【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の第1の態様によれば、以下の成分:
(A)以下からなるある量の研磨粒子
(A1)各複合粒子が以下を含む、ある量の複合粒子
(i)1種または複数のエチレン性不飽和モノマーの付加ポリマーを含む、連続マトリックス相
および前記連続マトリックス相中に分散した、
(ii)無機固体材料からなる複数の分割された相領域からそれぞれなる、1つまたは複数の分散相
(A2)任意に、複合粒子(A1)ではない、ある量のさらなる研磨粒子
(B)1種または複数の錯化剤
(C)1種または複数の腐食防止剤
(D)1種または複数の酸化剤
(E)水
を含む化学機械研磨(CMP)組成物が提供される。
【0021】
成分(A):研磨粒子
成分(A)は、本発明による対応する化学機械研磨(CMP)組成物中に存在する研磨粒子全体に相当する。したがって、本発明によるCMP組成物の成分(A)は、上で規定したある量の複合粒子(A1)、および任意に複合粒子(A1)ではない、ある量のさらなる研磨粒子(A2)からなる。
【0022】
本発明の第1の好ましい実施形態では、成分(A)は、好ましくは以下に記載する成分(A1)の好ましい実施形態の1つの形で、上で規定したある量の複合粒子(A1)からなる。
【0023】
本発明の第2の好ましい実施形態では、成分(A)は、好ましくは以下に記載する成分(A1)の好ましい実施形態の1つの形で、上で規定したある量の複合粒子(A1)、および複合粒子(A1)ではない、ある量のさらなる研磨粒子(A2)からなる。
【0024】
成分(A1):複合粒子
成分(A1)として、本発明によるCMP組成物は、各複合粒子が以下を含む、ある量の複合粒子を含む:
(i)1種または複数のエチレン性不飽和モノマーの付加ポリマーを含む、連続マトリックス相
および前記連続マトリックス相中に分散した、
(ii)無機固体材料からなる複数の分割された相領域からそれぞれなる、1つまたは複数の分散相。
【0025】
「前記連続マトリックス相中に分散した」分散相は、1種または複数の無機固体材料の複数の不連続な領域を指し、前記不連続な領域が前記マトリックス相により完全に覆われるように、不連続な領域は前記連続マトリックス相のバルクの中で分散(すなわち空間的に分布)している。他の分散相から独立した1つまたは複数の分散相(ii)のそれぞれは、無機固体材料からなる複数の分割された相領域からなる。
【0026】
特定の理論に束縛されるつもりはないが、上で規定した複合粒子(A1)は、複数の絡み合った付加ポリマー鎖からなる、ポリマーマトリックスと称される付加ポリマーコイル、および微細に分割された無機固体の粒子を含むと想定される。
【0027】
上で規定した複合粒子において、以下は除かれない:
− 前記連続マトリックス相(i)のバルクの中で、上で規定した付加ポリマー以外の有機固体材料からなる複数の分割された相領域からそれぞれなる、1つもしくは複数の分散相が分散すること、
および/または
− 前記連続マトリックス相の外部表面において、1つもしくは複数の相が、連続もしくは分散した形で配置され、前記相は無機固体材料もしくは上で規定した付加ポリマー以外の有機固体材料からなること。
【0028】
より具体的には、前記連続マトリックス相(i)の外部表面において、連続相または複数の分割された相領域が配置され、前記連続相または前記複数の分割された相領域は、マトリックス中に分散した分散相(ii)の1つに存在する無機固体材料からなるということは、除外されない。
【0029】
本発明の好ましい実施形態では、本発明によるCMP組成物は成分(A1)として、ある量の複合粒子を含み、各複合粒子は、以下からなる:
(i)エチレン性不飽和モノマーの付加ポリマーを含む、連続マトリックス相
および前記連続マトリックス相中に分散した、
(ii)無機固体材料からなる複数の分割された相領域からそれぞれなる、1つまたは複数の分散相。
【0030】
本発明の別の好ましい実施形態では、本発明によるCMP組成物は、成分(A1)として、ある量の複合粒子を含み、各複合粒子は、以下を含む、またはからなる:
(i)エチレン性不飽和モノマーの付加ポリマーを含む、連続マトリックス相
および前記連続マトリックス相中に分散した、
(ii)無機固体材料からなる複数の分割された相領域からそれぞれなる、分散相。
【0031】
好ましくは、上で規定した複合粒子において、前記分散相(ii)の1つ、1つ超または全ての分割された相領域は、複合粒子(A1)の平均粒径の25%以下、好ましくは15%以下である最長寸法を有する。
【0032】
前記分割された相領域の寸法は、一般に上で規定した複合粒子の製造に使用される無機固体材料の粒子寸法に相当する(下記参照)。
【0033】
成分(A1)の総量は、各場合に本発明のそれぞれのCMP組成物の総質量に対して、好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。成分(A1)の総量は、各場合に本発明のそれぞれのCMP組成物の総質量に対して、好ましくは少なくとも0.05質量%、より好ましくは少なくとも0.1質量%である。
【0034】
本発明に基づく適当なエチレン性不飽和モノマーは、水性媒体中においてフリーラジカル機構により容易に重合し、普通は水性乳化重合方法において使用される全てのものを含む。それらには、エチレン;スチレン、α−メチルスチレン、o−クロロスチレンおよびビニルトルエンなどの芳香族ビニルモノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n−酪酸ビニル、ラウリン酸ビニルおよびステアリン酸ビニルなどの、ビニルアルコールとC
