【文献】
田口 善弘,miRNA−mRNA相互作用同定を用いた腎芽腫関連遺伝子の推定,情報処理学会 研究報告 バイオ情報学(BIO) 2016−BIO−48 [online],日本,情報処理学会,2016年12月 2日,pp.1−6
【文献】
白井 達也 外2名,ニューラルネットワークを用いた糖鎖情報からの肝疾患病態識別,電気学会論文誌C,日本,社団法人電気学会,2000年 1月 1日,Vol.120−C No.1,pp.117−122
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
情報提供者のmiRNA属性と多次元のmiRNA情報とに基づいてmiRNA情報の次元数をより少ない次元数に次元圧縮してQ値を出力するように学習された第1ニューラルネットワークと、
ユーザのmiRNA情報から、前記第1ニューラルネットワークを使用してQ値に対応する前記ユーザのmiRNAプロファイルのバランスの良し悪しを示すmiRNAスコアを出力する情報出力部と、を備え、
前記情報出力部は、前記第1ニューラルネットワークから出力されたQ値から、予め定義された関数により前記miRNAスコアを導出する、
情報提供装置。
前記情報出力部は、前記ユーザのmiRNA情報と生化学データから、前記第1ニューラルネットワークを使用してQ値に対応する前記ユーザの前記miRNAスコアを出力する、
請求項4に記載の情報提供装置。
前記第1ニューラルネットワークから出力されるQ値と、前記情報提供者の一定期間の喫食摂取情報とに基づいて理想喫食情報を出力するように学習された第2ニューラルネットワークをさらに備え、
前記情報出力部は、前記ユーザのmiRNA情報から前記第1ニューラルネットワークを使用して出力されたQ値から、前記第2ニューラルネットワークを使用して前記ユーザに推奨する喫食情報を出力する、
請求項1に記載の情報提供装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と称する)について詳細に説明する。実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ符号を付している。
【0016】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る情報提供システムを示す概略図である。
図1に示される情報提供システム1は、情報提供装置10と端末装置20とを備える。情報提供装置10と端末装置20とは、通信によりオンラインで情報を送受してもよく、又は、オフラインで情報を入出力してもよい。以下、一例として、情報提供装置10と端末装置20とは、通信によりオンラインで情報を送受するものとして説明する。
情報提供装置10は、個人のmiRNA情報を利用して当該個人のmiRNAスコアを提供するための装置として構成される。
【0017】
miRNAスコアは、miRNAプロファイルのバランスの良し悪しを示す情報である。miRNAスコアとして、例えば、miRNA点数、miRNA年齢、miRNA偏差値などが挙げられる。miRNA点数は、miRNAプロファイルのバランスの良し悪しを、規定の満点(例えば100点満点)で点数化した点数である。miRNA年齢は、miRNAプロファイルのバランスの良し悪しを、年齢に例えて表現するものである。miRNA偏差値は、miRNAプロファイルのバランスの良し悪しを、偏差値で表現するものである。
【0018】
個人のmiRNA情報は、当該個人のmiRNAの状態を示す情報である。miRNAには凡そ2500種類が存在する。miRNA情報は、全ての種類のmiRNAの情報を含むものであってもよく、又は、一部の種類のmiRNAの情報を含むものであってもよい。miRNA情報は、各miRNAの情報を含む情報である。miRNA情報は、各miRNAの濃度、モル数、蛍光強度又は他の指標で補正した相対値のいずれであってもよい。miRNA情報の表現方法は、対数表現であってもよい。
【0019】
端末装置20は、ユーザのmiRNA情報等の情報を情報提供装置10へ送信する。端末装置20は、ユーザの端末装置であってもよく、又は、ユーザの端末装置以外の端末装置であってもよい。なお、端末装置20に代えて情報提供機関のサーバから、ユーザのmiRNA情報等の情報を情報提供装置10へ送信してもよい。
