録画情報リスト405が表示される。イベント録画情報リスト405には、イベント発生日時、イベント内容等のイベント情報が表示される。そして、イベント録画情報リスト405に記載されているイベント情報を選択すると各イベントが頭出しされ、各イベントの開始から終了までの動画を再生することができる。また、複数のバッチが記憶されている場合には、操作画面で所定のボタンを押下し、同じイベントで異なるバッチ間の比較表示をすることができる。
【0108】
これにより、正常動作を確認し、搬送エラーは発生しないが、同じ搬送イベントでイベントの開始から終了するまでの時間の差異を突き止めることができ、搬送エラーが発生しないように予め対策を施すことができる。なお、正常動作確認は、基板処理工程が終了後に行っても構わない。
【0109】
(ボートアンロード工程:S15)
プロセスレシピのボートアンロード工程に移行するタイミングで、装置コントローラ210は、監視コントローラ310にボートアンロード開始イベントを示すイベント通知を送信する。監視コントローラ310は、このイベント通知を受けると、カメラ94またはカメラ95による撮影を開始させる。
【0110】
カメラ94またはカメラ95は、搬送室16と処理炉8との間で、ボート58が下降される様子を撮影する。
【0111】
ボート58が搬送室16へ下降されると、装置コントローラ210は、監視コントローラ310にボートアンロード終了イベントを示すイベント通知を送信する。監視コントローラ310は、このイベント通知を受けると、カメラ94またはカメラ95による撮影を終了させる。そして、カメラ94またはカメラ95が撮影したイベント画像データは、第1記憶部313aに保存(イベント録画)されるように構成される。
【0112】
(ウエハディスチャージ工程:S16)
装置コントローラ210は、監視コントローラ310にウエハディスチャージ開始イベントを示すイベント通知を送信する。監視コントローラ310は、このイベント通知を受けると、カメラ94またはカメラ95による撮影を開始させる。
【0113】
カメラ94またはカメラ95は、移載ポート42の載置部のポッド20とボート58との間で、ウエハWが搬送される様子を撮影する。移載ポート42上のポッド20とボート58との間でウエハWの搬送中に、搬送エラーが発生すると、搬送エラー発生時の前後の数十秒間、例えば搬送エラー発生時の前後20秒間のアラーム画像データが、監視コントローラ310の第2記憶部313bに保存(アラーム録画)される。
【0114】
また、装置コントローラ210から搬送エラー発生時に通知されるアラーム通知には、搬送イベントの終了を示す通知も含まれる。但し、この通知は、搬送イベントで異常が発生したことを示すイベント異常終了通知である。なお、このイベント異常終了通知は、本実施形態において、アラーム通知に含まれる情報である。一方、装置コントローラ210が、該イベント異常終了通知とアラーム通知を別々に監視コントローラ310および操作部PC400に通知するように構成してもよく、特に通知方法は限定されない。本実施形態では、ウエハディスチャージ工程(S16)において、イベント開始通知からイベント異常終了通知(つまり搬送エラー発生時)までの画像データがイベント画像データとして、監視コントローラ310の第1記憶部313aにファイル化して保存される。
【0115】
なお、監視コントローラ310は、蓋展開工程(S11)後、ウエハW搬送後(上述のウエハチャージ工程(S12)後)またはボート58下降後(上述のボートアンロード工程(S15)後)に静止画を取得するように構成されている。このとき、監視コントローラ310は、イベント画像データよりも低圧縮で高精細(MJPEG形式)の静止画をカメラ91〜95に撮影させ、ファイル化して第2記憶部313bに保存するようにしてもよい。
【0116】
ここで、搬送エラーが発生してから異常解析するまでのシーケンスについて図17を用いて詳細に説明する。なお、ウエハWを搬送するポッド搬送装置40、基板移載機86、ボート58等の搬送手段には、ウエハWの搬送時に発生する搬送エラーを検出する検出手段としてのセンサがそれぞれ取り付けられ、装置コントローラ210は、イベントデータを取得している。
【0117】