1〜C
18モノカルボン酸とのエステル;特にアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸などの好ましくはC
3〜C
6α,β−モノエチレン性不飽和モノ−およびジカルボン酸と、一般にC
1〜C
12、好ましくはC
1〜C
8、特にC
1〜C
4アルカノールとのエステル、例えば、特に(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチルおよび(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル(ここで、用語「(メタ)アクリル」は「メタクリル」および「アクリル」を含む);マレイン酸ジメチルおよびマレイン酸ジ−n−ブチル、アクリロニトリルなどのα,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸のニトリル、ならびに1,3−ブタジエンおよびイソプレンなどの共役C
4〜5ジエンが含まれる。一般的な基準として、これらのモノマーは25℃大気圧(1絶対気圧)において水中で中程度から低度の溶解性しかなく、すなわち脱イオン水100g当り≦10g、好ましくは≦5g、より好ましくは≦2gである。さらに詳細は、US2012/0016060、特に段落[0041]〜[0061]を参照されたい。
【0035】
より好ましくは、前記複合粒子(A1)の連続マトリックス相(i)は、(メタ)アクリルポリマーからなる群から選択される付加ポリマーを含む、またはからなる。ここで、用語「(メタ)アクリル」は、「メタクリル」および「アクリル」を含む。
【0036】
好ましくは、前記分散相(ii)の1つ、1つ超または全ての分割された相領域は、二酸化ケイ素、フィロケイ酸塩、酸化アルミニウム、ヒドロキシアルミニウムオキシド、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、オルトリン酸カルシウム、オルトリン酸マグネシウム、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、酸化鉄(II/III)、酸化スズ(IV)、酸化セリウム(IV)、酸化イットリウム(III)、二酸化チタン、ヒドロキシルアパタイト、酸化亜鉛、および硫化亜鉛からなる群から選択される、無機固体材料からなる。
【0037】
さらに好ましくは前記分散相(ii)の1つは、二酸化ケイ素(シリカ)からなる。特に好ましくは、前記連続マトリックス相中に分散したただ1つの分散相が存在し、前記分散相は二酸化ケイ素からなる複数の分割された相領域からなる。
【0038】
特に好ましくは、複合粒子(A1)の量において、各複合粒子は以下を含む:
(i)(メタ)アクリルポリマーの群から選択される付加ポリマーを含む、連続マトリックス相
および前記連続マトリックス相中に分散した、
(ii)二酸化ケイ素からなる複数の分割された相領域からなる1つの分散相。
【0039】
好ましくは、前記複合粒子(A1)は、10nm超から1000nm以下、好ましくは25〜500nm、より好ましくは50〜250nmの範囲の平均粒径を有し、および/または、前記分散相(ii)の1つ、1つ超もしくは全ての分割された相領域は、それぞれが、0nm超、好ましくは5nm以上であるが、100nm以下、好ましくは50nm以下の平均粒径を有する無機固体材料の粒子からなる。
【0040】
さらに好ましくは、前記複合粒子(A1)は、10nm超から1000nm以下、好ましくは25〜500nm、より好ましくは50〜250nmの範囲の平均粒径を有し、前記分散相(ii)の1つ、1つ超または全ての分割された相領域は、それぞれが、0nm超、好ましくは5nm以上であるが、100nm以下、好ましくは50nm以下の平均粒径を有する無機固体材料の粒子からなる。
【0041】
上で規定した複合粒子(A1)、および複合粒子(A1)において前記分散相(ii)の分割された相領域を形成する無機固体材料の粒子の平均粒径は、Malvern Instruments Ltd.製High Performance Particle Sizer(HPPS)を使用して、DIN ISO 13321に従って、光子相関分光方法(準弾性光散乱QELSとも称される)により決定する。
【0042】
好ましくは、本発明による化学機械研磨組成物は、ある量の複合粒子(A1)を含む水性分散液を製造するプロセスにより得ることができる、ある量の複合粒子(A1)を含み、
前記プロセスにおいて、1種または複数のエチレン性不飽和モノマーは、水性媒体中に分散して分布し、無機固体材料からなる複数の分割された相領域からそれぞれなる1つまたは複数の分散相、および1種または複数の分散剤の存在下で、1種または複数のフリーラジカル重合開始剤を用いてフリーラジカル水性乳化重合方法により重合し、前記プロセスは、以下の工程を含む:
a)以下を用意する工程
− 水性媒体
− ある量の1種または複数のエチレン性不飽和モノマー
− 100nm以下の平均粒径を有し、総量が、前記1種または複数のエチレン性不飽和モノマーの総量の、質量で1%〜1000%である、1種または複数の無機固体材料
および
− 総量が、前記1種または複数のエチレン性不飽和モノマーの総量の、質量で0.05%〜2%である、1種または複数のフリーラジカル重合開始剤