情報提供装置10は、第1ニューラルネットワーク11と情報出力部12とを備える。情報提供装置10の情報出力部12は、端末装置20から受信したユーザのmiRNA情報等の情報から、第1ニューラルネットワーク11を使用して当該ユーザのmiRNAスコア等の情報を出力する。情報提供装置10は、ユーザのmiRNAスコア等の情報を端末装置20へ送信する。
【0020】
情報提供装置10は、メモリ及びCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)等から構成される。情報提供装置10の各部の機能は、情報提供装置10が備えるCPUがコンピュータプログラムを実行することにより実現される。情報提供装置10として、汎用のコンピュータ装置を使用して構成してもよく、又は、専用のハードウェア装置として構成してもよい。
【0021】
また、情報提供装置10には、周辺機器として入力装置、表示装置等が接続されてもよい。ここで、入力装置とはキーボード、マウス等の入力デバイスのことをいう。表示装置とはCRT(Cathode Ray Tube)や液晶表示装置等のことをいう。
また、上記周辺機器については、情報提供装置10に直接接続するものであってもよく、あるいは通信回線を介して接続するようにしてもよい。
また、情報提供装置10は、ニューラルネットワークに関するデータベースを備えてもよく、又は、外部に設けられた当該データベースに通信回線を介してアクセスするものであってもよい。
【0022】
端末装置20は、例えば、スマートフォンやタブレット型のコンピュータ(タブレットPC)等の携帯端末装置であってもよく、又は、据置き型の端末装置(例えば、据置き型のパーソナルコンピュータ等)であってもよい。
【0023】
次に第1実施形態に係る情報提供装置10について、いくつかの実施例を挙げて説明する。
【0024】
[実施例1]
第1実施形態に係る情報提供装置10の実施例1について、
図2及び
図3を参照して説明する。
図2は、第1実施形態の情報提供装置10の実施例1に係るニューラルネットワークの学習方法を示す図である。
図3は、第1実施形態の情報提供装置10の実施例1に係る情報提供方法を示す図である。
【0025】
<学習段階>
図2を参照して、実施例1に係る学習段階を説明する。学習段階は、後述する情報提供段階で使用される第1ニューラルネットワーク11の学習を行う段階である。第1ニューラルネットワーク11の学習段階は、情報提供装置10により実施されてもよく、又は、情報提供装置10とは異なるコンピュータにより実施されてもよい。
【0026】
図2において、学習段階(S100)は、3つのステップS101、S102及びS103を含む。学習段階(S100)では、情報提供者のmiRNA属性と多次元のmiRNA情報とに基づいてmiRNA情報の次元数をより少ない次元数に次元圧縮してQ値を出力するように、第1ニューラルネットワーク11の学習を行う。
【0027】
個人のmiRNA属性は、当該個人のmiRNA情報に影響を与える当該個人の属性である。miRNA属性として、例えば、年齢、性別、人種などが挙げられる。miRNA属性は、少なくとも年齢と性別を含むことが好ましい。miRNA属性は、年齢と性別のみであってもよい。なお、人種を表す情報として、国籍を利用してもよい。
【0028】
Q値は、第1ニューラルネットワーク11に入力された情報提供者の多次元のmiRNA情報を、より少ない次元数で表す情報である。
【0029】
多次元のmiRNA情報は、複数の種類のmiRNAの状態を示す情報である。人のmiRNAには、凡そ2500種類が存在することが知られている。したがって、人の全種類のmiRNAの状態を示すmiRNA情報の次元数は非常に多くなる。一方、将来のがん発症リスク(がん予防)に強い相関があるmiRNAの種類は限定されると考えられる。そこで、学習段階(S100)では、miRNA情報の次元数をより少ない次元数に次元圧縮してQ値を出力するように、第1ニューラルネットワーク11の学習を行う。
【0030】
(ステップS101) 第1ニューラルネットワーク11に入力する入力情報として、情報提供者のmiRNA属性と多次元のmiRNA情報とを準備する。情報提供者は、ニューラルネットワークの学習用の情報を提供する人である。次いで、情報提供者のmiRNA属性と多次元のmiRNA情報とを第1ニューラルネットワーク11へ入力する。例えば、情報提供者の年齢と性別と多次元のmiRNA情報とを第1ニューラルネットワーク11へ入力する。miRNA属性として、年齢と性別を使用することにより、年齢別且つ性別で異なる係数を有する第1ニューラルネットワーク11の学習を行うことができる。