監視コントローラ310は、搬送エラー発生時に過去に数十秒遡ったアラーム画像データを録画できるように各カメラ91〜95から取得したアラーム画像データを第2メモリ312bに保持している。そして、不図示のセンサにより搬送エラーを検出すると、装置コントローラ210は、アラームデータを取得し、これらの搬送手段を停止させるよう構成されている。
【0118】
そして、装置コントローラ210は監視コントローラ310にエラー情報をアラーム通知する(S100)。エラー情報には、搬送エラーが発生した装置名、搬送エラーを示すアラームID、搬送エラーの発生時刻が少なくとも含まれる。ここで、装置名は、基板処理装置4を特定する情報(装置の名前データ)だけでなく、ロードポート22、ポッド搬送機構40、蓋開閉機構、基板移載機86、ボート58、回転機構80、ボートエレベータ82、カメラ91〜95等の基板処理装置4を構成する装置を特定する情報(名前データ)でもある。そして、監視コントローラ310は、アラーム通知を取得した後、搬送エラー発生時刻の前後の数十秒間分、例えば搬送エラー発生前後20秒間の低圧縮で高精細のMJPEG形式のアラーム画像データを第2記憶部313bに保存する(S101)。つまり、監視コントローラ310は、第2メモリ312bに保持されたアラーム画像データをファイル化して第2記憶部313bに保存(アラーム録画)するように構成されている。
【0119】
また、装置コントローラ210は監視コントローラ310と同じタイミングで例えば操作部PC400にエラー情報をアラーム通知する(S100)。そして、操作部PC400上に障害が発生した基板処理装置と同じ障害発生画面が表示される(S102)。そして、操作画面上でカメラ91〜95で記録した画像データを表示させる手段(例えば、図19で示すE−CAMボタン410等)が選択されると、監視コントローラ310は、アラームIDや搬送エラー発生時刻等のエラー情報からアラーム発生時の画像データ(イベント画像データ)を含むアラーム情報画面を操作部PC400に表示させる。ここで、操作部PC400は、リモートで監視コントローラ310へ接続されているので、該アラーム情報画面を操作部PC400の表示部に表示することができる(S103)。本実施形態では、操作部PC400の操作画面(アラーム情報画面)には、カメラ91〜95で記録したイベント画像データ又は/及びアラーム画像データを表示させるためのボタンが設けられるように構成されている。つまり、監視コントローラ310が、操作部PC400の操作画面にカメラ91〜95で記録したイベント画像データ又は/及びアラーム画像データを表示させることにより、動画解析、比較動画解析、エラー情報分析等の搬送エラー録画解析をすることができる(S104)。そして、操作部PC400において、クリーンルームの作業者等に復旧指示(S105)がなされることにより搬送エラーが発生した装置の復旧作業が行われる。
【0120】
以下、図18に操作部PC400の操作画面上にリモートで表示させるために監視コントローラ310が実行する画面表示フローを示す。
【0121】
監視コントローラ310は、例えば、操作部PC400の操作画面上で搬送エラーに関する所定アラームを参照するボタン(例えば、図19で示すE−CAMボタン410等)が押下されてから、アラーム録画参照通知を取得すると、アラーム録画情報リストを検索する(ステップS20)。そして、検索した結果、対象アラーム画像データのアラーム録画ファイルの保存先ディレクトリ、搬送エラー発生時のイベント情報等の対象エラー情報を取得して、検索結果を保存する(ステップS21)。ここで、対象エラー情報におけるイベント情報とは、キャリアロード工程、蓋展開工程、ウエハチャージ工程、ボートロード工程、成膜工程、ボートアンロード工程、ウエハディスチャージ工程、キャリアアンロード工程のいずれかのタイミングであることを示すものである。更に、本実施形態では、監視コントローラ310とカメラ91〜95のクロックが同期しているため、イベント情報の開始時や搬送エラー発生時にカメラ91〜95により録画した画像データの開始再生タイミングを一致させることができる(少なくとも微調整できる)。詳細は後述する。
【0122】