b)無機固体材料からなる複数の分割された相領域からそれぞれなる、1つまたは複数の分散相を含む水性分散液を形成するために、最初の投入において、前記1種または複数の無機固体材料の少なくとも一部を、前記水性媒体中に入れる工程
c)続いて、工程b)において形成された水性分散液に、
− 総量が質量で0.01%〜20%の、工程a)において用意された前記1種または複数のエチレン性不飽和モノマー、および
− 総量が質量で60%以上の、工程a)において用意された前記1種または複数のフリーラジカル重合開始剤
を計量供給し、重合混合物を形成するために、計量供給して入れた1種または複数のエチレン性不飽和モノマーを重合条件下で、質量で80%以上のモノマー転化率まで重合(重合段階1)する工程
d)続いて、重合条件下で、工程c)において形成された重合混合物に、
− 前記1種または複数の無機固体材料の任意の残部
− 前記1種または複数のフリーラジカル重合開始剤の任意の残部、および
− 前記1種または複数のエチレン性不飽和モノマーの残部
を計量供給し、工程d)において計量供給したモノマーの質量で90%以上のモノマー転化率まで重合(重合段階2)を実施する工程。
【0043】
本発明によるCMP組成物に適した複合粒子(上で規定した)の水性分散液を製造するプロセスは、US2012/0016060に記載されている。
【0044】
より具体的には、複合粒子の前記水性分散液は、US2012/0016060によるプロセスにより得ることができ、前記プロセスは、
少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーを水性媒体中に分散して分布させる工程、ならびに
少なくとも1つの分散して分布する微細に分割された無機固体、および少なくとも1種の分散剤の存在下で、少なくとも1種のモノマーをフリーラジカル水性乳化重合により、少なくとも1種のフリーラジカル重合開始剤と重合する工程を含み、
a)エチレン性不飽和モノマーの総量に対して、質量で1%〜1000%、好ましくは≧50%である、平均粒径≦100nmを有する無機固体、および質量で0.05%〜2%のフリーラジカル重合開始剤を総量で用い、
b)固体の水性分散液の形態の水性媒体重合形態への最初の投入に、無機固体の少なくとも一部が含まれ、その後
最初の投入の後、重合は、
c)総量が質量で≧0.01%で≦20%、好ましくは≧1%で≦15%の総モノマー量、および総量が質量で≧60%、好ましくは≧70%のフリーラジカル重合開始剤を、最初の投入後に結果として得られた固体の水性分散液に計量供給し、重合条件下で、質量で≧80%のモノマー転化率まで、計量供給して入れた少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーを重合する工程、
ならびにその後、
d)無機固体の任意の残部、フリーラジカル重合開始剤の任意の残部、および少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーの残部を、重合条件下で結果として得られた重合混合物に計量供給し、質量で≧90%のモノマー転化率まで重合を実施する工程を含む。
【0045】
特に、複合粒子の前記水性分散液は、
少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーを、水性媒体中に分散して分布させる工程;ならびに
少なくとも1つの分散して分布する微細に分割された無機固体、および少なくとも1種の分散剤の存在下で、少なくとも1種のモノマーをフリーラジカル水性乳化重合により、少なくとも1種のフリーラジカル重合開始剤と重合する工程を含むプロセスにより得ることができ、
a)エチレン性不飽和モノマーの総量に対して、質量で1%〜1000%、好ましくは≧50%の、平均粒径≦100nmを有する無機固体、および質量で0.05%〜2%のフリーラジカル重合開始剤を用い、
b)固体の水分散液の形態の水性媒体重合形態への最初の投入に、無機固体の少なくとも一部が含まれ、その後
最初の投入の後、重合は、
c)総量が質量で≧0.01%で≧20%、好ましくは≧1%で≦15%の総モノマー量を計量供給し、一方、総量が質量で≧60%、好ましくは≧70%のフリーラジカル重合開始剤を、最初の投入後に結果として得られた固体の水性分散液に計量供給し、重合条件下で、質量で≧80%のモノマー転化率まで、計量供給して入れた少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーを重合する工程、
ならびにその後、
d)無機固体の任意の残部、フリーラジカル重合開始剤の任意の残部、および少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーの残部を、重合条件下で結果として得られた重合混合物に計量供給し、質量で≦90%のモノマー転化率まで重合を実施する工程を含み、
重合工程c)およびd)により、質量で≦0.5%の凝固分を有する水性複合粒子分散系を発生する。
【0046】
水性媒体は好ましくは脱イオン水である。
【0047】
好ましくは、無機固体材料は、熱分解法(ヒュームド)シリカ、コロイダルシリカ、およびフィロケイ酸塩からなる群から選択される少なくとも1種を含む。これらの微細に分割された無機固体材料は、粉末の形またはゾルと称される固体の安定な水性分散液の形で、上で規定したプロセスにおいて使用される。さらに詳細は、US2012/0016060、特に段落[0018]〜[0026]を参照されたい。
【0048】