【0031】
(ステップS102) 情報提供者のmiRNA属性と多次元のmiRNA情報とを第1ニューラルネットワーク11へ入力した結果として第1ニューラルネットワーク11からQ値が出力される。
【0032】
(ステップS103) 第1ニューラルネットワーク11の学習を行う。ニューラルネットワーク学習方法として、例えば、オートエンコーダー(自己符号化器)を用いてもよい。オートエンコーダーは、第1ニューラルネットワーク11(エンコード層)の出力のQ値に対して逆エンコード(デコード層)をかけることによって再構成された「情報提供者のmiRNA属性と多次元のmiRNA情報」と、元の入力された「情報提供者のmiRNA属性と多次元のmiRNA情報」との差分が少なくなるように第1ニューラルネットワーク11の学習を行うもので、教師あり学習のように正解データ・不正解データといった意味づけを人が行う必要がなく、自動的に有意味のQ値を算出することが可能となる。
【0033】
本実施形態に係る学習方法の一例として、第1ニューラルネットワーク11がN次元の第1miRNA情報から生成したM次元(但し、M<N)のQ値をN次元の第2miRNA情報に戻す自己符号化を行い、第2miRNA情報が第1miRNA情報に一致するように第1ニューラルネットワーク11に学習させる。
【0034】
<情報提供段階>
図3を参照して、実施例1に係る情報提供段階を説明する。情報提供段階は、上述した学習段階により学習済みの第1ニューラルネットワーク11を使用して、ユーザのmiRNA情報から当該ユーザのmiRNAスコアを提供する段階である。
【0035】
図3において、情報提供段階(S200)は、3つのステップS201、S202及びS203を含む。情報提供段階(S200)では、情報提供装置10は、上述した学習段階により学習済みの第1ニューラルネットワーク11を備える。つまり、情報提供装置10は、情報提供者のmiRNA属性と多次元のmiRNA情報とに基づいてmiRNA情報の次元数をより少ない次元数に次元圧縮してQ値を出力するように学習された第1ニューラルネットワーク11を備える。
【0036】
(ステップS201) 情報提供装置10は、端末装置20からユーザのmiRNA情報を受信する。情報出力部12は、端末装置20から受信したユーザのmiRNA情報を第1ニューラルネットワーク11へ入力する。
【0037】
(ステップS202) ユーザのmiRNA情報を第1ニューラルネットワーク11へ入力した結果として第1ニューラルネットワーク11からQ値が出力される。
【0038】
(ステップS203) 情報出力部12は、第1ニューラルネットワーク11から出力されたQ値をmiRNAスコアに変換する。Q値をmiRNAスコアに変換する方法としては、例えば、Q値に対応するmiRNAスコアが記録された変換テーブルを予め設けてもよく、又は、Q値からmiRNAスコアを導出する関数を予め定義してもよい。
【0039】
情報提供装置10は、第1ニューラルネットワーク11から出力されたQ値が変換されたユーザのmiRNAスコアを端末装置20へ送信する。端末装置20は、情報提供装置10から受信したユーザのmiRNAスコアを記録し、ユーザによる情報閲覧操作に応じてユーザのmiRNAスコアを表示画面に表示する。これにより、ユーザは、自分のmiRNAスコアを端末装置20により閲覧することができる。miRNAスコアによって、miRNAプロファイルのバランスの良し悪しを簡潔に提示することができる。
【0040】
[実施例2]
実施例2は、上述した実施例1の変形例である。実施例2では、miRNA情報に加えてさらに生化学データを利用して、ユーザのmiRNAスコアを提供することを図る。本実施形態に係る情報提供装置10の実施例2について、
図4及び
図5を参照して説明する。
図4は、第1実施形態の情報提供装置10の実施例2に係るニューラルネットワークの学習方法を示す図である。
図5は、第1実施形態の情報提供装置10の実施例2に係る情報提供方法の一例を示す図である。
【0041】
<学習段階>
図4を参照して、実施例2に係る学習段階を説明する。なお、説明の便宜上、実施例1の第1ニューラルネットワーク11と区別するために、実施例2では第1ニューラルネットワーク11aと称する。