そして、操作部PC400の操作画面上にて2画面表示ボタンが押下されると、監視コントローラ310は、2画面切替処理時(ステップS22)に、対象エラー情報を参照して、第2記憶部313bに保存されているアラーム画像データを右側画面に表示する(ステップS23)。そして、対象エラー情報の搬送エラー発生時のイベント情報を取得して(ステップS24)、イベント録画情報リストからイベント情報が一致するイベント録画ファイルの保存先ディレクトリとイベント情報の検索結果を取得し、イベント録画候補情報へ保存する(ステップS25)。
【0123】
そして、イベント録画候補情報に、イベント情報が一致する表示候補が無い場合は(ステップS26においてNO)、搬送エラー発生時のタイムスタンプと同じ日付のイベント画像データを保存したイベント録画情報リストを操作部PC400の操作画面の左側画面に表示させる(ステップS27)。
【0124】
そして、イベント録画候補情報に、イベント情報が一致する表示候補がある場合は(ステップS26においてYES)、搬送エラー発生時と同一のイベント情報をもつイベント画像データを保存したイベント録画情報リストをイベント録画候補情報から取得して左側画面に表示させる(ステップS28)。
【0125】
そして、左側画面のリスト表示から同時再生するイベント録画ファイルが選択されると、選択されたイベント録画ファイルを参照して、第2記憶部313aに保存されているイベント画像データを表示する(ステップS29)。つまり、監視コントローラ310は、イベント画像データとアラーム画像データの両方を同じ画面に表示させる。そして、2画面同時再生ボタンが押下されると、左右画面でアラーム画像データとイベント画像データがシンクロ再生(同時再生)される(ステップS30)。
【0126】
なお、上述した2画面表示及び同時再生は、アラーム画像データとイベント画像データに限らず、アラーム画像データ同士やイベント画像データ同士を同じ画面に2画面表示させて同時再生させ、搬送エラーの障害解析に役立てることができる。
【0127】
具体的には、監視コントローラ310にリモートで接続して操作画面を表示している操作部PC400はアラーム通知を取得すると、図19に示されているように操作画面に、装置コントローラ210の操作部と同様の障害情報画面を表示する。図19の障害情報画面には、装置の概観を示す概観表示部407と、搬送エラー等の障害情報を表示する障害情報表示部409が含まれている。そして、概観表示部407と障害情報表示部409の表示内容により、搬送エラーが発生している装置や、搬送エラーの箇所や、搬送エラーの内容等を把握することができるように構成されている。また、図19に示す障害情報画面には、カメラ91〜95が撮影した画像データを表示させる手段(E−CAMボタン)410が含まれている。そして、操作部PC400の操作画面において、例えば図14のE−CAMボタン410が押下されると、図20に示されているような搬送エラーが発生した箇所を撮影していたカメラによる搬送エラーのライブ映像画面(イベント画像データ)が表示される。このライブ映像画面は、アラーム通知とともに録画終了される際の静止画である。すなわち、例えばウエハディスチャージ工程におけるウエハWの搬送残りが検出された場合、搬送残りが発生したときの状況を確認することができる。また、図20に示されている操作画面において録画映像を巻き戻したり、再生ボタンにより録画映像を再生したり、コマ送りボタンによりコマ送り再生することができる。
【0128】
また、図20には、アラームIDを検索するための検索セル406とアラームリスト408を表示する。アラームリスト408には、搬送エラーの発生日時とアラームIDが少なくとも含まれている。アラームリスト408からアラームIDや搬送エラー発生時刻が選択されると、選択されたアラームID、およびタイムスタンプから対応するカメラの第2記憶部313bが検索され、ライブ映像画面(イベント画像データ)より高精細な搬送エラー発生時の前後数十秒間の動画(アラーム画像データ)が表示され、高精細なアラーム画像データを参照してアラーム事由発生状況の詳細を確認することができる。
【0129】