上で規定したプロセスにおいて使用される無機固体材料は、0nm超、好ましくは5nm以上で、100nm以下、好ましくは90nm以下、より好ましくは80nm以下、さらに好ましくは70nm以下、より好ましくは60nm以下、特に好ましくは50nm以下の平均粒径を有し、平均粒径は、Malvern Instruments Ltd.製High Performance Particle Sizer(HPPS)を使用して、DIN ISO 13321に従って、光子相関分光方法(準弾性光散乱QELSとも称される)により決定する。さらに詳細は、US2012/0016060、特に段落[0021]および[0077]を参照されたい。
【0049】
好ましくは、工程b)において、無機固体材料の総量は最初の投入に含まれる。
【0050】
フリーラジカル重合の開始に適した、すなわちフリーラジカル水性乳化重合を引き起こすことができる、任意の開始剤を使用することができる。典型的には開始剤は、過酸化物およびアゾ化合物からなる群から選択される。さらに詳細は、US2012/0016060、特に段落[0062]〜[0063]を参照されたい。
【0051】
本明細書で用語「重合条件」は、フリーラジカル的に開始する水性乳化重合が十分な重合速度で進行する、温度および圧力を指す。重合条件は、使用されるフリーラジカル開始剤に、より特別に依存する。有利には、フリーラジカル開始剤の性質および量、重合温度、ならびに重合圧力は、使用されるフリーラジカル開始剤が十分な半減期を有し、同時に重合反応を開始および維持するのに十分な開始フリーラジカルを常に提供するように、プロセスの工程c)およびd)において選択される。プロセスの工程c)およびd)において、微細に分割された無機材料の存在下における、フリーラジカル水性乳化重合反応のための適当な反応温度は、0℃〜170℃の全ての範囲を包含する。一般に、使用される温度は50℃〜120℃、しばしば60℃〜110℃、多くの場合70℃〜100℃である。フリーラジカル水性乳化重合は、大気圧未満、大気圧と同等または大気圧を超える圧力で行うことができる。さらに詳細は、US2012/0016060、特に段落[0070]を参照されたい。
【0052】
モノマー転化率の決定は、基本的には熟練作業者によく知られ、例えば反応熱量決定(reaction−calorimetry determination)により行われる。さらに詳細は、US2012/0016060、特に段落[0067]を参照されたい。
【0053】
上で記載したプロセス中に、前記分散剤は、微細に分割された無機固体粒子ばかりでなく、モノマー小滴および結果として得られた複合粒子が、水性重合媒体中に分散した分布を維持し、それゆえに生成した複合粒子の水性分散液の安定性を確実にする。適当な分散剤には、フリーラジカル水性乳化重合を行うのに通常使用される保護コロイド、および乳化剤が含まれる。好ましくは、分散剤は、アニオン乳化剤および非イオン性乳化剤からなる群から選択される少なくとも1種を含む。さらに詳細は、US2012/0016060、特に段落[0029]〜[0040]を参照されたい。
【0054】
上で規定したプロセスにより得ることができる水性複合粒子分散系は、通常質量で1%以上で70%以下、しばしば5%以上で65%以下、多くの場合10%以上で60%以下の全固形分を有する。
【0055】
上で規定したプロセスにより得ることができる複合粒子は、一般に>10nmで1000nm以下、しばしば≧25で≦500nm、多くの場合≧50で≦250nmの平均粒径を有し、平均粒径は、Malvern Instruments Ltd.製High Performance Particle Sizer(HPPS)を使用して、DIN ISO 13321に従って、光子相関分光方法(準弾性光散乱QELSとも称される)により決定する。さらに詳細は、US2012/0016060、特に段落[0077]を参照されたい。
【0056】
上で述べたプロセスのさらに詳細および好ましい実施形態は、US2012/0016060、特に段落[0027]、[0028]および[0064]〜[0075]が参照される。
【0057】
US2012/0016060に開示されているプロセスにより形成された複合粒子の水性分散液は、安定であり、各場合に水性複合粒子分散系の総質量に対して、一般に0.5質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、特に好ましくは0.05質量%以下の低い凝固分を有する。凝固分は、水性複合粒子分散系を、45μmの網目サイズを有するナイロンふるいを通してろ過することにより決定する。さらに詳細は、US2012/0016060、特に段落[0080]〜[0081]を参照されたい。
【0058】
こうした複合粒子の水性分散液を、CMP組成物の製造のために使用することについては、低い凝固分は有利であり、その理由は、複合粒子の低い凝固傾向によりCMP組成物の貯蔵寿命が増すためである。
【0059】
意外にも、上で規定した複合粒子(A1)を含む化学機械研磨組成物が、特にその好ましい実施形態において、上で規定した本発明の目的を達成できることを見出した。
【0060】
成分(A2):複合粒子(A1)ではないさらなる研磨粒子
本発明による化学機械研磨(CMP)組成物は、任意に、複合粒子(A1)ではない、ある量のさらなる研磨粒子を、成分(A2)として含む。成分(A2)は、本発明によるCMP組成物に存在する、上で規定した複合粒子(A1)ではない研磨粒子の全体に相当する。
【0061】
従来から使用されている任意の研磨粒子を、研磨粒子(A2)として使用してもよい。
【0062】