図4において、学習段階(S100a)は、3つのステップS101a、S102a及びS103aを含む。
【0042】
(ステップS101a) 第1ニューラルネットワーク11aに入力する入力情報として、情報提供者のmiRNA属性と多次元のmiRNA情報に加えてさらに情報提供者の生化学データを準備する。生化学データとして、例えば、人の検体(例えば、血液、尿、大便など)の生化学検査の結果のデータ、人の皮膚の撮像画像、人の超音波画像、人のX線画像、人に対する医師の診断の結果のデータなどが挙げられる。情報提供者の生化学データは、情報提供者が例えば人間ドック等の健康診断を受けた際に得られた検査結果のデータであってもよい。
次いで、情報提供者のmiRNA属性と多次元のmiRNA情報と生化学データとを第1ニューラルネットワーク11aへ入力する。
【0043】
(ステップS102a) 情報提供者のmiRNA属性と多次元のmiRNA情報と生化学データとを第1ニューラルネットワーク11aへ入力した結果として第1ニューラルネットワーク11aからQ値が出力される。
【0044】
学習段階(S100a)において、ステップS103aは、上述した実施例1の学習段階(S100)のステップS103と同じである。
【0045】
<情報提供段階>
実施例2に係る情報提供段階を説明する。実施例2に係る情報提供段階として、以下に示す情報提供段階の例2−1、例2−2が挙げられる。
【0046】
<情報提供段階の例2−1>
情報提供段階の例2−1は、上述した
図3に示す実施例1に係る情報提供段階と同様である。但し、情報提供段階の例2−1では、
図3において、第1ニューラルネットワーク11の代わりに、上述した実施例2に係る学習段階により学習済みの第1ニューラルネットワーク11aを使用する。この点以外は、上述した
図3に示す実施例1に係る情報提供段階と同じであるので、その説明を省略する。
【0047】
<情報提供段階の例2−2>
図5を参照して、実施例2に係る情報提供段階の例2−2を説明する。情報提供段階の例2−2は、上述した実施例2に係る学習段階により学習済みの第1ニューラルネットワーク11aを使用して、ユーザのmiRNA情報と生化学データから当該ユーザのmiRNAスコアを提供する段階である。
【0048】
図5において、情報提供段階の例2−2(S200a)は、3つのステップS201a、S202a及びS203aを含む。情報提供段階の例2−2(S200a)では、情報提供装置10は、上述した実施例2に係る学習段階により学習済みの第1ニューラルネットワーク11aを備える。つまり、情報提供装置10は、情報提供者のmiRNA属性と多次元のmiRNA情報と生化学データとに基づいてmiRNA情報の次元数をより少ない次元数に次元圧縮してQ値を出力するように学習された第1ニューラルネットワーク11aを備える。
【0049】
(ステップS201a) 情報提供装置10は、端末装置20からユーザのmiRNA情報と生化学データを受信する。情報出力部12は、端末装置20から受信したユーザのmiRNA情報と生化学データを第1ニューラルネットワーク11aへ入力する。
【0050】
(ステップS202a) ユーザのmiRNA情報と生化学データを第1ニューラルネットワーク11aへ入力した結果として第1ニューラルネットワーク11aからQ値が出力される。
【0051】
(ステップS203a) 情報出力部12は、第1ニューラルネットワーク11aから出力されたQ値をmiRNAスコアに変換する。
【0052】
情報提供装置10は、第1ニューラルネットワーク11aから出力されたQ値が変換されたユーザのmiRNAスコアを端末装置20へ送信する。端末装置20は、情報提供装置10から受信したユーザのmiRNAスコアを記録し、ユーザによる情報閲覧操作に応じてユーザのmiRNAスコアを表示画面に表示する。これにより、ユーザは、自分のmiRNAスコアを端末装置20により閲覧することができる。miRNAスコアによって、miRNAプロファイルのバランスの良し悪しを簡潔に提示することができる。
【0053】
以上が第1実施形態に係る情報提供装置10の実施例の説明である。
【0054】
上述した第1実施形態によれば、ユーザのmiRNAプロファイルのバランスの状態を簡潔に提示することができるという効果が得られる。
【0055】
[第2実施形態]
図6は、第2実施形態に係る情報提供システムを示す概略図である。