また、図20に示されているように、搬送エラー発生画面には、比較参照ボタンである2画面表示Aボタン411と2画面表示Bボタン412が設けられている。そして、2画面表示Aボタン411が押下されることにより、図21に示されているように比較参照用の2画面が表示されるよう構成される。すなわち、操作画面に低圧縮で高精細なアラーム画像データのファイルを選択可能にリストが表示され、所望のファイルを選択して同日の他の低圧縮で高精細なアラーム画像データと比較表示することができる。なお、同じアラームIDであるが異なる日時に発生した搬送エラーのアラーム画像データと比較表示することもできる。これにより、搬送エラーの発生要因が同一の要因であったのか、別の要因であったのか等を分析可能となる。
【0130】
また、図20に示されているような搬送エラー発生画面において、2画面表示Bボタン412が押下されることにより、図22に示されているように、同じ搬送イベントにおける正常動作と、搬送エラーが発生したときの異常動作を2画面で比較表示することができる。
【0131】
具体的には、右側の搬送エラー発生画面と同時再生したいイベント画像データをイベント録画ファイルのイベントラベル表示を参考に選択する。そして、2画面同時再生ボタン414を押下して、左側の正常時の高圧縮のイベント画像データの動画と、右側の低圧縮で高精細のアラーム画像データの動画をシンクロ再生する。同時シンクロ再生させて、映像がそろっていない場合は、図示の動画操作ボタンを利用して調整する。つまり、搬送エラー発生時の異常動作を正常動作と比較表示することで、正常動作とどこが異なっていたのか等を分析可能となる。
【0132】
また、図20に示す搬送エラー発生画面において、対象のアラーム動画を表示されているアラームリスト408から選択し、2画面表示Bボタン412を押下する。そして、選択したアラーム動画の再生開始タイムスタンプ(アラーム発生時刻のタイムスタンプ−20秒)と対象のカメラ名からデータベース311aを検索して第1画像データ(イベント画像データ)のファイルを第1記憶部313aから取出す。左側に第1画像データを再生開始タイムスタンプで自動頭出しして表示する。オペレータは左側の第1画像データを操作して搬送エラーが発生するまでの動画を確認することができる。また、イベントラベル表示を参考に搬送エラーが発生するまでの動画を選んで再生することができる。
【0133】
これにより、イベント画像データとして、搬送エラーが発生するまでの動画とアラーム画像データとして、搬送エラーの発生前後(アラーム発生前20秒、アラーム発生後20秒の合計40秒)の動画を画面上に表示させることが可能である。
【0134】
本実施形態によれば、H.264形式の動画であるイベント画像データにより保存されるので正常動作であればデータ圧縮される。一方、フレーム間で異なる部分、具体的には、正常な搬送動作では動かない部分であっても搬送エラーが発生する直前に動く部分があれば逃さずに録画することができ、搬送エラーまでに至るイベント画像データの推移を確認することができる。
【0135】
また、カメラによる撮影した動画や静止画を表示する際、撮影対象の搬送手段だけでなく、周囲の環境も一緒に撮影することになる。これにより搬送手段が直接な起因ではなく撮影対象の搬送手段の周囲の部品に起因するエラーであっても、カメラによる撮影の範囲であれば(イベント画像データもしくはアラーム画像データに表示されていれば)画像を解析することにより、エラー要因を突き止めることができる。
【0136】
そして、装置担当者は、操作部の表示部に表示される動画や静止画を何度も確認し、アラーム録画解析を行うことにより、搬送エラーが発生した状況を把握して復旧方法を判断し、電話、メール等により復旧指示をすることができる。そのあと、オペレータは装置復旧作業を指示に従い実施する。なお、操作部は、基板処理装置4が配置された工場から離間した位置に配置されてもよい。この場合、装置担当者は、装置復旧に向けた対応をクリーンルームにいるオペレータや装置エンジニアへ指示し、オペレータや装置エンジニアは装置復旧作業を指示に従い実施する。
【0137】
(キャリアアンロード工程:S17)