成分(A2)として、または成分(A2)において使用される粒子は、
− 好ましくは無機粒子、
− より好ましくは、金属もしくはメタロイドの酸化物および炭化物からなる群から選択される粒子、またはそれらの混合物もしくは複合物、
− 最も好ましくは、アルミナ、セリア、酸化銅、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化マグネシウム、シリカ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化スズ、チタニア、炭化チタン、酸化タングステン、酸化イットリウム、ジルコニア、ならびにそれらの混合物および複合物からなる群から選択される粒子、
− 特に好ましくは、アルミナ、セリア、シリカ、チタニア、ジルコニア、ならびにこれらの混合物および複合物からなる群から選択される粒子、
− 特にシリカ粒子、
− 例えばコロイダルシリカ粒子である。
【0063】
成分(A2)が有機粒子を含む場合、有機粒子としてポリマー粒子が好ましい。
【0064】
成分(A2)はまた、複合粒子(A1)ではない、例えば先行技術で開示されているコアシェル粒子のような複合粒子を含んでもよい。
【0065】
さらに、成分(A2)は、複合粒子(A1)ではない異なる種類の研磨粒子の混合物の形で存在してもよい。
【0066】
好ましくは、成分(A2)の粒子の平均粒径は、5〜500nmの範囲、より好ましくは10nm〜400nmの範囲、最も好ましくは20nm〜300nmの範囲、特に30nm〜160nmの範囲、例えば35nm〜135nmの範囲であり、各場合、Malvern Instruments,Ltd.製High Performance Particle Sizer(HPPS)またはHoriba LB550などの測定器を使用して、動的光散乱技法により測定される。
【0067】
成分(A2)の粒子は様々な形であることができる。そのために、成分(A2)の粒子は、1種または本質的に1種だけの形のタイプであってもよい。しかしながら、成分(A2)の粒子は、異なる形を有することも可能である。例えば、2種のタイプの異なる形をした粒子が存在してもよい。例えば、成分(A2)においてまたは成分(A2)として使用される粒子は、突起(protrusion)または刻み目(indentation)を備えたまたは備えない、立方体、面取りした輪郭の立方体、八面体、二十面体、繭(cocoon)、小塊(nodule)または球体の形を有することができる。好ましくは、それらは突起または刻み目の無いまたはごくわずかに備えた球形である。
【0068】
CMP組成物に存在し、上で規定した複合粒子(A1)ではない任意の研磨粒子は、成分(A2)に割り当てられるべきである。
【0069】
存在する場合には、成分(A2)の総量は、各場合に本発明のそれぞれのCMP組成物の総質量に対して、好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。成分(A2)の総量は、各場合に本発明のそれぞれのCMP組成物の総質量に対して、好ましくは少なくとも0.05質量%、より好ましくは少なくとも0.1質量%である。
【0070】
成分(B):錯化剤
本発明による化学機械研磨(CMP)組成物は、成分(B)として1種または複数の錯化剤を含む。成分(B)においてまたは成分(B)として使用される錯化剤は、ある金属イオンと可溶性錯体を形成する化合物であり、そのために前記金属イオンを不活性化し、その結果それらは他の元素またはイオンと正常に反応して沈殿物またはスケールを生成することができない。
【0071】
好ましくは、成分(B)の錯化剤または少なくとも1種の錯化剤は、有機酸および無機酸からなる群から選択される。
【0072】
有機酸の中で、アミノ酸およびカルボン酸が好ましい。好ましいアミノ酸は、グリシン、アルギニン、リジン、アラニン、ロイシン、バリン、ヒスチジン、システイン、セリンおよびプロリンからなる群から選択される。好ましいカルボン酸は、ギ酸、酢酸、マロン酸、シュウ酸、クエン酸、コハク酸および酒石酸からなる群から選択される。無機酸の中で、リン酸が好ましい。
【0073】
成分(B)の総量は好ましくは、各場合に本発明のそれぞれのCMP組成物の総質量に対して、5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、最も好ましくは2質量%以下である。成分(B)の総量は好ましくは、各場合に本発明のそれぞれのCMP組成物の総質量に対して、少なくとも0.05質量%、より好ましくは少なくとも0.10質量%、最も好ましくは少なくとも0.2質量%である。
【0074】
物質の構造のために、本発明によるCMP組成物の様々な成分に同時に定義される物質は、定量的考察のために、各場合にこれらの成分全てに割り当てられなければならない。例えば、本発明による組成物が成分(B)においてまたは成分(B)として1種または複数の錯化剤を含有し、それが同時に本明細書で規定した任意の他の成分に定義される場合、定量的考察の目的のために、これらの錯化剤は前記他の成分と同様に成分(B)に割り当てられなければならない。
【0075】
成分(C):1種または複数の腐食防止剤
本発明による化学機械研磨(CMP)組成物は、成分(C)として1種または複数の腐食防止剤を含む。成分(C)においてまたは成分(C)として使用される腐食防止剤は、金属表面の腐食を制御することができる化合物である。典型的には、こうした腐食防止剤は研磨される表面に付着し、それによって保護膜、典型的には分子膜を形成する。
【0076】