図6に示される情報提供システム1bは、情報提供装置10bと端末装置20とを備える。情報提供装置10bと端末装置20とは、通信によりオンラインで情報を送受してもよく、又は、オフラインで情報を入出力してもよい。以下、一例として、情報提供装置10bと端末装置20とは、通信によりオンラインで情報を送受するものとして説明する。情報提供装置10bは、個人のmiRNA情報を利用して当該個人のmiRNAスコアと当該個人に推奨する喫食情報とを提供するための装置として構成される。個人に推奨する喫食情報は、当該個人のmiRNAプロファイルのバランスを改善させるための食事を示す情報である。
【0056】
端末装置20は、ユーザのmiRNA情報等の情報を情報提供装置10bへ送信する。情報提供装置10bは、第1ニューラルネットワーク11と第2ニューラルネットワーク13と情報出力部12bとを備える。情報提供装置10bの情報出力部12bは、端末装置20から受信したユーザのmiRNA情報等の情報から、第1ニューラルネットワーク11を使用して当該ユーザのmiRNAスコア等の情報を出力する。なお、第2実施形態に係る第1ニューラルネットワーク11は、上述した第1実施形態の実施例1に係る第1ニューラルネットワーク11であってもよく、又は、上述した第1実施形態の実施例2に係る第1ニューラルネットワーク11aであってもよい。
【0057】
情報出力部12bは、さらに、端末装置20から受信したユーザのmiRNA情報等の情報から第1ニューラルネットワーク11を使用して出力されたQ値から、第2ニューラルネットワーク13を使用して当該ユーザに推奨する喫食情報を出力する。情報提供装置10bは、ユーザのmiRNAスコアとユーザに推奨する喫食情報等の情報を端末装置20へ送信する。
【0058】
情報提供装置10bは、第1実施形態の情報提供装置10と同様の構成であって、情報提供装置10bの各部の機能は、情報提供装置10bが備えるCPUがコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
【0059】
次に第2実施形態に係る情報提供装置10bの実施例を、
図7及び
図8を参照して説明する。
図7は、第2実施形態の情報提供装置10bの実施例に係るニューラルネットワークの学習方法を示す図である。
図8は、第2実施形態の情報提供装置10bの実施例に係る情報提供方法を示す図である。
【0060】
<学習段階>
第2実施形態では、第1ニューラルネットワーク11と第2ニューラルネットワーク13の2つのニューラルネットワークの学習を行う。第1ニューラルネットワーク11の学習方法は、上述した第1実施形態の実施例1(
図2に示される第1ニューラルネットワーク11の学習段階(S100))又は実施例2(
図4に示される第1ニューラルネットワーク11aの学習段階(S100a))と同じであるので、その説明を省略する。
【0061】
図7を参照して、第2実施形態に係る第2ニューラルネットワーク13の学習段階を説明する。この学習段階は、後述する情報提供段階で使用される第2ニューラルネットワーク13の学習を行う段階である。第2ニューラルネットワーク13の学習段階は、情報提供装置10bにより実施されてもよく、又は、情報提供装置10bとは異なるコンピュータにより実施されてもよい。
【0062】
図7において、学習段階(S100b)は、3つのステップS101b、S102b及びS103bを含む。学習段階(S100b)では、情報提供者のmiRNA属性と多次元のmiRNA情報とを第1ニューラルネットワーク11へ入力した結果として第1ニューラルネットワーク11から出力されたQ値と、当該情報提供者の一定期間の喫食摂取情報とに基づいて理想喫食情報を出力するように、第2ニューラルネットワーク13の学習を行う。
情報提供者の一定期間の喫食摂取情報は、情報提供者が一定期間に取った食事の情報である。なお、情報提供者が一定期間に取った食事に含まれる特定食品成分の情報を喫食摂取情報に含め、当該特定食品成分の情報を第2ニューラルネットワーク13に学習させるようにしてもよい。特定食品成分は、miRNAプロファイルのバランスを改善させる食品成分であってもよい。
理想喫食情報は、miRNAプロファイルのバランスを改善させるための食事を示す情報である。
【0063】
(ステップS101b) 第2ニューラルネットワーク13に入力する入力情報として、情報提供者のmiRNA属性と多次元のmiRNA情報とを第1ニューラルネットワーク11へ入力した結果として第1ニューラルネットワーク11から出力されたQ値と、当該情報提供者の一定期間の喫食摂取情報とを準備する。次いで、Q値と情報提供者の一定期間の喫食摂取情報とを第2ニューラルネットワーク13へ入力する。