そして、ウエハディスチャージ工程における復旧処理により、エラーが解除されると次のキャリアアンロード工程が通常通りキャリアロードと反対の動作が開始される。監視コントローラ310は、開始イベントを受信すると、イベント画像データの録画をカメラ91に開始させ、終了イベントを受信するとイベント画像データの録画をカメラ91に終了させる。監視コントローラ310は、キャリアアンロード工程の間、カメラ91で取得したイベント画像データを第1記憶部313aに記憶するとともにイベント録画情報リストを更新するように構成されている。
【0138】
本実施形態によれば、以下の(a)〜(d)のうち、少なくとも一つ以上の効果を奏する。
【0139】
(a)本実施形態によれば、基板搬送中の画像データを取得しつつ搬送エラー発生時に高精細な画像データを基板搬送中の画像データとは個別に取得し、該搬送エラーの解析時にそれぞれの画像データを利用することができ、搬送エラーの解析(障害解析)を行うことができる。
【0140】
(b)本実施形態において、搬送ロボット等の各搬送機構に設けられたセンサからウエハ搬送開始タイミング等を示すイベント毎に装置コントローラ210だけでなく操作部にイベント信号を通知するように構成される。これにより、操作部は、イベントの終了タイミングでカメラ設置個所に該当するイベント情報であるかを判定し、記憶部内に格納されているイベント録画ファイルのイベント発生時刻で頭出しを行い、正常な動作を確認することができ、また、複数のイベント情報の動画(イベント画像データ)を同時に比較表示することができる。
【0141】
(c)本実施形態において、監視コントローラ310のイベント録画情報リストから該当するイベント情報を選択すると、イベント発生時刻からカメラで取得された動画(イベント画像データ)が再生されるよう構成されている。このように、イベント毎にカメラ91〜95を設ける本構成によれば、装置が稼働している(もしくはウエハWを搬送する各搬送手段が動いている)期間のみ録画することで、常時録画する場合と比較すると、カメラで録画する期間を長くすることができる。
【0142】
(d)本実施形態において、イベント録画情報ファイルとアラーム録画ファイルをそれぞれ選択することにより、同じ操作画面に表示することができるので、搬送エラー(障害)が発生した要因を追求することができる。
【0143】
なお、本開示は以上の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更が可能であることはいうまでもない。
【0144】
(他の実施形態)
例えば、上述の実施形態によれば、データ取得周期は、1秒間に30フレームであり、第2画像データはそのまま第2記憶部313bに保存され、第1画像データは、フレーム前後の画像データを比較してデータの変化の有無により画像データを圧縮して第1記憶部313aに保存していた。しかしながら、この実施形態に限定することはない。
【0145】
(実施例1)
データ取得周期は、上述の実施形態と同様に1秒間30フレームであるが、第1画像データと第2画像データは解像度を異ならせる。例えば、第1画像データは、1600×900ピクセルとし、第2画像データは、3840×2160(4K)ピクセルとしても本実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第1画像データと第2画像データを同時に送信するマルチストリーム機能を使用することで、一つのカメラで実装することができる。
【0146】
(実施例2)
第1画像データと第2画像データでデータ取得周期を変更することができ、例えば、第1画像データは、1秒間に3フレームとし、第2画像データは、本実施形態と同様に1秒間30フレームとすることができる。これにより、第1画像データは第2画像データの10分の1のデータ量にすることができる。また、第2画像データの取り扱いは本実施形態と同じであるため、本実施形態と同様な効果を奏することができる。
【0147】
本開示のおける実施形態においては、ウエハを処理する場合について説明したが、本開示は液晶パネルのガラス基板や磁気ディスクや光ディスク等の基板を処理する基板処理装置全般に適用することができる。
【符号の説明】
【0148】
4 処理装置(基板処理装置)
91,92,93,94,95 カメラ(記録手段)
210 装置コントローラ
310 監視コントローラ
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