好ましくは、成分(C)の腐食防止剤または少なくとも1種の腐食防止剤は、少なくとも1個、好ましくは3個または4個の窒素原子を芳香環系に含む複素環式芳香族化合物からなる群から選択される。さらに好ましくは、成分(C)の腐食防止剤または少なくとも1種の腐食防止剤は、アゾールからなる群から選択される。最も好ましくは、成分(C)の腐食防止剤または少なくとも1種の腐食防止剤は、ベンゾトリアゾール、メチル−ベンゾトリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ピロリドン、イミダゾール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルイミダゾール、テトラゾール、1,2,3−トリアゾール、5−フェニルテトラゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、ベンゾイミダゾールからなる群から選択される。
【0077】
成分(C)の総量は、各場合に本発明のそれぞれのCMP組成物の総質量に対して、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下、最も好ましくは0.2質量%以下である。成分(C)の総量は、各場合に本発明のそれぞれのCMP組成物の総質量に対して、好ましくは少なくとも0.001質量%、より好ましくは少なくとも0.005質量%、最も好ましくは少なくとも0.01質量%である。
【0078】
物質の構造のために、本発明によるCMP組成物の様々な成分に同時に定義される物質は、定量的考察のために、各場合にこれらの成分全てに割り当てられなければならない。例えば、本発明による組成物が成分(C)においてまたは成分(C)として1種または複数の腐食防止剤を含有し、それが同時に本明細書で規定した任意の他の成分に定義される場合、定量的考察の目的のために、これらの腐食防止剤は前記他の成分と同様に成分(C)に割り当てられなければならない。
【0079】
成分(D):1種または複数の酸化剤
本発明の化学機械研磨(CMP)組成物は、成分(D)として、1種または複数の酸化剤をさらに含む。成分(D)においてまたは成分(D)として使用される酸化剤は、研磨すべき基板またはその層の1つを酸化することができる化合物である。
【0080】
好ましくは、成分(D)の酸化剤または少なくとも1種の酸化剤は、例えば過酸化水素のような過酸化物、過硫酸塩、過塩素酸塩、過臭素酸塩、過ヨウ素酸塩および過マンガン酸塩からなる群から選択される。
【0081】
成分(D)の総量は、各場合に本発明のそれぞれのCMP組成物の総質量に対して、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1.8質量%以下、最も好ましくは1.5質量%以下である。成分(D)の総量は、各場合に本発明のそれぞれのCMP組成物の総質量に対して、好ましくは少なくとも0.1質量%、より好ましくは少なくとも0.3質量%、最も好ましくは少なくとも0.5質量%である。
【0082】
物質の構造のために、本発明によるCMP組成物の様々な成分に同時に定義される物質は、定量的考察のために、各場合にこれらの成分全てに割り当てられなければならない。例えば、本発明による組成物が成分(D)においてまたは成分(D)として1種または複数の酸化剤を含有し、それが同時に本明細書で規定した任意の他の成分に定義される場合、定量的考察の目的のために、これらの酸化剤は前記他の成分と同様に成分(D)に割り当てられなければならない。
【0083】
成分(E):水、および任意の別の成分
本発明によるCMP組成物は、成分(E)として水を含む。最も好ましくは、本発明によるCMP組成物を作るために脱イオン水が使用される。
【0084】
上で規定した成分(A)〜(E)と並んで、本発明によるCMP組成物は、水と混和性の有機溶媒(例えば、アルコール、好ましくはC
1〜C
3アルコール、またはアルキレングリコール誘導体)を任意に含む。
【0085】
水(E)以外の成分の量が総質量でCMP組成物のx%である場合、(E)の量は前記CMP組成物の質量で(100−x)%である。
【0086】
CMP組成物のpH値
本発明の化学機械研磨(CMP)組成物の安定性および研磨性能などの性質は、前記組成物のpHに依存する可能性がある。
【0087】
好ましくは、組成物のpH値は9以下、より好ましくは8以下、最も好ましくは7以下である。組成物のpH値は好ましくは少なくとも4、より好ましくは少なくとも4.5、最も好ましくは少なくとも5である。
【0088】
本発明の化学機械研磨(CMP)組成物を製造するプロセスにおいて、前記CMP組成物のpH値は、1種または複数の追加的pH調整剤(F)を加えることにより任意に調整される。一般に、本発明のCMP組成物の製造に使用されるpH製造剤は、CMP組成物のpH値が要求値に調整されるようにCMP組成物に加えられる化合物である。
【0089】
上で規定した範囲のpHを有する化学機械研磨(CMP)組成物は、
(F)1種または複数のpH製造剤を、
化学機械研磨組成物の成分(A)、(B)、(C)、(D)および(E)と混合することにより、得ることができる。
【0090】
好ましくは、前記1種超のpH調整剤(F)の1種または少なくとも1種は、無機酸、カルボン酸、アミン塩基、アルカリ水酸化物、および水酸化テトラアルキルアンモニウムを含む水酸化アンモニウムからなる群から選択される。特に好ましくは、前記1種以上のpH調整剤(F)の1種または少なくとも1種は、硝酸および水酸化カリウムからなる群から選択される。最も好ましくは、pH調整剤(F)は硝酸および水酸化カリウムである。