【0064】
(ステップS102b) Q値と情報提供者の一定期間の喫食摂取情報とを第2ニューラルネットワーク13へ入力した結果として第2ニューラルネットワーク13から理想喫食情報が出力される。
【0065】
(ステップS103b) 第2ニューラルネットワーク13の学習を行う。ニューラルネットワーク学習方法として、例えば、強化学習を行ってもよい。強化学習は、教師あり学習のように正解データが不要であるので、第2ニューラルネットワーク13の出力の理想喫食情報に対する正解データを実際に取得するのに長期間を要するものであっても、短期間で学習を行うことができる。
【0066】
<情報提供段階>
第2実施形態の情報提供段階では、上述した学習段階により学習済みの第1ニューラルネットワーク11と第2ニューラルネットワーク13とを使用して、ユーザのmiRNAスコアとユーザに推奨する喫食情報とを提供する段階である。この情報提供段階では、情報提供装置10bは、上述した学習段階により学習済みの第1ニューラルネットワーク11と第2ニューラルネットワーク13とを備える。つまり、情報提供装置10bは、情報提供者のmiRNA属性と多次元のmiRNA情報とに基づいてmiRNA情報の次元数をより少ない次元数に次元圧縮してQ値を出力するように学習された第1ニューラルネットワーク11と、当該第1ニューラルネットワーク11から出力されたQ値と当該情報提供者の一定期間の喫食摂取情報とに基づいて理想喫食情報を出力するように学習された第2ニューラルネットワーク13と、を備える。
【0067】
第1ニューラルネットワーク11を使用してユーザのmiRNAスコアを提供する方法は、上述した第1実施形態の実施例1(
図3に示される第1ニューラルネットワーク11による情報提供段階(S200))又は実施例2(情報提供段階の例2−1若しくは例2−2)と同じであるので、その説明を省略する。
【0068】
図8を参照して、第2実施形態に係る第2ニューラルネットワーク13による情報提供段階を説明する。
図8において、情報提供段階(S200b)は、2つのステップS201b及びS202bを含む。
【0069】
(ステップS201b) 情報出力部12は、上述した第1実施形態の実施例1の情報提供段階(
図3のS200)又は実施例2の情報提供段階(情報提供段階の例2−1若しくは例2−2)と同様にして第1ニューラルネットワーク11又は11aから出力されたQ値を、第2ニューラルネットワーク13へ入力する。
【0070】
(ステップS202b) Q値を第2ニューラルネットワーク13へ入力した結果として第2ニューラルネットワーク13からユーザに推奨する喫食情報が出力される。情報提供装置10は、上述した第1実施形態の実施例1の情報提供段階(
図3のS200)又は実施例2の情報提供段階(情報提供段階の例2−1若しくは例2−2)と同様にして第1ニューラルネットワーク11又は11aから出力されたQ値が変換されたユーザのmiRNAスコアと、第2ニューラルネットワーク13から出力されたユーザに推奨する喫食情報とを端末装置20へ送信する。端末装置20は、情報提供装置10から受信したユーザのmiRNAスコアとユーザに推奨する喫食情報とを記録し、ユーザによる情報閲覧操作に応じてユーザのmiRNAスコアとユーザに推奨する喫食情報とを表示画面に表示する。これにより、ユーザは、自分のmiRNAスコアと自分に推奨された喫食情報とを端末装置20により閲覧することができる。miRNAスコアによって、miRNAプロファイルのバランスの良し悪しを簡潔に提示することができる。また、ユーザに推奨された喫食情報によって、当該ユーザのmiRNAプロファイルのバランスを改善させるための食事を示す情報を提示することができる。
【0071】
以上が第2実施形態に係る情報提供装置10bの実施例の説明である。
【0072】
上述した第2実施形態によれば、ユーザのmiRNAプロファイルのバランスの状態を簡潔に提示することができるという効果と、ユーザのmiRNAプロファイルのバランスを改善させるための食事を示す情報を提示することができるという効果とが得られる。
【0073】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。