【0091】
物質の構造のために、本発明によるCMP組成物の様々な成分に同時に定義される物質は、定量的考察のために、各場合にこれらの成分全てに割り当てられなければならない。例えば、本発明による組成物が成分(F)においてまたは成分(F)として1種または複数のpH調整剤を含有し、それが同時に本明細書で規定した任意の他の成分に定義される場合、定量的考察の目的のために、これらのpH調整剤は前記他の成分と同様に成分(F)に割り当てられなければならない。
【0092】
本発明のCMP組成物を製造するプロセスに加えられるpH調整剤(F)の総量は、各場合に本発明のそれぞれのCMP組成物の総質量に対して、好ましくは10質量%以下、より好ましくは2質量%以下、最も好ましくは0.5質量%以下である。存在する場合、本発明のCMP組成物を製造するプロセスに加えられるpH調整剤(F)の総量は、各場合に本発明のそれぞれのCMP組成物の総質量に対して、好ましくは少なくとも0.0005質量%、より好ましくは少なくとも0.005質量%、最も好ましくは少なくとも0.025質量%である。
【0093】
CMP組成物の製造
化学機械研磨(CMP)組成物を製造するプロセスは、一般に知られている。これらのプロセスは、本発明のCMP組成物の製造に適用可能である。本発明のCMP組成物は、上で記載した成分(A)、(B)、(C)および(D)を水性媒体、好ましくは水(E)に分散させまたは溶解し、1種または複数のpH調整剤(F)を加えてpH値を任意に調整することにより、製造することができる。したがって、CMP組成物は、好ましくは、複合粒子(A)を分散させ、別の成分(B)、(C)および(D)、ならびに1種または複数のpH調整剤(F)を水性媒体、好ましくは水(E)に分散させるおよび/または溶解することにより、製造することができる。この目的のために、慣例的で標準的な混合プロセス、および撹拌槽、高剪断インペラ、超音波ミキサー、ホモジナイザーノズルまたは逆流ミキサーなどの混合装置を使用できる。
【0094】
特に好ましいのは、本発明によるCMP組成物で、上で規定した好ましい特徴の2つ以上が組み合わされていることである。さらに好ましくは、本発明によるCMP組成物の成分(A)〜(D)の1種、2種、3種またはそれぞれが、前記成分の好ましい実施形態の1つの形で、および/または前記成分の好ましい濃度範囲において、存在する。
【0095】
本発明による好ましいCMP組成物は、以下を含む:
(A1)各複合粒子が
(i)1種もしくは複数のエチレン性不飽和モノマーの付加ポリマーを含む、連続マトリックス相
および前記連続マトリックス相中に分散した、
(ii)無機固体材料からなる複数の分割された相領域からそれぞれなる、1つもしくは複数の分散相を含む、
総量が、それぞれの化学機械研磨組成物の総質量に対して、0.05〜1.5質量%の範囲、好ましくは0.1〜0.5質量%の範囲の、複合粒子
ならびに/または
(B)総量が、それぞれのCMP組成物の総質量に対して、0.05〜5質量%の範囲の、1種もしくは複数の錯化剤
ならびに/または
(C)総量が、それぞれのCMP組成物の総質量に対して、0.001〜0.5質量%の範囲の、1種もしくは複数の腐食防止剤
ならびに/または
(D)総量が、それぞれのCMP組成物の総質量に対して、0.1〜2質量%の範囲の、1種もしくは複数の酸化剤。
【0096】
本発明による特に好ましいCMP組成物は、以下を含む:
(A1)各複合粒子が
(i)1種または複数のエチレン性不飽和モノマーの付加ポリマーを含む、連続マトリックス相
および前記連続マトリックス相中に分散した、
(ii)無機固体材料からなる複数の分割された相領域からそれぞれなる、1つまたは複数の分散相を含む、
総量が、それぞれの化学機械研磨組成物の総質量に対して、0.05〜1.5質量%の範囲、好ましくは0.1〜0.5質量%の範囲の、複合粒子
ならびに
(B)総量が、それぞれのCMP組成物の総質量に対して、0.05〜5質量%の範囲の、1種または複数の錯化剤
ならびに
(C)総量が、それぞれのCMP組成物の総質量に対して、0.001〜0.5質量%の範囲の、1種または複数の腐食防止剤
ならびに
(D)総量が、それぞれのCMP組成物の総質量に対して、0.1〜2質量%の範囲の、1種または複数の酸化剤。
【0097】
前記CMP組成物の個々の成分の好ましい特徴に関しては、上で与えられた開示が参照される。
【0098】
(上で規定した)本発明による組成物の定量的な特徴付けに関しては、物質の構造のために、本発明によるCMP組成物の様々な成分に同時に定義される物質は、各場合にこれらの成分全てに割り当てられなければならない。
【0099】
化学機械研磨(CMP)プロセス:
本発明の別の態様は、
− 上で規定した本発明による化学機械研磨組成物を用いて、
または
− 各複合粒子が、
(i)1種もしくは複数のエチレン性不飽和モノマーの付加ポリマーを含む、連続マトリックス相
および前記連続マトリックス相中に分散した、
(ii)無機固体材料からなる複数の分割された相領域からそれぞれなる、1つもしくは複数の分散相、
を研磨粒子として含む、ある量の複合粒子(A1)の存在下で、
基板を化学機械研磨することを含む、半導体デバイスの製造方法に関する。
【0100】
本発明による方法において使用されるCMP組成物の好ましい特徴、および前記CMP組成物の個々の成分に関しては、上で与えられた開示が参照される。
【0101】
上で規定した複合粒子(A1)の好ましい特徴に関しては、上で与えられた開示が参照される。
【0102】
好ましくは、本発明による方法において、基板は銅または銅合金からなる表面領域または層を含む。さらに好ましくは基板は、
− 銅または銅合金からなる表面領域または層、ならびに
− 拡散障壁材料および誘電体材料からなる群から選択される材料からなる、表面領域または層を含む。
【0103】
本開示において使用される記号Cuおよび銅という用語は、高純度元素の銅を指す。用語「銅基合金」または「Cu基合金」は、少なくとも80質量%の銅を含有する合金を指す。CuまたはCu基合金をメタライゼーションに使用する場合、一般にCuまたはCu基合金のメタライゼーションフィーチャーと、誘電体絶縁材料(層間絶縁膜(interlayer dielectric)(ILD)または金属間誘電体(intermetal dielectric)(IMD))の隣接する薄層との間の拡散障壁を提供する必要がある。典型的な拡散障壁材料は、タンタル、窒化タンタル、チタン、窒化チタン、コバルトおよびルテニウムからなる群から選択される。典型的な誘電体材料は、二酸化ケイ素(好ましくは、前駆体としてテトラエトキシシラン(TEOS)を使用するプラズマ促進化学蒸着(CVD)により得られる酸化ケイ素)、および2.5〜3.5の範囲のK値を備えた低K誘電体からなる群から選択される。
【0104】
化学機械研磨(CMP)プロセスは、一般に知られており、集積回路を備えるウエハ作製におけるCMPプロセスに通例使用される条件下で、技法および装置を用いて実施することができる。研磨プロセスを実施することができる装置に関して制約はない。
【0105】
当技術分野において公知のように、CMPプロセス用の典型的な装置は、研磨パッドで覆われた回転プラテンからなる。軌道研磨機を使用することもできる。ウエハはキャリアまたはチャックに装着される。加工されるウエハの面は、研磨パッドと向かい合っている(単一面研磨プロセス)。保持リングがウエハを水平位置に確保する。
【0106】
キャリアの下に、より大きな直径のプラテンが一般に水平位置に配置され、研磨されるウエハの表面と平行な表面を与える。プラテン上の研磨パッドは、平坦化プロセス中にウエハ表面と接触する。
【0107】
(上で規定した)本発明のCMP組成物とともに、好ましくは30°未満のショアD硬度を有する軟質パッド、好ましくは20〜60°のショアA硬度を有する軟質パッドが使用される。
【0108】
所望の材料ロスを生むように、ウエハは研磨パッドに押される。キャリアおよびプラテンのいずれも、キャリアおよびプラテンから垂直に延びるそれぞれの軸の周りに通常は回転をもたらされる。回転するキャリアの軸は回転するプラテンに対して位置が固定されたままでもよいし、プラテンに対して水平に変動してもよい。キャリアの回転方向は、必ずしも限らないが、典型的にはプラテンの回転方向と同じである。キャリアおよびプラテンの回転速度は、必ずしも限らないが、通常は異なる値に設定される。CMPプロセス中に、本発明のCMP組成物は研磨パッド上に、連続的な流れとしてまたは滴下方式にて通常は適用される。通例は、プラテンの温度は10〜70℃の温度に設定される。
【0109】
ウエハへの荷重は、例えば、バッキングフィルムとしばしば呼ばれる軟質パッドで覆われた鋼製の平板によりかけられる。より先端的な装置が使用される場合、空気または窒素圧により荷重がかけられる可撓性の膜が、ウエハをパッドに押す。こうした膜のキャリアは、硬質の研磨パッドを使用する場合低い下方力のプロセスには好ましく、その理由はウエハ上の下方圧力分布が、硬質プラテン設計によるキャリアと比べて、より均一であるためである。選択肢でウエハ上の圧力分布を制御するキャリアもまた使用してもよい。それらは通常、互いに独立してある度合いの荷重をかけられる、複数の異なるチャンバーを備えて設計される。
【0110】
CMPプロセスのさらに詳細は、WO2004/063301A1、特に16頁段落[0036]から18頁段落[0040]までが、
図1および2とともに参照される。
【0111】
本発明の別の態様:
本発明の別の態様は、基板の化学機械研磨のために、
(A)以下からなるある量の研磨粒子
(A1)各複合粒子が以下を含む、ある量の複合粒子
(i)1種または複数のエチレン性不飽和モノマーの付加ポリマーを含む、連続マトリックス相
および前記連続マトリックス相中に分散した、
(ii)無機固体材料からなる複数の分割された相領域からそれぞれなる、1つまたは複数の分散相
(A2)任意に、複合粒子(A1)ではない、ある量のさらなる研磨粒子
(B)1種または複数の錯化剤
(C)1種または複数の腐食防止剤
(D)1種または複数の酸化剤
(E)水
を含む化学機械研磨組成物を使用する方法に関する。
【0112】
本発明による方法において使用されるCMP組成物およびその個々の成分の好ましい特徴、化学機械研磨プロセスの好ましい特徴、ならびに研磨される基板の好ましい特徴に関しては、上で与えられた開示が参照される。
【0113】
本発明の別の態様は、ある量の複合粒子(A1)を使用する方法であって、各複合粒子が、
(i)1種または複数のエチレン性不飽和モノマーの付加ポリマーを含む、連続マトリックス相、
および前記連続マトリックス相中に分散した、
(ii)無機固体材料からなる複数の分割された相領域からそれぞれなる、1つまたは複数の分散相、
を化学機械研磨用の研磨粒子として含む、方法に関する。
【0114】
上で規定した複合粒子(A1)の好ましい特徴に関しては、上で与えられた開示が参照される。
【0115】
例
以下で例および図を用いて、本発明をさらに説明する。